説明

液体注出容器

【課題】液切れが良く、逆止弁の開閉が確実に行え、更に、収容物を効率良く収納することができ、また、構造も簡単で製造も容易な液体注出容器を提案する
【解決手段】圧搾可能な胴部10よりノズル11を一体に突設した容器体Aと、ノズル11内に嵌着固定された弁部材Bとを備え、容器体Aは、起立可能な保形性を備え、外気導入用の透孔を備えた外層oと、外層o内面に剥離可能に積層された可撓性の内層iとから構成され、収容液の減少による負圧化で外層oから内層iが剥離する如く構成され、弁部材Bは柔軟で弾力性に富む材質で形成され、ノズル11内に嵌着した嵌合筒部30と、嵌合筒部30内へ一体に延設した筒状をなし、先端を一対の圧接片部32により扁平状に圧接閉塞したシール部33に形成してなる筒状弁部31とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体注出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
液体注出容器として、胴部の圧搾により収納液を注出する如く構成したものが種々提案されている。(例えば、特許文献1を参照)
【0003】
上記特許文献1の注出容器は、圧縮可能で、しかも形状復元性を有する操作外箱と、該操作外箱内に収納され、その流出口端を外部に開放可能とする可撓性の内部容器本体と、操作外箱と内部容器間に形成される密閉空気室とを備え、操作外箱に穿設した透孔部分を閉塞して一端を操作外箱に連結する弁板を揺動可能に設け、外部から空気室内へ一方的な流通が可能な逆止弁を形成している。また、内部容器本体の注出口を閉塞して一端を注出口に連結する弁板を揺動可能に設けて、内部から外部への一方的な流通が可能な逆止弁を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平03−133748号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の注出容器は、内部容器本体内の容積は常に減少する方向へのみ変化するから流出口端から空気が流入せず、従って次の操作外箱の圧縮操作によりすぐに内容物を排出することができ、しかもその排出された内容物内に起泡が生じたり、または空気の放出により内容物が飛散することがなく、さらに、内部容器本体は最後まで無理なく内容物を排出し得るとともに、操作外箱は絞り操作後は元の状態に復帰し得るものであるからその外観形状を常に維持できて見栄えが良い等の効果を発揮する優れたものである。
【0006】
しかしながら、注出口に設けられた内容物用の逆止弁は一端を注出口に連結して揺動可能に弁板を設けたものであるため液切れが悪く、また、弁板のヒンジ部の強さにもよるが、容器を倒立させただけで開弁する虞もある。更に、収納液が比較的粘度が高い場合には開いた弁板が閉じない虞もあり、その様な場合には内容物が外気に触れやすくなる。また、内部容器本体は操作外箱内に吊り下げられ、その外方に密閉空気室が存在するため、容器全体の大きさから比較して収容物の量が制限されるという不都合もある。
【0007】
本発明は上記した点に鑑みてなされたもので、液切れが良く、逆止弁の開閉が確実に行え、更に、収容物を効率良く収納することができる液体注出容器を提案する。また、構造も簡単で製造も容易な液体注出容器を提案する。更に、容器の圧縮操作によりすぐに内容物を排出することができ、しかもその排出された内容物内に起泡が生じたり、または空気の放出により内容物が飛散することがなく、さらに、最後まで無理なく内容物を排出し得るとともに、容器は圧搾操作後は元の状態に復帰し得るものであるからその外観形状を常に維持できて見栄えが良い等の従来容器の発揮する効果を合わせて発揮することができる液体注出容器を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の手段として、以下の通り構成した。即ち、圧搾可能な胴部10よりノズル11を一体に突設した容器体Aと、ノズル11内に嵌着固定された弁部材Bとを備え、容器体Aは、起立可能な保形性を備え、外気導入用の透孔15を備えた外層oと、外層o内面に剥離可能に積層された可撓性の内層iとから構成され、収容液の減少による負圧化で外層oから内層iが剥離する如く構成され、弁部材Bは柔軟で弾力性に富む材質で形成され、ノズル11内に嵌着した嵌合筒部30と、嵌合筒部30内へ一体に延設した筒状をなし、先端を一対の圧接片部32により扁平状に圧接閉塞したシール部33に形成してなる筒状弁部31とからなる。
【0009】
第2の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、ノズル11の先端部を閉塞した閉塞壁12の周囲を易切断性の破断線13を介して切断可能に構成するとともに、閉塞壁12に摘み片14を突設した。
【0010】
第3の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段又は第2の手段のいずれかの手段に於いて、外気導入用の透孔15を、胴部10の圧搾時に指で閉塞が可能な胴部位置に穿設した。
【0011】
第4の手段として、以下の通り構成した。即ち、圧搾可能な可撓性の胴部10よりノズル11を一体に突設した容器体Aと、ノズル11内に嵌着固定された弁部材Bとを備え、弁部材Bは柔軟で弾力性に富む材質で形成され、ノズル11内に嵌着した嵌合筒部30と、嵌合筒部30内へ一体に延設した筒状をなし、先端を一対の圧接片部32により扁平状に閉塞したシール部33に形成してなる筒状弁部31とからなる。
【0012】
第5の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第4の手段のいずれか一つの手段に於いて、弁部材Bを構成する柔軟で弾力性に富む材質がエラストマーである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ノズル11内に嵌着した嵌合筒部30と、嵌合筒部30内へ一体に延設した筒状をなし、先端を一対の圧接片部32により扁平状に圧接閉塞したシール部33に形成してなる筒状弁部31とからなる弁部材Bを備えているため、胴部10を圧搾することで収容液の液圧を上昇させて、該液圧によりシール部33が容易に開き液の注出を行える。一方、柔軟で弾力性に富む材質で形成された弁部材Bは、胴部10の圧搾を解除すればシール部33が迅速に閉塞するため、内部への外気の浸入を確実に防止できる。また、柔軟で弾力性に富む材質で形成された嵌合筒部30はその外径をノズル11内径よりやや大きく形成しても容易に嵌着することができ、また、一旦嵌着した嵌合筒部30は外れる等の虞がないという利点もある。
【0014】
また、容器体Aが、起立可能な保形性を備え、外気導入用の透孔15を備えた外層oと、外層o内面に剥離可能に積層された可撓性の内層とから構成されている場合は、収容液を容器外径と比較して極力多量に効率よく収納することができ、また、容器体Aは、収容液の減少による負圧化で外層oから内層iが剥離するため、収容液の減少により容易に剥離して内層i内の収容液空間を減少させることができる。
【0015】
外気導入用の透孔15を、胴部10の圧搾時に指で閉塞が可能な胴部位置に穿設した場合には、胴部10の圧搾に際して内層iと外層oとの間に存在する空気が外部に漏出することがなく、内層iをより確実に圧搾することができ、また、圧搾を解除する際には指を退ければいいだけであり、その操作も極めて簡便である。
【0016】
圧搾可能な可撓性の胴部10よりノズル11を一体に突設した容器体Aと、ノズル11内に嵌着固定された弁部材Bとを備え、弁部材Bは柔軟で弾力性に富む材質で形成され、ノズル11内に嵌着した嵌合筒部30と、嵌合筒部30内へ一体に延設した筒状をなし、先端を一対の圧接片部32により扁平状に閉塞したシール部33に形成してなる筒状弁部31とからなる場合には、内容物を注出後は容器を寝かして,或いは立て掛けて使用するが、弁部材Bの存在で寝かしておいても液が洩れるのを確実に防止でき、また、構造が簡単であるため、安価に製造できる利点もある。
【0017】
弁部材Bを構成する柔軟で弾力性に富む材質がエラストマーである場合には、成形性が良く、充分な弾力性を得られ、ノズル11へ弁部材Bの嵌着固定が容易で、しかも嵌着した後には外れる虞がない等の利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】液体注出容器の一部切欠側面図である。(実施例1)
【図2】液体注出容器の要部拡大側面図である。(実施例1)
【図3】ノズル部分の正面図である。(実施例1)
【図4】図2のX−X線に沿う縦断面図である。(実施例1)
【図5】液体注出容器を成形する際の説明図である。(実施例1)
【図6】液体注出容器を成形する際の説明図である。(実施例1)
【図7】液体注出容器を使用する際の説明図である。(実施例1)
【図8】液体注出容器の要部拡大側面図である。(実施例2)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の形態を図面を参照して説明する。
【0020】
図1乃至図7は液体注出容器1の一例を示す。液体注出容器1は、容器体Aと、弁部材Bとを備えている。
【0021】
容器体Aは、筒状の胴部10上に一体にノズル11を起立している。ノズル11は胴部10の頂部中央より上方へ延びた後斜め側方上方に延びる鉤形筒状をなしており、先端部は閉塞壁12で閉塞されており、閉塞壁12の周囲には薄肉の破断線13を周設している。また、閉塞壁12の中央からは摘み片14を一体に突設している。
【0022】
また、容器体Aは、外層oと、外層o内面に剥離可能に積層した内層iとから構成している。外層oは合成樹脂等により形成され、圧搾が可能な弾力性を備え、また、起立が可能な保形性を備えている。内層iは合成樹脂等により形成され、内容物を注出した際に外層oから容易に剥離することができ、剥離した内層iと外層との隙間には、外層oに穿設した外気導入用の透孔15から外気が導入される如く構成している。外気導入用の透孔15の穿設位置は外層oのあらゆる位置で要件を満たすことができるが、胴部10の圧搾時に指で塞いで圧搾することができる位置に設けることで、胴部の圧搾をより効率よく行える利点がある。
【0023】
弁部材Bは、エラストマー等の柔軟で弾力性に富む材質で形成されたもので、特にポリエステル系のエラストマーを好ましく採用できる。また、弁部材Bは、嵌合筒部30と、筒状弁部31とを備えている。嵌合筒部30は、ノズル11内所定位置に周設した係止段部16と、係止段部16から所定距離外方へ離間した位置に突設した係止突条17との間に嵌着固定された筒状をなしている。また、筒状弁部31は、嵌合筒部30と一体に形成されたもので、嵌合筒部30の後部内周より嵌合筒部30内へ延設した筒状をなすとともに、先端を一対の圧接片部32により扁平状に圧接閉塞したシール部33に形成している。そして、液圧により各圧接片部32が弾性変形してシール部33が開口し、内部より外部へ一方的に連通する逆止弁の作用を行う。
【0024】
上記の如き液体注出容器1の形成方法について説明すると、例えば、図5に示す如く、ブロー成形により容器体Aの原形A1を形成する。この場合の原形A1は、胴部10の上端にノズル11を一体に延設しており、ノズル11の先端は仮蓋20により閉塞されている。また、底部には円錐台形状の底部形成壁21を介して充填筒部22を延設し、充填筒部22には薄肉破断部23を周設している。
【0025】
そして、この原形A1に対して、図6(a)の状態から図6(b)にある如く仮蓋20の先端部を切断除去して開口し、弁部材Bを開口から嵌入し、係止突条17と係止段部16との間に嵌合筒部30を嵌着することで弁部材Bを装着することができる。更にこの状態から、仮蓋20部分を融着固定して摘み片14を形成する。ノズル11内に嵌着した弁部材Bはエラストマー等の柔軟で弾力性に富む材質で形成されているため、例えば、嵌合筒部30の外径をノズル11の内径よりやや大きめに形成しておいての嵌着が可能であるとともに、一旦嵌着すれば使用作動範囲内では外れることがなく強固に嵌着される。
【0026】
次いで、底壁形成壁21を上方に反転し、充填筒部22から内容物を注入した後、薄肉破断部23の上方位置を融着シールし、薄肉破断部23を切断してその下方の充填筒部22を除去して内容物の充填を行う。薄肉破断部23より上方の充填筒部22は底壁形成壁21の反転により形成された空間内に収納される。尚、液体注出容器1の形成方法及び充填方法は一例に過ぎず、当然これに限られない。
【0027】
上記の如き液体注出容器1を使用する場合には、例えば、図1の状態から摘み片14を掴んで破断線13を破断することで図7に示す如く注出口18が開口し、次いで胴部10を圧搾することでシール部33が液圧で開き収容液が注出される。胴部10の圧搾をやめると外層oは弾性復元力により元の状態に戻り、一方内層i内は外層oの弾性復元と同時或いはそれよりも早くシール部33が弾性復元して閉じるため、内層i及び外層o間は負圧化され、外気導入用の透孔15より外気が導入される。再度液の注出を行う場合には、外気導入用の透孔15を指で抑えた状態で胴部10の圧搾を行えば、内層iと外層oとの間の空気は外気導入用の透孔15を介して外部へ逃げることがないため、内層iの押圧をより効率よく行える。
【0028】
図8は他の例を示し、容器体Aが内外層二重構造ではなく、合成樹脂により形成された一重構造の例を示し、圧搾可能な可撓性の胴部10を備えている。その他の構成は図1の例と同様であるため、説明を省略する。この場合は、容器体Aが一重構造であるため、胴部10を圧搾して液の注出を行うと、可撓性の胴部10は元の状態に戻らずに減容した状態を維持する。そのため、容器は寝かしておくか、立て掛けておくこととなる。
【符号の説明】
【0029】
1…液体注出容器
A…容器体
10…胴部,11…ノズル,12…閉塞壁,13…破断線,14…摘み片,
15…外気導入用の透孔, 16…係止段部,17…係止突条,18…注出口,
i…内層,o…外層
A1…原形
20…仮蓋,21…底部形成壁,22…充填筒部,23…薄肉破断部
B…弁部材
30…嵌合筒部,31…筒状弁部,32…圧接片部,33…シール部





【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧搾可能な胴部10よりノズル11を一体に突設した容器体Aと、ノズル11内に嵌着固定された弁部材Bとを備え、容器体Aは、起立可能な保形性を備え、外気導入用の透孔15を備えた外層oと、外層o内面に剥離可能に積層された可撓性の内層とから構成され、収容液の減少による負圧化で外層oから内層iが剥離する如く構成され、弁部材Bは柔軟で弾力性に富む材質で形成され、ノズル11内に嵌着した嵌合筒部30と、嵌合筒部30内へ一体に延設した筒状をなし、先端を一対の圧接片部32により扁平状に圧接閉塞したシール部33に形成してなる筒状弁部31とからなることを特徴とする液体注出容器。
【請求項2】
ノズル11の先端部を閉塞した閉塞壁12の周囲を易切断性の破断線13を介して切断可能に構成するとともに、閉塞壁12に摘み片14を突設した請求項1記載の液体注出容器。
【請求項3】
外気導入用の透孔15を、胴部10の圧搾時に指で閉塞が可能な胴部位置に穿設した請求項1又は請求項2のいずれか一項に記載の液体注出容器。
【請求項4】
圧搾可能な可撓性の胴部10よりノズル11を一体に突設した容器体Aと、ノズル11内に嵌着固定された弁部材Bとを備え、弁部材Bは柔軟で弾力性に富む材質で形成され、ノズル11内に嵌着した嵌合筒部30と、嵌合筒部30内へ一体に延設した筒状をなし、先端を一対の圧接片部32により扁平状に閉塞したシール部33に形成してなる筒状弁部31とからなることを特徴とする液体注出容器。
【請求項5】
弁部材Bを構成する柔軟で弾力性に富む材質がエラストマーである請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の液体注出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−111223(P2011−111223A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−272455(P2009−272455)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】