説明

液圧転写印刷用ベースフィルム

【課題】 転写印刷適性に優れるともに、転写後におけるフィルムの脱膜性にも優れ、生産性の向上した液圧転写印刷用ベースフィルムを提供すること。
【解決手段】 ポリビニルアルコール系フィルムからなる液圧転写印刷用ベースフィルムであって、前記ポリビニルアルコール系フィルムが、平均ケン化度80〜95モル%のポリビニルアルコール系樹脂(A1)と、ポリビニルアルコール系樹脂(A1)の平均ケン化度より高いポリビニルアルコール系樹脂(A2)と、ポリビニルアルコール系樹脂(A1)の平均ケン化度より低いポリビニルアルコール系樹脂(A3)を含有するポリビニルアルコール系樹脂から構成されることを特徴とする液圧転写印刷用ベースフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液面、とりわけ水面に浮かべて使用し、フィルム面に印刷された意匠を被転写体に対して円滑に転写することのできる液圧転写印刷用ベースフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、水圧転写印刷用ベースフィルムとしては、ポリビニルアルコール系樹脂を形成材料とするポリビニルアルコール系樹脂フィルムが用いられている。そして、上記ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを用いて、つぎのようにして水圧転写方法に供されている。すなわち、上記ポリビニルアルコール系樹脂フィルム面に所望の意匠を印刷し、上記意匠印刷面を上方にして水面に浮かべ、フィルム上方から被転写体を意匠印刷面に押し当てて被転写体に意匠を転写させることが行われている。
【0003】
このような水圧転写方法において、その目的に応じて種々のベースフィルムが検討されている。例えば、特許文献1では、平均重合度300〜3000、平均ケン化度50〜97モル%のポリビニルアルコール系樹脂からなるポリビニルアルコール系フィルムが提案され、更には、平均重合度、平均ケン化度の異なる2種をブレンドすることも提案されている。また、特許文献2では、平均重合度3200以上、平均ケン化度65〜95モル%の超高重合度ポリビニルアルコール系樹脂と、平均重合度3200未満、平均ケン化度65〜95モル%のポリビニルアルコール系樹脂とを混合してなるポリビニルアルコール系フィルムが提案されている。更に、特許文献3では、平均ケン化度70〜98モル%のポリビニルアルコール系樹脂と平均ケン化度70モル%以上のカルボキシル基及び/又はスルホン酸基変性ポリビニルアルコール系樹脂及びホウ素化合物を含有して形成されるポリビニルアルコール系フィルムも提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開昭55−25330号公報
【特許文献2】特開平7−117327号公報
【特許文献3】特開2003−11590号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献に開示のポリビニルアルコール系フィルムを用いた水圧転写方法では、良好な意匠は得られるものの、転写後におけるポリビニルアルコール系フィルムの脱膜性が不充分なものであった。転写後のポリビニルアルコール系フィルムの脱膜性が不充分であると、意匠面にポリビニルアルコール系フィルムが部分的に残り、転写後に表面保護の目的でトップコートされた保護層が部分的に脱落することがある等の問題があり、更なるフィルムの脱膜性が求められている。
【0006】
そこで、本発明はこのような事情に鑑みなされたもので、転写印刷適性に優れるうえに、ポリビニルアルコール系フィルムの脱膜性に優れ、生産性を向上させることができる液圧転写印刷用ベースフィルムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
しかるに、本発明者が上記の目的を達成するため鋭意検討を重ね、ベースフィルムの樹脂組成に着目し、これを中心に研究を行った結果、ポリビニルアルコール系フィルムを構成する樹脂組成として、平均ケン化度の異なるポリビニルアルコール系樹脂を少なくとも3種含有させることにより、転写印刷特性に優れるうえに、転写後のポリビニルアルコール系フィルムの脱膜性にも優れることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明の要旨は、ポリビニルアルコール系フィルムからなる液圧転写印刷用ベースフィルムであって、前記ポリビニルアルコール系フィルムが、平均ケン化度80〜95モル%のポリビニルアルコール系樹脂(A1)と、ポリビニルアルコール系樹脂(A1)の平均ケン化度より高いポリビニルアルコール系樹脂(A2)と、ポリビニルアルコール系樹脂(A1)の平均ケン化度より低いポリビニルアルコール系樹脂(A3)を含有するポリビニルアルコール系樹脂から構成される液圧転写印刷用ベースフィルムに関するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の液圧転写印刷用ベースフィルムは、平均ケン化度の異なるポリビニルアルコール系樹脂を少なくとも3種含有する樹脂組成から構成されるポリビニルアルコール系フィルムからなるため、転写印刷特性に優れるうえに、転写後のポリビニルアルコール系フィルムの脱膜性にも優れた効果を有するのであり、自動車の内外装品をはじめとして、携帯電話機の外装、各種電化製品、建材、家庭・生活用品等への液圧転写印刷用途に、幅広く適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の液圧転写印刷用ベースフィルムは、ポリビニルアルコール系フィルムからなるものである。
本発明において、「ポリビニルアルコール系フィルムからなる」とは、ポリビニルアルコール系フィルムの他に別の層(フィルムや塗膜、等)が積層されている場合も含む意味であるが、通常はポリビニルアルコール系フィルムのみがベースフィルムとして使用されることが多い。
【0011】
ポリビニルアルコール系フィルムは、ポリビニルアルコール(以下、PVAと略記する。)系樹脂を用いてフィルム状に形成されてなるものであり、本発明においては、PVA系樹脂として、平均ケン化度80〜95モル%のPVA系樹脂(A1)と、PVA系樹脂(A1)の平均ケン化度より高いPVA系樹脂(A2)と、PVA系樹脂(A1)の平均ケン化度より低いPVA系樹脂(A3)を含有するものである。
【0012】
ここで、PVA系とは、PVA自体、または、例えば、各種変性種によって変性されたものを意味し、その変性度は、通常20モル%以下、好ましくは15モル%以下、さらに好ましくは10モル%以下である。
【0013】
上記変性種としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノまたはジアルキルエステル等、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩、アルキルビニルエーテル類、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテル等のポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン〔1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル〕エステル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン、ポリオキシエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニルアミン、ジアクリルアセトンアミド、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等があげられる。これらの他の単量体は、単独でもしくは2種以上併せて用いてもよい。
【0014】
また、PVA系樹脂として、側鎖に1,2−ジオール結合を有するPVA系樹脂を用いることも好ましく、上記側鎖に1,2−ジオール結合を有するPVA系樹脂は、例えば、(ア)酢酸ビニルと3,4−ジアセトキシ−1−ブテンとの共重合体をケン化する方法、(イ)酢酸ビニルとビニルエチレンカーボネートとの共重合体をケン化及び脱炭酸する方法、(ウ)酢酸ビニルと2,2−ジアルキル−4−ビニル−1,3−ジオキソランとの共重合体をケン化及び脱ケタール化する方法、(エ)酢酸ビニルとグリセリンモノアリルエーテルとの共重合体をケン化する方法、等により得られる。
【0015】
本発明で用いられるPVA系樹脂(A1)としては、平均ケン化度80〜95モル%のPVA系樹脂であることが必要であり、好ましくは83〜93モル%、特に好ましくは85〜90モル%である。PVA系樹脂(A1)の平均ケン化度が上記範囲未満では転写後のベースフィルムの溶解に長時間を要する傾向にあり、上記範囲を超えるとベースフィルムの溶解時間が遅延したり、転写ができたとしても転写後の脱膜工程で脱膜不良を起こしたりすることとなる。
なお、上記平均ケン化度は、JIS K 6726に準じて測定される。
【0016】
また、PVA系樹脂(A1)は、20℃における4重量%水溶液の平均粘度として、10〜70mPa・sの範囲であることが好ましく、特には15〜60mPa・sの範囲、更には20〜55mPa・sの範囲であることが好ましい。4重量%水溶液の平均粘度が低すぎると、ベースフィルムに意匠(パターン,柄等)を印刷する際のフィルム強度が不足するため、印刷斑が発生する傾向がみられ、また、ベースフィルムの溶解が促進されて転写可能時間が短くなるという問題が生じたり、水に浮かべた際のフィルムに印刷された意匠が安定せず、付き廻り性が低下するという傾向がみられる。一方、4重量%水溶液の平均粘度が高すぎると、水面での膜の伸展を抑制することはできるが、転写時間が遅延するほかに粘度が高く製膜が困難となる傾向がみられる。
なお、上記PVA系樹脂の20℃における4重量%水溶液の平均粘度は、JIS K 6726に準じて測定される。
【0017】
本発明で用いられるPVA系樹脂(A2)は、PVA系樹脂(A1)の平均ケン化度より高いPVA系樹脂であればよい。中でも、PVA系樹脂(A1)の平均ケン化度と5モル%以上、特には6モル%以上、更には7モル%以上、殊には8モル%以上高いPVA系樹脂であることが転写後の脱膜性の点で好ましい。かかる平均ケン化度の差が少なすぎると転写後の脱膜性が向上しない傾向がある。なお、平均ケン化度の差の上限は、溶液状態で分離する懸念から通常20モル%以下、好ましくは15モル%以下である。
【0018】
PVA系樹脂(A2)の平均ケン化度としては、具体的には90〜100モル%であることが転写後の脱膜性の点で好ましく、特には91〜99モル%、更には92〜98モル%であることが好ましい。かかる平均ケン化度が低すぎると転写後の脱膜性が向上しない傾向がある。
【0019】
また、PVA系樹脂(A2)の20℃における4重量%水溶液の平均粘度としては、1〜50mPa・sであることが脱膜性の点で好ましく、特には3〜40mPa・s、更には5〜30mPa・sであることが好ましい。かかる平均粘度が低すぎるとフィルムの強度が低下する傾向があり、平均粘度が高すぎると溶解性が低下する傾向がある。
【0020】
更に、PVA系樹脂(A2)の20℃における4重量%水溶液の平均粘度(y)とポリビニルアルコール系樹脂(A1)の20℃における4重量%水溶液の平均粘度(x)との関係については、平均粘度(y)が平均粘度(x)より小さいほうが溶解性の点で好ましく、特にはその比(y/x)が0.1〜0.5、更には0.15〜0.45であることが好ましい。
【0021】
本発明で用いられるPVA系樹脂(A3)は、PVA系樹脂(A1)の平均ケン化度より低いPVA系樹脂であればよい。中でも、PVA系樹脂(A1)の平均ケン化度と5モル%以上、特には6モル%以上、更には7モル%以上、殊には8モル%以上低いPVA系樹脂であることが転写後の脱膜性の点で好ましい。かかる平均ケン化度の差が少なすぎると転写後の脱膜性が向上しない傾向がある。なお、平均ケン化度の差の上限は、溶液状態で分離する懸念から通常20モル%以下、好ましくは15モル%以下である。
【0022】
PVA系樹脂(A3)の平均ケン化度としては、65〜85モル%であることが転写後の脱膜性の点で好ましく、特には67〜82モル%、更には70〜80モル%であることが好ましい。かかる平均ケン化度が低すぎても高すぎても転写後の脱膜性が向上しない傾向がある。
【0023】
また、PVA系樹脂(A3)の20℃における4重量%水溶液の平均粘度としては、1〜50mPa・sであることが脱膜性の点で好ましく、特には3〜40mPa・s、更には5〜30mPa・sであることが好ましい。かかる平均粘度が低すぎるとフィルムの強度が低下する傾向があり、平均粘度が高すぎると溶解性が低下する傾向がある。
【0024】
更に、PVA系樹脂(A3)の20℃における4重量%水溶液の平均粘度(z)とポリビニルアルコール系樹脂(A1)の20℃における4重量%水溶液の平均粘度(x)との関係については、平均粘度(z)が平均粘度(x)より小さいほうが溶解性の点で好ましく、特にはその比(z/x)が0.1〜0.5、更には0.11〜0.45であることが好ましい。
【0025】
上記のPVA系樹脂中におけるPVA系樹脂(A1)、PVA系樹脂(A2)及びPVA系樹脂(A3)の含有割合については、PVA系樹脂(A1)、PVA系樹脂(A2)及びPVA系樹脂(A3)の合計量に対して、PVA系樹脂(A1)の含有割合が40〜98重量%、PVA系樹脂(A2)の含有割合が1〜40重量%、PVA系樹脂(A3)の含有割合が1〜40重量%であることが転写時の溶解性と脱膜性のバランスの点で好ましく、特に好ましくはPVA系樹脂(A1)の含有割合が45〜90重量%、PVA系樹脂(A2)の含有割合が5〜35重量%、PVA系樹脂(A3)の含有割合が5〜35重量%、更に好ましくはPVA系樹脂(A1)の含有割合が50〜90重量%、PVA系樹脂(A2)の含有割合が5〜30重量%、PVA系樹脂(A3)の含有割合が5〜30重量%である。PVA系樹脂(A1)の含有割合が少なすぎると溶解性が低下し転写できなくなる傾向があり、多すぎると脱膜性が向上しない傾向がある。PVA系樹脂(A2)の含有割合が少なすぎると脱膜性が向上しない傾向があり、多すぎると溶解性が低下し転写できなくなる傾向がある。PVA系樹脂(A3)の含有割合が少なすぎると脱膜性が向上しない傾向があり、多すぎると溶解性が低下し転写できなくなる傾向がある。
【0026】
また、本発明においては、上記PVA系樹脂(A2)とPVA系樹脂(A3)の含有割合については、20/80〜80/20(重量比)であることが好ましく、特には30/70〜70/30(重量比)、更には40/60〜60/40(重量比)であることが好ましい。
【0027】
かくして、本発明では、PVA系樹脂として、PVA系樹脂(A1)、PVA系樹脂(A2)及びPVA系樹脂(A3)を用いて、PVA系フィルムを形成するわけであるが、フィルム形成するにあたっては、通常、可塑剤が配合される。かかる可塑剤としては、例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン等のグリセリン類、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジプロピリングリコール等のアルキレングリコール類やトリメチロールプロパン等があげられる。これらは単独であるいは2種以上併せて用いられる。
【0028】
上記可塑剤の含有量は、目的とするPVA系フィルムの物性に応じて適宜設定されるが、例えば、PVA系樹脂の合計100重量部に対して、通常5重量部以下であり、好ましくは0.05〜4重量部である。上記可塑剤の含有量が少な過ぎると、可塑効果が低く、得られるPVA系フィルムの破断の原因となる傾向がみられ、含有量が多過ぎると、フィルム面に意匠を印刷する際の寸法安定性が悪く、高精細な多色印刷が困難となる傾向がみられる。
【0029】
また、上記PVA系樹脂および可塑剤以外に、必要に応じて各種添加剤を配合することができる。
【0030】
例えば、PVA系フィルムの製膜装置であるドラムやベルト等の金属表面と製膜したフィルムとの剥離性の向上を目的として、界面活性剤を配合することができる。上記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルノニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルモノエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ポリオキシエチレンステアリルアミン等のポリオキシエチレンアルキルアミン等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、剥離性の点でポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルモノエタノールアミン塩、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを用いることが好適である。
【0031】
上記界面活性剤の含有量については、PVA系樹脂と可塑剤の合計100重量部に対して、通常、0.01〜5重量部であることが好ましく、より好ましくは0.03〜4.5重量部である。上記界面活性剤の含有量が少なすぎると、製膜装置のドラムやベルト等の金属表面と製膜したフィルムとの剥離性が低下して製造困難となる傾向がみられ、逆に多すぎるとフィルム表面にブリードして意匠印刷層が脱落する原因となる傾向がみられる。
【0032】
また、PVA系樹脂に架橋剤を配合することもでき、架橋剤としては、PVA系樹脂と架橋反応を起こすものであればよく、例えば、K3C6H57(クエン酸三カリウム)や、ホウ酸、ホウ酸カルシウム、ホウ酸コバルト、ホウ酸亜鉛(四ホウ酸亜鉛,メタホウ酸亜鉛等)、ホウ酸アルミニウム・カリウム、ホウ酸アンモニウム(メタホウ酸アンモニウム、四ホウ酸アンモニウム、五ホウ酸アンモニウム、八ホウ酸アンモニウム等)、ホウ酸カドミウム(オルトホウ酸カドミウム、四ホウ酸カドミウム等)、ホウ酸カリウム(メタホウ酸カリウム、四ホウ酸カリウム、五ホウ酸カリウム、六ホウ酸カリウム、八ホウ酸カリウム等)、ホウ酸銀(メタホウ酸銀、四ホウ酸銀等)、ホウ酸銅(ホウ酸第2銅、メタホウ酸銅、四ホウ酸銅等)、ホウ酸ナトリウム(メタホウ酸ナトリウム、二ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、五ホウ酸ナトリウム、六ホウ酸ナトリウム、八ホウ酸ナトリウム等)、ホウ酸鉛(メタホウ酸鉛、六ホウ酸鉛等)、ホウ酸ニッケル(オルトホウ酸ニッケル、二ホウ酸ニッケル、四ホウ酸ニッケル、八ホウ酸ニッケル等)、ホウ酸バリウム(オルトホウ酸バリウム、メタホウ酸バリウム、二ホウ酸バリウム、四ホウ酸バリウム等)、ホウ酸ビスマス、ホウ酸マグネシウム(オルトホウ酸マグネシウム、二ホウ酸マグネシウム、メタホウ酸マグネシウム、四ホウ酸三マグネシウム、四ホウ酸五マグネシウム等)、ホウ酸マンガン(ホウ酸第1マンガン、メタホウ酸マンガン、四ホウ酸マンガン等)、ホウ酸リチウム(メタホウ酸リチウム、四ホウ酸リチウム、五ホウ酸リチウム等)などの他、ホウ砂、カーナイト、インヨーアイト、コトウ石、スイアン石、ザイベリ石等のホウ酸塩鉱物などのホウ素化合物等が挙げられる。これらの架橋剤は1種または2種以上併用して用いられ、上記の架橋剤の中でも、ホウ砂や、ホウ酸が好適に用いられる。
架橋剤の量は、PVA系樹脂の合計100重量部に対して、0.01〜10重量部であることが好ましく、0.05〜5重量部であることがより好ましい。
【0033】
更に、本発明の効果を妨げない範囲で、抗酸化剤(フェノール系、アミン系等)、安定剤(リン酸エステル類等)、着色料、香料、増量剤、消泡剤、防錆剤、紫外線吸収剤、無機粉末、有機粉末(澱粉、ポリメチルメタクリレート等)、さらには他の水溶性高分子化合物(ポリアクリル酸ソーダ、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、デキストリン、キトサン、キチン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等)等を添加しても差し支えない。
【0034】
本発明のベースフィルムを構成するPVA系フィルムは、例えば、つぎのようにして製造される。まず、上記PVA系樹脂、可塑剤、界面活性剤、水等の各原料を所定の配合量にて配合しフィルム形成材料を調製する。つぎに、Tダイからフィルム形成材料を製膜ベルト上または製膜ドラム上に流延させ、乾燥を行い、好ましくは更に熱処理を行うことによりフィルム状化させ製造される。上記熱処理の温度条件としては、70〜100℃に設定することが好ましい。
【0035】
上記熱処理の方法としては、特に制限されるものではなく、例えば、熱ロール(カレンダーロールを含む)、熱風、遠赤外線、誘電加熱等の方法があげられる。また、熱処理される面は、製膜ベルトまたは製膜ドラムに接する面と反対側となる面が好ましいが、ニップしても問題はない。また、熱処理を施すフィルムの水分含有量は、通常、4〜8重量%程度であることが好ましい。さらに、熱処理された後のフィルムの水分含有量は、通常、3〜7重量%であることが好ましい。
【0036】
より詳しく述べると、上記製膜ベルト、または製膜ドラムのうち製膜第一ドラムから剥離した後巻き取るまでに、表面温度70〜100℃の熱処理ロールを1本以上通すことが好ましい。ここで、上記製膜ベルトとは、一対のロール間に架け渡されて走行する無端ベルトを有し、Tダイから流れ出たフィルム形成材料を無端ベルト上に流延させるとともに乾燥させるものである。上記無端ベルトは、例えば、ステンレススチールからなり、その外周表面は鏡面仕上げが施されているものが好ましい。
【0037】
また、上記製膜第一ドラムとは、Tダイから流れ出たフィルム形成材料を1個以上の回転するドラム型ロール上に流延し乾燥させる製膜機における最上流側に位置するドラム型ロールである。そして、製膜ベルトあるいは製膜第一ドラムから剥離した後巻き取るまでとは、Tダイ等から吐出されたフィルム形成材料が製膜ベルト上あるいは製膜第一ドラム上において乾燥されフィルム状になり、製膜ベルトあるいは製膜第一ドラムから剥離され、好ましくは熱処理機を経て、巻き取り機により巻き取られるまでの過程を示す。上記熱処理機による熱処理は、70〜100℃で行うことが好ましく、より好ましくは75〜98℃である。すなわち、上記熱処理温度が低すぎると、得られるベースフィルムの膨潤倍率が極端に高くなる傾向がみられ、意匠が転写までに伸びてしまい意匠性が低下する傾向がある。逆に、熱処理温度が高すぎると、付き廻りが要求される成型品に対し柄が割れる傾向がある。さらに、上記熱処理に要する時間は、熱処理ロールの表面温度にもよるが、通常0.5〜60秒間、特には0.5〜30秒間、更には0.5〜15秒間であることが好ましい。かかる時間が短すぎると熱処理が不充分となる傾向があり、長すぎると過度に熱処理されたり、また生産性が低下する傾向がある。上記熱処理は、通常、フィルム乾燥のための乾燥ロール処理に引き続き、別体の熱処理ロールにて通常行われる。
【0038】
このようにして、本発明の液圧転写印刷用ベースフィルムを構成するPVA系フィルムを得ることができる。
【0039】
さらに、本発明においては、PVA系フィルムの水分率が、2〜6重量%であることが好ましく、より好ましくは3〜5重量%である。水分率が小さすぎると、転写時にフィルムがカールする傾向があり、水分率が大きすぎると、カールは小さくなるが印刷などの実使用上で印刷の見当ずれなどの不具合を生じる傾向がある。
なお、PVA系フィルムの水分率は、例えば、カールフィッシャー水分計(京都電子工業社製、「MKS−210」)を用いて測定することができる。
【0040】
上記PVA系フィルムの水分率の調整方法としては、例えば、下記に示す方法があげられる。すなわち、下記に示す水分率の調整方法に従い、上記範囲内のPVA系フィルムの水分率に設定することが可能となる。
【0041】
(1)PVAを溶解したドープを乾燥して製膜する際の乾燥機温度を上下させてPVA系フィルムの加湿・除湿を行う方法により水分率の調整を行う。上記ドープの温度は、その温度により乾燥効率に対して影響を及ぼすため、70〜98℃の範囲内にて調整する。また、乾燥に際しては、好ましくは150〜50℃の間で、より好ましくは145〜60℃の間で温度勾配を有する少なくとも2つ以上の熱風乾燥機中にて、1〜15分間、より好ましくは1〜12分間乾燥を行うことが水分調整という観点から好ましい。
【0042】
上記乾燥温度の勾配範囲が大きすぎたり、乾燥時間が長すぎたりすると、乾燥過多となる傾向があり、逆に乾燥温度の勾配範囲が小さすぎたり、乾燥時間が短すぎたりすると、乾燥不足となる傾向がある。
【0043】
上記温度勾配は、150〜50℃の間で段階的に乾燥温度を変えていくものであり、通常は、乾燥開始時から温度を徐々に上げていき、所定の含水率になるまで一旦設定した乾燥温度範囲の、最高の乾燥温度に至らせ、つぎに徐々に乾燥温度を低くすることにより最終的に目的とする含水率とすることが効果的である。これは結晶性や剥離性、生産性等を制御するために行われるものであり、例えば、120℃−130℃−115℃−100℃、130℃−120℃−110℃、115℃−120℃−110℃−90℃等の温度勾配設定があげられ、適宜選択され実施される。
【0044】
(2)PVA系フィルムの巻き取り前に調湿槽に通過させることによりPVA系フィルムの加湿・除湿を行い、水分率の調整を行う。
【0045】
(3)PVA系フィルムの巻き取り前に、熱処理を行うことによりPVA系フィルムの除湿を行い、水分率の調整を行う。
【0046】
また、上記PVA系フィルムの全光線透過率としては、通常、85%以上、好ましくは85〜93%の範囲であることが好ましい。すなわち、全光線透過率が低過ぎると、印刷時の色合わせが困難となる傾向があるからである。
なお、PVA系フィルムの全光線透過率は、例えば、ヘイズメーター(日本電色工業社製、NDH 2000)を用いて測定することができる。
【0047】
そして、上記PVA系フィルムのレターデーション値としては、40nm以下であることが好ましく、さらには35nm以下が好ましい。このレターデーション値は、PVA系フィルムの複屈折率と膜厚の積(複屈折率×膜厚)にて示されるものであり、上記複屈折率は、フィルムの製造工程等で付与されたフィルムの分子配向の度合いによって決定される。上記レターデーション値が高過ぎると、ベースフィルム表面に皺が形成され、印刷層の形成が阻害されたり、ベースフィルムを水面に浮かべた際に不均一な状態で伸展して印刷パターンが変形するという傾向がみられる。このように、レターデーション値を40nm以下とする方法としては、例えば、ドラム上あるいはベルト上にてPVA系フィルムを充分乾燥させて、その後の工程において張力をかけないようにして巻き取ることにより調整する方法があげられる。
【0048】
また、上記PVA系フィルムの破断伸度としては、23℃、50%RH調湿条件下において、150%以上であることが好ましく、さらには180%以上が好ましい。すなわち、破断伸度が低過ぎると、印刷時に断紙が発生したり、転写時の付き廻り性が低下する傾向がみられるからである。
なお、PVA系フィルムの破断伸度は、JIS K 7127(1999年)に準拠して測定される。
【0049】
このようにして製膜し得られるPVA系フィルムは、厚み20〜50μmの範囲内に設定することが好ましく、より好ましくは25〜45μmである。
【0050】
そして、製膜して得られたPVA系フィルム(原反フィルム)は、例えば、先に述べた水分率に変化が生じないように従来公知の防湿包装の処理を行い、10〜25℃の雰囲気下、宙づり状態にて保存することが好ましい。
【0051】
次に、本発明のベースフィルムを用いた液圧転写印刷方法について説明する。
液圧転写印刷方法としては、連続方式による液圧転写印刷方法、バッチ方式による液圧転写印刷方法があげられる。
【0052】
まず、上記連続方式による液圧転写印刷方法について述べる。
すなわち、上記のようにして得られたベースフィルム面に所定の意匠を印刷する。その後、上記意匠印刷面にインク活性剤を塗工する。そして、吸水後にベースフィルムが伸展し、意匠がぼけないように上記ベースフィルムの流れ方向に対し幅方向に1.5倍以下、好ましくは1.4倍以下の規制を設けて、インク活性剤が塗布された意匠印刷面を上方にしてベースフィルムを液面に浮かべるとともに移動させる。移動する上記ベースフィルムの上方から被転写体を押し当て、ベースフィルム面に印刷された意匠を被転写体表面に転写し固着することにより液圧転写印刷が行われる。そして、固着した後は、ベースフィルムを除去し意匠を転写した被転写体を充分に乾燥させることにより目的とする製品を得るのである。
【0053】
一方、上記バッチ方式による液圧転写印刷方法について述べる。
すなわち、上記のようにして得られたベースフィルム面に所定の意匠を印刷する。その後、上記意匠印刷面にインク活性剤を塗工する。そして、上記連続方式と同様、吸水後にベースフィルムが伸展し、意匠がぼけないように上記ベースフィルムに対して縦横それぞれの方向に、1.5倍以下、好ましくは1.4倍以下の縦横規制を設けて、インク活性剤が塗布された意匠印刷面を上方にしてベースフィルムを液面に浮かべる。そして、静止状態にて上記ベースフィルムの上方から被転写体を押し当て、ベースフィルム面に印刷された意匠を被転写体に転写し充分に固着することにより液圧転写印刷が行われる。固着した後は、ベースフィルムを除去し意匠を転写した被転写体を充分に乾燥させることにより目的とする製品を得るのである。
【0054】
このような工程を経由する液圧転写印刷方法により、ベースフィルム面に印刷された意匠を、被転写体に転写することができる。なお、上記ベースフィルム面に印刷される意匠としては、特に限定するものではなく、木目調、各種柄、画像等、印刷可能なものであればいかなるものであってもよい。
【0055】
上記意匠印刷面に塗工するインク活性剤としては、特に限定するものではなく、ベースフィルム面に印刷された意匠を再活性化しうる溶剤に樹脂を添加したもの等が用いられ、さらに体質顔料、可塑剤、硬化剤等を適宜に添加することができる。例えば、ブチルメタクリレートに、顔料、可塑剤、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテートを混合したものが用いられる。また、上記インク活性剤の塗工方法としては、グラビアロールやスプレーを用いた塗布方法があげられる。
【0056】
なお、上記意匠印刷面にインク活性剤を塗布する工程は、ベースフィルムを液面に浮かべる前であっても、液面に浮かべた後であってもいずれでもよく、意匠が印刷されたベースフィルム上方から被転写体を押し当てる前であれば特に制限されることはない。
【0057】
本発明の液圧転写印刷方法における被転写体の材質としては、特に限定されるものではなく、例えば、プラスチック成形体、金属成形体、木質成形体、ガラス等の無機質成形体等を用いることができる。さらに、その形状に関しても特に限定するものではなく、平面であっても各種立体形状を有していてもよい。
【実施例】
【0058】
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
なお、例中「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
【0059】
実施例1
<ベースフィルムの作製>
平均ケン化度88モル%、4%水溶液の平均粘度(20℃)50mPa・sのPVA系樹脂(A1)70部、平均ケン化度96モル%、4%水溶液の平均粘度(20℃)15mPa・sのPVA系樹脂(A2)15部、平均ケン化度72モル%、4%水溶液の平均粘度(20℃)6mPa・sのPVA系樹脂(A3)15部、グリセリン3部、澱粉4部、界面活性剤(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)0.7部からなる20%(固形分濃度)のドープをTダイより、表面温度が90℃に調整された回転するステンレス製エンドレスベルトに吐出して流延製膜し、引き続き95℃に調整された熱ロールにて熱処理を行い、厚み40μmのPVAフィルムを得、これを水圧転写用のベースフィルムとした。
【0060】
上記で得られたベースフィルムについて、以下の通り評価を行った。
【0061】
[フィルムの分散性]
フィルムを3cm×5cmのサイズにカットし、治具に固定し、1リットルビーカーに入った5℃または30℃の水(1リットル)中に浸漬し、スターラーにより撹拌しながら、フィルムが分散するまでの時間(秒)を測定した。ここで、分散するまでの時間とは、フィルムが3個以上に分かれるまでの時間のこととした。
【0062】
また、上記で得られたベースフィルムを用いて、以下の通り転写印刷用フィルムを作製し、2分経過後の転写印刷用フィルムを、インク活性剤塗布面側を上向きにして水面に浮かべて、1分後にABS樹脂成型品(平板)への水圧転写印刷を行ったところ、良好な鮮明な意匠を得ることができた。
【0063】
<転写印刷用フィルムの作製>
得られたベースフィルムを200mm×200mmのサイズに切断したものに、建材用インキ[赤色染料と硫酸バリウムの混合物(70%)とアルキッド樹脂とニトロセルロースの混合物(30%)の混合物]を、フィルムを流延製膜した際のα面(ベルト面)側にグラビア印刷で均一に塗布(インク層の乾燥厚み2μm)した。その後、その上にインク活性剤(ブチルメタクリレート/顔料/可塑剤/ブチルセロソルブアセテート/ブチルカルビトールアセテート=8/20/20/26/26(重量部))を、ワイヤーバーコーター(#10)で塗布して、転写印刷用フィルムを作製した。
【0064】
実施例2〜3、比較例1〜2
表1に示す通りの配合量にてPVA系樹脂(A1)、(A2)及び(A3)を用いた以外は実施例1と同様に行い、厚み40μmのPVAフィルムを得、これを水圧転写用のベースフィルムとした。
上記で得られたベースフィルムについて、実施例1と同様の評価を行った。
また、実施例1と同様に、転写印刷用フィルムを作製し、水圧転写印刷を行ったところ、良好な鮮明な意匠を得ることができた。
実施例及び比較例の評価結果を表1に示す。
【0065】
【表1】

【0066】
上記結果から、PVA系樹脂として、平均ケン化度の異なるPVAを3種併用した実施例1〜3に関しては、フィルム分散性に優れるものであり、転写後におけるフィルムの脱膜性に優れることがわかる。これに対して、PVAを2種類用いた比較例1及び1種用いた比較例2では、充分なフィルム分散性を得ることができず、脱膜性に劣るものであることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の液圧転写印刷用ベースフィルムは、自動車の内外装品をはじめとして、携帯電話機の外装、各種電化製品、建材、家庭・生活用品等への液圧転写印刷用途に、幅広く適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリビニルアルコール系フィルムからなる液圧転写印刷用ベースフィルムであって、前記ポリビニルアルコール系フィルムが、平均ケン化度80〜95モル%のポリビニルアルコール系樹脂(A1)と、ポリビニルアルコール系樹脂(A1)の平均ケン化度より高いポリビニルアルコール系樹脂(A2)と、ポリビニルアルコール系樹脂(A1)の平均ケン化度より低いポリビニルアルコール系樹脂(A3)を含有するポリビニルアルコール系樹脂から構成されることを特徴とする液圧転写印刷用ベースフィルム。
【請求項2】
ポリビニルアルコール系樹脂(A1)の平均ケン化度より高いポリビニルアルコール系樹脂(A2)が、平均ケン化度90〜100モル%のポリビニルアルコール系樹脂であることを特徴とする請求項1記載の液圧転写印刷用ベースフィルム。
【請求項3】
ポリビニルアルコール系樹脂(A1)の平均ケン化度より低いポリビニルアルコール系樹脂(A3)が、平均ケン化度65〜85モル%のポリビニルアルコール系樹脂であることを特徴とする請求項1または2記載の液圧転写印刷用ベースフィルム。
【請求項4】
ポリビニルアルコール系樹脂(A2)の20℃における4重量%水溶液の平均粘度(y)とポリビニルアルコール系樹脂(A1)の20℃における4重量%水溶液の平均粘度(x)の比(y/x)が0.1〜0.5であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の液圧転写印刷用ベースフィルム。
【請求項5】
ポリビニルアルコール系樹脂(A3)の20℃における4重量%水溶液の平均粘度(z)とポリビニルアルコール系樹脂(A1)の20℃における4重量%水溶液の平均粘度(x)の比(z/x)が0.1〜0.5であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の液圧転写印刷用ベースフィルム。
【請求項6】
ポリビニルアルコール系樹脂(A1)、ポリビニルアルコール系樹脂(A2)及びポリビニルアルコール系樹脂(A3)の合計量に対して、ポリビニルアルコール系樹脂(A1)の含有割合が40〜98重量%、ポリビニルアルコール系樹脂(A2)の含有割合が1〜40重量%、ポリビニルアルコール系樹脂(A3)の含有割合が1〜40重量%であることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の液圧転写印刷用ベースフィルム。
【請求項7】
ポリビニルアルコール系フィルムの厚みが、20〜50μmであることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載の液圧転写印刷用ベースフィルム。

【公開番号】特開2009−279759(P2009−279759A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−130935(P2008−130935)
【出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【出願人】(000004101)日本合成化学工業株式会社 (572)
【Fターム(参考)】