説明

液体噴出器

【課題】容器体Aに着脱可能に装着するとともに、容器体A内に垂下したシリンダ11の下端より吸上げパイプ13を垂設し、上端の押下ヘッド12の上下動により容器体内の液を吸い上げて噴出口14より噴出する如く構成した液体噴出器であって、例えば匂い等の収容液の特性を変化させることができ、また、簡単な操作で複数の特性を交換的に変化させることができる液体噴出器を提案する。
【解決手段】液の流通が可能な状態で吸上げパイプ13の内部へ香料等の液の特性を変化させる粒体15を収容した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
液体噴出器として、容器体に押下ヘッド式のポンプを着脱可能に装着した形態のものが提案されている。(例えば、特許文献1参照)
【0003】
上記液体噴出器に於けるポンプは、容器体内に垂設したシリンダを備え、シリンダの下端には吸上げパイプを嵌着している。また、シリンダ内から上方付勢状態で押し下げ可能に突出したステムの上端に噴出口付きの押下ヘッドを嵌着している。そして、押下ヘッドを上下動させることにより、内蔵ポンプ機構の作用でシリンダ内の液を噴出口より噴出するとともに、容器体内の液を吸い上げパイプを介してシリンダ内に吸い上げる如く構成している。ここに使用されている吸い上げパイプは容器体内に垂下したシリンダの下端に上端を嵌着し、下端を容器体内下部に垂下させたものであり、前方へ屈曲させてその下端を容器体の内底前隅部に位置させる如く構成している。
【特許文献1】特開平08−011957号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はこの様な一般的な液体噴出器に於いて、例えば香り等の収容液の特性を変化させることができ、また、必要に応じて簡単な操作により複数の特性を交換的に発揮させることができる液体噴出器を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の手段として以下の通り構成した。即ち、容器体Aに着脱可能に装着するとともに、容器体A内に垂下したシリンダ11の下端より吸上げパイプ13を垂設し、上端の押下ヘッド12の上下動により容器体A内の液を吸い上げて押下ヘッド12の噴出口14より噴出する如く構成した液体噴出器に於いて、収容液との接触により噴出液に特性を付加する粒体15を、液の流通が可能な状態で収容した。
【0006】
第2の手段として以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、粒体15を吸上げパイプ13内に、液の流通が可能な状態で収容した。
【0007】
第3の手段として以下の通り構成した。即ち、前記第2の手段に於いて、吸上げパイプ13をシリンダ11に対して着脱自在に装着した。
【0008】
第4の手段として以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、粒体15を吸上げパイプ13下端部に嵌着したパイプ50内に収容した。
【0009】
第5の手段として以下の通り構成した。即ち、前記第2の手段乃至第4の手段のいずれかの手段に於いて、所定間隔をあけて嵌着した一対のメッシュ16間に粒体15を収容した粒体収容部17を画成し、液の流通が可能な状態で粒体収容部17内部へ粒体15を収容した。
【0010】
第6の手段として以下の通り構成した。即ち、前記第5の手段に於いて、粒体収容部17上流に、上流から下流に一方的に連通する逆止弁30を設けた。
【0011】
第7の手段として以下の通り構成した。即ち、前記第5の手段又は第6の手段のいずれかの手段に於いて、粒体収容部17内に粒体15の移動が可能な空隙を設けた。
【0012】
第8の手段として以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第7の手段のいずれかの手段に於いて、容器体内からの液の流入口に底蓋20を着脱可能に嵌合させた。
【0013】
第9の手段として以下の通り構成した。即ち、前記請求項5乃至請求項8のいずれかの手段に於いて、吸上げパイプ13の一部を拡径した拡径部40の上下位置にメッシュ16を嵌着して画成した。
【発明の効果】
【0014】
本発明の液体噴出器は、収容液との接触により噴出液に特性を付加する粒体15を、液の流通が可能な状態で収容しているため、液の噴出に伴い収容液に粒体15の特性を付与することができ、例えば、粒体15として香料を使用した場合には、容器体A内の収容液を異なる匂いとして噴出口14から噴出することができる。
【0015】
また、粒体15を吸上げパイプ13内に、液の流通が可能な状態で収容した場合には、既存の液体噴出器の吸上げパイプ13を、液の流通が可能な状態で粒体15を収容した吸上げパイプ13と交換することで形成できるという製造上の便利がある。
【0016】
吸上げパイプ13をシリンダ11に対して着脱自在に装着した場合には、異なる粒体15を収容した複数の吸上げパイプ13を用意しておいて、必要に応じてそれらを交換して使用することができる利点がある。
【0017】
粒体15を吸上げパイプ13下端部に嵌着したパイプ50内に収容した場合にも、既存の液体噴出器の吸上げパイプ13を、液の流通が可能な状態で粒体15を収容したパイプ50を装着した吸上げパイプ13と交換することで形成できるという製造上の便利がある。
【0018】
所定間隔をあけて嵌着した一対のメッシュ16間に粒体15を収容した粒体収容部17を画成し、液の流通が可能な状態で粒体収容部17内部へ粒体15を収容した場合には、一方のメッシュ16を嵌着後粒体15を充填し、他方のメッシュ16を嵌着するという簡単な工程で粒体15の充填を行える。また、両開口端に蓋を嵌着しておく等すれば充填した粒体15は零れる虞れがなく、その状態で単独の保管も可能となる。
【0019】
粒体収容部17上流に、上流から下流に一方的に連通する逆止弁30を設けた場合には、粒体収容部17内に浸入した液が容器体A内に戻ることを防止でき、その結果、容器体A内の液に例えば粒体15の匂いが移ってしまう等の不都合を防止できる。特定の粒体15の特性が容器体A内の液へ付加されると、異なる粒体15を収容した他の吸上げパイプ13を交換して使用した場合、次々容器体A内の液へ特性が付加される虞れがあり、吸上げパイプ13の交換使用が困難となる。
【0020】
粒体収容部17内に粒体15の移動が可能な空隙を設けた場合には、液の噴出時に粒体15が移動して粒体15の特性を液に対してさらに付加し易くなる。
【0021】
容器体内からの液の流入口に底蓋20を着脱可能に嵌合させた場合には、消費者が使用する前までは、吸上げパイプ13内に液が浸入するのを確実に防止できる。
【0022】
粒体収容部17を、パイプの一部を拡径した拡径部40の上下位置にメッシュ16を嵌着して画成した粒体収容部17の場合には、粒体収容部17内を通過する液の速度を遅くすることができ、その径の大きさを粒体15の種類に併せて選択することで粒体15と液との好ましい接触時間の調整を行える。また、当然ながら粒体15の充填量を多くすることができる。尚、パイプとは吸上げパイプ13或いはパイプ50を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施例の形態を図面を参照して説明する。
【0024】
図1乃至図3は本発明の液体噴出器1の一例を示すもので、液体噴出器1は、容器体AとポンプBとを備えている。
【0025】
容器体Aは合成樹脂により形成され、底壁周縁より周壁を立設し、周壁の上端に肩部を介して口頸部を起立したボトルタイプのものを使用している。
【0026】
ポンプBは、装着キャップ10を容器体口頸部外周に螺合させて着脱可能に容器体Aに装着したもので、シリンダ11を容器体A内に垂下するとともに、装着キャップ10上端より上方付勢状態で押し下げ可能に押下ヘッド12を突設している。また、シリンダ11の下端には吸上げパイプ13を嵌着している。そして、押下ヘッド12を上下動させることにより、内蔵ポンプ機構(図示せず)の作用で、容器体A内の液を吸い上げて押下ヘッド12の噴出口14より噴出する如く構成している。
【0027】
吸上げパイプ13は合成樹脂製で、液の流通が可能な状態で内部へ粒体15を収容している。更に言えば、図2に拡大図で示す如く、所定間隔をあけて嵌着した一対のメッシュ16,16間に粒体15を収容した粒体収容部17を画成して、液の流通が可能な状態で粒体15を収納している。各メッシュ16は嵌着用の筒部18と一体に形成された合成樹脂製で、筒部18の一端面に張設して構成している。そして、筒部18を吸上げパイプ13内所定位置に嵌合し、周囲の吸上げパイプ13部分をかしめて固定している。また、吸上げパイプ13はシリンダ11に対して着脱可能に装着している。
【0028】
粒体15は収容液との接触により噴出液に特性を付加するもので、例えば、液の通過により液と反応したり、或いは液に溶解或いは分散したりして、その液の特性、例えば匂い,色,その他を変化させて噴出することができるものが採用される。本例の粒体17は香料を使用している。粒体15は図1にある如く粒体収容部17上部に不充填部分である空隙を設けて、液の噴出の際に液圧で移動が可能に構成している。尚、粒体収容部17内全体にわたって粒体15を充填することも当然可能である。
【0029】
上記の如く構成された液体噴出器1を使用する場合に付いて説明する。図1の状態から押下ヘッド12を上下動させると、容器体A内の液が吸上げパイプ13を介してシリンダ11内に吸い上げられ、噴出口14から噴出される。この際、粒体収容部17内を通過した液はここで変化し、噴出口14から噴出される。また、装着キャップ10を螺脱して容器体AよりポンプBを取り外し、吸上げパイプ13を取り外して別に用意してある吸上げパイプ13を装着して、再びポンプBを容器体Aに装着することができる。別に用意してある吸上げパイプ13には異なる香料を収容しておけば、別の匂いの噴出液を噴出させることができる。
【0030】
図3及び図4は他の例を示し、図1の例に於いて、吸上げパイプ13の下端に底蓋20を着脱可能に嵌着した例を示す。この場合には、使用時にポンプBを容器体Aから外して底蓋20を取り除く如く構成している。従って、底蓋20を取り除くまでは粒体15と収容液との接触を防止している。底蓋20は蓋板21の周縁より嵌合筒部22を立設して構成している。尚、この底蓋20は、後述する図5或いは図7の例に採用することも当然可能である。その他の構成は図1の例と同様であるため同符号を付して説明を省略する。
【0031】
図5及び図6は更に他の例を示し、図1の例に於いて、粒体収容部17上流の吸上げパイプ13内に、逆止弁30を設けている。逆止弁30は、上流から下流に一方的に連通するもので、弁座31を下縁より突設した外筒32を吸上げパイプ13内周に嵌着し、また、外筒32内に嵌合させた内筒33の下端縁より連結片34を介して弁座31上に弁板35を延設している。逆止弁30を設けることにより粒体15の特性を容器体A内に浸入させない様に構成している。尚、逆止弁30は本例のものに限らず、上記要件を満たせばその形状は種々採用できる。また、逆止弁30の形態等により、逆止弁30を嵌着するための吸上げパイプ13の径を部分的に大きく構成しても良い。その他の構成は図1の例と同様であるため同符号を付して説明を省略する。
【0032】
図7は更に他の例を示し、図1の例に於いて、吸上げパイプ13の一部を拡径した拡径部40の上下にメッシュ16,16を嵌着して粒体収容部17を形成している。各メッシュ16は図1と同様に嵌着用の筒部18と合成樹脂により一体に形成されている。その他の構成は図1の例と同様であるため同符号を付して説明を省略する。
【0033】
図8は更に他の例を示し、粒体15を吸上げパイプ13下端部に嵌着したパイプ50内に収容した例を示す。パイプ50内には図1の例と同様に所定間隔をあけて一対のメッシュ16を嵌着しており、メッシュ16間に粒体15を収容した粒体収容部17を画成して液の流通が可能な状態で粒体15を収容している。パイプ50は上端部を吸上げパイプ13の下端部に着脱可能に嵌合させている。その他は図1の例と同様であるため、同符号を付して説明を省略する。尚、図示しないが、この場合もパイプ50の下端に底蓋20を着脱自在に嵌着させても良く、或いは粒体収容部17上流のパイプ50内に上流から下流に一方的に連通する逆止弁を設けても良く、更には、パイプ50の一部を拡径した拡径部をメッシュ間に設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】液体噴出器の要部切欠き側面図である。(実施例1)
【図2】吸上げパイプの拡大断面図である。(実施例1)
【図3】液体噴出器の要部切欠き側面図である。(実施例2)
【図4】吸上げパイプの拡大断面図である。(実施例2)
【図5】液体噴出器の要部切欠き側面図である。(実施例3)
【図6】吸上げパイプの拡大断面図である。(実施例3)。
【図7】液体噴出器の要部切欠き側面図である。(実施例4)
【図8】吸上げパイプ及びパイプの拡大断面図である。(実施例5)
【符号の説明】
【0035】
1…液体噴出器
A…容器体
B…ポンプ
10…装着キャップ,11…シリンダ,12…押下ヘッド,13…吸上げパイプ,
14…噴出口,15…粒体,16…メッシュ,17…粒体収容部、18…筒部,20…底蓋,
21…蓋板,22…嵌合筒部,30…逆止弁,31…弁座,32…外筒,33…内筒,
34…連結片,35…弁板,40…拡径部,50…パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体Aに着脱可能に装着するとともに、容器体A内に垂下したシリンダ11の下端より吸上げパイプ13を垂設し、上端の押下ヘッド12の上下動により容器体A内の液を吸い上げて押下ヘッド12の噴出口14より噴出する如く構成した液体噴出器に於いて、収容液との接触により噴出液に特性を付加する粒体15を、液の流通が可能な状態で収容したことを特徴とする液体噴出器。
【請求項2】
粒体15を吸上げパイプ13内に、液の流通が可能な状態で収容した請求項1記載の液体噴出器。
【請求項3】
吸上げパイプ13をシリンダ11に対して着脱自在に装着した請求項2に記載の液体噴出器。
【請求項4】
粒体15を吸上げパイプ13下端部に嵌着したパイプ50内に収容した請求項1記載の液体噴出器。
【請求項5】
所定間隔をあけて嵌着した一対のメッシュ16間に粒体15を収容した粒体収容部17を画成し、液の流通が可能な状態で粒体収容部17内部へ粒体15を収容した請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の液体噴出器。
【請求項6】
粒体収容部17上流に、上流から下流に一方的に連通する逆止弁30を設けた請求項5に記載の液体噴出器。
【請求項7】
粒体収容部17内に粒体15の移動が可能な空隙を設けた請求項5又は請求項6のいずれかに記載の液体噴出器。
【請求項8】
容器体内からの液の流入口に底蓋20を着脱可能に嵌合させた請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の液体噴出器。
【請求項9】
粒体収容部17を、パイプの一部を拡径した拡径部40の上下位置にメッシュ16を嵌着して画成した請求項5乃至請求項8のいずれかに記載の液体噴出器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−106907(P2009−106907A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−284517(P2007−284517)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】