説明

液体現像剤分離抽出装置および画像形成装置

【課題】回収された液体現像剤のキャリア液とトナーとを、より確実に分離することにある。
【解決手段】液体現像剤分離抽出装置28において、トナー回収ローラ27は、トナーを回収するためのローラである。供給ローラ29は、トナー回収ローラ27に対向して配され、トナー回収ローラ27に液体現像剤を供給する。コロナチャージャ36は、供給ローラ29よりもトナー回収ローラ27の回転方向下流側に、トナー回収ローラ27と対向して配されている。キャリア液回収ローラ37は、コロナチャージャ36よりもトナー回収ローラ27の回転方向下流側に、トナー回収ローラ27に対向して配される。電圧印加部38は、コロナチャージャ36の放電電圧とトナー回収ローラ27の帯電電位との間の電位にキャリア液回収ローラ37が帯電するよう、トナー回収ローラ27及び/又はキャリア液回収ローラ37に電圧を印加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体現像剤分離抽出装置、特に、キャリア液とトナーとを含む液体現像剤を分離するための液体現像剤分離抽出装置、およびこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置として、液体現像剤を用いて画像を形成するものが知られている。従来のこの種の装置として、感光体や中間転写体から回収された液体現像剤からキャリア液を分離し、再度液体現像剤と混合することでキャリア液を再利用する液体現像剤分離抽出装置を備えたものが既に提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に示される分離抽出装置では、回収された液体現像剤が注入されるパイプ部材にバイアス電圧が印加されることで、トナーがパイプ内の所定の部材に付着するよう構成されている。
【特許文献1】特開2003−270957号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の装置では、液体現像剤中のトナーは帯電量が不均一で、バイアス電圧と逆極性に帯電したトナーも存在する。このため、トナーをキャリア液から分離する作業の効率が悪い。特に、逆極性の電荷を有するトナーは、十分な時間電圧が印加されることで極性が反転する可能性もあるが、相当な時間を要するか、時間をかけても確実に極性が反転するとは限らない。このため、特許文献1の装置は実用的でない。
【0005】
本発明の目的は、回収された液体現像剤のキャリア液とトナーとを、より確実に分離することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明の液体現像剤分離抽出装置は、液体現像剤に含まれるキャリア液とトナーとを分離するための装置であって、トナー回収ローラと、液体現像剤供給部と、コロナチャージャと、少なくとも1つのキャリア液回収ローラと、電圧印加部とを備えている。トナー回収ローラは、トナーを回収するためのローラである。液体現像剤供給部は、トナー回収ローラに対向して配され、トナー回収ローラに液体現像剤を供給するためのものである。コロナチャージャは、液体現像剤供給部よりもトナー回収ローラの回転方向下流側に、トナー回収ローラと対向して配されている。キャリア液回収ローラは、コロナチャージャよりもトナー回収ローラの回転方向下流側に、トナー回収ローラに対向して配される。電圧印加部は、コロナチャージャの放電電圧とトナー回収ローラの帯電電位との間の電位にキャリア液回収ローラが帯電するよう、トナー回収ローラ及び/又はキャリア液回収ローラに電圧を印加する。
【0007】
この装置では、まず、液体現像剤供給部により、トナー回収ローラに液体現像剤が供給される。次いで、コロナチャージャによりコロナ放電が行われることにより、トナー回収ローラ上の液体現像剤中のトナーは、十分に大きな電荷を有して帯電する。このように帯電したトナーは、キャリア液分離のために電圧印加されたキャリア液回収ローラに接触しても、キャリア液回収ローラには移動せずにトナー回収ローラ上に残り易くなる。したがって、キャリア液回収ローラ側にキャリア液を効率的に回収でき、純度の高い回収キャリア液を得ることができる。
【0008】
第2発明に係る液体現像剤分離抽出装置は、第1発明の装置において、キャリア液回収ローラは複数配されている。
【0009】
この装置では、複数のキャリア液回収ローラによって、より多くの純度の高いキャリア液を回収することができる。
【0010】
第3発明に係る画像形成装置は、画像形成部と、液体現像剤分離抽出装置とを備えている。画像形成部は、トナーとキャリア液とを含む液体現像剤を用いて画像を形成する。液体現像剤分離抽出装置は、第1発明又は第2発明の装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、キャリア液回収ローラ側にキャリア液を効率的に回収でき、純度の高い回収キャリア液を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
<全体構成>
本発明の一実施形態にかかる画像形成装置1を図1に示す。この画像形成装置1は、カラープリンタであり、画像形成部2と、用紙収納部3と、二次転写部4と、定着部5と、用紙搬送部6と、排出部7と、を備えている。画像形成部2は、画像データに基づいてトナー画像を形成するタンデム式のものである。用紙収納部3は、記録媒体の一例である用紙を収容する。二次転写部4は、画像形成部2で形成されたトナー画像を用紙上に転写する。定着部5は、用紙に転写されたトナー像を用紙に定着させる。用紙搬送部6は、用紙収納部3から排出部7まで用紙を搬送する。排出部7は、定着の完了した用紙を排紙する。
【0013】
画像形成部2は、中間転写ベルト21と、クリーニング部22と、複数の画像形成ユニットFY、FC、FM、及びFBと、図示しないコントローラとを備える。
【0014】
中間転写ベルト21は、導電性を有し、無端状、すなわちループ状のベルト状部材である。中間転写ベルト21は、図1、図2において矢印で示すように、時計回りに循環駆動される。なお、中間転写ベルト21は、駆動ローラ41と従動ローラ23とテンションローラ24に張架されている。図示しない駆動モータの駆動によって駆動ローラ41が回動すると、中間転写ベルト21が駆動される。また、中間転写ベルト21が駆動されると、従動ローラ23、テンションローラ24が、中間転写ベルト21に対して従動回転する。なお、テンションローラ24は中間転写ベルト21が弛まないように適切な張力を中間転写ベルト21に付与する部材である。
【0015】
クリーニング部22は、中間転写ベルト21のクリーニングを行う。クリーニング部22は、クリーニングローラ22aとクリーニングブレード22bを有する。
【0016】
画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBは、中間転写ベルト21の近傍に4つ並べて中間転写ベルト21のクリーニング部22と二次転写部4との間に配置される。画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の各色にそれぞれ対応している。なお、各画像形成ユニットFY、FM、FC、FBの配置の順番はこの限りではないが、各色の混色による完成画像への影響を配慮すると、この配置が好ましい。
【0017】
図2に示すように、画像形成ユニットFY、FM、FC、及びFBはそれぞれ、感光体ドラム10と、帯電器11と、露光装置12と、現像装置14と、一次転写ローラ20と、クリーニング装置26と、除電装置13と、キャリア液除去ローラ30とを備える。また、画像形成ユニットのうち、最も二次転写部4に近い位置に位置する画像形成ユニットFBには、キャリア液除去ローラ30が設けられていないが、その他の構成は同一である。
【0018】
また、各画像形成ユニットFY、FM、FC、FBに対応して、それぞれ液体現像剤循環装置LY、LM、LC、LB、トナータンクCB、CY、CC、CM、及び、キャリアタンクCCAが設けられており、各色の液体現像剤の供給、並びに回収が行われるようになっている。液体現像剤循環装置LY、LM、LC、LBについては後に詳述する。
【0019】
感光体ドラム10は、円柱状の部材であって、その表面に帯電(本実施形態ではプラス極性に帯電)したトナーを含むトナー像を担持可能である。感光体ドラム10は、図2において破線矢印で示すように、反時計回りに回転可能な部材である。
【0020】
帯電器11は、感光体ドラム10の表面を一様に帯電させることができる機器である。
【0021】
露光装置12は、LED等の光源を有し、外部の機器から入力される画像データに応じて、一様に帯電した感光体ドラム10の表面に光を照射する。これにより、感光体ドラム10の表面には、静電潜像が形成される。
【0022】
現像装置14は、トナー及び液体のキャリアを含む液体現像剤を、感光体ドラム10表面の静電潜像に対向するように保持することで、静電潜像にトナーを付着させる。これにより、静電潜像はトナー像として現像される。
【0023】
現像装置14は、現像容器140、現像ローラ141、供給ローラ142、支持ローラ143、供給ローラブレード144、現像クリーニングブレード145、現像剤回収装置146及び現像ローラ帯電器147を含む。
【0024】
現像容器140は、トナー粒子と液体のキャリアからなる液体現像剤の供給を受ける容器である。後述するが、この液体現像剤は、トナーとキャリアとの濃度調整が予め行われた状態で、供給ノズル278から現像容器140内へ供給される。なお、液体現像剤は、支持ローラ143のうち供給ローラ142と支持ローラ143とのニップ部近傍の部分に向けて供給され、その余剰分は支持ローラ143の下方へ落下し、現像容器140の底部において貯留される。貯留された液体現像剤は、流路R2を通して液体現像剤循環装置LY、LM、LC、LBによって回収される。
【0025】
支持ローラ143は現像容器140の略中央に配置され、下方から支える態様で供給ローラ142に当接してニップ部を形成する。供給ローラ142は、支持ローラ143の斜め上に配置されており、供給ノズル278から離れる方向に支持ローラ143の直上からずれて配置されている。供給ローラ142の周面には、液体現像剤を保持するための溝が設けられている。図2において破線矢印で示すように、支持ローラ143は反時計方向に、供給ローラ142は時計方向に回転する。
【0026】
供給ノズル278から供給される液体現像剤は、前記ニップ部の回転方向上流側で一時的に滞留され、両ローラ142、143の回転に伴って、供給ローラ142の溝に保持された状態で上方へ運ばれる。供給ローラブレード144は、供給ローラ142の周面に圧接され、供給ローラ142に保持される液体現像剤の量が所定量になるように規制する。供給ローラブレード144により掻き落とされた余剰の液体現像剤は、現像容器140の底部で受け取られる。
【0027】
現像ローラ141は、現像容器140の上部開口部に、供給ローラ142と接するように配置されている。現像ローラ141は供給ローラ142と同方向に回転される。すなわち、現像ローラ141と供給ローラ142とが当接するニップ部では、現像ローラ141の表面は、供給ローラ142の表面と逆方向に移動する。これにより、現像ローラ141の周面に、供給ローラ142の周面に保持された液体現像剤が受け渡される。ここで、供給ローラ142の液体現像剤の層厚が所定値に規制されているので、現像ローラ141の表面に形成される液体現像剤層の層厚も所定値に保たれる。
【0028】
現像ローラ帯電器147は、トナーの帯電極性と同極性の電界を与えることで、現像ローラ141に担持された液体現像剤層中のトナーを現像ローラ141の表面側に移動させ、現像効率を向上させる作用を果たすものである。現像ローラ帯電器147は、現像ローラ141の、供給ローラ142との接触部の回転方向下流側であって、感光体ドラム10との接触部の上流側において、現像ローラ141の周面に対向するように設けられている。
【0029】
現像ローラ141は感光体ドラム10と接し、感光体ドラム10の表面の静電潜像の電位と現像ローラ141に印加される現像バイアスとの電位差によって、形成指示された画像データに応じたトナー像が感光体ドラム10表面に形成される(現像動作)。
【0030】
現像クリーニングブレード145は、現像ローラ141の感光体ドラム10との接触部の回転方向下流側であって、供給ローラ142との接触部の上流側において、現像ローラ141に接触するように配置され、感光体ドラム10への現像動作を終えた現像ローラ141の表面の液体現像剤を除去する。
【0031】
現像剤回収装置146は、現像クリーニングブレード145で除去された液体現像剤を回収して、対応する液体現像剤循環装置LY、LM、LC、LBの流路R1へ該液体現像剤を送り出す。液体現像剤は現像クリーニングブレード145の表面に沿って流下するが、液体現像剤の粘度が高いことから、現像剤回収装置146には液体現像剤の送り出しを補助する送り出しローラ34,35が備えられている。
【0032】
一次転写ローラ20は、中間転写ベルト21の内周側に、感光体ドラム10と対向して配置されている。一次転写ローラ20には、図示しない電源からトナー像中のトナーとは逆極性(本実施形態ではマイナス)の電圧を印加されるようになっている。つまり、一次転写ローラ20は、中間転写ベルト21と接触している位置で、中間転写ベルト21にトナーと逆極性の電圧を印加する。中間転写ベルト21は導電性を有するので、この印加電圧によって、中間転写ベルト21の外周面側及びその周辺にトナーが引き付けられる。
【0033】
クリーニング装置26は、感光体ドラム10から中間転写ベルト21に転写されずに残留した液体現像剤をクリーニングするための装置であって、クリーニングブレード262と、残留現像剤搬送スクリュー261とを備えている。
【0034】
クリーニングブレード262は、感光体ドラム10の表面に残留した液体現像剤を掻き取るための部材であって、感光体ドラム10の回転軸方向に延びる板状の部材である。クリーニングブレード262は、その端部が感光体ドラム10の表面に当接しており、感光体ドラム10の回転に伴って感光体ドラム10上に残留した液体現像剤を掻き取る。
【0035】
残留現像剤搬送スクリュー261は、クリーニング装置26内に配置されている。残留現像剤搬送スクリュー261は、クリーニングブレード262によって掻き取られ、クリーニング装置26内に収納された液体現像剤をクリーニング装置26の外部に搬送する。
【0036】
除電装置13は、除電用の光源を有し、感光体ドラム10の表面を光源からの光によって除電する。除電装置13は、次の画像形成に備えて、クリーニングブレード262による液体現像剤除去後に除電を行う。
【0037】
キャリア液除去ローラ30は、感光体ドラム10の回転軸と平行な回転軸を中心として回転可能な略円柱状の部材である。キャリア液除去ローラ30は、感光体ドラム10と同方向に回転する。キャリア液除去ローラ30は、感光体ドラム10と中間転写ベルト21とが接触する位置よりも二次転写部4が配置されている側に配置されており、中間転写ベルト21の表面からキャリア液を除去する部材である。
【0038】
図1に戻って、用紙収納部3は、トナー像を定着させる用紙を収納する部分であって、画像形成装置1の下部に配置されている。また、用紙収納部3は、用紙を収納している給紙カセット31と給紙ローラ32と用紙分離ローラ対33とを有している。
【0039】
二次転写部4は、中間転写ベルト21上に形成されたトナー像を用紙に転写する部分であって、中間転写ベルト21を駆動する駆動ローラ41と、駆動ローラ41に対向して配置された二次転写ローラ42とを有している。
【0040】
定着部5は、用紙にトナー像を定着させる部分であって、二次転写部4の上側に配置されている。また、定着部5は、加熱ローラ51と、加熱ローラ51に対向して配置された加圧ローラ52とを有している。
【0041】
用紙搬送部6は、複数の搬送ローラ対61とレジストローラ対62を備え、用紙収納部3から二次転写部4及び排出部6に用紙を搬送する。なお、図1において一対の搬送ローラ対61のみが図示されているが、他の搬送ローラ対は、図1における紙面に垂直な方向に並んで配置されており、記載を省略している。
【0042】
排出部7は、二次転写部4でトナー像が転写・定着された用紙が排出される部分であって、複数の排出ローラ対71と画像形成装置1の上面に設けられた排出トレイ72を有している。なお、図1においては一対の排出ローラ対71のみが図示されているが、他の排出ローラ対は、図1における紙面に垂直な方向に並んで配置されており、記載を省略している。
【0043】
コントローラは、CPU、RAM、ROMを含むマイクロコンピュータで構成され、画像形成装置1全体の動作を司るとともに、後述する分離抽出動作の際に液体現像剤分離抽出装置28の動作を制御する。具体的には、コントローラは、分離抽出動作の際の、電圧印加部38による電圧印加や、後述するトナー回収ローラの回転駆動等の制御を行う。
【0044】
<液体現像剤循環装置LY、LM、LC、LBの構成>
図3に液体現像剤循環装置LYの全体の概略を示す。液体現像剤循環装置LYは、液体現像剤を循環させ再利用するための装置である。ここでは、液体現像剤循環装置LYの構造について説明するが、他の液体現像剤循環装置LM、LC、LBも同様の構成である。液体現像剤循環装置LYによって循環される液体現像剤としては、現像クリーニングブレード145によって現像ローラ141の表面から掻き取られた現像剤(トナーとキャリア液との混合物)や、供給ローラ142から現像ローラ141に供給されなかった現像剤や、感光体ドラム10からクリーニング装置26によって掻き取られた現像剤がある。
【0045】
液体現像剤循環装置LYは、残留現像剤タンク271と、現像剤収容容器272と、固形分濃度検出装置273と、キャリアタンクCCAと、トナータンクCYと、現像剤リザーブタンク277と、供給ノズル278と、残留現像剤回収容器279と、液体現像剤分離抽出装置28と、複数のポンプP1〜P10と、を備えている。
【0046】
残留現像剤タンク271は、現像装置14に流路R1を介して接続されている。残留現像剤タンク271は、現像クリーニングブレード145によって現像ローラ141の表面から掻き取られた現像剤を収納可能なタンクである。また、現像装置14と残留現像剤タンク271との間には1つのポンプP1が取り付けられている。ポンプP1は、現像ローラ141の表面から掻き取られた残留現像剤を残留現像剤タンク271に移動させる。また、残留現像剤タンク271は、現像装置14の底部に流路R2を介して接続されており、この流路R2にはポンプP5が接続されている。ポンプP5は、現像容器140から残留現像剤タンク271へ現像剤を送る。
【0047】
現像剤収容容器272は、残留現像剤タンク271に接続されており、現像装置14に補給する現像剤を調合(トナー濃度調整)する部分である。現像剤収容容器272は残留現像剤タンク271に流路R3を介して接続されており、この流路R3にはポンプP2が接続されている。
【0048】
固形分濃度検出装置273は、現像剤収容容器272内の液体現像剤のトナーの濃度を検出するための装置であって、現像剤収容容器272に接続されている環状の流路R4に接続されている。この環状の流路R4の固形分濃度検出装置273の上流側にはポンプP4が取り付けられている。
【0049】
キャリアタンクCCAは、現像剤収容容器272内のトナー濃度を下げるためのキャリア液を収納している。また、キャリアタンクCCAは現像剤収容容器272とポンプP3が取り付けられた流路R5によって接続されている。なお、キャリアタンクCCAは各色共通で用いられ、キャリアタンクCCAには単一の図示しない共通配管が接続されている。そして、共通配管から各色の現像剤収容容器272まで各色用の分岐配管である流路R5が伸びる構成となっている。
【0050】
トナータンクCYは、現像剤収容容器272内のトナー濃度を上げるためのトナー濃度が高い液体現像剤を収納しており、トナータンクCY内の液体現像剤のトナー濃度は、現像装置14で用いられる液体現像剤のトナー濃度よりも高い。トナータンクCYは、現像剤収容容器272とポンプP8が取り付けられた流路R6によって接続されている。
【0051】
現像剤リザーブタンク277は、現像装置14に補給する液体現像剤が収納されるようになっており、現像剤収容容器272とポンプP6の取り付けられた流路R7を介して接続されている。また、供給ノズル278にポンプP7の取り付けられた流路R8を介して接続されている。
【0052】
供給ノズル278は、現像装置14に現像剤を供給するための装置である。
【0053】
残留現像剤回収容器279は、クリーニング装置26によって感光体ドラム10から除去された現像剤を一時的に貯留するための容器である。
【0054】
液体現像剤分離抽出装置28は、液体現像剤をトナーとキャリア液とに分離し、キャリア液とトナーとを別々に抽出するための装置である。液体現像剤分離抽出装置28は、残留現像剤回収容器279とキャリアタンクCCAとを結ぶ流路R9,R10の途中に配置されている。流路R9にはポンプP9が設けられており、残留現像剤回収容器279内の液体現像剤を液体現像剤分離抽出装置28に送る。液体現像剤分離抽出装置28は、残留現像剤回収容器279に貯留された液体現像剤をトナーとキャリア液とに分離する。流路R10にはポンプP10が設けられており、分離されたキャリア液をキャリアタンクCCAに送る。
【0055】
<液体現像剤分離抽出装置の構成>
図4に、液体現像剤分離抽出装置28を示す。
【0056】
液体現像剤分離抽出装置28は、トナー回収ローラ27と、供給ローラ(液体現像剤供給部)29と、コロナチャージャ36と、キャリア液回収ローラ37と、電圧印加部38と、回収現像剤ホッパー39と、抽出キャリア液ホッパー43と、廃トナーホッパー44と、を備えている。
【0057】
トナー回収ローラ27は、回収された液体現像剤からトナーとキャリア液とを分離し、それぞれを抽出するためのローラである。トナー回収ローラ27としては、半導電性ゴムロールが用いられる。半導電性ゴムロールとしては、ウレタン系樹脂に、カーボンブラック等の導電性付与成分を分散させたもの等が用いられる。トナー回収ローラ27は、本実施形態では、体積抵抗が10E+5Ωである。トナー回収ローラ27は、図4において反時計回りに回転する。トナー回収ローラ27は、画像形成装置本体内の図示しないシャーシに接続されることで接地されている。トナー回収ローラ27は、その一部が回収現像剤ホッパー39に蓄えられた回収現像剤に浸かるよう、回収現像剤ホッパーの底面に対し所定の高さで配されている。
【0058】
供給ローラ29は、トナー回収ローラに液体現像剤を供給するためのローラである。供給ローラ29は、トナー回収ローラ27の表面に当接して配されている。供給ローラ29は、SUS等の金属製のローラであり、図4において時計回りに回転する。供給ローラ29は、トナー回収ローラ27と同様に接地されている。
【0059】
コロナチャージャ36は、トナー回収ローラ27に対しコロナ放電を行うための装置である。コロナチャージャ36は、供給ローラ29からトナー回収ローラ27の回転方向下流側に離れて配されている。コロナチャージャ36としては、公知のものを採用でき、ケーシング36aと、ケーシング36a内にトナー回収ローラ27の軸方向と平行に延びて配されるワイヤ36bとを有している。ケーシング36aは、開口部がトナー回収ローラ27側を向くよう配され、ワイヤ36bがトナー回収ローラ27表面に対向している。コロナチャージャ36は、後述する分離抽出動作の際に、+4〜6kVの電圧範囲でコロナ放電を行う。なお、本発明のコロナチャージャとしては、ワイヤとトナー回収ローラ27との間にグリッド電極をもつスコロトロン帯電器、グリッド電極を持たないコロトロン帯電器のいずれが採用されてもよい。
【0060】
キャリア液回収ローラ37は、コロナチャージャ36よりもトナー回収ローラ27の回転方向下流側に配されている。キャリア液回収ローラ37は、SUS等の金属製のローラであり、図4において時計回りに回転する。キャリア液回収ローラ37は、トナー回収ローラ表面に当接して配されている。キャリア液回収ローラ37は、電圧印加部38に接続されている。
【0061】
電圧印加部38は、キャリア液回収ローラ37にバイアス電圧を印加するためのものである。電圧印加部38は、ここでは、分離抽出動作の際に、コントローラに制御されて、キャリア液回収ローラ37に400Vの電圧を印加する。この印加電圧は、キャリア液回収ローラ37が、コロナチャージャ36による放電電圧とトナー回収ローラ27の帯電電位(本実施形態では0V)との間の電位に帯電する値であればよく、好ましくは、コロナチャージャ36の放電電圧との電位差が、トナー回収ローラ27との電位差より大きくなる値が採用される。
【0062】
回収現像剤ホッパー39は、流路R9を通って運ばれた現像剤を貯留するための容器である。なお、図4において流路R9の図示は省略している。
【0063】
抽出キャリア液ホッパー43は、トナー回収ローラ27から分離されるキャリア液を貯留するための容器である。回収現像剤ホッパー39は、その開口部の一端からキャリア液回収ローラ37にかけて傾斜して配されたブレード45を有している。ブレード45の先端は、キャリア液回収ローラ37表面に当接して配され、分離抽出動作の際に、キャリア液回収ローラ37上のキャリア液を掻き取る。抽出キャリア液ホッパー43は、流路R10に接続され、ブレード45に掻き取られたキャリア液は、キャリアタンクCCAに運ばれる。なお、図4において流路R4の図示は省略している。
【0064】
廃トナーホッパー44は、トナー回収ローラ27から分離されるトナーを貯留するための容器である。廃トナーホッパー44は、その開口部の一端からトナー回収ローラ27にかけて傾斜して配されたブレード46を有している。ブレード46の先端は、トナー回収ローラ27表面に当接して配され、トナー回収ローラ27上のトナーを掻き取る。
【0065】
<画像形成装置の動作>
次に、画像形成装置1の画像形成動作を説明する。
【0066】
画像形成装置1に接続されたパーソナルコンピュータ(図略)からの画像形成指示を受けた画像形成装置1は、作成指示を受けた画像データに対応した各色のトナー像を画像形成ユニットFY,FM、FC、FBを用いて形成する。具体的には、感光体ドラム10上に画像データに基づいた静電潜像が形成され、この静電潜像に現像装置14からトナーが供給される。このようにして各画像形成部2で形成されたトナー像は中間転写ベルト21に転写されて、中間転写ベルト21上で重ね合わされてカラートナー像となる。
【0067】
このカラートナー像の形成と同期して、用紙収納部3の給紙カセット31に収容されている用紙が給紙ローラ32によって給紙カセット31から取り出されて、分離ローラ対33によって一枚ずつ用紙搬送部6に送出される。用紙搬送部6の搬送ローラ対61によって用紙はレジストローラ対62まで送られ用紙の搬送姿勢が補正されて一旦用紙は停止させられる。そして、中間転写ベルト21への一次転写とタイミングを合わせてレジストローラ対62から二次転写部4に送り込まれ、二次転写部4で中間転写ベルト21上のカラートナー像が用紙に二次転写される。カラートナー像が転写された用紙は定着部5に送られて熱と圧力の作用でカラートナー像は用紙に定着される。
【0068】
カラートナー像が定着された用紙はさらに排出部7に送られ、排出ローラ対71よって画像形成装置1の外部に設けられた排出トレイ72に排紙される。
【0069】
二次転写後に、中間転写ベルト21に残留した残留液体現像剤は、中間転写ベルト21のクリーニング部22のクリーニングローラ22aとクリーニングブレード22bによって除去される。
【0070】
次に、現像装置14に液体現像剤を供給する動作、すなわち液体現像剤の循環動作について説明する。
【0071】
画像形成動作時に感光体ドラム10に供給されずに現像ローラ141上に残留した液体現像剤は現像クリーニングブレード145によって掻き取られ、流路R1を介して残留現像剤タンク271に回収される。また、現像容器140に受けられた液体現像剤も、ポンプP5によって流路R2を介して残留現像剤タンク271に送られる。そして、現像剤収容容器272内の液体現像剤が無くなると、残留現像剤タンク271から現像剤収容容器272にポンプP2によって流路R3を介して液体現像剤が供給される。このとき、感光体ドラム10上に現像されずに残留した液体現像剤は、クリーニングブレード262によって掻き取られ、残留現像剤回収容器279に収容される。
【0072】
残留現像剤回収容器279に回収された液体現像剤は所定量毎にポンプP9によって流路R9を介して液体現像剤分離抽出装置28に搬送される。そして、液体現像剤分離抽出装置28において、トナーとキャリア液との分離、抽出処理が行われる。液体現像剤分離抽出装置28において抽出されたキャリア液は、キャリアタンクCCAへポンプP10により流路R10を介して送られる。
【0073】
一方、現像剤収容容器272内の液体現像剤のトナー濃度が固形分濃度検出装置273によって検出され、現像剤収容容器272内の液体現像剤の濃度調整が行われる。ここでは、トナー濃度が高い場合には、キャリアタンクCCAからキャリア液がポンプP3によって流路R5を介して現像剤収容容器272に供給される。また、トナー濃度が低い場合には、トナータンクCYからトナー濃度が高い液体現像剤がポンプP8によって流路R6を介して現像剤収容容器272に供給される。
【0074】
そして、必要に応じて現像剤収容容器272から現像剤リザーブタンク277に濃度調整がなされた液体現像剤がポンプP6によって流路R7を介して供給され、現像剤リザーブタンク277に収納された液体現像剤がポンプP7によって流路R8を介して供給ノズル278に送られ、供給ノズル278から現像装置14に供給される。
【0075】
次に、液体現像剤分離抽出装置28による分離抽出動作を、より詳細に説明する。
【0076】
残留現像剤回収容器279の現像剤は、流路R9を介して回収現像剤ホッパー39に供給される。回収現像剤ホッパー39内の液体現像剤は、供給ローラ29の回転により上方に汲み上げられ、トナー回収ローラ27と接触することでトナー回収ローラ27表面に供給される。トナー回収ローラ27上の現像剤は、トナー回収ローラ27の回転により、コロナチャージャ36と対向する位置を通過する。このとき、トナー回収ローラ27上の現像剤中のトナーは、コロナチャージャ36からのコロナ放電を受けて、正電極に帯電する。トナー回収ローラ27上の現像剤は、トナー回収ローラ27がさらに回転することで、キャリア液回収ローラ37に接触する。このとき、電圧印加部38により印加されたキャリア液回収ローラ37とトナー回収ローラ34との電位差により、キャリア液は、キャリア液回収ローラ37側に移動し、トナーは、トナー回収ローラ27上に残存する。キャリア液回収ローラ37に移動したキャリア液は、さらにブレード45に掻き取られて抽出キャリア液ホッパー43に貯留される。貯留されたキャリア液は、流路R10を介してキャリアタンクCCAに運ばれる。一方、トナー回収ローラ27上に残存するトナーは、トナー回収ローラ27がさらに回転することで、ブレード46に掻き取られ、廃トナーホッパー44に貯留される。
【0077】
このような液体分離抽出動作において、トナー回収ローラ上のトナーは、コロナ放電を受けて十分に大きい正電極の電圧に帯電するので、キャリア液回収ローラに接触した場合に、トナーが、キャリア液と共にキャリア液回収ローラに移動することが抑制される。これにより、抽出液キャリア液ホッパーに、純度の高いキャリア液を効率的に回収することができる。また、廃トナーを確実にキャリア液から分離、回収することができる。
【0078】
<他の実施形態>
キャリア液回収ローラは、複数配されてもよい。例えば、図5に示すように、上記実施形態において、キャリア液回収ローラ37の下流側に、さらにもう1つのキャリア液回収ローラ47が配されてもよい。なお、図5において、上記実施形態と同様の構成の部材等については、同じ符号で示している。図5に示す液体現像剤分離抽出装置58では、キャリア液回収ローラ47の近傍には、上述の抽出キャリア液ホッパー43と同様の構成のキャリア液抽出ホッパー48が配されている。キャリア液抽出ローラ47もまた電圧印加部38が接続され、分離抽出動作時には、キャリア液回収ローラ37と同様に400Vの電圧が印加される。なお、さらに他の実施形態では、キャリア液回収ローラ47には、キャリア液回収ローラ37とは異なるバイアス電圧が印加されてもよい。また、キャリア液抽出ホッパー48は、上述のブレード45と同様のブレード49を有している。また、流路R10は、装置58近傍で2つに分岐しており、それぞれキャリア液抽出ホッパー43,48に接続されている。なお、図5でも流路R10の図示は省略している。
【0079】
このような構成によれば、キャリア液回収ローラが複数あることで、液体現像剤からより多くのキャリア液を分離、抽出し、回収することができる。
【0080】
また、印加電圧部は、キャリア液回収ローラに代えてトナー回収ローラに電圧を印加するよう構成されてもよく、また、キャリア液回収ローラ及びトナー回収ローラの両方に電圧を印加するよう構成されてもよい。
【0081】
液体現像剤供給部としては、上記のローラに限定されず、トナー回収ローラに液体現像剤を供給できるものであれば、無端ベルトなど他の手段が用いられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】画像形成装置の構成を示す図。
【図2】画像形成ユニットの拡大図。
【図3】液体現像剤循環装置の構成を示す図。
【図4】液体現像剤分離抽出装置の構成を示す図。
【図5】他の実施形態に係る液体現像剤分離抽出装置の構成を示す図。
【符号の説明】
【0083】
1 画像形成装置
2 画像形成部
28,58 液体現像剤分離抽出装置
29 供給ローラ(液体現像剤供給部)
34 トナー回収ローラ
36 コロナチャージャ
37,47 キャリア液回収ローラ
38 電圧印加部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体現像剤に含まれるキャリア液とトナーとを分離するための液体現像剤分離抽出装置であって、
トナーを回収するためのトナー回収ローラと、
前記トナー回収ローラに対向して配され、前記トナー回収ローラに液体現像剤を供給するための液体現像剤供給部と、
前記液体現像剤供給部よりも前記トナー回収ローラの回転方向下流側に、前記トナー回収ローラと対向して配されたコロナチャージャと、
前記コロナチャージャよりも前記トナー回収ローラの回転方向下流側に、前記トナー回収ローラに対向して配される少なくとも1つのキャリア液回収ローラと、
前記コロナチャージャの放電電圧と前記トナー回収ローラの帯電電位との間の電位に前記キャリア液回収ローラが帯電するよう、前記トナー回収ローラ及び/又はキャリア液回収ローラに電圧を印加する電圧印加部と、
を備えた液体現像剤分離抽出装置。
【請求項2】
前記キャリア液回収ローラは複数配されている、請求項1に記載の液体現像剤分離抽出装置。
【請求項3】
トナーとキャリア液とを含む液体現像剤を用いて画像を形成する画像形成部と、
請求項1又は2に記載の液体現像剤分離抽出装置と、
を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−128287(P2010−128287A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−304287(P2008−304287)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】