説明

液体噴射ヘッド及び液体噴射装置

【課題】カバーに付着した液体が回路基板に流入することを防止することができる液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供する。
【解決手段】ヘッド本体と、ヘッド本体に駆動信号を供給する回路基板と、ヘッド本体に供給される液体の圧力を制御する背圧制御ユニットとを具備し、背圧制御ユニットは、液体流路が設けられた流路部材と、流路部材を保護するカバー部32とベース部と、カバー部32の外周に端部601aが臨むことによって表面に付着したインクを案内する案内部600とを具備し、カバー部32の外周は、露出部62に面する第1の縁部32aと、第1の縁部32aと対向する第2の縁部32bと、第1の縁部32aと第2の縁部32bを接続させる第3の縁部32cとから構成され、端部601aは、第2の縁部32bと第3の縁部32cの少なくとも一方と接続している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル開口から液体を噴射する液体噴射ヘッド及び液体噴射装置に関し、特
に液体としてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装
置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドは、ノズル開口と連通する圧
力発生室に圧力変化を生じさせてノズル開口からインク滴を吐出させる。
【0003】
このようなインクジェット式記録ヘッドには、バルブユニット(背圧制御ユニット)が
設けられたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−260948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような背圧制御ユニットは、分割可能なカバーと、カバーの内部に設けられた流路
部材とで構成されており、背圧制御ユニットの下面側にはインク滴を吐出するヘッド本体
及びヘッド本体に駆動信号を供給する回路基板が固定されている。
【0006】
回路基板は、液体噴射装置からの外部配線が接続されるコネクターなどが一部露出して
いる。当然、外部配線や回路基板のコネクター等はシールされているものの、回路基板の
電子回路や電子部品をインク滴から保護するために万全を期す必要がある。
【0007】
特に、内部に流路部材を保持するカバーの表面には、当該流路部材にインクを供給する
チューブ等を着脱する際などにインク滴が付着する場合があり、このインク滴が表面を伝
って回路基板に流れ込む虞がある。
【0008】
なお、このような問題はインクジェット式記録ヘッドだけではなく、インク以外の液体
を噴射する液体噴射ヘッドにおいても同様に存在する。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑み、カバーに付着した液体が回路基板に流入することを防
止することができる液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本発明は、液体を噴射するヘッド本体と、当該ヘッド本体に駆動信
号を供給する回路基板と、当該ヘッド本体及び当該回路基板が固定されて前記ヘッド本体
に供給される液体の圧力を制御する背圧制御ユニットとを具備し、前記背圧制御ユニット
は、液体流路が設けられた流路部材と、当該流路部材を覆い、樹脂材料からなるカバーと
、前記カバーの表面に設けられ、前記カバーの外周に端部が臨むことによって当該表面に
付着した液体を案内する案内部と、を具備し、前記カバーの外周は、少なくとも、前記回
路基板の少なくとも一部が露出した露出部に面する第1の縁部と、前記第1の縁部と対向
するように設けられた第2の縁部と、当該第1の縁部と第2の縁部を接続させる第3の縁
部と、から構成され、前記端部は、前記第2の縁部と第3の縁部の少なくとも一方と接続
していることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる態様では、カバーに設けられた案内部により、カバー表面に付着した液体が露出
部に流入することが防止される。これにより、液体で回路基板の回路が短絡したり電子部
品が故障することが防止され、信頼性が向上した液体噴射ヘッドが提供される。
【0011】
ここで、前記案内部は、前記カバーの表面に溝状に設けられていることが好ましい。こ
れにより、カバー表面に付着した液体が露出部に流入することをより確実に防止すること
ができる。
【0012】
また、前記案内部は、前記カバーの表面に凸状に設けられていることが好ましい。これ
により、カバー表面に付着した液体が露出部に流入することをより確実に防止することが
できる。
【0013】
また、前記カバーは、ベース部と、該ベース部に固定されたカバー部とを具備し、前記
ベース部と前記カバー部とで形成された保持部に前記流路部材が保持されており、前記回
路基板は、前記露出部が前記ベース部の側方に位置するように前記ベース部に固定され、
前記案内部は、前記カバー部表面の前記露出部側以外の端部に液体を案内することが好ま
しい。これにより、ベース部に固定された回路基板の一部が露出した露出部に液体が流入
することを防止できる。
【0014】
また、前記背圧制御ユニットには、内部の雰囲気を外部に大気開放する大気開放路を具
備し、前記カバー部の前記流路部材側の面には、前記大気開放路の一部を形成する凸部が
形成され、前記案内部は、前記カバー部の前記流路部材側とは反対側の表面に、前記凸部
と対向する領域に設けられていることが好ましい。これにより、凸部が設けられたカバー
部の厚みが厚い部分に案内部が設けられている。したがって、案内部を設けた部分の厚さ
が薄くなることが防止され、カバー部の強度を維持できる。
【0015】
また、前記カバー部には、前記ベース部との間にシール部が二色成型により形成されて
いることが好ましい。これにより、カバー部を二色成型する際の歩留まりが向上する。す
なわち、カバー部は、垂直な面を有する案内部により、カバー部側の第1金型に対してよ
り強く係合する。仮に、カバー部が第1金型から外れてしまうと、熱膨張等の要因でカバ
ー部は第1金型に嵌らない。結局、当該カバー部は破棄せざるを得なくなり、歩留まりが
低下してしまう。本発明では、このような破棄せざるを得ない状況を回避し、歩留まりを
向上することができる。
【0016】
また、前記案内部は、前記カバー部表面とは垂直な面を有していることが好ましい。こ
れにより、二色成型の際に、より強固にカバー部は第1金型に係合する。
【0017】
さらに、本発明の他の態様は、上記態様の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする
液体噴射装置にある。
かかる態様では、カバーに付着した液体が回路基板に流入することを防止することがで
き、信頼性を向上した液体噴射装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る記録ヘッドの分解斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る流路部材の分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る背圧制御ユニットの断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る背圧制御ユニットの要部分解斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るカバー部の平面図及び断面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る保護板の平面図及び要部を拡大した図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るカバー部の平面図及び端面図である。
【図8】変形例に係る案内部が設けられたカバー部の斜視図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る記録装置の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録
ヘッドの分解斜視図であり、図2は、流路部材の分解斜視図であり、図3は、背圧制御ユ
ニットの断面図であり、図4は、背圧制御ユニットの要部の分解斜視図である。
【0020】
図1に示すように、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェ
ット式記録ヘッド10は、背圧制御ユニット20と、背圧制御ユニット20の底面に設け
られた回路基板60と、回路基板60の背圧制御ユニット20とは反対側に設けられたヘ
ッドケース70と、ヘッドケース70に固定された複数のヘッド本体80と、を具備する

【0021】
背圧制御ユニット20の底面には、ヘッドケース70が固定され、背圧制御ユニット2
0とヘッドケース70との間に回路基板60が保持されている。また、ヘッドケース70
の底面には、ヘッド本体80が設けられている。
【0022】
回路基板60は、ヘッド本体80にインクを吐出させる駆動信号やヘッド本体80の状
態を表す信号を得るための電子部品や回路が形成されたものである。回路基板60は、複
数のヘッド本体80に共通して接続されている。
【0023】
また、回路基板60は、配線挿通孔312に相対向する領域に外部配線が接続されるコ
ネクター61が上向きとなるように配置されており、コネクター61の先端部分が配線挿
通孔312内で外部に露出している。この露出した領域を露出部62と称する。
【0024】
ヘッド本体80は、特に図示しないがノズル開口が並設された列が2列以上設けられて
おり、各背圧制御ユニット20から供給された各種インクを各ノズル列から吐出する。本
実施形態では、特に図示していないが、4つのヘッド本体を設け、3つのヘッド本体から
は2色のインクが吐出されるようにすると共に1つのヘッド本体からは1色のインクが2
列のノズル列から吐出されるようにした。これにより、7色のインクを吐出可能とした。
【0025】
ヘッド本体80内には、特に図示していないが、ノズル開口に連通する圧力発生室と圧
力発生室に圧力変化を生じさせる圧力発生手段とが設けられている。かかる圧力発生手段
としては、例えば、電気機械変換機能を呈する圧電材料を有する圧電アクチュエーターの
変形によって圧力発生室の容積を変化させて圧力変化を生じさせて、ノズル開口からイン
ク滴を吐出させるものがある。また圧力発生室内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱
で発生するバブルによってノズル開口からインク滴を吐出するものがある。その他、振動
板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズル開口
からインク滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを使用することができる

【0026】
背圧制御ユニット20は、外部のインクが貯留されたインクタンクなどの液体貯留手段
からのインクをヘッド本体80に供給するものである。
【0027】
背圧制御ユニット20は、中空状の箱状部材からなるカバー30と、カバー30の内部
に設けられた流路部材40と、を具備する。
【0028】
カバー30は、上下に分割されたベース部31とカバー部32とを具備し、流路部材4
0を覆い、樹脂材料からなる。ベース部31は、カバー部32側に開口する凹形状を有す
る第1保持部311と、第1保持部311の一端部側に設けられて厚さ方向に貫通する配
線挿通孔312が設けられた支持部313と、を具備する。
【0029】
ベース部31の第1保持部311の底面には、厚さ方向に貫通してヘッド本体にインク
を供給する複数の供給口314が設けられている。本実施形態では、ベース部31の底面
に7個の供給口314を設けた。
【0030】
カバー部32は、図1及び図4に示すように、第2保持部321が設けられている。第
2保持部321は、ベース部31の第1保持部311に相対向してベース部31側に開口
する凹形状を有する。
【0031】
図3に示すように、ベース部31とカバー部32とは、第1保持部311と第2保持部
321とを相対向させて固定されることで、内部に第1保持部311と第2保持部321
とによって画成された空間である保持部33を有する。
【0032】
ここで、ベース部31には、第1保持部311の側面を画成する第1壁部315が設け
られている。また、カバー部32には、第2保持部321の側面を画成する第2壁部32
2が設けられている。そして、これらベース部31とカバー部32とは、第1壁部315
の先端面と第2壁部322の先端面とを互いに当接させて固定されている。
【0033】
詳しくは後述するが、第1壁部315と第2壁部322との間には、ゴムやエラストマ
ー等からなる第1シール部34が挟持される。
【0034】
また、カバー部32には、第2保持部321の底面に連通して厚さ方向に貫通する開口
部323が設けられている。カバー部32の第2保持部321側には、第2壁部322よ
りも低く突出した突起部324が設けられており、開口部323は、突起部324に開口
して設けられている。
【0035】
カバー30の保持部33に保持される流路部材40は、図2及び図3に示すように、本
実施形態では、ベース部31側に設けられた第1流路部材41と、第1流路部材41上に
設けられた第2流路部材42と、第2流路部材42上に設けられた圧力室形成部材43と
、圧力室形成部材43上に設けられた保護板44と、が積層されて構成されている。
【0036】
これら第1流路部材41、第2流路部材42、圧力室形成部材43及び保護板44のそ
れぞれは、樹脂材料や金属材料等からなる板状部材で形成され、積層された状態で、カバ
ー30の保持部33内に保持される。
【0037】
このような流路部材40を構成する第1流路部材41、第2流路部材42及び圧力室形
成部材43には、外部のインクが貯留された液体貯留手段からのインクをヘッド本体80
に供給する液体流路50が設けられている。
【0038】
具体的には、液体流路50は、図3に示すように、液体貯留手段に一端側が接続された
チューブ等の管状部材である供給管(図示なし)の他端部が接続される接続口51を有す
る導入路52と、導入路52からのインクが供給されるチャンバー53と、チャンバー5
3からのインクをヘッド本体80に供給する供給路54と、を具備する。
【0039】
接続口51は、第2流路部材42の上面にカバー部32の開口部323内に開口して設
けられたものである。このような接続口51は、複数のインクに対応して複数個設けられ
ている。本実施形態では、接続口51を7個設けるようにした(図1参照)。
【0040】
このような接続口51を有する導入路52は、第2流路部材42や第1流路部材41を
貫通する流路や、第2流路部材42と第1流路部材41との間の流路や、第1流路部材4
1とベース部31との間の流路などで構成されている。
【0041】
本実施形態の導入路52は、図3(a)に示す第1導入路55と、図3(b)に示す第
2導入路56との2つの経路を具備する。
【0042】
第1導入路55は、図3(a)に示すように、第1導入流路551、第2導入流路55
2、第3導入流路553、第1フィルター室554及び第4導入流路555を具備する。
第1導入流路551は、第2流路部材42と第1流路部材41とを厚さ方向に貫通した流
路である。また、第2導入流路552は、ベース部31の第1保持部311の底面に凹部
状に形成されて第1導入流路551に一端部が連通する流路である。さらに、第3導入流
路553は、第2導入流路552の他端部側に連通して第1流路部材41を貫通して設け
られた流路である。そして、第1フィルター室554は、第1流路部材41と第2流路部
材42との間に設けられて第3導入流路553に連通する流路である。第4導入流路55
5は、第1フィルター室554に連通して第2流路部材42を貫通して設けられた流路で
ある。
【0043】
第2導入路56は、図3(b)に示すように、第5導入流路561、第6導入流路56
2、第1フィルター室563及び第7導入流路564を具備する。第5導入流路561は
、接続口51に連通して第2流路部材42を厚さ方向に貫通した流路である。第6導入流
路562は、第1流路部材41と第2流路部材42との間に設けられた凹形状を有する流
路である。第1フィルター室563は、第6導入流路562に連通する流路である。第7
導入流路564は、第1フィルター室563に連通して第2流路部材42を厚さ方向に貫
通して設けられた流路である。
【0044】
すなわち、第1導入路55は、第1流路部材41とベース部31との間を通過してチャ
ンバー53に達する。これに対して、第2導入路56は第1流路部材41とベース部31
との間を通過することなく、第1流路部材41と第2流路部材42との間を通過して、チ
ャンバー53に達する。
【0045】
第1導入路55及び第2導入路56のそれぞれの途中に設けられた第1フィルター室5
54、563には、インク中に含まれるゴミや気泡等の異物を除去するフィルター57が
設けられている。これにより、第3導入流路553から供給されたインクはフィルター5
7を通過して第4導入流路555に供給される。同様に、第6導入流路562から供給さ
れたインクはフィルター57を通過して第7導入流路564に供給される。
【0046】
本実施形態では、図2に示すように、接続口51を7個設け、この7個の接続口51に
対応して7個の導入路52を設けた。そして7個の導入路52の内、第1導入路55を4
個設け、第2導入路56を3個設けるようにした。
【0047】
このように、第1導入流路551〜第4導入流路555で構成される第1導入路55と
、第5導入流路561〜第7導入流路564で構成される第2導入路56との2種類の導
入路52を設けることで、図3の水平方向にインクが流れる第2導入流路552及び第6
導入流路562を、第1流路部材41とベース部31との間と、第1流路部材41と第2
流路部材42との間との異なる位置に配置することができる。これにより、第2導入流路
552と第6導入流路562を設ける面積を狭くすることができるため、背圧制御ユニッ
ト20を小型化することができる。なお、これらの各導入路52は、圧力室形成部材43
に設けられた各チャンバー53に連通する。
【0048】
チャンバー53は、板状部材である圧力室形成部材43の第2流路部材42とは反対側
に開口する凹形状を有する。また、チャンバー53は、長手方向の一端部側の底面で導入
路52に連通し、他端部側の底面で供給路54と連通している。
【0049】
このようなチャンバー53は、圧力室形成部材43の開口面に設けられたフィルム部材
45によって封止されている。ここで、フィルム部材45は、可撓性を有する薄膜状のフ
ィルムであり、圧力室形成部材43の表面に熱溶着等によって固定されている。また、フ
ィルム部材45は、チャンバー53内にドーム状に撓んだ状態となるように加圧成型され
ている。
【0050】
さらに、圧力室形成部材43のチャンバー53内には、フィルム部材45側に配置され
た弾性板46が設けられている。弾性板46は、一端部側が圧力室形成部材43の表面側
に固定された固定された状態でチャンバー53内に突出して設けられており、その先端は
チャンバー53内で自由端となっている。本実施形態では、図2に示すように、弾性板4
6を固定端側で複数の弾性板46が共通する共通部46aと、チャンバー53ごとに突出
する弾性部46bとで構成された櫛歯形状を有するものとした。
【0051】
このような弾性板46は、共通部46aがチャンバー53の開口面側に保持されること
で固定されている。なお、弾性板46としては、弾性を有し、且つ耐インク性を有する板
状部材であればよく、本実施形態では、ステンレス板を用いた。
【0052】
供給路54は、第2流路部材42を厚さ方向に貫通して設けられた第2フィルター室5
41と、第2フィルター室541に連通して第1流路部材41を貫通して設けられた第1
供給流路542と、ベース部31に設けられた第2供給流路543と、を有する。すなわ
ち、チャンバー53からのインクは、第2フィルター室541と、第1供給流路542と
、第2供給流路543とを介してベース部31に設けられた供給口314に供給される。
【0053】
また、第2フィルター室541には、上述した第1フィルター室554と同様にインク
に含まれるゴミや気泡などの異物を除去するためのフィルター58が設けられている。す
なわち、チャンバー53からのインクは、フィルター58を通過して第1供給流路542
と第2供給流路543とを介してヘッド本体80に供給される。
【0054】
保護板44の圧力室形成部材43側の面には、各チャンバー53に相対向してフィルム
部材45の変形を許容する空間である凹形状を有するフィルム保持部44aが設けられて
いる。
【0055】
図2、図4〜図6を用いて、大気開放路59を説明する。背圧制御ユニット20には、
フィルム保持部44aの雰囲気を大気開放する外部に連通した大気開放路59が設けられ
ている。
【0056】
大気開放路59は、保護板44のフィルム保持部44aの底面に開口する厚さ方向に貫
通した貫通孔591と、保護板44の圧力室形成部材43とは反対側の面に設けられた第
1狭わい路592と、保護板44の第1狭わい路592と同じ面に設けられて第1狭わい
路592と連通する第2狭わい路593と、第2狭わい路593に連通する蛇路594と
、カバー部32に設けられた外部連通孔595(図1参照)と、を具備する。
【0057】
第1狭わい路592は、保護板44の圧力室形成部材43とは反対側の面に、各フィル
ム保持部44aに対応して設けられた凹形状を有する第1溝部592aと、図4に示すカ
バー部32の第1溝部592aに対応して設けられた凹形状を有する凸部592bとによ
って画成されている。そして、フィルム保持部44aと第1狭わい路592とは、チャン
バー53の長手方向一端部に設けられた貫通孔591によって連通している。
【0058】
第2狭わい路593は、図6に示すように、第1狭わい路592を画成する第1溝部5
92aの間に設けられた凹形状を有する。また、第2狭わい路593は、カバー部32側
の開口が凸部592b(図5参照)によって封止されている。また、第1狭わい路592
と、第2狭わい路593とは、貫通孔591とは長手方向の反対側の端部で連通している
。詳しくは、凸部592bには、図4に示すように、貫通孔591とは反対側で第1狭わ
い路592を側面に開口する開口部592cが設けられている。また、凸部592bは、
第2狭わい路593の両端部以外を封止している。これにより、開口部592cを介して
第1狭わい路592と第2狭わい路593とが貫通孔591とは反対側で連通している。
【0059】
また、保護板44には、凸部592bの開口部592cとは反対側に、蛇行した凹形状
を有する溝である蛇路594が設けられている。この蛇路594は、一端部が第2狭わい
路593に連通し、他端部がカバー部32に厚さ方向に貫通して設けられた外部連通孔5
95(図3参照)に連通する。すなわち、フィルム部材45のチャンバー53とは反対側
の空間を画成するフィルム保持部44aは、貫通孔591、第1狭わい路592、第2狭
わい路593、蛇路594及び外部連通孔595からなる大気開放路59によって外部に
連通している。このように、フィルム部材45のチャンバー53とは反対側のフィルム保
持部44aを大気開放路59によって大気開放することで、チャンバー53内部の圧力と
大気圧との差圧でフィルム部材45を変形させることができる。また、大気開放路59を
、貫通孔591、第1狭わい路592、第2狭わい路593、蛇路594及び外部連通孔
595で構成することで、大気開放路59を狭い断面積で経路を長く形成することができ
る。これにより、大気開放路59に拡散抵抗を付与して、フィルム部材45からの水分蒸
発を抑制することができる。ちなみに、チャンバー53内に充填されたインクの水分はフ
ィルム部材45を透過するため、拡散抵抗を付与していない大気開放路を設けると、フィ
ルム部材45を透過したインクの水分は蒸発し易くなり、インクの粘度が高くなるなどの
不具合が生じてしまう。本実施形態では、フィルム部材45を透過するインクの水分の蒸
発を抑制することができるため、インクの粘度が高くなるなどの不具合が発生するのを抑
制することができる。
【0060】
ここで、図3を用いて、ヘッド本体80に供給されるインクの圧力を制御する背圧制御
ユニット20の機構について説明する。
【0061】
図示するように、導入路52とチャンバー53との間には、両者の連通状態を開閉する
弁体100が設けられている。
【0062】
具体的には、圧力室形成部材43の底面には、導入路52(第4導入流路555及び第
7導入流路564)内に上下に伸びる円筒状のケース部101が形成されている。ケース
部101の下面は、第4導入流路555及び第7導入流路564の底面に当接している。
また、ケース部101の内部は、チャンバー53に連通しており、ケース部101の側面
には、ケース部101の内外を連通するスリット102が設けられている。これにより、
チャンバー53と導入路52とは、ケース部101の内部を介して連通している。
【0063】
ケース部101内には、弁体100が設けられている。この弁体100は、ケース部1
01の内部とチャンバー53とを連通する挿通孔103に挿通された円柱状の軸部104
と、ケース部101内において軸部104の下端部に設けられた軸部104の外径よりも
大きい外径を有する円盤状の鍔部105と、を有する。軸部104の下端は鍔部105の
上面における中心に連結されていると共に、軸部104の上端は弾性板46の下面(チャ
ンバー53側の面)に当接している。
【0064】
鍔部105の外径は、挿通孔103の内径よりも大きく、且つケース部101の内径よ
りも僅かに小さくなっている。また、鍔部105の下面(第2流路部材42側の面)と第
4導入流路555及び第7導入流路564の底面との間には付勢部材の一例であるコイル
ばね106が介装されている。
【0065】
このコイルばね106は、弁体100を常に閉弁状態となる方向である上方(フィルム
部材45側)に向かって付勢するようになっている。そして、この弁体100の閉弁状態
では、鍔部105がケース部101内の上壁面に密着して挿通孔103が閉鎖された状態
、すなわちケース部101内と導入路52とが連通していない非連通状態になっている。
【0066】
そして、チャンバー53内がヘッド本体80へのインクの供給によって負圧になると、
フィルム保持部44a内部の大気圧との差圧によってフィルム部材45がチャンバー53
側(第2流路部材42側)に撓むように変位する。このフィルム部材45の変位に伴って
、弾性板46の弾性部46bが第2流路部材42側に向かって屈曲するように弾性変形す
る。
【0067】
この弾性板46の弾性変形により、軸部104がコイルばね106の付勢力に抗して弁
体100を第2流路部材42側に押し下げることで、鍔部105が挿通孔103の開口す
る壁面から離反し、チャンバー53と導入路52とが連通する。
【0068】
このように、チャンバー53と導入路52とが連通すると、導入路52のインクがチャ
ンバー53内に流れ込む。そして、チャンバー53及び供給路54内にインクが十分に充
填されると、チャンバー53の負圧が解消されて、弾性板46が元の状態に戻ると共に、
各コイルばね106の付勢力によって各弁体100がそれぞれ閉弁されることにより各チ
ャンバー53内は常に一定の圧力に保たれる。
【0069】
上述したように、インクの背圧を制御する機構を含んだ流路部材40を保持するカバー
部32には、ゴム、エラストマー等からなる第1シール部34、第2シール部35、第3
シール部36が互いに分離した状態で設けられている。
【0070】
第1シール部34は、上述したように、カバー部32の第2壁部322の先端面に亘っ
て設けられて、ベース部31とカバー部32との外周の継ぎ目を第1シール部34によっ
て封止して、カバー30の保持部33内のインクが外部に流出するのを抑制するためのも
のである。
【0071】
第2シール部35は、カバー部32の蛇路594に相対向する位置に設けられたもので
あり、蛇路594のカバー部32側の開口を封止する。なお、第2シール部35には、大
気開放路59の外部連通孔595に連通する連通孔35aが設けられており、第2シール
部35は、実際には、蛇路594の連通孔35a以外の領域を封止する。
【0072】
第3シール部36は、上述した開口部323が設けられた突起部324の保護板44側
の面に、開口部323の周囲に亘って設けられたものである。この第3シール部36は、
流路部材40の接続口51の周囲でカバー部32との隙間を封止するためのものである。
この第3シール部36によって、開口部323に固定されることで、接続口51に接続さ
れた供給管の着脱時などに漏れたインクが保持部33内に流入するのを抑制することがで
きると共に、保持部33内のインクが接続口51の周囲のカバー部32との隙間から漏れ
出るのを抑制することができる。
【0073】
第1シール部34、第2シール部35及び第3シール部36は、カバー部32と共に二
色成型によって一体的に形成されている。本実施形態では、カバー部32を樹脂材料を成
型することで形成した後、カバー部32の所定の位置にゴム材料を成型することで、両者
を一体的に形成した。このように、カバー部32と、第1シール部34、第2シール部3
5及び第3シール部36とを二色成型によって一体的に形成することで、第1シール部3
4、第2シール部35及び第3シール部36の位置決めが不要となり、背圧制御ユニット
20の組み立て作業を簡略化して、コストを低減することができる。
【0074】
また、カバー部32と第1シール部34、第2シール部35及び第3シール部36とを
二色成型によって一体的に形成することで、別体となる板状のシール部材を用いた場合に
比べて、部品点数を低減することができ、製造コスト及び組み立てコストを低減すること
ができる。
【0075】
ここで、図1及び図7(a)を用いて、上述した回路基板60の露出部62に、カバー
部32の表面に付着したインクが流入することを防止する案内部について説明する。
【0076】
図示するように、ベース部31の側方に突出した支持部313には、配線挿通孔312
が設けられ、配線挿通孔312には、回路基板60の露出部62(コネクター61の先端
側部分)が露出している。
【0077】
一方、カバー部32には、カバー部32の表面に設けられ、カバー部32の外周に端部
601aが臨むことによってカバー部32の表面に付着したインクを案内する案内部60
0が設けられている。
【0078】
カバー部32の外周は、第1の縁部32a、第2の縁部32b及び第3の縁部32cと
から構成されている。
【0079】
第1の縁部32aは、カバー部32の露出部62に面する部分である。すなわち、第1
の縁部32aは、カバー部32の露出部62に近い側の外縁部である。第2の縁部32b
は、カバー部32の第1の縁部32aと対向する部分である。すなわち、第1の縁部32
bは、カバー部32の露出部62から遠い側の外縁部である。第3の縁部32cは、第1
の縁部32aと第2の縁部32bとを接続させる外縁部である。
【0080】
本実施形態では、カバー部32は、略矩形状に形成されている。第1の縁部32aは、
露出部62に近い側(図7(a)の左側)の外縁部であり、第2の縁部32bは、露出部
62に遠い側(図7(a)の右側)の外縁部である。第3の縁部32cは、第1の縁部3
2a及び第2の縁部32bの両端部をそれぞれ接続する外縁部である。
【0081】
案内部600は、カバー部32の流路部材40とは反対側の表面に設けられた第1溝部
601と第2溝部602とから構成されている。
【0082】
第1溝部601は、カバー部32の表面から露出部62側に向かう第1方向(図中左に
向かう方向)とは交差する方向に延設された溝である。第1溝部601は、端部601a
が第3の縁部32cまで接続されている。本実施形態では、第1溝部601は3個設けら
れており、そのうち2つの第1溝部601は、端部601aがカバー部32の両方の第3
の端部32c(第1方向に交差する方向の両端部)まで延設されている。残りの1つの第
1溝部601は、端部601aがカバー部32の一方の第3の端部32cまで延設されて
いる。なお、第1溝部601の端部601aがカバー部32の外周に臨むとは、端部60
1aがカバー部32の外周に連続し、第1溝部601に流入したインクがカバー部32の
側面に排出される構造をいう。
【0083】
さらに、各第1溝部601の間には、複数の第2溝部602が形成されており、各第2
溝部602は、各第1溝部601を連結している。
【0084】
このような構成の案内部600をカバー部32の表面に設けることで、露出部62に最
も近い側の第1溝部601から、露出部62とは反対側の第2の縁部32bに亘り付着し
たインクは、第2溝部602を経由するか又は直接に、第1溝部601に流入する。そし
て、第1溝部601に流入したインクは、カバー部32の第3の端部32cに案内され排
出される。すなわち、案内部600によりカバー部32に付着したインクは、回路基板6
0の露出部62には流入しない。
【0085】
なお、第1溝部601の端部601aは、第3の溝部32cに接続される場合に限らず
、第2の溝部32bに接続されていてもよい。この場合においても、カバー部32の表面
に付着したインクは、カバー部32の外部に排出され、露出部62には流入しない。
【0086】
カバー部32の開口部323に挿通されたチューブ等の供給管(図示なし)が接続口5
1に着脱される際には、該供給管からインクが漏れてカバー部32の表面に付着する場合
があるが、当該インクは、カバー部32に設けられた案内部600により露出部62に流
入することが防止される。これにより、インクにより回路基板60の回路が短絡したり電
子部品が故障することが防止され、信頼性が向上した液体噴射ヘッド10が提供される。
【0087】
また、図7(b)に示すように、第2溝部602は、カバー部32の流路部材40側に
設けられた凸部592bに対向する位置に設けられている。すなわち、凸部592bが設
けられたことでカバー部32の厚みが増した部分に、第2溝部602が設けられている。
したがって、第2溝部602を設けてもカバー部32の厚さが薄くなることが防止され、
カバー部32の強度を維持できる。特に図示しないが、第1溝部601についても、複数
の凸部592b(図4参照)に対向する領域を横断するよう設けられているので、カバー
部32の厚さが薄くなることが防止され、カバー部32の強度が維持される。
【0088】
さらに、案内部600を設けたことで、カバー部32を二色成型する際の歩留まりが向
上する。すなわち、カバー部32に溝部からなる案内部600を設けたので、金型に接触
する面積が増大し、カバー部32は、カバー部32側の第1金型に対してより強く係合す
る。そして、二色目の第1シール部34〜第3シール部36を成型するために金型を外す
際には、カバー部32側の第1金型よりもベース部31側の第2金型が外れやすい。仮に
、カバー部32が第1金型から外れてしまうと、熱膨張等の要因でカバー部32は第1金
型に嵌らない。結局、当該カバー部32は破棄せざるを得なくなり、歩留まりが低下する

【0089】
本実施形態では、案内部600により、カバー部32が第1金型に強く係合するため、
上述したようなカバー部32の破棄を防止でき、歩留まりを向上することができる。
【0090】
特に、第1溝部601及び第2溝部602は、カバー部32の表面に対して垂直な面6
01b及び面602aを有しているため、カバー部32は、第1金具により強く係合する
。したがって、カバー部32が第1金具から外れることを防止し、より確実に歩留まりを
向上することができる。
【0091】
以上、一実施形態に係る案内部について説明したが、上述したものに限定されない。例
えば、案内部600は、溝状のものに限らず、凸状であってもよい。図8に変形例に係る
案内部が設けられたカバー部の斜視図を示す。
【0092】
同図に示すように、カバー部32の表面には、案内部600Aとして一方向に沿ってカ
バー部32の第3の縁部32cにまで延設された凸部603が2つ設けられている。凸部
603の端部603aは、第3の縁部32cまで接続している。凸部603が延設された
方向は、カバー部32の表面から露出部62(特に図示せず。図7の露出部62と案内部
600と同等の位置関係にある。)に向かう方向とは交差する方向である。
【0093】
露出部62に近い側の凸部603から第2の端部32bまでの表面に付着したインクは
、凸部603の壁面に沿って、カバー部32の両方の第3の端部32cにまで案内され排
出される。案内部600Aにより、溝状の案内部600と同様に、インクにより回路基板
60の回路が短絡したり電子部品が故障することが防止され、信頼性が向上した液体噴射
ヘッド10が提供される。
【0094】
また、上述した実施形態では、図7に示したように、露出部62と案内部600とは、
その間にインクを供給する供給管の接続口51が位置するように配置されていたが、この
ような配置に限らない。すなわち、案内部600は、接続口51の位置に関わらず任意の
位置に設けることができる。
【0095】
さらに、案内部600、凸部603は、案内部600、凸部603によりインクが案内
される先に露出部62が位置しないような方向に延設されていればよい。
【0096】
また、第1シール部34、第2シール部35及び第3シール部36をカバー部32側に
二色成型により一体的に形成するようにしたが、特に二色成型に限定されず、弾性部材な
どの別部材を用いてベース部31とカバー部との間をシールしてもよい。
【0097】
露出部62としては、回路基板60のコネクター61が配線挿通孔312に露出した先
端部分を例に取り説明したが、これに限らない。露出部62は、回路基板60の任意の部
分又は全体であってもよい。例えば、回路基板60がカバー30の側面に取り付けられて
いる場合では、回路基板60全体が露出部となるが、この場合であっても、カバー部32
の上面に付着したインクを当該側面に面した第1の縁部以外の第2の縁部又は第3縁部に
案内するように案内部を設けることで、回路基板60をインクから保護することができる

【0098】
上述したインクジェット式記録ヘッド10は、インクジェット式記録装置に搭載される
。図9は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略斜視図である。図示するよう
に、本実施形態のインクジェット式記録装置1では、インクジェット式記録ヘッド10が
キャリッジ2に搭載されている。そして、インクジェット式記録ヘッド10が搭載された
キャリッジ2は、装置本体7に取り付けられたキャリッジ軸2aに軸方向移動自在に設け
られている。
【0099】
また、装置本体7には、インクが貯留されたタンクからなる貯留手段3が設けられてお
り、貯留手段3からのインクは、キャリッジ2に搭載されたインクジェット式記録ヘッド
10(背圧制御ユニット20)に供給管4を介して供給される。
【0100】
そして、駆動モーター8の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト8a
を介してキャリッジ2に伝達されることで、インクジェット式記録ヘッド10を搭載した
キャリッジ2はキャリッジ軸2aに沿って移動される。一方、装置本体7にはキャリッジ
軸2aに沿ってプラテン9が設けられており、図示しない給紙ローラーなどにより給紙さ
れた紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン9に巻き掛けられて搬送されるように
なっている。
【0101】
このようなインクジェット式記録装置1では、キャリッジ2がキャリッジ軸2aに沿っ
て移動されると共にインクジェット式記録ヘッド10のヘッド本体80によってインクが
吐出されて記録シートSに印刷される。
【0102】
また、上述したインクジェット式記録装置1では、インクジェット式記録ヘッド10が
キャリッジ2に搭載されて主走査方向に移動するものを例示したが、特にこれに限定され
ず、例えば、インクジェット式記録ヘッド10が装置本体7に固定されて、紙等の記録シ
ートSを副走査方向に移動させるだけで印刷を行う、所謂ライン式記録装置にも本発明を
適用することができる。
【0103】
なお、上記した例では、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッド10
を、また液体噴射装置の一例としてインクジェット式記録装置1を挙げて説明したが、本
発明は、広く液体噴射ヘッド及び液体噴射装置全般を対象としたものであり、インク以外
の液体を噴射する液体噴射ヘッドや液体噴射装置にも勿論適用することができる。その他
の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記
録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、
有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極
材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられ、
かかる液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置にも適用できる。
【符号の説明】
【0104】
1 インクジェット式記録装置(液体噴射装置)、 10 インクジェット式記録ヘッド
(液体噴射ヘッド)、 20 背圧制御ユニット、 30 カバー、 31 ベース部、
32 カバー部、 33 保持部、 40 流路部材、 50 液体流路、 51 接
続口、 60 回路基板、 61 コネクター、 62 露出部、 70 ヘッドケース
、 80 ヘッド本体、 312 配線挿通孔、 600 案内部、 601 第1溝部
、 602 第2溝部、 603 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴射するヘッド本体と、当該ヘッド本体に駆動信号を供給する回路基板と、当該
ヘッド本体及び当該回路基板が固定されて前記ヘッド本体に供給される液体の圧力を制御
する背圧制御ユニットとを具備し、
前記背圧制御ユニットは、液体流路が設けられた流路部材と、当該流路部材を覆い、樹
脂材料からなるカバーと、
前記カバーの表面に設けられ、前記カバーの外周に端部が臨むことによって当該表面に
付着した液体を案内する案内部と、を具備し、
前記カバーの外周は、少なくとも、
前記回路基板の少なくとも一部が露出した露出部に面する第1の縁部と、
前記第1の縁部と対向するように設けられた第2の縁部と、
当該第1の縁部と第2の縁部を接続させる第3の縁部と、から構成され、
前記端部は、前記第2の縁部と第3の縁部の少なくとも一方と接続している
ことを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項2】
請求項1に記載する液体噴射ヘッドにおいて、
前記案内部は、前記カバーの表面に溝状に設けられている
ことを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項3】
請求項1に記載する液体噴射ヘッドにおいて、
前記案内部は、前記カバーの表面に凸状に設けられている
ことを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項4】
請求項1〜請求項3の何れか一項に記載する液体噴射ヘッドにおいて、
前記カバーは、ベース部と、該ベース部に固定されたカバー部とを具備し、前記ベース
部と前記カバー部とで形成された保持部に前記流路部材が保持されており、
前記回路基板は、前記露出部が前記ベース部の側方に位置するように前記ベース部に固
定され、
前記案内部は、前記カバー部表面の前記露出部側以外の端部に液体を案内する
ことを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項5】
請求項4に記載する液体噴射ヘッドにおいて、
前記背圧制御ユニットには、内部の雰囲気を外部に大気開放する大気開放路を具備し、
前記カバー部の前記流路部材側の面には、前記大気開放路の一部を形成する凸部が形成
され、
前記案内部は、前記カバー部の前記流路部材側とは反対側の表面に、前記凸部と対向す
る領域に設けられている
ことを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載する液体噴射ヘッドにおいて、
前記カバー部には、前記ベース部との間にシール部が二色成型により形成されている
ことを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項7】
請求項6に記載する液体噴射ヘッドにおいて、
前記案内部は、前記カバー部表面とは垂直な面を有している
ことを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項8】
請求項1〜請求項7の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする
液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−125995(P2012−125995A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−278923(P2010−278923)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】