説明

液体洗浄剤組成物

【課題】各種汚れ、特に変性油汚れに対して高い洗浄力を発揮できるアルカリ性の液体洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】(a)両性界面活性剤及び/又は非イオン性界面活性剤、(b)アルカリ剤、(c)特定の構成単位(c1)、(c2)を含む水溶性高分子化合物、並びに水を、それぞれ特定範囲で含有する、pH10以上(25℃)の液体洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗浄剤組成物に関し、より詳細には、油汚れに対して優れた洗浄力を有する、硬質表面用として好適な液体洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に洗浄剤は、浴室、台所、床等の処理対象の異なる汚れを除去するため、それぞれに適した組成のものが用いられている。例えば、レンジ、オーブン、レンジまわりの壁や床、換気扇といった台所まわりに用いられる台所まわり用洗浄剤としては、熱、日光、空気中の酸素等の作用により変質した油汚れを除去するため、界面活性剤、溶剤及びアルカリ剤等を含む洗浄剤が用いられている。また、浴槽、浴室の壁及び床といった浴室に用いられる浴室用洗浄剤としては、金属石鹸、特に脂肪酸のカルシウム塩の汚れを除去するため、界面活性剤、溶剤、金属イオン封鎖剤等を含む洗浄剤が用いられている。かかる洗浄剤は、高い洗浄性能を発揮するためpH10以上のアルカリ性に調整される場合が多い。
従来より、洗浄剤中に水溶性高分子化合物を含有させる技術は知られており、例えば、特許文献1には、界面活性剤、溶剤、アルカリ剤及び顔料を含む洗浄剤に、特定の水溶性有機ポリマーを配合することにより、組成物中の顔料分散性が高められ、貯蔵安定性を向上させ得る旨が記載されている。
【特許文献1】特開2006−143843号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来以上の高い洗浄力が依然として求められているが、高い洗浄力を達成するために、アルカリ剤や界面活性剤の濃度を高めることは環境や安全性の面からも望ましいとは言えない。そこで、洗浄対象となる硬質表面を洗浄剤によって表面改質し、汚れ自体が付着し難い、もしくは付着した汚れが除去し易いようにすることができれば、アルカリ剤や界面活性剤の濃度を必要以上に増やすことなく容易な洗浄が実現可能になり、実質的に洗浄力を高めることになる。
【0004】
そこで本発明は、各種汚れ、特に変性油汚れに対して高い洗浄力を発揮できるアルカリ性の液体洗浄剤組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、(a)両性界面活性剤及び/又は非イオン性界面活性剤〔以下、(a)成分という〕0.01〜10質量%、(b)アルカリ剤〔以下、(b)成分という〕0.01〜30質量%、(c)下記一般式(c1−1)で表される単量体及び一般式(c1−2)で表される単量体から選ばれる単量体に由来する構成単位(c1)と、下記一般式(c2−1)で表される単量体及び一般式(c2−2)で表される単量体から選ばれる単量体に由来する構成単位(c2)とを含む水溶性高分子化合物〔以下、(c)成分という〕0.01〜5質量%、並びに水を含有する、pH10以上(25℃)の液体洗浄剤組成物に関する。
【0006】
【化3】

【0007】
〔式中、R1、R2、R3、R7、R8、R9は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基である。X1、Yは、それぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキレン基、−COOR12−、−CONHR12−、−OCOR12−、−R13−OCO−R12−から選ばれる基である。ここでR12、R13は、それぞれ独立して、炭素数1〜5のアルキレン基である。R4は炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基又はR12C=C(R3)−X1−である。R5は炭素数1〜3のアルキル基、又はヒドロキシアルキル基であり、R6は炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はベンジル基であり、Z-は陰イオンを示す。R10は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基又はR78C=C(R9)−Y−である。R11は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基である。〕
【0008】
【化4】

【0009】
〔式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基である。〕
【発明の効果】
【0010】
本発明の液体洗浄剤組成物は、表面改質効果によって洗浄後の硬質表面に油汚れが付着し難い、もしくは付着した汚れが除去し易くなるため、洗浄時の労力が軽減されるという利点を有する。
【0011】
さらに、本発明の液体洗浄剤組成物は、銅フタロシアニン系青色色素を配合した場合、鮮明な青系の外観を有しているだけでなく、液性がアルカリ性であるにもかかわらず、熱や光等の影響を受けても長期間退色しないため、製品の美観が長期間にわたって損なわれないという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
<(a)成分>
本発明の液体洗浄剤組成物は、(a)両性界面活性剤及び/又は非イオン性界面活性剤を含有する。両性界面活性剤としては、アミンオキサイド型界面活性剤、ベタイン型界面活性剤等が挙げられる。
【0013】
本発明で用いる(a)成分のアミンオキサイド型界面活性剤は、洗浄力のみならず、染料、なかでも銅フタロシアニン系青色色素の色相安定性にも効果がある。
【0014】
アミンオキサイド型界面活性剤としては、例えば炭素数1〜24の直鎖又は分岐鎖アルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニルアミンオキサイドを挙げることができる。より好ましいアミンオキサイド型界面活性剤としては、下記の一般式(a1−1)で表されるアルキルアミンオキサイドを挙げることができる。
【0015】
【化5】

【0016】
〔式中、R1aは炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基を示し、R2a及びR3aは同一又は異なる炭素数1〜3のアルキル基を示し、Dは−NHC(=O)−基又は−C(=O)NH−基を示し、Eは炭素数1〜5のアルキレン基を示し、a及びbはa=0、b=0又はa=1、b=1を示す〕
【0017】
上記一般式(a1−1)において、R1aは炭素数8〜24のアルキル基又はアルケニル基であるが、特に炭素数12〜18のアルキル基が好ましい。R2a、R3aは炭素数1〜3のアルキル基であるが、特に炭素数1のメチル基が好ましい。
【0018】
本発明で用いる(a)成分のベタイン型界面活性剤は、下記一般式(a1−2)の化合物を挙げることができる。
【0019】
【化6】

【0020】
〔式中、R4aは炭素数9〜23のアルキル基又はアルケニル基であり、R5aは炭素数1〜6のアルキレン基である。Bは−COO−、−CONH−、−OCO−、−NHCO−、−O−から選ばれる基であり、bは0又は1の数である。R6a、R7aは、それぞれ炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、R8aはヒドロキシ基で置換していてもよい炭素数1〜5のアルキレン基である。D-は−SO3-、−OSO3-、−COO-から選ばれる基である。〕
【0021】
一般式(a1−2)において、R4aは、好ましくは炭素数9〜15、特に9〜13のアルキル基であり、R5aは、好ましくは炭素数2又は3のアルキレン基である。Bは−CONH−が好ましく、bは0又は1が好適である。R6a、R7aはメチル基、又はヒドロキシエチル基が好ましい。D-は−SO3-又は−COO-が好ましく、D-が−SO3-の場合にはR8aは−CH2CH(OH)CH2−が好ましく、D-が−COO-の場合にはR8aはメチレン基が好ましい。
【0022】
本発明で用いる(a)成分の非イオン界面活性剤としては、下記一般式(a2−1)〜一般式(a2−3)の化合物が挙げられる。
9a−O(EO)nH (a2−1)
〔式中、R9aは平均炭素数10〜20、好ましくは10〜18の一級の直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基又は二級のアルキル基である。EOはエチレンオキサイドであり、nは平均付加モル数として5〜20である。〕
10a−O[(EO)p/(PO)q]H (a2−2)
〔式中、R10aは平均炭素数10〜20、好ましくは10〜18の一級のアルキル基である。EOはエチレンオキサイド、POはプロピレンオキサイドを示す。k及びlは平均付加モル数であり、pは5〜15、qは1〜5である。EOとPOはランダム付加又はEOを付加した後、POを付加してもよく、またその逆のようなブロック付加体でもよい。また、ブロック付加体は3つ以上のブロックであってもよい。〕
11a−(OR12a)xy (a2−3)
〔式中、R11ac3は直鎖又は分岐鎖の炭素数8〜18のアルキル基もしくはアルケニル基又は炭素数8〜18のアルキル基を有するアルキルフェニル基、R12aは炭素数2〜4のアルキレン基、Gは炭素数5又は6の還元糖に由来する残基好ましくはグルコース残基であり、xは平均値0〜6の数、yは平均値1〜10の数を示す。〕
【0023】
(a)成分の含有量は、充分な洗浄力を付与するため、液体洗浄剤組成物中において、0.01〜10質量%であり、好ましくは0.05〜8質量%であり、より好ましくは0.1〜5質量%である。
【0024】
<(b)成分>
本発明で用いる(b)成分のアルカリ剤としては、アルカリ金属の水酸化物もしくは炭酸塩もしくはケイ酸塩、アルカリ土類金属の水酸化物、及び下記の一般式(b1)、(b2)、(b3)及び(b4)で表されるアミン化合物から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
【0025】
【化7】

【0026】
〔式中、R1b、R4b、R6b、R8b、R10b、R12b、R13bは、それぞれ水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R2b、R3b、R5b、R7b、R9b、R11bは、それぞれ水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基を示し、Dは酸素原子、又は炭素数1〜3のアルキレン基を示す〕
【0027】
一般式(b1)で表される化合物としては、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルプロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等を挙げることができる。一般式(b2)で表される化合物としては、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン等を挙げることができる。一般式(b3)で表される化合物としては、ジエチレントリアミン等を挙げることができる。一般式(b4)で表される化合物としては、モルホリン、N−エチルモルホリン等を挙げることができる。これらの中でもモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、モルホリンが好ましい。
【0028】
(b)成分の含有量は、組成物のpH(25℃)を10以上にするための濃度である。充分な洗浄力を付与するため、液体洗浄剤組成物中において、0.01〜30質量%であり、好ましくは0.05〜30質量%であり、より好ましくは0.1〜20質量%であり、最も好ましくは0.3〜10質量%である。特に洗浄力の点から、アルカリ剤としてアルカノールアミンを必須成分として配合することが好ましく、その配合濃度は組成物中0.1〜10質量%が好ましい。
【0029】
<(c)成分>
(c)成分は、下記一般式(c1−1)で表される単量体及び一般式(c1−2)で表される単量体から選ばれる単量体に由来する構成単位(c1)と、下記一般式(c2−1)で表される単量体及び一般式(c2−2)で表される単量体から選ばれる単量体に由来する構成単位(c2)とを含む水溶性高分子化合物である。(c)成分は、カチオン基を含むことが好ましい。一般式(c1−2)で表される単量体を用いる場合は、重合後に4級化してもよい。
【0030】
【化8】

【0031】
〔式中、R1、R2、R3、R7、R8、R9は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基である。X1、Yは、それぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキレン基、−COOR12−、−CONHR12−、−OCOR12−、−R13−OCO−R12−から選ばれる基である。ここでR12、R13は、それぞれ独立して、炭素数1〜5のアルキレン基である。R4は炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基又はR12C=C(R3)−X1−である。R5は炭素数1〜3のアルキル基、又はヒドロキシアルキル基であり、R6は炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はベンジル基であり、Z-は陰イオンを示す。R10は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基又はR78C=C(R9)−Y−である。R11は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基である。〕
【0032】
【化9】

【0033】
〔式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基である。〕
【0034】
構成単位(c1)の由来となる具体的な単量体化合物としては、ジアリルジアルキル(該アルキル基の炭素数は1〜3)アンモニウム塩、N−(メタ)アクリロイルアミノアルキル(該アルキル基の炭素数は1〜5)−N,N−ジアルキル(該アルキル基の炭素数は1〜3)アミン、N−(メタ)アクリロイルアミノアルキル(該アルキル基の炭素数は1〜5)−N,N,N−トリアルキル(該アルキル基の炭素数は1〜3)アンモニウム塩、N−(メタ)アクリロイルオキシアルキル(該アルキル基の炭素数は1〜5)−N,N,N−トリアルキル(アルキル基の炭素数は1〜3)アンモニウム塩、及びN−(ω−アルケニル(該アルケニル基の炭素数は2〜10))−N,N−ジアルキル(該アルキル基の炭素数は1〜3)アミンから選ばれる化合物が挙げられる。
【0035】
一方、(c)成分においては、構成単位(c2−1)及び構成単位(c2−2)の両方を含むことが好ましい。その場合、構成単位(c2−1)及び構成単位(c2−2)のモル比が、好ましくは(c2−1)/(c2−2)で100〜1、より好ましくは50〜1.3、更に好ましくは20〜1.5であることが、配合成分の相溶性、及び性能の点から好ましい。ここで、一般式(c2−1)で表される単量体に由来する構成単位を構成単位(c2−1)、一般式(c2−2)で表される単量体に由来する構成単位を構成単位(c2−1)とする。
【0036】
(c)成分の構成単位中、構成単位(c1)及び構成単位(c2)の合計が50〜100モル%、更に80〜100モル%、特には実質的に100モル%であることが、効果の点から好ましい。
【0037】
さらに、(c)成分の構成単位中、構成単位(c1)が0.01〜10モル%、更に0.01〜5モル%であることが、配合成分の相溶性、及び効果の点から好ましい。
【0038】
本発明の(c)成分はいかなる重合法によって得てもよいが、好ましくは一般式(c1−1)の化合物及び/又は一般式(c1−2)の化合物と、一般式(c2−1)の化合物及び/又は一般式(c2−2)の化合物と、所望によりこれらと共重合可能な単量体とを、ラジカル重合法、特に好ましく、塊状、溶液、又は乳化系にてこれを行うことができる。ラジカル重合は加熱によりこれを開始してもよいが、開始剤として、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス(N,N−ジメチレンイソブチルアミジン)二塩酸塩、などのアゾ系開始剤、過酸化水素及び、過酸化ベンゾイル、t−ブチルヒドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシド、過安息香酸などの有機過酸化物、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、過酸化水素−Fe3+などのレドックス開始剤、など既存のラジカル開始剤を用いてもよく、光増感剤の存在/又は非存在下での光照射や、放射線照射により重合を開始させてもよい。
【0039】
一つの好ましい実施形態において、本発明はこのように重合して得られた重合体のビニルアルコール低級(炭素数1〜3)脂肪酸エステルに由来する構成単位の一部をケン化した共重合体を使用し得る。ケン化する方法は特に限られず、一般的な方法を採用することができる。
【0040】
例えば、該共重合体をアルコール又は含水アルコールに溶解し、必要に応じてポリマー中の酸成分を中和後、或いは中和と同時に酸触媒又はアルカリ触媒でケン化が行われる。アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、tert−ブタノール等が挙げられるがメタノールが特に好適に使用される。アルコール中の共重合体の濃度は系の粘度により適宜選択されるが通常は10〜60質量%の範囲から選ばれる。ケン化に使用される触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート等のアルカリ金属の水酸化物やアルコラートの如きアルカリ触媒、或いは硫酸、塩酸等の酸触媒が用いられる。触媒の使用量は、ケン化方法、目標とするケン化度等により適宜選択されるが、通常ビニルアルコール低級(炭素数1〜3)脂肪酸エステルに対して0.1〜10モル%が適当である。又、ケン化反応温度は特に制限はなく、目標のケン化度に従って適宜選択され、通常10〜60℃好ましくは20〜50℃の範囲から選ばれ、ケン化反応は5〜240分にわたって行われる。
【0041】
(c)成分の重量平均分子量は10,000〜1,000,000、更に10,000〜500,000、特に10,000〜200,000、更に特に50,000〜150,000が好ましい。ここでいう重量平均分子量は、アセトニトリルと水の混合溶媒(リン酸緩衝液)を展開溶媒とし、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーでポリエチレングリコールを標準として求めることができる。
【0042】
(c)成分の組成物中の含有量は0.01〜5質量%であり、好ましくは0.05〜3質量%、より好ましくは0.1〜1質量%である。
【0043】
本発明の洗浄剤組成物において、より好適な易洗浄性を得るには(a)成分と(c)成分の質量比が(a)/(c)で50/1〜1/10であることが好ましく、特に20/1〜1/2であることが好ましい。
【0044】
[(d)成分]
本発明の液体洗浄剤組成物は、(d)成分として、銅フタロシアニン系青色色素を含有してもよい。(d)成分としては、銅フタロシアニン系青色染料や銅フタロシアニン系青色顔料が挙げられる。水溶性の銅フタロシアニン系青色染料としては、ColorIndex(C.I.)nameで表記するとDirect Blue 86、Direct Blue 87、Acid Blue 249、Reactive Blue 15、Reactive Blue 21、Reactive Blue 25、Reactive Blue 71等の染料が挙げられ、特に好ましいものはDirect Blue 86、Acid Blue 249、Reactive Blue 15、Reactive Blue 21、Reactive Blue 71である。
【0045】
[(e)成分]
本発明の液体洗浄剤組成物は、(e)成分として、(a)成分以外の界面活性剤を含有してもよい。(e)成分としては、特許文献の特開平11−189796号公報に「(b)成分」として列挙されている化合物のうち、本発明における(a)成分に該当しないものを1種又は2種以上用いることができる。
【0046】
[(f)成分]
本発明の液体洗浄剤組成物には、(f)成分として、ビルダー成分を配合することができる。ビルダー成分としては、下記に挙げる1種又は2種以上を用いることができる。
【0047】
(1)オルソリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、メタリン酸、ヘキサメタリン酸、フィチン酸等のリン酸系化合物のアルカリ金属塩又はアルカノールアミン塩。
【0048】
(2)エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸及びその誘導体、エタンヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸等のホスホン酸のアルカリ金属塩又はアルカノールアミン塩。
【0049】
(3)2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸等のホスホノカルボン酸のアルカリ金属塩又はアルカノールアミン塩。
【0050】
(4)アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン等のアミノ酸のアルカリ金属塩又はアルカノールアミン塩。
【0051】
(5)ニトリロ三酢酸、イミノ二酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、ジエンコル酸等のアミノポリ酢酸のアルカリ金属塩又はアルカノールアミン塩。
【0052】
(6)ジグリコール酸、オキシジコハク酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、リンゴ酸、オキシジコハク酸、グルコン酸、カルボキシメチルコハク酸、カルボキシメチル酒石酸等の有機酸のアルカリ金属塩又はアルカノールアミン塩。
【0053】
(7)ゼオライトAに代表されるアルミノケイ酸のアルカリ金属塩又はアルカノールアミン塩。
【0054】
(8)アミノポリ(メチレンホスホン酸)及びそのアルカリ金属塩又はアルカノールアミン塩、ポリエチレンポリアミンポリ(メチレンホスホン酸)及びそのアルカリ金属塩又はアルカノールアミン塩。
【0055】
これらの中でも、クエン酸、リンゴ酸等のヒドロキシカルボン酸、ピロリン酸等の縮合リン酸、エチレンジアミン四酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸等のアミノカルボン酸又はこれらのナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩もしくはアルカノールアミン塩及びそれらの水溶性塩が好ましい。
【0056】
(f)成分の組成物中の含有量は、洗浄力の点から、0.01〜30質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜20質量%であり、特に好ましくは0.5〜10質量%である。
【0057】
本発明の液体洗浄剤組成物には、上記成分以外にも、本発明の目的を損なわない範囲の他の成分を配合することができる。例えば、エタノール、プロパノール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、アルキル基の炭素数が3〜8のアルキルモノグリセリルエーテル等の溶剤、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、クメンスルホン酸塩等のハイドロトロープ剤、BHT等の酸化防止剤、アルカリ性で安定な香料、防カビ・防菌剤、及び防腐剤を挙げることができる。なお、本発明の洗浄剤組成物においては、ベンゼン環を有する化合物の量が多くなると、透明もしくは半透明の容器に入れて日光曝露保存した際に容器が変形することがあるため、ベンゼン環含有化合物の組成物中の含有量が0.1質量%未満であることが好ましく、より好ましくは実質的に含まないことである。
【0058】
本発明の液体洗浄剤組成物は、上記(a)〜(c)成分、及びその他の成分とともに水を含有する。水は組成物の残部であり、その配合量は合計で100質量%となるように調整する量である。
【0059】
また、本発明の液体洗浄剤組成物の25℃でのpHは、高い洗浄力を得るためにpH10以上であり、好ましくはpH10.5以上、また好ましくはpH14以下であり、より好ましくはpH13以下である。pHは、(株)堀場製作所製pHメータD−52S、pH電極6367−10Dを用いて測定したものである。
【0060】
本発明の液体洗浄剤組成物は、各種洗浄用途に適用することができるが、特に硬質表面用の洗浄剤組成物として好ましい。ここで「硬質表面」とは、平面的であるか又は立体的であるかを問わず、一定の形状を保持しているものを意味するものであり、洗浄処理ができるものであれば、硬さの程度は限定されるものではない。この硬質表面としては、プラスチック、ゴム、金属、タイル、レンガ、コンクリート、セメント、ガラス、木等からなる床、階段、壁等の固定物のほか、それらからなる各種器械、器具、道具、家具、食器等の人が接触するもの全般を挙げることができる。
【0061】
よって、本発明の液体洗浄剤組成物は、台所まわり用洗浄剤、浴室用洗浄剤、床用洗浄剤、食器用洗浄剤、全自動洗濯機洗濯槽の洗浄剤、排水パイプの洗浄剤、台所や洗面所の小物の洗浄剤等として適用することができるが、特に好ましくは台所まわり用洗浄剤として適用できる。
【実施例】
【0062】
実施例1〜15、比較例1〜3
表1に示す各成分を用い、実施例及び比較例の各液体洗浄剤組成物を得た。pHは水酸化ナトリウムおよび/または塩酸で調整した。各液体洗浄剤組成物を用い、下記の方法により、汚れ付着防止性、易洗浄性の試験を行った。結果を表1に示す。
【0063】
(汚れ付着防止性)
15cm×15cmのステンレス板に組成物を5gスプレーして表面に均一に塗り広げた後、流水で1min水洗した(組成物による前処理)。この処理を、実施例に記載した組成物および70%エタノール水溶液(比較対照)で行った。前処理したステンレス板を室温で18時間自然乾燥した後、一般家庭のコンロ周辺の壁面にほぼ垂直になるように設置した。2週間経過後、ステンレス板に付着した汚れの状態を、比較対照としたステンレス板と比較した。
◎:組成物による前処理をした方の汚染度が明らかに低い
○:組成物による前処理をした方の汚染度がやや低い
△:組成物による前処理をした場合としない場合とで汚染度があまり変わらない
×:組成物による前処理をした方の汚染度が高い
【0064】
(易洗浄性)
15cm×30cmのステンレス板に組成物を5gスプレーして表面に均一に塗り広げた後、流水で1分間水洗した(組成物による前処理)。ステンレス板を室温で18時間自然乾燥し、その表面に牛脂/菜種油(重量比1/1、スダンIII 0.1%添加、塗布前に40℃で均一溶解させてから用いる)0.1gを、ティッシュ等を用いて均一に塗布した。組成物1gをスプレー(泡が直径5〜10cm程度の円状になるように)し、10秒後に10秒間水洗した後でスプレー部分における牛脂/菜種油の洗浄性(洗浄度合い)を目視評価した。牛脂/菜種油の洗浄性を、組成物による前処理をした場合としない場合とで比較した。
◎:組成物による前処理をした方の洗浄性が明らかに高い
○:組成物による前処理をした方の洗浄性がやや高い
△:組成物による前処理をした場合としない場合とで洗浄性があまり変わらない
×:組成物による前処理をした方の洗浄性が低い
【0065】
【表1】

【0066】
*1 花王株式会社製、商品名アンヒトール20N
*2 川研ファインケミカル株式会社製、商品名ソフタゾリンLAO
*3 花王株式会社製、商品名アンヒトール20AB
*4 花王株式会社製、商品名アンヒトール20HD
*5 花王株式会社製、商品名エマルゲン108
*6 ジアリルジメチルアンモニウムクロライドと酢酸ビニルとの共重合物の部分ケン化物〔全構成単位中、構成単位(c1)は0.9モル%であり、構成単位(c1)及び構成単位(c2)の合計は100モル%であり、構成単位(c2−1)及び構成単位(c2−2)のモル比は(c2−1)/(c2−2)=6.7である。重量平均分子量は約9万である。〕
*7 ジアリルジメチルアンモニウムクロライドと酢酸ビニルとの共重合物の部分ケン化物〔全構成単位中、構成単位(c1)は0.9モル%であり、構成単位(c1)及び構成単位(c2)の合計は100モル%であり、構成単位(c2−1)及び構成単位(c2−2)のモル比は(c2−1)/(c2−2)=6.7である。重量平均分子量は約3万である。〕
*8 日本ゼオン株式会社製、商品名クインフロー540

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)両性界面活性剤及び/又は非イオン性界面活性剤0.01〜10質量%、(b)アルカリ剤0.01〜30質量%、(c)下記一般式(c1−1)で表される単量体及び一般式(c1−2)で表される単量体から選ばれる単量体に由来する構成単位(c1)と、下記一般式(c2−1)で表される単量体及び一般式(c2−2)で表される単量体から選ばれる単量体に由来する構成単位(c2)とを含む水溶性高分子化合物0.01〜5質量%、並びに水を含有する、pH10以上(25℃)の液体洗浄剤組成物。
【化1】


〔式中、R1、R2、R3、R7、R8、R9は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基である。X1、Yは、それぞれ独立して、炭素数1〜12のアルキレン基、−COOR12−、−CONHR12−、−OCOR12−、−R13−OCO−R12−から選ばれる基である。ここでR12、R13は、それぞれ独立して、炭素数1〜5のアルキレン基である。R4は炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基又はR12C=C(R3)−X1−である。R5は炭素数1〜3のアルキル基、又はヒドロキシアルキル基であり、R6は炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシアルキル基、又はベンジル基であり、Z-は陰イオンを示す。R10は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基又はR78C=C(R9)−Y−である。R11は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基もしくはヒドロキシアルキル基である。〕
【化2】


〔式中、Rは炭素数1〜3のアルキル基である。〕
【請求項2】
(a)成分と(c)成分の質量比(a)/(c)が、50/1〜1/10である、請求項1記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項3】
更に、(d)銅フタロシアニン系青色色素を含有する請求項1又は2記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項4】
(d)成分がPigment Blue 15、Pigment Blue 15:1、Pigment Blue 15:2、Pigment Blue 15:3、Pigment Blue 15:4、Direct Blue 86、Acid Blue 249、Reactive Blue 15、Reactive Blue 21、Reactive Blue 71から選ばれる1種以上の色素である、請求項3記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項5】
ベンゼン環を有する化合物の含有量が0.1質量%未満である請求項1〜4のいずれかに記載の液体洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2009−91431(P2009−91431A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−262330(P2007−262330)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】