液体噴霧装置
【課題】短時間で広範囲に亘って液体微粒子を拡散させることができる液体噴霧装置を提供する。
【解決手段】液体噴霧装置によれば、噴霧ヘッド50に設けられた複数のノズルユニット53のそれぞれから液体微粒子S2を広範囲に亘って噴霧することができるので、短時間で広範囲に亘って液体微粒子S2を拡散させることができる。
【解決手段】液体噴霧装置によれば、噴霧ヘッド50に設けられた複数のノズルユニット53のそれぞれから液体微粒子S2を広範囲に亘って噴霧することができるので、短時間で広範囲に亘って液体微粒子S2を拡散させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気を利用して所望の液体を霧化して放出する液体噴霧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば消臭や消毒等の液体薬剤の液体微粒子を空気中に霧化して放出する液体噴霧装置が知られている(例えば、特許文献1)。このような液体噴霧装置は二流体噴霧装置と称されるもので、水等の気化液を収容した第1タンクと、気化液を加熱して蒸気を生成する気化器と、気化器に接続され、蒸気を噴出する第1ノズルと、消臭液、消毒液等の噴霧液を収容した第2タンクと、噴霧液を吸い上げる噴霧液用管路と、噴霧液用管路の他端に接続された第2ノズルとから構成されている。
【0003】
このように構成された液体噴霧装置は、気化器内において気化液を加熱した後、生成した蒸気を第1ノズルの先端から噴出する。第1ノズルの先端から噴出された蒸気によって第2ノズルの先端周辺に負圧が生じ、この負圧を利用して第2タンク内の噴霧液が第2ノズルの先端に吸い上げられる。そして、第2ノズルの先端に吸い上げられた噴霧液が第1ノズルの先端から噴出した蒸気と衝突することにより液体微粒子が生成され、この液体微粒子が前方へと噴霧される。
【特許文献1】実開平4−99249号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記液体噴霧装置では、第1ノズルの先端から一方向に向かってのみ液体微粒子が噴霧されるので、例えば工場や宴会場等の広い空間を有する場所において液体微粒子を噴霧した場合には、液体微粒子を空間全体に拡散するのに時間を要したり、液体微粒子を空間の隅々にまで拡散できないおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、短時間で広範囲に亘って液体微粒子を拡散させることができる液体噴霧装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の液体噴霧装置は、蒸気生成用の第1液体を収容する第1タンクと、第1タンク内に一端が挿入され、第1液体が流通する第1液体用管路と、第1液体用管路の他端に接続され、第1液体を加熱して蒸気を生成する気化器と、噴霧用の第2液体を収容する第2タンクと、第2タンク内に一端が挿入され、第2液体が流通する第2液体用管路とを備えた液体噴霧装置において、気化器において生成した蒸気を噴出する第1ノズルと、第2液体用管路の他端に固定された第2ノズルとから構成され、第1ノズルから噴出される蒸気によって第2ノズルを通じて第2液体を吸引し霧化する複数のノズルユニットと、各ノズルユニットを霧化された第2液体を所定方向に拡散するように設けた噴霧ヘッドとを備えた構成となっている。
【0007】
請求項1の発明によれば、噴霧ヘッドに設けられた複数のノズルユニットのそれぞれから、所定方向に拡散するように霧化された第2液体(液体微粒子)が噴霧されるので、液体微粒子が広範囲に亘って噴霧される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の液体噴霧装置によれば、噴霧ヘッドに設けられた複数のノズルユニットのそれぞれから液体微粒子を広範囲に亘って噴霧することができるので、短時間で広範囲に亘って液体微粒子を拡散させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1乃至図3は本発明の第1実施形態を示すもので、図1は液体噴霧装置の全体概略図、図2は気化器、回転機構及び噴霧ヘッドの概略側面断面図、図3は噴霧ヘッドの概略正面図を示す。
【0010】
この液体噴霧装置は、図1に示すように、第1タンク10と、気化器20と、第2タンク30と、回転機構40と、噴霧ヘッド50とから構成されている。
【0011】
第1タンク10は水等の第1液体11を収容し、第1液体11が流通する第1液体用管路としての第1管路12を備えている。第1管路12の一端は第1タンク10内に挿入され、他端は気化器20に接続されている。また、第1管路12には、第1タンク10内から気化器20に向かって第1液体11を送り込むための第1ポンプ13とが設けられている。
【0012】
気化器20は第1液体11を加熱して蒸気S1を生成するものであり、図2に示すように、金属製のハウジング21と、ハウジング21の内部である気化室22と、第1管路12の他端が接続された第1液体11の導入口23とから構成されている。ハウジング21にはフラット状の加熱ヒータ26が組み込まれ、この加熱ヒータ26に通電することにより気化室22内の第1液体11が加熱される。また、ハウジング21の好適部位には、例えばサーミスタ等の温度センサ27が配置され、この温度センサ27の検出した気化室22内の温度に基づいて気化室22内を加熱するようになっている。気化室22内には金属焼結体等を利用した気化素子28が充填され、この気化素子28によって、第1管路12から気化室22内に導入された第1液体11の気化が促進される。
【0013】
第2タンク30は消臭液や消毒液等の第2液体31を収容するもので、第2液体31が流通する第2液体用管路としての第2管路32を備えている。第2管路32はシリコン等のフレキシブルな材料から形成され、一端が第2タンク30内に挿入されると共に、他端が小径の金属管である第2ノズル33と接続及び連通している。第2ノズル33は、第2管路32の他端に確実に固定され、第1ノズル52と共にノズルホルダ35によって直交向きに保持されている。
【0014】
回転機構40は、図2に示すように、第1回転用アダプタ41及び第2回転用アダプタ42から構成され、各回転アダプタ41,42の間に後述するOリング43を挟み込んだ状態で、第2回転用アダプタ42の内側に第1回転用アダプタ41の他端側を挿入することにより形成されている。このように形成された回転機構40は、第1回転用アダプタ41を軸として、第2回転用アダプタ42が噴霧ヘッド50と共に回転可能となっている。
【0015】
第1回転用アダプタ41は、気化器20において生成された蒸気S1が流通するように貫通し、外周中央に第1フランジ部44が形成されている。また、第1回転用アダプタ41は、一端側が気化器20に接続され、他端側が第2回転用アダプタ42内に挿入して接続されている。さらに、第1回転用アダプタ41の他端側には、Oリング43を嵌め込むOリング溝45が形成され、このOリング溝45にOリング43が嵌め込まれる。第1回転用アダプタ41に嵌め込まれたOリング43が第2回転用アダプタ42の内周面に密着することにより、気化器20において生成した蒸気S1が各回転アダプタ41,42の間から漏洩することを防止する。
【0016】
第2回転用アダプタ42は、気化器20において生成された蒸気S1が流通するように貫通し、一端側に第2フランジ部46が形成されている。また、第2回転用アダプタ42は、一端側が第1回転用アダプタ41に接続され、他端側が噴霧ヘッド50に接続されている。さらに、第2回転用アダプタ42の第2フランジ部46は、第1回転用アダプタ41の第1フランジ部44と共に、固定リング47によって覆われている。
【0017】
噴霧ヘッド50は上下方向に細長い長方形の形状であり、第2回転用アダプタ42の他端側に接続されたヘッダ本体51と、第1ノズル52及び第2ノズル33から構成された複数のノズルユニット53と、から構成されている。また、噴霧ヘッド50の内部には、気化器20において生成された蒸気S1が流通する蒸気流通路54が形成されている。
【0018】
ノズルユニット53は、ヘッダ本体51に複数設けられた突出部55のそれぞれに嵌め込んで固定された第1ノズル52と、第1ノズル52と同じ数の第2ノズル33とから構成されている。ノズルユニット53が第2ノズル33を複数備えていることにより、液体噴霧装置は、第2ノズル33と同じ数のノズルホルダ35、第2管路32及び第2タンク30を備えている。また、各第1ノズル52は、図3に示すように、液体微粒子S2が所定方向に拡散するように、所定の直線上に互いに間隔をおいて設けられている。
【0019】
蒸気流通路54は、各突出部55に固定された第1ノズル52のそれぞれに通じるように複数に分岐している。この蒸気流通路54に蒸気S1が流通することにより、各第1ノズル52から蒸気S1が噴出される。
【0020】
以上のように構成された液体噴霧装置の作用について説明する。
【0021】
まず、ノズルユニット53から噴霧される液体微粒子S2が所望の方向に噴霧可能となるように、噴霧ヘッド50を回転機構40の第2回転用アダプタ42と共に、噴霧ヘッド50の鉛直な軸方向に所定角度(0°以上180°未満)回転させ、ノズルユニット53の位置を調節する。このとき、第2管路32はフレキシブルな材料から形成されているので、第2ノズル33の動きに伴う。
【0022】
次に、液体噴霧装置は、図示しない起動スイッチがオンされた場合には加熱ヒータ26に通電する。そして、温度センサ27によって気化室22内の温度を検出し、この温度が所定の設定温度に至っている場合には第1ポンプ13に通電する。第1ポンプ13に通電することによって、第1タンク10内から気化器20に向かって第1液体11が吸い上げられ、気化器20内に供給される。気化室22内において加熱された第1液体11は蒸気S1となり、この蒸気S1が回転機構40内及び噴霧ヘッド50の蒸気流通路54を流通し、各第1ノズル52から噴出される。このとき、各第1ノズル52の先端から噴出された蒸気S1によって、各第2ノズル33の先端周辺に負圧が生じ、この負圧を利用して各第2タンク30内の第2液体31が各第2ノズル33の先端に吸い上げられる。そして、各第2ノズル33の先端に吸い上げられた第2液体31と蒸気S1とが衝突して霧化されることにより液体微粒子S2が生成され、この液体微粒子S2が前方へと噴霧される。
【0023】
このように、本実施形態の液体噴霧装置によれば、噴霧ヘッド50に設けられた複数のノズルユニット53のそれぞれから液体微粒子S2を広範囲に亘って噴霧することができるので、短時間で広範囲に亘って液体微粒子S2を拡散させることができる。
【0024】
また、本実施形態に係る液体噴霧装置によれば、回転機構40によってノズルユニット53の位置を調節することができるので、液体微粒子S2を所望の位置から広範囲に亘って噴霧することができるので、一層短時間で広い空間の隅々にまで液体微粒子S2を拡散させることができる。
【0025】
図4乃至図6は本発明の第2実施形態を示すもので、図4は液体噴霧装置の全体概略図、図5は噴霧ヘッドの概略正面図、図6は液体噴霧装置の噴霧時間に対する噴霧拡散イオン相対値の関係を示す図である。尚、前記第1実施形態と同一構成部分は同一符号をもって表し、その説明を省略する。
【0026】
図4乃至図6に示す液体噴霧装置は、噴霧ヘッド50に拡散用ノズル60を備えた点で図1乃至図3で示した液体噴霧装置と異なる。
【0027】
拡散用ノズル60は単孔型であり、気化器20において生成された蒸気S1を噴出する。また、拡散用ノズル60は、噴霧ヘッド50の突出部55の少なくとも1カ所以上に嵌め込まれている。この拡散用ノズル60は、内径、長さ又は先端形状を適宜選択することにより、拡散用ノズル60から噴出する蒸気S1を所望の噴出速度V1によって噴出させることが可能である。例えば拡散用ノズル60の内径を小さくすることによって、拡散用ノズル60から噴出する蒸気S1の噴出速度V1を大きくすることができる。また、各第1ノズル52と拡散用ノズル60は、図5に示すように、液体微粒子S2が所定方向に拡散して噴霧するように、所定の直線上に互いに間隔をおいて設けている。尚、拡散用ノズル60から噴出する蒸気S1の噴出速度V1は、ノズルユニット53から噴霧される液体微粒子S2の噴霧速度V2よりも速くなるように設定されている。
【0028】
以上のように構成された液体噴霧装置の作用について説明する。
【0029】
まず、ノズルユニット53から噴霧される液体微粒子S2と、拡散用ノズル60から噴出する蒸気S1とが所望の方向に噴霧可能となるように、噴霧ヘッド50を回転機構40の第2回転用アダプタ42と共に、噴霧ヘッド50の鉛直な軸方向に所定角度(0°以上180°未満)回転させ、ノズルユニット53の位置を調節する。このとき、第2管路32はフレキシブルな材料から形成されているので、第2ノズル33の動きに伴う。
【0030】
次に、液体噴霧装置は、起動スイッチがオンされた場合には加熱ヒータ26に通電する。そして、温度センサ27によって気化室22内の温度を検出し、この温度が所定の設定温度に至っている場合には、第1ポンプ13に通電する。第1ポンプ13に通電することによって、第1タンク10内から気化器20に向かって第1液体11が吸い上げられ、気化器20内に供給される。そして、気化室22内において加熱された第1液体11は蒸気S1となり、この蒸気S1が回転機構40内及び噴霧ヘッド50の蒸気流通路54を流通し、各第1ノズル52及び拡散用ノズル60から噴出される。このとき、各第1ノズル52の先端から噴出された蒸気S1によって、各第2ノズル33の先端周辺に負圧が生じ、この負圧を利用して各第2タンク30内の第2液体31が各第2ノズル33の先端に吸い上げられる。そして、各第2ノズル33の先端に吸い上げられた第2液体31と蒸気S1とが衝突して霧化されることにより液体微粒子S2が生成され、この液体微粒子S2が拡散用ノズル60から噴出された蒸気S1と共に前方へと噴霧される。
【0031】
ここで、液体噴霧装置の液体微粒子S2の噴霧時間に対する噴霧拡散イオン相対値との関係について比較し、図6を参照して説明する。尚、拡散用ノズル60の効果を比較するために、拡散用ノズル60を有する場合(噴出速度V1=733m/秒、V1=610m/秒)と有さない場合について測定を行った。また、噴霧拡散イオン相対値は、拡散用ノズル60から直線距離にして40m離れた地点において、絶対温度300K、1気圧の条件下測定した。
【0032】
まず、拡散用ノズル60の有無による噴霧拡散イオン相対値について検討する。図6に示すように、拡散用ノズル60を有する場合の噴霧拡散イオン相対値は、拡散用ノズル60を有さない場合の噴霧拡散イオン相対値に比べて高い値を示すことが分かった。特に、拡散用ノズル60を有する場合は、噴霧開始から5分経過した時点ですでに、拡散用ノズル60を有さない場合に比べて高い噴霧拡散イオン相対値を示した。つまり、拡散用ノズル60を有する場合は、拡散用ノズル60から噴出する蒸気S1によって、短時間で広い空間の隅々にまで液体微粒子S2が拡散することが分かった。
【0033】
次に、拡散用ノズル60から噴出する蒸気S1の噴出速度V1について検討する。図6に示すように、噴出速度V1が733m/秒の場合は、噴出速度V1が610m/秒の場合に比べて高い噴霧拡散イオン相対値を示すことが分かった。つまり、噴出速度V1を上昇させることによって、一層短時間で広い空間の隅々にまで液体微粒子S2が拡散することが分かった。これにより、拡散用ノズル60から噴出する蒸気S1の噴出速度V1は、680m/秒以上であることが好ましく、より好ましくは700m/秒以上である。
【0034】
このように、本実施形態の液体噴霧装置によれば、拡散用ノズル60を有することにより、拡散用ノズル60から噴出する蒸気S1と共に液体微粒子S2を短時間で広い空間の隅々にまで拡散させることができる。尚、この液体噴霧装置のその他の作用及び効果は、前記第1実施形態で示した液体噴霧装置と同様である。
【0035】
図7及び図8は本発明の第3実施形態を示すもので、図7は液体噴霧装置の全体概略図、図8は気化器、回転機構及び噴霧ヘッドの概略側面断面図である。尚、前記第1実施形態と同一構成部分は同一符号をもって表し、その説明を省略する。
【0036】
図7及び図8に示す液体噴霧装置は、単数の第2タンク30と複数の第2ノズル33を備えている点で図1乃至図3で示した液体噴霧装置と異なる。
【0037】
第2タンク30は、第2液体31が流通する第2液体用管路としての第3管路61を備えている。この第3管路61は、シリコン等のフレキシブルな材料から形成されている。また、第3管路61の一端は第2タンク30内に挿入され、他端側は回転機構40の第1回転用アダプタ41内に挿入され、蒸気S1の流路とは異なる第2液体31の流路として、回転機構40から噴霧ヘッド50に向かって延在している。噴霧ヘッド50内に延在された第3管路61は、各突出部55に固定された各第1ノズル52の下方に通じるように複数に分岐している。分岐した第3管路61の他端側のぞれぞれには、小径の金属管である第2ノズル33が接続及び連通している。第2ノズル33は、第3管路61の他端に確実に固定され、第1ノズル52と共にノズルホルダ35によって直交向きに保持されている。
【0038】
以上のように構成された液体噴霧装置の作用は、前記第1実施形態と同様なので、その説明を省略する。
【0039】
このように、本実施形態の液体噴霧装置によれば、単数の第2タンク30と複数の第2ノズル33を備えることにより、部品コストを低減させることができると共に、回転機構40によって噴霧ヘッド50を回転させた際に第3管路61が絡むことを防止できるので、操作性を向上させることができる。また、第3管路61を回転機構40及び噴霧ヘッド50内に組み込むことにより、液体噴霧装置全体を小型化することができる。尚、この液体噴霧装置のその他の効果は、前記第1実施形態で示した液体噴霧装置と同様である。
【0040】
尚、前記第1実施形態乃至第3実施形態において、液体噴霧装置は、液体微粒子S2を噴霧する前に噴霧ヘッド50を回転してノズルユニット53の位置を調節していたが、これに限られない。例えば、液体微粒子S2の噴霧中に噴霧ヘッド50を手動で任意の位置に回転させたり、電動モータの駆動により連続的に回転させたりすることにより、ノズルユニット53の位置を調節しても良い。これにより、液体微粒子S2の噴霧中においても液体微粒子S2を所望の方向に切り替えて噴霧させることができるので、確実に短時間で広い空間の隅々にまで液体微粒子S2を拡散させることができる。
【0041】
また、前記第1実施形態乃至第3実施形態において、液体噴霧装置は、ノズルユニット53の液体微粒子S2の噴霧方向を様々な方向になるように設定しても良い。これにより、多方向に液体微粒子S2を噴霧することができるので、一層短時間で広範囲に亘って液体微粒子S2を噴霧できる。
【0042】
さらに、前記第1実施形態乃至第3実施形態において、ノズルユニット53は、第1回転用アダプタ41、第2回転用アダプタ42及びOリングによる回転機構は着脱構造を用いても良い。
【0043】
また、前記第2実施形態において、液体噴霧装置は、各第1ノズル52及び拡散用ノズル60を、所定の直線上に互いに間隔をおいて設けたが、液体微粒子S2を所定方向に拡散して噴霧できるのであれば、これに限られない。例えば、図9に示すように、液体噴霧装置は、各第1ノズル52と複数の拡散用ノズル60とを、所定の直線上に互いに間隔をおいて設けても良い。また、例えば、図10に示すように、液体噴霧装置は、拡散用ノズル60を中心に、各第1ノズル52を所定の円周上に互いに間隔をおいて設けても良い。さらに、例えば、図11に示すように、液体噴霧装置は、各第1ノズル52と少なくとも1つの拡散用ノズル60とを、所定の円周上に互いに間隔をおいて設けても良い。また、前記第1実施形態に係る液体噴霧装置の噴霧ヘッド50も同様に、液体微粒子S2を所定方向に拡散して噴霧できるのであれば、図9乃至図11に示す第1ノズル52及び拡散用ノズル60を全て第1ノズル52に置き換えて設けた構造であっても良い。
【0044】
さらに、前記第2実施形態において、液体噴霧装置は拡散用ノズル60から蒸気S1が噴出するように構成したが、液体微粒子S2を所定方向に拡散させることが可能な流体であれば、これに限られない。例えば、拡散用ノズル60から空気や不活性ガス(例えば、窒素や炭酸ガス等)が噴出するように液体噴霧装置を構成し、拡散用ノズル60から空気が噴出するようにしても良い。
【0045】
また、前記第2実施形態において、液体噴霧装置は単孔型の拡散用ノズル60から蒸気S1が噴出していたが、これに限られない。例えば、多孔型の拡散用ノズルを噴霧ヘッド50に設けることにより、多方向に蒸気S1を噴出させても良い。また、拡散用ノズル60を蒸気S1の流れに旋回を与える形状のノズル、例えばスワノールノズルを用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液体噴霧装置の全体概略図
【図2】第1実施形態に係る気化器、回転機構及び噴霧ヘッドの概略側面断面図
【図3】第1実施形態に係る噴霧ヘッドの概略正面図
【図4】本発明の第2実施形態に係る液体噴霧装置の全体概略図
【図5】第2実施形態に係る噴霧ヘッドの概略正面図
【図6】第2実施形態に係る液体噴霧装置の噴霧時間に対する噴霧拡散イオン相対値の関係を示す図
【図7】本発明の第3実施形態に係る液体噴霧装置の全体概略図
【図8】第3実施形態に係る気化器、回転機構及び噴霧ヘッドの概略側面断面図
【図9】図5に示す噴霧ヘッドの変形例を示す概略正面図
【図10】図5に示す噴霧ヘッドの変形例を示す概略正面図
【図11】図5に示す噴霧ヘッドの変形例を示す概略正面図
【符号の説明】
【0047】
10…第1タンク、11…第1液体、12…第1管路、13…第1ポンプ、20…気化器、30…第2タンク、31…第2液体、32…第2管路、33…第2ノズル、40…回転機構、41…第1回転用アダプタ、42…第2回転用アダプタ、50…噴霧ヘッド、51…ヘッダ本体、52…第1ノズル、53…ノズルユニット、55…突出部、60…拡散用ノズル、S1…蒸気、S2…液体微粒子。
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気を利用して所望の液体を霧化して放出する液体噴霧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば消臭や消毒等の液体薬剤の液体微粒子を空気中に霧化して放出する液体噴霧装置が知られている(例えば、特許文献1)。このような液体噴霧装置は二流体噴霧装置と称されるもので、水等の気化液を収容した第1タンクと、気化液を加熱して蒸気を生成する気化器と、気化器に接続され、蒸気を噴出する第1ノズルと、消臭液、消毒液等の噴霧液を収容した第2タンクと、噴霧液を吸い上げる噴霧液用管路と、噴霧液用管路の他端に接続された第2ノズルとから構成されている。
【0003】
このように構成された液体噴霧装置は、気化器内において気化液を加熱した後、生成した蒸気を第1ノズルの先端から噴出する。第1ノズルの先端から噴出された蒸気によって第2ノズルの先端周辺に負圧が生じ、この負圧を利用して第2タンク内の噴霧液が第2ノズルの先端に吸い上げられる。そして、第2ノズルの先端に吸い上げられた噴霧液が第1ノズルの先端から噴出した蒸気と衝突することにより液体微粒子が生成され、この液体微粒子が前方へと噴霧される。
【特許文献1】実開平4−99249号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記液体噴霧装置では、第1ノズルの先端から一方向に向かってのみ液体微粒子が噴霧されるので、例えば工場や宴会場等の広い空間を有する場所において液体微粒子を噴霧した場合には、液体微粒子を空間全体に拡散するのに時間を要したり、液体微粒子を空間の隅々にまで拡散できないおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、短時間で広範囲に亘って液体微粒子を拡散させることができる液体噴霧装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の液体噴霧装置は、蒸気生成用の第1液体を収容する第1タンクと、第1タンク内に一端が挿入され、第1液体が流通する第1液体用管路と、第1液体用管路の他端に接続され、第1液体を加熱して蒸気を生成する気化器と、噴霧用の第2液体を収容する第2タンクと、第2タンク内に一端が挿入され、第2液体が流通する第2液体用管路とを備えた液体噴霧装置において、気化器において生成した蒸気を噴出する第1ノズルと、第2液体用管路の他端に固定された第2ノズルとから構成され、第1ノズルから噴出される蒸気によって第2ノズルを通じて第2液体を吸引し霧化する複数のノズルユニットと、各ノズルユニットを霧化された第2液体を所定方向に拡散するように設けた噴霧ヘッドとを備えた構成となっている。
【0007】
請求項1の発明によれば、噴霧ヘッドに設けられた複数のノズルユニットのそれぞれから、所定方向に拡散するように霧化された第2液体(液体微粒子)が噴霧されるので、液体微粒子が広範囲に亘って噴霧される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の液体噴霧装置によれば、噴霧ヘッドに設けられた複数のノズルユニットのそれぞれから液体微粒子を広範囲に亘って噴霧することができるので、短時間で広範囲に亘って液体微粒子を拡散させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1乃至図3は本発明の第1実施形態を示すもので、図1は液体噴霧装置の全体概略図、図2は気化器、回転機構及び噴霧ヘッドの概略側面断面図、図3は噴霧ヘッドの概略正面図を示す。
【0010】
この液体噴霧装置は、図1に示すように、第1タンク10と、気化器20と、第2タンク30と、回転機構40と、噴霧ヘッド50とから構成されている。
【0011】
第1タンク10は水等の第1液体11を収容し、第1液体11が流通する第1液体用管路としての第1管路12を備えている。第1管路12の一端は第1タンク10内に挿入され、他端は気化器20に接続されている。また、第1管路12には、第1タンク10内から気化器20に向かって第1液体11を送り込むための第1ポンプ13とが設けられている。
【0012】
気化器20は第1液体11を加熱して蒸気S1を生成するものであり、図2に示すように、金属製のハウジング21と、ハウジング21の内部である気化室22と、第1管路12の他端が接続された第1液体11の導入口23とから構成されている。ハウジング21にはフラット状の加熱ヒータ26が組み込まれ、この加熱ヒータ26に通電することにより気化室22内の第1液体11が加熱される。また、ハウジング21の好適部位には、例えばサーミスタ等の温度センサ27が配置され、この温度センサ27の検出した気化室22内の温度に基づいて気化室22内を加熱するようになっている。気化室22内には金属焼結体等を利用した気化素子28が充填され、この気化素子28によって、第1管路12から気化室22内に導入された第1液体11の気化が促進される。
【0013】
第2タンク30は消臭液や消毒液等の第2液体31を収容するもので、第2液体31が流通する第2液体用管路としての第2管路32を備えている。第2管路32はシリコン等のフレキシブルな材料から形成され、一端が第2タンク30内に挿入されると共に、他端が小径の金属管である第2ノズル33と接続及び連通している。第2ノズル33は、第2管路32の他端に確実に固定され、第1ノズル52と共にノズルホルダ35によって直交向きに保持されている。
【0014】
回転機構40は、図2に示すように、第1回転用アダプタ41及び第2回転用アダプタ42から構成され、各回転アダプタ41,42の間に後述するOリング43を挟み込んだ状態で、第2回転用アダプタ42の内側に第1回転用アダプタ41の他端側を挿入することにより形成されている。このように形成された回転機構40は、第1回転用アダプタ41を軸として、第2回転用アダプタ42が噴霧ヘッド50と共に回転可能となっている。
【0015】
第1回転用アダプタ41は、気化器20において生成された蒸気S1が流通するように貫通し、外周中央に第1フランジ部44が形成されている。また、第1回転用アダプタ41は、一端側が気化器20に接続され、他端側が第2回転用アダプタ42内に挿入して接続されている。さらに、第1回転用アダプタ41の他端側には、Oリング43を嵌め込むOリング溝45が形成され、このOリング溝45にOリング43が嵌め込まれる。第1回転用アダプタ41に嵌め込まれたOリング43が第2回転用アダプタ42の内周面に密着することにより、気化器20において生成した蒸気S1が各回転アダプタ41,42の間から漏洩することを防止する。
【0016】
第2回転用アダプタ42は、気化器20において生成された蒸気S1が流通するように貫通し、一端側に第2フランジ部46が形成されている。また、第2回転用アダプタ42は、一端側が第1回転用アダプタ41に接続され、他端側が噴霧ヘッド50に接続されている。さらに、第2回転用アダプタ42の第2フランジ部46は、第1回転用アダプタ41の第1フランジ部44と共に、固定リング47によって覆われている。
【0017】
噴霧ヘッド50は上下方向に細長い長方形の形状であり、第2回転用アダプタ42の他端側に接続されたヘッダ本体51と、第1ノズル52及び第2ノズル33から構成された複数のノズルユニット53と、から構成されている。また、噴霧ヘッド50の内部には、気化器20において生成された蒸気S1が流通する蒸気流通路54が形成されている。
【0018】
ノズルユニット53は、ヘッダ本体51に複数設けられた突出部55のそれぞれに嵌め込んで固定された第1ノズル52と、第1ノズル52と同じ数の第2ノズル33とから構成されている。ノズルユニット53が第2ノズル33を複数備えていることにより、液体噴霧装置は、第2ノズル33と同じ数のノズルホルダ35、第2管路32及び第2タンク30を備えている。また、各第1ノズル52は、図3に示すように、液体微粒子S2が所定方向に拡散するように、所定の直線上に互いに間隔をおいて設けられている。
【0019】
蒸気流通路54は、各突出部55に固定された第1ノズル52のそれぞれに通じるように複数に分岐している。この蒸気流通路54に蒸気S1が流通することにより、各第1ノズル52から蒸気S1が噴出される。
【0020】
以上のように構成された液体噴霧装置の作用について説明する。
【0021】
まず、ノズルユニット53から噴霧される液体微粒子S2が所望の方向に噴霧可能となるように、噴霧ヘッド50を回転機構40の第2回転用アダプタ42と共に、噴霧ヘッド50の鉛直な軸方向に所定角度(0°以上180°未満)回転させ、ノズルユニット53の位置を調節する。このとき、第2管路32はフレキシブルな材料から形成されているので、第2ノズル33の動きに伴う。
【0022】
次に、液体噴霧装置は、図示しない起動スイッチがオンされた場合には加熱ヒータ26に通電する。そして、温度センサ27によって気化室22内の温度を検出し、この温度が所定の設定温度に至っている場合には第1ポンプ13に通電する。第1ポンプ13に通電することによって、第1タンク10内から気化器20に向かって第1液体11が吸い上げられ、気化器20内に供給される。気化室22内において加熱された第1液体11は蒸気S1となり、この蒸気S1が回転機構40内及び噴霧ヘッド50の蒸気流通路54を流通し、各第1ノズル52から噴出される。このとき、各第1ノズル52の先端から噴出された蒸気S1によって、各第2ノズル33の先端周辺に負圧が生じ、この負圧を利用して各第2タンク30内の第2液体31が各第2ノズル33の先端に吸い上げられる。そして、各第2ノズル33の先端に吸い上げられた第2液体31と蒸気S1とが衝突して霧化されることにより液体微粒子S2が生成され、この液体微粒子S2が前方へと噴霧される。
【0023】
このように、本実施形態の液体噴霧装置によれば、噴霧ヘッド50に設けられた複数のノズルユニット53のそれぞれから液体微粒子S2を広範囲に亘って噴霧することができるので、短時間で広範囲に亘って液体微粒子S2を拡散させることができる。
【0024】
また、本実施形態に係る液体噴霧装置によれば、回転機構40によってノズルユニット53の位置を調節することができるので、液体微粒子S2を所望の位置から広範囲に亘って噴霧することができるので、一層短時間で広い空間の隅々にまで液体微粒子S2を拡散させることができる。
【0025】
図4乃至図6は本発明の第2実施形態を示すもので、図4は液体噴霧装置の全体概略図、図5は噴霧ヘッドの概略正面図、図6は液体噴霧装置の噴霧時間に対する噴霧拡散イオン相対値の関係を示す図である。尚、前記第1実施形態と同一構成部分は同一符号をもって表し、その説明を省略する。
【0026】
図4乃至図6に示す液体噴霧装置は、噴霧ヘッド50に拡散用ノズル60を備えた点で図1乃至図3で示した液体噴霧装置と異なる。
【0027】
拡散用ノズル60は単孔型であり、気化器20において生成された蒸気S1を噴出する。また、拡散用ノズル60は、噴霧ヘッド50の突出部55の少なくとも1カ所以上に嵌め込まれている。この拡散用ノズル60は、内径、長さ又は先端形状を適宜選択することにより、拡散用ノズル60から噴出する蒸気S1を所望の噴出速度V1によって噴出させることが可能である。例えば拡散用ノズル60の内径を小さくすることによって、拡散用ノズル60から噴出する蒸気S1の噴出速度V1を大きくすることができる。また、各第1ノズル52と拡散用ノズル60は、図5に示すように、液体微粒子S2が所定方向に拡散して噴霧するように、所定の直線上に互いに間隔をおいて設けている。尚、拡散用ノズル60から噴出する蒸気S1の噴出速度V1は、ノズルユニット53から噴霧される液体微粒子S2の噴霧速度V2よりも速くなるように設定されている。
【0028】
以上のように構成された液体噴霧装置の作用について説明する。
【0029】
まず、ノズルユニット53から噴霧される液体微粒子S2と、拡散用ノズル60から噴出する蒸気S1とが所望の方向に噴霧可能となるように、噴霧ヘッド50を回転機構40の第2回転用アダプタ42と共に、噴霧ヘッド50の鉛直な軸方向に所定角度(0°以上180°未満)回転させ、ノズルユニット53の位置を調節する。このとき、第2管路32はフレキシブルな材料から形成されているので、第2ノズル33の動きに伴う。
【0030】
次に、液体噴霧装置は、起動スイッチがオンされた場合には加熱ヒータ26に通電する。そして、温度センサ27によって気化室22内の温度を検出し、この温度が所定の設定温度に至っている場合には、第1ポンプ13に通電する。第1ポンプ13に通電することによって、第1タンク10内から気化器20に向かって第1液体11が吸い上げられ、気化器20内に供給される。そして、気化室22内において加熱された第1液体11は蒸気S1となり、この蒸気S1が回転機構40内及び噴霧ヘッド50の蒸気流通路54を流通し、各第1ノズル52及び拡散用ノズル60から噴出される。このとき、各第1ノズル52の先端から噴出された蒸気S1によって、各第2ノズル33の先端周辺に負圧が生じ、この負圧を利用して各第2タンク30内の第2液体31が各第2ノズル33の先端に吸い上げられる。そして、各第2ノズル33の先端に吸い上げられた第2液体31と蒸気S1とが衝突して霧化されることにより液体微粒子S2が生成され、この液体微粒子S2が拡散用ノズル60から噴出された蒸気S1と共に前方へと噴霧される。
【0031】
ここで、液体噴霧装置の液体微粒子S2の噴霧時間に対する噴霧拡散イオン相対値との関係について比較し、図6を参照して説明する。尚、拡散用ノズル60の効果を比較するために、拡散用ノズル60を有する場合(噴出速度V1=733m/秒、V1=610m/秒)と有さない場合について測定を行った。また、噴霧拡散イオン相対値は、拡散用ノズル60から直線距離にして40m離れた地点において、絶対温度300K、1気圧の条件下測定した。
【0032】
まず、拡散用ノズル60の有無による噴霧拡散イオン相対値について検討する。図6に示すように、拡散用ノズル60を有する場合の噴霧拡散イオン相対値は、拡散用ノズル60を有さない場合の噴霧拡散イオン相対値に比べて高い値を示すことが分かった。特に、拡散用ノズル60を有する場合は、噴霧開始から5分経過した時点ですでに、拡散用ノズル60を有さない場合に比べて高い噴霧拡散イオン相対値を示した。つまり、拡散用ノズル60を有する場合は、拡散用ノズル60から噴出する蒸気S1によって、短時間で広い空間の隅々にまで液体微粒子S2が拡散することが分かった。
【0033】
次に、拡散用ノズル60から噴出する蒸気S1の噴出速度V1について検討する。図6に示すように、噴出速度V1が733m/秒の場合は、噴出速度V1が610m/秒の場合に比べて高い噴霧拡散イオン相対値を示すことが分かった。つまり、噴出速度V1を上昇させることによって、一層短時間で広い空間の隅々にまで液体微粒子S2が拡散することが分かった。これにより、拡散用ノズル60から噴出する蒸気S1の噴出速度V1は、680m/秒以上であることが好ましく、より好ましくは700m/秒以上である。
【0034】
このように、本実施形態の液体噴霧装置によれば、拡散用ノズル60を有することにより、拡散用ノズル60から噴出する蒸気S1と共に液体微粒子S2を短時間で広い空間の隅々にまで拡散させることができる。尚、この液体噴霧装置のその他の作用及び効果は、前記第1実施形態で示した液体噴霧装置と同様である。
【0035】
図7及び図8は本発明の第3実施形態を示すもので、図7は液体噴霧装置の全体概略図、図8は気化器、回転機構及び噴霧ヘッドの概略側面断面図である。尚、前記第1実施形態と同一構成部分は同一符号をもって表し、その説明を省略する。
【0036】
図7及び図8に示す液体噴霧装置は、単数の第2タンク30と複数の第2ノズル33を備えている点で図1乃至図3で示した液体噴霧装置と異なる。
【0037】
第2タンク30は、第2液体31が流通する第2液体用管路としての第3管路61を備えている。この第3管路61は、シリコン等のフレキシブルな材料から形成されている。また、第3管路61の一端は第2タンク30内に挿入され、他端側は回転機構40の第1回転用アダプタ41内に挿入され、蒸気S1の流路とは異なる第2液体31の流路として、回転機構40から噴霧ヘッド50に向かって延在している。噴霧ヘッド50内に延在された第3管路61は、各突出部55に固定された各第1ノズル52の下方に通じるように複数に分岐している。分岐した第3管路61の他端側のぞれぞれには、小径の金属管である第2ノズル33が接続及び連通している。第2ノズル33は、第3管路61の他端に確実に固定され、第1ノズル52と共にノズルホルダ35によって直交向きに保持されている。
【0038】
以上のように構成された液体噴霧装置の作用は、前記第1実施形態と同様なので、その説明を省略する。
【0039】
このように、本実施形態の液体噴霧装置によれば、単数の第2タンク30と複数の第2ノズル33を備えることにより、部品コストを低減させることができると共に、回転機構40によって噴霧ヘッド50を回転させた際に第3管路61が絡むことを防止できるので、操作性を向上させることができる。また、第3管路61を回転機構40及び噴霧ヘッド50内に組み込むことにより、液体噴霧装置全体を小型化することができる。尚、この液体噴霧装置のその他の効果は、前記第1実施形態で示した液体噴霧装置と同様である。
【0040】
尚、前記第1実施形態乃至第3実施形態において、液体噴霧装置は、液体微粒子S2を噴霧する前に噴霧ヘッド50を回転してノズルユニット53の位置を調節していたが、これに限られない。例えば、液体微粒子S2の噴霧中に噴霧ヘッド50を手動で任意の位置に回転させたり、電動モータの駆動により連続的に回転させたりすることにより、ノズルユニット53の位置を調節しても良い。これにより、液体微粒子S2の噴霧中においても液体微粒子S2を所望の方向に切り替えて噴霧させることができるので、確実に短時間で広い空間の隅々にまで液体微粒子S2を拡散させることができる。
【0041】
また、前記第1実施形態乃至第3実施形態において、液体噴霧装置は、ノズルユニット53の液体微粒子S2の噴霧方向を様々な方向になるように設定しても良い。これにより、多方向に液体微粒子S2を噴霧することができるので、一層短時間で広範囲に亘って液体微粒子S2を噴霧できる。
【0042】
さらに、前記第1実施形態乃至第3実施形態において、ノズルユニット53は、第1回転用アダプタ41、第2回転用アダプタ42及びOリングによる回転機構は着脱構造を用いても良い。
【0043】
また、前記第2実施形態において、液体噴霧装置は、各第1ノズル52及び拡散用ノズル60を、所定の直線上に互いに間隔をおいて設けたが、液体微粒子S2を所定方向に拡散して噴霧できるのであれば、これに限られない。例えば、図9に示すように、液体噴霧装置は、各第1ノズル52と複数の拡散用ノズル60とを、所定の直線上に互いに間隔をおいて設けても良い。また、例えば、図10に示すように、液体噴霧装置は、拡散用ノズル60を中心に、各第1ノズル52を所定の円周上に互いに間隔をおいて設けても良い。さらに、例えば、図11に示すように、液体噴霧装置は、各第1ノズル52と少なくとも1つの拡散用ノズル60とを、所定の円周上に互いに間隔をおいて設けても良い。また、前記第1実施形態に係る液体噴霧装置の噴霧ヘッド50も同様に、液体微粒子S2を所定方向に拡散して噴霧できるのであれば、図9乃至図11に示す第1ノズル52及び拡散用ノズル60を全て第1ノズル52に置き換えて設けた構造であっても良い。
【0044】
さらに、前記第2実施形態において、液体噴霧装置は拡散用ノズル60から蒸気S1が噴出するように構成したが、液体微粒子S2を所定方向に拡散させることが可能な流体であれば、これに限られない。例えば、拡散用ノズル60から空気や不活性ガス(例えば、窒素や炭酸ガス等)が噴出するように液体噴霧装置を構成し、拡散用ノズル60から空気が噴出するようにしても良い。
【0045】
また、前記第2実施形態において、液体噴霧装置は単孔型の拡散用ノズル60から蒸気S1が噴出していたが、これに限られない。例えば、多孔型の拡散用ノズルを噴霧ヘッド50に設けることにより、多方向に蒸気S1を噴出させても良い。また、拡散用ノズル60を蒸気S1の流れに旋回を与える形状のノズル、例えばスワノールノズルを用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液体噴霧装置の全体概略図
【図2】第1実施形態に係る気化器、回転機構及び噴霧ヘッドの概略側面断面図
【図3】第1実施形態に係る噴霧ヘッドの概略正面図
【図4】本発明の第2実施形態に係る液体噴霧装置の全体概略図
【図5】第2実施形態に係る噴霧ヘッドの概略正面図
【図6】第2実施形態に係る液体噴霧装置の噴霧時間に対する噴霧拡散イオン相対値の関係を示す図
【図7】本発明の第3実施形態に係る液体噴霧装置の全体概略図
【図8】第3実施形態に係る気化器、回転機構及び噴霧ヘッドの概略側面断面図
【図9】図5に示す噴霧ヘッドの変形例を示す概略正面図
【図10】図5に示す噴霧ヘッドの変形例を示す概略正面図
【図11】図5に示す噴霧ヘッドの変形例を示す概略正面図
【符号の説明】
【0047】
10…第1タンク、11…第1液体、12…第1管路、13…第1ポンプ、20…気化器、30…第2タンク、31…第2液体、32…第2管路、33…第2ノズル、40…回転機構、41…第1回転用アダプタ、42…第2回転用アダプタ、50…噴霧ヘッド、51…ヘッダ本体、52…第1ノズル、53…ノズルユニット、55…突出部、60…拡散用ノズル、S1…蒸気、S2…液体微粒子。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気生成用の第1液体を収容する第1タンクと、第1タンク内に一端が挿入され、第1液体が流通する第1液体用管路と、第1液体用管路の他端に接続され、第1液体を加熱して蒸気を生成する気化器と、噴霧用の第2液体を収容する第2タンクと、第2タンク内に一端が挿入され、第2液体が流通する第2液体用管路とを備えた液体噴霧装置において、
気化器において生成した蒸気を噴出する第1ノズルと、第2液体用管路の他端に固定された第2ノズルとから構成され、第1ノズルから噴出される蒸気によって第2ノズルを通じて第2液体を吸引し霧化する複数のノズルユニットと、
各ノズルユニットを霧化された第2液体が所定方向に拡散するように設けた噴霧ヘッドとを備えた
ことを特徴とする液体噴霧装置。
【請求項2】
前記噴霧ヘッドを所定角度回転させる回転機構を備えた
ことを特徴とする請求項1記載の液体噴霧装置。
【請求項3】
前記各第1ノズルを所定の直線上に互いに間隔をおいて設けた
ことを特徴とする請求項1または2記載の液体噴霧装置。
【請求項4】
前記各第1ノズルを所定の円周上に互いに間隔をおいて設けた
ことを特徴とする請求項1または2記載の液体噴霧装置。
【請求項5】
前記噴霧ヘッドに、流体を噴出する拡散用ノズルを設けた
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項記載の液体噴霧装置。
【請求項6】
前記流体を気化器において生成した蒸気とした
ことを特徴とする請求項5記載の液体噴霧装置。
【請求項7】
前記各第1ノズルと、少なくとも1つの拡散用ノズルとを所定の直線上に互いに間隔をおいて設けた
ことを特徴とする請求項5または6記載の液体噴霧装置。
【請求項8】
前記各第1ノズルと、少なくとも1つの拡散用ノズルとを所定の円周上に互いに間隔をおいて設けた
ことを特徴とする請求項5または6記載の液体噴霧装置。
【請求項9】
前記拡散用ノズルを中心に、各第1ノズルを所定の円周上に互いに間隔をおいて設けた
ことを特徴とする請求項5または6記載の液体噴霧装置。
【請求項10】
前記拡散用ノズルから噴出する流体の噴出速度を、ノズルユニットにおいて霧化された第2液体の噴霧速度よりも速くなるように設定した
ことを特徴とする請求項5乃至9の何れか一項記載の液体噴霧装置。
【請求項11】
前記拡散用ノズルから噴出する流体の噴出速度を、680m/秒以上に設定した
ことを特徴とする請求項5乃至10の何れか一項記載の液体噴霧装置。
【請求項1】
蒸気生成用の第1液体を収容する第1タンクと、第1タンク内に一端が挿入され、第1液体が流通する第1液体用管路と、第1液体用管路の他端に接続され、第1液体を加熱して蒸気を生成する気化器と、噴霧用の第2液体を収容する第2タンクと、第2タンク内に一端が挿入され、第2液体が流通する第2液体用管路とを備えた液体噴霧装置において、
気化器において生成した蒸気を噴出する第1ノズルと、第2液体用管路の他端に固定された第2ノズルとから構成され、第1ノズルから噴出される蒸気によって第2ノズルを通じて第2液体を吸引し霧化する複数のノズルユニットと、
各ノズルユニットを霧化された第2液体が所定方向に拡散するように設けた噴霧ヘッドとを備えた
ことを特徴とする液体噴霧装置。
【請求項2】
前記噴霧ヘッドを所定角度回転させる回転機構を備えた
ことを特徴とする請求項1記載の液体噴霧装置。
【請求項3】
前記各第1ノズルを所定の直線上に互いに間隔をおいて設けた
ことを特徴とする請求項1または2記載の液体噴霧装置。
【請求項4】
前記各第1ノズルを所定の円周上に互いに間隔をおいて設けた
ことを特徴とする請求項1または2記載の液体噴霧装置。
【請求項5】
前記噴霧ヘッドに、流体を噴出する拡散用ノズルを設けた
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項記載の液体噴霧装置。
【請求項6】
前記流体を気化器において生成した蒸気とした
ことを特徴とする請求項5記載の液体噴霧装置。
【請求項7】
前記各第1ノズルと、少なくとも1つの拡散用ノズルとを所定の直線上に互いに間隔をおいて設けた
ことを特徴とする請求項5または6記載の液体噴霧装置。
【請求項8】
前記各第1ノズルと、少なくとも1つの拡散用ノズルとを所定の円周上に互いに間隔をおいて設けた
ことを特徴とする請求項5または6記載の液体噴霧装置。
【請求項9】
前記拡散用ノズルを中心に、各第1ノズルを所定の円周上に互いに間隔をおいて設けた
ことを特徴とする請求項5または6記載の液体噴霧装置。
【請求項10】
前記拡散用ノズルから噴出する流体の噴出速度を、ノズルユニットにおいて霧化された第2液体の噴霧速度よりも速くなるように設定した
ことを特徴とする請求項5乃至9の何れか一項記載の液体噴霧装置。
【請求項11】
前記拡散用ノズルから噴出する流体の噴出速度を、680m/秒以上に設定した
ことを特徴とする請求項5乃至10の何れか一項記載の液体噴霧装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−23453(P2008−23453A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−198567(P2006−198567)
【出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(000001845)サンデン株式会社 (1,791)
【Fターム(参考)】
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