説明

液体柔軟剤組成物

【課題】洗濯物から発生する不快な臭いを抑制でき、衣類に香料が残りにくい液体柔軟剤組成物を提供すること。
【解決手段】(A)シリコーン高分子化合物、(B)カチオン性を有する水溶性高分子化合物、及び(C)沸点が250℃以下の香料成分を含有する香料組成物を含有する液体柔軟剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類等の繊維製品等に使用できる液体柔軟剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の洗濯で衣類などを洗濯して室内に干す場合、特に、梅雨時など微生物の繁殖しやすい環境で衣類を室内に乾燥又は保存すると、菌に由来する不快な臭いが発生する問題がある。この不快な臭いとは、洗濯しても完全に落としきれない皮脂やタンパク質などの汚れが原因で、菌による分解や作用で発生すると考えられる。特に長期間着用・洗濯を繰り返した衣類を梅雨時や室内で洗濯物干しをした時のような高湿度条件で発生しやすく、蓄積した汚れに含まれる皮脂やタンパク質が空気酸化や皮膚常在菌の代謝によって次第に分解し、中鎖脂肪酸、中鎖アルデヒド、中鎖アルコール、ケトン、短鎖脂肪酸、窒素化合物および硫黄化合物などを構成する複合臭を発生する(非特許文献1)。しかしながら、未だ不明な点も多く、完全に解明されてはいない。この問題を解決するために、ジ長鎖型4級アンモニウム塩を主体とする柔軟剤化合物に抗菌化合物を併用した液体柔軟剤組成物が開示されている(特許文献1〜4)が、ジ長鎖型4級アンモニウム塩を主体とした組成物を用いて繊維製品を処理すると、菌の増殖を抑制する効果は高いものの、風合い面ではぬめり感が生じたり、滑らかさを付与する効果が小さくなる。
一方、特許文献2では高残香性の香料と抗菌剤の併用により、衣類洗濯後の室内乾燥中に発生する不快なにおいを抑制するというものであるが、乾燥後にも衣類に香料が多く残ってしまう。近年、清潔志向の高まりや好みの香水を使用する等の理由から香りの少ない製品が望まれており、微香性、無香性が好まれている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−192967
【特許文献2】特開2004−143638
【特許文献3】特開2004−211215
【特許文献4】特開2004−211230
【非特許文献1】埴原、園田、香料No.233、p.109-116、2004年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、洗濯物から発生する不快な臭いを抑制でき、衣類に香料が残りにくい液体柔軟剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、特定の低残香性香料を、カチオン性を有する水溶性高分子化合物と共に、シリコーン高分子化合物を含有する液体柔軟剤組成物に加えることにより、「生乾き」のような不快な臭いを臭わなくすることができ、且つ乾燥後の衣類の香りは残りにくくすることが可能であるとの知見を得た。従って、本発明は、(A)シリコーン高分子化合物、(B)カチオン性を有する水溶性高分子化合物、及び(C)沸点が250℃以下の香料成分を含有する香料組成物を含有する液体柔軟剤組成物を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、衣類等を部屋干ししたとき、特に長期間着用・洗濯を繰り返した衣類を部屋干ししたときや、梅雨時のような高湿度条件下で部屋干ししたときであっても、「生乾き」のような不快な臭いを臭わなくすることができ、且つ乾燥後の衣類の香りは残りにくくすることが可能である液体柔軟剤組成物を提供することができる。本発明の液体柔軟剤組成物は、透明又は半透明の外観を有し、衣類などの繊維製品に対して優れた柔軟性を発揮することができる。また、皮膚への刺激も少ない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
〔液体柔軟剤組成物〕
本発明の(A)成分は、シリコーン高分子化合物である。このシリコーン高分子化合物は、10〜100000000 mm2/s(B型粘度計、25℃)の粘度を有するのが好ましい。繊維製品に吸着した時に、柔軟性、滑らかさを付与することが可能であれば特に限定されない。一般的に繊維処理に使用されているシリコーン高分子化合物としては、ジメチルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、メチルフェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、フッ素変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、及びアミノ変性シリコーンなどが挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上の混合物として使用することができる。
このシリコーン高分子化合物の分子構造は、直鎖状であっても分岐や架橋していてもよい。また、変性シリコーン高分子化合物は1種類の有機官能基により変性されていても構わないし、2種以上の有機官能基により変性されていてもよい。
シリコーン化合物はオイルとして使用でき、また任意の乳化剤によって分散された乳化物としても使用できる。柔軟処理した繊維製品の黄変を防止するために、アミノ基を含有しないシリコーン高分子化合物であることが好ましい。さらに、後述する(B)成分による(A)成分のシリコーン高分子化合物を繊維へ吸着させる効果を高め、柔軟性、滑らかさを高める点から、非イオン性であることが好ましく、ジメチルシリコーン、カルビノール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーンがより好ましく、ジメチルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーンが更に好ましい。
【0008】
このなかでも特に好ましいシリコーン高分子化合物として、柔軟性付与及び液体柔軟剤組成物を透明ないし半透明にし、商品価値を高めることができる等の観点から、ポリエーテル変性シリコーンを挙げることができる。なお、本明細書において、透明とは、測定セルの光路長10mmのガラスセルを使用し、対照側セルにイオン交換水を入れた場合に、660nmの波長の光透過率が95%以上であることを意味し、半透明とは、前記透過率が30%以上95%未満であることを意味する。該シリコーンは、ポリエーテル基を有しないジメチルシリコーンに比べ、キシミ感が少なく良好な柔軟性を有するとともに、透明な液体柔軟剤組成物を得るのに好適である。好ましいポリエーテル変性シリコーンとしては、アルキル(炭素数1〜3)シロキサンとポリオキシアルキレン(アルキレン基の炭素数2〜5が好ましい)の共重合体が挙げられる。このうち、ジメチルシロキサンとポリオキシアルキレン(ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのランダム又はブロック共重合体など)の共重合体が好ましい。このようなものとして、下記一般式(I)又は(II)で表される化合物が挙げられる。
【0009】
【化1】

【0010】
(式中、M、N、a及びbは平均重合度であり、Rは水素又はアルキル基を表す。)
ここで、Mは10〜10000、好ましくは50〜1000、より好ましくは100〜300、Nは1〜1000、好ましくは5〜300、より好ましくは5〜100、かつM>Nであることが好ましく、aは2〜100、好ましくは5〜50、より好ましくは5〜20、bは0〜50、好ましくは0〜10が好ましい。Rとしては水素又は炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、水素であるのがより好ましい。
上記一般式(I)で表されるポリエーテル変性シリコーンは、一般に、Si−H基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと、例えばポリオキシアルキレンアリルエーテル等の、炭素−炭素二重結合を末端に有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルとを付加反応させることにより製造することができる。
【0011】
【化2】

【0012】
(式中、A、B、h、及びiは平均重合度であり、Rはアルキル基を表し、R’は水素又はアルキル基を表す。)
ここで、Aは5〜10000、Bは2〜10000であることが好ましく、hは2〜100、iは0〜50が好ましい。Rとしては炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。R’としては水素又は炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。また、式(II)で表わされるブロック共重合体の重量平均分子量は、柔軟性、滑らかさの観点から15,000〜100,000,000であることが好ましい。
上記線状ポリシロキサン−ポリオキシアルキレンブロック共重合体は、反応性末端基を有するポリオキシアルキレン化合物と、該化合物の反応性末端基と反応する末端基を有するジヒドロカルビルシロキサンとを反応させることにより製造することができる。
【0013】
本発明で用いることのできるポリエーテル変性シリコーンオイルの具体的な例としては、東レ・ダウ コーニング(株)製のCF1188HV、BY22−029、SH3772M、SH3775M、SH3748、SH3749、SF8410、SH8700、BY22−008、SF8421、SILWET L−7001、SILWET L−7002、SILWET L−7602、SILWET L−7604、SILWET FZ−2104、SILWET FZ−2120、SILWET FZ−2161、SILWET FZ−2162、SILWET FZ−2164、SILWET FZ−2171、SILWET FZ2222、ABN SILWET FZ−F1−009−01、ABN SILWET FZ−F1−009−02、ABN SILWET FZ−F1−009−03、ABN SILWET FZ−F1−009−05、ABN SILWET FZ−F1−009−09、ABN SILWET FZ−F1−009−11、ABN SILWET FZ−F1−009−13、ABN SILWET FZ−F1−009−54、ABN SILWET FZ−2222、信越化学工業(株)製のKF352A、KF6008、KF615A、KF6016、KF6017、GE東芝シリコーン(株)製のTSF4450、TSF4452等が挙げられ、これらを1種単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。
本発明で用いる(A)成分のシリコーン高分子化合物の配合量は特に限定されないが、柔軟性、滑らかさ及び組成物の粘度の点から、組成物の全質量を基準として、3〜70質量%が好ましく、さらに好ましくは5〜50質量%、特に好ましくは6〜40質量%である。これにより、柔軟性、滑らかさなどの効果を優秀なものとすることができ、かつ、粘度の上昇を抑えて使用性を良好なものとすることができる。
【0014】
本発明の(B)成分は、25℃の水100gに対し、水溶性高分子化合物1gを加えたときに、その液が濁らず透明であり、(A)成分のシリコーン高分子化合物を繊維へ吸着させる効果を有するものである。カチオン性を有する水溶性高分子化合物としては、水に溶解した時にカチオン性を有するものが使用し得るが、特にカチオン性を有する水溶性高分子化合物としては、アミノ基、アミン基、第4級アンモニウム基から選ばれる1種以上のカチオン性基を有する水溶性高分子化合物が好ましい。低分子量のカチオン性界面活性剤に比べて、香料成分を繊維表面に吸着させる効果が高いので好ましい。
(B)成分のカチオン性を有する水溶性高分子化合物は、カチオン化度が0.1%以上のものが好ましく、例えば0.1〜35であるのがよく、特に1.5%以上が好ましく、例えば2.0〜15であるのがよい。カチオン化度がこのような条件を満たすことにより、共存するシリコーン高分子化合物を繊維へ吸着させる効果を優秀なものとすることができ、かつ、多量の配合が必要となって経済的でないケースを防止することができる。
【0015】
ここで、カチオン化度とは、高分子化合物がカチオン性モノマーの重合体、カチオン性モノマーとノニオン性モノマーの共重合体、及びノニオン性重合体の一部をカチオン性基で変性又は置換したもの(カチオン化セルロースなど)の場合には下記数式(1)により、また、高分子化合物がカチオン性モノマーとアニオン性モノマーの共重合体、及びカチオン性モノマーとアニオン性モノマーとノニオン性モノマーの共重合体の場合には、下記数式(2)により算出される値と定義する。
カチオン化度(%)=X×Y×100 ・・・数式(1)
[X:高分子化合物のカチオン性基中のカチオン化された原子(窒素等)の原子量
Y:高分子化合物1g中に含まれるカチオン性基のモル数]
カチオン化度(%)=X×(Y−Z)×100 ・・・数式(2)
[X:高分子化合物のカチオン性基中のカチオン化された原子(窒素等)の原子量
Y:高分子化合物1g中に含まれるカチオン性基のモル数
Z:高分子化合物1g中に含まれるアニオン性基のモル数
(Zのアニオン性基とは、高分子鎖中のモノマー単位に含まれるカルボキシル基、スルホン酸基などが挙げられる。具体的には、アクリル酸中のカルボン酸などである。ただし、カチオン性基の対イオンは含まない。)]
【0016】
カチオン化度の算出例として、下記式(III)で表されるマーコート(MERQUAT)280(ナルコ(NALCO)社製)の場合を示す。
X:14(窒素原子の原子量)
Y:4.95×10-3(カチオン性基の1g中の重量:0.8gとカチオン性基の分子量より算出)
Z:2.78×10-3(アニオン性基の1g中の重量:0.2gとアニオン性基の分子量より算出)
式(2)より、
カチオン化度(%)=
14×(4.95×10-3−2.78×10-3)×100=3.0
である。







【0017】
【化3】

【0018】
m:n=65:35
塩化ジメチルジアリルアンモニウムとアクリル酸との質量比=80:20
よって、上記記載のカチオン化度の算出法によれば、ノニオン性モノマーの重合体やアニオン性モノマーの重合体のカチオン化度は0となる。
【0019】
(B)成分の水溶性高分子は、ポリエチレングリコールを標準物質としてゲルパーメーションクロマトグラフィ法で測定される重量平均分子量が、1,000〜5,000,000であることが好ましく、より好ましくは3,000〜1,000,000であり、さらに好ましくは5,000〜500,000である。これにより臭気を良好に防止することができ、かつ、粘度の上昇を抑えて使用性を優秀なものとすることが可能となる。
(B)成分の例としては、マーコート(MERQUAT)100(ナルコ(NALCO)社製)、アデカカチオエースPD−50(旭電化工業(株))、ダイドールEC−004、ダイドールHEC、ダイドールEC(大同化成工業(株)製)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウムの重合体、マーコート(MERQUAT)550、JL5(ナルコ(NALCO)社製)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、マーコート(MERQUAT)280(ナルコ(NALCO)社製)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体、レオガードKGP(ライオン(株)製)等のカチオン化セルロース、ルビカット(LUVIQUAT)−FC905(B・A・S・F社製)等の塩化イミダゾリニウム・ビニルピロリドン共重体、ルガルバン(LUGALVAN)−G15000(B・A・S・F社製)等のポリエチレンイミン、ポバールCM318((株)クラレ製)等のカチオン化ポリビニルアルコール、キトサン等のアミノ基を有する天然系の高分子誘導体、ジエチルアミノメタクリレート・エチレンオキシド等が付加された親水基を有するビニルモノマーとの共重合体等が挙げられるが、水に溶解時にカチオン性を有する高分子化合物であればよく、本例に限定されるものではない。
この中で、シリコーンの付与する柔軟性などの風合いを妨げない観点から、(B)成分単独で吸着した時に繊維に付与する剛性の小さいものが好ましい。塩化ジメチルジアリルアンモニウムの重合体、塩化イミダゾリニウム・ビニルピロリドン共重体、カチオン化セルロースが好ましい。
特に好ましい高分子としては、下記一般式(IV)に示すジメチルジアリルアンモニウム塩を重合して得られるカチオン性高分子である。この高分子の構造は、通常、下記一般式(V)又は下記一般式(VI)で表わされる。また、一般式(V)の構造単位と一般式(VI)の構造単位が共に含まれていてもよい。


【0020】
【化4】

(式中X-は、塩化物イオン、臭化物イオンなどの任意のマイナスイオンを示す。)
【0021】
【化5】

【0022】
【化6】

【0023】
式中、c、dは、各々平均重合度であり、各々6〜30000の範囲であることが好ましく、より好ましくは20〜6000、さらに好ましくは30〜3000の範囲である。
このような高分子の例としては、マーコート(MERQUAT)100(ナルコ(NALCO)社製)、アデカカチオエースPD−50(旭電化工業(株)製)、ダイドールEC−004、ダイドールHEC、ダイドールEC(大同化成工業(株)製)等が挙げられる。
本発明の(B)成分としては、上記のカチオン性を有する水溶性高分子化合物を1種単独で用いてもよいし、混合物として用いることもできる。
(B)成分の配合量は特に限定されないが、繊維製品に剛性を付与しない範囲のものとするのが好ましく、例えば、組成物の全質量を基準として、0.1〜30質量%とするのがよく、さらに好ましくは0.5〜15質量%とするのがよい。(B)成分の配合量をこのような範囲のものとすることにより、シリコーン高分子化合物の繊維製品表面への吸着促進効果を高め、柔軟性、滑らかさなどの効果を十分なものとすることが可能となり、かつ、粘度の上昇を抑えて使用性の面で良好なものとすることができる。
【0024】
本発明の液体柔軟剤組成物中において、(A)成分:(B)成分の質量比は、99:1〜50:50の範囲内である。好ましくは95:5〜60:40、さらに好ましくは90:10〜70:30の範囲である。このような範囲内の比とすることにより、ポリエステル、綿等の衣類に対し柔軟性、滑らかさ等の風合いの優れた機能が得られる。尚、(B)成分の割合がこの範囲内にあることにより、シリコーンの繊維への吸着性を良好なものとすることができる。
【0025】
本発明の(C)成分は、沸点が250℃以下の香料成分を含有する香料組成物である。香料成分の沸点は、一般的に、約20℃〜約500℃まで広範囲に亘るが、そのうち、沸点が250℃以下のものを用いると、不快な部屋干し臭を抑制しつつ、残香性の低い香料組成物が得られる。このような香料成分としては、具体的には、ギ酸エチル(沸点54℃、以下同様)、酢酸エチル(77℃)、プロピオン酸エチル(99℃)、酪酸エチル(121℃)、ヘキシルアルデヒド(131℃)、トランス-2-ヘキセナール(146℃)、ヘプチルアルデヒド(153℃)、ピルビン酸エチル(144℃)、アルファピネン(156℃)、シス-3-ヘキセノール(157℃)、プロピオン酸イソアミル(161℃)、ベータピネン(166℃)、酢酸-トランス-2-ヘキセニル(166℃)、酪酸ブチル(165℃)、酢酸-シス-3-ヘキセニル(169℃)、オクチルアルデヒド(170℃)、酢酸ヘキシル(172℃)、メチルヘプテノン(174℃)、1,8-シネオール(177℃)、パラクレジルメチルエーテル(175℃)、リモネン(178℃)、p-シメン(177℃)、ベンズアルデヒド(179℃)、2,6-ノナジエナール(196℃)、ノニルアルデヒド(191℃)、テトラハイドロリナロール(197℃)、リナロール(198℃)、フェニル酢酸メチル(218℃)、スチラリルアルコール(204℃)、ラバンジュロール(203℃)、シトロネラール(206℃)、カンファー(208℃)、ジハイドロミルセノール(215℃)、デシルアルデヒド(209℃)、メントン(207℃)、酢酸パラクレジル(212℃)、テトラヒドロゲラニオール(213℃)、ミルセノール(213℃)、酢酸スチラリル(212℃)、酢酸ベンジル(215℃)、エストラゴール(216℃)、ジメチルベンジルカルビノール(215℃)、ターピネオール(219℃)、酢酸リナリル(220℃)、フェニルエチルアルコール(220℃)、シトロネロール(225℃)、ジハイドロアネトール(225℃)、酢酸n-ボルニル(226℃)、酢酸イソボルニル(227℃)、ネロール(227℃)、シトラール(228℃)、酢酸シトロネリル(229℃)、ゲラニオール(230℃)、ジヒドロジャスモン(230℃)、カルボン(231℃)、ウンデシルアルデヒド(223℃)、酢酸フェニルエチル(232℃)、ベルテネックス(232℃)、メチルノニルアセトアルデヒド(232℃)、アネトール(236℃)、ウンデシレンアルデヒド(235℃)、アルファヨノン(237℃)、カルバクロール(238℃)、ベータヨノン(239℃)、ヒドロキシシトロネラール(241℃)、プロピオン酸シトロネリル(242℃)、酢酸ゲラニル(245℃)、シス-ジャスモン(248℃)等があげられる。このうち、シトロネロール、ジハイドロミルセノール、テトラハイドロリナロール、ベータヨノン、ゲラニオールおよびリモネンから成る群から選ばれる1種又は2種以上を含有する香料組成物が好ましい。特に、ジハイドロミルセノール、テトラハイドロリナロール、リモネンを含有するのが好ましい。これらの香料成分としては、商業的に入手できるものを使用することができる。
沸点が250℃以下の香料成分が、香料組成物の全量を基準にして好ましくは10〜45質量%、より好ましくは15〜35質量%、さらに好ましくは20〜35質量%の量で含まれるのが好ましい。このような範囲内で含まれると、部屋干し臭抑制効果が高まるので好ましい。なお、本明細書において、沸点は、1atmにおける標準沸点をいう。
(C)成分の配合量は特に限定されないが、例えば、組成物の全量を基準にして、好ましくは0.01〜2.5質量%、より好ましくは0.05〜0.5質量%の量で含まれるのがよい。このような範囲で含まれると、部屋干し臭抑制効果の点で好ましい。
【0026】
本発明はさらに、(D)抗菌剤、消臭基剤、ノニオン性界面活性剤、水、水溶性溶剤、染料、酸化防止剤、消泡剤、無機塩、その他の添加剤等の液体柔軟剤組成物に通常配合されている成分を本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。
(D)成分の抗菌剤は、不快な臭いを抑制する効果を高める目的で配合することができる。抗菌剤としては、「香粧品、医薬品防腐・殺菌剤の科学」吉村孝一、滝川博文著、フレグランスジャーナル社1990年4月10日発行501頁〜564頁に記載されているものを使用することができ、好ましいものとしては、トリクロサン、ビスー(2−ピリジルチオー1−オキシド)亜鉛、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、トリクロロカルバニリド、2−(4−チオシアノメチルチオ)ベンズイミダゾール、ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩、グルクロン酸クロルヘキシジン、8−オキシキノリン、塩化ベンザルコニウム、塩化セタルコニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム等が挙げられ、好ましくはトリクロサン、塩化ベンザルコニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウムから選ばれる1種以上が好ましい。
配合量は、0.05〜5質量%、更に0.2〜5質量%が不快な臭いを抑制する効果の点で好ましい。
【0027】
本発明では、不快な臭いを抑制する効果を更に高める目的で、上記成分に加えて消臭基材を含有することが好ましい。消臭基材とは、悪臭物質の濃度を減じることができる物質、および悪臭物質の濃度は減じないものの悪臭強度を低減させたと感じさせる物質である。具体的には、ベタイン化合物などの化学的消臭法に属する消臭基材、シクロデキストリン、金属石けんなどの包接系消臭基材、香料などの主に感覚的消臭法に属する消臭基材などが挙げられる。その中でも感覚的消臭機構と化学的消臭機構をいずれも有する植物抽出系の消臭基材が不快な臭いを抑制する効果の観点から好ましい。該消臭基材は、その抽出物が消臭作用を有するものであれば、上記植物の種類が特に制限されるものではなく、具体的には、ローズマリー、セージ、オウゴン、オレガノ、マジョラム、ブラックミント、メボウキ、タチジャコウ、タイム、メリッサ、ナギナタコウジュ、セボリーなどのシソ科植物、グローブ、ユーカリ等のフツモモ科植物、バラ科植物、ヒノキ科植物、レンギョウ等のモクセイ科植物、スオウ、モウセンゴケ、コブシ、ホオノキ、ダイオウ、ヘンナ、フキタンポポ、ホップ、ヤロウ等の植物からの抽出物が挙げられる。これらの中でも、本発明において特に好ましい消臭基材は、ローズマリー、セージ、ヘンナ、フキタンポポからの抽出物である。上記植物抽出物は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。
【0028】
また、本発明において、これらの植物からの抽出方法は、特に限定されないが、例えば以下のような方法で得ることができる。
即ち、原料となる植物の全部又は根部、茎部、葉部、種子部、花部などをそのまま、あるいは粉状にして極性溶媒に浸漬し、室温から溶媒還流温度までの温度で0.5〜24時間、好ましくは1〜10時間浸漬する。必要に応じて加熱する上記極性溶媒としては、水、エタノール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジオキサン、メタノール、アセトン、ジエチルエーテル、エチレンクロライド及びイソプロパノールなどの有機溶媒、又はこれらの有機溶媒と水との混合物(例えば、有機溶媒:水=10:90〜90:10 (体積比))が挙げられる。水、メタノール、エタノールが好ましく、特に水を溶媒として抽出した消臭基剤が消臭効果において優れている。必要に応じて加熱後、すぐに又は数日間室温でさらに浸漬した後、濾過、遠心分離などの方法で抽出液を残査から分離する。得られた抽出液をそのまま消臭基剤として用いてもよいが、好ましくは蒸留等で溶媒を除去する方法である。
本発明の組成物において、上記植物から抽出した消臭基剤の配合量は、特に制限されるものではないが、通常、組成物の全質量をベースとして、0.01〜10質量%とするのがよく、好ましくは0.1〜5質量%、更に好ましくは0.5〜2質量%が好適である。
【0029】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば炭素数8〜20のアルキル基又はアルケニル基を1つ以上有するポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましく、特にオキシアルキレン基が平均2〜50モル付加されたものが好ましい。さらに下記一般式(VII)で表されるノニオン性界面活性剤が好ましい。
1−T−[(R2O)p−H]q (VII)
(式中、R1は、炭素数10〜18、好ましくは12〜18のアルキル基又はアルケニル基であり、R2は炭素数2又は3のアルキレン基であり、好ましくはエチレン基である。pは平均付加モル数であり、2〜50、好ましくは5〜30、特に好ましくは5〜20の数を示す。Tは−O−、−N−、−NH−、−N(C24OH)−、−CON−、−CONH−又はCON(C24OH)−であり、Tが−O−、−NH−、−N(C24OH)−、−CONH−、又は−CON(C24OH)−の場合は、qは1であり、Tが−N−又は−CON−の場合は、qは2である。)
【0030】
上記一般式(VII)の化合物の具体例として、下記一般式(VIII)、(IX)で表される化合物を挙げることができる。
1−O−(C24O)r−H (VIII)
(式中、R1は前記と同じ意味であり、rは平均付加モル数であり、2〜50、好ましくは5〜30の数である。)
1−O−(C24O)s(C36O)t−H (IX)
(式中、R1は前記と同じ意味であり、s及びtは平均付加モル数であり、sは2〜40、好ましくは5〜30の数であり、tは1〜20、好ましくは1〜10の数である。(C24O)と(C36O)はランダム又はブロック付加体であってもよい。)
ノニオン活性剤を含有することにより、保存安定性がさらに向上するので好ましい。その配合量は、組成物の全質量を基準として、0.1〜20質量%とするのが好ましく、特に0.5〜15質量%、更に1〜10質量%が好ましい。このような配合量とすることにより、保存安定性の向上効果を十分なものとすることができ、かつ、効果が飽和に達した際の余分な添加を抑えて経済性を図ることが可能となり、さらに柔軟処理時の泡立ちの点からも好ましいものとすることができる。
【0031】
水としては、水中に微量に存在するカルシウム、マグネシウムなどの硬度成分や鉄などの重金属を除去した水が好ましく、イオン交換水又は蒸留水を用いることができる。また、水を殺菌あるいは滅菌する目的から少量の塩素を含有しても差し支えない。
水溶性溶剤としては、エタノール、イソプロパノール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、及び下記一般式(X)で表わされる水溶性溶剤から選ばれる溶媒成分を配合することが好ましい。
3−O−(C24O)y−(C36O)z−H (X)
(式中、R3は、炭素数1〜8、好ましくは2〜6のアルキル基又はアルケニル基である。y及びzは平均付加モル数であり、yは2〜50、好ましくは2〜30、zは0〜50、好ましくは0〜20の数を示す。)
中でも好ましい例としては、エタノール、エチレングリコール、ブチルカルビトール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノプロピレングリコールモノブチルエーテル[C49(C36O)(C24O)2H]等が挙げられる。
これらの成分の配合量は、組成物の全質量を基準として、0.1〜30質量%とするのがよく、好ましくは2〜20質量%、さらに好ましくは5〜15質量%とすることができる。
【0032】
染料としては特に限定されないが、添加の容易さから水溶性染料が好ましく、中でも酸性染料、直接染料から選ばれる水溶性染料の1種又は2種以上であることが好ましい。添加できる染料の具体例は、例えば染料便覧(有機合成化学協会編,昭和45年7月20日発行,丸善(株))、染料ノート第22版((株)色染社)、法定色素ハンドブック(日本化粧品工業連合会編、1988年11月28日発行、(株)薬事日報社)等に記載されており、それらを引用することにより本明細書の開示の一部とされる。染料の配合量は、組成物の全質量をベースとして、好ましくは0.01〜50ppm、より好ましくは0.1〜30ppmとすることができる。このような配合量とすることにより、液体柔軟剤組成物に着色された色が非常に薄くなるのを防止でき、着色効果を充分なものとすることができる一方で、液体柔軟剤組成物に着色された色が濃くなりすぎるのを防止できる。
【0033】
本発明では、組成物の香気安定性や色調安定性向上のため、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、一般に知られている天然系酸化防止剤、合成系酸化防止剤ともに使用できる。具体的には、アスコルビン酸、アスコルビン酸パルミテート、没食子酸プロピルの混合物、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)、没食子酸プロピル、及びクエン酸の混合物、ハイドロキノン、三級ブチルハイドロキノン、天然のトコフェロール系化合物、没食子酸の長鎖エステル(C8〜C22)、例えば没食子酸ドデシル、チバスペシャルティケミカル(株)から入手可能なイルガノックス系化合物、クエン酸及び/またはクエン酸イソプロピル、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(エチドロン酸)、4,5−ジヒドロキシ−m−ベンゼンスルホン酸/ナトリウム塩、ジメトキシフェノール、カテコール、メトキシフェノール、カロチノイド、フラン類、アミノ酸類等が挙げられる。
この中で、液体柔軟剤組成物の外観や保存安定性の観点から、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、メトキシフェノール、トコフェロール系化合物等が好ましい。
酸化防止剤の配合量は、組成物の全量を基準にして0.01〜1質量%の範囲で使用されることが好ましい。
【0034】
消泡剤としては、例えば、シリカ等の微粉を含有するジメチルシリコーン等のシリコーン系消泡剤、アルコール系消泡剤、エステル系消泡剤、鉱油系消泡剤、植物油系消泡剤、及び合成油系消泡剤等が挙げられるが、柔軟剤計量時の泡立ちを抑えて計量性を向上させる観点からシリコーン系の消泡剤が好ましい。シリコーン系消泡剤としては、オイル型消泡剤、コンパウンド型消泡剤、自己乳化型消泡剤、エマルション型消泡剤、粉末型消泡剤及び固形型消泡剤等が挙げられ、この中でも、自己乳化型消泡剤及びエマルション型消泡剤が好ましい。消泡剤の配合量は特に限定されないが、組成物の全質量を基準として、0.1ppm〜1質量%とすることができ、さらに好ましくは1ppm〜0.05質量%とすることができる。
本発明の液体柔軟剤組成物には、無機塩を含有することができる。無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム及び塩化マグネシウムから選ばれる少なくとも1種が貯蔵安定性の点から好ましく、組成物中0〜1000ppm、好ましくは10〜500ppm添加することが良好である。ただし、組成物の原料には、ナトリウム塩やカリウム塩が含まれることがあるが、これらにより混入する無機塩は上記制限を受けるものではない。
【0035】
その他の添加剤として、カチオン性界面活性剤、ヘキサン酸とグリセリンまたはペンタエリスリトールとの部分エステル化物や、食塩、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム等の水溶性塩、流動パラフィン、高級アルコールなどの油剤、尿素、炭化水素、非イオン性セルロース誘導体、紫外線遮蔽剤、蛍光増白剤、後述するpH調整剤等が挙げられる。なお、アニオン性界面活性剤、アニオン性高分子化合物は、配合する場合には、シリコーン高分子化合物の吸着効果を考慮して、(B)成分のカチオン性高分子化合物の含有量よりも少ない量で配合するのがよい。
本発明の液体柔軟剤組成物には、本発明の効果を妨げない範囲で、通常の家庭用仕上げ剤に使用されている添加剤などを使用することができる。そのような添加剤として、具体的には、カチオン性界面活性剤、ヘキサン酸とグリセリンまたはペンタエリスリトールとの部分エステル化物や、塩化アンモニウム等の水溶性塩、流動パラフィン、高級アルコールなどの油剤、尿素、炭化水素、非イオン性セルロース誘導体、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、後述するpH調整剤等が挙げられる。なお、アニオン性界面活性剤、アニオン性高分子化合物は、配合する場合には、シリコーン化合物の吸着効果を考慮して、(B)成分のカチオン性高分子化合物の含有量よりも低い量で配合するのがよい。
【0036】
本発明の液体柔軟剤組成物のpHは特に限定されないが、3〜8の範囲であることが好ましく、4〜6の範囲であることがより好ましい。すすぎ液中では希釈され中性領域にはいります。必要に応じて、塩酸、硫酸、リン酸、アルキル硫酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等の短鎖アミン化合物、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属珪酸塩などのpH調整剤を用いることができる。
本発明の液体柔軟剤組成物の粘度は特に限定されないが、5〜50mPa・s(B型 粘度計(ビスコメーター(TOKIMEC)、25℃)であるのが好ましい。このような範囲にあると、使用性が良好であるので好ましい。
【0037】
本発明の液体柔軟剤組成物は、上記(A)〜(C)成分及び場合により任意成分を含有し、通常、残部は水である。本発明の液体柔軟剤組成物の製造は、上記各成分を容器に充填し、これを十分に撹拌した後に水を添加して均一になるまで十分に撹拌することにより行うことができる。これらの成分の添加は、一緒に又は任意の順序で行うことができるが、例えば、(A)成分及び(C)成分を添加・撹拌した後、水を添加して撹拌し、次いで、成分(B)及び必要により(D)を添加・撹拌することにより本発明の液体柔軟剤組成物を製造することができる。また、本発明の液体柔軟剤組成物は、適度な濃度に希釈して使用される。使用方法は特に限定されないが、衣料を通常の洗濯を行い、すすぎの段階ですすぎ水に本発明の組成物を溶解させて処理を行う、また、たらいのような容器を用い本発明の組成物を水に溶解させ、更に衣料を入れて浸漬処理する方法などが挙げられる。繊維製品の処理はいずれの方法で行ってもよいが、浴比(繊維製品に対する処理液の比率)は3〜100倍、特に5〜50倍であることが好ましい。
また、本発明の液体柔軟剤組成物は、実際に繊維製品の柔軟仕上げを行う際の全使用水量に対し、(A)成分の濃度が5ppm〜5000ppmとなるような量で使用するのが好ましく、さらに好ましくは10ppm〜300ppmとなるような量で使用され、(B)成分の濃度は0.5ppm〜100ppmとなるような量で使用するのが好ましく、さらに好ましくは3ppm〜30ppmとなるような量で使用される。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、下記例で%は質量%を示す。
【実施例】
【0038】
以下の表1に記載の(A)シリコーン化合物、(C)香料成分、及び場合により後記の共通成分1〜4のいずれかを、夫々所定量を500mlビーカーに充填し、撹拌羽を用いて十分に撹拌した。次に、撹拌しながら、イオン交換水を添加し、さらに撹拌しながら、表2に記載の(B)カチオン性を有する水溶性高分子化合物および表4に記載の(D)抗菌剤を添加し撹拌後、均一になるまで十分に撹拌して、400gの液体柔軟剤組成物を調製した。尚、特に断りが無い限り、配合温度は25±2℃で行った。各成分の配合量は、表5に示す通りである。
このようにして得た各液体柔軟剤組成物(実施例1〜16及び比較例1〜3)について、以下に記載する部屋干し臭評価法に従って、部屋干し臭抑制の効果を評価した。結果を表5に記載する。
【0039】
【表1】

【0040】
[(A-4)ポリエーテル変性シリコーンの製造]
(CH33SiO(CH3CH3SiO)210(CH3HSiO)9Si(CH3)3で表されるハイドロジェンシロキサン828g、平均組成CH2=CHCH2O(CH2CH2O)9Hで表されるアリル化ポリエーテル210g、エチルアルコール726g及び塩化白金酸のClを中和したものを白金がアリル化ポリエーテルに対して重量で5ppmとなるように秤量して、反応温度80℃で攪拌し5時間反応させた。反応終了後溶媒を減圧留去することにより下記式(I)で表されるポリエーテル変性シリコーンを得た。
【0041】
【化7】

【0042】
【表2】











【0043】
【表3】

【0044】
【表4】

【0045】
(共通成分1)
下記の成分は、〔 〕内に示した量(有姿での配合量、組成物の全量を基準とする。以下同様。)を添加した。
1-1 ケーソンCG−ICP(ローム&ハース社製) 〔100ppm〕
1-2 ソフタノール50(C12-14第2級アルコールEO5付加物、日本触媒(株)製)〔4%〕
1-3 95%合成未変性エタノール(日本合成アルコール(株)製) 〔10%〕
【0046】
(共通成分2)
下記の成分は、〔 〕内に示した量(有姿での配合量)を添加した。
2-1 プロキセルBDN(アビシア(株)製) 〔5ppm〕
2-2 アミゼット5C(ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミドEO5付加物、川研ファインケミカル(株))〔4%〕
2-3 95%合成未変性エタノール(日本合成アルコール(株)製) 〔10%〕
2-4 X-50-963(シリコーン系エマルション型消泡剤、信越化学工業(株)製)〔15ppm〕
2-5 C.I.アシッド イエロー 3(B.A.S.F社製、キノリンイエローWS 〔3ppm〕
2-6 クレモーゲン(CREMOGEN)ローズマリーエキス(ハーマンアンドライマー(株)〔0.5 %〕
【0047】
(共通成分3)
下記の成分は、〔 〕内に示した量(有姿での配合量)を添加した。
3-1 プロテクトール(Protectol)BN(BASF(株)製)〔20ppm〕
3-2 ルテンゾール(Lutensol) TO 5(イソトリデカノールEO5付加物、BASF(株)製)〔4%〕
3-3 95%合成未変性エタノール(日本合成アルコール(株)製)〔10%〕
3-4 X-50-963(シリコーン系エマルション型消泡剤、信越化学工業(株)製)〔15ppm〕
3-5 C.I.ダイレクト レッド 225(日本化薬(株)製、カヤフェクトレッドB)〔3ppm〕
3-6 エクストラポンローズマリーP(EXTRAPONE ROSEMARY P、ローズマリー抽出物、シムライズ(株)〔1%〕
(共通成分4)
下記の成分は、〔 〕内に示した量(有姿での配合量)を添加した。
4-1 ケーソンCG−ICP〔20ppm〕
4-2 ソフタノール90(C12-14第2級アルコールEO9付加物、日本触媒(株)製)〔3%〕
4-3 95%合成未変性エタノール(日本合成アルコール(株)製)〔10%〕
4-4 X-50-963(シリコーン系エマルション型消泡剤、信越化学工業(株)製)〔15ppm〕
4-5 C.I.アシッド ブルー 9((株)洛東化学工業製、ラクトーブリリアントブル-FCF)〔3ppm〕
【0048】
〔部屋干し臭評価方法〕
家庭で1年以上着用した肌シャツ(BVD)を半裁し、市販衣料用洗剤「トップ」(ライオン(株)製、成分:界面活性剤(アルファオレフィンスルホ脂肪酸エステルナトリウム、脂肪酸ナトリウム、直鎖アルキルベンゼン系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル)、水軟化剤、アルカリ剤、酵素、蛍光増白剤)で5分洗浄し(洗剤は標準使用量、浴比30倍、25℃の水道水使用)、ためすすぎを3分間2回行なった。その際、半裁した一方のみためすすぎ2回目に、表に示す液体柔軟剤組成物を水量30リットルに対して10g加えて、衣料の柔軟処理(浴比30倍、25℃の水道水使用、3分)を行った。又、半裁したもう一方はためすすぎ2回目にも柔軟剤を使用せずに水道水のみで処理を行なった。その後、脱水し、湿度99%、25℃で5時間乾燥した後の衣料の臭いを10人のパネラーにより下記の基準で判定し、平均点を求めた。
平均点が 1.1〜2.0点を◎、0.1〜1.0点を〇、−1.0〜0点を△、−2.0〜−1.1点を×として判定した。
+2:対照(柔軟剤未処理)よりはっきり臭いが少ない
+1:対照よりややや臭いが少ない
0 :対照とほぼ同じ
−1:対照の方がやや臭いが少ない
−2:対照の方がはっきり臭いが少ない
【0049】
〔残香性評価方法〕
新品の肌シャツ(BVD)を半裁し、市販衣料用洗剤「トップ」(ライオン(株)製、成分:界面活性剤(アルファオレフィンスルホ脂肪酸エステルナトリウム、脂肪酸ナトリウム、直鎖アルキルベンゼン系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル)、水軟化剤、アルカリ剤、酵素、蛍光増白剤)で5分洗浄し(洗剤は標準使用量、浴比30倍、25℃の水道水使用)、ためすすぎを3分間2回行なった。その際、表に示す液体柔軟剤組成物を水量30リットルに対して10g加えて、衣料の柔軟処理(浴比30倍、25℃の水道水使用、3分)を行った。その後、脱水し、湿度40%、25℃で24時間乾燥した後の残香性を10人のパネラーにより下記の基準で判定し、平均点を求めた。
平均点が0.0〜1.5点を◎、1.6〜3.0点を〇、3.1〜4.0点を△、4.1〜5.0点を×として判定した。
0:無臭
1:やっと感知できるニオイ
2:何のニオイであるかわかる弱いニオイ
3:楽に感知できるニオイ
4:強いニオイ
5:強烈なニオイ
























【0050】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)シリコーン高分子化合物、
(B)カチオン性を有する水溶性高分子化合物、及び
(C)沸点が250℃以下の香料成分を含有する香料組成物、
を含有する液体柔軟剤組成物。
【請求項2】
沸点が250℃以下の香料成分が、シトロネロール、ジハイドロミルセノール、テトラハイドロリナロール、ベータヨノン、ゲラニオールおよびリモネンから成る群から選ばれる少なくとも1種の香料成分を含有する請求項1記載の液体柔軟剤組成物。
【請求項3】
沸点が250℃以下の香料成分が、香料組成物の全量を基準にして10〜45重量%で含まれる請求項1記載の液体柔軟剤組成物。
【請求項4】
さらに(D)抗菌剤を含有する請求項1〜3のいずれか1項記載の液体柔軟剤組成物。

【公開番号】特開2007−63741(P2007−63741A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−214569(P2006−214569)
【出願日】平成18年8月7日(2006.8.7)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】