液体吐出装置
【課題】ワイパにおける搬送部材表面との接触部分に洗浄液を保持し、良好なワイピングを実現する。
【解決手段】ワイパ42は、本体42a及び凸部42bを含む。凸部42bは、本体42aの正面(ワイピング時におけるワイパ42の搬送ベルト表面8aに対する相対移動方向下流側の面)における、本体42aの先端近傍に設けられている。特に洗浄液ありのワイピングの場合、本体42aの先端(表面8aとの接触部分)、より具体的には本体42aの先端近傍と凸部42bとの間に洗浄液が保持された状態で、ワイピングが行われる。
【解決手段】ワイパ42は、本体42a及び凸部42bを含む。凸部42bは、本体42aの正面(ワイピング時におけるワイパ42の搬送ベルト表面8aに対する相対移動方向下流側の面)における、本体42aの先端近傍に設けられている。特に洗浄液ありのワイピングの場合、本体42aの先端(表面8aとの接触部分)、より具体的には本体42aの先端近傍と凸部42bとの間に洗浄液が保持された状態で、ワイピングが行われる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク等の液体を吐出する液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体吐出装置において、搬送部材の表面上の異物(インク等の記録液、紙粉等)をワイパで除去する(ワイピングを行う)技術が知られている。例えば特許文献1によると、インクジェット記録装置10(液体吐出装置)において、搬送ベルト30(搬送部材)の表面上の異物をブレード42(ワイパ)で除去する。
ワイピング時において、ブレード42(ワイパ)は、搬送ベルト30(搬送部材)の表面との接触部分から、鉛直方向下向きの成分を含む方向に延出されている。
【0003】
【特許文献1】特開2007−76863号公報(特に、図3及び図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、良好なワイピングを実現するため、ワイピングの際に、搬送部材の表面に洗浄液を供給し、当該洗浄液と共に異物をワイパで除去する場合がある。洗浄液としては、記録液よりも粘度の低い液体(例えば記録液がインクの場合、洗浄液として水)を用いるのが一般である。
この場合、特許文献1のようにワイパが鉛直方向下向きの成分を含む方向に延出された構成では、洗浄液が、ワイパにおける搬送部材表面との接触部分に保持されず、ワイパを伝って流れ落ち易い。洗浄液が接触部分に保持されなければ、良好なワイピングを実現することができない。即ち、洗浄液を供給したのにも関わらず、良好なワイピングを実現することができないという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、ワイパにおける搬送部材表面との接触部分に洗浄液を保持し、良好なワイピングを実現することが可能な液体吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の観点によると、記録液を吐出する吐出口が開口した吐出面を有する液体吐出ヘッドと、前記吐出面に対向して配置される表面を有し、前記表面が記録媒体を支持しつつ移動することにより記録媒体を搬送する搬送部材と、前記表面に前記記録液よりも粘度の低い洗浄液を供給する洗浄液供給部と、前記表面に接触しつつ前記表面に対して相対移動することにより前記表面上の異物を除去するワイパであって、前記表面との接触部分から鉛直方向下向きの成分と前記相対移動方向下流側の成分とを含む方向に延出された本体、及び、前記接触部分に前記洗浄液が保持されるように前記本体の前記相対移動方向下流側に設けられた壁を含むワイパと、を備えたことを特徴とする液体吐出装置が提供される。
【0007】
上記観点によれば、壁の存在によって、接触部分に洗浄液を効果的に保持し、良好なワイピング実現することができる。
【0008】
前記壁は、前記本体の前記相対移動方向下流側の面から前記相対移動方向下流側に突出した凸部であってよい。
この場合、ワイパ全体を小型化することができる。
【0009】
前記壁における前記接触部分に対向する面が、水平方向及び鉛直方向上向きの成分を含む方向のいずれかの方向に延在してよい。
この場合、接触部分に洗浄液をより効果的に保持することができる。
【0010】
前記ワイパは、第1状態と、前記第1状態よりも前記接触部分での前記洗浄液の保持量が多い第2状態とを取り得るものであり、本発明の液体吐出装置は、前記洗浄液供給部により前記表面に前記洗浄液が供給されない場合は前記第1状態、前記洗浄液供給部により前記表面に前記洗浄液が供給される場合は前記第2状態となるように、前記ワイパを制御するワイパ制御手段をさらに備えてよい。
この場合、洗浄液の有無によってワイパの状態を切り換えることで、効率的なワイピングを実現可能である。
【0011】
前記ワイパ制御手段は、前記壁における前記接触部分に対向する面が、前記第1状態では鉛直方向下向きの成分を含む方向に延在し、前記第2状態では水平方向及び鉛直方向上向きの成分を含む方向のいずれかの方向に延在するように、前記ワイパを制御してよい。
【0012】
本発明の液体吐出装置は、前記本体の前記相対移動方向下流側の面から前記相対移動方向下流側に突出した第1位置と、前記本体の前記相対移動方向下流側の面から前記相対移動方向下流側への突出量が前記第1位置のときよりも小さい第2位置とに、前記壁を移動させる第1移動機構をさらに備え、前記ワイパ制御手段は、前記壁が、前記第1状態では前記第2位置を取り、前記第2状態では前記第1位置を取るように、前記第1移動機構を制御してよい。
【0013】
本発明の液体吐出装置は、前記本体の前記相対移動方向下流側の面において、前記本体の延出方向に、前記壁を移動させる第2移動機構をさらに備え、前記ワイパ制御手段は、前記第2状態における前記延出方向に関する前記壁と前記接触部分との距離が前記第1状態における前記距離よりも小さくなるように、前記第2移動機構を制御してよい。
【0014】
本発明の液体吐出装置は、前記本体の前記相対移動方向下流側の面に接触する接触位置と、前記本体の前記相対移動方向下流側の面から離隔した離隔位置とに、前記壁を移動させる第3移動機構をさらに備え、前記ワイパ制御手段は、前記壁が、前記第1状態では前記離隔位置を取り、前記第2状態では前記接触位置を取るように、前記第3移動機構を制御してよい。
【0015】
前記ワイパは、前記表面の移動方向と平行な方向に前記表面に対して相対移動するものであり、前記表面の移動方向と交差する方向に前記表面に対して相対移動する別のワイパをさらに備えてよい。
この場合、別のワイパを用いて、ワイパで除去しきれずに残った異物を除去することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、壁の存在によって、接触部分に洗浄液を効果的に保持し、良好なワイピング実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係るインクジェット式プリンタの内部構造を示す概略側面図である。
【図2】図1のプリンタに含まれるインクジェットヘッドの流路ユニット及びアクチュエータユニットを示す平面図である。
【図3】図2の一点鎖線で囲まれた領域IIIを示す拡大図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿った部分断面図である。
【図5】(a)はワイピング(洗浄液なし)、(b)はワイピング(洗浄液あり)のときのワイパの状態を示す部分側面図である。
【図6】ワイピングユニットを示す斜視図である。
【図7】ワイピング時におけるサブワイパの動作を説明するための説明図である。
【図8】図1のプリンタの電気的構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るインクジェット式プリンタに含まれるワイパを示す図であり、(a1)(a2)はワイピング(洗浄液なし)のときのワイパの状態を示す断面図及び斜視図、(b1)(b2)はワイピング(洗浄液あり)のときのワイパの状態を示す断面図及び斜視図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係るインクジェット式プリンタに含まれるワイパを示す図であり、(a1)(a2)はワイピング(洗浄液なし)のときのワイパの状態を示す側面図及び斜視図、(b1)(b2)はワイピング(洗浄液あり)のときのワイパの状態を示す側面図及び斜視図である。
【図11】本発明の第4実施形態に係るインクジェット式プリンタに含まれるワイパを示す図であり、(a1)(a2)はワイピング(洗浄液なし)のときのワイパの状態を示す側面図及び斜視図、(b1)(b2)はワイピング(洗浄液あり)のときのワイパの状態を示す側面図及び斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0019】
先ず、図1を参照し、本発明の第1実施形態に係るインクジェット式プリンタ1の全体構成について説明する。
【0020】
プリンタ1は、直方体形状の筐体1aを有する。筐体1aの天板上部には、排紙部31が設けられている。筐体1aの内部空間は、上から順に空間A,B,Cに区分できる。空間Bには、給紙ユニット1bが配置されている。空間A及びBには、給紙ユニット1bから排紙部31に至る用紙搬送経路が形成されている。
【0021】
空間Aには、用紙センサ32、4つのヘッド10、洗浄液供給装置70、搬送ユニット21、ガイドユニット、ワイピングユニット40、制御装置1p等が配置されている。
【0022】
搬送ユニット21は、ベルトローラ6,7、両ローラ6,7間に巻回された環状の搬送ベルト8、搬送ベルト8の外側に配置されたニップローラ4及び剥離プレート5、搬送ベルト8の内側に配置されたプラテン9a,9b等を有する。ベルトローラ7は、駆動ローラであって、搬送モータ121(図8参照)の駆動により回転し、図1中時計回りに回転する。ベルトローラ7の回転に伴い、搬送ベルト8は、その周方向に移動し、図1中の太矢印方向に走行する。ベルトローラ6は、従動ローラであって、搬送ベルト8が走行するのに伴って、図1中時計回りに回転する。ニップローラ4は、ベルトローラ6に対向配置され、上流側ガイド部(後述)から供給された用紙Pを搬送ベルト8の表面8aに押さえ付ける。剥離プレート5は、ベルトローラ7に対向配置され、用紙Pを表面8aから剥離して下流側ガイド部(後述)へと導く。プラテン9aは、4つのヘッド10に対向配置され、搬送ベルト8の上側ループを内側から支える。これにより、表面8aとヘッド10の下面(吐出面10a)との間に、記録に適した所定の間隙が形成される。
【0023】
ヘッド10は、主走査方向に長尺な略直方体形状を有するライン式のインクジェットヘッドである。記録(画像形成)に際して、4つのヘッド10の下面(吐出面10a)からそれぞれマゼンタ、シアン、イエロー、ブラックのインクが吐出される。4つのヘッド10は、副走査方向に所定ピッチで並び、フレーム3を介して筐体1aに支持されている。
【0024】
ガイドユニットは、搬送ユニット21を挟んで配置された、上流側ガイド部及び下流側ガイド部を含む。上流側ガイド部は、2つのガイド27a,27b及び一対の送りローラ26を有する。上流側ガイド部は、給紙ユニット1bと搬送ユニット21とを繋ぐ。下流側ガイド部は、2つのガイド29a,29b及び二対の送りローラ28を有する。下流側ガイド部は、搬送ユニット21と排紙部31とを繋ぐ。
【0025】
洗浄液供給装置70は、洗浄液を貯留するタンク、及び、当該タンクに連通し且つ装置70の下面に開口した多数のノズルを含み、ノズルから表面8aに向けて洗浄液を吐出する。
洗浄液は、インクよりも粘度が低く且つ表面8aを洗浄するのに適した液体であればよく、例えば水、クリアインク(染料や顔料を含まない無色透明の液体)等が挙げられる。
【0026】
ワイピングユニット40は、サブワイパ41、ワイパ42、サブワイパクリーナ44(図6参照)、及びワイパクリーナ45を含む。ワイパ42及びワイパクリーナ45は、搬送ベルト8の下側ループの表面8aに対向して配置されている。サブワイパ41は、搬送ベルト8の下側ループの側方をホームポジションとして、ワイピング時に下側ループの表面8aに接触しつつ主走査方向に移動する。サブワイパクリーナ44(図6参照)は、搬送ベルト8の下側ループの側方(サブワイパ41のホームポジションとは反対側の側方)に配置されている。
搬送ベルト8の内側であって、ワイピング時に各ワイパ41,42が接触する部分の裏面に、プラテン9bが配置されている。プラテン9bが搬送ベルト8の下側ループを内側から支えることで、ワイパ41,42によるワイピングが行われる際、ワイパ41,42による押圧力で搬送ベルト8が撓むのが防止され、良好なワイピングを行うことができる。
【0027】
給紙ユニット1bは、給紙トレイ23及び給紙ローラ25を有する。このうち、給紙トレイ23が、筐体1aに対して着脱可能となっている。給紙トレイ23は、上方に開口する箱であり、複数種類のサイズの用紙Pを収納可能である。給紙ローラ25は、給紙トレイ23内で最も上方にある用紙Pを送り出し、上流側ガイド部に供給する。
【0028】
制御装置1pは、プリンタ1各部の動作を制御してプリンタ1全体の動作を司る。
【0029】
制御装置1pは、外部装置(プリンタ1と接続されたPC等)から供給された画像データに基づいて、用紙P上に画像が形成されるよう、記録に係わる準備動作、用紙Pの供給・搬送・排出動作、用紙Pの搬送に同期したインク吐出動作等を制御する。
具体的には、制御装置1pは、外部装置から受信した記録指令に基づいて、給紙ローラ25用の給紙モータ125(図8参照)、各ガイド部の送りローラ用の送りモータ127(図8参照)、搬送モータ121(図8参照)、ヘッド10等を駆動する。
給紙トレイ23から送り出された用紙Pは、送りローラ26によって、搬送ユニット21に供給される。用紙Pが各ヘッド10の真下を副走査方向に通過する際、ヘッド10から各色のインクが吐出され、用紙P上にカラー画像が形成される。記録に係るインクの吐出動作は、用紙Pの先端を検知する用紙センサ32からの検出信号に基づいて行われる。用紙Pは、その後剥離プレート5により剥離され、2つの送りローラ28によって上方に搬送される。さらに用紙Pは、上方の開口30から排紙部31に排出される。
【0030】
ここで、副走査方向とは、搬送ユニット21による用紙Pの搬送方向に平行な方向であり、主走査方向とは、水平面に平行且つ副走査方向に直交する方向である。
【0031】
制御装置1pはまた、後に詳述するように、搬送ベルト8の表面8a上の異物(インク、紙粉等)を除去するワイピングに係る制御を行う。
【0032】
空間Cには、カートリッジユニット1cが筐体1aに対して着脱可能に配置されている。カートリッジユニット1cは、トレイ35、及び、トレイ35内に並んで収納された4つのカートリッジ39を有する。カートリッジ39は各色のインクを収容し、チューブ(図示せず)を介して対応するヘッド10と連通している。カートリッジ39内のインクは適宜ヘッド10に供給される。
【0033】
次に、図2〜図4を参照し、ヘッド10の構成についてより詳細に説明する。なお、図3では、アクチュエータユニット17の下側にあって点線で示すべき圧力室16及びアパーチャ15を実線で示している。
【0034】
ヘッド10は、上下に積層されたリザーバユニット(図示せず)及び流路ユニット12、流路ユニット12の上面12xに固定された8つのアクチュエータユニット17(図2参照)、各アクチュエータユニット17に接合されたFPC(平型柔軟基板)19(図4参照)等を有する。リザーバユニットには、カートリッジ39(図1参照)から供給されたインクを一時的に貯留するリザーバを含む流路が形成されている。流路ユニット12には、上面12xの開口12y(図2参照)から下面(吐出面10a)の各吐出口14aに至る流路が形成されている。アクチュエータユニット17は、吐出口14a毎の圧電型アクチュエータを有する。
【0035】
リザーバユニットの下面には凹凸が形成されている。凸部は、流路ユニット12の上面12xにおけるアクチュエータユニット17が配置されていない領域(図2に示す開口12yを含む二点鎖線で囲まれた領域)に接着されている。凸部の先端面は、リザーバに接続し且つ流路ユニット12の各開口12yに対向する開口を有する。これにより、上記各開口を介して、リザーバ及び個別流路14が連通している。凹部は、流路ユニット12の上面12x、アクチュエータユニット17の表面、及びFPC19の表面と、若干の隙間を介して対向している。
【0036】
流路ユニット12は、略同一サイズの矩形状の9枚の金属プレート12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g,12h,12i(図4参照)を互いに積層し接着することにより形成された積層体である。流路ユニット12の流路は、図2、図3、及び図4に示すように、開口12yを一端に有するマニホールド流路13、マニホールド流路13から分岐した副マニホールド流路13a、及び、副マニホールド流路13aの出口から圧力室16を介して吐出口14aに至る個別流路14を含む。個別流路14は、図4に示すように、吐出口14a毎に形成されており、流路抵抗調整用の絞りであるアパーチャ15を含む。上面12xにおける各アクチュエータユニット17の接着領域には、圧力室16を露出させる略菱形形状の開口がマトリクス状に配置されている。下面(吐出面10a)における各アクチュエータユニット17の接着領域に対向する領域には、圧力室16と同様の配置パターンで、吐出口14aがマトリクス状に配置されている。
【0037】
アクチュエータユニット17は、図2に示すように、それぞれ台形の平面形状を有し、流路ユニット12の上面12xにおいて2列の千鳥状に配置されている。各アクチュエータユニット17は、図3に示すように、当該アクチュエータユニット17の接着領域内に形成された多数の圧力室16の開口を覆っている。図示は省略するが、アクチュエータユニット17は、多数の圧力室16に跨るように延在した複数の圧電層、及び、厚み方向に関して圧電層を挟む電極を含む。電極には、圧力室16毎に設けられた個別電極、及び、圧力室16に共通の共通電極が含まれる。個別電極は、最も上方の圧電層の表面に形成されている。
【0038】
FPC19は、アクチュエータユニット17の各電極に対応する配線を有し、その途中部にドライバIC(図示せず)が実装されている。FPC19は、一端がアクチュエータユニット17、他端がヘッド10の制御基板(リザーバユニットの上方に配置。図示せず)にそれぞれ固定されている。FPC19は、制御装置1p(図1参照)による制御の下、制御基板から出力された各種駆動信号をドライバICに伝達し、ドライバICが生成した信号をアクチュエータユニット17に伝達する。
【0039】
次に、ワイピングユニット40の構成について説明する。
【0040】
ワイパ42は、図5に示すように、本体42a及び凸部42bから構成されている。本体42a及び凸部42bは、同じ材料(ゴム等の弾性材料)からなり、一体的に形成されている。
【0041】
本体42aは、ワイパ42の大部分を構成する板状部分であって、表面8aに接触する先端(表面8aとの接触部分)を有する。本体42aの基端(先端とは反対側の端部)は、主走査方向に延在する軸42xに固定されている。本体42aは、主走査方向に延在し、主走査方向に関して搬送ベルト8よりも長い(即ち、搬送ベルト8の幅よりも長い)。
凸部42bは、本体42aの正面(ワイピング時におけるワイパ42の表面8aに対する相対移動方向下流側(図5の右側:相対移動方向は搬送ベルト8の走行方向と逆の方向。以下、「ワイピング時におけるワイパ42の表面8aに対する相対移動方向」を単に「相対移動方向」と称す。)の面)における、本体42aの先端近傍に設けられている。凸部42bは、本体42aの正面から、相対移動方向下流側に、且つ、正面に直交する直交方向ではなく当該直交方向から本体42aの基端に向けて傾斜した方向に、突出している。凸部42bの突出方向の長さは、軸42xに直交する方向に関する本体42aの長さよりも短い。凸部42bは、本体42aの主走査方向全長に亘って設けられている。
【0042】
ワイパ42は、ワイピング時以外のとき搬送ベルト8から離隔した位置で保持され、ワイピング時に本体42aの先端が撓みながら表面8aに接触する位置で保持される。ワイピング時、本体42aは、表面8aの幅全体に接触すると共に、主走査方向から見て表面8aに対して傾斜し、先端から下方に向かうほど相対移動方向下流側(図5の右側)に近づくように、配置されている。換言すると、ワイピング時、本体42aは、先端から鉛直方向下向きの成分と相対移動方向下流側の成分とを含む方向(図5の右斜め下方向)に延出されている。この状態で搬送ベルト8を走行させることで、表面8a上の異物が除去される。
【0043】
軸42xの一端には、図6に示すように、ウォームホイール42hが設けられている。ウォームホイール42hは、ギア42g1,42g2,42g3を介して、モータ42Mに接続している。モータ42Mの駆動により、ギア42g3,42g2,42g1が回転し、ウォームホイール42hが軸42xと共に回転する。このとき本体42aが軸42xを中心として回転することで、本体42aの表面8aに対する角度(主走査方向から見た、本体42aの表面8aに対する相対移動方向下流側の傾斜角度θ1,θ2:図5参照)が変化する。
【0044】
サブワイパ41は、図6に示すように、ゴム等の弾性材料からなる板状部材であって、副走査方向に延在している。
【0045】
サブワイパ41の基端(先端とは反対側の端部)は、サポータ41aに固定されている。サポータ41aは、副走査方向に延在する軸41xに、軸41xを中心として回転可能に支持されている。軸41xの両端には、一対のスライダ41sが設けられている。スライダ41sはそれぞれ、主走査方向に延在するバー41bに摺動可能に支持されている。各スライダ41sには、ベルト41cの下側ループが固定されている。一方のベルト41cはプーリ41p1,41p2、他方のベルト41cはプーリ41p3,41p4に巻回されている。プーリ41p1,41p3は、ローラ41rの両端に設けられている。ローラ41rの一端には、プーリ41p1に加え、プーリ41p1と一体的に回転するギア41g1が設けられている。ギア41g1は、ギア41g2を介してモータ41Mに接続している。モータ41Mの駆動により、プーリ41p1が回転すると、ベルト41cが走行する。これに伴い、スライダ41sがバー41bに沿って摺動し、サポータ41aがサブワイパ41を支持しつつ主走査方向に移動する。
サポータ41aの下方には、主走査方向に延在するプレート41dが配置されている。サブワイパ41が主走査方向に移動する間、サポータ41aの下端41a1はプレート41dの表面に摺接する。プレート41dの表面は、主走査方向両端を除いて、平らである。プレート41dは、主走査方向一端(ワイピング時におけるサブワイパ41の移動方向(図6の矢印方向)上流側の端部)に段差面41d1、主走査方向他端に傾斜面41d2をそれぞれ有する。段差面41d1は、プレート41dの表面の主走査方向両端以外の部分よりも低い面である。プレート41dの表面における段差面41d1と段差面41d1以外の部分との境界には、凸部41dpが設けられている。
なお、サポータ41aは、バネ等の付勢部材によって図7(a)の時計回り方向に付勢されている。
【0046】
サブワイパ41は、ワイピング時以外のとき、ホームポジションに配置されている(図7(a)参照)。このときサブワイパ41は、鉛直方向に関して表面8aに対向しつつ、先端が表面8aに接触しないよう、水平面に対する角度φ1(図7(b)参照)で静止している。
モータ41Mの駆動によりサブワイパ41がホームポジションから主走査方向に移動を開始しようとしたとき、図7(b),(c),(d)に示すように、下端41a1が凸部41dpの段差面41d1側の斜面に当接しながら回転する。このときサブワイパ41は、付勢部材による付勢力に抗って軸41xを中心として回転し、水平面に対する角度がφ1、φ2、φ3(φ1<φ2<φ3)へと変化する。これにより、サブワイパ41の先端が表面8aに接触する。その後、図7(d),(e)に示すように、下端41a1が凸部41dpを乗り越え、サブワイパ41は、角度φ3を維持しつつ主走査方向に移動し、ワイピングを行う。ワイピングの間、サブワイパ41には付勢部材による付勢力(角度φ2から角度φ1にする方向の力)が働くが、下端41a1がプレート41dの表面に支持されているため、角度はφ3に維持される。
サブワイパ41がプレート41dの主走査方向他端に至り、下端41a1が傾斜面41d2に到達したとき、図7(f)に示すように、下端41a1がプレート41dの表面(傾斜面41d2)から離隔する。これに伴い、サブワイパ41は、付勢部材の付勢力によって軸41xを中心として回転し、角度がφ3、φ2、φ1へと変化する。これにより、サブワイパ41の先端が表面8aから離隔し、サブワイパ41によるワイピングが終了する。
ワイピング後、サブワイパ41は、角度φ1を維持しつつ、さらに主走査方向(ワイピング時の方向)に、先端がサブワイパクリーナ44(図6参照)に当接する位置まで移動する。サブワイパクリーナ44によって先端が清掃された後、サブワイパ41は、角度φ1を維持しつつ、ワイピング時とは逆の方向に移動し(図7(g)参照)、ホームポジションに戻る。
なお、ワイピングの際、サブワイパ41は、先端が撓みながら表面8aに接触した状態で、搬送ベルト8の幅方向一端から他端に亘って、主走査方向に移動する。これにより、表面8a上の異物が除去される。
【0047】
各ワイパ41,42によるワイピングで除去された異物は、各ワイパ41,42の下方にある受け皿(図示せず)に受容される。
【0048】
ワイパクリーナ44,45(図6参照)は共に、スポンジ等のインクを吸収可能な材料からなる円筒状部材であり、それぞれワイパ41,42の先端を清掃するワイパクリーニングで用いられる。サブワイパクリーナ44は副走査方向に延在し、ワイパクリーナ45は主走査方向に延在している。サブワイパクリーナ44は副走査方向に関してサブワイパ41よりも長く、ワイパクリーナ45は主走査方向に関してワイパ42よりも長い。
ワイパクリーナ44,45は、常に表面8aから離隔した位置にある。
【0049】
サブワイパクリーナ44の中心に、副走査方向に延在する軸44xが貫挿して固定されている。軸44xの一端には、プーリ44p1が設けられている。プーリ44p1の下方に、モータ44M及びモータ44Mの出力軸に固定されたプーリ44p2が配置されている。プーリ44p1,44p2間に、ベルト44bが巻回されている。モータ44Mの駆動により、プーリ44p2が回転すると、ベルト44bが走行し、プーリ44p1が軸44xと共に回転する。これにより、サブワイパクリーナ44が軸44xを中心として回転する。
【0050】
ワイパクリーナ45の中心に、主走査方向に延在する軸45xが貫挿して固定されている。軸45xの一端には、プーリ45p1が設けられている。プーリ45p1から副走査方向に離隔した位置に、モータ45M及びモータ45Mの出力軸に固定されたプーリ45p2が配置されている。プーリ45p1,45p2間に、ベルト45bが巻回されている。モータ45Mの駆動により、プーリ45p2が回転すると、ベルト45bが走行し、プーリ45p1が軸45xと共に回転する。これにより、ワイパクリーナ45が軸45xを中心として回転する。
【0051】
ワイパ41,42及びワイパクリーナ44,45を支持する部材(バー41bや軸42x,44x,45x等)は、筺体1aに対して昇降可能なフレーム50に支持されている。
フレーム50の一側壁の端面に、ギア50gの歯と噛合する歯50tが形成されている。モータ50Mの駆動により、ギア50gが正方向又は逆方向に回転すると、フレーム50が鉛直方向上方又は下方に移動する。これにより、軸42x及び軸45xがそれぞれワイパ42及びワイパクリーナ45を支持しながら鉛直方向上方又は下方に移動する。
【0052】
次に、図8を参照し、プリンタ1の電気的構成について説明する。
【0053】
制御装置1pは、図8に示すように、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)101に加えて、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory:不揮発性RAMを含む)103、ASIC(Application Specific Integrated Circuit )104、I/F(Interface)105、I/O(Input/Output Port)106等を有する。ROM102には、CPU101が実行するプログラム、各種固定データ等が記憶されている。RAM103には、プログラム実行時に必要なデータ(例えば、用紙Pに記録される画像に係る画像データ)が一時的に記憶される。ASIC104では、画像データの書き換え、並び替え等(例えば、信号処理や画像処理)が行われる。I/F105は、外部装置とのデータ送受信を行う。I/O106は、各種センサの検出信号の入力/出力を行う。
【0054】
制御装置1pは、各モータ121,125,127,41M,42M,44M,45M,50M、用紙センサ32、各ヘッド10の制御基板、洗浄液供給装置70等に接続されている。
【0055】
次に、制御装置1pが実行するワイピングに係る制御について説明する。以下の各処理は、ROM102に記憶されているプログラムにしたがって、CPU101が実行する。
【0056】
制御装置1pは、ワイピング指令を受信した場合に、ワイパ41,42によるワイピングが行われるよう、各部を制御する。
制御装置1pは、(i)予備吐出が行われた後、(ii)筺体1a内の用紙搬送経路で用紙Pの詰まり(ジャム)が生じた時、等にワイピング指令を受信する。予備吐出とは、記録とは別のタイミングでヘッド10からインクを吐出させることをいい、パージ(ポンプの駆動によりヘッド10内のインクに圧力を付与して吐出口14aからインクを吐出させる動作)及びフラッシング(画像データとは異なるフラッシングデータに基づくヘッド10のアクチュエータの駆動により吐出口14aからインク吐出させる動作)を含む。パージを行うかフラッシングを行うかは、状況に応じて決定される。例えば、プリンタ1の電源投入後や、ジャムが生じた時(上記(ii)の場合)、記録指令に基づく記録が完了した後所定時間以上次の記録指令を受信しなかった時等はパージを行い、連続記録中(複数の用紙Pへの記録中)において所定数の用紙Pへの記録が完了し且つその次の用紙Pへの記録を開始する前等はフラッシングを行う。
【0057】
制御装置1pは、ワイピング指令を受信すると、例えば表面8a上に存在するインクの量を推定して当該推定した量が所定量以上であるか否かによって、洗浄液なしのワイピング(洗浄液供給装置70による洗浄液の供給を行わずにワイピングを行う処理)を行うか、洗浄液ありのワイピング(洗浄液供給装置70による洗浄液の供給を行ってワイピングを行う処理)を行うかを判断する。
このとき制御装置1pは、例えば、ワイピング指令受信の前に予備吐出が行われた(上記(i)の場合)はその予備吐出の種類(パージかフラッシングか)、ワイピング指令受信の前にジャムが生じた場合(上記(ii)の場合)で且つ予備吐出が行われていない場合はそのときの画像データに基づいて、表面8a上に存在するインクの量を推定する。パージの方がフラッシングよりも、インク吐出量が多い。したがって、ワイピング指令受信の前にパージが行われた場合は所定量以上、ワイピング指令受信の前にフラッシングが行われた場合は所定量未満のインクが表面8a上に存在すると推定される。ジャムの場合は、そのときに用いられていた画像データによってヘッド10から吐出されたインクの量を求めることができ、当該吐出されたインクの全てが用紙Pではなく表面8aに着弾したと仮定して、表面8a上に存在するインクの量を推定することができる。ここで、表面8a上に存在するインクの量が所定量以上である場合には、洗浄液供給装置70から洗浄液を供給しても、当該洗浄液が表面8a上に存在するインクに混ざって良好なワイピングが得られない恐れがある。洗浄液は、表面8aと表面8aに付着したインクとの間に浸透することにより、表面8a上からインクを除去しやすくするものである。そのため、洗浄液が表面8a上に付着した多量のインクと混ざると、洗浄液が表面8aと表面8aに付着したインクとの間に浸透しにくくなり、表面8aからインクが除去されにくくなる。所定量は、任意の値に設定され、例えば、実験値によって求められる。
【0058】
制御装置1pは、推定した量が所定量未満の場合、洗浄液なしのワイピングが行われるよう、各部を制御する。このとき制御装置1pは、ワイパ42のワイパクリーニング、ワイパ42によるワイピング、サブワイパ41によるワイピング、及びサブワイパ41のワイパクリーニング、という一連の動作を行う。
【0059】
ワイパ42のワイパクリーニングを行うとき、制御装置1pは、モータ42Mを駆動し、ワイパ42を軸42xを中心として図1中時計回りに一回転させる。この回転の際、本体42aの先端が撓みながらワイパクリーナ45の周面に接触する。このとき、本体42aの先端に付着していた異物が、ワイパクリーナ45に付着し、本体42aの先端から除去される。
【0060】
ワイパ42のワイパクリーニングの後、制御装置1pは、ワイパ42によるワイピングを行う。
このとき制御装置1pは、モータ50Mを駆動して軸42xを上昇させ、さらにモータ42Mを駆動して軸42xを回転させることで、表面8aから離隔した位置にあるワイパ42を、本体42aが傾斜角度θ1(図5(a)参照)で且つその先端を撓ませながら表面8aに接触するように、配置する。そして制御装置1pは、ワイパ42を図5(a)に示す位置に保持しつつ、搬送モータ121を駆動して搬送ベルト8を走行させる。これにより、表面8a上に存在するインクIは、本体42aの先端を伝って流れ落ち、受け皿(図示せず)に受容され、表面8aから除去されていく。
【0061】
ワイパ42によるワイピングの後、制御装置1pは、サブワイパ41によるワイピング、及び、サブワイパ41のワイパクリーニングを行う。
このとき制御装置1pは、搬送モータ121を制御して、搬送ベルト8を走行させ、表面8a上の所定の領域(例えば、直前に行われたワイパ42によるワイピング終了時のワイパ42の離隔位置)がサブワイパ41のワイピング領域に到達したタイミングで、搬送ベルト8を停止させる。そして制御装置1pは、モータ41Mを駆動し、サブワイパ41を主走査方向に移動させる。搬送ベルト8の幅方向他端側の位置に到達したサブワイパ41は、上述のように、サブワイパクリーナ44によって先端が清掃された後、ホームポジションに戻る。
【0062】
上記のような一連の動作の後、制御装置1pは、当該ワイピングに係る制御を終了する。
【0063】
制御装置1pは、推定した量が所定量以上の場合、洗浄液ありのワイピングが行われるよう、各部を制御する。このとき制御装置1pは、ワイパ42のワイパクリーニング、洗浄液の供給、ワイパ42によるワイピング、サブワイパ41によるワイピング、及びサブワイパ41のワイパクリーニング、という一連の動作を行う。
【0064】
即ち、上記のようにワイパ42のワイパクリーニングを行った後、制御装置1pは、洗浄液供給装置70を駆動し、表面8aに洗浄液を吐出させる。しかる後、制御装置1pは、モータ50Mを駆動して軸42xを上昇させ、さらにモータ42Mを駆動して軸42xを回転させることで、表面8aから離隔した位置にあるワイパ42を、本体42aが傾斜角度θ2(図5(b)参照)で且つその先端を撓ませながら表面8aに接触するように、配置する。そして制御装置1pは、ワイパ42を図5(b)に示す位置に保持しつつ、搬送モータ121を駆動して搬送ベルト8を走行させる。これにより、本体42aの先端(表面8aとの接触部分)、より具体的には本体42aの先端近傍と凸部42bとの間に洗浄液が保持された状態でワイピングが行われ、表面8a上のインクが洗浄液と共に除去されていく。
【0065】
なお、凸部42bにおける本体42aの先端に対向する面(図5(a),(b)の上面)は、洗浄液なしのワイピングでは斜め下方(鉛直方向下向きの成分を含む方向)に延在し、洗浄液ありのワイピングでは水平方向又は斜め上方(鉛直方向上向きの成分を含む方向)に延在している。これにより、洗浄液ありのワイピングのとき、本体42aの先端に洗浄液を効果的に保持することができる。
【0066】
ワイパ42によるワイピングの後、制御装置1pは、上記と同様にサブワイパ41によるワイピング及びサブワイパ41のワイパクリーニングを行い、当該ワイピングに係る制御を終了する。
【0067】
なお、ワイパクリーナ44,45について、制御装置1pは、1又は数回のワイパクリーニングの完了の度に、モータ44M,45Mを駆動し、ワイパクリーナ44,45を360度より小さい所定角度だけ回転させる。これにより、ワイパクリーニングの際にワイパ41,42の先端が接触するワイパクリーナ44,45の部分が変化し、ワイパ41,42の先端に付着した異物を効果的に除去することができる。
【0068】
以上に述べたように、本実施形態に係るプリンタ1によると、凸部42bの存在によって、本体42aの先端(表面8aとの接触部分)に洗浄液を効果的に保持し、良好なワイピング実現することができる。
【0069】
本体42aに凸部42bを形成したことで、例えば本体42aとは別体の壁を本体42aに対して離接可能に設ける場合に比べ、ワイパ42全体を小型化することができる。
【0070】
凸部42bにおける本体42aの先端に対向する面が、水平方向及び鉛直方向上向きの成分を含む方向のいずれかの方向に延在している(図5(b)参照)。
これにより、本体42aの先端に洗浄液をより効果的に保持することができる。
【0071】
制御装置1pは、洗浄液なしのワイピングの場合は第1状態(図5(a)参照)、洗浄液ありのワイピングの場合は第2状態(図5(b)参照)となるように、ワイパ42を制御する。第2状態では、第1状態よりも、本体42aの先端での洗浄液の保持量が多い。洗浄液なしのワイピングのとき、ワイパ42によりワイピングされるのはインクであり、インクは表面8aから除去されるべきものであるため、インクが本体42aの先端に留まらずに、本体42a及び凸部42bにおける本体42aの先端に対向する面を伝って流れ落ちるのが好ましい。そのため、本実施形態において、洗浄液なしのワイピングのとき、凸部42bにおける本体42aの先端に対向する面は、インクが下方に流れ落ちやすいように斜め下方に延在する第1状態である。一方、洗浄液ありのワイピングのとき、ワイパ42によりワイピングされるのは洗浄液及びインクであり、洗浄液は表面8aとインクとの間に浸透してインクを除去するためのものであるので、洗浄液は本体42aの先端に留まるのが好ましい。そのため、本実施形態において、洗浄液ありのワイピングのとき、凸部42bにおける本体42aの先端に対向する面は、水平方向又は斜め上方に延在する第2状態である。
このように洗浄液の有無によってワイパ42の状態を切り換えることで、効率的なワイピングを実現可能である。
【0072】
プリンタ1は、搬送ベルト8の周方向に表面8aに対して相対移動するワイパ42のみならず、搬送ベルト8の幅方向に表面8aに対して相対移動するサブワイパ41をさらに備えている。これにより、サブワイパ41を用いて、ワイパ42で除去しきれずに残った異物を除去することができる。
【0073】
次いで、図9、図10、及び図11を参照し、本発明の第2、第3、及び第4実施形態に係るインクジェット式プリンタについて説明する。
第2〜第4実施形態に係るプリンタは、ワイパの構成が第1実施形態と異なり、その他は第1実施形態と同様(即ち、ワイパ42をワイパ242,342,442にそれぞれ置換したもの)である。
【0074】
第2実施形態のワイパ242は、図9に示すように、本体42a、凸部242b、及び空気穴243を有する。
空気穴243は、本体42aの先端近傍に、厚み方向に形成されている。凸部242bは、本体42aにおける空気穴243が設けられた部分の正面側に、薄膜状に形成されている。空気穴243は本体42aの背面(正面と反対側の面。ワイピング時におけるワイパ242の表面8aに対する相対移動方向上流側の面)に開口し、当該開口にチューブ244が挿入されている。チューブ244を介して空気穴243内に空気を送り込むことで、凸部242bが風船状に膨らむ。
凸部242bは、空気穴243内への空気の送り込みによって、本体42aの正面から相対移動方向下流側に突出した第1位置(図9(b1),(b2)参照)と、本体42aの正面から相対移動方向下流側への突出量が第1位置のときよりも小さい第2位置(図9(a1),(a2)参照)とを取り得る。第1位置の方が第2位置よりも、本体42aの先端での洗浄液の保持量が多い。つまり、第1位置の方が第2位置よりも、凸部242bが本体42aの正面から相対移動方向下流側に突出しているため、本体42aの先端に存在する液体(洗浄液)が本体42aを伝って流れ落ちにくい。制御装置1pは、洗浄液なしのワイピングの場合は凸部242bが第2位置、洗浄液ありのワイピングの場合は凸部242bが第1位置を取るよう、空気穴243内への空気の送り込み量を制御する。
【0075】
第3実施形態のワイパ342は、図10に示すように、本体42a及びラック343を有する。
ラック343は、本体42aの正面側に設けられている。ラック343は、図10(a2),(b2)に示すように、正面視(本体42aの正面から見て)コの字状であり、互いに平行に(図10で鉛直方向に)延在する一対の板の正面に、ピニオン343gの歯と噛合する歯343tがそれぞれ形成されている。一対の板に対して設けられた2つのピニオン343gは、軸343xを介して連結されており、軸343xの回転によって共に回転する。ピニオン343gの回転により、ラック343は図10で鉛直方向上方又は下方に移動する。当該一対の板を繋ぐ板の背面には、本体42aの正面に向けて突出する凸部342bが形成されている。凸部342bの先端は、本体42aの正面に当接している。
制御装置1pは、洗浄液なしのワイピングの場合は凸部342bが本体42aの延出方向中央よりも基端側(図10(a1),(a2)参照)、洗浄液ありのワイピングの場合は凸部342bが本体42aの先端近傍(図10(b1),(b2)参照)にそれぞれ配置されるよう、ピニオン343gの駆動を制御する。これにより、洗浄液なしのワイピングの場合よりも洗浄液ありのワイピングの場合の方が、凸部342bと本体42aの先端との距離が小さいため、本体42aの先端での洗浄液の保持量が多くなる。
【0076】
第4実施形態のワイパ442は、図11に示すように、本体42a及び回動板443を有する。
回動板443は、本体42aの正面側に設けられており、その基端に設けられた軸443xを中心として回転可能である。回動板443の先端は、L字状に形成されており、回転板443の面に直交する方向に突出した凸部442bを有する。
凸部442bは、軸443xの回転によって、本体42aの正面に接触する接触位置(図11(b1),(b2)参照)と、本体42aの正面から離隔した離隔位置(図11(a1),(a2)参照)とを取り得る。制御装置1pは、洗浄液なしのワイピングの場合は凸部442bが離隔位置、洗浄液ありのワイピングの場合は凸部442bが接触位置を取るよう、軸443xの回転を制御する。接触位置の方が離隔位置よりも、本体42aの先端での洗浄液の保持量が多い。つまり、接触位置の方が離隔位置よりも、本体42aの先端に存在する液体(洗浄液)が本体42aを伝って流れ落ちにくい。
【0077】
第2〜第4実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0078】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
【0079】
搬送部材は、搬送ベルトに限定されず、例えば回転式のドラム等であってもよい。
【0080】
洗浄液供給部は、任意の構成であってよい(例えば、記録液を吐出する液体吐出ヘッドと同様の構成であってもよい。また、洗浄液を霧状に噴き付ける噴霧器、洗浄液を塗布する部材等であってもよい)。
【0081】
ワイパクリーナは、スポンジの他、回転ブラシ等であってもよい。
また、ワイパクリーナ及びこれを用いたワイパクリーニングを省略してよい。
【0082】
サブワイパの搬送部材表面に対する相対移動方向は、搬送部材の表面の移動方向と交差する方向であればよく、例えば上述の実施形態において搬送ベルト8の幅方向と傾斜した方向であってもよい。
サブワイパを、本体及び壁を含む構成としてもよい。また、サブワイパ及びこれを用いたワイピングを省略してよい。
【0083】
ワイパの壁について、第1実施形態の凸部42bは本体42aと一体的に形成されているが、本体とは別の部材(例えば剛部材)であって本体に接着されてもよい。
壁は、本体における搬送部材表面との接触部分の一部のみに設けられてもよい。
第1実施形態の凸部42bが本体42aに対して移動可能であってもよい。さらにこの場合、洗浄液なしのワイピング及び洗浄液ありのワイピングにおいて、本体42aの表面8aに対する傾斜角度を一定として凸部42bの本体42aに対する角度を変更してもよい(例えば、洗浄液なしのワイピングの場合は凸部42bが本体42aに収納され、洗浄液ありのワイピングの場合は凸部42bが本体42aの正面から突出してよい)。
【0084】
ワイパの構成材料は、特に限定されない。
ワイパによるワイピング時には、ワイパと搬送部材の表面とを相対的に移動させればよく、ワイパを静止させた状態で搬送部材の表面を移動させる構成、搬送部材の表面を静止させた状態でワイパを移動させる構成、ワイパと搬送部材の表面との両方を移動させる構成の、いずれであってもよい。
ワイパの本体及び壁を支持する機構の構成は、任意に変更可能である。
【0085】
ワイピング時におけるワイパの搬送部材表面に対する傾斜角度は、特に限定されない。また、洗浄液なしのワイピング及び洗浄液ありのワイピングにおいて傾斜角度が同じであってもよい。
さらに、壁における本体の先端(搬送部材表面との接触部分)に対向する面の角度は、特に限定されず、また、洗浄液なしのワイピング及び洗浄液ありのワイピングにおいて当該角度が同じであってもよい。
【0086】
洗浄液なしのワイピングを行うか洗浄液ありのワイピングを行うかは、上述の実施形態(表面8a上に存在するインクの量を推定して当該推定した量が所定量以上であるか否かによって判断すること)に限定されず、様々な基準に基づいて判断してよい。
また、ワイピング指令を受信した場合、上記のような判断を行わず、常に洗浄液なしのワイピング又は洗浄液ありのワイピングを行ってもよい。
ワイパは、第1状態と第1状態よりも洗浄液の保持量が多い第2状態とに切換え可能でなく、洗浄液の保持量が一定の状態にあってよい。
【0087】
本発明は、ライン式及びシリアル式のいずれにも適用可能であり、また、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機等にも適用可能である。
さらに本発明は、インク以外の液体を吐出する装置にも適用可能である。
【0088】
記録媒体は、用紙Pに限定されず、記録可能な様々な媒体であってよい。
【符号の説明】
【0089】
1 インクジェット式プリンタ(液体吐出装置)
1p 制御装置(ワイパ制御手段)
8 搬送ベルト(搬送部材)
8a 表面
10 インクジェットヘッド(液体吐出ヘッド)
10a 吐出面
14a 吐出口
41 サブワイパ(別のワイパ)
42;242;342;442 ワイパ
42a 本体
42b;242b;342b;442b 凸部(壁)
70 洗浄液供給装置(洗浄液供給部)
244 チューブ(第1移動機構)
343g ピニオン(第2移動機構)
443x 軸(第3移動機構)
P 用紙(記録媒体)
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク等の液体を吐出する液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体吐出装置において、搬送部材の表面上の異物(インク等の記録液、紙粉等)をワイパで除去する(ワイピングを行う)技術が知られている。例えば特許文献1によると、インクジェット記録装置10(液体吐出装置)において、搬送ベルト30(搬送部材)の表面上の異物をブレード42(ワイパ)で除去する。
ワイピング時において、ブレード42(ワイパ)は、搬送ベルト30(搬送部材)の表面との接触部分から、鉛直方向下向きの成分を含む方向に延出されている。
【0003】
【特許文献1】特開2007−76863号公報(特に、図3及び図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、良好なワイピングを実現するため、ワイピングの際に、搬送部材の表面に洗浄液を供給し、当該洗浄液と共に異物をワイパで除去する場合がある。洗浄液としては、記録液よりも粘度の低い液体(例えば記録液がインクの場合、洗浄液として水)を用いるのが一般である。
この場合、特許文献1のようにワイパが鉛直方向下向きの成分を含む方向に延出された構成では、洗浄液が、ワイパにおける搬送部材表面との接触部分に保持されず、ワイパを伝って流れ落ち易い。洗浄液が接触部分に保持されなければ、良好なワイピングを実現することができない。即ち、洗浄液を供給したのにも関わらず、良好なワイピングを実現することができないという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、ワイパにおける搬送部材表面との接触部分に洗浄液を保持し、良好なワイピングを実現することが可能な液体吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の観点によると、記録液を吐出する吐出口が開口した吐出面を有する液体吐出ヘッドと、前記吐出面に対向して配置される表面を有し、前記表面が記録媒体を支持しつつ移動することにより記録媒体を搬送する搬送部材と、前記表面に前記記録液よりも粘度の低い洗浄液を供給する洗浄液供給部と、前記表面に接触しつつ前記表面に対して相対移動することにより前記表面上の異物を除去するワイパであって、前記表面との接触部分から鉛直方向下向きの成分と前記相対移動方向下流側の成分とを含む方向に延出された本体、及び、前記接触部分に前記洗浄液が保持されるように前記本体の前記相対移動方向下流側に設けられた壁を含むワイパと、を備えたことを特徴とする液体吐出装置が提供される。
【0007】
上記観点によれば、壁の存在によって、接触部分に洗浄液を効果的に保持し、良好なワイピング実現することができる。
【0008】
前記壁は、前記本体の前記相対移動方向下流側の面から前記相対移動方向下流側に突出した凸部であってよい。
この場合、ワイパ全体を小型化することができる。
【0009】
前記壁における前記接触部分に対向する面が、水平方向及び鉛直方向上向きの成分を含む方向のいずれかの方向に延在してよい。
この場合、接触部分に洗浄液をより効果的に保持することができる。
【0010】
前記ワイパは、第1状態と、前記第1状態よりも前記接触部分での前記洗浄液の保持量が多い第2状態とを取り得るものであり、本発明の液体吐出装置は、前記洗浄液供給部により前記表面に前記洗浄液が供給されない場合は前記第1状態、前記洗浄液供給部により前記表面に前記洗浄液が供給される場合は前記第2状態となるように、前記ワイパを制御するワイパ制御手段をさらに備えてよい。
この場合、洗浄液の有無によってワイパの状態を切り換えることで、効率的なワイピングを実現可能である。
【0011】
前記ワイパ制御手段は、前記壁における前記接触部分に対向する面が、前記第1状態では鉛直方向下向きの成分を含む方向に延在し、前記第2状態では水平方向及び鉛直方向上向きの成分を含む方向のいずれかの方向に延在するように、前記ワイパを制御してよい。
【0012】
本発明の液体吐出装置は、前記本体の前記相対移動方向下流側の面から前記相対移動方向下流側に突出した第1位置と、前記本体の前記相対移動方向下流側の面から前記相対移動方向下流側への突出量が前記第1位置のときよりも小さい第2位置とに、前記壁を移動させる第1移動機構をさらに備え、前記ワイパ制御手段は、前記壁が、前記第1状態では前記第2位置を取り、前記第2状態では前記第1位置を取るように、前記第1移動機構を制御してよい。
【0013】
本発明の液体吐出装置は、前記本体の前記相対移動方向下流側の面において、前記本体の延出方向に、前記壁を移動させる第2移動機構をさらに備え、前記ワイパ制御手段は、前記第2状態における前記延出方向に関する前記壁と前記接触部分との距離が前記第1状態における前記距離よりも小さくなるように、前記第2移動機構を制御してよい。
【0014】
本発明の液体吐出装置は、前記本体の前記相対移動方向下流側の面に接触する接触位置と、前記本体の前記相対移動方向下流側の面から離隔した離隔位置とに、前記壁を移動させる第3移動機構をさらに備え、前記ワイパ制御手段は、前記壁が、前記第1状態では前記離隔位置を取り、前記第2状態では前記接触位置を取るように、前記第3移動機構を制御してよい。
【0015】
前記ワイパは、前記表面の移動方向と平行な方向に前記表面に対して相対移動するものであり、前記表面の移動方向と交差する方向に前記表面に対して相対移動する別のワイパをさらに備えてよい。
この場合、別のワイパを用いて、ワイパで除去しきれずに残った異物を除去することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、壁の存在によって、接触部分に洗浄液を効果的に保持し、良好なワイピング実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態に係るインクジェット式プリンタの内部構造を示す概略側面図である。
【図2】図1のプリンタに含まれるインクジェットヘッドの流路ユニット及びアクチュエータユニットを示す平面図である。
【図3】図2の一点鎖線で囲まれた領域IIIを示す拡大図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿った部分断面図である。
【図5】(a)はワイピング(洗浄液なし)、(b)はワイピング(洗浄液あり)のときのワイパの状態を示す部分側面図である。
【図6】ワイピングユニットを示す斜視図である。
【図7】ワイピング時におけるサブワイパの動作を説明するための説明図である。
【図8】図1のプリンタの電気的構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るインクジェット式プリンタに含まれるワイパを示す図であり、(a1)(a2)はワイピング(洗浄液なし)のときのワイパの状態を示す断面図及び斜視図、(b1)(b2)はワイピング(洗浄液あり)のときのワイパの状態を示す断面図及び斜視図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係るインクジェット式プリンタに含まれるワイパを示す図であり、(a1)(a2)はワイピング(洗浄液なし)のときのワイパの状態を示す側面図及び斜視図、(b1)(b2)はワイピング(洗浄液あり)のときのワイパの状態を示す側面図及び斜視図である。
【図11】本発明の第4実施形態に係るインクジェット式プリンタに含まれるワイパを示す図であり、(a1)(a2)はワイピング(洗浄液なし)のときのワイパの状態を示す側面図及び斜視図、(b1)(b2)はワイピング(洗浄液あり)のときのワイパの状態を示す側面図及び斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0019】
先ず、図1を参照し、本発明の第1実施形態に係るインクジェット式プリンタ1の全体構成について説明する。
【0020】
プリンタ1は、直方体形状の筐体1aを有する。筐体1aの天板上部には、排紙部31が設けられている。筐体1aの内部空間は、上から順に空間A,B,Cに区分できる。空間Bには、給紙ユニット1bが配置されている。空間A及びBには、給紙ユニット1bから排紙部31に至る用紙搬送経路が形成されている。
【0021】
空間Aには、用紙センサ32、4つのヘッド10、洗浄液供給装置70、搬送ユニット21、ガイドユニット、ワイピングユニット40、制御装置1p等が配置されている。
【0022】
搬送ユニット21は、ベルトローラ6,7、両ローラ6,7間に巻回された環状の搬送ベルト8、搬送ベルト8の外側に配置されたニップローラ4及び剥離プレート5、搬送ベルト8の内側に配置されたプラテン9a,9b等を有する。ベルトローラ7は、駆動ローラであって、搬送モータ121(図8参照)の駆動により回転し、図1中時計回りに回転する。ベルトローラ7の回転に伴い、搬送ベルト8は、その周方向に移動し、図1中の太矢印方向に走行する。ベルトローラ6は、従動ローラであって、搬送ベルト8が走行するのに伴って、図1中時計回りに回転する。ニップローラ4は、ベルトローラ6に対向配置され、上流側ガイド部(後述)から供給された用紙Pを搬送ベルト8の表面8aに押さえ付ける。剥離プレート5は、ベルトローラ7に対向配置され、用紙Pを表面8aから剥離して下流側ガイド部(後述)へと導く。プラテン9aは、4つのヘッド10に対向配置され、搬送ベルト8の上側ループを内側から支える。これにより、表面8aとヘッド10の下面(吐出面10a)との間に、記録に適した所定の間隙が形成される。
【0023】
ヘッド10は、主走査方向に長尺な略直方体形状を有するライン式のインクジェットヘッドである。記録(画像形成)に際して、4つのヘッド10の下面(吐出面10a)からそれぞれマゼンタ、シアン、イエロー、ブラックのインクが吐出される。4つのヘッド10は、副走査方向に所定ピッチで並び、フレーム3を介して筐体1aに支持されている。
【0024】
ガイドユニットは、搬送ユニット21を挟んで配置された、上流側ガイド部及び下流側ガイド部を含む。上流側ガイド部は、2つのガイド27a,27b及び一対の送りローラ26を有する。上流側ガイド部は、給紙ユニット1bと搬送ユニット21とを繋ぐ。下流側ガイド部は、2つのガイド29a,29b及び二対の送りローラ28を有する。下流側ガイド部は、搬送ユニット21と排紙部31とを繋ぐ。
【0025】
洗浄液供給装置70は、洗浄液を貯留するタンク、及び、当該タンクに連通し且つ装置70の下面に開口した多数のノズルを含み、ノズルから表面8aに向けて洗浄液を吐出する。
洗浄液は、インクよりも粘度が低く且つ表面8aを洗浄するのに適した液体であればよく、例えば水、クリアインク(染料や顔料を含まない無色透明の液体)等が挙げられる。
【0026】
ワイピングユニット40は、サブワイパ41、ワイパ42、サブワイパクリーナ44(図6参照)、及びワイパクリーナ45を含む。ワイパ42及びワイパクリーナ45は、搬送ベルト8の下側ループの表面8aに対向して配置されている。サブワイパ41は、搬送ベルト8の下側ループの側方をホームポジションとして、ワイピング時に下側ループの表面8aに接触しつつ主走査方向に移動する。サブワイパクリーナ44(図6参照)は、搬送ベルト8の下側ループの側方(サブワイパ41のホームポジションとは反対側の側方)に配置されている。
搬送ベルト8の内側であって、ワイピング時に各ワイパ41,42が接触する部分の裏面に、プラテン9bが配置されている。プラテン9bが搬送ベルト8の下側ループを内側から支えることで、ワイパ41,42によるワイピングが行われる際、ワイパ41,42による押圧力で搬送ベルト8が撓むのが防止され、良好なワイピングを行うことができる。
【0027】
給紙ユニット1bは、給紙トレイ23及び給紙ローラ25を有する。このうち、給紙トレイ23が、筐体1aに対して着脱可能となっている。給紙トレイ23は、上方に開口する箱であり、複数種類のサイズの用紙Pを収納可能である。給紙ローラ25は、給紙トレイ23内で最も上方にある用紙Pを送り出し、上流側ガイド部に供給する。
【0028】
制御装置1pは、プリンタ1各部の動作を制御してプリンタ1全体の動作を司る。
【0029】
制御装置1pは、外部装置(プリンタ1と接続されたPC等)から供給された画像データに基づいて、用紙P上に画像が形成されるよう、記録に係わる準備動作、用紙Pの供給・搬送・排出動作、用紙Pの搬送に同期したインク吐出動作等を制御する。
具体的には、制御装置1pは、外部装置から受信した記録指令に基づいて、給紙ローラ25用の給紙モータ125(図8参照)、各ガイド部の送りローラ用の送りモータ127(図8参照)、搬送モータ121(図8参照)、ヘッド10等を駆動する。
給紙トレイ23から送り出された用紙Pは、送りローラ26によって、搬送ユニット21に供給される。用紙Pが各ヘッド10の真下を副走査方向に通過する際、ヘッド10から各色のインクが吐出され、用紙P上にカラー画像が形成される。記録に係るインクの吐出動作は、用紙Pの先端を検知する用紙センサ32からの検出信号に基づいて行われる。用紙Pは、その後剥離プレート5により剥離され、2つの送りローラ28によって上方に搬送される。さらに用紙Pは、上方の開口30から排紙部31に排出される。
【0030】
ここで、副走査方向とは、搬送ユニット21による用紙Pの搬送方向に平行な方向であり、主走査方向とは、水平面に平行且つ副走査方向に直交する方向である。
【0031】
制御装置1pはまた、後に詳述するように、搬送ベルト8の表面8a上の異物(インク、紙粉等)を除去するワイピングに係る制御を行う。
【0032】
空間Cには、カートリッジユニット1cが筐体1aに対して着脱可能に配置されている。カートリッジユニット1cは、トレイ35、及び、トレイ35内に並んで収納された4つのカートリッジ39を有する。カートリッジ39は各色のインクを収容し、チューブ(図示せず)を介して対応するヘッド10と連通している。カートリッジ39内のインクは適宜ヘッド10に供給される。
【0033】
次に、図2〜図4を参照し、ヘッド10の構成についてより詳細に説明する。なお、図3では、アクチュエータユニット17の下側にあって点線で示すべき圧力室16及びアパーチャ15を実線で示している。
【0034】
ヘッド10は、上下に積層されたリザーバユニット(図示せず)及び流路ユニット12、流路ユニット12の上面12xに固定された8つのアクチュエータユニット17(図2参照)、各アクチュエータユニット17に接合されたFPC(平型柔軟基板)19(図4参照)等を有する。リザーバユニットには、カートリッジ39(図1参照)から供給されたインクを一時的に貯留するリザーバを含む流路が形成されている。流路ユニット12には、上面12xの開口12y(図2参照)から下面(吐出面10a)の各吐出口14aに至る流路が形成されている。アクチュエータユニット17は、吐出口14a毎の圧電型アクチュエータを有する。
【0035】
リザーバユニットの下面には凹凸が形成されている。凸部は、流路ユニット12の上面12xにおけるアクチュエータユニット17が配置されていない領域(図2に示す開口12yを含む二点鎖線で囲まれた領域)に接着されている。凸部の先端面は、リザーバに接続し且つ流路ユニット12の各開口12yに対向する開口を有する。これにより、上記各開口を介して、リザーバ及び個別流路14が連通している。凹部は、流路ユニット12の上面12x、アクチュエータユニット17の表面、及びFPC19の表面と、若干の隙間を介して対向している。
【0036】
流路ユニット12は、略同一サイズの矩形状の9枚の金属プレート12a,12b,12c,12d,12e,12f,12g,12h,12i(図4参照)を互いに積層し接着することにより形成された積層体である。流路ユニット12の流路は、図2、図3、及び図4に示すように、開口12yを一端に有するマニホールド流路13、マニホールド流路13から分岐した副マニホールド流路13a、及び、副マニホールド流路13aの出口から圧力室16を介して吐出口14aに至る個別流路14を含む。個別流路14は、図4に示すように、吐出口14a毎に形成されており、流路抵抗調整用の絞りであるアパーチャ15を含む。上面12xにおける各アクチュエータユニット17の接着領域には、圧力室16を露出させる略菱形形状の開口がマトリクス状に配置されている。下面(吐出面10a)における各アクチュエータユニット17の接着領域に対向する領域には、圧力室16と同様の配置パターンで、吐出口14aがマトリクス状に配置されている。
【0037】
アクチュエータユニット17は、図2に示すように、それぞれ台形の平面形状を有し、流路ユニット12の上面12xにおいて2列の千鳥状に配置されている。各アクチュエータユニット17は、図3に示すように、当該アクチュエータユニット17の接着領域内に形成された多数の圧力室16の開口を覆っている。図示は省略するが、アクチュエータユニット17は、多数の圧力室16に跨るように延在した複数の圧電層、及び、厚み方向に関して圧電層を挟む電極を含む。電極には、圧力室16毎に設けられた個別電極、及び、圧力室16に共通の共通電極が含まれる。個別電極は、最も上方の圧電層の表面に形成されている。
【0038】
FPC19は、アクチュエータユニット17の各電極に対応する配線を有し、その途中部にドライバIC(図示せず)が実装されている。FPC19は、一端がアクチュエータユニット17、他端がヘッド10の制御基板(リザーバユニットの上方に配置。図示せず)にそれぞれ固定されている。FPC19は、制御装置1p(図1参照)による制御の下、制御基板から出力された各種駆動信号をドライバICに伝達し、ドライバICが生成した信号をアクチュエータユニット17に伝達する。
【0039】
次に、ワイピングユニット40の構成について説明する。
【0040】
ワイパ42は、図5に示すように、本体42a及び凸部42bから構成されている。本体42a及び凸部42bは、同じ材料(ゴム等の弾性材料)からなり、一体的に形成されている。
【0041】
本体42aは、ワイパ42の大部分を構成する板状部分であって、表面8aに接触する先端(表面8aとの接触部分)を有する。本体42aの基端(先端とは反対側の端部)は、主走査方向に延在する軸42xに固定されている。本体42aは、主走査方向に延在し、主走査方向に関して搬送ベルト8よりも長い(即ち、搬送ベルト8の幅よりも長い)。
凸部42bは、本体42aの正面(ワイピング時におけるワイパ42の表面8aに対する相対移動方向下流側(図5の右側:相対移動方向は搬送ベルト8の走行方向と逆の方向。以下、「ワイピング時におけるワイパ42の表面8aに対する相対移動方向」を単に「相対移動方向」と称す。)の面)における、本体42aの先端近傍に設けられている。凸部42bは、本体42aの正面から、相対移動方向下流側に、且つ、正面に直交する直交方向ではなく当該直交方向から本体42aの基端に向けて傾斜した方向に、突出している。凸部42bの突出方向の長さは、軸42xに直交する方向に関する本体42aの長さよりも短い。凸部42bは、本体42aの主走査方向全長に亘って設けられている。
【0042】
ワイパ42は、ワイピング時以外のとき搬送ベルト8から離隔した位置で保持され、ワイピング時に本体42aの先端が撓みながら表面8aに接触する位置で保持される。ワイピング時、本体42aは、表面8aの幅全体に接触すると共に、主走査方向から見て表面8aに対して傾斜し、先端から下方に向かうほど相対移動方向下流側(図5の右側)に近づくように、配置されている。換言すると、ワイピング時、本体42aは、先端から鉛直方向下向きの成分と相対移動方向下流側の成分とを含む方向(図5の右斜め下方向)に延出されている。この状態で搬送ベルト8を走行させることで、表面8a上の異物が除去される。
【0043】
軸42xの一端には、図6に示すように、ウォームホイール42hが設けられている。ウォームホイール42hは、ギア42g1,42g2,42g3を介して、モータ42Mに接続している。モータ42Mの駆動により、ギア42g3,42g2,42g1が回転し、ウォームホイール42hが軸42xと共に回転する。このとき本体42aが軸42xを中心として回転することで、本体42aの表面8aに対する角度(主走査方向から見た、本体42aの表面8aに対する相対移動方向下流側の傾斜角度θ1,θ2:図5参照)が変化する。
【0044】
サブワイパ41は、図6に示すように、ゴム等の弾性材料からなる板状部材であって、副走査方向に延在している。
【0045】
サブワイパ41の基端(先端とは反対側の端部)は、サポータ41aに固定されている。サポータ41aは、副走査方向に延在する軸41xに、軸41xを中心として回転可能に支持されている。軸41xの両端には、一対のスライダ41sが設けられている。スライダ41sはそれぞれ、主走査方向に延在するバー41bに摺動可能に支持されている。各スライダ41sには、ベルト41cの下側ループが固定されている。一方のベルト41cはプーリ41p1,41p2、他方のベルト41cはプーリ41p3,41p4に巻回されている。プーリ41p1,41p3は、ローラ41rの両端に設けられている。ローラ41rの一端には、プーリ41p1に加え、プーリ41p1と一体的に回転するギア41g1が設けられている。ギア41g1は、ギア41g2を介してモータ41Mに接続している。モータ41Mの駆動により、プーリ41p1が回転すると、ベルト41cが走行する。これに伴い、スライダ41sがバー41bに沿って摺動し、サポータ41aがサブワイパ41を支持しつつ主走査方向に移動する。
サポータ41aの下方には、主走査方向に延在するプレート41dが配置されている。サブワイパ41が主走査方向に移動する間、サポータ41aの下端41a1はプレート41dの表面に摺接する。プレート41dの表面は、主走査方向両端を除いて、平らである。プレート41dは、主走査方向一端(ワイピング時におけるサブワイパ41の移動方向(図6の矢印方向)上流側の端部)に段差面41d1、主走査方向他端に傾斜面41d2をそれぞれ有する。段差面41d1は、プレート41dの表面の主走査方向両端以外の部分よりも低い面である。プレート41dの表面における段差面41d1と段差面41d1以外の部分との境界には、凸部41dpが設けられている。
なお、サポータ41aは、バネ等の付勢部材によって図7(a)の時計回り方向に付勢されている。
【0046】
サブワイパ41は、ワイピング時以外のとき、ホームポジションに配置されている(図7(a)参照)。このときサブワイパ41は、鉛直方向に関して表面8aに対向しつつ、先端が表面8aに接触しないよう、水平面に対する角度φ1(図7(b)参照)で静止している。
モータ41Mの駆動によりサブワイパ41がホームポジションから主走査方向に移動を開始しようとしたとき、図7(b),(c),(d)に示すように、下端41a1が凸部41dpの段差面41d1側の斜面に当接しながら回転する。このときサブワイパ41は、付勢部材による付勢力に抗って軸41xを中心として回転し、水平面に対する角度がφ1、φ2、φ3(φ1<φ2<φ3)へと変化する。これにより、サブワイパ41の先端が表面8aに接触する。その後、図7(d),(e)に示すように、下端41a1が凸部41dpを乗り越え、サブワイパ41は、角度φ3を維持しつつ主走査方向に移動し、ワイピングを行う。ワイピングの間、サブワイパ41には付勢部材による付勢力(角度φ2から角度φ1にする方向の力)が働くが、下端41a1がプレート41dの表面に支持されているため、角度はφ3に維持される。
サブワイパ41がプレート41dの主走査方向他端に至り、下端41a1が傾斜面41d2に到達したとき、図7(f)に示すように、下端41a1がプレート41dの表面(傾斜面41d2)から離隔する。これに伴い、サブワイパ41は、付勢部材の付勢力によって軸41xを中心として回転し、角度がφ3、φ2、φ1へと変化する。これにより、サブワイパ41の先端が表面8aから離隔し、サブワイパ41によるワイピングが終了する。
ワイピング後、サブワイパ41は、角度φ1を維持しつつ、さらに主走査方向(ワイピング時の方向)に、先端がサブワイパクリーナ44(図6参照)に当接する位置まで移動する。サブワイパクリーナ44によって先端が清掃された後、サブワイパ41は、角度φ1を維持しつつ、ワイピング時とは逆の方向に移動し(図7(g)参照)、ホームポジションに戻る。
なお、ワイピングの際、サブワイパ41は、先端が撓みながら表面8aに接触した状態で、搬送ベルト8の幅方向一端から他端に亘って、主走査方向に移動する。これにより、表面8a上の異物が除去される。
【0047】
各ワイパ41,42によるワイピングで除去された異物は、各ワイパ41,42の下方にある受け皿(図示せず)に受容される。
【0048】
ワイパクリーナ44,45(図6参照)は共に、スポンジ等のインクを吸収可能な材料からなる円筒状部材であり、それぞれワイパ41,42の先端を清掃するワイパクリーニングで用いられる。サブワイパクリーナ44は副走査方向に延在し、ワイパクリーナ45は主走査方向に延在している。サブワイパクリーナ44は副走査方向に関してサブワイパ41よりも長く、ワイパクリーナ45は主走査方向に関してワイパ42よりも長い。
ワイパクリーナ44,45は、常に表面8aから離隔した位置にある。
【0049】
サブワイパクリーナ44の中心に、副走査方向に延在する軸44xが貫挿して固定されている。軸44xの一端には、プーリ44p1が設けられている。プーリ44p1の下方に、モータ44M及びモータ44Mの出力軸に固定されたプーリ44p2が配置されている。プーリ44p1,44p2間に、ベルト44bが巻回されている。モータ44Mの駆動により、プーリ44p2が回転すると、ベルト44bが走行し、プーリ44p1が軸44xと共に回転する。これにより、サブワイパクリーナ44が軸44xを中心として回転する。
【0050】
ワイパクリーナ45の中心に、主走査方向に延在する軸45xが貫挿して固定されている。軸45xの一端には、プーリ45p1が設けられている。プーリ45p1から副走査方向に離隔した位置に、モータ45M及びモータ45Mの出力軸に固定されたプーリ45p2が配置されている。プーリ45p1,45p2間に、ベルト45bが巻回されている。モータ45Mの駆動により、プーリ45p2が回転すると、ベルト45bが走行し、プーリ45p1が軸45xと共に回転する。これにより、ワイパクリーナ45が軸45xを中心として回転する。
【0051】
ワイパ41,42及びワイパクリーナ44,45を支持する部材(バー41bや軸42x,44x,45x等)は、筺体1aに対して昇降可能なフレーム50に支持されている。
フレーム50の一側壁の端面に、ギア50gの歯と噛合する歯50tが形成されている。モータ50Mの駆動により、ギア50gが正方向又は逆方向に回転すると、フレーム50が鉛直方向上方又は下方に移動する。これにより、軸42x及び軸45xがそれぞれワイパ42及びワイパクリーナ45を支持しながら鉛直方向上方又は下方に移動する。
【0052】
次に、図8を参照し、プリンタ1の電気的構成について説明する。
【0053】
制御装置1pは、図8に示すように、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)101に加えて、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory:不揮発性RAMを含む)103、ASIC(Application Specific Integrated Circuit )104、I/F(Interface)105、I/O(Input/Output Port)106等を有する。ROM102には、CPU101が実行するプログラム、各種固定データ等が記憶されている。RAM103には、プログラム実行時に必要なデータ(例えば、用紙Pに記録される画像に係る画像データ)が一時的に記憶される。ASIC104では、画像データの書き換え、並び替え等(例えば、信号処理や画像処理)が行われる。I/F105は、外部装置とのデータ送受信を行う。I/O106は、各種センサの検出信号の入力/出力を行う。
【0054】
制御装置1pは、各モータ121,125,127,41M,42M,44M,45M,50M、用紙センサ32、各ヘッド10の制御基板、洗浄液供給装置70等に接続されている。
【0055】
次に、制御装置1pが実行するワイピングに係る制御について説明する。以下の各処理は、ROM102に記憶されているプログラムにしたがって、CPU101が実行する。
【0056】
制御装置1pは、ワイピング指令を受信した場合に、ワイパ41,42によるワイピングが行われるよう、各部を制御する。
制御装置1pは、(i)予備吐出が行われた後、(ii)筺体1a内の用紙搬送経路で用紙Pの詰まり(ジャム)が生じた時、等にワイピング指令を受信する。予備吐出とは、記録とは別のタイミングでヘッド10からインクを吐出させることをいい、パージ(ポンプの駆動によりヘッド10内のインクに圧力を付与して吐出口14aからインクを吐出させる動作)及びフラッシング(画像データとは異なるフラッシングデータに基づくヘッド10のアクチュエータの駆動により吐出口14aからインク吐出させる動作)を含む。パージを行うかフラッシングを行うかは、状況に応じて決定される。例えば、プリンタ1の電源投入後や、ジャムが生じた時(上記(ii)の場合)、記録指令に基づく記録が完了した後所定時間以上次の記録指令を受信しなかった時等はパージを行い、連続記録中(複数の用紙Pへの記録中)において所定数の用紙Pへの記録が完了し且つその次の用紙Pへの記録を開始する前等はフラッシングを行う。
【0057】
制御装置1pは、ワイピング指令を受信すると、例えば表面8a上に存在するインクの量を推定して当該推定した量が所定量以上であるか否かによって、洗浄液なしのワイピング(洗浄液供給装置70による洗浄液の供給を行わずにワイピングを行う処理)を行うか、洗浄液ありのワイピング(洗浄液供給装置70による洗浄液の供給を行ってワイピングを行う処理)を行うかを判断する。
このとき制御装置1pは、例えば、ワイピング指令受信の前に予備吐出が行われた(上記(i)の場合)はその予備吐出の種類(パージかフラッシングか)、ワイピング指令受信の前にジャムが生じた場合(上記(ii)の場合)で且つ予備吐出が行われていない場合はそのときの画像データに基づいて、表面8a上に存在するインクの量を推定する。パージの方がフラッシングよりも、インク吐出量が多い。したがって、ワイピング指令受信の前にパージが行われた場合は所定量以上、ワイピング指令受信の前にフラッシングが行われた場合は所定量未満のインクが表面8a上に存在すると推定される。ジャムの場合は、そのときに用いられていた画像データによってヘッド10から吐出されたインクの量を求めることができ、当該吐出されたインクの全てが用紙Pではなく表面8aに着弾したと仮定して、表面8a上に存在するインクの量を推定することができる。ここで、表面8a上に存在するインクの量が所定量以上である場合には、洗浄液供給装置70から洗浄液を供給しても、当該洗浄液が表面8a上に存在するインクに混ざって良好なワイピングが得られない恐れがある。洗浄液は、表面8aと表面8aに付着したインクとの間に浸透することにより、表面8a上からインクを除去しやすくするものである。そのため、洗浄液が表面8a上に付着した多量のインクと混ざると、洗浄液が表面8aと表面8aに付着したインクとの間に浸透しにくくなり、表面8aからインクが除去されにくくなる。所定量は、任意の値に設定され、例えば、実験値によって求められる。
【0058】
制御装置1pは、推定した量が所定量未満の場合、洗浄液なしのワイピングが行われるよう、各部を制御する。このとき制御装置1pは、ワイパ42のワイパクリーニング、ワイパ42によるワイピング、サブワイパ41によるワイピング、及びサブワイパ41のワイパクリーニング、という一連の動作を行う。
【0059】
ワイパ42のワイパクリーニングを行うとき、制御装置1pは、モータ42Mを駆動し、ワイパ42を軸42xを中心として図1中時計回りに一回転させる。この回転の際、本体42aの先端が撓みながらワイパクリーナ45の周面に接触する。このとき、本体42aの先端に付着していた異物が、ワイパクリーナ45に付着し、本体42aの先端から除去される。
【0060】
ワイパ42のワイパクリーニングの後、制御装置1pは、ワイパ42によるワイピングを行う。
このとき制御装置1pは、モータ50Mを駆動して軸42xを上昇させ、さらにモータ42Mを駆動して軸42xを回転させることで、表面8aから離隔した位置にあるワイパ42を、本体42aが傾斜角度θ1(図5(a)参照)で且つその先端を撓ませながら表面8aに接触するように、配置する。そして制御装置1pは、ワイパ42を図5(a)に示す位置に保持しつつ、搬送モータ121を駆動して搬送ベルト8を走行させる。これにより、表面8a上に存在するインクIは、本体42aの先端を伝って流れ落ち、受け皿(図示せず)に受容され、表面8aから除去されていく。
【0061】
ワイパ42によるワイピングの後、制御装置1pは、サブワイパ41によるワイピング、及び、サブワイパ41のワイパクリーニングを行う。
このとき制御装置1pは、搬送モータ121を制御して、搬送ベルト8を走行させ、表面8a上の所定の領域(例えば、直前に行われたワイパ42によるワイピング終了時のワイパ42の離隔位置)がサブワイパ41のワイピング領域に到達したタイミングで、搬送ベルト8を停止させる。そして制御装置1pは、モータ41Mを駆動し、サブワイパ41を主走査方向に移動させる。搬送ベルト8の幅方向他端側の位置に到達したサブワイパ41は、上述のように、サブワイパクリーナ44によって先端が清掃された後、ホームポジションに戻る。
【0062】
上記のような一連の動作の後、制御装置1pは、当該ワイピングに係る制御を終了する。
【0063】
制御装置1pは、推定した量が所定量以上の場合、洗浄液ありのワイピングが行われるよう、各部を制御する。このとき制御装置1pは、ワイパ42のワイパクリーニング、洗浄液の供給、ワイパ42によるワイピング、サブワイパ41によるワイピング、及びサブワイパ41のワイパクリーニング、という一連の動作を行う。
【0064】
即ち、上記のようにワイパ42のワイパクリーニングを行った後、制御装置1pは、洗浄液供給装置70を駆動し、表面8aに洗浄液を吐出させる。しかる後、制御装置1pは、モータ50Mを駆動して軸42xを上昇させ、さらにモータ42Mを駆動して軸42xを回転させることで、表面8aから離隔した位置にあるワイパ42を、本体42aが傾斜角度θ2(図5(b)参照)で且つその先端を撓ませながら表面8aに接触するように、配置する。そして制御装置1pは、ワイパ42を図5(b)に示す位置に保持しつつ、搬送モータ121を駆動して搬送ベルト8を走行させる。これにより、本体42aの先端(表面8aとの接触部分)、より具体的には本体42aの先端近傍と凸部42bとの間に洗浄液が保持された状態でワイピングが行われ、表面8a上のインクが洗浄液と共に除去されていく。
【0065】
なお、凸部42bにおける本体42aの先端に対向する面(図5(a),(b)の上面)は、洗浄液なしのワイピングでは斜め下方(鉛直方向下向きの成分を含む方向)に延在し、洗浄液ありのワイピングでは水平方向又は斜め上方(鉛直方向上向きの成分を含む方向)に延在している。これにより、洗浄液ありのワイピングのとき、本体42aの先端に洗浄液を効果的に保持することができる。
【0066】
ワイパ42によるワイピングの後、制御装置1pは、上記と同様にサブワイパ41によるワイピング及びサブワイパ41のワイパクリーニングを行い、当該ワイピングに係る制御を終了する。
【0067】
なお、ワイパクリーナ44,45について、制御装置1pは、1又は数回のワイパクリーニングの完了の度に、モータ44M,45Mを駆動し、ワイパクリーナ44,45を360度より小さい所定角度だけ回転させる。これにより、ワイパクリーニングの際にワイパ41,42の先端が接触するワイパクリーナ44,45の部分が変化し、ワイパ41,42の先端に付着した異物を効果的に除去することができる。
【0068】
以上に述べたように、本実施形態に係るプリンタ1によると、凸部42bの存在によって、本体42aの先端(表面8aとの接触部分)に洗浄液を効果的に保持し、良好なワイピング実現することができる。
【0069】
本体42aに凸部42bを形成したことで、例えば本体42aとは別体の壁を本体42aに対して離接可能に設ける場合に比べ、ワイパ42全体を小型化することができる。
【0070】
凸部42bにおける本体42aの先端に対向する面が、水平方向及び鉛直方向上向きの成分を含む方向のいずれかの方向に延在している(図5(b)参照)。
これにより、本体42aの先端に洗浄液をより効果的に保持することができる。
【0071】
制御装置1pは、洗浄液なしのワイピングの場合は第1状態(図5(a)参照)、洗浄液ありのワイピングの場合は第2状態(図5(b)参照)となるように、ワイパ42を制御する。第2状態では、第1状態よりも、本体42aの先端での洗浄液の保持量が多い。洗浄液なしのワイピングのとき、ワイパ42によりワイピングされるのはインクであり、インクは表面8aから除去されるべきものであるため、インクが本体42aの先端に留まらずに、本体42a及び凸部42bにおける本体42aの先端に対向する面を伝って流れ落ちるのが好ましい。そのため、本実施形態において、洗浄液なしのワイピングのとき、凸部42bにおける本体42aの先端に対向する面は、インクが下方に流れ落ちやすいように斜め下方に延在する第1状態である。一方、洗浄液ありのワイピングのとき、ワイパ42によりワイピングされるのは洗浄液及びインクであり、洗浄液は表面8aとインクとの間に浸透してインクを除去するためのものであるので、洗浄液は本体42aの先端に留まるのが好ましい。そのため、本実施形態において、洗浄液ありのワイピングのとき、凸部42bにおける本体42aの先端に対向する面は、水平方向又は斜め上方に延在する第2状態である。
このように洗浄液の有無によってワイパ42の状態を切り換えることで、効率的なワイピングを実現可能である。
【0072】
プリンタ1は、搬送ベルト8の周方向に表面8aに対して相対移動するワイパ42のみならず、搬送ベルト8の幅方向に表面8aに対して相対移動するサブワイパ41をさらに備えている。これにより、サブワイパ41を用いて、ワイパ42で除去しきれずに残った異物を除去することができる。
【0073】
次いで、図9、図10、及び図11を参照し、本発明の第2、第3、及び第4実施形態に係るインクジェット式プリンタについて説明する。
第2〜第4実施形態に係るプリンタは、ワイパの構成が第1実施形態と異なり、その他は第1実施形態と同様(即ち、ワイパ42をワイパ242,342,442にそれぞれ置換したもの)である。
【0074】
第2実施形態のワイパ242は、図9に示すように、本体42a、凸部242b、及び空気穴243を有する。
空気穴243は、本体42aの先端近傍に、厚み方向に形成されている。凸部242bは、本体42aにおける空気穴243が設けられた部分の正面側に、薄膜状に形成されている。空気穴243は本体42aの背面(正面と反対側の面。ワイピング時におけるワイパ242の表面8aに対する相対移動方向上流側の面)に開口し、当該開口にチューブ244が挿入されている。チューブ244を介して空気穴243内に空気を送り込むことで、凸部242bが風船状に膨らむ。
凸部242bは、空気穴243内への空気の送り込みによって、本体42aの正面から相対移動方向下流側に突出した第1位置(図9(b1),(b2)参照)と、本体42aの正面から相対移動方向下流側への突出量が第1位置のときよりも小さい第2位置(図9(a1),(a2)参照)とを取り得る。第1位置の方が第2位置よりも、本体42aの先端での洗浄液の保持量が多い。つまり、第1位置の方が第2位置よりも、凸部242bが本体42aの正面から相対移動方向下流側に突出しているため、本体42aの先端に存在する液体(洗浄液)が本体42aを伝って流れ落ちにくい。制御装置1pは、洗浄液なしのワイピングの場合は凸部242bが第2位置、洗浄液ありのワイピングの場合は凸部242bが第1位置を取るよう、空気穴243内への空気の送り込み量を制御する。
【0075】
第3実施形態のワイパ342は、図10に示すように、本体42a及びラック343を有する。
ラック343は、本体42aの正面側に設けられている。ラック343は、図10(a2),(b2)に示すように、正面視(本体42aの正面から見て)コの字状であり、互いに平行に(図10で鉛直方向に)延在する一対の板の正面に、ピニオン343gの歯と噛合する歯343tがそれぞれ形成されている。一対の板に対して設けられた2つのピニオン343gは、軸343xを介して連結されており、軸343xの回転によって共に回転する。ピニオン343gの回転により、ラック343は図10で鉛直方向上方又は下方に移動する。当該一対の板を繋ぐ板の背面には、本体42aの正面に向けて突出する凸部342bが形成されている。凸部342bの先端は、本体42aの正面に当接している。
制御装置1pは、洗浄液なしのワイピングの場合は凸部342bが本体42aの延出方向中央よりも基端側(図10(a1),(a2)参照)、洗浄液ありのワイピングの場合は凸部342bが本体42aの先端近傍(図10(b1),(b2)参照)にそれぞれ配置されるよう、ピニオン343gの駆動を制御する。これにより、洗浄液なしのワイピングの場合よりも洗浄液ありのワイピングの場合の方が、凸部342bと本体42aの先端との距離が小さいため、本体42aの先端での洗浄液の保持量が多くなる。
【0076】
第4実施形態のワイパ442は、図11に示すように、本体42a及び回動板443を有する。
回動板443は、本体42aの正面側に設けられており、その基端に設けられた軸443xを中心として回転可能である。回動板443の先端は、L字状に形成されており、回転板443の面に直交する方向に突出した凸部442bを有する。
凸部442bは、軸443xの回転によって、本体42aの正面に接触する接触位置(図11(b1),(b2)参照)と、本体42aの正面から離隔した離隔位置(図11(a1),(a2)参照)とを取り得る。制御装置1pは、洗浄液なしのワイピングの場合は凸部442bが離隔位置、洗浄液ありのワイピングの場合は凸部442bが接触位置を取るよう、軸443xの回転を制御する。接触位置の方が離隔位置よりも、本体42aの先端での洗浄液の保持量が多い。つまり、接触位置の方が離隔位置よりも、本体42aの先端に存在する液体(洗浄液)が本体42aを伝って流れ落ちにくい。
【0077】
第2〜第4実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0078】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
【0079】
搬送部材は、搬送ベルトに限定されず、例えば回転式のドラム等であってもよい。
【0080】
洗浄液供給部は、任意の構成であってよい(例えば、記録液を吐出する液体吐出ヘッドと同様の構成であってもよい。また、洗浄液を霧状に噴き付ける噴霧器、洗浄液を塗布する部材等であってもよい)。
【0081】
ワイパクリーナは、スポンジの他、回転ブラシ等であってもよい。
また、ワイパクリーナ及びこれを用いたワイパクリーニングを省略してよい。
【0082】
サブワイパの搬送部材表面に対する相対移動方向は、搬送部材の表面の移動方向と交差する方向であればよく、例えば上述の実施形態において搬送ベルト8の幅方向と傾斜した方向であってもよい。
サブワイパを、本体及び壁を含む構成としてもよい。また、サブワイパ及びこれを用いたワイピングを省略してよい。
【0083】
ワイパの壁について、第1実施形態の凸部42bは本体42aと一体的に形成されているが、本体とは別の部材(例えば剛部材)であって本体に接着されてもよい。
壁は、本体における搬送部材表面との接触部分の一部のみに設けられてもよい。
第1実施形態の凸部42bが本体42aに対して移動可能であってもよい。さらにこの場合、洗浄液なしのワイピング及び洗浄液ありのワイピングにおいて、本体42aの表面8aに対する傾斜角度を一定として凸部42bの本体42aに対する角度を変更してもよい(例えば、洗浄液なしのワイピングの場合は凸部42bが本体42aに収納され、洗浄液ありのワイピングの場合は凸部42bが本体42aの正面から突出してよい)。
【0084】
ワイパの構成材料は、特に限定されない。
ワイパによるワイピング時には、ワイパと搬送部材の表面とを相対的に移動させればよく、ワイパを静止させた状態で搬送部材の表面を移動させる構成、搬送部材の表面を静止させた状態でワイパを移動させる構成、ワイパと搬送部材の表面との両方を移動させる構成の、いずれであってもよい。
ワイパの本体及び壁を支持する機構の構成は、任意に変更可能である。
【0085】
ワイピング時におけるワイパの搬送部材表面に対する傾斜角度は、特に限定されない。また、洗浄液なしのワイピング及び洗浄液ありのワイピングにおいて傾斜角度が同じであってもよい。
さらに、壁における本体の先端(搬送部材表面との接触部分)に対向する面の角度は、特に限定されず、また、洗浄液なしのワイピング及び洗浄液ありのワイピングにおいて当該角度が同じであってもよい。
【0086】
洗浄液なしのワイピングを行うか洗浄液ありのワイピングを行うかは、上述の実施形態(表面8a上に存在するインクの量を推定して当該推定した量が所定量以上であるか否かによって判断すること)に限定されず、様々な基準に基づいて判断してよい。
また、ワイピング指令を受信した場合、上記のような判断を行わず、常に洗浄液なしのワイピング又は洗浄液ありのワイピングを行ってもよい。
ワイパは、第1状態と第1状態よりも洗浄液の保持量が多い第2状態とに切換え可能でなく、洗浄液の保持量が一定の状態にあってよい。
【0087】
本発明は、ライン式及びシリアル式のいずれにも適用可能であり、また、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機等にも適用可能である。
さらに本発明は、インク以外の液体を吐出する装置にも適用可能である。
【0088】
記録媒体は、用紙Pに限定されず、記録可能な様々な媒体であってよい。
【符号の説明】
【0089】
1 インクジェット式プリンタ(液体吐出装置)
1p 制御装置(ワイパ制御手段)
8 搬送ベルト(搬送部材)
8a 表面
10 インクジェットヘッド(液体吐出ヘッド)
10a 吐出面
14a 吐出口
41 サブワイパ(別のワイパ)
42;242;342;442 ワイパ
42a 本体
42b;242b;342b;442b 凸部(壁)
70 洗浄液供給装置(洗浄液供給部)
244 チューブ(第1移動機構)
343g ピニオン(第2移動機構)
443x 軸(第3移動機構)
P 用紙(記録媒体)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録液を吐出する吐出口が開口した吐出面を有する液体吐出ヘッドと、
前記吐出面に対向して配置される表面を有し、前記表面が記録媒体を支持しつつ移動することにより記録媒体を搬送する搬送部材と、
前記表面に前記記録液よりも粘度の低い洗浄液を供給する洗浄液供給部と、
前記表面に接触しつつ前記表面に対して相対移動することにより前記表面上の異物を除去するワイパであって、前記表面との接触部分から鉛直方向下向きの成分と前記相対移動方向下流側の成分とを含む方向に延出された本体、及び、前記接触部分に前記洗浄液が保持されるように前記本体の前記相対移動方向下流側に設けられた壁を含むワイパと、
を備えたことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記壁は、前記本体の前記相対移動方向下流側の面から前記相対移動方向下流側に突出した凸部であることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記壁における前記接触部分に対向する面が、水平方向及び鉛直方向上向きの成分を含む方向のいずれかの方向に延在していることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記ワイパは、第1状態と、前記第1状態よりも前記接触部分での前記洗浄液の保持量が多い第2状態とを取り得るものであり、
前記洗浄液供給部により前記表面に前記洗浄液が供給されない場合は前記第1状態、前記洗浄液供給部により前記表面に前記洗浄液が供給される場合は前記第2状態となるように、前記ワイパを制御するワイパ制御手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記ワイパ制御手段は、前記壁における前記接触部分に対向する面が、前記第1状態では鉛直方向下向きの成分を含む方向に延在し、前記第2状態では水平方向及び鉛直方向上向きの成分を含む方向のいずれかの方向に延在するように、前記ワイパを制御することを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記本体の前記相対移動方向下流側の面から前記相対移動方向下流側に突出した第1位置と、前記本体の前記相対移動方向下流側の面から前記相対移動方向下流側への突出量が前記第1位置のときよりも小さい第2位置とに、前記壁を移動させる第1移動機構をさらに備え、
前記ワイパ制御手段は、前記壁が、前記第1状態では前記第2位置を取り、前記第2状態では前記第1位置を取るように、前記第1移動機構を制御することを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記本体の前記相対移動方向下流側の面において、前記本体の延出方向に、前記壁を移動させる第2移動機構をさらに備え、
前記ワイパ制御手段は、前記第2状態における前記延出方向に関する前記壁と前記接触部分との距離が前記第1状態における前記距離よりも小さくなるように、前記第2移動機構を制御することを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記本体の前記相対移動方向下流側の面に接触する接触位置と、前記本体の前記相対移動方向下流側の面から離隔した離隔位置とに、前記壁を移動させる第3移動機構をさらに備え、
前記ワイパ制御手段は、前記壁が、前記第1状態では前記離隔位置を取り、前記第2状態では前記接触位置を取るように、前記第3移動機構を制御することを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記ワイパは、前記表面の移動方向と平行な方向に前記表面に対して相対移動するものであり、
前記表面の移動方向と交差する方向に前記表面に対して相対移動する別のワイパをさらに備えたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項1】
記録液を吐出する吐出口が開口した吐出面を有する液体吐出ヘッドと、
前記吐出面に対向して配置される表面を有し、前記表面が記録媒体を支持しつつ移動することにより記録媒体を搬送する搬送部材と、
前記表面に前記記録液よりも粘度の低い洗浄液を供給する洗浄液供給部と、
前記表面に接触しつつ前記表面に対して相対移動することにより前記表面上の異物を除去するワイパであって、前記表面との接触部分から鉛直方向下向きの成分と前記相対移動方向下流側の成分とを含む方向に延出された本体、及び、前記接触部分に前記洗浄液が保持されるように前記本体の前記相対移動方向下流側に設けられた壁を含むワイパと、
を備えたことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記壁は、前記本体の前記相対移動方向下流側の面から前記相対移動方向下流側に突出した凸部であることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記壁における前記接触部分に対向する面が、水平方向及び鉛直方向上向きの成分を含む方向のいずれかの方向に延在していることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記ワイパは、第1状態と、前記第1状態よりも前記接触部分での前記洗浄液の保持量が多い第2状態とを取り得るものであり、
前記洗浄液供給部により前記表面に前記洗浄液が供給されない場合は前記第1状態、前記洗浄液供給部により前記表面に前記洗浄液が供給される場合は前記第2状態となるように、前記ワイパを制御するワイパ制御手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記ワイパ制御手段は、前記壁における前記接触部分に対向する面が、前記第1状態では鉛直方向下向きの成分を含む方向に延在し、前記第2状態では水平方向及び鉛直方向上向きの成分を含む方向のいずれかの方向に延在するように、前記ワイパを制御することを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記本体の前記相対移動方向下流側の面から前記相対移動方向下流側に突出した第1位置と、前記本体の前記相対移動方向下流側の面から前記相対移動方向下流側への突出量が前記第1位置のときよりも小さい第2位置とに、前記壁を移動させる第1移動機構をさらに備え、
前記ワイパ制御手段は、前記壁が、前記第1状態では前記第2位置を取り、前記第2状態では前記第1位置を取るように、前記第1移動機構を制御することを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記本体の前記相対移動方向下流側の面において、前記本体の延出方向に、前記壁を移動させる第2移動機構をさらに備え、
前記ワイパ制御手段は、前記第2状態における前記延出方向に関する前記壁と前記接触部分との距離が前記第1状態における前記距離よりも小さくなるように、前記第2移動機構を制御することを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記本体の前記相対移動方向下流側の面に接触する接触位置と、前記本体の前記相対移動方向下流側の面から離隔した離隔位置とに、前記壁を移動させる第3移動機構をさらに備え、
前記ワイパ制御手段は、前記壁が、前記第1状態では前記離隔位置を取り、前記第2状態では前記接触位置を取るように、前記第3移動機構を制御することを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記ワイパは、前記表面の移動方向と平行な方向に前記表面に対して相対移動するものであり、
前記表面の移動方向と交差する方向に前記表面に対して相対移動する別のワイパをさらに備えたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の液体吐出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−139977(P2012−139977A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1055(P2011−1055)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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