説明

液晶ポリマーを用いた微細電極アレイパッケージ及びその製造方法

液晶ポリマーからなる基板部;生体信号を収集し、伝達する電極部;及び、前記電極部を保護する、液晶ポリマーからなるカバー部、を含む微細電極を含み、前記電極部は、前記基板部の一面に接して配置され、前記カバー部は、前記電極部が配置された基板部の一面に接して接着され、前記接着されたカバー部及び基板部の間には、外部環境と独立した空間が形成されている微細電極アレイパッケージが開示される。
液晶ポリマーからなる基板部及び液晶ポリマーからなるカバー部にアライメントホールを形成するステップ;前記カバー部に電極部の露出用ホールを形成するステップ;前記基板部の一面に電極部を形成するステップ;前記アライメントホールによって前記基板部及び前記カバー部を整列させた後、前記基板部及び前記カバー部を接着するステップ;及び、前記接着された基板部及びカバー部の外形を切断するステップ、を含む微細電極アレイパッケージの製造方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ポリマーを用いた微細電極アレイパッケージ及びそれを製造する方法に関する。より詳しくは、センサー及び神経補綴装置を具現するために必要な電極、信号処理及び通信モジュールを、生体内における水分やイオンの影響を受けることなく、長時間使用することのできる微細電極アレイパッケージ、及びそれを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微細電極アレイとは、生化学的な反応及び生体信号を電気的な信号に変換して収集したり、生体刺激のための電気信号を神経組織に印加したりするために、生体に付着又は移植される構造物を総称する言葉である。
【0003】
本発明において扱う微細電極アレイパッケージの技術は、生体信号記録及び刺激電極(以下、「微細電極」という)、並びに密封パッケージに関するものである。このうち、生体信号記録及び刺激電極は、生体内において長期間移植されていなければならないため、生体内の水分やイオンなどから損傷を受けないようにしなければならない。したがって、従来より使用されていたポリイミドやパリレン等のようなポリマーを用いた微細電極は、生体内の環境に弱く、その適用には限界がある。そこで、生体内の環境に耐えることのできる液晶ポリマーが微細電極の材料として用いられている。しかし、液晶ポリマーは、加工が容易でないため、新たな方法が提案される必要性が求められている。
【0004】
密封パッケージは、生体信号記録及び刺激装置や他の部品を水分やイオンから保護するために必要である。人体内部に挿入して、日常生活に支障がないようにしなければならないため、パッケージのサイズもまた設計時の重要な検討事項の一つである。そこで、サイズを容易に変更することができ、水分やイオンに強いパッケージの必要性が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記のような従来技術の問題点を克服するために提案されたものであり、液晶ポリマーを用いた微細電極アレイパッケージ及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を達成するための本発明の実施例に係る微細電極アレイパッケージは、液晶ポリマーからなる基板部;生体信号を収集し、伝達する電極部;及び、前記電極部を保護する、液晶ポリマーからなるカバー部、を含む微細電極アレイを含み、前記電極部は、前記基板部の一面に接して配置され、前記カバー部は、前記電極部が配置された基板部の一面に接して接着され、前記接着されたカバー部及び基板部の間には、外部環境と独立した空間が形成されている。
【0007】
本発明の実施例に係る微細電極アレイパッケージの製造方法は、液晶ポリマーからなる基板部及び液晶ポリマーからなるカバー部にアライメントホールを形成するステップ;前記カバー部に電極部の露出用ホールを形成するステップ;前記基板部の一面に電極部を形成するステップ;前記アライメントホールによって前記基板部及び前記カバー部を整列させた後、前記基板部及び前記カバー部を接着するステップ;及び、前記接着された基板部及びカバー部の外形を切断するステップ、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来の技術に比べて安定的かつ工程期間を短縮した液晶ポリマー微細電極アレイパッケージの製作工程を提供することができる。従来の技術によれば、長時間のプラズマエッチング工程による金属からなる電極パターンの損傷の危険があり、その工程に長い時間が所要されていた。また、エッチングマスクパターンの形成及びプラズマエッチング工程を除くことにより製作工程時間を短縮し、単一物質によって微細電極及び他の部品が密封されるため、外部に露出される組立部分がなく、多チャネルシステムへの拡張に有利である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明をより理解しやすいように含まれ、本明細書に組み込まれてその一部をなす添付図面は、本発明の好適な実施形態を図示するものであって、詳細な説明とともに本発明の原理を説明するのに役に立つ。
【図1】従来の技術に係る微細電極アレイパッケージを示す図である。
【図2】従来の技術に係る液晶ポリマーを用いた微細電極アレイの製造方法を示す図である。
【図3】本発明の実施例に係る微細電極アレイパッケージの断面を示す図である。
【図4】本発明の実施例に係る微細電極アレイパッケージの製造方法のフローチャートを示す図である。
【図5】本発明の実施例に係る微細電極アレイパッケージの製造方法のフローチャートを示す図である。
【図6】本発明の実施例に係る微細電極アレイパッケージの製造方法の過程を示す図である。
【図7】本発明に係る微細電極アレイパッケージを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施形態を示す添付図面を参照して本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は、種々の他の形態で実施することができるものであって、本明細書に記載した実施形態に限定されるものと解釈されてはならない。むしろ、これら好適な実施形態は、本開示が当業者に対して徹底且つ完璧に本発明の範囲を伝達するように提供されたものである。図面において、層及び領域のサイズ及び相対的なサイズは明瞭性のために誇張して図示されることもある。図中、同じ図面符号は同じ要素を示す。
【0011】
本明細書において用いる用語は特定の実施形態のみを説明するためのものであり、本開示の範囲を制限するためのものではない。本明細書において用いているような単数形態の表現は、特に明確に示さない限り複数形態も含むものとする。さらに、単数形態の表現は、数量的な制限を与えるためではなく、引用されたものが少なくとも1つ存在することを示す。また、「含む。」及び/または「含む」、または「備える。」及び/または「備える」という表現は、本明細書において用いる際、述べられた特徴、領域、整数、ステップ、作動、要素、及び/または部品の存在を特定するものであって、1つ以上の他の構成、領域、整数、ステップ、作動、要素、部品及び/またはこれらのグループの存在または追加を排除するものではないという点が理解できるであろう。
【0012】
本発明を説明するにあたり、関連する公知機能或いは構成についての具体的な説明は、本発明の要旨を明確にするために省略する。
【0013】
図1は、従来の技術に係る微細電極アレイパッケージを示す図である。図1に示されるように、従来は、信号処理及び通信装置(以下、「内部移植装置」という)を密封されたパッケージと微細電極を、フィードスルー(feed‐through)を用いて接続している。前記パッケージは、金属やセラミックを利用して製作し、フィードスルーの外部環境への露出を防止するために絶縁コーティングを施している。このように、従来の微細電極アレイパッケージは、密封パッケージと微細電極間の異種結合によって密封性に劣り、これに伴うチャネルの拡張に制限があった。
【0014】
図2は、従来の技術に係る液晶ポリマーを用いた微細電極の製造工程を示す図である。図2の(a)は、プラズマによるエッチング工程を示し、図2の(b)は、加熱プレスによる接着工程を示す。
【0015】
図2の(a)を見ると、液晶ポリマーは、不透明な素材であるため、各層の整列のためのアラインキーが見えない。さらに、加熱プレス接着工程を行った後には、液晶ポリマーの収縮及び膨張により、内部の金属パターンの位置が変わることになる。したがって、従来の微細電極の製作方法を利用すると、エッチングマスクの誤整列(mis‐alignment)が発生して、金属パターンが破損したり、他の構造物が破損したりする問題が発生する。そして、液晶ポリマーは、プラズマエッチングする速度が遅く、エッチングされる表面が均一でないため、従来の方法のように、プラズマエッチングによって電極露出用ホールと電極の外形を製作する場合、金属パターン及び構造物が損傷するという問題がある。
【0016】
図2の(b)を見ると、図2の(a)で説明されたプラズマエッチングプロセスの短所を避けるために、液晶ポリマー接着工程の前に電極露出用ホールを形成した場合、新たに発生する問題を示している。すなわち、従来の加熱プレス工程方法を用いた場合、各層に同一の圧力が加えられ、ホールが形成されている位置の層には、ホールの境界に相対的に過度な圧力が集中する。したがって、金属パターン及び構造物が損傷するという問題がある。さらに、加熱プレスの加熱温度よりも融点の低い液晶ポリマーの場合には、リフロー現象が発生し、予め形成した微細なホールが消失するという問題点もある。
【0017】
図3は、本発明に係る微細電極アレイパッケージを示す図である。本発明に係る微細電極アレイパッケージは、図1及び図2による従来の技術の問題点を克服するために提案されたものである。図3の(a)は2層構造、図3の(b),(c)及び(d)は3層構造である。このような多層構造は、微細電極アレイパッケージが応用される分野に適合するように微細電極アレイパッケージの表面屈曲(curvature)を調節するために、微細電極アレイパッケージの高さ及び厚さを調節したり、各層を構成する液晶ポリマーの熱膨張係数(Coefficient of Thermal Expansion,CTE)を異ならせたりする。また、図3の(d)のような多層構造を利用すると、装置の水平方向のサイズ制限を脱して、垂直的にチャネル数を拡張することができる。
【0018】
図3の(a)の微細電極アレイパッケージは、液晶ポリマーからなる基板部10;前記基板層に形成された電極部30;前記電極部に接続され、信号処理及び通信機能を遂行する機能部50;及び、前記電極部及び前記機能部を保護する、液晶ポリマーからなるカバー部20、を含む。前記カバー部には、前記電極部が外部環境に露出されるようにするホール40が形成されている。前記ホール40により生体内の信号を収集することができ、これを電極部30が機能部50に伝達する。また、前記機能部50が信号を処理、格納、送受信することができる。前記機能部は、内部アンテナを具備し、外部にある制御装置との通信を通じ、生体信号を送信することができる。前記機能部50は、先に言及した内部移植装置と同一の構成要素である。
【0019】
前記電極部30は、生体内の信号を収集する。また、前記電極部は、生体刺激電流を提供する役割をする。前記電極部には、内部移植装置が連結され、前記収集した生体信号が伝達される。また、前記内部移植装置は、前記伝達された生体信号を、信号処理、格納、分析し、外部へ送信する。前記電極部は、前記基板部に形成され、金属パターン形式で形成することができる。
【0020】
微細電極は、前記基板部10、前記カバー部20及び前記電極部30により構成される。前記微細電極は、生体信号を収集したり、生体刺激信号を供給したりする。前記微細電極は、前記電極部により収集された生体信号を内部移植装置に伝達し、内部移植装置で提供する生体刺激電流又は信号の伝達を受け、前記電極部を介して生体内の組織に印加する。
【0021】
前記基板部10は、前記電極部30が形成される基板である。前記基板部10は、微細電極アレイパッケージが生体内に挿入される場合に、前記微細電極アレイパッケージ内の構成物又は前記電極部を保護する役割もする。
【0022】
前記カバー部20は、前記基板部と前記電極部を覆う。前記カバー部には、前記電極部の一部分が生体内の環境に露出されるようにホールが形成されている。このホールを介して、前記電極部が生体内の組織などと接触をして生体信号を収集したり、生体刺激電流又は信号を提供したりすることができる。前記カバー部も、微細電極アレイパッケージが生体内に挿入される場合に、前記微細電極アレイパッケージ内の構成物又は前記電極部を保護する役目をする。
【0023】
前記基板部10と前記カバー部20を互いに接着するために、それぞれの融点の差を利用する。接着過程は、加熱プレス工程又はレーザー加工による溶接で遂行される。加熱プレス工程の温度を前記基板部及び前記カバー部の融点の間の値に調整すると、低い融点を持つ方が溶けることによって相互接着される。また、レーザー加工による溶接方法を利用する場合にも、一定の圧力を加えた状態でレーザーにより加熱すると、低い融点を持つ方が溶けて接着される。したがって、前記カバー部又は前記基板部は、融点が互いに異なる液晶ポリマーを使用しなければならない。
【0024】
また、前記カバー部20は、図3の(a)に示された断面図のように、“П”形の屈曲を有するように成形されており、前記カバー部と前記基板部が接着されつつ空間が形成される。前記空間には、前記機能部50が位置し、外部環境から影響を受けずに機能を遂行することができる。前記空間に前記機能部を配置することにより、前記電極部、前記基板部及び前記カバー部からなる微細電極と前記機能部とを一体化し、一つのパッケージで構成される微細電極アレイパッケージを具現することができる。
【0025】
前記空間を形成して前記機能部を配置し、図1の微細電極アレイパッケージのようにフィードスルーを使用せずともよいため、チャネル数の制限から脱することができる。また、金属又はセラミックスからなる密封パッケージと微細電極間の異種結合でない単一物質の結合により密封性を向上させる。
【0026】
図3の(b)は、図3の(a)の基板部を、第1基板部11;及び、第2基板部12を含むように構成した微細電極アレイパッケージを示している。先に言及したように、3層構造で構成することにより、微細電極アレイパッケージの高さ(又は厚さ)と屈曲を調節することができる。図3の(b)の微細電極アレイパッケージにおいても、第1基板部11の融点は、第2基板部12又はカバー部20のいずれか一つ以上と等しくてはならない。液晶ポリマーの融点が互いに異なっていなければ、基板部11,12とカバー部20を接着することができない。図3の(b)は、第2基板部12の融点がカバー部20の融点よりも低い場合について図示している。
【0027】
図3の(c)は、図3の(a)のカバー部を、第1カバー部21;及び、第2カバー部22を含むように構成した微細電極アレイパッケージを示している。図3の(c)は、微細電極アレイパッケージの高さ(又は厚さ)及び曲げの調整に加え、カバー部に成形されたパッケージの形を補強するために、3層構造により構成されている。図3の(c)は、第1カバー部21の融点が基板部10及び第2カバー部22の融点よりも低い場合を示している。前記ホール40が形成されている第1カバー部21の融点が低いことにより、高温接着過程においてリフロー現象が起こり得るため、第1カバー部のホールが第2カバー部のホールよりも大きいことを確認することができる。
【0028】
図3の(d)は、図3の(b)の第1基板部11と第2基板部12にそれぞれ電極部が形成された微細電極アレイパッケージを示している。このような方法で3層以上の多層構造を利用すると、微細電極アレイパッケージの電極のチャネル数を、水平方向だけでなく垂直方向にも拡張することができる。ここで、第2基板部の融点がカバー部及び第1基板部の融点よりも低い場合を示しているため、高温接着過程のリフロー現象を考慮して、カバー部のホールよりも第2基板部のホールが大きいことを確認することができる。
【0029】
図4は、本発明に係る微細電極アレイパッケージの製造方法のフローチャートを示す図である。本発明に係る微細電極アレイパッケージの製造方法は、液晶ポリマーからなる基板部及び液晶ポリマーからなるカバー部にアライメントホールを形成するステップ(S100);前記カバー部に、電極部が露出されるホールを形成するステップ(S200);前記基板部に電極部を形成するステップ(S300);前記基板部及び前記カバー部を接着するステップ(S400);及び、前記基板部及び前記カバー部の外形を切断するステップ(S500)、を含む。
【0030】
本発明に係る微細電極アレイパッケージの製造方法は、アラインキーを形成する従来の技術とは異なり、各部分を接着する前にアライメントホールを形成する。従来の技術においては、基板部にアラインキーを形成しておき、各部分を組み立てた後にアラインキーを見つけてエッチング工程を行うが、液晶ポリマーは不透明な素材であり、従来の技術のようにアラインキーを使用するとアラインキーが見えないため、誤整列が発生することになる。
【0031】
したがって、本発明に係る液晶ポリマーを用いた微細電極アレイパッケージの製造方法は、前記基板部及び前記カバー部にアライメントホールを形成し、各過程において前記アライメントホールを利用して各部分を整列する。したがって、従来の技術の最終段階であるエッチングマスクを用いたエッチング工程を除外させることにより、誤整列を防止している。また、エッチングマスクを用いたエッチング工程を行わないため、エッチングマスクの製作にかかる費用及び時間がなくなり、エッチング工程に伴う各部分又は構造物の損傷を防止することができる。
【0032】
本発明に係る微細電極アレイパッケージの製造方法は、従来の技術とは異なり、各部分を接着する前に電極部の露出用ホールを形成する。このように、前記カバー部及び前記基板部を接着する前に電極部の露出用ホールを形成するのは、従来の技術におけるエッチング工程での誤整列に伴う構造物又は金属パターン(電極部)の損傷を防止するためである。また、従来の技術における各部分の接着後のエッチング工程において必要であったエッチングマスクを使用しないことにより、エッチングマスクパターンの形成に所要される工程時間及び費用を削減するためである。
【0033】
言い換えると、本発明においては、微細電極アレイパッケージの構成物を接着する前にアライメントホール及び電極露出用ホールを形成することにより、前記エッチング工程における電極の損傷及び誤整列を回避している。また、プラズマエッチング工程の代わりにレーザー加工を用いたエッチング工程を導入することにより、エッチングマスクが必要でなく、エッチング工程時間及び費用を短縮している。
【0034】
前記液晶ポリマーからなる基板部及び液晶ポリマーからなるカバー部にアライメントホールを形成するステップ(S100)は、各層のホールと電極部の位置を一致させるためにアライメントホールを形成する。前記アライメントホールは、その後、前記基板部及び前記カバー部を接着したり、電極部の露出用ホールを形成したり、電極部を形成する際に、各位置がずれることなく一致するようにするために使用される。前記アライメントホールを、前記基板部及び前記カバー部を接着する前に予め形成する理由は、液晶ポリマーの場合、不透明な素材であるため、従来の技術のようにアラインキーを金属パターンで形成すると、基板とカバーの接着後にはアラインキーが見えないためである。アライメントホールを利用すれば、前記アライメントホールにアラインキーを挿入して、各ホール及び電極部の位置を整列させることができる。
【0035】
前記カバー部に電極部が露出されるホール40を形成するステップ(S200)は、液晶ポリマーからなるカバー部と液晶ポリマーからなる基板部の融点の高低に応じ、形成される前記ホール40の大きさが変わる。もし、前記カバー部の融点が前記カバー部の下部に接する液晶ポリマーからなる基板部の融点よりも低いならば、前記ホール40の大きさは、最終的に得ようとするホールの大きさよりも大きく形成しなければならない。これは、このステップの後に続く高温接着工程上でのリフロー現象により、ホールの大きさが小さくなるためである。しかし、前記カバー部の融点が前記基板部の融点よりも高いならば、前記ホール40の大きさは、最終的に得ようとするホールの大きさに形成すればよい。前記カバー部の融点が前記基板部の融点よりも高ければ、高温接着工程を経ても前記カバー部が溶けないため、前記カバー部に形成された前記ホール40が変形しないためである。
【0036】
前記基板部に電極部を形成するステップ(S300)は、電極パターン用フォトマスクを用いて、電極部を形成する。
【0037】
前記基板部及び前記カバー部を接着するステップ(S400)は、前記アライメントホールにアラインピンを挿入して前記基板部及び前記カバー部を整列させた後、前記基板部及び前記カバー部を接着する。このステップ(S400)では、加熱プレス又はレーザー加工による溶接を利用して、基板部及びカバー部を互いに接着することになる。上記において、各部の融点を異ならせた理由は、加熱プレス又はレーザー加工による溶接を利用する際、融点の差によって各部が互いに接着されるようにするためである。すなわち、低い融点を持つ部分によって各部が互いに接合される。
【0038】
また、前記接着するステップ(S400)は、加熱プレス又はレーザー加工による溶接工程における圧力による構造物の損失を防止するために、プレスパッド部を配置するステップを含めることができる。前記プレスパッド部は、前記基板部の前記電極部が形成されていない一面に接するように配置する。前記プレスパッド部には凹凸が形成されており、凸部分には正常な圧力が加えられ、凹部分には正常な圧力が加えられない。前記プレスパッド部を配置する過程を製造過程に含めることにより、従来の技術において発生していた、電極部が露出されたホール又は電極部の損失を防止する。
【0039】
前記基板部及びカバー部の外形を切断するステップ(S500)は、アライメントホールを利用して所望の装置の外形部分を除くその他の領域を切り取る過程である。切断過程により、微細電極アレイパッケージが完成することになる。
【0040】
また、前記液晶ポリマーからなる基板部及び液晶ポリマーからなるカバー部にアライメントホールを形成するステップ(S100)、前記カバー部に電極部が露出されるホールを形成するステップ(S200)、及び、前記基板部及びカバー部の外形を切断するステップ(S500)は、レーザー加工によって行うことができる。これは、従来の技術において使用されていたプラズマ加工は、エッチング速度が遅く、それに伴い前記電極部の露出時間が長くなるため、前記電極が損傷する危険があり、エッチングされた表面及び外形が均一とならないため、本発明で提案する方法である。
【0041】
図5は、本発明に係る微細電極アレイパッケージの製造方法のフローチャートを示す図である。本発明に係る微細電極アレイパッケージの製造方法は、液晶ポリマーからなる基板部及び液晶ポリマーからなるカバー部にアライメントホールを形成するステップ(S100);前記カバー部を成形するステップ(S150);前記カバー部に、電極部が露出されるホールを形成するステップ(S200);前記基板部に電極部を形成するステップ(S300);前記基板部及び前記カバー部を接着するステップ(S400);及び、前記基板部及び前記カバー部の外形を切断するステップ(S500)、を含む。
【0042】
すなわち、図4のフローチャートにおけるアライメントホール形成ステップ(S100)の直後に、カバー部を成形するステップ(S150)をさらに含めることができる。前記カバー部を成形するステップは、前記カバー部及び前記基板部の間に空間を確保するためのものである。前記空間は、外部環境から独立しており、例えば、生体内のイオンや水分と接触しない空間である。また、前記カバー部を成形するステップ(S150)は、前記カバー部を加熱プレス加工により成形するステップを含めることができる。前記空間の大きさに合うようにフレームを用意し、前記フレームに前記基板部を入れて加圧、加熱をすると、所望の形状に前記カバー部が形成される。
【0043】
図1を見ると、従来には、内部移植装置を具備するために、密封パッケージを別途具備している。前記密封パッケージは、金属又はセラミックにより構成されている。これは、微細電極部分と異なる物質により構成され、図1に示すように、前記密封パッケージと微細電極部分を接合する場合にフィードスルーを使用する必要があり、その結果、密封性が低下し、チャネル数に制限が伴うこととなる。
【0044】
これに対し、図5において提案された前記カバー部を成形するステップ(S150)を遂行すると、内部移植装置が配置される空間を、液晶ポリマーという単一物質で確保することができる。また、基板部及びカバー部で囲まれる一つのパッケージが具現されるため、密封性が向上する。また、フィードスルーを用いないことにより、電極部を形成する際にマルチチャネルで形成でき、チャネル数の制限も解決することができる。すなわち、単一物質で微細電極アレイパッケージを実装するため、従来の技術に伴う問題点を解決することができる。
【0045】
以下では、本発明に係る微細電極アレイパッケージの製造方法の実施例を見ていくこととする。各実施例は、微細電極アレイパッケージの厚さに応じて具現される。
【0046】
図6は、本発明に係る液晶ポリマー微細電極アレイパッケージの製造方法の実施例を示す図である。図6には、2つの液晶ポリマーからなる層を利用した微細電極アレイパッケージの製造方法が図示されている。図6の(a)の過程では、液晶ポリマーからなる基板部及び液晶ポリマーからなるカバー部にアライメントホールを形成する。前記アライメントホールは、前記基板部及び前記カバー部を接着する際に整列させるためのものである。前記アライメントホールは、レーザー加工によって形成される。
【0047】
図6の(b)の過程では、前記カバー部を成形する。前記成形する過程では、アライメントホールにアラインピン70を挿入してアライメントホールの位置が移動しないようにする。前記カバー部に“П”形の屈曲が生じるようにし、前記基板部との接着の際に空間が形成されるようにする。図6の(c)の過程では、前記成型されたカバー部に電極部を露出させるようにするホール40を形成する。前記ホール40は、生体内の信号を収集する経路の役割をする。前記ホール40は、レーザー加工によって形成する。図6の(d)の過程では、前記基板部に電極部30を形成する。前記電極部30は、前記生体信号を内部移植装置に伝達する。電極部が露出される程度に応じて、信号の感度が変動する。
【0048】
図6の(e)の過程では、前記空間に内部移植装置を配置して組み立て、前記基板部及び前記カバー部を加熱プレス又はレーザー加工による溶接を通じて接着する。前記基板部及び前記カバー部を接着する場合に、内部移植装置が具備された部分(“П”形の屈曲のある部分)には、熱に弱い電子機器及びバッテリーなどを考慮して、加熱をしないよう、接着用プレスフレーム90に、点線で示したように何もない空間で構成する。また、電極部が露出されるようにするホール40及び前記空間のある部分には、圧力を過度に与えると前記ホール40又は電極部が損傷するため、別途にプレスパッド部80を具備する。前記プレスパッド部80を、前記基板部の前記電極部が形成されていない一面に接するようにしてから接着用プレスフレーム90を被せた後、加熱プレス又はレーザー加工による溶接工程を遂行する。前記ホール40及び前記電極部の位置がずれてはならないため、アライメントホールにアラインピン70を挿入して加圧、加熱する。図6の(f)は、完成した微細電極アレイパッケージを示したものである。
【0049】
前記図6の過程を応用して、図3の(b)に示された3層構造の微細電極アレイパッケージの製造方法を実施することができる。この場合には、基板部が第1基板部及び第2基板部により構成されるため、図6の(a)の過程で計3つの部分にアライメントホールを形成し、図6の(e)の過程で1つの基板部の代わりに2つの基板部をフレームに入れて、加熱プレス又はレーザー加工による溶接過程を遂行すればよい。
【0050】
また、図3の(c)に示された3層構造の微細電極アレイパッケージの製造方法も、実施することができる。この場合には、カバー部が第1カバー部及び第2カバー部により構成されるため、図6の(a)の過程で計3つの部分にアライメントホールを形成し、図6の(b)の過程で2つのカバー部に対して成形を施し、図6の(c)の過程で電極部の露出用ホールを2つのカバー部に形成し、図6の(e)の過程で1つのカバー部の代わりに2つのカバー部をフレームに入れて、加熱プレス又はレーザー加工による溶接過程を遂行すればよい。
【0051】
図3の(d)に示された3層構造の微細電極アレイパッケージの製造方法の場合には、第1基板部と第2基板部にそれぞれ電極部が含まれるので、図6の(a)の過程で計3つの部分にアライメントホールを形成し、図6の(c)の過程で電極部の露出用ホールを第2基板部にも形成し、図6の(d)の過程で第1基板部と第2基板部にそれぞれ電極部を形成し、図6の(e)の過程で内部移植装置と2つの基板部を組み立てて、加熱プレス又はレーザー加工による溶接過程を遂行すればよい。
【0052】
図7は、本発明に係る微細電極アレイパッケージを簡略に示す斜視図である。図1に示された従来の微細電極アレイパッケージと異なり、一つのパッケージからなることを見ることができる。図7では、微細電極アレイパッケージを2つの部分に分けて図示しているが、上側にある部分は、本明細書で説明したカバー部を示したものであり、下側にある部分は、電極部及び機能部が形成された基板部を示したものである。図7を見れば、従来の技術に係る微細電極アレイパッケージと異なる点を明確に知ることができる。
【0053】
以上において説明した本発明は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者において、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内において様々な変更及び変形が可能であるため、前述した実施例及び添付された図面に限定されるものではない。
【図3(a)】

【図3(b)】

【図3(c)】

【図3(d)】

【図6(a)】

【図6(b)】

【図6(c)】

【図6(d)】

【図6(e)】

【図6(f)】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶ポリマーを用いたセンサー及び神経補綴装置のための微細電極アレイパッケージにおいて、
液晶ポリマーからなる基板部;
生体信号を収集し、前記収集された生体信号を伝達する電極部;及び
前記電極部を離隔して保護する、液晶ポリマーからなるカバー部
を含む微細電極アレイを含み、
前記電極部は、前記基板部の一面に接して配置され、
前記カバー部は、前記電極部が配置された基板部の一面に接して接着され、
前記接着されたカバー部及び基板部の間には、外部環境と独立した空間が形成されていることを特徴とする、微細電極アレイパッケージ。
【請求項2】
前記カバー部には、前記電極部の露出用ホールが形成されていることを特徴とする、請求項1記載の微細電極アレイパッケージ。
【請求項3】
前記カバー部が成形されて、前記成形されたカバー部と前記基板部の一面が接着された後に、前記空間が形成されることを特徴とする、請求項1記載の微細電極アレイパッケージ。
【請求項4】
前記電極部から伝達された電気信号を処理し、前記処理された電気信号を転送する;
電気神経刺激パルスを生成するとともに、前記生成された電気神経刺激パルスを前記電極部に伝達する;
電力およびデータを受信する;及び
前記処理された電気信号を送信する、機能部をさらに含み、
前記機能部は、前記空間に配置されていることを特徴とする、請求項1記載の微細電極アレイパッケージ。
【請求項5】
前記機能部が前記空間に配置され、前記微細電極アレイと前記機能部を一つのパッケージに一体化したことを特徴とする、請求項4記載の微細電極アレイパッケージ。
【請求項6】
前記カバー部の融点は、前記基板部の融点よりも高く、
前記カバー部及び前記基板部は、それぞれの融点の差によって接着されることを特徴とする、請求項1記載の微細電極アレイパッケージ。
【請求項7】
前記基板部は、
第1基板部;及び
前記電極部が形成されている第2基板部、を含み、
前記第2基板部は、前記第1基板部及び前記カバー部の間に位置することを特徴とする、請求項1記載の微細電極アレイパッケージ。
【請求項8】
前記基板部は、第1基板部;及び
前記第1基板部及び前記カバー部の間に位置する第2基板部、を含み、
前記電極部は、
前記第1基板部の一面に接して配置される第1電極部;及び、
前記第2基板部の一面に接して配置される第2電極部、を含み、
前記カバー部は、前記第2電極部が配置された第2基板部の一面に接して接着され、
前記接着されたカバー部及び第2基板部の間には、外部環境と独立した空間が形成されていることを特徴とする、請求項1記載の微細電極アレイパッケージ。
【請求項9】
前記カバー部及び前記第1基板部の融点は、前記第2基板部の融点よりも高く、
前記カバー部、前記第1基板部及び前記第2基板部は、それぞれの融点の差によって接着されることを特徴とする、請求項7又は8記載の微細電極アレイパッケージ。
【請求項10】
液晶ポリマーを用いた微細電極アレイパッケージの製造方法において、
液晶ポリマーからなる基板部及び液晶ポリマーからなるカバー部にアライメントホールを形成するステップ;
前記カバー部に電極部の露出用ホールを形成するステップ;
前記基板部の一面に電極部を形成するステップ;
前記アライメントホールによって前記基板部及び前記カバー部を整列させた後、前記基板部及び前記カバー部を接着するステップ;及び
前記接着された基板部及びカバー部の外形を切断するステップ、を含むことを特徴とする、微細電極アレイパッケージの製造方法。
【請求項11】
前記アライメントホールを形成するステップ、電極部の露出用ホールを形成するステップ、前記基板部及び前記カバー部を接着するステップ、並びに前記接着された基板部及びカバー部の外形を切断するステップは、
レーザー加工によって実行されることを特徴とする、請求項10記載の微細電極アレイパッケージの製造方法。
【請求項12】
前記カバー部の融点は、前記基板部の融点よりも高く、
前記カバー部及び前記基板部は、それぞれの融点の差によって接着されることを特徴とする、請求項10記載の微細電極アレイパッケージの製造方法。
【請求項13】
前記アライメントホールを形成するステップの直後に、前記カバー部を形成するステップをさらに含み、
前記カバー部を成形することによって前記カバー部及び前記基板部の間に外部環境から独立した空間が確保されることを特徴とする、請求項10記載の微細電極アレイパッケージの製造方法。
【請求項14】
前記カバー部を成形するステップは、
前記カバー部を加熱プレス加工により成形するステップを含むことを特徴とする、請求項13記載の微細電極アレイパッケージの製造方法。
【請求項15】
信号の生成/処理及び信号の送信/受信のための機能部を前記空間に配置することにより、
前記機能部が前記空間に配置されて外部環境に影響を受けないようにするステップを含むことを特徴とする、請求項13記載の微細電極アレイパッケージの製造方法。
【請求項16】
前記基板部及び前記カバー部を互いに接着するステップは、
前記電極部が形成されていない前記基板部の一面に接するように、プレスパッド部を配置するステップ、を含むことを特徴とする、請求項10記載の微細電極アレイパッケージの製造方法。
【請求項17】
前記プレスパッド部には、熱接着処理の際に前記基板部の異なる位置ごとに異なる圧力が与えられるように、三次元の表面形態が形成されていることを特徴とする、請求項16記載の微細電極アレイパッケージの製造方法。

【図7】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−514517(P2012−514517A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545281(P2011−545281)
【出願日】平成21年8月14日(2009.8.14)
【国際出願番号】PCT/KR2009/004558
【国際公開番号】WO2010/079875
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(509084149)エスエヌユー アールアンドディービー ファウンデーション (19)
【出願人】(511002489)ニューロ バイオシステムズ コーポレイション (2)
【Fターム(参考)】