説明

液体密度検出装置

【課題】被検出液の密度を高精度に検出する液体密度検出装置を提供する。
【解決手段】燃料を蓄える燃料配管60に取り付けられる保持部材10の内部空間13に球状のフロート20が収容されている。圧力センサ30はフロート20の浮力を検出し、傾斜角検出手段40は圧力センサ30が鉛直方向に対して傾斜する傾斜角度を検出する。電気回路50は、圧力センサ30の検出した浮力検出値Pを、傾斜角検出手段の検出した傾斜角度出力に基づいて補正することで、被検出液の密度相当値を検出する。フロート20が保持部材10の内壁を転がり運動をすることでフロート20と保持部材10の内壁との間の摩擦力が無視できる程度に小さくなる。これにより、圧力センサ30はフロートの押付け力を正確に検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の密度を検出する液体密度検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体に浸漬させたフロートが受ける浮力を検出することで、液体の密度を検出する液体密度検出装置が公知である(特許文献1参照)。この液体密度検出装置は、筒状の保持部材の内側にフロートを収容し、圧力センサでフロートの浮力を検出する。そして、液体密度検出装置は、圧力センサの検出した浮力検出値と、予め記憶しているフロートの体積及び密度によって、フロートが浸漬する液体の密度を算出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3946301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この種の液体密度検出装置では、保持部材が傾くと、保持部材の内壁とフロートとの摩擦力により、圧力センサがフロートの浮力を正確に検出することができず、検出誤差が大きくなるといった問題があった。
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、被検出液の密度を高精度に検出する液体密度検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明によると、球状のフロートは、被検出液で満たされる保持部材の内部空間に収容されている。傾斜角検出手段は、フロートの浮力を検出する圧力センサが鉛直方向に対して傾斜する傾斜角度を検出する。演算部は、圧力センサの検出した浮力検出値を傾斜角検出手段の検出した傾斜角度出力に基づいて補正することで被検出液の密度相当値を検出する。球状のフロートが保持部材の内壁を転がり運動をすることでフロートと保持部材の内壁との間の摩擦力が無視できる程度に小さくなり、圧力センサはフロートの浮力検出値を正確に検出することができる。この液体密度検出装置をエンジンの燃料系統の配管に取り付ければ、自動車用燃料の揮発性と燃料密度とは相関関係を有するので、液体密度検出装置の検出する燃料密度相当値によって燃料の揮発性を正確に検出し、燃料の揮発性に応じた最適なエンジン制御をすることができる。
【0006】
なお、本明細書において、筒状の保持部材を取り付ける配管は、被検出液を満たす流通管、被検出液を保有する管、容器などを含み、また、保持部材は配管と一体に構成されてもよい。また、球状のフロートとは、断面形状が真円形のものだけでなく、楕円形のものも含むものとする。
【0007】
請求項2に係る発明によると、保持部材は、内壁が円筒状に形成される円筒部と、この円筒部の外気側の一端を閉塞し、圧力センサが取り付けられる蓋部とを設ける。このため、フロートの外壁は、円筒部の内壁と圧力センサと各一点のみで当接する。これにより、圧力センサは、フロートの浮力を正確に検出することができる。
【0008】
請求項3に係る発明によると、円筒部と蓋部とは一体で形成されている。このため、円筒部と蓋部との接続部分のシール性を向上するとともに、保持部材の製造コストを低減することができる。
【0009】
請求項4に係る発明によると、フロートは、内部が中空である。これにより、フロートの浮力を圧力センサの検出能力に適合させ、圧力センサの検出精度を向上することができる。
【0010】
請求項5に係る発明によると、保持部材は、円筒部の径方向に被検出液が流通する通孔を有する。このため、例えば、自動車の燃料配管に液体密度検出装置を取付け、被検出液として燃料の密度を検出する場合、液体密度検出装置は燃料配管内の燃料の密度変化を速やかに検出することができる。
【0011】
請求項6に係る発明によると、傾斜角検出手段は、有底筒状に形成され、内壁が球面状の第1底部及びこの第1底部に接続する筒状の第1筒部とを有する外側電極と、外側電極の径内側に外側電極の内壁とは非接触で設けられる内側電極と、外側電極の内壁と内側電極の外壁とに接触する液状の誘電体と、外側電極と内側電極とに電気的に接続し、外側電極と内側電極との間の静電容量を検出することで圧力センサの傾斜角度を算出する検出部とを有する。この構成により、傾斜角検出手段は、全方位の傾斜を検出することができる。このため、この液体密度検出装置を、全方位へ傾斜する可能性のある自動車の燃料系統等に適用すれば、燃料密度を正確に検出し、燃料の揮発性に応じた最適なエンジン制御をすることができる。
【0012】
請求項7に係る発明によると、内側電極は、有底筒状に形成され、外壁が球面状の第2底部、及び、この第2底部に接続する筒状の第2筒部を有する。このため、傾斜角度に応じ、外側電極と誘電体との接触面積が変化するとともに、内側電極と誘電体との接触面積が変化する。これにより、検出部の検出する静電容量が傾斜角度に応じて大きく変化する。したがって、演算部は、保持部材の傾斜角度を高精度に算出することができる。
【0013】
請求項8に記載の発明によると、外側電極の第1筒部の内壁は、第1底部の内壁の球面の接線方向に接続している。また、請求項9に記載の発明によると、内側電極の第2筒部の外壁は、第2底部の外壁の球面の接線方向に接続している。これにより、外側電極の内壁、又は内側電極の外壁に沿って誘電体がスムーズに移動する。したがって、傾斜角検出手段は、検出部の検出する静電容量変化の応答性を向上することができる。
【0014】
請求項10に係る発明によると、外側電極の軸方向が鉛直方向であるとき、誘電体と外側電極の内壁とが接触する位置は、第1底部と第1筒部との接続位置である。また、請求項11に係る発明によると、内側電極の軸方向が鉛直方向であるとき、誘電体と内側電極の外壁とが接触する位置は、第2底部と第2筒部との接続位置である。このため、外側電極または内側電極の軸方向が鉛直方向から僅かに傾斜した場合であっても、外側電極または内側電極が誘電体と接触する面積が変化する。これにより、検出部は、保持部材の傾斜角度を高精度に算出することができる。
【0015】
なお、上述した請求項6に係る発明において、傾斜角検出手段は、傾斜角度を高精度に検出することを目的とする傾斜角検出装置の発明として把握することも可能である。すなわち、「有底筒状に形成され、内壁が球面状の第1底部およびこの第1底部に接続する筒状の第1筒部とを有する外側電極と、外側電極の径内側に外側電極の内壁とは非接触で設けられる内側電極と、外側電極の内壁と内側電極の外壁とに接触する液状の誘電体と、外側電極と内側電極とに電気的に接続し、外側電極と内側電極との間の静電容量を検出することで外側電極および内側電極の少なくともいずれか一方の傾斜角度を算出する検出部と、を備える傾斜角検出装置。」である。この構成により、外側電極又は内側電極の軸方向に垂直な平面において360°いずれの方向への傾斜であっても検出することができる。この傾斜角検出装置に請求項7−11に記載の発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態の液体密度検出装置を示す構成図。
【図2】本発明の第1実施形態の液体密度検出装置の傾斜角検出手段を示す構成図。
【図3】本発明の第2実施形態の液体密度検出装置を示す構成図。
【図4】本発明の第3実施形態の液体密度検出装置を示す構成図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明による複数の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、第1実施形態は、請求項1、2、6−11の発明の特徴を具現化したものであり、第2実施形態は請求項3−5の発明の特徴を具現化したものである。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による液体密度検出装置は、エンジンの燃料系統に適用され、被検出液として燃料の密度を検出する。液体密度検出装置の検出した燃料の密度は、車載のECU(エンジンコントロールユニット)に伝送される。ECUは、燃料の密度から燃料の揮発性を算出し、この燃料の揮発性に応じたエンジン制御を行う。
【0018】
図1に示すように、液体密度検出装置1は、燃料配管60に固定される保持部材10、フロート20、圧力センサ30、及び傾斜角検出手段40等を備えている。
保持部材10は、例えば樹脂又は金属等、摩擦係数の小さい材料から筒状に形成され、内壁が円筒状の円筒部11と、この円筒部11の外気側の一端を閉塞する円盤状の蓋部12とを有している。保持部材10は、エンジンと燃料タンクとを接続する燃料配管60の外壁に燃料流通方向に直行するように設けられている。保持部材10は、燃料配管60を流通する燃料が保持部材10内に流入するように、少なくとも一部が燃料配管60内に取り付けられ、円筒部11の他端を燃料配管60内に開口している。
蓋部12の径外方向の外壁と円筒部11の内壁とは、液密にシールされている。このため、蓋部12と円筒部11との接続部から外部への燃料の漏出が防止されるとともに、外部の空気が保持部材10内に侵入することを防いでいる。
【0019】
フロート20は、例えば合成樹脂、発砲樹脂等、燃料よりも密度の小さい材料により中実、球状に形成されている。フロート20は、燃料圧力によって変形することのない剛性を有し、円筒部11の内壁と一点のみで当接する。フロート20の直径は、円筒部11の内径より小さく形成され、円筒部11の軸方向が鉛直方向に対して傾斜するとき、内部空間13を鉛直方向上側へ回転移動する。
【0020】
圧力センサ30は、例えば電子式の圧力センサであり、蓋部12の内部空間13側に設けられている。圧力センサ30は、円筒部11の軸方向に対して垂直に取り付けられている。圧力センサ30は板厚方向の浮力を検出するので、圧力センサ30が浮力を検出する方向は、保持部材10の軸方向となる。したがって、保持部材10が傾斜するとき、圧力センサ30の検出するフロート20の浮力検出値は、フロート20が燃料から受ける浮力のうち、保持部材10の軸方向への分力となる。
【0021】
傾斜角検出手段40は、図1及び図2に示すように、外側電極41、内側電極44及び誘電体47から構成され、保持部材10の近傍で軸方向の一端が燃料配管60に挿入されている。
外側電極41は、有底筒状に形成され、内壁が半球面状に形成された第1底部42と、円筒状の第1筒部43とを有している。第1筒部43の内径と、第1底部42の内径とは同一の大きさに形成されている。第1筒部43の内壁は、第1底部42の球面状の内壁の接線方向に接続し、第1筒部43と第1底部42とは一体で形成されている。
外側電極41は、第1筒部43の軸方向と保持部材10の円筒部11の軸方向とが同一方向になるように燃料配管60に取り付けられている。このため、第1筒部43の軸方向が鉛直方向に対して傾斜する傾斜角度は、圧力センサ30が鉛直方向に対して傾斜する傾斜角度となる。したがって、傾斜角検出手段40は、第1筒部43の傾斜角度を検出することで、圧力センサ30の傾斜角度を検出することができる。
【0022】
内側電極44は、有底筒状に形成され、内壁が半球面状に形成された第2底部45と、円筒状の第2筒部46とを有している。第2筒部46の外径と、第2底部の外径とは同一の大きさに形成されている。第2筒部46の外壁は、第2底部42の球面状の外壁の接線方向に接続し、第2底部45と第2筒部46とは一体で形成されている。
内側電極44は、外側電極41の径内側で、外側電極41の内壁とは非接触で設けられている。外側電極41の内壁と内側電極44の外壁との距離は、全方位において同一である。図1に示す破線48は、第1底部42と第1筒部43との接続面、及び第2底部45と第2筒部46との接続面を概念的に示すものである。外側電極41と内側電極44とは、第1底部42と第1筒部43との接続面と、第2底部45と第2筒部46との接続面とが同一平面となるように組み付けられている。
【0023】
誘電体47は、比誘電率が大きく、温度変化による粘度変化の小さい液状の不導体であり、外側電極41の内壁と内側電極44の外壁との間に入れられている。外側電極41及び内側電極44の軸方向が鉛直方向にあるとき、誘電体47と、外側電極41の内壁及び内側電極44の外壁とは、破線48の位置で接触する。
誘電体47は、外側電極41及び内側電極44の傾斜角度に応じて、外側電極41の内壁と接触する面積を変化させるとともに、内側電極44の外壁と接触する面積を変化させる。これにより、傾斜角検出手段40は、全方位の傾斜角度を検出することができる。
【0024】
電気回路50は、マイクロコンピュータ、IC、抵抗等の電気的素子から構成されている。電気回路50は、圧力センサ30と配線51、52により電気的に接続し、外側電極41、内側電極44と配線53、54により電気的に接続している。また、電気回路50は、図示しないECU等と電気的に接続している。
【0025】
電気回路50は、圧力センサ30が検出するフロート20の浮力検出値、傾斜角検出手段40が検出する傾斜角度出力、フロート20の体積及び密度から保持部材10の内部空間の燃料密度を検出する。
ここで、保持部材10の内部空間13の燃料からフロート20が受ける浮力F、圧力センサ30が検出するフロートの浮力検出値P、圧力センサ30が鉛直方向に対して傾斜する傾斜角度θ、フロート20の体積V、保持部材10の内部空間13の燃料密度md、フロート20の密度mf、の関係は、
P=Fcosθ
F=V(md−mf) であることから、
P=V(md−mf)cosθ・・・・数式(1)
となる。電気回路50は、この数式(1)から燃料密度mfに相当する値を検出する。
【0026】
電気回路50は、燃料密度相当値をECUに伝送する。ここで、燃料密度の大きい燃料は重質成分が多いため揮発性が低く、燃料密度の小さい燃料は軽質成分が多いため揮発性が高い。このため、ECUは、燃料密度相当値から燃料の揮発性を検出することで、燃料の揮発性に応じた噴射量、点火時期等のエンジン制御を行うことが可能となる。
なお、電気回路50は、傾斜角検出手段40によって検出する静電容量から傾斜角度θを検出することで特許請求の範囲に記載の「検出部」として機能し、傾斜角度θと圧力センサ30の検出した浮力検出値Pとフロート20の体積V及び密度mdとから燃料密度mfに相当する値を検出することで特許請求の範囲に記載の「演算部」として機能する。
【0027】
本実施形態では、フロート20は球状に形成されている。このため、フロート20と保持部材10の内壁との間の摩擦力が無視できる程度に小さくなり、圧力センサ30は、フロート20の浮力検出値を正確に検出することができる。さらに、傾斜角検出手段40が圧力センサ30の鉛直方向に対する傾斜角度θを検出するので、電気回路50は、圧力センサ30の検出するフロート20の浮力検出値Pと傾斜角度θとフロート20の体積V及び密度mdとにより、燃料配管60内の燃料密度mf相当値を正確に検出することができる。
【0028】
さらに、本実施形態では、傾斜角検出手段40の外側電極41の第1底部42の内壁及び内側電極44の第2底部45の外壁が半球面状に形成されている。第1筒部43の内壁が第1底部42の内壁の接線方向に接続し、第2筒部46の外壁が第2底部45の外壁の接線方向に接続している。このため、傾斜角検出手段40は、外側電極及び内側電極の軸方向に垂直な平面において360°いずれの方向への傾斜であっても検出することができるとともに、車両の姿勢変化に対して誘電体47がスムーズに移動するので、傾斜角度検出の応答性を向上することができる。これにより、液体密度検出装置1は、燃料配管60内の燃料の密度を正確に検出し、ECUへ伝送することで、ECUは、燃料の揮発性に応じた最適なエンジン制御をすることができる。したがって、液体密度検出装置1を適用した自動車は、燃料に応じた最適な運転性能が得られる。
【0029】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態による液体密度検出装置を図3を参照して説明する。なお、以下、複数の実施形態において、第1実施形態と実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態の液体密度検出装置2では、保持部材70の円筒部71と蓋部72とが一体で形成されている。これにより、円筒部71と蓋部72との接続部分のシール性が向上するとともに、製造コストが低減する。
また、円筒部71の径外方向に通孔73、74が形成され、この通孔73、74を経由して燃料配管60内の燃料が保持部材70の内部空間に流通する。
【0030】
フロート80は、例えば、セラミック又は金属等の硬質材料から球状に形成されている。フロート80は、内部81が中空に形成されている。フロート80の内部81には、燃料からフロートの受ける浮力が、圧力センサ30の検出圧力範囲に適合するように、所定の気圧の空気が封入されている。
【0031】
本実施形態では、内部81が中空に形成されたフロート80を用いることで、フロート80の密度を相対的に小さくすることができる。これにより、保持部材70の傾斜角度に対応し、圧力センサ30の検出するフロート80の浮力検出値の変化量が大きくなる。このため、圧力センサ30は、フロート80の浮力を正確に検出することができる。したがって、液体密度検出装置2は、燃料密度を正確に検出することができる。
さらに、本実施形態では、円筒部71の径外方向に通孔73、74が形成されている。これにより、燃料配管60内の燃料密度の変化に対応し、保持部材70の内部空間13の燃料が速やかに入れ替わるので、液体密度検出装置2は、燃料配管60内の燃料の密度変化を速やかに検出することができる。
【0032】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態による液体密度検出装置を図4を参照して説明する。本実施形態の液体密度検出装置3では、フロート90の断面が楕円形に形成されている。このような構成であっても、円筒部11の軸方向が鉛直方向に対して傾斜するとき、フロート90は、保持部材10の内壁とフロート90の外壁との摩擦力を無視できる程度に小さくし、内部空間13を鉛直方向上側へ移動する。このため、液体密度検出装置3は、燃料密度を正確に検出することができる。
【0033】
(他の実施形態)
上述した複数の実施形態では、エンジンの燃料配管に適用した液体密度装置について説明した。これに対し、本発明の液体密度検出装置は、エンジン用の燃料に限らず、種々の被検出液の密度を検出するものに適用しても良い。
上述した複数の実施形態では、保持部材と傾斜角検出手段とを燃料配管の近傍の位置に設けた。これに対し、本発明の液体密度検出装置は、保持部材と傾斜角検出手段とを一体に設けても良い。
上述した複数の実施形態では、電気回路は、保持部材及び傾斜角検出手段と別体で設けた。これに対し、本発明の液体密度検出装置は、電気回路を保持部材及び傾斜角検出手段と一体に設けても良い。
上述した複数の実施形態では、傾斜角検出手段の第1底部及び第2底部を半球面状に形成した。これに対し、本発明の傾斜角検出手段の第1底部及び第2底部は、半球面状に限らず球の一部に開口を有する形状であっても良い。
さらに、本発明の傾斜角検出手段のみをもって、種々の物品の傾斜角度を高精度に検出する傾斜角検出装置として使用することが可能である。また、液体密度検出装置から傾斜角検出手段を除いたもののみにより、被検出液の密度を検出しても良い。
このように、本発明の液体密度検出装置は、上記実施形態に限らず、種々の実施形態として適用することが可能である。
【符号の説明】
【0034】
1:液体密度検出装置、10:保持部材、13:内部空間、20:フロート、30:圧力センサ、40:傾斜角検出手段、50:電気回路(演算部、検出部)、60:燃料配管(配管)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間に被検出液を蓄える配管と、
前記配管内に配設される筒状の保持部材と、
前記保持部材の内部空間に収容され、被検出液よりも密度の小さい球状のフロートと、
前記フロートの浮力を検出する圧力センサと、
前記圧力センサが鉛直方向に対して傾斜する傾斜角度を検出する傾斜角検出手段と、
前記圧力センサの検出した浮力検出値を、前記傾斜角検出手段の検出した傾斜角度出力に基づいて補正することで被検出液の密度相当値を検出する演算部と、備えることを特徴とする液体密度検出装置。
【請求項2】
前記保持部材は、内壁が円筒状に形成される円筒部と、この円筒部の外気側の一端を閉塞し、前記圧力センサを取り付ける蓋部とを設けることを特徴とする請求項1に記載の液体密度検出装置。
【請求項3】
前記円筒部と前記蓋部とは一体で形成されていることを特徴とする請求項2に記載の液体密度検出装置。
【請求項4】
前記フロートは、内部が中空であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の液体密度検出装置。
【請求項5】
前記保持部材は、前記円筒部の径方向に被検出液が流通する通孔を有することを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の液体密度検出装置。
【請求項6】
前記傾斜角検出手段は、
有底筒状に形成され、内壁が球面状の第1底部及びこの第1底部に接続する筒状の第1筒部とを有する外側電極と、
前記外側電極の径内側に前記外側電極の内壁とは非接触で設けられる内側電極と、
前記外側電極の内壁と前記内側電極の外壁とに接触する液状の誘電体と、
前記外側電極と前記内側電極とに電気的に接続し、前記外側電極と前記内側電極との間の静電容量を検出することで前記圧力センサの傾斜角度を検出する検出部と、を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の液体密度検出装置。
【請求項7】
前記内側電極は、有底筒状に形成され、外壁が球面状の第2底部及びこの第2底部に接続する筒状の第2筒部を有することを特徴とする請求項6に記載の液体密度検出装置。
【請求項8】
前記外側電極の前記第1筒部の内壁は、前記第1底部の内壁の球面の接線方向に接続していることを特徴とする請求項6または7に記載の液体密度検出装置。
【請求項9】
前記内側電極の前記第2筒部の外壁は、前記第2底部の外壁の球面の接線方向に接続していることを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載の液体密度検出装置。
【請求項10】
前記外側電極の軸方向が鉛直方向であるとき、前記誘電体と前記外側電極の内壁とが接触する位置は、前記第1底部と前記第1筒部との接続位置であることを特徴とする請求項6から9のいずれか一項に記載の液体密度検出装置。
【請求項11】
前記内側電極の軸方向が鉛直方向であるとき、前記誘電体と前記内側電極の外壁とが接触する位置は、前記第2底部と前記第2筒部との接続位置であることを特徴とする請求項6から10のいずれか一項に記載の液体密度検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−223687(P2010−223687A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−69789(P2009−69789)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】