液体塗工装置
【課題】所定の塗工パターンで被塗工物に液体を塗工する際に、該液体を、塗工すべき領域の全域にむらなく均一に塗工することのできる液体塗工装置を提供すること。
【解決手段】供給手段から供給される液体を所定パターンで吐出する吐出ローラー3を備え、吐出ローラー3から吐出された液体を、移動する被塗工物Sに塗工する液体塗工装置であり、吐出ローラー3は、表面プレート31とローラー本体32とを備え、ローラー本体32の外周部には、ローラー本体32の内部を通って導入される液体を、表面プレート31の面に沿う方向に拡散させる所定形状の凹部33が形成されており、表面プレート31は、凹部33を覆う部分に、該凹部33の開口形状とは異なる形状に液体を吐出させる液体吐出部3bと、液体を透過させない液体不透過部3cとを有し、液体吐出部3bは、多数の微細孔を有する多孔性材料からなる。
【解決手段】供給手段から供給される液体を所定パターンで吐出する吐出ローラー3を備え、吐出ローラー3から吐出された液体を、移動する被塗工物Sに塗工する液体塗工装置であり、吐出ローラー3は、表面プレート31とローラー本体32とを備え、ローラー本体32の外周部には、ローラー本体32の内部を通って導入される液体を、表面プレート31の面に沿う方向に拡散させる所定形状の凹部33が形成されており、表面プレート31は、凹部33を覆う部分に、該凹部33の開口形状とは異なる形状に液体を吐出させる液体吐出部3bと、液体を透過させない液体不透過部3cとを有し、液体吐出部3bは、多数の微細孔を有する多孔性材料からなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体塗工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動する被塗工物に接着剤を所定パターンで塗工する接着剤塗工装置として、所定のパターンに対応した複数の吐出孔を有する筒状のパターンシリンダーと、該パターンシリンダーの内部に配設された駆動ドラムとを備え、供給手段から供給されるホットメルト接着剤をパターンシリンダーの裏面側に形成された凹部に一旦溜めたのち、パターンシリンダーの吐出孔から吐出させるようにした接着剤塗工装置が知られている(特許文献1参照)。
また、特許文献1には、凹部で一旦ホットメルト接着剤を溜めた後、上記吐出孔を通じて細孔から吐出させているので、ホットメルト接着剤に均一に圧力が作用し、より安定したパターン塗工を可能にしているとの記載がある。
【0003】
【特許文献1】特開平9−299849号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1記載の塗工装置においては、吐出量の不均一やばらつきが発生する場合があった。また、厚みのあるパターンシリンダーに吐出孔をあけるので、微小孔が加工しづらく、微細で複雑な塗工パターンに対応できない問題があった。
【0005】
従って、本発明の目的は、所定の塗工パターンで被塗工物に接着剤等の液体を塗工する際に、該液体を、塗工すべき領域の全域にむらなく均一に塗工することのできる液体塗工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、供給手段から供給される液体を所定パターンで吐出する吐出ローラーを備え、該吐出ローラーから吐出された液体を、移動する被塗工物に塗工する液体塗工装置であって、前記吐出ローラーは、外周部を形成する表面プレートと、該吐出ローラーにおける該表面プレートより内側の部分を構成するローラー本体とを備えており、前記ローラー本体の外周部には、該ローラー本体の内部を通って導入される液体を、前記表面プレートの面に沿う方向に拡散させる所定形状の凹部が形成されており、前記表面プレートは、前記凹部を覆う部分に、該凹部の開口形状とは異なる形状に液体を吐出させる液体吐出部と、液体を透過させない液体不透過部とを有し、該液体吐出部は、多数の微細孔を有する多孔性材料からなる液体塗工装置を提供することにより、前記目的を達成したものである。
【0007】
また、本発明は、接着剤が塗工されて形成された粘着部を衣類当接面に有し、該粘着部を介して衣類に固定されて用いられる吸収性物品の製造方法であって、前記液体として接着剤を塗工する前記液体塗工装置により、前記衣類当接面を構成させるシート材に接着剤を塗工する工程を具備する吸収性物品の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、前記液体として接着剤を塗工する前記液体塗工装置により、吸収性物品の構成材料に接着剤を塗工する工程、及び該構成材料を該接着剤を介して他の構成材料と接合する工程を具備する吸収性物品の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の液体塗工装置によれば、所定の塗工パターンで被塗工物に接着剤等の液体を塗工するに際し、該液体を、塗工すべき領域の全域にむらなく均一に塗工することができる。また、微細で複雑なパターンも塗工することができる。
本発明の吸収性物品の製造方法によれば、接着剤を、塗工すべき領域にむらなく均一に塗工することができ、高品質の吸収性物品を効率的に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態である液体塗工装置(以下、本塗工装置1ともいう)の要部を示す斜視図である。
本塗工装置1は、ホットメルト接着剤の塗工装置であり、図1に示すように、ホットメルト接着剤を供給する供給手段2と、供給手段2から供給されるホットメルト接着剤を所定パターンで吐出する吐出ローラー3と、吐出ローラー3から吐出された所定パターンのホットメルト接着剤を、連続的に供給される帯状シート(被塗工物)Sの表面に転写する転写手段4とを具備する。
【0010】
供給手段2は、ホットメルト接着剤を収容したタンク(図示せず)と、このタンク及び吐出ローラー3を連結する供給管21と、この供給管21に介装されたポンプ(図示せず)と、この供給管21から分岐して前記タンクに連結された戻り管22と、供給管21からのホットメルト接着剤の流れを、戻り管22側又は吐出ローラー3側の何れかに切り替える制御弁23とを備えている。
【0011】
吐出ローラー3は、図1及び図2に示すように、吐出ローラー3の外周部を形成する表面プレート31と、吐出ローラー3における表面プレート31より内側(回転軸側)部分を構成するローラー本体32とを備えてなる。
ローラー本体32は、円柱状の形態を有し、その外周部には、周方向に間隔を開けて複数の凹部33が形成されている。各凹部33は、凹部33以外の部分との間に段差を設けて形成されており、その底面部には、該凹部33にホットメルト接着剤を導入する導入口34が設けられている。そして、表面プレート31が、凹部33を覆うように、ローラー本体32の外周面に固定されている。
【0012】
本塗工装置1におけるローラー本体32は、図2及び図3に示すように、その回転軸に近い部分を構成する本体部分35と、該本体部分35の外周面上に固定された凹部形成用プレート36とを有してなる。
凹部形成用プレート36は、該プレート36を厚み方向に貫通する孔部36aを有し、本体部分35の外周面に重ねられた状態において、該孔部36aの内周面と前記本体部分35の外周面とに囲まれた部分が凹部33となる。
凹部33は、その深さ方向(プレート36の厚み方向)における、前記本体部分35の外周面とは反対側に開口部を有し、その開口部の開口形状(平面視形状)が、凹部33の開口形状である。凹部33の開口部は、吐出ローラー3として組み立てられた状態においては、図2に示すように、表面プレート31に覆われている。
本体部分35は、円柱状の形態を有しその外周面に前記導入口34を有している。
凹部形成用プレート36は、その孔部36aの内側に、前記導入口34が位置するように固定されている。
【0013】
凹部33の3次元形状(所定形状)は、導入口34から凹部33内に導入された液体を、該凹部33内において、表面プレート31の面に沿う方向(吐出ローラー3の周方向及び軸長方向)に拡散させ得る形状であれば良い。
【0014】
凹部形成用プレート36は、本体部分35の外周面に、周方向に直列させて複数枚固定されており、これらの複数枚の凹部形成用プレート36によって、ローラー本体32の円筒状の外周部が形成されている。表面プレート31は、そのローラー本体32の、凹部形成用プレート36からなる外周部の更に外側に固定されている。表面プレート31は、凹部形成用プレート36の孔部36aによって形成される凹部33の全体を覆うように固定されている。本塗工装置1における表面プレート31は、一枚の凹部形成用プレート36に対して各一枚設けられており、それぞれ、ボルト等の固定具により、一枚の凹部形成用プレート36に対して脱着可能に固定されている。また、凹部形成用プレート36も、それぞれ、ボルト等の固定具により、本体部分35に対して脱着可能に固定されている。凹部形成用プレート36を本体部分35に固定する固定具が、表面プレート31を凹部形成用プレート36に固定する固定具を兼ねていても良い。凹部形成用プレート36は表面プレート31と固定してから本体部分35に固定してもよい。なお、表面プレート31は、ローラー本体32の周方向の全長に亘る長さを有するものであっても良く、該一枚の表面プレート31を、凹部形成用プレート36が固定された本体部分35に対して脱着自在に固定しても良い。
【0015】
図3に示すように、ローラー本体32の軸芯部には、吐出ローラー3の回転軸方向に延び、且つ供給管21から供給されたホットメルト接着剤が流入する主管路35bが設けられている。また、ローラー本体32の内部には、主管路35bと前記導入口34とを結ぶ複数の分岐管路35cが形成されている。そして、供給手段2の供給管21を通じて供給されたホットメルト接着剤が、主管路35b及び分岐管路35cを通じて導入口34から凹部33に導入され、該凹部33内に導入されたホットメルト接着剤が、凹部33内において、表面プレート31の面に沿う方向(表面プレート31の面と略平行な方向)に拡散した後、表面プレート31の孔を通って吐出ローラー3の表面から吐出されるようになしてある。表面プレート31の面に沿う方向は、凹部33の深さ方向に直交する方向でもある。また、表面プレート31の面に沿う方向への拡散は、少なくとも当該方向に拡散するという意味であり、当該方向への拡散と同時に表面プレート31の面と垂直な方向(凹部の深さ方向)に拡散することを妨げるものではない。
【0016】
本塗工装置1における表面プレート31は、図1及び図2に示すように、凹部33を覆う部分3aに、該凹部33の開口形状とは異なる形状に液体を吐出させる液体吐出部3bと、液体を透過させない液体不透過部3cとを有している。
液体吐出部3bは、液体が、表面プレート31を厚み方向に透過可能な部分であり、表面プレート31の凹部33を覆う部分3aにおける、液体不透過部3c以外の部分でもある。
液体吐出部3bの形状は、被塗工物Sに、どのような形状の液体塗工部5を形成するかに応じて適宜に決定することができる。本実施形態においては、図1及び図4に示すように、被塗工物Sに、長方形状の液体塗工部5を形成するために、個々の液体吐出部3bの形状を、液体塗工部5と同形状の長方形状としてある。
【0017】
凹部33の開口形状とは異なる形状に液体を吐出させるとは、吐出ローラーの表面に吐出される液体の形状、延いては、液体塗工部5の形状が、凹部33の開口形状によって決定されるのではなく、液体吐出部3bの形状によって決定されることを意味する。凹部33の開口形状と液体吐出部3bの平面視形状が相似形の場合も両者は異なる形状である。つまり凹部33の開口形状と液体吐出部3bの平面視形状は同一ではない。
個々の液体吐出部3bの大きさ(面積)は、被塗工物Sに、どのような大きさの液体塗工部5を形成するかに応じて適宜に決定することができ、例えば0.005〜10,000cm2とすることができる。生理用ナプキンやパンティライナー等の肌当接面に、ショーツ等に固定するためのズレ止め部(粘着部)を形成する場合、個々の液体吐出部3bの大きさ(面積)は、0.005〜500cm2とすることが好ましい。
尚、図4中の白抜き矢印は、吐出ローラー3の回転方向又は被塗工物Sの搬送方向を示す。
【0018】
本塗工装置1における表面プレート31は、凹部33を覆う部分3aに、液体吐出部3bを複数有しており、それらの液体吐出部3b、液体不透過部3cを挟んで相互に離間した状態に形成されている。複数の液体吐出部3bを有する場合であっても、本発明の装置においては、凹部33内を液体が良好に拡散するので、複数の液体吐出部3bそれぞれからムラのない均一な量の液体を吐出させることができる。尚、図1及び図4に示す例においては、一つの凹部33に対して6個の液体吐出部3bが形成されている。
【0019】
表面プレート31の個々の液体吐出部3bは、多数の微細孔を有する多孔性材料からなる。多孔性材料の微細孔は、液体吐出部3bの大きさに対して顕著に小さい。
本発明に用いられる多孔性材料としては、金網、エッチング開孔材、パンチングメタル、セラミックス、焼結金属、これらの積層体等を用いることができ、金網が好ましい。
【0020】
液体吐出部3bを構成する多孔性材料の平均孔径は、0.05〜2mm、特に0.07〜0.8mmであることが好ましく、多孔性材料の開口面積率は、1〜80%、特に10〜60%であることが好ましく、個々の孔の面積は、0.002〜3.2mm2、特に0.004〜0.5mm2であることが好ましい。また、一つの液体吐出部3bに含まれる多孔性材料の微細孔の孔数は、少なくとも3個以上である。
【0021】
多孔性材料の平均孔径及び孔の面積は、それぞれ、以下のようにして測定される。
平均孔径は、光学顕微鏡によって表面プレート31を真上から観察し、表面上の目開きの面積を少なくとも10点計測し、S(孔の面積)=PAI/4×d2(PAI=3.14)で逆算されるdを円相当径とし、これらの平均値とする。孔の面積は、例えばキーエンス製デジタルHDマイクロスコープVH−7000を使用し、観察される画面上の任意の点を囲むことにより簡単に計測できる。
【0022】
本塗工装置1における表面プレート31は、図4に示すように、凹部33の開口形状とは異なる形状の孔部31a’を有するパターン形成プレート31aと、該パターン形成プレート31aの該孔部31a’に重ねて配置された、多数の微細孔を有する多孔性プレート31bとからなる。パターン形成プレート31aは、液体の吐出パターンを決定するものである。多孔性プレート31bは、上述した多孔性材料からなる。多孔性プレート31bは、パターン形成プレート31aの孔部31a’に重ねられた部分が、上述した液体吐出部3bを構成し、パターン形成プレート31aの孔部31a’以外の部分(非孔部分)に重ねられた部分が、該非孔部分と共に、表面プレート31の液体不透過部3cを構成している。
本実施形態における多孔性プレート31bと、パターン形成プレート31aとは、孔部31a’以外の部分において、溶接、焼結、接着剤等により接合されて一体化されている。パターン形成プレート31aの形成材料としては、金属、樹脂等を用いることができ、例えば所定形状の開口を設けた薄板ステンレス、パンチングメタルやエッチング開孔材、ポリエステルメッシュ等を用いることができる。ポリエステルメッシュは、後加工でマスキングできる。
多孔性プレートとして、上述した多孔性材料を複数積層してなるものを用いることもできる。
【0023】
本実施形態における表面プレート31において、多孔性プレート31bは、パターン形成プレート31aより外側に位置しており、吐出ローラー3の最外面を構成している。このように多孔性プレート31bが最外面を構成することにより、表面が均一化され、段差を生じにくくなり、連続塗布での塗布の安定性が向上する。
【0024】
本実施形態における凹部33は、その深さ(凹部33の底面35aと表面プレート31との間の距離に同じ)が、その全域において均一である。凹部33の深さは、0.1〜5.0mmとすることが好ましく、0.5〜3.0mmとすることがより好ましい。
また、凹部33に設ける導入口34は、凹部33の底面積0.5〜10cm2 当たりに1個となる割合で設けることが好ましい。
【0025】
表面プレート31の厚みは、塗工すべき領域の全域にむらなく塗工する観点から、全体として2mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましく、0.3〜0.9mmが一層好ましい。また、同様の観点から、表面プレート31の厚みは凹部33の深さに対して、0.05〜20倍であることが好ましく、0.1〜2倍であることが一層好ましい。
【0026】
ローラー本体32の本体部分35の一側端部には、供給手段2の供給管21の端部に回転自在に連結される管部35dが設けられており、他側端部には、図示しない駆動源の駆動軸に連結される軸部35eが設けられている。また、ローラー本体32の本体部分35の内部には、カートリッジヒーター等の加熱手段(図示せず)が組み込まれており、このカートリッジヒーター等によって温度調整を行うことで、ローラー本体32内を流れるホットメルト接着剤の粘度を制御できるようになしてある。
【0027】
転写手段4は、吐出ローラー3の表面プレート31からなる外周面及び帯状シートSの被塗工面に臨んで回転する転写ローラー41と、転写ローラー41の下方に配設されて転写ローラー41とともに帯状シートSを繰り出すニップローラー42とを備えている。
【0028】
転写ローラー41の外周面41aにはシリコーンゴム等の剥離容易性素材によってライニングが施されており、吐出されたホットメルト接着剤が容易に剥離して被塗工物表面に塗工されやすいようになしてある。また、転写ローラー41の内部には、管路(図示せず)が設けられており給水管路41bを通じて冷却水を循環させることによって、当該転写ローラー41の温度を低温度に制御できるようになしてある。転写ローラー41の一側端部には、給水管路41bに回転自在に連結される管部41cが設けられており、他端部には図示しない駆動源の駆動に連結される軸部41dが設けられている。
【0029】
本塗工装置1には、吐出ローラー3及び転写ローラー41の回転速度、制御弁23及びカートリッジヒーターのオンオフ、冷却水の循環量等をコントロールするコントローラー(図示せず)が搭載されており、使用するホットメルト接着剤、塗工パターン等に対応した塗工装置1の動作制御が行えるようになっている。
【0030】
次に、本塗工装置1の動作を説明する。
まず、図示しないタンク内にホットメルト接着剤を投入し、溶融状態とする。そして、吐出ローラー32及び転写ローラー41をその周速度が等しくなるように回転させる。また、ニップローラー42も、転写ローラー41とその周速度が等しくなるように回転させ、帯状シートSの搬送速度を、転写ローラー41の周速度と同一とする。
そして、溶融状態のホットメルト接着剤を、供給手段2の供給管21を通じて吐出ローラー3のローラー本体32内に図示しないポンプによって供給する。
【0031】
供給手段2から供給されたホットメルト接着剤は、ローラー本体32の本体部分35に形成された主管路35b及び分岐管路35cを通じて、その外周面に形成された導入口34から前記凹部33内に供給され、凹部33内において、表面プレート31の面に沿う方向に拡散した後、表面プレート31の液体吐出部3bの微細孔を通って吐出ローラー3の表面に導かれ、転写ローラー41の外表面に所定パターンで吐出される。
そして、この転写ローラー41が回転し、ニップローラー42との間を移動する帯状シートSの表面にホットメルト接着剤を転写する。
このようにして、帯状シートSの表面(被塗工面9)に、ホットメルト接着剤が塗工され、それにより、帯状シートSの表面に、液体吐出部3bの平面視形状と実質的に同一形状の接着剤塗工部5(液体塗工部)が形成される。
【0032】
本実施形態の塗工装置1によれば、液体吐出部3bが、多数の微細孔を有する多孔性材料からなり、それを透過するホットメルト接着剤に対して抵抗が加わるため、ホットメルト接着剤が表面プレート31の表面に流出しにくく、凹部33内に導入されたホットメルト接着剤が、凹部33内に比較的均一に充填される。そして、そのホットメルト接着剤が均一な圧力を受けて、液体吐出部3bから吐出される。そのため、複数の液体吐出部3bからホットメルト接着剤を吐出させる場合、複数の液体吐出部3bそれぞれから吐出される量にばらつきが生じにくくなる。また、一つの液体吐出部3bから吐出される液についても、位置によって吐出量が異なるといった吐出ムラが生じにくくなる。
そのため、表面プレート31から吐出されるホットメルト接着剤は、その吐出範囲の全域において吐出量が均一であり、転写ローラー41の外表面における、凹部33と重なる範囲の全域において均一な量のホットメルト接着剤が付着する。そして、そのように均一に付着したホットメルト接着剤が、帯状シートSに転写されるため、帯状シートSにおけるホットメルト接着剤が塗工された接着剤塗工部5は、その全域に均一な量のホットメルト接着剤が塗工されたものとなる。
このようにして、本塗工装置1によれば、所定の塗工パターンで被塗工物に接着剤を塗工するに際し、接着剤を、塗工すべき領域の全域にむらなく均一に塗工することができる。
【0033】
また、本実施形態の塗工装置1によれば、凹部33の開口形状ではなく、表面プレート31の液体吐出部3bの形状によって、吐出ローラーの表面に吐出するホットメルト接着剤の形状、延いては液体塗工部5の形状が決定されるようにしたので、塗工形状を変更する際に、表面プレート31の交換で簡便に対処することができる。即ち、本実施形態の塗工装置1においては、表面プレート31をローラー本体32に対して脱着可能に固定してあるため、接着剤の塗工パターンを変更する際に、表面プレート31のみを交換し、凹部形成用プレート36やローラー本体32は交換せずに同じものを用いることもできる。
【0034】
本発明で用いる接着剤は、ホットメルト接着剤であることが好ましいが、ホットメルト接着剤以外の接着剤、例えば、低密度ポリエチレン、ポリビニルアセテート、シリコン樹脂、糊等を用いることもできる。
ホットメルト接着剤としては、特に限定されないが、例えば、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)等のスチレン系ゴム、又はアモルファスポリαオレフィン(APAO)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)等のオレフィン系ポリマー等のホットメルト接着剤が挙げられる。
また、本発明における被塗工物は、特に限定されないが、例えば、不織布、織布、樹脂フィルム、編み物等からなるシート状物、若しくはこれらのシート状物が2層以上に積層されてなる積層体、これらのシート状物や積層体に更に他の部材を積層したり挟んだりしてなる物品等が挙げられる。被塗工物は、連続する帯状体であっても良いし、所定の長さを有し、所定の間隔をあけて順次搬送されているものであっても良い。
【0035】
上述した塗工装置1は、ホットメルト接着剤からなる粘着部を有し、該粘着部を介して衣類に固定されて用いられる吸収性物品の製造に好ましく用いることができる。このような吸収性物品としては、生理用ナプキンやパンティライナー(下り物シート)、失禁パッド等の身体から排出される液を吸収する吸収性物品が挙げられる。これらは、一般に、液保持性の表面シート、液難透過性(不透過性を含む概念)の裏面シート及びこれら両シート間に配された吸収体を具備し、衣類当接面にホットメルト接着剤からなる粘着部を有していたり、縦長の本体部分の左右両側にウイング部を有し、該ウイング部の片面(衣類当接面)にホットメルト接着剤からなる粘着部を有している。本体部分及びウイング部の両者に粘着部を有していても良い。
このような吸収性物品を製造する際には、衣類当接面を構成するシートの帯状の原反、又は他の材料と積層された該シートの帯状又は非帯状の原反に、上述した塗工装置1を用いてホットメルト接着剤を塗工して所定形状の粘着部を形成する。それ以外は、従来の吸収性物品の製造方法と同様である。
【0036】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されず適宜変更可能である。
例えば、図5に示すように、吐出ローラー3の本体部分35の外周面35aから所定の深さまでの外周部分35fが、それより軸芯側の部分に対して脱着可能に固定された別部材から形成されていても良い。外周部分35fを構成する部材は、一の分岐管路35cを更に複数に分岐させる分岐管路35c’,35c’,35c’を有している。斯かる構成により、凹部33に接着剤を導く流路の設計が一層容易となる。
尚、供給手段2から供給されたホットメルト接着剤を凹部33に導く経路は、凹部33に接着剤を導くことができる限り制限されず、多様に変形可能である。
【0037】
また、図6に示す接着剤塗工装置1Aは、ニップローラー42の回転に従動して回転する以外は、図1に示す吐出ローラー3と同様の構成を有する吐出ローラー3Aを備えている。接着剤塗工装置1Aは、転写ローラー41を具備していない。
この接着剤塗工装置1Aにおいては、吐出ローラー3Aとニップローラー42との間を移動する帯状シートSに対して、吐出ローラー3Aの外表面から直接、ホットメルト接着剤が塗工される。この接着剤塗工装置1Aにおいても、吐出ローラー3Aの外表面を構成する表面プレート31は、その下に位置する凹部を覆う部分に、多数の微細孔を有する多孔体性材料からなる液体吐出部と液体不透過部とを有し、該液体吐出部からホットメルト接着剤が吐出される。そのため、上述した塗工装置1と同様の効果が奏される。
【0038】
また、上述した塗工装置1においては、表面プレート31として、パターン形成プレート31aと多孔性プレート31bとを積層一体化したものを用いていたが、そのような表面プレートに代えて、図7に示すように、多数の微細孔を有する一枚の多孔性プレート31cに、目止め処理により液体不透過部3cを形成してなる表面プレート31を用いることもできる。目止め処理とは、多孔性材料の微細孔に、樹脂や金属等の目止め材を充填して、液が通過できなくなるようにする処理である。目止め材は、溶融状態で微細孔に充填した後、固化させることが好ましい。
図7に示す実施形態においては、多孔性プレート31cの凹部33を覆う部分3aに、目止め処理により形成した液不透過部3cと、目止め処理されていない液体吐出部3bとが形成されており、上述した塗工装置1と同様の効果が奏される。
【0039】
また、上述した塗工装置1において用いた表面プレート31は、パターン形成プレート31aの上に多孔性プレート31bを重ねたものであったが、パターン形成プレート31aの下に多孔性プレート31bを重ねたものを用いることもでき、また、2枚の多孔性プレートの間にパターン形成プレートを挟んで一体化した3層構造の表面プレートを用いることもできる。なお、多孔性プレートは複数の層で構成されていてもよい。
【0040】
また、凹部33の開口形状は、任意の形状とすることができる。例えば、図1に示した瓢箪様の形状の他、図8に示すように長方形状とすることもでき、更に正方形状、円形状、長円状、菱形状、ハート状等とすることができる。また、パターン形成プレートの孔部31a’の形状及び液体吐出部3bの形状も、吐出ローラーの軸長方向に縦長の長方形状に限られず、任意の形状とすることができる。例えば、吐出ローラーの中方向に縦長の長方形状としたり、図8に示すように円形状としたり、更に正方形状、長円状、菱形状、ハート状等とすることができる。また、一つの凹部33に対して形状の異なる複数の液体吐出部3bを形成することもできる。
また、一つの凹部33に対して形成する液体吐出部3bの個数は、1個でも良く、複数個でも良い。複数個形成する場合、例えば2〜1000個とすることができ、2〜100個程度が好ましい。凹部33毎に液体吐出部3bの個数を異ならせても良い。
【0041】
また、本発明の液体塗工装置は、液体として、接着剤に代えて他の液体を塗工するものであっても良い。接着剤以外の液体としては、油剤、乳液剤、クリーム、保湿剤、ローション等が挙げられる。
また、本発明の液体塗工装置は、吸収性物品の製造工程において、吸収性物品の構成材料に接着剤を塗工するのに用いることも好ましい。接着剤が塗工された構成材料は、該接着剤を介して他の構成材料と接合することができる。吸収性物品の構成材料としては、例えば、表面シート、吸収体、裏面シート、ウイング部形成用のシート、立体ギャザー形成用のシート等が挙げられるが、これらに限られるものではない。
【0042】
更に、本発明の一の実施形態における説明省略部分及び一の実施形態のみが有する要件は、それぞれ他の実施形態に適宜適用することができ、また、各実施形態における要件は、適宜、実施形態間で相互に置換可能である。
【実施例】
【0043】
以下、本発明を実施例を示して更に詳細に説明するが、本発明は、斯かる実施例により何ら制限されるものではない。
【0044】
〔実施例1〕
図1示す液体塗工装置を用いて、接着剤を連続する坪量38g/m2の剥離紙に塗工し、塗工された接着剤について評価を行った。
吐出ローラーの表面プレートは、次の多層のステンレス金網を用いた。多孔性材料(開孔材料)は、メッシュサイズ#100(開孔の大きさ0.16mm×0.16mmで25.4mm当たり100ヶの開孔)、厚み0.15mmのステンレス金網で使用し、この金網を角度を45度づつずらしながら4枚積層し、4層積層体を形成した。この4層積層体の上に、厚み0.15mmのステンレス材からなるパターン形成プレートを乗せ、その上に前述のステンレス金網を更に1層を乗せ、これら合計6層を焼結にて一体化させ、表面プレートを得た。得られた表面プレートの総厚みは0.9mmであった。表面プレートは、4層のステンレス金網の最下層が凹部形成用プレートの面に接し、1層のステンレス金網が最外層となり、パターン形成プレートは表面プレートの最外層から2層目に位置している。なお、パターン形成プレートは、図9に示す接着剤部分(液体塗工部5)が開孔されて液が透過する孔部31a’となっている。
孔部36aを有する厚み1.0mmのステンレス製の凹部形成用プレート36を、表面プレート31と一緒にボルトで本体部分35に固定した。凹部形成用プレートの孔部36aは、幅(W)47mm、長さ(L)132mm、面積57.3cm2の小判形状であり、凹部形成用プレート36の孔部36aの内周面と本体部分35の外周面によって、深さ1.0mmで図10の形状の凹部33が形成されている。
【0045】
液体塗工装置の吐出ローラーの温度は165℃とし、速度100m/min、接着剤の液圧1MPaで行った。接着剤は、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)のスチレン系ゴムのホットメルト接着剤を用い、粘度1,600mPa・s(160℃)で塗工した。
接着剤(液体塗工部5)の塗工パターンは、図9に示す形状であり、パターン形成プレートの孔部31a’も同様の形状とした。接着剤のパターンの設計値は、面積は全体で21.3cm2、外形の大きさ(長さL1×幅W1)130×48mm、中央のくびれ部の最小幅(幅W2)42mm、坪量50g/m2である。
【0046】
〔実施例2〕
表面プレート31の構成以外、実施例1と同様にして、接着剤を剥離紙に塗工し、塗工された接着剤について評価を行った。
表面プレート31は、実施例1と同じステンレス金網を用いて、4層積層体を形成し、その4層積層体を、実施例1と同じパターン形成プレート31aに重ね、これら合計5層を焼結にて一体化させた。得られた表面プレートの総厚みは0.75mmであった。表面プレートは、最外周面を4層のステンレス金網とし、パターン形成プレート31aを凹部形成用プレート36側に向けて用いた。
【0047】
〔比較例1〕
実施例1の表面プレートおよび凹部形成用プレートに変えて、ローラー本体の外周部に以下の構成の金属板を配置し、実施例1と同様にして、接着剤を剥離紙に塗工し、塗工された接着剤について評価を行った。なお、比較例では、図11の接着剤塗布部5のパターンにて塗工を行った。
金属板は、厚み12mmであり、図11に示す形状の深さ7mmの凹部が設けられており、該凹部内には径350μmの焼結金属からなる多孔性材料が配置されている。多孔性材料は液体通過径40μmである。金属板の凹部の底面には、接着剤流入用の多数の分岐管路が開口しており、多孔性材料が満たされた部分全域が、液体吐出部3bとなる。
接着剤のパターンの設計値は、面積は全体で52.4cm2、外形の大きさ130×48mm、中央のくびれ部の最小幅37mm、坪量30g/m2である。
【0048】
〔評価方法および評価結果〕
実施例1、2、比較例1の装置により、剥離紙へ塗工した接着剤について、次の評価を行った。なお、接着剤はn=5で評価した。
<外形寸法>
剥離紙に付着した接着剤について、長手方向の長さ(L1)及び中央くびれ部の幅(W2)を測定した。次に、長手方向の長さ及び中央くびれ部の幅(測定値)を、それぞれの設計値で割り、設計値に対する比率を算出した。設計値に対して110%までを許容値とする。
【0049】
<塗工量のフレ幅と塗工量の均一性>
塗工された接着剤(n=5)について、パターン形状の長手方向およびその直交方向に、各々均等に3分割し合計9つの領域に分け、各領域の接着剤の重量を測定した。次に、各領域の重量(平均値)を各領域の設計面積で割り、各領域の坪量を求めておく。求めた各領域の坪量について、設定坪量に対する比率を求め、9領域の最大値から最小値を差し引き、塗工坪量のフレ幅を算出した。塗工量の均一性に対する評価基準は以下の通りである。
◎:塗工坪量のフレ幅が10%以内
○:塗工坪量のフレ幅が10%超15%以内
△:塗工坪量のフレ幅が15%超20%以内
×:塗工坪量のフレ幅が20%を超える
【0050】
<パターン明瞭性>
剥離紙に付着した接着剤に対して、剥離紙より剥離性の高いフィルムを貼り合わせて巻き取り、フィルムに付着したパターン形状を目視にて評価した。
評価基準は以下の通りである。
◎:塗工パターン内部において接着剤の抜けがなく、パターン全域が均等に明瞭。
○:塗工パターン内部において接着剤の明らかな抜けがない。抜けがあっても2mm以下の大きさである。
△:塗工パターン内部において、2mmより大きく、5mmより小さい抜けがある。
×:塗工パターン内部において、5mm以上の大きさの抜けがある。
【0051】
表1に評価結果を纏めて示した。
【表1】
【0052】
表1に示すように、本発明の実施例1、2は、比較例に比べ、塗工すべき領域の全域にむらなく均一に塗工していることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、本発明の液体塗工装置の一実施形態を示す要部斜視図である。
【図2】図2は、同実施形態における吐出ローラーの外周面近傍の構成を示す要部断面図である。
【図3】図3は、同実施形態におけるローラー本体を示す斜視図である。
【図4】図4(a)は、同実施形態における多孔性プレートをその法線方向から視た図であり、図4(b)は、同実施形態におけるパターン形成プレートをその法線方向から視た図であり、図4(c)は、同実施形態における凹部を該凹部底面の法線方向から視た図であり、図4(d)は、同実施形態における液体(接着剤)の塗工パターンを示す帯状シートの平面図である。
【図5】図5は、本発明の液体塗工装置の更に他の実施形態を示す図(図2相当図)である。
【図6】図6は、本発明の液体塗工装置の更に他の実施形態を示す模式側面図である。
【図7】図7は、本発明の液体塗工装置の更に他の実施形態を示す図(図2相当図)である。
【図8】図8は、本発明の液体塗工装置の更に他の実施形態における、液体吐出部及び凹部と示す図である。
【図9】図9は、実施例1,2における接着剤の塗工パターンを示す図である。
【図10】図10は、実施例1,2における凹部の形状を示す図である。
【図11】図11は、比較例1における接着剤の塗工パターンを示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1 液体塗工装置
2 供給手段
3 吐出ローラー
31 表面プレート
3a 凹部を覆う部分
3b 液体吐出部
3c 液体不透過部
31a パターン形成プレート
31a’ 孔部
31b 多孔性プレート
32 ローラー本体
33 凹部
35 本体部分
36 凹部形成用プレート
36a 孔部
4 転写手段
41 転写ローラー
5 接着剤塗工部(液体塗工部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体塗工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動する被塗工物に接着剤を所定パターンで塗工する接着剤塗工装置として、所定のパターンに対応した複数の吐出孔を有する筒状のパターンシリンダーと、該パターンシリンダーの内部に配設された駆動ドラムとを備え、供給手段から供給されるホットメルト接着剤をパターンシリンダーの裏面側に形成された凹部に一旦溜めたのち、パターンシリンダーの吐出孔から吐出させるようにした接着剤塗工装置が知られている(特許文献1参照)。
また、特許文献1には、凹部で一旦ホットメルト接着剤を溜めた後、上記吐出孔を通じて細孔から吐出させているので、ホットメルト接着剤に均一に圧力が作用し、より安定したパターン塗工を可能にしているとの記載がある。
【0003】
【特許文献1】特開平9−299849号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1記載の塗工装置においては、吐出量の不均一やばらつきが発生する場合があった。また、厚みのあるパターンシリンダーに吐出孔をあけるので、微小孔が加工しづらく、微細で複雑な塗工パターンに対応できない問題があった。
【0005】
従って、本発明の目的は、所定の塗工パターンで被塗工物に接着剤等の液体を塗工する際に、該液体を、塗工すべき領域の全域にむらなく均一に塗工することのできる液体塗工装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、供給手段から供給される液体を所定パターンで吐出する吐出ローラーを備え、該吐出ローラーから吐出された液体を、移動する被塗工物に塗工する液体塗工装置であって、前記吐出ローラーは、外周部を形成する表面プレートと、該吐出ローラーにおける該表面プレートより内側の部分を構成するローラー本体とを備えており、前記ローラー本体の外周部には、該ローラー本体の内部を通って導入される液体を、前記表面プレートの面に沿う方向に拡散させる所定形状の凹部が形成されており、前記表面プレートは、前記凹部を覆う部分に、該凹部の開口形状とは異なる形状に液体を吐出させる液体吐出部と、液体を透過させない液体不透過部とを有し、該液体吐出部は、多数の微細孔を有する多孔性材料からなる液体塗工装置を提供することにより、前記目的を達成したものである。
【0007】
また、本発明は、接着剤が塗工されて形成された粘着部を衣類当接面に有し、該粘着部を介して衣類に固定されて用いられる吸収性物品の製造方法であって、前記液体として接着剤を塗工する前記液体塗工装置により、前記衣類当接面を構成させるシート材に接着剤を塗工する工程を具備する吸収性物品の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、前記液体として接着剤を塗工する前記液体塗工装置により、吸収性物品の構成材料に接着剤を塗工する工程、及び該構成材料を該接着剤を介して他の構成材料と接合する工程を具備する吸収性物品の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の液体塗工装置によれば、所定の塗工パターンで被塗工物に接着剤等の液体を塗工するに際し、該液体を、塗工すべき領域の全域にむらなく均一に塗工することができる。また、微細で複雑なパターンも塗工することができる。
本発明の吸収性物品の製造方法によれば、接着剤を、塗工すべき領域にむらなく均一に塗工することができ、高品質の吸収性物品を効率的に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態である液体塗工装置(以下、本塗工装置1ともいう)の要部を示す斜視図である。
本塗工装置1は、ホットメルト接着剤の塗工装置であり、図1に示すように、ホットメルト接着剤を供給する供給手段2と、供給手段2から供給されるホットメルト接着剤を所定パターンで吐出する吐出ローラー3と、吐出ローラー3から吐出された所定パターンのホットメルト接着剤を、連続的に供給される帯状シート(被塗工物)Sの表面に転写する転写手段4とを具備する。
【0010】
供給手段2は、ホットメルト接着剤を収容したタンク(図示せず)と、このタンク及び吐出ローラー3を連結する供給管21と、この供給管21に介装されたポンプ(図示せず)と、この供給管21から分岐して前記タンクに連結された戻り管22と、供給管21からのホットメルト接着剤の流れを、戻り管22側又は吐出ローラー3側の何れかに切り替える制御弁23とを備えている。
【0011】
吐出ローラー3は、図1及び図2に示すように、吐出ローラー3の外周部を形成する表面プレート31と、吐出ローラー3における表面プレート31より内側(回転軸側)部分を構成するローラー本体32とを備えてなる。
ローラー本体32は、円柱状の形態を有し、その外周部には、周方向に間隔を開けて複数の凹部33が形成されている。各凹部33は、凹部33以外の部分との間に段差を設けて形成されており、その底面部には、該凹部33にホットメルト接着剤を導入する導入口34が設けられている。そして、表面プレート31が、凹部33を覆うように、ローラー本体32の外周面に固定されている。
【0012】
本塗工装置1におけるローラー本体32は、図2及び図3に示すように、その回転軸に近い部分を構成する本体部分35と、該本体部分35の外周面上に固定された凹部形成用プレート36とを有してなる。
凹部形成用プレート36は、該プレート36を厚み方向に貫通する孔部36aを有し、本体部分35の外周面に重ねられた状態において、該孔部36aの内周面と前記本体部分35の外周面とに囲まれた部分が凹部33となる。
凹部33は、その深さ方向(プレート36の厚み方向)における、前記本体部分35の外周面とは反対側に開口部を有し、その開口部の開口形状(平面視形状)が、凹部33の開口形状である。凹部33の開口部は、吐出ローラー3として組み立てられた状態においては、図2に示すように、表面プレート31に覆われている。
本体部分35は、円柱状の形態を有しその外周面に前記導入口34を有している。
凹部形成用プレート36は、その孔部36aの内側に、前記導入口34が位置するように固定されている。
【0013】
凹部33の3次元形状(所定形状)は、導入口34から凹部33内に導入された液体を、該凹部33内において、表面プレート31の面に沿う方向(吐出ローラー3の周方向及び軸長方向)に拡散させ得る形状であれば良い。
【0014】
凹部形成用プレート36は、本体部分35の外周面に、周方向に直列させて複数枚固定されており、これらの複数枚の凹部形成用プレート36によって、ローラー本体32の円筒状の外周部が形成されている。表面プレート31は、そのローラー本体32の、凹部形成用プレート36からなる外周部の更に外側に固定されている。表面プレート31は、凹部形成用プレート36の孔部36aによって形成される凹部33の全体を覆うように固定されている。本塗工装置1における表面プレート31は、一枚の凹部形成用プレート36に対して各一枚設けられており、それぞれ、ボルト等の固定具により、一枚の凹部形成用プレート36に対して脱着可能に固定されている。また、凹部形成用プレート36も、それぞれ、ボルト等の固定具により、本体部分35に対して脱着可能に固定されている。凹部形成用プレート36を本体部分35に固定する固定具が、表面プレート31を凹部形成用プレート36に固定する固定具を兼ねていても良い。凹部形成用プレート36は表面プレート31と固定してから本体部分35に固定してもよい。なお、表面プレート31は、ローラー本体32の周方向の全長に亘る長さを有するものであっても良く、該一枚の表面プレート31を、凹部形成用プレート36が固定された本体部分35に対して脱着自在に固定しても良い。
【0015】
図3に示すように、ローラー本体32の軸芯部には、吐出ローラー3の回転軸方向に延び、且つ供給管21から供給されたホットメルト接着剤が流入する主管路35bが設けられている。また、ローラー本体32の内部には、主管路35bと前記導入口34とを結ぶ複数の分岐管路35cが形成されている。そして、供給手段2の供給管21を通じて供給されたホットメルト接着剤が、主管路35b及び分岐管路35cを通じて導入口34から凹部33に導入され、該凹部33内に導入されたホットメルト接着剤が、凹部33内において、表面プレート31の面に沿う方向(表面プレート31の面と略平行な方向)に拡散した後、表面プレート31の孔を通って吐出ローラー3の表面から吐出されるようになしてある。表面プレート31の面に沿う方向は、凹部33の深さ方向に直交する方向でもある。また、表面プレート31の面に沿う方向への拡散は、少なくとも当該方向に拡散するという意味であり、当該方向への拡散と同時に表面プレート31の面と垂直な方向(凹部の深さ方向)に拡散することを妨げるものではない。
【0016】
本塗工装置1における表面プレート31は、図1及び図2に示すように、凹部33を覆う部分3aに、該凹部33の開口形状とは異なる形状に液体を吐出させる液体吐出部3bと、液体を透過させない液体不透過部3cとを有している。
液体吐出部3bは、液体が、表面プレート31を厚み方向に透過可能な部分であり、表面プレート31の凹部33を覆う部分3aにおける、液体不透過部3c以外の部分でもある。
液体吐出部3bの形状は、被塗工物Sに、どのような形状の液体塗工部5を形成するかに応じて適宜に決定することができる。本実施形態においては、図1及び図4に示すように、被塗工物Sに、長方形状の液体塗工部5を形成するために、個々の液体吐出部3bの形状を、液体塗工部5と同形状の長方形状としてある。
【0017】
凹部33の開口形状とは異なる形状に液体を吐出させるとは、吐出ローラーの表面に吐出される液体の形状、延いては、液体塗工部5の形状が、凹部33の開口形状によって決定されるのではなく、液体吐出部3bの形状によって決定されることを意味する。凹部33の開口形状と液体吐出部3bの平面視形状が相似形の場合も両者は異なる形状である。つまり凹部33の開口形状と液体吐出部3bの平面視形状は同一ではない。
個々の液体吐出部3bの大きさ(面積)は、被塗工物Sに、どのような大きさの液体塗工部5を形成するかに応じて適宜に決定することができ、例えば0.005〜10,000cm2とすることができる。生理用ナプキンやパンティライナー等の肌当接面に、ショーツ等に固定するためのズレ止め部(粘着部)を形成する場合、個々の液体吐出部3bの大きさ(面積)は、0.005〜500cm2とすることが好ましい。
尚、図4中の白抜き矢印は、吐出ローラー3の回転方向又は被塗工物Sの搬送方向を示す。
【0018】
本塗工装置1における表面プレート31は、凹部33を覆う部分3aに、液体吐出部3bを複数有しており、それらの液体吐出部3b、液体不透過部3cを挟んで相互に離間した状態に形成されている。複数の液体吐出部3bを有する場合であっても、本発明の装置においては、凹部33内を液体が良好に拡散するので、複数の液体吐出部3bそれぞれからムラのない均一な量の液体を吐出させることができる。尚、図1及び図4に示す例においては、一つの凹部33に対して6個の液体吐出部3bが形成されている。
【0019】
表面プレート31の個々の液体吐出部3bは、多数の微細孔を有する多孔性材料からなる。多孔性材料の微細孔は、液体吐出部3bの大きさに対して顕著に小さい。
本発明に用いられる多孔性材料としては、金網、エッチング開孔材、パンチングメタル、セラミックス、焼結金属、これらの積層体等を用いることができ、金網が好ましい。
【0020】
液体吐出部3bを構成する多孔性材料の平均孔径は、0.05〜2mm、特に0.07〜0.8mmであることが好ましく、多孔性材料の開口面積率は、1〜80%、特に10〜60%であることが好ましく、個々の孔の面積は、0.002〜3.2mm2、特に0.004〜0.5mm2であることが好ましい。また、一つの液体吐出部3bに含まれる多孔性材料の微細孔の孔数は、少なくとも3個以上である。
【0021】
多孔性材料の平均孔径及び孔の面積は、それぞれ、以下のようにして測定される。
平均孔径は、光学顕微鏡によって表面プレート31を真上から観察し、表面上の目開きの面積を少なくとも10点計測し、S(孔の面積)=PAI/4×d2(PAI=3.14)で逆算されるdを円相当径とし、これらの平均値とする。孔の面積は、例えばキーエンス製デジタルHDマイクロスコープVH−7000を使用し、観察される画面上の任意の点を囲むことにより簡単に計測できる。
【0022】
本塗工装置1における表面プレート31は、図4に示すように、凹部33の開口形状とは異なる形状の孔部31a’を有するパターン形成プレート31aと、該パターン形成プレート31aの該孔部31a’に重ねて配置された、多数の微細孔を有する多孔性プレート31bとからなる。パターン形成プレート31aは、液体の吐出パターンを決定するものである。多孔性プレート31bは、上述した多孔性材料からなる。多孔性プレート31bは、パターン形成プレート31aの孔部31a’に重ねられた部分が、上述した液体吐出部3bを構成し、パターン形成プレート31aの孔部31a’以外の部分(非孔部分)に重ねられた部分が、該非孔部分と共に、表面プレート31の液体不透過部3cを構成している。
本実施形態における多孔性プレート31bと、パターン形成プレート31aとは、孔部31a’以外の部分において、溶接、焼結、接着剤等により接合されて一体化されている。パターン形成プレート31aの形成材料としては、金属、樹脂等を用いることができ、例えば所定形状の開口を設けた薄板ステンレス、パンチングメタルやエッチング開孔材、ポリエステルメッシュ等を用いることができる。ポリエステルメッシュは、後加工でマスキングできる。
多孔性プレートとして、上述した多孔性材料を複数積層してなるものを用いることもできる。
【0023】
本実施形態における表面プレート31において、多孔性プレート31bは、パターン形成プレート31aより外側に位置しており、吐出ローラー3の最外面を構成している。このように多孔性プレート31bが最外面を構成することにより、表面が均一化され、段差を生じにくくなり、連続塗布での塗布の安定性が向上する。
【0024】
本実施形態における凹部33は、その深さ(凹部33の底面35aと表面プレート31との間の距離に同じ)が、その全域において均一である。凹部33の深さは、0.1〜5.0mmとすることが好ましく、0.5〜3.0mmとすることがより好ましい。
また、凹部33に設ける導入口34は、凹部33の底面積0.5〜10cm2 当たりに1個となる割合で設けることが好ましい。
【0025】
表面プレート31の厚みは、塗工すべき領域の全域にむらなく塗工する観点から、全体として2mm以下が好ましく、1mm以下がより好ましく、0.3〜0.9mmが一層好ましい。また、同様の観点から、表面プレート31の厚みは凹部33の深さに対して、0.05〜20倍であることが好ましく、0.1〜2倍であることが一層好ましい。
【0026】
ローラー本体32の本体部分35の一側端部には、供給手段2の供給管21の端部に回転自在に連結される管部35dが設けられており、他側端部には、図示しない駆動源の駆動軸に連結される軸部35eが設けられている。また、ローラー本体32の本体部分35の内部には、カートリッジヒーター等の加熱手段(図示せず)が組み込まれており、このカートリッジヒーター等によって温度調整を行うことで、ローラー本体32内を流れるホットメルト接着剤の粘度を制御できるようになしてある。
【0027】
転写手段4は、吐出ローラー3の表面プレート31からなる外周面及び帯状シートSの被塗工面に臨んで回転する転写ローラー41と、転写ローラー41の下方に配設されて転写ローラー41とともに帯状シートSを繰り出すニップローラー42とを備えている。
【0028】
転写ローラー41の外周面41aにはシリコーンゴム等の剥離容易性素材によってライニングが施されており、吐出されたホットメルト接着剤が容易に剥離して被塗工物表面に塗工されやすいようになしてある。また、転写ローラー41の内部には、管路(図示せず)が設けられており給水管路41bを通じて冷却水を循環させることによって、当該転写ローラー41の温度を低温度に制御できるようになしてある。転写ローラー41の一側端部には、給水管路41bに回転自在に連結される管部41cが設けられており、他端部には図示しない駆動源の駆動に連結される軸部41dが設けられている。
【0029】
本塗工装置1には、吐出ローラー3及び転写ローラー41の回転速度、制御弁23及びカートリッジヒーターのオンオフ、冷却水の循環量等をコントロールするコントローラー(図示せず)が搭載されており、使用するホットメルト接着剤、塗工パターン等に対応した塗工装置1の動作制御が行えるようになっている。
【0030】
次に、本塗工装置1の動作を説明する。
まず、図示しないタンク内にホットメルト接着剤を投入し、溶融状態とする。そして、吐出ローラー32及び転写ローラー41をその周速度が等しくなるように回転させる。また、ニップローラー42も、転写ローラー41とその周速度が等しくなるように回転させ、帯状シートSの搬送速度を、転写ローラー41の周速度と同一とする。
そして、溶融状態のホットメルト接着剤を、供給手段2の供給管21を通じて吐出ローラー3のローラー本体32内に図示しないポンプによって供給する。
【0031】
供給手段2から供給されたホットメルト接着剤は、ローラー本体32の本体部分35に形成された主管路35b及び分岐管路35cを通じて、その外周面に形成された導入口34から前記凹部33内に供給され、凹部33内において、表面プレート31の面に沿う方向に拡散した後、表面プレート31の液体吐出部3bの微細孔を通って吐出ローラー3の表面に導かれ、転写ローラー41の外表面に所定パターンで吐出される。
そして、この転写ローラー41が回転し、ニップローラー42との間を移動する帯状シートSの表面にホットメルト接着剤を転写する。
このようにして、帯状シートSの表面(被塗工面9)に、ホットメルト接着剤が塗工され、それにより、帯状シートSの表面に、液体吐出部3bの平面視形状と実質的に同一形状の接着剤塗工部5(液体塗工部)が形成される。
【0032】
本実施形態の塗工装置1によれば、液体吐出部3bが、多数の微細孔を有する多孔性材料からなり、それを透過するホットメルト接着剤に対して抵抗が加わるため、ホットメルト接着剤が表面プレート31の表面に流出しにくく、凹部33内に導入されたホットメルト接着剤が、凹部33内に比較的均一に充填される。そして、そのホットメルト接着剤が均一な圧力を受けて、液体吐出部3bから吐出される。そのため、複数の液体吐出部3bからホットメルト接着剤を吐出させる場合、複数の液体吐出部3bそれぞれから吐出される量にばらつきが生じにくくなる。また、一つの液体吐出部3bから吐出される液についても、位置によって吐出量が異なるといった吐出ムラが生じにくくなる。
そのため、表面プレート31から吐出されるホットメルト接着剤は、その吐出範囲の全域において吐出量が均一であり、転写ローラー41の外表面における、凹部33と重なる範囲の全域において均一な量のホットメルト接着剤が付着する。そして、そのように均一に付着したホットメルト接着剤が、帯状シートSに転写されるため、帯状シートSにおけるホットメルト接着剤が塗工された接着剤塗工部5は、その全域に均一な量のホットメルト接着剤が塗工されたものとなる。
このようにして、本塗工装置1によれば、所定の塗工パターンで被塗工物に接着剤を塗工するに際し、接着剤を、塗工すべき領域の全域にむらなく均一に塗工することができる。
【0033】
また、本実施形態の塗工装置1によれば、凹部33の開口形状ではなく、表面プレート31の液体吐出部3bの形状によって、吐出ローラーの表面に吐出するホットメルト接着剤の形状、延いては液体塗工部5の形状が決定されるようにしたので、塗工形状を変更する際に、表面プレート31の交換で簡便に対処することができる。即ち、本実施形態の塗工装置1においては、表面プレート31をローラー本体32に対して脱着可能に固定してあるため、接着剤の塗工パターンを変更する際に、表面プレート31のみを交換し、凹部形成用プレート36やローラー本体32は交換せずに同じものを用いることもできる。
【0034】
本発明で用いる接着剤は、ホットメルト接着剤であることが好ましいが、ホットメルト接着剤以外の接着剤、例えば、低密度ポリエチレン、ポリビニルアセテート、シリコン樹脂、糊等を用いることもできる。
ホットメルト接着剤としては、特に限定されないが、例えば、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)等のスチレン系ゴム、又はアモルファスポリαオレフィン(APAO)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)等のオレフィン系ポリマー等のホットメルト接着剤が挙げられる。
また、本発明における被塗工物は、特に限定されないが、例えば、不織布、織布、樹脂フィルム、編み物等からなるシート状物、若しくはこれらのシート状物が2層以上に積層されてなる積層体、これらのシート状物や積層体に更に他の部材を積層したり挟んだりしてなる物品等が挙げられる。被塗工物は、連続する帯状体であっても良いし、所定の長さを有し、所定の間隔をあけて順次搬送されているものであっても良い。
【0035】
上述した塗工装置1は、ホットメルト接着剤からなる粘着部を有し、該粘着部を介して衣類に固定されて用いられる吸収性物品の製造に好ましく用いることができる。このような吸収性物品としては、生理用ナプキンやパンティライナー(下り物シート)、失禁パッド等の身体から排出される液を吸収する吸収性物品が挙げられる。これらは、一般に、液保持性の表面シート、液難透過性(不透過性を含む概念)の裏面シート及びこれら両シート間に配された吸収体を具備し、衣類当接面にホットメルト接着剤からなる粘着部を有していたり、縦長の本体部分の左右両側にウイング部を有し、該ウイング部の片面(衣類当接面)にホットメルト接着剤からなる粘着部を有している。本体部分及びウイング部の両者に粘着部を有していても良い。
このような吸収性物品を製造する際には、衣類当接面を構成するシートの帯状の原反、又は他の材料と積層された該シートの帯状又は非帯状の原反に、上述した塗工装置1を用いてホットメルト接着剤を塗工して所定形状の粘着部を形成する。それ以外は、従来の吸収性物品の製造方法と同様である。
【0036】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されず適宜変更可能である。
例えば、図5に示すように、吐出ローラー3の本体部分35の外周面35aから所定の深さまでの外周部分35fが、それより軸芯側の部分に対して脱着可能に固定された別部材から形成されていても良い。外周部分35fを構成する部材は、一の分岐管路35cを更に複数に分岐させる分岐管路35c’,35c’,35c’を有している。斯かる構成により、凹部33に接着剤を導く流路の設計が一層容易となる。
尚、供給手段2から供給されたホットメルト接着剤を凹部33に導く経路は、凹部33に接着剤を導くことができる限り制限されず、多様に変形可能である。
【0037】
また、図6に示す接着剤塗工装置1Aは、ニップローラー42の回転に従動して回転する以外は、図1に示す吐出ローラー3と同様の構成を有する吐出ローラー3Aを備えている。接着剤塗工装置1Aは、転写ローラー41を具備していない。
この接着剤塗工装置1Aにおいては、吐出ローラー3Aとニップローラー42との間を移動する帯状シートSに対して、吐出ローラー3Aの外表面から直接、ホットメルト接着剤が塗工される。この接着剤塗工装置1Aにおいても、吐出ローラー3Aの外表面を構成する表面プレート31は、その下に位置する凹部を覆う部分に、多数の微細孔を有する多孔体性材料からなる液体吐出部と液体不透過部とを有し、該液体吐出部からホットメルト接着剤が吐出される。そのため、上述した塗工装置1と同様の効果が奏される。
【0038】
また、上述した塗工装置1においては、表面プレート31として、パターン形成プレート31aと多孔性プレート31bとを積層一体化したものを用いていたが、そのような表面プレートに代えて、図7に示すように、多数の微細孔を有する一枚の多孔性プレート31cに、目止め処理により液体不透過部3cを形成してなる表面プレート31を用いることもできる。目止め処理とは、多孔性材料の微細孔に、樹脂や金属等の目止め材を充填して、液が通過できなくなるようにする処理である。目止め材は、溶融状態で微細孔に充填した後、固化させることが好ましい。
図7に示す実施形態においては、多孔性プレート31cの凹部33を覆う部分3aに、目止め処理により形成した液不透過部3cと、目止め処理されていない液体吐出部3bとが形成されており、上述した塗工装置1と同様の効果が奏される。
【0039】
また、上述した塗工装置1において用いた表面プレート31は、パターン形成プレート31aの上に多孔性プレート31bを重ねたものであったが、パターン形成プレート31aの下に多孔性プレート31bを重ねたものを用いることもでき、また、2枚の多孔性プレートの間にパターン形成プレートを挟んで一体化した3層構造の表面プレートを用いることもできる。なお、多孔性プレートは複数の層で構成されていてもよい。
【0040】
また、凹部33の開口形状は、任意の形状とすることができる。例えば、図1に示した瓢箪様の形状の他、図8に示すように長方形状とすることもでき、更に正方形状、円形状、長円状、菱形状、ハート状等とすることができる。また、パターン形成プレートの孔部31a’の形状及び液体吐出部3bの形状も、吐出ローラーの軸長方向に縦長の長方形状に限られず、任意の形状とすることができる。例えば、吐出ローラーの中方向に縦長の長方形状としたり、図8に示すように円形状としたり、更に正方形状、長円状、菱形状、ハート状等とすることができる。また、一つの凹部33に対して形状の異なる複数の液体吐出部3bを形成することもできる。
また、一つの凹部33に対して形成する液体吐出部3bの個数は、1個でも良く、複数個でも良い。複数個形成する場合、例えば2〜1000個とすることができ、2〜100個程度が好ましい。凹部33毎に液体吐出部3bの個数を異ならせても良い。
【0041】
また、本発明の液体塗工装置は、液体として、接着剤に代えて他の液体を塗工するものであっても良い。接着剤以外の液体としては、油剤、乳液剤、クリーム、保湿剤、ローション等が挙げられる。
また、本発明の液体塗工装置は、吸収性物品の製造工程において、吸収性物品の構成材料に接着剤を塗工するのに用いることも好ましい。接着剤が塗工された構成材料は、該接着剤を介して他の構成材料と接合することができる。吸収性物品の構成材料としては、例えば、表面シート、吸収体、裏面シート、ウイング部形成用のシート、立体ギャザー形成用のシート等が挙げられるが、これらに限られるものではない。
【0042】
更に、本発明の一の実施形態における説明省略部分及び一の実施形態のみが有する要件は、それぞれ他の実施形態に適宜適用することができ、また、各実施形態における要件は、適宜、実施形態間で相互に置換可能である。
【実施例】
【0043】
以下、本発明を実施例を示して更に詳細に説明するが、本発明は、斯かる実施例により何ら制限されるものではない。
【0044】
〔実施例1〕
図1示す液体塗工装置を用いて、接着剤を連続する坪量38g/m2の剥離紙に塗工し、塗工された接着剤について評価を行った。
吐出ローラーの表面プレートは、次の多層のステンレス金網を用いた。多孔性材料(開孔材料)は、メッシュサイズ#100(開孔の大きさ0.16mm×0.16mmで25.4mm当たり100ヶの開孔)、厚み0.15mmのステンレス金網で使用し、この金網を角度を45度づつずらしながら4枚積層し、4層積層体を形成した。この4層積層体の上に、厚み0.15mmのステンレス材からなるパターン形成プレートを乗せ、その上に前述のステンレス金網を更に1層を乗せ、これら合計6層を焼結にて一体化させ、表面プレートを得た。得られた表面プレートの総厚みは0.9mmであった。表面プレートは、4層のステンレス金網の最下層が凹部形成用プレートの面に接し、1層のステンレス金網が最外層となり、パターン形成プレートは表面プレートの最外層から2層目に位置している。なお、パターン形成プレートは、図9に示す接着剤部分(液体塗工部5)が開孔されて液が透過する孔部31a’となっている。
孔部36aを有する厚み1.0mmのステンレス製の凹部形成用プレート36を、表面プレート31と一緒にボルトで本体部分35に固定した。凹部形成用プレートの孔部36aは、幅(W)47mm、長さ(L)132mm、面積57.3cm2の小判形状であり、凹部形成用プレート36の孔部36aの内周面と本体部分35の外周面によって、深さ1.0mmで図10の形状の凹部33が形成されている。
【0045】
液体塗工装置の吐出ローラーの温度は165℃とし、速度100m/min、接着剤の液圧1MPaで行った。接着剤は、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)のスチレン系ゴムのホットメルト接着剤を用い、粘度1,600mPa・s(160℃)で塗工した。
接着剤(液体塗工部5)の塗工パターンは、図9に示す形状であり、パターン形成プレートの孔部31a’も同様の形状とした。接着剤のパターンの設計値は、面積は全体で21.3cm2、外形の大きさ(長さL1×幅W1)130×48mm、中央のくびれ部の最小幅(幅W2)42mm、坪量50g/m2である。
【0046】
〔実施例2〕
表面プレート31の構成以外、実施例1と同様にして、接着剤を剥離紙に塗工し、塗工された接着剤について評価を行った。
表面プレート31は、実施例1と同じステンレス金網を用いて、4層積層体を形成し、その4層積層体を、実施例1と同じパターン形成プレート31aに重ね、これら合計5層を焼結にて一体化させた。得られた表面プレートの総厚みは0.75mmであった。表面プレートは、最外周面を4層のステンレス金網とし、パターン形成プレート31aを凹部形成用プレート36側に向けて用いた。
【0047】
〔比較例1〕
実施例1の表面プレートおよび凹部形成用プレートに変えて、ローラー本体の外周部に以下の構成の金属板を配置し、実施例1と同様にして、接着剤を剥離紙に塗工し、塗工された接着剤について評価を行った。なお、比較例では、図11の接着剤塗布部5のパターンにて塗工を行った。
金属板は、厚み12mmであり、図11に示す形状の深さ7mmの凹部が設けられており、該凹部内には径350μmの焼結金属からなる多孔性材料が配置されている。多孔性材料は液体通過径40μmである。金属板の凹部の底面には、接着剤流入用の多数の分岐管路が開口しており、多孔性材料が満たされた部分全域が、液体吐出部3bとなる。
接着剤のパターンの設計値は、面積は全体で52.4cm2、外形の大きさ130×48mm、中央のくびれ部の最小幅37mm、坪量30g/m2である。
【0048】
〔評価方法および評価結果〕
実施例1、2、比較例1の装置により、剥離紙へ塗工した接着剤について、次の評価を行った。なお、接着剤はn=5で評価した。
<外形寸法>
剥離紙に付着した接着剤について、長手方向の長さ(L1)及び中央くびれ部の幅(W2)を測定した。次に、長手方向の長さ及び中央くびれ部の幅(測定値)を、それぞれの設計値で割り、設計値に対する比率を算出した。設計値に対して110%までを許容値とする。
【0049】
<塗工量のフレ幅と塗工量の均一性>
塗工された接着剤(n=5)について、パターン形状の長手方向およびその直交方向に、各々均等に3分割し合計9つの領域に分け、各領域の接着剤の重量を測定した。次に、各領域の重量(平均値)を各領域の設計面積で割り、各領域の坪量を求めておく。求めた各領域の坪量について、設定坪量に対する比率を求め、9領域の最大値から最小値を差し引き、塗工坪量のフレ幅を算出した。塗工量の均一性に対する評価基準は以下の通りである。
◎:塗工坪量のフレ幅が10%以内
○:塗工坪量のフレ幅が10%超15%以内
△:塗工坪量のフレ幅が15%超20%以内
×:塗工坪量のフレ幅が20%を超える
【0050】
<パターン明瞭性>
剥離紙に付着した接着剤に対して、剥離紙より剥離性の高いフィルムを貼り合わせて巻き取り、フィルムに付着したパターン形状を目視にて評価した。
評価基準は以下の通りである。
◎:塗工パターン内部において接着剤の抜けがなく、パターン全域が均等に明瞭。
○:塗工パターン内部において接着剤の明らかな抜けがない。抜けがあっても2mm以下の大きさである。
△:塗工パターン内部において、2mmより大きく、5mmより小さい抜けがある。
×:塗工パターン内部において、5mm以上の大きさの抜けがある。
【0051】
表1に評価結果を纏めて示した。
【表1】
【0052】
表1に示すように、本発明の実施例1、2は、比較例に比べ、塗工すべき領域の全域にむらなく均一に塗工していることが確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、本発明の液体塗工装置の一実施形態を示す要部斜視図である。
【図2】図2は、同実施形態における吐出ローラーの外周面近傍の構成を示す要部断面図である。
【図3】図3は、同実施形態におけるローラー本体を示す斜視図である。
【図4】図4(a)は、同実施形態における多孔性プレートをその法線方向から視た図であり、図4(b)は、同実施形態におけるパターン形成プレートをその法線方向から視た図であり、図4(c)は、同実施形態における凹部を該凹部底面の法線方向から視た図であり、図4(d)は、同実施形態における液体(接着剤)の塗工パターンを示す帯状シートの平面図である。
【図5】図5は、本発明の液体塗工装置の更に他の実施形態を示す図(図2相当図)である。
【図6】図6は、本発明の液体塗工装置の更に他の実施形態を示す模式側面図である。
【図7】図7は、本発明の液体塗工装置の更に他の実施形態を示す図(図2相当図)である。
【図8】図8は、本発明の液体塗工装置の更に他の実施形態における、液体吐出部及び凹部と示す図である。
【図9】図9は、実施例1,2における接着剤の塗工パターンを示す図である。
【図10】図10は、実施例1,2における凹部の形状を示す図である。
【図11】図11は、比較例1における接着剤の塗工パターンを示す図である。
【符号の説明】
【0054】
1 液体塗工装置
2 供給手段
3 吐出ローラー
31 表面プレート
3a 凹部を覆う部分
3b 液体吐出部
3c 液体不透過部
31a パターン形成プレート
31a’ 孔部
31b 多孔性プレート
32 ローラー本体
33 凹部
35 本体部分
36 凹部形成用プレート
36a 孔部
4 転写手段
41 転写ローラー
5 接着剤塗工部(液体塗工部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給手段から供給される液体を所定パターンで吐出する吐出ローラーを備え、該吐出ローラーから吐出された液体を、移動する被塗工物に塗工する液体塗工装置であって、
前記吐出ローラーは、外周部を形成する表面プレートと、該吐出ローラーにおける該表面プレートより内側の部分を構成するローラー本体とを備えており、
前記ローラー本体の外周部には、該ローラー本体の内部を通って導入される液体を、前記表面プレートの面に沿う方向に拡散させる所定形状の凹部が形成されており、
前記表面プレートは、前記凹部を覆う部分に、該凹部の開口形状とは異なる形状に液体を吐出させる液体吐出部と、液体を透過させない液体不透過部とを有し、該液体吐出部は、多数の微細孔を有する多孔性材料からなる液体塗工装置。
【請求項2】
前記液体吐出部は、前記液体不透過部を挟んで相互に離間した状態に複数形成されている請求項1記載の液体塗工装置。
【請求項3】
前記表面プレートは、前記凹部の開口形状とは異なる形状の孔部を有するパターン形成プレートと、該パターン形成プレートの該孔部に重ねて配置された、多数の微細孔を有する多孔性プレートとからなる請求項1又は2記載の液体塗工装置。
【請求項4】
前記多孔性プレートが、前記吐出ローラーの最外面を形成している請求項3記載の液体塗工装置。
【請求項5】
前記表面プレートは、多数の微細孔を有する多孔性プレートに、目止め処理により前記液体不透過部を形成してなる、請求項1又は2記載の液体塗工装置。
【請求項6】
前記表面プレートは、前記ローラー本体に対して脱着可能に固定されている請求項1〜5の何れかに記載の液体塗工装置。
【請求項7】
前記液体が、接着剤である請求項1〜6の何れかに記載の液体塗工装置。
【請求項8】
接着剤が塗工されて形成された粘着部を衣類当接面に有し、該粘着部を介して衣類に固定されて用いられる吸収性物品の製造方法であって、
請求項7に記載の液体塗工装置により、前記衣類当接面を構成させるシート材に接着剤を塗工する工程を具備する吸収性物品の製造方法。
【請求項9】
請求項7に記載の液体塗工装置により、吸収性物品の構成材料に接着剤を塗工する工程、及び該構成材料を該接着剤を介して他の構成材料と接合する工程を具備する吸収性物品の製造方法。
【請求項1】
供給手段から供給される液体を所定パターンで吐出する吐出ローラーを備え、該吐出ローラーから吐出された液体を、移動する被塗工物に塗工する液体塗工装置であって、
前記吐出ローラーは、外周部を形成する表面プレートと、該吐出ローラーにおける該表面プレートより内側の部分を構成するローラー本体とを備えており、
前記ローラー本体の外周部には、該ローラー本体の内部を通って導入される液体を、前記表面プレートの面に沿う方向に拡散させる所定形状の凹部が形成されており、
前記表面プレートは、前記凹部を覆う部分に、該凹部の開口形状とは異なる形状に液体を吐出させる液体吐出部と、液体を透過させない液体不透過部とを有し、該液体吐出部は、多数の微細孔を有する多孔性材料からなる液体塗工装置。
【請求項2】
前記液体吐出部は、前記液体不透過部を挟んで相互に離間した状態に複数形成されている請求項1記載の液体塗工装置。
【請求項3】
前記表面プレートは、前記凹部の開口形状とは異なる形状の孔部を有するパターン形成プレートと、該パターン形成プレートの該孔部に重ねて配置された、多数の微細孔を有する多孔性プレートとからなる請求項1又は2記載の液体塗工装置。
【請求項4】
前記多孔性プレートが、前記吐出ローラーの最外面を形成している請求項3記載の液体塗工装置。
【請求項5】
前記表面プレートは、多数の微細孔を有する多孔性プレートに、目止め処理により前記液体不透過部を形成してなる、請求項1又は2記載の液体塗工装置。
【請求項6】
前記表面プレートは、前記ローラー本体に対して脱着可能に固定されている請求項1〜5の何れかに記載の液体塗工装置。
【請求項7】
前記液体が、接着剤である請求項1〜6の何れかに記載の液体塗工装置。
【請求項8】
接着剤が塗工されて形成された粘着部を衣類当接面に有し、該粘着部を介して衣類に固定されて用いられる吸収性物品の製造方法であって、
請求項7に記載の液体塗工装置により、前記衣類当接面を構成させるシート材に接着剤を塗工する工程を具備する吸収性物品の製造方法。
【請求項9】
請求項7に記載の液体塗工装置により、吸収性物品の構成材料に接着剤を塗工する工程、及び該構成材料を該接着剤を介して他の構成材料と接合する工程を具備する吸収性物品の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−113029(P2009−113029A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−198998(P2008−198998)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】
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