説明

液体食品の滅菌装置

【課題】滅菌過程において発生する熱の再生利用効率を向上させ、使用エネルギーコストを削減することが可能な液体食品の滅菌装置を提供する。
【解決手段】液体食品を所定温度に加熱する予備加熱手段12と、予備加熱された上記液体食品滅菌温度に加熱して滅菌する滅菌手段13と、上記滅菌手段によって滅菌された液体食品を備えた液体食品の滅菌装置10であって、上記滅菌手段によって加熱された上記液体食品を、上記予備加熱手段に送出し、上記予備加熱手段の熱溶媒として利用する加熱液体食品送出手段を備えた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体食品を所定温度に加熱する予備加熱手段と、予備加熱された上記液体食品滅菌温度に加熱して滅菌する滅菌手段と、上記滅菌手段によって滅菌された液体食品を備えた液体食品の滅菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体食品の製造プラントにおいて、上記液体食品を加熱滅菌する滅菌装置は、液体食品の品質管理上、非常に重要な装置である。
図3は、液体食品の製造プラントに組み込まれた、一般的な滅菌装置70の装置構成、及び液体食品の流れの一例を示す概念図である。
図3に示すように、従来の滅菌装置70は、加熱前の液体食品71を収容するタンク72と、上記液体食品71を所定温度まで予備加熱する予備加熱手段73、74、上記予備加熱手段73、74によって所定温度に昇温された液体食品を更に昇温させ、上記液体食品71の加熱滅菌を行う滅菌手段75と、上記滅菌手段75によって滅菌された液体食品を貯留すると共に、減圧・冷却する減圧冷却タンク76と、上記減圧冷却タンク76において、上記液体食品71を減圧する過程で発生する高温水蒸気によって、熱媒である水77を加熱する再生熱用加熱器78と、上記減圧冷却タンク76内で所定温度にまで冷却された液体食品71を更に冷却する滅菌後液体食品冷却用熱交換器79、80を備えている。
【0003】
上記液体食品71は、繊維質(パルプ)、固形物を含有していなければ、特に制限は無く、例えば果汁、牛乳等が適用対象となる。
液体食品製造プラント(図3には図示せず)において、前工程P1から送られてきた液体食品71は、タンク72に貯留される。
上記タンク72に貯留された液体食品71は、温度15℃に保持され、ポンプ86を介して、予備加熱手段73に送入される。
【0004】
なお、上記予備加熱器73には、加熱対象物と熱溶媒が直接接触しない、所謂間接式熱交換器が用いられている。
上記間接式熱交換器の種類は特に限定されず、例えば、プレート式熱交換器、若しくはシェル−チューブタイプ熱交換器等を適宜選択することができる。
【0005】
上記予備加熱手段73においては、上記再生熱用加熱器78によって、例えば60℃に加熱された水77が熱溶媒として用いられ、上記水77によって、液体食品71が15℃から50℃まで加熱される。
【0006】
更に、50℃まで加熱された上記液体食品71は、予備加熱手段74に送入される。
上記予備加熱手段74においては、別途設置された温水装置81によって加熱された熱溶媒である水82によって、上記液体食品71を50℃から80℃まで加熱する。
【0007】
上記予備加熱手段74で80℃に加熱された液体食品71は、滅菌手段75において、高温水蒸気を吹き込まれることにより、140℃にまで昇温され、滅菌される。
【0008】
上記滅菌手段75によって滅菌された液体食品71は、ニードル弁83を介して、減圧冷却タンク76に送入される。
上記減圧冷却タンク76においては、真空ポンプ84によって内部が減圧されることによって、液体食品71に含まれていた加水分が110℃の高温水蒸気として取り除かれ、この過程において上記液体食品は83℃まで冷却される。
また、上記高温水蒸気は真空ポンプ84に至る過程において、再生熱用加熱器78に送入される。
上記再生熱用加熱器78は、任意の種類の間接式熱交換器からなり、上記高温水蒸気によって、熱溶媒である水77が60℃に加熱され、上記水77は、上述の予備加熱手段73に送入され、熱溶媒として機能する。
また、上記減圧冷却タンク76内において83℃にまで冷却された液体食品71は、ポンプ85を介して任意の種類の間接式熱交換器からなる滅菌後液体食品冷却用熱交換器79、80に送入され、上記滅菌後液体食品冷却用熱交換器79、80によって、最終的に5℃に冷却され、次工程P2に送出される。
【0009】
上記の滅菌過程において、液体食品71は、15℃から140℃に加熱される。
この際、昇温量の総計は初期温度と加熱後温度の差温である125℃である。
また、上記昇温量のうち、滅菌後の液体食品71の冷却過程において発生する熱を利用、即ち再生熱用加熱器78によって供給される熱によって昇温される昇温量は、予備加熱手段73における15℃から50℃への昇温時の温度35℃分のみである。
従って、全体の昇温量のうち、再生熱を利用した割合Cは、下式で計算される。
(数1)
【0010】
C=[(50−15)/(140−15)]*100(%)=28%
【0011】
液体食品製造プラントにおける、省エネルギー、省コストの要求は、近年特に強まっており、滅菌装置等の、熱を発生させる装置においては、特にエネルギー使用量が大きいことから、これらの装置におけるエネルギーコストの削減は、プラント全体のエネルギーコストにも大きな影響を与えるため、非常に重要である。
しかしながら、従来の滅菌装置においては、上記の通り、全体昇温量に対する再生熱の利用率はわずか28%に留まっており、熱再生効率が高いとは言い難く、発生する熱エネルギーを効率的に利用できていないという不具合を有していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の解決する課題は、滅菌過程において発生する熱の再生利用効率を向上させ、使用エネルギーコストを削減することが可能な液体食品の滅菌装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、請求項1に記載した発明に係る液体食品の滅菌装置は、液体食品を所定温度に加熱する予備加熱手段と、予備加熱された上記液体食品滅菌温度に加熱して滅菌する滅菌手段と、上記滅菌手段によって滅菌された液体食品を備えた液体食品の滅菌装置であって、上記滅菌手段によって加熱された上記液体食品を、上記予備加熱手段に送出し、上記予備加熱手段の熱溶媒として利用する加熱液体食品送出手段を備えることを特徴する。
【0014】
また、請求項2に記載した発明に係る液体食品の滅菌装置は、液体食品を所定温度に加熱する予備加熱手段と、予備加熱された上記液体食品に高温水蒸気を吹き込むことにより滅菌する滅菌手段と、上記滅菌手段によって滅菌された液体食品を減圧冷却すると共に加水分を除去する減圧冷却手段とを備えた液体食品の滅菌装置であって、上記冷却手段によって所定温度まで冷却した上記液体食品を、上記予備加熱手段に送出し、上記予備加熱手段の熱溶媒として利用する加熱液体食品送出手段を備えることを特徴する。
【0015】
従って、請求項1及び請求項2に記載した滅菌装置においては、予備加熱において使用する熱媒として、滅菌後の液体食品をそのまま熱媒として使用するため、従来の滅菌装置のように、別途の熱媒(水)を昇温させる際に発生する、熱エネルギーロスが少ない。
【0016】
また、請求項3に記載した発明に係る液体食品の滅菌装置は、上記予備加熱手段は、減圧環境下に加熱液体食品送出手段より送出された液体食品を送入することによって、上記液体食品の高温蒸気を発生させ、上記高温蒸気を熱媒として、加熱前の液体食品に直接接触させることによって加熱する直接式熱交換器であることを特徴とする。
【0017】
従って、加熱液体食品送出手段より送出された液体食品の高温蒸気によって、滅菌前の液体食品を直接加熱するため、熱交換効率が高くなると共に、同一の液体食品を用いて加熱するため、滅菌前の液体食品に、熱媒が混入しても異物混入等、品質上の問題が発生する可能性が無い。
【0018】
また、請求項4に記載した発明に係る液体食品の滅菌装置は、上記予備加熱手段は、直列に接続された複数の直接式熱交換器を備え、上記液体食品は各直接式熱交換器によって段階的に加熱されることを特徴とする。
【0019】
従って、直接式熱交換器一台のみの場合と比較して、昇温効率が上昇する。
【発明の効果】
【0020】
請求項1及び2の発明にあっては、滅菌後の加熱状態にある液体食品を、そのまま上記予備加熱手段の熱溶媒として利用する加熱液体食品送出手段を備えることから、滅菌過程において発生する熱の損失が少ない。
従って熱エネルギーの再生利用効率を向上させ、使用エネルギーコストを削減することが可能な液体食品の滅菌装置を提供することができる。
【0021】
また、請求項3の発明にあっては、上記予備加熱手段は、減圧環境下に加熱液体食品送出手段より送出された液体食品を送入することによって、上記液体食品の高温蒸気を発生させ、上記高温蒸気を熱媒として、加熱前の液体食品に直接接触させることによって加熱する直接式熱交換器であることから、請求項1の発明の効果に加え、予備加熱時においての熱交換の効率が向上する。
また、高温の蒸気を直接加熱前の液体食品に接触させることから、加熱時間が短く、液体食品に含有されるビタミン等の栄養成分、色素等の破壊が防止され、より高品質の液体食品を提供できる。
更に、機器と液体食品の接触面積がプレート式熱交換器等と比較して小さいことから、細菌による菌膜(所謂バイオフィルム)が発生し易い20℃〜50℃となる機械の表面領域を少なくすることができるため、バイオフィルム生成による殺菌効果の低下を防止することができる。
【0022】
また、請求項4の発明にあっては、上記予備加熱手段は、直列に接続された複数の直接式熱交換器を備え、上記液体食品は各直接式熱交換器によって段階的に加熱されることを特徴とする。
従って、予備加熱時においての熱交換の効率が更に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る液体食品の滅菌装置の一実施の形態を示し、実施例に形態における滅菌装置全体の構成図及び液体食品のフローの一例を示す概念図である。
【図2】本発明に係る液体食品の滅菌装置における、直接式熱交換器からなる予備加熱手段を示す断面図である。
【図3】従来の液体食品の滅菌装置の構成図及び液体食品のフローの一例を示す概念図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明を実施するための形態について、添付図面を用いて以下説明する。
図1(a)に示すように、本実施例に係る液体食品の滅菌装置10は、液体食品11を所定温度に加熱する予備加熱手段12と、予備加熱された上記液体食品に高温水蒸気を吹き込むことにより滅菌する滅菌手段13と、上記滅菌手段13によって滅菌された液体食品を減圧冷却すると共に加水分を除去する減圧冷却手段14とを備えている。
また、上記冷却手段14によって所定温度まで冷却した上記液体食品11を、上記予備加熱手段12に送出し、上記予備加熱手段12の熱溶媒として利用する加熱液体食品送出手段15を備えている。
また、上記予備加熱手段12は、減圧環境下に上記液体食品11を送入することによって、上記液体食品11の高温蒸気を発生させ、上記高温蒸気を熱媒として、加熱前の液体食品11に直接接触させることによって加熱する直接式熱交換器16a、16bからなり、上記直接式熱交換器16a、16bは互いに直列に接続されている。
【実施例1】
【0025】
本実施例の構成について、添付図面を用いて説明する。
図2は、本実施例に係る滅菌装置10に用いられる予備加熱手段12を構成する直接式熱交換器16a(16b)の断面図である。
【0026】
図2に示すように、直接式熱交換器16a(16b)は、全体略円筒形に形成された熱交換器本体部17と、上記熱交換器本体部17の内部の、軸方向中央部よりやや上方側に配設された、上記熱交換器本体部17よりも小径に形成された熱媒用仕切り板部18と、上記熱媒用仕切り板部18の位置において、上記熱交換器本体部17に形成された熱媒送入口部19と、上記熱媒送入口部19と径方向に対向する位置において、上記熱媒送入口部19よりもやや下方側に設けられた熱媒送出口部20と、上記熱交換器本体部17の軸方向略中央部において径方向に対向して形成された真空ポンプ接続用口部21、22と、上記真空ポンプ接続用ポンプ接続口部21、22よりも下方側に形成され、未滅菌状態の液体食品11(図2には図示せず)が送入される、未滅菌液体送入口部23と、上記未滅菌液体送入口部23に接続されると共に、上記熱交換器本体部17の径方向内方において、下方に向かって彎曲して突出するように形成された未滅菌液体送入管部24と、上記熱交換器本体部17の下端部に形成され、熱媒によって熱交換された液体食品が送出される熱交換後液体送出口部25とから形成されている。
【0027】
また、上記熱媒用仕切り板部18の下端部には周方向に沿って径方向外方に突出するフランジ部26が形成され、上記フランジ部26の外周部は、上記熱交換器本体部17の内周部に固定されている。
【0028】
また、図1は、本実施例に係る滅菌装置10の全体の機器構成及び液体食品11のフローを示す概念図である。
図1に示すように、滅菌装置10において、前工程P1から送られてきた液体食品11はタンク27に貯留されている。
また、上記タンク27は管路28を介してポンプ29に接続され、上記ポンプ29は、管路30を介して、直接式熱交換器16aの未滅菌液体送入口部23に接続されている。
【0029】
また、上記直接式熱交換器16aの熱交換後液体送出口部25は、ポンプ31を介して、隣接して配置された、直接式熱交換器16bの未滅菌液体送入口部23に接続されている。
【0030】
また、上記直接式熱交換器16aの熱交換後液体送出口部25は、ポンプ32を介して、滅菌手段13に接続されている。
【0031】
また、上記滅菌手段13は、ニードル弁33を介して、上記滅菌手段13によって滅菌された液体食品11を貯留すると共に、減圧冷却する減圧冷却タンク14に接続されている。
【0032】
また、上記減圧冷却タンク14で減圧・冷却された液体食品11は、上記減圧冷却タンク14の冷却後液体送出口部34より送出され、ポンプ35及び管路36を介して、上記直接式熱交換器16bの熱媒送入口部19に接続され、更に上記直接式熱交換器16bの熱媒送出口部20と、隣接する直接式熱交換器16aの熱媒挿入口部19とが管路37を介して接続されている。
【0033】
また、上記直接式熱交換器16aの熱媒送出口部20は、ポンプ38を介して、滅菌後の液体食品11を冷却する間接式熱交換器39、40に接続され、冷却された液体食品11は、上記間接式熱交換器40から次工程P2に送出される。
【0034】
また、上記減圧冷却タンク14には、減圧冷却過程によって発生した液体製品11の蒸気を送出する蒸気送出口部41が設けられている。
【0035】
また、上記減圧冷却タンク14において発生する蒸気は、管路42とニードル弁43を介して、上記直接式熱交換器16bの真空ポンプ接続用口部22に接続され、更に、上記直接式熱交換器16bの真空ポンプ接続用口部21は、ニードル弁44を介して、上記直接式熱交換器16aの真空ポンプ接続用口部22に接続されている。
また、上記直接式熱交換器16aの真空ポンプ接続用口部21は、上記間接熱交換器45を介して、真空ポンプ46に接続されている。
【0036】
以下、添付図面を用いて本実施例に係る滅菌装置10によって、液体食品11を滅菌する過程について説明する。
図1に示すように、前工程P1から送られた液体食品11は、温度15℃に保持され、ポンプ29によって、直接式熱交換器16aに未滅菌液体送入口部23を介して送入される。
液体製品11は、上記直接式熱交換器16aにおいて40℃の熱媒蒸気によって38℃にまで予備加熱され、上記直接式熱交換器16aの熱交換後液体送出口部25より送出され、更にポンプ31を介して、直接式熱交換器16bに未滅菌液体送入口部23を介して送入される。
【0037】
上記液体製品11は、上記直接式熱交換器16bにおいて80℃の熱媒蒸気によって78℃にまで予備加熱される。
予備加熱された上記液体製品11は、ポンプ32を介して、滅菌手段13に送入される。
【0038】
なお、滅菌手段13の種類は特に限定する必要は無いが、本実施例においては、高温の水蒸気を液体製品11に直接吹き込んで昇温させる、インフュージョン方式の直接式滅菌器を用いている。
【0039】
上記滅菌手段13によって液体製品11は140℃にまで昇温して滅菌され、ニードル弁33を介して、減圧冷却タンク14に送入され貯留される。
【0040】
上記減圧冷却タンク14においては、真空ポンプ46によって内部が減圧され、加水分が高温水蒸気となって放出されると共に、液体製品11は83℃にまで冷却される。
なお、上記減圧冷却タンク14内、直接式熱交換器16a、及び直接式熱交換器16b内の圧力は、真空ポンプ46及びニードル弁33、43、44によって適宜に調整される。
【0041】
上記減圧冷却タンク14において、83℃にまで冷却された液体製品11は、ポンプ35によって、上記直接式熱交換器16bに熱媒送入口部19を介して送入される。
上記直接式熱交換器16bに送入された熱媒としての液体製品11は、上記直接式熱交換器16bの内部が減圧されているため沸騰してほぼ同温である80℃の蒸気となり、未滅菌液体送入口部23から送入され、38℃まで加熱された滅菌前の液体製品11を78℃まで加熱する。
【0042】
上記直接式熱交換器16bにおいて、熱媒としての液体製品11は、温度40℃に冷却され、上記直接式熱交換器16bの熱媒送出口部20から送出され、管路37を介して、隣接するもう一台の直接式熱交換器16aの熱媒送入口部19から送入される。
【0043】
上記直接式熱交換器16aに送入された熱媒としての液体製品11は、上記直接式熱交換器16aの内部が減圧されているため沸騰して同温の蒸気となり、未滅菌液体送入口部23から送入された、15℃の滅菌前の液体製品11を38℃まで加熱する。
【0044】
その後、熱媒としての液体製品11は、上記直接式熱交換器16aの熱媒送出口部20から送出され、間接式熱交換器39、40によって、段階的に冷却され、最終的に5℃まで冷却後、次工程P2に送出される。
【0045】
本実施例にあっては、従来の殺菌装置とことなり、熱媒に液体製品11自体を利用するため、昇温対象物と熱媒が直接接触する直接式熱交換器を使用しても異物等が混入する虞が無い。
また、間接式熱交換器と比較して、別途の熱媒を暖める際に発生するエネルギーロスが発生しない。
【0046】
本実施例における液体食品の全体の昇温量のうち、再生熱を利用した割合Cは、下式で計算される。
(数2)
【0047】
C=[(78−15)/(140−15)]*100(%)=50.4%
従って、従来の滅菌装置と比較して熱再生効率が大幅に向上し、プラント全体におけるエネルギー使用量の削減に大きく貢献することができる。
【0048】
なお、本実施例においては、予備加熱に用いる直接式熱交換器16a、16bに供給される熱媒は、加熱滅菌後の液体食品11であるため、装置を停止状態から稼働する時点においては、加熱滅菌後の液体食品11は存在していない。
【0049】
従って、本実施例に係る滅菌装置10を停止状態から稼動する場合には、図示しない別途の初期加熱手段によって液体食品を加熱して、滅菌手段13に送入し、滅菌手段13から滅菌後の液体製品11が供給開始された後に、タンク27からの液体製品11の供給を開始する。
【0050】
なお、本実施例にあっては、直接式熱交換器を2台直列に接続した構成としているが、3台以上を直列接続する構成としても良い。
また、液体食品については、固形物が含有されているものを除き、任意の製品に適用することが可能である。
【0051】
また、本実施例で示した減圧冷却タンク14は必ずしも必須の構成ではなく、滅菌装置にて加熱された液体食品をそのまま、直接式熱交換器に送出しても良く、更に、滅菌装置についても、本実施例のようにインフュージョン方式の熱交換器の他、例えばプレート式熱交換器を用いることでも良い。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、液体食品を所定温度に加熱する予備加熱手段と、予備加熱された上記液体食品に高温水蒸気を吹き込むことにより滅菌する滅菌手段と、上記滅菌手段によって滅菌された液体食品を減圧冷却すると共に加水分を除去する減圧冷却手段とを備えた液体食品の滅菌装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0053】
10 滅菌装置
11 液体食品
12 予備加熱手段
13 滅菌手段
14 減圧冷却手段(減圧冷却タンク)
15 加熱液体食品送出手段
16a直接式熱交換器
16b直接式熱交換器
17 熱交換器本体部
18 熱媒用仕切り板部
19 熱媒送入口部
20 熱媒送出口部
21 真空ポンプ接続用口部
22 真空ポンプ接続用口部
23 未滅菌液体送入口部
24 未滅菌液体送入管部
25 熱交換液体送出口部
26 フランジ部
27 タンク
28 管路
29 ポンプ
30 管路
31 ポンプ
32 ポンプ
33 ニードル弁
34 冷却後液体送出部
35 ポンプ
36 管路
37 管路
38 ポンプ
39 間接式熱交換器
40 間接式熱交換器
41 蒸気送出口部
42 管路
43 ニードル弁
44 ニードル弁
45 間接式熱交換器
46 真空ポンプ
70 滅菌装置
71 液体食品
72 タンク
73 予備加熱手段
74 予備加熱手段
75 滅菌手段
76 減圧冷却タンク
77 水
78 再生熱媒用加熱器
79 滅菌後液体食品冷却用熱交換器
80 滅菌後液体食品冷却用熱交換器
81 温水装置
82 水
83 ニードル弁
84 真空ポンプ
85 ポンプ
86 ポンプ
P1 前工程
P2 次工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体食品を所定温度に加熱する予備加熱手段と、予備加熱された上記液体食品滅菌温度に加熱して滅菌する滅菌手段と、上記滅菌手段によって滅菌された液体食品を備えた液体食品の滅菌装置であって、
上記滅菌手段によって加熱された上記液体食品を、上記予備加熱手段に送出し、上記予備加熱手段の熱溶媒として利用する加熱液体食品送出手段を備えることを特徴する液体食品の滅菌装置。
【請求項2】
液体食品を所定温度に加熱する予備加熱手段と、予備加熱された上記液体食品に高温水蒸気を吹き込むことにより滅菌する滅菌手段と、上記滅菌手段によって滅菌された液体食品を減圧冷却すると共に加水分を除去する減圧冷却手段とを備えた液体食品の滅菌装置であって、
上記冷却手段によって、所定温度まで冷却した上記液体食品を、上記予備加熱手段に送出し、上記予備加熱手段の熱溶媒として利用する加熱液体食品送出手段を備えることを特徴する液体食品の滅菌装置。
【請求項3】
上記予備加熱手段は、減圧環境下に、加熱液体食品送出手段より送出された液体食品を送入することによって、上記液体食品の高温蒸気を発生させ、上記高温蒸気を熱媒として、加熱前の液体食品に直接接触させることによって加熱する直接式熱交換器であることを特徴とする請求項2記載の液体食品の滅菌装置。
【請求項4】
上記予備加熱手段は、直列に接続された複数の直接式熱交換器を備え、上記液体食品は各直接式熱交換器によって段階的に加熱されることを特徴とする請求項3記載の液体食品の滅菌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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