説明

液体調合装置

【課題】複数種類の液体の調合において、重量精度に優れ精密な調合を行える液体調合装置を提供することを目的とする。
【解決手段】吐出ノズルを有する複数個の容器に加圧手段を設け、この加圧手段に重量計測手段を接続して重量計測データ出力により加圧手段を制御し、吐出ノズルより所定重量の液体を重量計測手段の計量容器に吐出して複数種類の液体を所定重量比で調合する。前記容器にはそれぞれ粘度の異なる液体を収容し、これら容器に温度調節手段を取り付け、この温度調節手段により容器内の液体の温度を調節して種類の違う液体の粘度を平均化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類の液体を所定の比率で調合して混合液を得るための液体調合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数種類の液体を混ぜ合わせて混合液を得る場合、ノズルから調合すべき液体を吐出して計量装置にセットした計量容器に注入し、計量装置の示す重量によって各液体の混合比率を計算している。このような調合作業を自動で行う装置が特許文献1に記載されている。
【0003】
特許文献1に記載の装置は、アームの先端にマイクロシリンジと加熱部を備えた分注器を取り付け、アームを駆動して分注器により高粘度化合物を、マイクロシリンジにより低粘度化合物を所定の容器に供給する構成となっており、分注器の加熱部により高粘度化合物を熱して高粘度化合物が流動性を示す程度の温度に保つことができ、高粘度化合物を使用する場合であっても短時間に調合することができる。
【0004】
このとき、多量の混合液を調合するのであれば、各液体の吐出量に多少の誤差が生じても混合比率の精度が問題となることは少ないが、試験などのために、複数の液体の調合比率を少しずつ変えた少量多種の混合液を調合するなどの場合には、各液体の重量精度が大きな問題となる。
【0005】
調合の際の重量精度を悪化させる原因としては、ノズルの先端から落下して計量容器に注入されるまでの未秤量液体がある。この未秤量液体は、液体の粘度やノズルから計量容器内の液面までの距離によってその重量が変わるため、精密な調合の妨げとなっている。
【特許文献1】特開2007−56106
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、複数の液体を混ぜ合わせて少量の混合液を調合する場合であっても、重量精度よく精密な調合を行える液体調合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明では、吐出ノズルを有する複数個の容器に加圧手段を設け、この加圧手段に重量計測手段を接続して重量計測データ出力により加圧手段を制御し、吐出ノズルより所定重量の液体を重量計測手段の計量容器に吐出して複数種類の液体を所定重量比で調合するものにおいて、前記容器にそれぞれ粘度の異なる液体を収容し、これら容器に温度調節手段を取付け、この温度調節手段により容器内の液体の温度を調節して種類の違う液体の粘度を平均化することを特徴とする。
請求項2記載の発明は、
粘度の異なる複数種類の液体を所定の重量比で調合するものにおいて、吐出ノズルを有する複数個の高粘度容器にそれぞれ粘度の異なる高粘度の液体を収容し、これら高粘度容器に温度調節手段を取付け、この温度調節手段により高粘度容器内の液体の温度を調節して種類の違う液体の粘度を平均化すると共に、上面が開口した複数個の低粘度容器にそれぞれ粘度の異なる低粘度の液体を収容し、低粘度容器ごとに決まったノズルチップを選択して吸引吐出器の先端に交換可能に接続して低粘度容器の液体を吸引し、高粘度容器及び吸引吐出器に備える加圧手段に重量計測手段を接続して重量計測データ出力により加圧手段を制御し、吐出ノズル及びノズルチップより所定重量の液体を重量計測手段の計量容器に吐出することを特徴とする。
請求項3記載の発明は、上記重量計測手段は、計量容器に供給した液体の液面高さを計測する液面高さ計測手段を備え、この液面高さ計測手段により計測した計量容器の液面から上記ノズルの下端までの距離を一定に調整することを特徴とする。
請求項4記載の発明は、上記加圧手段は、液体の吐出速度を調整する吐出速度調整手段を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、複数の液体をそれぞれ容器に収容し、これらの容器に温度調節手段を取付けて、この温度調節手段により容器内の液体の温度を調節して種類の違う液体の粘度を平均化することにより、それぞれの液体の粘度を平均化して、吐出ノズルの下端から計量容器の液面までの未秤量液体の粘度のばらつきによる吐出重量への影響を排除し、未秤量液体の液量を管理して混合液の調合精度を向上させることができる。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、高粘度の液体は吐出ノズルを有する高粘度容器に収容して、この高粘度容器に取付けた温度調節手段により高粘度容器内の温度を調節して各高粘度容器の液体の粘度を平均化すると共に、低粘度の液体は上面が開口した低粘度容器に収容して、低粘度容器ごとに決まったノズルチップを選択して吸引吐出器の先端に交換可能に接続して低粘度溶液の液体を吸引し、高粘度容器及び吸引吐出器に備える加圧手段に重量計測手段を接続して重量計測データ出力により加圧手段を制御し、吐出ノズル及びノズルチップより所定重量の液体を重量計測手段の計量容器に吐出することにより、液体をその粘度に応じた容器に収容して適切に吐出し、調合精度の向上を達成すると共に装置の大型化や高コスト化を抑制することができる。
【0010】
請求項3記載の発明によれば、上記重量計測手段は計量容器に供給した液体の液面高さを計測する液面高さ計測手段を備え、この液面高さ計測手段により計量容器の液面高さを計測して、計量容器の液面から上記ノズルの下端までの距離を一定に調整することにより、未秤量液体の上記距離のばらつきによる影響を排除し、未秤量液体の液量を精確に管理して混合液の調合精度をいっそう向上させることができる。
【0011】
請求項4記載の発明によれば、上記加圧手段は液体の吐出速度を調整する吐出速度調整手段を備え、この吐出速度調整手段で液体の吐出速度を調整することにより、吐出開始時には高速に吐出すると共に吐出終了前は低速でゆっくりと吐出し、吐出終了直前には吐出を停止して、温度制御手段及びノズル位置調整手段によって一定量に管理された未秤量液体により必要量を精確に供給して混合液の調合精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る液体調合装置の実施形態について、図1乃至図12を参照して説明する。まず、図1及び図2を参照して液体調合装置の全体構成について説明する。図1は本発明に係る液体調合装置の正面斜視図であり、図2は液体調合装置の平面図である。
【0013】
本実施形態において、液体調合装置1を構成する高粘度液体ユニット2と低粘度液体ユニット3と制御ユニット4は、正面を開口した箱型のワークベース体10の内側又は外側に配置されている。
【0014】
ワークベース体10の内側の正面奥には移動手段である3軸スライダ40を配置する。3軸スライダ40は、図1において左右方向のX軸スライダ400と、前後方向のY軸スライダ401と、上下方向のZ軸スライダ402とにより構成する。この3軸スライダ40のZ軸スライダ402に把持手段41を取り付ける。
【0015】
正面中央には多数の低粘度容器31を支持する容器支持具32を配置し、容器支持具32の右方奥には、各低粘度容器31に対応するノズルチップ33を支持するノズルチップ支持具34を配置する。ノズルチップ支持具34の手前には重量計測手段である電子天秤装置44を配置し、液体を供給して混合する計量容器43を電子天秤装置44の上に設置する。ワークベース体10の内側の最右方には、ヘッド支持手段42を配置して温調ヘッド20と吸引吐出器30を並べて支持している。
【0016】
ワークベース体10の外側には、温度制御手段を構成する温調機45と、加圧手段を構成する定量吐出機46及びシリンジポンプ47を配置する。さらに、制御ユニット4を構成する各機器の設定や入出力値の監視を行う入出力装置として図示しないパーソナルコンピュータ及びモニタを設置し、また、この入出力装置によってコントロールされ、制御ユニット4を駆動するエアシリンダなどの駆動手段(図示しない)を設ける。温調機45や定量吐出機46及びシリンジポンプ47などから伸びる導線や配線は図示を省略する。
【0017】
高粘度液体ユニット2は、ヘッド支持手段42に支持された複数の温調ヘッド20により構成する。また、低粘度液体ユニット3は、吸引吐出器30と、容器支持具32に支持される低粘度容器31と、ノズルチップ支持具34に支持されるノズルチップ33とにより構成する。
【0018】
また、制御ユニット4は、3軸スライダ40と、把持手段41と、ヘッド支持手段42と、電子天秤装置44と、温調機45と、高粘度液体ユニット2の加圧手段である定量吐出機46と、低粘度液体ユニット2において吸引吐出器30に装着したノズルチップ33より液体を吸引吐出する加圧手段であるシリンジポンプ47とにより構成する。
【0019】
ワークベース体10の内側に配置した、容器支持具32と、ノズルチップ支持具34と、3軸スライダ40と、電子天秤装置44とは相対的な位置を固定しておく。計量容器43は、電子天秤装置44の一定の位置に位置決め載置可能に構成する。また、ヘッド支持手段42も、容器支持具32、ノズルチップ支持具34、3軸スライダ40や電子天秤装置44との相対的な位置を固定してもよい。
【0020】
本実施形態においては、高粘度液体ユニット2を6本の温調ヘッド20、20、・・・により構成しており、ヘッド支持手段42には低粘度液体ユニット3の吸引吐出器30と合わせて7本のヘッドが支持されている。この場合、把持手段41が奥にある温調ヘッド20を把持できる位置に移動できないため、ヘッド支持手段42は、図2において上下方向に摺動可能に構成している。
【0021】
ヘッド支持手段42を摺動可能としていることにより、移動手段の可動範囲によらず必要な数の温調ヘッドを確保することができるため、多様な混合液の調合に対応することができる。
【0022】
次に、高粘度液体ユニットについて図3乃至図8を参照して説明する。まず、図3を参照して高粘度液体ユニットを構成する温調ヘッドについて説明する。図3は、温調ヘッドの部分断面側面図である。
【0023】
温調ヘッド20は、液体を保持する筒状の高粘度容器21と、この高粘度容器21の下端に備える吐出ノズル22と、高粘度容器21及び吐出ノズル22を収納する筒状ケース23と、この筒状ケース23及び高粘度容器21の上部を塞ぐ蓋体24とにより構成する。筒状ケース23の筒壁の内部には、ヒータ25と図示しない温度計とを設ける。また、蓋体24には、定量吐出し機46による吐出のための加圧口240を設ける。
【0024】
ヒータ25は、高粘度容器21の周囲に取り付けられた容器用ヒータ250及び吐出ノズル22の周囲に取り付けられたノズル用ヒータ251とからなる。また温度計は、高粘度容器21内の液体の温度を計測する容器用温度計及び吐出ノズル22内の液体の温度を計測するノズル用温度計とからなる。容器用ヒータ250及び容器用温度計で高粘度容器21内の液体の温度を制御し、ノズル用ヒータ251及びノズル用温度計で吐出ノズル22内の液体の温度を制御する。
【0025】
次に、図4及び図5を参照して把持手段による温調ヘッドの把持について説明する。図4はヘッド支持手段に温調ヘッドを支持した状態を示す側面図であり、図5は把持手段により温調ヘッドを把持する様子を示す平面図である。
【0026】
温調ヘッド20は、これを把持手段41により把持するための把持部材27を備えている。把持部材27は板状で、温調ヘッド20の上部と下部で筒状ケース23と一体に取り付けられている。把持部材27には係止具28を取り付け、また把持部材27の外側面には受穴29を形成する。
【0027】
ヘッド支持手段42は、図4に一部を破断して示すように、本体フレーム420と、温調ヘッド20の下端を支える下端支持板421と、筒状ケース23の上部及び下部を支える下部支持板422及び中部支持板423と上部支持板424と、上部支持板424の先端に形成した係止板425とにより構成されている。下端支持板421には、温調ヘッド20の吐出ノズル22の下端を受ける窪み426を形成する。
【0028】
温調ヘッド20は、その吐出ノズル22の先端を下端支持板421の窪み426に嵌め込むと共に把持部材27に取り付けられている係止具28を係止板425に係止することにより定位置に起立状態で支持される。
【0029】
把持手段41は、図5に示したように、移動手段である3軸スライダ40のZ軸スライダ402に取り付ける本体部410と、温調ヘッド20の把持部材27の受穴29と嵌合する左右の突体411、411と、板状の把持部材27を挟持する一対の挟持部412、412とにより構成されている。両挟持部412、412は、本体部410に対して図5において上下方向に摺動可能に構成されている。
【0030】
温調ヘッド20を把持するときは、まず、把持手段41をヘッド支持手段40により定位置に支持された温調ヘッド20の正面に移動させる(図5(a))。そして、把持手段41を前進させて突体411を把持部材27の受穴29と嵌合させると共に、挟持部412を互いに内向きに摺動させて板状の把持部材27を挟持する(図5(b))。
【0031】
上記構成のヘッド支持手段42によれば、吐出ノズル22の下端を窪み426で受けているため温調ヘッド20を確実に定位置に支持することができ、自動制御による把持作業が容易となる。また、突体411を受穴29と嵌合させることにより把持状態での温調ヘッド20の高さ位置を精度よく決めることができる。
【0032】
次に、図6を参照して温調ヘッドに保持された液体の温度制御について説明する。図6は、液体の温度と粘度の関係の一例を示す相関図である。
【0033】
図6は、3つの温調ヘッド20にそれぞれ液体A、液体B、液体Cを入れた場合について示している。液体Aについては破線で、液体Bについては実線で、液体Cについては一点鎖線で示されている。
【0034】
温度制御にあたっては、まず使用粘度を決定する。このとき使用粘度は、各液体A、B、Cが変質しない温度範囲で決定する。図6においては、使用粘度を細い実線で示している。液体Aがこの使用粘度となる温度は42℃であり、液体Aを保持した温調ヘッドは液体Aが42℃となるように温度制御手段により温度を制御する。液体B及び液体Cも同じく、各液体が保持された温調ヘッドによりそれぞれ50℃及び30℃となるように温度制御手段により温度を制御する。
【0035】
本実施形態の温度制御手段は、温調機45と、温調ヘッド20に設けた温度計とにより構成している。
【0036】
次に、液体吐出の際のノズル位置の調整について説明する。ノズル位置の調整は液面高さ計測手段とノズル位置調整手段とにより行う。
【0037】
本実施形態において液面高さ計測手段は、計量容器43に供給した液体の量と電子天秤装置44の秤量値とから算出するように構成している。また、液面高さ計測手段を、レーザ距離計や超音波距離計などをワークベース体10や温調ヘッド20又は吸引吐出器30に取り付けて構成してもよい。また、本実施形態においてノズル位置調整手段は、移動手段である3軸スライダ40により構成している。
【0038】
ノズル位置の調整を行うには、まず計量容器43への液体の供給により上昇する計量容器内の液体の液面の高さを液面高さ計測手段(図示しない)により計測する。そして、ノズル位置調整手段により、計測した液面高さからヘッドのノズルの下端までの距離が一定となるように調整する。
【0039】
次に、図7を参照して吐出速度調整手段による液体の吐出制御について説明する。図7は、吐出開始からの経過時間と重量計測手段による混合液の秤量値との関係の一例を示す相関図である。図7は、具体例として5gの液体を計量容器に供給する場合について示している。
【0040】
まず、吐出開始時は定量吐出機46による吐出圧力を高くして、短時間で閾値A(例えば4.5g)に達するまで液体を吐出する(高速吐出段階(図7(区間a)))。重量計測手段である電子天秤装置44が閾値A以上の秤量値を計測したら、定量吐出機46の吐出圧力を低くして、閾値B(例えば4.9g)に達するまで液体を吐出する(低速吐出段階(図7(区間b)))。そして、電子天秤装置44が閾値B以上の秤量値を計測したら、定量吐出機46による吐出を終了し(吐出停止段階(図7(区間c)))、吐出ノズル22から混合液までの未秤量液体により必要量の液体を得る。
【0041】
本実施形態において、吐出速度調整手段は、混合液の秤量値が所定の閾値を超えたか否かにより吐出速度を調整しているが、吐出圧力と吐出時間から吐出量を算出して、この算出値に基づいて吐出速度を調整する構成としてもよい。また各液体について、吐出圧力の単位時間当りの吐出量をデータとして保持し、このデータに基づいて吐出速度を調整する構成としてもよい。
【0042】
また本実施形態において、閾値による吐出圧力の切換えは、重量計測手段を加圧手段に接続しておき、重量計測手段によって計測した秤量値を加圧手段に入力することで行っているが、吐出圧力と吐出時間から吐出量を算出して、さらに吐出した液体の比重とからその液体の重量を求める構成としてもよい。
【0043】
次に、図8を参照して、計量容器へ液体を供給する際の温調ヘッドの移動について説明する。図8は、移動手段により温調ヘッドが移動する様子を示した平面図である。
【0044】
液体の調合作業を開始すると、初期位置にある3軸スライダ(図8(a))は、必要な液体を保持する温調ヘッド20の正面に移動してこの温調ヘッド20を把持する(図8(b))。次に、計量容器43の上に温調ヘッド20を移動させ(図8(c))、液体を吐出して必要量を計量容器43に供給する。そして、必要量を供給した後は温調ヘッド20を元の位置にもどす(図8(d))。
【0045】
次に、図9乃至図12を参照して低粘度液体ユニットについて説明する。まず、図9及び図10を参照して低粘度液体ユニットを構成する吸引吐出器について説明する。図9は吸引吐出器の側面構成図であり、図10は吸引吐出器の正面構成図である。
【0046】
吸引吐出器30は、ヘッド本体300に液体の吸引吐出のための通孔301を形成し、このヘッド本体300を把持部材302に固定してなる。ヘッド本体300は固定具305を介して把持部材302に固定される。把持部材302は、ヘッド支持手段42の係止板425に係止するための係止具303と、把持手段41の突体411と嵌合する受け穴304を備えている。
【0047】
また、把持部材302に縦向きの溝307を形成して、この溝307にスライダ308を取り付ける。スライダ308を図示しないエアシリンダにより駆動して、溝307に沿って上下に摺動させ、このスライダ308の下部に押出し部材306を取り付けて、この押出し部材306をヘッド本体300に沿って上下動させる。
【0048】
次に、図11を参照して吸引吐出器へのノズルチップの着脱について説明する。図11は、吸引吐出器の着脱機構の動作を示す正面図である。図11(a)はノズルチップを装着した状態を示し、図11(b)はノズルチップを取り外した状態を示している。
【0049】
ノズルチップ33を吸引吐出器30に装着する際には、吸引吐出器30をノズルチップ33の上方に移動して下降し、ヘッド本体300の下端部をノズルチップ33に嵌め込んで固定する(図11(a))。この状態から、図示しないエアシリンダによりスライダ308を駆動し、押出し部材306をヘッド本体300に沿って下動させてノズルチップ33の上端を押すことにより、ノズルチップ33を取り外すことができる(図11(b))。
【0050】
次に、図12を参照して、計量容器へ液体を供給する際の吸引吐出器の移動について説明する。図12は、移動手段により吸引吐出器が移動する様子を示した平面図である。
【0051】
液体の調合作業を開始すると、初期位置にある3軸スライダ(図12(a))は、吸引吐出器30の正面に移動して、これを把持する(図12(b))。次に、供給すべき液体に対応するノズルチップ33の上に吸引吐出器30を移動させて、ノズルチップ33を吸引吐出器30に装着する(図12(c))。さらに次に、吸引吐出器30を供給すべき液体を保持する低粘度容器31の上に移動して所要量の液体を吸引する(図12(d))。そして、吸引吐出器30を計量容器43の上に移動させ、液体を吐出して必要量を計量容器43に供給する(図12(e))。
【0052】
必要量を供給した後は、まず、吸引吐出器30をノズルチップ支持具34の上に移動し、ノズルチップ33を取り外して所定の位置に戻しておく(図12(f))。その後は、調合作業を終了する場合には吸引吐出器30を元の位置に戻す。調合作業を継続する場合には、ノズルチップ33の付け替え又はヘッドの持ち替えを行ってさらに計量容器に液体を供給する。
【0053】
本実施形態においては、使用した後のノズルチップ33を所定位置に戻しているが、使い捨てるようにしてもよい。
【0054】
上記のごとく構成した液体調合装置は以下に示す効果を奏する。
【0055】
調合すべき液体のうち相対的に粘度が高いものは高粘度液体ユニットの高粘度容器に保持され、高粘度容器に保持された高粘度の液体をヒータによって温められて液体の温度が室温よりも高温とすることにより、高粘度液体の粘度が減少する。したがって、液体を効率よく吐出すると共に未秤量液体の影響を少なく抑えることができる。
【0056】
さらに、制御ユニットの温度制御手段によって各高粘度容器内の液体は、その粘度が均一となるように温調される。したがって、各液体の粘度のばらつきによる未秤量液体の影響を排除して未秤量液体の液量の管理を実現し、混合液の調合精度の向上を図ることができる。
【0057】
また、ヒータを高粘度容器と吐出ノズルとに取り付けて温度調整することにより、温調ヘッドから吐出される液体の温度は所定温度となるように制御される。したがって、液体を所定温度に保つことでその粘度を一定とし、各液体の粘度のばらつきによる未秤量液体の影響を確実に排除して、未秤量液体の液量の管理を実現し、混合液の調合精度を確実に向上させることができる。
【0058】
また、液面高さ計測手段及びノズル位置調整手段により計量容器内の液面高さを計測すると共に、ノズル下端と液面との距離が一定となるようにノズルの位置が調整される。したがって、当該距離のばらつきによる未秤量液体の影響を排除して、未秤量液体の液量を精確に管理して混合液の調合精度を確実に向上させることができる。
【0059】
吐出速度調整手段により液体の吐出速度が調整される。したがって、吐出開始時には高速に吐出すると共に吐出終了前は低速でゆっくりと吐出し、吐出終了直前には吐出を停止して、温度制御手段及びノズル位置調整手段によって液体の粘度等を一定に保つことで管理された未秤量液体により必要量を精確に供給して混合液の調合精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に係る液体調合装置の正面斜視図である。
【図2】本発明に係る液体調合装置の平面図である。
【図3】温調ヘッドの部分断面側面図である。
【図4】ヘッド支持手段に温調ヘッドを支持した状態を示す側面図である。
【図5】把持手段により温調ヘッドを把持する様子を示す平面図である。
【図6】液体の温度と粘度の関係の一例を示す相関図である。
【図7】吐出開始からの経過時間と重量計測手段による混合液の秤量値との関係の一例を示す相関図である。
【図8】移動手段により温調ヘッドが移動する様子を示した平面図である。
【図9】吸引吐出器の側面構成図である。
【図10】吸引吐出器の正面構成図である。
【図11】吸引吐出器の着脱機構の動作を示す正面図である。
【図12】移動手段により吸引吐出器が移動する様子を示した平面図である。
【符号の説明】
【0061】
1 液体調合装置
10 ワークベース体
11 底部
2 高粘度液体ユニット
20 温調ヘッド
21 高粘度容器
22 吐出ノズル
23 筒状ケース
24 蓋体
240 加圧口
25 ヒータ
250 容器用ヒータ
251 ノズル用ヒータ
27 把持部材
28 係止具
29 受穴
3 低粘度液体ユニット
30 吸引吐出器
300 ヘッド本体
301 通孔
302 把持部材
303 係止具
304 受穴
305 固定具
306 押出し部材
307 溝
308 スライダ
31 低粘度容器
32 容器支持具
33 ノズルチップ
34 ノズルチップ支持具
4 制御ユニット
40 3軸スライダ
400 X軸スライダ
401 Y軸スライダ
402 Z軸スライダ
41 把持手段
410 本体部
411 突体
412 挟持部
42 ヘッド支持手段
420 本体フレーム
421 下端支持板
422 下部支持板
423 中部支持板
424 上部支持板
425 係止板
426 窪み
43 計量容器
44 電子天秤装置
45 温調機
46 定量吐出機
47 シリンジポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出ノズルを有する複数個の容器に加圧手段を設け、この加圧手段に重量計測手段を接続して重量計測データ出力により加圧手段を制御し、吐出ノズルより所定重量の液体を重量計測手段の計量容器に吐出して複数種類の液体を所定重量比で調合するものにおいて、
前記容器にそれぞれ粘度の異なる液体を収容し、これら容器に温度調節手段を取付け、この温度調節手段により容器内の液体の温度を調節して種類の違う液体の粘度を平均化することを特徴とする液体調合装置。
【請求項2】
複数種類の液体を所定の重量比で調合するものにおいて、
吐出ノズルを有する複数個の高粘度容器にそれぞれ粘度の異なる高粘度の液体を収容し、これら高粘度容器に温度調節手段を取付け、この温度調節手段により高粘度容器内の液体の温度を調節して種類の違う液体の粘度を平均化すると共に、
上面が開口した複数個の低粘度容器にそれぞれ粘度の異なる低粘度の液体を収容し、低粘度容器ごとに決まったノズルチップを選択して吸引吐出器の先端に交換可能に接続して低粘度容器の液体を吸引し、
高粘度容器及び吸引吐出器に備える加圧手段に重量計測手段を接続して重量計測データ出力により加圧手段を制御し、吐出ノズル及びノズルチップより所定重量の液体を重量計測手段の計量容器に吐出することを特徴とする液体調合装置。
【請求項3】
上記重量計測手段は、計量容器に供給した液体の液面高さを計測する液面高さ計測手段を備え、
この液面高さ計測手段により計測した計量容器の液面から上記ノズルの下端までの距離を一定に調整することを特徴とする請求項1又は2記載の液体調合装置。
【請求項4】
上記加圧手段は、液体の吐出速度を調整する吐出速度調整手段を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載の液体調合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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