説明

液体燃料タンクのための安全システム

【課題】公知のシステムの欠点である、燃料充填時に不都合な流出及び飛散が生じること、及び、蒸気の回収を改善する。
【解決手段】本発明は、シール装置を含む給油ノズルのための案内部を有する充填管(10)と、タンクからガスを排出し及びタンクを通気するためのノマリーオープンのフロート弁(6)と、蒸散のため及びタンク内の液体の最高レベルを定めるためのブリーザパイプ(19)とを備える、液体燃料タンクを含むプラスチック製の燃料安全システム。ブリーザパイプ(19)は、このタンクの頂部をシール装置(2)の下流側の位置に接続する。このような安全システムを備えた車両用タンク。閉鎖位置において、タンクのガス排出回路と通気回路とを隔離する充填管キャップ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体燃料タンクのための安全システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料タンクに関する多くの安全システムが論じられており、これらは一般に、燃料充填中のタンクのガス排出と、エンジン休止時及びエンジンが作動しており燃料を消費している時の通常期間での通気とに関連する問題の解決に関するものである。これらの問題に加えて、環境保護に関して、大気中へのどのような漏出もできる限り防ぐことにより上述の作動中に放出される蒸気を回収することが益々緊急に求められている。
【0003】
米国特許第5,183,087号明細書は、充填管と、キャニスタに接続されたガス排出及び通気弁と、充填管の入口に位置付けられた案内部にタンク上部を接続する小径パイプとを備えた燃料タンクのガス排出方法を教示しており、該小径パイプの機能は、ノズルを介した燃料供給の停止を開始することである。この案内部はシール装置を備えており、パイプは該シール装置の下流側で終端している。このシステムにおいては、ガス排出は専らキャニスタに接続された弁を介して行われる。この弁は、通常は休止位置において閉じられており、タンク内の一定の圧力の作用でのみ開く。
【0004】
しかしながら、公知のシステムは、次のような幾つかの欠点を有する。
タンク内の過圧の制御が困難であるため、燃料充填時に不都合な流出及び飛散が生じる。
システムがノズルを介した蒸気の回収に不適当である。
燃料の過充填が0.2リットルより少なくなるようにノズルを介した燃料供給を遮断することは不可能である。
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,183,087号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、公知のシステムの欠点を改善して、以下の事を可能にするシステムを提供することである。
タンク内を加圧することなく燃料を充填する
燃料の流出及び飛散を回避する
様々な燃料に対する充填管の高さ及び蒸気の回収方法を標準化する
システムのサイズを小さくする
逆流防止弁及び過充填防止弁を省く
稠密ボール弁システムを省くことにより、通気時に生じる蒸気噴射を抑制する
現時点で存在する従来システムと同程度か又はそれよりも低い、低コストを維持する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のために、本発明は、a)液体燃料タンクに装着され、外部環境に対してシールする装置が設けられたノズル案内部をタンクの入口オリフィスに備える充填管と、b)タンクに装着され、タンクへの燃料充填作業中のガス排出とタンクの通常の使用期間中におけるタンクの通気とを保証することを可能にするフロート弁と、c)タンクの頂部に埋め込まれ、該タンク頂部をタンクの側部上でシール装置の下流側にある充填管の上部に接続する、燃料充填中のタンク内における液体の最高レベルを定めるための蒸気用ブリーザパイプと、を備える液体燃料タンクのための安全システムであって、タンクが充填されている間及びタンクの通常の使用期間中は、フロート弁が通常開いており、2つの状況下においてのみ、すなわちタンクが所定の限度を超えて傾いた時又は完全に逆さまにされた時と、所定値を超える大きさで燃料が一時的に移動している間とにおいてのみフロート弁が閉じられるように、フロートの「水位線」が調節されることを特徴とする、液体燃料タンクの安全システムに関する。
【0008】
本発明は、液体燃料タンクの安全システム、すなわちユーザ及び環境の両方にとって安全な方法で燃料を貯え取り扱うことを可能にするシステムに関する。このようなシステムは、どのような危険な状況、特に爆発、内破、燃焼、又は汚染の危険性からユーザを保護すると同時に、外部環境に対してどのような液漏れ又は望ましくないガスの流出も起こさない。
【0009】
本発明によるシステムに関するタンクは、外部に対して全体がシールされた様々な形状の閉鎖容器からなり、様々な内部付属部品又は容器の壁を貫通する付属部品を備えることができる。このタンクは、任意のタイプの液体燃料を収容することができる。特に、該タンクは自動車の内燃機関に供給する燃料、詳細にはガソリン及びディーゼル燃料を収容することができる。該タンクは、更に拡張により、電流を発生させてこのタイプのエネルギーを消費する1つ又はそれ以上のエンジンに供給することが意図された燃料電池に供給するための燃料及び/又は酸化剤として使用されるであろう任意の有機液体を収容することができる。
【0010】
本発明によるシステムは、液体燃料システムを実現するのに使用される任意の適切な材料で作ることができる。これらの材料の例は、様々な金属及びプラスチックである。本発明によるシステムは更に、1つよりも多い特定の材料を含むことができる。
好ましくは、本発明による安全システムは、プラスチックで作られる。用語「プラスチック」は、少なくとも1つの合成樹脂重合体を含む任意の物質を意味していると理解されるべきである。
あらゆる種類のプラスチックは好適とすることができる。特に好適なプラスチックは、熱可塑性プラスチックの部類に属する。
【0011】
用語「熱可塑性プラスチック」は、熱可塑性エラストマー及びその混合物を含む任意の熱可塑性重合体を意味する。用語「重合体」は、単一重合体と共重合体(特に2元共重合体又は3元共重合体)の両方を意味していると理解されるべきである。限定ではないが、このような共重合体の例としては、ランダム共重合体、線形ブロック共重合体、他のブロック共重合体、及びグラフト共重合体がある。
【0012】
融点が分解温度よりも低い任意の種類の熱可塑性プラスチック又は共重合体が好適である。少なくとも10℃にわたって広がる融解範囲を有する合成熱可塑性プラスチックが特に好適である。このような材料の例としては、分子量が多分散性を示すものである。
【0013】
特に、ポリオレフィン類、ポリビニールハライド類、熱可塑性ポリエステル類、ポリケトン類、ポリアミド類、及びこれらの共重合体を用いることができる。また、重合体又は共重合体の混合物を使用することができ、同様に、高分子材料と、限定ではないが、例えば、炭素、塩類、及び他の無機誘導体のような無機、有機、及び/又は天然の充填材、天然繊維又は高分子繊維との混合物を使用することができる。また、上記重合体又は共重合体の少なくとも1つを含む層を積み重ねて互いに接着して形成された多層構造体を使用することも可能である。
ポリビニールハライド及びポリオレフィンが一般に好ましい。
使用されることが多い重合体はポリエチレンである。高密度ポリエチレン(HDPE)を使用した場合には、優れた結果が得られている。
【0014】
本発明によるシステムの充填管は、タンクの直近ではない地点から、液漏れなしにタンクへの充填を可能にする機能を有する。例えば自家用自動車の場合、燃料タンクは幾分かアクセスしにくい位置に配置され、充填管を介して、車体から容易にアクセス可能な位置に配置されたキャップにより閉鎖できるタンク入口に接続されるのが普通である。
【0015】
本発明によれば、充填管は、外部環境に対してシールする装置が設けられたノズル案内部を該充填管の入口オリフィスに備える。
ノズルは、特に自動車に燃料を供給することが意図されたサービスステーションのポンプに取り付けられたノズルである。
【0016】
本発明によれば、ノズル案内部は、外部環境に対してシールする装置を備えている。このシール装置は、ノズルが充填管に挿入されてノズル案内部に沿って進入している時でさえも、タンクと充填管の内部雰囲気を周囲雰囲気から隔離することができる。「隔離する」という用語は、ここでは、ノズルが案内部内に挿入された時に、大気圧に対して40mbarの過圧で約12リットル/時の僅かな漏れ、及びどのような場合においても同圧力下で20リットル/時よりも少ない漏れの許容を表すことを理解されたい。
【0017】
タンクに液体燃料を充填する作業は、必然的にタンクの内圧の上昇を伴う。タンクがガス排出回路を含む場合には、タンク内に新たに導入される液体によって生じる僅かな過圧は、タンク内を占めていた同容積のガスがタンクから逃げることにより相殺される傾向にある。揮発性液体の場合には、タンクから逃げるガスは、燃料充填前にタンク内に存在していたガスと導入された液体の部分的蒸発からの蒸気との幾分均質な混合物であろう。
【0018】
更に、タンクの通常の使用中に、燃料が多少なりとも規則的及び/又は連続的に送出されるにつれて、液体燃料の容積は減少する。従って、作動中の液体の減少を補償するようにしてタンクの減圧とこの状況に内在する危険を避けるために、タンク内への空気の流入を可能にする装置をタンクに備え付けることが必要である。
【0019】
このような危険を未然に防ぐために、タンクに装着される安全弁の役割は、タンクを確実に通気させることであり、言い換えると、プログラムされた方法でタンクを開放して、タンクが充填されている時にガスを排出すること、及びタンク内に収容されている燃料が消費されるか或いは一定の貯蔵期間にタンク内で保留される通常の使用中にタンクを通気することの2つの異なる機能を果たすことができるようにすることである。
【0020】
本発明による液体燃料タンクの安全システムはフロート弁を含み、すなわちこれは、タンク内に存在する燃料のレベルが円筒体内のフロートの最低停止位置に達すると直ちに、この燃料レベルに追随して円筒体内で摺動運動することができる装置である。このような弁は、安全システムの他の要素と協働して、これを装着したタンクをユーザにとって安全な状態、すなわちユーザがあらゆる有害な状況、特に爆発、内破、燃焼、又は汚染の危険性から保護された状態に保ち、しかもどのような液漏れ又は望ましくないガスの流出から保護された外部環境を維持することに寄与する装置である。
【0021】
本発明による安全システムは更に、蒸散のための、及び充填中のタンクの液体燃料の最高レベルを定めるためのブリーザパイプを含む。このパイプは、タンクの上壁部を貫通して、タンク全体における燃料の最高上位許容レベルに対応する一定レベルまでタンクの頂部の内側に埋め込まれる。
ブリーザパイプは、タンクの上表面の任意の位置でタンクの上壁部を貫通することができる。特に、ブリーザパイプは、弁に近いか隣接する位置で該上壁部を貫通するのが有利である。
【0022】
ブリーザパイプは、タンク頂部を充填管の上部に接続して、タンク内に存在するガス容積の大部分を除去することができ、すなわちブリーザパイプは、タンク内部に大きな過圧を発生させることなくガスを逃がすことを可能にするのに十分な直径を有する。
このブリーザパイプは、充填管の頂部内にあるノズル案内部のシール装置の下流側で終端している。用語「下流側」は、ここではシール装置のタンクに向かって配置された側を意味していると理解されるべきである。
【0023】
本発明によれば、正常状態において、通常のタンクの使用期間中のようなタンクへの充填作業中は、弁は開いており、弁が閉じている場合には、燃料は消費されているか又は一定の貯蔵期間中タンク内で保留されている。
【0024】
弁のフロートの「水位線」は、この弁が2つの状況においてのみ閉じられるように調節される。その第1の状況は、タンクが所定の限度を超えて傾いた時か、又は完全に逆さまにされた時に生じる。第2の状況は、一定の所定値を超える大きさで燃料が一時的に移動している間に生じる。
【0025】
本発明によるシステムに非常に好適なフロート弁の一実施例は、2つのチャンバを有し、一方がフロートを含み、他方が、この弁から蒸気が逃げることにより流入する液体燃料を捕捉することができる容器として働く容積を有する。このような弁は、仏国特許出願2000.09286で開示されている。
【0026】
上述の安全システムは、様々なタイプの地理的状況に好適であり、サービスステーションで遭遇する様々なタイプの給油ノズルに好適である。
例えば、該システムは北米での実用に良く適合しており、これにより燃料蒸気は、炭化水素類を吸収する物質で充填された大きなキャニスタ内に回収される。
該システムは更に、「アクティブ」ノズルと呼ばれる、安全システムを有する車両からの燃料蒸気を貯蔵及び/又は回収するために、ノズル自体が燃料蒸気を吸引するノズルを使用する燃料蒸気の除去及び回収に特に好適である。これらの車両は主に欧州で見ることができる。
【0027】
本発明による安全システムに適合するシール装置は、燃料ノズルの給油口がシール装置を通過する場合を含めて、タンクと外部雰囲気との間に良好なシールを確保することができる任意の材料で作ることができる。用語「密閉」は、ここでは、給油ノズルが案内部に挿入された状況において、上述のような大きさと同程度の軽微な漏れを許容することを意味すると理解されるべきである。
【0028】
良好な結果が得られた1つの特定の実施形態は、このシール装置が、2つの要素を有する可撓性のエラストマー物質で作られ、上流側の第1の要素がノズル給油口のパイプの外表面上に反り返る円形リップからなり、下流側の第2の要素は、前記ノズル給油口の端部が接触した時に圧力の作用により開くことができる密封具からなるものである。2つの円形リップを備えたシール装置によって良好な結果が得られた。
【0029】
密封具の1つの可能な実施形態は、エラストマー材料で作られた平坦な円形部片であり、この円形部片の中心から一定数の半径方向に星形に切り込みを入れて、扇形状薄板が形成されるが、それでも該薄板が互いに隣接する閉鎖休止位置にあるときにはガスをシールする。4つ切りにされた4つの扇形状薄板を備えた密封具により、優れた結果が得られた。用語「密閉」は、ここでは前述と同じ意味を有する。
【0030】
タンクが高揮発性の燃料を貯蔵することが意図されている場合には、本発明による第1の変形形態のシステムが、燃料蒸気吸引装置を備えたノズルに非常に好適であり、弁の第1の出口が、一方では燃料蒸気を吸収する物質を充填したキャニスタに接続され、蒸気ガス排出パイプが、他方では弁の第2の出口をノズルの吸引装置に近い点において案内部のシール装置の上流側にある充填管の上部に接続する。ガス排出パイプがタンクへの充填作業中に該タンクから逃げるガス容積の大部分を除去することが可能である。このようなタイプの蒸気吸引ノズルもまた、「アクティブ」ノズルと呼ばれる。このシステムは、アクティブノズルが、燃料充填が行われる充填管の上部オリフィスを取り囲むことができるスリーブを有する吸引装置を備えたタイプである場合に特に有利である。このタイプのノズルは、北米におけるよりも欧州において見られる場合がより多い。
【0031】
用語「高揮発性の燃料」は、ディーゼル燃料又はディーゼルエンジンのための他の燃料のような重油を除く、様々なグレードのガソリンのような軽質燃料を意味すると理解されるべきである。
問題の弁出口の内の一方は、正常作動期間中における通気回路からのガスの出口であり、他方は、充填中におけるガス排出回路からのガスの出口である。該ガス排出回路からのガスの出口は、例えば、液体燃料の飛沫を捕捉する容器のガス出口に(使用される弁内にこのような容器が取り付けられている場合)置くことができる。
「大部分のガスを除去することができる」という表現は、ブリーザパイプに関しては上記の説明と同じ意味を有する。
【0032】
高揮発性の液体燃料で燃料蒸気吸引装置を備えていない場合には、該システムの第2の変形形態は、燃料蒸気を吸収する物質を充填したキャニスタにも接続される弁を含む。しかしながら、この特定の場合には、キャニスタの容積と、弁のサイズと、弁をキャニスタに接続するパイプの直径とが、燃料充填作業中にタンクから逃げるガス容積の大部分をキャニスタ自体により除去できるように寸法決めされる。この場合、キャニスタは、タンクの通常使用時におけるタンクの通気中にガスを吸収することに加えて、充填中にタンクから逃げるガスも吸収する。この状況は主に北米において見られる。
【0033】
低揮発性の燃料に好適な本発明によるシステムの第3の変形形態は、燃料蒸気を吸収する物質を充填したキャニスタに出口が接続された弁を含む。この場合、一般に弁には出口が1つだけ設けられる。このシステムは、欧州と北米の両方で見ることができる。
【0034】
低揮発性燃料の場合には、第3の変形形態の代替である第4の変形形態は、キャニスタを通過することなく大気中に続く弁の出口からなる。この変形形態は、欧州式システムに特に好適である。大気中への該出口は、この弁自体上で直接とすることができる。この接続は、固形粒子がタンクに入るのを防止する装置を介して行ってもよく、或いはパイプ又は任意の除去回路のような他のどのような適切な装置で行ってもよい。
【0035】
第3及び第4の変形形態に基づく本発明によるシステムの第5の変形形態によれば、蒸気ガス排出パイプが、弁の第2の出口をノズルの吸引装置に近い点において案内部のシール装置の上流側にある充填管の上部に接続し、タンクへの充填作業中に該タンクから逃げるガス容積の大部分を除去することが可能である。
【0036】
用語「密閉」と「上流側」、及び表現「タンクから逃げるガス容積の大部分を除去することができる」の意味は、上記の説明と同じ意味を有する。
【0037】
上で説明した5つの変形形態の各々による代替システムは、タンク内へ燃料を導入する働きもするガス排出パイプからなる。この場合、該ガス排出パイプは、充填管を延長したものである。該パイプは、タンクの上表面の任意の位置においてタンクを貫通することができる。該パイプは、ポンプ及び/又は計器モジュールと同じタンク壁内の開口を介してタンクを貫通するのが好ましい。
【0038】
一般にブリーザパイプ及び/又はガス排出パイプは、タンクと充填管の頂部との間に吸い上げ管を導入する形状を有する。任意選択的であるが、例えば、わずかな空間で設計する場合のように、必要性が生じた時には、本発明によるシステムは、サイホンを含まないブリーザパイプ及び/又はガス排出パイプを含むこともできる。
【0039】
本発明は更に、上に詳述した実施形態のいずれか1つによるシステムを備えた車両用液体燃料タンクに関する。
最後に、本発明は更に、シール装置の上流側で充填管上部に接続されたガス排出パイプを含む変形形態によるシステムの充填管キャップに関し、該キャップは、キャップが閉鎖位置にある時に最も上流側にある可撓性シールのリップを閉鎖することができ、且つガス排出パイプをシールされた様態で充填管と第1のブリーザパイプによって形成される組立体から隔離することができる円形状の突出部を充填管の内側端部に含むことを特徴とする。ここで「シール」とは、蒸気と液体燃料の両方に対する意味であることを理解されるべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
添付の図1乃至図4は、本発明を説明するための図であり、本発明の範囲をどのようにも限定するためのものではない。
図1は、欧州諸国に適合する液体燃料タンクの安全システムを概略的に示している。
本図において、液体燃料を収容する高密度ポリエチレンタンク12は、充填管10と、液体捕捉容器18を含むガス排出及び通気弁6とを備え、該通気弁はパイプ7を介して活性炭素を充填したキャニスタ8に接続され、更にガス排出パイプ4を介して充填管10の上部オリフィス3に接続される。蒸発ブリーザパイプ19は、タンク12のオーバーヘッドをシール装置2の直ぐ下流側に位置する充填管10の領域1に接続する。このシール装置2は、可撓性のシールを含む。ブリーザパイプ19は、弁6のためにタンク壁内に形成されたものと同じオリフィスを介してタンクを貫通し、タンク12のオーバーヘッドからタンクの最高許容液体燃料レベルを定める高さレベル5まで沈められる。図1は更に、燃料を供給するサービスステーションノズル14を示しており、該ノズルは、給油口の端部(17)がシール2の下流側に位置付けられるような方法で、充填管10の上部と係合してシール装置2を貫通して通る。
【0041】
図1に示すシステムの詳細な動作は次の通りである。充填管10を閉鎖するキャップ(図示せず)によりタンク12が閉鎖されている初期状態から始まり、次いで、タンクは燃料が何ら取り出されていない通常の休止状態で、充填管10の入口3を閉鎖していたキャップが燃料補給作業を行うために開けられる。
【0042】
次にノズル14を充填管10の入口3に挿入して、シール装置2のシールを突き通すように機械的に押し込み、更にこのシール装置の下流側部分内に配置された密封具を開いて貫通させるようにする。このノズル14は、シール装置2のシールの下流側まで充填管10に挿入される給油口17の端部に、燃料流入遮断トリップセンサとして働く入口オリフィスを有する。シール装置2のシールによって、周囲空気は、ノズル14のトリップシステムのオリフィスにはもはや入ることはできない。閉鎖位置にある時には燃料充填を阻止する密封具は、十字形に切り込まれた壁を押し開く給油口17によって開かれる。密封具のこの構成は、ノズル14を押し込んで燃料をタンク12に供給するための正確な位置を取り、シール装置2の下流側にノズル14の給油口17を位置付けることを可能にする。
【0043】
次にユーザが、充填管10内に正しく置かれたノズル14を開放する操作を行うと、タンク12内へのガソリンの供給が始まる。ノズル14が燃料の流入停止を引き起こさないように、空気及び/又はガソリンの蒸気が、ブリーザパイプ19から、レベル5までタンク内に浸されたパイプ部分、ガス溜り16、弁6、ガス排出パイプ4へ、そして入口3に近い大気を介して逃がされる。
【0044】
同時に、充填管10を介して導入されたガソリンの容積は、タンク12のガス溜り16内に存在するガスの容積と置き換わる。上述のように、このガスの容積は、弁6及びガス排出パイプ4を介して逃がされる。
【0045】
弁6のパイプ7の始点部には、該弁6とキャニスタ8との接続に一定のヘッドロスを導くベンチュリー装置が在り、これによりキャニスタ8に少量のガスしか流入させないよう、すなわちパイプ19及び4への流入よりも実質的に少ないガスしか流入させないようにする。この構成は、キャニスタ8に充填された活性炭素が、燃料充填中に不必要に飽和されるのを防止する。
【0046】
燃料充填中、大気圧に対するタンク12内の過圧は非常に低く保たれ、この過圧は、弁6及びガス排出パイプ4の開放通路の低いヘッドロス特性だけで決まる。
【0047】
ノズルの入口3において大気中に逃げるガスは、ノズル14の頂部と入口3とを取り囲み、ガスが回収されるサービスステーションの吸引ポンプに接続されたスリーブ(図示せず)を含むアクティブシステムにより吸引される。
【0048】
タンク内のガソリンレベル13は上昇し、ブリーザパイプ19のオリフィスと同じレベルであるレベル5の高さで止まる。この瞬間、ノズル14はガス溜り16からの空気又はガスを受けることはもはやなくなり、給油口17の入口オリフィスが軽い真空状態になり、その結果ノズル14の自動真空感知装置が起動されてガソリンの流入を遮断する。
【0049】
弁6は開いたままであるから、燃料充填中にタンク内に存在する非常に僅かな過圧は、ガス排出パイプ4及び出口3を介して大気圧と平衡する。充填管10のオリフィスを閉鎖するキャップが閉じられた後、タンク内で均衡している圧力は、パイプ7及びキャニスタ8により保たれる。
【0050】
図2は、北米向けに適合する液体燃料タンクの安全システムを概略的に示している。
本図において、液体燃料を収容する高密度ポリエチレンタンク12は、充填管10と、液体捕捉容器18を含むガス排出及び通気弁6とを備え、該通気弁はパイプ7を介して活性炭素を充填した大きなキャニスタ8に接続されている。蒸発ブリーザパイプ19は、タンク12のオーバーヘッドをシール装置2の直ぐ下流側に位置する充填管10の領域1に接続する。このシール装置2は、可撓性のシールを含む。ブリーザパイプ19は、弁6のためにタンク壁内に形成されたものと同じオリフィスを介してタンクを貫通し、タンク12のオーバーヘッドからタンクの最高許容液体燃料レベルを定める高さレベル5まで沈められる。図2は更に、燃料を供給するサービスステーションノズル14を示しており、該ノズルは、給油口の端部(17)がシール2の下流側に位置付けられるような方法で、充填管10の上部と係合してシール装置2を貫通して通る。この給油口17は、外部蒸発燃料吸引装置に接続される開口(図示せず)が貫通している。
【0051】
図2に示すシステムの詳細な動作は次の通りである。充填管10を閉鎖するキャップによりタンク12が閉鎖されている初期状態から始まり、次いで、タンクは燃料が何ら取り出されていない通常の休止状態で、充填管10の入口3を閉鎖していたキャップが燃料補給作業を行うために開けられる。
【0052】
次にノズル14を充填管10の入口3に挿入して、シール装置2のシールを突き通すように機械的に押し込み、更にこのシール装置の下流側部分内に配置された密封具を開いて貫通させるようにする。このノズル14は、シール装置2のシールの下流側まで充填管10に挿入される給油口17の端部に、燃料流入遮断トリップセンサとして働く入口オリフィスを有する。シール装置2のシールによって、周囲空気は、ノズル14のトリップシステムのオリフィスにはもはや入ることはできない。閉鎖位置にある時には燃料充填を阻止する密封具は、十字形に切り込まれた壁を押し開く給油口17によって開かれる。密封具のこの構成は、ノズル14を押し込んで燃料をタンク12に供給するための正確な位置を取り、シール装置2の下流側にノズル14の給油口17を位置付けることを可能にする。
【0053】
次にユーザが、充填管10内に正しく置かれたノズル14を開放する操作を行うと、タンク12内へのガソリンの供給が始まる。ノズル14が燃料の流入停止を引き起こさないように、空気及び/又はガソリンの蒸気は、ブリーザパイプ19から、レベル5までタンク内に浸されたパイプ部分、ガス溜り16、弁6、パイプ7、キャニスタ8へ、そして通気出口11を介して逃がされる。
【0054】
同時に、充填管10を介して導入されたガソリンの容積は、タンク12のガス溜り16内に存在するガスの容積と置き換わる。上述のように、このガスの容積は、弁6及びキャニスタ8を介して逃がされる。
【0055】
燃料充填中、大気圧に対するタンク12内の過圧は非常に低く保たれ、この過圧は、弁6、パイプ7、及びキャニスタ8の開放通路の低いヘッドロス特性だけで決まる。
【0056】
ガス溜り16から生じる蒸気は、ブリーザパイプ19によってレベル5に位置付けられたオリフィス、領域1の入口、及びノズル14の給油口17の吸引孔(図示せず)から除去される。
【0057】
タンク内のガソリンレベル13は上昇し、ブリーザパイプ19のオリフィスと同じレベルであるレベル5の高さで止まる。この瞬間、ノズル14はガス溜り16からの空気又はガスを受けることはもはやなくなり、給油口17の入口オリフィスが軽い真空状態になり、その結果ノズル14の自動真空感知装置が起動されてガソリンの流入を遮断する。
【0058】
弁6は開いたままであるから、燃料充填中にタンク内に存在する非常に僅かな過圧は、パイプ7、キャニスタ8、及び出口11を介して大気圧と平衡する。
【0059】
図3は、給油口17が充填管10のシール装置2内に正しく挿入されている給油ノズル14の断面図を示している。このシール装置は、2つの可撓性シール20及び21と、4つの四分体22を有する星形密封具とを備える。本図はまた、ブリーザパイプ19の入口1及びガス排出パイプ4のオリフィス3を示している。
【0060】
図4は、閉鎖位置における充填管/案内部/キャップ組立体の断面図を示す。同図には、充填管10とガス排出パイプ4間の接続を閉鎖するキャップ24の突出端23を示している。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】欧州諸国に適合する液体燃料タンクの安全システムの概略図である。
【図2】北米向けに適合する液体燃料タンクの安全システムの概略図である。
【図3】給油口が充填管のシール装置内に正しく挿入されている給油ノズルの断面図である。
【図4】閉鎖位置における充填管/案内部/キャップ組立体の断面図である。
【符号の説明】
【0062】
2 シール装置
4 ガス排出パイプ
6 ガス排出及び通気弁
10 充填管
14 ノズル
19 ブリーザパイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)液体燃料タンクに装着され、外部環境に対してシールする装置が設けられたノズル案内部を前記タンクの入口オリフィスに備える充填管と、
b)前記タンクに装着され、前記タンクへの燃料充填作業中のガス排出と前記タンクの通常の使用期間中における前記タンクの通気とを保証することを可能にするフロート弁と、
c)前記タンクの頂部に埋め込まれ、該タンク頂部を前記タンクの側部上で前記シール装置の下流側にある前記充填管の上部に接続する、燃料充填中のタンク内における液体の最高レベルを定めるための蒸気用ブリーザパイプと、
を備える液体燃料タンクのための安全システムであって、
前記タンクが充填されている間及び前記タンクの通常の使用期間中は、前記フロート弁が通常開いており、2つの状況下においてのみ、すなわち前記タンクが所定の限度を超えて傾いた時又は完全に逆さまにされた時と、所定値を超える大きさで燃料が一時的に移動している間とにおいてのみ前記フロート弁が閉じられるように、前記フロートの「水位線」が調節される、
ことを特徴とする安全システム。
【請求項2】
前記シール装置が2つの要素を有する可撓性のエラストマー物質で作られ、上流側の第1の要素がノズル給油口のパイプの外表面上に反り返る円形リップからなり、下流側の第2の要素は、前記ノズル給油口の端部が接触した時に圧力の作用により開くことができる密封具からなる、
請求項1に記載の安全システム。
【請求項3】
前記システムが高揮発性の液体燃料に好適で、燃料蒸気吸引装置を備えたノズルに好適であり、前記弁の第1の出口が、一方では前記燃料蒸気を吸収する物質を充填したキャニスタに接続され、蒸気ガス排出パイプが、他方では前記弁の第2の出口を前記ノズルの吸引装置に近い点において前記案内部のシール装置の上流側にある前記充填管の上部に接続し、このガス排出パイプが前記タンクへの充填作業中に該タンクから逃げるガス容積の大部分を除去することが可能である、
請求項1または2に記載の安全システム。
【請求項4】
前記システムが高揮発性の液体燃料に好適で、燃料蒸気吸引装置を備えていないノズルに好適であり、前記弁が、前記燃料蒸気を吸収する物質を充填したキャニスタに接続され、該キャニスタの容積と、前記弁のサイズと、該弁を前記キャニスタに接続するパイプの直径とが、燃料充填作業中に前記タンクから逃げるガス容積の大部分を除去できるように寸法決めされる、
請求項1及び2のいずれかに記載の安全システム。
【請求項5】
前記弁の出口が、前記燃料蒸気を吸収する物質を充填したキャニスタ内に続いていることを特徴とする低揮発性の液体燃料に好適な、
請求項1及び2のいずれかに記載の安全システム。
【請求項6】
前記弁の出口が、キャニスタを通過することなく、大気中に続いていることを特徴とする低揮発性の液体燃料に好適な、
請求項1及び2のいずれかに記載の安全システム。
【請求項7】
蒸気ガス排出パイプが、前記弁の第2の出口を前記ノズルの吸引装置に近い点において前記案内部のシール装置の上流側にある前記充填管の上部に接続し、前記タンクへの充填作業中に該タンクから逃げるガス容積の大部分を除去することが可能である、
請求項5又は6のいずれかに記載の安全システム。
【請求項8】
前記ガス排出パイプが更に、前記タンク内へ燃料を導入する働きをし、ポンプ及び/又は計器モジュールと同じタンク壁内の開口を介してタンクを貫通する、
請求項3乃至7のいずれかひとつに記載の安全システム。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかひとつに記載の安全システムを備えた車両用液体燃料タンク。
【請求項10】
請求項3、7、及び8のいずれかひとつに記載の安全システムのための充填管キャップであって、
該キャップは、前記キャップが閉鎖位置にある時に最も上流側にある前記可撓性シールのリップを閉鎖することができ、且つ前記ガス排出パイプをシールされた様態で前記充填管と前記第1のブリーザパイプによって形成される組立体から隔離することができる円形状の突出部を前記充填管の内側端部に含むことを特徴とする充填管キャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−201415(P2008−201415A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−139788(P2008−139788)
【出願日】平成20年5月28日(2008.5.28)
【分割の表示】特願2002−571316(P2002−571316)の分割
【原出願日】平成14年3月4日(2002.3.4)
【出願人】(502294138)イネルジー オートモーティヴ システムズ リサーチ (41)
【Fターム(参考)】