説明

液体表面処理材スプレー装置

【課題】既知のスプレーガンよりも気流効率を著しく向上させるスプレー装置を提供する。
【解決手段】気体および液体表面処理が通ってスプレーされる出口ノズル30と、出口ノズル30への液体表面処理材の供給を調整する制御ニードル弁40と、気体入口20を出口ノズル30に接続する気体供給通路21を備える。制御ニードル弁40を制御する制御手段は、ハウジング11に収容され制御ニードル弁40と係合するキャップ部材15として備えられる。キャップ部材15は、ハウジングに対して相対的に制御ニードル弁40の軸方向移動を制限するよう軸方向に調整可能である。キャップ部材15およびハウジング11には、それぞれ制御ニードル弁40の軸方向移動に適用される制限を示す複数の目盛が配置されており、それにより装置のスプレーパターンを繰り返し調整することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料のスプレー効率を向上する装置に関する。限定されるものではないが、
本発明は、特に、ペンキおよび同様の表面処理材料、特には水性ペイントの塗布用スプレ
ーガンに関する。
【背景技術】
【0002】
ガンのエア入口およびエア出口との間で圧力損失を低減する目的で、既知の種々のスプ
レーガンが、開発されている。従来のスプレーガン、大容量低圧力high volum
e−low pressure (HVLP)ガンおよび低容量低圧力low volu
me−low pressure(LVLP)ガンは、すべて、ガンを介してエア圧の減
少を被る。ある場合では、この減少は80%を超えることもある。
【0003】
HVLPガンは、スプレー材料の許容できる霧化を保持する非常に多量のエアを必要と
する。例えば、HVLPガンを通って多くのエアを通過させるには、約20scfm(5
66 1/min)の平均エア消費率になる、ガンの先端部において10psi(0.6
9bar)圧力を保持する超高圧を必要とする。75psi(5.1bar)の入力圧力
で、エアは、ガンから出て行くとき、圧縮前の容積に戻るよう膨張する。出口圧力はわず
か10psi(0.69bar)であるにもかかわらず、このことは、膨張するエアによ
って霧化されたスプレー材料をあらゆる方向へと向かわせる。このように、HVLPガン
のスプレー出力を制御することの難しさが分かるであろう。
【0004】
HVLPガンよりも流体先端部とエアキャップとの間の間隙が小さいにもかかわらず、
LVLPガンも、またガン体内の圧力損失を被る。その結果、LVLPガンは、15〜1
8psi(1.03〜1.24bar)の霧化(出口)圧力で操作するよう、さらに、5
0〜60psi(3.45〜4.14bar)の高い入口圧力を必要とする。LVLPガ
ンのエア消費率は、14〜18scfm(396〜510 1/min)であり、したが
って、LVLPガンはHVLPガンとほとんど同じくらい非効率的であることを示してい
る。
【0005】
HVLPおよびLVLPガンの前述の非効率性の主な原因は、ガン体内のエア通路の配
置にある。既知のガンにおけるエア通路の設計およびレイアウトは、内部気流効率を悪化
させる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は、既知のスプレーガンよりも気流効率を著しく向上させるスプレ
ー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の面によれば、液体表面処理材スプレー装置は、液体表面処理材を供給す
る液体入口と、
液体表面処理材と混合されるよう、加圧気体を供給する気体入口と、
気体および液体表面処理材が通ってスプレーされる出口ノズルと、
第1の軸上を軸方向移動するよう配置されるとともに、出口ノズルへ液体表面処理材の
供給を調整する制御ニードル弁と、
開位置と閉位置との間で操作可能な気体弁と、
前記出口ノズルと連通するとともに、同軸状に制御ニードル弁を囲むよう配置された気
体室と、
それぞれ第1および第2の直径を有する第1および第2の部分を備えるとともに、第1
の部分は前記気体入口と前記気体弁を接続し、第2の部分は前記気体弁と前記気体室を接
続している気体供給通路とを備え、
気体供給通路の第1と第2の部分は同軸状であり、気体供給通路が、全長にわたって実
質的に同じ直径を有するよう、第1と第2の直径は実質的に等しい。
【0008】
好ましくは、気体室は、気体供給通路に隣接するとともに前記第1の軸と実質的に平行
な方向に気体をノズルへ供給するような曲率半径を有する第1の端部を、備えており、前
記装置には、気体が通るスムーズな流路が配置される。曲率半径は、気体室の第1の端部
の内面の最小半径が気体供給通路の直径の1.3倍であるような曲率半径である。
【0009】
好ましくは、気体室は、気体室の第1の端部から横方向外側に次第に狭くなるテーパ形
状である内面を備えており、テーパ形状は前記出口ノズルの方向に向かっている。
【0010】
好ましくは、気体室は前記出口ノズルに隣接する第2の端部を備え、前記第2の端部の
内面は、気体室からノズルまで気体が流れるスムーズな流路を形成するよう、前記ノズル
へ向かって内側に次第に狭くなるテーパ形状である。
【0011】
好ましくは、前記気体弁は前記気体供給通路内に配置される。好ましくは、前記気体弁
は、直径が気体供給通路の直径と実質的に等しい開口部を内部に備える、軸方向にスライ
ドするピストン弁である。
【0012】
前記装置は、前記制御弁および前記気体弁の両方を操作するトリガー手段をさらに備え
る。
【0013】
好ましくは、前記制御ニードル弁は、部分的に前記気体室内に配置されており、前記制
御ニードル弁は、流体管直径を有する流体管と、実質的に流体管直径以下の流体先端部直
径を有する流体先端部と、を備える。好ましくは、前記流体管は、前記気体室内に配置さ
れるとともに流体管直径未満であるスロート部直径を有するテーパ形状のスロート部を備
える。
【0014】
本発明の第2の面によれば、液体表面処理材スプレー装置は、
ハウジングと、
液体表面処理材を供給する液体入口と、
液体表面処理材と混合されるよう、加圧気体を供給する気体入口と、
気体および液体表面処理が通ってスプレーされる出口ノズルと、
出口ノズルへ液体表面処理材の供給を調整する制御ニードル弁と、
前記気体入口を前記出口ノズルに接続する気体供給通路と、
前記ハウジングに収容され前記制御ニードル弁と係合する、軸方向にハウジングに対し
て相対的に、制御ニードル弁の軸方向移動を制限するよう調整可能なキャップ部材を備え
る、制御ニードル弁を制御する制御手段と、を備える。
【0015】
好ましくは、前記キャップ部材およびハウジングには、ニードル弁の軸方向調整量を示
す目盛が配置されている。
【0016】
好ましくは、装置はさらに、開位置と閉位置との間で操作可能な気体弁を備える。
【0017】
好ましい態様において、気体弁は気体供給通路内に配置されており、装置は、前記制御
ニードル弁および気体弁の両方を操作するトリガー手段をさらに備える。
【0018】
他の好ましい態様において、前記制御ニードル弁および気体弁は遠隔操作される。最も
好ましくは、制御ニードル弁は、加圧気体を介して遠隔操作され、装置は、ピストン室と
、ピストン室に配置されるとともに、前記加圧気体によって作動されたとき前記ニードル
制御弁と係合するピストンと、をさらに備える。装置は、また、気体供給通路とピストン
室を接続するとともに、気体弁が開位置にあるとき加圧気体がピストン室に通り抜けられ
る孔を備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
単なる具体例としての本発明の実施の態様を、添付の図面を参照して説明する。
【0020】
まず、図1を参照して、第1の実施例のスプレー装置、すなわちスプレーガンを10と
して全体的に示す。スプレーガン10はスライドさせてハウジング11に取付けられる流
体制御スリーブ12を有するハウジング11と、ねじ締めでハウジング11に取付けられ
るエアキャップリング13aによってハウジング11に保持されるエアキャップ13と、
ガンのスプレーパターンを制御する調整弁14と、を備える。また、ハウジング11が備
えるものには、内部ニードル弁機構に取付けられるとともに、ニードル弁の縦方向調整を
制限するよう制御スリーブ12にねじ締めで取付けられるニードル弁キャップ、すなわち
流体制御ナット、15がある。ニードル弁キャップ15には、ハウジング11上の垂直マ
ークと組み合わせて、オペレータがニードル弁の移動およびそれによるノズルを通過する
スプレー材料の量を制限することを可能にする水平マーク16が、ニードル弁キャップ1
5の円周の周りに間隔を空けて配置される。ハウジングは、水平表示ライン17aを有し
ており、複数の垂直表示ライン17bが1mmの間隔でそこから延びている。キャップ1
5の調整によって、キャップ15の先端を、ハウジング上の垂直表示ライン17bのいず
れかと並ぶように調整することができる。本実施例においては、10本の水平マーク16
がキャップ15上に等間隔に配置される。キャップ15の一の水平マーク16が、ハウジ
ングの水平表示ライン17aと並ぶことができるよう、キャップ15の調整を行うことが
可能である。したがって、キャップの一の水平マーク16がハウジングの水平線17aと
並んでいれば、キャップの36度の回転は次の水平マークを並べることになる。この手順
を以下により詳細に説明する。
【0021】
図1に示す実施例は、ハンドルすなわちグリップ部19を備える手動式スプレーガンで
ある。ガン10は、流体と気体がガンに同時に導入されるよう、ガス制御バルブ(図1に
は図示せず)を操作し、また流体制御スリーブ12を作動するトリガー18を備える。
【0022】
次に、図2を参照して、第1の実施例のスプレーガン10の操作を説明する。気体は、
気体入口20を経由してガン10に供給され、次に、直線状の連通通路21を通ってガス
制御バルブ23へ、そして気体室(気体チャンバ)26へと通過する。連通通路21は、
気体入口20およびガス制御バルブ23を接続する第1の部分と、ガス制御バルブ23を
気体室26と接続する第2の部分と、を備える。全通路が実質的に直線状になるよう、通
路21の両部分は同軸状に配置されている。さらに、通路が気体室26と交わるまで通路
が狭くなったり広くなったりしないよう、第1と第2部分の直径は実質的に同じである。
【0023】
ガス制御バルブ23は、気体フローに垂直に配置されており、トリガー18によって作
動され軸方向にスライドするピストン24を備える。ピストン24には、ピストン24を
貫通するピストン24の縦方向軸に垂直な、空けられた孔25が配置される。トリガー1
8が押下げられたとき、乱流が生じることなく、ガス制御バルブ23を通る気体に対して
スムーズな通路を提供するよう、孔25が通路21と並ぶように、孔25は連通通路21
の孔と同じ大きさである。
【0024】
ガス制御バルブ23および通路21の第2の部分を通ると次に、気体は気体室26に到
達する。気体室26は添付の図面から見て実質的に水平方向に気体フローを向けるのに十
分な曲率半径を有する、気体通路21に隣接する第1の端部29を備える。好ましくは、
第1の端部29の内側カーブ36は、通路21の直径の少なくとも1.3倍の曲率半径を
有する。
【0025】
以下に説明する通り、チャンバ26を通る気体フローを促進するよう、チャンバ26も
、また、横方向に次第に狭くなるテーパ形状である。第1の端部29から離れた、チャン
バ26の第2の端部は、混合された気体およびスプレー材料がガンから通って出て行く出
口ノズル30である。チャンバ26の第2の端部は内面31を備えており、内面31は、
出力ノズル30に達するポイントへ内面31を内側に次第に狭くさせる曲率半径を有する

【0026】
全体的に40として示された制御ニードル弁が、部分的に、出力室26内に配置される
。制御ニードル弁40は、流体ニードル43と、流体管44と、流体先端部45と、を備
える。キャップ15には、流体ニードル43が収容されるニードルハウジング41が配置
される。流体ニードル43は、ニードルばね46によって閉位置に付勢される。例えば、
ニードルハウジング41は、サークリップなどの保持手段によって制御スリーブ12に嵌
められたリターンスプリングピストン42内に、挿入される。リターンスプリング(戻し
ばね)47も、また、流体スリーブ12およびトリガー18を閉位置に付勢するよう配置
される。
【0027】
流体ニードル43は、流体管44を通って、前方へ、流体先端部45の座部の受け部へ
延設される。ニードルばね46は、流体ニードルが流体先端部45で座部に着座して、流
体管44から出力ノズル30の流体の出口を塞ぐよう、流体ニードル43を付勢する。出
力室26を通ってノズル30へ向かう気体フローの乱れを防止するために、流体先端部4
5の直径は、流体管44の直径以下の大きさである。また、図2の実施例は、出力室26
内のより狭いスロート部44aを備える流体管44の使用を示す。スロート部44aは、
流体管44の他の残りの部分の直径未満の直径を有しており、気体室26を通過する気体
に対してスムーズな通路を提供するよう配置することができる。
【0028】
操作において、トリガー18は常に制御スリーブ12をフルストロークで移動させても
よい。しかしながら、ニードルハウジング41のリターンばねピストン42への貫入を制
限するか増加させるよう、キャップ15は、スリーブ12に回転させて調整できるように
することができる。この方法で、流体ニードル43の移動を、スリーブ12のフルストロ
ークに対して相対的に調整することができる。キャップ15が流体ニードル43の移動を
完全に制限するよう調整された場合、ギャップは、ニードルハウジング41の端部と、制
御スリーブ12のフルストロークと等しい流体ニードル43の端部と、の間に形成される
。このように、トリガー18は操作され、流体先端部45における座部から流体ニードル
43を離れさせることなく、フルストロークにスリーブ12を移動させることができる。
【0029】
先に図1を参照して説明した通り、ガンハウジングは、1mm間隔で縦方向部分に沿っ
た複数の垂直表示ライン17bを有する。キャップ部材15の先端が一の垂直表示ライン
17bと並ぶよう、キャップ15を調整することができる。一度並べた後、キャップ15
の水平マーク16はハウジングの水平表示ライン17aと並べることができる。キャップ
15のそれぞれの水平マーク16は、0.1mmの流体ニードルの位置移動の減少あるい
は増加を表す。これにより、マイクロメーターと同様の方法で、スプレーガンに、流体ニ
ードル43の正確で反復可能な調整が提供される。
【0030】
流体ニードル43の掃除が必要な場合、キャップ15のネジは、単にガンハウジングか
らねじをゆるめて抜き、流体ニードル43と共に取外すことができる。
【0031】
図1および図2に示される実施例は、流体入口50を介して加圧下でスプレー材料が供
給される手動式スプレーガンの特徴を示している。そして、流体通路51は、ガンのハン
ドル部19を通ってスプレー材料を流体管44に送る。
【0032】
図3に示される実施例も、また、手動式スプレーガン100であり、図1および図2の
実施例と同じ方法で作動する。したがって、共通の部材には同じ参照符号が付され、ここ
ではさらに説明しない。一方、この第2の実施例100が第1の実施例と異なるところは
、流体が重力下でリザーバ(貯槽)からガンに供給されるところにある。したがって、流
体入口60は本実施例におけるガン100の上部に配置され、流体リザーバ(図示せず)
は入口60に、単に、ねじで留められてもよい。そして、流体を、流体先端部45および
ノズル30への供給に、ガンの流体管44に直接通過させる。
【0033】
図5は、図1および図2に示した第1の実施例の装置のさらなる変形である、スプレー
装置の第3の実施例150を通る縦方向の断面を示す。第2の実施例100のように、第
3の実施例のガン150は第1の実施例10の多くの特徴を備える。共通の特徴について
は図5に同じ参照符号が付されており、さらには説明しない。しかしながら、第3の実施
例150が第1および第2の両方の実施例10,100と異なるところは、ガンが、ニー
ドル弁の機械的な操作ではなく、空気式であることにある。その結果、第3の実施例15
0は、スライドする流体制御スリーブをハウジングに備えていない。代りに、チャンバ2
6への入口には、ピストン42に直接作用するよう、通路21の加圧気体の一部を導く孔
32が配置される。ニードル43には、ニードルばね46とピストン42との間に位置す
るフランジ33が配置される。したがって、孔32の加圧気体がピストン42に作用する
と、それによりピストン42は、ニードルフランジ33に作用し、ニードル43を流体先
端部45の座部から離れさせる。そして、気体がピストン42に直接作用するとき、作動
中に加圧気体の損失がないよう、Oリングシールがピストン42それ自体とエンドキャッ
プ15の基部に取付けられている。
【0034】
ガンの第3の実施例150の目的は、流体ニードルが機械的な作用の必要なしで操作さ
れる、手動式スプレーガンを提供することである。気体がチャンバ26に入るよう、トリ
ガー18が引かれて、ピストン孔25が通路21と並ぶと、気体は孔32に入り、ピスト
ン42に作用する。しかしながら、先に説明した通り、ニードル43の移動を制限し、そ
れによりノズル30で放出される流体量を制御するよう、エンドキャップ15は作用する
。トリガー18が解放されると、トリガーリターンスプリング34がトリガー18を戻し
、それにより通路21を閉塞する。ピストン42への気体が遮断されると、ピストン42
およびニードルの43は、リターンスプリング46の作用により閉位置に戻る。
【0035】
図5(a)および図5(b)は、本発明の第4の実施例の平面図および側面図をそれぞ
れ示す。第4の実施例は、手動式ガンではなく自動式スプレーガンである点で、先に説明
した実施例と異なる。全体的に200として示された自動式ガンは、前の実施例と多くの
部材が共通である。ガンは、エアキャップリング213aによってエアキャップ213が
保持されるハウジング211を備える。エアキャップリング213aはねじ締めでハウジ
ング211に取付けられる。さらに、第1と第2実施例に関して説明した通り、ガン20
0のスプレーパターンを制御する調整弁214が配置され、ニードル弁の流体ニードルの
縦方向の調整を制限するために、ニードル弁キャップ215も、また、配置される。
【0036】
次に、図6および図7を参照して、自動式ガン200の操作をより詳細に説明する。霧
化気体が、この例では、トリガー操作弁ではなく、遠隔操作弁(図示せず)によって供給
されることを除いて、全般に、前の実施例と同様の方法でガンを通過する。気体は、霧化
気体入口220でガン200に入り、そして出力室226に入る。
【0037】
チャンバ226は、入口端で、入って来る霧化気体が出力ノズル230の方向へ出力室
226を通って水平方向に向けられるように、曲率半径229を有する。また、ノズル2
30に隣接するチャンバの部分は、内面231を備えており、内面231は、出力ノズル
230に達するポイントへ内面231を内側に次第に狭くさせる曲率半径を有する。
【0038】
全体的に240として示された制御ニードル弁が、部分的に、出力室226内に配置さ
れる。制御ニードル弁240は、流体管244と、流体先端部245と、を備えており、
流体ニードル243は、流体管244を通って、前方へ、流体先端部245の座部の受け
部へ延設される。ニードルばね246は、流体ニードルが流体先端部245で座部に着座
して、流体管244から出力ノズル230の流体の出口を塞ぐよう、流体ニードル243
を付勢する。出力室226を通ってノズル230へ向かう気体フローの乱れを防止するた
めに、流体先端部245の直径は、流体管244の直径以下の大きさである。本実施例は
、出力室226内のより狭いスロート部244aを備える流体管244の使用を再び示す
。気体が気体入口220を出てチャンバ226に入るとき、気体に対してスムーズな通路
を提供するように、スロート部244aは配置される。
【0039】
本発明のこの実施例は自動式ガンであるので、手動式ガンにおいて必要なトリガー、制
御スリーブ、ニードルハウジングおよびリターンスプリングピストンは、ガンのメインハ
ウジング211にねじ締めで取付けられるピストンハウジング252内に収容される作動
ピストン250と置き換えられる。キャップ215は、流体の流れを調整する流体ニード
ル243の移動を制限するよう、前の実施例において上述した同じ方法で作動する。スプ
レーのマイクロメーター型調整が達成されるように、第1および第2実施例に対して説明
したマークと表示ラインを、また、自動式ガンに対して使用してもよい。表示ラインが、
キャップ215の偶発的な調整を防ぐロックナット251上に配置されることのみが異な
る。前の実施例のように、キャップ215が、キャップ215と隣接するニードル243
の端部を取り出す内部フランジ(図示せず)を備える場合、完全なガンの掃除のために流
体ニードル243を取外すこともできる。
【0040】
ピストン250は、ピストン気体入口253からピストンハウジング252に入る加圧
気体によって操作される。霧化気体を用いて、ピストン気体は、ガン自体から離れたバル
ブ手段によって制御される。ピストン気体がピストンハウジング252を入ると、気体は
ピストン250を押し戻し、ニードル243上のフランジ254と当接させる。
【0041】
したがって、ピストン250が移動して戻るとき、ニードル243もまた移動して戻り
、こうして、流体入口260を介して流体管244に入っている、流体管244内にある
材料をスプレーするよう、流体先端部245を開く。そして、キャップ215の内部の迫
台(図示せず)はニードル243と当接し、それにより、ニードル243の移動を制限す
る。したがって、キャップ215がハウジング上に時計回りにねじが回された場合、それ
により、ニードルによる可能な移動量を減少させ、また、反時計回りにねじが回された場
合、それにより、ニードル移動量を増加させることになる。よって、ガンにおける流体フ
ローはキャップ215の調整によって制御される。
【0042】
図7は、図5および図6に示した実施例の断面を示すが、切断線VII−VIIに沿っ
たものである。この断面の主な目的は、先に説明したいずれの実施例にも当てはめること
ができる、出力室226の横方向のテーパ形状を図示することである。図7からわかる通
り、チャンバ226の内面270は入口から出口へ横方向外側に次第に狭くなるテーパ形
状である。このテーパ形状もさらにまたガンを通る気体のスムーズな流れを促進する。
【0043】
図8(a)および(b)は、第4の実施例の装置の変形例である第5の実施例のスプレ
ー装置を示す。第5の実施例の特徴は大多数は第4の実施例と共通し、ここではこれらに
ついてさらに説明しないが、図8(a)および(b)には同じ参照符号が付されている。
第5および第4の実施例が異なるところは、第5の実施例におけるエンドキャップ215
がニードル弁243の移動の微調整を提供するよう変形されたところにある。図8(a)
に示す通り、装置の外見上、ここではエンドキャップ215がピストンハウジング252
の端部にわたって取付けられており、目盛216が配置されていることのみが、異なる。
目盛216は、ピストンハウジング252上の基準線217に対して見られる。
【0044】
図8(b)は、エンドキャップ215にかかる変形をより詳細に示す。エンドキャップ
215がピストンハウジング252の外部の雄ねじ272と協働する雌ねじ270を備え
ることがわかるであろう。エンドキャップ215上の目盛216により、オペレータは、
容易に、前のセッティングを得ることが可能なニードル243の移動を調整することがで
きる。したがって、先の実施例のロックナットは必要ない。他の点では、第5の実施例は
、第4の実施例と同じ方法で作動する。
【0045】
既存のスプレー装置に対する本発明の利点は、気体入口からノズルまでにわたるガンの
圧力損失が、ガンを通る気体の効率的なフローために減少されることにある。手動式の実
施例において、気体通路は実質的に直線であり、また、制御弁が開いているとき気体のフ
ローが制限されないように、制御弁孔は通路と同じ大きさである。手動式および自動式の
実施例の両方において、出力室と入口は、気体フローが室を通って実質的に水平方向に緩
やかに曲がることを可能にするよう、大きくされた直径を有する。また、室壁の横方向に
次第に狭くなるテーパ形状および出力ノズルに隣接する内側に次第に狭くなるテーパ形状
によって、チャンバを通る気体フローはスムーズである。ニードル弁の流体先端部の直径
が流体管の直径の外側に突出せず、流体管が出力室においてテーパ形状であるスロート部
を備えることで、気体フローはさらに促進される。
【0046】
本発明のさらなる利点は、ガンハウジングに、キャップマークおよび表示ラインを配置
することによって、ガンのオペレータが、ガンのスプレーを前に使用された正確なセッテ
ィングに調整できることにある。この反復性は、オペレータが前に使用されたスプレー比
率を再び得るために試験するという貴重な時間を浪費する必要がないことを意味する。
【0047】
本発明に対する可能な変形としては、例えば、放射性イオン化カートリッジなど放射性
イオン化ソースを霧化気体入口に組み込むことが挙げられよう。そのようなソースの導入
は霧化気体をイオン化し、霧化されたスプレー液滴に静電荷が蓄積されることに関する問
題を克服するであろう。
【0048】
こうした変形あるいは他の変形や改良は本発明の範囲を逸脱することなく取り入れるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は、第1の実施例のスプレー装置の側面立面図を示す。
【図2】図2は、図1に示した第1の実施例のスプレー装置の縦方向断面を示す。
【図3】図3は、第2の実施例のスプレー装置の縦方向断面を示す。
【図4】図4は、第3の実施例のスプレー装置の縦方向断面を示す。
【図5】図5(a)および図5(b)は、第4の実施例のスプレー装置の平面図および側面図をそれぞれ示す。
【図6】図6は、図5(a)の線VI−VIに沿った、第4の実施例のスプレー装置の断面を示す。
【図7】図7は、図5(b)の線VII−VIIに沿った、第4の実施例のスプレー装置の断面を示す。
【図8】図8(a)は、第5の実施例のスプレー装置の側面立面図を示す。図8(b)は、図8(a)に示した第5の実施例の縦方向断面を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
液体表面処理材を供給する液体入口と、
液体表面処理材と混合されるよう、加圧気体を供給する気体入口と、
気体および液体表面処理が通ってスプレーされる出口ノズルと、
出口ノズルへ液体表面処理材の供給を調整する制御ニードル弁と、
前記気体入口を前記出口ノズルに接続する気体供給通路と、
制御ニードル弁を制御する制御手段であって、前記ハウジングに収容され前記制御ニードル弁と係合するキャップ部材を有し、前記キャップ部材は、軸方向にハウジングに対して相対的に、制御ニードル弁の軸方向移動を制限するよう調整可能である、制御手段とを備え、
前記キャップ部材およびハウジングには、それぞれ制御ニードル弁の軸方向移動に適用される制限を示す複数の目盛が配置されている、
液体表面処理材スプレー装置。
【請求項2】
開位置と閉位置との間で操作可能な気体弁をさらに備える、請求項1に記載の液体表面処理材スプレー装置。
【請求項3】
気体弁は気体供給通路内に配置される、請求項2に記載の液体表面処理材スプレー装置。
【請求項4】
制御弁および気体弁の両方を操作するトリガー手段をさらに備える、請求項2に記載の液体表面処理材スプレー装置。
【請求項5】
前記制御ニードル弁および気体弁は遠隔操作される、請求項2に記載の液体表面処理材スプレー装置。
【請求項6】
制御ニードル弁は、加圧気体を介して遠隔操作される、請求項5に記載の液体表面処理材スプレー装置。
【請求項7】
ピストン室と、ピストン室に配置されるとともに、前記加圧気体によって作動されたとき前記ニードル制御弁と係合するピストンと、をさらに備える、請求項6に記載の液体表面処理材スプレー装置。
【請求項8】
気体供給通路とピストン室を接続するとともに、気体弁が開位置にあるとき加圧気体がピストン室に通り抜けられる孔をさらに備える、請求項7に記載の液体表面処理材スプレー装置。
【請求項9】
ハウジングと、
液体表面処理材を供給する液体入口と、
液体表面処理材と混合されるよう、加圧気体を供給する気体入口と、
気体および液体表面処理が通ってスプレーされる出口ノズルと、
出口ノズルへ液体表面処理材の供給を調整する制御ニードル弁と、
前記気体入口を前記出口ノズルに接続する気体供給通路と、
前記ハウジングに収容されたキャップ部材と、キャップ部材に収容され、ハウジングに対して選択的にキャップ部材を係止するようになっている係止部材とを有する、制御ニードル弁を制御する制御手段とを備え、
キャップ部材は、前記制御ニードル弁と係合し、軸方向にハウジングに対して相対的に、制御ニードル弁の軸方向移動を制限するよう調整可能であり、前記キャップ部材および係止部材には、それぞれ制御ニードル弁の軸方向移動に適用される制限を示す複数の目盛が配置されている、
液体表面処理材スプレー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−161870(P2008−161870A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−30072(P2008−30072)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【分割の表示】特願2003−528297(P2003−528297)の分割
【原出願日】平成14年9月16日(2002.9.16)
【出願人】(504098956)ジー ヴィンセント リミテッド (1)
【Fターム(参考)】