説明

液体用紙容器

【課題】紙容器の保形性、美粧性を維持し、内容物の残量を問わず視認できる窓部を有する液体用紙容器を提供することにある。
【解決手段】紙を基材層とし、熱融着性を有する外面層/基材層/ガスバリア性を有する中間層/シーラント層(内面層)からなる積層体で、頂部、胴部、底部を備え、該胴部が、四枚の側面板がそれぞれ四本の側面稜罫線28を介して形成される四角筒状の液体用紙容器50であって、前記側面稜罫線の少なくとも一本の側面稜罫線が形成される部位に長方形の窓部30が形成され、該窓部が、前記シーラント層側から全面を覆う窓貼りフィルム10が貼着され、該窓貼りフィルムが、二本の稜罫線で相対向して連結された楕円形状の区画内に設けられていることを特徴とする液体用紙容器である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清酒、焼酎などを収容する液体紙容器に関するものであり、特に、収容されている内容物の残量が的確に視認できる残量確認用の窓部を有するガスバリアタイプの液体用紙容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、清酒、焼酎、ワインなどを収容するガスバリアタイプの液体用紙容器としては、胴部が四角筒状で頂部が屋根型のゲーブルトップ型の紙容器、または頂部が平面状のフラットトップ型の紙容器が使用されている。
【0003】
これらの紙容器の材質構成は、成形のし易さ、保形性、光遮断性などの点から紙を使用し、また、ガスバリア性を考慮してアルミニウム箔を使用した、例えば紙容器の外側からポリエチレン/紙/ポリエチレン/アルミニウム箔/ポリエチレンテレフタレートフィルム/ポリエチレンのような多層構成の積層体からなるものであった。
【0004】
このため、前記構成の紙容器においては、収容されている内容物を紙容器の外側から視認することは不可能で、特に残量が判らない問題があった。
【0005】
これらの問題を解決するために、以下のような提案がある。図9に示すブランク70には、胴部22を形成する側面板24を有し、該側面板の下部に窓部30が形成されている。また窓部には、接液側から窓貼りフィルム10が窓部30を全面覆うように貼着されている。該ブランク70を組み立て、収容されている内容物を外から視認できるようにした図10に示す紙容器80が提案されている(特許文献1)。
【0006】
また特許文献1と同じように紙容器の側面板24の下部に窓部30を設け、かつ内容物の残量を見易くした提案がある(特許文献2)。
【0007】
しかし特許文献1、2ともに紙容器の側面板の下部に窓部を形成しているために、残量が少なくなったときの視認はできるが、残量を問わず視認できない問題がある。また側面板の下部に設けているために、紙容器の美粧性を損なうなど問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−227752号公報
【特許文献2】特開2005−96777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような背景技術を鑑みて、紙容器の保形性、美粧性を維持し、内容物の残量を問わず視認できる窓部を有する液体用紙容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、発明者らは鋭意検討を行い、本発明を完成した。
【0011】
本発明の請求項1に係る発明は、紙を基材層とし、熱融着性を有する外面層/基材層/ガスバリア性を有する中間層/シーラント層(内面層)からなる積層体で、
頂部、胴部、底部を備え、該胴部が、四枚の側面板がそれぞれ四本の側面稜罫線を介して
形成される四角筒状の液体用紙容器であって、
前記側面稜罫線の少なくとも一本の側面稜罫線が形成される部位に長方形の窓部が形成され、
該窓部が、前記シーラント層側から全面を覆う窓貼りフィルムが貼着され、
該窓貼りフィルムが、二本の稜罫線で相対向して連結された楕円形状の区画内に設けられていることを特徴とする液体用紙容器である。
【0012】
本発明の請求項2に係る発明は、前記窓部の形状が、横幅が前記紙容器の角寸の10%、高さが前記側面稜罫線の90%であることを特徴とする請求項1記載の液体用紙容器である。
【0013】
本発明の請求項3に係る発明は、前記窓貼りフィルムの形状が、横幅が前記紙容器の角寸の15%、高さが前記側面稜罫線の95%であることを特徴とする請求項1または2記載の液体用紙容器である。
【0014】
本発明の請求項4に係る発明は、前記稜罫線のそれぞれの形状が、高さが側面稜罫線と同等で、両端が曲率半径R=30mmからなり、相対向して連結された楕円形状の横幅が、前記紙容器の角寸の20%であることを特徴とする請求項1〜3記載のいずれか1項に記載の液体用紙容器である。
【0015】
本発明の請求項5に係る発明は、前記窓貼りフィルムが、少なくともポリエチレンフィルムと、酸化アルミニウムまたは酸化珪素を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムとからなる複合フィルムであることを特徴とする請求項1〜4記載のいずれか1項に記載の液体用紙容器である。
【0016】
本発明の請求項6に係る発明は、前記中間層が、酸化アルミニウムまたは酸化珪素を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする請求項1〜5記載のいずれか1項に記載の液体用紙容器である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の液体用紙容器は、一本の側面稜罫線を形成する部位に、長方形の窓部を形成し、シーラント層側から窓貼りフィルムを窓部を覆うように貼着する。該窓貼りフィルムは、二本の稜罫線で連結された楕円形状の区画内に設けられる。内容物が収容された紙容器の保形性、取り扱い性が維持され、内容物の残量を問わず視認できる液体用紙容器である。また稜罫線部位に窓部が形成されているために、紙容器の美粧性も損なうことなく販売効果が維持できる。
【0018】
本発明の請求項1によれば、紙を基材層とし、熱融着性を有する外面層/基材層/ガスバリア性を有する中間層/シーラント層(内面層)からなる積層体で、
頂部、胴部、底部を備え、該胴部が、四枚の側面板がそれぞれ四本の側面稜罫線を介して形成される四角筒状の液体用紙容器であって、
前記側面稜罫線の少なくとも一本の側面稜罫線が形成される部位に長方形の窓部が形成され、
該窓部が、前記シーラント層側から全面を覆う窓貼りフィルムが貼着され、
該窓貼りフィルムが、二本の稜罫線で相対向して連結された楕円形状の区画内に設けられていることを特徴とする。四角筒状の液体用紙容器であって、その胴部を形成する四本の側面稜罫線の中の一本の側面稜罫線が形成される部位に窓部を形成するのである。側面稜罫線の部位に形成するために、内容物の残量を問わず視認できる。窓部は、シーラント層側から全面を覆うように窓貼りフィルムが貼着されるために、内容物の漏れがない。また二本の稜罫線が窓貼りフィルムを囲うように設けられるために、紙容器の保形性、取り扱
い性も維持できる。また窓部を側面稜罫線の部位に設けているために、紙容器の美粧性、店頭での販売効果も有する。
【0019】
本発明の請求項2によれば、前記窓部の形状が、横幅が前記紙容器の角寸の10%、高さが前記側面稜罫線の90%であることを特徴とする。紙容器の角寸とは、四角筒状の胴部の一辺の長さをいう。即ち側面板の横幅である。また稜罫線の高さとは、側面板の高さ、側面稜罫線の高さと同等である。窓部は、紙容器の角寸の10%、高さが側面稜罫線の90%の長方形であり、内容物の残量を問わず、多い残量から少ない残量まで視認できる。角寸の10%以上、稜罫線の90%以上になると、窓貼りフィルムが稜罫線に重なり易くなり、稜罫線入れが不十分になる。紙容器の保形性、取り扱い性を損なうことになる。
【0020】
本発明の請求項3によれば、前記窓貼りフィルムの形状が、横幅が前記紙容器の角寸の15%、高さが前記側面稜罫線の95%であることを特徴とする。窓部を封しするために窓貼りフィルムを窓部のサイズより大きめにする。窓貼りフィルムを窓部に貼着するためのシール部が必要になる。しかし角寸の15%以上、高さが側面稜罫線の95%以上になると、窓貼りフィルムが稜罫線に重なり易くなり、稜罫線入れが不十分になる。窓貼りフィルムは窓部のサイズより大きく、かつ二本の稜罫線に重ならないサイズが好ましい。
【0021】
本発明の請求項4によれば、前記稜罫線のそれぞれの形状が、高さが側面稜罫線と同等で、両端が曲率半径R=30mmからなり、相対向して連結された楕円形状の横幅が、前記紙容器の角寸の20%であることを特徴とする。窓部は、二本の稜罫線で連結された楕円形状の区画内に設けられる。横幅が角寸の20%以上では、紙容器の保形性の低下に繋がる。また20%以内では、窓貼りフィルムとの重なり易くなる。またそれぞれの稜罫線の両端が曲率半径R=30mmであるため、稜罫線を設ける加工がし易い。
【0022】
本発明の請求項5に係る発明は、前記窓貼りフィルムが、少なくともポリエチレンフィルムと、酸化アルミニウムまたは酸化珪素を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムとからなる複合フィルムであることを特徴とする。清酒、焼酎、ワインなどガスバリア性が要求される内容物には、窓貼りフィルムにもガスバリア性が必要になる。また内容物の残量を視認するために透明性が必要になる。よって無機化合物蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルムを用いる。無機化合物としては、酸化アルミニウムまたは酸化珪素が透明性、ガスバリア性に優れ使用できる。一方のポリエチレンフィルムは、紙容器のシーラント層と熱融着させるために用いる。
【0023】
本発明の請求項6に係る発明は、前記中間層が、酸化アルミニウムまたは酸化珪素を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする。紙容器としてガスバリア性を保持させるためにガスバリア性の優れる酸化アルミニウムまたは酸化珪素を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムを中間層として使用する。使用後に廃棄する際、清酒、焼酎、ワインなどの液体用紙容器であれば再生資源廃棄物として廃棄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の紙容器のブランク(内面を示す)の一例を示す説明図である。
【図2】図1のブランク(窓部を窓貼りフィルムで貼着した)の一例を示す説明図である。
【図3】図2のブランクを組み立て、ゲーブルトップ型紙容器の一例を示す説明図である。
【図4】楕円形状の区画内の窓部の一例を示す説明図である。
【図5】本発明の積層体の構成の一例を示す断面説明図である。
【図6】本発明の窓貼りフィルムの構成の一例を示す断面説明図である。
【図7】本発明の窓部の構成の一例を示す断面説明図である。
【図8】本発明のフラットトップ型紙容器の一例を示す説明図である。
【図9】従来の紙容器のブランク(窓部を窓貼りフィルムで貼着した)の一例を示す説明図である。
【図10】図9のブランクを組み立て、ゲーブルトップ型紙容器の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下本発明を実施するための形態につき説明する。ゲーブルトップ型紙容器を作成するためのブランクを一例として説明する。
【0026】
図1は、本発明の紙容器のブランク(内面を示す)の一例を示す説明図である。ブランク20は、四枚の側面板24と、この側面板の一枚に連接する糊代片25とを有する胴部22と、この胴部の一方の開口端部に折り込み片26が形成された頂部21と、胴部22の他方の開口端部に底片27が形成された底部23と、から成る。特に胴部22は、四枚の側面板24がそれぞれ側面稜罫線28を介して連接されている。側面稜罫線28の中、一本の側面稜罫線が形成される部位に、窓部30が形成されている。この窓部は、糊代片25と接する側面稜罫線の部位を避けて設ける方が好ましい。他の三本の側面稜罫線のいずれの側面稜罫線の部位に設けてもよい。
【0027】
この窓部30は、組み立てられた液体用紙容器での内容物の残量を視認するためのものである。窓部30は、内容物の残量を問わず視認できるように縦長の長方形に形成される。また窓部30を囲むように二本の稜罫線29が楕円形状33に区画形成している。この二本の稜罫線29と他の側面稜罫線28により紙容器の保形性、取り扱い性を維持することができる。
【0028】
図2は、図1のブランク(窓部を窓貼りフィルムで貼着した)の一例を示す説明図である。窓部30には、シーラント層側から全面を覆うように窓貼りフィルム10を貼着されている。窓貼りフィルム10は、二本の稜罫線29に重ならないように配置される必要がある。重なると稜罫線を折り曲げて組み立てる時に反発が生じ、紙容器の保形性を損なうことになる。
【0029】
図3は、図2のブランクを組み立て、ゲーブルトップ型液体用紙容器の一例を示す説明図である。図2のブランクの糊代片25と連接する側面板24とを熱融着しスリーブ(図には示していない)を形成し、その後、底部23を折り畳んで熱融着し、その後口栓取り付け孔39に口栓40を熱融着して、内容物を充填後、頂部21を折り畳んでゲーブルトップ型液体用紙容器50に形成したものである。窓部30は、側面稜罫線の部位にあり、内容物の残量を問わず視認できる。また紙容器の保形性も維持され、印刷による美粧性を損なうこともない。
【0030】
図4は、二本の稜罫線29により形成された楕円形状33の区画内の窓部30の一例を示す説明図である。窓部30は、横幅31、高さ35を示している。また窓貼りフィルム10は、横幅13、高さ14を示している。また二本の稜罫線29で形成される楕円形状33は、横幅34、高さ35を示している。なお楕円形状の高さ35は、稜罫線の高さ38および側面稜罫線28とも同等である。また紙容器の角寸37は、側面板24の横幅と同等である。窓部30は、横幅31が紙容器の角寸37の10%、高さ32が側面稜罫線の高さの90%にする。窓部30は、楕円形状33の区画内の中央位置に設けられている。
【0031】
また窓貼りフィルム10は、横幅13が紙容器の角寸37の15%、高さ14が側面稜
罫線の95%にて形成する。また二本の稜罫線29で窓部30、窓貼りフィルム10を囲うように区画形成する。二本の稜罫線29で形成される楕円形状33は、横幅34が紙容器の角寸37の20%である。それぞれの稜罫線29は、両端の曲線36が曲率半径R=30mm、高さ35が側面稜罫線28と同等に形成する。図に示す形状である。
【0032】
図5は、本発明の積層体1の構成の一例を示す断面説明図である。積層体1の外面から順にポリエチレン層2/基材層3/ポリエチレン層4/ガスバリア性を有する中間層5/ポリエチレン層7/シーラント層8から構成される。
【0033】
図6は、本発明の窓貼りフィルム10の一例を示す断面説明図である。紙容器の内容物保護機能とほぼ同程度の保護機能を有する必要がある。特に光遮断性の面では、窓部を所定の形状にすることで保証されるが、ガスバリア性の面では窓部からのガス、特に酸素ガスや水蒸気などの透過を抑える必要がある。そのために、窓貼りフィルムには、ガスバリア性に優れるフィルム基材、例えばポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物などのフィルム、あるいはポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物などにポリ塩化ビニリデンを塗工したフィルムないしは酸化珪素、酸化アルミニウムなどの無機化合物を蒸着したフィルム、またこれらの基材の一種ないしそれ以上を組み合わせたものが使用できる。またフィルム基材の片面にシーラント層と熱接着するために、熱融着性樹脂のポリエチレンフィルムを形成し、熱融着して内容物が漏れない窓部を形成する。特にフィルム基材の中で、加工性などから、無機化合物として酸化アルミニウムまたは酸化珪素を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。窓貼りフィルム10は、シーラント層と熱融着するポリエチレンフィルム11と無機化合物を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルム12とを接着層4を介して複合した複合フィルムである。また更に複合フィルムの強度を向上させる必要があれば、ポリアミドフィルムを更に複合してもよい。
【0034】
図7は、本発明の窓部の構成の一例を示す断面説明図である。紙容器の窓部30には、シーラント層8側から窓貼りフィルム10が貼着される。シーラント層8とポリエチレンフィルム11が貼着される。窓貼りフィルム10は、窓部のサイズに比べて、横幅が角寸の5%、高さが稜罫線の高さの5%、大きなサイズで貼着される。内容物は、外へ漏れることはない。
【0035】
図8は、本発明のフラットトップ型紙容器の一例を示す説明図である。本発明の側面稜罫線の部位に窓部30を有するフラットトップ型紙容器60である。ブランク20の頂部21をフラットトップ型に折り畳んで成型すれば可能である。窓部30は、楕円形状33の区画内に形成されている。
【0036】
以下、本発明を実施するための形態を更に詳細に説明する。
【0037】
ブランク20を構成する積層体1は、基材層3として紙の坪量が200〜500g/m、密度0.6〜1.1g/cmとし、該基材層に熱融着性を有する外面層として15〜30μmのポリエチレン層2を貼り合わせる、ポリエチレン層2であるポリエチレンフィルムの貼り合わせは、ポリエチレン樹脂を押出し機にて押出しラミネートすることで可能である。
【0038】
基材層3の裏面に、接着層としてポリエチレン層4を介してガスバリア性を有する中間層5である無機化合物蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルムの蒸着面を貼り合わせる。次に該ポリエチレンテレフタレートフィルム面に接着層としてポリエチレン層7を介してシーラント層8を積層する。シーラント層8のポリエチレンフィルムは、30〜100μmの厚さのフィルムを使用することができる。
【0039】
積層体1は、外面から順にポリエチレン層2/基材層3/ポリエチレン層4/無機化合物蒸着層ポリエチレンテレフタレートフィルム5/ポリエチレン層7/シーラント層8である。この積層体1を、ロール状またはシート状にする。
【0040】
この積層体1を、一例としてゲーブルトップ型紙容器の形状に合わせ、ブランク20を作成する。折り曲げ線、外形抜きなどを一般的な公知の方法で加工することができる。この時に窓部も同時に形成する。
【0041】
窓貼りフィルム10は、無機化合物蒸着層ポリエチレンテレフタレートフィルム12の無機化合物蒸着層の面に接着層4を介してポリエチレンフィルム11を貼り合わせる。ポリエチレンフィルム11は押出し機にて押出しラミネートすることができる。または予め作成されたポリエチレンフィルム11を二液反応型接着剤を用いドライラミネートで貼り合わせても可能である。
【0042】
このロール状の窓貼りフィルムを所定に寸法に裁断する。裁断された窓貼りフィルム10のシートを、前記ブランクのシーラント層側から窓部30を覆うように貼着(熱融着)させる。
【0043】
このブランクを、側面稜罫線28、稜罫線29を折り曲げ、糊代片25と連接する側面板24を熱融着し、四角筒状のスリーブを作成する。
【0044】
作成された四角筒状のスリーブを、充填機において、底部23を成形し閉塞して、次に口栓40を口栓取り付け孔39に熱融着し、内容物充填、頂部21を成形し閉塞して紙容器を形成する。例えば頂部21を俗に言う切り妻屋根形に成形すれば、ゲーベルトップ型紙容器50ができる。
【0045】
積層体1のポリエチレン層2の表面には、絵柄や文字が印刷表現される。印刷方式としては、グラビア印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷など通常の方式を用いることができる。表面にはコロナ処理などして印刷インキとの密着性を向上させることができる。
【0046】
更に本発明を詳しく説明する。
【0047】
基材層3と無機化合物蒸着層ポリエチレンテレフタレートフィルムとの貼り合せに使用するポリエチレン層4は、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EAA)、アイオノマー、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂層が使用できる。厚みは10〜30μmの範囲であればよい。
【0048】
中間層5は、ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、無延伸ポリプロピレンフィルムなどの基材にアルミニウム箔を貼り合わせたものや、無機化合物を蒸着したものが使用できる。無機化合物としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどが使用できる。基材の厚みは6〜25μm、アルミニウム箔は5〜15μm、無機化合物蒸着層の厚みは5〜100nmの範囲がよい。なお蒸着面の向きは、基材層側、シーラント層側どちらでもよい。使用後の廃棄性から無機化合物を蒸着した中間層を使用した方が好ましい。使用後は再生資源廃棄物として可能である。
【0049】
シーラント層8は、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L
LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)などが使用可能で単層もしくは多層でもよい。好ましくは直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)がよい。厚みは30〜100μmの範囲がよい。
【0050】
中間層のガスバリア性フィルム5とシーラント層8の貼り合せは、接着層としてのポリエチレン層7の他に、接着剤を介してドライラミネートでも可能である。接着剤として二液反応型の接着剤、例えばポリウレタン系接着剤などが一般的に使用できる。予め、中間層のガスバリアフィルムとシーラント層をドライラミネートしたものを、上記のポリエチレンを使用して基材層3とサンドポリ加工してラミネートしてもよい。
【0051】
窓貼りフィルム10は、透明性が必要であることから、ガスバリアフィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、無延伸ポリプロピレンフィルムなどの基材に無機化合物6を蒸着したものが使用できる。無機化合物6としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどが使用できる。フィルム基材の厚みは6〜25μm、無機化合物蒸着層の厚みは5〜100nmの範囲がよい。このガスバリアフィルムに紙容器のシーラント層と熱融着させるためのポリエチレンフィルムを複合する。ポリエチレン層は押出し機にて押出しラミネートする、または予め作成されたポリエチレンフィルムをドライラミネートで貼り合わせても可能である。
【0052】
以下、本発明の具体的実施例について説明する。
【実施例1】
【0053】
坪量350g/mの板紙の表面に、ポリエチレンを20μm押出しラミネートした。次にガスバリア性を有する中間層として、酸化珪素を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた。酸化珪素の蒸着層の厚みは30nm、ポリエチレンテレフタレートフィルムの厚みは12μmである。該ポリエチレンテレフタレートフィルムの裏面とシーラント層である直鎖状低密度ポリエチレン60μmをポリウレタン系二液タイプの接着剤を用いてドライラミネート法にて貼り合わせ積層フィルムを形成した。シーラント層は、予め押出し法により製膜した。
【0054】
次に板紙の裏面と、積層フィルムの酸化珪素蒸着面を、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)を用い、厚さ30μmにてサンドポリ加工してラミネートした。積層体を作成した。
【0055】
作成した積層板を1L用、70角のゲーブルトップ型紙容器を形成するためのブランクを作成した。この時に外形抜きと同時に窓部を一本の側面稜罫線を形成する部位に横幅70角寸の10%、高さを側面稜罫線の90%で窓部を形成した。また窓部が二本の稜罫線で横幅70角寸の20%、高さ側面稜罫線と同等の楕円形状の区画内に入るようにブランクを形成した。尚それぞれの稜罫線の両端を曲率半径R=30mmとした。
【0056】
このブランクの窓部に、窓貼りフィルムを横幅が70角寸の15%、高さを側面稜罫線の95%で形成し、ブランクの内面に窓部に二本の稜罫線に重ならないように、熱融着させ窓貼りフィルム付きブランクを形成した。
【0057】
<比較例1>
窓貼りフィルムを横幅が70角寸の30%、高さを側面稜罫線と同等で、貼着させ窓貼りフィルム付きブランクを形成した。
【0058】
<比較例2>
実施例1の如く窓部を有するブランクを形成した。このブランクは、窓部が二本の稜罫線
で区画されていないものである。この窓部に窓貼りフィルムを70角寸の30%、高さを側面稜罫線の95%に形成し、ブランクのシーラント面に熱融着させた。その後実施例1の如く窓部が二本の稜罫線で区画内に入るように稜罫線の加工を行って窓貼りフィルム付きブランンクを形成した。
【0059】
実施例1、比較例1、比較例2で形成した窓貼りフィルム付きブランクを用いてスリーブを形成し、充填機にてミネラルウウォーターを充填して内容量1L、70角のゲーブルトップ型紙容器を作成した。
【0060】
<比較結果>
それぞれの紙容器を用いて、内容物の残量の視認性、紙容器の保形性、取り扱い性の確認を行った。評価は、○:問題ない、×:問題あり。表1に示す。
【0061】
【表1】

実施例1は、内容物の残量の視認性、紙容器の保形性、取り扱い性には問題がなく良好であった。しかし、比較例1は、窓貼りフィルムの貼着時に稜罫線部に浮きが生じた。また比較例2では、窓貼りフィルムを貼合わせ後の稜罫線加工において、バラツキが生じた。比較例1、2ともに紙容器の保形性、取り扱い性が良くなかった。よって窓貼りフィルムを、稜罫線に重ならないように配置することで、組み立て成形ができる。また紙容器として内容物の残量を問わず視認可能で、紙容器の保形性、取り扱い性に優れた液体用紙容器であった。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の液体用紙容器は、ジュース、スープ、乳製飲料(豆乳、コーヒー牛乳など)、乳製品(ホイップクリームなど)、酒類(清酒、焼酎、梅酒、ワインなど)、コーヒーなどの飲料、食品に使用できる。また非食品としてパーマ液、洗剤、柔軟剤、建材用ワックスなどに使用できる。
【符号の説明】
【0063】
1 積層体
2 ポリエチレン層(外面)
3 基材層
4 ポリエチレン層(接着層)
5 ガスバリア性を有する中間層(無機化合物蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム)
6 無機化合物
7 ポリエチレン層(接着層)
8 シーラント層
10 窓貼りフィルム
11 ポリエチレンフィルム
12 無機化合物蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム
13 窓貼りフィルムの横幅
14 窓貼りフィルムの高さ
20 ブランク
21 頂部
22 胴部
23 底部
24 側面板
25 糊代片
26 折り込み片
27 底片
28 側面稜罫線
29 稜罫線
30 窓部
31 窓部の横幅
32 窓部の高さ
33 楕円形状
34 楕円の横幅
35 楕円の高さ
36 曲線
37 角寸
38 稜罫線の高さ
39 口栓取り付け孔
40 口栓
50 本発明の液体用紙容器(ゲーブルトップ型)
60 本発明の液体用紙容器(フラットトップ型)
70 従来の窓部を有するブランク
80 従来の窓部を有する液体用紙容器(ゲーブルトップ型)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙を基材層とし、熱融着性を有する外面層/基材層/ガスバリア性を有する中間層/シーラント層(内面層)からなる積層体で、
頂部、胴部、底部を備え、該胴部が、四枚の側面板がそれぞれ四本の側面稜罫線を介して形成される四角筒状の液体用紙容器であって、
前記側面稜罫線の少なくとも一本の側面稜罫線が形成される部位に長方形の窓部が形成され、
該窓部が、前記シーラント層側から全面を覆う窓貼りフィルムが貼着され、
該窓貼りフィルムが、二本の稜罫線で相対向して連結された楕円形状の区画内に設けられていることを特徴とする液体用紙容器。
【請求項2】
前記窓部の形状が、横幅が前記紙容器の角寸の10%、高さが前記側面稜罫線の90%であることを特徴とする請求項1記載の液体用紙容器。
【請求項3】
前記窓貼りフィルムの形状が、横幅が前記紙容器の角寸の15%、高さが前記側面稜罫線の95%であることを特徴とする請求項1または2記載の液体用紙容器。
【請求項4】
前記稜罫線のそれぞれの形状が、高さが側面稜罫線と同等で、両端が曲率半径R=30mmからなり、相対向して連結された楕円形状の横幅が、前記紙容器の角寸の20%であることを特徴とする請求項1〜3記載のいずれか1項に記載の液体用紙容器。
【請求項5】
前記窓貼りフィルムが、少なくともポリエチレンフィルムと、酸化アルミニウムまたは酸化珪素を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムとからなる複合フィルムであることを特徴とする請求項1〜4記載のいずれか1項に記載の液体用紙容器。
【請求項6】
前記中間層が、酸化アルミニウムまたは酸化珪素を蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルムであることを特徴とする請求項1〜5記載のいずれか1項に記載の液体用紙容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−60214(P2013−60214A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199189(P2011−199189)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】