説明

液体噴射装置、及び、液体供給方法

【課題】液体の無駄な消費を削減すること。
【解決手段】液体を貯留する第1貯留部と、第1貯留部から供給された液体を貯留する第2貯留部と、第2貯留部から供給された液体を噴射するヘッドと、第2貯留部及びヘッドを搭載すると共に、搭載した第2貯留部及びヘッドを所定方向へ移動させる移動部と、第1貯留部から供給された液体を内部に収容し、その液体を第2貯留部へ供給する供給部であって、移動部により移動する第2貯留部の一部と当接することによって、内部に収容した液体を加圧して第2貯留部へ押し出して供給する供給部と、を備える液体噴射装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射装置、及び、液体供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体噴射装置の一例として挙げられるインクジェットプリンター(以下、プリンター)
の中には、キャリッジにヘッドを搭載して、キャリッジによりヘッドを所定方向に移動さ
せながらヘッドからインクを噴射させるものがある。
【0003】
また、インクを貯留するインクカートリッジもキャリッジに搭載し、インクカートリッ
ジもヘッドと同様に所定方向に移動させるプリンターがある。ただし、キャリッジ全体が
重くなると、キャリッジ速度が低下する等の問題が生じる。そこで、キャリッジにはサブ
タンクを搭載し、インクカートリッジとサブタンクをインク供給チューブで常時繋ぐこと
によって、サブタンクへインクを供給するプリンターが提案されている(例えば、特許文
献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−129007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、インクカートリッジとサブタンクをインク供給チューブで常時繋いだ状態にす
ると、プリンターが大型化するほどインク供給チューブが長くなってしまう。そうすると
、例えば、チューブ内を流れるインクが外気の影響を受けてインクが増粘し易くなり、ク
リーニング処理の回数が増えて、印刷以外の用途でインクが多量に消費されてしまう。ま
た、例えば、ヘッドをメンテナンスする場合にはチューブ内のインクを廃棄しなければな
らないため、多量のインクが廃棄されてしまう。
【0006】
そこで、本発明では、液体(インク)の無駄な消費を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決する為の主たる発明は、液体を貯留する第1貯留部と、前記第1貯留部
から供給された前記液体を貯留する第2貯留部と、前記第2貯留部から供給された前記液
体を噴射するヘッドと、前記第2貯留部及び前記ヘッドを搭載すると共に、搭載した前記
第2貯留部及び前記ヘッドを所定方向へ移動させる移動部と、前記第1貯留部から供給さ
れた前記液体を内部に収容し、当該液体を前記第2貯留部へ供給する供給部であって、前
記移動部により移動する前記第2貯留部の一部と当接することによって、前記内部に収容
した前記液体を加圧して前記第2貯留部へ押し出して供給する供給部と、を備えることを
特徴とする液体噴射装置である。
本発明の他の特徴は、本明細書、及び添付図面の記載により、明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】プリンターの全体構成ブロック図である。
【図2】上から見たプリンターの概略図である。
【図3】図3Aから図3Cは実施例1におけるインク供給方法の説明図である。
【図4】実施例1におけるインク供給処理と印刷処理のフローである。
【図5】実施例2におけるインク供給方法の説明図である。
【図6】図6Aから図6Dは変形例1におけるインク供給部の説明図である。
【図7】変形例2におけるインク供給部の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
===開示の概要===
本明細書の記載、及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかとなる。
【0010】
即ち、液体を貯留する第1貯留部と、前記第1貯留部から供給された前記液体を貯留す
る第2貯留部と、前記第2貯留部から供給された前記液体を噴射するヘッドと、前記第2
貯留部及び前記ヘッドを搭載すると共に、搭載した前記第2貯留部及び前記ヘッドを所定
方向へ移動させる移動部と、前記第1貯留部から供給された前記液体を内部に収容し、当
該液体を前記第2貯留部へ供給する供給部であって、前記移動部により移動する前記第2
貯留部の一部と当接することによって、前記内部に収容した前記液体を加圧して前記第2
貯留部へ押し出して供給する供給部と、を備えることを特徴とする液体噴射装置である。

このような液体噴射装置によれば、第1貯留部と第2貯留部を液体供給チューブで常時
繋ぐことなく第2貯留部に液体を供給することができるため、液体の無駄な消費を削減す
ることができる。また、第2貯留部と供給部を当接することによって第2貯留部に液体を
供給するため、液体の供給時間を短縮することができる。
【0011】
かかる液体噴射装置であって、前記供給部は、前記第2貯留部に前記液体を供給してか
ら次に前記第2貯留部に前記液体を供給するまでの間に消費される量の前記液体を、前記
内部に収容すること。
このような液体噴射装置によれば、第2貯留部内の液体量が必要以上に増えてしまうこ
とを防止できる。
【0012】
かかる液体噴射装置であって、前記供給部は、前記第1貯留部から供給された前記液体
を内部に収容する収容部と、前記収容部の前記内部に挿入された状態で長手方向に前記収
容部と相対移動可能な押出部と、を備え、前記移動部により前記所定方向の一方側へ移動
する前記第2貯留部の一部が前記収容部の当接面と当接することによって、前記収容部が
前記押出部に対して前記長手方向の一方側へ移動し、前記収容部の前記内部に収容された
前記液体が前記押出部により加圧されて押し出されること。
このような液体噴射装置によれば、第1貯留部と第2貯留部を液体供給チューブで常時
繋ぐことなく第2貯留部に液体を供給することができ、また、第2貯留部と供給部を当接
することによって第2貯留部に液体を供給することができる。
【0013】
かかる液体噴射装置であって、前記収容部の別の当接面が弾性部材を介して固定部材と
当接することによって、前記押出部に対する前記収容部の前記長手方向の前記一方側への
移動が抑止され、前記第2貯留部が前記移動部により前記所定方向の他方側へ移動すると
、前記弾性部材の弾性力により、前記収容部は前記押出部に対して前記長手方向の他方側
へ移動すること。
このような液体噴射装置によれば、供給部の内部に液体を収容可能な状態にすることが
できる。
【0014】
かかる液体噴射装置であって、前記所定方向の一方側へ移動する前記第2貯留部の一部
は磁石を介して前記収容部の当接面と当接し、前記移動部による前記第2貯留部の前記所
定方向の他方側への移動に伴って、前記磁石の磁力により前記収容部が前記押出部に対し
て前記長手方向の他方側へ移動した後に、前記収容部の一部が固定部材と当接して前記押
出部に対する前記収容部の前記長手方向の前記他方側への移動が抑止されること。
このような液体噴射装置によれば、供給部の内部に液体を収容可能な状態にすることが
できる。
【0015】
かかる液体噴射装置であって、前記供給部は、前記移動部により前記所定方向の一方側
へ移動する前記第2貯留部の一部と当接することによって、内部に収容した前記液体を前
記第2貯留部へ供給する第1の供給部と、前記移動部により前記所定方向の他方側へ移動
する前記第2貯留部の一部と当接することによって、内部に収容した前記液体を前記第2
貯留部へ供給する第2の供給部と、を備えること。
このような液体噴射装置によれば、第2貯留部に貯留する液体量を更に少なくすること
ができる。
【0016】
また、前記供給部を用いて前記第1貯留部から前記第2貯留部へ前記液体を供給するこ
とを特徴とする液体供給方法である。
このような液体供給方法によれば、第1貯留部と第2貯留部を液体供給チューブで常時
繋ぐことなく第2貯留部に液体を供給することができるため、液体の無駄な消費を削減す
ることができる。また、第2貯留部と供給部を当接することによって第2貯留部に液体を
供給するため、液体の供給時間を短縮することができる。
【0017】
===印刷システム===
「液体噴射装置」をインクジェットプリンター(以下、プリンター)とし、プリンター
とコンピューターが接続された印刷システムを例に挙げて、実施形態を説明する。
【0018】
図1は、プリンター1の全体構成ブロック図であり、図2は、上から見たプリンター1
の概略図である。
コンピューター70は、プリンター1と通信可能に接続されており、プリンター1に画
像を印刷させるための印刷データをプリンター1に出力する。
【0019】
プリンター1内のコントローラー10は、プリンター1における全体的な制御を行うた
めのものである。インターフェース部11は、外部装置であるコンピューター70との間
でデータの送受信を行う。CPU12は、プリンター1の全体的な制御を行うための演算
処理装置であり、ユニット制御回路14を介して各ユニットを制御する。メモリー13は
、CPU12のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。ま
た、プリンター1内の状況を検出器群60が監視し、コントローラー10はその検出結果
に基づいて各ユニットを制御する。
【0020】
搬送ユニット20は、用紙、布、フィルム等の被記録媒体(以下、媒体S)を印刷可能
な位置に給紙し、媒体Sを所定の搬送方向に搬送するためのものである。
キャリッジユニット30は、インクを貯留するサブタンク52とインクを噴射するヘッ
ド41をキャリッジ31(移動部に相当)に搭載し、キャリッジ31によってサブタンク
52とヘッド41を搬送方向と交差する移動方向に移動するためのものである。キャリッ
ジ31はガイドレール32に沿って移動する。
【0021】
ヘッドユニット40は、媒体Sにインクを噴射するためのものであり、ヘッド41と、
媒体Sを下から支持するプラテン42と、を有する。ヘッド41の下面にはインクを噴射
するノズルが多数形成されている。ヘッド41はキャリッジ31の下面に設けられ、ノズ
ルは媒体Sと対向可能な状態にある。図2では、キャリッジ31におけるヘッド41の位
置を点線で仮想的に示す。
【0022】
インク供給ユニット50は、ヘッド41にインクを供給するためのものであり、インク
カートリッジ51と、サブタンク52と、第1供給管53(1)と、第2供給管53(2
)と、インク供給部54と、ポンプPと、を有する。本実施形態のプリンター1はイエロ
ー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のインクを吐出可能とし、プリンター1における
移動方向右側の端部(以下、ホームポジション)に4色のインク(YMCK)をそれぞれ
貯留するインクカートリッジ51(第1貯留部に相当)が設けられている。各色のインク
カートリッジ51は、第1供給管53(1)を介して、対応する色のインク供給部54と
連通している。第1供給管53(1)の途中にはポンプPが設けられ、ポンプPの稼働に
よって、各インクカートリッジ51内のインクが対応する色のインク供給部54に供給さ
れる。
【0023】
4色のインクをそれぞれ貯留するサブタンク52(第2貯留部に相当)は、キャリッジ
31の上に搭載され、ヘッド41と共に移動方向に移動する。キャリッジ31により移動
方向の右側へ移動する各サブタンク52の一部が対応する色のインク供給部54と当接す
ることによって、インク供給部54内のインクがサブタンク52内へ押し出される(詳細
は後述)。つまり、インクカートリッジ51内のインクがインク供給部54を介してサブ
タンク52へ供給される。
【0024】
サブタンク52内のインクは、色ごとに、第2供給管53(2)を介してヘッド41内
へ供給される。ヘッド41は、サブタンク52からのインクを充填し、且つ、各ノズルと
連通するインク室を、ノズルごとに有する。そして、印刷データに基づく信号により各ノ
ズルに対応する駆動素子が駆動することによって、ノズルからインクが噴射される。なお
、ノズルからの噴射方式は、駆動素子(ピエゾ素子)に電圧をかけてインク室を膨張・収
縮させることによりインクを噴射させるピエゾ方式でもよいし、駆動素子(発熱素子)に
よりノズル内に気泡を発生させ、その気泡でインクを噴射させるサーマル方式でもよい。
【0025】
このような構成のプリンター1において、キャリッジ31によりヘッド41が移動方向
に移動しながらノズルからインクを噴射する噴射動作と、ヘッド41に対して媒体Sが搬
送方向の下流側に搬送される搬送動作と、が繰り返される。その結果、先の噴射動作によ
り形成されたドット位置とは異なる媒体S上の位置に、後の噴射動作にてドットが形成さ
れるため、媒体S上に2次元の画像が印刷される。以下、1回の噴射動作を「パス」とも
呼ぶ。
【0026】
===インクの供給方法:実施例1===
図3Aから図3Cは、実施例1におけるインク供給部54からサブタンク52へのイン
ク供給方法を説明する図であり、図4は、実施例1におけるインク供給処理と印刷処理の
フローである。図3Aの上図はインク供給部54の周辺を搬送方向の下流側から見た外観
図であり、図3Aの下図はインク供給部54を長手方向に切った断面図である。ここでは
、インク供給部54の長手方向がキャリッジ31の移動方向に等しいとする。図3B及び
図3Cは、サブタンク52とインク供給部54を長手方向に切った断面図である。図3B
及び図3Cではキャリッジ31等を省略している。また、プリンター1はインクの色(Y
MCK)ごとにインク供給部54とサブタンク52を備えるが、インクの供給方法はイン
クの色によらずに同じであるため、説明を共通にする。
【0027】
<<インク供給部54とサブタンク52>>
まず、インク供給部54とサブタンク52の構成について説明する。
インク供給部54は、図3Aに示すように、インク収容部55と、インク押出部56と
、コイルばね57と、を有する。
インク収容部55は、長手方向に延びた筒状(中空)の本体部551と、本体部551
の先端(長手方向の左側端部)の開口部でありインクの吐き出し口となる吐出口552と
、本体部551の後端(長手方向の右側端部)にて本体部551よりも上側と下側に突出
した突当て部553と、を有する。
インク押出部56は、長手方向に延びた軸部561と、軸部561の後端にて軸部56
1よりも上側と下側に突出した抑止部562と、を有する。
【0028】
なお、インク押出部56の軸部561はインク収容部55の内部に挿入され、インク収
容部55とインク押出部56は長手方向に相対移動可能である。ここでは、インク押出部
56の位置が固定され、インク収容部55がインク押出部56に対して長手方向に移動す
る。また、インク収容部55の本体部551は第1供給管53(1)と連通しており、本
体部551の内部にインクカートリッジ51からのインクが供給される。
【0029】
コイルばね57は、インク収容部55の上側と下側に突出した突当て部553にそれぞ
れ1個ずつ取り付けられている。詳しくは、抑止部562の表面562f(長手方向左側
の側面)と対向する突当て部553の裏面553b(長手方向右側の側面)に、コイルば
ね57が取り付けられている。ただし、これに限らず、インク押出部56側(抑止部56
2の表面562f)にコイルばね57を取り付けてもよい。
【0030】
サブタンク52は、図3Bに示すように、内部にインクを貯留し、空気の逃げ口となる
空気弁521と、インク収容部55をサブタンク52内に入れるための挿入口522と、
を有する。空気弁521はサブタンク52の上面52aに設けられている。なお、空気弁
521の代わりに空気孔を設けてもよい。また、挿入口522には膜(例えば、ゴム膜)
が設けられ、インク収容部55が挿入口522を通過可能なように膜に切り込みが入れら
れている。ただし、これに限らず、挿入口22が常に開口している状態であってもよい。
【0031】
実施例1では、ホームポジション(プリンター1における移動方向右側の端部)だけに
てインク供給部54からサブタンク52へインクが供給されるので、サブタンク52の移
動方向右側の側面52bに挿入口522が設けられている。また、インク収容部55が挿
入口522を通過可能なように、挿入口522とインク収容部55の上下方向の位置が揃
えられている。ただし、インク収容部55のうちの突当て部553は、サブタンク52の
内部に進入することなく、サブタンク52の右側側面52bと当接する。以下、サブタン
ク52の右側側面52bのうち、突当て部553(の表面553f)と当接する部位を「
突当て面52c」と呼ぶ。サブタンク52の右側側面52bのうち、挿入口522の上側
と下側の部位が突当て面52cとなる。
【0032】
<<インクの供給方法>>
次に、インクカートリッジ51からインク供給部54を介してサブタンク52へインク
を供給する流れについて説明する。なお、ここでは、キャリッジ31が移動方向の左側へ
移動する往路時にも移動方向の右側へ移動する復路時にも画像を印刷する双方向印刷を例
に挙げる。
【0033】
まず、プリンター1がコンピューター70から印刷ジョブを受信すると(図4のS01
)、コントローラー10は、最初の往路(パス1)と復路(パス2)で消費される量のイ
ンクを、インクカートリッジ51からインク供給部54に供給する(S02)。なお、こ
の時、図3Aに示すように、インク収容部55がインク押出部56に対して移動方向(長
手方向)の左側にずれており、インク収容部55(本体部551)の内部に空間Aが存在
する。また、キャリッジ31に搭載されたサブタンク52は、インク供給部54よりも移
動方向の左側に離れて位置する。
【0034】
具体的に説明すると、コントローラー10は、印刷データに基づいて、最初の往路と復
路で消費される各色(YMCK)のインク量を算出する。そして、コントローラー10は
、ポンプPの稼働を制御し、各インクカートリッジ51から第1供給管53(1)を介し
て、対応する色のインク収容部55(本体部551)の空間Aに、算出した量のインクを
供給する。なお、例えば、最初の往路と復路でイエローインクが全く使用されない場合、
イエローインクの消費量はゼロであり、イエローのインク収容部55にはインクが全く供
給されない。このように、各色(YMCK)の印刷データに応じて、各色のインク収容部
55に供給されるインク量が異なることになる。
【0035】
そうして、図3Bに示すようにインク収容部55の内部にインクが供給されると、コン
トローラー10は、キャリッジ31(不図示)によりサブタンク52を移動方向の右側へ
移動させる。そうすると、インク収容部55の先端部分(吐出口552や本体部551)
が、サブタンク52の挿入口522を通過してサブタンク52の内部へ進入する。
【0036】
更に、サブタンク52が移動方向の右側へ移動すると、サブタンク52の突当て面52
cと、インク収容部55における突当て部553の表面553fとが突当たり(当接し)
、インク収容部55がサブタンク52により移動方向の右側へ押される。そうすると、イ
ンク収容部55はインク押出部56に対して移動方向の右側へ移動し、インク押出部56
の軸部561がインク収容部55内のインクを加圧することになる。その結果、インク収
容部55内のインクが吐出口552からサブタンク52へ押し出され、サブタンク52に
インクが供給される(S03)。
【0037】
更に、サブタンク52が移動方向の右側へ移動すると、インク収容部55における突当
て部553の裏面553bが、コイルばね57を介して、インク押出部56における抑止
部562の表面562fと突当たり(当接し)、インク押出部56に対するインク収容部
55の移動方向右側への移動が抑止される。また、キャリッジ31によるサブタンク52
の移動はコントローラー10の制御によって停止する。この時、コイルばね57は、突当
て部553と抑止部562の間に挟まれて、圧縮変形した状態となっている。なお、イン
ク収容部55の移動をインク押出部56の一部(抑止部562)で抑止しているが、これ
に限らず、インク押出部56とは別部材の固定部材によって、インク収容部55の移動を
抑止するようにしてもよい。
【0038】
このように、移動中のサブタンク52とインク収容部55(突当て部553)が突当た
り、インク収容部55がインク押出部56に対して移動することによって、インク収容部
55の内部のインクがインク押出部56により押し出され、最初の往路と復路で消費され
る量のインクがサブタンク52に供給される。
【0039】
なお、最初の往路と復路で印刷に使用されない色のインク収容部55にはインクが供給
されていないため、インク収容部55がインク押出部56に対して移動すると、インク収
容部55の内部の空気がサブタンク52に押し出される。サブタンク52内に空気が入る
と、サブタンク52に設けられた空気弁521が開放し、サブタンク52内の一部の空気
が空気弁521から外部に排出される。そのため、サブタンク52のインク内に気泡を発
生させてしまうことを防止できる。
【0040】
こうして、サブタンク52にインクが供給されると、コントローラー10は、次の印刷
処理を開始するために、キャリッジ31によりサブタンク52を移動方向の左側へ移動さ
せる。そうすると、図3Cに示すように、突当て部553と抑止部562の間に挟まれて
圧縮変形していたコイルばね57が解放され、コイルばね57の弾性力(復元力)により
インク収容部55がインク押出部56に対して移動方向の左側へ移動する。その結果、イ
ンク収容部55(本体部551)に再び空間Aを設けることができ、インクを収容可能な
状態にすることができる。
【0041】
そして、キャリッジ31によりヘッド41が移動方向に移動しながら画像を印刷してい
る間に(S04)、コントローラー10は次のパスの有無を確認する(S05)。次のパ
スが有る場合(S05→Y)、コントローラー10は、印刷データに基づいて、次の往路
(パス3)と復路(パス4)で消費される各色(YMCK)のインク量を算出し、算出し
た量のインクを各インクカートリッジ51から対応する色のインク供給部54(インク収
容部55)に供給する(S06)。
【0042】
その後、コントローラー10は、復路(パス2)にて移動方向の右側へ移動しながら画
像を印刷したヘッド41と共に、キャリッジ31によりサブタンク52をホームポジショ
ンに戻す。そうすると、図3Bに示すように、再び、サブタンク52とインク収容部55
が突き当たり、次の往路と復路で消費される量のインクがサブタンク52に供給される(
S07)。次のパスが無くなるまで(S05→N)、この処理が繰り返される。
【0043】
このように、実施例1では、往路と復路の印刷が終了するごとにサブタンク52がキャ
リッジ31によりホームポジションへ戻り、サブタンク52とインク供給部54(インク
収容部55)の突当たりにより、次の往路と復路で消費される量のインクがサブタンク5
2に供給される。そのため、インク切れすることなく印刷処理が実行される。
【0044】
なお、図4では、印刷処理を開始する前にも、サブタンク52とインク供給部54を突
き当ててサブタンク52にインクを供給しているが、これに限らない。例えば、最初の往
路と復路ではサブタンク52内のインクを消費し、最初の復路でサブタンク52がホーム
ポジションに戻ってくる時から、サブタンク52とインク供給部54を突き当ててサブタ
ンク52にインクを供給するようにしてもよい。
【0045】
<<まとめ>>
実施例1のプリンター1は、キャリッジ31により移動するサブタンク52の一部(右
側側面52bの突当て面52c)とインク供給部54(供給部に相当)を当接することに
よって、インク供給部54の内部に収容されたインクを加圧して、サブタンク52へ押し
出して供給する。つまり、実施例1のプリンター1では、インクカートリッジ51とサブ
タンク52をインク供給チューブで常時繋ぐことなく、インクカートリッジ51からサブ
タンク52へインクを供給する。
【0046】
具体的には、インク供給部54が、インクカートリッジ51から供給されたインクを内
部に収容するインク収容部55(収容部に相当)と、インク収容部55の内部に挿入され
た状態で長手方向にインク収容部55と相対移動可能なインク押出部56(押出部に相当
)と、を有し、キャリッジ31により移動方向の右側(所定方向の一方側)へ移動するサ
ブタンク52の一部がインク収容部55の当接面(突当て部553の表面553f)と当
接することによって、インク収容部55がインク押出部56に対して長手方向の右側(一
方側)へ移動し、インク収容部55の内部に収容されたインクがインク押出部56により
加圧されて押し出される。
仮に、インクカートリッジ51とサブタンク52をインク供給チューブで常時繋いでし
まうと、プリンター1が大型化するほど、インク供給チューブが長くなってしまう。そう
すると、例えば、インク供給チューブ内を流れるインクが外気の影響を受けてインクが増
粘し易くなり、ヘッド41のクリーニング処理の回数が増えて、印刷以外の用途でインク
が多量に消費されてしまう。また、ヘッド41を交換したり修理したりする場合には、イ
ンク供給チューブ内のインクを廃棄しなければならないため、インク供給チューブが長く
なるほどインクが多量に廃棄されてしまう。
【0047】
従って、実施例1のプリンター1のように、インクカートリッジ51とサブタンク52
をインク供給チューブで常時繋ぐことなくインクカートリッジ51からサブタンク52へ
のインク供給を可能にすることで、印刷以外の用途で無駄に消費されるインク量を削減す
ることができる。
【0048】
また、実施例1のプリンター1では、ホームポジションに戻るサブタンク52の一部が
インク供給部54と当接することによって、サブタンク52内にインクが供給される。即
ち、サブタンク52の移動中にインクが供給されるので、例えば、サブタンクがホームポ
ジションに戻って停止するとサブタンクにインク供給管が刺さり、それからポンプを稼働
することによってサブタンク内へインクを供給するプリンターに比べて、サブタンク52
へのインク供給時間を短縮することができる。よって、実施例1のプリンター1では、サ
ブタンク52がホームポジションに長く留まることなく直ぐに折り返し、次の印刷処理を
開始することができるので、全体の印刷時間を短縮することができる。
【0049】
また、ホームポジションにおけるサブタンク52へのインク供給時間を短縮することで
、サブタンク52をホームポジションに戻してインクを供給する回数を増やしても、全体
の印刷時間が長くなってしまうことを防止できる。よって、この実施例1のように、往路
と復路の印刷が終了するごとに、サブタンク52をホームポジションに戻してインクを供
給したとしても、全体の印刷時間が長くなってしまうことを防止できる。
【0050】
また、この実施例1のように、往路と復路の印刷が終了するごとにサブタンク52にイ
ンクを供給することで、即ち、インク供給回数を増やすことで、サブタンク52に貯留す
るインク量を少なくすることができる。そうすると、キャリッジ31全体を軽量化するこ
とができるので、例えば、キャリッジ速度を挙げたり、出力の小さいモーターをキャリッ
ジ31の駆動に使用したり、キャリッジ31を駆動するモーターの負荷が低減されるので
消費電力を削減したりすることができる。
【0051】
また、実施例1のプリンター1では、インク供給部54が、サブタンク52にインクを
供給してから次にサブタンク52にインクを供給するまでの間に消費される量のインクを
内部に収容する。ここでは、往路と復路の印刷が終了するごとにサブタンク52にインク
を供給するとしているので、次の往路と復路で消費される量のインクがインク供給部54
(インク収容部55)の内部に収容される。
【0052】
そうすることで、消費される量のインクだけがサブタンクに供給されるため、サブタン
ク52内のインク量が必要以上に増えてしまうこと防止できる。よって、キャリッジ31
全体を軽量化することができ、また、ヘッド41の交換・修理時にサブタンク52から廃
棄するインク量を減らすことができる。
【0053】
また、実施例1では、各色(YMCK)の印刷データに基づいて、色ごとに算出した量
のインクを各色のインク供給部54に供給する。そのため、各色のインク消費量にばらつ
きがあったとしても、各色のサブタンク52内のインク量のばらつきを低減することがで
きる。また、ある色のインクが消費されない場合にも、その色のサブタンク52とインク
供給部54は当接してしまうが、その場合にはインク供給部54にインクが供給されてい
ないため、サブタンク52にはインクが供給されない。よって、サブタンク52内のイン
ク量が増えてしまうことを防止できる。
【0054】
また、実施例1のプリンター1では、インク収容部55の別の当接面(突当て部553
の裏面553b)がコイルばね57(弾性部材に相当)を介してインク押出部56の抑止
部562(固定部材に相当)と当接することによって、インク押出部56に対するインク
収容部55の長手方向右側への移動が抑止され、その後、サブタンク52がキャリッジ3
1により移動方向の左側(他方側)へ移動すると、コイルばね57の弾性力により、イン
ク収容部55はインク押出部56に対して長手方向の左側(他方側)へ移動する。
そうすることで、次にサブタンク52とインク供給部54が当接する時にサブタンク5
2に供給するインクを、インク供給部54の内部に収容可能な状態にすることができる。
【0055】
===インクの供給方法:実施例2===
図5は、実施例2におけるインク供給部54からサブタンク52へのインク供給方法を
説明する図である。前述の実施例1では、ホームポジションだけにおいて、サブタンク5
2にインクを供給している。これに対して、実施例2では、ホームポジションだけでなく
、プリンター1における移動方向左側の端部(以下、折り返しポジション)においても、
サブタンク52にインクを供給する。
【0056】
そのために、実施例2のプリンター1は、キャリッジ31により移動方向の右側へ移動
するサブタンク52の一部(右側側面52b)と当接することによって、内部に収容した
インクをサブタンク52へ供給する「第1インク供給部54(1)(第1の供給部に相当
)」と、キャリッジ31により移動方向の左側へ移動するサブタンク52の一部(左側側
面52d)と当接することによって、内部に収容したインクをサブタンク52へ供給する
「第2インク供給部54(2)(第2の供給部に相当)」と、を備える。なお、各インク
供給部54(1),54(2)の構造は実施例1と同じとする。
【0057】
また、インクカートリッジ51には2本の第1供給管53(1)が取り付けられ、一方
の第1供給管53(1)により第1インク供給部54(1)にインクが供給され、他方の
第1供給管53(1)により第2インク供給部54(2)にインクが供給される。また、
サブタンク52の右側側面52bに、第1インク供給部54(1)がサブタンク52内に
進入するための第1挿入口522(1)が設けられ、サブタンク52の左側側面52dに
、第2インク供給部54(2)がサブタンク52内に進入するための第2挿入口522(
2)が設けられている。
【0058】
そして、第1インク供給部54(1)の内部には次の往路で消費される量のインクがイ
ンクカートリッジ51から供給され、復路の印刷後にホームポジションに戻るサブタンク
52と第1インク供給部54(1)が当接することで、第1インク供給部54(1)内の
インクがサブタンク52に供給される。一方、第2インク供給部54(2)の内部には次
の復路で消費される量のインクがインクカートリッジ51から供給され、往路の印刷後に
折り返しポジションに戻るサブタンク52と第2インク供給部54(2)が当接すること
で、第2インク供給部54(2)内のインクがサブタンク52に供給される。
【0059】
このように、プリンター1における移動方向の両側の端部(ホームポジションと折り返
しポジション)において、サブタンク52へのインク供給可能にすることで、1パス(往
路または復路)で消費される量のインクだけをサブタンク52に供給することができる。
即ち、実施例1に比べて、サブタンク52に供給するインク量を更に少なくすことができ
、サブタンク52に貯留するインク量も更に少なくすることができる。そのため、キャリ
ッジ31全体を軽量化することができるので、例えば、キャリッジ速度を挙げたり、出力
の小さいモーターをキャリッジ31の駆動に使用したり、キャリッジ31を駆動するモー
ターの負荷が低減されるので消費電力を削減したりすることができる。
【0060】
===インクの供給方法:実施例3===
前述の実施例1では、往路と復路の印刷が終了するごとに、サブタンク52をホームポ
ジションに戻してインクを供給し、実施例2では、往路又は復路の印刷が終了するごとに
、サブタンク52をホームポジション又は折り返しポジションに戻してインクを供給する

【0061】
これに対して、実施例3では、媒体Sや画像のサイズに応じてキャリッジ31(サブタ
ンク52)の移動量を制御した印刷を行う。即ち、媒体Sや画像のサイズが小さいほど、
キャリッジ31の移動量を短くした印刷を行う。そして、所定回数のパスが終了するごと
に、サブタンク52をホームポジションに戻してインクを供給する。そのために、インク
供給部54の内部には、所定回数のパスで消費される量のインク、即ち、インク供給部5
4がサブタンク52にインクを供給してから次にサブタンク52にインクを供給するまで
の間に消費される量のインクを供給する。
【0062】
そうすることで、実施例1や実施例2に比べて、サブタンク52が貯留するインク量は
増えてしまうが、サブタンク52がホームポジションに戻る回数が減るため、全体の印刷
時間を短縮することができる。
【0063】
また、プリンター1では、通常、ノズルの目詰まりを解消するために、ヘッド41のク
リーニング処理が定期的に行われる。クリーニング処理時には、ヘッド41をホームポジ
ションに戻す必要があるため、その際に、サブタンク52にインクを供給するようにして
もよい。そうすることで、クリーニング処理に要する時間を有効に利用してサブタンク5
2にインクを供給することができるため、全体の印刷時間をより短縮することができる。
【0064】
===インク供給部54の変形例===
<<<変形例1>>>
図6Aから図6Dは、変形例1におけるインク供給部54を説明する図である。変形例
1のインク供給部54も前述のインク供給部54と同様に、インク収容部55とインク押
出部56を有する。ただし、変形例1のインク供給部54は、コイルばね57を有さず、
代わりに、サブタンク52よりも上側の位置に固定された固定部材58(図6ではL型部
材を90度回転させた部材)を有する。また、インク収容部55における上側に突出した
突当て部553は、サブタンク52よりも上側の位置まで突出し、その突出した部位が固
定部材58と当接可能な状態にある。
【0065】
また、サブタンク52の右側側面52bのうち、インク収容部55の突当て部材553
と当接する突当て面52cには、磁石59(例えば、永久磁石)が取り付けられている。
そして、インク収容部55の突当て部材553は、この磁石59に吸着可能な部材とする

【0066】
以下、変形例1のインク供給部54によるインク供給方法を具体的に説明する。まず、
コントローラー10は、図6Aに示すように、インク押出部56に対して移動方向の左側
にずれたインク収容部55、即ち、インクを収容可能な状態のインク収容部55の内部に
、次の往路と復路で消費される量のインクをインクカートリッジ51から供給する。
【0067】
次に、コントローラー10は、キャリッジ31によりサブタンク52を移動方向の右側
へ移動させる。そうすると、インク収容部55の先端部分がサブタンク52の挿入口52
2からサブタンク52の内部へ進入する。更に、サブタンク52が移動方向の右側へ移動
すると、サブタンク52の突当て面52c(右側側面52b)とインク収容部55におけ
る突当て部553の表面553fとが磁石59を介して突き当たり、サブタンク52の移
動に伴ってインク収容部55が移動方向の右側に押される。そうすると、インク収容部5
5の内部のインクは、インク押出部56により加圧されて吐出口552から押し出され、
サブタンク52にインクが供給される。
【0068】
最終的には、図6Bに示すように、インク収容部55における突当て部553の裏面5
53bとインク押出部56における抑止部562の表面562fとが突き当たり、インク
収容部55の移動が抑止される。また、サブタンク52の移動はコントローラー10の制
御により停止する。
【0069】
こうしてサブタンク52にインクが供給されると、次の印刷処理のために、コントロー
ラー10は、サブタンク52をキャリッジ31により移動方向の左側へ移動させる。そう
すると、図6Cに示すように、サブタンク52の磁石59に吸着した突当て部材553が
移動方向の左側へ引っ張られ、インク押出部56に対してインク収容部55が移動方向の
左側へ移動する。
【0070】
ただし、インク収容部55が所定の距離だけ移動方向の左側へ移動すると、図6Dに示
すように、インク収容部55における突当て部553の上部が固定部材58と当接し、イ
ンク収容部55の移動方向左側への移動が抑止される。よって、更に移動方向の左側へ進
むサブタンク52の磁石59からインク収容部55の突当て部553が切り離され、その
地点でインク押出部56に対するインク収容部55の移動は停止する。その結果、インク
収容部55に空間Aを設けることができ、インク収容部55は再びインクを収容可能な状
態になる。
【0071】
このように、変形例1では、移動方向の右側(所定方向の一方側)へ移動するサブタン
ク52の一部(突当て面52c)を磁石59を介してインク収容部55の当接面(突当て
部553の表面553f)と当接させ、その後、キャリッジ31によるサブタンク52の
移動方向左側(所定方向の他方側)への移動に伴って、その磁石59の磁力によりインク
収容部55をインク押出部56に対して移動方向左側(他方側)へ移動させ、インク収容
部55の一部(突当て部553の上部)と固定部材58を当接させることによって、イン
ク押出部56に対するインク収容部55の移動方向左側への移動を抑止する。
【0072】
こうすることで、次にサブタンク52とインク供給部54が当接する時にサブタンク5
2に供給するインクを、インク供給部54の内部に収容可能な状態にすることができる。
なお、サブタンク52に磁石59を設けるに限らず、インク収容部55側に(突当て部5
53の表面553fに)磁石59を設けてもよい。
【0073】
<<<変形例2>>>
図7は、変形例2におけるインク供給部80を説明する図である。変形例2のインク供
給部80は、インク収容部81と、インク収容部81の先端開口である吐出口82と、蛇
腹ポンプ83と、空気供給管84と、を有する。これまでのインク供給部54では、イン
ク押出部56に対してインク収容部55が移動することによって、インク押出部56がイ
ンク収容部55内のインクを押し出している。これに対して、変形例2のインク供給部8
0では、インク収容部81内の空気を加圧することによって、インク収容部81内のイン
クを押し出す。
【0074】
蛇腹ポンプ83はサブタンク52の移動方向に伸縮可能で、インク収容部81の後端部
81b(移動方向の右側端部)に取り付けられている。空気供給管84の一端は蛇腹ポン
プ83に接続され、他端はインク収容部81の後端部81bからインク収容部81の内部
に挿入されている。
【0075】
以下、変形例2のインク供給部80によるインク供給方法を具体的に説明する。まず、
コントローラー10は、次の往路と復路で消費される量のインクをインクカートリッジ5
1からインク収容部80の内部に供給する。次に、コントローラー10は、キャリッジ3
1によりサブタンク52を移動方向の右側へ移動させる。そうすると、インク収容部81
の先端部分がサブタンク52の挿入口522からサブタンク52の内部へ進入する。
【0076】
更に、サブタンク52が移動方向の右側へ移動すると、サブタンク52の突当て面52
c(右側側面52b)と蛇腹ポンプ83が突き当たる(当接する)。サブタンク52の移
動に伴って、蛇腹ポンプ83は、サブタンク52とインク収容部81の後端部81bの間
に挟まれて圧縮される。そうすると、蛇腹ポンプ83から空気供給管84を介してインク
収容部81の内部に空気が送られ、インク収容部81内の空気が加圧される。その結果、
インク収容部81内のインクが吐出口522から押し出され、サブタンク52にインクが
供給される。なお、次の印刷処理のためにサブタンク52が移動方向の左側へ移動すると
、圧縮されていた蛇腹ポンプ83は元に戻り、インク収容部81内に空気を供給可能な状
態となる。
【0077】
このように、変形例2のインク供給部80であっても、インクカートリッジ51とサブ
タンク52をインク供給チューブで常時繋ぐことなく、インクカートリッジ51からサブ
タンク52へインクを供給することができる。よって、インクの無駄な消費を削減するこ
とができる。
【0078】
===その他の実施の形態===
上記の実施形態は、主として液体噴射装置について記載されているが、液体供給方法等
の開示が含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのもの
であり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱する
ことなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまで
もない。
【0079】
<液体噴射装置>
前述の実施形態では、液体噴射装置として、インクジェットプリンターを例に挙げてい
るが、これに限らない。例えば、カラーフィルター製造装置、ディスプレイ製造装置、半
導体製造装置、及び、DNAチップ製造装置などの液体噴射装置でもよい。
【0080】
<プリンターについて>
前述の実施形態では、移動方向に移動するヘッド41がインクを噴射する動作と媒体S
を搬送方向に搬送する動作を繰り返すプリンターを例に挙げているが、これに限らない。
例えば、X方向に移動するヘッド41がインクを噴射する動作とヘッド41が媒体Sに対
してY方向に移動する動作を繰り返すことによって2次元の画像を印刷するプリンターで
もよい。
【符号の説明】
【0081】
1 プリンター、10 コントローラー、11 インターフェース部、
12 CPU、13 メモリー、14 ユニット制御回路、
20 搬送ユニット、30 キャリッジユニット、31 キャリッジ、
32 ガイドレール、40 ヘッドユニット、41 ヘッド、42 プラテン、
50 インク供給ユニット、51 インクカートリッジ、52 サブタンク、
521 空気弁、522 挿入口、53(1) 第1供給管、
53(2) 第2供給管、54 インク供給部、
P ポンプ、55 インク収容部、551 本体部、552 吐出口、
553 突当て部、56 インク押出部、561 軸部、562 抑止部、
57 コイルばね、58 固定部材、59 磁石、
60 検出器群、70 コンピューター、
80 インク供給部、81 インク収容部、82 吐出口、83 蛇腹ポンプ、
84 空気供給管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留する第1貯留部と、
前記第1貯留部から供給された前記液体を貯留する第2貯留部と、
前記第2貯留部から供給された前記液体を噴射するヘッドと、
前記第2貯留部及び前記ヘッドを搭載すると共に、搭載した前記第2貯留部及び前記ヘ
ッドを所定方向へ移動させる移動部と、
前記第1貯留部から供給された前記液体を内部に収容し、当該液体を前記第2貯留部へ
供給する供給部であって、前記移動部により移動する前記第2貯留部の一部と当接するこ
とによって、前記内部に収容した前記液体を加圧して前記第2貯留部へ押し出して供給す
る供給部と、
を備えることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体噴射装置であって、
前記供給部は、前記第2貯留部に前記液体を供給してから次に前記第2貯留部に前記液
体を供給するまでの間に消費される量の前記液体を、前記内部に収容する、
液体噴射装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の液体噴射装置であって、
前記供給部は、前記第1貯留部から供給された前記液体を内部に収容する収容部と、前
記収容部の前記内部に挿入された状態で長手方向に前記収容部と相対移動可能な押出部と
、を備え、
前記移動部により前記所定方向の一方側へ移動する前記第2貯留部の一部が前記収容部
の当接面と当接することによって、前記収容部が前記押出部に対して前記長手方向の一方
側へ移動し、前記収容部の前記内部に収容された前記液体が前記押出部により加圧されて
押し出される、
液体噴射装置。
【請求項4】
請求項3に記載の液体噴射装置であって、
前記収容部の別の当接面が弾性部材を介して固定部材と当接することによって、前記押
出部に対する前記収容部の前記長手方向の前記一方側への移動が抑止され、
前記第2貯留部が前記移動部により前記所定方向の他方側へ移動すると、前記弾性部材
の弾性力により、前記収容部は前記押出部に対して前記長手方向の他方側へ移動する、
液体噴射装置。
【請求項5】
請求項3に記載の液体噴射装置であって、
前記所定方向の一方側へ移動する前記第2貯留部の一部は磁石を介して前記収容部の当
接面と当接し、
前記移動部による前記第2貯留部の前記所定方向の他方側への移動に伴って、前記磁石
の磁力により前記収容部が前記押出部に対して前記長手方向の他方側へ移動した後に、前
記収容部の一部が固定部材と当接して前記押出部に対する前記収容部の前記長手方向の前
記他方側への移動が抑止される、
液体噴射装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5の何れか1項に記載の液体噴射装置であって、
前記供給部は、
前記移動部により前記所定方向の一方側へ移動する前記第2貯留部の一部と当接する
ことによって、内部に収容した前記液体を前記第2貯留部へ供給する第1の供給部と、
前記移動部により前記所定方向の他方側へ移動する前記第2貯留部の一部と当接する
ことによって、内部に収容した前記液体を前記第2貯留部へ供給する第2の供給部と、を
備える、
液体噴射装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6の何れか1項に記載の前記供給部を用いて前記第1貯留部から前
記第2貯留部へ前記液体を供給することを特徴とする液体供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−18144(P2013−18144A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151544(P2011−151544)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】