説明

液体注出容器

【課題】詰め替え作業を簡単に行うことができるとともに、カートリッジ内の液体を十分に使い切ることが可能な液体注出容器を提供する。
【解決手段】液体注出容器1Aは、液体を収納するカートリッジ5と、カートリッジ5を囲繞する本体容器2および本体蓋3と、本体蓋3に取り付けられるポンプ4とを備えている。カートリッジ5は、液体が充填される収容体51と、この収容体51の開口をシールするシール体52とを有し、本体蓋3は、カートリッジ5のシール体52を突き破る突き刺し管33を有し、ポンプ4は、突き刺し管33内に挿入されることにより当該突き刺し管33を通じてカートリッジ5に差し込まれる吸い上げ管43を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を詰め替え可能な液体注出容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばシャンプー、リンス、ハンドソープ、ボディーソープ等を所定量注出するポンプ式の液体注出容器や、例えば液体洗剤等を噴霧状にして注出するスプレー式の液体注出容器が知られている。これらの液体注出容器においては、内容物である液体が充填された自立型の包装袋(スタンディングパウチ)が別途用意されていて、容器内が空になったときには、これを用いて内容物の詰め替えが行わるようになっている。
【0003】
前記包装袋は、包装袋自体にこしがなく、形状が安定しない。このため、包装袋を用いた詰め替え作業では、容器に液体を注ぎ難く、場合によっては包装袋から容器に液体を移し替える際に液体を零してしまうことがある。
【0004】
そこで、この問題点を解決する対策として、例えば特許文献1には、本体を本体容器とポンプ機能を有したねじ蓋とに二分割するとともに、液体を収納するカートリッジを前記本体容器とねじ蓋とで形成される空間内に収容するようにして、カートリッジの取り替えによって内容物の詰め替えができるようにした液体注出容器が開示されている。
【0005】
前記カートリッジは、液体が充填された収容体がシール体で密閉されたものである。前記シール体には、中央に穴が設けられていて、この穴がタブテープで塞がれている。また、前記収容体の上部には、シール体を覆うようにキャップが被せられている。そして、詰め替え作業を行う際には、カートリッジのキャップを取り外すとともにタブテープを剥がしてシール体に設けられた穴を出現させ、このカートリッジを空になったカートリッジと取り替えた後に、ねじ蓋の吸い上げ管をカートリッジのシール体に設けられた穴に差し込みながらねじ蓋を本体容器に取り付けるようにする。
【特許文献1】特開平10−29654号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような構成では、詰め替え作業を行う際に、キャップを取り外す作業とタブテープを剥がす作業を行う必要があり、作業が煩雑である。
【0007】
そこで、カートリッジのシール体に予め穴を設けずに、ねじ蓋の吸い上げ管の先端を鋭利な形状にし、ねじ蓋を本体容器に取り付ける際に吸い上げ管でカートリッジのシール体に穴を開けることも考えられる。しかしながら、このようにすると、吸い上げ管の先端でカートリッジの収容体の底面を傷つけないようにするために、吸い上げ管の先端が収容体の底面に接しない程度に吸い上げ管の長さを短く設定する必要がある。そうすると、収容体の底に残る液体を吸い上げることができず、カートリッジ内の液体を十分に使い切ることができない。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑み、詰め替え作業を簡単に行うことができるとともに、カートリッジ内の液体を十分に使い切ることが可能な液体注出容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、液体を収納するカートリッジと、このカートリッジが装填される本体容器と、この本体容器に着脱可能に取り付けられて、当該本体容器とで前記カートリッジを囲繞する本体蓋と、前記カートリッジ内の液体を注出するために前記本体蓋に着脱可能に取り付けられる注出器とを備え、前記カートリッジは、前記液体が充填される収容体と、この収容体の開口をシールするシール体とを有し、前記本体蓋は、前記本体容器に取り付けられる際に、前記カートリッジのシール体を突き破る突き刺し管を有し、前記注出器は、前記本体蓋に取り付けられる際に、前記突き刺し管内に挿入されることにより当該突き刺し管を通じて前記カートリッジに差し込まれる吸い上げ管を有していることを特徴とする液体注出容器である。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の液体注出容器において、前記カートリッジの収容体は、紙材で構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載の液体注出容器において、前記カートリッジのシール体の裏面には、ねじ穴を有するねじ部材が取り付けられていて、このねじ部材のねじ穴に前記シール体を突き破った前記突き刺し管が挿通されるようになっているとともに、前記突き刺し管には、前記ねじ穴に螺合可能なねじ部が設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体注出容器において、前記本体容器の底部には、当該本体容器の内外を連通する貫通穴が設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、本体蓋が本体容器に取り付けられる際に、本体蓋の突き刺し管でカートリッジのシール体が突き破られるようになっているので、カートリッジのシール体に予め穴を設けておかなくても、カートリッジを装填した本体容器に本体蓋を取り付ける工程でカートリッジのシール体に穴を開けることができる。また、注出器の吸い上げ管が突き刺し管を通じてカートリッジに差し込まれるようになっているので、本体蓋を本体容器に取り付けた後に、吸い上げ管を突き刺し管内に差し込みながら注出器を本体蓋に取り付ければ、吸い上げ管の先端がカートリッジ内の液体中に浸されて、注出器による液体の注出が可能な状態になる。すなわち、空になったカートリッジを新しいカートリッジに取り替えた後に本体蓋および注出器を順次取り付けるだけの簡単な作業で詰め替え作業を行うことができる。また、突き刺し管がカートリッジのシール体を突き破る機能を有しているので、吸い上げ管の先端を鋭利な形状に形成する必要がない。従って、吸い上げ管の長さを当該吸い上げ管が収容体の底面に接する程度に設定することが可能になり、カートリッジ内の液体を十分に使い切ることができるようになる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、カートリッジの収容体が紙材で構成されているので、使用済みのカートリッジを焼却処分することができる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、カートリッジのシール体に取り付けられたねじ部材のねじ穴と突き刺し管のねじ部との螺合によって、シール体と突き刺し管との間がシールされるようになるため、カートリッジからの液漏れを防ぐことができる。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、本体容器の底部に設けられた貫通穴によって水抜きの効果が得られるとともに、カートリッジを取り替える際には、貫通穴からカートリッジを押し出してカートリッジを容易に取り外すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0018】
まず、図1〜図4を参照して、本発明の第1実施形態に係る液体注出容器1Aを説明する。
【0019】
液体注出容器1Aは、図1および図2に示すように、液体を収容するカートリッジ5と、このカートリッジ5が装填される本体容器2と、この本体容器2に取り付けられる本体蓋3と、この本体蓋3に取り付けられるポンプ(注出器)4とを備えている。
【0020】
前記カートリッジ5は、図4に示すように、紙材で構成された紙コップからなる収容体51と、この収容体51の開口をシールするシール体52とを有している。シール体52は、収容体51に液体が充填された後に、当該収容体51の開口を塞ぐように収容体51の上端部に接合されて、収容体51の内部を密閉するものである。このシール体52の材質としては、例えばアルミ、紙、またはプラスチック等の後述する突き刺し管33が容易に突き刺し可能なものを使用する。
【0021】
前記本体容器2は、円形板状の底壁22と、この底壁22の外周縁部から拡径しながら上方に延びる筒状の周壁21とを有していて上方に開口しており、内部に前記カートリッジ5が装填可能となっている。底壁22の略中央には、図3に示すように、直径10〜20mmの円形の貫通穴22aが設けられていて、この貫通穴22aによって本体容器2の内外が連通している。また、周壁21の上端部の外周面には、雄ねじ部21aが形成されている。
【0022】
前記本体蓋3は、前記本体容器2とで前記カートリッジ5を囲繞するためのものであり、下方に開口する略半球収容体状のドーム部31を有している。このドーム部31の下端部の内周面には、雌ねじ部(図示せず)が形成されていて、この雌ねじ部を本体容器2の雄ねじ部21aに螺合させることにより、本体蓋3が本体容器2に着脱可能に取り付けられるようになっている。なお、本体蓋3を本体容器2に着脱可能に取り付ける構造としては、ねじ構造以外にも例えばフック等による係合構造も採用可能である。
【0023】
また、前記ドーム部31の頂部の外側面には、外周面に雄ねじ部が形成された筒状のポンプ取付部32が突設されている一方、ドーム部31の頂部の内側面には、下方に延びる突き刺し管33が設けられている。なお、ポンプ取付部32の内部と突き刺し管33の内部とは、ドーム部31の頂部に設けられた図略の貫通穴を通じて連通している。
【0024】
前記突き刺し管33は、本体蓋3を本体容器2に取り付ける際に前記カートリッジ5のシール体52を突き破るためのものであり、前記ドーム部31の下端部よりも下側の位置まで延びていて、その先端は軸心に対して所定角度をなす鋭利な形状に形成されている。
【0025】
前記ポンプ4は、内周面に雌ねじ部(図示せず)が形成された筒状の固定部41、吸い上げ管43、および押し下げヘッド42を有している。そして、吸い上げ管43を本体蓋3のポンプ取付部32および突き刺し管33内に挿入した状態で、固定部41の雌ねじ部をポンプ取付部32の雄ねじ部に螺合させることにより、ポンプ4が本体蓋3に着脱可能に取り付けられるようになっている。
【0026】
前記吸い上げ管43は、軟質ホースからなっており、その長さは、ポンプ4が本体蓋3に取り付けられたときに、吸い上げ管43の先端がカートリッジ5の収容体51の底面に接し、吸い上げ管43が若干弧状に撓む程度に設定されている。なお、吸い上げ管43の長さを、ポンプ4が本体蓋3に取り付けられたときに、吸い上げ管43の先端とカートリッジ5の収容体51の底面との間に僅かな隙間が形成される程度に設定する場合には、吸い上げ管43を硬質ホースで構成してもよい。
【0027】
次に、液体注出容器1Aの使用要領を説明する。
【0028】
まず、本体容器2の内部にカートリッジ5を装着する。次いで、本体蓋3の突き刺し管33をカートリッジ5のシール体52の中央に突き刺して、シール体52に穴を開ける。なお、カートリッジ5のシール体52の中央に印を付けておけば、突き刺し管33を簡単にシール体52の中央に突き刺すことができる。そして、そのまま本体蓋3を押し込むとともに、本体蓋3のドーム部31の雌めじ部を本体容器2の雄ねじ部21aに螺合させて、本体蓋3を本体容器2に取り付ける。このとき、本体蓋3の突き刺し管33によって、ポンプ取付部32からカートリッジ5の内部に至るまでのポンプ4の吸い上げ管43を通すための軌道が確保される。
【0029】
本体蓋3を本体容器2に取り付けた後は、ポンプ4の吸い上げ管43をポンプ取付部32および突き刺し管33内に挿入するとともに、固定部41をポンプ取付部32に螺合させて、ポンプ4を本体蓋3に取り付ける。上記のように、突き刺し管33によって吸い上げ管43を通すための軌道が確保されているので、吸い上げ管43を突き刺し管33内に挿入することにより、吸い上げ管43が突き刺し管33を通じてカートリッジ5に差し込まれる。これにより、吸い上げ管43の先端がカートリッジ5内の液体中に浸されて、ポンプ4による液体の注出が可能な状態になる。そして、押し下げヘッド42を押し下げれば、ポンプ4からカートリッジ5内の液体が所定量注出される。
【0030】
カートリッジ5が空になって、詰め替え作業を行う際には、ポンプ4および本体蓋3を順次取り外して空になったカートリッジ5を新しいカートリッジ5に取り替えた後に、上記と同様に本体蓋3およびポンプ4を順次取り付ければよい。
【0031】
このように、第1実施形態に係る液体注出容器1Aでは、空になったカートリッジ5を新しいカートリッジ5に取り替えた後に本体蓋3およびポンプ4を順次取り付けるだけの簡単な作業で詰め替え作業を行うことができる。また、本体蓋3の突き刺し管33がカートリッジ5のシール体52を突き破る機能を有しているので、ポンプ4の吸い上げ管43の先端を鋭利な形状に形成する必要がない。従って、吸い上げ管43の長さを当該吸い上げ管43がカートリッジ5の収容体51の底面に接する程度に設定することが可能になり、カートリッジ5内の液体を十分に使い切ることができるようになる。
【0032】
さらには、本体容器2の底壁22には貫通穴22aが設けられているので、使用時等に本体容器2内に水が入ったとしても貫通穴22aから排出されるようになり、貫通穴22aによって水抜きの効果が得られる。また、カートリッジ5を取り替える際には、この貫通穴22aに指を入れてカートリッジ5を下方から上方に押し出すことができるため、カートリッジ5を容易に取り外すことができる。
【0033】
なお、カートリッジ5の収容体51としては、紙コップ以外にもプラスチック製の容器を採用することが可能である。ただし、カートリッジ5の収容体51が紙コップであれば、使用済みのカートリッジ5を焼却処分することができ、また、プラスチック製の容器と比べ公害性がなく、地球環境を悪化させることがない。
【0034】
次に、図5〜図7を参照して、本発明の第2実施形態に係る液体注出容器1Bを説明する。なお、第1実施形態と同一構成部分には、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0035】
第2実施形態に係る液体注出容器1Bでは、図5および図6に示すように、カートリッジ5のシール体52の裏面の略中央にねじ部材6が取り付けられている。このねじ部材6は、中央にねじ穴61を有する上下方向に延びる筒状の部材である。
【0036】
一方、本体蓋3の突き刺し管33の中間部分には、図7に示すように、前記ねじ穴61に螺合可能な雄ねじからなるねじ部34が設けられている。そして、本体蓋3が本体容器2に取り付けられる際には、突き刺し管33がカートリッジ5のシール体52の中央に突き刺されることにより、シール体52を突き破った突き刺し管33がねじ部材6のねじ穴61に挿通されるようになる。さらに、そのままねじ部34がねじ部材6に当たるまで本体蓋3を押し込み、ねじ部34がねじ部材6に当たった後に本体蓋3を所定方向に回せば、ねじ部34をねじ部材6のねじ穴61に螺合させることができるとともに、これと同時に本体蓋3のドーム部31の雌めじ部を本体容器2の雄ねじ部21aに螺合させて、本体蓋3を本体容器2に取り付けることができる。
【0037】
このような構成であれば、カートリッジ5のシール体52に取り付けられたねじ部材6のねじ穴81と突き刺し管33のねじ部34との螺合によって、シール体52と突き刺し管33との間がシールされるようになるため、カートリッジ5からの液漏れを防ぐことができる。
【0038】
なお、前記第1および第2実施形態では、注出器として液体を所定量注出するポンプ4を採用した形態を示したが、注出器としては、例えば液体を噴霧状にして注出するスプレー等を採用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液体注出容器の側面図である。
【図2】液体注出容器の分解側面図である。
【図3】本体容器の斜視図である。
【図4】カートリッジの斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る液体注出容器の側面図である。
【図6】(a)はカートリッジの斜視図、(b)は(a)のI−I線断面図である。
【図7】本体蓋の側面図である。
【符号の説明】
【0040】
1A,1B 液体注出容器
2 本体容器
3 本体蓋
33 突き刺し管
34 ねじ部
4 ポンプ(注出器)
43 吸い上げ管
5 カートリッジ
51 収容体
52 シール体
6 ねじ部材
61 ねじ穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収納するカートリッジと、このカートリッジが装填される本体容器と、この本体容器に着脱可能に取り付けられて、当該本体容器とで前記カートリッジを囲繞する本体蓋と、前記カートリッジ内の液体を注出するために前記本体蓋に着脱可能に取り付けられる注出器とを備え、
前記カートリッジは、前記液体が充填される収容体と、この収容体の開口をシールするシール体とを有し、前記本体蓋は、前記本体容器に取り付けられる際に、前記カートリッジのシール体を突き破る突き刺し管を有し、前記注出器は、前記本体蓋に取り付けられる際に、前記突き刺し管内に挿入されることにより当該突き刺し管を通じて前記カートリッジに差し込まれる吸い上げ管を有していることを特徴とする液体注出容器。
【請求項2】
前記カートリッジの収容体は、紙材で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の液体注出容器。
【請求項3】
前記カートリッジのシール体の裏面には、ねじ穴を有するねじ部材が取り付けられていて、このねじ部材のねじ穴に前記シール体を突き破った前記突き刺し管が挿通されるようになっているとともに、前記突き刺し管には、前記ねじ穴に螺合可能なねじ部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の液体注出容器。
【請求項4】
前記本体容器の底部には、当該本体容器の内外を連通する貫通穴が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体注出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−298498(P2006−298498A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2006−201020(P2006−201020)
【出願日】平成18年7月24日(2006.7.24)
【出願人】(301065364)日栄産業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】