説明

液体除染剤供給システム

【課題】 蒸発器に一定の供給速度で正確に液体除染剤を供給することができる液体除染剤供給システムを提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明の液体除染剤供給システム1は、中間容器3内の過酸化水素水の液面高さを測定する液レベル測定器5と、液レベル測定器5が測定した液面高さに基づいて、所定期間における液面高さ減少量を算出し、該減少量と中間容器3の横断面積Mと当該所定期間の時間長さとに基づいて当該所定期間における蒸発器4への供給質量速度A’を算出する制御装置20を備えている。さらに、この制御装置20は、算出した供給質量速度A’が、目標供給質量速度Aに比べて小さい場合に、第二供給ポンプ16のDCモータ回転数を目標供給質量速度Aとなる修正回転数に変更する制御内容を具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過酸化水素水などの液体除染剤を蒸発器に供給する液体除染剤供給システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体除染剤としての過酸化水素水が貯留された貯留タンクと、所定容積の中間容器と、貯留タンク内の過酸化水素水を中間容器に供給する第一供給ポンプと、過酸化水素水を蒸発させて除染用ガスとしての過酸化水素ガスを発生させる蒸発器と、中間容器内の過酸化水素水を蒸発器に供給する第二供給ポンプとを備えた液体除染剤供給システムは、既に知られている(例えば、特許文献1参照。)。この液体除染剤供給システムは、貯留タンク内の過酸化水素水を一時的に中間容器に貯留し、この中間容器に貯留された過酸化水素水を蒸発器に供給するものである。
【0003】
ところで、上記システムにあっては、第二供給ポンプを一定の供給能に維持(例えば、ポンプに備えられたDCモータの回転数を所定回転数に維持する)していたとしても、中間容器に大量の過酸化水素水が貯留されているときと、少量の過酸化水素水が貯留されているときとでは、第二供給ポンプから蒸発器へ送られる過酸化水素水の供給速度(例えば、単位時間当りの供給質量)が変動してしまうことが知られている。これは、大量の過酸化水素水が中間容器に貯留されているときは過酸化水素水の位置エネルギーが高く、これにより供給速度が大きくなるものである。したがって、蒸発器に一定の供給速度で過酸化水素水を供給したい場合は、かかる現象が問題となる。
【0004】
ここで、この問題を解消すべく、前記の特許文献1では、中間容器の質量を随時モニタし、それに応じて第二供給ポンプを制御することにより、必要な質量の過酸化水素水を一定の供給速度で蒸発器に供給する構成が提案されている。
【0005】
【特許文献1】特表2003−528380号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示される構成にあっては、中間容器に種々の配管が配設されているところ、この配管等の負荷が中間容器の計測に影響を与えてしまい、過酸化水素水の減少量を正確に測定することができないという問題があった。さらに、かかる配管に過酸化水素水が流れ、その流量が変動した場合には、正確な計測はさらに困難を極め、測定結果は信頼の低いものとなる。
【0007】
また、上記特許文献1には、圧力変換器を採用し、これにより中間容器及びその中の液体除染剤の質量を割り出す構成も提案されている。しかしながら、かかる構成は圧力変換器が液体除染剤に接触してしまうこととなり、圧力変換器が腐食されるおそれがあった。また、圧力変換器と中間容器の接続部分から、接続不良により液漏れが生じるおそれもあった。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題を解消し得る液体除染剤供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、液体除染剤が貯留された貯留タンクと、所定容積の中間容器と、貯留タンク内の液体除染剤を中間容器に供給する第一供給装置と、液体除染剤を蒸発させて除染用ガスを発生させる蒸発器と、中間容器内の液体除染剤を蒸発器に供給する第二供給装置と
を備え、貯留タンク内の液体除染剤を一時的に中間容器に貯留し、該中間容器内の液体除染剤を所望の一定供給速度で蒸発器に供給する液体除染剤供給システムにおいて、中間容器を、所定横断面積により構成された容器形状とし、かつ第二供給装置の供給能を調節可能とすると共に、中間容器内の液体除染剤の液面高さを連続的又は間欠的に測定する液面高さ測定装置と、液面高さ測定装置が測定した液面高さに基づいて、所定期間における液面高さ減少量を算出し、該減少量と前記中間容器の横断面積と当該所定期間の時間長さとに基づいて当該所定期間における蒸発器への供給速度を算出する供給速度算出手段と、供給速度算出手段が算出した供給速度が、前記所望の一定供給速度と異なる場合に、第二供給装置の供給能を所望の一定供給速度となる供給能に調節する制御内容を具備する供給装置制御手段とを備えたことを特徴とする液体除染剤供給システムである。ここで、除染とは、化学T期除染、無菌、殺菌、滅菌等が含まれる。また、供給速度とは、所定期間における供給質量速度と、所定期間における供給容積速度とが含まれる。
【0010】
かかる構成は、蒸発器に一定供給速度で液体除染剤を供給するに際し、中間容器内の液面高さを随時測定し、その液面高さの減少量から実際の供給速度を算出し、その供給速度と所望の一定供給速度との差を考慮しながら第二供給装置を駆動制御するものである。したがって本発明は、従来構成のように中間容器に配設される配管の負荷が中間容器の計測に悪影響を与えて供給速度の算出が不正確となる、ということがなく、正確な供給速度を算出することができると共に、これに伴って適正に第二供給装置を駆動制御することができる。
【0011】
ここで上記構成にあって、所望の一定供給速度と、供給速度算出手段が算出する供給速度との差に、算出された供給速度を所望の一定供給速度に修正する第二供給装置に係る修正供給能が予め割り当てられており、供給装置制御手段が、供給速度算出手段が供給速度を算出すると、当該供給速度と所望の一定供給速度との差に割り当てられた修正供給能に従って第二供給装置を駆動させる制御内容を具備する構成が提案される。
【0012】
かかる構成とすることにより、所定期間における液面高さ減少量の多寡に応じて適正に第二供給装置の供給能を修正し、所望の一定供給速度を維持することが可能となる。なお、所望の一定供給速度と、供給速度算出手段が算出する供給速度との差が大きいほど、第二供給装置の供給能を大幅に修正する必要が生じることとなる。
【0013】
また、供給装置制御手段が、第二供給装置のみを駆動させて蒸発器に液体除染剤を供給し、その後、液面高さ測定装置が予め定められた最低液面高さを測定すると、第一供給装置の供給速度が第二供給装置の供給速度よりも大きい態様で、第一供給装置と第二供給装置とを同時駆動させる構成にあって、最低液面高さ測定後に液面高さが上昇する過程で液面高さ測定装置が液面高さを測定すると、予め液面高さに割り当てられた、所望の一定供給速度となる供給能で第二供給装置を駆動させる制御内容を具備する構成が提案される。
【0014】
かかる構成は、両供給装置を同時に駆動させて過酸化水素水を中間容器に供給しつつ蒸発器にも供給する場合でも、変動する中間容器の液面高さに応じて第二供給装置の供給能を調節する構成であるから、正確に所望の一定供給速度を得ることが可能となる。
【0015】
さらに、供給速度算出手段が、液面高さ測定装置が最低液面高さを測定するまでは、供給速度を算出する度に、該供給速度に対応する修正供給能を当該供給速度に係る液面高さに割り当てて、これを規準液面高さとして順次記憶保持する制御内容を具備すると共に、供給装置制御手段が、最低液面高さ測定後に液面高さが上昇する過程で液面高さ測定装置が液面高さを測定すると、該液面高さと一致する前記規準液面高さに割り当てられた修正供給能で第二供給装置を駆動させる制御内容を具備する構成が提案される。
【0016】
かかる構成にあって、最低液面高さとなるまでは、順次測定される液面高さにそれぞれ最適な修正供給能が関連付けられて記憶保持されることとなる。すなわち、各液面高さごとにその液面高さの位置エネルギーが考慮され、一定供給速度が得られる供給能が選定されることとなる。ここで、液体除染剤の体積は測定環境の温度によっても変動するため、各液面高さに最適な供給能も厳密には時間経過に伴って変動する場合がある。しかし、上述の構成によれば、直前に割り当てられた最適な修正供給能に従って、液面高さが上昇する過程で第二供給装置を適正に駆動制御するため、環境変化によって測定精度が低下してしまうことがない。
【0017】
さらに、所望の一定供給質量速度で液体除染剤を蒸発器に供給する構成にあって、中間容器内の液体除染剤の液温を測定する液温測定装置を備え、供給速度算出手段が、液温測定装置が測定した液温に基づいて、予め複数備えられた液体除染剤の密度から最適密度を選定し、当該最適密度を用いて所定期間における供給質量速度を算出する制御内容を具備し、供給装置制御手段が、供給速度算出手段が算出した供給質量速度が、所望の一定供給質量速度と異なる場合に、第二供給装置の供給能を調節する制御内容を具備する構成が提案される。
【0018】
かかる構成とすることにより、正確な供給質量速度を算出することが可能となり、第二供給装置の供給能を調節しながら、所望の一定供給質量速度で液体除染剤を供給することが可能となる。
【0019】
また、別構成として、第二供給装置の供給能を調節可能とすると共に、中間容器内の液体除染剤の液面高さを連続的又は間欠的に測定する液面高さ測定装置と、液面高さ測定装置が測定する各液面高さに、第二供給装置の供給速度が前記所望の一定供給速度となる供給能が予め割り当てられ、液面高さ測定装置が液面高さを測定すると、当該液面高さに割り当てられた供給能に従って第二供給装置を駆動させる制御内容を具備する供給装置制御手段とを備えたことを特徴とする液体除染剤供給システムが提案される。
【0020】
かかる構成とすることにより、液面高さの変動に応じて、所望の一定供給速度を維持するように、第二供給装置の供給能を適正に変更することが可能となる。なお、かかる構成にあっても、従来構成のように、中間容器に配設される配管の負荷が中間容器の計測に悪影響を与えて供給速度の算出が不正確となる、ということがない。
【0021】
また、これまでに述べた構成にあって、第一供給装置の駆動により中間容器内の液体除染剤の液面高さが上昇し、液面高さ測定装置が測定した液面高さが所定の最大液面高さとなると、供給装置制御手段が、第一供給装置の駆動を停止するものである構成としても良い。
【0022】
かかる構成とすることにより、中間容器に過剰に液体除染剤を供給してしまうことを防止できる。
【0023】
また、第二供給装置の駆動により中間容器内の液体除染剤の液面高さが低下し、液面高さ測定装置が測定した液面高さが所定の最低液面高さとなると、供給装置制御手段が、第一供給装置を、第二供給装置の供給速度よりも大きい供給速度で駆動させるものである構成としても良い。
【0024】
かかる構成とすることにより、中間容器内の液体除染剤が枯渇又は不足して蒸発器への供給が中断してしまうことを防止できる。なお、本発明には、最低液面高さとなると、供給装置制御手段が第二供給装置の駆動を停止し、かつ第一供給装置のみ駆動させる構成も当然に含まれる。
【0025】
なお、液面高さ測定装置としては、中間容器、又は、中間容器の内部空間と連通して中間容器に供給された液体除染剤が流入する、鉛直方向に立設した測定管の外壁にほぼ水平方向に対設された検出電極及び接地電極とを備え、検出電極及び接地電極を介して検出される静電容量に基づいて中間容器、又は、測定管内の液面高さを測定する静電容量型液レベル測定器である構成が好適である。
【0026】
かかる構成にあっては、両電極が液体除染剤に接触することがないため、測定器の腐食の問題がない。
【発明の効果】
【0027】
本発明の液体除染剤供給システムは、液面高さ測定装置が測定した液面高さに基づいて蒸発器への供給速度を算出する供給速度算出手段と、供給速度算出手段が算出した供給速度が、前記所望の一定供給速度と異なる場合に、第二供給装置の供給能を所望の一定供給速度となる供給能に調節する構成としたため、中間容器の配管構造によって供給速度の算出が不正確となるということがない。したがって、蒸発器へ供給した供給量を正確に把握することができるようになり、蒸発器に所望の一定供給速度で液体除染剤を供給することが可能となる優れた効果がある。
【0028】
また、供給速度を算出すると、当該供給速度と所望の一定供給速度との差に割り当てられた修正供給能に従って第二供給装置を駆動させる構成とした場合は、所定期間における液面高さ減少量の多寡に応じて適正に第二供給装置の供給能を修正することができ、所望の一定供給速度を正確に維持することができる効果がある。
【0029】
また、最低液面高さ測定後、液面高さ測定装置が液面高さを測定すると、予め液面高さに割り当てられた、所望の一定供給速度となる供給能で第二供給装置を駆動させる構成とした場合は、両供給装置を同時に駆動させて液体除染剤を中間容器に供給しつつ蒸発器にも供給するときでも、変動する中間容器の液面高さに応じて第二供給装置の供給能を調節することが可能となるため、正確に所望の一定供給速度を得ることができる利点がある。
【0030】
また、最低液面高さ測定後に液面高さ測定装置が液面高さを測定すると、該液面高さと一致する規準液面高さに割り当てられた修正供給能で第二供給装置を駆動させる構成とした場合は、両供給装置を同時駆動させて中間容器に過酸化水素水を注入しつつ蒸発器に供給する場合にあっても、液面高さの変動に従って適正に第二供給装置を駆動制御し、所望の一定供給速度を正確に維持することができる効果がある。また、直前に割り当てられた最適な修正供給能に従って第二供給装置を適正に駆動制御するため、環境変化によって測定精度が低下してしまうことがない利点がある。
【0031】
また、液温測定装置を備え、最適密度を用いて供給質量算出速度を算出する構成とした場合は、液体除染剤の液温変化に応じて第二供給装置の供給能を調節することができるため、より正確に所望の一定供給質量速度を維持することができる利点がある。
【0032】
また、本発明の液体除染剤供給システムは、液面高さ測定装置が測定する各液面高さに、第二供給装置の供給速度が所望の一定供給速度となる供給能が予め割り当てられ、液面高さ測定装置が液面高さを測定すると、当該液面高さに割り当てられた供給能に従って第二供給装置を駆動させる供給装置制御手段を備えた構成としたため、従来構成のように中間容器に配設される配管の負荷が中間容器の計測に悪影響を与えて供給速度の算出が不正確となる、ということがなく、液面高さの変動に応じて、所望の一定供給速度を維持するように、第二供給装置の供給能を適正に変更することができる優れた効果がある。
【0033】
また、液面高さ測定装置が測定した液面高さが所定の最大液面高さとなると、供給装置制御手段が、第一供給装置の駆動を停止する構成とした場合は、中間容器に過剰に液体除染剤を供給してしまうことを防止できる効果がある。
【0034】
また、液面高さ測定装置が測定した液面高さが所定の最低液面高さとなると、供給装置制御手段が、第一供給装置を、第二供給装置の供給速度よりも大きい供給速度で駆動させる構成とした場合は、中間容器内の液体除染剤が枯渇して蒸発器への供給が中断してしまうことを防止できる効果がある。
【0035】
また、液面高さ測定装置を、中間容器又は測定管に対設される検出電極及び接地電極とを備えた静電容量型液レベル測定器とした場合は、両電極を液体除染剤に接触することなく液面高さを測定することができ、測定器の腐食の問題を解決することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明にかかる液体除染剤供給システム1の実施形態例を、添付図面に従って説明する。
液体除染剤供給システム1は、図1に示されるように、液体除染剤としての過酸化水素水を約1L貯留できるSUS製の貯留タンク2と、鉛直方向に立設した円柱状の中間容器3と、除染用ガスとしての過酸化水素ガスを発生させる蒸発器4とを備えている。
【0037】
また、貯留タンク2と中間容器3とは、第一配管10によって接続されており、この第一配管10に配設された第一供給ポンプ11が駆動すると、第一配管10を通じて貯留タンク2内の過酸化水素水が中間容器3に流入する構成となっている。なお、この第一供給ポンプ11は、DCモータ(図示省略)を備えており、その回転数を適宜変更して供給能を調節できる。換言すれば、DCモータの回転数を適宜変更することにより過酸化水素水の供給質量速度(単位時間当りの供給質量)を変更できる。
【0038】
また、中間容器3と蒸発器4とは、第二配管15によって接続されており、この第二配管15に配設された第二供給ポンプ16が駆動すると、第二配管15を通じて中間容器3内の過酸化水素ガスが蒸発器4に供給される構成となっている。なお、本実施形態例にかかる蒸発器4は公知品が好適に用いられ、中間容器3から供給された過酸化水素水が蒸発器4内にあるホットプレート(図示省略)上に滴下されることにより、過酸化水素水が蒸発して過酸化水素ガスが発生する。なお、前記第二供給ポンプ16も、第一供給ポンプ11と同様に、DCモータ(図示省略)を備えており、その回転数を適宜変更して供給能を調節できる。
【0039】
なお、液体除染剤供給システム1は、貯留タンク2内の過酸化水素水を一時的に中間容器3に貯留し、この中間容器3内の過酸化水素水を所望の一定供給質量速度(以下、目標供給質量速度(g/分)という)で、所定時間だけ蒸発器4へ供給するものである。このように、一旦中間容器3に過酸化水素水を貯留するのは、気泡の発生又は分解を抑制するためである。なお、本実施形態例にかかる第一供給ポンプ11により、本発明にかかる第一供給装置が構成され、第二供給ポンプ16により、本発明にかかる第二供給装置が構成される。
【0040】
次に、本発明の要部について説明する。
本発明にかかる液体除染剤供給システム1にあっては、図1,2に示されるように、中間容器3を円柱状とし、その横断面積を横断面積Mとしている。さらに、この中間容器3内にある過酸化水素水の液面高さを測定することができる静電容量型液レベル測定器5と、液温を測定することができる液温測定装置6とを備えている。
【0041】
液レベル測定器5は、図2に示されるように、ほぼ中間容器3の高さと同じ高さの丸管状測定管55を備え、この測定管55の上端及び下端には、直角状に第三連通口51と第四連通口52とが形成されている。なお、この測定管55は、合成樹脂材料で構成されている。
【0042】
一方、中間容器3にも上下に設けられた第一連通口31と第二連通口32とが形成されており、この第一連通口31と前記測定管55の第三連通口51とが、第二連通口32と前記測定管55の第四連通口52とがそれぞれ接続されて中間容器3及び測定管55とが並んで鉛直方向に立設している。これにより、中間容器3の内部空間と測定管55の管内とが連通し、中間容器3に過酸化水素水が供給されると、測定管55内にもその過酸化水素水が連通口31,32,51,52を介して流入し、中間容器3における液面高さと測定管55における液面高さとが同じ状態に維持される。
【0043】
さらに、測定管55にある第四連通口52の直上位置の外壁部分には、共に金属材料からなる検出電極53と接地電極54とがほぼ水平方向に対設されている。かかる構成にあって、両電極53,54に電圧が印加されると、検出電極53及び接地電極54との間の静電容量が検出されることとなる。ここで、中間容器3内の液面高さが変化し、これに伴って測定管55内の液面高さが変化すると、両電極53,54により検出される静電容量も液面高さの変化量に比例して変化することとなる。このため、静電容量をモニタすることにより、測定管55内の液面高さ、すなわち中間容器3内の液面高さを測定することができる。なお、後述するように、測定管55の液面高さをモニタすると、その液面高さの変化量と中間容器3の横断面積Mとから、蒸発器4に供給された過酸化水素水の容積を知ることが可能となる。
【0044】
ところで、上記構成の静電容量型の液レベル測定器5は、公知品が好適に用いられる。なお、本発明にかかる静電容量型の液レベル測定器5により、本発明にかかる液面高さ測定装置が構成される。
【0045】
さらに、第四連通口52には、中間容器3内の過酸化水素水の液温を測定する液温測定装置6が配設されている。かかる液温測定装置6は、公知品が好適に用いられる。
【0046】
また、液体除染剤供給システム1は、第一供給ポンプ11、第二供給ポンプ16、液レベル測定器5、及び液温測定装置6とにそれぞれ接続された制御装置20を備えている。この制御装置20は、種々の固定データを記憶保持すると共に、液レベル測定器5の液面高さデータ、あるいは液温測定装置6の液温データを受信して、かかるデータを一旦記憶保持したり、これらのデータあるいはオペレーションパネル(図示省略)から入力設定されたデータを所定の制御信号に変換し、所定態様で供給ポンプ11,16を駆動させる駆動信号を送信等するものである。なお、この制御装置20はPLC(プログラムブル・ロジック・コントローラ)で構成することができる。この制御装置20の制御内容については後述する。
【0047】
これまでに述べた構成について、具体的な使用態様を以下に説明する。
まず、市販の過酸化水素水入りボトルの封を開けて、貯留タンク2内に過酸化水素水を投入する。
【0048】
そして次に、過酸化水素水を蒸発器4に供給する際の供給条件をオペレーションパネルを介して初期設定する。具体的には、目標供給質量速度Aや供給時間Tなどを数値入力する。
【0049】
そして、初期設定が終了すると、制御装置20は、まず第一供給ポンプ11を駆動開始し、中間容器3に過酸化水素水を供給開始する。
【0050】
ここで、中間容器3には、容器内の過酸化水素水がほぼいっぱいに満たされる最大液面高さが予め設定されており、液レベル測定器5が、第一供給ポンプ11の駆動により上昇する液面高さが最大液面高さとなったことを検出すると、その旨の信号を制御装置20が受信する構成としている。そして、その信号を受信した制御装置20は、第一供給ポンプ11に駆動停止の信号を出力して第一供給ポンプ11を停止させ、中間容器3に適量の過酸化水素水を注入することができるようにしている。
【0051】
次に、制御装置20は、第二供給ポンプ16のみを駆動開始し、中間容器3内の過酸化水素水を蒸発器4に供給開始する。この供給開始時における第二供給ポンプ16のDCモータの初期回転数Rsは、最初に入力設定した目標供給質量速度Aによって決定される。すなわち、供給開始時の液面高さが最大液面高さであることを考慮しながら、蒸発器4への供給質量速度A’が目標供給質量速度Aとなるような最適な回転数が設定される。なお、この初期回転数Rsは、予め種々の実験により求められるものであって、様々な目標供給質量速度Aに対応できるように、固定データとして制御装置20に複数記憶保持しておくことが望ましい。
【0052】
そして蒸発器4への供給が開始されると、液レベル測定器5は、徐々に減少していく液面高さを所定時間間隔で間欠的に測定し、測定した液面高さ絶対値データを順次制御装置20に送信する。
【0053】
これと共に、液温測定装置6は、定期的に過酸化水素水の液温を測定し、液温データを順次制御装置20に送信する。
【0054】
一方、液面高さ絶対値データを受信した制御装置20は、所定の受信期間に受信した液面高さ絶対値データに基づいて、当該受信期間における液面高さ減少量を算出する。すなわち、当該受信期間における最新の液面高さと最先の液面高さとを比較し算出する。またこれと共に、最新の液温データに基づいて、測定された液温における過酸化水素水の最適密度を選定する。なお、過酸化水素水の最適密度に関するデータは、予め制御装置20に記憶保持しておくこととなる。
【0055】
さらに、その液面高さ減少量と中間容器3の横断面積Mと当該受信期間の時間長さと過酸化水素水の最適密度とから当該受信期間における過酸化水素水の供給質量速度A’を算出する。この供給質量速度A’の算出過程は、中間容器3における減少分が、蒸発器4へ供給された供給質量であることを前提とするものである。なお、所定期間における液面高さ減少量を算出すると共に、最適密度を選定し、これに基づいて蒸発器4への供給質量速度A’を算出する制御装置20により、本発明にかかる供給速度算出手段が構成される。
【0056】
そして、次に制御装置20は、算出した供給質量速度A’と、目標供給質量速度Aとの大小を比較する。ここで、仮にA=A’である場合は、初期設定通りであるから、第二供給ポンプ16のDCモータの回転数を現状維持する。
【0057】
一方、供給質量速度A’と目標供給質量速度Aとの大小関係がA<A’となる場合がある。これは、中間容器3に貯留される過酸化水素水の位置エネルギーの低下により招来するものである。したがって、このとき制御装置20は、第二供給ポンプ16に供給能を向上させる信号を送信し、低下してしまった供給質量速度A’が目標供給質量速度Aに修正されるような制御を実行する。
【0058】
具体的には、供給質量速度A’と目標供給質量速度Aとの差(以下、誤差供給質量速度という)を算出し、その多寡に応じて第二供給ポンプ16のDCモータの回転数を上昇させる。すなわち、予め、算出が予想される誤差供給質量速度に、その誤差を適正に修正し目標供給質量速度Aとする修正回転数Rnが割り当てられており、誤差供給質量速度を算出すると、その誤差供給質量速度に割り当てられた修正回転数Rnに前記DCモータを変更することとなる。これにより、中間容器3内の液面高さが低下しても、適正に目標供給質量速度A’で蒸発器4に過酸化水素水を供給することができる。
【0059】
なお、供給質量速度A’と目標供給質量速度Aとの大小関係がA>A’である場合は、制御装置20は、第二供給ポンプ16に供給能を低下させる信号を送信し、供給質量速度A’を目標供給質量速度Aに修正する制御を実行する。具体的には、第二供給ポンプ16のDCモータの回転数を低下させる。
【0060】
これまでに述べた制御装置20の制御は繰り返し実行され、目標供給質量速度Aと算出された供給質量速度A’とを随時比較し、両者に誤差が生じている場合には、適宜第二供給ポンプ16のDCモータの回転数を修正回転数Rnに変更して目標供給質量速度Aを維持する。なお、時間経過に伴って中間容器3内の過酸化水素水の位置エネルギーは順次低下していくため、第二供給ポンプ16のDCモータの回転数は順次上昇していくこととなる。
【0061】
ところで、所定時間経過すると、中間容器3内の過酸化水素水が消費されて、中間容器3内に過酸化水素水を追加供給する必要が生じる。
【0062】
本実施形態例にあっては、中間容器3に最低液面高さが予め設定されており、液レベル測定器5が、第二供給ポンプ16の駆動により低下する液面高さが最低液面高さとなったことを検出すると、その旨の信号を制御装置20が受信する構成としている。そして、かかる信号を受信した制御装置20は、第一供給ポンプ11に駆動再開の信号を出力し、中間容器3に過酸化水素水を追加供給することができるようにしている。ここで、本実施形態例にあっては、第一供給ポンプ11を駆動再開する一方で、第二供給ポンプ16を駆動維持することとしている。したがって、適正に中間容器3に過酸化水素水を満たすべく、第二供給ポンプ16の供給質量速度よりも大きい供給質量速度で第一供給ポンプ11を駆動することとなる。かかる構成とすることにより、中間容器3を適正に満たすことができる。
【0063】
制御装置20の上記制御内容により、中間容器3の液面高さは徐々に上昇することとなる。したがって、中間容器3内の過酸化水素水の位置エネルギーは徐々に高くなるため、第二供給ポンプ16の供給能を目標供給質量速度Aを維持すべく低下させていく必要が生じる。そこで、以下のような制御を実行する。
【0064】
まず、液レベル測定器5が最低液面高さを測定するまでは、制御装置20は、供給質量速度A’を算出する度に、この供給質量速度A’に対応する修正回転数Rnに当該供給質量速度A’を測定した際に用いたいずれかの液面高さを割り当て、これを規準液面高さとして修正回転数Rnと関連付けて順次記憶保持する。
【0065】
一方、液レベル測定器5が最低液面高さを測定した後は、液面高さが上昇する過程で液レベル測定器5が液面高さを測定する度に、記憶保持された複数の規準液面高さの中から測定された液面高さと値が一致する規準液面高さを選定し、選定した規準液面高さに割り当てられた修正回転数Rnに従って第二供給ポンプ16を駆動させる。
【0066】
かかる構成とすることにより、第一供給ポンプ11を駆動させて液面高さが上昇する過程でも、第二供給ポンプ16の供給質量速度A’を目標供給質量速度Aに修正しながら維持することが可能となる。なお、過酸化水素水の体積は測定環境の温度によって変動するため、各液面高さに最適なDCモータの回転数も厳密には時間経過に伴って変動する場合がある。しかし、上述の構成によれば、直前に割り当てられた最適な修正回転数Rnに従って第二供給ポンプ16を適正に駆動制御するため、環境変化によって測定精度が低下してしまうことがない。なお、規準液面高さに係るデータは、測定機会があるたびに更新し、周囲の温度変化に追従させた信頼度の高いものとしておく構成が好ましい。
【0067】
なお、算出した供給質量速度A’と目標供給質量速度Aとが異なる場合に、第二供給ポンプ16の回転数を修正回転数Rnとする制御装置20により、本発明にかかる、供給速度算出手段が算出した供給速度が、所望の一定供給速度と異なる場合に、第二供給装置の供給能を所望の一定供給速度となる供給能に調節する供給装置制御手段が構成される。また、供給質量速度A’を算出すると、当該供給質量速度A’と目標供給質量速度Aとの差に割り当てられた修正回転数Rnに従って第二供給ポンプ16を駆動させる制御装置20により、本発明にかかる、供給速度を算出すると、当該供給速度と所望の一定供給速度との差に割り当てられた修正供給能に従って第二供給装置を駆動させる供給装置制御手段が構成される。また、最低液面高さ測定後に液面高さが上昇する過程で液レベル測定器5が液面高さを測定すると、予め液面高さに割り当てられた、目標供給質量速度Aとなる回転数で第二供給ポンプ16を駆動させる制御装置20により、本発明にかかる、最低液面高さ測定後に液面高さが上昇する過程で液面高さ測定装置が液面高さを測定すると、予め液面高さに割り当てられた、所望の一定供給速度となる供給能で第二供給装置を駆動させる供給装置制御手段が構成される。また、最低液面高さ測定後に液面高さが上昇する過程で液レベル測定器5が液面高さを測定すると、該液面高さと一致する規準液面高さに割り当てられた修正回転数Rnで第二供給ポンプ16を駆動させる制御装置20により、本発明にかかる、最低液面高さ測定後に液面高さが上昇する過程で液面高さ測定装置が液面高さを測定すると、該液面高さと一致する前記規準液面高さに割り当てられた修正供給能で第二供給装置を駆動させる供給装置制御手段が構成される。また、液レベル測定器5が最低液面高さを測定するまでは、供給質量速度A’を算出する度に、該供給質量速度A’に対応する修正回転数Rnを当該供給質量速度A’に係る液面高さに割り当てて、これを規準液面高さとして順次記憶保持する制御装置20により、本発明にかかる、液面高さ測定装置が最低液面高さを測定するまでは、供給速度を算出する度に、該供給速度に対応する修正供給能を当該供給速度に係る液面高さに割り当てて、これを規準液面高さとして順次記憶保持する供給速度算出手段が構成される。また、第一供給ポンプ11の駆動により中間容器3内の過酸化水素水の液面高さが上昇し、液レベル測定器5が測定した液面高さが所定の最大液面高さとなると、第一供給ポンプ11を停止する制御装置20により、本発明にかかる、第一供給装置の駆動により中間容器内の液体除染剤の液面高さが上昇し、液面高さ測定装置が測定した液面高さが所定の最大液面高さとなると、第一供給装置の駆動を停止する供給装置制御手段が構成される。また、第二供給ポンプ16の駆動により中間容器3内の過酸化水素水の液面高さが低下し、液レベル測定器5が測定した液面高さが所定の最低液面高さとなると、第一供給ポンプ11を、第二供給ポンプ16の供給質量速度A’よりも大きい供給質量速度で駆動させる制御装置20により、本発明にかかる、第二供給装置の駆動により中間容器内の液体除染剤の液面高さが低下し、液面高さ測定装置が測定した液面高さが所定の最低液面高さとなると、第一供給装置を、第二供給装置の供給速度よりも大きい供給速度で駆動させる供給装置制御手段が構成される。
【0068】
なお、これまでに述べた液体除染剤供給システム1によれば、蒸発器4への供給質量を正確に把握することができることとなるため、除染完了までに必要な過酸化水素水の質量を正確に予測することも可能となる。したがって、除染完了時に中間容器3内に過酸化水素水を残さないようにする制御が可能となり、全体として除染コストを飛躍的に低減できる利点がある。なお、仮に中間容器3内に過酸化水素水が残留した場合は、その残留分を蒸発器4へ供給し、過酸化水素ガスとして処理することが望ましい。
【0069】
また、これまでに述べた構成に代えて、液レベル測定器5が測定する各液面高さに、供給質量速度A’が目標供給質量速度Aとなる第二供給ポンプ16のDCモータ回転数が予め割り当てられている構成が提案される。かかる構成にあっては、制御装置20は、液レベル測定器5が液面高さを測定すると、当該液面高さに割り当てられたDCモータ回転数に従って第二供給ポンプ16を駆動させるものである。なお、予め割り当てられる回転数は、液面高さの差異によって生ずる位置エネルギーの大小を考慮して実験により定められる。なお、液レベル測定器5が液面高さを測定すると、当該液面高さに割り当てられたDCモータ回転数に従って第二供給ポンプ16を駆動させる制御装置20により、本発明にかかる供給装置制御手段が構成される。
【0070】
また、これまでに述べた構成に代えて、所望の一定供給容積速度(cc/分)で過酸化水素水を蒸発器4に供給する構成としても良い。この場合は、制御装置20が、最適密度を選定して供給質量を算出する必要がない。
【0071】
なお、これまでに述べた液レベル測定器5は、連続的に液面高さを測定する構成であっても良い。また、測定管55を用いずに、中間容器3の外壁に、直接、検出電極53と接地電極54とを対設して、液レベル測定器5を構成しても良い。また、中間容器3の容器形状は、横断面積が横断面積Mである角筒状のものであっても良く、種々の形状が選択し得る。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】液体除染剤供給システム1の概略図である。
【図2】液体除染剤供給システム1の部分縦断側面図である。
【符号の説明】
【0073】
1 液体除染剤供給システム
2 貯留タンク
3 中間容器
4 蒸発器
5 液レベル測定器
6 液温測定装置
11 第一供給ポンプ
16 第二供給ポンプ
20 制御装置
53 検出電極
54 接地電極
55 測定管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体除染剤が貯留された貯留タンクと、
所定容積の中間容器と、
貯留タンク内の液体除染剤を中間容器に供給する第一供給装置と、
液体除染剤を蒸発させて除染用ガスを発生させる蒸発器と、
中間容器内の液体除染剤を蒸発器に供給する第二供給装置と
を備え、
貯留タンク内の液体除染剤を一時的に中間容器に貯留し、該中間容器内の液体除染剤を所望の一定供給速度で蒸発器に供給する液体除染剤供給システムにおいて、
中間容器を、所定横断面積により構成された容器形状とし、
かつ第二供給装置の供給能を調節可能とすると共に、
中間容器内の液体除染剤の液面高さを連続的又は間欠的に測定する液面高さ測定装置と、
液面高さ測定装置が測定した液面高さに基づいて、所定期間における液面高さ減少量を算出し、該減少量と前記中間容器の横断面積と当該所定期間の時間長さとに基づいて当該所定期間における蒸発器への供給速度を算出する供給速度算出手段と、
供給速度算出手段が算出した供給速度が、前記所望の一定供給速度と異なる場合に、第二供給装置の供給能を所望の一定供給速度となる供給能に調節する制御内容を具備する供給装置制御手段と
を備えたことを特徴とする液体除染剤供給システム。
【請求項2】
所望の一定供給速度と、供給速度算出手段が算出する供給速度との差に、算出された供給速度を所望の一定供給速度に修正する第二供給装置に係る修正供給能が予め割り当てられており、
供給装置制御手段が、
供給速度算出手段が供給速度を算出すると、当該供給速度と所望の一定供給速度との差に割り当てられた修正供給能に従って第二供給装置を駆動させる制御内容を具備することを特徴とする請求項1記載の液体除染剤供給システム。
【請求項3】
供給装置制御手段が、
第二供給装置のみを駆動させて蒸発器に液体除染剤を供給し、その後、液面高さ測定装置が予め定められた最低液面高さを測定すると、第一供給装置の供給速度が第二供給装置の供給速度よりも大きい態様で、第一供給装置と第二供給装置とを同時駆動させる構成にあって、
最低液面高さ測定後に液面高さが上昇する過程で液面高さ測定装置が液面高さを測定すると、予め液面高さに割り当てられた、所望の一定供給速度となる供給能で第二供給装置を駆動させる制御内容を具備することを特徴とする請求項2記載の液体除染剤供給システム。
【請求項4】
供給速度算出手段が、
液面高さ測定装置が最低液面高さを測定するまでは、供給速度を算出する度に、該供給速度に対応する修正供給能を当該供給速度に係る液面高さに割り当てて、これを規準液面高さとして順次記憶保持する制御内容を具備すると共に、
供給装置制御手段が、
最低液面高さ測定後に液面高さが上昇する過程で液面高さ測定装置が液面高さを測定すると、該液面高さと一致する前記規準液面高さに割り当てられた修正供給能で第二供給装置を駆動させる制御内容を具備することを特徴とする請求項3記載の液体除染剤供給システム。
【請求項5】
所望の一定供給質量速度で液体除染剤を蒸発器に供給する構成にあって、
中間容器内の液体除染剤の液温を測定する液温測定装置を備え、
供給速度算出手段が、
液温測定装置が測定した液温に基づいて、予め複数備えられた液体除染剤の密度から最適密度を選定し、当該最適密度を用いて所定期間における供給質量速度を算出する制御内容を具備し、
供給装置制御手段が、
供給速度算出手段が算出した供給質量速度が、所望の一定供給質量速度と異なる場合に、第二供給装置の供給能を調節する制御内容を具備することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の液体除染剤供給システム。
【請求項6】
液体除染剤が貯留された貯留タンクと、
所定容積の中間容器と、
貯留タンク内の液体除染剤を中間容器に供給する第一供給装置と、
液体除染剤を蒸発させて除染用ガスを発生させる蒸発器と、
中間容器内の液体除染剤を蒸発器に供給する第二供給装置と
を備え、
貯留タンク内の液体除染剤を一時的に中間容器に貯留し、該中間容器内の液体除染剤を所望の一定供給速度で蒸発器に供給する液体除染剤供給システムにおいて、
第二供給装置の供給能を調節可能とすると共に、
中間容器内の液体除染剤の液面高さを連続的又は間欠的に測定する液面高さ測定装置と、
液面高さ測定装置が測定する各液面高さに、第二供給装置の供給速度が前記所望の一定供給速度となる供給能が予め割り当てられ、液面高さ測定装置が液面高さを測定すると、当該液面高さに割り当てられた供給能に従って第二供給装置を駆動させる制御内容を具備する供給装置制御手段と
を備えたことを特徴とする液体除染剤供給システム。
【請求項7】
第一供給装置の駆動により中間容器内の液体除染剤の液面高さが上昇し、液面高さ測定装置が測定した液面高さが所定の最大液面高さとなると、
供給装置制御手段が、第一供給装置の駆動を停止するものであることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の液体除染剤供給システム。
【請求項8】
第二供給装置の駆動により中間容器内の液体除染剤の液面高さが低下し、液面高さ測定装置が測定した液面高さが所定の最低液面高さとなると、
供給装置制御手段が、
第一供給装置を、第二供給装置の供給速度よりも大きい供給速度で駆動させるものであることを特徴とする請求項1若しくは請求項2、又は請求項6若しくは請求項7のいずれかに記載の液体除染剤供給システム。
【請求項9】
液面高さ測定装置が、
中間容器、又は、中間容器の内部空間と連通して中間容器に供給された液体除染剤が流入する、鉛直方向に立設した測定管の外壁にほぼ水平方向に対設された検出電極及び接地電極とを備え、
検出電極及び接地電極を介して検出される静電容量に基づいて中間容器、又は、測定管内の液面高さを測定する静電容量型液レベル測定器であることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の液体除染剤供給システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−18711(P2006−18711A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−197598(P2004−197598)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【出願人】(599053643)株式会社エアレックス (29)
【Fターム(参考)】