説明

液晶媒体

【課題】化学的安定性および熱に対する安定性を有し、さらに電場等に対する良好な安定性を有しさらにまた、比較的低い粘度、かつ短いアドレス時間、低いしきい値電圧および大きいコントラストを有する液晶材料。
【解決手段】正の誘電異方性を有する極性化合物の混合物を基材とする液晶媒体であって、下記一般式Iで表わされる1種または2種以上の化合物を含有することを特徴とする液晶媒体に関する:


Rはアルキル基等、YはF、LはHまたはFを示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶媒体、電気光学用途におけるその使用、およびこの媒体を含有するディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶は、特にディスプレイデバイスにおける誘電体として使用される。この理由は、このような物質の光学的性質は印加電圧により変更することができるからである。液晶に基づく電気光学デバイスは当業者に充分に知られており、各種効果に基づくことができる。この種のデバイスの例には、動的散乱を有するセル、DAP(整列相の変形)セル、ゲスト/ホストセル、TN(ねじれネマティック)セル、STN(スーパーツィストネマティック)セル、SBE(超複屈折効果)セルおよびOMI(光学モード干渉)セルがある。最も慣用のディスプレイデバイスは、シャット−ヘルフリッヒ効果に基づくものであり、ねじれネマティック構造を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
液晶材料は良好な化学的安定性および熱に対する安定性を有し、さらにまた電場および電磁照射線に対する良好な安定性を有していなければならない。さらにまた、液晶材料は比較的低い粘度を有するべきであり、かつまたセルにおいて短いアドレス時間、低いしきい値電圧および大きいコントラストをもたらすべきである。
さらにまた、これらの材料は慣用の動作温度において、すなわち室温以上および室温以下の可能な限り最大範囲の動作温度において、適当な中間相、例えば上記セルに適するネマティックまたはコレステリック中間相を有していなければならない。液晶は一般に、複数の成分の混合物の形態で使用されることから、これらの成分が相互に容易に混和することができることは重要である。導電性、誘電異方性および光学異方性などのさらに別の性質は、セルの種類および使用分野に応じて種々の要件に適合しなければならない。例えば、ねじれネマティック構造を有するセル用の材料は、正の誘電異方性および小さい導電性を有するべきである。
【0004】
例えば、個々の画素を切り換えるための集積非線型素子を備えたマトリックス液晶ディスプレイ(MLCディスプレイ)には、大きい正の誘電異方性、広いネマティック相、比較的小さい複屈折率、非常に大きい抵抗値、良好なUVおよび温度安定性ならびに低い蒸気圧を有する媒体が望まれる。
この種のマトリックス液晶ディスプレイは公知である。各画素をそれぞれ切り換えるために使用できる非線型素子の例には、アクティブ素子(すなわち、トランジスター)がある。この素子は、「アクティブマトリックス」と称され、2つのタイプに分類することができる:
1.基板としてのシリコンウエファー上のMOS(金属酸化物半導体)またはその他のダイオード。
2.基質としてのガラス板上の薄膜トランジスター(TFT)。
基板材料として単結晶シリコンを使用すると、ディスプレイの大きさが制限される。これは、種々の部分表示をモジュラー集合させてさえも、接合部分に問題が生じるからである。
【0005】
好適であって、さらに有望なタイプ2の場合に、使用される電気光学効果は通常、TN効果である。この効果は2種のテクノロジイ間に相違点を有する:すなわち化合物半導体、例えばCdSeなどからなるTFT、または多結晶形または無定形シリコンをベースとするTFTである。後者の技術に関しては、格別の研究が世界中で行われている。
TFTマトリックスは、当該ディスプレイの1枚のガラス板の内側に施され、もう1枚のガラス板の内側は透明な対向電極を担持している。画素電極の大きさと比較すると、TFTは非常に小さく、かつまた像に対する有害な効果は全く有していない。この技術はまた、各フィルター素子が切り換え可能な画素と反対に位置するようにモザイク状の赤色、緑色および青色フィルターを配列した、全色コンパティブル画像ディスプレイにまで発展させることができる。
TFTディスプレイは通常、透過光内で交差偏光子を有するTNセルとして動作し、裏側から照射される。
ここで、MLCディスプレイの用語には、集積非線型素子を含むマトリックスディスプレイがいずれも包含される。すなわちアクティブマトリックスに加えて、またバリスターまたはダイオード(MIM=金属−絶縁体−金属)などの受動的素子を備えたディスプレイが包含される。
この種のMLCディスプレイは、TV用途(例えば、ポケット型テレビ受像機)に、またはコンピューター用途(ラップトップ型)および自動車または航空機用の高度情報ディスプレイ用に特に適している。コントラストの角度依存性および応答時間に関連する問題に加えて、MLCディスプレイでは、液晶混合物の不適当な抵抗値による問題が生じる[TOGASHI,S.,SEKIGUCHI,K.,TANABE,H.,YAMAMOTO,E.,SORIMACHI,K.,TAJIMA,E.,WATANABE,H.,SHIMIZU,H.によるProc.Eurodisplay 84,1984年9月:A210〜288;Matrix LCD Controlled by Double Stage Diode Rings,141頁以降、Paris;STROMER,M.によるProc.Eurodisplay 84,1984年9月:Design of Thin Film Transistors for Matrix Addressing of Television Liquid Crystal Displays,145頁以降、Paris]。
【0006】
この抵抗値が減少するほど、MLCディスプレイのコントラストは悪化し、残像消去の問題が生じることがある。液晶混合物の抵抗値は一般に、MLCディスプレイの内部表面との相互作用によって、MLCディスプレイの寿命全体を減少させることから、許容される作業寿命を得るためには、大きい(初期)抵抗値は非常に重要である。特に低電圧混合物の場合には、非常に大きい抵抗値を達成することは従来、不可能であった。温度の上昇および熱および(または)UV照射線への露呈後における抵抗値の増加はできるだけ小さいことがまた重要である。従来技術からの混合物の低温物性はまた、特に欠点を有する。低温でも結晶化および(または)スメクティック相が生じないことが要求され、かつまた粘度の温度依存性ができるだけ少ないことが要求される。従来技術によるMLCディスプレイは、これらの現在の要件を満たすものではない。
【0007】
従って、非常に大きい抵抗値を有し、同時に広い動作温度範囲、低温でさえも、短い応答時間および低いしきい値電圧を有し、上記の欠点を有していないか、または有していても少ない程度であるMLCディスプレイに対する格別の要求が継続して存在している。
TN(シャット−ヘルフリッヒ)セルの場合に、媒体はセルにおいて下記の利点を助長することが望まれる:
− 拡大されたネマティック相範囲(特に低温にまで低下されている)、
− 格別に低い温度における切り換え能力(野外用、自動車用、航空機用)、
− UV照射線に対する際立った安定性(より長い寿命)。
従来技術から利用できる媒体は、これらの利点の達成を可能にすると同時に、その他のパラメーターを保有するものではない。
スーパーツィストセル(STN)の場合には、より大きい時分割特性および(または)より低いしきい値電圧および(または)より広いネマティック相範囲(特に低温における)を可能にする媒体が望ましい。この目的を達成するには、利用できるパラメーター範囲(透明点、スメクティック−ネマティック転移または融点、粘度、誘電値、弾性値)をさらに拡大することが格別に望まれる。
本発明の課題は、特にMLC、TNまたはSTNディスプレイ用の媒体であって、前記の欠点を有していないか、あるいは有していても少ない程度のみであり、好ましくは同時に、非常に大きい抵抗値および低いしきい値電圧を有する媒体を提供することにある。
ここに、新規媒体をディスプレイに使用すると、上記課題が解消されることが見出された。
【0008】
従って、本発明は、正の誘電異方性を有する極性化合物の混合物を基材とする液晶媒体であって、下記一般式Iで表わされる1種または2種以上の化合物を含有することを特徴とする液晶媒体に関する:
【化1】

式中、
Rは、Hであるか、または炭素原子1〜15個を有するアルキル基またはアルケニル基であり、この基は未置換であるか、または置換基として1個のCNまたはCF3を有するか、または置換基として少なくとも1個のハロゲンを有しており、これらの基中に存在する1個または2個以上のCH2基はまた、それぞれ相互に独立して、O原子が相互に直接に結合しないものとして、−O−、−S−、
【化2】

−CO−、−CO−O−、−OCO−または−O−CO−O−により置き換えられていてもよく、
Yは、FまたはClであるか、あるいは炭素原子1〜6個を有する、ハロゲン化されているアルキル基、アルケニル基またはアルコキシ基であり、そして
1はHまたはFである。
【0009】
式Iで表わされる化合物は、広い用途範囲を有する。置換基を選択することによって、これらの化合物は液晶媒体を主として構成する基材として使用することができる;しかしながら、式Iで表わされる化合物はまた、別の種類の化合物からの液晶基材に添加して、例えばこの種の誘電体の誘電異方性および(または)光学異方性を変えることができ、および(または)そのしきい値電圧および(または)その粘度を最適にすることができる。
式Iで表わされる化合物は純粋な状態で無色であり、そして電気光学用途に対して好ましく位置する温度範囲で液晶中間相を形成する。これらの化合物は化学物質、熱および光に対して安定である。
【0010】
式Iで表わされる化合物はEP0387032に記載の一般式に包含される。 US5,322,638は、下記式で表わされる1,3−ジオキサン化合物を特許請求している:
【化3】

式中、R1はアルケニル基であり、A2は1,4−フェニル環またはトランス−1,4−シクロヘキシレン環であり、X1はFまたはClであり、そしてX2 はフッ素である。
EP0400861は、下記式で表わされるフェニルジオキサン化合物を開示している:
【化4】

【0011】
式Iで表わされる化合物を含有する新規媒体において、Yは好ましくは、F、Cl、OCF3、OCHF2、CF3、CHFCF3、CF2CHF2、C24CHF2、CF2CH2CF3、CHF2、OCH2CF3、OCH2CHF2、OCF2CHF2、O(CH23CF3、OCH225 、OCH2CF2CHF2、OCH237、OCHFCF3、OC25、OCF2CHFCF3、OCH=CF2、OCF=CF2、OCF=CFCF3、OCF=CF−C25、CH=CHF、CH=CF2、CF=CF2、CF2OCF3 、特にF、OCHFCF3、OCF3、OCHF2、OC25、OC37、OCH=CF2またはCF2OCF3である。
【0012】
式Iにおいて、Y=L1=Fである化合物は好適化合物として挙げられる。
Rがアルキル基および(または)アルコキシ基である場合に、この基は直鎖状または分枝鎖状であることができる。この基は好ましくは、直鎖状であって、炭素原子2個、3個、4個、5個、6個または7個を有し、従って好ましくは、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、ヘキソキシまたはヘプトキシであり、さらにまたメチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、メトキシ、オクトキシ、ノノキシ、デコキシ、ウンデコキシ、ドデコキシ、トリデコキシまたはテトラデコキシであることができる。
【0013】
オキサアルキルは好ましくは、直鎖状の2−オキサプロピル(=メトキシメチル)、2−(=エトキシメチル)または3−オキサブチル(=2- メトキシエチル)、2−、3−または4−オキサペンチル、2−、3−、4−または5−オキサヘキシル、2−、3−、4−、5−または6−オキサヘプチル、2−、3−、4−、5−、6−または7−オキサオクチル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−オキサノニルあるいは2−、3−、4−、5−、6−、7−、8−または9−オキサデシルである。
【0014】
Rがアルキル基であって、この基中に存在する1個のCH2が−CH=CH−により置き換えられている場合に、この基は直鎖状または分枝鎖状であることができる。この基は好ましくは、直鎖状であって、炭素原子2〜10個を有する。従って、この基は特に、ビニル、プロプ−1−または−2−エニル、ブト−1−、−2−または−3−エニル、ペント−1−、−2−、−3−または−4−エニル、ヘキシ−1−、−2−、−3−、−4−または−5−エニル、ヘプト−1−、−2−、−3−、−4−、−5−または−6−エニル、オクト−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−または−7−エニル、ノン−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−または−8−エニル、あるいはデク−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−、−8−または−9−エニルである。
【0015】
Rがアルキル基であって、この基中に存在する1個のCH2基が−O−により置き換えられている場合および1個のCH2基が−CO−により置き換えられている場合に、これらの基は好ましくは、隣接している。従って、この基は1個のアシルオキシ基−CO−O−または1個のオキシカルボニル基−O−CO−を含有する。これらの基は好ましくは、直鎖状であって、炭素原子2〜6個を有する。従って、この基は特に、アセトキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、アセトキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、ペンタノイルオキシメチル、2−アセトキシエチル、2−プロピオニルオキシエチル、2−ブチリルオキシエチル、3−アセトキシプロピル、3−プロピオニルオキシプロピル、4−アセトキシブチル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、ペントキシカルボニル、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、プロポキシカルボニルメチル、ブトキシカルボニルメチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(プロポキシカルボニル)エチル、3−(メトキシカルボニル)プロピル、3−(エトキシカルボニル)プロピルまたは4−(メトキシカルボニル)ブチルである。
【0016】
Rがアルキル基であって、この基中に存在する1個のCH2基が未置換のまたは置換基を有する−CH=CH−により置き換えられている場合および隣接するCH2基がCOまたはCO−OまたはO−COにより置き換えられている場合に、この基は直鎖状または分枝鎖状であることができる。この基は好ましくは、直鎖状であつて、炭素原子4〜13個を有する。従って、この基は特に、アクリロイルオキシメチル、2−アクリロイルオキシエチル、3−アクリロイルオキシプロピル、4−アクリロイルオキシブチル、5−アクリロイルオキシペンチル、6−アクリロイルオキシヘキシル、7−アクリロイルオキシヘプチル、8−アクリロイルオキシオクチル、9−アクリロイルオキシノニル、10−アクリロイルオキシデシル、メタアクリロイルオキシメチル、2−メタアクリロイルオキシエチル、3−メタアクリロイルオキシプロピル、4−メタアクリロイルオキシブチル、5−メタアクリロイルオキシペンチル、6−メタアクリロイルオキシヘキシル、7−メタアクリロイルオキシヘプチル、8−メタアクリロイルオキシオクチルおよび9−メタアクリロイルオキシノニルである。
【0017】
Rがアルキル基またはアルケニル基であって、置換基として1個のCNまたはCF3を有する場合に、この基は好ましくは、直鎖状である。CNまたはCF3による置換は、いずれか所望の位置であることができる。
Rがアルキル基またはアルケニル基であって、置換基として少なくとも1個のハロゲンを有する場合に、この基は好ましくは、直鎖状であり、そしてハロゲンは好ましくは、FまたはClである。複数の置換基を有する場合に、ハロゲンは好ましくは、Fである。生成する基にはまた、過フッ素化されている基が包含される。1個の置換基を有する場合に、このフッ素または塩素置換基はいずれか所望の位置に存在することができるが、好ましくはω−位置に存在する。
【0018】
式Iにおいて、重付加反応に適する側鎖基Rを有する化合物は、液晶重付加生成物の製造に適している。
分枝鎖状側鎖基Rを有する式Iで表わされる化合物は、これらが慣用の液晶基材中で良好な溶解性を有することから場合により重要であるが、特にこれらが光学活性である場合には、カイラルドープ剤として重要である。この種のスメクティック化合物は、強誘電性材料の成分として適している。
A相を有する式Iで表わされる化合物は、例えば熱によりアドレスされるディスプレイに適している。
この種の分枝鎖状基は一般に、1個よりも多くない鎖分枝を有する。好適な分枝鎖状基Rは、イソプロピル、2−ブチル(=1−メチルプロピル)、イソブチル(=2−メチルプロピル)、2−メチルブチル、イソペンチル(=3−メチルブチル)、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−エチルヘキシル、2−プロピルペンチル、イソプロポキシ、2−メチルプロポキシ、2−メチルブトキシ、3−メチルブトキシ、2−メチルペントキシ、3−メチルペントキシ、2−エチルヘキソキシ、1−メチルヘキソキシおよび1−メチルヘプトキシである。
【0019】
Rがアルキル基であって、この基中に存在する2個または3個以上のCH2基が−O−および(または)−CO−O−により置き換えられている場合に、この基は直鎖状または分枝鎖状であることができる。この基は好ましくは、分枝鎖状であつて、炭素原子3〜12個を有する。従って、この基は特に、ビスカルボキシメチル、2,2−ビスカルボキシエチル、3,3−ビスカルボキシプロピル、4,4−ビスカルボキシブチル、5,5−ビスカルボキシペンチル、6,6−ビスカルボキシヘキシル、7,7−ビスカルボキシヘプチル、8,8−ビスカルボキシオクチル、9,9−ビスカルボキシノニル、10,10−ビスカルボキシデシル、ビス(メトキシカルボニル)メチル、2,2−ビス(メトキシカルボニル)エチル、3,3−ビス(メトキシカルボニル)プロピル、4,4−ビス(メトキシカルボニル)ブチル、5,5−ビス(メトキシカルボニル)ペンチル、6,6−ビス(メトキシカルボニル)ヘキシル、7,7−ビス(メトキシカルボニル)ヘプチル、8,8−ビス(メトキシカルボニル)オクチル、ビス(エトキシカルボニル)メチル、2,2−ビス(エトキシカルボニル)エチル、3,3−ビス(エトキシカルボニル)プロピル、4,4−ビス(エトキシカルボニル)ブチルおよび5,5−ビス(エトキシカルボニル)ヘキシルである。
【0020】
式Iで表わされる化合物は、刊行物(例えばHouben− WeylによるMethoden der Organischen Chemie,Georg− Thieme出版社、Stuttgartなどの標準的学術書)に記載されているようなそれ自体公知の方法により、当該反応に適する公知の反応条件の下に製造することができる。それ自体は公知であるが、本明細書には詳細に記載されていない変法を使用することもできる。
式Iで表わされる化合物は、対応するジオール化合物とアルデヒド化合物との反応において、水を分離することにより1,3−ジオキサン環を形成させることによって、あるいは置換基Xを直接に形成することによって、あるいは対応する水素、OH、トシレート、トリフレート、臭素、ヨウ素、金属またはアルデヒド誘導体を経て、刊行物から公知の方法によって、簡単な方法で入手することができる。
【0021】
本発明による化合物は、例えば下記の方法によって製造することができる:
製造経路 1
【化5】

【0022】
製造経路 2
【化6】

【0023】
製造経路 3
【化7】

【0024】
本発明はまた、この種の媒体を含有する電気光学ディスプレイ(特に外枠と一緒になってセルを形成している2枚の面平行外側基板、この外側基板上の各画素を切り換えるための集積非線型素子、およびセル内に位置している正の誘電異方性および大きい抵抗値を有するネマティック液晶混合物を備えたSTNまたはMLCディスプレイ)、およびこれらの媒体の電気光学用途への使用に関する。
本発明による液晶混合物は、利用できるパラメーター範囲の格別の拡大を助長する。
透明点、低温における粘度、熱およびUV安定性および誘電異方性について達成することができる組合わせは、従来技術から公知の材料に比較して、はるかに優れている。
従来、高い透明点、低温におけるネマティック相および大きい△εにかかわる要件は、不十分な程度で達成されていただけであった。例えばZLI−3119などの系は匹敵する透明点および比較的好ましい粘度を有するが、これらの△ε値は+3にすぎない。
別の混合物系は匹敵する粘度および△ε値を有するが、その透明点は60℃の範囲にあるのみである。
【0025】
本発明による液晶混合物は、80℃以上、好ましくは90℃以上、特に好ましくは100℃以上の透明点を有すると同時に、△ε≧6、好ましくは△ε≧8の誘電異方性値および大きい抵抗値を有しながら、−20℃まで低下した、好ましくは−30℃まで低下した、特に好ましくは−40℃まで低下した温度で、ネマティック相を保有することを可能にする。このことは、優れたSTNおよびMLCディスプレイを達成することができることを意味する。特に、この混合物は、低い動作電圧を有することを特徴としている。TNしきい値電圧は2.0V以下、好ましくは1.5V以下、特に好ましくは<1.3Vである。
【0026】
本発明による混合物は成分を適当に選択することによって、他の有利な物性を保有しながら、高いしきい値電圧においてより高い透明点(例えば110゜以上)を達成することができ、あるいは低いしきい値電圧において低い透明点を達成することができる。同様に、粘度を対応して少し増加させた場合に、比較的大きい△ε値を有し、従って比較的低いしきい値電圧を有する混合物を得ることができる。本発明によるMLCディスプレイは好ましくは、グーチおよびタリイ(Gooch and Tarry)の第一透過率極小値で動作する[C.H.Gooch and H.A.TarryによるElectron.Lett.,10,2〜4,1974;C.H.Gooch and H.A.TarryによるAppl.Phys.,Vol.8,1575〜1584,1975]。この場合には、第二透過率極小値におけるより小さい誘電異方性値でも、類似ディスプレイでのしきい値電圧と同一のしきい値電圧における特に好ましい電気光学的性質、例えば特性曲線の大きい急峻度およびコントラストの小さい角度依存性(ドイツ国特許3022818)の付与に充分である。
【0027】
シアノ化合物を含有する混合物を使用した場合に比較して、本発明による混合物を使用することによって第一極小値において際立って大きい抵抗値を達成することが可能になる。当業者は簡単で慣用の方法を使用して、各成分およびそれらの重量割合を適当に選択することによって、予め定められた層厚さのMLCディスプレイに必要な複屈折値を得ることができる。
20℃における粘度は好ましくは、<60mPa.s、特に好ましくは<50mPa.sである。そのネマティック相範囲は好ましくは、少なくとも90゜、特に少なくとも100゜である。この範囲は好ましくは、少なくとも−20゜から+80゜まで延びている。
【0028】
尺度「容量保持率」(HR)[S.Matsumoto等によるLiquid Crystals,5,1320(1989);K.Niwa等によるProc.SID Conference,San Francisco,1984年6月、304頁(1984);G.Weber等によるLiquid Crystals,5,1381(1989)]に関して、式Iで表わされる化合物の代わりに、式:
【化8】

で表わされるシアノフェニルシクロヘキサン化合物または式:
【化9】

で表わされるエステル化合物を含有する類似混合物に比較して、式Iで表わされる化合物を含有する本発明による混合物が示す温度上昇に付随するHR値の減少は格別に小さい。
【0029】
本発明による混合物のUV安定性はまた、格別に良好である、すなわちこれらの混合物がUV照射にさらされた場合に示すHRの減少は際立って少ない。
本発明による媒体は好ましくは、複数(好ましくは2種または3種以上)の式Iで表わされる化合物を基材とするものである。すなわちこれらの化合物の割合は5〜95%、好ましくは10〜60%、特に好ましくは20〜50%の範囲にある。
本発明による媒体に使用することができる式I〜XIIおよびそれらの付属式で表わされる化合物はそれぞれ、公知であるか、または公知化合物と同様に製造することができる。
【0030】
好適態様を以下に示す:
− 式Iで表わされる化合物が下記式で表されるジオキサン化合物である:
【化10】

式中、Rは請求項1に定義されているとおりであるが、好ましくは直鎖状アルキル基である;
− 下記一般式II〜VIからなる群から選択される1種または2種以上の化合物をさらに含有する媒体:
【化11】

【0031】
各式中、各基は下記の意味を有する:
0 :9個までの炭素原子をそれぞれ有するn−アルキル、オキサアルキル、フルオロアルキルまたはアルケニル基;
0 :FまたはCl、あるいは炭素原子1〜6個を有するハロゲン化されているアルキル、アルケニルまたはアルコキシ基;
1 およびY2 :それぞれ相互に独立して、HまたはF;
r:0または1。
式IVで表わされる化合物は好ましくは、下記の化合物である:
【化12】

− 媒体が下記一般式VII〜XIIからなる群から選択される1種または2種以上の化合物をさらに含有する:
【化13】

【0032】
上記各式において、R0、X0、Y1およびY2はそれぞれ相互に独立して、請求項2に定義されているとおりであり、好ましくはF、Cl、CF3、OCF3 またはOCHF2であるか、あるいは6個までの炭素原子をそれぞれ有するアルキル、オキサアルキル、フルオロアルキルまたはアルケニルである。
− 下記式で表わされる1種または2種以上の化合物をさらに含有する媒体:
【化14】

− 下記式で表わされる1種または2種以上の化合物をさらに含有する媒体:
【化15】

− 総混合物中の式I〜VIで表わされる化合物の割合は一緒になって、少なくとも50重量%である;
− 総混合物中の式Iで表わされる化合物の割合は、10〜50重量%である;
− 総混合物中の式II〜VIで表わされる化合物の割合は、30〜70重量%である;
【化16】

− 式II、式III、式IV、式Vまたは式VIで表わされる化合物を含有する媒体;
【0033】
− R0 は炭素原子2〜7個を有する直鎖状アルキル基またはアルケニル基である;
− 式I〜VIで表わされる化合物から基本的になる媒体;
− 式Iにおいて、YがFおよびOCHF2 である化合物の混合物を含有する媒体;
− 別種の化合物、好ましくは下記一般式XIII〜XVIからなる群から選択される化合物をさらに含有する媒体:
【化17】

【0034】
上記各式において、R0 およびX0 は上記定義のとおりであり、そしてその1,4−フェニレン環はCN、塩素またはフッ素により置換されていてもよい。この1,4−フェニレン環は好ましくは、1個または2個以上のフッ素原子により置換されている。
− I:(II+III+IV+V+VI)重量比は好ましくは1:10〜10:1である。
− 一般式I〜XIIからなる群から選択される化合物から基本的になる媒体。慣用の液晶材料と混合された、特に式II、式III、式IV、式Vおよび(または)式VIで表わされる化合物の1種または2種以上と混合された式Iで表わされる化合物は、比較的少割合でも、しきい値電圧の際立った減少および小さい複屈折値をもたらすと同時に、低いスメクティック−ネマティック転移温度を伴う広いネマティック相をもたらすことが見出された。その結果として、その有効寿命が改善される。式Iで表される1種または2種以上の化合物に加えて、1種または2種以上の式IVで表される化合物、特に式IVaにおいて、X0がFまたはOCF3である化合物を含有する混合物は特に好ましい混合物として挙げられる。式I〜VIで表わされる化合物は、無色であり、安定であり、かつまた相互におよび別の液晶材料と容易に混合することができる。
【0035】
「アルキル」の用語は、炭素原子1〜7個を有する直鎖状および分枝鎖状のアルキル基を包含し、特に直鎖状基、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびヘプチルを包含する。炭素原子2〜5個を有する基は一般に好適である。
「アルケニル」の用語は、炭素原子2〜7個を有する直鎖状および分枝鎖状のアルケニル基、特に直鎖状基を包含する。特にアルケニル基は、C2〜C7−1E−アルケニル、C4〜C7−3E−アルケニル、C5〜C7−4−アルケニル、C6〜C7−5−アルケニルおよびC7〜6−アルケニル、特にC2 〜C7−1E−アルケニル、C4〜C7−3E−アルケニルおよびC5〜C7−4−アルケニルである。好適アルケニルの例には、ビニル、1E−プロペニル、1E−ブテニル、1E−ペンテニル、1E−ヘキセニル、1E−ヘプテニル、3−ブテニル、3E−ペンテニル、3E−ヘキセニル、3E−ヘプテニル、4−ペンテニル、4Z−ヘキセニル、4E−ヘキセニル、4Z−ヘプテニル、5−ヘキセニル、6−ヘプテニルなどがある。5個までの炭素原子を有する基は一般に好適である。
【0036】
「フルオロアルキル」の用語は好ましくは、末端にフッ素を有する直鎖状基、すなわちフルオロメチル、2−フルオロエチル、3−フルオロプロピル、4−フルオロブチル、5−フルオロペンチル、6−フルオロヘキシルおよび7−フルオロヘプチルを包含する。しかしながら、別の位置のフッ素も排除されない。
「オキサアルキル」の用語は好ましくは、式Cn2n+1−O−(CH2mで表わされる直鎖状基(式中、nおよびmはそれぞれ相互に独立して、1〜6である)を包含する。nは好ましくは1であり、そしてmは好ましくは1〜6である。 前記したように、R0 およびX0 の意味を適当に選択することによって、アドレス時間、しきい値電圧、透過特性曲線の勾配などを所望に応じて変えることができる。例えば、1E−アルケニル基、3E−アルケニル基、2E−アルケニルオキシ基などは一般に、アルキル基およびアルコキシ基に比較して、短いアドレス時間、改良されたネマティック相形成傾向および弾性定数K33(ベンド)とK11(スプレイ)の大きい比をもたらす。4−アルケニル基、3−アルケニル基などの基は一般に、アルキル基およびアルコキシ基に比較して、低いしきい値電圧および小さいK33/K11値をもたらす。
【0037】
−CH2CH2−基は一般に、単純共有結合に比較して、大きいK33/K11値をもたらす。大きいK33/K11値は、例えば90゜のねじれ角を有するTNセルにおいて、より平坦な透過特性曲線をもたらし(中間調が得られる)、かつまたSTN、SBEおよびOMIセル(このセルはより大きい時分割特性を有する)において、より急峻な透過特性曲線をもたらし、その逆もまた真である。
式Iで表わされる化合物と式II+III+IV+V+VIで表わされる化合物との最適混合比は、所望の性質、式I、II、III、IV、Vおよび(または)VIで表わされる成分の選択および存在させることができるいずれかその他の成分の選択に実質的に依存する。前記範囲内の適当な混合比は、場合毎に容易に決定することができる。
本発明による混合物中の式I〜XIIで表わされる化合物の総量に制限はない。従って、これらの混合物は、1種または2種以上の追加の成分を含有することができ、これにより種々の性質を最適にすることができる。しかしながら、アドレス時間およびしきい値電圧について見出される効果は一般に、式I〜XIIで表わされる化合物の総濃度が高いほど大きくなる。
【0038】
特に好適な態様において、本発明による媒体は、式II〜VI(好ましくは式II、IIIおよび(または)IV、特にIVa)において、X0がF、OCF3、OCHF2 、F、OCH=CF2、OCF=CF2またはOCF2−CF2Hである化合物を含有する。式Iで表わされる化合物との好ましい相乗効果は特に有利な性質をもたらす。特に、式Iで表わされる化合物および式IVaで表わされる化合物を含有する混合物は、それらの低いしきい値電圧の点で際立っている。
偏光子、電極基板および表面処理された電極からの本発明によるMLCディスプレイの構造は、この型式のディスプレイに慣用である構造に対応する。ここで、慣用の構造の用語は、広く解釈され、誘導型および改良型のMLCディスプレイの全部、特にまたポリ−Si TFTまたはMIMに基づくマトリックスディスプレイ素子をまた包含する。
しかしながら、本発明によるディスプレイとねじれネマティックセルを基材とする従来慣用のディスプレイとの基本的相違点は、その液晶層の液晶パラメーターの選択にある。
【0039】
本発明に従い使用することができる液晶混合物は、それ自体慣用の方法により製造することができる。一般に、少ない方の量で使用される成分の所望量を、有利には高められた温度で、主要成分を構成する成分中に溶解する。有機溶剤、例えばアセトン、クロロホルムまたはメタノール中の成分の溶液を混合し、次いで充分に混合した後に、例えば蒸留によって溶剤を分離することもできる。
誘電体はまた、当業者に公知であり、刊行物に記載されている他の添加剤を含有することもできる。例えば、0〜15%の多色性染料またはカイラルドープ剤を添加することができる。
【0040】
Cは結晶相を表わし、Sはスメクティック相を表わし、SCはスメクティックC相を表わし、Nはネマティック相を表わし、そしてIはアイソトロピック相を表わす。
10は10%透過に要する電圧を表わす(基板表面に対して垂直の視角)。tonはV10の2.5倍に対応する動作電圧におけるスィッチ−オン時間を、そしてtoff はスィッチ−オフ時間を表わす。△nは光学異方性を表わし、そしてn0 は屈折率を表わす。△εは誘電異方性を表わす(△ε=ε‖−ε、この式において、ε‖は分子の長軸に対して平行の誘電異方性値であり、そしてε⊥は分子の長軸に対して垂直の誘電異方性値である)。電気光学データは、別段の記載がないかぎり、20℃で第一極小値において(すなわち0.5のd・△n値において)TNセルで測定した。光学データは、別段の記載がないかぎり、20℃で測定した。
本出願および下記の例において、液晶化合物の構造はいずれも略号で示されており、化学式への変換は以下の表Aおよび表Bにより行うことができる。基Cn2n+1および基Cm2m+1は全部がそれぞれ、n個またはm個の炭素原子を含有する直鎖状アルキル基である。表B中のコードは自明である。表Aにおいて、基本構造に関する略号のみが示されている。各化合物について、基本構造に関する頭文字の後に、ハイフンにより分離して、下記のとおりの置換基R1、R2、L1およびL2に関するコードが示されている。
【0041】
【表1】

好適混合物の成分を表AおよびBに示す。
表A
【化18】

【0042】
【化19】

【0043】
表B
【化20】

【0044】
以下の例は、本発明を説明するものであって、本発明を制限しようとするものではない。本明細書の全体をとおして、パーセンテージは重量によるパーセントである。温度は全部が、摂氏度で示されている。m.p.は融点を表わし、c.p.=透明点である。さらにまた、C=結晶状態であり、N=ネマティック相であり、S=スメクティック相であり、そしてI=アイソトロピック相である。これらの記号間のデータは転移温度を表わす。△nは、光学異方性を表わし(589nm、20℃)、そして粘度(mm2/秒)は20℃で測定した数値である。
「慣用の仕上げ処理」の用語は、必要に応じて、水を添加し、この混合物をジクロロメタン、ジエチルエーテルまたはトルエンにより抽出し、その有機相を分離採取し、乾燥させ、次いで蒸発させ、この生成物を減圧蒸留または結晶化および(または)クロマトグラフイにより精製する。下記の略語を使用する:
DAST ジメチルアミノサルファトリフルオライド
DMEU 1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン
POT カリウムtert−ブトキシド
THF テトラヒドロフラン
pTsOH p−トルエンスルホン酸
【0045】
例1
【化21】

トルエン55ml中のIの0.05モルおよびIIの0.055モルに、p−トルエンスルホン酸0.25gを添加し、この混合物を水分離器上で1時間沸騰させ、次いで室温まで冷却させ、水を添加し、次いでこの混合物を慣用の仕上げ処理に付す。
C 68 N(51.2)I;△n=+0.061;△ε=−16.73。
【0046】
同様にして、下記式で表わされる化合物を製造する:
【化22】

【0047】
【表2】

【0048】
【表3】

【0049】

【化23】

トルエン55ml中のIの0.05モルおよびIIの0.055モルに、p−トルエンスルホン酸0.25gを添加し、この混合物を水分離器上で1時間沸騰させ、次いで室温まで冷却させ、水を添加し、次いでこの混合物を慣用の仕上げ処理に付す。
生成物IIIの0.033モルをTHF 100ml中に溶解し、この溶液を50℃に温め、32%NaOH溶液8.2mlおよび硫酸水素テトラブチルアンモニウム1.4gを添加し、この反応混合物にクロロジフルオロメタンを通して、この混合物の沸騰を開始させる。この混合物を50℃でさらに1時間撹拌し、室温まで冷却させ、次いで慣用の仕上げ処理に付す。
C 54 N(39.1)I;△n=+0.067;△ε=14.26。
【0050】
同様にして、下記式で表わされる化合物を製造する:
【化24】

【0051】
混合物例
例A
【表4】

【0052】
例B
【表5】

【0053】
例C
【表6】

【0054】
例D
【表7】

【0055】
例E
【表8】

【0056】
例F
【表9】

【0057】
例G
【表10】

【0058】
例H
【表11】

【0059】
例I
【表12】

【0060】
例J
【表13】

【0061】
例K
【表14】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
正の誘電異方性を有する極性化合物の混合物を基材とする液晶媒体であって、下記一般式Iで表わされる1種または2種以上の化合物を含有することを特徴とする液晶媒体:
【化1】

式中、
Rは、Hであるか、または炭素原子1〜15個を有するアルキル基またはアルケニル基であり、この基は未置換であるか、または置換基として1個のCNまたはCFを有するか、または置換基として少なくとも1個のハロゲンを有しており、またこれらの基中に存在する1個または2個以上のCH基はそれぞれ相互に独立して、O原子が相互に直接に結合しないものとして、−O−、−S−、
【化2】

−CO−、−CO−O−、−O−CO−または−O−CO−O−により置き換えられていてもよく、
Yは、FまたはClであるか、あるいは炭素原子1〜6個を有するハロゲン化されているアルキル、アルケニルまたはアルコキシ基であり、そして
は、HまたはFである。
【請求項2】
下記一般式II、III、IV、VおよびVIからなる群から選択される1種または2種以上の化合物をさらに含有することを特徴とする、請求項1に記載の媒体:
【化3】

式中、各基は下記の意味を有する:
:それぞれ7個までの炭素原子を有するn−アルキル、オキサアルキル、フルオロアルキルまたはアルケニル、
:FまたはCl、あるいは炭素原子1〜6個を有するハロゲン化されているアルキル、アルケニルまたはアルコキシ、
およびY:それぞれ相互に独立して、HまたはF、
r:0または1。
【請求項3】
式I〜VIで表わされる化合物の割合が一緒になって、総混合物の少なくとも50重量%であることを特徴とする、請求項2に記載の媒体。
【請求項4】
式Iで表わされる化合物の割合が、総混合物の3〜80重量%であることを特徴とする、請求項1または2に記載の媒体。
【請求項5】
式II〜VIで表わされる化合物の割合が、総混合物の20〜80重量%であることを特徴とする、請求項2および3の少なくとも1項に記載の媒体。
【請求項6】
下記式で表わされる化合物をさらに含有することを特徴とする、請求項1に記載の媒体:
【化4】

式中、R、XおよびYは請求項2に定義されているとおりである。
【請求項7】
がFまたはOCFであり、そしてYがHまたはFであることを特徴とする、請求項6に記載の媒体。
【請求項8】
式Iで表わされる化合物中に存在するYがF、OCF、OCHF、OCHFCF、OCHCF、OCH=CFまたはOCであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の媒体。
【請求項9】
式Iで表わされる化合物において、Y=L=Fであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の媒体。
【請求項10】
請求項1に記載の液晶媒体の電気光学用途における使用。
【請求項11】
請求項1に記載の液晶媒体を含有する電気光学液晶ディスプレイ。

【公開番号】特開2007−217698(P2007−217698A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−53111(P2007−53111)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【分割の表示】特願平9−510809の分割
【原出願日】平成8年8月19日(1996.8.19)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】