説明

液体用タンクのフィラーパイプの閉鎖装置及びこの閉鎖装置を備えたタンク

液体用タンクのフィラーパイプの閉鎖装置、かかる装置を備えたタンク。液体を収容するようになったタンクのフィラーパイプ用の閉鎖装置であって、この閉鎖装置は、弁を有し、弁は、前記フィラーパイプと連通状態にある弁ボディ(1,2)と、弁ボディ内において前記弁の閉鎖位置と開放位置との間で移動させることができるプラグ(3)とを有し、前記弁の前記弁ボディは、開放位置と閉鎖位置との間で移動させることができるフラップ(4)によって閉鎖される入口開口部と、出口開口部とを有し、前記フラップ(4)は、液体を前記タンク中に注入するノズルの管状端部によって前記フラップ(4)に及ぼされたスラストにより、前記フラップ(4)が前記弁のケーシング(1)内で傾動すると共に前記プラグが回転し、それにより前記プラグ(3)に設けられた円筒形開口部を前記弁ボディ(1,2)の前記入口開口部及び前記出口開口部に整列させるような仕方で結合手段によって前記プラグ(3)に連結されていることを特徴とする閉鎖装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を収容するタンク、詳細には、このようなタンクのフィラーパイプ用のクロージャすなわち閉鎖装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載される液体燃料タンクは、厳しい公害対策の標準規格の対象となる。国家の法律(特に、合衆国の法律)および欧州の法律の双方が、蒸気の放出に対するタンクの密封に関して厳格な制約を自動車製造業者に課している。用いられる或る特定の燃料の揮発性がかなり高いので、これら制約は、特にタンクのフィラーパイプ用のクロージャのレベル(高さ位置)で観察することは困難である。さらに、タンクに給油する従来方法では、タンクの対応関係にあるパイプ内に少しの間(供給又は給油時間)挿入される管状端部を備えたノズルを利用しているのが一般的である。これら供給法では、蒸気が放出されることが避けられず、かかる蒸気放出物は、ユーザにとって毒性の場合があり、しかも特にかかる蒸気放出物が生じさせる爆発及び火災の恐れに関して周囲にとって危険な場合がある。
【0003】
現在、自動車の液体燃料タンク用のフィラーパイプ(供給管)は、一般に、取り外し可能なキャップを用いて閉鎖される。閉鎖位置では、キャップは、パイプのねじ付きコネクタに螺着されることにより又はバヨネット組立体によってパイプの固定され、密封は、弾性シールの圧縮によって行われる。この閉鎖方法には、キャップをパイプに締結してシールを圧縮するためにユーザの側に相当大きな力が必要であるという欠点がある。その結果、パイプに対するキャップの位置決めが不良になるという恐れがあり、それにより毒性蒸気がタンクから周囲大気中へ逃げることがある。さらに、キャップは、この種のシステムでは紛失し又は忘れられる場合がある。
【0004】
この欠点を解決するため、特許文献である米国特許第5,901,760号明細書は、タンク用のフィラーパイプ内に組み込まれた閉鎖装置を提案している。この閉鎖装置は、パイプの自由端部に固定された弁ボディ及び弁ボディ内部で動くことができる球形又は円筒形プラグを備えたプラグ弁を有している。弁ボディには、タンクを充填するためのノズルの管状端部の挿入を可能にするためのオリフィスが設けられている。手で操作でき又はモータに結合された手段により、プラグを、パイプがプラグに設けられた円筒形開口部を介して弁ボディの上述のオリフィスと連通状態に置かれる開放位置と、プラグが上述のパイプと上述のオリフィスとの間に密封障害物を形成する閉鎖位置との間で弁ボディ内で回動させることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この公知の装置には、弁を開閉するためにユーザがプラグを操作しなければならないという欠点がある。その結果、ユーザが充填後、弁を再び閉め忘れる場合があるということ、及びその結果として蒸気がタンクから放出されることを回避することは不可能である。これは用いられる液体が揮発性である場合に特に大きな欠点であり、これは通常は、自動車用専用道路を走る車両を推進するために用いられる燃料の場合である。
【0006】
本発明は、タンクを効果的に閉鎖又は密閉し、このタンクの充填作業中と充填作業後の両方において揮発物の放出を阻止する閉鎖装置を提供することにより公知の閉鎖装置に悪影響を与えている上述の欠点を解決することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、本発明は、液体を収容するようになったタンクのフィラーパイプ用の閉鎖装置であって、該閉鎖装置は、弁を有し、該弁は、前記フィラーパイプと連通状態にある弁ボディと、該弁ボディ内において前記弁の閉鎖位置と開放位置との間で移動させることができるプラグとを有し、
前記弁の前記弁ボディは、開放位置と閉鎖位置との間で移動させることができるフラップによって閉鎖される入口開口部と、出口開口部とを有し、
前記フラップは、液体を前記タンク中に注入するノズルの管状端部によって前記フラップに及ぼされたスラストにより、前記フラップが前記弁のケーシング内で傾動すると共に前記プラグが回転し、それにより前記プラグに設けられた円筒形開口部を前記弁ボディの前記入口開口部及び前記出口開口部に整列させるような仕方で結合手段によって前記プラグに連結されている閉鎖装置に関する。
【0008】
本発明の閉鎖装置では、タンクは、密閉容器から成り、その形状は、重要ではない。タンクは通常、タンクの意図した液体、例えば自動車の推進に用いられる石油に由来する揮発性液体燃料に対して密封されると共に化学的に不活性である材料で作られなければならない。本発明と関連したタンクに用いることができる液体の例としては、自動車両(又は自動車のヒートエンジン(熱機関))に送られる燃料、特に、ガソリンやディーゼル油、燃料として用いられる有機液体、又は電流を生じさせるようになった燃料電池に送られる酸化剤が挙げられる。タンクを製造するために使用できる材料としては特に、金属(特に鋼)及びプラスチックが挙げられる。有利には、オレフィン、特にエチレンに由来するポリマー及びコポリマーが用いられる。石油に由来する揮発性可燃性液体向きのタンクの場合、ポリエチレン、特に高密度ポリエチレン(HDPE)が特に推奨される。
【0009】
タンクの形状及びその寸法は、重要ではなく、本質的には、その意図した用途で決まる。タンクは、内部又は外部付属品又はその壁を貫通した付属品を備える場合がある。
【0010】
タンクは、上述した形式の液体をタンクに導入するのに役立つパイプと連通状態にある。パイプは通常、タンク向きの液体に対して密封されると共に化学的に不活性の材料で作られなければならない。これは、タンクと同種の材料で作られるのがよい。
【0011】
弁は、タンクを外部から隔離するためにパイプを閉鎖するために用いられる。弁は、弁ボディ(又はケーシング)を有するプラグ弁(栓弁)であり、プラグがこの弁ボディの中を動くことができる。このケーシングは有利には、2つの組立てコンポーネントから成り、かかる組立てコンポーネントにより、プラグ及びケーシング内の弁の考えられる全ての付属品を容易に取り付けることができる。
【0012】
プラグ弁は、周知であって、技術文献に広く記載されている。本発明の閉鎖装置のプラグ弁では、弁の形状は、重要ではない。このプラグは一般に、回転軸線回りの回転によって操作できる回転体である。このプラグは例えば、円筒形、切頭円錐形、円錐形、球形、半球形又は卵形の形をしているのがよい。プラグには、開放位置において、ノズル端部を挿入できる円筒形開口部が設けられ、この挿入は、弁がその閉鎖位置を占めているときは不可能である。
【0013】
プラグ及び弁ボディは好ましくは、タンク内に用いられる液体に対して化学的に不活性の材料で作られている。
【0014】
プラグ弁は、弁が閉鎖位置にあるとき、パイプの密閉クロージャを形成するようタンク内に用いられている液体に応じて設計されなければならない。プラグは好ましくは、上述の液体及びこれら液体がタンク内で生じさせる蒸気に対して密封されるよう設計される。
【0015】
本発明の閉鎖装置では、弁ボディには、弁が開放位置にあるとき、プラグに設けられている円筒形開口部と整列する2つの開口部(入口開口部及び出口開口部)が設けられる。
【0016】
本発明によれば、弁ボディの入口開口部は、開放位置と閉鎖位置との間で動くことができるフラップによって閉鎖され、フラップの作用効果は、それぞれ弁を開閉すると共に更に弁(特に、弁ボディ及びプラグ)を埃、天候及び窃盗の恐れから保護することにある。このフラップは、シールと組み合わされるのが有利である。入口フラップは、結合手段によってプラグに連結され、この結合手段は、フラップとプラグが同時に、一方においてはこれらのそれぞれの閉鎖位置を占めると共に他方において開放位置を占めるように設計される。したがって、本発明によれば、フラップ及びプラグのそれぞれの運動は相互に結合される。フラップの開閉はそれぞれ自動的に、プラグ弁の開閉を生じさせる。
【0017】
この目的のため、特定の実施形態では、結合手段は、2つの互いに噛み合ったピニオンから成り、これらピニオンのうち一方は、プラグに固定され、他方のピニオンは、フラップに固定される。この実施形態では、フラップのそのピボット回りの回転は自動的に、2つのピニオンにより弁ボディ内でのプラグの対応の回転を引き起こす。このように、燃料注入ノズルの管状端部によりフラップに及ぼされるスラストにより、適切には、フラップが弁のケーシング内で傾動すると共にプラグが回転し、それによりプラグに設けられている円筒形開口部を弁のケーシングの入口開口部及び出口開口部に整列させる。
【0018】
本発明の閉鎖装置では、ロック機構体を提供することは有利な場合が多く、このロック機構体は、プラグに固定されていて、直接(このロック機構体の付近で)又は車両の運転室から操作されるレバーであるのがよく、このロック機構体は、例えば入口フラップの運動を阻止することによりタンクへの接近を阻止する。このフラップのロック及びロック解除は、手動で又は電気モータにより、或いは電気的に、電磁的に又は手動で操作されるアクチュエータ(シリンダ型)で達成できる。
【0019】
このロックシステムを例えば車両のドアのロックと組み合わせるのがよい。かかるシステムは、システムの堅固性(impregnability)に効果的に寄与することができる。さらに、単一のコンポーネント中に組み合わされた開放機能、閉鎖機能及びロック機能により、相当大きな経済的節約を行うことができ、しかも車両への組付けが容易になる。
【0020】
車両は大抵の場合、主として審美的理由で蓋を備える場合が多く、この蓋は、燃料回路の入口を覆い隠し、集中管理型ロック手段を有する。上述した有利な変形例としてのロックシステムでは、蓋は、もはやロック機能を備えることはなく、この場合、蓋を手動で開けるのがよく、それにより例えば、高圧クリーナによってボウルをクリーニングすることができる。
【0021】
かくして、上述したように、本発明の閉鎖装置の弁ボディは、出口開口部を更に有する。有利な実施形態よれば、この開口部は、“ULP”(無鉛ガソリン)フラップによって閉鎖され、この場合、この開口部の直径は、ノズルが無鉛ガソリンを小出しする場合にのみ(レギュラーガソリンノズルは、これよりも大きな直径を有し、その結果燃料補給のミスに対する安全性が得られる)このフラップまで挿入することができる(フラップを開放位置に傾動させる)ようなものである。したがって、この変形例によれば、ULPフラップは通常、閉鎖位置にあり、これは、適当な直径のノズル注ぎ口の挿入により開くようになっているに過ぎない。特に有利には、このULPフラップは又、このフラップが閉鎖されている間は組立体の密封に寄与する適当な装置(シール)と協働することになる。
【0022】
本発明の閉鎖装置では、弁ボディ及び1つ又は複数のフラップは、本発明の閉鎖装置が通常受ける化学的、機械的及び熱的応力に耐えることができる材料であればどの材料で作られてもよい。自動車の場合、これらは一般に、金属(一般には鋼)、ポリアセタール又はポリエステル(好ましくは、例えばガラス繊維で補強されたポリエステル)で作られるのがよい。フラップは、弁への接近を可能にするためにその用途と両立した形状であればどのような形状のものであってもよい。例えば、フラップは、正方形、矩形、円形、長円形又は平行四辺形の形をしているのがよく、正方形、矩形及び円形の形が一般に好適である。
【0023】
本発明の別の変形例によれば、適宜上述の変形例と組み合わせて用いられる装置は、プラグ弁に加えて、弁内に設けられると共に、プラグが上述したその開放位置を占めるときにパイプの連続延長部内に位置するシール(主シールと呼ばれる)を有する。
【0024】
この変形例では、シール(主シール)は、タンクのパイプと液体をタンク内に注入するコック又はノズルの管状端部(又は注ぎ口)との間の密封を可能にし、そうする際に、ノズル端部の先端部及びタンクの内部をパイプのヘッドのすぐ上流側の大気から隔離する機能を有する。事実、本発明の装置が上述したULPフラップを有する場合、主シールが充填端部の壁と接触状態にあり、この場合、システムがこの手段によって密封されるのは、このフラップが開いているときである。
【0025】
この目的のため、シールは通常、ノズルの管状端部がタンクのパイプの内部に位置している間、パイプと管状端部との間の密閉された一時的結合を可能にするよう設計されている。加うるに、シールは通常、タンクのパイプ内へのノズル端部の迅速な嵌合並びにこのパイプからのその迅速な離脱を可能にするよう設計されている。この目的のため、本発明の装置の特に好ましい実施形態では、シールは、弾性である。本発明のこの実施形態では、シールは有利には、エラストマー材料又は発泡ポリマーから作られる。
【0026】
本発明のこの変形例としての装置では、システムは、タンク向けの液体に対して化学的に不活性であり、かかる液体に対して不浸透性であり、しかも揮発性液体の場合、これらが発生する蒸気に対して不透過性である材料で作られなければならない。
【0027】
上述の構造的特徴にもかかわらず、シールの形状及び組成は、重要ではない。例えば、シールは有利には、可撓性スリーブ(例えばエラストマーで作られる)を有するのがよい。シールのこの実施形態は、通常自動車用燃料タンクを充填するために用いられるノズルの管状端部の通過にとって好適である。この実施形態では、このスリーブは、その外側部分上に弾性補強材を備え、かかる弾性補強材は、スリーブの直径を減少させると共に、管状ノズル端部をタンク内に挿入するときにスリーブを管状ノズル端部の外面に押圧密着させる傾向がある。
【0028】
良好な結果をもたらすシールの別の特定の実施形態は、このシールが2つの要素を含む可撓性エラストマー材料で作られ、これら2つの要素のうち一方が、上流側の位置していて、フィラーノズル端部の外面上に折り重なる複数個の円形リップから成り、他方が、下流側に位置していて、ノズル端部により及ぼされるスラストの影響下で開くシャッタから成る実施形態である。「上流側」及び「下流側」という用語は、タンクを充填している間のパイプ内の液体流れ方向に一致して定められている。2つの円形リップを備えたシールは、良好な結果をもたらした。
【0029】
シールのこの特定の実施形態では、シャッタは、エラストマー材料で作られた平らにされた円形部品から成るのがよく、この円形部品は、その中心から複数個の円の扇形の状態に分割されて星形を形成し、これら扇形は、休止位置において互いに当接して配置されたとき、ガス密及び液密クロージャを形成する。4つの四分円扇形を備えたシールが、優れた結果をもたらした。
【0030】
国際公開第WO02/072377号パンフレット及びフランス国特許出願第02.11465号明細書(発明の名称:INERGY AUTOMOTIVE SYSTEMS RESERCH(SOCIETE ANONYME))は、本発明のこの変形例としての装置に使用できるシールの例を記載している。
【0031】
さらに、本発明のこの変形例によれば(シール付きの装置)、シールをフィラーパイプと整列して弁の本体内に永続的に位置させてもよい。
【0032】
本発明のこの変形例の特定の実施形態では、プラグが上述したその閉鎖位置を占めているとき、シールがパイプと整列状態にないような方向にシールを引っ込めることができる。本発明のこの実施形態の特に好ましい変形例では、シールは、プラグに固定される。とくに、プラグがその通常の弁開放位置を占めているとき、タンクのパイプの延長部をなすプラグの開口部内にシールを固定するのがよい。本発明のこの実施形態は、プラグが閉鎖位置にあるとき、シールがタンクの液体又は蒸気と接触しないという有利な特徴を有する。それにより、シールに加わる機械的及び化学的応力が減少し、これは、その弾性を高信頼度で維持するという利点となる。
【0033】
或る特定の有利な変形例では、本発明の装置は、上述したシールとは別のシールを有することは注目されるべきである。例えば、この装置は、プラグと弁ボディとの間の密封を行うシール、任意のフラップと協働する補助シール等を有するのがよい。
【0034】
本発明の装置は、液体を収容するようになった任意の形式のタンクに関する。この装置は特に、揮発性液体、特に毒性又は危険な、例えば引火性の蒸気を生じがちな液体を収容するようになったタンクに関する。かくして、本発明の装置は、ユーザに関するだけでなく、環境に対してもかかる燃料の安全且つ効率的取扱い及び貯蔵を保証する。
【0035】
本発明の装置は、まさに、内燃エンジン(内燃機関)を搭載した車両に装備される液体燃料タンク、特にこれら車両に搭載され、ガソリン、灯油、ディーゼル油、アルコール又は液化ガスを収容するようになったタンクに関する。
【0036】
かくして、本発明は又、内燃エンジンを搭載した車両用の液体燃料タンクに関し、このタンクは、本発明の装置を備えている。
【0037】
本発明のタンクは有利には、エンジンの通常の休止期間及び可動機関中、充填及び通気中、タンクのガス抜きと関連した安全システムを備えるのがよい。この種の安全装置は、国際公開第WO02/072377号パンフレット(発明の名称:INERGY AUTOMOTIVE SYSTEMS RESERCH(SOCIETE ANONYME))に記載されている。
【0038】
本発明と関連した車両は、路上走行車両、鉄道線路牽引ユニット、ボート、航空機及び産業用取扱い機器を含む。本発明はまさに、人及び品物の輸送のための道路走行車両、特に自動車、トラック及び人を運搬する公共車両に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
図は、縮尺通りには作成されていない。一般に、同一の参照符号は、同一の要素を示している。
【0040】
図面は、パイプの一端のところに連結された本発明の閉鎖装置を示しており、パイプの他端は、タンク(図示せず)に連結されている。この装置は、自動車に搭載され、この自動車のタンクは通常、揮発性液体燃料、例えばガソリンを収容している。この装置は特に、通常、公共ガソリンスタンドポンプを搭載した形式のフィラーノズルによって給油される自動車用タンクのために設計されている。
【0041】
この装置は、2つの部品、即ち、上側ケーシング1及び下側ケーシング2で構成された本体すなわちケーシングを備える弁を有し、ケーシングは、半球形プラグ3を収容している。この装置は、入口シール5と協働する入口フラップ4を更に有している。プラグ3は、球形シール6と接触した状態で下側ハウジング2内に位置している。注目されるべきこととして、プラグ3と上側ハウジングとの間にほぼ同じシール(図示せず)を設けるのがよく、かかるシステムは、密封を強化する二重球形シールを有する。
【0042】
プラグ3は、シール7を有し、このシールは、充填注ぎ口の先端部に一致するようになっていて、プラグの開口部を構成する入口コーン8に固定され、ノズルは、プラグが開放位置にあるとき、この開口部を通って挿入される。このシールは、休止状態では、シールの通過直径を減少させる傾向のある外側弾性補強材を備えたスリーブによって形成されている。下側ケーシング2の下端部は、シール6を覆い、このシールをそのハウジング内に保持するようになったカバー9を備えている。入口フラップ4は、それぞれフラップ4及びプラグ3に固定された2つの戻しばね11及び2つのピニオン12,13を有する装置によってプラグ3に結合されている。
【0043】
シール6は、可撓性材料を用いるが、例えばテフロン(Teflon:登録商標)のようなより硬質の材料を用いても作れる。これとは対照的に、シール7は、軟質材料を利用したものでなければならない。というのは、このシールは、比較的大きな遊びを吸収しなければならないからである。
【0044】
図2及び図3は、装置をフラップ4及びプラグ3の2つの連続した開き具合が徐々に大きくなる段階で示している。図2では、装置は、閉鎖に近づく段階にある。図3では、装置は、開放に近づく段階にある。
【0045】
フラップ4及びそのピニオン12を矢印Xの方向に傾動させることにより(装置の入口開口部を自由にするため)、プラグ3は、矢印Yの方向にそのピニオン13を介して回転し、それによりプラグは、弁開放位置に配置される。プラグ3がこの開放位置を占めると、入口コーン8は、装置の出口開口部と整列状態にあり(この出口開口部は、タンク(図示せず)と連通したパイプと接触状態にあり、通常は、ULPフラップ10によって閉鎖されている)、この入口コーンは、装置の入口開口部とも整列状態にある(この入口開口部は、通常は入口フラップ4によって閉鎖されている)。
【0046】
装置1が閉鎖位置にあるとき(これは、通常、車両のエンジンが稼働している場合である)、フラップ4及びプラグ3はそれぞれ、これらの休止位置を占める。
【0047】
フィラーノズルを用いてタンクに液体燃料(例えば、ガソリン又はディーゼル油)を供給するため、フラップ4をノズルの管状端部(注ぎ口)によって上側ケーシング1に押し戻す。フラップ4及びそのピニオン12を傾動させることにより、これに対応してプラグ3がそのピニオン13を介して回転し、その結果、入口コーン及び環状シール7が装置の入口開口部及び出口開口部と整列状態になる。ノズルの管状端部が適当な直径(入口コーン8の直径以下)を有していることを条件としてパイプ(図示せず)を導入するために、ノズルの管状端部は、この箇所から前方にプラグの円筒形開口部(入口コーン8によって画定されている)を通って嵌め込まれ、シール7とぴったりと嵌合し、ULPフラップ10を開放させる。
【0048】
ノズル端部を引っ込めると、戻しばね11は、フラップ4を装置の閉鎖位置に戻すと共にプラグ3を弁の閉鎖位置に戻す傾向がある。
【0049】
休止状態では、シール7の通過直径は通常は、フィラーノズルの管状端部の外径よりも小さい。かくして、シール7の弾性補強材は、管状ノズル端部を掴み、この端部とパイプのヘッドのすぐ上流側の大気との間に密封作用をもたらす。シール7はこのように、揮発性放出物が車両タンクから外部に逃げ出るのを阻止する。
【0050】
シール6は又密封措置に寄与することは注目されるべきである。かくして、これらの図に記載された装置は、次の5つの密封箇所を有する。
【0051】
システムを埃から密封するようシール5と入口フラップ4との間の第1の箇所。このシールは、その機能のために炭化水素に対して不透過性であってはならない。
充填中、シール7とノズル端部との間の第2の箇所。このシールは、その一時的な機能のために炭化水素に対して不透過性であってはならない。
シール6を介するプラグ3と下側ハウジング2との間の第3の箇所。シールは、キャップを有するシステムの場合、キャップのシールと同一の機能を実行する。このシールは、その永続的な機能のために炭化水素に対して不透過性でなければならない。
プラグが開放している時間の間、システム全体に密封作用をもたらすようシール6とULPフラップ10との間の第4の箇所。このシールは、その一時的な機能のために炭化水素に対して不透過性であってはならない。
ノズル端部のリップと同一順序の充填の際に、密封作用をもたらすようシール7とプラグ3との間の第5の箇所。このシールは、その一時的な機能のために炭化水素に対して不透過性であってはならない。
【0052】
これら5つの密封箇所が存在していることにより、通常の作動(車両の移動及び停止)の際と燃料補給作業中の両方において、蒸気がシステムから出ることはない。事実、ULPフラップ10のところの密封は、ノズル端部がフラップを傾動させた場合にのみ中断される。しかしながら、その時点では、シール7が働いている。
【0053】
図4に示す変形例では、入口フラップ4は、ロッド14及び本体15を有するシリンダアクチュエータによってロックされる。ロッド14を、機械的運動による手動で又は電気機械的源によって作動させるのがよい。ロッド14は、車両のドアの開放時に又は車両内に位置し又は充填システムの近くに位置するハンドレバーの作用により引っ込められ(本体15内へ下げられ)フラップ4が自由に開くことができると共に燃料補給作業が行われるようにすることができる。フィラーノズルの作動の終了時及びそれに続く引っ込め時、フラップ4は、ばね(図示せず)の作用により再び閉じる。シリンダアクチュエータのロッド14は、フラップ4の後ろのそのロック位置に(自動的に又は機械的若しくは電磁制御装置の作用により)戻り、それによりもう1度システムへの導入を妨害する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の特定の実施形態の装置の構成部品の全てをこれらの組立て前の状態で示す分解組立て図である。
【図2】上記装置を組立て状態で示す縦断面図であり、プラグがその閉鎖位置とその開放位置との間で1つの中間位置を占めている状態を示す図である。
【図3】上記装置を組立て状態で示す縦断面図であり、プラグがそれぞれ、その閉鎖位置とその開放位置との間で別の中間位置を占めている状態を示す図である。
【図4】ロック装置を有する上述のシステムの変形例を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容するタンクのフィラーパイプ用の閉鎖装置であって、弁を有し、該弁が、前記フィラーパイプと連通状態する弁ボディ(1,2)と該弁ボディ内において前記弁の閉鎖位置と開放位置との間で移動することができるプラグ(3)とを有する閉鎖装置において、
前記弁の弁ボディ(1,2)は、開放位置と閉鎖位置との間で移動できるフラップ(4)によって閉鎖される入口開口部と、出口開口部とを有し、
前記フラップ(4)は、液体を前記タンク中に注入するノズルの管状端部によって前記フラップ(4)に加えられたスラストにより、前記フラップ(4)が前記弁のケーシング(1)内で傾動し且つ前記プラグが回転し、それにより前記プラグ(3)に設けられた円筒形開口部を前記弁ボディ(1,2)の前記入口開口部及び前記出口開口部に整列させるような仕方で結合手段によって前記プラグ(3)に連結されている、
ことを特徴とする閉鎖装置。
【請求項2】
前記結合手段は、2つの互いに噛み合うピニオン(12,13)から成り、前記ピニオン(12)は前記フラップ(4)に固定され、前記ピニオン(13)は前記プラグ(3)に固定されている、
請求項1に記載の閉鎖装置。
【請求項3】
前記閉鎖装置は、前記フラップ(4)のロック/ロック解除を可能にするロック装置(14,15)を有する、
請求項1又は2に記載の閉鎖装置。
【請求項4】
前記弁ボディ(1,2)の前記出口開口部は、開放位置と閉鎖位置との間で移動させることができるULPフラップ(10)により閉鎖される、
請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載の閉鎖装置。
【請求項5】
前記ULPフラップ(10)は、前記フラップ(10)がその閉鎖位置にある間は前記閉鎖装置の密封に寄与するシール(6)と協働する、
請求項4に記載の閉鎖装置。
【請求項6】
シール(7)が、前記弁内に設けられ、該シールは、前記プラグ(3)がその開放位置に無ければユーザには見えない、
請求項1ないし5のうちいずれか1項に記載の閉鎖装置。
【請求項7】
前記シール(7)は、前記フィラーパイプと前記タンクの充填中、液体を前記タンク内に注入するノズルの管状端部との間の密封を可能にする、
請求項6に記載の閉鎖装置。
【請求項8】
前記シール(7)は、前記プラグ(3)に設けられた円筒形開口部内に固定されている、
請求項7に記載の閉鎖装置。
【請求項9】
前記シール(7)は、可撓性スリーブを有する、
請求項6ないし8のうちいずれか1項に記載の閉鎖装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のうちいずれか1項に記載の装置を備えた内燃エンジン搭載車両の液体燃料タンク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−509807(P2007−509807A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−537282(P2006−537282)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【国際出願番号】PCT/EP2004/052617
【国際公開番号】WO2005/049360
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(502294138)イネルジー オートモーティヴ システムズ リサーチ (41)
【Fターム(参考)】