説明

液化ガス充填装置の殺菌方法

【課題】高温ガスによる液化ガス充填装置の殺菌について、液化ガス除菌フィルターを含む装置の内部全体を短時間で効率良く加熱・冷却できるようにする。
【解決手段】殺菌用や冷却用として無菌化されたガスを供給する無菌ガス供給管路11を、液化ガス除菌フィルター10と貯留タンク2の間で液化ガス供給管路6に接続させて、無菌ガス供給管路11から液化ガス供給管路6を介して供給するガスを、液化ガス除菌フィルター10の側と貯留タンク2の側との2系統に分けて供給することで、液化ガス除菌フィルター10内に高温ガスや低温ガスを供給すると共に、貯留タンク2内への高温ガスや低温ガスの供給を、液化ガス除菌フィルター10を通すことなく行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物が充填された容器のヘッドスペースに更に液化ガスを充填するための液化ガス充填装置に関し、特に、液化ガス供給源から液化ガスを装置の貯留タンク内に供給するための液化ガス供給管路の途中に液化ガス除菌フィルターを設けた液化ガス充填装置について、液化ガス除菌フィルターや各管路を含む装置の内部を高温ガスにより効率的に殺菌するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
DI缶のような薄肉の胴壁を持つ缶体に非炭酸飲料を充填して密封する際に、飲料を充填した缶内の液面上に、液体窒素のような不活性ガスの低温液化ガスを少量充填してから、缶の開口部に缶蓋を巻締めして密封するということが従来から行われており、また、そのような液化ガスの充填装置について、充填する液化ガスの無菌化を図るために、装置の内部を予め充分に殺菌しておくということが従来から提案されている。
【0003】
すなわち、そのような液化ガス充填装置の殺菌方法について、下記の特許文献1には、液化ガス除菌フィルターを通して、殺菌用の蒸気を装置内に流入させて装置内を殺菌してから、冷却乾燥用の気体(窒素ガス)を流入させて装置内を乾燥させるということが開示されており、また、下記の特許文献2には、液化ガス除菌フィルターを通して、装置内に高温ガスを流入させて装置内を殺菌するか、或いは、高温ガスに代えて蒸気殺菌してから乾燥ガスで装置内の水分を除去するということが開示されている。
【0004】
さらに、下記の特許文献3には、液化ガス充填装置の内部を高温ガスにより殺菌するための方法として、タンクとダクトとノズルのそれぞれに対して、それぞれ個別の除菌フィルターを介して、それぞれ個別に高温ガス(加熱エアー)を流入させると共に、ノズル内に流入させた高温ガスの排気によりノズルの開口部を覆うことでノズル内への外気の流入を阻止しながら、タンク内に流入させた高温ガスをノズルを通して排気させ、また、ダクト内に流入させた高温ガスをダクトの末端付近に接続された配管から排気させるということが開示されている。
【特許文献1】特開平11−43111号公報
【特許文献2】特開2000−185710号公報
【特許文献3】特開2007−145364号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、液化ガス充填装置の内部を加熱殺菌する場合、加熱殺菌を短時間で確実に実施するという観点からは、殺菌媒体として蒸気を使用するのが良いものの、装置内に水分が残留した場合には、装置内に液化ガスを供給した際に、残留した水分が氷結してノズルを詰まらせる等のトラブルが発生する虞があることから、殺菌処理後には、装置内に乾燥した気体を通して充分に乾燥させる必要がある(当然のことながら、乾燥用の気体は無菌化しておく必要がある)。
【0006】
また、蒸気を100℃を超える温度に維持するためには、常に加圧状態を維持する必要があるために、蒸気の通路の密閉度を高くすると共に、蒸気供給管を耐圧構造にする必要があり、また、装置のタンク内に高温の蒸気を導入する際に、該タンク内の充填ノズルや排気口等の部分を完全に閉鎖した状態で蒸気を導入しなければならない(耐圧密閉性を要求される)ため、装置のタンクや配管設備が割高になり、しかも排出した蒸気の取り扱いが面倒になる(接触した金属等の表面に結露し易い)という問題がある。
【0007】
これに対して、高温ガスを使用する場合には、蒸気を使用する場合に比べて、加熱媒体であるガスの温度を高くする必要があり、また、殺菌時間を比較的長くする必要がある(例えば、ガスの温度を140℃にした場合には、高温ガスを流し続ける時間が90分間必要となる)ものの、高圧状態を維持する必要がないため、高温ガス供給管を耐圧管にする必要がなく、また、水分を含まないことで、取り扱いが比較的容易となり、装置内(管路内やタンク内)で蒸気の水分が残留して氷結するような虞がないというメリットがある。
【0008】
そこで、液化ガス充填装置の内部を高温ガスにより殺菌しようとした場合、例えば、上記の特許文献2に記載された発明では、最も大型で熱容量が大きい貯留タンク(ノズル組立体を含む)の内部に、液化ガス除菌フィルターを通して高温ガスを流入させているが、そのような場合には、貯留タンク内への高温ガスの流入量が、ガス通過可能量(単位時間当たりのフィルター通過量)が少ない液化ガス除菌フィルターによって制限されることとなり、貯留タンク内に高温ガスを迅速に導入させ難いことから、加熱殺菌時間の短縮化を図ることが困難であるという問題がある。
【0009】
また、上記の特許文献2には、装置内(貯留タンク内や充填用ノズル内面等)を高温ガスで殺菌した後で、直ちに液化ガスを供給するように解釈されるような記載も見られるが、本発明者等の数多くの実験によると、まだ高温状態にある装置内(管路内や液化ガス除菌フィルター内や貯留タンク内)に、極低温の液化ガス(例えば、沸点が約−196℃の液体窒素)を供給すると、液化ガスが瞬時に気化して体積を膨張させ、その気化ガスの圧力により液化ガス供給管路や液化ガス貯留タンクを膨出変形させる虞があり、また、そのような急激な温度変化を繰り返し与えると、液化ガス除菌フィルター又はそのシール材を破損させる(その結果、液化ガスの漏洩が発生して除菌が不充分となる)こともあることが判明している。
【0010】
したがって、上記の特許文献2に記載されたように140℃〜220℃の温度範囲の高温ガスにより液化ガス充填装置を加熱殺菌した後では、装置内を充分に冷却してから液化ガスを導入する必要があり、その場合、自然冷却では数時間〜十数時間にわたって装置を放置する必要があるため、加熱殺菌した後に早期に液化ガスを導入して容器詰製品の製造を開始するには、加熱殺菌した後で液化ガスを供給する前に、無菌化された低温ガスを装置内に流して、速やかに装置内の温度を充分に(50℃以下、好ましくは30℃以下に)冷却しておくことが必要となる。
【0011】
そのような低温ガスによる装置内の冷却について、液化ガス供給源から貯留タンク内に液化ガスを供給するための液化ガス供給管路の途中に液化ガス除菌フィルターを設けた装置において実施する場合、仮に上記の特許文献2に記載された発明で実施したとすれば、殺菌用の高温ガスの場合と同様に、液化ガス供給管路から液化ガス除菌フィルターを通して貯留タンク内に低温ガスを供給することになるものと思われるが、そのような場合には、高温ガスによる殺菌の場合と同様に、貯留タンク内への低温ガスの流入量が液化ガス除菌フィルターにより制限されて、貯留タンク内に低温ガスを迅速に導入させ難いことで、冷却時間の短縮化を行なうことが困難である(必要な冷却時間が、高温ガスによる殺菌時間と同じ乃至その約半分の時間になる)という問題がある。
【0012】
これに対して、上記の特許文献3には、高温ガスによる液化ガス充填装置の内部全体の加熱殺菌時間を短縮するために、貯留タンク内と、充填ノズル部外面と、排気管路内とに、別々の経路から除菌された加熱エアー(無菌化された高温ガス)を導入すること、および、加熱エアーにより殺菌処理した後で、それぞれの経路から冷却用エアー(無菌化された低温ガス)を導入して装置内を冷却するということが記載されている。
【0013】
そのような加熱殺菌方法によれば、上記の特許文献2に記載されたものと比べて、加熱殺菌時間やその後の冷却時間の短縮化を図ることができて、容器詰製品の製造を速やかに開始できるいう点で優れているが、そのような加熱殺菌方法においても、貯留タンク内や充填ノズル部内面側への高温ガス(加熱エアー)の供給については、上記の特許文献2に記載されたものと同様に、何れも液化ガス除菌用フィルターを通して供給していることから、最も加熱殺菌や冷却に時間を要する大容量の貯留タンク内部の加熱殺菌時間や冷却時間の短縮化という点では未だ改良の余地があるものと思われる。
【0014】
本発明は、上記のような問題の解消を課題とするものであり、具体的には、高温ガスによる液化ガス充填装置の殺菌について、液化ガス除菌フィルターを含む装置の内部全体を短時間で効率良く加熱・冷却できるようにすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、上記のような課題を解決するために、液化ガスを貯留するための貯留タンクに対し、液化ガス供給源から液化ガスを該タンク内に供給するための液化ガス供給管路が、該管路の途中に液化ガス除菌フィルターを設けた状態で、該タンクの上部側に接続され、該タンク内で液化ガスから気化したガスを排出するための気化ガス排気管路が、該タンクの上部側に接続され、該タンク内に貯留された液化ガスを流出させるための充填用ノズルが、該タンクの底部側に連設されている液化ガス充填装置について、該装置の内部を加熱殺菌してから冷却するために、
殺菌・冷却用として無菌化されたガスを供給する無菌ガス供給管路を、液化ガス供給管路の液化ガス除菌フィルターよりも下流側に接続し、この接続部よりも下流側で液化ガス供給管路に開閉バルブを設けると共に、殺菌・冷却に使用したガスを排出するガス排出管路を、液化ガス供給管路の液化ガス除菌フィルターよりも上流側に接続し、この接続部よりも上流側の液化ガス供給管路とガス排出管路とにそれぞれ開閉バルブを設けて、
それらの開閉バルブの開閉を適宜に切り換えることで、液化ガス除菌フィルターへの液化ガスの供給を停止した状態として、無菌ガス供給管路から液化ガス供給管路に無菌化された高温ガスを所定時間だけ供給することにより、
フィルター殺菌処理系統として、液化ガス供給管路の無菌ガス供給管路との接続部よりも上流側では、液化ガス除菌フィルター内に高温ガスを供給して、ガス排出管路から高温ガスを排出させ、また、タンク殺菌処理系統として、液化ガス供給管路の無菌ガス供給管路との接続部よりも下流側では、充填用ノズルを開放した状態で貯留タンク内に高温ガスを供給して、充填用ノズルと気化ガス排気管路から高温ガスを排出させ、それら2つの系統の殺菌処理の何れか一方を先に行ない他方を後で行なうことで、装置内の高温ガスが通過した箇所を殺菌した後、
少なくとも液化ガス供給管路の無菌ガス供給管路との接続部よりも下流側に対して、無菌ガス供給管路から無菌化された低温ガスを液化ガス供給管路に所定時間だけ供給することにより、該下流側の装置内で低温ガスが通過した箇所を冷却するようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
上記のような本発明の液化ガス充填装置の殺菌方法によれば、無菌ガス供給管路から液化ガス供給管路を介して装置内に供給する殺菌用の高温ガスを、液化ガス除菌フィルターの側と貯留タンクの側とに分けて供給していることから、適量の高温ガスにより短時間で液化ガス除菌フィルター内を殺菌できると共に、液化ガス除菌フィルターを通すことなく貯留タンクに高温ガスを供給していることで、液化ガス除菌フィルターにより流量を制限されることなく、大容量の貯留タンク内に短時間で充分な量の高温ガスを供給することができて、殺菌時間の短縮化を図ることができる。
【0017】
また、殺菌用の高温ガスにより装置内を加熱殺菌した後では、無菌ガス供給管路から液化ガス供給管路を介して装置内に供給する冷却用の低温ガスを、少なくとも液化ガス供給管路の無菌ガス供給管路との接続部よりも下流側に対して供給していることから、液化ガス除菌フィルターにより流量を制限されることなく、大容量の貯留タンク内に短時間で充分な量の低温ガスを供給することができて、冷却時間の短縮化を図ることができる。
【0018】
そのように、短時間で装置内を充分に殺菌することができ、また、短時間で装置内を充分に冷却できることから、液化ガス充填装置を使用した容器詰製品の製造を開始する際に、加熱殺菌による残熱で装置内に導入した液化ガスを無駄に気化させるようなことなく、製造(製造ラインの稼動)を早期に開始することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
高温ガスによる液化ガス充填装置の殺菌について、液化ガス除菌フィルターを含む装置の内部全体を短時間で効率良く加熱・冷却できるようにするという目的を、最良の形態として以下の実施例に具体的に示すように、
殺菌・冷却用として無菌化されたガスを供給する無菌ガス供給管路を、液化ガス供給管路の液化ガス除菌フィルターよりも下流側に接続し、この接続部よりも下流側で液化ガス供給管路に開閉バルブを設けると共に、殺菌・冷却に使用したガスを排出するガス排出管路を、液化ガス供給管路の液化ガス除菌フィルターよりも上流側に接続し、この接続部よりも上流側の液化ガス供給管路とガス排出管路とにそれぞれ開閉バルブを設けて、
それらの開閉バルブの開閉を適宜に切り換えることで、液化ガス除菌フィルターへの液化ガスの供給を停止した状態として、無菌ガス供給管路から液化ガス供給管路に無菌化された高温ガスを所定時間だけ供給することにより、
フィルター殺菌処理系統として、液化ガス供給管路の無菌ガス供給管路との接続部よりも上流側では、液化ガス除菌フィルター内に高温ガスを供給して、ガス排出管路から高温ガスを排出させ、また、タンク殺菌処理系統として、液化ガス供給管路の無菌ガス供給管路との接続部よりも下流側では、充填用ノズルを開放した状態で貯留タンク内に高温ガスを供給して、充填用ノズルと気化ガス排気管路から高温ガスを排出させ、それら2つの系統の殺菌処理の何れか一方を先に行ない他方を後で行なうことで、装置内の高温ガスが通過した箇所を殺菌した後、
少なくとも液化ガス供給管路の無菌ガス供給管路との接続部よりも下流側に対して、無菌ガス供給管路から無菌化された低温ガスを液化ガス供給管路に所定時間だけ供給することにより、該下流側の装置内で低温ガスが通過した箇所を冷却する、ということで実現した。
【実施例】
【0020】
本発明の方法を実施するための装置の一例について以下に説明すると、図1に示すように、液化ガス充填装置1では、液化ガス(液体窒素等)を貯留するための貯留タンク2に対して、その底部に、該タンク2内に貯留された液化ガスを流出させるための充填用ノズル3が連設されている。充填用ノズル3は、図示したような貯留タンク2の底部に直接設るようなものに限らず、貯留タンク2の底部付近から下方に延びる液化ガス管路の先端に連結するようなものであっても良い。貯留タンク2では、該タンク2の具体的な構造は図示していないが、その大部分が断熱二重壁構造となっていて、この二重壁の間を真空状態とするために、図示していない真空ポンプから延びるバキューム管4が貯留タンク2の側部に接続されている。
【0021】
また、貯留タンク2の上部には、該タンク2内で液化ガスから気化したガスを排出するための気化ガス排気管路5と、該タンク2内に液化ガス供給源からの液化ガスを供給するための液化ガス供給管路6とがそれぞれ接続されている。貯留タンク2の内部には、液化ガス供給管路6が接続される部分に、供給された液化ガスの液面への落下衝撃を緩和させるための緩衝箱7が設けられており、貯留タンク2内で液化ガスから気化したガスを排出するための気化ガス排気管路5は、この緩衝箱7内に連通する一本の管路5(a)と、貯留タンク2内に直接連通する一本の管路5(b)とを合流させてから、開閉弁A1を設けた状態で、下方に向けて延ばされている。なお、図示していないが、気化ガス排気管路5(a,b)の外面側には、この管路5(a,b)の内部に高温ガスを通して加熱殺菌する際の加熱補助として、例えば、細管ヒーターを巻き付けておくことが好ましい。
【0022】
この気化ガス排気管路5には、気化ガス排気管路5の開閉弁A1よりも下流側(開放端側)に、無菌ガス供給管路8が接続されており、この無菌ガス供給管路8から供給される無菌の不活性ガス(窒素ガス)により、気化ガス排気管路5の開閉弁A1から開放端(出口)側に向かうガスの流れを作ることで、気化ガス排気管路5の開閉弁A1を開いた状態でも、開放端側から外気が気化ガス排気管路5内に侵入するのを防止するようにしている。
【0023】
また、気化ガス排気管路5には、該管路5に設けた開閉弁A1を迂回するように、開閉弁A2を備えたバイパス排気管路15が接続されており、それによって、貯留タンク2内に供給された殺菌用の高温ガスを気化ガス排気管路5から排出する際に、比較的太い気化ガス排気管路5の開閉弁A1を閉じ、比較的細いバイパス排気管路15の開閉弁A2を開けて、細いバイパス排気管路15に高温ガスを通すことで、貯留タンク2内に供給された高温ガスの気化ガス排気管路5を通る流量を絞ることにより、貯留タンク2内に供給された高温ガスの大部分が下方に進行して充填ノズル3を通って排出されるようにして、貯留タンク2の内部と充填ノズル3の内面側を効果的に加熱殺菌できるようにしている。
【0024】
さらに、貯留タンク2の底部に設けられた充填用ノズル3では、該ノズル3の具体的な構造は図示していないが、吐出ノズルの外側をノズルカバーで覆った構造(吐出ノズルの外面とノズルカバーの内面とは1〜3mm程度の間隔を隔てており、ノズルカバーの底部側には開口部が設けられている)となっていて、この吐出ノズルの外面側とノズルカバーの内面側とを加熱殺菌するために、吐出ノズルとノズルカバーとの間に、ヒーターにより140℃以上の温度に加熱された高温の無菌気体(無菌空気又は無菌不活性ガス)を吹き込んでおり、そのような無菌気体を供給するためのヒーターとフィルターを備えた無菌エアー供給管路9が、充填用ノズル3の部分(具体的にはノズルカバーの内面側)に接続されている。
【0025】
この無菌エアー供給管路9については、液化ガス充填装置1の全体を殺菌処理した後で、充填用ノズル3から液化ガスを容器内に充填している容器詰製品の製造時において、無菌エアー供給管路9からの無菌気体を30〜50℃(好ましくは20〜40℃)の範囲の温度の乾燥した状態で弱い圧力により吹き込むことで、ノズル3の下方を通過する容器付近から上昇する水分を含む空気がノズル3に到達するのを防止し、それによって、水分を含む空気がノズル3の吐出部の表面で凍結して霜を形成し、それが次第に成長してノズル孔を狭くすることで、液化ガスの流下(滴下)量が減少して、容器内に所定量の液化ガスを充填できなくなる、というような事態が起きるのを防止するようにしている。
【0026】
ところで、上記のような液化ガス充填装置1において、液化ガス供給管路6には、液化ガス中の細菌を除去するための液化ガス除菌フィルター10が設けられている。この液化ガス除菌フィルター10は、液化ガスの極低温(液体窒素の沸点である約ー196℃以下の低温)に耐えることができ、且つ、加熱殺菌の際の高温(約140〜220℃)に耐えることができて、しかも、0.45μm以上(好ましくは0.1μm以上)の微粒子を除去できる除菌用フィルターである。
【0027】
この液化ガス除菌フィルター10については、セラミックス製やフッ素樹脂製の従来公知のものも使用できるが、フッ素樹脂製フィルターは高価であり、また、セラミックス製フィルターやフッ素樹脂製フィルターは、何れも、加熱殺菌時の高温と液化ガスを通す際の極低温による急激な温度変化に起因する熱衝撃を繰り返し受けた場合の耐久性に問題がありことから、本実施例では、−200℃〜220℃の温度に耐え得るようなステンレススール(SUS316L)製の焼結金属フィルター又は積層焼結金網フィルターを採用している。
【0028】
なお、燒結金属フィルターについては、所定範囲内の粒度を有する金属微粒子(例えばステンレススチールの微粉末)からなる金属粉末をプレスして固めてから、使用金属の融点よりも低い高温で焼結(焼き固め)したものであり、金属粉末と金属粉末が接点で焼結された強固な一体構造となっていて、金属粉末の粒度が安定している(所定範囲の粒度を選択している)ため、正確な濾過精度が得られ、また、濾孔が三次元的に構成されているので、空隙率が高く、高い濾過性能を有している。
【0029】
また、積層焼結金網フィルターについては、例えば、5層の金網からなり、2層目の主濾過層金網を1層目の保護金網と3層目の分散層金網で挟み、それに4層目と5層目のメッシュが粗く強度の高い支持層金網を重ねて、それらを一体構造に焼結したタイプのものがあり、そのようなタイプのフィルターは、異物等を濾過層の表面でのみ捕捉する典型的な表面濾過タイプであって、各層の金網の網目が互いに交錯しているので、微細で均一な濾過孔が形成されており、金網を構成する線が互いに融着されているため、高い圧力下でも剥離や目開きを起こさないという利点がある。
【0030】
液化ガス供給管路6には、液化ガス除菌フィルター10よりも下流側(貯留タンク1の側)に開閉弁A3が設けられ、この開閉弁A3と液化ガス除菌フィルター10との間に、殺菌用や冷却用として無菌化された不活性ガス(窒素ガス)を供給する無菌ガス供給管路11が接続されている。この無菌ガス供給管路11には、除菌によりガスを無菌化するためのガス用フィルター12(後で説明するようなフィルターの表面積が大きい合成樹脂製のスクリーンフィルター)と、ガスを加熱して高温化するためのヒーター13が設けられており、液化ガス供給管路6との接続部の近傍に逆止弁(供給方向に開く一方向弁)B1が設けられている。
【0031】
さらに、液化ガス供給管路6には、無菌ガス供給管路11から液化ガス供給管路6を介して液化ガス除菌フィルター10内に供給された殺菌済みの高温ガスや冷却済みの低温ガスを排出するために、液化ガス除菌フィルター10よりも上流側(液化ガス供給源の側)にガス排出管路14が接続されており、この接続部よりも上流側で液化ガス供給管路6に開閉弁A4が設けられている。また、ガス排出管路14には、開閉弁A5と逆止弁(排出方向に開く一方向弁)B2が設けられている。なお、このガス排出管路14は、液化ガス供給管路6内から液化ガスを排出するためにも使用されるものである。
【0032】
上記のような液化ガス充填装置1に対して、該装置1の液化ガス供給管路6に液化ガス供給源からの液化ガスを送り込むための構成や、該装置1の無菌ガス供給管路8と無菌エアー供給管路9と無菌ガス供給管路11とにそれぞれ不活性ガス(窒素ガス)又は空気を送り込むための構成について、更に簡単に説明しておくと、前者(液化ガス)については、図2に示すようなものであり、後者(不活性ガスと空気)については、図3に示すようなものである。
【0033】
すなわち、液化ガス供給管路6への液化ガスの供給については、図2に示すように、図示していないLN貯槽定置タンクからの液化ガス(液体窒素)を、流路20により送給して、気化ガスと液化ガスとを分離するLN気液分離器21に一旦貯留させることで、気化ガスを分離してから、更に、LNプレフィルター(液化ガス用プレ濾過フィルター)22を通過させることで、金属粉等を濾過して除去した後、液化ガス供給管路6によって液化ガス充填装置1に供給している。
【0034】
なお、このLNプレフィルター22がフッ素樹脂を素材とする疎水性のフィルターであるのに対して、このLNプレフィルター22よりも下流側(貯留タンク2の側)で液化ガス供給管路6に設けられる液化ガス除菌フィルター10は、既に述べたように、ステンレススチールを素材とする焼結金属フィルター又は積層焼結金網フィルターであって、LNプレフィルター22では取り除くことができない微細な微生物等を液化ガスから濾過して取り除くためのものである。
【0035】
無菌ガス供給管路8と無菌エアー供給管路9と無菌ガス供給管路11への不活性ガスや空気の供給については、液化ガス(液体窒素)を気化させた不活性ガス(窒素ガス)と、エアーコンプレッサーによる圧搾空気を供給源とするものであって、図3に示すように、不活性ガスについては、液化ガスが充填されたタンク31からの液化ガスを、先ず気化器32に送り込み、この気化器32で気化した不活性ガスを、流路30により送給して、5μm以上の微粒子を濾過する合成樹脂製でスクリーンタイプのフィルター33を通過させてから、二本に分かれて一本に合流する並列の流路に送り込んでいる。
【0036】
この並列の流路では、高圧(0.5MPa程度)の不活性ガスを通過させる一方の流路と、低圧(0.1〜0.3MPa程度)の不活性ガスを通過させる他方の流路とを、それぞれの流路に設けられた開閉弁の開閉によって選択的に使用することで、例えば、液化ガス充填装置の稼働を停止してから次の稼働を行なうまでの間に、貯留タンク2に外部からの気体が侵入するのを防止するような場合に、低圧の不活性ガスだけを通して貯留タンク2内に供給するようにしている。
【0037】
そのような並列の流路を通過した不活性ガスは、0.45μm以上(好ましくは0.1μm以上)の微粒子や微生物等を濾過して除菌できるフィルターユニット(プリーツ形状でフィルターの表面積が大きい合成樹脂製のスクリーンフィルターで、LRV7レベルの除菌フィルター)34を通過して無菌化されてから、それぞれに気体流量計と開閉弁を備えた3本の流路に分流されて、無菌ガス供給管路8と無菌エアー供給管路9と無菌ガス供給管路11とにそれぞれ供給されることとなる。
【0038】
一方、空気については、エアーコンプレッサー41からの圧搾空気を、流路40により送給して、空気中の水分を除去するための装置であるミストセパレータ42を通過させ、5μm以上の微粒子を濾過する合成樹脂製でスクリーンタイプの濾過フィルター43を通過させ、更に、0.45μm以上(好ましくは0.1μm以上)の微粒子や微生物等を濾過して除菌できるフィルターユニット(プリーツ形状でフィルターの表面積が大きい合成樹脂製のスクリーンフィルターで、LRV7レベルの除菌フィルター)44を通過させて無菌化してから、気体流量計と開閉弁を備えた流路を経て、無菌エアー供給管路9に供給されることとなる。
【0039】
なお、不活性ガス(窒素ガス)や空気の供給管路に設けられる各フィルター12,33,34,43,44については、濾過すべき大きさ(粒子径)の微粒子や微生物を確実に捕捉するために、フィルター孔径が一定化したものを使用する必要はあるが、濾過する流体が、不活性ガスや空気のような気体であるため、酢酸セルロース、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン等のような合成樹脂製のスクリーンフィルターを使用することができる。
【0040】
そのようなフィルターは、素材の特性上加工が容易であり、プリーツ形状をつける(フィルターにスカートの折りひだのような形状をつける)等のようにして表面積を広くし、見かけのフィルターサイズ(外形寸法)に対してかなり大きく(3.0〜30.0倍)フィルター濾過面積を稼ぐ事ができる。そのようにフィルター濾過面積を大きくすることで、殺菌用や冷却用として供給する不活性ガスや空気を、単位時間当たりの流量を多くして、装置内の必要な箇所に大量に送り込むことができ、それによって、装置内の加熱殺菌や冷却を短時間で実施することができる。
【0041】
上記のように液化ガス(液体窒素)や不活性ガス(窒素ガス)や空気が供給されている液化ガス充填装置1によって実施される本実施例の方法について以下に説明すると、本実施例の方法では、装置内を加熱殺菌する際に、液化ガス供給管路6の開閉弁A4を閉じて、液化ガス除菌フィルター10への液化ガスの供給を停止した状態で、ガス用フィルター12(及びそれより上流のフィルター34)による除菌で無菌化されてヒーター13の加熱により140℃以上(好ましくは150〜200℃)に高温化された高温ガスを、無菌ガス供給管路11から液化ガス供給管路6に所定時間だけ供給すると共に、液化ガス供給管路6の開閉弁A3とガス排出管路14の開閉弁A5の開閉を適宜に切り換えることで、液化ガス除菌フィルター10の側と貯留タンク2の側とに分けて高温ガスを供給するようにしている。
【0042】
すなわち、液化ガス供給管路6の開閉弁A4を閉じて、液化ガス除菌フィルター10への液化ガスの供給を停止した状態で、液化ガス供給管路6の開閉弁A3を閉じて、ガス排出管路14の開閉弁A5を開くことで、液化ガス除菌フィルター10の側に高温ガスを供給することができ、一方、ガス排出管路14の開閉弁A5を閉じて、液化ガス供給管路6の開閉弁A3を開くことで、貯留タンク2の側に高温ガスを供給することができる。なお、そのような液化ガス除菌フィルター10の側への高温ガスの供給と、貯留タンク2の側への高温ガスの供給とは、何れを先に行ない何れを後で行なうようにしても良いものである。
【0043】
上記のように、フィルター殺菌処理系統として、液化ガス除菌フィルター10の側では、高温ガスを、液化ガス供給管路6から、液化ガス除菌フィルター10内に供給して、ガス排出管路14から排出させることで、液化ガス除菌フィルター10とその近傍の液化ガス供給管路6の内部を高温ガスによって殺菌する一方、タンク殺菌処理系統として、貯留タンク2の側では、高温ガスを、液化ガス供給管路6から、充填用ノズル3を開放させた状態の貯留タンク2内に供給して、充填用ノズル3と気化ガス排気管路5から排出させることで、貯留タンク2とその近傍の液化ガス供給管路6および充填用ノズル3や気化ガス排気管路5の内部を高温ガスによって殺菌している。
【0044】
なお、気化ガス排気管路5については、比較的外径が大きな管路であって、熱容量が大きいので、既に述べたように、気化ガス排気管路5の内部を殺菌する時のために、気化ガス排気管路5の外面側に細管ヒーター等の加熱手段を巻き付けておくのが好ましく、そうした場合には、気化ガス排気管路5の内側を殺菌する際に、そのヒーターにより外面側を補助的に加熱することで、短時間で確実に気化ガス排気管路5の内側を殺菌することができる。
【0045】
さらに、それら2つの殺菌処理系統によって装置内を高温ガスで殺菌した後に、ガス用フィルター12(及びそれより上流のフィルター34)による除菌で無菌化されたガスで、ヒーター13により加熱されない低温の無菌ガスを、上記のような高温ガスの場合と同様に、無菌ガス供給管路11から液化ガス供給管路6を通し、液化ガス除菌フィルター10の側と貯留タンク2の側とに分けて供給することで、装置1の内部を低温ガスによって冷却している。
【0046】
上記のような本実施例の液化ガス充填装置の殺菌方法によれば、無菌ガス供給管路11から液化ガス供給管路6を介して装置内に供給する殺菌用の高温ガスを、液化ガス除菌フィルター10の側と貯留タンク2の側とに分けて供給していることから、適量の高温ガスにより短時間で液化ガス除菌フィルター10の内部を殺菌できると共に、液化ガス除菌フィルター10を通すことなく貯留タンク2の内部に高温ガスを供給していることで、液化ガス除菌フィルター10により流量を制限されることなく、大容量の貯留タンク2の内部に短時間で充分な量の高温ガスを供給することができて、殺菌時間の短縮化を図ることができる。
【0047】
また、殺菌用の高温ガスにより装置内を加熱殺菌した後では、無菌ガス供給管路11から液化ガス供給管路6を介して装置内に供給する冷却用の低温ガスを、殺菌用の高温ガスの場合と同様に、液化ガス除菌フィルター10の側と貯留タンク2の側とに分けて供給していることから、適量の低温ガスにより短時間で液化ガス除菌フィルター10の内部を冷却できると共に、液化ガス除菌フィルター10により流量を制限されることなく、大容量の貯留タンク2の内部に短時間で充分な量の低温ガスを供給することができて、冷却時間の短縮化を図ることができる。
【0048】
上記のような本実施例の液化ガス充填装置の殺菌方法について、各処理系統での殺菌や冷却に要した時間の具体的な一例について以下に述べると、従来からも一般的に行なわれているように、本実施例の方法でも、液化ガス充填装置1を加熱殺菌したり冷却したりする場合には、図示していないが、装置内の適所に温度センサーを設けて、それらのセンサーによる温度検知に基いて、高温ガスや低温ガスの供給時間を設定している。
【0049】
そのような高温ガス(無菌ガス供給管路11からの高温ガスは、フィルター殺菌処理系統に供給して殺菌処理し、その後、タンク殺菌処理系統に供給した。)や低温ガスの供給時間について、
(1)フィルター殺菌処理系統では、装置内を150℃以上(約160℃)の温度に昇温させるのに要した時間とその温度に維持した時間との合計で約15分間。
(2)タンク殺菌処理系統では、装置内を150℃以上(約160℃)の温度に昇温させるのに要した時間(約20分間)とその温度を維持した時間(約10分間)との合計で30分間。
(3)フィルター冷却処理系統では、約25℃の不活性ガス(窒素ガス)を流して装置内を50℃以下の温度に冷却するのに要した時間が約5分間。
(4)タンク冷却処理系統では、約25℃の不活性ガス(窒素ガス)を流して装置内を50℃以下の温度に冷却するのに要した時間が約22分間であった。
【0050】
すなわち、本実施例の方法では、液化ガス除菌フィルター10の側と貯留タンク2の側との2系統の加熱殺菌処理の時間を合計しても約45分間であって、例えば、背景技術の説明で特許文献2(特開2000−185710号公報)により従来例として示した140℃の高温ガスで90分間加熱殺菌するような方法と比べて、その約50%の時間で加熱殺菌処理できることになる。また、本実施例の方法では、加熱殺菌処理の時間に2系統の冷却処理の時間を加えても、その合計で約72分間であって、冷却処理の時間が記載されていない特許文献2に記載の方法での加熱殺菌のみの時間(90分)よりも少ない時間で殺菌・冷却処理を終えることができる。なお、そのように本実施例の方法により短時間で殺菌・冷却した装置内の殺菌効果を確認したが、特に問題はなく、充分な殺菌効果が得られていることが確認された。
【0051】
そのように、本実施例の方法では、短時間で液化ガス充填装置1の内部を充分に殺菌することができ、また、短時間で液化ガス充填装置1の内部を充分に冷却できることから、液化ガス充填装置1を使用した容器詰製品の製造を開始する際に、加熱殺菌による残熱で装置内に導入した液化ガスを無駄に気化させるようなことなく、製造(製造ラインの稼動)を早期に開始することができる。
【0052】
以上、本発明の液化ガス充填装置の殺菌方法の一実施例について説明したが、本発明は、上記のような実施例にのみ限定されるものではなく、例えば、上記の実施例では、加熱殺菌した後で、殺菌用の高温ガスの場合と同様に、冷却用の低温ガスを、液化ガス除菌フィルター10の側と貯留タンク2の側とに分けて供給することで、貯留タンク2の側と液化ガス除菌フィルター10の側の両方を冷却しているが、液化ガス除菌フィルター10の側は、具体例で示した冷却時間からも良く判るように、熱容量が比較的小さく短時間で冷却可能である。そのため、例えば、加熱殺菌処理において、先に液化ガス除菌フィルター10の側で加熱殺菌処理を行ない、その後に貯留タンク2の側で加熱殺菌処理を行ってから、更に、貯留タンク2の側で冷却処理を行なう(この冷却処理時に、液化ガス供給管路6は、貯留タンク2側の一部が冷却されると共に、その影響で残りの部分も温度が下がる)ようにすれば、その間(具体例では、タンク殺菌処理系統での加熱殺菌処理に約30分、タンク冷却処理系統での冷却処理に約22分、合計で約52分間経過する間)に、液化ガス除菌フィルター10の側では放熱して温度がかなり低下することから、液化ガス除菌フィルター10の側での冷却処理を省略するようにしても良いものである。
【0053】
また、上記の実施例では、無菌ガス供給管路11から供給されるガスの無菌化をより一層確実にするためにガス用フィルター12を設けているが、無菌ガス供給管路11を通る不活性ガスは、このガス用フィルター12を通過する前に、既に除菌フィルターを備えたフィルターユニット34により除菌されているため、場合によってはこのガス用フィルター12を省略しても良いものである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の殺菌方法を実施するための液化ガス充填装置(貯留タンクに接続される各管路や液化ガス除菌フィルターなどを含む)の一例を示す説明図。
【図2】液化ガス充填装置の管路に液化ガスを供給するための構成の一例を示す説明図。
【図3】液化ガス充填装置の各管路に不活性ガスや空気を供給するための構成の一例を示す説明図。
【符号の説明】
【0055】
1 液化ガス充填装置
2 貯留タンク
3 充填用ノズル
5 気化ガス排気管路
6 液化ガス供給管路
10 液化ガス除菌フィルター
11 無菌ガス供給管路
12 ガス用フィルター
13 ヒーター
14 ガス排出管路
A1〜A5 開閉弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガスを貯留するための貯留タンクに対し、液化ガス供給源から液化ガスを該タンク内に供給するための液化ガス供給管路が、該管路の途中に液化ガス除菌フィルターを設けた状態で、該タンクの上部側に接続され、該タンク内で液化ガスから気化したガスを排出するための気化ガス排気管路が、該タンクの上部側に接続され、該タンク内に貯留された液化ガスを流出させるための充填用ノズルが、該タンクの底部側に連設されている液化ガス充填装置について、該装置の内部を加熱殺菌してから冷却するために、
殺菌・冷却用として無菌化されたガスを供給する無菌ガス供給管路を、液化ガス供給管路の液化ガス除菌フィルターよりも下流側に接続し、この接続部よりも下流側で液化ガス供給管路に開閉バルブを設けると共に、殺菌・冷却に使用したガスを排出するガス排出管路を、液化ガス供給管路の液化ガス除菌フィルターよりも上流側に接続し、この接続部よりも上流側の液化ガス供給管路とガス排出管路とにそれぞれ開閉バルブを設けて、
それらの開閉バルブの開閉を適宜に切り換えることで、液化ガス除菌フィルターへの液化ガスの供給を停止した状態として、無菌ガス供給管路から液化ガス供給管路に無菌化された高温ガスを所定時間だけ供給することにより、
フィルター殺菌処理系統として、液化ガス供給管路の無菌ガス供給管路との接続部よりも上流側では、液化ガス除菌フィルター内に高温ガスを供給して、ガス排出管路から高温ガスを排出させ、また、タンク殺菌処理系統として、液化ガス供給管路の無菌ガス供給管路との接続部よりも下流側では、充填用ノズルを開放した状態で貯留タンク内に高温ガスを供給して、充填用ノズルと気化ガス排気管路から高温ガスを排出させ、それら2つの系統の殺菌処理の何れか一方を先に行ない他方を後で行なうことで、装置内の高温ガスが通過した箇所を殺菌した後、
少なくとも液化ガス供給管路の無菌ガス供給管路との接続部よりも下流側に対して、無菌ガス供給管路から無菌化された低温ガスを液化ガス供給管路に所定時間だけ供給することにより、該下流側の装置内で低温ガスが通過した箇所を冷却するようにしたことを特徴とする液化ガス充填装置の殺菌方法。
【請求項2】
液化ガス供給管路の無菌ガス供給管路との接続部よりも下流側の装置内を低温ガスにより冷却する際に、無菌ガス供給管路から無菌化された低温ガスを液化ガス供給管路に所定時間だけ供給することにより、液化ガス供給管路の無菌ガス供給管路との接続部よりも上流側に対しても、該上流側の装置内で低温ガスが通過した箇所を冷却するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の液化ガス充填装置の殺菌方法。
【請求項3】
無菌ガス供給管路から供給される殺菌用の高温ガスが、フィルターの表面積が大きいスクリーンフィルターでの除菌により無菌化されて、ヒーターによる加熱で140℃〜220℃に高温化されたものであり、冷却用の低温ガスが、殺菌用の高温ガスと同様に無菌化されて、ヒーターによる加熱がないものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の液化ガス充填装置の殺菌方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate