説明

液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置

【課題】接合層の膨潤片による液体流動への悪影響防止し得る液体噴射ヘッドおよびそれが装備された液体噴射装置を提供する。
【解決手段】圧力発生室ユニット24と、供給口形成基板9と、共通液体室形成基板7と、ノズルプレート6とが層状構造として形成され、供給口形成基板9に、共通液体室2から圧力発生室4に液体を導入する導入流路13が設けられ、供給口形成基板9および共通液体室形成基板7に、圧力発生室4からノズル開口5に液体を供給する供給流路14が設けられ、共通液体室形成基板7の導入流路13側の表面7aに、共通液体室2と導入流路13とを連通させる制御流路25が形成されている。上記構成により、制御流路25の液体流動の制御により、液体噴射時に液体が共通液体室2に逆流する量を低減させ、圧力発生室4への液体導入時には、液体導入量を増量させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の流動状態を正常に維持する液体噴射ヘッドおよびこのような液体噴射ヘッドが装着された液体噴射装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体をターゲットに噴射させる液体噴射装置の一つとして、インクジェット式プリンタが広く用いられている。このインクジェット式プリンタは、キャリッジと、同キャリッジに搭載された記録ヘッドとを備える。そして、同キャリッジを記録媒体に対して移動させながら、記録ヘッドに形成されたノズルからインクを吐出し、印刷用紙に対して印刷を行うようになっている。
【0003】
上記液体噴射装置に装備されている液体噴射ヘッドの構造およびその製造工程等を、図5〜図9にしたがって説明する。
【0004】
図5(A)は、インク噴射ヘッドの断面図である。インク噴射ヘッド1は、インク貯留源であるインクカートリッジ等(図示していない)からのインクを貯留する共通インク室2と、上記共通インク室2からインクを導入して圧力発生手段3によりインクを加圧する圧力発生室4と、上記圧力発生室4で加圧されたインクを噴射するノズル開口5を備えている。
【0005】
上記インク噴射ヘッド1は、ノズル開口5が形成されたノズルプレート6と、上記ノズルプレート6に接合され共通インク室2が形成された共通インク室形成基板7と、上記共通インク室形成基板7に接合されインクの供給口8が形成された供給口形成基板9と、上記供給口8に連通する圧力発生室4が形成され上記供給口形成基板9に一体化されている圧力発生室形成基板10と、上記圧力発生室形成基板10に接合され圧力発生室4を封止する振動板11と、上記振動板11に取り付けられた圧力発生手段である撓み振動型の圧電素子3との各機能部材から構成されている。
【0006】
なお、ここではディスタンスプレート12が供給口形成基板9と圧力発生室形成基板10との間に接合され、この接合した部分に共通インク室2から圧力発生室4にインクを供給する導入流路13が形成されている。また、ノズル開口5と圧力発生室4を連通し、圧力発生室4からノズル開口5に吐出インクを供給する供給流路14が、共通インク室形成基板7と供給口形成基板9とディスタンスプレート12に設けられている。また、各部材の接合は、接着によってなされている。
【0007】
上記共通インク室2におけるインクの圧力変動に順応させるために、大気に連通している空間とされたコンプライアンス部15が形成されている。上記コンプライアンス部15を形成するために、供給口形成基板9が積層構造とされている。すなわち、供給口形成基板9は、板厚の厚いステンレス製の第1板材16と上記第1板材16よりも板厚が薄くされたステンレス製の第2板材17とが接着剤層である接合層18により、一体化されている。そして、第1板材16にエッチング処理を施すことにより、コンプライアンス部15が形成される。
【0008】
図7は、上記の各部の構造形態を平面的に透視して表した平面図であり、平面的に見た各部の位置関係が理解できる。
【0009】
図6は、供給口8の部分を拡大して示した部分的な断面図である。供給口8は、断面形状が円形であり、第1板材16側に形成されたテーパ穴8aと第2板材17側に形成されたストレート穴8bから構成されている。実際には、後述の塑性加工工程から容易に理解されるように、供給口8はその全長が塑性変形をした第1板材16を貫通しているのであるが、上記のような「第1板材16側」や「第2板材17側」なる表現は、テーパ穴8aやストレート穴8bが、供給口形成基板9の厚さ領域において、どの辺りに存在しているかを理解するために用いられている。
【0010】
図5(A)に示すように、圧電素子3に駆動信号が印加されて圧力発生室4内のインクが加圧されると、インクは供給流路14からノズル開口5を経て吐出される。他方、図5(B)に示すように、導入流路13側へ逆流したインクは、テーパ穴8aにより絞られながら流路面積の小さなストレート穴8bを通って共通インク室2内に流入するため、共通インク室2内での流速がきわめて大きくなり、ストレート穴8b近傍において渦流Vが発生する。この渦流発生により、共通インク室2内に流入したインク流に圧力損失が生じ、圧力発生室4から共通インク室2への流入に大きな流動抵抗が作用する。このような流動抵抗により、共通インク室2へのインク流が阻害され、共通インク室2へのインクの逆流量が減少する。
【0011】
つぎに、圧電素子3への駆動信号が停止されると、加圧方向に撓んでいた圧電素子3が、今度は、逆方向に撓んで圧力発生室4内へインクが導入される。図5(C)に示すように、共通インク室2から導入流路13を経て圧力発生室4に向うインク流は、ストレート穴8bを経由してテーパ穴8aによりインク流の流路面積を徐々に拡大しながら流通するので、導入流路13や圧力発生室4内において渦流が発生しない。したがって、導入流路13ないしは圧力発生室4におけるインク流の圧力損失は、上記インク加圧時の場合に比べて大幅に低下し、圧力発生室4へのインク流は円滑になされる。
【0012】
図9(A)にも示されているように、上記ストレート穴8bは、塑性変形をした第1板材16に開口しており、その開口部(開口円)は符号8cで示されている。上記開口部8cの周囲には、略同心の状態で略円形の接合層19(以下、便宜上「円形接合層19」という)が露出している。上記円形接合層19は、後述の塑性加工工程後の開口工程によって表面(供給口形成基板9の裏面)に露出するもので、第1板材16と第2板材17との境界部にあらわれている。
【0013】
図8は、上記供給口8の穴あけ工程を示している。なお、第1板材16と第2板材17の厚さ寸法は、それぞれ50μm,15μmであり、上記のようにステンレスで作られている。
【0014】
供給口8の穴あけ加工は、通常のパンチ20とダイ21によって行われる塑性加工工程と、上記塑性加工工程によって形成された膨出部を除去して供給口8を開口させる開口工程との2工程から成り立っている。上記パンチ20は、断面が円形であり、先端側に配置されたストレート部20bと上記ストレート部20bに連続しているテーパ部20aが設けられ、上記テーパ部の拡開角度θ1は20度である。
【0015】
図8(A)は、ダイ21上に供給口形成基板9が載置された状態を示している。ここで、パンチ20のストレート部20bが供給口形成基板9の表面に圧入され、さらにこの圧入が進行すると、テーパ部20aの部分が第1板材16に圧入される。そして、(B)に示すように、ストレート部20bの先端部が第2板材17の外表面22を越えた箇所でパンチ20の進出が停止される。ストレート部20bの先端部が第2板材17の外表面22を越えた長さは、図8(B),(C)に符号Lで示されている。
【0016】
パンチ20の進出により、ダイ21の開口21a(その内径はφ1で示されている)内に、第1板材16,接合層18,第2板材17が層状になって押し込まれた状態となり、膨出部23が形成される。このような塑性加工が上記の「塑性加工工程」である。
【0017】
つぎに、パンチ20が後退し膨出部23がダイ21の開口21aから取り出されると、(C)に示すように、有底の供給口8と膨出部23が形成される。ここで、第2板材17の外表面22に沿って膨出部23を除去すなわち研磨加工をすると、(D)に示すように、供給口形成基板9を貫通した供給口8が形成される。上記のように越えた長さLが確保されているので、上記の研磨加工と同時に供給口8が開口する。この開口をさせる工程が上記の「開口工程」である。なお、上記の膨出部23の除去は、このような微細な構造部分であるので、研磨工程を適用している。
【0018】
上記の開口工程により、第1板材16と第2板材17の境界部に円形接合層19が、図9(A)に示すように、露出する。なお、この露出形状はインク液によって膨潤していない状態である。
【0019】
パンチ20の圧入ストロークの進行長さと膨出部23が次第に大きくなって行く変化状態は、パンチ20のストレート部20bが第1板材16に圧入されることにより、膨出部23の初期の小さな膨出が進行する。さらに、パンチ20が進出してテーパ部20aが第1板材16の素材中に圧入され始めると、それに伴う素材の流動量が増加して、膨出現象が促進され、最終的には図8(C)のような形状となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特許第3296391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
図8にしたがって説明したように、パンチ20のテーパ部20aのテーパ角度が第1板材16の素材流動にとって最適化されていないので、ダイ21の開口21a内に向って強制的に塑性流動をする素材の量が十分なものとはならない。したがって、図8(B),(C)に見られるように、パンチ20のストレート部20bの外周面と接合層18までの肉厚S1が十分な厚さにならないので、開口工程後の状態は図9(A)に示すように、開口部8cの直径D1と円形接合層19の直径D2の差が著しく小さな距離となる。
【0022】
上記の円形接合層19がインクに浸されて膨潤すると、図9(B)に示すように、円形接合層19の接合材料、例えば合成樹脂製の接着剤が共通インク室2内に突出してくる。このとき上記のように、D1とD2との差が小さいものであると、膨潤によって突出してきた膨潤片19aが、ストレート穴8bの開口部8cの間際にまでいたったり、さらに著しく膨潤したときにはストレート穴8bの仮想円筒の内側にまで侵入したりした状態になる。
【0023】
上記のような膨潤片19aが形成されると、開口部8cの近傍でインク流に乱流が発生し、それにより開口部8cの実質的な流路面積が小さくなるので、共通インク室2から圧力発生室4に流入するインクが所定量を下回ることとなり、ノズル開口5からのインク滴吐出に異常を来すおそれがある。また、上記乱流による圧力損失で、同様にインク流量に不足を来すおそれがある。さらに、膨潤片19aが存在すると、共通インク室2内の気泡が膨潤片19aにひっかかって、円滑に後流側へ排出されない可能性がある。
【0024】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、膨潤片による悪影響を防止し得る液体噴射ヘッドおよびそれが装備された液体噴射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記目的達成するため、本発明の液体噴射ヘッドは、圧力発生室が設けられた圧力発生室ユニットと、上記圧力発生室に連通する流路が形成されて圧力発生室ユニットに接合された供給口形成基板と、共通液体室が設けられて供給口形成基板に接合された共通液体室形成基板と、ノズル開口が形成されて共通液体室形成基板に接合されたノズルプレートとが層状構造として形成され、上記供給口形成基板に、上記共通液体室から圧力発生室に対して液体を導入する導入流路が設けられ、上記供給口形成基板および共通液体室形成基板に、上記圧力発生室からノズル開口に対して液体を供給する供給流路が設けられ、上記共通液体室形成基板の導入流路側の表面に、上記共通液体室と導入流路とを連通させる制御流路が形成されていることを要旨とする。
【0026】
上記制御流路は、共通液体室形成基板の導入流路側の表面に形成されているので、制御流路と導入流路は離隔した位置関係とすることができる。したがって、導入流路に接着剤からなる接合層が液体による膨潤等で突出しても、制御流路には何等影響することなく、制御流路としての正常な機能を果たすことができる。また、制御流路が共通液体室形成基板の表面に成形されているので、制御流路を、例えば、プレス加工で成形することができ、製造工程が簡素化され、同時に制御流路の成形精度を向上させることができる。さらに、制御流路が共通液体室形成基板の表面に成形されていることから、制御流路の形状を選定する自由度が拡大され、最適の制御流路の形状を求めるのに有利である。
【0027】
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記制御流路は、流路面積が小さく設定され共通液体室に連通している絞り流路と、流路面積が上記絞り流路よりも大きく設定され上記導入流路に連通している接続流路とにより構成されている場合には、上記圧力発生室から導入流路と制御流路を経て、液体が共通液体室に逆流するときには、流路面積の大きな接続流路から流路面積の小さな絞り流路に流動するので、絞り流路において液体の流速が著しく速められ、それに伴って、共通液体室内に渦流が発生する。この渦流の発生により、共通液体室内における液体流に圧力損失が発生し、同時に流動抵抗が高くなる。したがって、共通液体室内に液体が流入しにくくなる状態が形成され、圧力発生室から共通液体室に逆流する液体の量を最小化することができる。逆に、共通液体室から圧力発生室に液体が導入されるときには、絞り流路から接続流路にかけての液体流に渦流や乱流が発生しないので、円滑な導入流が得られ、より多くの量の液体が圧力発生室に導入される。
【0028】
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記絞り流路は、その流路面積が徐々に大きくなるよう変化して上記接続流路に連続している場合には、圧力発生室から共通液体室に向う逆流時に、接続流路から絞り流路にかけて滑らかな流路面積変化が得られて、絞り流路の流速をより速くすることができ、共通液体室における渦流発生ないしは圧力損失を大きくして、逆流の流量を減少することができる。他方、共通液体室から圧力発生室に液体を導入するときには、絞り流路から接続流路にかけて徐々に流路面積が大きくなっているので、渦流や乱流が発生することがなく、圧力発生室に導入される液体量がより多くなる。
【0029】
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記絞り流路の流路面積の変化は、共通液体室形成基板の導入流路側の表面の面方向の寸法変化によってなされている場合には、上記表面の面方向の寸法変化によって所定の流路面積の変化を求めることができる。また、制御流路形成の際に、共通液体室形成基板の厚さに制約があるときには、流路面積を変化させることが行いやすくなる。さらに、共通液体室形成基板の厚さ方向において流路面積の変化を求める場合は、そのための形状変化は流路の深さ方向ひとつだけとなり、流路面積変化の自由度が十分に確保できない。しかし、上記のような面方向の変化であれば、流路の両側に形状変化を付与し、例えば、流路溝の両側の内壁を拡開させる構造とすることができ、製造が容易になり、しかも流路面積変化の自由度も向上する。そして、このような面方向の変化は、特異な形状のポンチで簡単に成形できる。
【0030】
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記絞り流路の流路面積の変化は、共通液体室形成基板の厚さ方向の寸法変化によってなされている場合には、上記厚さ方向の寸法変化によって所定の流路面積の変化を求めることができる。また、制御流路形成の際に、共通液体室形成基板の表面の面方向に制約があるときには、流路面積を変化させることが行いやすくなる。
【0031】
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記絞り流路の流路面積の変化は、上記面方向の寸法変化と、上記厚さ方向の寸法変化との双方の変化によってなされている場合には、上記双方の寸法変化を活用して、最適形状の制御流路を構成することができる。
【0032】
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記制御流路は、共通液体室側の共通液体室形成基板の表面を窪ませることにより形成されている場合には、例えば、プレス装置の金型を共通液体室形成基板の表面に加圧して制御流路を形成できる。したがって、液体噴射ヘッドの生産性の向上が図れるとともに、成形精度を高めることができる。
【0033】
本発明の液体噴射ヘッドにおいて、上記制御流路の共通液体室に連通している箇所に、上記共通液体室と制御流路を所定の空間でつなぐ中継拡大部が設けられている場合には、圧力発生室から共通液体室に液体が逆流するとき、中継拡大部は、制御流路の連通開口部と共通液体室との間において、制約された空間部分となり、そこに発生した渦流は、多数の渦流が高い密度となり、それに伴って大きな圧力損失が得られる。また、共通液体室から圧力発生室へ液体が導入されるときには、共通液体室の液体が、制約された空間部分である中継拡大部内に押し込まれるような加圧された状態になり、それによって絞り流路での液体流速が速められて、圧力発生室への流量が増量される。
【0034】
上記目的達成するため、本発明の液体噴射装置は、圧力発生室が設けられた圧力発生室ユニットと、上記圧力発生室に連通する流路が形成されて圧力発生室ユニットに接合された供給口形成基板と、共通液体室が設けられて供給口形成基板に接合された共通液体室形成基板と、ノズル開口が形成されて共通液体室形成基板に接合されたノズルプレートとが層状構造として形成され、上記供給口形成基板に、上記共通液体室から圧力発生室に対して液体を導入する導入流路が設けられ、上記供給口形成基板および共通液体室形成基板に、上記圧力発生室からノズル開口に対して液体を供給する供給流路が設けられ、上記共通液体室形成基板の導入流路側の表面に、上記共通液体室と導入流路とを連通させる制御流路が形成されてなる液体噴射ヘッドが備えられたことを要旨とする。
【0035】
上記制御流路は、共通液体室形成基板の導入流路側の表面に形成されているので、制御流路と導入流路は離隔した位置関係とすることができる。したがって、導入流路に接着剤からなる接合層が液体による膨潤等で突出しても、制御流路には何等影響することなく、制御流路としての正常な機能を果たすことができる。また、制御流路が共通液体室形成基板の表面に成形されているので、制御流路を、例えば、プレス加工で成形することができ、製造工程が簡素化され、同時に制御流路の成形精度を向上させることができる。さらに、制御流路が共通液体室形成基板の表面に成形されていることから、制御流路の形状を選定する自由度が拡大され、最適の制御流路の形状を求めるのに有利である。上記のようにすぐれた利点を有する液体噴射ヘッドを液体噴射装置に装着して、液体噴射装置の性能を一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】インクジェット式プリンタの周辺構造を示す斜視図である。
【図2】インク噴射ヘッドの断面図および関連箇所の平面図と断面図である。
【図3】インク噴射ヘッドの関連箇所の平面図と断面図である。
【図4】導入流路と制御流路の部分を示す断面図である。
【図5】従来のインク噴射ヘッドの断面図および関連箇所の断面図である。
【図6】図5に示した供給口部分の拡大断面図である。
【図7】図5に示したインク噴射ヘッドの各部の位置関係を示す平面図である。
【図8】図5に示す供給口の加工順序を示す断面図である。
【図9】図5に示した供給口の開口状態を示す底面図と断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
つぎに、本発明の液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置を実施するための最良の形態を説明する。
【実施例1】
【0038】
図1〜4は、本発明の液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置の一実施例を示す。
【0039】
図1は、液体噴射装置としてのインクジェット式プリンタ(以下、プリンタという)の全体的な形状を示す簡略的な斜視図である。
【0040】
本発明が適用されるインクジェット式プリンタ31は、インクカートリッジ32が搭載されるとともに液体噴射ヘッドである記録ヘッド40が搭載されたキャリッジ33を備えている。
【0041】
上記キャリッジ33は、タイミングベルト34を介してステッピングモータ35に接続され、ガイドバー36に案内されて記録紙37の紙幅方向すなわち主走査方向に往復移動するようになっている。上記キャリッジ33は、上部に開放する箱型を呈し、被噴射物である記録紙37と対向する面(この例では下面)に、記録ヘッド40のノズル面が露呈するように取り付けられるとともに、インクカートリッジ32が収容されるようになっている。
【0042】
そして、上記記録ヘッド40にインクカートリッジ32からインクが供給され、キャリッジ33を移動させながら記録紙37上面にインク滴を吐出させて記録紙37に画像や文字をドットマトリックスにより印刷するようになっている。図1において、38は印刷休止中に記録ヘッド40のノズル開口を封止することによりノズルの乾燥をできるだけ防ぐとともに、ノズル開口や記録ヘッド40内のインク流路をクリーニングするための吸引キャップ、39は記録ヘッド40のノズル面をワイピングするワイパーブレードである。また、キャリッジ33には、図1に示すように、ガイドバー36が挿通されている。さらに、39aは上記クリーニングで吸引されたインクを貯留する廃インク貯留部である。また、31aは、インクジェット式プリンタ31全体を動作する制御装置である。
【0043】
本発明において対象とされている液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置は、種々な液体を噴射させて機能させることができ、図示の実施例においては、その代表的な例として、インクジェット式プリンタに適用されるものを示している。
【0044】
図2(A)は液体噴射ヘッドの断面図であり、その基本的な構成は図5,図6および図7等にしたがって説明したものと同じである。
【0045】
すなわち、インク噴射ヘッド1は、インク貯留源であるインクカートリッジ等(図示していない)からのインクを貯留する共通インク室2と、上記共通インク室2からインクを導入して圧力発生手段3によりインクを加圧する圧力発生室4と、上記圧力発生室4で加圧されたインクを噴射するノズル開口5を備えている。
【0046】
上記インク噴射ヘッド1は、圧力発生室ユニット24と、それに接合される供給口形成基板9,共通インク室形成基板7,ノズルプレート6等が層状構造となって形成されている。
【0047】
上記圧力発生室ユニット24は、圧力発生室4が形成された圧力発生室形成基板10と、上記圧力発生室4を封止する振動板11と、この振動板11に接合され圧力発生室4内のインクを加圧する撓み振動型の圧電素子3と、圧力発生室形成基板10に接合されたディスタンスプレート12とが層状に接合されて構成されている。そして、振動板11,圧力発生室形成基板10,ディスタンスプレート12は、セラミック製とされている。
【0048】
圧力発生室ユニット24のディスタンスプレート12に供給口形成基板9が接着剤で接合され、この供給口形成基板9には共通インク室2が設けられた共通インク室形成基板7が接着剤で接合されている。そして、この共通インク室形成基板7にはノズル開口5が設けられたノズルプレート6が接着剤で接合されている。なお、この例では、ディスタンスプレート12が供給口形成基板9と圧力発生室形成基板10との間に接合されている。
【0049】
共通インク室2から圧力発生室4にインクを導入する断面円形の導入流路13が形成されている。この導入流路13は、供給口形成基板9に設けられた流路13aによって形成されるものであるが、この例では、ディスタンスプレート12が採用されているので、そこに流路13bが設けられている。したがって、図2(A)に示す実施例では、導入流路13が流路13aと13bによって構成されている。
【0050】
圧力発生室4とノズル開口5を連通し、圧力発生室4からノズル開口5にインクを供給する断面円形の供給流路14が設けられている。この供給流路は、供給口形成基板9に設けた流路14aと共通インク室形成基板7に設けた流路14cによって形成されるものであるが、この例では、ディスタンスプレート12が採用されているので、そこに流路14bが設けられている。したがって、図2(A)に示す実施例では、供給流路14が流路14aと14cおよび14bによって構成されている。
【0051】
なお、このディスタンスプレート12は、圧力発生室形成基板10および供給口形成基板9の厚さ等との関係で、その厚さを変えたりディスタンスプレート12自体をなくしたりすることができる。
【0052】
上記共通インク室2におけるインクの圧力変動に順応させるために、大気に連通している空間とされたコンプライアンス部15が形成されている。上記コンプライアンス部15を形成するために、供給口形成基板9が積層構造とされている。すなわち、供給口形成基板9は、板厚の厚いステンレス製の第1板材16と上記第1板材16よりも板厚が薄くされたステンレス製の第2板材17とが接着剤層である接合層18により、一体化されている。そして、第1板材16にエッチング処理を施すことにより、コンプライアンス部15が形成される。
【0053】
図2に示すように、上記共通インク室2と導入流路13を連通する制御流路25が共通インク室形成基板7に設けられている。図2(B)は、共通インク室形成基板7単体の制御流路25の部分を示す平面図である。上記制御通路25は、共通インク室形成基板7の導入流路13側の表面7a、すなわち図2(B)に示されている共通インク室形成基板7の上面に、窪ませた形状の流路空間として形成されている。また、制御流路25は、共通インク室形成基板7の共通インク室2側に形成され、同図(A),(B),(C)に示すように、共通インク室2に連通している絞り流路25aを有している。そして、上記絞り流路25aは、その流路面積よりも大きな流路面積とされた接続流路25bに連続させてある。上記接続流路25bは、絞り流路25aよりも流路面積が大きくなった状態で導入流路13に連通している。同図(A),(B),(C)に示されている接続流路25bの形状は、導入流路13の円形断面の形状に合致するように円形の流路とされている。
【0054】
図2(D)および(E)に示した制御流路25は、接続流路25bが長円形とされているものであり、(E)に示すように、接続流路25bの端部に導入流路13が連通している。
【0055】
上記制御流路25が共通インク室2に連通している箇所、すなわち連通開口部25cに共通インク室2と制御流路25を所定の空間でつなぐ中継拡大部26が設けられている。上記中継拡大部26は、共通インク室2の空間部分と上記連通開口部25cとの間に配置されている。そのために、共通インク室形成基板7の共通インク室2側端部の絞り流路25a側に段状の切り欠き部7cが形成してある。このように共通インク室形成基板7の端部に切欠き部7cを形成することによって、中継拡大部26が形成されている。
【0056】
図2(F),(G)に示すように、絞り流路25aの流路面積は徐々に大きくなるように変化して接続流路25bに連なっている。同図(F),(G)の例は、絞り流路25aの深さは一定で幅方向、すなわち上記表面7aの面方向の寸法変化によって、流路面積が徐々に変化している。そのために、制御流路25の内側面に、絞り流路25aの幅を接続流路25bの方に向って徐々に広くする湾曲部25dが設けられている。
【0057】
一方、図3(A),(B)に示した例は、絞り流路25aの幅は徐々に変化させることなく深さ方向、すなわち共通インク室形成基板7の厚さ方向の寸法変化によって、流路面積が徐々に変化している。そのために、制御流路25の底面に、絞り流路25aの深さを接続流路25bの方に向って徐々に深くする傾斜部25eが設けられている。それに伴って、接続流路25bの深さも深くなっている。
【0058】
また、図3(C),(D)に示した例は、絞り流路25aが上記の幅方向と深さ方向の双方の変化によって、絞り流路25aから接続流路25bに向って流路面積が徐々に大きくなっている。そのために、制御流路25の幅と深さを徐々に大きくする複合湾曲部25fが、絞り流路25aから接続流路25bにかけて設けられている。
【0059】
上記共通インク室形成基板7はステンレス製であり、窪み形状の制御流路25は塑性加工すなわちプレス装置の型成形によって成形されている。
【0060】
図4は、供給口形成基板9の接合層18がインクによって膨潤し、導入流路13内に膨出した状態を示す断面図である。このように導入流路13内に膨潤片18aが突出しても、導入流路13の断面積を所定の大きさに設定しておくことにより、導入流路13におけるインクの流量に支障が生じることなく、しかも、接続流路25bや絞り流路25aに膨潤片18aが干渉する恐れがない。
【0061】
上記インク噴射ヘッド1におけるインクの流動状態について説明する。
【0062】
図2(A)に示す圧電素子3に駆動信号が印加されて圧力発生室4内のインクが加圧されると、インクは供給流路14からノズル開口5を経て吐出される。他方、導入流路13側へ逆流したインクは、接続流路25bから流路面積の小さな絞り流路25aで絞られながら共通インク室2内に流入する。大きな流路面積の接続流路25bから小さな流路面積の絞り流路25aを通過するので、絞り流路25aではインクの流速が著しく速くなり、これに伴って共通インク室2内での流速がきわめて大きくなる。この状態で中継拡大部26に流入するので、中継拡大部26において渦流が発生し、この渦流発生により、共通インク室2内に流入したインク流に圧力損失が生じ、圧力発生室4から共通インク室2への流入に大きな流動抵抗が作用する。このような流動抵抗により、共通インク室2へのインク流が阻害され、共通インク室2へのインクの逆流量が減少する。
【0063】
つぎに、圧電素子3への駆動信号が停止されると、加圧方向に撓んでいた圧電素子3が、今度は、逆方向に撓んで圧力発生室4内へインクが導入される。共通インク室2から導入流路13を経て圧力発生室4に向うインク流は、絞り流路25aを経由して接続流路25bへ流通するので、導入流路13や圧力発生室4内における渦流の発生がない。あるいは、渦流が発生してもほとんど実害のない程度である。さらに、絞り流路25aから接続流路25bに向って流路面積が徐々に大きくなるように変化させておくことにより、制御流路25内におけるインク流に渦流や乱流が発生することがない。したがって、導入流路13ないしは圧力発生室4におけるインク流の圧力損失は、上記インク加圧時の場合に比べて大幅に低下し、圧力発生室4へのインク流は円滑になされ、圧力発生室4へのインク導入量を増大することができる。
【0064】
上記の流動動作において、圧力発生室4から共通インク室2にインクが逆流するとき、中継拡大部26は、制御流路25の連通開口部25cと共通インク室2との間において、供給口形成基板9の下側の面と切り欠き部7cで制約された空間部分であるから、そこに発生した渦流は、多数の渦流が高い密度となり、それに伴って大きな圧力損失が得られる。また、共通インク室2から圧力発生室4へインクが導入されるときには、共通インク室2のインクが、制約された空間部分である中継拡大部26内に押し込まれるような加圧された状態になり、それによって絞り流路25aでのインク流速が速められて、圧力発生室4への流量が増量される。
【0065】
上記実施例の作用効果を列記すると、つぎのとおりである。
【0066】
上記制御流路25は、共通インク室形成基板7の導入流路13側の表面7aに形成されているので、制御流路25と導入流路13は離隔した位置関係とすることができる。したがって、導入流路13に接着剤からなる接合層18がインクによる膨潤等で突出しても、制御流路25には何等影響することなく、制御流路25としての正常な機能を果たすことができる。また、制御流路25が共通インク室形成基板7の表面7aに成形されているので、制御流路25を、例えば、プレス加工で成形することができ、製造工程が簡素化され、同時に制御流路25の成形精度を向上させることができる。さらに、制御流路25が共通インク室形成基板7の表面7aに成形されていることから、制御流路25の形状を選定する自由度が拡大され、最適の制御流路25の形状を求めるのに有利である。
【0067】
上記制御流路25は、流路面積が小さく設定され共通インク室2に連通している絞り流路25aと、流路面積が上記絞り流路25aよりも大きく設定され上記導入流路13に連通している接続流路25bとにより構成されている。このため、上記圧力発生室4から導入流路13と制御流路25を経て、インクが共通インク室2に逆流するときには、流路面積の大きな接続流路25bから流路面積の小さな絞り流路25aに流動するので、絞り流路25aにおいてインクの流速が著しく速められ、それに伴って、共通インク室2内に渦流が発生する。この渦流の発生により、共通インク室2内におけるインク流に圧力損失が発生し、同時に流動抵抗が高くなる。したがって、共通インク室2内にインクが流入しにくくなる状態が形成され、圧力発生室4から共通インク室2に逆流するインクの量を最小化することができる。逆に、共通インク室2から圧力発生室4にインクが導入されるときには、絞り流路25aから接続流路25bにかけてのインク流に渦流や乱流が発生しないので、円滑な導入流が得られ、より多くの量のインクが圧力発生室4に導入される。
【0068】
上記絞り流路25aは、その流路面積が徐々に大きくなるよう変化して上記接続流路25bに連続している。これにより、圧力発生室4から共通インク室2に向う逆流時に、接続流路25bから絞り流路25aにかけて滑らかな流路面積変化が得られて、絞り流路25aの流速をより速くすることができ、上述のように、共通インク室2における渦流発生ないしは圧力損失を大きくして、逆流の流量を減少することができる。他方、共通インク室2から圧力発生室4にインクを導入するときには、絞り流路25aから接続流路25bにかけて徐々に流路面積が大きくなっているので、渦流や乱流が発生することがなく、圧力発生室4に導入されるインク量がより多くなる。
【0069】
上記絞り流路25aの流路面積の変化は、共通インク室形成基板7の導入流路13側の表面7aの面方向の寸法変化によってなされているため、上記表面7aの面方向の寸法変化によって所定の流路面積の変化を求めることができる。また、制御流路25の形成の際に、共通インク室形成基板7の厚さに制約があるときには、流路面積を変化させることが行いやすくなる。さらに、共通インク室形成基板7の厚さ方向において流路面積の変化を求める場合は、そのための形状変化は流路の深さ方向ひとつだけとなり、流路面積変化の自由度が十分に確保できない。しかし、上記のような面方向の変化であれば、流路の両側に形状変化を付与し、例えば、流路溝の両側の内壁を拡開させる構造とすることができ、製造が容易になり、しかも流路面積変化の自由度も向上する。そして、このような面方向の変化は、特異な形状のポンチで簡単に成形できる。
【0070】
上記絞り流路25aの流路面積の変化は、共通インク室形成基板7の厚さ方向の寸法変化によってなされているので、上記厚さ方向の寸法変化によって所定の流路面積の変化を求めることができる。また、制御流路25の形成の際に、共通インク室形成基板7の表面7aの面方向に制約があるときには、流路面積を変化させることが行いやすくなる。
【0071】
上記絞り流路25aの流路面積の変化は、上記面方向の寸法変化と、上記厚さ方向の寸法変化との双方の変化によってなされているので、上記双方の寸法変化を活用して、最適形状の制御流路25を構成することができる。
【0072】
上記制御流路25は、共通インク室2側の共通インク室形成基板7の表面7aを窪ませることにより形成されているので、例えば、プレス装置の金型を共通インク室形成基板7の表面7aに加圧して制御流路25を形成できる。したがって、インク噴射ヘッド1の生産性の向上が図れるとともに、成形精度を高めることができる。
【0073】
上記制御流路25の共通インク室2に連通している箇所に、上記共通インク室2と制御流路25を所定の空間でつなぐ中継拡大部26が設けられている。このため、圧力発生室4から共通インク室2にインクが逆流するとき、中継拡大部26は、制御流路25の連通開口部25cと共通インク室2との間において、共通インク室2の高さよりも小さく、且つ制御流路の連通開口部25cの高さよりも大きい空間部分となり、そこに発生した渦流の発生領域は小さくなり、それに伴って大きな圧力損失が得られる。また、共通インク室2から圧力発生室4へインクが導入されるときには、共通インク室2のインクが、制約された空間部分である中継拡大部26内に押し込まれるような加圧された状態になり、それによって絞り流路25aでのインク流速が速められて、圧力発生室4への流量が増量される。
【0074】
インクジェット式プリンタ31において、上記制御流路25は、共通インク室形成基板7の導入流路13側の表面7aに形成されているので、制御流路25と導入流路13は離隔した位置関係とすることができる。したがって、導入流路13に接着剤からなる接合層18がインクによる膨潤等で突出しても、制御流路25には何等影響することなく、制御流路25としての正常な機能を果たすことができる。また、制御流路25が共通インク室形成基板7の表面7aに成形されているので、制御流路25を、例えば、プレス加工で成形することができ、製造工程が簡素化され、同時に制御流路25の成形精度を向上させることができる。さらに、制御流路25が共通インク室形成基板7の表面7aに成形されていることから、制御流路25の形状を選定する自由度が拡大され、最適の制御流路25の形状を求めるのに有利である。上記のようにすぐれた利点を有するインク噴射ヘッド1をインクジェット式プリンタ31に装着して、同プリンタ31の性能を一層向上させることができる。
【0075】
制御流路25は、導入流路13から共通インク室2の方へ延ばされた形態となっているので、インク噴射ヘッド1の厚さ方向で見て、圧力発生室4と共通インク室2とが重複しない位置関係となっている。したがって、圧力発生室4の圧力変化によって生じる応力が共通インク室形成基板7において全面的に受け止められる状態となり、インク噴射ヘッド1の剛性を適正に維持することができる。
【0076】
上記各実施例は、インクジェット式プリンタを対象にしたものであるが、本発明によってえられた液体噴射ヘッドおよびそれを装着した液体噴射装置は、インクジェット式プリンタ用のインクだけを対象にするのではなく、グルー,マニキュア,導電性液体(液体金属)等を噴射することができる。さらに、上記実施例では、液体の一つであるインクを用いたインクジェット式プリンタについて説明したが、プリンタ等の画像記録装置に用いられる記録ヘッド,液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド,有機ELディスプレー,FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材噴射ヘッド,バイオチップ製造に用いられる生体有機噴射ヘッド等の液体を吐出する液体噴射ヘッド全般に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0077】
1…インク噴射ヘッド、2…共通インク室、3…圧力発生手段、撓み振動型の圧電素子、4…圧力発生室、5…ノズル開口、6…ノズルプレート、7…共通インク室形成基板、7a…表面、7c…切り欠き部、8…供給口、8a…テーパ穴、8b…ストレート穴、8c…開口部、V…渦流、9…供給口形成基板、積層部材、10…圧力発生室形成基板、11…振動板、12…ディスタンスプレート、13…導入流路、13a…流路、13b…流路、14…供給流路、14a…流路、14b…流路、14c…流路、15…コンプライアンス部、16…第1板材、17…第2板材、18…接合層、18a…膨潤片、19…略円形の接合層、円形接合層、19a…膨潤片、20…パンチ、20a…テーパ部、20b…ストレート部、21…ダイ、21a…開口、22…外表面、23…膨出部、L…越えた長さ、θ1…拡開角度、D1…ストレート穴の直径、D2…円形接合層の直径、S1…肉厚、φ1…ダイの開口径、24…圧力発生室ユニット、25…制御流路、25a…絞り流路、25b…接続流路、25c…連通開口部、25d…湾曲部、25e…傾斜部、25f…複合湾曲部、26…中継拡大部、31…インクジェット式プリンタ、31a…制御装置、32…インクカートリッジ、33…キャリッジ、34…タイミングベルト、35…ステッピングモータ、36…ガイドバー、37…記録紙、38…吸引キャップ、39…ワイパーブレード、39a…廃インク貯留部、40…記録ヘッド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
共通液体室から液体を複数の圧力発生室に導入して圧力発生手段により液体を複数のノズル開口から噴射する液体噴射ヘッドの製造方法であって、
複数の上記圧力発生室が設けられた圧力発生室形成基板を用意し、
上記圧力発生室に連通する複数の導入流路が形成されて上記圧力発生室形成基板に接合される供給口形成基板を用意するステップと、
流路形成基板を用意するステップと、
複数の上記ノズル開口が形成されたノズルプレートを用意するステップと、
上記流路形成基板の表面に上記共通液体室からの液体を上記導入流路に供給する複数の制御流路を塑性加工によって形成するステップと、
少なくとも上記圧力発生室形成基板と上記供給口形成基板と上記制御流路が形成された上記流路形成基板と上記ノズルプレートとを含む複数の基板を所定の位置で積層するステップと、を含み、上記流路形成基板の制御流路を形成した面と、上記供給口形成基板とが接合されることを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。
【請求項2】
共通液体室から液体を複数の圧力発生室に導入して圧力発生手段により液体を複数のノズル開口から噴射する液体噴射ヘッドであって、
複数の基板を層状に積層し、当該複数の基板は、少なくとも、
複数の上記圧力発生室が設けられた圧力発生室形成基板と、
上記圧力発生室に連通する複数の導入流路が形成されて上記圧力発生室形成基板に接合された供給口形成基板と、
上記圧力発生室形成基板側の表面に上記共通液体室からの液体を上記導入流路に供給する複数の制御流路が塑性加工によって形成されて上記供給口形成基板に接合された流路形成基板と、
複数の上記ノズル開口が形成されたノズルプレートと、
を有することを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項3】
共通液体室から液体を複数の圧力発生室に導入して圧力発生手段により液体を複数のノズル開口から噴射する液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置であって、
複数の基板を層状に積層し、当該複数の基板は、少なくとも、
複数の上記圧力発生室が設けられた圧力発生室形成基板と、
上記圧力発生室に連通する複数の導入流路が形成されて上記圧力発生室形成基板に接合された供給口形成基板と、
上記圧力発生室形成基板側の表面に上記共通液体室からの液体を上記導入流路に供給する複数の制御流路が塑性加工によって形成されて上記供給口形成基板に接合された流路形成基板と、
複数の上記ノズル開口が形成されたノズルプレートと、
を有することを特徴とする液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−56560(P2013−56560A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−285013(P2012−285013)
【出願日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【分割の表示】特願2012−3019(P2012−3019)の分割
【原出願日】平成16年4月30日(2004.4.30)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】