説明

液体吐出装置

【課題】 シール部材の取付作業における作業性の向上を図ると共にシール部材の剥がれを防止して密閉性の向上を図る。
【解決手段】 複数の液体吐出ノズルの各ノズル口が配列された液体吐出面22aを有する液体吐出ヘッド21と、記録シート1000を保持し液体吐出面に対向して位置された保持面31aを有するプラテン31と、液体吐出面と保持面が対向する方向へ移動可能とされ液体吐出ヘッドとプラテンの間に形成される空間35を密閉するキャッピングフレーム500を設け、液体吐出ヘッドにフレーム連結部22を設け、プラテンにフレーム結合部33を設け、キャッピングフレームにヘッド連結部51aとプラテン結合部52を設け、フレーム連結部に第1のシール部材23を取り付け、フレーム結合部に第2のシール部材34を取り付け、キャッピングフレームが移動されたときに第1のシート部材がヘッド連結部に押し付けられると共に第2のシート部材がプラテン結合部に押し付けられるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体吐出装置についての技術分野に関する。詳しくは、液体吐出ヘッドとプラテンの間に形成される空間をキャッピングフレームによって密閉する構造において、二つのシール部材をそれぞれ所定の位置に取り付けてシール部材の取付作業における作業性の向上を図ると共にシール部材の剥がれを防止して密閉性の向上を図る技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンター等の液体吐出装置には、搬送される記録シートを保持するプラテンとプラテンに保持された記録シートに対してインク等の液体を吐出して記録を行う液体吐出ヘッドとが設けられている。
【0003】
上記のような液体吐出装置においては、液体吐出ヘッドに配列された複数の液体吐出ノズルから液体(インク)を吐出して記録シートに画像等を形成している。
【0004】
インクが吐出される液体吐出ノズルは、長期間放置された場合に、ノズル口の近傍に存在するインクから水分が蒸発し、インクが増粘したり色材が固着して不吐出等のインクの吐出不良が発生してしまうため、インクからの水分の蒸発を抑制する必要がある。
【0005】
そこで、液体吐出装置にあっては、移動可能なキャッピングフレームを設け、記録シートに対する記録を行わない状態においてキャッピングフレームを移動させ、液体吐出ヘッドとプラテンの間に形成される空間をキャッピングフレームによって密閉しインクからの水分の蒸発を抑制しようとしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1に記載された液体吐出装置は、液体吐出ヘッドを囲むキャッピングフレームを有し、キャッピングフレームが液体吐出ヘッドとプラテンの配列方向へ移動可能とされている。この液体吐出装置においては、キャッピングフレームがプラテン側へ移動されたときに、両端部がそれぞれキャッピングフレームと液体吐出ヘッドに取り付けれたシール部材をプラテンに押し付け、液体吐出ヘッドとプラテンの間に形成される空間をキャッピングフレームによって密閉するようにしている。
【0007】
【特許文献1】特願2009−299271号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、特許文献1に記載された液体吐出装置にあっては、シール部材の両端部をそれぞれキャッピングフレームと液体吐出ヘッドに取り付ける作業が必要であるが、この作業は一部材であるシール部材をキャッピングフレームと液体吐出ヘッドに跨らせる作業であるため、作業性が悪いという問題がある。特に、記録シートの幅方向に延びる長いラインヘッドを有するラインヘッド型の液体吐出装置においては、その分、作業領域が大きくなり、シール部材をキャッピングフレームと液体吐出ヘッドに取り付ける作業は困難な作業になってしまう。
【0009】
また、キャッピングフレームは液体吐出ヘッドとプラテンの配列方向において液体吐出ヘッドに対して移動されるが、シール部材がキャッピングフレームと液体吐出ヘッドに跨って取り付けられているため、キャッピングフレームの移動時に、シール部材に対してキャッピングフレームと液体吐出ヘッドから剥がれる方向への力が付与され、シール部材のキャッピングフレーム又は液体吐出ヘッドからの剥がれが生じるおそれもある。
【0010】
そこで、本発明液体吐出装置は、上記した問題点を克服し、シール部材の取付作業における作業性の向上を図ると共にシール部材の剥がれを防止して密閉性の向上を図る技術分野に関する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
液体吐出装置は、上記した課題を解決するために、画像情報に基づいて記録シートに対して液体を吐出する複数の液体吐出ノズルが配列されると共に前記複数の液体吐出ノズルの各ノズル口が配列された液体吐出面を有する液体吐出ヘッドと、前記記録シートを前記液体吐出面に対向させる状態で保持し前記液体吐出ヘッドの液体吐出面に対向して位置された保持面を有するプラテンと、前記液体吐出ヘッドの液体吐出面と前記プラテンの保持面とが対向する方向へ移動可能とされ一方向へ移動されることにより前記液体吐出ヘッドと前記プラテンの間に形成される空間を密閉するキャッピングフレームと、前記キャッピングフレームを前記液体吐出ヘッドの液体吐出面と前記プラテンの保持面とが対向する方向へ移動させるフレーム駆動機構とを備え、前記液体吐出ヘッドにフレーム連結部を設け、前記プラテンにフレーム結合部を設け、前記キャッピングフレームに前記フレーム連結部に対向するヘッド連結部と前記フレーム結合部に対向するプラテン結合部とを設け、前記フレーム連結部又は前記ヘッド連結部に第1のシール部材を取り付け、前記フレーム結合部又は前記プラテン結合部に第2のシール部材を取り付け、前記キャッピングフレームが前記一方向へ移動されたときに前記第1のシート部材が前記ヘッド連結部又は前記フレーム連結部に接して押し付けられると共に前記第2のシート部材が前記プラテン結合部又は前記フレーム結合部に接して押し付けられるようにしたものである。
【0012】
従って、液体吐出装置にあっては、キャッピングフレームの一方向への移動時に、第1のシール部材がフレーム連結部又はヘッド連結部に押し付けられると共に第2のシール部材がフレーム結合部又はプラテン結合部に押し付けられる。
【0013】
上記した液体吐出装置においては、前記ヘッド連結部が前記キャッピングフレームにおける前記液体吐出ヘッド側の先端部に設けられ、前記第1のシート部材が前記液体吐出ヘッドのフレーム連結部に取り付けられることが望ましい。
【0014】
ヘッド連結部がキャッピングフレームにおける液体吐出ヘッド側の先端部に設けられ、第1のシート部材が液体吐出ヘッドのフレーム連結部に取り付けられることにより、第1のシート部材の取付面積を増加させることが可能である。
【0015】
上記した液体吐出装置においては、前記液体吐出ヘッドのフレーム連結部に取付凹部が形成され、前記取付凹部に前記第1のシート部材が取り付けられることが望ましい。
【0016】
液体吐出ヘッドのフレーム連結部に取付凹部が形成され、取付凹部に第1のシート部材が取り付けられることにより、第1のシート部材がフレーム連結部に位置決めされると共に第1のシート部材の少なくとも二面をフレーム連結部に取り付けることが可能となる。
【0017】
上記した液体吐出装置においては、前記プラテンのフレーム結合部に取付凹部が形成され、前記取付凹部に前記第2のシート部材が取り付けられることが望ましい。
【0018】
プラテンのフレーム結合部に取付凹部が形成され、取付凹部に第2のシート部材が取り付けられることにより、第2のシート部材がフレーム結合部に位置決めされると共に第2のシート部材の少なくとも二面をフレーム結合部に取り付けることが可能となる。
【0019】
上記した液体吐出装置においては、前記キャッピングフレームを板状の金属材料によって形成し、前記プラテン結合部を、前記キャッピングフレームの一部を前記キャッピングフレームの移動方向を向くように折り曲げて形成することが望ましい。
【0020】
キャッピングフレームを板状の金属材料によって形成し、プラテン結合部を、キャッピングフレームの一部をキャッピングフレームの移動方向を向くように折り曲げて形成することにより、プラテン結合部がキャッピングフレームを補強する補強リブとして機能する。
【0021】
上記した液体吐出装置においては、前記プラテン結合部が前記キャッピングフレームにおける前記プラテン側の先端部に設けられ、前記第2のシート部材が前記プラテンのフレーム結合部に取り付けられることが望ましい。
【0022】
プラテン結合部がキャッピングフレームにおけるプラテン側の先端部に設けられ、第2のシート部材がプラテンのフレーム結合部に取り付けられることにより、第2のシート部材の取付面積を増加させることが可能である。
【0023】
上記した液体吐出装置においては、前記プラテンのフレーム結合部に取付凹部が形成され、前記取付凹部に前記第2のシート部材が取り付けられることが望ましい。
【0024】
プラテンのフレーム結合部に取付凹部が形成され、取付凹部に第2のシート部材が取り付けられることにより、第2のシート部材がフレーム結合部に位置決めされると共に第2のシート部材の少なくとも二面をフレーム結合部に取り付けることが可能となる。
【0025】
上記した液体吐出装置においては、前記液体吐出ヘッドのフレーム連結部に取付凹部が形成され、前記取付凹部に前記第1のシート部材が取り付けられることが望ましい。
【0026】
液体吐出ヘッドのフレーム連結部に取付凹部が形成され、取付凹部に第1のシート部材が取り付けられることにより、第1のシート部材がフレーム連結部に位置決めされると共に第1のシート部材の少なくとも二面をフレーム連結部に取り付けることが可能となる。
【0027】
上記した液体吐出装置においては、前記キャッピングフレームを板状の金属材料によって形成し、前記ヘッド連結部を、前記キャッピングフレームの一部を前記キャッピングフレームの移動方向を向くように折り曲げて形成することが望ましい。
【0028】
キャッピングフレームを板状の金属材料によって形成し、ヘッド連結部を、キャッピングフレームの一部をキャッピングフレームの移動方向を向くように折り曲げて形成することにより、ヘッド連結部がキャッピングフレームを補強する補強リブとして機能し、キャッピングフレームの強度の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明液体吐出装置は、画像情報に基づいて記録シートに対して液体を吐出する複数の液体吐出ノズルが配列されると共に前記複数の液体吐出ノズルの各ノズル口が配列された液体吐出面を有する液体吐出ヘッドと、前記記録シートを前記液体吐出面に対向させる状態で保持し前記液体吐出ヘッドの液体吐出面に対向して位置された保持面を有するプラテンと、前記液体吐出ヘッドの液体吐出面と前記プラテンの保持面とが対向する方向へ移動可能とされ一方向へ移動されることにより前記液体吐出ヘッドと前記プラテンの間に形成される空間を密閉するキャッピングフレームと、前記キャッピングフレームを前記液体吐出ヘッドの液体吐出面と前記プラテンの保持面とが対向する方向へ移動させるフレーム駆動機構とを備え、前記液体吐出ヘッドにフレーム連結部を設け、前記プラテンにフレーム結合部を設け、前記キャッピングフレームに前記フレーム連結部に対向するヘッド連結部と前記フレーム結合部に対向するプラテン結合部とを設け、前記フレーム連結部又は前記ヘッド連結部に第1のシール部材を取り付け、前記フレーム結合部又は前記プラテン結合部に第2のシール部材を取り付け、前記キャッピングフレームが前記一方向へ移動されたときに前記第1のシート部材が前記ヘッド連結部又は前記フレーム連結部に接して押し付けられると共に前記第2のシート部材が前記プラテン結合部又は前記フレーム結合部に接して押し付けられるようにしている。
【0030】
従って、第1のシート部材と第2のシート部材の何れをも二つの部材間に跨らせた状態で取り付ける必要がなく、第1のシート部材と第2のシート部材の取付作業における作業性の向上を図ることができる。
【0031】
また、キャッピングフレームの移動時に、第1のシート部材と第2のシート部材に対してこれらが取り付けられた各部材から剥がれる方向への力が付与されることがない。
【0032】
従って、第1のシート部材と第2のシート部材の剥がれを防止して液体吐出ヘッドとプラテンの間の空間の密閉性の向上を図ることができる。
【0033】
請求項2に記載した発明にあっては、前記ヘッド連結部が前記キャッピングフレームにおける前記液体吐出ヘッド側の先端部に設けられ、前記第1のシート部材が前記液体吐出ヘッドのフレーム連結部に取り付けられている。
【0034】
従って、第1のシート部材の取付面積を増加させることが可能であり、第1のシート部材の取付強度を高くして第1のシート部材の剥がれを防止することができる。
【0035】
請求項3に記載した発明にあっては、前記液体吐出ヘッドのフレーム連結部に取付凹部が形成され、前記取付凹部に前記第1のシート部材が取り付けられている。
【0036】
従って、第1のシート部材のフレーム連結部に対する位置精度の向上を図ることができると共に第1のシート部材の液体吐出ヘッドに対する取付強度の向上を図ることができる。
【0037】
請求項4に記載した発明にあっては、前記プラテンのフレーム結合部に取付凹部が形成され、前記取付凹部に前記第2のシート部材が取り付けられている。
【0038】
従って、第2のシート部材のフレーム結合部に対する位置精度の向上を図ることができると共に第2のシート部材のプラテンに対する取付強度の向上を図ることができる。
【0039】
請求項5に記載した発明にあっては、前記キャッピングフレームを板状の金属材料によって形成し、前記プラテン結合部を、前記キャッピングフレームの一部を前記キャッピングフレームの移動方向を向くように折り曲げて形成している。
【0040】
従って、プラテン結合部がキャッピングフレームを補強する補強リブとして機能し、キャッピングフレームの強度の向上を図ることができる。
【0041】
請求項6に記載した発明にあっては、前記プラテン結合部が前記キャッピングフレームにおける前記プラテン側の先端部に設けられ、前記第2のシート部材が前記プラテンのフレーム結合部に取り付けられている。
【0042】
従って、第2のシート部材の取付面積を増加させることが可能であり、第2のシート部材の取付強度を高くして第2のシート部材の剥がれを防止することができる。
【0043】
請求項7に記載した発明にあっては、前記プラテンのフレーム結合部に取付凹部が形成され、前記取付凹部に前記第2のシート部材が取り付けられている。
【0044】
従って、第2のシート部材のフレーム結合部に対する位置精度の向上を図ることができると共に第2のシート部材のプラテンに対する取付強度の向上を図ることができる。
【0045】
請求項8に記載した発明にあっては、前記液体吐出ヘッドのフレーム連結部に取付凹部が形成され、前記取付凹部に前記第1のシート部材が取り付けられている。
【0046】
従って、第1のシート部材のフレーム連結部に対する位置精度の向上を図ることができると共に第1のシート部材の液体吐出ヘッドに対する取付強度の向上を図ることができる。
【0047】
請求項9に記載した発明にあっては、前記キャッピングフレームを板状の金属材料によって形成し、前記ヘッド連結部を、前記キャッピングフレームの一部を前記キャッピングフレームの移動方向を向くように折り曲げて形成している。
【0048】
従って、ヘッド連結部がキャッピングフレームを補強する補強リブとして機能し、キャッピングフレームの強度の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下に、本発明液体吐出装置の実施の形態を添付図面に従って説明する。尚、以下に示した実施の形態は、記録シートの全幅をカバーする長さの固定された液体吐出ヘッドを有し、記録シートの搬送方向のみにおいて記録を行う所謂ラインヘッド型の液体吐出装置に適用したものである。
【0050】
[液体吐出装置の構成]
先ず、液体吐出装置の構成について説明する(図1乃至図3参照)。
【0051】
液体吐出装置1は外筐2の内外に所要の各部が配置されて成る(図1参照)。
【0052】
液体吐出装置1は、給紙部100と液体吐出ブロック200とプラテン300と吸引部400とキャッピングフレーム500と保湿液供給部700とカッター800と排紙部900を備えている。
【0053】
給紙部100は記録シート1000として用いられたカット紙及びロール紙を供給する。給紙部100には記録シート1000のうちロール紙が装填されるロール紙給紙トレイ11と記録シート1000のうちカット紙が装填されるカット紙手差しトレイ12とが設けられている。
【0054】
液体吐出ブロック200は給紙されて搬送される記録シート1000に画像を記録する機能を有している(図2参照)。
【0055】
液体吐出ブロック200は、記録シート1000の幅より少し幅が広いライン型の液体吐出ヘッド21を有している。液体吐出ブロック200は上下方向の厚みより水平方向の大きさの方が大きい扁平な形状に形成されている。
【0056】
液体吐出ヘッド21の下面はプラテン300の上面に対向する液体吐出面21aとして形成されている。液体吐出面21aには複数の図示しないヘッドチップが千鳥状に配列されており、ヘッドチップにはそれぞれインクを吐出する液体吐出ノズルの微細な複数のノズル口が配列されている。
【0057】
液体吐出ヘッド21には複数の電気熱変換素子が設けられており、画像情報に基づいて電気熱変換素子が選択的に駆動され、電気熱変換素子の発熱によりインク中に生じた膜沸騰の圧力によって各ノズル口からインクが吐出される。
【0058】
液体吐出ヘッド21の外周部はキャッピングフレーム500に連結されるフレーム連結部22として設けられている。フレーム連結部22には外方及び下方に開口された環状の取付凹部22aが形成されている。
【0059】
フレーム連結部22の取付凹部22aには環状の第1のシート部材23が取り付けられている。第1のシート部材23としては弾性に富む発泡材やゴム等が用いられている。第1のシート部材23は、例えば、両面テープや接着剤によって取付凹部22aに取り付けられる。
【0060】
このように第1のシート部材23はフレーム連結部22に形成された取付凹部22aに取り付けられるため、第1のシート部材23のフレーム連結部22に対する位置精度の向上を図ることができる。また、第1のシート部材23を取付凹部22aに取り付けることにより、第1のシート部材23を液体吐出ブロック200から突出しないようにすることが可能であり液体吐出装置1の小型化を図ることができる。さらに、第1のシート部材23は垂直方向を向く一方の面と水平方向を向く一方の面の二面が液体吐出ブロック200に取り付けられるため、第1のシート部材23の液体吐出ブロック200に対する取付強度の向上を図ることができる。
【0061】
給紙部100と液体吐出ブロック200の間には、図1に示すように、給紙部100側から順に給紙ローラー13と給紙ピンチローラー14、エッジセンサー15及び搬送ローラー16とピンチローラー17が配置されている。給紙ローラー13と搬送ローラー16はそれぞれ図示しない駆動モーターによって回転される。
【0062】
搬送ローラー16には図示しないエンコーダーとエンコーダーセンサーが取り付けられている。エンコーダーとエンコーダーセンサーによって記録シート1000の搬送速度が検出され、検出された搬送速度に基づいて液体吐出ヘッド21から吐出されるインクの吐出タイミングが記録シート1000の搬送速度に同期するようにされている。
【0063】
液体吐出ブロック200を挟んで搬送ローラー16とピンチローラー17の反対側には搬送ローラー18とピンチローラー19が配置されている。搬送ローラー18は図示しない駆動モーターによって回転される。
【0064】
プラテン300は液体吐出ブロック200の下方に対向して配置され、記録シート1000を保持する機能を有している。
【0065】
プラテン300は上下方向の厚みより水平方向の大きさの方が大きい扁平な形状に形成されている。プラテン300は、図2に示すように、記録シート1000を保持する保持ベース31を有し、保持ベース31の上面が搬送される記録シート1000を保持する保持面31aとして形成されている。保持ベース31の上面部には内部に連通する空吐出開口31b、31b、・・・が形成されている。
【0066】
プラテン300の内部には吸収体32が配置されている。吸収体32はインクや保湿液等の液体を吸収可能な樹脂材料、例えば、ポリオレフィン系の親水性多孔質焼結成形体によって形成されている。吸収体32には保湿液供給部700から保湿液が供給される。
【0067】
プラテン300の内部には図示しない液面検出センサー又は湿度センサーが配置されている。
【0068】
プラテン300の下端部における外周部はキャッピングフレーム500に結合されるフレーム結合部33として設けられている。フレーム結合部33には外方及び下方に開口された環状の取付凹部33aが形成されている。
【0069】
フレーム結合部33の取付凹部33aには環状の第2のシート部材34が取り付けられている。第2のシート部材34としては弾性に富む発泡材やゴム等が用いられている。第2のシート部材34は、例えば、両面テープや接着剤によってフレーム結合部33に取り付けられる。
【0070】
このように第2のシート部材34はフレーム結合部33に形成された取付凹部33aに取り付けられるため、第2のシート部材34のフレーム結合部33に対する位置精度の向上を図ることができる。また、第2のシート部材34が取付凹部33aに取り付けられることにより、第2のシート部材34をプラテン300から突出しないようにすることが可能であり液体吐出装置1の小型化を図ることができる。さらに、第2のシート部材34は垂直方向を向く一方の面と水平方向を向く一方の面の二面がプラテン300に取り付けられるため、第2のシート部材34のプラテン300に対する取付強度の向上を図ることができる。
【0071】
液体吐出ブロック200とプラテン300の間には空間35が形成され、吸収体32が空吐出開口31b、31b、・・・を介して空間35と連通されている。
【0072】
吸引部400は記録シート1000をプラテン300において吸着するための吸引力を発生する機能を有する。吸引部400には吸引ファン41とエアー吸引路42が設けられている(図1参照)。
【0073】
吸引ファン41が回転されると、エアー吸引路42を介してプラテン300からエアーが吸引され、記録シート1000がプラテン300において吸着されて保持面31aに保持される。このとき記録シート1000は搬送に支障がない吸引力によってプラテン300の保持面31aに吸着される。
【0074】
キャッピングフレーム500は液体吐出ブロック200とプラテン300の間に形成される空間35の密閉性を向上し、液体吐出ブロック200から吐出されるインクの乾き等を防止する機能を有する。
【0075】
キャッピングフレーム500は、例えば、4枚の板状の金属材料が溶接によって結合されて枠状に形成され、一部が金属材料の折曲加工によって形成されている(図2及び図3参照)。尚、キャッピングフレーム500は、例えば、アルミニウム材料等の金属材料の押出加工によって枠状に形成されていてもよい。
【0076】
キャッピングフレーム500は矩形の枠状に形成された上側周面部51と上側周面部51の下縁から内方へ突出されたプラテン結合部52とプラテン結合部52の内縁から下方へ突出された中側周面部53と中側周面部53の下縁から外方へ突出された曲げ部54と曲げ部54の外縁から下方へ突出された下側周面部55とを有している。キャッピングフレーム500には下側周面部55の反対側に位置する二つの下縁からそれぞれ外方へ突出されたカム面部56、56が設けられている。
【0077】
上側周面部51の上端部はヘッド連結部51aとして設けられ、ヘッド連結部51aは液体吐出ブロック200に設けられたフレーム連結部22に対向して第1のシート部材23の真下に位置されている。上側周面部51の内側にはプラテン300が配置されている。
【0078】
プラテン結合部52はプラテン300に設けられたフレーム結合部33に対向して第2のシート部材34の真下に位置されている。
【0079】
プラテン結合部52は板状の金属材料が折り曲げられることにより形成されている。従って、プラテン結合部52を容易に、かつ、製造コストの高騰を来たすことなく形成することができる。また、プラテン結合部52と曲げ部54は金属材料の一部が折り曲げられて形成されているため、プラテン結合部52と曲げ部54がキャッピングフレーム500を補強する補強リブとして機能し、キャッピングフレーム500の強度の向上を図ることができる。
【0080】
キャッピングフレーム500はフレーム駆動機構600によって上下方向へ移動可能とされている(図3参照)。フレーム駆動機構600はモーター61とモーター61のモーター軸に固定されたウォーム62とウォーム62に噛合された減速ギヤ群63と減速ギヤ群63の回転に伴ってそれぞれ回転される伝達ギヤ64、64と伝達ギヤ64、64にそれぞれ連結されたカム軸65、65とカム軸65、65にそれぞれ取り付けられた回転カム66、66、・・・とを有している。
【0081】
カム軸65、65は平行な状態でそれぞれカム面部56、56の真下において回転可能な状態で配置されており、それぞれ軸方向における一端部が伝達ギヤ64、64の中心部に連結されている。
【0082】
回転カム66、66、・・・はカム軸65、65が回転軸とされ、回転軸が偏心した位置に設けられている。回転カム66、66、・・・はカム軸65、65、・・・に軸方向において離隔して位相が同じ向きで固定されている。回転カム66、66、・・・は外周面がそれぞれカム面66a、66a、・・・として形成され、カム面66a、66a、・・・がそれぞれキャッピングフレーム500のカム面部56、56の下面に摺動自在に係合されている。
【0083】
フレーム駆動機構600において、モーター61の回転に伴ってウォーム62が回転されると、減速ギヤ群63が回転され減速ギヤ群63の回転に伴って伝達ギヤ64、64、カム軸65、65及び回転カム66、66、・・・が同期して逆方向へ回転される。回転カム66、66、・・・が同期して回転されると、回転カム66、66、・・・のカム面66a、66a、・・・に対するカム面部56、56の係合位置が変化され、キャッピングフレーム500が上下方向へ移動される。
【0084】
キャッピングフレーム500の下方への移動は、回転カム66、66、・・・のカム面66a、66a、・・・に対するカム面部56、56の係合位置が変化されることにより、重力によって行われる。尚、キャッピングフレーム500の下方への移動を行うためにキャッピングフレーム500を下方へ付勢する付勢バネを設けてもよい。
【0085】
保湿液供給部700は、後述するように、キャッピングフレーム500によって密閉される空間35を湿潤状態に保持するために保湿液を供給する機能を有する。
【0086】
保湿液供給部700は保湿液が貯蔵された保湿液貯蔵部71と保湿液貯蔵部71からプラテン300までの保湿液の供給路になる保湿液供給管72と保湿液供給管72の中間部に配置された保湿液供給ポンプ73とを有している。
【0087】
保湿液貯蔵部71に貯蔵されている保湿液は保湿液供給ポンプ73の駆動により保湿液供給管72からプラテン300の内部に設けられた吸収体32に送られ、空吐出開口31b、31b、・・・を介して液体吐出ブロック200とプラテン300の間の空間35に拡散されて空間35が湿潤状態に保持される。
【0088】
保湿液としては、インクを溶解させる作用を有する液体、例えば、インク液から色材成分を除いたインク溶媒が用いられている。
【0089】
保湿液はプラテン300に配置された液面検出センサー又は湿度センサーの検出値が所定値に達するまで吸収体32に送られる。また、液面検出センサー又は湿度センサーの検出値が基準値を下回ると、所定値に達するまで保湿液が吸収体32に送られる。
【0090】
カッター800は記録シート1000のうちロール紙を切断する機能を有し、排紙部900は液体吐出ブロック200によって画像が記録された記録シート1000が排出される部分である。
【0091】
[液体吐出装置における記録シートの搬送動作]
次に、液体吐出装置1における記録シート1000の給紙から排紙までの動作について説明する(図1参照)。
【0092】
記録シート1000は給紙部100から排紙部900まで搬送パスAにおいて搬送される。
【0093】
記録シート1000のうちロール紙が装填されたロール紙給紙トレイ11又は記録シート1000のうちカット紙が装填されたカット紙手差しトレイ12から給紙ローラー13と給紙ピンチローラー14によってロール紙又はカット紙が給紙される。
【0094】
搬送される記録シート1000はエッジセンサー15によって検出され、搬送ローラー16とピンチローラー17によって液体吐出ブロック200とプラテン300の間へ向けてさらに搬送される。
【0095】
記録シート1000が搬送ローラー16とピンチローラー17によって搬送されるときには、キャッピングフレーム500が動作され液体吐出ブロック200とプラテン300の間の搬送パスAが開放され、液体吐出ブロック200とプラテン300の間の空間35が開放される。このとき吸引部400の吸引ファン41が回転される。記録シート1000は、吸引部400の吸引力によってプラテン300の保持面31aに吸着されて保持される。
【0096】
エッジセンサー15が記録シート1000の先端を検出した時点からの給紙ローラー13による搬送量と搬送ローラー16による搬送量との合計した搬送量が所定値に達すると、液体吐出ブロック200による記録シート1000に対する記録動作が開始される。
【0097】
記録シート1000は搬送ローラー16とピンチローラー17を通過すると、搬送ローラー16と同期して回転されている搬送ローラー18とピンチローラー19によってさらに排紙部900へ向けて搬送される。
【0098】
記録シート1000に対する記録が終了すると、吸引ファン41の動作が停止され、記録シート1000は排紙部900まで搬送される。記録シート1000は、カット紙の場合にはカッター800が動作されないで排紙部900まで搬送され、ロール紙の場合にはカッター800によってカットされた後に排紙部900まで搬送される。
【0099】
記録シート1000の搬送動作が終了すると、キャッピングフレーム500が再び動作されて液体吐出ブロック200とプラテン300の間の空間35が閉塞されて密閉される。
【0100】
[液体吐出装置におけるキャッピングフレームの動作]
次いで、液体吐出装置1におけるキャッピングフレーム500の動作について説明する(図4乃至図7参照)。
【0101】
例えば、インクが吐出される液体吐出ブロック200の液体吐出ノズルは、長期間放置された場合に、ノズル口の近傍に存在するインクから水分が蒸発し、インクが増粘したり色材が固着して不吐出等のインクの吐出不良が発生してしまうことがある。
【0102】
そこで、液体吐出装置1にあっては、記録シート1000に対する記録を行わない状態においてキャッピングフレーム500を移動させ、以下のように、液体吐出ブロック200とプラテン300の間の空間35をキャッピングフレーム500によって密閉しインクからの水分の蒸発を抑制している。
【0103】
記録シート1000に記録が行われている状態においては、キャッピングフレーム500が移動方向(上下方向)における最も下方の下降位置に保持されている(図4及び図5参照)。キャッピングフレーム500が下降位置にあるときには、上側周面部51のヘッド連結部51aが液体吐出ブロック200のフレーム連結部22に取り付けられた第1のシート部材23から下方に離隔して位置されている。また、プラテン結合部52がプラテン300のフレーム結合部33に取り付けられた第2のシート部材34から下方に離隔して位置されている。
【0104】
キャッピングフレーム500は上端がプラテン300の上面より下方に位置されており、液体吐出ブロック200とプラテン300の間の空間35が開放され搬送パスAを閉塞しない状態とされている。
【0105】
このときプラテン300の外周面とキャッピングフレーム500の上側周面部51の内周面との間には、キャッピングフレーム500をプラテン300に対して移動させるための隙間57が存在する(図5参照)。隙間57はキャッピングフレーム500の加工上のばらつきを吸収できる程度の大きさにされており、例えば、0.3mm程度にされている。隙間57はキャッピングフレーム500とプラテン300の間の摺動負荷を低減してキャッピングフレーム500を上下方向へ円滑に移動させるために必要不可欠なクリアランスである。
【0106】
記録シート1000に対する記録動作が終了すると、フレーム駆動機構600のモーター61が回転されてキャッピングフレーム500が上方へ移動されていき、上側周面部51のヘッド連結部51aが液体吐出ブロック200のフレーム連結部22に取り付けられた第1のシート部材23に下方から接触されると共にプラテン結合部52がプラテン300のフレーム結合部33に取り付けられた第2のシート部材34に下方から接触される(図6及び図7参照)。ヘッド連結部51aが第1のシート部材23に下方から接触されると共にプラテン結合部52が第2のシート部材34に下方から接触されることにより、液体吐出ブロック200とプラテン300の間の空間35がキャッピングフレーム500によって密閉される。
【0107】
キャッピングフレーム500は移動方向における最も上方の上昇位置まで移動されて停止される。キャッピングフレーム500が上昇位置まで移動された状態においては、第1のシート部材23と第2のシート部材34にそれぞれヘッド連結部51aとフレーム結合部33が下方から押し付けられ、第1のシート部材23と第2のシート部材34が何れも弾性変形された状態とされている。
【0108】
このようにキャッピングフレーム500は第1のシート部材23と第2のシート部材34を弾性変形させる位置まで上方へ移動されるため、キャッピングフレーム500の第1のシート部材23と第2のシート部材34に対する平面度や位置精度が低い場合においても空間35を確実に密閉することができる。
【0109】
キャッピングフレーム500が上昇位置まで移動されたときには、上記したように、ヘッド連結部51aが第1のシート部材23に下方から押し付けられると共にプラテン結合部52が第2のシート部材34に下方から押し付けられている。従って、プラテン300の外周面とキャッピングフレーム500の上側周面部51の内周面との間の隙間57もキャッピングフレーム500によって密閉される。
【0110】
キャッピングフレーム500によって空間35が密閉されると、上記したように、保湿液供給部700の保湿液貯蔵部71から保湿液供給管72を介してプラテン300の吸収体32に保湿液が供給され空間35が湿潤状態に保持される。従って、液体吐出ブロック200の液体吐出ノズルから吐出されるインクの乾きが抑制される。
【0111】
記録シート1000に対する記録動作が再開されるときには、フレーム駆動機構600のモーター61が回転され、キャッピングフレーム500が下方へ移動されていき、上側周面部51のヘッド連結部51aが第1のシート部材23から下方に離隔されると共にプラテン結合部52が第2のシート部材34から下方に離隔される。キャッピングフレーム500は下降位置まで移動され(図4及び図5参照)、液体吐出ブロック200とプラテン300の間の空間35が開放され搬送パスAが開放される。
【0112】
上記には、第1のシート部材23を液体吐出ブロック200のフレーム連結部22に取り付けた例を示したが、逆に、第1のシート部材23をキャッピングフレーム500のヘッド連結部51aに取り付けることも可能である。
【0113】
但し、ヘッド連結部51aが板状の材料によって先端面が上方を向くように形成されており第1のシート部材23の取付幅が小さいため、第1のシート部材23を液体吐出ブロック200のフレーム連結部22に取り付けることが望ましい。第1のシート部材23を液体吐出ブロック200のフレーム連結部22に取り付けることにより、液体吐出ブロック200が上下方向の厚みより水平方向の大きさの方が大きい扁平な形状に形成されているため、第1のシート部材23の幅方向における全面を液体吐出ブロック200に取り付けることが可能である。
【0114】
従って、第1のシート部材23の取付作業における作業性の向上を図ることができると共に第1のシート部材23の液体吐出ブロック200に対する取付強度が高く第1のシート部材23の剥がれを防止することができる。
【0115】
また、上記には、第2のシート部材34をプラテン300のフレーム結合部33に取り付けた例を示したが、逆に、第2のシート部材34をキャッピングフレーム500のプラテン結合部52に取り付けることも可能である。
【0116】
但し、第2のシート部材34をキャッピングフレーム500のプラテン結合部52に取り付ける場合には、第2のシート部材34をキャッピングフレーム500の内部に挿入して取り付ける必要がある。
【0117】
一方、第2のシート部材34をプラテン300のフレーム結合部33に取り付ける場合には、第2のシート部材34をこれが取り付けられる部材の内部に挿入して取付作業を行う必要がない。従って、第2のシート部材34をフレーム結合部33に取り付けることにより、第2のシート部材34の取付作業における作業性の向上を図ることができる。
【0118】
以上に記載した通り、液体吐出装置1にあっては、第1のシート部材23と第2のシート部材34を設け、第1のシート部材23をフレーム連結部22又はヘッド連結部51aに取り付け、第2のシート部材34をフレーム結合部33又はプラテン結合部52に取り付けている。
【0119】
従って、第1のシート部材23と第2のシート部材34の何れをも二つの部材間に跨らせた状態で取り付ける必要がなく、第1のシート部材23と第2のシート部材34の取付作業における作業性の向上を図ることができる。
【0120】
また、キャッピングフレーム500の上下方向における移動時に、第1のシート部材23と第2のシート部材34に対してこれらが取り付けられた各部材から剥がれる方向への力が付与されることがない。従って、第1のシート部材23と第2のシート部材34の剥がれを防止して液体吐出ブロック200とプラテン300の間の空間35の密閉性の向上を図ることができる。
【0121】
[液体吐出装置の変形例]
以下に、液体吐出装置の変形例について説明する(図8及び図9参照)。
【0122】
尚、以下に示す変形例に係る液体吐出装置1Aは、上記した液体吐出装置1と比較して、液体吐出ブロックに設けられたフレーム連結部の位置が異なること、プラテンに設けられたフレーム結合部の位置が異なること及びキャッピングフレームの構成が異なることのみが相違するため、液体吐出装置1と比較して異なる部分についてのみ詳細に説明をし、その他の部分については液体吐出装置1における同様の部分に付した符号と同じ符号を付して説明は省略する。
【0123】
尚、液体吐出装置1Aにおける図については、概念的に示すこととする。
【0124】
液体吐出ブロック200Aは上下方向の厚みより水平方向の大きさの方が大きい扁平な形状に形成されている。
【0125】
液体吐出ヘッド21の外周部における上端部はキャッピングフレーム500Aに連結されるフレーム連結部22Aとして設けられている。フレーム連結部22Aには外方及び上方に開口された環状の取付凹部22bが形成されている。
【0126】
フレーム連結部22Aの取付凹部22bには第1のシート部材23が取り付けられている。
【0127】
このように第1のシート部材23はフレーム連結部22Aに形成された取付凹部22bに取り付けられるため、第1のシート部材23のフレーム連結部22Aに対する位置精度の向上を図ることができる。また、第1のシート部材23を取付凹部22bに取り付けることにより、第1のシート部材23を液体吐出ブロック200Aから突出しないようにすることが可能であり液体吐出装置1Aの小型化を図ることができる。さらに、第1のシート部材23は垂直方向を向く一方の面と水平方向を向く一方の面の二面が液体吐出ブロック200Aに取り付けられるため、第1のシート部材23の液体吐出ブロック200Aに対する取付強度の向上を図ることができる。
【0128】
プラテン300Aは上下方向の厚みより水平方向の大きさの方が大きい扁平な形状に形成されている。
【0129】
プラテン300Aの上端部における外周部はキャッピングフレーム500Aに結合されるフレーム結合部33Aとして設けられている。フレーム結合部33Aには外方及び上方に開口された環状の取付凹部33bが形成されている。
【0130】
フレーム結合部33Aの取付凹部33bには環状の第2のシート部材34が取り付けられている。
【0131】
このように第2のシート部材34はフレーム結合部33Aに形成された取付凹部33bに取り付けられるため、第2のシート部材34のフレーム結合部33Aに対する位置精度の向上を図ることができる。また、第2のシート部材34をプラテン300Aから突出しないようにすることが可能であり液体吐出装置1Aの小型化を図ることができる。さらに、第2のシート部材34は垂直方向を向く一方の面と水平方向を向く一方の面の二面がプラテン300Aに取り付けられるため、第2のシート部材34のプラテン300Aに対する取付強度の向上を図ることができる。
【0132】
キャッピングフレーム500Aは矩形の枠状に形成された上側周面部51Aと上側周面部51Aの下縁から外方へ突出されたヘッド連結部52Aとヘッド連結部52Aの外縁から下方へ突出された下側周面部55Aとを有している。
【0133】
下側周面部55Aの下端部はプラテン結合部55aとして設けられ、プラテン結合部55aはキャッピングフレーム300Aに設けられたフレーム結合部33Aに対向して第2のシート部材34の真上に位置されている。下側周面部55Aの内側には液体吐出ブロック200Aが配置されている。
【0134】
ヘッド連結部52Aは液体吐出ブロック200Aに設けられたフレーム連結部22Aに対向して第1のシート部材23の真上に位置されている。
【0135】
ヘッド連結部52Aは板状の金属材料が折り曲げられることにより形成されている。従って、ヘッド連結部52Aを容易に、かつ、製造コストの高騰を来たすことなく形成することができる。また、ヘッド連結部52Aは金属材料の一部が折り曲げられて形成されているため、ヘッド連結部52Aがキャッピングフレーム500Aを補強する補強リブとして機能し、キャッピングフレーム500Aの強度の向上を図ることができる。
【0136】
キャッピングフレーム500Aは図示しないフレーム駆動機構によって上下方向へ移動可能とされている。
【0137】
記録シート1000に記録が行われている状態においては、キャッピングフレーム500Aが移動方向(上下方向)における最も上方の上昇位置に保持されている(図8参照)。キャッピングフレーム500Aが上昇位置にあるときには、下側周面部55Aのプラテン結合部55aがプラテン300Aのフレーム結合部33Aに取り付けられた第2のシート部材34から上方に離隔して位置されている。また、ヘッド連結部52Aが液体吐出ブロック200Aのフレーム連結部22Aに取り付けられた第1のシート部材23から上方に離隔して位置されている。
【0138】
キャッピングフレーム500Aは下端が液体吐出ブロック200Aの下面より上方に位置されており、液体吐出ブロック200Aとプラテン300Aの間の空間35が開放され搬送パスAを閉塞しない状態とされている。
【0139】
このとき液体吐出ブロック200Aの外周面とキャッピングフレーム500Aの下側周面部55Aの内周面との間には、キャッピングフレーム500Aを液体吐出ブロック200Aに対して移動させるための隙間58が存在する。隙間58はキャッピングフレーム500Aの加工上のばらつきを吸収できる程度の大きさにされており、例えば、0.3mm程度にされている。隙間58はキャッピングフレーム500Aと液体吐出ブロック200Aの間の摺動負荷を低減してキャッピングフレーム500Aを上下方向へ円滑に移動させるために必要不可欠なクリアランスである。
【0140】
記録シート1000に対する記録動作が終了すると、フレーム駆動機構によってキャッピングフレーム500Aが下方へ移動されていき、下側周面部55Aのプラテン結合部55aがプラテン300Aのフレーム結合部33Aに取り付けられた第2のシート部材34に上方から接触されると共にヘッド連結部52Aが液体吐出ブロック200Aのフレーム連結部22Aに取り付けられた第1のシート部材23に上方から接触される(図9参照)。プラテン結合部55aが第2のシート部材34に上方から接触されると共にヘッド連結部52Aが第1のシート部材23に上方から接触されることにより、液体吐出ブロック200Aとプラテン300Aの間の空間35がキャッピングフレーム500Aによって密閉される。
【0141】
キャッピングフレーム500Aは移動方向における最も下方の下降位置まで移動されて停止される。キャッピングフレーム500Aが下降位置まで移動された状態においては、第2のシート部材34と第1のシート部材23にそれぞれプラテン結合部55aとフレーム連結部22Aが上方から押し付けられ、第2のシート部材34と第1のシート部材23が何れも弾性変形された状態とされている。
【0142】
このようにキャッピングフレーム500Aは第2のシート部材34と第1のシート部材23を弾性変形させる位置まで下方へ移動されるため、キャッピングフレーム500Aの第1のシート部材23と第2のシート部材34に対する平面度や位置精度が低い場合においても空間35を確実に密閉することができる。
【0143】
キャッピングフレーム500Aが下降位置まで移動されたときには、上記したように、ヘッド連結部52Aが第1のシート部材23に上方から押し付けられると共にプラテン結合部55aが第1のシート部材23に上方から押し付けられている。従って、液体吐出ブロック200Aの外周面とキャッピングフレーム500Aの下側周面部55Aの内周面との間の隙間58もキャッピングフレーム500Aによって密閉される。
【0144】
キャッピングフレーム500Aによって空間35が密閉されると、保湿液供給部700の保湿液貯蔵部71から保湿液供給管72を介して液体吐出ブロック200Aの吸収体32に保湿液が供給され空間35が湿潤状態に保持される。従って、液体吐出ブロック200Aの液体吐出ノズルから吐出されるインクの乾きが抑制される。
【0145】
記録シート1000に対する記録動作が再開されるときには、フレーム駆動機構によってキャッピングフレーム500Aが上方へ移動されていき、下側周面部55Aのプラテン結合部55aが第2のシート部材34から上方に離隔されると共にヘッド連結部52Aが第1のシート部材23から上方に離隔される。キャッピングフレーム500Aは上昇位置まで移動され(図8参照)、液体吐出ブロック200Aとプラテン300Aの間の空間35が開放され搬送パスAが開放される。
【0146】
上記には、第1のシート部材23を液体吐出ブロック200Aのフレーム連結部22Aに取り付けた例を示したが、逆に、第1のシート部材23をキャッピングフレーム500Aのヘッド連結部52Aに取り付けることも可能である。
【0147】
但し、第1のシート部材23をキャッピングフレーム500Aのヘッド連結部52Aに取り付ける場合には、第1のシート部材23をキャッピングフレーム500Aの内部に挿入して取り付ける必要がある。
【0148】
一方、第1のシート部材23を液体吐出ブロック200Aのフレーム連結部22Aに取り付ける場合には、第1のシート部材23をこれが取り付けられる部材の内部に挿入して取付作業を行う必要がない。従って、第1のシート部材23をフレーム連結部22Aに取り付けることにより第1のシート部材23の取付作業における作業性の向上を図ることができる。
【0149】
また、上記には、第2のシート部材34をプラテン300Aのフレーム結合部33Aに取り付けた例を示したが、逆に、第2のシート部材34をキャッピングフレーム500Aのプラテン結合部55aに取り付けることも可能である。
【0150】
但し、プラテン結合部55aが板状の材料によって先端面が下方を向くように形成されており第2のシート部材34の取付幅が小さいため、第2のシート部材34をプラテン300Aのフレーム結合部33Aに取り付けることが望ましい。第2のシート部材34をプラテン300Aのフレーム結合部33Aに取り付けることにより、プラテン300Aが上下方向の厚みより水平方向の大きさの方が大きい扁平な形状に形成されているため、第2のシート部材34の幅方向における全面をプラテン300Aに取り付けることが可能である。
【0151】
従って、第2のシート部材34の取付作業における作業性の向上を図ることができると共に第2のシート部材34のプラテン300Aに対する取付強度が高く第2のシート部材34の剥がれを防止することができる。
【0152】
以上に記載した通り、液体吐出装置1Aにあっては、第1のシート部材23と第2のシート部材34を設け、第2のシート部材34をフレーム結合部33A又はプラテン結合部55aに取り付け、第1のシート部材23をフレーム連結部22A又はヘッド連結部52Aに取り付けている。
【0153】
従って、第1のシート部材23と第2のシート部材34の何れをも二つの部材間に跨らせた状態で取り付ける必要がなく、第1のシート部材23と第2のシート部材34の取付作業における作業性の向上を図ることができる。
【0154】
また、キャッピングフレーム500Aの上下方向における移動時に、第1のシート部材23と第2のシート部材34に対してこれらが取り付けられた各部材から剥がれる方向への力が付与されることがない。従って、第1のシート部材23と第2のシート部材34の剥がれを防止して液体吐出ブロック200Aとプラテン300Aの間の空間35の密閉性の向上を図ることができる。
【0155】
[その他]
上記には、液体吐出装置1、1Aとしてラインヘッド型を例として示したが、本発明はラインヘッド型の液体吐出装置に限らず、キャッピングフレームが上下方向へ移動可能な構成であれば、液体吐出ヘッドを記録シート1000の幅方向へ移動させて記録を行うシリアルヘッド型の液体吐出装置に適用することも可能である。
【0156】
上記した最良の形態において示した各部の具体的な形状及び構造は、何れも本発明を実施する際の具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0157】
【図1】図2乃至図9と共に本発明液体吐出装置の実施の形態を示すものであり、本図は、液体吐出装置の概略側面図である。
【図2】液体吐出ヘッドとプラテンとキャッピングフレームを示す断面図である。
【図3】プラテンとキャッピングフレームとフレーム駆動機構を示す斜視図である。
【図4】液体吐出ヘッドとプラテンとキャッピングフレームをキャッピングフレームが下降位置にある状態で示す断面図である。
【図5】液体吐出ヘッドとプラテンとキャッピングフレームの一部をキャッピングフレームが下降位置にある状態で示す拡大断面図である。
【図6】液体吐出ヘッドとプラテンとキャッピングフレームをキャッピングフレームが上昇位置にある状態で示す断面図である。
【図7】液体吐出ヘッドとプラテンとキャッピングフレームの一部をキャッピングフレームが上昇位置にある状態で示す拡大断面図である。
【図8】変形例に係る液体吐出装置の液体吐出ヘッドとプラテンとキャッピングフレームをキャッピングフレームが下降位置にある状態で示す概略断面図である。
【図9】変形例に係る液体吐出装置の液体吐出ヘッドとプラテンとキャッピングフレームをキャッピングフレームが上昇位置にある状態で示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0158】
1…液体吐出装置、300…プラテン、500…キャッピングフレーム、600…フレーム駆動機構、1000…記録シート、21…液体吐出ヘッド、21a…液体吐出面、22…フレーム連結部、22a…取付凹部、23…第1のシール部材、31a…保持面、33…フレーム結合部、33a…取付凹部、34…第2のシール部材、35…空間、51a…ヘッド連結部、52…プラテン結合部、22A…フレーム連結部、22b…取付凹部、300A…プラテン、33A…フレーム結合部、33b…取付凹部、500A…キャッピングフレーム、52A…ヘッド結合部、55a…プラテン結合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像情報に基づいて記録シートに対して液体を吐出する複数の液体吐出ノズルが配列されると共に前記複数の液体吐出ノズルの各ノズル口が配列された液体吐出面を有する液体吐出ヘッドと、
前記記録シートを前記液体吐出面に対向させる状態で保持し前記液体吐出ヘッドの液体吐出面に対向して位置された保持面を有するプラテンと、
前記液体吐出ヘッドの液体吐出面と前記プラテンの保持面とが対向する方向へ移動可能とされ一方向へ移動されることにより前記液体吐出ヘッドと前記プラテンの間に形成される空間を密閉するキャッピングフレームと、
前記キャッピングフレームを前記液体吐出ヘッドの液体吐出面と前記プラテンの保持面とが対向する方向へ移動させるフレーム駆動機構とを備え、
前記液体吐出ヘッドにフレーム連結部を設け、
前記プラテンにフレーム結合部を設け、
前記キャッピングフレームに前記フレーム連結部に対向するヘッド連結部と前記フレーム結合部に対向するプラテン結合部とを設け、
前記フレーム連結部又は前記ヘッド連結部に第1のシール部材を取り付け、
前記フレーム結合部又は前記プラテン結合部に第2のシール部材を取り付け、
前記キャッピングフレームが前記一方向へ移動されたときに前記第1のシート部材が前記ヘッド連結部又は前記フレーム連結部に接して押し付けられると共に前記第2のシート部材が前記プラテン結合部又は前記フレーム結合部に接して押し付けられるようにした
液体吐出装置。
【請求項2】
前記ヘッド連結部が前記キャッピングフレームにおける前記液体吐出ヘッド側の先端部に設けられ、
前記第1のシート部材が前記液体吐出ヘッドのフレーム連結部に取り付けられた
請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記液体吐出ヘッドのフレーム連結部に取付凹部が形成され、
前記取付凹部に前記第1のシート部材が取り付けられた
請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記プラテンのフレーム結合部に取付凹部が形成され、
前記取付凹部に前記第2のシート部材が取り付けられた
請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記キャッピングフレームを板状の金属材料によって形成し、
前記プラテン結合部を、前記キャッピングフレームの一部を前記キャッピングフレームの移動方向を向くように折り曲げて形成した
請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記プラテン結合部が前記キャッピングフレームにおける前記プラテン側の先端部に設けられ、
前記第2のシート部材が前記プラテンのフレーム結合部に取り付けられた
請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記プラテンのフレーム結合部に取付凹部が形成され、
前記取付凹部に前記第2のシート部材が取り付けられた
請求項6に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記液体吐出ヘッドのフレーム連結部に取付凹部が形成され、
前記取付凹部に前記第1のシート部材が取り付けられた
請求項6に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記キャッピングフレームを板状の金属材料によって形成し、
前記ヘッド連結部を、前記キャッピングフレームの一部を前記キャッピングフレームの移動方向を向くように折り曲げて形成した
請求項6に記載の液体吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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