液供給装置及び塗布装置並びに計測装置洗浄方法
【課題】液流路の計測装置を効率よく洗浄することができ、長期間にわたり好ましい計測装置の動作が実現される液供給装置及び塗布装置並びに計測装置洗浄方法を提供する。
【解決手段】塗布部(12)へ供給される塗布液が貯留されるサブタンク(32)と、塗布部とサブタンクとを連通させる液供給路(34)と、液供給路内の塗布液の濃度を計測する濃度計(38)と、液供給路内の液を加圧する供給ポンプ(40)と、濃度計の接液部の洗浄に用いられる希釈液(洗浄液)が貯留される希釈液タンク(50)と、希釈液タンク及び液供給路と連通され、希釈液タンクから濃度計の接液部に対してサブタンクを介さずに洗浄液を直接供給するバイパス流路(60)と、濃度計の接液部に洗浄液が供給されるときは、サブタンクから塗布部へ塗布液が供給されるときよりも液供給路内の液の流速を上げるように供給ポンプの動作を制御するポンプ制御部(102)と、を備えた液供給装置。
【解決手段】塗布部(12)へ供給される塗布液が貯留されるサブタンク(32)と、塗布部とサブタンクとを連通させる液供給路(34)と、液供給路内の塗布液の濃度を計測する濃度計(38)と、液供給路内の液を加圧する供給ポンプ(40)と、濃度計の接液部の洗浄に用いられる希釈液(洗浄液)が貯留される希釈液タンク(50)と、希釈液タンク及び液供給路と連通され、希釈液タンクから濃度計の接液部に対してサブタンクを介さずに洗浄液を直接供給するバイパス流路(60)と、濃度計の接液部に洗浄液が供給されるときは、サブタンクから塗布部へ塗布液が供給されるときよりも液供給路内の液の流速を上げるように供給ポンプの動作を制御するポンプ制御部(102)と、を備えた液供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液供給装置及び塗布装置並びに計測装置洗浄方法に係り、特に液体流路に設けられる計測装置のメンテナンス技術に関する。
【背景技術】
【0002】
汎用紙を用いた印刷システムにおいて、塗布ローラを用いたコーティング装置によって、印刷前の用紙にインクを凝集反応させるための処理液をコーティングするプロセスを含む形態がある。
【0003】
図11に示すコーティング(塗布)装置300は、補充タンク302から塗布ローラ304(塗布皿306)へ供給経路308及びポンプ310を介して処理液が直接供給され、塗布ローラ304によって消費される処理液の量と、塗布ローラ304へ供給される処理液の量が同量になるように処理液の供給量が制御されている。
【0004】
図11に示すコーティング装置300は、塗布ローラ304へ処理液を供給する最もシンプルな構成を有しており、常に新鮮な処理液を供給できるメリットがある反面、供給量の管理が難しく、供給過多や供給不足が生じやすいという問題がある。なお、図11に符号312を付した構成は、塗布皿306から排出された廃液が収容される廃液タンク312である。
【0005】
そこで、図12に示すように、補充タンク302とは別に、処理液を一時的に蓄えるバッファタンク320を備え、塗布ローラ304で消費されなかった処理液を塗布皿306からバッファタンク320へ循環させる循環経路322を備えるとともに循環経路322にポンプ324を設けて、バッファタンク320と塗布ローラ304(塗布皿306)との間で処理液を循環させつつ、バッファタンク320の液量の減少に応じて、補充タンク302から供給経路326及びポンプ328を介して新鮮な処理液をバッファタンク320へ補充するという方法が用いられる。
【0006】
しかし、図12に示すコーティング装置300’では、装置のスタンバイ状態などコーティングが行われない状態が長時間継続されると、処理液の循環に伴って処理液の水分が蒸発し、処理液の濃度が徐々に高くなっていくという問題がある。さらに、処理液は塗布の安定化のためヒータ(不図示)により所定の温度範囲に温度調整制御がされるために水分の蒸発が助長されてしまう。
【0007】
図13に示すコーティング装置300”は、供給経路308の途中に濃度計340を備えて供給経路308内の処理液の濃度を監視し、ある閾値よりも高くなった場合には別途設けられた希釈水タンク342から希釈水供給経路344及びポンプ346を介して、バッファタンク320へ希釈水が供給され、供給経路308内の処理液の濃度を一定に保つように制御が行われ、処理液の濃度上昇を解決している。循環経路322に備えられる濃度計340として、循環経路322内の処理液にレーザ光などを照射して、反射光又は透過光の受光率に基づいて濃度を計測するものが適用可能である。
【0008】
一方、塗布ローラ304は用紙と直接接触するために、用紙から排出された紙粉や、スタック時のブロッキング(貼り付き)を防止するために用紙に散布されるパウダー等の異物が付着する。塗布ローラ304に付着した異物は、塗布皿306内の処理液とともに循環経路322や供給経路308に混入してしまい、この状態で装置を長期間稼動することにより、供給経路308へ混入した異物が濃度計340の接液面(計測部)に徐々に堆積され、次第に検出感度が低下して正確に処理液の濃度を計測できなくなるという問題が発生する。
【0009】
したがって、濃度計340の計測部を定期的に清掃する必要があり、現状ではユーザやサービスエンジニアが手動で濃度計340の計測部の清掃を行っており、手間となっている。
【0010】
特許文献1に記載されたインクジェット記録装置では、インクジェットヘッドとインクサブタンクとの間に設けられた濃度検出部に洗浄液を供給して、該濃度検出部を洗浄するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−15637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1に記載されたインクジェット記録装置のように、単に洗浄液を供給するだけでは、濃度検出部の汚れを完全に除去することは難しい。十分な洗浄効果を得るためには長時間洗浄液を供給し続ける必要があり、洗浄液を大量に消費してしまうという問題が発生する。また、長時間にわたる洗浄液の供給中は装置の稼動を停止させる必要があり、稼働率の低下も懸念される。
【0013】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、液流路の液の物性を計測する計測装置を効率よく洗浄することができ、長期間にわたり好ましい計測装置の動作が実現される液供給装置及び塗布装置並びに計測装置洗浄方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明に係る液供給装置は、供給先へ供給される供給液が貯留される供給液貯留部と、前記供給先と前記供給液貯留部とを連通させる液供給路と、前記液供給路に設けられ、前記液供給路内の供給液の物性を計測する計測装置と、前記液供給路内の液を加圧する液供給路加圧手段と、前記計測装置の前記液供給路内の液と接触する接液部の洗浄に用いられる洗浄液が貯留される洗浄液貯留部と、前記洗浄液貯留部及び前記液供給路と連通され、前記洗浄液貯留部から前記計測装置の接液部に対して前記供給液貯留部を介さずに洗浄液を直接供給する洗浄液供給路と、前記洗浄液供給路内の洗浄液を加圧する洗浄液供給路加圧手段と、前記計測装置の接液部に洗浄液が供給されるときは、前記供給液貯留部から前記供給先へ供給液が供給されるときよりも前記液供給路内の液の流速を上げるように、前記液供給路加圧手段及び前記洗浄液供給路加圧手段のうち少なくともいずれか一方の動作を制御する加圧制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、液流路内の液の物性を計測する計測装置の接液部へ洗浄液が直接供給されるとともに、液貯留部から液の供給先へ液が供給されるときよりも液流路内の液の流速が上げられるので、計測装置の洗浄が容易となり、洗浄効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液供給装置を備えた塗布装置の概略構成を示す構成図
【図2】図1に示す液供給装置における濃度計の洗浄状態を模式的に示す説明図
【図3】図1に示す液供給装置に適用される濃度計の取付状態を示す断面図、及び濃度計の検出原理の一例の説明図
【図4】図1に示す液供給装置の制御系の概略構成を示すブロック図
【図5】図1に示す液供給装置における循環モードの制御の流れを示すフローチャート
【図6】図1に示す液供給装置における濃度計の洗浄モードの制御の流れを示すフローチャート
【図7】本発明の第2実施形態に係る液供給装置における洗浄状態を模式的に示す説明図
【図8】図7に示す液供給装置における洗浄状態の他の態様を模式的に示す説明図
【図9】本発明の第3実施形態に係る液供給装置における洗浄状態を模式的に示す説明図
【図10】本発明に係る液供給装置が適用される装置構成例を示す概略構成図
【図11】従来技術に係る塗布装置の課題を説明する図
【図12】従来技術に係る塗布装置の他の課題を説明する図
【図13】従来技術に係る塗布装置のさらに他の課題を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0018】
〔第1実施形態〕
(全体構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係る液供給装置10の概略構成及び、液供給装置10を備えた塗布装置30の概略構成を示す構成図である。同図に示す塗布装置30は、液供給装置10と塗布部12を備え。液供給装置10から塗布部12へ所定の塗布液が供給されるように構成されている。
【0019】
塗布部12は、液供給装置10から供給された塗布液が一次貯留される塗布皿14と、塗布皿14から所定量の塗布液をくみ上げる計量手段として機能するアニロックスローラ16と、アニロックスローラ16によって計量された塗布液が供給され、被塗布媒体に塗布液を塗布する塗布ローラ18と、被塗布媒体20を外周面に固定保持する圧胴22と、を備えている。
【0020】
表面に塗布液(太線により図示)が供給された塗布ローラ18を所定の回転速度で回転させながら、圧胴22の回転速度に応じて搬送される被塗布媒体(例えば、紙)20に接触させることで、被塗布媒体20の被塗布面に所定量の塗布液が塗布される。塗布ローラ18を被塗布媒体20に対して一定圧力で付勢させることで、塗布液の塗布むらが防止され、均一な塗布液の塗布がされている。
【0021】
塗布液が一次貯留される塗布皿14は、液供給装置10から送液された塗布液が溜められる液溜部14Aと、液溜部14Aから溢れた塗布液が収容される収容部14Bと、を有し、液溜部14Aと収容部14Bは隔壁14Cによって区画されている。液溜部14Aの液面が隔壁14Cを超えると余剰な塗布液が収容部14Bへ流れ出す構造を有しており、隔壁14Cの高さによって液溜部14Aの最大液量が決められている。
【0022】
収容部14Bに流れ出した塗布液は、底面に設けられた排出口(不図示)を介して外部へ排出される。また、液溜部14Aの底面にも不図示の排出口が設けられており、この排出口から外部へ塗布液を直接排出させることも可能である。
【0023】
液溜部14Aは、液供給装置10から一定量の塗布液が常時供給され、余剰となった塗布液を循環させている(詳細後述)。このようにして、塗布皿14(液溜部14A)内の液量を一定範囲内に維持することで、安定した塗布液の計量が実現されている。
【0024】
液供給装置10は、塗布部12へ供給される塗布液が一次貯留されるバッファタンク32と、一方の端部がバッファタンク32と連通し、他方の端部が塗布部12(塗布皿14)と連通する塗布液供給路34と、塗布液供給路34の開閉を切り換えるバッファタンク供給バルブ36と、塗布液供給路34内の液の濃度を検知する濃度計38(計測装置)と、塗布液供給路34内の液体を加圧する供給ポンプ40と、塗布液供給路34内の液の温度を調整するヒータ42が含まれる。かかる各部によって、液供給系が構成されている。
【0025】
バッファタンク供給バルブ36を開き、供給ポンプ40を所定の回転速度で動作させると、バッファタンク32から塗布液が吸い上げられ、フィルタ41及び塗布液供給路34介して塗布部12へ供給される。なお、供給ポンプ40は、濃度計38のバッファタンク側(上流側、符号39を付して破線により図示した位置)に設けられていてもよい。
【0026】
バッファタンク32内の塗布液が消費されると、補充タンク44から塗布液が補充される。バッファタンク32と補充タンク44とは補充流路46によって連通されており、バッファタンク32内の塗布液の液面が下限位置に達すると、補充流路46に設けられた補充ポンプ48を動作させて、補充タンク44からフィルタ49及び補充タンク44を介してバッファタンク32へ塗布液が送られる。
【0027】
塗布部12へ供給される塗布液の濃度が上昇して所定値を超えると、バッファタンク32へ所定量の希釈液が供給され、塗布液の濃度が一定範囲内に維持される。すなわち、バッファタンク32と希釈液が貯留される希釈液タンク50とは、希釈液供給路52によって連通されている。
【0028】
塗布液供給路34内の塗布液の濃度が所定値を超えると、希釈液供給路52に設けられた希釈液補充ポンプ54が動作して、希釈液タンク50からフィルタ56及び希釈液供給路52を介してバッファタンク32へ希釈液が供給される。希釈液には、塗布液の溶媒や純水などが適用される。
【0029】
本例に示す液供給装置10は、希釈液供給路52が希釈液補充ポンプ54よりも希釈液タンク50側で分岐され塗布液供給路34の濃度計38よりもバッファタンク32側で接続されている。
【0030】
すなわち、希釈液供給路52と塗布液供給路34との間にバイパス流路60が設けられるとともに、バイパス流路60には希釈液供給路52と塗布液供給路34との連通、非連通を切り換える希釈液供給バルブ62が設けられている。
【0031】
塗布液供給路34とバイパス流路60との接合部は、濃度計38などの塗布液供給路34に配設される計測装置よりもバッファタンク32側(上流側)となっており、塗布液供給路34に配設される計測装置に対してバッファタンク32を介さずに直接希釈液を供給可能な構造となっている。
【0032】
なお、図1の符号39を付して図示した位置に供給ポンプが配置される態様では、希釈液補充ポンプ54は、符号53を付して破線により図示される位置に配置される。
【0033】
図1に示す液供給装置10は、塗布液の供給先である塗布部12(塗布皿14)とバッファタンク32との間で塗布液を循環させる循環流路70が設けられている。すなわち、塗布皿14の液溜部14Aの底面の排出口及び収容部14Bの底面の排出口とバッファタンクとは、循環流路70を介して連通されている。
【0034】
循環流路70には、液溜部回収バルブ72、収容部回収バルブ74、フィルタ76、回収ポンプ78、バッファタンク回収バルブ80が設けられている。収容部回収バルブ74、バッファタンク回収バルブ80を開いた状態で回収ポンプ78を動作させると、塗布皿14の収容部14Bから循環流路70を介してバッファタンク32へ塗布液が循環される。
【0035】
図1の太矢印線は、バッファタンク32から塗布部12への塗布液の供給と、塗布部12からバッファタンク32への塗布液の循環を表している。このように、塗布液を循環させながら供給することで、塗布液の状態(粘度、濃度、温度、異物の混入状態など)が一定に保たれる。
【0036】
循環流路70は、回収ポンプ78の下流側で分岐されて廃液流路82と連通されている。廃液流路82の反対側の端は廃液タンク84と連通されており、液溜部回収バルブ72及び収容部回収バルブ74を開き、バッファタンク回収バルブ80を閉じ、廃液流路82の開閉を切り換える廃液バルブ86を開いた状態で回収ポンプ78を動作させると、塗布皿14内の塗布液は廃液タンク84へ排出される。
【0037】
塗布部12において、被塗布媒体20へ塗布液が塗布される通常運転時には、図1に図示したように塗布液の循環が行われる。塗布液を循環させるときは、(供給ポンプ40の吐出量)<(回収ポンプ78の吐出量)となるように、供給ポンプ40及び回収ポンプ78の吐出量が制御される(詳細後述)。なお、回転機構を有するポンプでは、「吐出量」に対応するパラメータとして「回転数」を適用可能である。
【0038】
図2は、液供給装置10における塗布液供給路34及び塗布液供給路34に配接される計測装置を洗浄する洗浄状態(洗浄モード)を模式的に図示した説明図である。なお、これ以降の説明において、先に説明した部分と同一又は類似する部分には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0039】
図2に示す洗浄状態では、塗布液供給路34、濃度計38、供給ポンプ40、ヒータ42の塗布液と接触する部分が洗浄液によって洗浄される。すなわち、塗布液供給路34に洗浄液が直接供給され、塗布液供給路34、濃度計38、供給ポンプ40の塗布液と接触する部分に洗浄液を流すことで、これらに付着した汚れが洗浄液とともに排出される。
【0040】
汚れを流した洗浄液は、塗布皿14、循環流路70、及び廃液流路82を介して廃液タンク84へ送られる。洗浄液には塗布液を希釈させる希釈液が適用される。図の太矢印線は、洗浄液(希釈液)の流れを表している。
【0041】
すなわち、希釈液供給バルブ62、収容部回収バルブ74,廃液バルブ86が開かれ、バッファタンク供給バルブ36、バッファタンク回収バルブ80が閉じられた状態で、供給ポンプ40及び回収ポンプ78を動作させると、希釈液タンク50から希釈液供給路52、バイパス流路60を介して塗布液供給路34へ希釈液がバッファタンク32を介さずに直接供給される。
【0042】
このときに、供給ポンプ40の吐出量は、通常動作時(図1に図示した状態)よりも高くされる。また、(供給ポンプ40の吐出量)<(回収ポンプ78の吐出量)の関係が維持されるように、回収ポンプ78の吐出量も通常動作の循環時よりも高くされる。
【0043】
このようにして、通常動作時よりも塗布液供給路34内の液の圧力を塗布液の供給時(通常動作時)よりも上げることで、洗浄状態における洗浄液の流速がより速くなり、濃度計38の接液部分や供給ポンプ40の接液部分、塗布液供給路34の内壁に付着した汚れが除去されやすくなる。
【0044】
その結果、洗浄に要する時間がより短縮化されるとともに、洗浄液(希釈液)の消費量がより低減化される。なお、洗浄状態の詳細は後述する。
【0045】
(計測装置の説明)
図3(a),(b)は、塗布液供給路34に配設される計測装置である濃度計38の取付状態を示す断面図であり、図3(c)は、濃度計38の検出原理の一例の説明図である。図3(a)に示すように、濃度計38の検出部38Aは、塗布液供給路34の内部に挿入され、塗布液と接触する。塗布液供給路34の濃度計38を固定するための固定部34Aは、パッキンなどの封止部材38Bによって封止(シール)される。
【0046】
図3(a)に示す塗布液供給路34は、濃度計38の検出部38Aへ液が流入する入路34Bと、濃度計38の検出部38Aから液が排出される出路34Cと、を備え、検出部38Aに対しする液の流れ方向が略直角方向になるように入路34B及び出路34Cが配設されている。
【0047】
図3(a)に示す態様では、塗布液供給路34から分岐させた流路に濃度計38が取り付けられ、塗布液供給路34の分岐部分から濃度計38へ向かう方向に沿って、当該分岐流路(濃度計取付部)の同方向における略中央部にパーティションが設けられ、当該分岐流路(濃度計取付部)が区画されて入路34Bと出路34Cが形成されている。
【0048】
また、図3(b)に示す塗布液供給路34は、検出部38Aに対する液の流れ方向が略45°になるように入路34B及び出路34Cが配設されている。図3(b)に示す形態では、塗布液供給路34から分岐された分岐流路(濃度計38の取付部)は、濃度計38を中心として略90度に開かれた構造を有しており、この分岐流路の略中央部にパーティションが設けられている。
【0049】
かかる態様によれば、流入する液が検出部38Aに対して角度をもって当たるため、より検出部38Aの洗浄効果を向上させることができる。また、排出側も同様の角度とすることで、後述する第2実施形態において、液体を逆流させた場合にも、同様の効果を得ることができる。
【0050】
経路に角度を持たせることで流路抵抗が大きくなるために、液の粘度や流速によっては、濃度計内部の流れが阻害される懸念がある。そのため、流入角度及び排出角度は使用される液の粘度や流速によって適度に設定される。
【0051】
検出部38Aに対する液の流れ方向を30度以上90度以下とする態様が好ましく、検出部38Aに対する液の流れ方向を45度以上90度以下とする態様がより好ましい。なお、検出部38Aに対する入路34Bの角度と、検出部38Aに対する出路34Cの角度と、を同一にしてもよいし、異ならせてもよい。
【0052】
図3(c)に示すように、塗布液供給路34に挿入された検出部38Aは、塗布液供給路34内の液(検出液)と接触する接液面(液との界面)38Cを有する光学系38Dと、接液面38Cに光を照射する光源38Eと、接液面38Cによる反射光を受光する受光素子38Fと、と含んで構成されている。
【0053】
光源38Eから出射された光の一部は、接液面38Cによって反射して受光素子38Fに入射される。検出液(本例では、塗布液)の濃度に応じて反射角が変わるため、受光素子38Fへの入光位置を検知することで、検出液の濃度を把握することができる。
【0054】
図3(c)には、光学系38Dの構成例として、プリズム38Gと、光源38Eとプリズム38Gとの間に設けられるレンズ(コンデンサレンズ)38Hと、プリズム38Gと受光素子38Fとの間に設けられたレンズ(対物レンズ)38Iを含む構成が図示されている。
【0055】
また、光源38EにはLEDを適用することができ、受光素子38FにはCCDなどのイメージセンサを適用することができる。
【0056】
図3(c)に示す接液面38Cに、塗布液の溶質成分や被塗布媒体の材質などの汚れが付着し、長期にわたる使用により汚れが堆積すると、濃度の誤検出や検出ばらつきの原因となり、正確に塗布液の濃度を把握することが難しくなる。
【0057】
そこで、上述した洗浄により接液面38Cの汚れが除去された好ましい状態に維持されることで、塗布液の状態(物性)が正確に把握され、塗布液の状態に応じた塗布液の管理最適化が可能となる。
【0058】
(制御系の説明)
図4は、図1に示す液供給装置10(塗布装置30)の制御系の概略構成を示すブロック図である。同図に示すように、液供給装置10はシステム制御部100により統括制御される。システム制御部100はマイクロコンピュータやCPUなどを適用することができ、単独のデバイスによって構成されてもよいし、複数のデバイスを組み合わせて構成されてもよい。
【0059】
図4に示す制御系は、システム制御部100から送出される指令信号に応じて、ポンプ101の動作を制御するポンプ制御部102と、バルブ103の動作を制御するバルブ制御部104と、ヒータ42を制御するヒータ制御部106と、を有している。
【0060】
なお、図4に符号101を付して図示したポンプは、図1の供給ポンプ40、補充ポンプ48、希釈液補充ポンプ54、及び回収ポンプ78など、装置内に設けられるポンプがまとめて図示されたものである。
【0061】
同様に、図4に符号103を付して図示したバルブは、図1,2のバッファタンク供給バルブ36、希釈液供給バルブ62、液溜部回収バルブ72、収容部回収バルブ74、バッファタンク回収バルブ80、及び廃液バルブ86など、装置内に設けられるバルブがまとめて図示されたものである。
【0062】
図4の温度センサ105は、装置各部の温度を検出する手段であり、装置各部の温度情報を検出信号としてシステム制御部100へ送出する。システム制御部100は、温度センサ105から送られた装置各部の温度情報に基づいて温度調整が実行されるように、装置各部の温度調整部へ指令信号を送出する。
【0063】
液量センサ107は、図1,2のバッファタンク32、補充タンク44、希釈液タンク50、及び廃液タンク84の液量を検出する手段である。例えば、バッファタンク32に設けられる液量センサから、バッファタンク32内の塗布液量が下限値を下回る旨の情報がシステム制御部100へ送出されると、システム制御部100は補充タンク44からバッファタンク32へ塗布液が補充されるように補充ポンプ48を動作させる指令信号をポンプ制御部102へ送出する。
【0064】
図4の入力部110は、オペレータにより操作されるキーボード、タッチパネル、マウス、スイッチなどの操作部や、外部入力端子(外部入力インターフェイス)などが含まれる。オペレータは、入力部110(操作部)を用いて動作モードの切り換えや各種情報の入力を行うことができる。
【0065】
また、外部入力インターフェイスを介して、ホストコンピュータや外部記憶装置(ストレージ)などの外部機器とのデータのやり取りを行うことができる。外部入力部は、有線形式、無線形式のいずれも適用可能である。
【0066】
表示部112は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどのディスプレイ装置と、ディスプレイ装置の表示制御を行うディスプレイドライバーと、を含んで構成される。表示部112は、システム制御部100が送出される各種情報を文字情報や画像情報としてディスプレイ装置に表示させる。なお、タッチパネル方式のディスプレイ装置を用いて、入力部110(操作部)と表示部112とを一体構成としてもよい。
【0067】
システム制御部100は、パラメータ記憶部114やプログラム格納部116といった記憶装置(記憶素子)に対するデータの書き込み及びデータの読み出しを制御する手段としても機能する。
【0068】
パラメータ記憶部114は、装置の各種パラメータが記憶されるブロックである。また、プログラム格納部116は、装置の制御に用いられる各種プログラムが格納されている。パラメータ記憶部114やプログラム格納部116は、RAMなどの半導体記憶素子やハードディスクなどの磁気記憶媒体が適用される。
【0069】
カウンター(タイマー)118は、装置の稼働時間や、ポンプ101、バルブ103などの動作開始(動作変更)からの経過時間が計測され、計測結果が記憶される手段である。システム制御部100は、カウンター118に記憶されている計測値を参照して、装置各部の制御を開始する指令信号、終了する指令信号、変更する指令信号を送出する。
【0070】
(循環モード、洗浄モードの詳細な説明)
次に、図1,2に図示した液供給装置10の循環モード(塗布装置30の塗布実行モード)、及び洗浄モードについて詳述する。
【0071】
図5は、循環モードの制御の流れを示すフローチャートである。同図に示すように、循環モードが開始されると(ステップS10)、図1のバッファタンク供給バルブ36、収容部回収バルブ74、バッファタンク回収バルブ80が開かれ(図5のステップS12)、他のバルブ(図1の希釈液供給バルブ62、液溜部回収バルブ72、廃液バルブ86)が閉じられる(図5のステップS14)。
【0072】
図1の供給ポンプ40及び回収ポンプ78が駆動され(図5のステップS16)、(供給ポンプ40の吐出量)<(回収ポンプ78の吐出量)の関係が維持されるように、図1の供給ポンプ40及び回収ポンプ78の動作が制御される(図5のステップS18)。
【0073】
ステップS20では、モード切換の有無が監視され、モード切換が行われた場合は(Yes判定)、循環モードの終了処理が実行され(ステップS22)、循環モードが終了される(ステップS24)。一方、モード切換が行われない場合は(ステップS20のNo判定)、図1のバッファタンク32の液量が監視されるとともに(図5のステップS26〜ステップS32)、塗布液の濃度が監視される(ステップS34〜ステップS40)。
【0074】
ステップS26において、図1のバッファタンク32の液量が下限を下回っていると判断されると(図5のステップS26のYes判定)、図1の補充ポンプ48を動作させて、補充タンク44からバッファタンク32へ塗布液が補充される(図5のステップS28)。
【0075】
一方、図1のバッファタンク32の液量が上限を超えていると判断されると(図5のステップS30のYes判定)、図1の補充ポンプ48が停止され(図5のステップS32)、図1の補充タンク44からバッファタンク32への塗布液の補充が終了される。
【0076】
なお、ステップS26において、図1のバッファタンク32の液量が下限を下回っていないと判断される場合(No判定)、及び図5のステップS30において、図1のバッファタンク32の液量が上限を超えていないと判断されると(No判定)、ステップS30に戻り、図1のバッファタンク32の液量の監視が継続される。
【0077】
また、塗布液の濃度の監視では、図5のステップS34において、塗布液の濃度が所定値を超えていないと判断されると(No判定)、ステップS20に戻り、塗布液の濃度が所定値を超えたと判断されると(ステップS34のYes判定)、図1の希釈液補充ポンプ54を動作させて(図5のステップS36)、図1の希釈液タンク50からバッファタンク32へ希釈液が供給され、バッファタンク32内の塗布液が希釈される。
【0078】
また、図5のステップS38において、塗布液の濃度が所定値以下になったと判断されると(Yes判定)、図1の希釈液補充ポンプ54を停止させ(図5のステップS40)、ステップS20に戻り、塗布液の濃度が所定値以下になっていないと判断されると(ステップS38のNo判定)、塗布液の濃度監視が継続される(ステップS38)。
【0079】
図6は、図2に示す塗布液供給路34に配設される計測装置(濃度計38)の洗浄モードの制御の流れを示すフローチャートである。洗浄モードが開始されると(図6のステップS100)、図2の希釈液供給バルブ62、液溜部回収バルブ72、収容部回収バルブ74、廃液バルブ86が開かれ(図6のステップS102)、他のバルブ(図2のバッファタンク供給バルブ36、バッファタンク回収バルブ80)が閉じられる(図6のステップS104)、図2の供給ポンプ40及び回収ポンプ78が駆動される(図6のステップS106)。
【0080】
図2に示す供給ポンプ40の吐出量は循環モード(通常動作時)より高く、かつ、洗浄モードにおいても(供給ポンプ40の吐出量)<(回収ポンプ78の吐出量)の関係が維持されるように、供給ポンプ40及び回収ポンプ78の動作が制御される(ステップS108)。
【0081】
そうすると、図2の希釈液タンク50から希釈液供給路52、バイパス流路60、希釈液供給バルブ62を介して塗布液供給路34へ希釈液直接供給される。希釈液は、塗布液供給路34、濃度計38、供給ポンプ40を洗浄しながら塗布皿14へ流れ込み、塗布皿14から循環流路70及び廃液流路82を経由して廃液タンク84へ送られる。希釈液が通過した部分は付着していた汚れが除去される。
【0082】
ステップS110では、モード切換の有無が監視される。モード切換が行われた場合は(Yes判定)、洗浄モードの終了処理が実行され(ステップS112)、洗浄モードが終了される(ステップS114)。一方、モード切換が行われない場合は(ステップS110のNo判定)、洗浄モード開始からの経過時間が監視される(ステップS116)。
【0083】
すなわち、洗浄モードは開始からの経過時間によって処理時間が管理される。ステップS116で洗浄モードの開始から所定時間が経過したと判断されると(Yse判定)、洗浄モードの終了処理が実行され(ステップS112)、洗浄モードが終了される(ステップS114)。
【0084】
なお、オペレータから強制終了指令が入力された場合や、非常停止指令が入力された場合には、直ちに洗浄モードの終了処理が実行され(ステップS112)、洗浄モードが終了される(ステップS114)。
【0085】
洗浄モード(洗浄状態)における供給ポンプ40の吐出量は、循環モード(通常動作時)の供給ポンプ40の吐出量の1.2倍以上3倍以下が好ましく、1.2倍以上2倍以下がより好ましい。例えば、洗浄モードの供給ポンプ40の吐出量を循環モードの2倍としたときには、通常動作時と同じ吐出量で供給ポンプ40(回収ポンプ78)を動作させたときと比較して、洗浄時間は約65%短縮化され、洗浄液の消費量は約35%削減される。
【0086】
上述した洗浄モードは、装置の立ち上げ時や、所定の稼働時間経過時、装置のインターバル時に自動的に実行させてもよいし、オペレータが手動で実行させてもよい。
【0087】
また、自動実行時における供給ポンプ40の吐出量と、手動実行時における供給ポンプ40の吐出量を変えてもよい。例えば、自動実行時の供給ポンプ40の吐出量に対して、手動実行の供給ポンプ40の吐出量を上げて、手動実行時には自動実行時よりもより高い洗浄効果が得られるように構成してもよい。さらに、供給ポンプ40の吐出量を段階的に可変させるように構成してもよい。
【0088】
上記の如く構成された液供給装置及び計測装置洗浄方法によれば、洗浄モードでは、塗布液供給路34へ洗浄液としての希釈液が直接供給されるとともに、バッファタンク32から塗布部12へ塗布液が供給される通常動作時(循環モード)ときよりも供給ポンプ40の吐出量が上げられるので、塗布液供給路34内の希釈液の圧力がより高くされることで流速がより高くなり、塗布液供給路34に配設される計測装置や塗布液供給路34内部の洗浄が容易となり、洗浄効果を向上させることができる。
【0089】
また、塗布液供給路34を通過する希釈液の流速をより早くすることで、所定の洗浄効果を得るための処理時間が短縮化されるとともに、希釈液の消費量を低減させることが可能となる。
【0090】
本例では、塗布液供給路34に配設される計測装置として、接液面38Cを有する光学式の濃度計38を例示したが、本発明は接液部分を有する測定装置に広く適用可能である。接液部分を有する計測器の例としては、ph(ペーハー)計、微粒子計、導電率計、流速計、圧力計、温度計、測色計などが挙げられる。また、供給ポンプ40についても、内部に堆積した汚れが除去され、好ましい動作状態が維持されるので、故障の発生が防止される。
【0091】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係る液供給装置及び計測装置洗浄方法について説明する。図7は、本発明の第2実施形態に係る液供給装置の概略構成を示す構成図である。同図に示す液供給装置10’は、図1に図示した液供給装置10に対して、塗布液供給路34とバイパス流路60との接続部から廃液タンク84への希釈液排出流路90が追加されるとともに、希釈液排出流路90に希釈液排出バルブ92が追加されている。
【0092】
また、塗布液供給路34に設けられる供給ポンプ40’は回転方向の切り換え(生逆転動作)が可能となっており、供給ポンプ40’から塗布部12へ向かう方向にも、供給ポンプ40’から濃度計38へ向かう方向にも、選択的に液を流すことが可能となっている。
【0093】
第1実施形態と同様に、供給ポンプ40’の吐出量は、塗布液を塗布部12へ供給する通常動作時よりも高くなっており、供給ポンプ40’を逆転動作させるときも通常動作時よりも高い吐出量となっている。
【0094】
図7に図示した希釈液排出バルブ92は逆止弁であり、供給ポンプ40’を正転動作(バッファタンク32から塗布部12へ液を流すときの動作を)させたときに廃液タンク84から塗布液供給路34へ向かう方向に液を流すことがなく、供給ポンプ40’を逆転動作(塗布部12からバッファタンク32へ液を流すときの動作を)させたときに塗布液供給路34(バイパス流路60)から廃液タンク84へ向かう方向にのみ液を流すものである。
【0095】
図8に示すように、希釈液を希釈液タンク50から塗布液供給路34へ供給した後に、希釈液供給バルブ62を閉じて供給ポンプ40’を逆転動作させると、希釈液が逆流して供給ポンプ40’から濃度計38を介して希釈液排出流路90に流れ込み、希釈液排出バルブ92を介して廃液タンク84へ送られる。
【0096】
このように、塗布液供給路34に供給された希釈液を逆流させて濃度計38の検出部38Aを往復させ、さらに、この動作を繰り返すことでより高い洗浄効果を得ることができる。
【0097】
本発明の第2実施形態に係る液供給装置及び計測装置洗浄方法によれば、塗布液供給路34に希釈液が供給された後に、供給ポンプ40’を逆転させて希釈液が濃度計38の検出部38Aを往復するように構成されるので、希釈液を一方向に流す場合と比べて汚れを除去しやすくなる。
【0098】
(応用例)
希釈液排出バルブ92にリリーフバルブを適用することで、供給ポンプ40’を逆転させたときに、塗布液供給路34内の液の圧力がリリーフバルブの開放圧力に達するまで加圧され、さらに、リリーフバルブが開放された瞬間に希釈液の流速がより速くなり、より高い洗浄効果を得ることができる。
【0099】
また、洗浄モードでは、塗布部12へ塗布液を供給する通常動作時よりもヒータ42の設定温度を上げて、より高い洗浄効果を得ることも可能である。この温度調整は、先に説明した第1実施形態にも適用可能である。
【0100】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態に係る液供給装置及び計測装置洗浄方法について説明する。図9は、本発明の第3実施形態に係る液供給装置の概略構成を示す構成図である。同図に示す液供給装置10”は、図7,8に図示した液供給装置10’に対して、塗布液供給路34へ洗浄液を供給する洗浄液供給流路93と、洗浄液供給流路93に設けられる洗浄液供給バルブ94と、塗布液供給路34へ供給される洗浄液が貯留される洗浄液タンク95と、洗浄液供給流路93の洗浄液タンク95側の端部に設けられたフィルタ96と、供給ポンプ40’と塗布部12の間に設けられる逆止弁97が追加されている。
【0101】
洗浄液供給バルブ94が開かれ、バッファタンク供給バルブ36及び希釈液供給バルブ62が閉じられた状態で供給ポンプ40’を逆転動作させると、洗浄液タンク95から塗布液供給路34へ洗浄液が供給され、供給ポンプ40’、濃度計38を介して希釈液排出流路90へ洗浄液が流れ込み、洗浄液は、希釈液排出バルブ92を介して廃液タンク84へ送られる。
【0102】
一方、逆止弁97によって塗布部12から塗布液供給路へ向かう方向の液の流れは阻止されるので、塗布液が洗浄液タンク95へ流れ込むことはない。また、逆止弁97は、開放圧力が希釈液排出バルブ92よりも大きいもの用いることで、洗浄液が塗布部12へ流入することが防止される。なお、第1実施形態と同様に、供給ポンプ40’の吐出量は、塗布液を塗布部12へ供給する通常動作時よりも高くなっている。
【0103】
本例に示す洗浄液は、第1、第2実施形態で用いられた希釈液よりも、より積極的に汚れを除去する薬剤が適用される。なお、薬剤による洗浄の後に希釈液を通過させて、塗布液供給路34や濃度計38、供給ポンプ40’に付着した薬剤を除去するように構成してもよい。
【0104】
本例に適用される薬剤の一例を挙げると、イオン交換水に対して、界面活性剤を重量比で1〜10%の範囲で含有する水性組成液がある。かかる水性組成液の界面活性剤には、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ベタイン界面活性剤等を用いることができる。上記した水性組成液は、水性の処理液を用いる場合の洗浄液の例であり、イオン交換水の替わりに処理液の溶媒成分を用いてもよい。
【0105】
本発明の第3実施形態に係る液供給装置及び計測装置に洗浄方法によれば、より洗浄効果の高い薬剤を塗布液供給路34へ供給することで、より高い洗浄効果を得ることができる。
【0106】
〔他の装置構成への応用例〕
次に、本発明に係る液供給装置及び計測装置洗浄方法の他の装置構成への応用例を説明する。図10は、本発明に係る液供給装置及び計測装置洗浄方法が適用されるインクジェット記録装置200の全体構成図である。インクジェット記録装置200における処理液塗布部230へ対して、上述した塗布装置30(液供給装置10(10’、10”))が適用される。
【0107】
図10に示すインクジェット記録装置200は、色材を含有するインクと該インクを凝集させる機能を有する凝集処理液を用いて、所定の画像データに基づいて記録媒体214の画像形成面に画像を形成する二液凝集方式の記録装置である。
【0108】
インクジェット記録装置200は、主として、給紙部220、処理液塗布部230、描画部240、乾燥処理部250、定着処理部260、及び排出部270を備えて構成される。処理液塗布部230、描画部240、乾燥処理部250、定着処理部260の前段に搬送される記録媒体214の受け渡しを行う手段として渡し胴232,242,252,262が設けられるとともに、処理液塗布部230、描画部240、乾燥処理部250、定着処理部260のそれぞれに記録媒体214を保持しながら搬送する手段として、ドラム(円筒)形状を有する圧胴234,244,254,264が設けられている。
【0109】
渡し胴232,242,252,262及び圧胴234,244,254,264は、外周面の所定位置に記録媒体214の先端部を挟んで保持するグリッパー280A,280Bが設けられている。グリッパー280A及びグリッパー280Bにおける記録媒体214の先端部を挟んで保持する構造、及び他の圧胴又は渡し胴に備えられるグリッパーとの間で記録媒体214の受け渡しを行う構造は同一であり、かつ、グリッパー280Aとグリッパー280Bは、圧胴234の外周面の圧胴234の回転方向について180°移動させた対称位置に配置されている。
【0110】
グリッパー280A,280Bにより記録媒体214の先端部を狭持した状態で渡し胴232〜62及び圧胴234,244,254,264を所定の方向に回転させると、渡し胴232〜62及び圧胴234,244,254,264の外周面に沿って記録媒体214が回転搬送される。なお、図10中、圧胴234に備えられるグリッパー280A,280Bのみ符号を付し、他の圧胴及び渡し胴のグリッパーの符号は省略する。
【0111】
給紙トレイ222を介して給紙部220に収容されている記録媒体(枚葉紙)214が処理液塗布部230に給紙されると、圧胴(処理液胴)234の外周面に保持された記録媒体214の画像形成面に、処理液塗布装置236から凝集処理液(以下、単に「処理液」と記載することがある。)が付与される。この処理液は、上述した「塗布液」に相当する。
【0112】
なお、「記録媒体214の画像形成面」とは、圧胴234,244,254,264の保持された状態における外側面であり、圧胴234,244,254,264に保持される面と反対面である。凝集処理液を塗布する構成例として、図1等に示す塗布部12と同様の構成が適用される。
【0113】
その後、凝集処理液が付与された記録媒体214は溶媒の乾燥処理が施されるととともに描画部240に送出され、描画部240において画像形成面の凝集処理液が付与された領域(画像形成領域)に、インクジェットヘッド248M,248K,248C,248Yから色インクが付与され、所望の画像が形成される。
【0114】
すなわち、渡し胴242から圧胴(描画胴)244に凝集処理液が塗布された記録媒体214が受け渡されると、画像データに基づいてインクジェットヘッド248M,248K,248C,248YからM(マゼンダ)、K(黒)、C(シアン)、Y(イエロー)各色のインクが打滴される。記録媒体214にインクが着弾すると、凝集処理液による凝集作用が発現してインク凝集体(ドット)が形成される。
【0115】
なお、図10に示すインクジェット記録装置200では、MKCYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
【0116】
さらに、該色インクによる画像が形成された記録媒体214は乾燥処理部250に送られ、乾燥処理装置256による乾燥処理が施され、インクの溶媒が除去される。乾燥処理後の記録媒体214は定着処理部260に送られ、ヒータ266及び定着ローラ268を用いた定着処理が施される。定着処理が施されることで、記録媒体214上に形成された画像が堅牢化される。このようにして、記録媒体214の画像形成面に所望の画像が形成され、該画像を記録媒体214の画像形成面に定着させた後に、インラインセンサ282による画像の読み取りが行われる。
【0117】
図10に示すインクジェット記録装置200は、インラインセンサ282の読取結果に基づいてインクジェットヘッド248M,248K,248C,248Yの吐出異常の有無が判断される。インクジェットヘッド248M,248K,248C,248Yの吐出異常が検出されると、吐出異常に起因する画像異常の発生を防ぐために、打滴補正や画像補正が行われる。
【0118】
その後、記録媒体214は排出部270から装置外部に搬送される。図10に示す排出部270は、張架ローラ272A,272Bに巻きかけられた無端状の搬送チェーン274と、画像記録後の記録媒体214が収容される排出トレイ276と、を備えて構成されている。定着処理部260から送出された定着処理後の記録媒体214は、搬送チェーン274によって搬送され、排出トレイ276に排出される。
【0119】
なお、本例に示す液塗布装置及び計測装置洗浄方法は、コーティング液や上塗り液などの機能性液体を塗布する塗布装置に広く適用可能である。
【0120】
〔付記〕
上記に詳述した発明の実施形態についての記載から把握されるとおり、本明細書は少なくとも以下に示す発明を含む多様な技術思想の開示を含んでいる。
【0121】
(発明1):供給先へ供給される供給液が貯留される供給液貯留部と、前記供給先と前記供給液貯留部とを連通させる液供給路と、前記液供給路に設けられ、前記液供給路内の供給液の物性を計測する計測装置と、前記液供給路内の液を加圧する液供給路加圧手段と、前記計測装置の前記液供給路内の液と接触する接液部の洗浄に用いられる洗浄液が貯留される洗浄液貯留部と、前記洗浄液貯留部及び前記液供給路と連通され、前記洗浄液貯留部から前記計測装置の接液部に対して前記供給液貯留部を介さずに洗浄液を直接供給する洗浄液供給路と、前記洗浄液供給路内の洗浄液を加圧する洗浄液供給路加圧手段と、前記計測装置の接液部に洗浄液が供給されるときは、前記供給液貯留部から前記供給先へ供給液が供給されるときよりも前記液供給路内の液の流速を上げるように、前記液供給路加圧手段及び前記洗浄液供給路加圧手段のうち少なくともいずれか一方の動作を制御する加圧制御手段と、を備えたことを特徴とする液供給装置。
【0122】
本発明によれば、液流路内の液の物性を計測する計測装置の接液部へ洗浄液が直接供給されるとともに、液貯留部から液の供給先へ液が供給されるときよりも液流路内の液の流速が上げられるので、計測装置の洗浄が容易となり、洗浄効果を向上させることができる。
【0123】
液供給路加圧手段及び洗浄液供給路加圧手段の一例として、吐出量(回転数)を可変させることができるポンプが挙げられる。また、液供給路加圧手段と洗浄液供給路加圧手段とを兼用させる態様も可能である。
【0124】
洗浄液として供給液の溶媒や純水を用いることが可能である。一方、供給液の溶媒等よりもより強力な洗浄効果を発揮する専用の洗浄液(薬液等)を用いることも可能である。
【0125】
液貯留部の形態として、メインタンクとサブタンクを含む形態が可能である。すなわち、液供給路と連通するサブタンクと、サブタンクと連通するメインタンクと、を備え、サブタンク内の液量が所定値以下になると、メインタンクからサブタンクへ供給液が補充される形態が可能である。
【0126】
(発明2):発明1に記載の液供給装置において、前記液供給路加圧手段は、前記液供給路における液の流れ方向を切り換え可能に構成され、前記加圧制御手段は、前記計測装置の接液部へ洗浄液が供給されると、前記液供給路における液の流れ方向が所定時間間隔で切り換えられるように前記液供給路加圧手段の動作を制御することを特徴とする。
【0127】
かかる態様によれば、計測装置の接液部に対して洗浄液を往復させることで、単一方向に洗浄液を流す場合に比べて汚れが除去されやすくなる。
【0128】
かかる態様において、加圧手段を正逆転動作させるときには、洗浄液供給路に設けられる洗浄液供給路を開閉する洗浄液供給路開閉手段が閉じられように構成すると、洗浄液貯留部への洗浄液の逆流が防止される。
【0129】
(発明3):発明1又は2に記載の液供給装置において、前記計測装置の接液部へ供給される洗浄液の温度が前記供給先へ供給される供給液の温度よりも高くなるように、前記洗浄液の温度を調整する温度調整手段を備えたことを特徴とする。
【0130】
かかる態様によれば、洗浄液の温度を上げることで、汚れが洗浄液に溶解されやすくなり、汚れの除去が容易になる。
【0131】
(発明4):発明2又は3に記載の液供給装置において、前記液供給路と連通し、前記計測装置の接液部へ供給された洗浄液を廃液貯留部へ排出させる洗浄液排出路と、前記洗浄液排出路に設けられ、前記液供給路から前記廃液貯留部へ向かう方向に洗浄液を流す構造を有する逆止弁と、を備えたことを特徴とする。
【0132】
かかる態様によれば、計測装置の接液部に対して洗浄液を往復させるときに、汚れが混ざった洗浄液が他の流路へ送られることなく廃液貯留部へ送られる。
【0133】
(発明5):発明4に記載の液供給装置において、前記逆止弁は、前記洗浄液排出路内の圧力が所定の圧力を超えると、前記液供給路から前記廃液貯留部へ向かう方向に洗浄液を流す構造を有するリリーフ弁であることを特徴とする。
【0134】
かかる態様によれば、液供給路と連通する洗浄液排出路内の圧力が一定圧力を超えたときに洗浄液排出路を開放させるので、計測装置の接液部に流れる洗浄液の流速を一時的に上げることができ、洗浄効果をより向上させることが可能となる。
【0135】
(発明6):発明1から5のいずれか1項に記載の液供給装置において、前記液供給路加圧手段は、前記液供給路と前記洗浄液供給路が連通される位置よりも前記計測装置側に配設されるとともに、前記洗浄液供給路加圧手段と兼用されることを特徴とする。
【0136】
かかる態様によれば、当該液供給装置の構成が簡略化される。
【0137】
(発明7):発明1から6のいずれかに記載の液供給装置において、前記洗浄液供給路に設けられ、前記洗浄液供給路の開閉を切り換える洗浄液供給路開閉手段と、前記液供給路の前記供給液貯留部と前記液供給路加圧手段との間に設けられ、前記液供給路の開閉を切り換える液供給路開閉手段と、前記計測装置の接液部へ洗浄液が供給されるときは、前記洗浄液供給路開閉手段が開かれるとともに前記液供給路開閉手段が閉じられるように、前記液供給路開閉手段及び前記洗浄液供給路開閉手段の動作を制御する開閉制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0138】
かかる態様によれば、洗浄液が液供給路と連通する他の流路に送られることなく、確実に計測装置の接液部へ送られる。
【0139】
(発明8):発明1から7のいずれかに記載の液供給装置において、前記洗浄液は、前記供給液を希釈させる希釈液と兼用されることを特徴する。
【0140】
かかる態様によれば、洗浄液と希釈液が兼用されることで、装置構成を簡略することが可能となる。
【0141】
かかる態様における洗浄液(希釈液)の一例として、供給液の溶媒、純水などが挙げられる。
【0142】
(発明9):発明8に記載の液供給装置において、前記供給液を希釈させる希釈液が貯留される希釈液貯留部と、前記希釈液貯留部及び前記液供給路と連通する希釈液供給路と、前記希釈液供給路に設けられ、前記希釈液供給路を開閉させる希釈液供給路開閉手段と、を備え、前記開閉制御手段は、前記洗浄液供給路開閉手段が開かれて前記計測装置の接液部へ前記供給液貯留部を介さずに洗浄液が供給された後に、前記洗浄液供給路が閉じられるとともに前記希釈液供給路開閉手段が開かれて、前記計測装置の接液部へ希釈液が供給されるように、前記洗浄液供給路開閉手段及び前記希釈液供給路開閉手段の動作を制御することを特徴とする。
【0143】
かかる態様によれば、供給液を希釈させる希釈液を計測装置の接液部の洗浄液として確実に供給しうる。
【0144】
(発明10):発明1から9のいずれかに記載の液供給装置において、前記供給先から前記供給液貯留部へ供給液を循環させる循環路と、前記循環路に設けられ、前記循環路内の液を加圧する循環路加圧手段と、を備え、前記加圧制御手段は、前記循環路内の液の流速が前記液供給路内の液の流速を超えるように前記液供給路加圧手段及び前記循環路加圧手段の動作を制御することを特徴とする。
【0145】
かかる態様の一例として、吐出量(回転数)を可変させることができるポンプが挙げられる。
【0146】
(発明11):発明1から10のいずれかに記載の液供給装置において、前記計測装置は、前記液供給路内の供給液の濃度を検知する濃度計であることを特徴とする。
【0147】
かかる態様における濃度計として、接液部に光線を照射する光源と、光源から照射されて接液部により反射された光を受光する受光素子と、を備える形態が挙げられる。また、光源と受光素子との間に集光レンズやプリズムなどが含まれる光学系が具備される態様が好ましい。
【0148】
(発明12):請求項1から11のいずれかに記載の液供給装置において、前記液供給路は、前記計測装置の接液面に液を送る入路と、前記計測装置の接液面から液が送られる出路と、を備え、前記計測装置の接液面と前記入路とは30度以上90度以下の角度をなし、前記計測装置の接液面と前記出路とは30度以上90度以下の角度をなす構造を有することを特徴とする。
【0149】
かかる態様によれば、計測装置の接液面に対して30度以上90度以下の角度で供給液が当たるので、より高い洗浄効果を得ることが可能となる。
【0150】
かかる態様における接液面と供給液の流れの角度は、45度以上90度以下とすると、より高い洗浄効果が期待できる。
【0151】
(発明13):媒体へ塗布液を塗布する塗布部と、前記塗布部へ供給される塗布液が貯留される塗布液貯留部と、前記塗布部及び前記塗布液貯留部と連通される液供給路と、前記液供給路に設けられ、前記液供給路内の塗布液の物性を計測する計測装置と、前記液供給路内の液を加圧する液供給路加圧手段と、前記計測装置の前記液供給路内の液と接触する接液部の洗浄に用いられる洗浄液が貯留される洗浄液貯留部と、前記洗浄液貯留部及び前記液供給路と連通され、前記洗浄液貯留部から前記計測装置の接液部に対して前記供給液貯留部を介さずに洗浄液を直接供給する洗浄液供給路と、前記洗浄液供給路内の洗浄液を加圧する洗浄液供給路加圧手段と、前記計測装置の接液部に洗浄液が供給されるときは、前記供給液貯留部から前記供給先へ供給液が供給されるときよりも前記液供給路内の液の流速を上げるように、前記液供給路加圧手段及び前記洗浄液供給路加圧手段のうち少なくともいずれか一方の動作を制御する加圧制御手段と、を備えたことを特徴とする塗布装置。
【0152】
本発明に係る塗布装置は、インクジェット記録装置における、記録媒体に所定の処理液(コーティング液)を塗布する処理液塗布処理部に適用可能である。
【0153】
所定の処理液の一例として、インクと反応して、インクに含有される色材を凝集(又は不溶化)させる酸性液が挙げられる。
【0154】
(発明14):供給先へ供給される供給液が貯留される供給液貯留部から、前記供給先及び前記供給液貯留部と連通する液供給路を介して前記供給先へ供給液を供給する液供給装置において、前記液供給路に設けられ、前記液供給路内の供給液の物性を計測する計測装置の前記液供給路内の液と接触する接液部へ洗浄液が前記供給液貯留部を介さずに直接供給され、前記計測装置の接液部に洗浄液が供給されるときは、前記供給液貯留部から前記供給先へ供給液が供給されるときよりも前記液供給路内の液の流速を上げることを特徴とする計測装置洗浄方法。
【0155】
液供給路へ洗浄液が供給されるときは、液貯留部と液供給路が閉じられるように構成すると、洗浄液が液貯留部へ送られることが防止される。
【0156】
液供給路へ洗浄液が供給されると、液供給路の液の流れが所定間隔で切り換えられるように構成すると、より高い洗浄効果が得られる。
【0157】
液供給路へ洗浄液が供給されると、液供給路の液の流れを逆転させるとともに、液供給路内の圧力を一時的に高めた後に当該圧力を開放させることで、より高い洗浄効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0158】
10,10’,10”…液供給装置、12…塗布部、30…塗布装置、32…バッファタンク、34…塗布液供給路、36…バッファタンク供給バルブ、38…濃度計、40,40’…供給ポンプ、42…ヒータ、50…希釈液タンク、52…希釈液供給路、60…バイパス流路、62…希釈液供給バルブ、70…循環流路、74…収容部回収バルブ、78…回収ポンプ、82…廃液流路、84…廃液タンク、86…廃液バルブ、90…希釈液排出流路、93…洗浄液供給流路、94…洗浄液供給バルブ、95…洗浄液タンク、100…システム制御部、102…ポンプ制御部、104…バルブ制御部、106…ヒータ制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は液供給装置及び塗布装置並びに計測装置洗浄方法に係り、特に液体流路に設けられる計測装置のメンテナンス技術に関する。
【背景技術】
【0002】
汎用紙を用いた印刷システムにおいて、塗布ローラを用いたコーティング装置によって、印刷前の用紙にインクを凝集反応させるための処理液をコーティングするプロセスを含む形態がある。
【0003】
図11に示すコーティング(塗布)装置300は、補充タンク302から塗布ローラ304(塗布皿306)へ供給経路308及びポンプ310を介して処理液が直接供給され、塗布ローラ304によって消費される処理液の量と、塗布ローラ304へ供給される処理液の量が同量になるように処理液の供給量が制御されている。
【0004】
図11に示すコーティング装置300は、塗布ローラ304へ処理液を供給する最もシンプルな構成を有しており、常に新鮮な処理液を供給できるメリットがある反面、供給量の管理が難しく、供給過多や供給不足が生じやすいという問題がある。なお、図11に符号312を付した構成は、塗布皿306から排出された廃液が収容される廃液タンク312である。
【0005】
そこで、図12に示すように、補充タンク302とは別に、処理液を一時的に蓄えるバッファタンク320を備え、塗布ローラ304で消費されなかった処理液を塗布皿306からバッファタンク320へ循環させる循環経路322を備えるとともに循環経路322にポンプ324を設けて、バッファタンク320と塗布ローラ304(塗布皿306)との間で処理液を循環させつつ、バッファタンク320の液量の減少に応じて、補充タンク302から供給経路326及びポンプ328を介して新鮮な処理液をバッファタンク320へ補充するという方法が用いられる。
【0006】
しかし、図12に示すコーティング装置300’では、装置のスタンバイ状態などコーティングが行われない状態が長時間継続されると、処理液の循環に伴って処理液の水分が蒸発し、処理液の濃度が徐々に高くなっていくという問題がある。さらに、処理液は塗布の安定化のためヒータ(不図示)により所定の温度範囲に温度調整制御がされるために水分の蒸発が助長されてしまう。
【0007】
図13に示すコーティング装置300”は、供給経路308の途中に濃度計340を備えて供給経路308内の処理液の濃度を監視し、ある閾値よりも高くなった場合には別途設けられた希釈水タンク342から希釈水供給経路344及びポンプ346を介して、バッファタンク320へ希釈水が供給され、供給経路308内の処理液の濃度を一定に保つように制御が行われ、処理液の濃度上昇を解決している。循環経路322に備えられる濃度計340として、循環経路322内の処理液にレーザ光などを照射して、反射光又は透過光の受光率に基づいて濃度を計測するものが適用可能である。
【0008】
一方、塗布ローラ304は用紙と直接接触するために、用紙から排出された紙粉や、スタック時のブロッキング(貼り付き)を防止するために用紙に散布されるパウダー等の異物が付着する。塗布ローラ304に付着した異物は、塗布皿306内の処理液とともに循環経路322や供給経路308に混入してしまい、この状態で装置を長期間稼動することにより、供給経路308へ混入した異物が濃度計340の接液面(計測部)に徐々に堆積され、次第に検出感度が低下して正確に処理液の濃度を計測できなくなるという問題が発生する。
【0009】
したがって、濃度計340の計測部を定期的に清掃する必要があり、現状ではユーザやサービスエンジニアが手動で濃度計340の計測部の清掃を行っており、手間となっている。
【0010】
特許文献1に記載されたインクジェット記録装置では、インクジェットヘッドとインクサブタンクとの間に設けられた濃度検出部に洗浄液を供給して、該濃度検出部を洗浄するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−15637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1に記載されたインクジェット記録装置のように、単に洗浄液を供給するだけでは、濃度検出部の汚れを完全に除去することは難しい。十分な洗浄効果を得るためには長時間洗浄液を供給し続ける必要があり、洗浄液を大量に消費してしまうという問題が発生する。また、長時間にわたる洗浄液の供給中は装置の稼動を停止させる必要があり、稼働率の低下も懸念される。
【0013】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、液流路の液の物性を計測する計測装置を効率よく洗浄することができ、長期間にわたり好ましい計測装置の動作が実現される液供給装置及び塗布装置並びに計測装置洗浄方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明に係る液供給装置は、供給先へ供給される供給液が貯留される供給液貯留部と、前記供給先と前記供給液貯留部とを連通させる液供給路と、前記液供給路に設けられ、前記液供給路内の供給液の物性を計測する計測装置と、前記液供給路内の液を加圧する液供給路加圧手段と、前記計測装置の前記液供給路内の液と接触する接液部の洗浄に用いられる洗浄液が貯留される洗浄液貯留部と、前記洗浄液貯留部及び前記液供給路と連通され、前記洗浄液貯留部から前記計測装置の接液部に対して前記供給液貯留部を介さずに洗浄液を直接供給する洗浄液供給路と、前記洗浄液供給路内の洗浄液を加圧する洗浄液供給路加圧手段と、前記計測装置の接液部に洗浄液が供給されるときは、前記供給液貯留部から前記供給先へ供給液が供給されるときよりも前記液供給路内の液の流速を上げるように、前記液供給路加圧手段及び前記洗浄液供給路加圧手段のうち少なくともいずれか一方の動作を制御する加圧制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、液流路内の液の物性を計測する計測装置の接液部へ洗浄液が直接供給されるとともに、液貯留部から液の供給先へ液が供給されるときよりも液流路内の液の流速が上げられるので、計測装置の洗浄が容易となり、洗浄効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液供給装置を備えた塗布装置の概略構成を示す構成図
【図2】図1に示す液供給装置における濃度計の洗浄状態を模式的に示す説明図
【図3】図1に示す液供給装置に適用される濃度計の取付状態を示す断面図、及び濃度計の検出原理の一例の説明図
【図4】図1に示す液供給装置の制御系の概略構成を示すブロック図
【図5】図1に示す液供給装置における循環モードの制御の流れを示すフローチャート
【図6】図1に示す液供給装置における濃度計の洗浄モードの制御の流れを示すフローチャート
【図7】本発明の第2実施形態に係る液供給装置における洗浄状態を模式的に示す説明図
【図8】図7に示す液供給装置における洗浄状態の他の態様を模式的に示す説明図
【図9】本発明の第3実施形態に係る液供給装置における洗浄状態を模式的に示す説明図
【図10】本発明に係る液供給装置が適用される装置構成例を示す概略構成図
【図11】従来技術に係る塗布装置の課題を説明する図
【図12】従来技術に係る塗布装置の他の課題を説明する図
【図13】従来技術に係る塗布装置のさらに他の課題を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
【0018】
〔第1実施形態〕
(全体構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係る液供給装置10の概略構成及び、液供給装置10を備えた塗布装置30の概略構成を示す構成図である。同図に示す塗布装置30は、液供給装置10と塗布部12を備え。液供給装置10から塗布部12へ所定の塗布液が供給されるように構成されている。
【0019】
塗布部12は、液供給装置10から供給された塗布液が一次貯留される塗布皿14と、塗布皿14から所定量の塗布液をくみ上げる計量手段として機能するアニロックスローラ16と、アニロックスローラ16によって計量された塗布液が供給され、被塗布媒体に塗布液を塗布する塗布ローラ18と、被塗布媒体20を外周面に固定保持する圧胴22と、を備えている。
【0020】
表面に塗布液(太線により図示)が供給された塗布ローラ18を所定の回転速度で回転させながら、圧胴22の回転速度に応じて搬送される被塗布媒体(例えば、紙)20に接触させることで、被塗布媒体20の被塗布面に所定量の塗布液が塗布される。塗布ローラ18を被塗布媒体20に対して一定圧力で付勢させることで、塗布液の塗布むらが防止され、均一な塗布液の塗布がされている。
【0021】
塗布液が一次貯留される塗布皿14は、液供給装置10から送液された塗布液が溜められる液溜部14Aと、液溜部14Aから溢れた塗布液が収容される収容部14Bと、を有し、液溜部14Aと収容部14Bは隔壁14Cによって区画されている。液溜部14Aの液面が隔壁14Cを超えると余剰な塗布液が収容部14Bへ流れ出す構造を有しており、隔壁14Cの高さによって液溜部14Aの最大液量が決められている。
【0022】
収容部14Bに流れ出した塗布液は、底面に設けられた排出口(不図示)を介して外部へ排出される。また、液溜部14Aの底面にも不図示の排出口が設けられており、この排出口から外部へ塗布液を直接排出させることも可能である。
【0023】
液溜部14Aは、液供給装置10から一定量の塗布液が常時供給され、余剰となった塗布液を循環させている(詳細後述)。このようにして、塗布皿14(液溜部14A)内の液量を一定範囲内に維持することで、安定した塗布液の計量が実現されている。
【0024】
液供給装置10は、塗布部12へ供給される塗布液が一次貯留されるバッファタンク32と、一方の端部がバッファタンク32と連通し、他方の端部が塗布部12(塗布皿14)と連通する塗布液供給路34と、塗布液供給路34の開閉を切り換えるバッファタンク供給バルブ36と、塗布液供給路34内の液の濃度を検知する濃度計38(計測装置)と、塗布液供給路34内の液体を加圧する供給ポンプ40と、塗布液供給路34内の液の温度を調整するヒータ42が含まれる。かかる各部によって、液供給系が構成されている。
【0025】
バッファタンク供給バルブ36を開き、供給ポンプ40を所定の回転速度で動作させると、バッファタンク32から塗布液が吸い上げられ、フィルタ41及び塗布液供給路34介して塗布部12へ供給される。なお、供給ポンプ40は、濃度計38のバッファタンク側(上流側、符号39を付して破線により図示した位置)に設けられていてもよい。
【0026】
バッファタンク32内の塗布液が消費されると、補充タンク44から塗布液が補充される。バッファタンク32と補充タンク44とは補充流路46によって連通されており、バッファタンク32内の塗布液の液面が下限位置に達すると、補充流路46に設けられた補充ポンプ48を動作させて、補充タンク44からフィルタ49及び補充タンク44を介してバッファタンク32へ塗布液が送られる。
【0027】
塗布部12へ供給される塗布液の濃度が上昇して所定値を超えると、バッファタンク32へ所定量の希釈液が供給され、塗布液の濃度が一定範囲内に維持される。すなわち、バッファタンク32と希釈液が貯留される希釈液タンク50とは、希釈液供給路52によって連通されている。
【0028】
塗布液供給路34内の塗布液の濃度が所定値を超えると、希釈液供給路52に設けられた希釈液補充ポンプ54が動作して、希釈液タンク50からフィルタ56及び希釈液供給路52を介してバッファタンク32へ希釈液が供給される。希釈液には、塗布液の溶媒や純水などが適用される。
【0029】
本例に示す液供給装置10は、希釈液供給路52が希釈液補充ポンプ54よりも希釈液タンク50側で分岐され塗布液供給路34の濃度計38よりもバッファタンク32側で接続されている。
【0030】
すなわち、希釈液供給路52と塗布液供給路34との間にバイパス流路60が設けられるとともに、バイパス流路60には希釈液供給路52と塗布液供給路34との連通、非連通を切り換える希釈液供給バルブ62が設けられている。
【0031】
塗布液供給路34とバイパス流路60との接合部は、濃度計38などの塗布液供給路34に配設される計測装置よりもバッファタンク32側(上流側)となっており、塗布液供給路34に配設される計測装置に対してバッファタンク32を介さずに直接希釈液を供給可能な構造となっている。
【0032】
なお、図1の符号39を付して図示した位置に供給ポンプが配置される態様では、希釈液補充ポンプ54は、符号53を付して破線により図示される位置に配置される。
【0033】
図1に示す液供給装置10は、塗布液の供給先である塗布部12(塗布皿14)とバッファタンク32との間で塗布液を循環させる循環流路70が設けられている。すなわち、塗布皿14の液溜部14Aの底面の排出口及び収容部14Bの底面の排出口とバッファタンクとは、循環流路70を介して連通されている。
【0034】
循環流路70には、液溜部回収バルブ72、収容部回収バルブ74、フィルタ76、回収ポンプ78、バッファタンク回収バルブ80が設けられている。収容部回収バルブ74、バッファタンク回収バルブ80を開いた状態で回収ポンプ78を動作させると、塗布皿14の収容部14Bから循環流路70を介してバッファタンク32へ塗布液が循環される。
【0035】
図1の太矢印線は、バッファタンク32から塗布部12への塗布液の供給と、塗布部12からバッファタンク32への塗布液の循環を表している。このように、塗布液を循環させながら供給することで、塗布液の状態(粘度、濃度、温度、異物の混入状態など)が一定に保たれる。
【0036】
循環流路70は、回収ポンプ78の下流側で分岐されて廃液流路82と連通されている。廃液流路82の反対側の端は廃液タンク84と連通されており、液溜部回収バルブ72及び収容部回収バルブ74を開き、バッファタンク回収バルブ80を閉じ、廃液流路82の開閉を切り換える廃液バルブ86を開いた状態で回収ポンプ78を動作させると、塗布皿14内の塗布液は廃液タンク84へ排出される。
【0037】
塗布部12において、被塗布媒体20へ塗布液が塗布される通常運転時には、図1に図示したように塗布液の循環が行われる。塗布液を循環させるときは、(供給ポンプ40の吐出量)<(回収ポンプ78の吐出量)となるように、供給ポンプ40及び回収ポンプ78の吐出量が制御される(詳細後述)。なお、回転機構を有するポンプでは、「吐出量」に対応するパラメータとして「回転数」を適用可能である。
【0038】
図2は、液供給装置10における塗布液供給路34及び塗布液供給路34に配接される計測装置を洗浄する洗浄状態(洗浄モード)を模式的に図示した説明図である。なお、これ以降の説明において、先に説明した部分と同一又は類似する部分には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0039】
図2に示す洗浄状態では、塗布液供給路34、濃度計38、供給ポンプ40、ヒータ42の塗布液と接触する部分が洗浄液によって洗浄される。すなわち、塗布液供給路34に洗浄液が直接供給され、塗布液供給路34、濃度計38、供給ポンプ40の塗布液と接触する部分に洗浄液を流すことで、これらに付着した汚れが洗浄液とともに排出される。
【0040】
汚れを流した洗浄液は、塗布皿14、循環流路70、及び廃液流路82を介して廃液タンク84へ送られる。洗浄液には塗布液を希釈させる希釈液が適用される。図の太矢印線は、洗浄液(希釈液)の流れを表している。
【0041】
すなわち、希釈液供給バルブ62、収容部回収バルブ74,廃液バルブ86が開かれ、バッファタンク供給バルブ36、バッファタンク回収バルブ80が閉じられた状態で、供給ポンプ40及び回収ポンプ78を動作させると、希釈液タンク50から希釈液供給路52、バイパス流路60を介して塗布液供給路34へ希釈液がバッファタンク32を介さずに直接供給される。
【0042】
このときに、供給ポンプ40の吐出量は、通常動作時(図1に図示した状態)よりも高くされる。また、(供給ポンプ40の吐出量)<(回収ポンプ78の吐出量)の関係が維持されるように、回収ポンプ78の吐出量も通常動作の循環時よりも高くされる。
【0043】
このようにして、通常動作時よりも塗布液供給路34内の液の圧力を塗布液の供給時(通常動作時)よりも上げることで、洗浄状態における洗浄液の流速がより速くなり、濃度計38の接液部分や供給ポンプ40の接液部分、塗布液供給路34の内壁に付着した汚れが除去されやすくなる。
【0044】
その結果、洗浄に要する時間がより短縮化されるとともに、洗浄液(希釈液)の消費量がより低減化される。なお、洗浄状態の詳細は後述する。
【0045】
(計測装置の説明)
図3(a),(b)は、塗布液供給路34に配設される計測装置である濃度計38の取付状態を示す断面図であり、図3(c)は、濃度計38の検出原理の一例の説明図である。図3(a)に示すように、濃度計38の検出部38Aは、塗布液供給路34の内部に挿入され、塗布液と接触する。塗布液供給路34の濃度計38を固定するための固定部34Aは、パッキンなどの封止部材38Bによって封止(シール)される。
【0046】
図3(a)に示す塗布液供給路34は、濃度計38の検出部38Aへ液が流入する入路34Bと、濃度計38の検出部38Aから液が排出される出路34Cと、を備え、検出部38Aに対しする液の流れ方向が略直角方向になるように入路34B及び出路34Cが配設されている。
【0047】
図3(a)に示す態様では、塗布液供給路34から分岐させた流路に濃度計38が取り付けられ、塗布液供給路34の分岐部分から濃度計38へ向かう方向に沿って、当該分岐流路(濃度計取付部)の同方向における略中央部にパーティションが設けられ、当該分岐流路(濃度計取付部)が区画されて入路34Bと出路34Cが形成されている。
【0048】
また、図3(b)に示す塗布液供給路34は、検出部38Aに対する液の流れ方向が略45°になるように入路34B及び出路34Cが配設されている。図3(b)に示す形態では、塗布液供給路34から分岐された分岐流路(濃度計38の取付部)は、濃度計38を中心として略90度に開かれた構造を有しており、この分岐流路の略中央部にパーティションが設けられている。
【0049】
かかる態様によれば、流入する液が検出部38Aに対して角度をもって当たるため、より検出部38Aの洗浄効果を向上させることができる。また、排出側も同様の角度とすることで、後述する第2実施形態において、液体を逆流させた場合にも、同様の効果を得ることができる。
【0050】
経路に角度を持たせることで流路抵抗が大きくなるために、液の粘度や流速によっては、濃度計内部の流れが阻害される懸念がある。そのため、流入角度及び排出角度は使用される液の粘度や流速によって適度に設定される。
【0051】
検出部38Aに対する液の流れ方向を30度以上90度以下とする態様が好ましく、検出部38Aに対する液の流れ方向を45度以上90度以下とする態様がより好ましい。なお、検出部38Aに対する入路34Bの角度と、検出部38Aに対する出路34Cの角度と、を同一にしてもよいし、異ならせてもよい。
【0052】
図3(c)に示すように、塗布液供給路34に挿入された検出部38Aは、塗布液供給路34内の液(検出液)と接触する接液面(液との界面)38Cを有する光学系38Dと、接液面38Cに光を照射する光源38Eと、接液面38Cによる反射光を受光する受光素子38Fと、と含んで構成されている。
【0053】
光源38Eから出射された光の一部は、接液面38Cによって反射して受光素子38Fに入射される。検出液(本例では、塗布液)の濃度に応じて反射角が変わるため、受光素子38Fへの入光位置を検知することで、検出液の濃度を把握することができる。
【0054】
図3(c)には、光学系38Dの構成例として、プリズム38Gと、光源38Eとプリズム38Gとの間に設けられるレンズ(コンデンサレンズ)38Hと、プリズム38Gと受光素子38Fとの間に設けられたレンズ(対物レンズ)38Iを含む構成が図示されている。
【0055】
また、光源38EにはLEDを適用することができ、受光素子38FにはCCDなどのイメージセンサを適用することができる。
【0056】
図3(c)に示す接液面38Cに、塗布液の溶質成分や被塗布媒体の材質などの汚れが付着し、長期にわたる使用により汚れが堆積すると、濃度の誤検出や検出ばらつきの原因となり、正確に塗布液の濃度を把握することが難しくなる。
【0057】
そこで、上述した洗浄により接液面38Cの汚れが除去された好ましい状態に維持されることで、塗布液の状態(物性)が正確に把握され、塗布液の状態に応じた塗布液の管理最適化が可能となる。
【0058】
(制御系の説明)
図4は、図1に示す液供給装置10(塗布装置30)の制御系の概略構成を示すブロック図である。同図に示すように、液供給装置10はシステム制御部100により統括制御される。システム制御部100はマイクロコンピュータやCPUなどを適用することができ、単独のデバイスによって構成されてもよいし、複数のデバイスを組み合わせて構成されてもよい。
【0059】
図4に示す制御系は、システム制御部100から送出される指令信号に応じて、ポンプ101の動作を制御するポンプ制御部102と、バルブ103の動作を制御するバルブ制御部104と、ヒータ42を制御するヒータ制御部106と、を有している。
【0060】
なお、図4に符号101を付して図示したポンプは、図1の供給ポンプ40、補充ポンプ48、希釈液補充ポンプ54、及び回収ポンプ78など、装置内に設けられるポンプがまとめて図示されたものである。
【0061】
同様に、図4に符号103を付して図示したバルブは、図1,2のバッファタンク供給バルブ36、希釈液供給バルブ62、液溜部回収バルブ72、収容部回収バルブ74、バッファタンク回収バルブ80、及び廃液バルブ86など、装置内に設けられるバルブがまとめて図示されたものである。
【0062】
図4の温度センサ105は、装置各部の温度を検出する手段であり、装置各部の温度情報を検出信号としてシステム制御部100へ送出する。システム制御部100は、温度センサ105から送られた装置各部の温度情報に基づいて温度調整が実行されるように、装置各部の温度調整部へ指令信号を送出する。
【0063】
液量センサ107は、図1,2のバッファタンク32、補充タンク44、希釈液タンク50、及び廃液タンク84の液量を検出する手段である。例えば、バッファタンク32に設けられる液量センサから、バッファタンク32内の塗布液量が下限値を下回る旨の情報がシステム制御部100へ送出されると、システム制御部100は補充タンク44からバッファタンク32へ塗布液が補充されるように補充ポンプ48を動作させる指令信号をポンプ制御部102へ送出する。
【0064】
図4の入力部110は、オペレータにより操作されるキーボード、タッチパネル、マウス、スイッチなどの操作部や、外部入力端子(外部入力インターフェイス)などが含まれる。オペレータは、入力部110(操作部)を用いて動作モードの切り換えや各種情報の入力を行うことができる。
【0065】
また、外部入力インターフェイスを介して、ホストコンピュータや外部記憶装置(ストレージ)などの外部機器とのデータのやり取りを行うことができる。外部入力部は、有線形式、無線形式のいずれも適用可能である。
【0066】
表示部112は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどのディスプレイ装置と、ディスプレイ装置の表示制御を行うディスプレイドライバーと、を含んで構成される。表示部112は、システム制御部100が送出される各種情報を文字情報や画像情報としてディスプレイ装置に表示させる。なお、タッチパネル方式のディスプレイ装置を用いて、入力部110(操作部)と表示部112とを一体構成としてもよい。
【0067】
システム制御部100は、パラメータ記憶部114やプログラム格納部116といった記憶装置(記憶素子)に対するデータの書き込み及びデータの読み出しを制御する手段としても機能する。
【0068】
パラメータ記憶部114は、装置の各種パラメータが記憶されるブロックである。また、プログラム格納部116は、装置の制御に用いられる各種プログラムが格納されている。パラメータ記憶部114やプログラム格納部116は、RAMなどの半導体記憶素子やハードディスクなどの磁気記憶媒体が適用される。
【0069】
カウンター(タイマー)118は、装置の稼働時間や、ポンプ101、バルブ103などの動作開始(動作変更)からの経過時間が計測され、計測結果が記憶される手段である。システム制御部100は、カウンター118に記憶されている計測値を参照して、装置各部の制御を開始する指令信号、終了する指令信号、変更する指令信号を送出する。
【0070】
(循環モード、洗浄モードの詳細な説明)
次に、図1,2に図示した液供給装置10の循環モード(塗布装置30の塗布実行モード)、及び洗浄モードについて詳述する。
【0071】
図5は、循環モードの制御の流れを示すフローチャートである。同図に示すように、循環モードが開始されると(ステップS10)、図1のバッファタンク供給バルブ36、収容部回収バルブ74、バッファタンク回収バルブ80が開かれ(図5のステップS12)、他のバルブ(図1の希釈液供給バルブ62、液溜部回収バルブ72、廃液バルブ86)が閉じられる(図5のステップS14)。
【0072】
図1の供給ポンプ40及び回収ポンプ78が駆動され(図5のステップS16)、(供給ポンプ40の吐出量)<(回収ポンプ78の吐出量)の関係が維持されるように、図1の供給ポンプ40及び回収ポンプ78の動作が制御される(図5のステップS18)。
【0073】
ステップS20では、モード切換の有無が監視され、モード切換が行われた場合は(Yes判定)、循環モードの終了処理が実行され(ステップS22)、循環モードが終了される(ステップS24)。一方、モード切換が行われない場合は(ステップS20のNo判定)、図1のバッファタンク32の液量が監視されるとともに(図5のステップS26〜ステップS32)、塗布液の濃度が監視される(ステップS34〜ステップS40)。
【0074】
ステップS26において、図1のバッファタンク32の液量が下限を下回っていると判断されると(図5のステップS26のYes判定)、図1の補充ポンプ48を動作させて、補充タンク44からバッファタンク32へ塗布液が補充される(図5のステップS28)。
【0075】
一方、図1のバッファタンク32の液量が上限を超えていると判断されると(図5のステップS30のYes判定)、図1の補充ポンプ48が停止され(図5のステップS32)、図1の補充タンク44からバッファタンク32への塗布液の補充が終了される。
【0076】
なお、ステップS26において、図1のバッファタンク32の液量が下限を下回っていないと判断される場合(No判定)、及び図5のステップS30において、図1のバッファタンク32の液量が上限を超えていないと判断されると(No判定)、ステップS30に戻り、図1のバッファタンク32の液量の監視が継続される。
【0077】
また、塗布液の濃度の監視では、図5のステップS34において、塗布液の濃度が所定値を超えていないと判断されると(No判定)、ステップS20に戻り、塗布液の濃度が所定値を超えたと判断されると(ステップS34のYes判定)、図1の希釈液補充ポンプ54を動作させて(図5のステップS36)、図1の希釈液タンク50からバッファタンク32へ希釈液が供給され、バッファタンク32内の塗布液が希釈される。
【0078】
また、図5のステップS38において、塗布液の濃度が所定値以下になったと判断されると(Yes判定)、図1の希釈液補充ポンプ54を停止させ(図5のステップS40)、ステップS20に戻り、塗布液の濃度が所定値以下になっていないと判断されると(ステップS38のNo判定)、塗布液の濃度監視が継続される(ステップS38)。
【0079】
図6は、図2に示す塗布液供給路34に配設される計測装置(濃度計38)の洗浄モードの制御の流れを示すフローチャートである。洗浄モードが開始されると(図6のステップS100)、図2の希釈液供給バルブ62、液溜部回収バルブ72、収容部回収バルブ74、廃液バルブ86が開かれ(図6のステップS102)、他のバルブ(図2のバッファタンク供給バルブ36、バッファタンク回収バルブ80)が閉じられる(図6のステップS104)、図2の供給ポンプ40及び回収ポンプ78が駆動される(図6のステップS106)。
【0080】
図2に示す供給ポンプ40の吐出量は循環モード(通常動作時)より高く、かつ、洗浄モードにおいても(供給ポンプ40の吐出量)<(回収ポンプ78の吐出量)の関係が維持されるように、供給ポンプ40及び回収ポンプ78の動作が制御される(ステップS108)。
【0081】
そうすると、図2の希釈液タンク50から希釈液供給路52、バイパス流路60、希釈液供給バルブ62を介して塗布液供給路34へ希釈液直接供給される。希釈液は、塗布液供給路34、濃度計38、供給ポンプ40を洗浄しながら塗布皿14へ流れ込み、塗布皿14から循環流路70及び廃液流路82を経由して廃液タンク84へ送られる。希釈液が通過した部分は付着していた汚れが除去される。
【0082】
ステップS110では、モード切換の有無が監視される。モード切換が行われた場合は(Yes判定)、洗浄モードの終了処理が実行され(ステップS112)、洗浄モードが終了される(ステップS114)。一方、モード切換が行われない場合は(ステップS110のNo判定)、洗浄モード開始からの経過時間が監視される(ステップS116)。
【0083】
すなわち、洗浄モードは開始からの経過時間によって処理時間が管理される。ステップS116で洗浄モードの開始から所定時間が経過したと判断されると(Yse判定)、洗浄モードの終了処理が実行され(ステップS112)、洗浄モードが終了される(ステップS114)。
【0084】
なお、オペレータから強制終了指令が入力された場合や、非常停止指令が入力された場合には、直ちに洗浄モードの終了処理が実行され(ステップS112)、洗浄モードが終了される(ステップS114)。
【0085】
洗浄モード(洗浄状態)における供給ポンプ40の吐出量は、循環モード(通常動作時)の供給ポンプ40の吐出量の1.2倍以上3倍以下が好ましく、1.2倍以上2倍以下がより好ましい。例えば、洗浄モードの供給ポンプ40の吐出量を循環モードの2倍としたときには、通常動作時と同じ吐出量で供給ポンプ40(回収ポンプ78)を動作させたときと比較して、洗浄時間は約65%短縮化され、洗浄液の消費量は約35%削減される。
【0086】
上述した洗浄モードは、装置の立ち上げ時や、所定の稼働時間経過時、装置のインターバル時に自動的に実行させてもよいし、オペレータが手動で実行させてもよい。
【0087】
また、自動実行時における供給ポンプ40の吐出量と、手動実行時における供給ポンプ40の吐出量を変えてもよい。例えば、自動実行時の供給ポンプ40の吐出量に対して、手動実行の供給ポンプ40の吐出量を上げて、手動実行時には自動実行時よりもより高い洗浄効果が得られるように構成してもよい。さらに、供給ポンプ40の吐出量を段階的に可変させるように構成してもよい。
【0088】
上記の如く構成された液供給装置及び計測装置洗浄方法によれば、洗浄モードでは、塗布液供給路34へ洗浄液としての希釈液が直接供給されるとともに、バッファタンク32から塗布部12へ塗布液が供給される通常動作時(循環モード)ときよりも供給ポンプ40の吐出量が上げられるので、塗布液供給路34内の希釈液の圧力がより高くされることで流速がより高くなり、塗布液供給路34に配設される計測装置や塗布液供給路34内部の洗浄が容易となり、洗浄効果を向上させることができる。
【0089】
また、塗布液供給路34を通過する希釈液の流速をより早くすることで、所定の洗浄効果を得るための処理時間が短縮化されるとともに、希釈液の消費量を低減させることが可能となる。
【0090】
本例では、塗布液供給路34に配設される計測装置として、接液面38Cを有する光学式の濃度計38を例示したが、本発明は接液部分を有する測定装置に広く適用可能である。接液部分を有する計測器の例としては、ph(ペーハー)計、微粒子計、導電率計、流速計、圧力計、温度計、測色計などが挙げられる。また、供給ポンプ40についても、内部に堆積した汚れが除去され、好ましい動作状態が維持されるので、故障の発生が防止される。
【0091】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係る液供給装置及び計測装置洗浄方法について説明する。図7は、本発明の第2実施形態に係る液供給装置の概略構成を示す構成図である。同図に示す液供給装置10’は、図1に図示した液供給装置10に対して、塗布液供給路34とバイパス流路60との接続部から廃液タンク84への希釈液排出流路90が追加されるとともに、希釈液排出流路90に希釈液排出バルブ92が追加されている。
【0092】
また、塗布液供給路34に設けられる供給ポンプ40’は回転方向の切り換え(生逆転動作)が可能となっており、供給ポンプ40’から塗布部12へ向かう方向にも、供給ポンプ40’から濃度計38へ向かう方向にも、選択的に液を流すことが可能となっている。
【0093】
第1実施形態と同様に、供給ポンプ40’の吐出量は、塗布液を塗布部12へ供給する通常動作時よりも高くなっており、供給ポンプ40’を逆転動作させるときも通常動作時よりも高い吐出量となっている。
【0094】
図7に図示した希釈液排出バルブ92は逆止弁であり、供給ポンプ40’を正転動作(バッファタンク32から塗布部12へ液を流すときの動作を)させたときに廃液タンク84から塗布液供給路34へ向かう方向に液を流すことがなく、供給ポンプ40’を逆転動作(塗布部12からバッファタンク32へ液を流すときの動作を)させたときに塗布液供給路34(バイパス流路60)から廃液タンク84へ向かう方向にのみ液を流すものである。
【0095】
図8に示すように、希釈液を希釈液タンク50から塗布液供給路34へ供給した後に、希釈液供給バルブ62を閉じて供給ポンプ40’を逆転動作させると、希釈液が逆流して供給ポンプ40’から濃度計38を介して希釈液排出流路90に流れ込み、希釈液排出バルブ92を介して廃液タンク84へ送られる。
【0096】
このように、塗布液供給路34に供給された希釈液を逆流させて濃度計38の検出部38Aを往復させ、さらに、この動作を繰り返すことでより高い洗浄効果を得ることができる。
【0097】
本発明の第2実施形態に係る液供給装置及び計測装置洗浄方法によれば、塗布液供給路34に希釈液が供給された後に、供給ポンプ40’を逆転させて希釈液が濃度計38の検出部38Aを往復するように構成されるので、希釈液を一方向に流す場合と比べて汚れを除去しやすくなる。
【0098】
(応用例)
希釈液排出バルブ92にリリーフバルブを適用することで、供給ポンプ40’を逆転させたときに、塗布液供給路34内の液の圧力がリリーフバルブの開放圧力に達するまで加圧され、さらに、リリーフバルブが開放された瞬間に希釈液の流速がより速くなり、より高い洗浄効果を得ることができる。
【0099】
また、洗浄モードでは、塗布部12へ塗布液を供給する通常動作時よりもヒータ42の設定温度を上げて、より高い洗浄効果を得ることも可能である。この温度調整は、先に説明した第1実施形態にも適用可能である。
【0100】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態に係る液供給装置及び計測装置洗浄方法について説明する。図9は、本発明の第3実施形態に係る液供給装置の概略構成を示す構成図である。同図に示す液供給装置10”は、図7,8に図示した液供給装置10’に対して、塗布液供給路34へ洗浄液を供給する洗浄液供給流路93と、洗浄液供給流路93に設けられる洗浄液供給バルブ94と、塗布液供給路34へ供給される洗浄液が貯留される洗浄液タンク95と、洗浄液供給流路93の洗浄液タンク95側の端部に設けられたフィルタ96と、供給ポンプ40’と塗布部12の間に設けられる逆止弁97が追加されている。
【0101】
洗浄液供給バルブ94が開かれ、バッファタンク供給バルブ36及び希釈液供給バルブ62が閉じられた状態で供給ポンプ40’を逆転動作させると、洗浄液タンク95から塗布液供給路34へ洗浄液が供給され、供給ポンプ40’、濃度計38を介して希釈液排出流路90へ洗浄液が流れ込み、洗浄液は、希釈液排出バルブ92を介して廃液タンク84へ送られる。
【0102】
一方、逆止弁97によって塗布部12から塗布液供給路へ向かう方向の液の流れは阻止されるので、塗布液が洗浄液タンク95へ流れ込むことはない。また、逆止弁97は、開放圧力が希釈液排出バルブ92よりも大きいもの用いることで、洗浄液が塗布部12へ流入することが防止される。なお、第1実施形態と同様に、供給ポンプ40’の吐出量は、塗布液を塗布部12へ供給する通常動作時よりも高くなっている。
【0103】
本例に示す洗浄液は、第1、第2実施形態で用いられた希釈液よりも、より積極的に汚れを除去する薬剤が適用される。なお、薬剤による洗浄の後に希釈液を通過させて、塗布液供給路34や濃度計38、供給ポンプ40’に付着した薬剤を除去するように構成してもよい。
【0104】
本例に適用される薬剤の一例を挙げると、イオン交換水に対して、界面活性剤を重量比で1〜10%の範囲で含有する水性組成液がある。かかる水性組成液の界面活性剤には、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ベタイン界面活性剤等を用いることができる。上記した水性組成液は、水性の処理液を用いる場合の洗浄液の例であり、イオン交換水の替わりに処理液の溶媒成分を用いてもよい。
【0105】
本発明の第3実施形態に係る液供給装置及び計測装置に洗浄方法によれば、より洗浄効果の高い薬剤を塗布液供給路34へ供給することで、より高い洗浄効果を得ることができる。
【0106】
〔他の装置構成への応用例〕
次に、本発明に係る液供給装置及び計測装置洗浄方法の他の装置構成への応用例を説明する。図10は、本発明に係る液供給装置及び計測装置洗浄方法が適用されるインクジェット記録装置200の全体構成図である。インクジェット記録装置200における処理液塗布部230へ対して、上述した塗布装置30(液供給装置10(10’、10”))が適用される。
【0107】
図10に示すインクジェット記録装置200は、色材を含有するインクと該インクを凝集させる機能を有する凝集処理液を用いて、所定の画像データに基づいて記録媒体214の画像形成面に画像を形成する二液凝集方式の記録装置である。
【0108】
インクジェット記録装置200は、主として、給紙部220、処理液塗布部230、描画部240、乾燥処理部250、定着処理部260、及び排出部270を備えて構成される。処理液塗布部230、描画部240、乾燥処理部250、定着処理部260の前段に搬送される記録媒体214の受け渡しを行う手段として渡し胴232,242,252,262が設けられるとともに、処理液塗布部230、描画部240、乾燥処理部250、定着処理部260のそれぞれに記録媒体214を保持しながら搬送する手段として、ドラム(円筒)形状を有する圧胴234,244,254,264が設けられている。
【0109】
渡し胴232,242,252,262及び圧胴234,244,254,264は、外周面の所定位置に記録媒体214の先端部を挟んで保持するグリッパー280A,280Bが設けられている。グリッパー280A及びグリッパー280Bにおける記録媒体214の先端部を挟んで保持する構造、及び他の圧胴又は渡し胴に備えられるグリッパーとの間で記録媒体214の受け渡しを行う構造は同一であり、かつ、グリッパー280Aとグリッパー280Bは、圧胴234の外周面の圧胴234の回転方向について180°移動させた対称位置に配置されている。
【0110】
グリッパー280A,280Bにより記録媒体214の先端部を狭持した状態で渡し胴232〜62及び圧胴234,244,254,264を所定の方向に回転させると、渡し胴232〜62及び圧胴234,244,254,264の外周面に沿って記録媒体214が回転搬送される。なお、図10中、圧胴234に備えられるグリッパー280A,280Bのみ符号を付し、他の圧胴及び渡し胴のグリッパーの符号は省略する。
【0111】
給紙トレイ222を介して給紙部220に収容されている記録媒体(枚葉紙)214が処理液塗布部230に給紙されると、圧胴(処理液胴)234の外周面に保持された記録媒体214の画像形成面に、処理液塗布装置236から凝集処理液(以下、単に「処理液」と記載することがある。)が付与される。この処理液は、上述した「塗布液」に相当する。
【0112】
なお、「記録媒体214の画像形成面」とは、圧胴234,244,254,264の保持された状態における外側面であり、圧胴234,244,254,264に保持される面と反対面である。凝集処理液を塗布する構成例として、図1等に示す塗布部12と同様の構成が適用される。
【0113】
その後、凝集処理液が付与された記録媒体214は溶媒の乾燥処理が施されるととともに描画部240に送出され、描画部240において画像形成面の凝集処理液が付与された領域(画像形成領域)に、インクジェットヘッド248M,248K,248C,248Yから色インクが付与され、所望の画像が形成される。
【0114】
すなわち、渡し胴242から圧胴(描画胴)244に凝集処理液が塗布された記録媒体214が受け渡されると、画像データに基づいてインクジェットヘッド248M,248K,248C,248YからM(マゼンダ)、K(黒)、C(シアン)、Y(イエロー)各色のインクが打滴される。記録媒体214にインクが着弾すると、凝集処理液による凝集作用が発現してインク凝集体(ドット)が形成される。
【0115】
なお、図10に示すインクジェット記録装置200では、MKCYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
【0116】
さらに、該色インクによる画像が形成された記録媒体214は乾燥処理部250に送られ、乾燥処理装置256による乾燥処理が施され、インクの溶媒が除去される。乾燥処理後の記録媒体214は定着処理部260に送られ、ヒータ266及び定着ローラ268を用いた定着処理が施される。定着処理が施されることで、記録媒体214上に形成された画像が堅牢化される。このようにして、記録媒体214の画像形成面に所望の画像が形成され、該画像を記録媒体214の画像形成面に定着させた後に、インラインセンサ282による画像の読み取りが行われる。
【0117】
図10に示すインクジェット記録装置200は、インラインセンサ282の読取結果に基づいてインクジェットヘッド248M,248K,248C,248Yの吐出異常の有無が判断される。インクジェットヘッド248M,248K,248C,248Yの吐出異常が検出されると、吐出異常に起因する画像異常の発生を防ぐために、打滴補正や画像補正が行われる。
【0118】
その後、記録媒体214は排出部270から装置外部に搬送される。図10に示す排出部270は、張架ローラ272A,272Bに巻きかけられた無端状の搬送チェーン274と、画像記録後の記録媒体214が収容される排出トレイ276と、を備えて構成されている。定着処理部260から送出された定着処理後の記録媒体214は、搬送チェーン274によって搬送され、排出トレイ276に排出される。
【0119】
なお、本例に示す液塗布装置及び計測装置洗浄方法は、コーティング液や上塗り液などの機能性液体を塗布する塗布装置に広く適用可能である。
【0120】
〔付記〕
上記に詳述した発明の実施形態についての記載から把握されるとおり、本明細書は少なくとも以下に示す発明を含む多様な技術思想の開示を含んでいる。
【0121】
(発明1):供給先へ供給される供給液が貯留される供給液貯留部と、前記供給先と前記供給液貯留部とを連通させる液供給路と、前記液供給路に設けられ、前記液供給路内の供給液の物性を計測する計測装置と、前記液供給路内の液を加圧する液供給路加圧手段と、前記計測装置の前記液供給路内の液と接触する接液部の洗浄に用いられる洗浄液が貯留される洗浄液貯留部と、前記洗浄液貯留部及び前記液供給路と連通され、前記洗浄液貯留部から前記計測装置の接液部に対して前記供給液貯留部を介さずに洗浄液を直接供給する洗浄液供給路と、前記洗浄液供給路内の洗浄液を加圧する洗浄液供給路加圧手段と、前記計測装置の接液部に洗浄液が供給されるときは、前記供給液貯留部から前記供給先へ供給液が供給されるときよりも前記液供給路内の液の流速を上げるように、前記液供給路加圧手段及び前記洗浄液供給路加圧手段のうち少なくともいずれか一方の動作を制御する加圧制御手段と、を備えたことを特徴とする液供給装置。
【0122】
本発明によれば、液流路内の液の物性を計測する計測装置の接液部へ洗浄液が直接供給されるとともに、液貯留部から液の供給先へ液が供給されるときよりも液流路内の液の流速が上げられるので、計測装置の洗浄が容易となり、洗浄効果を向上させることができる。
【0123】
液供給路加圧手段及び洗浄液供給路加圧手段の一例として、吐出量(回転数)を可変させることができるポンプが挙げられる。また、液供給路加圧手段と洗浄液供給路加圧手段とを兼用させる態様も可能である。
【0124】
洗浄液として供給液の溶媒や純水を用いることが可能である。一方、供給液の溶媒等よりもより強力な洗浄効果を発揮する専用の洗浄液(薬液等)を用いることも可能である。
【0125】
液貯留部の形態として、メインタンクとサブタンクを含む形態が可能である。すなわち、液供給路と連通するサブタンクと、サブタンクと連通するメインタンクと、を備え、サブタンク内の液量が所定値以下になると、メインタンクからサブタンクへ供給液が補充される形態が可能である。
【0126】
(発明2):発明1に記載の液供給装置において、前記液供給路加圧手段は、前記液供給路における液の流れ方向を切り換え可能に構成され、前記加圧制御手段は、前記計測装置の接液部へ洗浄液が供給されると、前記液供給路における液の流れ方向が所定時間間隔で切り換えられるように前記液供給路加圧手段の動作を制御することを特徴とする。
【0127】
かかる態様によれば、計測装置の接液部に対して洗浄液を往復させることで、単一方向に洗浄液を流す場合に比べて汚れが除去されやすくなる。
【0128】
かかる態様において、加圧手段を正逆転動作させるときには、洗浄液供給路に設けられる洗浄液供給路を開閉する洗浄液供給路開閉手段が閉じられように構成すると、洗浄液貯留部への洗浄液の逆流が防止される。
【0129】
(発明3):発明1又は2に記載の液供給装置において、前記計測装置の接液部へ供給される洗浄液の温度が前記供給先へ供給される供給液の温度よりも高くなるように、前記洗浄液の温度を調整する温度調整手段を備えたことを特徴とする。
【0130】
かかる態様によれば、洗浄液の温度を上げることで、汚れが洗浄液に溶解されやすくなり、汚れの除去が容易になる。
【0131】
(発明4):発明2又は3に記載の液供給装置において、前記液供給路と連通し、前記計測装置の接液部へ供給された洗浄液を廃液貯留部へ排出させる洗浄液排出路と、前記洗浄液排出路に設けられ、前記液供給路から前記廃液貯留部へ向かう方向に洗浄液を流す構造を有する逆止弁と、を備えたことを特徴とする。
【0132】
かかる態様によれば、計測装置の接液部に対して洗浄液を往復させるときに、汚れが混ざった洗浄液が他の流路へ送られることなく廃液貯留部へ送られる。
【0133】
(発明5):発明4に記載の液供給装置において、前記逆止弁は、前記洗浄液排出路内の圧力が所定の圧力を超えると、前記液供給路から前記廃液貯留部へ向かう方向に洗浄液を流す構造を有するリリーフ弁であることを特徴とする。
【0134】
かかる態様によれば、液供給路と連通する洗浄液排出路内の圧力が一定圧力を超えたときに洗浄液排出路を開放させるので、計測装置の接液部に流れる洗浄液の流速を一時的に上げることができ、洗浄効果をより向上させることが可能となる。
【0135】
(発明6):発明1から5のいずれか1項に記載の液供給装置において、前記液供給路加圧手段は、前記液供給路と前記洗浄液供給路が連通される位置よりも前記計測装置側に配設されるとともに、前記洗浄液供給路加圧手段と兼用されることを特徴とする。
【0136】
かかる態様によれば、当該液供給装置の構成が簡略化される。
【0137】
(発明7):発明1から6のいずれかに記載の液供給装置において、前記洗浄液供給路に設けられ、前記洗浄液供給路の開閉を切り換える洗浄液供給路開閉手段と、前記液供給路の前記供給液貯留部と前記液供給路加圧手段との間に設けられ、前記液供給路の開閉を切り換える液供給路開閉手段と、前記計測装置の接液部へ洗浄液が供給されるときは、前記洗浄液供給路開閉手段が開かれるとともに前記液供給路開閉手段が閉じられるように、前記液供給路開閉手段及び前記洗浄液供給路開閉手段の動作を制御する開閉制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0138】
かかる態様によれば、洗浄液が液供給路と連通する他の流路に送られることなく、確実に計測装置の接液部へ送られる。
【0139】
(発明8):発明1から7のいずれかに記載の液供給装置において、前記洗浄液は、前記供給液を希釈させる希釈液と兼用されることを特徴する。
【0140】
かかる態様によれば、洗浄液と希釈液が兼用されることで、装置構成を簡略することが可能となる。
【0141】
かかる態様における洗浄液(希釈液)の一例として、供給液の溶媒、純水などが挙げられる。
【0142】
(発明9):発明8に記載の液供給装置において、前記供給液を希釈させる希釈液が貯留される希釈液貯留部と、前記希釈液貯留部及び前記液供給路と連通する希釈液供給路と、前記希釈液供給路に設けられ、前記希釈液供給路を開閉させる希釈液供給路開閉手段と、を備え、前記開閉制御手段は、前記洗浄液供給路開閉手段が開かれて前記計測装置の接液部へ前記供給液貯留部を介さずに洗浄液が供給された後に、前記洗浄液供給路が閉じられるとともに前記希釈液供給路開閉手段が開かれて、前記計測装置の接液部へ希釈液が供給されるように、前記洗浄液供給路開閉手段及び前記希釈液供給路開閉手段の動作を制御することを特徴とする。
【0143】
かかる態様によれば、供給液を希釈させる希釈液を計測装置の接液部の洗浄液として確実に供給しうる。
【0144】
(発明10):発明1から9のいずれかに記載の液供給装置において、前記供給先から前記供給液貯留部へ供給液を循環させる循環路と、前記循環路に設けられ、前記循環路内の液を加圧する循環路加圧手段と、を備え、前記加圧制御手段は、前記循環路内の液の流速が前記液供給路内の液の流速を超えるように前記液供給路加圧手段及び前記循環路加圧手段の動作を制御することを特徴とする。
【0145】
かかる態様の一例として、吐出量(回転数)を可変させることができるポンプが挙げられる。
【0146】
(発明11):発明1から10のいずれかに記載の液供給装置において、前記計測装置は、前記液供給路内の供給液の濃度を検知する濃度計であることを特徴とする。
【0147】
かかる態様における濃度計として、接液部に光線を照射する光源と、光源から照射されて接液部により反射された光を受光する受光素子と、を備える形態が挙げられる。また、光源と受光素子との間に集光レンズやプリズムなどが含まれる光学系が具備される態様が好ましい。
【0148】
(発明12):請求項1から11のいずれかに記載の液供給装置において、前記液供給路は、前記計測装置の接液面に液を送る入路と、前記計測装置の接液面から液が送られる出路と、を備え、前記計測装置の接液面と前記入路とは30度以上90度以下の角度をなし、前記計測装置の接液面と前記出路とは30度以上90度以下の角度をなす構造を有することを特徴とする。
【0149】
かかる態様によれば、計測装置の接液面に対して30度以上90度以下の角度で供給液が当たるので、より高い洗浄効果を得ることが可能となる。
【0150】
かかる態様における接液面と供給液の流れの角度は、45度以上90度以下とすると、より高い洗浄効果が期待できる。
【0151】
(発明13):媒体へ塗布液を塗布する塗布部と、前記塗布部へ供給される塗布液が貯留される塗布液貯留部と、前記塗布部及び前記塗布液貯留部と連通される液供給路と、前記液供給路に設けられ、前記液供給路内の塗布液の物性を計測する計測装置と、前記液供給路内の液を加圧する液供給路加圧手段と、前記計測装置の前記液供給路内の液と接触する接液部の洗浄に用いられる洗浄液が貯留される洗浄液貯留部と、前記洗浄液貯留部及び前記液供給路と連通され、前記洗浄液貯留部から前記計測装置の接液部に対して前記供給液貯留部を介さずに洗浄液を直接供給する洗浄液供給路と、前記洗浄液供給路内の洗浄液を加圧する洗浄液供給路加圧手段と、前記計測装置の接液部に洗浄液が供給されるときは、前記供給液貯留部から前記供給先へ供給液が供給されるときよりも前記液供給路内の液の流速を上げるように、前記液供給路加圧手段及び前記洗浄液供給路加圧手段のうち少なくともいずれか一方の動作を制御する加圧制御手段と、を備えたことを特徴とする塗布装置。
【0152】
本発明に係る塗布装置は、インクジェット記録装置における、記録媒体に所定の処理液(コーティング液)を塗布する処理液塗布処理部に適用可能である。
【0153】
所定の処理液の一例として、インクと反応して、インクに含有される色材を凝集(又は不溶化)させる酸性液が挙げられる。
【0154】
(発明14):供給先へ供給される供給液が貯留される供給液貯留部から、前記供給先及び前記供給液貯留部と連通する液供給路を介して前記供給先へ供給液を供給する液供給装置において、前記液供給路に設けられ、前記液供給路内の供給液の物性を計測する計測装置の前記液供給路内の液と接触する接液部へ洗浄液が前記供給液貯留部を介さずに直接供給され、前記計測装置の接液部に洗浄液が供給されるときは、前記供給液貯留部から前記供給先へ供給液が供給されるときよりも前記液供給路内の液の流速を上げることを特徴とする計測装置洗浄方法。
【0155】
液供給路へ洗浄液が供給されるときは、液貯留部と液供給路が閉じられるように構成すると、洗浄液が液貯留部へ送られることが防止される。
【0156】
液供給路へ洗浄液が供給されると、液供給路の液の流れが所定間隔で切り換えられるように構成すると、より高い洗浄効果が得られる。
【0157】
液供給路へ洗浄液が供給されると、液供給路の液の流れを逆転させるとともに、液供給路内の圧力を一時的に高めた後に当該圧力を開放させることで、より高い洗浄効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0158】
10,10’,10”…液供給装置、12…塗布部、30…塗布装置、32…バッファタンク、34…塗布液供給路、36…バッファタンク供給バルブ、38…濃度計、40,40’…供給ポンプ、42…ヒータ、50…希釈液タンク、52…希釈液供給路、60…バイパス流路、62…希釈液供給バルブ、70…循環流路、74…収容部回収バルブ、78…回収ポンプ、82…廃液流路、84…廃液タンク、86…廃液バルブ、90…希釈液排出流路、93…洗浄液供給流路、94…洗浄液供給バルブ、95…洗浄液タンク、100…システム制御部、102…ポンプ制御部、104…バルブ制御部、106…ヒータ制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給先へ供給される供給液が貯留される供給液貯留部と、
前記供給先と前記供給液貯留部とを連通させる液供給路と、
前記液供給路に設けられ、前記液供給路内の供給液の物性を計測する計測装置と、
前記液供給路内の液を加圧する液供給路加圧手段と、
前記計測装置の前記液供給路内の液と接触する接液部の洗浄に用いられる洗浄液が貯留される洗浄液貯留部と、
前記洗浄液貯留部及び前記液供給路と連通され、前記洗浄液貯留部から前記計測装置の接液部に対して前記供給液貯留部を介さずに洗浄液を直接供給する洗浄液供給路と、
前記洗浄液供給路内の洗浄液を加圧する洗浄液供給路加圧手段と、
前記計測装置の接液部に洗浄液が供給されるときは、前記供給液貯留部から前記供給先へ供給液が供給されるときよりも前記液供給路内の液の流速を上げるように、前記液供給路加圧手段及び前記洗浄液供給路加圧手段のうち少なくともいずれか一方の動作を制御する加圧制御手段と、
を備えたことを特徴とする液供給装置。
【請求項2】
前記液供給路加圧手段は、前記液供給路における液の流れ方向を切り換え可能に構成され、
前記加圧制御手段は、前記計測装置の接液部へ洗浄液が供給されると、前記液供給路における液の流れ方向が所定時間間隔で切り換えられるように前記液供給路加圧手段の動作を制御することを特徴とする請求項1に記載の液供給装置。
【請求項3】
前記計測装置の接液部へ供給される洗浄液の温度が前記供給先へ供給される供給液の温度よりも高くなるように、前記洗浄液の温度を調整する温度調整手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の液供給装置。
【請求項4】
前記液供給路と連通し、前記計測装置の接液部へ供給された洗浄液を廃液貯留部へ排出させる洗浄液排出路と、
前記洗浄液排出路に設けられ、前記液供給路から前記廃液貯留部へ向かう方向に洗浄液を流す構造を有する逆止弁と、
を備えたことを特徴とする請求項2又は3に記載の液供給装置。
【請求項5】
前記逆止弁は、前記洗浄液排出路内の圧力が所定の圧力を超えると、前記液供給路から前記廃液貯留部へ向かう方向に洗浄液を流す構造を有するリリーフ弁であることを特徴とする請求項4に記載の液供給装置。
【請求項6】
前記液供給路加圧手段は、前記液供給路と前記洗浄液供給路が連通される位置よりも前記計測装置側に配設されるとともに、前記洗浄液供給路加圧手段と兼用されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の液供給装置。
【請求項7】
前記洗浄液供給路に設けられ、前記洗浄液供給路の開閉を切り換える洗浄液供給路開閉手段と、
前記液供給路の前記供給液貯留部と前記液供給路加圧手段との間に設けられ、前記液供給路の開閉を切り換える液供給路開閉手段と、
前記計測装置の接液部へ洗浄液が供給されるときは、前記洗浄液供給路開閉手段が開かれるとともに前記液供給路開閉手段が閉じられるように、前記液供給路開閉手段及び前記洗浄液供給路開閉手段の動作を制御する開閉制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の液供給装置。
【請求項8】
前記洗浄液は、前記供給液を希釈させる希釈液と兼用されることを特徴する請求項1から7のいずれか1項に記載の液供給装置。
【請求項9】
前記供給液を希釈させる希釈液が貯留される希釈液貯留部と、
前記希釈液貯留部及び前記液供給路と連通する希釈液供給路と、
前記希釈液供給路に設けられ、前記希釈液供給路を開閉させる希釈液供給路開閉手段と、
を備え、
前記開閉制御手段は、前記洗浄液供給路開閉手段が開かれて前記計測装置の接液部へ前記供給液貯留部を介さずに洗浄液が供給された後に、前記洗浄液供給路が閉じられるとともに前記希釈液供給路開閉手段が開かれて、前記計測装置の接液部へ希釈液が供給されるように、前記洗浄液供給路開閉手段及び前記希釈液供給路開閉手段の動作を制御することを特徴とする請求項8に記載の液供給装置。
【請求項10】
前記供給先から前記供給液貯留部へ供給液を循環させる循環路と、
前記循環路に設けられ、前記循環路内の液を加圧する循環路加圧手段と、
を備え、
前記加圧制御手段は、前記循環路内の液の流速が前記液供給路内の液の流速を超えるように前記液供給路加圧手段及び前記循環路加圧手段の動作を制御することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の液供給装置。
【請求項11】
前記計測装置は、前記液供給路内の供給液の濃度を検知する濃度計であることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の液供給装置。
【請求項12】
前記液供給路は、前記計測装置の接液面に液を送る入路と、
前記計測装置の接液面から液が送られる出路と、
を備え、
前記計測装置の接液面と前記入路とは30度以上90度以下の角度をなし、前記計測装置の接液面と前記出路とは30度以上90度以下の角度をなす構造を有することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の液供給装置。
【請求項13】
媒体へ塗布液を塗布する塗布部と、
前記塗布部へ供給される塗布液が貯留される塗布液貯留部と、
前記塗布部及び前記塗布液貯留部と連通される液供給路と、
前記液供給路に設けられ、前記液供給路内の塗布液の物性を計測する計測装置と、
前記液供給路内の液を加圧する液供給路加圧手段と、
前記計測装置の前記液供給路内の液と接触する接液部の洗浄に用いられる洗浄液が貯留される洗浄液貯留部と、
前記洗浄液貯留部及び前記液供給路と連通され、前記洗浄液貯留部から前記計測装置の接液部に対して前記供給液貯留部を介さずに洗浄液を直接供給する洗浄液供給路と、
前記洗浄液供給路内の洗浄液を加圧する洗浄液供給路加圧手段と、
前記計測装置の接液部に洗浄液が供給されるときは、前記供給液貯留部から前記供給先へ供給液が供給されるときよりも前記液供給路内の液の流速を上げるように、前記液供給路加圧手段及び前記洗浄液供給路加圧手段のうち少なくともいずれか一方の動作を制御する加圧制御手段と、
を備えたことを特徴とする塗布装置。
【請求項14】
供給先へ供給される供給液が貯留される供給液貯留部から、前記供給先及び前記供給液貯留部と連通する液供給路を介して前記供給先へ供給液を供給する液供給装置において、
前記液供給路に設けられ、前記液供給路内の供給液の物性を計測する計測装置の前記液供給路内の液と接触する接液部へ洗浄液が前記供給液貯留部を介さずに直接供給され、
前記計測装置の接液部に洗浄液が供給されるときは、前記供給液貯留部から前記供給先へ供給液が供給されるときよりも前記液供給路内の液の流速を上げることを特徴とする計測装置洗浄方法。
【請求項1】
供給先へ供給される供給液が貯留される供給液貯留部と、
前記供給先と前記供給液貯留部とを連通させる液供給路と、
前記液供給路に設けられ、前記液供給路内の供給液の物性を計測する計測装置と、
前記液供給路内の液を加圧する液供給路加圧手段と、
前記計測装置の前記液供給路内の液と接触する接液部の洗浄に用いられる洗浄液が貯留される洗浄液貯留部と、
前記洗浄液貯留部及び前記液供給路と連通され、前記洗浄液貯留部から前記計測装置の接液部に対して前記供給液貯留部を介さずに洗浄液を直接供給する洗浄液供給路と、
前記洗浄液供給路内の洗浄液を加圧する洗浄液供給路加圧手段と、
前記計測装置の接液部に洗浄液が供給されるときは、前記供給液貯留部から前記供給先へ供給液が供給されるときよりも前記液供給路内の液の流速を上げるように、前記液供給路加圧手段及び前記洗浄液供給路加圧手段のうち少なくともいずれか一方の動作を制御する加圧制御手段と、
を備えたことを特徴とする液供給装置。
【請求項2】
前記液供給路加圧手段は、前記液供給路における液の流れ方向を切り換え可能に構成され、
前記加圧制御手段は、前記計測装置の接液部へ洗浄液が供給されると、前記液供給路における液の流れ方向が所定時間間隔で切り換えられるように前記液供給路加圧手段の動作を制御することを特徴とする請求項1に記載の液供給装置。
【請求項3】
前記計測装置の接液部へ供給される洗浄液の温度が前記供給先へ供給される供給液の温度よりも高くなるように、前記洗浄液の温度を調整する温度調整手段を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の液供給装置。
【請求項4】
前記液供給路と連通し、前記計測装置の接液部へ供給された洗浄液を廃液貯留部へ排出させる洗浄液排出路と、
前記洗浄液排出路に設けられ、前記液供給路から前記廃液貯留部へ向かう方向に洗浄液を流す構造を有する逆止弁と、
を備えたことを特徴とする請求項2又は3に記載の液供給装置。
【請求項5】
前記逆止弁は、前記洗浄液排出路内の圧力が所定の圧力を超えると、前記液供給路から前記廃液貯留部へ向かう方向に洗浄液を流す構造を有するリリーフ弁であることを特徴とする請求項4に記載の液供給装置。
【請求項6】
前記液供給路加圧手段は、前記液供給路と前記洗浄液供給路が連通される位置よりも前記計測装置側に配設されるとともに、前記洗浄液供給路加圧手段と兼用されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の液供給装置。
【請求項7】
前記洗浄液供給路に設けられ、前記洗浄液供給路の開閉を切り換える洗浄液供給路開閉手段と、
前記液供給路の前記供給液貯留部と前記液供給路加圧手段との間に設けられ、前記液供給路の開閉を切り換える液供給路開閉手段と、
前記計測装置の接液部へ洗浄液が供給されるときは、前記洗浄液供給路開閉手段が開かれるとともに前記液供給路開閉手段が閉じられるように、前記液供給路開閉手段及び前記洗浄液供給路開閉手段の動作を制御する開閉制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の液供給装置。
【請求項8】
前記洗浄液は、前記供給液を希釈させる希釈液と兼用されることを特徴する請求項1から7のいずれか1項に記載の液供給装置。
【請求項9】
前記供給液を希釈させる希釈液が貯留される希釈液貯留部と、
前記希釈液貯留部及び前記液供給路と連通する希釈液供給路と、
前記希釈液供給路に設けられ、前記希釈液供給路を開閉させる希釈液供給路開閉手段と、
を備え、
前記開閉制御手段は、前記洗浄液供給路開閉手段が開かれて前記計測装置の接液部へ前記供給液貯留部を介さずに洗浄液が供給された後に、前記洗浄液供給路が閉じられるとともに前記希釈液供給路開閉手段が開かれて、前記計測装置の接液部へ希釈液が供給されるように、前記洗浄液供給路開閉手段及び前記希釈液供給路開閉手段の動作を制御することを特徴とする請求項8に記載の液供給装置。
【請求項10】
前記供給先から前記供給液貯留部へ供給液を循環させる循環路と、
前記循環路に設けられ、前記循環路内の液を加圧する循環路加圧手段と、
を備え、
前記加圧制御手段は、前記循環路内の液の流速が前記液供給路内の液の流速を超えるように前記液供給路加圧手段及び前記循環路加圧手段の動作を制御することを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の液供給装置。
【請求項11】
前記計測装置は、前記液供給路内の供給液の濃度を検知する濃度計であることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の液供給装置。
【請求項12】
前記液供給路は、前記計測装置の接液面に液を送る入路と、
前記計測装置の接液面から液が送られる出路と、
を備え、
前記計測装置の接液面と前記入路とは30度以上90度以下の角度をなし、前記計測装置の接液面と前記出路とは30度以上90度以下の角度をなす構造を有することを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の液供給装置。
【請求項13】
媒体へ塗布液を塗布する塗布部と、
前記塗布部へ供給される塗布液が貯留される塗布液貯留部と、
前記塗布部及び前記塗布液貯留部と連通される液供給路と、
前記液供給路に設けられ、前記液供給路内の塗布液の物性を計測する計測装置と、
前記液供給路内の液を加圧する液供給路加圧手段と、
前記計測装置の前記液供給路内の液と接触する接液部の洗浄に用いられる洗浄液が貯留される洗浄液貯留部と、
前記洗浄液貯留部及び前記液供給路と連通され、前記洗浄液貯留部から前記計測装置の接液部に対して前記供給液貯留部を介さずに洗浄液を直接供給する洗浄液供給路と、
前記洗浄液供給路内の洗浄液を加圧する洗浄液供給路加圧手段と、
前記計測装置の接液部に洗浄液が供給されるときは、前記供給液貯留部から前記供給先へ供給液が供給されるときよりも前記液供給路内の液の流速を上げるように、前記液供給路加圧手段及び前記洗浄液供給路加圧手段のうち少なくともいずれか一方の動作を制御する加圧制御手段と、
を備えたことを特徴とする塗布装置。
【請求項14】
供給先へ供給される供給液が貯留される供給液貯留部から、前記供給先及び前記供給液貯留部と連通する液供給路を介して前記供給先へ供給液を供給する液供給装置において、
前記液供給路に設けられ、前記液供給路内の供給液の物性を計測する計測装置の前記液供給路内の液と接触する接液部へ洗浄液が前記供給液貯留部を介さずに直接供給され、
前記計測装置の接液部に洗浄液が供給されるときは、前記供給液貯留部から前記供給先へ供給液が供給されるときよりも前記液供給路内の液の流速を上げることを特徴とする計測装置洗浄方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−125724(P2012−125724A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280745(P2010−280745)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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