説明

液体圧送装置

【課題】 密閉容器を分解することなく弁ケースと給気弁体及び排気弁体を取外したり取付けたりする。
【解決手段】 密閉容器4内に配置したフロート10の昇降により動力伝達軸11を介して動力伝達軸11にねじ結合したスナップ機構25の筒状部材26を移動させてスナップ機構を動作させることにより、給気弁口18を開閉する給気弁体22と排気弁口19を開閉する排気弁体20の開閉を急激に切り換えるものにおいて、密閉容器4に密閉容器4外から着脱自在に取付けられる弁ケース8に給気弁口18と排気弁口19を形成し、弁ケース8内に給気弁体22と排気弁体20及びスナップ機構25を収容し、弁ケース8の回転に伴って回転するようにスナップ機構25の筒状部材26を弁ケース8に連結し、密閉容器4外から弁ケース8を回転させて動力伝達軸11とスナップ機構25の筒状部材26とをねじ結合・解除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水や燃料等の液体を圧送する液体圧送装置に関するものである。本発明の液体圧送装置は、各種蒸気使用装置で発生した復水をボイラーや廃熱利用箇所に送る装置として特に適するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の液体圧送装置は、作動流体導入口と作動流体排出口と液体流入口及び液体排出口が設けられた密閉容器内にフロートが配置され、フロートの昇降により動力伝達軸を介して動力伝達軸にねじ結合したスナップ機構の筒状部材を移動させてスナップ機構を動作させることにより、作動流体導入口の給気弁口を開閉する給気弁体と作動流体排出口の排気弁口を開閉する排気弁体の開閉を急激に切り換えて、初めに排気弁口を開き給気弁口を閉じて液体流入口から液体を流入させ、次いで排気弁口を閉じ給気弁口を開いて密閉容器内に溜った液体を液体排出口から圧送するものである。
【0003】
上記従来の液体圧送装置は、本体と蓋から成る密閉容器の内部側に給気弁口や排気弁口を形成する弁ケースと給気弁体及び排気弁体を配置したものであるので、弁ケースと給気弁体及び排気弁体を修理や交換のために取外したり取付けたりする場合に、本体と蓋から成る密閉容器を分解しなければならない問題点があった。
【特許文献1】特開平11−236997
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする課題は、密閉容器を分解することなく弁ケースと給気弁体及び排気弁体を取外したり取付けたりすることのできる液体圧送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、作動流体導入口と作動流体排出口と液体流入口及び液体排出口が設けられた密閉容器内にフロートが配置され、フロートの昇降により動力伝達軸を介して動力伝達軸にねじ結合したスナップ機構の筒状部材を移動させてスナップ機構を動作させることにより、作動流体導入口の給気弁口を開閉する給気弁体と作動流体排出口の排気弁口を開閉する排気弁体の開閉を急激に切り換えて、初めに排気弁口を開き給気弁口を閉じて液体流入口から液体を流入させ、次いで排気弁口を閉じ給気弁口を開いて密閉容器内に溜った液体を液体排出口から圧送する液体圧送装置において、密閉容器に密閉容器外から着脱自在に取付けられる弁ケースに給気弁口と排気弁口を形成し、弁ケース内に給気弁体と排気弁体及びスナップ機構を収容し、弁ケースの回転に伴って回転するようにスナップ機構の筒状部材を弁ケースに連結し、密閉容器外から弁ケースを回転させることにより動力伝達軸とスナップ機構の筒状部材とをねじ結合・解除することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、密閉容器外から弁ケースを回転させて動力伝達軸とスナップ機構の筒状部材とをねじ結合・解除することにより、密閉容器を分解することなく弁ケースと給気弁体及び排気弁体を取外したり取付けたりすることができるという優れた効果を生じる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の液体圧送装置は、密閉容器に密閉容器外から着脱自在に取付けられる弁ケースに給気弁口と排気弁口を形成し、弁ケース内に給気弁体と排気弁体及びスナップ機構を収容し、弁ケースの回転に伴って回転するようにスナップ機構の筒状部材を弁ケースに連結し、密閉容器外から弁ケースを回転させることにより動力伝達軸とスナップ機構の筒状部材とをねじ結合・解除するものである。そのため、密閉容器外から弁ケースを回転させて動力伝達軸とスナップ機構の筒状部材とをねじ結合・解除することにより、密閉容器を分解することなく弁ケースと給気弁体及び排気弁体を取外したり取付けたりすることができる。
【実施例1】
【0008】
上記の技術的手段の具体例を示す実施例を説明する。図1は本発明の実施例の液体圧送装置の断面図、図2は図1の動力伝達軸と弁ケース部分の拡大断面図である。本実施例の液体圧送装置1は、図示しないネジによって結合される本体2と蓋3で密閉容器4が構成される。蓋3に作動流体排出口5と液体流入口6と液体排出口7が形成され、図示しないネジによって蓋3に外部から着脱自在に取付けられる弁ケース8に作動流体導入口9が形成される。
【0009】
密閉容器4内にフロート10と動力伝達軸11が配置される。フロート10はフロートアーム13と揺動軸14を介してブラケット15によって支持される。ブラケット15は手前側と向こう側の2枚の板よりなり、それぞれ図示しないネジによって蓋3に結合され、揺動軸14が掛け渡される。フロートアーム13は板をU字状に曲げ加工して作られたもので、2枚の板が平行に対向し、左端にフロート10が結合されている。フロートアーム13には孔16が設けられ、孔16内に孔16よりも小径の軸17が掛け渡され、軸17に動力伝達軸11の下端が連結されている。フロート3は揺動軸14を中心として上下に揺動し、所定量揺動した後に動力伝達軸11が上下に変位する。
【0010】
弁ケース8は上部に作動流体導入口9の給気弁口18が形成され、給気弁口18の下方の側方に作動流体排出口5の排気弁口19が形成される。排気弁口19を開閉する排気弁体20はほぼ円筒状で上端に小径の操作棒21が一体に形成され、弁ケース8内に収容されている。排気弁口19は排気弁体20の側面で開閉される。給気弁口18の作動流体導入口9側の弁ケース8内に給気弁口18を開閉する球状の給気弁体22が配置され、給気弁体22は排気弁体20の操作棒21で開弁操作される。給気弁口18の下方の密閉容器4内方側に給気弁口18からの作動流体によって排気弁体20が下方に押し戻されることを抑制する障壁部材23が固定される。障壁部材23は小判状で、給気弁口18からの作動流体を密閉容器4内方側に流下させる流路が手前側と向こう側に形成され、排気弁体20の操作棒21が貫通する中心孔が中心に設けられている。弁ケース8は側面に内外を連通する左右2つの開口が開けられている。
【0011】
動力伝達軸11の上部外周に形成された雄ねじに、スナップ機構25の一部を成す筒状部材26の下部内周に形成された雌ねじがねじ結合される。筒状部材26は外周に断面が六角形等の非真円形部27が形成され、非真円形部27の上端から棒状部28が排気弁体20の内部の上部まで伸ばされている。スナップ機構25は棒状部28の中央に径が次第に小さくなった傾斜部29が形成された筒状部材26と、筒状部材26上部の棒状部28の周囲に配置され、弁ケース8の段部と弁ケース8に固定された止輪部材30との間に固定され、排気弁体20を保持する保持部材31と、保持部材31に開けられた左右2つの上開口に配置された2つの上球状部材32と、保持部材31に開けられた左右2つの下開口に配置された2つの下球状部材33と、排気弁体20に開けられた左右2つの開口に配置され、上球状部材32あるいは下球状部材33の外側に位置する左右2つの係止部材34と、係止部材34を内方に付勢するC字状の弾性部材35と、筒状部材26の棒状部28の上部に形成されたフランジ部と排気弁体20の頂壁との間に配置されたコイル状の上弾性部材36と、フランジ部と排気弁体20に設けられた段部との間に配置されたコイル状の下弾性部材37とから構成され、弁ケース8内に収容されている。
【0012】
止輪部材30は内周が筒状部材26外周の非真円形部27に対応する非真円形に形成されている。これにより、密閉容器4外から弁ケース8を回転させることにより動力伝達軸11とスナップ機構25の筒状部材26とがねじ結合・解除される。弁ケース8の内周を筒状部材26外周の非真円形部27に対応する非真円形に形成することにより、止輪部材30を介在させずに、弁ケース8の回転に伴って回転するようにスナップ機構25の筒状部材26を弁ケース8に連結してもよい。
【0013】
次に本実施例の液体圧送装置1の作用について、作動流体として蒸気を用いた場合の一連の動作手順を追うことによって説明する。液体圧送装置1の外部配管は作動流体導入口9が高圧の蒸気源に接続され、作動流体排出口5が液体発生源側に接続され、液体流入口6が外部から密閉容器4へ向かって開く図示しない流入側逆止弁を介して液体発生源に接続され、液体排出口7が密閉容器4から外部に向かって開く図示しない排出側逆止弁を介して液体圧送先に接続される。
【0014】
密閉容器4内の液位が低い状態において、フロート10は底部に位置し、動力伝達軸11と筒状部材26は下方に変位している。このとき、給気弁体22は給気弁口18を閉じ、排気弁体20は排気弁口19を開いている。液体発生源側の液体が液体流入口6から密閉容器4内に流下して溜る。密閉容器4内に溜る液体によってフロート10が浮上すると、フロートアーム13が揺動軸14を中心に時計回り方向に回転し、孔16の下端が軸17に当接した後、動力伝達軸11と筒状部材26が上方に変位する。この動力伝達軸11と筒状部材26が上方に変位する過程で、傾斜部29の下部により弾性部材35を押し拡げながら下球状部材33と係止部材34が外方に変位し、また上弾性部材36が圧縮変形する。そして、係止部材34が保持部材31の下開口から抜け出たときに、圧縮変形されていた上弾性部材36が急激に変形を回復し、排気弁体20と係止部材34と弾性部材35が上方にスナップ移動して排気弁口19が急激に閉じられ、排気弁体20の上方へのスナップ移動の過程で、排気弁体20の操作棒21で給気弁体22が上方にスナップ移動して給気弁口18が急激に開けられる。また、弾性部材35が係止部材34を保持部材31の上開口内に押し込み、上球形部材32を内方に変位させる。
【0015】
排気弁口19が閉じられ、給気弁口18が開けられると、作動流体導入口9から密閉容器4内に高圧蒸気が導入され、密閉容器4内の圧力が上昇し、密閉容器4内に溜った液体が蒸気圧に押されて液体排出口7から液体圧送先に圧送される。
【0016】
液体の排出によって密閉容器4内の液位が低下すると、フロート10が降下して、フロートアーム13が揺動軸14を中心に反時計回り方向に回転し、孔16の上端が軸17に当接した後、動力伝達軸11と筒状部材26が下方に変位する。この動力伝達軸11と筒状部材26が下方に変位する過程で、傾斜部29の上部により弾性部材35を押し拡げながら上球状部材32と係止部材34が外方に変位し、また下弾性部材37が圧縮変形する。そして、係止部材34が保持部材31の上開口から抜け出たときに、圧縮変形されていた下弾性部材37が急激に変形を回復し、排気弁体20と係止部材34と弾性部材35が下方にスナップ移動して排気弁口19が急激に開けられ、排気弁体20の下方へのスナップ移動の過程で、給気弁体22が下方にスナップ移動して給気弁口18が急激に閉じられる。また、弾性部材35が係止部材34を保持部材31の下開口内に押し込み、下球形部材33を内方に変位させる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施例の液体圧送装置の断面図。
【図2】図1の動力伝達軸と弁ケース部分の拡大断面図。
【符号の説明】
【0018】
1 液体圧送装置
2 本体
3 蓋
4 密閉容器
5 作動流体排出口
6 液体流入口
7 液体排出口
8 弁ケース
9 作動流体導入口
10 フロート
11 動力伝達軸
13 フロートアーム
14 揺動軸
18 給気弁口
19 排気弁口
20 排気弁体
22 給気弁体
25 スナップ機構
26 筒状部材
30 止輪部材
31 保持部材
32 上球状部材
33 下球状部材
34 係止部材
35 弾性部材
36 上弾性部材
37 下弾性部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体導入口と作動流体排出口と液体流入口及び液体排出口が設けられた密閉容器内にフロートが配置され、フロートの昇降により動力伝達軸を介して動力伝達軸にねじ結合したスナップ機構の筒状部材を移動させてスナップ機構を動作させることにより、作動流体導入口の給気弁口を開閉する給気弁体と作動流体排出口の排気弁口を開閉する排気弁体の開閉を急激に切り換えて、初めに排気弁口を開き給気弁口を閉じて液体流入口から液体を流入させ、次いで排気弁口を閉じ給気弁口を開いて密閉容器内に溜った液体を液体排出口から圧送する液体圧送装置において、密閉容器に密閉容器外から着脱自在に取付けられる弁ケースに給気弁口と排気弁口を形成し、弁ケース内に給気弁体と排気弁体及びスナップ機構を収容し、弁ケースの回転に伴って回転するようにスナップ機構の筒状部材を弁ケースに連結し、密閉容器外から弁ケースを回転させることにより動力伝達軸とスナップ機構の筒状部材とをねじ結合・解除することを特徴とする液体圧送装置。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−52796(P2006−52796A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−235313(P2004−235313)
【出願日】平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願人】(000133733)株式会社テイエルブイ (913)
【Fターム(参考)】