説明

液体噴射装置及び液体噴射装置の制御方法

【課題】作業環境を悪化させることがなく、コストの抑制が可能となると共に、環境負荷
も軽減可能な液体噴射装置を提供する。
【解決手段】本発明の液体噴射装置は、液体を噴射するノズルが設けられた液体噴射ヘッ
ド(150)と、前記液体噴射ヘッド(150)の前記ノズルから前記液体を受ける受け
部(20、21)と、前記受け部(20、21)で吸引された前記液体を移送する配管(
22)と、前記配管(22)から前記液体を落下させる穴部(24)と、前記穴部の鉛直
下方を照射する光源部(40)と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線を照射することで硬化するUVインクが用いられる液体噴射装置及び
このような液体噴射装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体をターゲットに噴射する液体噴射装置には、インクを記録媒体に噴射して印刷を施
すインクジェット式記録装置が知られている。このインクジェット式記録装置における記
録ヘッドは、圧力発生室で加圧したインクをノズルからインク滴として記録媒体に吐出さ
せて印刷を行う関係上、ノズル開口からの溶媒の蒸発に起因するインク粘度の上昇や、イ
ンクの固化、塵埃の付着、さらには気泡の混入などにより吐出不良の状態となり、印刷不
良を起こすという問題を抱えている。
【0003】
このために、インクジェット式記録装置には、非印刷時に記録ヘッドのノズル開口を封
止するためのキャッピング手段と、必要に応じてノズル形成面を清掃するワイピング部材
が備えられている。このキャッピング手段は、前記したノズル開口のインクの乾燥を防止
する蓋体として機能するだけでなく、ノズル開口に目詰まりなどが生じた場合には、キャ
ッピング手段によりノズル形成面を封止し、吸引ポンプからの負圧により、ノズル開口か
らインクを吸引排出させてノズル開口の目詰まりを解消する機能をも備えている。
【0004】
記録ヘッドの目詰まり解消のために行うインクの強制的な吸引排出処理は、クリーニン
グ操作と呼ばれており、例えば記録装置の長時間の休止後に印刷を再開する場合や、ユー
ザーが印刷状態の不良を認識してクリーニングスイッチを操作した場合などに実行され、
記録ヘッドからインクを排出させた後にゴムなどの弾性板からなるワイピング部材により
、記録ヘッドのノズル形成面を払拭する操作が伴われる。
【0005】
また、上記クリーニング操作以外に記録ヘッドの目詰まりを解消する動作として、記録
ヘッドの駆動素子に印字信号と無関係のインク滴吐出信号を入力し、フラッシング受容部
にインクを吐出するフラッシング動作も行なわれる。
【0006】
そして、前記したクリーニング操作やフラッシング動作に伴いキャッピング手段やフラ
ッシング受容部内に貯留された記録ヘッドからの廃液は、廃液タンクに廃棄することがで
きるように構成されている。また前記廃液タンクには、一般に多孔質材料により構成され
た廃液吸収材が収納されており、この廃液吸収材によって廃液を吸収した形で保持するよ
うになされている。
【0007】
一方、インクジェット記録方式の1種としてUVインクジェット方式がある。このUV
インクジェット方式は、紫外線(UV)等のエネルギー線の照射によって硬化するエネル
ギー線硬化インクを記録媒体に付着させた後、この記録媒体にエネルギー線を照射するこ
とによりエネルギー線硬化インクを硬化させて印字を行う記録方式である。
【0008】
例えば、特許文献1(特開2007−125713号公報)には、活性エネルギー線で
硬化するインクを吐出する記録ヘッド及び廃インクを収容する廃インク容器を有するイン
クジェット記録装置において、前記廃インク容器に収容された廃インクを活性エネルギー
線で照射し、硬化させる第1エネルギー線源を有するインクジェット記録装置が開示され
ている。
【0009】
また、特許文献2(特開2003−211705号公報)には、紫外線硬化型インクを
吐出するインクジェットプリントヘッドと、廃インクを溜める廃インク用容器とにより構
成された紫外線硬化型インクを用いたインクジェットプリンタにおいて、前記廃インクを
溜める廃インク用容器に注入された廃インクに、紫外線照射手段により紫外線を照射して
、前記廃インクを硬化させる廃インク処理機構を備えることを特徴とする紫外線硬化型イ
ンクを用いたインクジェットプリンタが開示されている。
【特許文献1】特開2007−125713号公報
【特許文献2】特開2003−211705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
紫外線硬化タイプの液体は、皮膚刺激性を持つ物質を含むことが多いうえに刺激臭が強
く、未硬化状態であると、直接肌に触れると人体に悪影響を及ぼす可能性があるうえに刺
激臭で作業環境が悪い一方、紫外線硬化させてしまうと無害化するとともに刺激臭も抑制
されることが知られている。
【0011】
従来の技術においては、廃インク容器の開口部から紫外線を照射して、廃インクを硬化
する構成であるので、廃インク容器に導かれた硬化前のインクが空気中に飛散してしまう
ことがあり、未硬化状態のインクにより作業環境が悪化してしまう、という問題があった

【0012】
また、従来の技術では、硬化した廃インクは廃インク容器に固着するので、硬化した廃
インクを廃棄する際には、この廃インク容器も含めて廃棄することとなり、当該容器は使
い捨て利用されるため、コスト増大の要因となると共に、環境に対する負荷も大きくなる
、という問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は上記課題を解決するためのもので、本発明に係る液体噴射装置は、液体を噴射
するノズルが設けられた液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドの前記ノズルから前記液
体を受ける受け部と、前記受け部で吸引された前記液体を移送する配管と、前記配管から
前記液体を落下させる穴部と、前記穴部の鉛直下方を照射する光源部と、を有することを
特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る液体噴射装置は、液体を噴射する複数のノズルと光源部が設けられ
た液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドの前記ノズルから前記液体を受ける受け部と、
前記受け部で吸引された前記液体を移送する配管と、前記配管から前記液体を落下させる
穴部と、前記光源部の照射光を、前記穴部の鉛直下方に導く光学系と、を有することを特
徴とする。
【0015】
また、本発明に係る液体噴射装置は、前記穴部鉛直下方に回収容器が配された。
【0016】
また、本発明に係る液体噴射装置は、前記配管に前記液体を貯留するバッファタンクが
配された請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の液体噴射装置。
【0017】
また、本発明に係る液体噴射装置は、前記受け部がキャップ部である。
【0018】
また、本発明に係る液体噴射装置は、前記受け部がフラッシング受容部である。
【0019】
また、本発明に係る液体噴射装置は、前記液体が光の照射によって硬化する。
【0020】
また、本発明に係る液体噴射装置の制御方法は、液体を噴射するノズルが設けられた液
体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドの前記ノズルから前記液体を受ける受け部と、前記
受け部で吸引された前記液体を移送する配管と、前記配管から前記液体を落下させる穴部
と、前記穴部の鉛直下方を照射する光源部と、を有し、前記穴部から落下させた前記液体
を前記光源部の照射光によって糸状に硬化するように制御することを特徴とする。
【0021】
また、本発明に係る液体噴射装置の制御方法は、液体を噴射する複数のノズルと光源部
が設けられた液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドの前記ノズルから前記液体を受ける
受け部と、前記受け部で吸引された前記液体を移送する配管と、前記配管から前記液体を
落下させる穴部と、前記光源部の照射光を、前記穴部の鉛直下方に導く光学系と、を有し
、前記穴部から落下させた前記液体を前記光学系によって導かれた光で糸状に硬化するよ
うに制御することを特徴とする。
【0022】
以上、本発明の液体噴射装置及び液体噴射装置の制御方法によれば、配管の穴部から落
下した液体(廃インク)を、直ちに光源部からの光により硬化する構成であるので、液体
(廃インク)が空気中に飛散する可能性は極めて低く、作業環境を悪化させることがない

【0023】
また、本発明の液体噴射装置及び液体噴射装置の制御方法によれば、配管の穴部から落
下する途中で液体(廃インク)を硬化する構成であり、廃インクを回収するための容器に
硬化物が固着することがないので、容器は再利用可能であり、コストの抑制が可能となる
と共に、環境負荷も軽減可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係る液体噴射装置の一例であるプリンター10の概要を示す図である。
【図2】プリンター10の要部を模式的に示す図である。
【図3】プリンター10の全体構成のブロック図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る液体噴射装置の一例であるプリンター10の概要を示す図である。
【図5】プリンター10のキャリッジ14に搭載されるヘッドユニット150及び紫外線照射ユニット160を説明する図である。
【図6】他の実施形態に係るプリンター10の全体構成のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の実施形態に係
る液体噴射装置が用いられたプリンター10の概要を示す図であり、シリアルヘッド方式
のインクジェット記録装置である。また、図2は記録媒体Sの搬送方向からプリンター1
0をみた模式図である。また、図3はプリンター10の全体構成のブロック図である。
【0026】
なお、以下、本実施形態ではシリアルヘッド方式のプリンター10を例に説明するが、
本実施形態はこれに限らず、ラインヘッド方式のプリンターにも適用可能である。
【0027】
プリンター10は、図1に示すように、棒状のガイドレール12を有しており、このガ
イドレール12には、キャリッジ14が支持されている。このキャリッジ14は、キャリ
ッジ駆動ユニット140(図3参照)によって主走査方向(第1の方向)をガイドレール
12に沿って往復移動するようになっている。
【0028】
キャリッジ14の中央部には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラ
ック(K)の各色の色インク(液体)を記録媒体Sに噴射するノズルを形成してなるヘッ
ドユニット150が搭載されている。これらイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(
C)、ブラック(K)の各色インクは、主として画像記録用インクとして、上位装置であ
るコンピューター1等から受信した画像データに基づいた所定画像の描画のために用いら
れる。なお、以下において、イエローやイエローインクのこと「Y」などと略記すること
がある。また、本実施形態においては、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)
、ブラック(K)の4色のインクを用いる例について説明しているが、ヘッドユニット1
50で扱い得る色種、色数はこれに限定されるものではない。
【0029】
キャリッジ14に連結されたインク供給チューブ15は、ヘッドユニット150に各色
のインクを供給するものである。
【0030】
コンピューター1は、印刷を行う画像に応じた画像データを、プリンタドライバを介し
てプリンター10に送る。画像データには、媒体の各画素についてインク色毎にインクを
噴射するか否かを示す画素データが含まれている。
【0031】
本実施形態で使用する上記の各色インクは、紫外線を照射することにより硬化する紫外
線硬化型のUVインクである。紫外線硬化型のインクとしては、重合性化合物として、ラ
ジカル重合性化合物を含むラジカル重合系インク、カチオン重合性化合物を含むカチオン
重合系インク、及びラジカル重合系インクとカチオン重合系インクとを複合させたハイブ
リッド型インクが適用可能である。なお、インクには、紫外線以外の光で重合して硬化す
る重合性化合物と、紫外線以外の光、例えば電子線、X線、赤外線等で重合性化合物同士
の重合反応を開始させる光開始剤とが適用されてもよい。
【0032】
また、本発明によるプリンター10に用いられる記録媒体Sしては、普通紙、再生紙、
光沢紙等の各種紙、各種布地、各種不織布、樹脂、金属、ガラス等の材質からなる記録媒
体Sが適用可能である。
【0033】
上記のようなヘッドユニット150は、コントローラー110に接続されており、ヘッ
ドユニット150に対しては、インクの噴射を制御するための信号などが送られる。この
ような信号の中には、コンピューター1から受信した画像データに基づいたものの他、画
像データ信号に基づかないフラッシングを実行するためのものがある。
【0034】
キャリッジ14の移動可能範囲の中央部分は、記録媒体Sに記録を行う記録領域とされ
ており、この記録領域には、記録媒体Sを非記録面側から水平に支持するプラテン19が
設けられている。
【0035】
また、プリンター10には、複数の搬送ローラー13等により構成され、副走査方向(
第2の方向)に記録媒体Sを送るための記録媒体搬送ユニット130(図3参照)が設け
られている。記録媒体搬送ユニット130は、画像記録時において、キャリッジ14の動
作に合わせて、記録媒体Sの搬送と停止とを繰り返して記録媒体Sを間欠的に搬送する。
【0036】
また、プリンター10の筐体上面(不図示)には、例えばタッチパネルにより構成され
、ユーザーが選択可能な記録モードを表示するとともに、表示された記録モードをユーザ
ーが選択して入力する入力操作ユニット120が設けられている。この入力操作ユニット
120は、後述のコントローラー110に接続されており、所定操作に基づいて選択され
た記録モードに係る信号をコントローラー110に対して出力するようになっている。
【0037】
図3は、本実施形態におけるプリンター10を制御するための制御ブロックを示したも
のであり、この制御ブロックにおけるコントローラー110は、たとえば、CPU111
、ROM112、RAM113からなり、ROM112に記録された処理プログラムをR
AM113に展開してCPU111によりこの処理プログラムを実行するようになってい
る。また、インターフェイス105は、プリンター10のコントローラー110とコンピ
ューター1を接続するために設けられたインターフェイスである。
【0038】
このコントローラー110は、前述の処理プログラムに従い、記録媒体搬送ユニット1
30、キャリッジ駆動ユニット140、ヘッドユニット150、紫外線照射ユニット16
0、廃液処理ユニット200等を、動作状況等のステータスに基づいて、制御するように
なっている。
【0039】
紫外線照射ユニット160は、記録媒体Sに噴射されたUVインクに対して紫外線を照
射してUVインクを硬化させるための装置である。紫外線照射ユニット160の光源とし
ては、例えば、紫外線を発生するUV−LED(Ultra Violet Light
Emitting Diode)などによって構成される。そして、コントローラー1
10からの制御により紫外線の照射率が制御できるようになっている。このようにするこ
とで、記録媒体Sの各位置おいて紫外線を照射する量を変化させることもできるようにな
っている。なお、前記光源としては他にメタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボ
ンアーク灯、ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ等が利用可能である。
【0040】
廃液処理ユニット200は、ポンプ制御部201によってポンプ23を制御すると共に
、光源制御部202によって光源部40を制御することで、フラッシング受容部20及び
キャップ部21で回収された廃液(廃インク)を処理するユニットである。
【0041】
フラッシング受容部20は記録領域外に配置されており、ヘッドユニット150のフラ
ッシング動作で噴射されたインク滴を受容する。プリンター10は、印刷動作中の所定の
タイミングや、電源オン時等の所定のタイミングで、ヘッドユニット150の駆動素子(
不図示)に印刷信号と無関係のインク滴噴射信号を入力してヘッドユニット150の目詰
まりを回復するフラッシング動作を行う。フラッシング受容部20によって受容したイン
クは、ポンプ23によって配管部22側に吸引されようになっている。
【0042】
キャップ部21は記録領域外に配置されており、このキャップ部21には、キャップ部
21の内部空間に対して、負圧を与えるためのポンプ23が配管部22を介して接続され
ている。上記キャップ部21は、プリンター10の休止期間中においてヘッドユニット1
50のノズル形成面を封止してノズルの乾燥を防止する蓋体として機能する他、前記ポン
プ23からの負圧をヘッドユニット150に作用させて、ヘッドユニット150からイン
クを吸引排出させるクリーニング手段としての機能も兼ね備えている。
【0043】
上記構成により、ヘッドユニット150のノズルに目詰まりが生じたとき、長期間放置
後の起動初期等において、ヘッドユニット150のノズル形成面をキャップ部21でキャ
ッピングしてポンプ23で吸引することによりインクを強制的に吸引排出し、ヘッドユニ
ット150内の増粘インクや気泡を吸引排出してヘッドユニット150の噴射特性を維持
しうるようになっている。
【0044】
以下、フラッシング受容部20及びキャップ部21を、インクを受ける受け部と称し、
これらの受け部で回収されたインクを廃インク(液体)として定義する。フラッシング受
容部20及びキャップ部21から吸引された廃インクは、ポンプ23で吸引され、穴部2
4が設けられている配管部に移送される。配管22に設けられた穴部24は、廃インクを
鉛直下方に落下させるためのものである。穴部24の径は、廃インクが穴部24から押し
出されたとき、廃インクが糸状となるように設定されている。
【0045】
穴部24の下方域には、上側に開口を有する回収容器30が配されるようになっており
、さらに、穴部24の鉛直下方を照射することができる光源部40が設けられている。回
収容器30が光源部40と対向する位置には、光源部40からの照射光を透過する回収容
器窓部31が設けられており、このような窓を通して穴部24から落下する廃インクに対
して、光源部40から光を照射することが可能となっている。
【0046】
光源部40は、紫外線を発生するUV−LED(Ultra Violet Ligh
t Emitting Diode)、メタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボ
ンアーク灯、ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ等が用いられる。したが
って、穴部24から鉛直下方に糸状に落下した廃インクは、光源部40からの照射光によ
って、硬化して糸状の硬化物となり回収容器30で回収されることとなる。
【0047】
回収容器30における回収容器窓部31以外の内壁面である回収容器内壁面32には、
光源部40からの照射光を吸収する素材が施されている。光源部40からの光が回収容器
内壁面32で反射して穴部24に到達してしまうと、穴部24直近の廃インクが硬化して
しまい、穴部24を目詰まりさせてしまう不都合が発生するが、上記素材を回収容器内壁
面32に施すことによりこのような不都合の発生を防止することが可能となる。
【0048】
このように本実施形態においては、配管22の穴部24から落下した廃インクは、直ち
に光源部40からの光により硬化されるようになっているので、廃インクが空気中に飛散
する可能性は極めて低く、作業環境を悪化させることがない。
【0049】
また、廃インクは穴部24から落下する途中で硬化されるようになっており、廃インク
を回収するための回収容器30に硬化物が固着することがないので、回収容器30は再利
用可能であり、コストの抑制が可能となると共に、環境負荷も軽減可能となる。
【0050】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。先の実施形態においては、穴部24か
ら落下する廃インクを硬化させるために、記録媒体S上に噴射されたインクを硬化する紫
外線照射ユニット160の光源とは、独立した光源40を設けるようにしていた。これに
対して、本実施形態においては、記録媒体S上のインクを硬化させる紫外線照射ユニット
160の光源を、廃インクの硬化にも利用するように構成する。以下、先の実施形態と同
じ参照符号が付された構成については、同一のものであるので説明を省略する。
【0051】
図4は本発明の他の実施形態に係る液体噴射装置の一例であるプリンター10の概要を
示す図である。図4は記録媒体Sの搬送方向からプリンター10をみた模式図である。ま
た、図5は他の実施形態に係るプリンター10のキャリッジ14に搭載されるヘッドユニ
ット150及び紫外線照射ユニット160を説明する図である。また、図6は他の実施形
態に係るプリンター10の全体構成のブロック図である。
【0052】
図4(A)は紫外線照射ユニット160によって、記録媒体S上に噴射されたインクを
硬化させている状態を示しており、図4(B)は、紫外線照射ユニット160によって、
廃インクを硬化させている状態を示している。
【0053】
図4において、先の実施形態と異なる点は、配管22の途中にバッファタンク50が設
けられており、ポンプ23で吸引された廃インクを一時的に貯溜することができるように
構成されている点を挙げることができる。また、このようなバッファタンク50には、タ
ンク中の廃インクの液位(廃インクの貯溜量と比例する。タンク中の廃液の高さレベル)
を検出することが可能な液位センサ51が設けられており、この液位センサ51による検
出結果は液位センサインターフェイス203を介してコントローラー110に取り込まれ
、廃インク処理制御に利用されるようになっている。
【0054】
また、バッファタンク50から穴部24の途中の配管22にはバルブ53が設けられて
いる。このバルブ53はバルブ制御部204によりバルブ開閉量が調整可能とされている
。また、バルブ制御部204はコントローラー110からの指令信号を受信することで、
バルブ53の開閉量を調整する。すなわち、コントローラー110はバッファタンク50
の廃インクの液位などに応じてバルブ制御部204に指令信号を送信することで、バルブ
53の開閉量を調整し、ひいては穴部24から落下させる廃インクの量をコントロールす
ることができるようになっている。
【0055】
なお、このようなバッファタンク50とそれに関連する液位センサ51やバルブ53に
係る構成については先の実施形態に採用することも可能である。
【0056】
ここで、キャリッジ14に搭載されるヘッドユニット150及び紫外線照射ユニット1
60について図5を参照して説明する。図5はキャリッジ14の底面(記録媒体Sと対向
する面)を概略的に示している。キャリッジ14の中央部には、イエロー(Y)、マゼン
タ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の色インク(液体)を記録媒体Sに噴射
するノズルを形成してなるヘッドユニット150が搭載されている。図示するように、ヘ
ッドユニット150は、副走査方向に複数のノズルが並んで形成されたノズル列151〜
154を備えている。また、キャリッジ14におけるヘッドユニット150の両側部には
、ノズルから記録媒体Sに噴射されたインクに対して紫外線を照射する光照射装置として
の紫外線照射ユニット160が、ヘッドにおける主走査方向(第1の方向)と直交し記録
媒体Sを搬送する副走査方向(第2の方向)の上流側端部から下流側端部にわたってそれ
ぞれ設けられている。本実施形態においては、この紫外線照射ユニット160の光源は、
廃インクの硬化にも利用される。
【0057】
さらに、他の実施形態には、紫外線照射ユニット160の光源から光を受光し、回収容
器30の回収容器窓部31に光を入射させる光学系45が設けられている。このような光
学系45としては、反射鏡、プリズム、レンズ、光ファイバーなどの任意のもの、及びそ
れらの組み合わせを用いることができるが、要は、紫外線照射ユニット160の光源から
の光を、穴部24から糸状に落下している廃インクに確実に導く導光機能を有することが
肝要である。
【0058】
コントローラー110は廃液処理ユニット200で、バッファタンク50に貯溜された
廃インクの硬化処理を行う場合、バルブ制御部204を介してバルブ53を開として穴部
24から廃インクを落下させるが、そのタイミングに合わせるようにして、キャリッジ駆
動ユニット140によりキャリッジ14を図4(B)の位置まで持って行き、紫外線照射
ユニット160の光源を発光させるようにする。これにより、紫外線照射ユニット160
からの照射光は、光学系45を経て、穴部24から糸状に落下している廃インクに到達し
、廃インクを硬化させることができる。
【0059】
このような他の実施形態によっても、先の実施形態と同様の効果を享受することが可能
であると共に、廃インク処理専用の光源を設ける必要がない、というメリットも享受する
ことが可能である。
【0060】
以上、本発明の液体噴射装置及び液体噴射装置の制御方法によれば、配管22の穴部2
4から落下した液体(廃インク)を、直ちに光源部からの光により硬化する構成であるの
で、液体(廃インク)が空気中に飛散する可能性は極めて低く、作業環境を悪化させるこ
とがない。
【0061】
また、本発明の液体噴射装置及び液体噴射装置の制御方法によれば、配管22の穴部2
4から落下する途中で液体(廃インク)を硬化する構成であり、廃インクを回収するため
の容器30に硬化物が固着することがないので、容器30は再利用可能であり、コストの
抑制が可能となると共に、環境負荷も軽減可能となる。
【符号の説明】
【0062】
1・・・コンピューター、10・・・プリンター、12・・・ガイドレール、13・・・
搬送ローラー、14・・・キャリッジ、15・・・インク供給チューブ、19・・・プラ
テン、20・・・フラッシング受容部、21・・・キャップ部、22・・・配管部、23
・・・ポンプ、24・・・穴部、30・・・回収容器、31・・・回収容器窓部、32・
・・回収容器内壁面、40・・・光源部、45・・・光学系、50・・・バッファタンク
、51・・・液位センサ、53・・・バルブ、105・・・インターフェイス、110・
・・コントローラー、111・・・CPU、112・・・ROM、113・・・RAM、
120・・・入力操作ユニット、130・・・記録媒体搬送ユニット、140・・・キャ
リッジ駆動ユニット、150・・・ヘッドユニット、151・・・(シアンインク)ノズ
ル列、152・・・(マゼンタインク)ノズル列、153・・・(イエローインク)ノズ
ル列、154・・・(ブラックインク)ノズル列、160・・・紫外線照射ユニット、2
00・・・廃液処理ユニット、201・・・ポンプ制御部、202・・・光源制御部、2
03・・・液位センサインターフェイス、204・・・バルブ制御部、S・・・記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴射するノズルが設けられた液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッドの前記ノズルから前記液体を受ける受け部と、
前記受け部で吸引された前記液体を移送する配管と、
前記配管から前記液体を落下させる穴部と、
前記穴部の鉛直下方を照射する光源部と、を有することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
液体を噴射する複数のノズルと光源部が設けられた液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッドの前記ノズルから前記液体を受ける受け部と、
前記受け部で吸引された前記液体を移送する配管と、
前記配管から前記液体を落下させる穴部と、
前記光源部の照射光を、前記穴部の鉛直下方に導く光学系と、を有することを特徴とする
液体噴射装置。
【請求項3】
前記穴部鉛直下方に回収容器が配された請求項1又は請求項2に記載の液体噴射装置。
【請求項4】
前記配管に前記液体を貯留するバッファタンクが配された請求項1乃至請求項3のいずれ
かに記載の液体噴射装置。
【請求項5】
前記受け部がキャップ部である請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の液体噴射装置。
【請求項6】
前記受け部がフラッシング受容部である請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の液体噴
射装置。
【請求項7】
前記液体が光の照射によって硬化する請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の液体噴射
装置。
【請求項8】
液体を噴射するノズルが設けられた液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッドの前記ノズルから前記液体を受ける受け部と、
前記受け部で吸引された前記液体を移送する配管と、
前記配管から前記液体を落下させる穴部と、
前記穴部の鉛直下方を照射する光源部と、を有し、
前記穴部から落下させた前記液体を前記光源部の照射光によって糸状に硬化するように制
御することを特徴とする液体噴射装置の制御方法。
【請求項9】
液体を噴射する複数のノズルと光源部が設けられた液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッドの前記ノズルから前記液体を受ける受け部と、
前記受け部で吸引された前記液体を移送する配管と、
前記配管から前記液体を落下させる穴部と、
前記光源部の照射光を、前記穴部の鉛直下方に導く光学系と、を有し、
前記穴部から落下させた前記液体を前記光学系によって導かれた光で糸状に硬化するよう
に制御することを特徴とする液体噴射装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−81598(P2012−81598A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227243(P2010−227243)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】