説明

液体噴射ヘッドユニット及び液体噴射装置

【課題】ユーザーが比較的容易にヘッド交換を行うことができ且つ交換作業の際に接触不良が生じない汎用性の高い液体噴射ヘッドユニットを提供する。
【解決手段】圧力発生素子の駆動により液体を噴射する液体噴射ヘッド本体と、前記液体噴射ヘッド本体の圧力発生素子に駆動信号を供給するための配線部材67と、前記配線部材の一端部に設けられて当該配線部材が接続され且つ前記液体噴射ヘッド本体の第1コネクター部と着脱自在な第2コネクター部73を有するコネクター部材70とを具備し、前記コネクター部材は、前記配線部材との接続部には当該配線部材の接続端部を挿入して接続する配線部材コネクターが設けられたベース部材71と、前記配線部材コネクター部を覆うように前記ベース部材に固定される保持部材74とを具備し、前記配線部材コネクターに挿入された配線部材が前記保持部材により折り曲げられた状態で保持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体噴射ヘッドユニット及び液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェット式プリンター等のインクジェット式記録装置に代表される液体噴射装置は、カートリッジやタンク等に貯蔵されたインクなどの液体を液滴として噴射可能な液体噴射ヘッドが複数設けられた液体噴射ヘッドユニットを具備する。このような液体噴射ヘッドユニットとしては、例えば、複数の液体噴射ヘッドを共通の保持部材であるベースプレートに一方向に少しずつずらした状態でアライメントして固定しているものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−25207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の液体噴射ヘッドユニットでは、ユーザー側で故障等したヘッドのみを交換することが考えられるが、各ヘッドに駆動信号などを供給するための配線部材が接続されており、配線部材の着脱作業が煩雑であるという問題や接続後の接触不良などの問題がある。
【0005】
そこで、本発明の課題は、上記従来技術の問題点を解決することにあり、ユーザーが比較的容易にヘッド交換を行うことができ且つ交換作業の際に接触不良が生じない汎用性の高い液体噴射ヘッドユニット及びこれを用いた液体噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、圧力発生素子の駆動により液体を噴射する液体噴射ヘッド本体と、前記液体噴射ヘッド本体の圧力発生素子に駆動信号を供給するための配線部材と、前記配線部材の一端部に設けられて当該配線部材が接続され且つ前記液体噴射ヘッド本体の第1コネクター部と着脱自在な第2コネクター部を有するコネクター部材とを具備し、前記コネクター部材は、前記配線部材との接続部には当該配線部材の接続端部を挿入して接続する配線部材コネクターが設けられたベース部材と、前記配線部材コネクター部を覆うように前記ベース部材に固定される保持部材とを具備し、前記配線部材コネクターに挿入された配線部材が前記保持部材により折り曲げられた状態で保持されていることを特徴とする液体噴射ヘッドユニットにある。
【0007】
かかる本発明によれば、コネクター部材を介して液体噴射ヘッド本体からの配線部材の着脱が容易となり、ユーザーが比較的容易にヘッド交換を行うことができる。また、コネクター部材の配線部材コネクターに挿入された配線部材が折り曲げられた状態で保持部材とベース部材との間に保持されているので、交換作業の際に接触不良が生じることがない。
【0008】
ここで、前記配線部材が、前記接続端部が反対側に折り曲げられた状態で前記ベース部材と前記保持部材とに挟持されているのが好ましい。これによれば、配線部材の接続端部が反対側に折り曲げられた状態でベース部材と保持部材とに挟持されているので、配線部材が配線部材コネクターから抜けることがより確実に防止される。
【0009】
また、前記保持部材が前記ベース部材に対して着脱自在に固定されているのが好ましい。これによれば、保持部材を外すことにより、必要に応じて、配線部材の接続を外すことができる。
【0010】
また、前記ベース部材と前記保持部材との当接面の何れか少なくとも一方には前記配線部材との接続部をシールする第1シール部材が設けられているのが好ましい。これによれば、配線部材の接続部がベース部材と保護部材との間の空間にシールされており、霧状となった液体の侵入が防止される。
【0011】
また、前記保持部材が透明部材からなるのが好ましい。これによれば、配線部材の接続部の確認が容易にでき、接続不良等を事前に防止できる。
【0012】
また、前記液体噴射ヘッド本体の前記第1コネクター部の周囲又は前記ベース部材の前記第2コネクター部の周囲の当接面の少なくとも一方には、第1コネクター部と第2コネクター部との接続部をシールする第2シール部材が設けられているのが好ましい。これによれば、第2シール部材により、第1コネクター部と第2コネクター部との接続部がシールされ、霧状となった液体の侵入が防止される。
【0013】
また、前記液体噴射ヘッド本体には複数の第1コネクター部が設けられており、前記ベース部材には複数の配線部材が接続される共に前記第2コネクター部が複数設けられているのが好ましい。これによれば、複数の配線部材の接続が1つのコネクター部材の取付作業で行うことができる。
【0014】
本発明の他の態様は、上述した液体噴射ヘッドユニットを備えたことを特徴とする液体噴射装置にある。
【0015】
これによれば、コネクター部材を介して液体噴射ヘッド本体からの配線部材の着脱が容易となり、ユーザーが比較的容易にヘッド交換を行うことができる液体噴射装置が実現でき、また、コネクター部材の配線部材コネクターに挿入された配線部材が折り曲げられた状態で保持部材とベース部材との間に保持されているので、交換作業の際に接触不良が生じることがない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態にかかるヘッドの斜視図及び要部下面図。
【図2】本発明の一実施形態にかかるコネクター部材の分解斜視図。
【図3】本発明の一実施形態にかかるコネクター部材の分解斜視図。
【図4】本発明の一実施形態にかかるコネクター部材の断面図。
【図5】本発明の一実施形態にかかるコネクター部材のベース部材の斜視図。
【図6】本発明の一実施形態にかかるヘッドユニットの斜視図。
【図7】フレーム、信号供給ユニットを除去した状態のヘッドユニットの上面図。
【図8】本発明の一実施形態にかかるヘッドユニットの上面図。
【図9】放熱部材を除去した場合のヘッドユニットの上面図。
【図10】本発明の一実施形態にかかる信号供給ユニットの一部分解斜視図。
【図11】本発明の一実施形態にかかる信号供給ユニットの要部斜視図。
【図12】本発明の一実施形態にかかるヘッドユニットの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
はじめに、本発明の液体噴射ヘッドユニットであるインクジェット式記録ヘッドユニット1(以下、単にヘッドユニットという)に用いられるインクジェット式記録ヘッド2(以下、単にヘッドという)について、図1を用いて説明する。図1は、ヘッドの構成を説明するための図であり、(a)は、ヘッドの斜視図、(b)はヘッドの要部下面図である。
【0018】
ヘッド2は、入力された駆動信号に応じてインクをノズル開口から噴射するヘッド本体21を備える。ヘッド本体21の一端面(上端面)には、インクをヘッド本体21内に導入するためのインク導入口22、及び駆動信号を入力するための後述するコネクター部材が接続される二つの第1コネクター23が設けられている。なお、本実施形態ではインク導入口22は二つ設けたが、一つでもよい。また、ヘッド本体21の他端面(下端面、液体噴射面)24には、インクを噴射するノズル開口25が形成されている。ノズル開口25は、ヘッド本体21の長手方向に列状に並設されており、ノズル列26を形成している。インク導入口22とノズル開口25とは、ヘッド本体21内部に形成された図示しないインク流路を介して接続されている。このインク流路には図示しない圧力発生手段が設けられており、各ヘッド2は、第1コネクター23を介してヘッド2に入力された駆動信号に応じて、圧力発生手段によりインクをノズル開口25から噴射する。また、ヘッド本体21の外周には、ヘッド本体21を後述するベースプレートに固定するための固定部材27が設けられている。
【0019】
このようなヘッド2を複数備えた本実施形態のヘッドユニット1について、図6を用いて説明する。図6は、ヘッドユニットの斜視図である。ヘッドユニット1は、複数の(図中では例として8個の)ヘッド2を備えている。各ヘッド2は、固定部材27を介してそれぞれベースプレート3に固定されている。なお、以下、固定された状態におけるこのヘッド本体21の短手方向に沿った方向を第一方向とし、このヘッド本体21の長手方向に沿った方向を第二方向とする。
【0020】
本実施形態においては、詳細は後述するが、ベースプレート3を底面とした柱状の空間内に収まるように、全てのヘッドユニット1の構成部材、即ち、ベースプレート3に固定されたヘッド2(2a〜2d)、ヘッド2にインクを供給するインク供給管4(液体供給管)、ベースプレート3に立設けられたフレーム5、フレーム5上に載置された信号供給ユニット6が構成され配置されている。このようにヘッドユニット1の構成部材がベースプレート3を底面とした柱状の空間内に収められていることで、本実施形態のヘッドユニット1は、ヘッドユニット1同士を構成部材が接触せずに組み合わせることができ、汎用性が高いものとなっている。
【0021】
各ヘッド2は、各ヘッド2を第一方向に沿って二つ並べたものを一組とし、この一組を略千鳥状となるように、かつ、各ヘッド2のノズル列26(図1参照)がその端部で第一方向に並設された別の一組のヘッド2のノズル列26の端部と重なるようにベースプレート3に配置されている。このように略千鳥状となるように、かつノズル列の端部をオーバーラップさせてヘッド2を配置していることで、第二方向ではノズル列26がとぎれることがないため、より広範囲の印刷を高速で行わせることができる。また、ヘッド本体21の短手方向に二つ並べたものを一組として配置することで、一組のヘッド2のノズル列のピッチが半ピッチずらした状態とすることにより解像度を高くすることができる。
【0022】
ベースプレート3は、ヘッド本体21に応じて形成されており、略千鳥状となるように配置されたヘッド2に合わせて、第二方向に沿ってずれた形状となっている。また、ベースプレート3には、各ヘッド2のノズル開口25が形成された下端面24が露出するように、複数の開口部31が設けられている。
【0023】
また、各ヘッド本体21の長手方向の長さは、各ヘッド本体21のノズル開口25が並設されてなるノズル開口列の長さの2倍以下となるように構成されている。これにより、ベースプレート3におけるヘッド2の設置面積を小さくすることができる。
【0024】
各ヘッド2のインク導入口22(図1参照)には、図示しないインク貯留部に接続されたインク供給管4が接続され、各ヘッド2にインクが供給される。このインク供給管4についてさらに図7も用いて説明する。図7は、フレーム及び信号供給ユニットを除去した状態でのヘッドユニットの上面図である。本実施形態では、インク供給管4は、2本設けられている。
【0025】
各インク供給管4は、幹流路管41、枝流路管42a〜42d、ヘッド側枝流路管43a〜43dからなる。幹流路管41は、端部で図示しないインク貯留部に接続されている。幹流路管41から分岐した枝流路管42a〜42dは、各端部で継手44を介してヘッド側枝流路管43a〜43dに接続されている。ヘッド側枝流路管43a〜43dは、2つに分岐して一つのヘッド2の各インク導入口22に接続されている。この場合に、各インク供給管4は、図7に示すようにベースプレート3を底面とした柱状の空間内に収まるように構成され配置されている。
【0026】
具体的には、幹流路管41は、第一分岐部45で二つの枝流路管42a、42bに分岐する。枝流路管42aは、分岐後下方へ延設された枝流路であり、この枝流路管42aはヘッド2aに接続されたヘッド側枝流路管43aに接続する。ヘッド側枝流路管43aは、ヘッド2aに設けられた二つのインク導入口22に接続する。枝流路管42bは、分岐後水平方向へ延設されており、ヘッド2aの第一方向に沿って配置されたヘッド2bのヘッド側枝流路管43bに接続される。また、枝流路管42bからは分岐点46においてさらに枝流路管42cが分岐しており、この枝流路管42cは、分岐後第一方向に沿うように延設されており、ヘッド2aの第一方向に並設されたヘッド2cのヘッド側枝流路管43cに接続される。また、枝流路管42cからは分岐点47においてさらに枝流路管42dが分岐しており、枝流路管42dは、ヘッド2cの第二方向に並設されたヘッド2dのヘッド側枝流路管43dに接続される。他方のインク供給管4も、同様に構成されて、4つのヘッド2にインクを供給するように構成されている。
【0027】
ベースプレート3上にはフレーム5が設けられ、このフレーム5には、各ヘッドを駆動するための信号を供給する信号供給ユニット6が載置されている。フレーム5は、4つの脚部51と、脚部51によって支持された台部52とからなる。この脚部51がヘッド2に隣接した位置、即ちベースプレート3の第二方向に沿ってそれぞれ配置されていることで、ベースプレート3の第二方向の長さを短くすることが可能である。
【0028】
台部52には、信号供給ユニット6が載置されている。この信号供給ユニット6について、図8〜図11を用いて詳細に説明する。図8は、ヘッドユニットの上面図であり、図9は放熱部材を除去した場合のヘッドユニットの上面図であり、図10は、信号供給ユニットの一部分解斜視図であり、図11は、信号供給ユニットの要部斜視図である。
【0029】
図8に示すように、このフレーム5及び信号供給ユニット6も、ベースプレート3を底面とした柱状の空間内に全て収納されている。信号供給ユニット6は、一対の回路基板61を備えている。各回路基板61は、第二方向に並設された二組のヘッド2のヘッド本体21に駆動信号を供給するものである。この回路基板61のコンデンサーC等(図10、図11以外では省略した)が設置された回路形成部62が形成された回路形成面63が互いに外側を向くように、かつ、回路形成部62が重なるように回路基板61は並設されている。この回路形成部62間には、回路基板61で発生する熱を放熱させるためのヒートシンク(放熱器)64が設けられている。ヒートシンク64は、ヒートシンク64で放熱効率を向上させるようにフィン65がベースプレート3に対して垂直方向に設けられている。この放出した熱をさらに排出しやすいように、フレーム5のフィン65に対向する部分には、図10に示すように開口54が形成されている。また、ヒートシンク64の上部には、筒状部材66が設けられている。本実施形態の信号供給ユニット6では、このようにベースプレート3に対して垂直方向にフィン65を備え、かつ、フィン65に対向するように開口54及び筒状部材66を備えていることから、ベースプレート3に対して垂直方向に熱を逃がしやすい構成となっている。
【0030】
また、回路基板61には、各ヘッド2に駆動信号を供給するための配線部材(FFC)67の一端部が接続されている。FFC67は、回路基板61の回路形成部62の図示しないFFCコネクターにその一端で接続され、かつ、詳細は後述するが、他端はコネクター部材70に接続され、コネクター部材70を介してヘッド本体21の第1コネクター23に接続され、各駆動信号はFFC67を介して各ヘッド本体21に供給されている。
【0031】
なお、フレーム5の脚部51には開口53が設けられ、この開口53にFFC67が挿入されるようになっている。この脚部51は、前述のようにヘッド2に隣接した位置に設けられているので、この開口53にFFC67を挿通させることで、FFC67を曲げずにコネクター部材70を介してヘッド2に接続することが可能である。
【0032】
ここで、コネクター部材70の詳細を図2〜図5を参照しながら説明する。なお、図2、図3はコネクター部材の分解斜視図、図4は断面図、図5はFFCを外した状態のベース部材の斜視図である。
【0033】
これらの図面に示すように、コネクター部材70は、中継基板となるベース部材71と、ベース部材71の一方面(図中上面)に設けられてFFC67の接続端部を接続する配線部材コネクターである二つのFFCコネクター72と、他方面に設けられて上述したヘッド2の第1コネクター23と接続可能な二つの第2コネクター73と、FFCコネクター72を覆う保護部材74とを具備し、ベース部材71と保護部材74とは、締結孔75を用いて相互に締結できるようになっている。
【0034】
ここで、FFCコネクター72は、従来においてはヘッド2に設けられていたものであり、FFC67の端部をベース部材71の一方の側方(図3および図4中右方)からベース部材71の面方向に平行に挿入して接続するための接続部72aを有する。接続部72aにそれぞれ挿入されたFFC67の端部67aは折り曲げ部67bで反対側に180°折り返されて、FFCコネクター72の上側に配されてベース部材71の他方の側方外側まで延びるように配され、この状態を保持するように保護部材74によって押さえ付けられるようになっている。これにより、FFC67が引っ張られた状態となっても、FFCコネクター72の接続部72aからFFC67が抜けることがない。なお、保護部材74によるFFC67の押さえを確実に行うために、保護部材74の内側に弾性部材などを設けて、当該弾性部材でFFC67を押さえ付けるようにしてもよい。
【0035】
また、本実施形態では、FFCコネクター72とFFC67との接続部が保護部材74で覆われるようになっているので、外部雰囲気に、例えば、霧状のインクが舞っていてもその影響を受けにくくなるが、外部雰囲気とより完全に遮断するために、ベース部材71と保護部材74の何れか一方の当接面の周縁部に、例えば、シリコーンゴムなどの弾性部材からなる第1シール部材76を設け、ベース部材71と保護部材74との間の空間をシールして外部雰囲気と確実に遮断するようにしている。なお、保護部材74にはFFC67を外部へ引き出すために開口74aが設けられているが、開口74aにも第1シール部材76を設けて開口74aを封止するようにしている。
【0036】
一方、第2コネクター73は、第1コネクター23と着脱自在に接続可能なコネクターであり、その形式は特に限定されない。また、本実施形態では、第1コネクター23をオスとし、第2コネクター73をメスとしているが、勿論、逆でもよい。これら第1コネクター23および第2コネクター73の接続は、コネクター部材70をヘッド2の上面に押し付けることで容易に行うことができ、また、接続解除はコネクター部材70を引き上げることにより、容易に行うことができる。
【0037】
また、本実施形態では、第1コネクター23と第2コネクター73との接続部を外部環境から隔離するために、例えば、シリコーンゴムなどの弾性部材からなる第2シール部材77を第2コネクター73が設けられたベース部材71の裏面の周縁部に設けている。これにより、第1コネクター23と第2コネクター73とを接続した際に、第2シール部材77がヘッド2の上面に密着し、第1コネクター23と第2コネクター73との接続部を外部環境から隔離することができる。これにより、外部雰囲気に、例えば、霧状のインクが舞っていても、接続状態に悪影響を与えることがない。
【0038】
なお、以上説明した本実施形態のコネクター部材70では、FFC67の端部67aを接続方向から反対側に折り曲げて引き出し保護部材74で保持することにより、FFCコネクター72との接続状態が脱離することを防止しているが、保護部材74は着脱できなくてもよく、例えば、モールド樹脂などによりモールドしてもよい。
【0039】
勿論、万が一の場合を考慮すると、着脱可能とした方が好ましいことはいうまでもない。また、FFC67の接続状態を常に目視できるように、保護部材74を透明樹脂などで形成してもよい。これにより、容易に接続状態を確認することができ、接続不良による吐出動作の事故等を事前に防止することができる。
【0040】
このようなヘッドユニット1は、図6に示すように、ベースプレート3を底面とした柱状の空間内に収まるように、各部材が配置され、構成されている。言い換えると、ヘッドユニット1は、ベースプレート3を下方から見上げた場合に、全ての構成部材、即ち複数のヘッド2、インク供給管4、フレーム5及び信号供給ユニット6が見えないように構成されている。
【0041】
このようにベースプレート3を底面とした柱状の空間内に全ての構成部材が収まるように構成されていることで、本実施形態のヘッドユニット1は、2以上のヘッドユニット1を構成部材同士が接触することなく接続することができるので、汎用性が高い。例えば、図12に示すようにヘッド本体21の長手方向に複数のヘッドユニット1を並べて一のヘッドユニットIを構成することができる。この場合にも、ヘッド2が千鳥状に配置されていることによりベースプレート3が第二方向にずれた形状となっていることで、一のヘッドユニットのベースプレート3の凸部32を別のヘッドユニットのベースプレート3の凹部33に嵌合することができる。この場合にも、各ヘッド2のノズル列26(図1参照)は端部でオーバーラップしているので、ヘッドユニット1を複数接続した一のヘッドユニットIでも、ノズル列が第二方向に対してとぎれることがない。従って、より広範囲の印刷を高速で行わせることができる。また、各ヘッド2、各インク供給管4、フレーム5及び信号供給ユニット6は、ベースプレート3の中心を対称軸とした場合に、回転対称となるように配置されている。このように構成されていることで、ヘッドユニット1を接続する場合に接続方向を考慮する必要がなく、汎用性が高い。
【0042】
また、本実施形態のヘッドユニット1は、第一方向がインクジェット式記録装置に代表される液体噴射装置の記録用紙や基板等の被記録媒体を搬送する方向と一致するように装置本体に固定されることで、被記録媒体を第一方向に搬送するだけで記録可能ないわゆるライン式記録装置に適用することができる。
【0043】
なお、液体噴射装置は、特にこれに限定されず、例えば、ヘッドユニット1を被記録媒体の搬送方向とは直交する方向に移動可能に設けられたキャリッジ等の移動手段に搭載することで、ヘッドユニット1によって形成された第二方向に連続するノズル列の長さよりも幅広の被記録媒体に印刷することができる。すなわち、ヘッドユニット1を、第一方向が被記録媒体の搬送方向と一致するように配置し、ヘッドユニット1を第二方向に移動させると共に、被記録媒体を第一方向に移動させながら記録を行うことができる。
【0044】
上述した実施形態では、一つのベースプレート3に8つのヘッド2を固定してヘッドユニット1を構成するようにしたが、特にこれに限定されず、2つ以上のヘッド2で構成してもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 インクジェット式記録ヘッドユニット(ヘッドユニット)、 2 インクジェット式記録ヘッド(ヘッド)、 3 ベースプレート、 4 インク供給管、 5 フレーム、 6 信号供給ユニット、 21 ヘッド本体、 22 インク導入口、 23 第1コネクター、 24 下端面、 25 ノズル開口、 26 ノズル列、 27 固定部材、 31 開口部、 41 幹流路管、 42a〜42d 枝流路管、 43a〜43d ヘッド側枝流路管、 44 継手、 45 第一分岐部、 51 脚部、 52 台部、 53 開口、 61 回路基板、 62 回路形成部、 63 回路形成面、 64 ヒートシンク、 65 フィン、 66 筒状部材、 67 配線部材(FFC)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力発生素子の駆動により液体を噴射する液体噴射ヘッド本体と、
前記液体噴射ヘッド本体の圧力発生素子に駆動信号を供給するための配線部材と、
前記配線部材の一端部に設けられて当該配線部材が接続され且つ前記液体噴射ヘッド本体の第1コネクター部と着脱自在な第2コネクター部を有するコネクター部材とを具備し、
前記コネクター部材は、前記配線部材との接続部には当該配線部材の接続端部を挿入して接続する配線部材コネクターが設けられたベース部材と、前記配線部材コネクター部を覆うように前記ベース部材に固定される保持部材とを具備し、前記配線部材コネクターに挿入された配線部材が前記保持部材により折り曲げられた状態で保持されていることを特徴とする液体噴射ヘッドユニット。
【請求項2】
前記配線部材が、前記接続端部が反対側に折り曲げられた状態で前記ベース部材と前記保持部材とに挟持されていることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射ヘッドユニット。
【請求項3】
前記保持部材が前記ベース部材に対して着脱自在に固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体噴射ヘッドユニット。
【請求項4】
前記ベース部材と前記保持部材との当接面の何れか少なくとも一方には前記配線部材との接続部をシールする第1シール部材が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の液体噴射ヘッドユニット。
【請求項5】
前記保持部材が透明部材からなることを特徴とする請求項3又は4に記載の液体噴射ヘッドユニット。
【請求項6】
前記液体噴射ヘッド本体の前記第1コネクター部の周囲又は前記ベース部材の前記第2コネクター部の周囲の当接面の少なくとも一方には、第1コネクター部と第2コネクター部との接続部をシールする第2シール部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の液体噴射ヘッドユニット。
【請求項7】
前記液体噴射ヘッド本体には複数の第1コネクター部が設けられており、前記ベース部材には複数の配線部材が接続されると共に前記第2コネクター部が複数設けられていることを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の液体噴射ヘッドユニット。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか1項に記載の液体噴射ヘッドユニットを備えたことを特徴とする液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−228110(P2010−228110A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−75132(P2009−75132)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】