説明

液体薬剤容器に貼付するラベル、および容器

【課題】液体容器(特に、液体薬剤容器)を識別する情報のためのより広い表示面を有するラベルを提供すること。
【解決手段】液体薬剤容器に貼付するラベル(1)であって、容器の外周周囲に巻き付ける単層巻付けラベルであり、ラベル(1)の切離し可能部分を成す予備ラベル(10)と、予備ラベル(10)を被覆する第1のラベル部分(11)とを有し、予備ラベル(10)が、ラベル(1)の、第1のラベル部分(11)とは異なる表面領域に配置される、ラベル(1)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体薬剤容器に貼付するラベル、および前記容器に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品において、注射による投与が意図された液体薬剤は、アンプルまたはバイアルと呼ばれる透明容器に入れて搬送され、取り扱われ、最終的には前記容器から取り出される。前記容器は通常、ガラスから作製され、円柱状の外周面と、注射針が貫通できる上面とを有する。ある量の液体が、用途の種類、および選択する薬剤に依存して、1回または数回、容器から取り出される。こうした容器は全て、正確な内容物、その組成物、濃度、および/または量などを識別するために、適切なラベルを用いて表示しなければならない。
【0003】
この種の容器はしばしば、充満状態でほんの数ミリリットルの液体しか含有しないことがある。液体の一部量をその都度、複数回にわたって取り出すことを目的としたマルチドーズ容器は、典型的には約10mlの液体を含有するが、1回使用のシングルドーズ容器は明らかにより小さく、約1〜3mlしか含有しない。必要となる液体量が少量であるため、前記シングルドーズ容器の直径、およびその円柱外面の外周は比較的小さく、円柱外面の外周がこのように小さいため、容器内容物を識別するための、ラベルに記載すべき全ての情報(商品名、組成物、量または濃度明細事項、バーコード、使用期限、任意の警告、またはさらなる明細事項)を書き込める表面は非常に小さい。
【0004】
さらに、この種のラベルは、シリンジに液体を充填した後、そのシリンジの内容物を識別するために、シリンジ、またはシリンジの実際の外周面に直接貼付することができる、切離し可能なラベル部分を有することが望ましい。このようにしてシリンジに取り付けられたこのラベル部分には、例えば、取り出した投与量、または個々の処置を識別する他のデータを記すことができる。この目的で、シリンジが投与されるまでシリンジを個々に識別するために、シリンジに取り付けられる切離し可能なラベル部分に、後に手書きできる表示面を設けるべきである。
【0005】
シリンジ用の前記切離し可能なラベル部分、ここでは予備ラベルと呼ぶこの部分によって、ラベル全体で利用可能となる残りの表面が減少し、この残りの表面に、液体容器自体、すなわちアンプルまたはバイアルを識別するための明細事項を記載しなければならない。
【0006】
アンプルまたはバイアルがシングルドーズ用容器である場合、容器の外周はさらに小さくなるため、上記理由で生じる、ラベルに記載すべき表示用余白の不足は、さらに劇的となる。
【0007】
特に、危険性の高い薬剤(例えば、麻酔薬またはヘパリンの場合)の容器を識別するラベルの場合、特に、名前の混同、適合性問題、または誤った投与量による投与ミスがある場合、従来から利用可能なラベル面では、医療従事者に対する投与指示、および安全指示を、所望の明確性、活字寸法、および/または詳細でラベルに記載するには、しばしば不十分である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、液体容器(特に、液体薬剤容器)を識別する情報のためのより広い表示面を有するラベルを提供することである。さらに、このラベルは、表示面がより広くなるにもかかわらず、低作業および低費用で生産可能とすべきである。それと同時に、このラベルは、特に、医療現場で典型的な慌ただしい日々の中で、医療専門家が関連情報をより良く知覚できるように構成すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、本発明による液体薬剤容器に貼付するラベルであって、
容器の外周周囲に巻き付ける単層巻付けラベルであり、
ラベルの切離し可能部分を成す予備ラベルと、予備ラベル(10)を被覆する第1のラベル部分とを有し、
予備ラベルが、ラベルの、第1のラベル部分とは異なる表面領域に配置される、ラベルによって達成される。
【0010】
本発明によれば、文字、図、および/または記号識別要素を記載する明らかにより広い表示面を実現しながらも、単層ラベルとして形成される、すなわちただ1つの単一材料層だけから形成されるラベルが提供される。特に、この予備ラベルは、多層ラベルとは異なり、追加の材料層または膜をさらに貼付した形で設けられるのではなく、ラベル、またはラベルの材料層の一体要素を成す。この予備ラベルは、例えば、単層巻付けラベル材料中の周囲のミシン目、打抜き線、または別の引裂き線によって(または計画的な引裂き線に沿って配置された多くの引裂き要素によって)、(親)ラベルの周囲の残りの部分から切り離される。
【0011】
このラベルは単層であるので、多層ラベルを製造するための追加の費用の必要がない。しかし、ただ1つの材料層という制約によって、十分に広い表示面を設けることは当初はより困難であった。
【0012】
しかし、本発明によるラベルは、巻付けラベルとして実現され、すなわち、その長さを識別すべき容器に合わせ、その長さは、ラベル付けする容器の外周の数倍に相当する。前記ラベルを、容器の外面に円周方向に貼付する。
【0013】
この場合、予備ラベルは、ラベルの円周方向最外端部に突出したフラグとして実現され、したがって容易に把持することができ、かつ剥がしやすいと考えられよう。しかし、本発明によるラベルは、容器の外周だけが容器内容物を識別するために利用可能であるのではなく、いくつかの点において上記のものとは異なる。
【0014】
第1に、注射シリンジを識別する働きをすることになる予備ラベルは、ラベルの外端部が最も把持しやすい場所であるが、ラベルの外端部から剥がすことはできない。これに代えて、本発明による予備ラベルは、別の場所、好ましくは、端部にある外側の第1のラベル部分から離れたラベル中央部分に配置される。
【0015】
さらに、この予備ラベルは、ラベルを張り付ける(dispense)と、ラベル面内で、第1のラベル部分によって被覆されるように配置される。本発明によるラベルは巻付けラベルであるので、端部にある第1のラベル部分は、(製造されているが、まだ張り付けていないラベルの長手方向、またはラベル付けした容器の円周方向に)予備ラベルの長さと少なくとも同じ長さを有する。ラベル全体を定められた形で張り付けた後は、その予備ラベルは、最初はまだアクセスできず、原則としてまだ見ることができない。
【0016】
第3に、予備ラベルは、少なくとも2辺または3辺がミシン目または別の引裂き線によって画定され、特に、この予備ラベルは、周囲の、ラベル全体の残りのラベル面と同じ材料ウェブから形成される。
【0017】
予備ラベルを、実際によりアクセスしやすい、端部にある第1のラベル部分の片側に配置すること、および予備ラベルを単層ラベルの一体要素として組み込み、また、第1のラベル部分によって最初に予備ラベルを被覆しておくことの両点から、予備ラベルにアクセスし、定められた形でラベル全体から切り離すことがより困難となっている。したがって、本発明によるラベル全体は、その構造が、当業者がおそらく自明と考えるラベルの形態とは多くの点において直観的に異なっている。
【0018】
本発明によるラベルの利点は、最も簡単なスタイルおよび製造にもかかわらず、明らかにより多く表示可能なラベル面が得られる点である。切離し可能な予備ラベルを第1のラベル部分によって容器外周に沿って最初に被覆しておくことにより、ラベルを張り付けた後は、予備ラベルには、端部にある第1のラベル部分がアクセスし、この第1のラベル部分は、容器の外周から最初に立ち上がり、したがって予備ラベルからも立ち上がることになる。ただし、これは第1のラベル部分が、容器の外面からフラグとして今や突出していることを意味し、さらに、その下に位置し、容器の外周周囲を完全に巻く(また、今やアクセス可能な予備ラベルを含む)ラベル面が露出することを意味する。
【0019】
フラグとして立ち上げることができる第1のラベル部分は、前面および背面が表示可能であるため、ラベル付けする容器の外周の2倍に相当する表示可能長さを有する。このフラグの下に露出する後続のラベル面は、その液体容器の全外周に再度相当する。フラグが両面で表示可能であるため、利用可能な表示面は、既に液体容器の全外周面の少なくとも2倍の広さとなる。したがって、以前よりもかなり多くの情報を記載することができ、本発明によるラベルによって表示範囲として本明細書で得られる表面の増大は、他の形では容易に実現できるものではなく、多層構造のラベルによっても容易に実現できるものではない。医療専門家に対する適用指示または警告を、端部にあり、ラベル付け用に得られる第1のラベル部分の背面により容易に記載することができ、また、医療活動の慌ただしさの中でより高い注意が払われるように展開することができる。例えば、特に危険に関わる状況を強調するために、例えば、いくつかの指示またはラベル付け部分を拡大することができ、または、2回以上、すなわち第1のラベル部分の前面および背面に印刷することもできる。
【0020】
好ましくは、この単層ラベルはある材料ウェブを有し、予備ラベルはその材料ウェブの切離し可能部分である。したがって、予備ラベルは、単層ラベル、または材料ウェブ、またはその材料層の一体要素である。これは、予備ラベルを後に除去したときに部分的な間隙が生じ、すなわち少なくとも片側が連続しておらず(one-sided recess)、したがってラベルの材料ウェブにくびれが生じ、したがって予備ラベルを剥がした後には、ラベルのより狭い領域だけが残ることになることを意味する。したがって、本発明によるラベルは、予備ラベルをラベル全体の単一材料層に組み込んでいるにもかかわらず、面倒なく製造し、操作し、かつ張り付けることが可能である。
【0021】
多層ラベルとは異なり、本発明によるラベルは、ただ1つの単一材料層だけを有する。この場合、用語「材料層」とは、(通常、プラスチックス材料、または紙で作成された)膜を指し、この膜は、製造中およびラベル付け中に、信頼性高く取り扱うことができるように、それ自体が変形および引裂きに十分耐性があり、十分厚い。前記材料層は、下地に対して(例えば膜に対して)押し当てられる、押圧される、または他の任意の形で付着されない限り、変形に対する十分な耐性を固有に有しない薄膜としての印刷、接着防止コーティング、または接着層とは区別されるものである。前記接着層、接着防止コーティング、および/または印刷とは異なり、本願における単層ラベルは、個々に操作できるように、十分な安定性、固有の強度、および/または変形耐性を有するただ1つの単一材料ウェブ(特に膜)を有するようなラベルである。
【0022】
好ましくは、予備ラベルは、第1のラベル部分によって被覆されることになる第2の中央ラベル部分に配置する。他の巻付けラベルにとっては通常であるところと異なり、本発明によれば、予備ラベルは、第1のラベル部分を開くまでは、第2のラベル部分の領域に露出せず、開いた後は取り外すことができる。この予備ラベルは、事実上、第2のラベル部分のベース面全体とすることができ、特に、ラベル付けする物体の全周周囲に延ばすことができる。
【0023】
好ましくは、第1のラベル部分と、第2のラベル部分とは、ラベルの長手方向に沿って連続して、かつ/または互いに隣接して配置し、その方向に沿って、ラベルを巻き出して張り付ける。この場合、用語「ラベルの長手方向」とは、ラベル付けする物体、またはその外周面にラベルを巻き付ける方向(または前の支持ローラから巻き出す方向)を指す。したがって、このラベルの長手方向は、ラベル付けする容器の後の円周方向に相当する。アンプルまたはバイアルの場合、この長手方向に沿ったラベルの寸法は、長手方向に直交する方向、すなわちこの場合では垂直方向として示される方向よりも大きい。したがって、ラベルの長手方向は、同時に、ラベルが延在する主方向に相当する。この巻付けラベルは、特に、液体容器の外周周囲に2周以上巻き付けられるように実現される。第1のラベル部分は、張り付けると、液体容器の外周に最後に巻き付けられる長手方向端部に位置する。しかし、第2のラベル部分は中央領域に位置し、この中央領域から、予備ラベルが後に切り離されることになる。これら2つのラベル部分の間には、第1のラベル部分の最外端部を接着することができる任意選択の移行領域がある。
【0024】
好ましくは、このラベルは、第1のラベル部分とは反対側のラベル端部に配置された第3のラベル部分を有し、この第3のラベル部分は、背面が接着性であり、前面に接着防止コーティングが設けられている。ラベルを張り付けた後、この第3のラベル部分は、予備ラベルの裏面が接着する第2の表面部分の下地として働く。第3のラベル部分を接着防止コーティングで被覆することによって、シリンジに恒久的にしっかりと貼付すべき予備ラベルを、液体容器の外周のラベル全体から最初に容易に切り離すことが可能となる。
【0025】
このラベルは、好ましくは張り付けた状態では、第1のラベル部分を立ち上げて、突出し、かつ/または再封止可能なフラグを成すことができるように実現される。したがって、このラベル部分は、両面が表示可能であり、読み取ることができる。特に、第1のラベル部分の長さが液体容器の外周に相当する場合、容器自体の外周に記載することができる情報の2倍の情報を記載することができる。したがって、例えば、警告をよりはっきりと、またはより詳細に記載することができ、例えば、立ち上げてフラグを成すことができる第1のラベル部分の前面および背面に2度も記載することもできる。
【0026】
第1のラベル部分は、好ましくは両面に印刷され、かつ/または両面に印刷することができる。さらに、第1のラベル部分は、好ましくはその背面が広い表面積にわたって非接着性である。最後に、ラベルまたはその材料ウェブ(または少なくともその第1のラベル部分)は、好ましくは透明でなく、例えば白色である。これは、例えば、それ自体が既に透明でない膜によって、あるいは、透明材料から形成された膜の広域(前面および/または背面)に透明でない背景印刷を施すことによって実現することができる。
【0027】
好ましくは、ラベルの長手方向に沿った第1のラベル部分の長さは、第1のラベル部分が、ラベル付けする物体またはラベル付けした物体の外周を完全に取り囲み、第1のラベル部分が立ち上がるまで予備ラベルが露出しないように寸法設定する。
【0028】
このラベルは、好ましくは、第1のラベル部分の端部にある縁部領域が再封止可能であり、特に、背面が接着性となるように実現される。端部側縁部領域は、例えば、長手方向にラベルが終端する縁部に位置し、張付け後に見える縁部に位置する。そこに直接隣接する縁部領域は、その裏面によって(第1のラベル部分と第2のラベル部分との間の)移行領域に貼付することができ、この移行領域は、より深く巻き付けられた領域である。例えば、この移行領域は、前面に接着防止コーティングを設けることができ、第1のラベル部分の端部側縁部領域の背面を接着性とすることができる(またはその逆も可)。これは、端部側縁部領域を移行領域に可逆式に貼付することができることを意味し、すなわち、後に再度剥がすことができる。しかし、その他の部分は、第1のラベル部分は、その背面の広い表面積にわたって非接着性であり、したがって端部側縁部領域を剥がすと、第1のラベル部分全体が立ち上がって、フラグを成すことができる。この状態では、警告が印刷された第1のラベル部分は、確実に医療専門家の目を引くことになる。
【0029】
好ましくは、第1のラベル部分は、端部にプルタブを有し、このプルタブによって、第1のラベル部分の領域端部で、材料ウェブを剥がすことができる。このプルタブは、例えば、長手方向の端部側縁部領域を成すことができ、あるいは、垂直方向、すなわち長手方向に直交する方向に、ラベルの他の寸法を超えて突出させてもよい。特にアンプルまたはバイアルの場合、プルタブは、後者の場合、容器の首部、またはくびれで容易に把持することが可能となる。
【0030】
好ましくは、第1のラベル部分は、ラベルを巻き出して張り付けるラベル長手方向に沿って、ラベルの材料ウェブ長さの35%〜50%となる端部部分を成す。例えば、ラベル長さは、ラベル付けする容器の外周の約2.25倍に相当し得る。この場合、第1のラベル部分は(特に、この部分が外周周囲を完全に1周する場合)、ラベル全長の9分の4となる。
【0031】
好ましくは、予備ラベルは、ミシン目、打抜き線、または他の引裂き線によってラベルの材料ウェブに画定される。これは、予備ラベルを、ラベルの実際のベース面の一体要素として形成することができることを意味する。特に、予備ラベルは、予備ラベルを、主ラベルの縁部から完全に、または大幅に超えて突出または突起させる必要なく、ラベル膜の基本寸法に組み込むことができる。その代わりに、この予備ラベルは、好ましくは、ラベルの基本形状に従って打ち抜かれた材料ウェブの中央領域に位置する。
【0032】
好ましくは、接着防止コーティングが、第1のラベル部分と第2のラベル部分との間の移行領域に、例えば、シリコーンコーティング、またはシリコーン含有コーティングの形で設けられる。こうすることによって、第1のラベル部分の端部側縁部領域を外側から移行領域の前面に再封止可能に貼付することが可能となる。
【0033】
好ましくは、予備ラベルは、材料ウェブの長手方向に沿って第1のラベル部分から離れた第1の表面部分では、背面が非接着性である。予備ラベルの前記第1の表面部分は、例えば、予備ラベルの基礎表面の30%〜80%とすることができ、予備ラベルの、第1のラベル部分とは異なる領域に位置する。前記第1の表面部分は、予備ラベルをシリンジに張り付けた後は、両面に印刷および/または手書きできる、(予備ラベルの)突出した小フラグを成す。特に、シリンジを識別するために現場の医療スタッフが自身の手で個々の処置を参照ラベルに記載すべき場合、前記情報を、張り付けた予備ラベルの第1の表面領域の前面または背面に記載することができる。第1の表面領域は、好ましくは、予備ラベルの残る部分とほぼ同じ広さである。
【0034】
さらに、好ましくは、材料ウェブの長手方向に沿って第1の表面部分よりも第1のラベル部分に近接して配置されたさらなる第2の表面部分では、予備ラベルは、背面が接着性である。背面のこの接着性領域は、シリンジに取り付ける働きをし、前面にはより多くの情報を表示することもできる。
【0035】
ラベル全体が形成される材料ウェブ、したがって予備ラベルもやはり形成される材料ウェブは、好ましくは膜、特にプラスチック材料膜である。
【0036】
さらに、好ましくは、予備ラベルは、長手方向に沿ってラベルの第1のラベル部分に近接して配置された、予備ラベルの縁部付近の端部に、予備ラベルを剥がすためのプルタブを有する。したがって、ラベルが製造してあるが、まだ張り付けていない場合、表示可能な小フラグとして使用することができる予備ラベルの第1の表面部分は、ラベル全体の第1のラベル部分から離れる方向に向き、予備ラベルの端部に配置された追加のプルタブは、第1のラベル部分に面し、この追加のプルタブによって予備ラベルをより把持しやすく、またはラベル全体からより剥がしやすくなっている。予備ラベルのプルタブは、例えば、予備ラベルの、第1のラベル部分の方向に丸味を帯びた縁部からなることができ、この丸味を帯びた縁部では、予備ラベル裏面を数ミリメートルの範囲内で非接着性にすることができ、したがって、第1のラベル部分を開くと、この丸味を帯びた縁部をラベル付けした物体の外周から突出させることができる。この代替形態として、予備ラベルのプルタブは、垂直方向に突出させてもよく、すなわち、主ラベルの長手方向に直交して、主ラベルの主要部分の寸法を超えて突出させてもよい。例えば、プルタブは、液体容器のくびれ、または首部から材料ウェブのミシン目または他の引裂き線を容易に破ることができる限り、垂直方向に上方に突出させてもよい。
【0037】
好ましくは、予備ラベルは、ラベルの長手方向に直交する垂直方向に、ラベルの2つの外側縁部のうちの一方まで正確に延びる。したがって、予備ラベルは、例えば、ラベル全体の外周上側縁部まで延びるが、その下側縁部までは延びない。この非対称な構成により、予備ラベルの下に、一行、または複数行でも十分に表示できる広く連続した表面が利用可能となる。この場合、予備ラベルは、ミシン目または他の引裂き線によって3辺で残りのラベルと接続している。さらに、第2のラベル部分の残りの連続領域は、ラベルを張り付ける際、および予備ラベルを剥がす際に、引張り荷重を吸収することができる。
【0038】
好ましくは、ラベルの長手方向に沿って第3のラベル部分の前面に設けられた接着防止コーティングは、予備ラベルの、背面が接着性である第2の表面部分の寸法と少なくとも同じ大きさの寸法を有する。これは、ラベル全体を張り付けると、予備ラベルの、背面が接着性である表面部分が、接着防止コーティング上に完全に載ることになり、したがって容易に剥がすことができることを意味する。しかし、予備ラベルは、他方側にもさらに、別の非接着性表面部分を有し、したがって(ラベル全体を張り付けると)この別の非接着性表面部分は、ラベル付けする容器自体の外周上に直接配置することができ、予備ラベルのこの非接着性表面の裏面と、容器の外周との間には、接着防止コーティングを備えた第3のラベル部分をやはり設ける(または前記第3のラベル部分を連続して延長させる)必要はない。これは、ラベルの全長が同じとすると、長手方向において予備ラベルを従来よりもかなり長くすることができることを意味する。液体薬剤容器(例えばアンプル)にラベル全体を張り付けると、予備ラベルは、外周方向すなわち長手方向に、第3のラベル部分、およびその前面に設けられた接着防止コーティングを遙かに超えて突出させることができ、その第3のラベル部分に比べてかなり長い(例えば、2倍、3倍、または4倍も長く、例えば、アンプルの全外周に相当する長さで)予備ラベルを実現することができる。予備ラベルをアンプルから切り離し、シリンジに取り付けると、(予備ラベルは今やシリンジの参照ラベルとして働く)、予備ラベルの、背面が接着性でない表面部分が突出した小フラグを成し、従来の参照ラベルに比べてかなり広い表示面が(予備ラベル上で)得られる結果となり、この表面はまた、特に後に手書き表示するのにも適している。
【0039】
この参照ラベルは、好ましくは透明である。特に、ラベル全体を透明とする、または透明膜から形成することができる。この膜は、背景色を用いて局所的に印刷することができ、局所的に(例えば、予備ラベルのある領域、すなわち予備ラベルの接着性表面部分および/または非接着性表面部分で)印刷せずにおく(recess)ことができる。
【0040】
ラベルの長手方向に測定した、第3のラベル部分の接着防止コーティングの寸法は、同一方向で測定した、予備ラベルの、背面が接着性である第2の表面部分の長さと少なくとも同じ長さでなければならない。
【0041】
本発明によって実現されるラベルを用いれば、液体薬剤容器を、より多くの項目数の情報で識別することが可能となり、さらに、従来のラベルに比べてより費用を節約してラベル付けすることが可能となる。
【0042】
さらに、このラベルは、好ましくは、正確に1枚の予備ラベルを有し、したがって、特にシングルドーズ容器に適している。
【0043】
したがって、本発明はまた、本発明によるラベルを付着させることができる外面を有する液体薬剤容器を提供する。
【0044】
好ましくは、本発明の巻付けラベルは、容器の外周周囲に貼付され、容器の外周周囲を2周〜2周半する。医薬液体用の液体容器(アンプルまたはバイアル)は通常、標準化されているため、ラベル長さは、これらの標準容器に合わせることができる。フラグとして立ち上げることができる第1のラベル部分が、容器外周周囲を好ましくは完全に1周する場合、長手方向に測定したラベル長さは、全体として容器外周の2倍または3倍に相当しなければならない。予備ラベルもやはり、容器外周をほぼ完全に取り囲み、予備ラベルの、背面が接着性である第2の表面部分が、例えば、容器外周の半分となる限り、前面をシリコーン処理した、またはその接着性を別の形で低減させた第3のラベル部分もやはり、容器外周の半分に相当する長さを有することができる。この場合、ラベル長さは、容器外周の2.5倍に相当するように製造される。しかし、予備ラベルの背面を必ずしも容器外周の半分の長さにわたって接着性にする必要はなく、また、予備ラベル全体が、容器の外周周囲を完全に巻く必要がない場合は、ラベル全長は、実際には、容器外周の2.25倍に相当すれば十分である。ラベル長さはまた、予備ラベルの所望の設計、また、第1のラベル部分によって形成され、両面が表示可能なフラグの長さに依存してより小さくなるように選択してもよい。しかし、好ましくは、ラベル付けした容器の第1のラベル部分は、容器の外周に相当し、予備ラベルが第1のラベル部分によって完全に被覆される長さを有する。
【0045】
さらに、好ましくは、前面に接着防止コーティングが設けられた第3のラベル部分は、予備ラベルの、背面が接着性である第2の表面部分によって被覆される。さらに、予備ラベルの長さも、容器の外周に相当するように設けることができる。容器の外面は、好ましくは、円柱状、特に円形円柱状である。液体薬剤容器は、好ましくは、バイアル、アンプル、または好ましくは主にガラスから作製された別の液体薬剤用透明容器である。本発明によるラベルを備えた容器は、特に、シングルドーズ用の液体薬剤容器であり、ほんの数ミリリットルの液体しか有しない前記シングルドーズ容器では、容器直径は特に小さく(原則として1cm未満)、したがって表示に利用可能な外周面は、さらに限定される。しかし、本発明によるラベルを用いることによって、有用な表示面が明らかに増大する。上記によって、従来のラベルを備えた液体容器に比べて、(考えられ得る投与指示および警告を含めて)容器識別を、より明白に読みやすく、より詳細に、かつより完全な形で印刷することが可能となる。
【0046】
最後に、好ましくは、予備ラベルは、液体薬剤を注射するためのシリンジ用ラベルである。
【0047】
いくつかの例示的な実施形態を、図を参照しながら以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明によるラベルの実施形態の前面の概略上面図である。
【図2】図1のラベルの前面のさらなる概略上面図であるが、背面が接着性である領域、および背面が非接着性である領域を識別した図である。
【図3】図1および図2のラベルの背面の概略上面図である。
【図4】図1〜図3のラベルを液体薬剤容器の周囲に貼付した図である。
【図5】容器周囲に巻き付けた図4のラベルの、第1のラベル部分を立ち上げた後の状態にある図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1は、本発明によるラベルの例示的な実施形態の概略上面図を示す。ラベル1は、物体、好ましくは液体薬剤容器の円柱状、特に円形円柱状外周面周囲に2回以上巻き付ける、巻付けラベルである。このラベルは、図1にその前面から、すなわち後の外側面から示した、ただ1つの単一膜または材料ウェブ2だけを備える単層ラベルである。典型的には、数ミリリットル量の液体薬剤が保持されるアンプルまたはバイアルなどの液体容器に張り付ける主な用途に対応して、本発明の巻付けラベルは、主に長手方向Lに沿って延び、この方向は、後に液体容器外周に沿った円周方向に対応する。ラベル1は、第1のラベル部分11、第2のラベル部分12、および第3のラベル部分13を有し、第1のラベル部分11は、張付け時に容器外周に最後に巻き付けられる端部側縁部領域3側に配置され、したがって外側から見えたままとなる。したがって、第1のラベル部分11の長手方向Lにおける長さL1は、ラベル付けした容器の外周と好ましくは同一、またはほぼ同一である。
【0050】
ラベル1の中央領域には、充填したシリンジを識別するための予備ラベル10が位置し、この予備ラベル10は、張り付けたラベル全体1から切り離すことができる。しかし、予備ラベル10は、材料ウェブ2に貼付または他のいかなる形にも付着されているものではなく、ラベルの単層材料ウェブ2の一体要素を成している。予備ラベル10は、少なくとも1つの引裂き線6によってラベル全体の残りの領域から切り離される。引裂き線6(図1に連続した実線として示す)は、例えば、ミシン目または打抜き線などでよく、予備ラベル10を後に切り離すことを可能とするものである。したがって、単層のラベル全体1は同時に、後に切離し可能な「子ラベル(daughter label)」、すなわち予備ラベル10の「親ラベル」を成す。
【0051】
さらに、予備ラベル10は、端部側縁部領域3から明白に間隔を置いて配置され、したがって張り付けたラベルの外側からは直接把持することができず、または見えない。これに代えて、この予備ラベルは、長さL1の第1の外側ラベル部分11の外側に配置され、したがって、この予備ラベルは、長さL2の第2の中央ラベル部分12に位置する。液体容器に巻き付けると、長さL1およびL2は、好ましくは、円周方向に液体容器のほぼ外周に相当する。この場合、第2のラベル部分12は、ラベル全体を長手方向Lに螺旋状長手に容器に巻き付けると、外側が第1のラベル部分11によって被覆される。この場合、端部側縁部領域3が最後に外周に載り、そこで移行領域18に重なるか、または移行領域18を被覆する。
【0052】
張付け時は、ラベル1の反対側端部をまず延ばし広げ、この部分は、図1で第3のラベル部分13が位置する部分である。この部分は、例えば、ラベル付けする容器の外周の4分の1、または半分の長さである長さL3を有する。長さL3は、好ましくは予備ラベル10の長さの少なくとも約半分の長さである。第3のラベル部分13はすなわち、予備ラベル10の少なくとも一部(図1では、裏面が接着性である右側半分)の下地として働き、したがって、図1に示すように、外側に接着防止コーティング16、例えばシリコーンコーティング、または別のシリコーン処理を備える。ラベルを螺旋状に張り付けると、予備ラベル10の裏面の接着性領域が、この接着防止コーティング16上に載ることになるので、予備ラベル10は、その下地から容易に切り離すことができる。
【0053】
第1のラベル部分11と第2のラベル部分12との間の移行領域18の外側に、少なくとも局所的にさらなる接着防止コーティング16を付着させる。この接着防止コーティングは、端部側縁部領域3の下地として働き、この領域3は、好ましくはその裏面が接着性である。この接着防止コーティングによって、ラベルをその端部側縁部領域3からより容易に取り外すことができる。
【0054】
図1のラベルは、好ましくはプラスチックまたはポリマー材料膜によって形成され、そのためラベルの成形および寸法安定性に決定性のある単一材料層が得られる。このプラスチックまたはポリマー材料膜は、好ましくは透明である。特に、予備ラベルは透明である。しかし、それと同時に、ラベル全体はまた、例えば、印刷または別の形で付着させたカラー層を用いて、ある領域においては透明でなくてもよい。これは、印刷または他の表示のための背景色として適する。さらに、カラー層を付着させることによって、ラベルのある領域において両面に印刷することが可能となる。ラベル全体は、好ましくは予備ラベル10の領域、または予備ラベル10の2つの表面領域7、8のうちの一方の領域が(少なくともある局所的に)透明であり、したがって透明でないカラー層を有しない。
【0055】
図2は、図1のラベル前面のさらなる概略上面図を示す。しかし、図2はさらに、ラベル1の背面に接着性領域、および非接着性領域がそれぞれ配置されたケースを示している。非接着性領域は、図2では斜線で示してある。
【0056】
図2によれば、第1のラベル部分11の裏面または背面は、斜線から分かるように、特に広い表面領域にわたって非接着性である。したがって、端部側縁部領域3を一旦開くと、第1のラベル部分11を容器外周から巻き出すことができ、次いでこの部分11は、突出したフラグを成し、このフラグには、両面に容器識別情報、警告、投与指示、バーコード、英数字、または他のいかなる追加の明細事項も印刷することができる。したがって、純粋に第1のラベル部分11だけでも、既に容器外周の2倍が、表示可能面として利用可能である。
【0057】
最初に第1のラベル部分11によって被覆されていた、第2のラベル部分12に位置する予備ラベル10が下から現れる。この予備ラベル10は、必ずしも第2のラベル部分12の全高および/または全長とする必要はない。例えば、予備ラベル10は、ラベル1を垂直方向Hに画定する2つの外側縁部14のうちの一方に達すればよい。予備ラベル10の長手方向Lの寸法は、ラベル付けする容器の外周に相当することができ、またはそれより小さくてもよい。予備ラベル10の、第1のラベル部分11から離れた側には、背面が非接着性のより広い連続領域がある。予備ラベル10を切り離し、シリンジに付着させた後は、この第1の表面部分7を、両面に印刷および/または後に手書きすることができる、突出した小フラグとして使用することができる。予備ラベル10を取り囲む第2のラベル部分12および第3のラベル部分13の領域と全く同様に背面が非接着性である、予備ラベル10の第2の表面部分8が、図1では第1のラベル部分11により近接して位置している。したがって、予備ラベル10の第2の表面部分8を用いて、シリンジに(好ましくはシリンジ外周に)貼付する。
【0058】
図2にはまた、予備ラベル10の右側に、曲線または丸味を帯びた縁部9によって形成された領域が示され、この領域もやはり、裏面が非接着性であり、予備ラベル10を剥がすプルタブ5として働く。
【0059】
上述のように、第1のラベル部分11もやはり、背面が広い表面積にわたって非接着性である。これは、端部側縁部領域3に沿った狭帯部の背面が、ラベル1の長手方向Lの最外端部(すなわち、図2の右側)で貼付するように接着性であることを排除するものではなく、したがって、ラベル自体が下地から、特に、第1のラベル部分11と第2のラベル部分12との間の移行領域18から外れることはない。第1のラベル部分11をより開けやすくするために、好ましくはプルタブ4が、図示のように垂直方向Hに、ラベル1の外側縁部14の上方に、または、予備ラベル10のプルタブ5と同様に、縁部領域3端部で円周方向に突出した端部閉じ部として実現される。逆に、予備ラベル10のプルタブ5は、第1のラベル部分11のプルタブ4と同様に、ラベル全体の外側縁部14に配置してもよく、この縁部から垂直方向Hに上方に突出させてもよい。特にバイアルの場合、このように上方に突出させたプルタブ4、5は、狭くなった首部で、より把持しやすくなる。しかし、図1および図2のように、予備ラベル10のプルタブ5を、第1のラベル部分11によって、張り付けたラベルで円柱状に取り囲んで最初に被覆しておく構成では、好都合には、ラベル全体1の第1のラベル部分11を開いてフラグとして突出させる前に、予備ラベルを不注意に引いてしまうことが防止される。
【0060】
ラベル1の材料ウェブ全体2が、その背面に接着剤または接着性コーティングを有する限り、第1のラベル部分11の領域23、予備ラベル10の第1の表面部分7、およびおそらくはプルタブ4、5の背面に接着カバーを設けることができる。代替形態として、ラベルの材料ウェブ2を、局所的にだけ背面を接着層でコーティングする場合、前記接着層は、第1のラベル部分11、および予備ラベル10の第1の表面部分7(およびプルタブ4、5)の背面、すなわち非接着性領域23ではコーティングせずに(recess)おかなければならない。
【0061】
しかし、両ケースとも、上記によって、ラベル1の、第2のラベル部分12の予備ラベル10以外の領域、第3のラベル部分13、予備ラベル10の第2の表面部分8、および好ましくはまた、最外端部縁部領域3付近の狭い、例えば帯状の領域の裏面が接着性となる。
【0062】
容器外周に螺旋状に巻き付けると、予備ラベル10の、背面が接着性である第2の表面部分8が、第3のラベル部分13上面のシリコーン処理部または他の種類の接着防止コーティング16(図1)上に載ることになる。しかし、ラベル10の材料ウェブ2の残りの表面領域は、容器外周自体、またはラベル10を巻き付けた際のラベル10の別の領域上に載ることになる。さらに、ラベル部分11とラベル部分12との間の移行領域18に、より小さい基本面積の接着防止コーティング16aを局所的にさらに設けることができ、端部側縁部領域3背面の所望の接着力低減度に依存して、例えば、ほぼ円形の円板状コーティング片を複数の点状に設けることができる。
【0063】
特に、ただ1つの単一材料ウェブだけから製造される従来のラベルとは対照的に、本発明によるラベルの実施形態によって得られる利点は、かなり多くの表示面が利用可能となる点である。特に、第1のラベル部分11が表示可能であり、特に、前面および背面の両面に印刷することができる。さらに、ラベル1は、第2のラベル部分12の前面領域にも印刷することができ、切り離される予備ラベル10の領域に印刷される情報は、充填するシリンジ用に意図される。しかし、予備ラベル10はまた、第1の表面部分7の背面にも印刷することができ、または、前面および/または背面に、後に手書きすることができる。
【0064】
第1のラベル部分11の長さL1は(さらに、第2のラベル部分12の長さL2もやはり)、好ましくは容器外周に相当する。端部で第1のラベル部分11を開くと形成されるフラグによって、予備ラベル10を備えた第2のラベル部分12が露出する。しかし、第3のラベル部分13は、予備ラベル10を切り離すまでは出現しない。しかし、第3のラベル部分13もやはり、表示を含むことができる。
【0065】
図3は、図1および図2のラベルの背面の概略上面図を示す。予備ラベル10のプルタブ5に関する代替実施形態を純粋に例示する目的で、プルタブ5は、図1および図2のように円周方向に突出しているものとして示すのではなく、垂直方向Hに沿った上側の外側縁部14から上方への突出部として示している。しかし、その他の部分では、図3の背面図は、図1および図2の前面図に対応し、鏡面反転させた形に対応して示している。ラベル1背面の、斜線で特定した背面領域は、接着性でない。例えば、背面の非接着性領域23は、対応する接着カバーを有することができ、特に、第1のラベル部分11、予備ラベル10の第1の表面部分7、および/またはプルタブ4および5は、背面を非接着性とすることができる。
【0066】
図4は、図1〜図3のラベル1を、液体薬剤容器(好ましくは、アンプルまたはバイアル)20上に貼付した状態を示す。ラベル1は、容器20の外周Uに沿って、外面22の周囲に巻き付けられており、この容器20は、好ましくは円柱状、特に円形円柱状である。図4に、ラベル1を巻き付けた容器20を、対称の軸方向から予備ラベル10がやはり位置する高さで見た概略断面図を示す。図4に示すラベル1は、容器20の外周U周囲に螺旋状反時計回りに巻き付けてあり、第3のラベル部分13が、容器20の外面22上の第1の要素として位置している。
【0067】
接着防止コーティング16(図1)が、第3のラベル部分13の上面(またはここでは外側)に配置されている。第3のラベル部分13から第2のラベル部分12への移行部と、第2のラベル部分12から第1のラベル部分11への移行部とが、点線で図4に示されている。さらに、後に予備ラベル10として切り取られることになる、材料層2またはラベル1の切取り部を取り囲む引裂き線6が、実線によって示され、したがって、ラベル1の材料層2は、軸方向に沿って途切れるが、多くとも局所的である。
【0068】
予備ラベル10は、容器20の外周面に部分的に貼付するが、少なくとも予備ラベル10の、背面が接着性である第2の表面部分8によって、第3のラベル部分13の接着防止コーティング16(図1)を被覆する。第1のラベル部分11は、任意選択で、その端部縁部領域3を、移行領域またはラベルの別の位置に貼付することができ、そこに接続することができる。しかし、上記以外の部分では、第1のラベル部分11は、裏面が広い表面積にわたって非接着性であり、したがって、端部側縁部領域3を取り外すとすぐに、突出した両面表示フラグを成す。特に、前記フラグの長さが、容器20の外周Uに相当する場合、純粋に第1のラベル部分11だけでも、こうしたラベルがなく、容器20自体の上面だけが利用可能であった従来の表記面の2倍量の表記面が利用可能となる。
【0069】
図5は、容器20の周囲に巻き付けた図4のラベル1を示すが、第1のラベル部分11を立ち上げた後の状態を示している。第1のラベル部分11は、ここでは、両面に印刷または別の形で表示された突出フラグ15を成す。この突出フラグ15の長さは、好ましくは、容器20の外周Uに相当する。
【0070】
図5にあるように、第1のラベル部分11は、フラグ15として突出し、ここでは予備ラベル10を備えた第2のラベル部分12がフリーになっている。さらなる表示部分をそこに配置することができ、予備ラベル10の表示は、シリンジに液体薬剤を充填した後に、前記シリンジを識別することを意図したものである。
【0071】
図5で分かるように、予備ラベルの、背面が接着性である表面部分8だけが、(前面に接着防止コーティング16が設けられた)第3のラベル部分13上に載ればよく、したがって、予備ラベル10はかなり長くすることができ、特に、裏面が非接着性である別のさらなる表面部分(第1の表面部分7、図2および図3)を有することもでき、この部分は、ラベル1を張り付けると、容器20の外面22の外周U上に直接載る。これは、容器の外周Uが、接着防止コーティング16の長さL3よりも大きいが、接着防止コーティング16の長さL3と、予備ラベル10の長さ(どちらも長手方向または円周方向で)との合計よりも小さい状態で、ラベル全体をやはり、容器20に張り付けることができることを意味する。特に、容器外周Uが、第3のラベル部分13の接着防止コーティング16の長さL3よりも大きいが、接着防止コーティング16の長さL3と予備ラベル10の(裏面が非接着性である)第1の表面部分7の長さとの合計よりも小さい状態で、ラベル全体を容器20に張り付けることができる。
【0072】
図1〜図5のラベル全体1は、ただ1つの単一材料ウェブ2だけを含むか、または単一材料ウェブ2だけから成り、したがって、特に費用効率の高い形で製造することができる。ラベル1は、容器20の外周Uの周囲を例えば2.25周することができる。従来のラベルを用いては、上記と同等に低い製造費用でほぼ同じ大きさの表示面を容器上に設けることは可能でない。
【符号の説明】
【0073】
1 ラベル
2 材料ウェブ
3 縁部領域
4、5 プルタブ
6 引裂き線
7 第1の表面部分
8 第2の表面部分
9 縁部
10 予備ラベル
11 第1のラベル部分
12 第2のラベル部分
13 第3のラベル部分
14 外側縁部
15 フラグ
16、16a 接着防止コーティング
18 移行領域
19 小フラグ
20 容器
22 外面
23 背面が接着性でない領域
H 垂直方向
L 長手方向
L1、L2、L3 長さ
U 外周

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体薬剤容器(20)に貼付するラベル(1)であって、
容器(20)の外周(U)周囲に巻き付ける単層巻付けラベルであり、
前記ラベル(1)の切離し可能部分を成す予備ラベル(10)と、前記予備ラベル(10)を被覆する第1のラベル部分(11)とを有し、
前記予備ラベル(10)が、前記ラベル(1)の、前記第1のラベル部分(11)とは異なる表面領域に配置される、ラベル(1)。
【請求項2】
前記予備ラベル(10)が、前記第1のラベル部分(11)によって被覆されることになる、第2の中央ラベル部分(12)に配置される、請求項1に記載のラベル。
【請求項3】
前記ラベル(1)が、前記ラベル(1)の、前記第1のラベル部分(11)とは反対側の端部に配置され、背面が接着性であり、前面の少なくともある領域に接着防止コーティング(16)が設けられた、第3のラベル部分(13)を有する、請求項1または2に記載のラベル。
【請求項4】
前記第1のラベル部分(11)が、両面に印刷され、かつ/または両面に印刷することができ、前記第1のラベル部分(11)の背面が、広い表面積にわたって非接着性である、請求項1から3のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項5】
前記ラベル(1)の長手方向(L)に沿った前記第1のラベル部分(11)の長さ(L1)が、前記第1のラベル部分(11)が、ラベル付けする物体(20)またはラベル付けした物体の前記外周(U)を完全に取り囲み、前記第1のラベル部分(11)が立ち上がるまで前記予備ラベル(10)が露出しないように寸法設定される、請求項1から4のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項6】
前記ラベル(1)が、前記第1のラベル部分(11)の前記端部にある縁部領域(3)が再封止可能であり、特に、背面が接着性となるように実現される、請求項1から5のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項7】
前記第1のラベル部分(11)が、端部にプルタブ(4)を有し、前記プルタブ(4)によって、前記第1のラベル部分(11)の領域端部で、前記ラベル(1)を剥がすことができる、請求項1から6のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項8】
前記ラベル(1)が、前記第1のラベル部分(11)と前記第2のラベル部分(12)との間の移行領域(18)の前面に接着防止コーティング(16a)が設けられる、請求項1から7のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項9】
前記予備ラベル(10)が、前記長手方向(L)に前記第1のラベル部分(11)から離れた第1の表面部分(7)で、背面が非接着性である、請求項1から8のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項10】
前記予備ラベル(10)が、前記長手方向(L)に前記第1の表面部分(7)よりも前記第1のラベル部分(11)に近接して配置されたさらなる第2の表面部分(8)で、背面が接着性である、請求項9に記載のラベル。
【請求項11】
前記予備ラベル(10)が、前記ラベルの前記長手方向(L)に直交する方向に、前記ラベル(10)の2つの外側縁部(14)のうちの一方まで正確に延びる、請求項1から10のいずれか一項に記載のラベル。
【請求項12】
前記ラベル(1)の前記長手方向(L)に沿って前記第3のラベル部分(13)の前面に設けられた前記接着防止コーティング(16)が、前記予備ラベル(10)の、背面が接着性である前記第2の表面部分(8)の寸法と少なくとも同じ大きさの寸法を有する、請求項10または11に記載のラベル。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載のラベル(1)を備えた外面(22)を備える、液体薬剤容器(20)。
【請求項14】
前記ラベル(1)が、前記容器の前記外周(U)周囲に貼付され、前記容器の前記外周(U)周囲を2周から2周半する、請求項13に記載の容器。
【請求項15】
前記容器(20)が、バイアル、アンプル、または液体薬剤用、特にシングルドーズ用液体薬剤用の別の透明容器である、請求項13または14に記載の容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−209726(P2011−209726A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−67649(P2011−67649)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(502130685)シュライナー グループ ゲーエムベーハー ウント コー カーゲー (8)
【Fターム(参考)】