説明

液体漂白洗浄剤組成物の製造方法

【課題】水への溶解度の低いホウ素化合物を高濃度溶液として安定に調製する方法、及び該ホウ素化合物水溶液を液体漂白洗浄剤組成物中に効率的に配合することを可能にする液体漂白洗浄剤組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】(a)ホウ素化合物、(b)ポリオール、(c)水、(d1)過酸化水素、(d2)漂白活性化剤、及び(e)界面活性剤を含有する液体漂白洗浄剤組成物を製造するにあたり、(a)、(b)、及び(c)10〜40質量%を含有するホウ素化合物水溶液と、(d1)、(d2)及び(e)とを混合して、液体漂白洗浄剤組成物を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホウ素化合物水溶液、液体漂白洗浄剤組成物、及び液体漂白洗浄剤組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、ホウ酸及び/又はその塩を含有する液体洗浄剤組成物に関する文献は多く報告されているが、その製造方法についての文献はほとんど開示されていない。ホウ酸及び/その塩は粉末原料であり、水への溶解度が20℃で5%未満と小さい。このため、製造時に主配合槽で直接溶解させるには、多量の配合水と所要時間が必要となり、また、事前にホウ酸原料を溶解(プレミックス)させて用いる場合には、大容量の溶解槽や貯槽が必要となる。いずれの方法においても、製造効率(生産性)の低下や設備コストの点が課題であった。そこで、製造効率の向上及び設備コストの削減を目的に、ホウ酸及び/又はその塩を液体状に高濃縮化する技術が望まれている。
【0003】
ホウ酸を高濃縮化する方法として、特許文献1や2に、高濃度のアルカリ剤水溶液中にホウ酸塩を溶解させる技術や、有機ホスホン酸誘導体等の酸性成分とホウ酸及び/又はその塩を予め予備混合(プレミックス)する製造技術が開示されている。
【0004】
また、ホウ酸及び/又はその塩とポリオールを含有する液体洗浄剤組成物の技術は既に知られており、特許文献3〜5を参考にすることができる。
【特許文献1】特開2001−164297号公報
【特許文献2】特開2008−1834号公報
【特許文献3】特開平7−53994号公報
【特許文献4】特開平10−72595号公報
【特許文献5】特開2006−169515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においては、多量のアルカリ剤を用いてpHを一旦上昇させる必要があり、配合時に酸剤を使ってpHを戻す工程が増える等、煩雑な製造方法であった。また、特許文献2に記載された、有機ホスホン酸誘導体等の酸性成分とホウ酸及び/又はその塩を予めプレミックスする方法は、溶解性と安全性の点で改良されるもの、液体洗剤を濃縮配合する際には、多量の酸剤の添加によって、配合液の液感を損ねる(相分離や白濁が生じる)ため、十分ではなかった。
【0006】
特許文献3〜5には、ホウ酸及び/又はその塩とポリオールを含有する液体洗浄剤組成物の技術が開示されており、特に、特許文献3には、ホウ砂とソルビトールを予備混合したプレミックスが実施例に記載されている。しかしながら、これは1回の製造時(1バッチ)の1工程の説明に過ぎず、ホウ酸プレミックスをマスターバッチとして次回以降のバッチに流用する、工業的製法に必要な溶解効率や安定性については、全く言及されていない。又、該方法では、貯蔵時の低温安定性が不十分なために沈殿などを形成し、その結果洗浄剤としての性能が十分に発揮されないという問題があった。特許文献5にも、ホウ酸等とポリオール化合物とを予め混合した母液に過酸化水素、漂白活性化剤を添加することが記載されているが、安定な母液を用いて工業的に効率よく実施できる方法については言及されていない。
【0007】
そこで、製造効率の向上及び設備コストの削減を目的に、ホウ酸及び/又はその塩を高濃度に安定調製させる、より簡便な技術が望まれていた。
【0008】
本発明の課題は、水への溶解度の低いホウ素化合物を高濃度溶液として安定に調製する方法を提供することである。また、該ホウ素化合物水溶液を液体漂白洗浄剤組成物中に効率的に配合することを可能にする液体漂白洗浄剤組成物の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するため、鋭意検討した結果、ホウ素化合物を水に溶解させる際に、ソルビトール等のポリオールを併用し混合することで、ホウ素化合物の溶解度が向上することを着目するに至った。更に検討の結果、ホウ素化合物とポリオールとを、当業界での一般的な技術常識とは逆に、配合水の割合を極力低減して混合する(プレミックスとしてのホウ酸化合物水溶液中の40質量%以下にする)ことにより、溶解度が著しく向上すると共に低温での貯蔵安定性も優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
本発明は、(a)ホウ素化合物、(b)ポリオール、及び(c)水10〜40質量%を含有するホウ素化合物水溶液に関する。
【0011】
また、本発明は、上記本発明のホウ素化合物水溶液と(d1)過酸化水素とを混合してなる液体漂白洗浄剤組成物に関する。
【0012】
また、本発明は、(a)ホウ素化合物〔以下、(a)成分という〕、(b)ポリオール〔以下、(b)成分という〕、(c)水〔以下、(c)成分という〕、(d1)過酸化水素〔以下、(d1)成分という〕、(d2)漂白活性化剤〔以下、(d2)成分という〕、及び(e)界面活性剤〔以下、(e)成分という〕を含有する液体漂白洗浄剤組成物の製造方法であって、(a)成分、(b)成分、及び(c)成分10〜40質量%を含有するホウ素化合物水溶液と、(d1)成分、(d2)成分及び(e)成分とを混合する、液体漂白洗浄剤組成物の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、水への溶解度の低いホウ素化合物を高濃度溶液として安定に調製することができる。また、該ホウ素化合物水溶液を液体漂白洗浄剤組成物中に効率的に配合することが可能となる。本発明の技術は、過酸化水素など漂白基剤を製品中に安定配合させ、使用時に活性化させ性能発現させる設計の組成物の製造において、より好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明の(a)成分のホウ素化合物は、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、4ホウ酸ナトリウム、4ホウ酸カリウム、4ホウ酸アンモニウム等の分子中にホウ素を含有する化合物を使用することが出来、これらは1種又は2種以上を適宜組み合わせて使用することが出来る。本発明の場合は、この中でもホウ酸又は4ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)が好適である。
【0015】
本発明に係る液体漂白洗浄剤組成物における(a)成分の含有量は、添加効果と溶液安定性のバランスの点から、0.05〜10質量%、特に0.1〜5質量%が好適であり、最終的な組成物中の配合量がこの範囲となるように、ホウ素化合物水溶液中の(a)成分の含有量や使用量を調整することが好ましい。
【0016】
本発明では、(b)成分のポリオールの具体的例としては下記(1)〜(4)の化合物が好適であり、これらの化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種以上を用いることができる。
(1)グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、炭素数1〜10のアルキルグリセリルエーテル、アルキルポリグリセリルエーテル(例えば、アルキルジグリセリルエーテル、アルキルトリグリセリルエーテル)、エチレングリコール、及び1,2プロピレングリコールから選ばれるグリセロール類又はグリコール類;
(2)ソルビトール、マンニトール、マルチトース、イノシトール、及びフィチン酸から選ばれる糖アルコール類;
(3)グルコース、アピオース、アラビノース、ガラクトース、リキソース、マンノース、ガロース、アルドース、イドース、タロース、キシロース、及びフルクトースから選ばれる還元糖類;
(4)デンプン、デキストラン、キサンタンガム、グアガム、カードラン、プルラン、アミロース、及びセルロースから選ばれる多糖類。
【0017】
本発明では、特に前記(2)の糖アルコール類が好適であり、単独又は複数で用いることができる。特にソルビトールが安定性及び洗浄効果の点から好適である。なお、(3)の還元糖類については、過酸化水素源を配合する漂白剤組成物においては、過酸化水素の安定性に影響を及ぼす還元性のアルデヒド基が分子中に存在するために使用する場合には注意を要する。
【0018】
本発明に係る液体漂白洗浄剤組成物における(b)成分の含有量は、汚れの再汚染を防ぐ目的の点から、0.2〜30質量%、更に0.5〜20質量%が好適であり、最終的な組成物中の配合量がこの範囲となるように、ホウ素化合物水溶液中の(b)成分の含有量や使用量を調整することが好ましい。
【0019】
本発明の(c)成分の水は、水道水、イオン交換水、ジア滅菌水、加熱滅菌水など、液体洗剤の配合に通常使用する水であれば何でも良いが、過酸化水素をホウ素化合物水溶液に配合する場合には、重金属やクロルイオンは極力除去された水を使用することが、安定性の点から好ましい。
【0020】
(a)成分を、(b)成分及び(c)成分の混合溶液中に溶解させて本発明のホウ素化合物水溶液を得る方法としては、(b)成分の含有量が20〜80質量%、好ましくは30〜70質量%の水溶液を調製した(原料の荷姿が該範囲に含まれるものをそのまま用いても良い)後、(a)成分を添加することが挙げられる。(b)成分が下限以上とすることにより、(a)成分の溶解性が格段に向上し、また上限以下とすることでホウ素化合物水溶液の保存安定性(溶液安定性)が向上する。
【0021】
本発明のホウ素化合物水溶液中の(a)成分の含有量は、5〜30質量%となる様に配合し、好ましくは10〜25質量%、15〜25質量%配合することが更に好ましい。下限値以上とすることにより、混合を行う溶解槽を小さくして設備コストが低減出来、また上限値以下とすることにより、本発明のホウ素化合物水溶液中での(a)成分の溶液安定性を確保出来る。なお、本発明のホウ素化合物水溶液中における(a)成分の含有量は、無水物(無水塩又は水分を含まないもの)に基づく値を示す。
【0022】
本発明のホウ素化合物水溶液中の(b)成分の含有量は、10〜70質量%、好ましくは20〜65質量%、30〜60質量%が更に好ましい。
【0023】
また、本発明のホウ素化合物水溶液中の(c)成分の含有量は、10〜40質量%であり、好ましくは15〜35質量%、より好ましくは15〜30質量%である。
【0024】
また、本発明のホウ素化合物水溶液中の(b)成分と(c)成分の質量比は、ホウ素化合物水溶液の溶液安定性の観点から、(b)/(c)=8/1〜1/1が好ましく、より好ましくは5/1〜1/1である。
【0025】
本発明のホウ素化合物水溶液中の(a)成分/(b)成分の質量比は、好ましくは1/5〜5/1、より好ましくは1/3〜3/1であり、該範囲とすることで、溶解性及び溶液安定性が向上する。特に溶液安定性については、低温においても良好なため、ホウ素化合物水溶液の貯層管理温度を下げることが出来、製造コストが低減できる。
【0026】
本発明のホウ素化合物水溶液の25℃におけるpHは、1〜9、好ましくは2〜8、2〜6が更に好ましい。下限値以下では、設備の腐食等の問題が生じる恐れがあり、また上限値以上では、ホウ素化合物水溶液の溶液安定性が低下する。該範囲に調整するためには、(a)成分のみでpH調整しても良く、またその他のpH調整剤を使用しても良い。該pH調整剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アミンなどが挙げられるが、水酸化ナトリウムが好ましい。また、該pH調整剤を使用する場合には、温度調節や攪拌しながら添加速度を調節することなどにより着色や色相悪化等なく良好な液の色相で添加することができる。
【0027】
本発明のホウ素化合物水溶液の調製においては、各成分の攪拌及び混合には、その配合スケールなどに合わせて、通常、液体漂白洗浄剤組成物や液体洗浄剤組成物の製造に使用される攪拌機や混合機などを使用することが出来る。
【0028】
本発明に係る液体漂白洗浄剤組成物は、本発明のホウ素化合物水溶液と(d1)成分とを含有し、更に、通常の液体洗剤等に配合される成分を含有することが出来る。例えば、(d1)成分以外の漂白剤、漂白活性化剤〔(d2)成分〕、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤などの界面活性剤〔(e)成分〕、溶剤〔(f)成分〕、酵素、pH調整剤、ハイドロトロープ剤、金属イオン封鎖剤、抗菌剤、殺菌剤、シリコーン類、柔軟化基剤、ソイルリリース剤、無機塩類、ラジカルトラップ剤、香料、蛍光染料、色素などが挙げられる。
【0029】
(d2)成分の漂白活性化剤としては、アルカノイル基の炭素数が8〜14のアルカノイルオキシベンゼンスルホン酸、アルカノイル基の炭素数が8〜14のアルカノイルオキシベンゼンカルボン酸及びそれらの塩から選ばれる少なくとも1種が挙げられるが、希釈時の過酸生成と製品中での安定性の両立させる観点から、炭素数8〜12の直鎖又は分岐鎖のアルカノイル基を有するアルカノイルオキシベンゼンスルホン酸、炭素数8〜12の直鎖又は分岐鎖のアルカノイル基を有するアルカノイルオキシベンゼンカルボン酸及びそれらの塩から選ばれる漂白活性化剤が好ましい。
【0030】
また、(d2)成分は、最終的な液体漂白洗浄剤組成物の原液pHが2.5〜4.0の場合は、希釈時の過酸生成の点から、スルホン酸型の漂白活性化剤が好ましく、特にノナノイルオキシベンゼンスルホン酸及びその塩が特に好ましい。原液pHが4.0を超えて4.5以下の場合は、製品中の漂白活性化剤安定性の点からカルボン酸型の漂白活性化剤が好ましく、更に溶液安定性の点から炭素数8〜10のアルカノイル基を有するアルカノイルオキシベンゼンカルボン酸又はそれらの塩が特に好ましい。
【0031】
塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩が好ましく、特にナトリウム塩が溶解性の点から好ましい。
【0032】
(d2)成分の具体例としては、下記(d2−1)〜(d2−6)から選ばれる化合物が挙げられ、(d2−2)、(d2−3)、(d2−5)及び(d2−6)から選ばれる化合物がより好ましい。
【0033】
【化1】

【0034】
【化2】

【0035】
また、(d2)成分として、アルカノイル基の炭素数が8〜14のアルカノイルオキシベンゼンスルホン酸及びその塩から選ばれる漂白活性化剤を用いる場合で、且つ(e)成分が陰イオン界面活性剤と非イオン界面活性剤とを含む場合、陰イオン界面活性剤/非イオン界面活性剤の質量比は0.05〜0.20、更に0.07〜0.15であることが好ましい。また、(d2)成分として、アルカノイル基の炭素数が8〜14のアルカノイルオキシベンゼンカルボン酸及びその塩から選ばれる漂白活性化剤を用いる場合で、且つ(e)成分が陰イオン界面活性剤と非イオン界面活性剤とを含む場合、陰イオン界面活性剤/非イオン界面活性剤の質量比は0.12〜0.50、更に0.15〜0.40であることが好ましい。
【0036】
本発明の液体漂白洗浄剤組成物中における(d2)成分の含有量は、0.1〜10質量%、好ましくは0.2〜5質量%、より好ましくは0.2〜2質量%である。
【0037】
(d2)成分の漂白活性化剤は、原末、又は任意の溶媒に溶解させた溶液のいずれでも配合できるが、ホウ素化合物水溶液と同様に、効率性の点から、溶液、特に水溶液で用いることが好ましい。溶液の好ましい例としては、特許公報第2938788号の段落0029記載の方法で調製した溶液が挙げられる。本発明では、漂白活性化剤を、非イオン界面活性剤及び/又は水に予め溶解させpH3〜7、好ましくは4〜6に調整した溶液が好ましい。
【0038】
(e)成分として用いることができる界面活性剤としては非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、又は両性界面活性剤を挙げることができる。
【0039】
陰イオン界面活性剤(以下(e1)成分という)としては、炭素数8〜18のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキル硫酸エステル塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩、又はα−スルホ脂肪酸低級アルキルエステル塩が挙げられる。
【0040】
本発明のアルキルベンゼンスルホン酸塩としては、洗剤用界面活性剤市場に一般に流通しているものの中で、アルキル鎖の平均炭素数が8〜18のものであればいずれも用いることができる。例えば花王(株)製のネオペレックスF25、Shell社製のDobs102等を用いることができる。また、アルキルベンゼンスルホン酸塩は、工業的には、洗剤用原料として広く流通しているアルキルベンゼンをクロルスルホン酸、亜硫酸ガス等の酸化剤を用いてスルホン化して得ることもできる。アルキル基の平均炭素数は8〜16が好ましく、10〜14が更に好ましい。また、本発明のポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩は、平均炭素数8〜18の直鎖もしくは分岐鎖1級アルコール又は直鎖2級アルコールに、EOを1分子当たり平均0.5〜5モル付加させ、これを例えば特開平9-137188号記載の方法を用いて硫酸化して得ることができる。アルキル基の平均炭素数は10〜16が好ましい。本発明のアルキル硫酸エステル塩は、炭素数10〜16、好ましくは10〜14の直鎖もしくは分岐鎖1級アルコール又は直鎖2級アルコールをSO3又はクロルスルホン酸でスルホン化し、中和して得ることができる。本発明のα−オレフィンスルホン酸塩は、炭素数8〜18のα−アルケンをSO3でスルホン化し、水和/中和を経て調製することができ、炭化水素基中にヒドロキシ基が存在する化合物と不飽和結合が存在する化合物の混合物である。また、本発明のα−スルホ脂肪酸低級アルキルエステル塩としては、脂肪酸部位のアルキル基の炭素数が好ましくは10〜16であり、低級アルキルエステル部位がメチルエステル又はエチルエステルであるものが洗浄効果の点から好ましい。塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルカノールアミン塩、アンモニウム塩などが好適であり、洗浄効果の点からナトリウム塩、カリウム塩、又はマグネシウム塩が好ましい。
【0041】
本発明では、洗浄効果の点から炭素数10〜14、エチレンオキシド平均付加モル数1〜3のポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、及び炭素数11〜15のアルキルベンゼンスルホン酸塩が特に良好である。
【0042】
非イオン界面活性剤(以下(e2)成分という)としては下記一般式(e2−1)の化合物が好ましい。
e−O(EO)a(PO)b−H (e2−1)
[式中Reは炭素数10〜18、好ましくは12〜14のアルキル基又はアルケニル基を示す。aは平均付加モル数0〜20の数、bは平均付加モル数0〜20の数を示し、a及びbの両者が0の場合を除く。好ましくはaの平均付加モル数は6〜15、より好ましくは7〜12が良好であり、bの平均付加モル数は0〜10、より好ましくは1〜5、特に好ましくは1〜3の数である。]
なお、一般式(e2−1)においては、EOとPOとはランダム共重合体又はブロック共重合体のいずれの形態で配列されていてもよい。
【0043】
陽イオン界面活性剤(以下(e3)成分という)としては、エステル基又はアミド基で分断されていてもよい炭素数10〜18の炭化水素基を1つ又は2つ有し、残りが炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基を有する4級アンモニウム塩が挙げられる。当該4級アンモニウム塩は、炭素数1〜3のアルキル硫酸エステル塩が好適である。陽イオン界面活性剤は、漂白活性化剤を併用する際は、安定性を低下させない濃度範囲で配合する事ができる。
【0044】
両性界面活性剤(以下(e4)成分という)としては下記一般式(e4−1)及び一般式(e4−2)から選ばれる化合物を含有することが洗浄効果の点から好ましい。
【0045】
【化3】

【0046】
[式中、R1eは炭素数8〜16、好ましくは10〜16、特に好ましくは10〜14の直鎖アルキル基又はアルケニル基であり、R3e及びR4eは、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、好ましくはメチル基、エチル基又はヒドロキシエチル基である。R2eは炭素数1〜5、好ましくは2又は3のアルキレン基である。Aは−COO−、−CONH−、−OCO−、−NHCO−、及び−O−から選ばれる基であり、cは0又は1の数である。]
【0047】
【化4】

【0048】
[式中、R5eは炭素数9〜23、好ましくは9〜17、特に好ましくは9〜15のアルキル基又はアルケニル基であり、R6eは炭素数1〜6、好ましくは2又は3のアルキレン基である。Bは−COO−、−CONH−、−OCO−、−NHCO−、及び−O−から選ばれる基であり、dは0又は1の数である。R7e及びR8eは、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、R9eはヒドロキシ基で置換していてもよい炭素数1〜5、好ましくは1〜3のアルキレン基である。Dは−COO-、−SO3-、及び−OSO3-から選ばれる基である。]
【0049】
両性界面活性剤は、漂白活性化剤を併用する際は、安定性を低下させない濃度範囲で配合する事ができる。
【0050】
本発明では(e1)及び(e2)から選ばれる界面活性剤が好適であり、特に(e2)成分を含有することが好ましい。本発明では(e)成分を液体漂白洗浄剤組成物中に4〜45質量%、好ましくは10〜40質量%、特に好ましくは20〜35質量%の範囲が好適である。また、(e4)の両性界面活性剤は緩衝能を有するため多量に使用するとpHジャンプ効果を損なう場合があり、用いる場合には(e4)成分の含有量は0.5質量%以下、好ましくは0.3質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下である。また、本発明では(e2)成分が洗浄効果の点から最も好ましく、特にオキシエチレン基及びオキシプロピレン基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤が好適であり、一般式(e2−1)においてaが8〜12であり、そしてbが0〜3であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤が最も好ましい。(e2)成分の組成物中の含有量は4〜45質量%、好ましくは10〜40質量%、より好ましくは20〜40質量%が望ましい。
【0051】
本発明の液体漂白洗浄剤組成物において、漂白活性化剤の貯蔵安定性及び漂白洗浄効果の点から界面活性剤として(e2)成分を選択することが好ましく、特にオキシエチレン基及びオキシプロピレン基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤が好適である。具体的には一般式(e2−1)においてR2aが炭素数10〜14のアルキル基であり、aが8〜20、好ましくは8〜12であり、そしてbが0〜3であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤〔以下(e2’)という〕が最も好ましい。また、漂白活性化剤の貯蔵安定性の点から(e2’)/(d2)の質量比は、4〜400、好ましくは10〜200、より好ましくは20〜100である。
【0052】
(f)成分の溶剤は、低温での増粘を防止する観点から好ましい成分である。(f)成分としては、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ブチルジグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール類、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリエチレングリコールフェニルエーテル等のポリアルキレングリコールモノアルキル又はアリールエーテル類が挙げられる。これらの中でも、エタノール又はプロピレングリコールが好ましい。(f)成分の含有量は、液体漂白洗浄剤組成物中、0〜20質量%、更に1〜15質量%、特に2〜10質量%が好ましい。
【0053】
また、金属イオン封鎖剤としては、ホスホン酸系金属イオン封鎖剤、カルボン酸基を有する脂肪酸もしくはその塩、ポリカルボン酸もしくはその塩、アミノポリカルボン酸もしくはその塩、高分子系キレート剤が挙げられる。具体的なホスホン酸基又はホスホン酸塩基を有する金属イオン封鎖剤としては、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸、エタンヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、及びメタンヒドロキシホスホン酸から選ばれるホスホン酸又はこれらのアルカリ金属塩もしくはアルカノールアミン塩、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、及びα−メチルホスホノコハク酸から選ばれるホスホノカルボン酸又はこれらのアルカリ金属塩もしくはアルカノールアミン塩などを挙げることがでる。上記金属イオン封鎖剤の中で、ホスホン酸又はこれらのアルカリ金属塩が好適であり、特にエタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸又はこれらのアルカリ金属塩が最も好ましい。また、高分子キレート剤としてはアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、クロトン酸等の重合性不飽和結合を有するカルボン酸化合物を重合させた分子量が1000以上100000以下の化合物が挙げられる。金属イオン封鎖剤の含有量は、液体漂白洗浄剤組成物中、0.01〜5質量%、更に0.05〜2質量%、特に0.1〜1質量%が好ましい。
【0054】
本発明の液体漂白洗浄剤組成物のうち、(a)成分、(b)成分、(c)成分、(d1)成分、(d2)成分及び(e)成分を含有するものは、これらを特定の順序で混合して得られる。すなわち、(a)成分、(b)成分、及び10〜40質量%の(c)成分を含有する本発明のホウ素化合物水溶液と、その他の成分とを混合して得られる。ホウ素化合物水溶液と、(d1)成分、(d2)成分、(e)成分との混合では、(d1)成分、(d2)成分、(e)成分はどのような順序で用いてもよい。具体的には、以下の(1)〜(3)の何れかにより実施される。
(1)ホウ素化合物水溶液と(d1)成分と(d2)成分を混合〔この場合、(d1)成分と(d2)成分の混合順序は問わない〕してから、次いで(e)成分を混合する方法
(2)ホウ素化合物水溶液と(d1)成分と(e)成分を混合してから〔この場合、(d1)成分と(e)成分の混合順序は問わない〕、次いで(d2)成分を混合する方法
(3)ホウ素化合物水溶液と(d2)成分と(e)成分を混合してから〔この場合、(d2)成分と(e)成分の混合順序は問わない〕、次いで(d1)成分を混合する方法
【0055】
本発明では、最終的に液体漂白洗浄剤組成物に配合される(a)成分のうち、70質量%以上、更に90質量%以上が、ホウ素化合物水溶液に配合される、とりわけ、この(1)〜(3)のいずれかで用いられることが好ましく、最終的に液体漂白洗浄剤組成物に配合される(b)成分のうち、15質量%以上、更に30質量%以上が、ホウ素化合物水溶液に配合される、とりわけ、この(1)〜(3)のいずれかで用いられることが好ましく、最終的に液体漂白洗浄剤組成物に配合される(c)成分のうち、30質量%以下、更に15質量%以下が、ホウ素化合物水溶液に配合される、とりわけ、この(1)〜(3)のいずれかで用いられることが好ましく、最終的に液体漂白洗浄剤組成物に配合される(d1)成分のうち、70質量%以上、更に90質量%以上が、ホウ素化合物水溶液に配合される、とりわけ、この(1)〜(3)のいずれかで用いられることが好ましく、最終的に液体漂白洗浄剤組成物に配合される(d2)成分のうち、70質量%以上、更に90質量%以上が、ホウ素化合物水溶液に配合される、とりわけ、この(1)〜(3)のいずれかで用いられることが好ましく、最終的に液体漂白洗浄剤組成物に配合される(e)成分のうち、70質量%以上、更に95質量%以上が、ホウ素化合物水溶液に配合される、とりわけ、この(1)〜(3)のいずれかで用いられることが好ましい。
【0056】
本発明では、本発明のホウ素化合物水溶液を液体漂白洗浄剤組成物中に効率的に配合し、より優れた洗浄/漂白効果を得るために、以下に示す工程(I)〜(III)を含む方法により製造することが好ましい。特に、界面活性剤濃度が高く、配合水が少ないという理由で、溶解性が良好な液体漂白洗浄剤組成物の製造方法として好適である。即ち、液体漂白洗浄剤組成物中の(e)成分の含有量が20〜80質量%、より好ましくは23〜70質量%、更には25質量%〜60質量の場合に好適である。
【0057】
<工程(I)>〔ホウ素化合物水溶液(ホウ素化合物の濃縮プレミックス)の調製〕
(a)成分、(b)成分、及び(c)成分を混合、好ましくは(b)成分と(c)成分を含有する混合物に(a)成分を添加、混合して、(c)成分を10〜40質量%含有するホウ素化合物水溶液(ホウ素化合物の濃縮プレミックス)を調製する。
【0058】
<工程(II)>〔漂白活性化剤溶液(漂白活性化剤の濃縮プレミックス)の調製〕
(d2)成分、(e)成分及び(c)を混合し、pH(20℃)が3〜7、好ましくは4〜6の漂白活性化剤溶液(漂白活性化剤の濃縮プレミックス)を調製する。
【0059】
<工程(III)>
上記で得られたホウ素化合物水溶液と漂白活性化剤溶液と(d1)成分と、必要に応じて配合されるその他の成分とを混合し、本発明に係る液体漂白洗浄剤組成物を製造する。
【0060】
なお、これら工程(I)〜(III)により得られた液体漂白洗浄剤組成物は、pH調整剤を用いて最後に再調整することも出来るが、漂白活性化剤の安定性を損ねる恐れがあるため、注意が必要である。
【0061】
(a)成分と(b)成分の液体漂白洗浄剤組成物中での安定性等を考慮すると、最終的に配合される(b)成分の一部及び(c)成分の一部をそれぞれホウ素化合物水溶液に配合し、それぞれの残部を別途配合(添加)して液体漂白洗浄剤組成物を調製することが好ましい。また、漂白活性化剤溶液の貯蔵安定性の観点から、最終的に配合される(e)成分の一部を漂白活性化剤溶液(漂白活性化剤のプレミックス)に配合し、残部を別途配合(添加)して液体漂白洗浄剤組成物を調製することが好ましい。より好ましくは、(a)、(b)、(e)成分について、これらの両方を行うことである。好ましいより詳細な例としては、工程(I)〜(III)を含む製造方法において、工程(I)で得られたホウ素化合物水溶液と、ホウ素化合物水溶液に配合しなかった分の(b)成分及び(c)成分と、その他の成分とを混合し、これに、漂白活性化剤溶液に配合しなかった分の(e)成分を混合して溶解し、20℃におけるpHが2.5〜7に調整した後に、漂白活性化剤溶液を混合する方法が挙げられる。
【0062】
なお、(f)成分の溶剤を含有する液体漂白洗浄剤組成物を調製する場合は、ホウ素化合物水溶液と、(d1)成分、(d2)成分及び(e)成分とを混合する前に、ホウ素化合物水溶液と(f)成分とを混合することが、製造時の工程時間を短縮する上で好適である。
【0063】
なお、(a)〜(f)成分以外の任意成分を配合する際は、酵素や香料等の不安定基剤は極力工程の最終段階で添加することが好ましく、また、(e)成分の界面活性剤による乳化・可溶化作用を配合上利用する基剤は、界面活性剤とプレミックスした状態で添加することが好ましい。すなわち、配合成分の性質に応じて配合時期、配合形態などを調整することが好ましい。
【0064】
本発明の液体漂白洗浄剤組成物の好ましい組成(含有量)としては、以下のものが挙げられ、ホウ素化合物水溶液及びその他の成分の混合割合を以下の範囲となるように調整することが好ましい。
(a)成分:0.1〜20質量%、更に0.2〜10質量%、更に0.5〜5質量%
(b)成分:3〜35質量%、更に10〜55質量%、更に20〜40質量%
(c)成分:5〜70質量%、更に10〜55質量%、更に20〜40質量%
(d1)成分:0.1〜30質量%、更に0.5〜20質量%、更に1〜15質量%
(d2)成分:0.1〜10質量%、更に0.2〜5質量%、更に0.2〜2質量%
(e)成分:20〜80質量%、更に23〜70質量%、更に25〜60質量%
(f)成分:0〜20質量%、更に1〜15質量%、更に2〜10質量%
【0065】
本発明のホウ素化合物水溶液は、各種分野の漂白剤組成物、洗浄剤組成物、漂白洗浄剤組成物等の配合成分やそれら組成物用の添加剤として使用でき、好ましくは液体漂白洗浄剤組成物、なかでも本発明の液体漂白洗浄剤組成物の配合成分あるいは該組成物用の添加剤として使用できる。また、本発明の液体漂白洗浄剤組成物は、衣料等の繊維製品用液体漂白洗浄剤組成物、コンタクトレンズ用洗浄剤、酵素(ホウ素及びポリオールが酵素安定化剤となる酵素)を配合した液体洗浄剤組成物もしくは液体漂白剤組成物等として使用できる。
【実施例】
【0066】
本発明の製造方法を用いた組成物の用途は特に限定するわけではないが、それら用途の1つとして、以下に漂白剤組成物の場合を例示する。
<ホウ素化合物水溶液の調製及び評価>
500mlビーカーに全量仕込み量が300gになる様に、表1に示す各成分を用いて、長さ5cmの攪拌子によるマグネティックスタラーで攪拌しながら、40℃に加温した。透明になるまでの時間(溶解時間)、調製後の溶液状態、低温(5℃)における液感を評価した結果を表1に示す。
【0067】
【表1】

【0068】
表中の配合成分は以下のものである(以下同様)。
a−1;ホウ酸
a−2;4ホウ酸ナトリウム
b−1;ソルビトール
b−2;グルコース
b−3;マンニトール
【0069】
<漂白活性化剤溶液の調製及び評価>
500mlビーカーに全量仕込み量が300gになる様に、表2に示す各成分を用いて、長さ5cmの攪拌子によるマグネティックスタラーで攪拌しながら、適宜加温した。透明になるまでの時間(溶解時間)、溶液状態、保存安定性の結果を評価した結果を表2に示す。なお、保存安定性は、以下のように評価した。
【0070】
*保存安定性
ガラス製50ml容器(密閉状態)にて漂白活性化剤溶液を50℃で1週間貯蔵し、貯蔵後の漂白活性化剤溶液中の漂白活性化剤含有量を、高速液体クロマトグラフィーにて測定し、下式により漂白活性化剤残存率を算出した。
漂白活性化剤残存率(%)=(貯蔵後の漂白活性化剤含有量)/(配合した漂白活性剤含有量)×100
【0071】
【表2】

【0072】
表中の配合成分は以下のものである(以下同様)。
d2−1;デカノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸ナトリウム
d2−2;ノナノイルオキシ−p−ベンゼンスルホン酸ナトリウム
d2−3;デカノイルオキシ−p−ベンゼンカルボン酸
e−1;ポリオキシエチレンラウリルエーテル(エチレンオキシド平均付加モル数10)
e−2;C12H25O-(C2H4O)6-(C3H6O)2-(C2H4O)4-Hで表される非イオン界面活性剤
e−3;ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO平均付加モル数12)
e−4;炭素数10〜14の直鎖2級アルコールに対し、エチレンオキシドを平均で7モル付加させた非イオン界面活性剤
e−5;ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム
【0073】
<液体漂白洗浄剤組成物の調製及び評価>
上記で調製したホウ素化合物水溶液、漂白活性化剤溶液、及び表3に示す成分を用い、下記の製法I〜IVにより、最終組成が表3に示す通りの液体漂白洗浄組成物を調製した。ホウ素化合物水溶液、漂白活性化剤溶液に配合した成分の一部は最終組成が表3に示す通りとなるように適宜の段階で別途添加した。液体漂白洗浄組成物を製造する際の配合温度における溶解時間を評価した。また、得られた液体漂白洗浄剤組成物について、外観(組成物の状態)、漂白性能、保存安定性の評価を行った。結果を表3に示す。なお、漂白性能、保存安定性は、以下のように評価した。
【0074】
〔製法I〕
ホウ素化合物水溶液と、ホウ素化合物水溶液に配合しなかった分の(b)成分と、ホウ素化合物水溶液に配合しなかった分の(c)成分と、(f)成分と、(g)成分と、(h)成分とを攪拌しながら混合した後、(e)成分を攪拌しながら添加し均一溶液とした。次に、液体漂白洗浄剤組成物のpHになるための必要なNaOH量を添加した後、漂白活性化剤溶液と、(i)成分とを混合し、最後に(d1)成分を添加して表3に示す液体漂白洗浄剤組成物を得た。この時の温度は30℃であった。
【0075】
〔製法II〕
ホウ素化合物水溶液と、漂白活性化剤溶液と、表3のpHとするために必要な量のNaOHを含む表3の組成にするためのその他すべての成分(ホウ素化合物水溶液と漂白活性化剤溶液に配合しなかった(b)成分、(e)成分等を含み得る)とを、攪拌しながら同時に混合し表3に示す液体漂白洗浄剤組成物を得た。この時の温度は30℃であった。
【0076】
〔製法III〕
ホウ素化合物水溶液と、ホウ素化合物水溶液に配合しなかった(b)成分及び(c)成分、並びに(f)成分及び(h)成分を攪拌しながら混合溶液とした中に、(g)成分、(j)成分を添加して混合溶解した。次いで、漂白活性化剤溶液に配合しなかった(e)成分、(d1)成分を添加し混合溶解した。その後、攪拌しながら漂白活性化剤溶液と、(i)成分を添加し、所望のpHにNaOHを用いて調整し、表3に示す液体漂白洗浄剤組成物を得た。この時の温度は30℃であった。
【0077】
〔製法IV〕
ホウ素化合物水溶液及び漂白活性化剤溶液を用いずに、全ての成分を同時に混合し、温度30℃で2時間攪拌した。
【0078】
(1)漂白性能の評価方法
表3に示す液体漂白洗浄剤組成物(調製直後)を用いて、25℃の3°DH硬水の洗浄条件にて、0.1容量%濃度になる様に添加し、下記で調製したミートソース汚染布4枚をターゴトメーターにて洗浄した(85rpm×10分)。その後、水道水ですすぎ乾燥させて、下式により漂白率を算出した。
漂白率(%)=(漂白後の反射率−漂白前の反射率)/(白布の反射率−漂白前の反射率)×100
反射率は日本電色工業(株)製NDR−10DPで460nmフィルターを使用して測定した。また、白布とは汚染布の調製に用いた未汚染の布(木綿金布#2003)のことである。
【0079】
*汚染布の調製
カゴメ(株)製ミートソース(完熟トマトのミートソース(2009年5月28日賞味期限、ロット番号:D7528JE/内容量295gの缶詰)の固形分をメッシュ(目の開き;500μm)で除去した後、得られた液を煮沸するまで加熱した。この液に木綿金布#2003を浸し、15分間煮沸した。そのまま火からおろし2時間程度放置し30℃まで放冷した後、布を取りだし、余分に付着している液をへらで除去し、自然乾燥させた。その後プレスし、6cm×6cmの試験布として実験に供した。
【0080】
(2)保存安定性
ガラス製50ml容器(密閉状態)にて液体漂白洗浄剤組成物を40℃で2週間貯蔵し、貯蔵後の液体漂白洗浄剤組成物中の漂白活性化剤含有量を、高速液体クロマトグラフィーにて測定し、下式により漂白活性化剤残存率を算出した。
漂白活性化剤残存率(%)=(貯蔵後の漂白活性化剤含有量)/(配合した漂白活性剤含有量)×100
【0081】
【表3】

【0082】
*1 配合成分が一部未使用のものについては各製法の記載に準じて行った。
*2 比較品1は、一様に分散するまでの時間を示した。
また、表中の配合成分は以下のものである。
d−1;過酸化水素
PAP;フタロイルアミノペルオキシカプロン酸(比較化合物)
f−1;エタノール
f−2;プロピレングリコール
g−1;下記合成例1により得られた高分子化合物
h−1;1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(デイクエスト2010、ソルーシア製)
i−1;香料
j−1;蛍光染料(チノパールCBS−X)
【0083】
<合成例1>
温度計、撹拌機、窒素導入管、還流冷却器を備えたガラス製反応器に、平均分子量1500のフェノキシポリエチレングリコール100質量部、マレイン酸5質量部を仕込んで、窒素気流下、加熱して溶解させ、撹拌下150℃まで昇温した。次に、温度を150〜151℃に保ちながら、アクリル酸30質量部、ジ−t−ブチルパーオキシド4.5質量部を別々に、1時間にわたって連続的に滴下し、その後40分間撹拌を続けた。冷却後、純水135質量部を加え、高分子化合物(g−1)を得た。重量平均分子量は約1万5千(ポリエチレングリコール換算)であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ホウ素化合物、(b)ポリオール、及び(c)水10〜40質量%を含有するホウ素化合物水溶液。
【請求項2】
(a)を5〜30質量%含有する請求項1記載のホウ素化合物水溶液。
【請求項3】
(b)と(c)の質量比が、(b)/(c)=8/1〜1/1である請求項1又は2記載のホウ素化合物水溶液。
【請求項4】
(a)と(b)の質量比が、(a)/(b)=1/5〜5/1である請求項1〜3の何れか1項記載のホウ素化合物水溶液。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項記載のホウ素化合物水溶液と(d1)過酸化水素とを混合してなる液体漂白洗浄剤組成物。
【請求項6】
更に、(d2)漂白活性化剤を含有する請求項5記載の液体漂白洗浄剤組成物。
【請求項7】
更に、(e)界面活性剤を含有する請求項5又は6記載の液体漂白洗浄剤組成物。
【請求項8】
更に、(f)溶剤を含有する請求項5〜7の何れか1項記載の液体漂白洗浄剤組成物。
【請求項9】
(a)ホウ素化合物、(b)ポリオール、(c)水、(d1)過酸化水素、(d2)漂白活性化剤、及び(e)界面活性剤を含有する液体漂白洗浄剤組成物の製造方法であって、(a)、(b)、及び(c)10〜40質量%を含有するホウ素化合物水溶液と、(d1)、(d2)及び(e)とを混合する、液体漂白洗浄剤組成物の製造方法。
【請求項10】
(a)、(b)、及び(c)10〜40質量%を含有するホウ素化合物水溶液を混合した後、(e)を混合してpHを2.5〜7に調整し、次いで(d1)及び/又は(d2)を混合する、請求項9記載の液体漂白洗浄剤組成物の製造方法。
【請求項11】
液体漂白洗浄剤組成物が更に(f)溶剤を含有し、ホウ素化合物水溶液と、(d1)、(d2)及び(e)とを混合する前に、前記ホウ素化合物水溶液と(f)とを混合する、請求項9又は10に記載の液体漂白洗浄剤組成物の製造方法。
【請求項12】
(a)ホウ素化合物、(b)ポリオール、及び(c)水10〜40質量%を含有する、請求項9〜11の何れか1項記載の液体漂白洗浄剤組成物の製造方法に用いられる、ホウ素化合物水溶液。
【請求項13】
請求項9〜11の何れか1項記載の液体漂白洗浄剤組成物の製造方法により製造された液体漂白洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2010−95602(P2010−95602A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−266979(P2008−266979)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】