説明

液体用紙容器

【課題】上面に合掌シール部を有し、左右の側壁部面に三角耳状部が接着されてなる平らな頂部を有する液体用紙容器で、頂部の両端の三角耳状部の合掌シール部との間の罫線上にピンホールや割れが発生していない液体用紙容器を提供することにある。
【解決手段】紙からなる基材層の両面に少なくとも熱可塑性樹脂層を有する積層材料に所定の罫線を設けてなる一枚のブランクスからなり、上端に設けた合掌シール部を頂部の片側に折り曲げ、頂部の両端に突出する三角耳状部を下方に折り曲げて側壁部に接着し、平らな頂部を有する角形の液体用紙容器において、該三角耳状部の合掌シール部との間の四本の罫線が他の部分の罫線より罫線高さが低いものからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の液体食品を包装する為の紙容器に関し、さらに詳しくは平らな頂部を有する液体用紙容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、牛乳、乳酸菌飲料、果汁飲料他の液体食品などの包装容器として、平らな頂部を有する液体用紙容器(一般的に、フラットトップタイプの液体用紙容器と言われている)が大量に用いられており、これらの液体用紙容器は、(外側)熱可塑性樹脂層/紙層(坪量350〜400g/m2 )/接着樹脂層/ガスバリア層/接着剤層/熱可塑性樹脂層(接液側)構成の積層材料、あるいは、(外側)熱可塑性樹脂層/紙層(坪量350〜400g/m2 )/熱可塑性樹脂層(接液側)構成の積層材料を所定形状に打ち抜いたブランクスを用いて製函されており、図4に示すように、通常使用されるブランクス(200)は、左側から順に、長方形のシール板(201)、左側面板(202)、正面板(203)、右側面板(204)、背面板(205)が4本の垂直な罫線(221、222、223、224)を介して水平方向に並列に連設されており、さらに前記5枚の各板には、それぞれ3本の水平な罫線(231、232、233)を介して合掌シール部(211)、頂部(212)、側壁部(213)、底部(214)を上から順に並列に連設し、左側面板(202)と右側面板(204)と正面板(203)の底部(214)には水平な罫線(234)と二本の垂直な罫線(253、254)を介して下端シール部(215)を設け、左側面板(202)と右側面板(204)の頂部(212)には、折り込みのためにそれぞれ頂部(212)下端にある左右の角を結ぶ稜線を底辺とする二等辺三角形状に合掌シール部(211)の垂直な罫線(251、252)の下端と交わる斜めの罫線(241と242、243と244)を設け、さらに左側面板(202)と右側面板(204)の底部(214)には、それぞれ底部(214)上端にある左右の角を結ぶ稜線を底辺とする二等辺三角形状に下端シール部(215)の垂直な罫線(253、254)の上端と交わる斜めの罫線(245と246、247と248)を設けたもので、前記のそれぞれの罫線はすべて罫線高さがh1のものからなっている。前記のブランクス(200)を用いて製函する場合、頂部の左右の三角耳状部を下方に折り曲げて側壁部に接着させる時に、頂部(212)の縦の罫線上にピンホールや割れが生じる問題があった。前記問題を改善した液体用紙容器が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】実用新案登録第2598093号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記提案されている液体用紙容器も、製函時に頂部の両端の三角耳状部の合掌シール部との間の罫線上にピンホールや割れが発生する問題を抱えていた。
【0004】
本発明の課題は、上面に合掌シール部を有し、左右の側壁部面に三角耳状部が接着されてなる平らな頂部を有する液体用紙容器で、前記三角耳状部の合掌シール部との間の罫線上にピンホールや割れが発生していない液体用紙容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る発明は、紙からなる基材層の両面に少なくとも熱可塑性樹脂層を有する積層材料に所定の罫線を設けてなる一枚のブランクスからなり、上端に設けた合掌シール部を頂部の片側に折り曲げ、頂部の両端に突出する三角耳状部を下方に折り曲げて側壁部に接着し、平らな頂部を有する角形の液体用紙容器において、該三角耳状部の合
掌シール部との間の四本の罫線が他の部分の罫線より罫線高さが低いものからなることを特徴とする液体用紙容器である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の液体用紙容器は、紙からなる基材層の両面に少なくとも熱可塑性樹脂層を有する積層材料に所定の罫線を設けてなる一枚のブランクスからなり、上端に設けた合掌シール部を頂部の片側に折り曲げ、頂部の両端に突出する三角耳状部を下方に折り曲げて側壁部に接着し、平らな頂部を有する角形の液体用紙容器において、該三角耳状部の合掌シール部との間の四本の罫線が他の部分の罫線より罫線高さが低いものからなっているので、頂部の両端の三角耳状部の合掌シール部との間の四本の罫線上にピンホールや割れがなく、内容物が外に漏れることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の液体用紙容器を実施の形態に沿って、以下に説明する。図2(a)は本発明の液体用紙容器に使用するブランクスの一実施形態を示す平面図であり、ブランクス(100)は、左側から順に、長方形のシール板(101)、左側面板(102)、正面板(103)、右側面板(104)、背面板(105)が4本の垂直な罫線(121、122、123、124)を介して水平方向に並列に連設されており、さらに前記5枚の各板には、上側から順に、シール板(101)と正面板(103)と背面板(105)の各部分は罫線高さがh1で、左側面板(102)と右側面板(104)の各部分は罫線高さがh2の連続した水平な罫線(131a、131b、131c、131d、131e、131f、131g)と、罫線高さがh1の水平な罫線(132、133)とを介して合掌シール部(111)、頂部(112)、側壁部(113)、底部(114)を並列に連設し、左側面板(102)と右側面板(104)と正面板(103)の底部(114)には罫線高さがh1の水平な罫線(134)と罫線高さがh1の二本の垂直な罫線(153、154)を介して下端シール部(115)を設け、左側面板(102)と右側面板(104)の頂部(112)には、折り込みのためにそれぞれ頂部(112)下端にある左右の角を結ぶ稜線を底辺とする二等辺三角形状に合掌シール部(111)の罫線高さがh1の垂直な罫線(151、152)の下端と交わる罫線高さがh1の斜めの罫線(141と142、143と144)を設け、さらに左側面板(102)と右側面板(104)の底部(114)には、それぞれ底部(114)上端にある左右の角を結ぶ稜線を底辺とする二等辺三角形状に下端シール部(115)の罫線高さがh1の垂直な罫線(153、154)の上端と交わる罫線高さがh1の斜めの罫線(145と146、147と148)を設けたものからなっている。
【0008】
図2(b)は(a)のA−A′線断面図であり、積層材料(100)を使用した場合の断面図を示しており、熱可塑性樹脂層(13)面が接液側になっており、図に示す罫線(131c)の罫線高さはh2であり、罫線(142、132、121)の罫線高さはh1である。h2はh1より0.2mm以上低くなっているのが好ましい。
【0009】
図1(a)〜(b)は本発明の液体用紙容器の一実施形態を示す斜視図であり、液体用紙容器は、(a)に示す如く、合掌シール部(111)、頂部(112)、頂部(112)の両端に突出する三角耳状部(116、117)、側壁部(113)、底部(114)を有しており、三角耳状部(116)の合掌シール部(111)との間の罫線(131c)及び三角耳状部(117)の合掌シール部(111)との間の罫線(131e)は罫線高さがh2のものからなっており、頂部(112)の罫線(131d)は罫線高さがh1のものからなっており、(b)に示す如く、(a)の合掌シール部(111)を頂部(112)の片側に折り曲げ、さらに三角耳状部(116、117)を下方に折り曲げて左右の側壁部に接着させており、三角耳状部(116)の合掌シール部(111)との間の罫線(131b)及び三角耳状部(117)の合掌シール部(111)との間の罫線(131
f)は罫線高さがh2のものからなっており、頂部(112)の罫線(131g)は罫線高さがh1のものからなっている。
【0010】
上記のように、頂部の両端の三角耳状部の合掌シール部との間の四本の罫線(131b、131c、131e、131f)が他の部所の罫線より罫線高さが0.2mm以上低いものからなっているので、製函時に罫線(131b、131c、131e、131f)上にピンホールや割れが発生しない。
【0011】
図3(a)は本発明の液体用紙容器のブランクスに使用される積層材料の一実施形態を示す側断面図であり、積層材料(10)は、厚み方向に順に、可塑性樹脂層(12)、基材層(11)、接着樹脂層(15)、ガスバリア層(14)、接着剤層(16)、熱可塑性樹脂層(13)を積層した構成になっており、(b)は積層材料の他の実施形態を示す側断面図であり、積層材料(10′)は、厚み方向に順に、可塑性樹脂層(12)、基材層(11)、熱可塑性樹脂層(13)を積層した構成になっている。
【0012】
前記基材層(11)は、一般的に坪量350〜450g/m2 の板紙が使用される。
【0013】
前記熱可塑性樹脂層(12、13)は、ポリオレフィン系樹脂からなっており、一般的には、低密度ポリエチレン樹脂あるいは直鎖状低密度ポリエチレン樹脂が使用される。厚みは10〜20μmのものが良く使用され、積層方法は公知の溶融押出ラミネーション法で積層する。
【0014】
前記ガスバリア層(14)は、二軸延伸ポリエステルフィルム、アルミニウム蒸着ポリエステルフィルム、酸化アルミニウムや酸化珪素などの無機酸化物蒸着ポリエステルフィルム又はアルミニウム箔からなっており、優れたガスバリア性を付与できる。
【0015】
前記接着樹脂層(15)には、ポリエチレン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン・エチルアクリレート共重合体樹脂、エチレン・アクリル酸共重合体樹脂、エチレン・メタクリル酸共重合体樹脂、アイオノマー樹脂などのいずれかの樹脂が用いられる。
【0016】
前記接着剤層(16)は、ポリウレタン系接着剤からなり、通常、水酸基を持った主剤とイソシアネート基を持った硬化剤を混合して使用する2液混合型の接着剤が使用される。積層方法はドライラミネート法が使用され、塗布量は1〜5g/m2(乾燥状態)が好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】(a)〜(b)は本発明の液体用紙容器の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】(a)は本発明の液体用紙容器に使用するブランクスの一実施形態を示す平面図であり、(b)は(a)のA−A′線断面図である。
【図3】(a)は本発明の液体用紙容器のブランクスに使用する積層材料の一実施形態を示す側断面図であり、(b)は積層材料の他の実施形態を示す側断面図である。
【図4】従来の液体用紙容器に使用するブランクスの一実施形態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0018】
10、10′…積層材料
11…基材層
12,13…熱可塑性樹脂層
14…ガスバリア層
15…接着樹脂層
16…接着剤層
100,200…ブランクス
101,202…シール板
102,202…左側面板
103,203…正面板
104,204…右側面板
105,205…背面板
111,211…合掌シール部
112,212…頂部
113,213…側壁部
114,214…底部
115,215…下端シール部
116,117…三角耳状部
121,122,123,124,131a、131d、131g,132,133,134,141,142,143,144,145,146,147,148,151,152,153,154,231,232,233,234,241,242,243,244,245,246,247,248,251,252,253,254…罫線高さがh1 の罫線
131b,131c,131e,131f…罫線高さがh2の罫線
1 ,h2…罫線高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙からなる基材層の両面に少なくとも熱可塑性樹脂層を有する積層材料に所定の罫線を設けてなる一枚のブランクスからなり、上端に設けた合掌シール部を頂部の片側に折り曲げ、頂部の両端に突出する三角耳状部を下方に折り曲げて側壁部に接着し、平らな頂部を有する角形の液体用紙容器において、該三角耳状部の合掌シール部との間の四本の罫線が他の部分の罫線より罫線高さが低いものからなることを特徴とする液体用紙容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−197024(P2007−197024A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−14823(P2006−14823)
【出願日】平成18年1月24日(2006.1.24)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】