説明

液化ガス液面センサー素子

【課題】液体水素など21K付近に沸点を有する液化ガスの液面レベルを、精密かつ再現性よく計測することを可能にし、また簡易に再現性よく製造することのできる液化ガス液面センサー素子を提供することを課題としている。
【解決手段】金属からなる線状導体の表面全体または一部に、マグネシウムとホウ素を含む化合物が長手方向に連続的に配設されており、液面計測時にその化合物の液浸漬部が超電導状態となっていることを特徴とする、液化ガス液面センサー素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、液体水素などの液化ガスの液面レベルを計測する液化ガス液面センサー素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液化ガスの貯蔵タンクに液化ガスを供給貯蔵する場合、低温液体の量を計測監視し、制御する必要があり、そのための液化ガスの液面レベルの計測には機械的、光学的あるいは電気的な方法による各種液面レベル測定方法が知られている。ただ、機械的な方法では連続的な液面レベルの変化は検出できるが精度が悪いという難点がある。また、光学的な方法や抵抗素子を用いる電気的な方法では不連続的な検出になるという問題がある。このため、現段階ではどの方法も、低温の液面を計測するセンサー素子としては、精度と検出態様の観点から性能が不十分である。
【0003】
このような問題を解決する方法として、超電導センサー素子線を使用する計測方法が知られている(たとえば特許文献1参照)。実際にも、たとえば、液体ヘリウムの液化ガス液面センサー素子として実用化されているNbTi線による超電導センサー素子線は、上下端付近に計測用の電流を流すための電流リードと、電圧を計測するための電圧リードが取り付けられ、電気的に接続されて用いられている。その原理は、超電導体の常電導・超電導遷移時の大きな電気抵抗変化を利用して、センサー素子部が液体中に浸漬された部分と液面の上側に露出する部分の間にできる温度分布にともない、センサー素子部内の電気抵抗分布が変化することから、センサー素子部端部間の電気抵抗変化を検出することにより液面の高さを測定するというものである。このような特徴から、液面を直視するための窓部を装置に組み込む必要がなく、かつ霜などの影響も少ない。
【0004】
液化ガスの液面センサー素子の重要な応用例として、開発が急速に進んでいる燃料電池のための水素ステーションがある。燃料電池は、水素と酸素の化学反応により電力を発生する。排出物は水だけであり、地球環境には非常に優しい電源になる可能性がある。燃料電池の燃料である水素は、自然界にはほとんど存在しないことから、主に人工的に生産される。生産後、貯蔵が必要となるが、その方法の代表例としては水素を液体にした状態で行うことが考えられる。その際、液体水素の液面レベルを常に監視しておく必要がある。
【0005】
しかしながら、液体水素の沸点温度である20Kでは、従来のNbTi線や高温超電導線は臨界温度や精度の面で使用困難であるという問題があった。そのため、臨界温度が21K〜31Kで製造コストが安価な超電導体を使用した液化ガス液面センサー素子の開発が望まれている。より臨界温度の高いBi系酸化物等の酸化物超電導体を用いるセンサー素子についても提案されている(特許文献2)が、その製造は必ずしも容易ではなく、コスト負担も大きく、安定したセンシングシステムとするには問題がある。
【0006】
また、近年、MgB2が39Kで超電導を示すことが発見され、その後、MgBを用いた線材開発が世界的に進められている。酸化物系に比べて、安価で、簡便に製造されるという大きな特徴を有している。
【0007】
そして、現在では、MgB粉末を金属管に充填したMgB超電導線を使用する液体水素液面センサー素子の試作も行われている。ただ、この場合には、いわゆるパウダー・イン・チューブ法によって線材を作製するため、粉末充填時の金属管の内径は少なくとも3mm程度は確保する必要がある。管の肉厚を0.5mmとした場合、金属管の直径は4mmとなる。直径4mmから直径0.2mmまで伸線加工することを想定すると、50〜80回の加工パスが必要であり、センサー素子部の生産性に大きな問題があった。また、細線になるほど、断線の危険性が増大するため、歩留まりも大きく低下するという問題があった。
【特許文献1】特開2000−275085号公報
【特許文献2】特開2002−202175号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、マグネシウムとホウ素を含む化合物を用いて、液体水素など20K付近に沸点を有する液化ガスの液面レベルを、精密に計測することを可能にし、また簡便に製造することのできる液化ガス液面センサー素子を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明は、上記の課題を解決するために、第1に、液化ガス液面センサー素子が、金属からなる線状導体の表面全体または一部に、マグネシウムとホウ素を含む超電導化合物層が長手方向に連続的に配設されており、液面計測時にその化合物の液中浸漬部が超電導状態となっているものであることを特徴としている。
【0010】
本願発明は、第2に、マグネシウムとホウ素を含む超電導化合物層がこれらの2元化合物であって、そのMgとBのモル比が、Mg:B=X:Yとして、X=1、Y=1.2〜1.9もしくは2.1〜2.8の範囲内であることを特徴としている。
【0011】
本願発明は、第3に、マグネシウムとホウ素を含む超電導化合物層がこれらの2元化合物であって、MgとBのモル比が、Mg:B=X:Yとして、Y=2、X=0.4〜0.9もしくは1.1〜1.8の範囲内であることを特徴としている。
【0012】
本願発明は、第4に、上記の液化ガス液面センサー素子を円柱とした場合における円柱の直径が0.04mm〜0.2mmの範囲内であることを特徴としている。
【0013】
本願発明は、第5に、線状導体の表面に配設されたマグネシウムとホウ素を含む超電導化合物層の常電導時の電気抵抗率が、線状導体の電気抵抗率の5倍〜100倍の範囲内であることを特徴としている。
【0014】
本願発明は、第6に、線状導体の表面にマグネシウムとホウ素を含む超電導化合物層が配設された液化ガス液面センサー素子の温度300Kでの電気抵抗率をρ(300K)、温度40Kでの電気抵抗率をρ(40K)としたとき、1-(ρ(40K)/ρ(300K))の値が0.5以下であることを特徴としている。
【0015】
本願発明は、第7に、マグネシウムとホウ素を含む超電導化合物層が、炭素、ケイ素より選ばれる一種類以上の元素を含むことを特徴としている。
【0016】
本願発明は、第8に、液化ガス液面センサー素子の表面に樹脂が塗布されていることを特徴としている。
【0017】
本願発明は、第9に、マグネシウムとホウ素を含む超電導化合物層と金属が、同軸状に積層された多層構造を形成し、超電導化合物層同士がセンサー素子の片端で短絡していることを特徴としている。
【0018】
本願発明は、第10に、上記のセンサー素子を用いることを特徴とする液化ガス液面センサーを提供し、第11には、センサー素子が、水素導入源から水素ステーションへ水素を導入する導入ラインと、水素ステーションから燃料電池搭載車両へ水素を供給する供給ラインに具備されている、燃料電池搭載車両に水素を供給するための水素ステーションで稼動される液体水素液面センサーを提供する。
【0019】
本願発明は、第12に、マグネシウムとホウ素を含む超電導化合物層を、電気メッキ法により線状導体の表面に配設することにより液化ガス液面センサー素子を製造することを特徴としている。
【発明の効果】
【0020】
本願の第1の発明によれば、液化ガス液面センサー素子が、金属からなる線状導体の表面全体または一部に、マグネシウムとホウ素を含む化合物が長手方向に連続的に配設されており、液面計測時にマグネシウムとホウ素の化合物の液中浸漬部が超電導状態となることにより、液化ガス液面センサー素子は、20K付近に沸点を有する液化ガス、たとえば液体水素などの液化ガス液面センサー素子として精密かつ高速の液化ガス液面センサー素子を提供することができる。
【0021】
本願の第2の発明によれば、マグネシウムとホウ素を含む化合物がマグネシウムとホウ素の2元化合物であって、そのMgとBのモル比が、Mg:B=X:Yとして、X=1、Y=1.2〜1.9もしくは2.1〜2.8の範囲内であることによっても、第5の発明と同様にその超電導遷移温度が21〜31Kとなるため、20K付近に沸点を有する液化ガス、たとえば液体水素などの液化ガス液面センサー素子として好適に使用することができる。
【0022】
本願の第3の発明によれば、マグネシウムとホウ素を含む化合物がマグネシウムとホウ素の2元化合物であって、MgとBのモル比が、Mg:B=X:Yとして、Y=2、X=0.4〜0.9もしくは1.1〜1.8の範囲内であることによっても、第5、第6の発明と同様にその超電導遷移温度が21〜31Kとなるため、20K付近に沸点を有する液化ガス、たとえば液体水素などの液化ガス液面センサー素子として好適に使用することができる。
【0023】
本願の第4の発明によれば、液化ガス液面センサー素子の直径が0.04mm〜0.2mmの範囲内であることにより、電流を流した時に発生するジュール熱を抑制することが可能となり、それにより液化ガスの気化による損失を低減することができる。また、熱容量が小さくなり、液化ガス液面センサー素子の応答速度を上げることができる。
【0024】
本願の第5の発明によれば、線状導体の表面に配設されたマグネシウムとホウ素を含む化合物の常電導時の電気抵抗率が、線状導体の5倍〜100倍の範囲内であることにより、電気抵抗率の温度依存性が小さくなるため、高い精度で液面のレベルを計測することができる。
【0025】
本願の第6の発明によれば、線状導体の表面にマグネシウムとホウ素を含む化合物が配設された液化ガス液面センサー素子の温度300Kでの電気抵抗率をρ(300K)、温度40Kでの電気抵抗率をρ(40K)としたとき、1-(ρ(40K)/ρ(300K))の値が0.5以下であることにより、電気抵抗率の温度依存性が抑制され、液面レベルを高い精度で計測することができる。
【0026】
本願の第7の発明によれば、マグネシウムとホウ素を含む化合物が、炭素、ケイ素より選ばれる一種類以上の元素を含むことにより、その超電導遷移温度が21〜31Kとなるため、21K付近に沸点を有する液化ガス、たとえば液体水素などの液化ガス液面センサー素子として好適に使用することができる。
【0027】
本願の第8の発明によれば、表面に樹脂が塗布されていることにより、液化ガス液面センサー素子が補強され、また、水分の付着による腐食から防御されるため、長期間使用しても断線や性能劣化などを生じにくくすることができる。
【0028】
本願の第9の発明によれば、超電導体の層同士が片端で短絡しているので、配線が簡素化され、液化ガス液面センサー素子の設置時などにおける操作を簡便化することができる。
【0029】
本願の第10、そして11の発明によれば、従来の光学的、電気的な方法に比べて、応答速度、計測精度が格段に向上しているので、たとえば、燃料電池搭載車両に水素を供給するための水素ステーションにおいて、特に液面レベルの変動が激しい水素導入ライン、および水素供給ラインに導入して液体水素の流量のモニターを行うことなどができる。
【0030】
本願の第12の発明によれば、マグネシウムとホウ素を含む超電導化合物層を電気メッキ法により線状導体の表面に配設することにより、均一な層を簡便な装置と手法で、任意の形状に仕上げることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本願発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
【0032】
なによりもまず、本願発明の液化ガス液面センサー素子は、金属などからなる線状導体(以下、金属芯と略す)の表面に、マグネシウムとホウ素を含む超電導化合物層(以下、MgB超電導層と略す)が長手方向に連続的に配設されたものであることを特徴としている。液化ガス液面センサー素子の形状は円柱、直方体、テープ状、多角形などを使用することができる。「長手方向に連続的に配設」とは、線状導体の長手方向に沿って線状導体に対して一定の形態で、長手方向に切れ目無く配設されていることを言う。図1〜3に本願発明の液化ガス液面センサー素子の例を示す。図1は金属芯1の形状が円柱であり、その表面全体に均一にMgB超電導層2が配設されている液化ガス液面センサー素子の断面図である。図2は、直方体の金属芯3の長手方向に相対する2面にMgB超電導層4を配設した液化ガス液面センサー素子の断面図である。MgB超電導層は長手方向に連続的に配設されていれば、図1のように金属芯の表面全体に配設されていてもよいし、図2のように表面の一部に配設されていても良い。図3は、マグネシウムとホウ素を含む超電導化合物の円柱状芯層6の周りが金属5で被覆され、その表面にMgB超電導化合物層6が形成されている液化ガス液面センサー素子の断面図である。MgB超電導層と金属とを多層構造にすることもできる。金属芯の表面あるいはその一部にMgB超電導層を配設する方法としては、電気メッキ法、蒸着法など公知の方法を利用することができる。電気メッキ法で液化ガス液面センサー素子を作製する場合、任意の形状に仕上げることが可能なメリットがある。つまり、貯蔵タンク内の形状やサイズに合わせた液化ガス液面センサー素子を提供することができる。
【0033】
本願発明におけるMgB超電導層は、MgB超電導層をマグネシウムとホウ素の2元化合物Mgとしてそのモル比X、Yを以下のように調整するのが好ましい。
X=1、かつ、Y=1.2〜1.9もしくは2.1〜2.8
または、
Y=2、かつ、X=0.4〜0.9もしくは1.1〜1.8
このように調整することにより、液化水素の液面レベルを精度よく測定するために臨界温度を好ましい領域に調整することが出来る。好ましい臨界温度は21K〜31Kの範囲内である。これは、正確な計測を行うには、常電導を示す部分と超電導を示す部分との境界が明確なことが液面レベルの測定精度の点で好適であるためである。臨界温度を21〜31Kに調整するために、マグネシウムとホウ素を含むMgB超電導層には第3の元素を加えることができる。たとえば、シリコン、カーボンを加えることにより、臨界温度を好ましい領域に調整することができる。これにより、水素など沸点が21K付近の液化ガスに対して精度の良い液面レベルの計測が可能になる。また、上記の組成比に限らず、電気メッキにおける熱処理温度や熱処理時間、あるいは熱処理雰囲気を調整して、MgB超電導層の臨界温度を21K〜31Kの範囲内に変化させることができる。
【0034】
図4は、本願発明の液化ガス液面センサー素子を用いた液面レベル計測システムを液体水素貯蔵タンクに応用した一実施形態の概略図である。液化ガス液面センサー素子7の両端部には、電流を供給する直流電流源8と発生電圧を計測する電圧計9が各々接続されている。直流電流源と直流電圧計には、電流リード線10と電圧リード線11が2本ずつ設けられている。リード線とMgB超電導層の配設部との接続は、通常Au電極などを蒸着することによって行う。液化ガス液面センサー素子を容器内の液化ガス12の液面と垂直に挿入すると、液化ガス(液体水素)の温度は21K以下、MgB超電導層の超電導遷移温度は21K〜31K程度であるので、液面計測時、MgB超電導化合物層は液面より下の部分では超電導状態、液面より上の部分では常電導状態になる。なお、本願発明において「液中浸漬部」とは、液化ガス液面センサー素子の液面より下の部分にある部分を言う。直流電流源8から適当な電流を流すと、液面より上の部分ではセンサー素子表面のMgB超電導化合物層が常電導状態であるため、電流の大部分は低抵抗部の金属芯を流れる。これに対し、液面下ではセンサー素子表面のMgB超電導化合物層は超電導状態となるため電気抵抗は零となり、電流のほとんど全てはMgB超電導化合物層を流れる。このとき計測される液化ガス液面センサー素子7の抵抗値は液面より上にある金属芯部分の電気抵抗のみであるため、電気抵抗を計測することにより液面レベルを計測することができる。
【0035】
液化ガス液面センサー素子の測定精度を上げる方法の一つとしては、液化ガス液面センサー素子の通電電流値を上げて出力電圧を上げる方法がある。しかしながら、通電電流量を上げると、液化ガスに対するジュール発熱が増大し、液化ガスの不要な蒸発を招いて非効率的である。また、配設されたMgB超電導化合物層が焼損してしまう場合もある。さらに、液化ガス液面センサー素子に大きな電流を流すと、液化ガスに浸漬され超電導状態の部分も常電導状態になってしまい正確な液面の計測ができなくなる問題がある。さらにまた、ジュール熱により液面近くで膜沸騰が生じ、液面が局所的に低下するため、実際の液面レベルより低く計測されやすいという問題も発生する。
【0036】
これらのことから、液化ガス液面センサー素子の熱容量を小さくすることが好適である。熱容量の低減は、センサー素子の応答速度の高速化にも効果的である。そのためには、断面積を小さくすることが最も有効である。十分な測定精度と応答速度を確保するために、液化ガス液面センサー素子の形状を円柱にした場合の直径は0.04mm〜0.2mmの範囲内であることが好ましい。
【0037】
液化ガス液面センサー素子の測定精度に関連する因子として、常電導状態における電気抵抗率の温度依存性がある。本願発明の液化ガス液面センサー素子を用いた液面レベル計測システムでは、臨界温度より高い温度領域における電気抵抗率の温度依存性が大きいと、液面計測に誤差が生じやすくなる。ほとんどの超電導体は、臨界温度より高い温度、すなわち常電導状態の環境では、電気抵抗率の温度依存性が大きいのが一般的である。本願発明においても、電気抵抗率は金属芯に比べて常電導状態のMgB超電導化合物層の方がかなり大きいので、配設するMgB超電導化合物層の断面積を小さくすることは、センサー素子の電気抵抗率の温度依存性を抑制することになり、その結果、液面レベルの測定精度の向上に寄与する。
【0038】
また、同様の理由で、単位長さ当りのMgB超電導化合物層の電気抵抗率を金属芯のそれに比べて高くすることは、MgB超電導化合物層への漏れ電流を抑制することになり、MgB超電導化合物層の電気抵抗率の温度依存性の影響を抑制することとなるので、液面レベルを正確に測定するために好ましい。MgB超電導化合物層の電気抵抗率が金属芯の電気抵抗率の5倍〜100倍となるようにMgB超電導化合物層を配設するのが好ましい。言い換えると、MgB超電導化合物層の電気抵抗率を1とした場合、金属芯の電気抵抗率を0.01〜0.2の範囲内にするということである。
【0039】
また、同様の理由で、常電導状態のときの電気抵抗率が温度に対してまったく変化しないもの、すなわち変化率が1に限りなく近いことが測定精度の向上の点で好ましい。すなわち、室温から液化ガスの沸点温度まで電気抵抗率がほとんど変化しない特性を有するのが好ましい。金属芯で電気抵抗率の温度依存性が大きな材料を用いると、計測される抵抗値は液面より上にあるセンサー素子の長さと線形関係が成り立たなくなるため、液面レベルの計測値に測定誤差が発生する。電気抵抗率の温度変化が小さく、かつ液化ガス液面センサー素子に必要なマグネシウムとホウ素を含む超電導化合物層の超電導特性が得られる材料として、特にハステロイ、インコネル、ステンレス鋼、鉄、銅合金、アルミ合金、グラファイトを適用することが好ましい。
【0040】
本願発明の液化ガス液面センサー素子は極細線なので、着脱時に断線を生じやすい。断線を防止するために樹脂に埋設する、または液化ガス液面センサー素子の表面を樹脂で被覆するなどの方法で、液化ガス液面センサー素子を保護することができる。樹脂はエポキシ系樹脂など公知のものを使用することができる。埋設する場合は、溶剤に溶解した樹脂に液化ガス液面センサー素子を挿入し、減圧して溶剤を除去して樹脂を固化させるなど公知の方法を使用することができる。これにより、センサー素子の断線の他、センサー素子表面のMgB超電導化合物層と水分との反応による性能劣化、熱応力や歪などによる性能劣化を抑制することができ、センサー素子の寿命を向上させることができる。
【0041】
本願発明の液化ガス液面センサー素子は、MgB超電導化合物層と金属芯の金属が同軸上に積層された多層構造を形成し、超電導化合物層の層同士が下端部で短絡していることが、液化ガス液面センサー素子のメンテナンスなど操作性の点で好ましい。下端部の短絡を形成する方法は、センサー素子線を作製するときに、MgB超電導層を形成させない部分にマスキングする方法を一般的に採用するが、どのような方法でも、最終的に多層構造の超電導化合物層同士の片側が電気回路的に短絡されていればよい。
【0042】
次に、本願発明の液化ガス液面センサー素子の実施例を説明する。もちろん、本願発明が以下の実施例に限定されることはない。
【実施例】
【0043】
<実施例1>
電気メッキ法により液化ガス液面センサー素子を作製した。塩化マグネシウム・塩化ナトリウム・塩化カリウム・ホウ酸マグネシウムをモル比10:5:5:0.1で含む混合塩を調整した。混合塩を不活性ガス(Ar)雰囲気下で600℃に加熱し溶融塩とした。攪拌により均質に保たれた溶融塩に直径0.1mm程度の鉄線と直径1mm程度のグラファイト棒を挿入した。鉄線およびグラファイト棒をそれぞれ直流電源の陰極および陽極に接続し、両極間に3.5〜4Vの直流電圧を印加、10分間保持することにより、溶融塩に浸漬した鉄線表面はMgBを含む膜厚0.01mm程度の皮膜で被覆された。鉄線を溶融塩から取り出し、室温まで冷却した後、メタノールにて洗浄した。得られたセンサー素子線の断面を光学顕微鏡により観察したところ、金属芯の表面全体にMgBの薄膜が形成されていた。金属芯とMgBの薄膜を合わせた線径を見積もった結果、0.11mmであった。このうち、金属芯の線径は約0.09mmであった。図5に作製した液化ガス液面センサー素子の電気抵抗の温度依存性を示す。作製した液化ガス液面センサー素子の電気抵抗は、温度300Kのとき2.7Ω、温度40Kのとき2.2Ωであった。温度300Kと40Kでの電気抵抗の変化比率を算出すると、1-(2.2×10-3/2.7×10-3)=0.186であり、常電導状態における電気抵抗の温度依存性が少なく、液化ガス液面センサー素子として良好な電気抵抗特性を有することが確認された。零磁場の条件下で、センサー素子の両端部から1mAの電流を掃引したまま電気抵抗を測定した。超電導へ遷移する温度は、29.9Kであった。
<実施例2>
線径が0.09〜0.10mmのインコネル線を金属芯として使用し、線径が0.13mmとなるようにMgB超電導層の膜厚を調整したこと以外は、実施例1と同様の電気メッキ法により液化ガス液面センサー素子を作製した。作製された液化ガス液面センサー素子に関し、液面レベルの測定のための最適電流を把握するため、気体中にある液化ガス液面センサー素子の長さを一定にして電流を変化させながら電流と電気抵抗の関係を調査した。MgB超電導層の厚みを増大させると、非超電導部の抵抗値が小さくなる。液面レベルを精度よく計測するには、抵抗が減少した分、センサー素子に供給する電流を増やすのが好適である。本実施例のサンプルでは、センサー素子を焼損することなく、最適電流値が求められ、液面レベルを計測することができた。
<実施例3>
MgB超電導層の膜厚を調整して、線径を0.20mmとしたこと以外は、実施例2と同様の操作を行った。本実施例のサンプルでも、センサー素子を焼損することなく、最適電流値が求められ、それにより液面レベルを計測することができた。
<比較例1>
MgB超電導層の膜厚を調整して、線径を0.31mmとしたこと以外は、実施例2と同様の操作を行った。本比較例のサンプルでは、最適電流を求める段階で、過剰電流を流す必要が生じ、線材が焼損する問題が発生した。これは、供給する電流とセンサー素子線の抵抗によるジュール発熱が原因と推察される。この結果から、線径が0.31mmでは、液化ガス液面センサー素子として使用することはできないと言える。
<比較例2>
MgB超電導層の膜厚を調整して、線径を0.53mmとしたこと以外は、実施例2と同様の操作を行った。本比較例のサンプルでは、最適電流を求める段階で、過剰電流を流す必要が生じ、線材が焼損する問題が発生した。これは、供給する電流とセンサー素子線の抵抗によるジュール発熱が原因と推察される。この結果から、線径が0.53mmでは、液化ガス液面センサー素子として使用することはできないと言える。
【0044】
実施例2、3、および比較例1、2の結果を表1にまとめた。
【0045】
【表1】

<実施例4>
線径0.10mmのインコネル線を用い、MgB超電導層の膜厚が0.03mmとなるように電気メッキの条件を調整し、これ以外の条件は実施例1と同様にして液化ガス液面センサー素子を作製した。作製された液化ガス液面センサー素子の応答速度を以下のようにして評価した。液化ガス液面センサー素子を液体水素が充填されたガラスデュワーに入れ、センサー素子による計測と目視による計測を同時に行った。正確な液面を把握するため、ガラスデュワーにスリットを設け、そこから目視することで基準高さとした。目視の精度は、約0.5mmとした。本実施例の液化ガス液面センサー素子では、基準の液面に相当する測定値に達するまでの時間遅れが10秒以内であった。
<実施例5>
線径0.14mmのインコネル線を用い、MgB超電導層の膜厚が0.03mmとなるように電気メッキの条件を調整し、これ以外の条件は実施例1と同様にして液化ガス液面センサー素子を作製した。作製された液化ガス液面センサー素子の応答速度は実施例4と同様にして評価した。本実施例の液化ガス液面センサー素子でも、基準の液面に相当する測定値に達するまでの時間遅れが10秒以内であった。
<実施例6>
線径0.31mmのインコネル線を用い、MgB超電導層の膜厚が0.03mmとなるように電気メッキの条件を調整し、これ以外の条件は実施例1と同様にして液化ガス液面センサー素子を作製した。作製された液化ガス液面センサー素子の応答速度は実施例4と同様にして評価した。本実施例の液化ガス液面センサー素子でも、基準の液面に相当する測定値に達するまでの時間遅れが16秒であった
<実施例7>
線径0.60mmのインコネル線を用い、MgB超電導層の膜厚が0.03mmとなるように電気メッキの条件を調整し、これ以外の条件は実施例1と同様にして液化ガス液面センサー素子を作製した。作製された液化ガス液面センサー素子の応答速度は実施例4と同様にして評価した。本比較例の液化ガス液面センサー素子では、基準の液面に相当する測定値に達するまでの時間遅れが22秒であった。
【0046】
実施例4、5、比較例3の結果を表2にまとめた。
【0047】
【表2】

以上、実施例2〜7、比較例1、2より、金属芯の径やセンサー素子の厚みなどの線材構成に関係なく、センサー素子全体の線径を0.2mm以下にすることでより効果的な液化ガス液面センサー素子が作製できることがわかった。
<実施例8>
金属芯を、線径が0.10mmのハステロイとし、金属芯表面に配設されるMgB超電導層の電気抵抗率が、金属芯の電気抵抗率の5倍となるように電気メッキ条件を調整したこと以外は、実施例1と同様に電気メッキ法により液化ガス液面センサー素子を作製した。なお、ハステロイ線の電気抵抗率は温度300Kのとき約121μΩ・cm、温度40Kのとき約120μΩ・cmである。図6の線16に、本実施例にて作製された液化ガス液面センサー素子の電気抵抗率の温度依存性を示す。常電導部分での電気抵抗率の温度依存性が小さくなり、センサー素子の液面上の長さと抵抗値の間にはほぼ完全な線形関係が保たれ、極めて高い精度で液面レベルを計測することができた。
<実施例9>
金属芯表面に配設されるMgB超電導層の電気抵抗率が、金属芯の電気抵抗率の10倍となるように電気メッキ条件を調整したこと以外は、実施例6と同様に電気メッキ法により液化ガス液面センサー素子を作製した。本実施例にて作製された液化ガス液面センサー素子の電気抵抗率の温度依存性は、図6の線16に一致した。
<実施例10>
金属芯表面に配設されるMgB超電導層の電気抵抗率が、金属芯の電気抵抗率の100倍となるように電気メッキ条件を調整したこと以外は、実施例6と同様に電気メッキ法により液化ガス液面センサー素子を作製した。本実施例にて作製された液化ガス液面センサー素子の電気抵抗率の温度依存性は、図6の線16に一致した。
<実施例11>
金属芯表面に配設されるMgB超電導層の電気抵抗率が、金属芯の電気抵抗率と等しくなるように電気メッキ条件を調整したこと以外は、実施例6と同様に電気メッキ法により液化ガス液面センサー素子を作製した。本実施例にて作製された液化ガス液面センサー素子の電気抵抗率の温度依存性は、図6の線14のようになった。これは、常電導時に金属芯だけでなく、MgB超電導層にも電流が分流したことによるものであり、電気抵抗率の温度依存性が大きく、液面レベルの計測は可能であるが、精度の低い液面レベルの計測となった。
<実施例12>
金属芯表面に配設されるMgB超電導層の電気抵抗率が、金属芯の電気抵抗率の3倍となるように電気メッキ条件を調整したこと以外は、実施例6と同様に電気メッキ法により液化ガス液面センサー素子を作製した。本実施例にて作製された液化ガス液面センサー素子の電気抵抗率の温度依存性は、図6の線15のようになった。これは、常電導時に金属芯だけでなく、MgB超電導層にも電流が分流したことによるものであり、電気抵抗率の温度依存性が大きく、液面レベルの計測は可能であるが、精度の低い液面レベルの計測となった。
【0048】
実施例8〜12の結果を表3にまとめた。
【0049】
【表3】

金属芯に配設されるMgB超電導層の電気抵抗率を、金属芯の電気抵抗率の5倍以上にすることにより、電気抵抗率の温度依存性が低減し、より精度の高い液面レベルの計測が可能になることがわかった。
<実施例13>
金属芯として線径が0.10〜0.12mmのインコネル線を用い、MgB超電導層の膜厚が0.05mm程度となるように電気メッキ条件を調整したこと以外は、実施例1と同様の条件で電気メッキ法により液化ガス液面センサー素子を作製した。温度300Kと40Kの電気抵抗率を測定したところ、300Kの電気抵抗率は140Ω・cm、40Kの電気抵抗率は130Ω・cmだった。これらの値から1-(ρ(40K)/ρ(300K))=0.07と算出された。作製されたセンサー素子を液体水素が充填されたガラスデュワーに入れ、10秒後の液面高さの目視による計測値とセンサー素子の計測値を比較したところ、センサー素子の計測値と実測の液面レベルとの誤差は3%以下であった。
<実施例14>
金属芯として線径が0.10〜0.12mmのハステロイ線を用いたこと以外は、実施例13と同様の条件で電気メッキ法により液化ガス液面センサー素子を作製し、同様の評価を行った。温度300Kと40Kの電気抵抗率を測定したところ、300Kの電気抵抗率は121Ω・cm、40Kの電気抵抗率は120Ω・cmだった。これらの値から1-(ρ(40K)/ρ(300K))=0.01と算出された。実測の液面レベルとの誤差は3%以下であった。
<実施例15>
金属芯として線径が0.10〜0.12mmのSUS304線を用いたこと以外は、実施例13と同様の条件で電気メッキ法により液化ガス液面センサー素子を作製し、同様の評価を行った。温度300Kと40Kの電気抵抗率を測定したところ、300Kの電気抵抗率は72Ω・cm、40Kの電気抵抗率は50Ω・cmだった。これらの値から1-(ρ(40K)/ρ(300K))=0.31と算出された。実測の液面レベルとの誤差は3%以下であった。
<実施例16>
金属芯として線径が0.10〜0.12mmのSUS310線を用いたこと以外は、実施例13と同様の条件で電気メッキ法により液化ガス液面センサー素子を作製し、同様の評価を行った。温度300Kと40Kの電気抵抗率を測定したところ、300Kの電気抵抗率は90Ω・cm、40Kの電気抵抗率は70Ω・cmだった。これらの値から1-(ρ(40K)/ρ(300K))=0.22と算出された。実測の液面レベルとの誤差は3%以下であった。
<実施例17>
金属芯として線径が0.10〜0.12mmの銅線を用いたこと以外は、実施例13と同様の条件で電気メッキ法により液化ガス液面センサー素子を作製し、同様の評価を行った。温度300Kと40Kの電気抵抗率を測定したところ、300Kの電気抵抗率は1.7Ω・cm、40Kの電気抵抗率は0.03Ω・cmだった。これらの値から1-(ρ(40K)/ρ(300K))=0.57と算出された。実測の液面レベルとの誤差は24%であった。
<実施例18>
金属芯として線径が0.10〜0.12mmの銀線を用いたこと以外は、実施例13と同様の条件で電気メッキ法により液化ガス液面センサー素子を作製し、同様の評価を行った。温度300Kと40Kの電気抵抗率を測定したところ、300Kの電気抵抗率は1.6Ω・cm、40Kの電気抵抗率は0.05Ω・cmだった。これらの値から1-(ρ(40K)/ρ(300K))=0.68と算出された。実測の液面レベルとの誤差は29%であった。
<実施例19>
金属芯として線径が0.10〜0.12mmの白金線を用いたこと以外は、実施例13と同様の条件で電気メッキ法により液化ガス液面センサー素子を作製し、同様の評価を行った。温度300Kと40Kの電気抵抗率を測定したところ、300Kの電気抵抗率は11Ω・cm、40Kの電気抵抗率は1.7Ω・cm以下だった。これらの値から1-(ρ(40K)/ρ(300K))=0.85と算出された。実測の液面レベルとの誤差は35%であった。
【0050】
実施例13〜19の結果を表4にまとめた。
【0051】
【表4】

液面レベルの測定誤差の許容範囲を、目視計測値の15%以内とすると、この結果により、センサー素子の電気抵抗率の温度依存性について、1-(ρ(40K)/ρ(300K))の値を0.5以下にすることにより、計測される抵抗値は液面より上に位置する気体部のセンサー素子の長さと線形関係を保つことができ、より精度の高い液面レベルの計測が可能になることがわかった。一方、金属芯にステンレス、銅線、銀線、白金線を使用すると、金属芯自身の電気抵抗の温度依存性が大きいため、抵抗値は液面より上のセンサー素子の長さと線形関係が成り立たず、液面レベルの計測に関しては測定精度の低いものとなった。
<実施例20>
マグネシウムとホウ素の2元化合物をMgとしそのモル比X:Yが1:1.2になるように、電気メッキ法による液化ガス液面センサー素子を作製時の塩化マグネシウム・塩化ナトリウム・塩化カリウム・ホウ酸マグネシウムの配合を調整して、実施例1と同様にして液化ガス液面センサー素子を作製した。得られた化合物Mgの超電導臨界温度は21Kだった。得られた液化ガス液面センサー素子に関し、実施例13と同様にして測定誤差を求めたところ、センサー素子による測定の誤差は目視による計測値の8%だった。
<実施例21>
マグネシウムとホウ素の2元化合物をMgとしそのモル比X:Yが1:1.5になるように、電気メッキ法による液化ガス液面センサー素子を作製時の塩化マグネシウム・塩化ナトリウム・塩化カリウム・ホウ酸マグネシウムの配合を調整して、実施例1と同様にして液化ガス液面センサー素子を作製した。得られた化合物Mgの超電導臨界温度は25Kだった。得られた液化ガス液面センサー素子に関し、実施例13と同様にして測定誤差を求めたところ、センサー素子による測定の誤差は目視による計測値の10%だった。
<実施例22>
マグネシウムとホウ素の2元化合物をMgとしそのモル比X:Yが1:1.7になるように、電気メッキ法による液化ガス液面センサー素子を作製時の塩化マグネシウム・塩化ナトリウム・塩化カリウム・ホウ酸マグネシウムの配合を調整して、実施例1と同様にして液化ガス液面センサー素子を作製した。得られた化合物Mgの超電導臨界温度は28Kだった。得られた液化ガス液面センサー素子に関し、実施例13と同様にして測定誤差を求めたところ、センサー素子による測定の誤差は目視による計測値の11%だった。
<実施例23>
マグネシウムとホウ素の2元化合物をMgとしそのモル比X:Yが1:1.9になるように、電気メッキ法による液化ガス液面センサー素子を作製時の塩化マグネシウム・塩化ナトリウム・塩化カリウム・ホウ酸マグネシウムの配合を調整して、実施例1と同様にして液化ガス液面センサー素子を作製した。得られた化合物Mgの超電導臨界温度は30Kだった。得られた液化ガス液面センサー素子に関し、実施例13と同様にして測定誤差を求めたところ、センサー素子による測定の誤差は目視による計測値の14%だった。
<実施例24>
マグネシウムとホウ素の2元化合物をMgとしそのモル比X:Yが1:2.0になるように、電気メッキ法による液化ガス液面センサー素子を作製時の塩化マグネシウム・塩化ナトリウム・塩化カリウム・ホウ酸マグネシウムの配合を調整して、実施例1と同様にして液化ガス液面センサー素子を作製した。得られた化合物Mgの超電導臨界温度は38Kだった。得られた液化ガス液面センサー素子に関し、実施例13と同様にして測定誤差を求めたところ、センサー素子による測定の誤差は目視による計測値の30%だった。
<実施例25>
マグネシウムとホウ素の2元化合物をMgとしそのモル比X:Yが1:2.1になるように、電気メッキ法による液化ガス液面センサー素子を作製時の塩化マグネシウム・塩化ナトリウム・塩化カリウム・ホウ酸マグネシウムの配合を調整して、実施例1と同様にして液化ガス液面センサー素子を作製した。得られた化合物Mgの超電導臨界温度は31Kだった。得られた液化ガス液面センサー素子に関し、実施例13と同様にして測定誤差を求めたところ、センサー素子による測定の誤差は目視による計測値の12%だった。
<実施例26>
マグネシウムとホウ素の2元化合物をMgとしそのモル比X:Yが1:2.5になるように、電気メッキ法による液化ガス液面センサー素子を作製時の塩化マグネシウム・塩化ナトリウム・塩化カリウム・ホウ酸マグネシウムの配合を調整して、実施例1と同様にして液化ガス液面センサー素子を作製した。得られた化合物Mgの超電導臨界温度は26Kだった。得られた液化ガス液面センサー素子に関し、実施例13と同様にして測定誤差を求めたところ、センサー素子による測定の誤差は目視による計測値の11%だった。
<実施例27>
マグネシウムとホウ素の2元化合物をMgとしそのモル比X:Yが1:2.8になるように、電気メッキ法による液化ガス液面センサー素子を作製時の塩化マグネシウム・塩化ナトリウム・塩化カリウム・ホウ酸マグネシウムの配合を調整して、実施例1と同様にして液化ガス液面センサー素子を作製した。得られた化合物Mgの超電導臨界温度は21Kだった。得られた液化ガス液面センサー素子に関し、実施例13と同様にして測定誤差を求めたところ、センサー素子による測定の誤差は目視による計測値の7%だった。
<実施例28>
マグネシウムとホウ素の2元化合物をMgとしそのモル比X:Yが0.4:2になるように、電気メッキ法による液化ガス液面センサー素子を作製時の塩化マグネシウム・塩化ナトリウム・塩化カリウム・ホウ酸マグネシウムの配合を調整して、実施例1と同様にして液化ガス液面センサー素子を作製した。得られた化合物Mgの超電導臨界温度は21Kだった。得られた液化ガス液面センサー素子に関し、実施例13と同様にして測定誤差を求めたところ、センサー素子による測定の誤差は目視による計測値の5%だった。
<実施例29>
マグネシウムとホウ素の2元化合物をMgとしそのモル比X:Yが0.7:2になるように、電気メッキ法による液化ガス液面センサー素子を作製時の塩化マグネシウム・塩化ナトリウム・塩化カリウム・ホウ酸マグネシウムの配合を調整して、実施例1と同様にして液化ガス液面センサー素子を作製した。得られた化合物Mgの超電導臨界温度は27Kだった。得られた液化ガス液面センサー素子に関し、実施例13と同様にして測定誤差を求めたところ、センサー素子による測定の誤差は目視による計測値の10%だった。
<実施例30>
マグネシウムとホウ素の2元化合物をMgとしそのモル比X:Yが0.9:2になるように、電気メッキ法による液化ガス液面センサー素子を作製時の塩化マグネシウム・塩化ナトリウム・塩化カリウム・ホウ酸マグネシウムの配合を調整して、実施例1と同様にして液化ガス液面センサー素子を作製した。得られた化合物Mgの超電導臨界温度は31Kだった。得られた液化ガス液面センサー素子に関し、実施例13と同様にして測定誤差を求めたところ、センサー素子による測定の誤差は目視による計測値の12%だった。
<実施例31>
マグネシウムとホウ素の2元化合物をMgとしそのモル比X:Yが1.1:2になるように、電気メッキ法による液化ガス液面センサー素子を作製時の塩化マグネシウム・塩化ナトリウム・塩化カリウム・ホウ酸マグネシウムの配合を調整して、実施例1と同様にして液化ガス液面センサー素子を作製した。得られた化合物Mgの超電導臨界温度は30Kだった。得られた液化ガス液面センサー素子に関し、実施例13と同様にして測定誤差を求めたところ、センサー素子による測定の誤差は目視による計測値の14%だった。
<実施例32>
マグネシウムとホウ素の2元化合物をMgとしそのモル比X:Yが1.4:2になるように、電気メッキ法による液化ガス液面センサー素子を作製時の塩化マグネシウム・塩化ナトリウム・塩化カリウム・ホウ酸マグネシウムの配合を調整して、実施例1と同様にして液化ガス液面センサー素子を作製した。得られた化合物Mgの超電導臨界温度は26Kだった。得られた液化ガス液面センサー素子に関し、実施例13と同様にして測定誤差を求めたところ、センサー素子による測定の誤差は目視による計測値の10%だった。
<実施例33>
マグネシウムとホウ素の2元化合物をMgとしそのモル比X:Yが1.6:2になるように、電気メッキ法による液化ガス液面センサー素子を作製時の塩化マグネシウム・塩化ナトリウム・塩化カリウム・ホウ酸マグネシウムの配合を調整して、実施例1と同様にして液化ガス液面センサー素子を作製した。得られた化合物Mgの超電導臨界温度は24Kだった。得られた液化ガス液面センサー素子に関し、実施例13と同様にして測定誤差を求めたところ、センサー素子による測定の誤差は目視による計測値の10%だった。
<実施例34>
マグネシウムとホウ素の2元化合物をMgとしそのモル比X:Yが1.8:2になるように、電気メッキ法による液化ガス液面センサー素子を作製時の塩化マグネシウム・塩化ナトリウム・塩化カリウム・ホウ酸マグネシウムの配合を調整して、実施例1と同様にして液化ガス液面センサー素子を作製した。得られた化合物Mgの超電導臨界温度は22Kだった。得られた液化ガス液面センサー素子に関し、実施例13と同様にして測定誤差を求めたところ、センサー素子による測定の誤差は目視による計測値の8%だった。
<比較例3>
マグネシウムとホウ素の2元化合物をMgとしそのモル比X:Yが1:0.8になるように、電気メッキ法による液化ガス液面センサー素子を作製時の塩化マグネシウム・塩化ナトリウム・塩化カリウム・ホウ酸マグネシウムの配合を調整して、実施例1と同様にして液化ガス液面センサー素子を作製した。得られた化合物Mgの超電導臨界温度は19Kだった。得られた液化ガス液面センサー素子を用いて液面計測を試みたが、臨界温度が低すぎたため、計測環境では超電導遷移が生じず、液面計測は不可能であった。
<比較例4>
マグネシウムとホウ素の2元化合物をMgとしそのモル比X:Yが1:1.0になるように、電気メッキ法による液化ガス液面センサー素子を作製時の塩化マグネシウム・塩化ナトリウム・塩化カリウム・ホウ酸マグネシウムの配合を調整して、実施例1と同様にして液化ガス液面センサー素子を作製した。得られた化合物Mgの超電導臨界温度は20Kだった。得られた液化ガス液面センサー素子を用いて液面計測を試みたが、臨界温度が低すぎたため、計測環境では超電導遷移が生じず、液面計測は不可能であった。
<比較例5>
マグネシウムとホウ素の2元化合物をMgとしそのモル比X:Yが1:2.9になるように、電気メッキ法による液化ガス液面センサー素子を作製時の塩化マグネシウム・塩化ナトリウム・塩化カリウム・ホウ酸マグネシウムの配合を調整して、実施例1と同様にして液化ガス液面センサー素子を作製した。得られた化合物Mgの超電導臨界温度は19Kだった。得られた液化ガス液面センサー素子を用いて液面計測を試みたが、臨界温度が低すぎたため、計測環境では超電導遷移が生じず、液面計測は不可能であった。
<比較例6>
マグネシウムとホウ素の2元化合物をMgとしそのモル比X:Yが0.3:2になるように、電気メッキ法による液化ガス液面センサー素子を作製時の塩化マグネシウム・塩化ナトリウム・塩化カリウム・ホウ酸マグネシウムの配合を調整して、実施例1と同様にして液化ガス液面センサー素子を作製した。得られた化合物Mgの超電導臨界温度は19Kだった。得られた液化ガス液面センサー素子を用いて液面計測を試みたが、臨界温度が低すぎたため、計測環境では超電導遷移が生じず、液面計測は不可能であった。
<比較例7>
マグネシウムとホウ素の2元化合物をMgとしそのモル比X:Yが1.9:2になるように、電気メッキ法による液化ガス液面センサー素子を作製時の塩化マグネシウム・塩化ナトリウム・塩化カリウム・ホウ酸マグネシウムの配合を調整して、実施例1と同様にして液化ガス液面センサー素子を作製した。得られた化合物Mgの超電導臨界温度は20Kだった。得られた液化ガス液面センサー素子を用いて液面計測を試みたが、臨界温度が低すぎたため、計測環境では超電導遷移が生じず、液面計測は不可能であった。
<比較例8>
マグネシウムとホウ素の2元化合物をMgとしそのモル比X:Yが2.0:2になるように、電気メッキ法による液化ガス液面センサー素子を作製時の塩化マグネシウム・塩化ナトリウム・塩化カリウム・ホウ酸マグネシウムの配合を調整して、実施例1と同様にして液化ガス液面センサー素子を作製した。得られた化合物Mgの超電導臨界温度は15Kだった。得られた液化ガス液面センサー素子を用いて液面計測を試みたが、臨界温度が低すぎたため、計測環境では超電導遷移が生じず、液面計測は不可能であった。
【0052】
実施例20〜27、および比較例3〜5の結果を表5に、実施例28〜34、および比較例6〜8の結果を表6にそれぞれまとめた。液面レベルの測定誤差の許容範囲を、目視計測値の15%以内とすると、この結果により、金属芯表面に配設されるMgB超電導層をマグネシウムとホウ素の2元化合物Mgとし、そのモル比X:Yを
X=1、かつ、Y=1.2〜1.9もしくは2.1〜2.8
Y=2、かつ、X=0.4〜0.9もしくは1.1〜1.8
とすることにより、より精度の高い液面レベルの計測が可能になることがわかった。
【表5】

【表6】

<実施例35>
線径が0.08mmのインコネル線を金属芯として使用し、MgB超電導層(MgB)の膜厚を0.05mとしたこと以外は実施例1と同様の条件で電気メッキ法により液化ガス液面センサー素子を作製した。液体状に溶かしたエポキシ系樹脂(スタイキャスト2850FT (株)ジェック東理社製)に作製した液化ガス液面センサー素子を挿入し、真空中で含浸処理を行った。そして、含浸補強したセンサー素子に電流リード線、電圧リード線を取り付けた。
ここでは、含浸したセンサー素子に取り付けたリード線に1kg重の張力を意図的に加え、センサー素子の動作確認を行った。含浸したセンサー素子を10サンプル作製し、動作を確認した結果、含浸補強したセンサー素子は断線や性能劣化が生じなかった。
<実施例36>
実施例35と同様にして作製した液化ガス液面センサー素子を、樹脂に挿入せずに、実施例35と同様の評価を行った。その結果、断線が2サンプル、性能劣化が6サンプルに発生した。
<実施例37>
実施例35と同様にして作製した液化ガス液面センサー素子に関し、経年による応答速度の変化を調べた。その結果、樹脂に挿入した場合には、作製後2年間経過しても性能劣化が全くないことがわかった。
<実施例38>
実施例35と同様にして作製した液化ガス液面センサー素子を、樹脂に挿入せずに、実施例37と同様の評価を行った。その結果、作製後30日で応答速度が2%、90日で3%、1年で5%低下することがわかった。
【0053】
実施例35〜38の結果より、センサー素子を含浸補強することは、熱応力や歪などが原因で生じる性能劣化、および経年による性能劣化を防止する有効な手段であることがわかった。
<実施例39>
図7に本実施例における同軸状液化ガス液面センサー素子を用いた液化ガスの液面計測システムを示す。本実施例では液化ガス液面センサー素子の下端部は短絡されており、図8に示すような円柱単層構造の液化ガス液面センサー素子である。容器内の液化ガス22の液面と垂直に多層構造のセンサー素子を挿入し、直流電流源18から適当な電流を流し、その電気抵抗から液面レベル23を計測した。基本特性は図1に示す構成のセンサー素子と変わらないが、センサー素子下端部からの電流リード線20や電圧リード線21の引き回しがなくなり、配線が簡素化された。また、センサー素子下端から上端へ引き上げる際に断線する確率も激減した。
【0054】
通常のセンサー素子は金属のパイプ内に組み込まれた状態になっているが、センサー素子下端部からの計測線がセンサー素子線に接触すると、熱的な不具合が生じ、応答速度の低下や液面レベルの正確な位置を計測できないなどの問題が発生していた。これに対し、本実施例の断面構成を適用し、電気抵抗率の計測線の引き回しを簡素化することにより、応答速度が10〜40%向上した。また、液面レベルの計測精度は8〜25%向上した。
<実施例40>
燃料電池搭載車両に水素を供給する水素ステーションの水素導入ラインおよび水素供給ラインに、本願発明の液化ガス液面センサー素子を導入した。図9は、本願発明における燃料電池搭載車両に供給するための水素導入ラインおよび水素供給ライン、水素ステーションの概念図である。実際には必要な特性を得るための工夫がなされており、そのための具体的な構成を有している。
【0055】
水素供給源26から車両に水素を供給するには、固定式あるいは移動式の水素ステーション27へ水素を導入する導入ラインと、水素ステーション27から燃料電池搭載車両28へ水素を供給する供給ラインとから構成される。貯蔵タンクや、導入ラインおよび供給ラインの配管は水素吸着合金であることが望ましい。また、ラインの一箇所あるいは複数箇所に電磁バルブを設けることも好適である。
【0056】
このような液体水素導入ラインおよび供給ラインにおける液体水素の液面レベルを計測するために、実施例39と同様に作製した構成を有する多層構造の液化ガス液面センサー素子を設置し、その量を監視、制御した。また、燃料電池搭載車両28にも液化ガス液面センサー素子を設置した。
これにより、従来の機械的、光学的および電気的な方法に比べて、応答速度が80%以上、液面レベルの計測精度が55%以上向上した。
【0057】
なお、今までの実施例では、冷媒として液体水素の場合を例に説明したが、液体ヘリウム、液体ネオン、液体窒素、液体酸素、液体空気、あるいは液体不活性ガスなどとそれら冷媒の沸点に近い臨界温度を持つ、超電導体を液化ガス液面センサー素子として用いても同様な構成で超電導式液化ガス液面センサー素子を作製できることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本願発明の液化ガス液面センサー素子の一例の断面図である。
【図2】本願発明の液化ガス液面センサー素子の一例の断面図である。
【図3】本願発明の液化ガス液面センサー素子の一例の断面図である。
【図4】本願発明の液化ガス液面センサー素子を利用した液面計測システムの概略図である。
【図5】本願発明の液化ガス液面センサー素子の温度変化に対する電気抵抗値の変化を表す図である。
【図6】実施例8〜12の液化ガス液面センサー素子の電気抵抗の温度依存性を表す図である。
【図7】実施例39の液化ガス液面センサー素子を利用した液面計測システムの概略図である。
【図8】実施例39の液化ガス液面センサー素子の側断面図である。
【図9】燃料電池搭載車車両への水素供給システムの概要図である。
【符号の説明】
【0059】
1 金属芯
2 MgB超電導層
3 金属芯
4 MgB超電導層
5 金属芯
6 MgB超電導層
7 液化ガス液面センサー素子
8 直流電流源
9 直流電圧計
10 電流リード線
11 電圧リード線
12 液化ガス
13 液化ガス液面レベル
14 MgB超電導層の常電導時の電気抵抗率が金属芯の電気抵抗率の1倍の時の、液化ガス液面センサー素子の電気抵抗率の温度依存性
15 MgB超電導層の常電導時の電気抵抗率が金属芯の電気抵抗率の3倍の時の、液化ガス液面センサー素子の電気抵抗率の温度依存性
16 MgB超電導層の常電導時の電気抵抗率が金属芯の電気抵抗率の5〜100倍の時の、液化ガス液面センサー素子の電気抵抗率の温度依存性
17 液化ガス液面センサー素子
18 直流電流源
19 直流電圧計
20 電流リード線
21 電圧リード線
22 液化ガス
23 液面レベル
24 金属芯
25 MgB超電導層
26 水素供給源
27 固定式あるいは移動式水素ステーション
28 燃料電池搭載車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属からなる線状導体の表面の全体または一部に、マグネシウムとホウ素を含む超電導化合物層が長手方向に連続的に配設されており、液面計測時にマグネシウムとホウ素の化合物の液中浸漬部が超電導状態となっていることを特徴とする液化ガス液面センサー素子。
【請求項2】
マグネシウムとホウ素を含む超電導化合物層がマグネシウムとホウ素の2元化合物からなり、MgとBのモル比が、Mg:B=X:Yとして、X=1、Y=1.2〜1.9もしくは2.1〜2.8の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の液化ガス液面センサー素子。
【請求項3】
マグネシウムとホウ素を含む超電導化合物層がマグネシウムとホウ素の2元化合物からなり、MgとBのモル比が、Mg:B=X:Yとして、Y=2、X=0.4〜0.9もしくは1.1〜1.8の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の液化ガス液面センサー素子。
【請求項4】
液化ガス液面センサー素子の形状を円柱とした場合における円柱の直径が0.04mm〜0.2mmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の液化ガス液面センサー素子。
【請求項5】
線状導体の表面に配設されたマグネシウムとホウ素を含む超電導化合物層の常電導時の電気抵抗率が、線状導体の電気抵抗率の5倍〜100倍の範囲内であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の液化ガス液面センサー素子。
【請求項6】
液化ガス液面センサー素子の温度300Kでの電気抵抗率をρ(300K)、温度40Kでの電気抵抗率をρ(40K)としたとき、1-(ρ(40K)/ρ(300K))の値が0.5以下であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の液化ガス液面センサー素子。
【請求項7】
マグネシウムとホウ素を含む超電導化合物層が、炭素、ケイ素より選ばれる一種類以上の元素を含むことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の液化ガス液面センサー素子。
【請求項8】
表面に樹脂が塗布されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の液化ガス液面センサー素子。
【請求項9】
マグネシウムとホウ素を含む超電導化合物層と金属が、同軸状に積層された多層構造を形成し、超電導化合物層同士が片端で短絡していることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の液化ガス液面センサー素子。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載のセンサー素子を具有していることを特徴とする液化ガス液面センサー。
【請求項11】
燃料電池搭載車両に水素を供給するための水素ステーションで稼動される液化ガス液面センサーであって、センサー素子が、水素導入源から水素ステーションへ水素を導入する導入ラインと、水素ステーションから燃料電池搭載車両へ水素を供給する供給ラインに具備され、ライン内の液体水素の流量を定量することを特徴とする請求項10に記載の水素ステーション対応型液化ガス液面センサー。
【請求項12】
請求項1から9のいずれかに記載の液化ガス液面センサー素子の製造方法であって、金属からなる線状導体の表面の全体または一部に、マグネシウムとホウ素を含む化合物超電導層を、電気メッキ法により配設することを特徴とする液化ガス液面センサー素子の製造方法。

【図5】
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【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−304074(P2007−304074A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−135799(P2006−135799)
【出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【出願人】(301023238)独立行政法人物質・材料研究機構 (1,333)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】