説明

液体容器および画像形成装置

【課題】インクジェット記録装置から取り外さずにインク収容袋を交換できるインクカートリッジ、および、前記インクカートリッジを有するインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】液体容器1が、前記画像形成装置101の装填部2に滑動可能に装填される。前記液体容器1には、前記装填部2に係止する係止突起9と記録ヘッド132から吐出される液体が充填された液体収容袋40を収容する開口部14とが設けられる。前記開口部14が、常時開口される。前記液体収容袋40には、前記開口部14に着脱可能に装着される取付具30が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク等の液体が充填された液体収容袋を保持する液体容器、および、前記液体容器を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタやファクシミリ、複写装置、これらの複合機等の画像形成装置として、例えば、インクジェット記録装置が知られている。インクジェット記録装置は、紙やOHPシート等の記録媒体にプリントヘッドからインクを吐出して画像を形成している。
【0003】
インクジェット記録装置は、往復移動するキャリッジにプリントヘッドを設けたシリアルヘッド方式インクジェット記録装置と、固定されたプリントヘッドを有するライン型ヘッド方式インクジェット記録装置と、がある。
【0004】
シリアル型ヘッド方式インクジェット記録装置は、記録媒体上を往復移動するプリントヘッドからインク液滴を吐出し、記録媒体に画像を形成する。ライン型ヘッド方式インクジェット記録装置は、記録媒体の幅に形成されたプリントヘッドからインク液滴を吐出し、搬送される記録媒体に画像を一挙に形成する。
【0005】
ライン型ヘッド方式プリントヘッドは、記録媒体の幅に形成されているため、大型となり、製造コストが高価である。シリアル型ヘッド方式プリントヘッドは、比較的小型であり、製造コストが安価である。このため、小型で安価であるシリアル型ヘッド方式インクジェット記録装置が普及している。
【0006】
シリアル型ヘッド方式インクジェット記録装置は、キャリッジに装着したインクカートリッジからプリントヘッドにインクを供給するオンキャリッジ方式と、装置本体等に装着したインクカートリッジからプリントヘッドにインクをポンプとチューブ等を介して供給するオフキャリッジ方式と、がある。
【0007】
オンキャリッジ方式は、キャリッジにインクカートリッジを装着しているため、前記キャリッジが大型となって重量が増加する。このため、画像形成速度を高めるためにプリントヘッドを高速で移動させると、プリントヘッドのぶれが大きくなる。
【0008】
オフキャリッジ方式は、ポンプとチューブ等を介してインクがプリントヘッドに供給されるため、キャリッジが小型で軽量となる。このため、プリントヘッドを高速で移動させて、画像形成速度を上げることができる。また、装置本体等に装着するインクカートリッジの容量を大きくすることで、画像形成量を容易に増加することができる。このため、オフキャリッジ方式のインクジェット記録装置は、大量かつ高速で画像を形成する業務用等の用途に使用されている。
【0009】
オフキャリッジ方式のインクジェット記録装置として、種々のものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載のインクジェット記録装置は、装置本体に装着されるインクカートリッジ内にインク収容袋を交換可能に収容しているため、該インク収容袋を交換することでインクの交換ができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載のインクジェット記録装置は、装置本体からインクカートリッジを取り外さなくては、インク収容袋の交換ができないため、取り外されたインクカートリッジが机や作業台等の上に置かれた状態において、インク収容袋が交換される。このため、特許文献1に記載のインクジェット記録装置は、インク収容袋の交換のために、机や作業台等のスペースが必要とされる。
【0011】
本発明は、インクジェット記録装置から取り外さずにインク収容袋を交換できるインクカートリッジ、および、前記インクカートリッジを有するインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、画像形成信号に対応して液体を吐出する記録ヘッドと、前記記録ヘッドの下方に設けられ該記録ヘッドから吐出された液体によって画像が形成される記録媒体を移動させる搬送部と、を有する画像形成装置における液体容器において、(イ)前記液体容器が、前記画像形成装置の装填部に滑動可能に装填され、(ロ)前記液体容器には、前記装填部に係止する係止突起と前記記録ヘッドから吐出される液体が充填された液体収容袋を収容する開口部とが設けられ、(ハ)前記開口部が、常時開口され、かつ、(ニ)前記液体収容袋には、前記開口部に着脱可能に装着される取付具が設けられていることを特徴とする液体容器である。
【0013】
請求項2に記載された発明は、前記液体収容袋が、前記液体収容袋の略平面の法線方向に着脱されることを特徴とする請求項1に記載の液体容器である。
【0014】
請求項3に記載された発明は、前記液体容器には、一端側が前記取付具と係合すると共に、他端側が前記装填部と係合する板ばねが設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体容器である。
【0015】
請求項4に記載された発明は、前記液体が、インクとされていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の液体容器である。
【0016】
請求項5に記載された発明は、前記液体が、洗浄剤とされていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の液体容器である。
【0017】
請求項6に記載された発明は、画像形成信号に対応して液体を吐出する記録ヘッドと、前記記録ヘッドから吐出された液体によって画像が形成される記録媒体を移動させる搬送部と、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の液体容器と、前記液体容器を滑動可能に装填する装填部と、が設けられていることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載された発明によれば、装填部から液体容器が取り外されない状態において、取付具が、前記液体容器から着脱される。このため、前記液体容器を前記装着部から取り外すことなく液体収容袋の交換ができる。
【0019】
請求項2に記載された発明によれば、液体収容袋が該液体収容袋の法線方向に着脱されるため、前記液体収容袋の交換作業が容易に行える。
【0020】
請求項3に記載された発明によれば、取付具と装着部とに係合する部材が板ばねのみから形成されているため、部品点数が削減される。
【0021】
請求項4に記載された発明によれば、液体容器が、インクの液滴を記録ヘッドから吐出するインクジェット記録装置に適応される。
【0022】
請求項5に記載された発明によれば、液体容器が、画像形成装置の洗浄に使用される。
【0023】
請求項6に記載された発明によれば、画像形成装置は、装填部から液体容器が取り外されない状態において、取付具が、前記液体容器から着脱される。このため、画像形成装置は、インクカートリッジの収容袋の交換作業用スペースが不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態にかかるインクジェット記録装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示すインクジェット記録装置の構成を示す側面図である。
【図3】図1に示すインクジェット記録装置の構成を示す平面図である。
【図4】図1に示すインクジェット記録装置のカートリッジホルダとインクカートリッジとを示す斜視図である。
【図5】図4に示すインクカートリッジの斜視図である。
【図6】図4に示すインクカートリッジの側面図である。
【図7】図5に示すインクカートリッジに取り付けられるアダプタとインク収容袋とを示す斜視図である。
【図8】図7に示すアダプタの背面図である。
【図9】図7に示すインク収容袋の側面図である。
【図10】インク収容袋の交換操作を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、図1〜図10を参照して説明する。
本発明の一実施形態にかかる画像形成装置は、シリアル型ヘッド方式のインクジェット記録装置である。
【0026】
インクジェット記録装置101は、図1に示すように、装置本体102と、該装置本体102に記録媒体としての用紙140を給紙する給紙トレイ111と、前記装置本体102によって画像が形成(印刷)された用紙140をストックする排紙トレイ127と、前記装置本体102にインクを供給する液体容器であるインクカートリッジ1と、該インクカートリッジ1が着脱可能に装填されるカートリッジホルダ2と、該カートリッジホルダ2の上部に設けられた操作部163と、前記カートリッジホルダ2の前カバー166と、を有している。
【0027】
装置本体102は、図2および図3に示すように、用紙140にインク液滴で画像を形成する画像形成部103と、該画像形成部103に用紙140を供給する給紙部104と、前記画像形成部103の下部で用紙140を搬送する副走査搬送部105と、前記画像形成部103によって画像が形成された用紙140を排紙する排紙部106と、前記画像形成部103にインクを供給するインク供給部107と、前記画像形成部103の性能を維持回復する維持回復処理部108と、が設けられている。
【0028】
画像形成部103は、図3に示すように、装置本体102のフレームを構成する右側板161と左側板162とに横架されたガイドロッド133,134と、該ガイドロッド133,134とに摺動自在に保持されるキャリッジ130と、該キャリッジ130を主走査方向(矢示A方向)に往復移動させる主走査装置と、が設けられている。
【0029】
キャリッジ130は、用紙140に液体であるインクの液滴を吐出する記録ヘッドとしてのプリントヘッド132と、該プリントヘッド132にインクを供給するサブタンク131と、前記キャリッジ130の主走査方向の位置や移動量を検出するリニアエンコーダ135と、を有している。
【0030】
プリントヘッド132は、インク吐出ノズル(以下、ノズルと称する。)を主走査方向と交差する方向に配列し、インク液滴の吐出方向を下方に向けて設けられている。プリントヘッド132は、イエロー(Y)のインク液滴を吐出するプリントヘッド132dと、シアン(C)のインク液滴を吐出するプリントヘッド132bと、マゼンタ(M)のインク液滴を吐出するプリントヘッド132cと、ブラック(Bk)のインク液滴を吐出するプリントヘッド132aと、が設けられている。
【0031】
プリントヘッド132は、ピエゾ素子などの電気機械変換素子で加圧したインクをノズルから吐出させる圧電型のプリントヘッドが使用されている。また、プリントヘッド132は、静電気力で振動板を変位させてインクを加圧する静電型や、ヒーターの加熱によってインク内に気泡を発生させて該インクを加圧するサーマル型などを使用できる。
【0032】
プリントヘッド132は、画像形成時には、停止している用紙140にインクを吐出して一行分の画像を形成し、後述する副走査搬送部105によって用紙140が所定量搬送された後、次の行の画像を形成する。画像形成の終了時には、画像形成終了信号、又は、用紙140の後端が画像形成領域に到達した信号を受け取ることによって、画像形成動作を終了する。
【0033】
サブタンク131は、前記インクカートリッジ1のインクの交換にかかる所要時間程度であれば、画像形成可能な量のインクを保持できる容量に形成されている。イエロー(Y)のインクのサブタンク131dは、イエロー(Y)のインク液滴を吐出するプリントヘッド132dに一体的に設けられている。シアン(C)のインクのサブタンク131bは、シアン(C)のインク液滴を吐出するプリントヘッド132bに一体的に設けられている。マゼンタ(M)のインクのサブタンク131cは、マゼンタ(M)のインク液滴を吐出するプリントヘッド132cに一体的に設けられている。ブラック(Bk)のインクのサブタンク131aは、ブラック(Bk)のインク液滴を吐出するプリントヘッド132aに一体的に設けられている。
【0034】
リニアエンコーダ135は、インクジェット記録装置101のフレームを構成する右側板161と左側板162とに横架されたスケール136と、前記キャリッジ130に設けられたセンサ137と、を有している。リニアエンコーダ135は、透過型光電式スケールが使用されている。また、リニアエンコーダ135は、反射型光電式スケール、レーザホロスケール、電磁誘導式スケール等が使用できる。
【0035】
図示しない主走査装置は、駆動ローラと、従動ローラと、前記駆動ローラと前記従動ローラとの間に掛架されるタイミングベルトと、を有している。駆動ローラは、主走査モータにより駆動されている。主走査装置は、前記主走査モータの正逆回転によって、タイミングベルトに接続された前記キャリッジ130を主走査方向に往復移動させる。
【0036】
維持回復処理部108は、図3に示すように、前記キャリッジ130の移動方向右端側の画像形成領域を外れた位置に設けられた維持回復装置170と、前記キャリッジ130の移動方向左端側の画像形成領域を外れた位置に設けられた空吐出受け174と、を有している。
【0037】
維持回復装置170は、プリントヘッド132のノズル面をキャッピングして湿潤に保ってインク乾燥によるインク吐出不良を防止するキャップ171と、画像形成とは関係しないインクを画像形成開始前や画像形成途中などに吐出させる空吐出受け172と、ノズル面に付着したインクやゴミ等をワイピングして除去するワイパーブレード173と、前記キャップ171でノズル面を密封してノズルからインクとともに気泡等を吸い出す吸引手段と、を設けられている。
【0038】
キャップ171は、各色のインク液滴を吐出するプリントヘッド132に対応して設けられている。キャップ171dは、イエロー(Y)のインク液滴を吐出するプリントヘッド132dのノズル面をキャッピングする。キャップ171bは、シアン(C)のインク液滴を吐出するプリントヘッド132bのノズル面をキャッピングする。キャップ171cは、マゼンタ(M)のインク液滴を吐出するプリントヘッド132cのノズル面をキャッピングする。キャップ171aは、ブラック(Bk)のインク液滴を吐出するプリントヘッド132aのノズル面をキャッピングする。
【0039】
空吐出受け174は、画像形成とは関係しないインクを画像形成開始前や画像形成途中などに吐出させる開口部175が設けられている。空吐出受け174は、各色のインク液滴を吐出するプリントヘッド132に対応して開口部175が設けられている。開口部175dは、イエロー(Y)のインク液滴を吐出するプリントヘッド132dのノズルから空吐出されたインクを受け入れる。開口部175bは、シアン(C)のインク液滴を吐出するプリントヘッド132bのノズルから空吐出されたインクを受け入れる。開口部175cは、マゼンタ(M)のインク液滴を吐出するプリントヘッド132cのノズルから空吐出されたインクを受け入れる。開口部175aは、ブラック(Bk)のインク液滴を吐出するプリントヘッド132aのノズルから空吐出されたインクを受け入れる。
【0040】
空吐出受け172,174にプリントヘッド132の全てのノズルからインクを空吐出することによって、プリントヘッド132の全てのノズル内のインク粘度が一定となり、安定したインク吐出性能が維持される。空吐出されたインクや吸引されたインクは、装置本体102の下部に設置した廃インク溜に送られ、該廃インク溜内のインク吸収体に吸収保持される。
【0041】
給紙部104は、図2に示すように、底板112を有する給紙トレイ111と、前記底板112に載置された用紙140を給紙する給紙カム113と、該給紙カム113によって繰り出された二枚目以降の用紙140の前進を阻止するフリクションパッド114と、前記給紙カム113によって繰り出された一枚目の用紙140を上方に案内するガイド部材115と、該ガイド部材115によって案内された用紙140を後述する副走査搬送部105の搬送ベルト121に押し当てるカウンタローラ117と、該カウンタローラ117によって搬送ベルト121に押し当てられた用紙140を副走査搬送部105と画像形成部103との間に送る搬送ガイド部材118と、が設けられている。
【0042】
給紙部104は、用紙140の表裏を反転させる両面ユニット110を有している。両面ユニット110は、装置本体102の背面部に着脱自在に装着されている。両面ユニット110は、前記搬送ベルト121の逆回転で戻された用紙140を取り込んで表裏を反転させ、前記カウンタローラ117と前記搬送ベルト121との間に表裏が反転した用紙140を給紙する。両面ユニット110は、手差しトレイ110aを有している。
【0043】
副走査搬送部105は、図2および図3に示すように、搬送ローラ122と、テンションローラ123と、前記搬送ローラ122とテンションローラ123との間に掛架され前記用紙140を副走査方向(矢示B方向)に搬送する搬送ベルト121と、前記給紙部104から給紙された用紙140を前記搬送ベルト121に押し当てる加圧コロ120が設けられた押え部材119と、前記搬送ベルト121の表面を帯電させる帯電ローラ116と、が設けられている。
【0044】
帯電ローラ116は、制御回路によって制御された高圧電源によって、プラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返して印加されている。
【0045】
搬送ベルト121は、無端状ベルトである。搬送ベルト121は、副走査モータによって駆動される搬送ローラ122と、従動ローラであるテンションローラ123との間に掛架されており、前記搬送ローラ122の回転駆動力によって副走査方向に周回される。搬送ベルト121は、前記帯電ローラ116によって、副走査方向に所定の幅で帯状にプラスとマイナスとに交互に帯電される。搬送ベルト121は、プラスとマイナスとに交互に帯電した静電力によって用紙140を吸着した状態で搬送する。
【0046】
排紙部106は、図2に示すように、静電力によって吸着された用紙140を前記搬送ベルト121から分離する分離爪124と、該分離爪124によって前記搬送ベルト121から分離された用紙140を排出する排紙ローラ125と、該排紙ローラ125に当接して従動する拍車126と、前記排紙ローラ125と前記拍車126とに狭持されて排紙された用紙140をストックする排紙トレイ127と、が設けられている。
【0047】
インク供給部107は、図3に示すように、液体容器としてのインクカートリッジ1と、該インクカートリッジ1を前記装置本体102に搭載する装填部としてのカートリッジホルダ2と、前記インクカートリッジ1内のインクを送液する送液ポンプ151と、該送液ポンプ151から送液されるインクを前記サブタンク131に供給する送液チューブ152と、が設けられている。送液チューブ152は、前記各色のインク毎に設けられている。
【0048】
カートリッジホルダ2は、図3および図4に示すように、イエロー(Y)のインクのインクカートリッジ1dと、シアン(C)のインクのインクカートリッジ1bと、マゼンタ(M)のインクのインクカートリッジ1cと、ブラック(Bk)のインクのインクカートリッジ1aと、がスライド可能に装填されている。なお、ライトイエロー、ライトシアン、ライトマゼンタ、フォトブラック等のインクのカートリッジと、前記4色のインクのカートリッジと、の計8色を同時に装填しても良い。
【0049】
カートリッジホルダ2は、図4に示すように、該カートリッジホルダ2の上面に、インクカートリッジ1に設けた係止突起9を滑合して案内するとともに、一端部3a(図10に示す)が前記係止突起9と係合するガイド溝3が形成されている。ガイド溝3は、略中間位置にインクカートリッジ1に設けられた係合部材としての板ばね22の係合部22bと係合する係止部4が形成されている。カートリッジホルダ2は、後述するインク収容袋40からインクを吸い出す中空針が設けられている。
【0050】
インクカートリッジ1は、図4に示すように、カートリッジ本体7と、該カートリッジ本体7に着脱自在に装着される取付具としてのアダプタ30と、該アダプタに取り付けられ、且つ、液体であるインクが充填される収容袋としてのインク収容袋40と、を有している。
【0051】
カートリッジ本体7は、図5〜図6に示すように、一方の側面に開口部14が設けられ、他方の側面に側板21が設けられた函状に形成されている。カートリッジ本体7は、上面に、前記カートリッジホルダ2のガイド溝3と滑合するとともに該ガイド溝3の一端部3aと係合する係止突起9が形成されている。カートリッジ本体7は、上面に、アダプタ30と、前記カートリッジホルダ2の係止部4と、に係合する係合部材としての板ばね22が設けられている。カートリッジ本体7は、上部に、該カートリッジ7が手指によって摘まれる摘み部8が形成されている。カートリッジ本体7は、前記カートリッジホルダ2に形成されたガイド溝3の長手方向の範囲内を移動可能となっている。
【0052】
開口部14は、アダプタ取付部11とインク収容袋保持部10とが形成されている。開口部14は、常時開口されている。アダプタ取付部11は、L字形状部12と、一連に形成された突条16,17,18と、前記側板21から延長された支持片19,20と、から構成されている。突条16,17,18は、一連に形成され、断面略コ字形状に形成されている。
【0053】
アダプタ取付部11は、前記板ばね22の係合部22aが下方に突出する孔26が設けられている。L字形状部12は、アダプタ30の把持部32(図7に示す)を受け入れる切欠部13が設けられている。アダプタ取付部11は、前記L字形状部12と、前記支持片20と、からなる支承部15が設けられている。
【0054】
インク収容袋保持部10は、前記アダプタ取付部11の突条16,17,18と、側板21とによって、インク収容袋40が保持される空間が形成されている。
【0055】
係止突起9は、カートリッジ本体7の上面、且つ、アダプタ取付部11の上部に、前記カートリッジ本体7と一体的に形成されている。係止突起9は、断面略台形状に形成されている。このため、係止突起9が、前記インクカートリッジ1をスライドさせて引き出す際に、前記開口部14からアダプタ30の交換が可能となる位置で前記カートリッジホルダ2と係合する。
【0056】
板ばね22は、熱可塑性合成樹脂製のピンを熱で溶融させた留め部27によってカートリッジ本体7の上面に固定されている。板ばね22は、一端側にアダプタ30と係合する係合部22aが設けられ、他端側に前記カートリッジホルダ2の係止部4と係合する係合部22bが設けられている。係合部22aは、下方に向かって突出する断面略U字形状に形成されている。係合部22bは、上方に向かって突出する略三角形状に形成されているとともに、端部がカートリッジ本体7の上面から離間して形成されている。板ばね22は、ばね用冷間圧延鋼帯が使用され、プレス加工等によって成形されている。
【0057】
アダプタ30は、図7〜図8に示すように、前記アダプタ取付部11に収容される略長方形状に形成されている。アダプタ30は、板ばね22の係合部22aと係合する係合溝35と、前記アダプタ取付部11の支持片19に支持される段部36と、前記アダプタ取付部11の支持片20に支持される段部37と、前記アダプタ取付部11のL字形状部12の下部に支持される段部38と、IDチップ50が取り付けられるIDチップ取付部34と、手指61,62によって把持される把持部32,33と、インク収容袋40のインク供給口43が配置される開口部53と、インク収容袋40を取り付ける装着部39と、が設けられている。
【0058】
アダプタ30は、該アダプタ30の下部が前記インクカートリッジ1のアダプタ取付部11に形成された支承部15で支承されるとともに、前記アダプタ30の上部が前記板ばね22の係合部22aに係合される。このため、前記アダプタ30の下部が支点となり、前記アダプタ30の上部に設けた前記把持部32,33が力点となるため、軽い力で取り付け操作と取り外し操作とが行われる。
【0059】
アダプタ30は、前記取り付け操作と取り外し操作とにおいて、前記インク収容袋40を、図7に示すように、前記インク収容袋40の袋体41の略平面の法線方向70に着脱させる。このため、前記インク収容袋40の交換作業が容易に行われる。
【0060】
把持部32,33は、アダプタ30と一体的に成形された突起状に形成されている。また、把持部32,33は、凹状に形成されたもの、または、突起状と凹状とが形成されたものでも良い。
【0061】
装着部39は、図8に示すように、前記開口部33に連通する開口部39cと、インク収容袋40の供給口部材42(図9に示す)を嵌着する嵌着部39a,39bと、が設けられている。嵌着部39a,39bは、前記供給口部材42と係止する係止爪が設けられている。
【0062】
IDチップ50は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)などの読み書き可能な記憶媒体が内蔵されている。IDチップ50は、インク収容袋40に充填されたインクに関する情報が記憶されている。
【0063】
インクに関する情報は、装置本体102がインクを特定するための情報と、装置本体102がインクを管理するための情報と、がある。インクを特定するための情報は、例えば、インクの色、種類、製造メーカ、製造年月日などの情報である。インクを管理するための情報は、装置本体102が記録として書き込むインク残量などの情報である。装置本体102は、インクカートリッジ1がカートリッジホルダ2に装填されると、IDチップ50の情報を読み取り、正しいインクか否かを判断して、正しくない場合には警告を発するなどし、インクの誤装着を防止する機能を備えている。
【0064】
インク収容袋40は、図9に示すように、略四角形状(ここでは長方形状)の袋本体41と、該袋本体41に溶着された供給口部材42と、からなる。袋本体41は、アルミフィルムを基材として内側にポリエチレンフィルムをラミネートし、外側にナイロンフィルムやポリエチレンフィルム等をラミネートした可撓性を有するアルミラミネートフィルムからなる。袋本体41は、二枚のアルミラミネートフィルム同士の周縁部と供給口部材42とを熱溶着して袋状に形成されている。
【0065】
供給口部材42は、装置本体102側にインクを供給するインク供給口43と、前記袋本体41内にインクを充填するためのインク充填口44と、前記アダプタ30の嵌着部39a,39bに形成された係止爪と係合する係合部46a,46bと、該係合部46a,46bが設けられたフランジ部47と、前記袋本体41に熱溶着される連結部45と、が設けられている。連結部45は、両端側が断面略菱形形状に形成されている。このため、連結部45と袋本体41とが隙間無く確実に溶着されている。また、供給口部材42は、前記アダプタ30の嵌着部39a,39bに溶着したり接着したりするものでも良い。
【0066】
インク補充口44は、該インク補充口44とフランジ部47と連結部45とを貫通するインク補充孔が形成されている。インク補充孔は、該インク補充孔から袋本体41内にインクが充填された後、インク補充口44の一部が熱溶着されて封止されている。
【0067】
インク供給口43は、該インク供給口43とフランジ部47と連結部45とを貫通するインク供給孔が形成されている。インク供給孔は、インク供給口43の先端部に嵌め込まれた弾性部材によって封止されている。弾性部材は、例えば、シリコンゴム、フッ素ゴム、ブチルゴム等のゴム材料からなる。
【0068】
弾性部材は、カートリッジホルダ2に設けたインクを吸い出す中空針が刺し込まれた際に、密閉状態を維持した状態で前記装置本体102側にインクの供給を可能とするとともに、中空針が抜かれた際に弾性復元力によって復元して封止状態を維持する。
【0069】
インク収容袋40に充填されるインクは、水性インクであって、水と、画像形成するための着色剤としての顔料と、該顔料を分散させる水溶性有機溶剤と、湿潤剤と、界面活性剤と、エマルジョンと、防腐防黴剤と、pH調整剤と、からなる。
【0070】
白黒用顔料は、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の顔料が使用される。
【0071】
カラー用顔料は、例えば、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、81、83(ジスアゾイエローHR)、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、153、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22(ブリリアントファーストスカーレット)、23、31、38、48:2〔パーマネントレッドB(Ba)〕、48:2〔パーマネントレッド2B(Ca)〕、48:3〔パーマネントレッド2B(Sr)〕、48:4〔パーマネントレッド2B(Mn)〕、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、C.I.ピグメンバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19(キナクリドンレッド)、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーG)、15:4、15:6(フタロシアニンブルーE)、16、17:127(紺青)、28(コバルトブルー)、29(群青)、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36、等の顔料が使用される。
【0072】
顔料は、上記のものに限定されるものではない。顔料は、一種を単独で使用しても、二種以上を併用しても良い。顔料は、無機顔料、有機顔料であっても良い。なお、インクは、染料インクや、油性インクや、UV硬化インク等でも良い。
【0073】
インク収容袋40は、インクの他に、洗浄剤を充填することができる。洗浄剤は、プリントヘッド132のノズルや、サブタンク131や、送液ポンプと送液チューブとからなる送液手段などの洗浄に使用される。洗浄剤は、例えば、前述のインクから顔料を除いた液、多価アルコール類と水とからなる液、低級アルコールとアニオン性界面活性剤と水とからなる液などである。
【0074】
次に、上述のように構成されたインクジェット記録装置101のインク交換について説明する。インクジェット記録装置101は、インクカートリッジ1のインク切れを検出すると、操作部163等にインク切れしたインクカートリッジ1の交換を促す警告を表示する。このとき、インクカートリッジ1は、図4に示すように、カートリッジホルダ2に装填された状態で、前記カートリッジホルダ2の上部に形成されたガイド溝3に係止突起9が滑合し、係止部4から板ばね22の係合部22bが突出している。
【0075】
インク切れしたインクカートリッジ1の摘み部8を手指61,62等によって摘み、所定の力で手前に引くと、前記係合部22bが撓んで係止部4との係合状態が解除され、図4に示すように、インクカートリッジ1が引き出される。
【0076】
引き出されたインクカートリッジ1は、図10に示すように、該インクカートリッジ1の係止突起9がカートリッジホルダ2のガイド溝3の一端部3aと係合する。このため、インクカートリッジ1は、前記係止突起9と前記一端部3aとの係合によって、前記カートリッジホルダ2からの取り外しが阻止される。
【0077】
取り外しが阻止されたインクカートリッジ1は、図4に示すように、アダプタ30が前記カートリッジホルダ2の前面から突出する。アダプタ30の把持部32,33を手指61,62によって摘み、図10に示すように、前記アダプタ30を引き倒すように操作すると、板ばね22の係合部22aと前記アダプタ30の係合溝35との係合状態が解除され、アダプタ30とともにインク収容袋40が前記カートリッジ本体7から取り外される。
【0078】
取り外されたアダプタ30とは別に、新しいインクが充填されたインク収容袋40が予め連設されたアダプタ30の把持部32,33を手指61,62によって把持し、前記インクカートリッジ1のアダプタ取付部11に取り付ける。さらに、アダプタ30の把持部32,33を手指61,62で把持しながらカートリッジ本体7側へ押し当て、前記板ばね22の係合部22aと前記係合溝35とを係合させる。
【0079】
インクカートリッジ1の摘み部8を手指61,62で摘みながらカートリッジホルダ2内に押し込み、インクカートリッジ1が前記カートリッジホルダ2に装填される。このとき、前記板ばね22の係合部22bが前記係止部4から突出し、インクカートリッジ1が安定的にカートリッジホルダ2内に保持される。そして、前記カートリッジホルダ2に設けた中空針がインク収容袋40のインク供給口43に挿通し、装置本体102にインクが供給される。
【0080】
以上のように、本実施形態にかかるインクジェット記録装置101のインクカートリッジ1は、函状に形成されたカートリッジ本体7と、プリントヘッド132から吐出される液体が充填されたインク収容袋40と、該液インク収容袋40を前記カートリッジ本体7内に装着させるアダプタ30と、を有し、前記カートリッジ本体7は、前記アダプタ30が着脱可能に取り付けられる取付部11と、前記インク収容袋40が保持される保持部10と、前記取付部11と前記保持部10とに連通する開口部14と、が形成されている。
【0081】
前記取付部11は、前記アダプタ30の下部を支承する支承部15と、前記アダプタ30の上部に係止する係合部22aと、が設けられており、前記カートリッジ本体7は、前記アダプタ30の着脱が可能となる位置にまでカートリッジホルダ2から引き出された際に、前記カートリッジ本体7の滑動を阻止する係止突起9が設けられている。
【0082】
このため、カートリッジ本体7がカートリッジホルダ2から取り外されない状態で、前記カートリッジ本体7からインク収容袋40が連設されたアダプタ30の着脱ができる。よって、前記カートリッジ本体7を前記カートリッジホルダ2から取り外すことなくインク収容袋40の交換ができる。従って、インクジェット記録装置は、インク収容袋の交換作業用スペースが不要となる。
【0083】
また、アダプタ30は、該アダプタ30の下部で支承され、該アダプタ30の上部で係合され、該アダプタ30の上部に把持部32,33が設けられている。このため、前記アダプタ30の下部が支点となり、該アダプタ30の上部が力点となり、支点と力点とが離間し、軽い力で前記アダプタ30の着脱が行える。
【0084】
本実施形態は、インクジェットヘッドがシリアル型ヘッド方式のものについて説明したが、インクジェットヘッドがライン型ヘッド方式であっても良い。
【0085】
なお、前述した実施形態は、本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0086】
1 インクカートリッジ(液体容器)
2 カートリッジホルダ(装填部)
3 ガイド溝
7 カートリッジ本体
9 係止突起
10 インク収容袋保持部
11 アダプタ取付部
14 開口部
15 支承部
22 板ばね
22a 係合部
30 アダプタ(取付具)
40 インク収容袋(液体収容袋)
70 法線方向
101 インクジェット記録装置(画像形成装置)
132 プリントヘッド(記録ヘッド)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0087】
【特許文献1】特開2009−279876号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成信号に対応して液体を吐出する記録ヘッドと、前記記録ヘッドの下方に設けられ該記録ヘッドから吐出された液体によって画像が形成される記録媒体を移動させる搬送部と、を有する画像形成装置における液体容器において、
(イ)前記液体容器が、前記画像形成装置の装填部に滑動可能に装填され、
(ロ)前記液体容器には、前記装填部に係止する係止突起と前記記録ヘッドから吐出される液体が充填された液体収容袋を収容する開口部とが設けられ、
(ハ)前記開口部が、常時開口され、かつ、
(ニ)前記液体収容袋には、前記開口部に着脱可能に装着される取付具が設けられている
ことを特徴とする液体容器。
【請求項2】
前記液体収容袋が、前記液体収容袋の略平面の法線方向に着脱されることを特徴とする請求項1に記載の液体容器。
【請求項3】
前記液体容器には、一端側が前記取付具と係合すると共に、他端側が前記装填部と係合する板ばねが設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体容器。
【請求項4】
前記液体が、インクとされていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の液体容器。
【請求項5】
前記液体が、洗浄剤とされていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の液体容器。
【請求項6】
画像形成信号に対応して液体を吐出する記録ヘッドと、前記記録ヘッドから吐出された液体によって画像が形成される記録媒体を移動させる搬送部と、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の液体容器と、前記液体容器を滑動可能に装填する装填部と、が設けられていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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