説明

液晶素子用感圧接着剤組成物

【課題】液晶素子の製造工程において偏光板または偏光板と位相差板との積層板を適度の強度で接着し、必要に応じて容易に剥離することができ、しかし、液晶素子を実際の使用に供した後には安定して強固な接着強度を長期間維持できる液晶素子用感圧接着剤組成物を提供すること。
【解決手段】(A)アクリル系ポリマーと、
(B)特定のβ-ケトエステル構造を有する不飽和基含有化合物と、式:
(R7O)m(R8)(3-m)Si-H〔式中、R及びRは独立に炭素原子数1〜4の一価炭化水素基を示し、mは1,2又は3を示す。〕で表されるアルコキシシランとを遷移金属触媒の存在下で反応させて得られるβ-ケトエステル構造を有する有機珪素化合物からなる接着性改質剤とを含有し、(A)成分のアクリル系ポリマー100重量部に対して、(B)成分の接着性改質剤は0.001〜10重量部の割合である液晶素子用感圧接着剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な接着性改質剤を用いた液晶表示装置用の感圧接着剤組成物に関する。さらに詳しくは、液晶表示装置の製造時には剥離可能であるが、経時で接着性が高くなり、高温高湿条件下で使用される際には優れた耐久性を示す液晶素子用の感圧接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶素子は、液晶と接する面に透明電極が配置された二枚のガラス基板と、この二枚のガラス基板間に充填された液晶材料と、この二枚のガラス基板の外側面に配置された偏光板または偏光板と位相差板との積層板とからなっている。
【0003】
このような液晶素子において、偏光板または偏光板と位相差板との積層板は、例えばガラス基板の表面にアクリル樹脂系の感圧接着剤を用いて貼着されている。
【0004】
こうした感圧接着剤を用いた液晶素子の製造工程において、偏光板あるいは偏光板と位相差板との積層板のガラス基板との貼り合わせに不具合が発生した場合に、偏光板あるいは偏光板と位相差板との積層板をガラス基板から剥離し、新たな偏光板あるいは偏光板と位相差板との積層板をガラス基板に貼着し直すことができれば、高価な液晶材料およびこの液晶材料が充填されているセル自体を廃棄することなく、良好な液晶性能を示す液晶素子を製造するができる。このような観点から、感圧接着剤は、偏光板あるいは偏光板と位相差板との積層板のガラス基板との貼り合わせの段階で不具合が発生した際には、容易に剥がれやすいことが望ましい。
【0005】
一方、近年、液晶素子は、パーソナルコンピューター、車載液晶モニター、テレビジョンの画面など、その使用範囲が著しく広範囲におよんでおり、各種用途が広がるに従って液晶素子の使用環境も非常に過酷になってきている。従って、こうした使用条件に耐えるように偏光板または偏光板と位相差板との積層板とガラス基板との接着強度はより高いことが望ましく、かつ、この高い接着強度が長期間変動しないことが求められる。
【0006】
このように液晶素子のガラス基板に偏光板あるいは偏光板と位相差板との積層板を貼着するのに使用される感圧接着剤には、製造工程における不具合発生時には、剥離しようとすると液晶素子に損傷を与えることなく容易に基板から偏光板あるいは偏光板と位相差板との積層板を剥離でき、一方、液晶素子が各種用途に実際に供され使用されるに到った後には、安定した接着強度が長期に渡って維持されるという、相反する特性が要求される。
【0007】
従来から、分子内にβ-ケトエステル構造を有する有機珪素化合物を接着性改質剤として用いたアクリル樹脂系感圧接着剤は、製造段階での不具合発生時には、剥離しようとすると液晶素子に損傷を与えることなく容易に基板から偏光板あるいは偏光板と位相差板との積層板を剥離でき、液晶素子が各種用途において実際に使用されるに到った後には、安定した接着強度が長期間維持されることは、例えば、特許文献1等で知られている。しかし、このような従来知られているβ-ケトエステル構造を有する有機珪素化合物を用いても、近年要求されている過酷な環境下では、接着強度の長期間に渡る安定性は未だ不十分であり、改良が求められている。
【0008】
【特許文献1】特許第3533446号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、ガラス基板と偏光板、または、ガラス基板と、偏光板と位相差板との積層板との接着に特に適した感圧接着剤組成物を提供することを課題としている。
【0010】
さらに詳しくは、本発明の課題は、液晶素子を構成するガラス基板に偏光板または偏光板と位相差板との積層板を適度な強度で確実に接着することができると共に、製造工程においてこの偏光板または偏光板と位相差板との積層板を剥離する必要性が生じた場合には、ガラス基板などの液晶セルに損傷を与えることなく剥離することができ、しかもこのガラス基板上に接着剤が残留しにくく、さらに液晶素子を各種用途での実際の使用に供した後には安定した強固な接着強度を長期間維持できる液晶素子用感圧接着剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは上記の課題が、
(A)アクリル系ポリマーと、
(B)下記式(1):
【0012】
【化1】

【0013】
(1)

〔式中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、
は、炭素原子数1〜10の二価炭化水素基を示し、
は、炭素原子数2〜10の2価炭化水素基を示し、
はRと異なる炭素原子数3〜10の2価炭化水素基を示し、
Aは式(i):
【0014】
【化2】

【0015】
(i)
(式中、Rは、炭素原子数1〜10のアルキル基、又は置換基を有し若しくは有しないフェニル基を示す。)
で表される基を示し、
は、式(ii):
【0016】
【化3】

【0017】
(ii)
(式中、Bは、OH又は前記式(i)で表される基を示す。)
で表される基を示し、
p、q、及びrは、独立に、0〜6の整数を示すが、但し同時に0ではない。〕
で表されるβ-ケトエステル構造を有する不飽和基含有化合物と、
式(2):
(R7O)m(R8)(3-m)Si-H (2)
〔式中、R及びRは独立に炭素原子数1〜4の一価炭化水素基を示し、mは1,2又は3を示す。〕
で表されるアルコキシシランと
を遷移金属触媒の存在下で反応させて得られるβ-ケトエステル構造を有する有機珪素化合物からなる接着性改質剤と、
を含有し、(A)成分のアクリル系ポリマー100重量部に対して、(B)成分の接着性改質剤は0.001〜10重量部の割合である液晶素子用感圧接着剤組成物により解決することができることを見出した。
【発明の効果】
【0018】
本発明の液晶素子用感圧接着剤組成物は、液晶素子の製造工程において、ガラス基板と、偏光板または偏光板と位相差板との積層板とを必要かつ充分な接着強度で接着することができる。この接着強度は該製造工程においては接着組成物が加熱などに付されても過度に高くならず適度なレベルに保持される。そのため、製造工程で接着に不具合が生じた場合には偏光板あるいは偏光板と位相差板との積層板をガラス基板から容易に剥離することができ、しかもその場合に基板上に接着剤は残存し難いし、剥離の際にガラス基板又は液晶セルに損傷を与えることが稀である。
【0019】
さらに、本発明の感圧接着剤組成物は、液晶素子の製造工程においては上記のように適度の接着性と剥離性を示す一方で、完成した液晶素子が各種用途に実際に供され、たとえ高温高湿のような過酷な条件にさらされても必要かつ十分な接着強度を長期にわたって安定に維持し、偏光板または偏光板と位相差板との積層板に膨れや剥がれなどの接着不良が発生しにくい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、本発明の液晶素子用感圧接着剤組成物について具体的に説明する。
【0021】
本発明の液晶素子用感圧接着剤組成物は、主成分であるアクリル系ポリマーと、接着性改質剤として特定の新規なβ-ケトエステル構造を有する有機珪素化合物を含有している。以下、順次説明する。
【0022】
−(A)アクリル系ポリマー−
(A)成分のアクリル系ポリマーは、本発明の組成物に感圧接着性を付与する作用を有する。
【0023】
本発明において、「アクリル系ポリマー」とは、アクリル系モノマーの重合体(即ち、単独重合体及び共重合体)である。アクリル系モノマーには、アクリル酸系モノマー及びメタクル酸系モノマーが包含される。
【0024】
アクリル酸系モノマーとしては、例えばアクリル酸、アクリル酸エステル、アクリルアミドが挙げられる。アクリル酸エステルとしては、アクリル酸アルキルエステル、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等が挙げられる。
【0025】
メタクリル酸系モノマーとしては、例えばメタクリル酸、メタクリル酸エステル、メタクリル酸アミドが挙げられる。メタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸アルキルエステル、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等が挙げられる。
【0026】
本明細書において、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリレート」などの用語は、それぞれ、アクリル酸とメタクリル酸の総括概念、アクリレートとメタクリレートとの総括概念などとして用いる。
【0027】
本発明に用いられるアクリル系ポリマーは、上記のモノマーの一種単独の重合体でも二種以上のモノマーの共重合体でもよい。中でも、官能基を有しないアクリル系モノマーと官能基を有するアクリル系モノマーを含む共重合体が好ましい。ここで、官能基としては、例えば、カルボキシル基、ヒドロキシ基、アミノ基、エポキシ基、アミド基等が挙げられる。
【0028】
官能基を有しないアクリル系モノマーの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレートおよびエトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレートを挙げることができる。これらは一種単独でも二種以上の組み合わせでも使用することができる。
【0029】
本発明で使用されるアクリル系ポリマーは、好ましくは、上記の官能基を有しない(メタ)アクリル酸エステルから誘導される繰り返し単位を60〜99質量%、より好ましくは80〜98質量%有している。
【0030】
また、官能基を有するアクリル系モノマーの例としては、アクリル酸、メタクリル酸、β-カルボキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の官能基置換アルキル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミドおよびN-エチロール(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。これらは一種単独でも二種以上の組み合わせでも使用することができる。
【0031】
本発明で使用されるアクリル系ポリマーは、好ましくは、上記官能基含有アクリル系モノマーから誘導される繰り返し単位を、通常は1〜20質量%、好ましくは2〜10質量%の量で有している。
【0032】
本発明で使用されるアクリル系ポリマーは、上記の官能基を有しないアクリル系モノマーおよび官能基を有するアクリル系モノマー以外の単量体から誘導される繰り返し単位を有していてもよく、これらの例としては、スチレン系モノマーから誘導される繰り返し単位およびビニル系モノマーから誘導される繰り返し単位を挙げることができる。
【0033】
具体的にはスチレン系モノマーの例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、トリエチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、ヘプチルスチレンおよびオクチルスチレン等のアルキルスチレン;フロロスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレンおよびヨードスチレン等のハロゲン化スチレン;さらに、ニトロスチレン、アセチルスチレンおよびメトキシスチレン等を挙げることができる。
【0034】
また、ビニル系モノマーの例としては、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルカルバゾール、ジビニルベンゼン、酢酸ビニルおよびアクリロニトリル;ブタジエン、イソプレンおよびクロロプレン等の共役ジエンモノマー;塩化ビニルおよび臭化ビニル等のハロゲン化ビニル;塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン等を挙げることができる。
【0035】
これらのモノマーは、一種単独でも二種以上の組み合わせでも使用することができる。本発明で使用されるアクリル系ポリマー中には、上記他のモノマーから誘導される繰り返し単位は、通常は0〜20質量%、好ましくは0〜10質量%の量で含有されている。
【0036】
本発明で使用されるアクリル系ポリマーは、公知の方法により、例えば、上記のようなモノマーを反応溶媒に投入して、反応系内の空気を窒素ガス等の不活性ガスで置換した後、必要により反応開始剤の存在下に、加熱攪拌して重合反応させることにより製造することができる。
【0037】
反応溶媒の使用は任意であり、通常は有機溶媒が使用され、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類を挙げることができる。
【0038】
また、反応開始剤を使用する場合には、例えばアゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等を使用することができる。
【0039】
上記の重合反応の反応温度は50〜90℃程度でよく、反応時間は2〜20時間程度であり、好ましくは4〜12時間である。上記のような反応において、モノマーは、得ようとするアクリル系ポリマー中における各繰り返し単位の量に対応して仕込まれる。また、反応溶媒は用いる場合にはモノマーの合計量100質量部に対して50〜300質量部の量で使用される。さらに、反応開始剤は、通常は0.01〜10質量部の量で使用される。
【0040】
こうして反応させることにより本発明で使用されるアクリル系ポリマーは、反応溶媒に(共)重合体が25〜70質量%の量で含有される溶液または分散液として得られる。本発明では上記のようにして得られた反応溶媒を除去することなく、この反応溶媒に分散させた状態でアクリル系ポリマーと他の成分とを混合すればよい。
【0041】
本発明で使用されるアクリル系ポリマーは、通常100000〜1500000、好ましくは300000〜800000の重量平均分子量を有している。なお、このアクリル系ポリマーには、本発明の目的を損なわない範囲内で、無機フィラー等の他の成分を配合してもよい。
【0042】
−(B)接着性改質剤−
本発明で使用される有機珪素化合物は、β−ケトエステル構造及び加水分解性シリル基を有し、更にβ−ケトエステル構造と加水分解性シリル基との間に酸素を含んだ特定の連結基を含有している化合物である。この酸素を含んだ特定の連結基を含有していることでアクリル系ポリマーとの相溶性が向上し、更にβ−ケトエステル構造と加水分解性シリル基との距離が離れフレキシブル性が高くなっている構造なっていることから、従来知られている接着性改質剤を使用して液晶素子に使用した感圧接着剤よりも高温高湿条件のように過酷な条件下ででも良好な接着性を示すと共に、このような条件で使用しても偏光板または偏光板と位相差板との積層板に膨れや剥がれなどの接着不良が発生しにくくなっていると考えられる。
【0043】
このようなβ-ケトエステル構造を有する有機珪素化合物は、式(1):
【0044】
【化4】

【0045】
(1)
で表されるβ-ケトエステル構造を有する不飽和基含有化合物と、式(2):
(R7O)m(R8)(3-m)Si-H (2)
で表されるアルコキシシランとを遷移金属触媒の存在下で反応させて得られるものである。
【0046】
−β-ケトエステル構造を有する不飽和基含有化合物−
一方の反応成分であるβ-ケトエステル構造を有する不飽和基含有化合物を示す式(1)において、R1は、水素原子又はメチル基を示し、Rは、炭素原子数1〜10の二価炭化水素基を示し、例えばメチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、i−プロピレン基、n−ブチレン基、i−ブチレン基、ヘキシレン基、デシレン基等の炭素原子数1〜10、好ましくは1〜4、より好ましくは1〜2のアルキレン基が挙げられ、具体的にはメチレン基、エチレン基が好ましい。Rは、炭素原子数2〜10の二価炭化水素基を示し、エチレン基、n−プロピレン基、i−プロピレン基、n−ブチレン基、i−ブチレン基、ヘキシレン基、デシレン基等の炭素原子数2〜10、好ましくは2〜4、より好ましくは2〜3のアルキレン基が挙げられ、具体的にはエチレン基が好ましい。Rは、Rと異なる炭素原子数3〜10の二価炭化水素基を示し、n−プロピレン基、i−プロピレン基、n−ブチレン基、i−ブチレン基、ヘキシレン基、デシレン基等の炭素原子数3〜10の、好ましくは3〜4、より好ましくは3のアルキレン基が挙げられ、具体的にはi−プロピレン基、n−プロピレン基が好ましい。
【0047】
Aは式(i):
【0048】
【化5】

【0049】
(i)
で表される基を示す。
【0050】
は、式(ii):
【0051】
【化6】

【0052】
(ii)
で表される基を示し、
p、q及びrはそれぞれ0〜6の整数を示し、但し、同時に0ではない。
【0053】
式(i)において、Rは、炭素原子数1〜10の1価アルキル基、又は置換基を含んでいてもよいフェニル基を示す。炭素原子数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等の炭素原子数1〜10、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4のアルキル基が挙げられる。フェニル基が有していてもよい置換基としては、炭素原子数1〜6、好ましくは1〜3のアルキル基があげられる。よって、置換基を含んでいてもよいフェニル基の好ましい具体例としては、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基等が挙げられる。これらの中でRとしては特にメチル基が好ましい。
【0054】
式(ii)において、Bは、OH又は前記式(i)で表される基を示す。
このような一般式(1)で示される化合物としては、下記のものを代表例として挙げられる。
【0055】
【化7】

【0056】
【化8】

【0057】
【化9】

【0058】
【化10】

【0059】
【化11】

【0060】
【化12】

【0061】
【化13】

【0062】
【化14】

【0063】
【化15】

【0064】
【化16】

【0065】
【化17】

【0066】
【化18】

【0067】
【化19】

【0068】
【化20】

【0069】
【化21】

【0070】
−アルコキシシラン−
次に、他方の反応成分であるアルコキシシランを示す上記式(2)において、Rは、炭素原子数1〜4の一価炭化水素基を示し、好ましくは、炭素原子数1〜4、より好ましくは1〜2のアルキル基である。具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられ、この中でメチル基、エチル基が好ましい。
【0071】
は、炭素原子数1〜4の一価炭化水素基を示し、好ましくは、炭素原子数1〜4のアルキル基である。具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基が挙げられ、この中でメチル基が好ましい。
【0072】
mは1,2又は3の整数を示し、2又は3が好ましく、特に3が好ましい。
【0073】
このような一般式(2)で示されるアルコキシシランとしては、下記のものを代表例として挙げることができる。
【0074】
(CH3O)3Si-H
(CH3CH2O)3Si-H
(CH3O)2(CH3)Si-H
(CH3CH2O)2(CH3)Si-H
(CH3CH2CH2O)3Si-H
(CH3CH2CH2CH2O)3Si-H
(CH3O)(CH3)2Si-H
(CH3CH2O)(CH3)2Si-H
【0075】
−遷移金属触媒−
本発明に用いる遷移金属触媒としては、特に限定されないが、白金、ロジウム、パラジウム、ルテニウム化合物が好適であり、特に白金化合物が好ましい。これを例示すれば、白金ジビニルシロキサン、白金環状ビニルメチルシロキサン、トリス(ジベンジリデンアセトン)二白金、塩化白金酸、ビス(エチレン)テトラクロロ二白金、シクロオクタジエンジクロロ白金、ビス(シクロオクタジエン)白金、ビス(ジメチルフェニルホスフィン)ジクロロ白金、テトラキス(トリフェニルホスフィン)白金、白金カーボン等があげられる。
【0076】
本発明の有機珪素化合物を合成する際に反応温度は、通常、50〜150℃程度でよく、好ましくは60〜100℃である。反応時間は通常原料が消失するまで行えばよく、反応時間は通常30分〜10時間程度でよく、好ましくは1〜5時間程度である。
【0077】
合成反応において溶媒の使用は任意であり、無溶媒でも溶媒の存在下でも適宜行うことができる。溶媒を使用する場合、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類、メタノール、エタノール等のアルコール類、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、アセトニトリルなどニトリル類などが挙げられる。
【0078】
合成の手法は特に制限されないが、例えば、式(1)で表されるβ-ケトエステル構造を有する不飽和基含有化合物を反応器に仕込み、遷移金属触媒を添加し、次いで式(2)で表されるアルコキシシランを滴下すればよい。
【0079】
式(1)で表されるβ-ケトエステル構造を有する不飽和基含有化合物と、式(2)で表されるアルコキシシランとのモル比、即ち、〔式(1)の不飽和基含有化合物〕/〔式(2)のアルコキシシラン〕のモル比は、限定するものではなく、通常0.8〜1.2程度とすればよく、好ましくは0.95〜1.05である。
【0080】
反応終了後、未反応原料とともに常圧、或いは減圧の下で溶媒を留去しても良い。留去する際の温度は適宜選択すればよいが、通常60〜150℃程度でよく、好ましくは60〜100℃である。
【0081】
こうして得られる本発明の有機珪素化合物は、式(3):
【0082】
【化22】

(3)
〔式中、R〜R,m、p、q、r、Aは前述の通りである。〕
で表される化合物が主成分であるが、該式(3)中のβ−ケトエステル基が異性化し生じたOH基とアルコキシシリル基のアルコキシ基が分子内及び分子間で交換反応した化合物も含まれている。したがって、本発明の有機珪素化合物は式(3)の化合物を主成分としつつも、該化合物から誘導される種々の誘導体との混合物として得られる。
【0083】
本発明の有機珪素化合物の主成分としては以下のものが挙げられる。
【0084】
【化23】

【0085】
【化24】

【0086】
【化25】

【0087】
【化26】

【0088】
【化27】

【0089】
【化28】

【0090】
【化29】

【0091】
【化30】

【0092】
【化31】

【0093】
【化32】

【0094】
上述した、β−ケトエステル基が異性化し生じたOH基とアルコキシシリル基のアルコキシ基が分子内及び分子間で交換反応した化合物としては多種考えられ大変複雑であるが例えば以下の化合物が例示される。
【0095】
【化33】

【0096】
【化34】

【0097】
上記(B)成分の接着性改質剤は、(A)成分のアクリル系ポリマー100質量部に対して通常0.001〜5質量部の量で含有させればよく、さらに0.01〜2質量部の量で含有させることが好ましい。(B)成分の接着性改質剤が多すぎると、初期接着強度が低下し、液晶素子使用環境下において、偏光板または偏光板と位相差板との積層板の膨れや剥がれを生じ易くなる。また、(B)成分の量が少なすぎると、製造工程で加熱を受けたときに接着強度が高くなり過ぎて適度の剥離性が失われるため、接着に不具合を生じても容易に剥離できず、偏光板又は偏光板と位相差板との積層板を基板から剥離すると液晶セルの損傷が起こり易くなるし、接着剤の基板表面へのり残りが発生し易くなる。
【0098】
なお、(A)成分のアクリル系ポリマーと(B)成分の接着性改質剤は、組成物の使用直前に配合することが好ましい。
【0099】
−その他の成分−
本発明の液晶素子用感圧接着剤組成物は、必須成分として上記のアクリル系ポリマーと特定の接着性改質剤とを含有しているが、さらに必要により他の成分を含んでいてもよい。
【0100】
本発明の液晶素子用感圧接着剤組成物に配合することができる他の成分の例としては、タッキファイヤー、可塑剤、架橋剤、染料等を挙げることができる。これらは公知のものを挙げることができる。これらの任意成分は一種単独でも二種以上を組み合わせても配合することができる。
【0101】
本発明の液晶素子用感圧接着剤組成物には、特に架橋剤が配合されていることが好ましい。本発明で使用される架橋剤の例としては、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アミン系化合物、金属キレート化合物およびアジリジン系化合物を挙げることができる。
【0102】
架橋剤として用いられるイソシアネート系化合物の例としては、トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネートアダクト、トリメチロールプロパンのキシリレンジイソシアネートアダクト、トリフェニレンメタントリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、および、これらのケトオキシムブロック物またはフェノールブロック物等を挙げることができる。
【0103】
また、エポキシ系化合物の例としては、ビスフェノールA、エピクロルヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン、N,N,N',N'−テトラグリシジル−m−キシレンジアミンおよび1,3−ビス(N,N'−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
【0104】
さらに、アミン系化合物の例としては、ヘキサメチレンジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、アミノ樹脂およびメラミン樹脂等を挙げることができる。
【0105】
またさらに、金属キレート化合物の例としては、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロムおよびジルコニウム等の多価金属にアセチルアセトンが配位した化合物、前記多価金属にアセト酢酸エチルが配位した化合物等を挙げることができる。
【0106】
さらに、アジリジン系化合物の例としては、N,N'−ジフェニルメタン−4,4'−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、N,N'−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、トリエチレンメラミン、ビスイソフタロイル−1−(2−メチルアジリジン)、トリ−1−アジリジニルフォスフィンオキサイド、N,N'−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、およびテトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート等を挙げることができる。
【0107】
これらの架橋剤は一種単独でも二種以上組み合わせても使用することができる。
【0108】
該架橋剤は、本発明の組成物中の樹脂成分100質量部に対して、通常は0.01〜10質量部、好ましくは0.05〜5質量部の量で使用される。なお、これらの架橋剤は本発明の上記の(A)成分及び(B)成分と反応性を有することから、別々に包装し、直前に(A)成分及び(B)成分と混合して使用される。
【実施例】
【0109】
以下に本発明の実施例を示して本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定的に解釈されるべきではない。
【0110】
[合成例1]
窒素ガス導入管、温度計、ジムロート型コンデンサー及び滴下漏斗を備えた1リットルのセパラブルフラスコに、式:
【0111】
【化35】

【0112】
で表されるβ-ケトエステル構造を有する不飽和基含有化合物186g(1.0mol)、白金換算濃度で2重量%であるトリス(1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチル−ジシロキサン)−二白金(0)(Karstedt触媒)0.1gを仕込み、75℃にて、式(CH3O)3Si-Hで表されるトリメトキシシラン122g(1.0mol)をゆっくり滴下した。この滴下には30分を要した。滴下終了後、75℃にて3時間熟成を続けた。
【0113】
熟成終了後、ガスクロマトグラフ分析を行い、トリメトキシシラン残存量が2%以下となったことを確認した。
【0114】
こうして得られた反応生成物をロータリーエバポレーターを使用し、80℃/0.6kPaにて減圧濃縮したところ、淡褐色透明の液体としてβケトエステル基含有アルコキシランを、主成分とする有機珪素化合物の混合物が260g得られた。この液状生成物の粘度は25℃にて9.75mm2/s、屈折率は25℃にて1.4390であった。
【0115】
[合成例2]
合成例1で使用したβ-ケトエステル構造を有する不飽和基含有化合物の代わりに、式:
【0116】
【化36】

【0117】
で表されるβ-ケトエステル構造を有する不飽和基含有化合物300g(1.0mol)を用い、熟成時間を8時間とした以外は、合成例1と同様に反応を行って、褐色透明の液状生成物としてβ−ケトエステル基含有アルコキシシランを主成分とする有機珪素化合物の混合物が365g得られた。
【0118】
[合成例3]
合成例1で使用したβ-ケトエステル構造を有する不飽和基含有化合物の代わりに、式:
【0119】
【化37】

【0120】
で表されるβ-ケトエステル構造を有する不飽和基含有化合物200g(1.0mol)を用い、アルコキシシランとしてトリエトキシシラン164gを使用し、反応温度を85℃とした以外は、合成例1と同様に反応を行って、淡黄色透明の液体としてβ−ケトエステル基含有アルコキシシランを主成分とする有機珪素化合物の混合物が320g得られた。
【0121】
[合成例4]
合成例1で使用したβ-ケトエステル構造を有する不飽和基含有化合物の代わりに、式:
【0122】
【化38】

【0123】
で表されるβ-ケトエステル構造を有する不飽和基含有化合物230g(1.0mol)を用い、反応溶媒としてトルエン230gを使用し、アルコキシシランとしてジエトキシメチルシラン134g(1.0mol)とした以外は、合成例1と同様に反応を行って、淡褐色透明の液体として、β−ケトエステル基含有アルコキシシランが305g得られた。
【0124】
[実施例1]
n−ブチルアクリレート43質量部、エチルアクリレート20質量部、2−エチルへキシルアクリレート25質量部、スチレン3質量部、アクリル酸7質量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート2質量部、酢酸エチル100質量部およびアゾビスイソブチロニトリル0.2質量部を反応器に入れ、この反応器内を窒素ガスで置換した後、攪拌下に、窒素雰囲気中で63℃にて2時間反応させた。更に別に調製した酢酸エチル10質量部にアゾビスイソブチロニトリル0.05質量部を溶解させた溶液10質量部を、63℃にて上記反応器に2時間かけて滴下した。
【0125】
ついで、反応器を72℃に昇温し、上記と同様にして調製したアゾビスイソブチロニトリルの酢酸エチル溶液10質量部を4時間かけて滴下し、アクリル系ポリマーの酢酸エチル溶液220質量部を得た。この酢酸エチル溶液中におけるアクリル系ポリマーの濃度は45質量%である。
【0126】
上記の反応液220質量部(アクリル系ポリマー100質量部に相当)に合成例1にて合成したβ−ケトエステル基含有アルコキシシランを主成分とする有機珪素化合物の混合物0.1質量部と、架橋剤としてポリイソシアネート化合物(商品名:コロネートL、日本ポリウレタン(株)製)2質量部とを加えてよく攪拌して本発明の接着剤組成物を得た。
【0127】
=接着剤としての評価=
次のようにして剥離性と実装性を測定、評価した。
【0128】
・剥離性
・・初期接着強度の測定:
上記のようにして得られた接着剤組成物をポリエステル製離型フィルムに塗布した後乾燥させて乾燥後の厚さが25μmの被膜を形成した。次いで、この離型フィルム上の接着剤組成物の被膜を、厚さ0.20mmの偏光板の片面上に転写し、温度23℃、湿度65%の条件で7日間熟成させた。その後、この偏光板の接着剤組成物の被膜側をガラス基板の表面に貼りあわせてサンプルを作製した。このサンプルを温度50℃、圧力5kg/cm2の条件で20分間保持して接着させた。
【0129】
こうして接着した偏光板とガラス基板との接着力について、JIS−Z−0237およびJIS−Z−0238に準じて初期接着強度(23℃で1時間放置した後の接着強度)を測定した。
【0130】
・・加熱エージング後の接着強度の測定:
上記と同様にして作製したサンプルを80℃で15時間放置した後23℃まで放冷し、この温度で1時間放置した後、接着強度を上記と同様にして測定した。
【0131】
・・のり残りの評価:
上記のように初期及び加熱エージング後の接着強度の測定において、ガラス基板から偏光板を剥離した際に、ガラス基板表面に接着剤が残留したか否か(のり残り)を目視で観察して評価した。
【0132】
・実装性
上記と同様にして調製したサンプルを20×30cm2の寸法に裁断したものを、上記条件下で接着させ、100℃、乾燥下で800時間の条件で、また60℃、90%RHで800時間の条件で放置した後、接着組成物被膜内の発泡の有無および偏光板と基板との剥離発生の有無を目視観察して評価した。
【0133】
これらの結果を表1に示す。本実施例で偏光板を基板表面に貼り合わせた液晶素子は良好な特性を示した。
【0134】
[実施例2]
実施例1において、合成例1で合成したβ−ケトエステル基含有アルコキシシランを主成分とする有機珪素化合物の混合物の代わりに、合成例2で合成したβ−ケトエステル基含有アルコキシシランを主成分とする有機珪素化合物の混合物を使用した以外は実施例1と同様にして接着剤組成物を得た。該組成物を実施例1と同様にしてその特性を評価した。結果を表1に示す。
【0135】
[実施例3]
実施例1において、合成例1で合成したβ−ケトエステル基含有アルコキシシランを主成分とする有機珪素化合物の混合物の代わりに、合成例3で合成したβ−ケトエステル基含有アルコキシシランを主成分とする有機珪素化合物を使用した以外は実施例1と同様にして接着剤組成物を得た。該組成物を実施例1と同様にしてその特性を評価した。結果を表1に示す。
【0136】
[実施例4]
実施例1において、合成例1で合成したβ−ケトエステル基含有アルコキシシランを主成分とする有機珪素化合物の混合物の代わりに、合成例4で合成したβ−ケトエステル基含有アルコキシシランを主成分とする有機珪素化合物の混合物を使用した以外は実施例1と同様にして接着剤組成物を得た。該組成物を実施例1と同様にしてその特性を評価した。結果を表1に示す。
【0137】
[比較例1]
実施例1において、合成例1で合成したβ−ケトエステル基含有アルコキシシランを使用しない以外は実施例1と同様にして接着剤組成物を得た。該組成物を実施例1と同様にしてその特性を評価した。結果を表1に示す。
【0138】
[比較例2]
実施例1において、合成例1で合成したβ−ケトエステル基含有アルコキシシランを主成分とする有機珪素化合物の混合物を使用せずに、式:
【0139】
【化39】

【0140】
で表されるβ−ケトエステル基含有アルコキシシランを主成分とする有機珪素化合物0.1重量部を使用した以外は実施例1と同様にして接着剤組成物を得た。該組成物を実施例1と同様にしてその特性を評価した。結果を表1に示す。
【0141】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アクリル系ポリマーと、
(B)下記式(1):
【化1】

(1)

〔式中、Rは、水素原子又はメチル基を示し、
は、炭素原子数1〜10の二価炭化水素基を示し、
は、炭素原子数2〜10の2価炭化水素基を示し、
はRと異なる炭素原子数3〜10の2価炭化水素基を示し、
Aは式(i):
【化2】

(i)
(式中、Rは、炭素原子数1〜10のアルキル基、又は置換基を有し若しくは有しないフェニル基を示す。)
で表される基を示し、
は、式(ii):
【化3】

(ii)
(式中、Bは、OH又は前記式(i)で表される基を示す。)
で表される基を示し、
p、q、及びrは、独立に、0〜6の整数を示すが、但し同時に0ではない。〕
で表されるβ-ケトエステル構造を有する不飽和基含有化合物と、
式(2):
(R7O)m(R8)(3-m)Si-H (2)
〔式中、R及びRは独立に炭素原子数1〜4の一価炭化水素基を示し、mは1,2又は3を示す。〕
で表されるアルコキシシランと
を遷移金属触媒の存在下で反応させて得られるβ-ケトエステル構造を有する有機珪素化合物からなる接着性改質剤と、
を含有し、(A)成分のアクリル系ポリマー100重量部に対して、(B)成分の接着性改質剤は0.001〜10重量部の割合である液晶素子用感圧接着剤組成物。
【請求項2】
前記(A)成分のアクリル系ポリマーが、官能基を有しないアクリル系モノマー60〜99重量%、官能基を有するアクリル系モノマー1〜20重量%、およびこれらのモノマーと共重合可能なその他のモノマー0〜20重量%(これら3種のモノマーで100質量%)からなる共重合体である請求項1に係る液晶素子用感圧接着剤組成物。

【公開番号】特開2009−126953(P2009−126953A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−303739(P2007−303739)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】