説明

液化炭化水素流からガス状炭化水素流を発生させる方法及び装置

a)貯蔵タンク2の入口21から液化天然ガスのような液化炭化水素流10を供給して、貯蔵タンク2に液化炭化水素を供給する工程、b)該貯蔵タンク2から液化炭化水素の少なくとも一部40を取出して、取出した液化炭化水素流40を供給する工程、c)取出した液化炭化水素流40の少なくとも一部を、膨張器4の下流で、かつ貯蔵タンク2入口の上流のライン10、20に通す工程、d)ガス状炭化水素流50、60を燃料ガスとして発生させ、取出す工程を含む、液化炭化水素流10からガス状炭化水素流を発生させる方法で、液化プラントの始動に特に好適。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化天然ガス(LNG)のような液化炭化水素流からガス状炭化水素流を生成する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの理由から天然ガスのような炭化水素流は液化することが望ましい。一例として、液体は、ガスの形態よりも占有容積が小さく、高圧で貯蔵する必要がないので、天然ガスは、液体として貯蔵タンクに貯蔵できる上、ガスの形態よりも一層長距離に亘って容易に輸送できる。LNG(又は他の液化炭化水素流)は、一旦目的地に着くと、通常、他の貯蔵タンクに荷下しされ、次いで、必要ならば、再気化され、パイプライン等を経由して最終ユーザーに輸送される。
【0003】
米国特許第5615561号は、天然ガスの液化方法を開示している。図5cは、若干のLNGは、貯蔵タンクから抜出しできることを示している。これは、該液化方法の供給原料に再循環するものであると述べている。
欧州特許出願公開第1132698A1号は、LNG貯蔵タンクから沸騰した蒸気の再液化法を開示している。この沸騰蒸気は、圧縮し、凝縮後、貯蔵タンクに戻している。
米国特許第3857245号は、LNG貯蔵タンクから沸騰した蒸気の一部を再液化する方法を開示している。KNG流は、タンクから抜出される。
【0004】
米国特許第3581511号は、ガス液化システムを開示し、図3は、過冷却したメタンを貯蔵タンクから取出す実施態様を示している。これを冷ガス流及び貯蔵タンクからの過剰ガスと組合わせ、混合冷媒流を形成する。
フランス特許(FR)第1419550号は、天然ガスの液化に有用な液化方法及び装置を開示している。液化ガス流は、LNG貯蔵タンクから取出され、原料流の冷却に使用される。
【0005】
液化プラントで天然ガスの液化中に発生したガス状天然ガスを、この液化プラントの燃料として使用することが知られている。また、LNG貯蔵タンク内のLNGから発生した沸騰ガスを燃料として使用することが知られている。
【0006】
一例として、米国特許第6658892号は、液化プラント内で冷却に使用すると共に、燃料ガスとして使用する蒸気を回収するため、システム内で普通の分離器(例えばフラッシュ容器)及び蒸気圧縮器を多数列(train)で使用する天然ガスの液化方法を開示している。この特許は更に、フラッシュ容器で発生した蒸気とは別に、製造したLNGを貯蔵する貯蔵タンクで発生した蒸気も燃料ガスとして使用することを開示している。
【0007】
LNGから燃料ガスを発生させる公知の方法による燃料の発生量は、液化ブラントを通常の操作条件下で操作するのに十分な量である。
しかし、公知方法の問題は、特殊の事情が生じた場合は不十分なことである。
【0008】
上記問題は、液化プラントを始動する必要がある場合、なお一層関連する。液化プラントの始動には、多量の燃料を要して、各種要因を取り除き、所望の操作温度に冷却する必要があるので、かなりの時間がかかる可能性がある。また、利用可能な燃料ガスは、規格外かも知れない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上記問題の1つ以上を最小化することである。
本発明の別の目的は、特に炭化水素流、特に天然ガスの液化用プラントの始動中、燃料として使用可能な液化炭化水素流からガス状炭化水素流を発生させる代りの方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、
a)貯蔵タンクの入口から液化炭化水素流を供給して、貯蔵タンクに液化炭化水素を供給する工程、
b)該貯蔵タンクから液化炭化水素の少なくとも一部を取出して、取出した液化炭化水素流を供給する工程、
c)取出した液化炭化水素流の少なくとも一部を、膨張器の下流で、かつ貯蔵タンク入口の上流のラインに通す工程、
d)ガス状炭化水素流を燃料ガスとして発生させ、取出す工程、
を少なくとも含む液化炭化水素流からガス状炭化水素流を発生させる方法を提供する。
【0011】
別の局面では本発明は、
液化炭化水素流を供給するための入口、液化炭化水素を排出するための第一出口、及びガス状炭化水素流を排出するための第二出口を有し、該第二出口は燃料ガス流に接続している貯蔵タンク、
を少なくとも備えた装置であって、貯蔵タンクの第一出口は、ラインの第一入口に接続し、該ラインは膨張器の下流の1箇所に接続した第二入口を有すると共に、貯蔵タンク用入口の上流の1箇所に接続した出口を有する該装置を提供する。
更に本発明を以下の非限定的図面により説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施態様による工程計画の概略を示す。
【図2】本発明の他の実施態様による工程計画の概略を示す。
【図3】本発明の更に別の実施態様による工程計画の概略を示す。
【0013】
図面の説明の目的で、単一符号はライン及びそのライン中の流れを表す。同じ符号は同様な構成部品を言う。
ここで説明した方法の各種実施態様では、ガス状炭化水素流は、液化天然ガスを含有してよい液化炭化水素流から発生する。液化炭化水素流は、例えば貯蔵タンクに(工程a)の一部として)予め供給した液化炭化水素の少なくとも一部を取出すことにより、得られる取出し炭化水素流であってよい。このガス状炭化水素流は、燃料ガスとして使用するために発生させる。燃料ガスとしてガス状炭化水素流を発生させ、取出す工程は、以下、工程d)と言ってよい。
【0014】
ここで説明した方法及び/又は装置のこれら実施態様を使用すると、驚くほど大量の燃料ガスが極めて経済的な方法で得られる。
【0015】
ここで説明した方法及び/又は装置は、LNGプラントのような液化プラントの始動中に使用できる。この場合、発生した燃料は、通常、液化プラントの始動中に発生又は得られる燃料ガスよりも一層望ましい組成を有する。この場合、工程a)に供給される液化炭化水素流は、好ましくは別の供給源から得られる。即ち、この液化炭化水素流は、別の異なる液化プラントで製造される。始動中のプラントで液化されなかったが、別の液化プラントで予め液化された既存の液化炭化水素流を使用してよい。別の液化プラントで液化された液化炭化水素流は、既に始動した近くの液化系列で製造したものでよい。しかし、別の液化プラントで液化した液化炭化水素流は、遠隔地で製造され、船積みしたか、或いは始動させるプラントが位置する場所まで輸送したものである。別の液化プラントで液化した液化炭化水素流は、荷下ろし用LNG運搬車両から得たものでもよいし、或いは貯蔵タンクで一時的に貯蔵してもよい。
【0016】
プラントを始動した後、プラントが燃料ガスを発生できる場合、必要ならば、通常の操作を行うことができ、また別の液化天然ガス供給源との接続を解除してよい。
燃料ガスは、例えばプラント内のガスタービンの発電用燃料ガスシステムを試運転するため、配電システムを試運転するため、ヒーターを着火させる(fire)ため、等に使用してよい。
【0017】
燃料ガスは、プラントのガスタービンを着火させるため、特に圧縮機、好ましくは始動させるプラントにおいて液化される炭化水素原料流の少なくとも一部を冷却するのに使用される冷凍サイクルの一部を形成する圧縮機を駆動するため、使用することが好ましい。
【0018】
ここで説明した方法及び/又は装置の更に別の利点は、プラントの更に下流側に位置する設備及び配管システムを一層速い時期に、例えば液化プラント蒸留部品の始動が完了するのに充分前に、更には液化される炭化水素原料流が存在する前に始動できることである。
【0019】
更に、液化炭化水素流の少なくとも一部は、始動させるプラントに使用される流れと熱交換してよい。この熱交換は、液化炭化水素を気化して、ガス状炭化水素流を発生させる。
【0020】
ここで使用する用語“始動”とは、現存プラントの再始動の他、新規プラントの始動を意味する。更に用語“始動”は、プラントを冷却するために行なう活動に限定されるばかりでなく、プラントの設備を設置した後であるが、プラントを冷却する前、或いは液化炭化水素製品及び燃料ガスを実際に製造するため、炭化水素原料流を導入する前に行う活動のようなプラントの試運転も含む。この試運転には、例えば各種設備及び配管システムのテスト、パージ及び乾燥が含まれる。
【0021】
ここで説明した方法の別の利点は、液化プラントの始動に使用すると、時間の損失が著しく低下することである。
【0022】
これに関連して、F.W.Richardson、P.ハンター、P.Diocee及びJ.Fischerによる提案“きれいにバトンタッチすること(Passing the Baton cleanly”,GasTeck 2000,2000年11月12−17日参照。この提案は、トリニダードのPoint Fortinにある大西洋LNG工場での試運転、始動及び操作を討議している。この提案から学習できるように、LNGプラントの始動には、かなりの時間を必要とし、優に6ヶ月を超える可能性がある。液化プラントの前記始動方法で、始動中に発生した燃料ガスは、冷凍サイクルの1つ以上の圧縮機の駆動用ガスタービンを着火するのに使用される。公知方法の欠点は、始動中に得られるガス燃料がガスタービンの規格にないことである。更に、ガスタービンは、若干の燃料ガスがプラントに利用可能となってから、初めて始動させるので、かなりの時間を失うことになる。本発明では規格内の燃料が発生し、しかも液化始動前に利用できるので、このような時間の損失は大幅に低下する。
【0023】
液化炭化水素原料流は、液化ガス流を含むいかなる好適な炭化水素であってもよいが、通常は天然ガス又は石油資源から得られた天然ガスである液化天然ガス(LNG)流である。或いは天然ガスは、フィッシャー・トロプシュ法のような合成供給源を含む他の供給源から得られたものでもよい。
【0024】
通常、天然ガス流は、ほぼメタンで構成される。天然ガスは、原料により各種量の、エタン、プロパン、ブタン及びペンタンのようなメタンより重質の炭化水素や若干の芳香族炭化水素を含有する。天然ガス流は、HO,N,CO,HS及びその他の化合物のような非炭化水素も含有してよい。
【0025】
他の実施態様では、工程a)に供給される液化炭化水素流は、気液分離器の第一出口から得られる。気液分離器の第一入口からは、部分凝縮した炭化水素流が供給される。気液分離器は、通常、液化プラントの一部を形成するフラッシュ容器である。液化プラントは、特定の陣容(line−up)に限定されない各種陣容の1つであってよい。当業者は、炭化水素の液化法を容易に理解しているので、ここでは更に充分詳細には説明しない。プラントは、例えば1工程以上で原料流を冷却するため、それぞれの冷媒サイクルを有する1つ以上の熱交換器;原料流からHO,N,CO,HS及びその他の硫黄化合物等、望ましくない成分を除去するための1つ以上の予備処理ユニット;エタン、プロパン、ブタン及びペンタンのようなメタンより重質の1つ以上の炭化水素を除去するためのいわゆるNGL(天然ガス液体)抽出ユニット;液化製品を貯蔵するための1つ以上の貯蔵タンクを備えてよい。
【0026】
気液分離器の前には膨張器があり、ここから部分凝縮炭化水素流が得られる。
本方法の工程d)で発生したガス状炭化水素流は、数箇所で発生したものでよい。ガス状炭化水素流の少なくとも一部は、気液分離器の第二出口から取出すことが好ましい。更に、又は或いは、ガス状炭化水素流の少なくとも一部は、貯蔵タンク内で発生し、これから取出される。
【0027】
本発明の他の実施態様では、貯蔵タンクから取出したガス状炭化水素流の少なくとも一部は、気液分離器の第二出口から取出したガス状炭化水素流の少なくとも一部と組合される。
通常、ガス状炭化水素流は圧縮され、これにより圧縮ガス状炭化水素流が得られる。
【0028】
以下に工程c)と言えるもの(what)では、取出した液化炭化水素流(貯蔵タンクから取出した)の少なくとも一部は、膨張器の下流で、かつ貯蔵タンク入口の上流のラインに通され、これから液化炭化水素流が貯蔵タンクに供給される。この通過工程は、貯蔵タンク入口の上流で、かつ膨張器入口の下流の数箇所のうちの1つ以上に対し行われる。これに関連して注目することは、本発明において“貯蔵タンク入口の上流”とは、貯蔵タンクがプラントの一部を形成できる液化プラントの通常操作中の複数の流れを言うことである。したがって、通常操作中、液化される炭化水素含有流は、1つ以上の熱交換器中で冷却され、これにより(任意の終了フラッシュ及びその他の処理工程後)貯蔵タンクに通される液化炭化水素含有流が得られる。
【0029】
他の実施態様では、取出した液化炭化水素流の少なくとも一部は、気液分離器の第一出口と貯蔵タンクの入口間、好ましくは気液分離器の第一出口とポンプ間の1箇所に通される。
【0030】
他の実施態様では取出した液化炭化水素流の少なくとも一部は、膨張器と気液分離器の第一入口間に通される。
更に、取出した液化炭化水素流の少なくとも一部は、圧縮ガス状炭化水素流の少なくとも一部と組合され、これにより組合わせ流が得られる。この組合わせ流は膨張器の下流に通される。
【0031】
また、組合わせ流の少なくとも一部を膨張器と気液分離器の第一入口間の1箇所に通すと有利である。
更に、組合わせ流の少なくとも一部は、気液分離器の第一出口と貯蔵タンクの入口間、好ましくはポンプと貯蔵タンクの入口間の1箇所に通してもよい。
【実施例】
【0032】
図1に液化炭化水素流10(多くの場合、天然ガス(LNG)流の形態であってよい)からガス状天然ガス流の発生に使用される工程計画及び装置(一般的に符号1で示す)を概略的に示す。これは、特にLNGプントの始動中、規格内燃料ガスがないか、充分得られない場合望ましい。
【0033】
装置1は、一般にLNG貯蔵タンク2、該タンク2の蒸留にあるフラッシュ容器3(或いは他の分離器)のような気液分離器、フラッシュ容器3の上流で、かつ例えば液化ユニット9の形態のLNG供給源の下流にある膨張器4、圧縮機系列5、吸引ドラム7、及び蒸発(boil−off)ガス圧縮機8を備える。
【0034】
装置1の使用中、LNG流10は、入口21から貯蔵タンク2に供給される。入口21は、タンク2の頂部又は好適な他の場所に配置することが好ましい。LNG流10は、各種供給源から得られる。当業者ならば、装置1は2つ以上の貯蔵タンク2を備えてよいことを理解する。
【0035】
図1の(非限定的)実施態様に示すように、原料流10は、抜出し(rundown)ポンプ6を用い、フラッシュ容器3の第一出口32から得られる。図示の実施態様では、出口32は、フラッシュ容器3の底部に設けられる。フラッシュ容器には予め膨張器4から出る部分凝縮流20が(第一入口31から)供給されている。膨張器4は、通常、液化ユニット9の一部を形成する。液化ユニットでは予め天然ガス流(図示せず)を液化し、これによりLNG流30が得られている。当業者は、液化ユニット9は、特定の陣容に限定することなく、各種陣容の1つであることを理解している。当業者は、天然ガスのような炭化水素流を液化する方法を容易に理解しているので、ここでは更に検討しない。
【0036】
代りの実施態様では、例えば液化ユニット9がなお始動されるものであれば、LNG流30は、別の供給源、例えば補助貯蔵タンク18又は既に運転中の別のLNGプラントから得たものでもよい。その代り、別の供給源からのLNG流は、膨張器4の直ぐ下流に、例えば補助貯蔵タンク18から例えばライン10(即ち、流れ19として)に、膨張器4に(流れ30として)供給する代りに装置1の貯蔵タンク2に供給してよい。
【0037】
LNG流10を貯蔵タンク2に供給した後、貯蔵タンク2に供給したLNG流10の少なくとも一部は、ポンプ25を用いて第一出口22から取出し、取出した液化炭化水素流40として貯蔵タンク2の入口21の上流の1箇所に通してよい。その結果、装置1にガス状天然ガス流が発生し、更に燃料ガスとして使用するため、取出される。
【0038】
所望ならば、タンク2から更にLNG流90を取出してよい(第一出口22からでも或いは異なる出口から)。このLNG流90は、例えば次の船積み用の積載設備(図示せず)に送ってよい。後者は、通常、LNGユニット9がフル運転中の場合だけである。
【0039】
ガス状天然ガス流は、1箇所以上で発生できる。ガス状天然ガス流の少なくとも一部は、フラッシュ容器3で発生させ、第二出口33から流れ50として取出すことが好ましい。
或いは又は更に、ガス状天然ガス流の少なくとも一部は、貯蔵タンク2で発生させ、第二出口23から流れ60として取出される。
【0040】
更に、ガス状天然ガス流の少なくとも一部は、貯蔵タンクから取出した液化炭化水素流をプラント中の他の流れと熱交換し、液体炭化水素(図示せず)を気化させて、発生させてもよい。
【0041】
他の実施態様では、貯蔵タンクから取出したガス流60の少なくとも一部は、接続点11(通常、T字片等)において、フラッシュ容器3の第二出口33から取出したガス流50の少なくとも一部と組合わされる。図1の実施態様では、ガス流60は、この目的のため、(分裂器24の所で)流れ60aと流れ60bとに分裂される。任意に、別のガス状炭化水素流60g、例えば他の別の液化炭化水素貯蔵タンク(図示せず)から取出したガス状炭化水素流を分裂器24の所で添加してよい。
【0042】
流れ60bは、吸引ドラム7に送られ、流れ60bを流れ60c及び60dに分離する。そのうち流れ60dは、蒸発圧縮機8で圧縮される。圧縮流60eは、例えば周囲冷却器61で冷却され、燃料流60fとして送り出される。吸引ドラム7からの液体底部流60cは、任意にLNG流10と組合わせた後、貯蔵タンク2に戻してよい。
【0043】
流れ60aは、接続点11に送られ、流れ50と組合わされ、次いで、流れ70として圧縮機系列5に通される。この目的のため、接続点11は、圧縮機系列5に接続した出口、フラッシュ容器3の第二出口33に接続した第一入口及び貯蔵タンク2の第二出口23に(ライン60,60a経由で)接続した第二入口を備える。
【0044】
引続き、ガス流70(又は接続点11で前記組合わせが起こらなければ、ガス流50)は、圧縮機系列5で圧縮され、これにより圧縮ガス流80が得られる。圧縮機系列5は、モーターMで駆動される2つの圧縮機5a及び5bを備える。所望ならば圧縮機系列5は、代りに3つ以上の圧縮機を備えてもよい。圧縮機5aで圧縮後、流れ80は、流れ80a及び80bに分裂してよい。流れ80aは、例えば周囲冷却器80を用いて冷却され、次いで更に圧縮機5bで圧縮され、燃料流80cとして送り出される。
【0045】
前述のように、貯蔵タンク2からのLNG流40は、貯蔵タンク2の入口21の上流で、かつ膨張器4の下流の1箇所に通される。図1では流れ40が通過できる可能な数箇所のうちの2箇所を示す。言うまでもなく、指定したか又は他の1つ、2つ又はそれ以上の選択肢を選択できる。
【0046】
LNG流40の少なくとも一部は膨張器4の下流に(流れ40aとして)、好ましくは膨張器4とフラッシュ容器3の第一入口31間、即ち、接続点12に通してよい。所望ならば、流れ40aもフラッシュ容器3に別の流れとして供給してよい。
【0047】
一実施態様では、LNG流40の少なくとも一部は、圧縮流80の少なくとも一部(即ち、流れ80b)と組合わせ、これにより組合わせ流40bとしてよい。次に組合わせ流40bは、膨張器4下流の或る所、例えばフラッシュ容器3の第一入口31に(ライン20経由で)接続した出口を有する接続点13、膨張器4に接続した第一入口、並びに貯蔵タンク2の第一出口22(ライン40b、40経由)及び圧縮機5aの出口(ライン40b、80b、80)の両方に接続した第二入口に通してよい。
【0048】
流れ10の一部(即ち、流れ10a)は、フラッシュ容器3の第二入口34に送ってよい。
本発明が提供した方法及び/又は装置を用いて、大量の規格内燃料ガスを驚くほど簡単で効果的な方法で発生できる。
【0049】
図2は、流れ40が流れ80bと組合わせできることを概略的に示す。組合わせ流は、引き続き膨張器4の上流の1箇所に(流れ40cとして)通される。本発明の一実施態様では、流れ40cは、膨張器4の下流に通される流れ、例えば流れ40aと組合わされて供給される。LNGが膨張器4で膨張されるものではない場合、ブラインド26により確実に、膨張器4はバイパスされ、次いで流れ40cは流れ40dとして膨張器4下流の接続点27に通される。
【0050】
図3は、本発明の別の実施態様を概略的に示す。図3に示すように、組合わせ流70(圧縮機5aで圧縮し、流れ40の少なくとも一部と組合わせた後)は、流れ40eとして、フラッシュ容器3の第一出口32と貯蔵タンク2の入口21間、好ましくは抜出しポンプ6と貯蔵タンク2の入口21間の1箇所(例えば接続点15又は16)に通される。
【0051】
図3から明らかなように、接続点15又は16は、貯蔵タンク2の入口21に接続した出口、貯蔵タンク2の第一出口22(ライン40e、40経由で)及び圧縮機5aの出口(ライン40e、80b、80経由で)の両方に接続した第一出口、並びにフラッシュ容器の第一出口32(ポンプ6経由で)に接続した第二入口を備えてよい。
【0052】
図3は更に、任意に(例えば吸引ドラムの直ぐ上流の)接続点17で流れ60bと組合わせた後、流れ40eが(流れ40fとして)吸引ドラム7に通してよいことを示している。
【0053】
当業者は、発明の範囲を逸脱することなく、多くの改変を行ってよいことを容易に理解している。一例として、膨張器4は2以上の膨張段階を有してよい。更に、接続点11〜17、27は、それぞれの流れを1つの流れに組合わせるいかなる装置であってもよい。また、液化炭化水素流10は、入口21を経由する代りに出口22経由(但し、この場合は、入口として一時的に機能する)で貯蔵タンク2に供給したものでもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0054】
【特許文献1】米国特許第5615561号
【特許文献2】欧州特許出願公開第1132698A1号
【特許文献3】米国特許第3857245号
【特許文献4】米国特許第3581511号
【特許文献5】フランス特許(FR)第1419550号
【特許文献6】米国特許第6658892号
【非特許文献】
【0055】
【非特許文献1】F.W.Richardson、P.ハンター、P.Diocee及びJ.Fischerによる表題“きれいにバトンタッチすること(Passing the Baton cleanly”,GasTeck 2000,2000年11月12−17日
【符号の説明】
【0056】
1 ガス状炭化水素流の発生装置
2 LNG貯蔵タンク
3 フラッシュ容器又は分離器
4 膨張器
5 圧縮機系列
6 抜出しポンプ
7 吸引ドラム
8 蒸発ガス圧縮機
9 液化ユニット
10 LNG流又は原料流
15 接続点
16 接続点
18 補助貯蔵タンク
20 部分凝縮流
21 貯蔵タンクの入口
22 貯蔵タンクの第一出口
23 貯蔵タンクの第二出口
24 分裂器
27 接続点
30 LNG流
25 ポンプ
31 フラッシュ容器の第一入口
32 フラッシュ容器の第一出口
33 フラッシュ容器の第二出口
34 フラッシュ容器の第二入口
40 液化炭化水素流又はLNG流
50 ガス流
60 ガス流
70 ガス流
80 圧縮機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)貯蔵タンクの入口から液化炭化水素流を供給して、貯蔵タンクに液化炭化水素を供給する工程、
b)該貯蔵タンクから液化炭化水素の少なくとも一部を取出して、取出した液化炭化水素流を供給する工程、
c)取出した液化炭化水素流の少なくとも一部を、膨張器の下流で、かつ貯蔵タンク入口の上流のラインに通す工程、
d)ガス状炭化水素流を燃料ガスとして発生させ、取出す工程、
を少なくとも含む、液化炭化水素流からガス状炭化水素流を発生させる方法。
【請求項2】
前記方法が液化天然ガスプラントの始動中にガス状炭化水素流を発生させる方法である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程a)で供給された液化炭化水素流が、部分凝縮炭化水素流を第一入口から気液分離器に供給し、該分離器の第一出口から得られる請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記部分凝縮炭化水素流が、膨張器から得られる請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ガス状炭化水素流の少なくとも一部が、気液分離器の第二出口から取出される請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記ガス状炭化水素流の少なくとも一部が、貯蔵タンク中で発生し、該タンクから取出される請求項1〜5の1項以上に記載の方法。
【請求項7】
前記ガス状炭化水素流の少なくとも一部が、貯蔵タンク中で発生し、該タンクから取出され、更に、前記気液分離器の第二出口から取出したガス状炭化水素流の少なくとも一部と組合わされる請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記ガス状炭化水素流の少なくとも一部が圧縮され、これにより圧縮ガス状炭化水素流が得られる請求項1〜7の1項以上に記載の方法。
【請求項9】
工程c)において前記取出した液化炭化水素流の少なくとも一部が、気液分離器の第一出口と前記貯蔵タンクの入口との間の1箇所から前記ラインに通される請求項3〜8の1項以上に記載の方法。
【請求項10】
工程c)において前記取出した液化炭化水素流の少なくとも一部が、膨張器と気液分離器の第一入口との間の1箇所から前記ラインに通される請求項3〜9の1項以上に記載の方法。
【請求項11】
前記取出した液化炭化水素流の少なくとも一部が、ガス状炭化水素流を圧縮して得られた圧縮ガス状炭化水素流の少なくとも一部と組合わされ、これにより組合わせ流が得られ、該組合わせ流が膨張器の下流に通される請求項8〜10の1項以上に記載の方法。
【請求項12】
前記組合わせ流の少なくとも一部が、膨張器と気液分離器の第一入口との間の1箇所から前記ラインに通される請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記組合わせ流の少なくとも一部が、気液分離器の第一出口と貯蔵タンクの入口との間の1箇所から前記ラインに通される請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記組合わせ流の少なくとも一部が、貯蔵タンクのガス状炭化水素出口の下流の1箇所に通される請求項11又は12に記載の方法。
【請求項15】
工程a)に供給された前記液化炭化水素流の少なくとも一部が、別の供給源から得られる請求項1〜14の1項以上に記載の方法。
【請求項16】
前記別の供給源が補助貯蔵タンクを含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記取出した液化炭化水素流の少なくとも一部が、膨張器の上流に通される請求項1〜16の1項以上に記載の方法。
【請求項18】
前記取出した液化炭化水素流の少なくとも一部が、前記圧縮ガス状炭化水素流の少なくとも一部と組合わされ、これにより組合わせ流が得られ、該組合わせ流が膨張器の下流の1箇所に通される請求項8及び11〜14の1項以上に記載の方法。
【請求項19】
液化炭化水素流を供給するための入口、液化炭化水素を排出するための第一出口、及び取出したガス状炭化水素流を排出するための第二出口を有し、該第二出口は燃料ガス流に接続している貯蔵タンク、
を少なくとも備えた、液化炭化水素流からガス状炭化水素流を発生させる装置であって、貯蔵タンクの第一出口は、ラインの第一入口に接続し、該ラインは膨張器の下流の1箇所に接続した第二入口を有すると共に、貯蔵タンク用入口の上流の1箇所に接続した出口を有する該装置。
【請求項20】
部分凝縮炭化水素流用第一入口、液化炭化水素流用第一出口及びガス状炭化水素流用第二出口を有し、該第一出口は貯蔵タンクの入口に接続している気液分離器を更に備える請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記膨張器は、気液分離器の第一入口に接続している請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記気液分離器の第一入口に接続した出口、前記膨張器に接続した第一入口、及び前記貯蔵タンクの第一出口に接続した第二入口を有する接続点を更に備える請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記気液分離器の第二出口に接続した圧縮機を更に備える請求項20から2の1項以上に記載の装置。
【請求項24】
前記圧縮機に接続した出口、前記気液分離器の第二出口に接続した第一入口、及び前記貯蔵タンクの第二出口に接続した第二入口を有する接続点を更に備える請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記気液分離器の第一入口に接続した出口、前記膨張器に接続した第一入口、並びに前記貯蔵タンクの第一出口及び前記圧縮機の出口の両方に接続した第二入口を有する接続点を更に備える請求項23又は24に記載の装置。
【請求項26】
前記貯蔵タンクの入口に接続した出口、前記貯蔵タンクの出口及び前記圧縮機の出口の両方に接続した第一入口、並びに前記気液分離器の第一出口に接続した第二入口を有する接続点を更に備える請求項23〜25の1項以上に記載の装置。
【請求項27】
前記膨張器に接続した出口、前記貯蔵タンクの第一出口及び前記圧縮機の出口の両方に接続した第一入口、並びに液化ユニットに接続した第二出口を有する接続点を更に備える請求項23〜26の1項以上に記載の装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−501706(P2010−501706A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526065(P2009−526065)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【国際出願番号】PCT/EP2007/058863
【国際公開番号】WO2008/025741
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(390023685)シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイ (411)
【氏名又は名称原語表記】SHELL INTERNATIONALE RESEARCH MAATSCHAPPIJ BESLOTEN VENNOOTSHAP
【Fターム(参考)】