説明

液体噴射装置

【課題】液体の消費を抑制しつつ、流路内の液体に混入した気泡を排出できる液体噴射装置を提供すること。
【解決手段】プリンターのフィルターユニットには、インクカートリッジから導入されたインクを流通して記録ヘッド13に供給する流通流路160と、流通流路160内のインクに混入した気泡が溜まる気泡溜まり部123とが形成されており、気泡溜まり部123には、気泡溜まり部123を形成する壁面の一部となり、防水性および通気性を有する防水部材170が設けられている。プリンターの気泡吸引機構200は、防水部材170を介して気泡溜まり部123に溜まった気泡を吸引する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を噴射する液体噴射ヘッドを備える液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体噴射装置の例として、液体噴射ヘッドの一例である記録ヘッドを備えたインクジェット式のプリンターが広く知られている。インクジェット式のプリンターでは、インクカートリッジ等の液体収容容器から、流路形成部材の内部に形成された流路を通じて記録ヘッドにインクが供給される。記録ヘッドに供給されたインクは、いったんリザーバーに貯留され、リザーバーから圧力発生室にインクが供給される。そして、圧電素子等の圧力発生素子が圧力発生室内のインクに圧力変動を生じさせることにより、圧力発生室に連通するノズルからインクが噴射される。
【0003】
ここで、液体収容容器から導入されたインクに気泡が予め混入することや、流路形成部材や記録ヘッド内の流路において気泡が成長することによって、流路内に気泡が存在する場合、気泡がインクの流れを阻害するため、インクを適切に噴射できずに印字不良となることがある。また、記録ヘッド内部の圧力発生室内のインクに気泡が混入した場合は、圧力発生素子による圧力変動を気泡が吸収してしまうため、噴射するインク量や噴射速度等の噴射特性が低下することがある。
【0004】
そこで、インクジェット式のプリンターでは、流路形成部材や記録ヘッド内の流路から気泡を除去するため、圧力発生素子を駆動させることによって流路内の気泡をインクとともにノズルから排出するフラッシングや、記録ヘッドのノズル面をキャップで覆い、ポンプによってインクとともに気泡をキャップから強制的に吸引するインク吸引が行われる(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、特許文献2には、インクタンクからのインクを循環させる循環流路と記録ヘッドとを繋ぐ複数の噴射チャンネルの配列方向外側に、気泡溜り部を設けることにより、インクに混入した気泡を気泡溜り部に溜める構成として、噴射チャンネルを通じて記録ヘッドに気泡が流入しないようにした記録装置が開示されている。なお、この記録装置では、気泡溜り部に溜まった気泡は、気泡自身に働く浮力によって、気泡溜り部の上方に設けられたインク排出口に上昇し、インク排出口を通じてインクタンクに回収されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−73074号公報
【特許文献2】特開2000−103084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、フラッシングやインク吸引では、気泡とともにインクも排出されるため、気泡を排出するために多量のインクを消費してしまうという課題があった。
【0008】
また、特許文献2に記載の技術では、気泡溜り部に溜まった気泡は、気泡自身に働く浮力を利用して排出されるようになっており、気泡を積極的に排出するものではないため、気泡を充分に排出しきれない可能性があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0010】
[適用例1]液体を噴射する液体噴射ヘッドと、導入された液体を流通して前記液体噴射ヘッドに供給する流通流路が形成された流路形成部材と、を備える液体噴射装置であって、前記流路形成部材は、前記流通流路内の前記液体に混入した気泡を溜める気泡溜まり部と、前記気泡溜まり部を形成する壁面の一部となる、防水性および通気性を有する防水部材と、を有し、前記防水部材を介して前記気泡溜まり部の気泡を吸引する吸引部を備えることを特徴とする液体噴射装置。
【0011】
この構成によれば、液体噴射ヘッドの流通流路を流通する液体に混入した気泡は気泡溜まり部に溜まり、通気性を有する防水部材を介して吸引部に吸引されることによって、気泡溜まり部から排出される。一方、流通流路内の液体は、防水性を有する防水部材を通り抜け難いため、気泡の排出に伴って液体が排出されることを防ぐことができる。したがって、液体の消費を抑制しつつ液体噴射ヘッドの内部から気泡を排出することができる。
【0012】
[適用例2]上記液体噴射装置において、前記流通流路のうちの一部において鉛直方向に流路が拡大しており、流路が拡大する部分のうち、鉛直方向の上方となる一部が前記気泡溜まり部になっていることを特徴とする液体噴射装置。
【0013】
この構成によれば、流通流路の流路が拡大する部分のうち、鉛直方向の上方となる一部が気泡溜まり部となっているため、流通流路内を流れる液体に混入した気泡は、浮力で浮き上がることによって気泡溜まり部に溜まり、その後、防水部材を介して排出される。したがって、流通流路内の液体に混入した気泡を効率よく排出することができる。
【0014】
[適用例3]上記液体噴射装置において、前記流路形成部材の前記流通流路にはフィルターが設けられ、前記気泡溜まり部は、前記フィルターに対して鉛直方向の上方に設けられていることを特徴とする液体噴射装置。
【0015】
この構成によれば、フィルターに堰き止められるようにしてフィルターの上流側に溜まった気泡は、浮力で浮き上がることによって気泡溜まり部に溜まり、その後、防水部材を介して排出される。したがって、フィルターの上流側に溜まる気泡を効率よく排出することができる。
【0016】
[適用例4]上記液体噴射装置において、前記流路形成部材は、導入される液体に混入した気泡を溜める第2気泡溜まり部と、前記第2気泡溜まり部を形成する壁面の一部となる、防水性および通気性を有する第2防水部材と、をさらに有し、前記吸引部は、前記防水部材の前記気泡溜まり部と反対側に連通する第1吸引通路と、前記第2防水部材の前記第2気泡溜まり部と反対側に連通する第2吸引通路と、前記第1吸引通路と前記第2吸引通路とを合流する合流通路と、前記合流通路を通じて気泡を吸引するポンプ部材と、を有することを特徴とする液体噴射装置。
【0017】
この構成によれば、合流通路から気泡を吸引することによって、気泡溜まり部および第2気泡溜まり部の気泡が排出されるので、双方の気泡溜まり部から別々に気泡を吸引する構造を採用した場合に比べると、より簡易な構造によって気泡溜まり部および第2気泡溜まり部から気泡を排出できる。
【0018】
[適用例5]上記液体噴射装置において、前記液体噴射ヘッドを移動させる移動機構を備え、前記吸引部は、伸縮可能に構成され、伸縮により前記防水部材を介して気泡を吸引するポンプ部材と、前記液体噴射ヘッドの移動により前記ポンプ部材に当接可能な位置に設けられた当接部材と、を有し、前記移動機構は、前記液体噴射ヘッドとともに前記ポンプ部材を前記当接部材に対して移動させることにより、前記ポンプ部材を伸縮させることを特徴とする液体噴射装置。
【0019】
この構成によれば、液体噴射ヘッドを移動させるための移動機構が、ポンプ部材を伸縮させることにより、簡易な構成で気泡を吸引できる。
【0020】
[適用例6]上記液体噴射装置において、前記吸引部は、前記防水部材の前記気泡溜まり部とは反対側と前記ポンプ部材の内部とを接続する流入通路と、前記ポンプ部材の内部を大気開放する大気開放通路と、前記流入通路を通じて前記ポンプ部材から流出する流れを規制する第1逆止弁と、前記大気開放通路を通じて前記ポンプ部材に流入する流れを規制する第2逆止弁と、を有することを特徴とする液体噴射装置。
【0021】
この構成によれば、第2逆止弁により、ポンプ部材が伸縮されたときにポンプ部材の内部を効率よく減圧でき、第1逆止弁により、気泡溜り部の気泡を効率よく吸引できる。したがって、ポンプ部材の伸縮によって気泡溜り部内の気泡を効率よく排出できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本実施形態に係るプリンターの概略構成を示した図である。
【図2】フィルターユニットの構成を示した断面図である。
【図3】気泡溜まり部の拡大図である。
【図4】記録ヘッドの構成を示した図である。
【図5】気泡吸引機構の構造を示した図である。
【図6】気泡吸引動作の説明図である。
【図7】第1の変形例の説明図である。
【図8】第3の変形例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置の一例として、インクジェット方式の記録ヘッドを備えたプリンターについて説明する。
【0024】
図1は、プリンターの概略構成を示した図である。図1に示すように、プリンター1は、インクジェット式の記録ヘッドユニット2を搭載したキャリッジ3と、被噴射媒体である記録紙Sの紙幅方向にキャリッジ3を往復移動させるキャリッジ移動機構(移動機構)4と、カートリッジ収納部5と、記録紙Sを紙送りする紙送り機構6と、を備えている。なお、記録紙Sに対してキャリッジ3が移動する方向が主走査方向、記録紙Sが紙送りされる方向が主走査方向に直交する副走査方向である。
【0025】
キャリッジ移動機構4は、主走査方向に架設されたガイドロッド7と、主走査方向に沿って設けられたリニアエンコーダーのリニアスケール8と、キャリッジモーターの駆動力を受ける駆動ローラー9aと従動ローラー9bとの間に掛け渡されたタイミングベルト10と、を有している。キャリッジ3は、ガイドロッド7にスライド可能に軸支されており、キャリッジ3の一部がタイミングベルト10に係止されている。したがって、キャリッジモーターの駆動により、キャリッジ3に搭載された記録ヘッドユニット2はガイドロッド7に沿って移動する。主走査方向におけるキャリッジ3の位置は、キャリッジ3のリニアスケール8側に設けられたリニアエンコーダーがリニアスケール8を読み取ることによって検出され、リニアエンコーダーの検出信号は制御手段であるプリントコントローラー(図示なし)に送信される。プリントコントローラーは、この検出信号に基づいて、走査範囲内におけるキャリッジ3の位置、すなわち記録ヘッドユニット2の位置を認識して記録ヘッドユニット2による記録動作を制御する。
【0026】
カートリッジ収納部5は、インクカートリッジ11が装着される部分であり、キャリッジ3の移動範囲の端部に設けられている。カートリッジ収納部5とキャリッジ3に搭載された記録ヘッドユニット2とはインク供給チューブ12によって接続されており、カートリッジ収納部5に装着されたインクカートリッジ11は、インク供給チューブ12を通じて記録ヘッドユニット2にインクを供給する。すなわち、本実施形態のプリンター1は、キャリッジ3外にインクカートリッジ11を搭載した、いわゆるオフキャリッジ方式を採用している。なお、本実施形態では、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、ブラックインクの各色インクに対応して、カートリッジ収納部5には、4つのインクカートリッジ11が着脱可能に取り付けられることとする。もっとも、インクの種類およびインクカートリッジ11の数はこれに限られるものではない。
【0027】
次に、記録ヘッドユニット2の構成について説明する。記録ヘッドユニット2は、記録紙Sに向けてインクを噴射する記録ヘッド13と、インクカートリッジ11から導入されるインクを、内部に設けられたフィルターを通じて記録ヘッド13に供給するフィルターユニット(流路形成部材)14と、を備えている。
【0028】
図2は、フィルターユニット14の構成を示した断面図である。図2に示すように、フィルターユニット14は、インク供給チューブ12が接続される第1流路形成部材110と、第1流路形成部材110に接合された第2流路形成部材120と、第2流路形成部材120に接合された第3流路形成部材130と、第3流路形成部材130に接合されて記録ヘッド13に接続される第4流路形成部材140と、を有している。
【0029】
第1流路形成部材110には、インク供給チューブ12が接続される導入口111と、導入口111から第2流路形成部材120側に向けて貫通する導入流路112と、が形成されている。
【0030】
第2流路形成部材120は、導入口111とは反対側となる第1流路形成部材110の一面に接合される。第2流路形成部材120には、導入流路112に連通して第2流路形成部材120を貫通する貫通流路121と、第3流路形成部材130が接合される面に開口し、貫通流路121の一端から第2流路形成部材120の面方向の他端側に向けて延在する溝状の上流側流路122と、が形成されている。
【0031】
第3流路形成部材130は、第2流路形成部材120の上流側流路122が開口する面に接合されて、上流側流路122の一方面を封止する。また、第3流路形成部材130には、上流側流路122の貫通流路121とは反対側となる他端に連通し、第3流路形成部材130を貫通するフィルター室131が設けられている。このフィルター室131の下流側の開口には、第3流路形成部材130と第4流路形成部材140との間に挟み込まれるようにしてフィルター150が設けられている。また、フィルター室131は、フィルター150の面積を大きくしてインクが通過する際の抵抗を小さくするため、上流側流路122から下流側に向かって内径が漸大した拡幅部として設けられている。なお、フィルター150としては、例えば、金属を細かく編みこむことで複数の微細孔が設けられたものや、フィルムに微細な貫通孔を開設したものを採用することができる。
【0032】
また、フィルター室131に設けられたフィルター150は、後述する気泡溜まり部123に対して鉛直方向下方に位置している。すなわち、気泡溜まり部123は、フィルター150に対して鉛直方向上方に位置しており、フィルター150に堰き止められるようにしてフィルター室131内に溜まった気泡は、気泡自身に働く浮力により上昇して気泡溜まり部123に溜まるように構成されている。
【0033】
第4流路形成部材140は、フィルター室131が開口する面側の第3流路形成部材130に接合され、第3流路形成部材130と第4流路形成部材140との間には、フィルター150が、溶着等によって第4流路形成部材140側に固定された状態でフィルター室131の開口を覆う領域に配置されている。また、第4流路形成部材140には、フィルター室131に対向する領域に一端側が開口する下流側流路141が設けられており、下流側流路141の他端側は、記録ヘッド13に接続される。
【0034】
以上に説明したフィルターユニット14では、第1流路形成部材110の導入流路112、第2流路形成部材120の貫通流路121および上流側流路122、第3流路形成部材130のフィルター室131、第4流路形成部材140の下流側流路141を繋ぐ一連の流路が流通流路160となっている。インクカートリッジ11からインク供給チューブ12を介して記録ヘッドユニット2のフィルターユニット14に導入されたインクは、導入口111から流通流路160を流通して記録ヘッド13に供給される。
【0035】
また、本実施形態の第2流路形成部材120には、気泡溜まり部123が形成されている。図3は、気泡溜まり部123の拡大図である。図3に示すように、第2流路形成部材120の上流側流路122は、上流から下流に向かって鉛直方向上方に拡大する流路形状を有しており、上流側流路122のうち鉛直方向上方に拡大した部分が気泡溜まり部123になっている。
【0036】
気泡溜まり部123には、鉛直方向上方の内壁に凹部124が形成されており、凹部124には、防水部材170が嵌め込まれた状態で溶着等によって固定されている。これにより、防水部材170自体が気泡溜まり部123を形成する内壁面の一部となって、防水部材170の一面が気泡溜まり部123内に露出している。そして、凹部124と防水部材170との間に形成された空間、すなわち防水部材170に対して気泡溜まり部123の反対側に形成された空間には、後述する気泡吸引機構200の吸引通路210が接続されている。
【0037】
防水部材170は、例えば、ポリテトラフルオロエチレンを圧延加工したフィルムとポリウレタンポリマーを重ね合わせて複合化したものであり、液体を透過させ難い防水性と、空気等の気体を透過させる通気性とを兼ね備えたものである。防水部材170の具体的な例としてはゴアテックス(登録商標)等が挙げられる。なお、防水部材170には、防水部材170の気泡溜まり部123側の表面に撥水加工を施すことにより、通気性を維持しつつ防水性をより高めた構成とすることが望ましい。
【0038】
さらに、防水部材170は、4つのインクカートリッジ11に対応して、シアンインクが流通する流通流路160、マゼンタインクが流通する流通流路160、イエローインクが流通する流通流路160、ブラックインクが流通する流通流路160のそれぞれに設けられる。すなわち、本実施形態の記録ヘッドユニット2には4つの防水部材170が設けられる。
【0039】
次に、記録ヘッド13について説明する。図4は、記録ヘッド13の構成を示した図である。図4に示すように、記録ヘッド13は、リザーバー81、インク供給流路82、圧力発生室83およびノズル71等の流路が形成された流路ユニット40と、圧力発生室83内のインクに圧力変動を生じさせる振動子ユニット50と、振動子ユニット50を内部に収容するヘッドケース60と、を備えている。
【0040】
ヘッドケース60は、振動子ユニット50を収容するための空部が形成された箱状部材であり、その一方面にはフィルターユニット14が装着され、フィルターユニット14とは反対側となる面に流路ユニット40が固定される。ヘッドケース60の内部には、振動子ユニット50を収容する収容空部61と、フィルターユニット14から流路ユニット40に向かう方向に貫通するケース流路62と、が形成されている。ケース流路62は、上流側の一端がフィルターユニット14の下流側流路141と接続されており、下流側の一端は、流路ユニット40のインク導入口93を通じてリザーバー81と液密に連通する。フィルターユニット14から記録ヘッド13に供給されたインクは、記録ヘッド13内のケース流路62を通じてリザーバー81に貯留される。
【0041】
流路ユニット40は、ノズルプレート70と、流路形成基板80と、振動板90と、を備えている。流路形成基板80の一方面にはノズルプレート70が、ノズルプレート70とは反対側となる流路形成基板80の他方の面には振動板90が接着剤等で固定されることによってノズルプレート70と流路形成基板80と振動板90とが積層している。
【0042】
ノズルプレート70は、ステンレス鋼板等の薄い金属板であり、接着等によって流路形成基板80に固定される。ノズルプレート70には、記録ヘッド13のドット形成密度に対応して、例えば、180dpi等の所定のピッチで複数のノズル71が形成されている。また、複数のノズル71は主走査方向に沿う列状に形成され、列状に並んだこれらのノズル71によってノズル列が構成されている。
【0043】
流路形成基板80には、ノズル列の各ノズル71に対応させて圧力発生室83となる空部が隔壁で区画された状態で複数形成され、さらにインク供給流路82やリザーバー81となる空部が形成されている。この流路形成基板80は、ノズルプレート70と振動板90とに挟まれるようにして上述した各空部の開口部が塞がれることによって、リザーバー81、インク供給流路82、および圧力発生室83を含む一連の流路が形成される。なお、本実施形態では、シリコンウェハーをエッチング処理することで作製されたものを流路形成基板80として用いている。もっとも、流路形成基板80としてはこれに限られることなく、例えば、流路となる貫通孔等が形成された複数の板状部材を積層することによって流路を構成していてもよい。
【0044】
圧力発生室83は、ノズル列方向に対して直交する方向に細長い室として形成されている。インク供給流路82は、圧力発生室83とリザーバー81との間を連通する流路幅の狭い狭窄部として形成されている。リザーバー81は、複数の圧力発生室83に共通の共通液室であり、インクカートリッジ11から供給されるインクを貯留する。リザーバー81には、各圧力発生室83に対応するインク供給流路82が連通しており、インク供給流路82を通じてリザーバー81から複数の圧力発生室83のそれぞれにインクが供給される。
【0045】
振動板90は、ステンレス鋼等の金属製の支持板91上にPPS(ポリフェニレンサルファイド)等の樹脂フィルム92をラミネート加工した二重構造の板材である。この振動板90には、上下方向に貫通させたインク導入口93が各リザーバー81に対応して複数開設されており、このインク導入口93を通じてリザーバー81とケース流路62とが連通する。
【0046】
また、振動板90には、圧力発生室83に対応する部分に、圧力発生室83の一方の開口面を封止してこの圧力発生室83の容積を変動させるためのダイヤフラム部94が形成されている。ダイヤフラム部94は、上述した二重構造をもつ板材のうち、圧力発生室83に対応した部分の支持板91にエッチング加工を施し、当該部分を環状に除去して後述する圧電振動子51の自由端部の先端を接合するための島部95を形成することによって作製されている。この島部95は圧力発生室83に対応する領域より小さく、エッチング加工によって支持板91が除去された島部95の周りの樹脂フィルム92、すなわち圧力発生室83に対応する領域のうち島部95が形成されていない領域の樹脂フィルム92が弾性体膜として機能する。
【0047】
さらに、振動板90のうちリザーバー81に対応する部分は、流路形成基板80に形成されたリザーバー81となる空部の開口形状に倣って支持板91がエッチング加工で除去されており、残存した樹脂フィルム92がコンプライアンス部96となっている。このコンプライアンス部96が、リザーバー81となる空部の一方の開口面を封止することにより、リザーバー81内のインクにコンプライアンスが与えられている。
【0048】
次に、振動子ユニット50の構成について説明する。振動子ユニット50は、圧力発生部に相当する圧電振動子51と、フレキシブルケーブル52とを有している。圧電振動子51は、細長い櫛歯状に形成されており、数十μm程度の極めて細い幅に切り分けられている。そして、この圧電振動子51は縦方向に伸縮可能な縦振動型の圧電振動子として構成されている。圧電振動子51は、固定端部を固定板63上に接合することにより、自由端部を固定板63の先端縁よりも外側に突出させて所謂片持ち梁の状態で固定されている。そして、各圧電振動子51における自由端部の先端は、流路ユニット40におけるダイヤフラム部94を構成する島部95に固定される。また、各圧電振動子51を支持する固定板63は、圧電振動子51からの反力を受け止め得る剛性を備えた金属製の板材によって構成される。固定板63は、例えば、厚さが1mm程度のステンレス鋼板によって作製されている。さらに、フレキシブルケーブル52は、その一端が固定板63とは反対側となる圧電振動子51の側面で圧電振動子51と電気的に接続され、他端はヘッド駆動回路(図示なし)が実装された制御基板に接続されている。これにより、プリントコントローラーからの信号を制御基板、フレキシブルケーブル52を介して圧電振動子51に送られて、圧電振動子51の伸縮が制御されるよう構成されている。
【0049】
以上のように構成された記録ヘッドユニット2では、圧電振動子51の先端面が島部95に接合されているので、ヘッド駆動回路によって圧電振動子51を駆動させ、圧電振動子51の自由端部を伸縮させることによって、圧力発生室83の容積が変動して圧力発生室83内のインクに圧力変動が生じる。記録ヘッドユニット2は、この圧力変動を利用して、圧力発生室83内のインクをノズル71から噴射することによって、記録用紙等の着弾対象に向けてインク滴が噴射される。
【0050】
ここで、上述した記録ヘッドユニット2では、例えば、インクカートリッジの着脱時等に流通流路160内のインクに混入した気泡(図3の破線部分参照)は、気泡自身に働く浮力によって流通流路160のうち鉛直方向の上方の部分を形成する気泡溜まり部123に移動する。また、フィルター150によって堰き止められるようにしてフィルター室131に溜まった気泡は、気泡自身に働く浮力によってフィルター150より鉛直方向上方に位置する気泡溜まり部123に移動する。本実施形態のプリンター1には、こうして気泡溜まり部123に溜まった気泡を排出するため、気泡吸引機構(吸引部)200が設けられている。以下、気泡吸引機構200について説明する。
【0051】
図5は、気泡吸引機構200の構成を示した図である。図5に示すように、気泡吸引機構200は、4つの防水部材170に対応して設けられた4つの吸引通路210と、4つの吸引通路210を合流する合流通路220と、蛇腹状のポンプ部材230と、記録ヘッドユニット2にポンプ部材230を保持する保持部材240と、プリンター1の本体側に設けられた当接部材250と、を有する。なお、4つの吸引通路210のうちいずれかの吸引通路210が第1吸引通路、他の吸引通路210が第2吸引通路に相当する。
【0052】
気泡吸引機構200の構成のうち、吸引通路210および合流通路220はフィルターユニット14側に形成されている。図3に示したように、吸引通路210は、気泡溜まり部123の凹部124によって形成される空間、すなわち防水部材170を介して気泡溜まり部123とは反対側に連通している。第2流路形成部材120には、気泡溜まり部123の凹部124から鉛直方向上方に貫通する第1通路211と、第1通路211の一端から第2流路形成部材120の面方向に延在する溝状の第2通路212と、が形成され、第2流路形成部材120の第2通路212が開口する方の面には第1流路形成部材110が接合されている。溝状の第2通路212の上部開口が第1流路形成部材110で塞がれることによって、第1通路211、第2通路212を連通した一連の吸引通路210が形成されている。なお、図5に示すように、フィルターユニット14には、この吸引通路210が、記録ヘッドユニット2に設けられた4つの防水部材170に対応して4つ形成されている。
【0053】
合流通路220は、第2通路212と同様に、第1流路形成部材110側となる第2流路形成部材120の一面に形成された溝状の流路であり、溝状の合流通路220の上部開口が第1流路形成部材110によって塞がれている。また、合流通路220は、主走査方向に延在しており、4つの吸引通路210のそれぞれの端部と連通している。すなわち、4つの吸引通路210が合流通路220に合流している。そして、吸引通路210とは反対側となる合流通路220の端部は、フィルターユニット14の外部に開口している。
【0054】
ポンプ部材230は、例えば、蛇腹ポンプであり、伸縮可能に構成されていて伸縮に伴ってポンプ部材230の内部に形成されたポンプ室231内の体積が変化する。このポンプ部材230には、ポンプ室231に空気を流入するための流入口232と、ポンプ室231から空気を排出するための流出口233とが形成されている。
【0055】
保持部材240は、記録ヘッドユニット2に対してポンプ部材230を固定して保持する部材である。なお、保持部材240としては、キャリッジ3の走査によって記録ヘッドユニット2とともにポンプ部材230が移動するように、ポンプ部材230を保持する構成であればよく、図5に示すようにポンプ部材230を記録ヘッドユニット2自体に取り付けてもよいし、キャリッジ3に取り付けた構成としてもよい。
【0056】
保持部材240には、流入通路241と大気開放通路243とが形成されている。流入通路241は、フィルターユニット14の合流通路220とポンプ部材230のポンプ室231とを接続する通路であり、一端が合流通路220の端部の開口に連通し、他端がポンプ部材230の流入口232に連通している。また、流入通路241には、ポンプ部材230のポンプ室231から合流通路220側に流出する流れを規制する第1逆止弁242が設けられている。
【0057】
大気開放通路243は、ポンプ室231内の空気を外部に排出するための通路であり、ポンプ部材230の流出口233に一端が連通し、他端が大気開放している。この大気開放通路243には、大気開放通路243を通じてポンプ部材230のポンプ室231に流入する空気の流れを規制する第2逆止弁244が設けられている。
【0058】
当接部材250は、蛇腹状のポンプ部材230を伸縮させるため、プリンター1の本体側に設けられたプレート状の部材である。この当接部材250は、キャリッジ3の走査によって記録ヘッドユニット2とともにポンプ部材230が移動した場合に、主走査方向の所定位置においてポンプ部材230が当接部材250に当接するよう、主走査方向の端部に配置されている。
【0059】
以上に説明したプリンター1の気泡吸引動作について説明する。図6は、気泡吸引動作時におけるポンプ部材230の状態を示した図である。気泡吸引を行う際、まず、キャリッジ移動機構4は、図6(a)に示すように、キャリッジ3を当接部材250に向けて移動させ、ポンプ部材230を当接部材250に当接させる。
【0060】
次に、キャリッジ移動機構4は、記録ヘッドユニット2に取り付けられたポンプ部材230が当接部材250に当接した状態で、ポンプ部材230を往復移動させる。ここでは、キャリッジ移動機構4は、図6(b)に示すように、記録ヘッドユニット2に取り付けられたポンプ部材230を当接部材250に当接させ、さらに、当接した位置から端部側に移動させる。これにより、ポンプ部材230は当接部材250によって押圧されて収縮するのでポンプ室231内が加圧される。このとき、第1逆止弁242が閉じることによって流入通路241が塞がれるとともに、第2逆止弁244が開き、ポンプ室231内の加圧された空気は大気開放通路243を介して外部に排出される。結果、ポンプ室231内は大気圧と略等しくなる。
【0061】
次に、キャリッジ移動機構4は、図6(c)に示すように、ポンプ部材230が当接部材250に当接した状態で、当接部材250の反対方向にポンプ部材230を移動させる。これにより、ポンプ部材230が図6(b)の状態より伸長するため、ポンプ室231内は減圧されて負圧となる。このとき、第1逆止弁242が開き、流入通路241を介してポンプ室231と合流通路220とが連通するとともに、第2逆止弁244が閉じるため、ポンプ部材230は、流入通路241および合流通路220から4つの吸引通路210を通じて効率よく吸引することができる。これにより、気泡溜まり部123内において気泡を形成していた気体は、通気性を有する防水部材170を介して、さらに吸引通路210、合流通路220、流入通路241を通じてポンプ部材230内のポンプ室231に流入するため、気泡溜まり部123内の気泡は小さくなる、あるいは消滅する。一方、気泡溜まり部123内のインクは、防水性を有する防水部材170を通り抜け難いため、吸引通路210からポンプ部材230に流入しない。
【0062】
以上に説明したように、本実施形態では、記録ヘッドユニット2の流通流路160内の気泡は、通気性を有する防水部材170を介してポンプ部材230に吸引されることによって流通流路160から排出される一方、流通流路160内のインクは、防水性を有する防水部材170を通り抜け難いため、気泡とともにインクが排出されることを防ぐことができる。したがって、インクの消費を抑制しつつ、記録ヘッドユニット2の内部の流路から気泡を排出することができる。
【0063】
また、上流側流路122のうち鉛直方向の上方を占める部分が気泡溜まり部123となっているので、上流側流路122内に混入した気泡は、気泡自体に働く浮力により気泡溜まり部123に移動する。さらに、気泡溜まり部123の鉛直方向下方にフィルター150が設けられているので、流通流路160内のインクに混入した気泡のうち、フィルター150に堰き止められるようにしてフィルター室131に溜まった気泡は、浮力で浮き上がることによって気泡溜まり部123に移動する。こうして、気泡溜まり部123に貯留される気泡が、気泡吸引機構200によって吸引されるので、流通流路160内のインクに混入した気泡を効率よく排出することができる。
【0064】
さらに、4つの吸引通路210を合流通路220に合流させ、1つのポンプ部材230によって、合流通路220を通じて複数の気泡溜まり部123から気泡を吸引するようにしたので、吸引通路210ごとにポンプ部材230を設ける場合に比べると、気泡吸引機構200の構造を簡略化できる。そして、気泡吸引機構200は、記録ヘッドユニット2のキャリッジ走査を利用することによって、蛇腹ポンプと逆止弁を用いた簡易な構成で気泡の吸引を実現している。したがって、インクの消費を抑制しつつ、記録ヘッドユニット2内の流路から気泡を排出可能な記録ヘッドユニット2を、低コストで実現できる。
【0065】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこの形態に限られることなく、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良により様々な形態とすることができる。また、本発明には、その等価物が含まれることはもちろんである。以下、変形例について説明する。
【0066】
(変形例1)
上記実施形態では、合流通路220の流路断面は一定であったが、図7に示すように、合流通路220に、流路断面積を小さくした絞り部221を設けるようにしてもよい。このようにすれば、絞り部221が流路抵抗となるため、防水部材170から第1通路211、合流通路220、第2通路212、ポンプ部材230、大気開放通路243を介して、気泡溜まり部123内のインクが揮発することによるインクの増粘を抑制できる。また、絞り部221が流路抵抗となるため、ポンプ部材230の伸縮量が同じであっても、気泡の吸引がより長い時間に亘ってゆるやかに行われるようになる。したがって、絞り部221の形状を適宜設定することにより、気泡を吸引する吸引力および持続時間を調整して、気泡をより効果的に吸引することが可能となる。
【0067】
(変形例2)
上記実施形態では、4つの気泡溜まり部123のそれぞれに、1つの防水部材170が設けられていたが、1つの気泡溜まり部123に対して複数の防水部材170を設けるようにしてもよい。例えば、気泡溜まり部123を形成する部屋の角となる部分に気泡が溜まり易い場合、気泡溜まり部123のそれぞれの角に対して防水部材170を設けるようにしてもよい。このようにすれば、気泡溜まり部123に溜まる気泡をより効果的に排出することができる。
【0068】
(変形例3)
上記実施形態では、流通流路160のうち鉛直方向の上側に拡大した部分が気泡溜まり部123になっていたが、気泡溜まり部123の構成としてはこれに限られない。例えば、図8(a)に示すように、流通流路160のうち鉛直方向の下側に拡大した流路の部分のうちの上方部分を気泡溜まり部123としてもよい。また、拡大する部分がなくともよく、拡大する部分がない流通流路160に対して、図8(b)に示すように、気泡が溜まりやすい流路の曲がり部の外周側を気泡溜まり部123としてもよい。
【0069】
(変形例4)
上記実施形態では、ポンプ部材230の内部の空気は大気開放通路243を通じて大気開放されるようになっていたので、気泡溜まり部123内の微量のインクが、防水部材170と流路との隙間から吸引通路に流入したり、防水部材170を通り抜けたりした場合、微量のインクがポンプ室231内に流入し、大気開放通路243を通じて外部に漏れ出すことが考えられる。そこで、大気開放通路243のポンプ部材230とは反対側となる端部に、多孔質材料のインク吸収部材を設けることによって、大気開放通路243から漏れ出す微量のインクをインク吸収部材に吸収させるようにしてもよい。
【0070】
(変形例5)
上記実施形態では、キャリッジ3の移動を利用することにより、気泡溜まり部123に溜まった気泡を、蛇腹ポンプによって吸引して排出するようにしたが、気泡を吸引する手法としてはこれに限られない。例えば、キャリッジ3または記録ヘッドユニット2に取り付けられたポンプ部材230に対して、当接部材250が移動することによってポンプ部材230を伸縮させるようにしてもよい。また、キャリッジ3の移動を利用することなく、電動ポンプによって吸引するようにしてもよい。
【0071】
(変形例6)
上記実施形態では、液体噴射ヘッドの一例として、いわゆる縦振動型の圧電素子を用いてインクを噴射する記録ヘッドについて説明したが、液体噴射ヘッドとしてはこれに限られない。例えば、撓みモードの圧電素子を採用した液体噴射ヘッドやシェアモードを採用した液体噴射ヘッドとしてもよい。また、発熱素子の発熱によって圧力発生室内の液体に圧力変化を生じさせる方式の液体噴射ヘッドや、静電アクチュエーターによって圧力発生室内の液体に圧力変動を生じさせる方式の液体噴射ヘッドとしてもよい。さらに、ライン型の液体噴射ヘッドであってもよい。
【0072】
(変形例7)
上記実施形態では、液体の一例としてのインクを噴射する記録ヘッド、液体噴射装置の一例としてプリンターについて説明したが、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドおよびこの液体噴射ヘッドを備えた液体噴射装置としてもよい。噴射の対象となる液体としては、例えば、液晶ディスプレイのカラーフィルターに用いられる各色材の溶液や、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイに用いられる有機EL材料の溶液、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる液状の電極材料等であってもよい。これらの液体を噴射する液体噴射ヘッドの例としては、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ装置の製造に用いられる色材噴射ヘッド、FED(等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等を挙げることができる。
【符号の説明】
【0073】
1…液体噴射装置としてのプリンター、2…記録ヘッドユニット、3…キャリッジ、4…移動機構としてのキャリッジ移動機構、11…インクカートリッジ、13…流路形成部材としてのフィルターユニット、14…液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド、71…ノズル、81…リザーバー、83…圧力発生室、123…気泡溜まり部、150…フィルター、160…流通流路、170…防水部材、200…吸引部としての気泡吸引機構、210…吸引通路、220…合流通路、230…ポンプ部材、241…流入通路、242…第1逆止弁、243…大気開放通路、244…第2逆止弁、250…当接部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴射する液体噴射ヘッドと、導入された液体を流通して前記液体噴射ヘッドに供給する流通流路が形成された流路形成部材と、を備える液体噴射装置であって、
前記流路形成部材は、
前記流通流路内の前記液体に混入した気泡を溜める気泡溜まり部と、
前記気泡溜まり部を形成する壁面の一部となる、防水性および通気性を有する防水部材と、を有し、
前記防水部材を介して前記気泡溜まり部の気泡を吸引する吸引部を備えることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体噴射装置において、
前記流通流路のうちの一部において鉛直方向に流路が拡大しており、流路が拡大する部分のうち、鉛直方向の上方となる一部が前記気泡溜まり部になっていることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液体噴射装置において、
前記流路形成部材の前記流通流路にはフィルターが設けられ、
前記気泡溜まり部は、前記フィルターに対して鉛直方向の上方に設けられていることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の液体噴射装置において、
前記流路形成部材は、
導入される液体に混入した気泡を溜める第2気泡溜まり部と、
前記第2気泡溜まり部を形成する壁面の一部となる、防水性および通気性を有する第2防水部材と、をさらに有し、
前記吸引部は、
前記防水部材の前記気泡溜まり部と反対側に連通する第1吸引通路と、
前記第2防水部材の前記第2気泡溜まり部と反対側に連通する第2吸引通路と、
前記第1吸引通路と前記第2吸引通路とを合流する合流通路と、
前記合流通路を通じて気泡を吸引するポンプ部材と、を有することを特徴とする液体噴射装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の液体噴射装置において、
前記液体噴射ヘッドを移動させる移動機構を備え、
前記吸引部は、
伸縮可能に構成され、伸縮により前記防水部材を介して気泡を吸引するポンプ部材と、
前記液体噴射ヘッドの移動により前記ポンプ部材に当接可能な位置に設けられた当接部材と、を有し、
前記移動機構は、前記液体噴射ヘッドとともに前記ポンプ部材を前記当接部材に対して移動させることにより、前記ポンプ部材を伸縮させることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項6】
請求項5に記載の液体噴射装置において、
前記吸引部は、
前記防水部材の前記気泡溜まり部とは反対側と前記ポンプ部材の内部とを接続する流入通路と、
前記ポンプ部材の内部を大気開放する大気開放通路と、
前記流入通路を通じて前記ポンプ部材から流出する流れを規制する第1逆止弁と、
前記大気開放通路を通じて前記ポンプ部材に流入する流れを規制する第2逆止弁と、を有することを特徴とする液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−52636(P2013−52636A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193597(P2011−193597)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】