説明

液体DIMM冷却装置

【課題】複数のメモリ・モジュール(4)を有するDIMM(2)を冷却するための液体冷却装置(1)を提供する。
【解決手段】複数のメモリ・モジュール(4)を有するDIMM(2)を冷却するための液体冷却装置(1)は、複数のメモリ・モジュール(4)に沿って配されるヒート・スプレッダ(5)と、ヒート・スプレッダ(5)に沿って延在する冷却レール・ブロック(7)と、冷却レール・ブロック(7)およびDIMMのメモリ・モジュール(4)の間に交互配置される熱アダプタ(8)とを含む。熱アダプタ(8)はDIMM(2)基板の面に垂直な方向に圧縮可能であることによって、冷却装置(1)の構成要素(5、7、8)がDIMM(2)の面に垂直な方向に動かされて互いに対して調整されることを可能にする。好ましい実施形態において、冷却装置(1)内の隣接構成要素(5、8)の適合する平滑な表面に潤滑剤が配されることによって、これらの構成要素(5、8)の互いに対する低摩擦の滑動が可能になり、DIMM(2)が冷却装置(1)から容易に取り出されて労力も道具もなしに置換されることが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に電子コンポーネントの冷却に関し、特定的には電子回路基板のための液体冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータおよび電子装置に含まれるたとえばメモリ・モジュールなどのマイクロエレクトロニクス・コンポーネントは、動作中にかなりの量の熱を生じるものであり、コンポーネントの性能を信頼性高いものにし、かつ寿命を長くすることを確実にするためにはこの熱を除去する必要がある。過去には、たとえば電子装置に強制的に気流を通すファンなどによる空冷を用いてこの熱除去を行っていた。しかし、こうした空冷配置はかなりの量の空間を消費するか、もしくはマイクロエレクトロニクス・コンポーネントを適切に冷却できないか、またはその両方であることが見出された。特に、たとえばデュアル・インライン・メモリ・モジュール(dual in−line memory modules:DIMMs)などの高密度にパックされた強力なマイクロエレクトロニクス・コンポーネントの使用は、強力な冷却システムを必要とする。
【0003】
DIMMは細く伸長した電子回路基板であって、その両側にメモリ・モジュールを保持している。回路基板上で強力なメモリ・モジュールが高密度で近接しているため、DIMMには信頼性が高く有効性の高い冷却が必要であり、それは気流冷却を用いて実現することが困難である。
【0004】
その結果、気流冷却に対するさまざまな代替策が探索されてきた。特許文献1は、マイクロエレクトロニクス装置の典型的な動作温度において相変化を示す低融点合金組成物を使用した、マイクロエレクトロニクス・コンポーネントのための冷却アセンブリを記載している。この低融点合金組成物は、冷却されるマイクロエレクトロニクス装置と隣接するヒート・シンクとの間の熱界面材料として用いられ、マイクロエレクトロニクス装置とヒート・シンクとの間隙を効果的に埋める。この種の熱界面は非常に効果的かもしれないが、低融点合金は酸化されやすくて密閉される必要があるため、マイクロエレクトロニクス装置の交換または置換が非常に煩雑になる。冷却器を取り外し、電子・コンポーネントを交換し、冷却器を再び取り付けるためにかなりの量の機械的作業が必要である。
【0005】
冷却速度を増加させるために、特にDIMMに対する液体冷却システムが開発された。特許文献2は、マザーボード上に互いに平行に配置された複数のDIMMを冷却するために使用される液体冷却システムを開示している。このシステムは、DIMMの回路基板の頂部端縁に位置する水冷ヒート・シンク・ベースを含む。このヒート・シンク・ベースからDIMMの側部に沿って延在する冷却フィンは、DIMMのメモリ・モジュールとフィンとの間の良好な熱的接触を確実にするための熱界面層を備えている。熱界面層は、すでにマザーボード上の所定の位置にあるDIMMの間にフィンを滑らせ、適切な熱転移を可能にするために十分な接触圧力を提供できるように柔らかい材料で構成される。この冷却システムは容易に取り外しできるためにDIMMの迅速な交換を可能にするが、DIMMの頂部に配された水冷ヒート・シンク・ベースはかなりの量の空間を必要とする。この冷却システムはDIMM配置の高さを増すため、DIMM頂部上の空き空間が非常に制限されるサーバ・ブレードまたは薄いラック・マウント・サーバにこれを用いることはできない。
【0006】
特許文献3は、複数のメモリ・モジュールを有するDIMMのための非常にコンパクトな液体/蒸気冷却アセンブリを示している。このアセンブリでは、複数のメモリ・モジュールに沿ってヒート・スプレッダが配され、このヒート・スプレッダに沿ってヒート・パイプもしくは蒸気チャンバまたはその両方が延在する。冷却アセンブリのさまざまな構成要素はクリップによって所定の位置に保持される。この冷却アセンブリは非常に小さな空間しか使わないが、これは良好な熱的接触を確実にするためにヒート・パイプを非常に精密な寸法にする必要があるため、かなり複雑になる。さらに、DIMMの交換はDIMMの周囲に配置されたパイプ・アセンブリを解体して再び組み立てることを要するため、かなり複雑で込み入ったものとなる。
【0007】
したがって、DIMMの効果的な冷却を提供する一方で最小限の空間しか占めず、かつDIMMモジュールの容易で時間効率の良い交換を可能にする液体DIMM冷却装置が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7,369,511B2号
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0250772A1号
【特許文献3】米国特許出願公開第2008/0251911A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、わずかな空間しか必要とせず、かつDIMMの容易な取り付けおよび取り外しを可能にする、DIMMのための液体冷却装置を提供することである。さらに、この冷却装置は製造および動作のための費用効果が高いことが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これらの目的は、独立請求項の特徴によって達成される。残りの請求項および明細書は、本発明の有利な実施形態を開示するものである。
【0011】
本発明に従うと、エッジ・コネクタを有する回路基板上に配された複数のメモリ・モジュールを含むデュアル・インライン・メモリ・モジュール(DIMM)を冷却するための液体冷却装置が提供される。この液体冷却装置は、複数のメモリ・モジュールに沿って配されるヒート・スプレッダと、ヒート・スプレッダに沿って延在する冷却レール・ブロックと、冷却レール・ブロックおよびDIMMのメモリ・モジュールの間に交互配置される熱アダプタとを含む。熱アダプタはDIMMの回路基板の面に垂直な方向に圧縮可能であることによって、熱アダプタに圧力を加えることによって熱アダプタの厚さを可逆的に変更できる。
【0012】
冷却レールおよびDIMMの間に交互配置される熱アダプタが圧縮可能であることによって、冷却装置の構成要素をDIMMの回路基板の面に垂直な方向に動かして互いに対して調節することが可能になる。つまりこの圧縮可能なアダプタは、構成要素を所定の位置に保持し、良好な機械的接触および熱的接触を確実にするばねのように作用する。つまりこの圧縮可能なアダプタは、液体冷却装置のさまざまな構成要素の寸法の差および不正確さを補償する。アダプタを手動で圧縮することによって、DIMMが冷却装置から取り出されてもよい。好ましい実施形態において、冷却装置内の選択的構成要素は適合する平滑な表面を有することによって、これらの構成要素の互いに対する低摩擦の滑動を可能にする。これによってDIMMを冷却装置から容易に取り出し、労力も道具もなしに置換することが可能になる。
【0013】
本発明は、上述の目的および利点ならびにその他の目的および利点とともに、以下の実施形態の詳細な説明によって最も良く理解されるだろうが、これらの実施形態に限定されることはない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】熱を生じるコンポーネントを含むマザーボードと、冷却システムとを有するコンピュータ・システムの概略図である。
【図2】図2aは、第1の実施形態に従う液体冷却装置の斜視側面図である。図2bは、図2aの面IIb−IIbに沿った図2aの液体冷却装置の断面図である。
【図3】図2aの液体冷却装置に含まれる冷却レール・ブロックの斜視側面図である。
【図4】図4aは、代替的な実施形態に従う液体冷却装置の斜視側面図である。図4bは、図4aの液体冷却装置の部分を形成する被覆アセンブリを有するDIMMの図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面において、類似の構成要素は同じ参照番号によって示されている。図面は単なる概略的な表現であり、本発明の特定のパラメータを描写することは意図されていない。さらに、図面は本発明の典型的な実施形態のみを示すことが意図されているため、本発明の範囲を制限するものと考えられるべきではない。
【0016】
図1は、動作中に熱を生じるさまざまな電子コンポーネントおよびモジュールを含むコンピュータ・システム100の実施形態の概略図を示す。コンピュータ・システム100は一般的に電源110と、マザーボード120と、たとえば磁気もしくは光ディスク・ドライブまたはその両方130などの複数の記憶媒体130とを含む。マザーボード120はさまざまな電子コンポーネントを含み、たとえば中央処理ユニット(central processing unit:CPU)122、たとえばキーボード、マウス、音声認識システム、プリンタ、モニタ、ファクシミリなどの外部装置/リソース140にアクセスするための入力/出力(input/output:I/O)インタフェース124、およびマザーボード120のソケット126に取り付けられるデュアル・インライン・メモリ・モジュール(DIMM)2などを含む。これらのDIMMソケット126の標準的な配置によって、DIMMモジュールはマザーボード120の面に垂直に、互いに平行に整列することとなる。図1は、マザーボード120に取り付けられた3つのDIMM2および1つの空のスロット・ソケットを示している。コンピュータ・システム100には、コンピュータ・システム100の電子コンポーネントを冷却するための液体冷却システム150が備えられている。液体冷却システム150は、DIMMの迅速かつ容易な交換を可能にする一方でDIMM2の効果的な冷却を達成するように設計された液体冷却装置1、1’を含む。こうした液体冷却装置1、1’の2つの好ましい実施形態を、図2、図3および図4とともに詳細に説明する。
【0017】
本発明の第1の実施形態に従う液体冷却装置1の斜視側面図を図2aに示し、概略断面図を図2bに示す。冷却装置1は、たとえばワークステーションなどの電子装置のマザーボード120上の隣り合う平行なソケット126に取り付けられた2つのDIMM2を冷却するために設計されている。各DIMM2は、側部の各々に複数のメモリ・モジュール4を保持するプリント回路基板(printed circuit board:PCB)3と、複数の接触パッド31を有するエッジ・コネクタ30とを含み、接触パッド31はDIMM2がマザーボード120上のソケット126に挿入されたときに多数のコネクタとの電気的接触を行う。
【0018】
各DIMM2はヒート・スプレッダ5に覆われており、ヒート・スプレッダ5はU形に曲げられて、ヒート・スプレッダ5の内表面6がメモリ・モジュール4の表面上に平らに置かれるようなやり方でDIMM2の頂部の上に摺動される。ヒート・スプレッダ5は、たとえば厚さ1mmの銅またはアルミニウム・シートなど、良好な熱伝導性を有する金属のシートから製造されてもよい。メモリ・モジュール4の表面と、それらに面するヒート・スプレッダの表面6との間の良好な熱的接触を確実にするために、ヒート・スプレッダ5の内表面6には熱グリースまたは弾性の熱パッドが適用される。
【0019】
冷却装置1は、2つの平行なDIMM2の間隙に位置する冷却レール・ブロック7、および冷却レール・ブロック7とDIMM2の上に取り付けられたヒート・スプレッダ5との間隙を埋める熱アダプタ8を含む。
【0020】
冷却レール・ブロック7は、管10を挟む2つの冷却レール・スリーブ9を含み、この管10にたとえば水、油または(圧縮)気体などの冷却流体が通される。冷却レール・ブロック7の詳細な図が図3に示される。冷却レール・スリーブ9は、冷却レール・スリーブ9の遠端部に位置するブラケット・アセンブリ11を用いて、(図3には示されていない)管10に固定されている。図3の実施形態において、ブラケット・アセンブリ11は、六角ソケットねじ13を用いて冷却レール・ブロック7に取り付けられたブラケット本体12と、クランプ・ナット14の形のブラケット頂部とを含む。これらのクランプ・ナット14の中の止めねじ15を締めることによって、冷却レール・スリーブ9が管10に押し付けられる。管10と冷却レール・スリーブ9との間の界面16に熱グリースが広げられることによって、良好な熱的接触が確実となる。
【0021】
冷却レール・ブロック7とヒート・スプレッダ5との間に熱アダプタ8が交互配置されている。熱アダプタ8は、熱アダプタ8に(局部的)圧力がかけられるとその厚さが(局部的に)減少するが、その圧力がおさまると元の形に戻るという意味において弾性(可逆的に圧縮可能)である。
【0022】
保持ブラケット20はヒート・スプレッダ5、熱アダプタ8および冷却レール・ブロック7にまたがっており、それらをDIMM2の面に垂直な方向に締め付けて圧縮することによって所定の位置に保持することで、冷却装置1の構成要素5、7および8の間の良好な機械的接触および熱的接触を確実にする。保持ブラケット20は弾性であって圧縮ばねとして作用し、DIMM2を覆っているヒート・スプレッダ5を熱アダプタ8の側部に押し付けながら、圧縮可能な熱アダプタが冷却レール・ブロック7の側部に押し付けられるようにする。
【0023】
熱アダプタ8は高い熱伝導性を有し、DIMMの回路基板3の面に垂直な方向に圧縮可能である。この圧縮性によって、熱アダプタ8は圧縮をもたらす保持ブラケット20によって圧搾されて適切な厚さになることで、DIMM2および冷却装置1の残りの構成要素5、7、8の位置的な不正確さを調整できる。
【0024】
図2aおよび図2bの実施形態において、各熱アダプタ8は、剛性のシム17に取り付けられた圧縮可能な熱パッド18で構成される。熱パッド18は、後退して熱アダプタ8ならびにDIMM2もしくはそれらのヒート・スプレッダ5またはその両方の寸法的不正確さを補償することを可能にするような固有の圧縮性および柔軟性を有する。熱パッド18の表面は粘着性であることによって、熱パッド18は冷却レール・ブロック7に付着されて、シム17を冷却レール・ブロック7に対する所定の位置に保持する。好ましい実施形態において、熱パッド18はレアード・テクノロジーズ社(Laird Technologies)のTflex(R)材料、たとえばTflex300、Tflex600またはTflex700などで構成されてもよい。代替的な好ましい実施形態においては、バーグクイスト社(Bergquist)のギャップ・パッド(Gap Pad)3000S30材料が用いられてもよい。これは3W/m−kの熱伝導度を有する柔軟な間隙充填材料である。
【0025】
シム17の厚さは、マザーボード120のソケット126の間隔によって決まり、約0.1ミリメートルから数ミリメートルまで変動してもよい。シム17はたとえば銅またはアルミニウムなどのあらゆる熱伝導性材料で構成されてもよい。シム17が非常に薄い場合には、それは鋼鉄でできていてもよい。シム17は、冷却レール・ブロックのブラケット本体12の底部にある留め具21によって支持され所定の位置に保持される(図3を参照)。ヒート・スプレッダ5に面するシム表面19は平滑であるため、大きな労力なしにヒート・スプレッダ5をシム17に対して移動できる。シム表面19とヒート・スプレッダ5との間の摩擦を減らすために、高粘度のシリコーン油のコーティングをシム表面19に沈着させることで、良好な熱的接触を確実にするとともに、DIMM2の取り付けおよび取り外しの際の熱アダプタ8に対するヒート・スプレッダ5の摺動を容易にしてもよい。
【0026】
熱パッド18の圧縮性および柔軟性によって、いかなる道具も必要としないDIMM2の簡単かつ時間有効性の高い交換が可能になる。すなわち、DIMM2の一方(または両方)を取り出すときには、保持ブラケット20を持ち上げて冷却アセンブリ1から外し、冷却レール・ブロック7および熱アダプタ8はマザーボード120上の所定の位置に残したままで、DIMM2を周りのヒート・スプレッダ5とともにマザーボード120のソケット126から取り出す。DIMM2およびヒート・スプレッダ5をマザーボード120から取り出す際に、ヒート・スプレッダ5はシム17の表面19に沿って滑動し、冷却レール・ブロック7に付着した熱パッド18に取り付けられているシム17は所定の位置に留まる。その後、ヒート・スプレッダ5に覆われた新しいDIMM2がシム17の外表面19に沿って摺動され、マザーボード120のソケット126に差し込まれる。新しいDIMM2を導入する前に、新しいDIMM2に面するシム17の表面19に高粘度の油および適度な熱伝導性を有する薄膜を広げることによって、低摩擦および良好な熱伝導性を確実にする。新しいDIMM2の取り付けを簡単にするために、ヒート・スプレッダ5は底部の角に小さいくさびを示し、このくさびは差し込み動作の際に熱アダプタ8を冷却レール・ブロック7に押し付ける。新しいDIMM2がそのソケット126に差し込まれて保持ブラケット20が所定の位置に置かれると、DIMM2上のメモリ・モジュール4と冷却レール・ブロック7との間の熱経路が閉じられる。
【0027】
なお、冷却レール・ブロック7は隣り合うDIMM2の間隙の中に位置し、加えてDIMM2を覆うヒート・スプレッダ5は非常にわずかな高さ(約1mm)しか増加させないため、図2〜図3の冷却装置1はDIMM2の上の非常にわずかな空間しか用いない。よってこの冷却装置1は、DIMM2の頂部上の空き空間が非常に制限されるサーバ・ブレードまたは薄いラック・マウント・サーバにおける使用によく適している。
【0028】
さらに、図2〜図3の冷却装置1は2つのDIMM2にまたがって示されているが、この冷却装置を容易に拡張させて3つまたはそれ以上のDIMM2を冷却するようにできる。この場合には、冷却レール・ブロック7が隣り合うDIMM2の各対の間に交互配置され、保持ブラケット20は冷却すべきDIMM2の全組にまたがるように寸法を定められる。
【0029】
図4aおよび図4bは、本発明の代替的な実施形態を示す。図2〜図3に示される冷却装置1は2つ(またはそれ以上)のDIMM2に冷却を提供するように設計されているのに対し、図4aおよび図4bの冷却装置1’はただ1つのDIMM2を冷却するために設計されている。図4aに示されるとおり、冷却装置1’は2つの平行な冷却レール・ブロック7’を含み、これらの冷却レール・ブロック7’は冷却されるDIMM2がそれらの間に導入されてそれらの間に挟まれ得るようなやり方でマザーボード120の上に位置付けられている。冷却レール・ブロック7’は図3に示される冷却レール・ブロック7に対応する。すなわち、それらはたとえば水、水蒸気、油などの冷却流体を中に通す管10を含む。冷却装置1’は、冷却されるべきDIMM2の各側部に取り付けられる2つの平らなヒート・スプレッダ5’を含む。DIMM2の両側のヒート・スプレッダ5’とDIMM2との間に、圧縮可能な熱パッド18’の形の圧縮可能な熱アダプタ8’が交互配置されている。熱パッド18’は粘着性であり、ヒート・スプレッダ5’をDIMM2に対する所定の位置に保つ。ヒート・スプレッダ5’を所定の位置に固定するために、DIMM2の回路基板3の遠端部に押し込まれた締め付けピン22が、ヒート・スプレッダ5’内の適合する孔22’に挿入されることで、回路基板3の面に垂直な方向へのヒート・スプレッダ5’の動きを可能にしながら回路基板3の側部と整合されたヒート・スプレッダ5’を保持する。
【0030】
冷却レール・ブロック7’はマザーボード120に強固に取り付けられており、その間に形成された間隙23に、DIMM2と、ヒート・スプレッダ5’と、熱パッド18’とを含む被覆されたDIMMアセンブリ24(図4bを参照)が挿入される。熱パッド18’の厚さは、この被覆されたDIMMアセンブリ24が冷却レール・ブロック7’の間隙23内に位置するときに熱パッド18’がわずかに圧縮されるように寸法が定められる。冷却レール・ブロック7’がヒート・スプレッダ5’の外側に圧力をかけると、次いでヒート・スプレッダ5’が熱パッド18’を圧縮してそれらをDIMMモジュール4に押し付ける。このことによって、DIMMモジュール4と、熱パッド18’と、ヒート・スプレッダ5’と、冷却レール・ブロック7’との間の界面の良好な機械的接触および熱的接触が確実になる。冷却レール・ブロック7’をマザーボード120に取り付けるやり方によっては、冷却レール・ブロック7’がヒート・スプレッダ5’の外側に予め定められた圧力をかけることを確実にするために、図2aに示されるものと類似の弾性の保持クランプが用いられてもよい。
【0031】
DIMM2を交換する必要があるとき、DIMM2と、熱パッド18’と、ヒート・スプレッダ5’とを含む被覆されたDIMMアセンブリ24は、冷却レール・ブロック7’の間隙23から引き出される。DIMM2上のピン22がヒート・スプレッダ5’の孔22’に係合していることによって、確実にこのアセンブリ24全体を引き出すことができる。被覆されたDIMMアセンブリ24を容易に引き出せるようにするために、冷却レール・ブロック7’とヒート・スプレッダ5’との間に高粘度のシリコーン油の膜を配置する。この膜は熱接触として作用し、DIMM2の挿入または除去の際の滑動する動きを支持する。マザーボード120上の所定の位置に新しいDIMM2を置くために、DIMM2に熱パッド18’とヒート・スプレッダ5’とを装備することによって、図4bに示される被覆されたDIMMアセンブリ24を形成する。ヒート・スプレッダ5’の外側面に手動で圧力をかけることによって熱パッド18’を圧縮し、被覆されたDIMMアセンブリ24の厚さ25を減少させて、被覆されたDIMMアセンブリ24を冷却レール・ブロック7’の間隙23に挿入し、さらにDIMM2のエッジ・コネクタ30をマザーボード120の対応するソケット126に導入できるようにする。
【0032】
なお、図4aおよび図4bの冷却システム1’はDIMM2の高さを超えて延在しないため、DIMM2の頂部上の余分な空間を用いることはない。よってこの冷却システムは、DIMMの頂部上の空き空間が非常に制限されるサーバ・ブレードまたは薄いラック・マウント・サーバにおける使用に特によく適している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の接触パッド(31)を含むエッジ・コネクタ(30)を有する回路基板(3)の上に配された複数のメモリ・モジュール(4)を含むデュアル・インライン・メモリ・モジュール(DIMM2)のための液体冷却装置(1、1’)であって、前記冷却装置(1)は、
前記複数のメモリ・モジュール(4)に沿って配されるヒート・スプレッダ(5、5’)と、
前記ヒート・スプレッダ(5、5’)に沿って延在する冷却レール・ブロック(7、7’)と、
前記冷却レール・ブロック(7、7’)および前記DIMM(2)の前記メモリ・モジュール(4)の間に交互配置される熱アダプタ(8、8’)と
を含み、
前記熱アダプタ(8、8’)は圧縮可能であることを特徴とする、冷却装置。
【請求項2】
前記冷却装置(1’)は平行に整列された2つの隣り合うDIMM(2)を冷却するために用いられ、前記冷却レール・ブロック(7)は前記DIMM(2)の間隙の中に位置付けられることを特徴とする、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記熱アダプタ(8)は、剛性のシム(17)に固定された圧縮可能な熱を伝導するパッド(18)を含み、前記熱を伝導するパッド(18)は前記冷却レール・ブロック(7)に隣接して位置することを特徴とする、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記冷却装置(1)は、前記冷却装置(1)の外側面に圧縮力をかけることによって前記冷却装置(1)の前記構成要素(5、7、8)を一緒に固定するための保持ブラケット(20)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記冷却装置(1’)は、圧縮可能な熱アダプタ(8’)およびヒート・スプレッダ(5’)によって覆われた前記DIMM(2)のアセンブリ(24)を挿入するための間隙(23)と平行に配置された2つの冷却レール・ブロック(7’)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項6】
熱アダプタ(8’)は、DIMM(2)および剛性のヒート・スプレッダ(5’)の側部の間に交互配置された圧縮可能な熱伝導性のパッド(18’)によって形成されることを特徴とする、請求項5に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記冷却装置(1、1’)は、前記熱アダプタ(8、8’)を前記冷却レール・ブロック(7、7’)または前記DIMMモジュール(2)に対する所定の位置に保持するための固定具手段(21、22)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項8】
前記固定具手段は、前記冷却レール・ブロック(7)から外向きに突出する留め具(21)によって形成されることを特徴とする、請求項7に記載の冷却装置。
【請求項9】
前記固定具手段は、DIMM回路基板(3)から外向きに突出して前記ヒート・スプレッダ(5’)内の孔(22’)に係合するピン(22)によって形成されることを特徴とする、請求項7に記載の冷却装置。
【請求項10】
前記冷却装置(1、1’)内の選択される隣接構成要素(5、8;5’、7’)は、前記構成要素(5、8;5’、7’)の互いに対する低摩擦の滑動を可能にする平滑な表面を有することを特徴とする、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項11】
前記所与の構成要素(5、8;5’、7’)の間の界面に低摩擦潤滑剤が広げられることを特徴とする、請求項10に記載の冷却装置。
【請求項12】
請求項1に記載のDIMMメモリ・モジュール(2)のための冷却システム(150)であって、前記冷却システム(150)は請求項1〜11のいずれか1項に記載の冷却装置(1、1’)を含む、冷却システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−520812(P2013−520812A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554272(P2012−554272)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051646
【国際公開番号】WO2011/110390
【国際公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】