液晶表示装置および表示方法
【課題】 画面全体の表示内容を常時判断することができる状態で残像現象を防止することができる液晶表示装置および表示方法を提供する。
【解決手段】 中央演算部18は、設定時間が経過する度に、内部記憶部16に記憶される表示位置Posに基づいて、赤サブピクセル8rを黒色とする赤ピクセル9r、緑サブピクセル8gを黒色とする緑ピクセル9g、および青サブピクセル8bを黒色とする青ピクセル9bの単位領域T内での位置を計算する。そして、表示画像のピクセルのうち、計算された赤ピクセル9rの位置にあるピクセルの赤サブピクセル8rを黒サブピクセルに置換し、計算された緑ピクセル9gの位置にあるピクセルの緑サブピクセル8gを黒サブピクセルに置換し、計算された青ピクセル9bの位置にあるピクセルの青サブピクセル8bを黒サブピクセルに置換する。そして、置換した画像を、表示処理部20によって表示用デバイス21に表示させる。
【解決手段】 中央演算部18は、設定時間が経過する度に、内部記憶部16に記憶される表示位置Posに基づいて、赤サブピクセル8rを黒色とする赤ピクセル9r、緑サブピクセル8gを黒色とする緑ピクセル9g、および青サブピクセル8bを黒色とする青ピクセル9bの単位領域T内での位置を計算する。そして、表示画像のピクセルのうち、計算された赤ピクセル9rの位置にあるピクセルの赤サブピクセル8rを黒サブピクセルに置換し、計算された緑ピクセル9gの位置にあるピクセルの緑サブピクセル8gを黒サブピクセルに置換し、計算された青ピクセル9bの位置にあるピクセルの青サブピクセル8bを黒サブピクセルに置換する。そして、置換した画像を、表示処理部20によって表示用デバイス21に表示させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示中に発生する残像現象を防止することができる液晶表示装置および表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイなどの表示装置は、静止画像を長時間連続して表示すると、焼き付け、残像現象、輝度むらあるいはちらつきなどの問題が生じることがある。たとえば、液晶ディスプレイで発生する残像現象は、電荷の偏りが固定化することによって発生する。これらの問題を防止することができる従来の技術として以下のものがある。
【0003】
特許文献1に記載される強誘電性液晶表示装置は、液晶分子の配向状態が変化するような正負一対の交流化された電圧パルスを所定の回数だけ印加して、表示データを消去し、全画面を白または黒の状態とすることによって、表示終了時の表示データが液晶パネルに書き込まれたまま保存されることによる特性劣化を回避し、焼き付け現象の発生を防止する。前記電圧パルスの印加は、表示開始前、表示終了時、割り込み発生時、所定の時間間隔で、あるいは表示データが所定時間変化しないときに行なわれる。
【0004】
特許文献2に記載される液晶表示装置は、キーボードなどが操作されず操作者からの信号が一定時間印加されない場合、あるいは焼き付け防止スイッチが操作された場合、全面白表示と全面黒表示とを交互に表示画面に表示することによって、表示画面の焼き付きを防止する。全面白表示と全面黒表示とを交互に表示画面に表示する代わりに、任意の画像とその反転表示とを切り換えることも可能である。
【0005】
特許文献3に記載される液晶モニタの焼き付き防止方法は、所定時間画像に変化がない場合、たとえば所定時間コンピュータの操作がされない場合に、表示していた画像を階調反転した階調反転画像、全面白色画像、または全面黒色画像を表示することによって、長時間同じ画像を表示した後、液晶内のイオン性不純物が片寄ることで発生する液晶モニタの焼き付きを防止する。
【0006】
特許文献4に記載されるプラズマディスプレイ装置は、人検知器によって人が検知されていない場合には、残像発生防止のための画像を表示することによって、残像現象および輝度むらの発生を低減させる。残像発生防止のための画像は、通常の表示画像の反転画像、全体が白100%の静止画像、あるいは、一部が白100%の画像で他が黒100%の画像でありかつ白画像部分が移動する動画像である。
【0007】
特許文献5に記載される表示装置の焼付防止方法は、一定時間ごとに、見た感じで気にならない程度ドット数単位で、たとえば5ドット以下で静止画像の座標を変換して表示する。
【0008】
特許文献6に記載される表示装置の焼付防止装置は、一定時間毎に画像をサブピクセル単位で移動させることによって、表示している内容が移動していることを気づかせず、焼付き防止を実現する。サブピクセル単位とは、実在する表示画素の最小単位である1 ピクセルよりも小さい仮想の画素の単位をいい、サブピクセル単位で移動させたときに、実在する表示画素に表示すべき画像は、仮想位置に移動したピクセル値から補間して求める。サブピクセル単位での移動は、平行移動、あるいは拡大と縮小との繰り返しによる移動がある。
【0009】
特許文献7に記載される画像表示器の画面焼けを防ぐための方法は、一定時間の後に画像をたとえば斜め方向に移動し、画面焼けを防止する。移動範囲は、画像全体がオリジナル位置から最大5ピクセル離れた位置の範囲である。
【0010】
特許文献8に記載される液晶表示装置は、水平方向の所定の本数の黒線を1フレーム期間で垂直方向に移動させることによって、残像およびチラツキを防止する。
【0011】
【特許文献1】特開平4−250417号公報
【特許文献2】特開平9−251153号公報
【特許文献3】特開2004−325853号公報
【特許文献4】特開2003−216097号公報
【特許文献5】特開2000−227775号公報
【特許文献6】特開2005−107132号公報
【特許文献7】特開2006−189881号公報
【特許文献8】特開2006−208797号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
図14Aおよび図14Bは、焼き付きなどの問題を防止する従来の技術の例を示す図である。図14A(a)は、画面に表示される画像61を一時的に全画面黒い画像61aに切り換える例である。特許文献1〜4に記載される装置あるいは方法は、この例と同様に、一時的に全画面を白、黒、または白と黒との混在とするものであるが、もともと表示されていた画面の表示内容が分らなくなるという問題がある。特許文献2および3に記載される装置あるいは方法は、一時的に全画面を反転表示することも可能であるが、表示内容が確認しづらくなるという問題がある。
【0013】
図14A(b)は、画像61全体を右方向、下方向、左方向、および上方向に、この順序で少しずつずらして表示する例である。画像61全体を右方向にずらした画像61b、画像61全体をさらに下方向にずらした画像61c、および画像61全体をさらに左方向にずらした画像61dは、いずれも黒い画像62が表示されるが、黒い画像62が表示された部分の表示内容が分らなくなり、さらに、画面からはみ出して表示されない部分63が生じるという問題がある。特許文献5〜7に記載される装置あるいは方法は、この例と同様に、画像全体を少しずらして表示する例であるが、移動前後で色および輝度に変化がない部分に対しては、目的とする効果を期待することができないという問題がある。
【0014】
図14B(c)は、画像61に対して横方向の黒い画像64を画面下側から上方向に広げていく例であるが、黒い画像64が表示された部分の表示内容が分らなくなるという問題がある。図14B(d)は、画像61の中に縦方向の黒い帯状の画像65を画面の左端から右端に移動する例である。特許文献8に記載される装置は、水平方向の所定の本数の黒線を垂直方向に移動させるもので、この例と方向は異なるものの、いずれも黒い画像部分の動きが目立つために、その動きがユーザに気になるという問題がある。
【0015】
図14B(e)は、画像61を圧縮し、圧縮画像61eがない部分に黒い画像66を表示するものであるが、画像が変形して歪になるので、表示内容を確認しづらくなるという問題がある。
【0016】
本発明の目的は、画面全体の表示内容を常時判断することができる状態で残像現象を防止することができる液晶表示装置および表示方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、液晶表示パネルと、
前記液晶表示パネルの表示画面を構成する、複数の基本画素から構成される複数の画素のうち予め定める割合の画素を、予め定める時間が経過するごとに、選択する画素の位置を予め定める順序で変化させて選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択された各画素を構成する基本画素のうちの1つの基本画素を非表示にして、画像を表示画面に表示する表示制御手段とを含むことを特徴とする液晶表示装置である。
【0018】
また本発明は、前記画素は、赤色を表示するための赤色基本画素、緑色を表示するための緑色基本画素、および青色を表示するための青色基本画素から成り、
前記表示制御手段は、選択手段によって選択される複数の画素のうちの1/3の数の第1の画素に含まれる赤色基本画素を非表示にし、選択手段によって選択される複数の画素のうちの1/3の数であり、かつ第1の画素と異なる第2の画素に含まれる緑色基本画素を非表示にし、選択手段によって選択される複数の画素のうちの1/3の数であり、かつ第1の画素および第2の画素とは異なる第3の画素に含まれる青色基本画素を非表示にして、画像を表示画面に表示することを特徴とする。
【0019】
また本発明は、画像の一部を他の画像に置換する置換手段と、
前記選択手段によって選択された画素を構成する基本画素の1つを黒色とした画像を生成する生成手段とをさらに含み、
前記表示制御手段は、
前記置換手段によって、表示すべき画像の一部を前記生成手段によって生成された画像に置換させ、
前記置換手段によって一部が置換された画像を表示画面に表示することを特徴とする。
【0020】
また本発明は、前記予め定める順序は、予め定める割合の画素の位置を順次隣接する画素の位置に移動し、全画素の位置を移動する順序であることを特徴とする。
【0021】
また本発明は、前記予め定める割合の画素は、均等に分散する位置にあることを特徴とする。
【0022】
また本発明は、液晶表示パネルの表示画面を構成する、複数の基本画素から構成される複数の画素のうち、予め定める割合の画素を、予め定める時間が経過するごとに、選択する画素の位置を予め定める順序で変化させて選択する選択ステップと、
前記選択ステップで選択された各画素を構成する基本画素のうちの1つの基本画素を非表示にして、画像を表示画面に表示する表示制御ステップとを含むことを特徴とする表示方法である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、選択手段によって、液晶表示パネルの表示画面を構成する、複数の基本画素から構成される複数の画素のうち予め定める割合の画素が、予め定める時間が経過するごとに、選択する画素の位置を予め定める順序で変化させて選択され、表示制御手段によって、前記選択手段によって選択された各画素を構成する基本画素のうちの1つの基本画素を非表示にして、画像が表示画面に表示される。
【0024】
したがって、液晶表示パネルの表示画面を構成する画素のうち予め定める割合の画素を構成する基本画素のみを黒表示にして順次移動するので、画面全体の表示内容を常時判断することができる状態で残像現象を防止することができる。
【0025】
また本発明によれば、選択ステップでは、液晶表示パネルの表示画面を構成する、複数の基本画素から構成される複数の画素のうち、予め定める割合の画素を、予め定める時間が経過するごとに、選択する画素の位置を予め定める順序で変化させて選択する。そして、表示制御ステップでは、前記選択ステップで選択された各画素を構成する基本画素のうちの1つの基本画素を非表示にして、画像を表示画面に表示する。
【0026】
したがって、本発明に係る表示方法を適用すれば、液晶表示パネルの表示画面を構成する画素のうち予め定める割合の画素を構成する基本画素のみを黒表示にして順次移動するので、画面全体の表示内容を常時判断することができる状態で残像現象を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1は、本発明の実施の一形態である表示装置1の構成を示すブロック図である。本発明に係る表示方法は、表示装置1で処理される。
【0028】
表示装置1は、映像入力端子11、リモートコントロール(以下「リモコン」という)受光部12、リモコン操作処理部13、シリアルインタフェース(以下「シリアルI/F」という)部14、シリアル通信処理部15、内部記憶部16、外部記憶部17、中央演算部18、表示用および表示処理用一時記憶部19、表示処理部20、表示用デバイス21、輝度制御部22、カウンタa23、カウンタb24、ならびに図示しないリモコンを含んで構成される。
【0029】
映像入力端子11は、映像信号を入力する端子であり、入力された映像信号を画像情報として、表示用および表示処理用一時記憶部19に送る。図1には、N個の映像入力端子1〜Nを示しているが、映像入力端子11の数は1つでもよいし、複数でもよい。
【0030】
リモコン受光部12は、図示しないリモコンによって操作された操作情報を表す光信号を受光し、受光した光信号を電気信号に変換し、変換した電気信号が示す操作情報をリモコン操作処理部13に送る。リモコン操作処理部13は、リモコン受光部12から操作情報を受け取ると、受け取った操作情報に対して必要な処理を行い、処理した操作情報を中央演算部18に送る。
【0031】
シリアルI/F部14は、シリアルインタフェースに接続され、シリアルインタフェースに接続される他の装置と、情報を送受信し、受信した情報をシリアル通信処理部15に送る。シリアル通信処理部15は、シリアルI/F部14から受け取った情報、たとえばコマンドを処理し、処理した情報を中央演算部18に送る。
【0032】
内部記憶部16は、たとえばRAM(Random Access Memory)などの半導体メモリによって構成され、中央演算部18によってアクセスされる。内部記憶部16は、一時的にデータを記憶するワークメモリであり、たとえばモードM、輝度設定B、表示位置Posおよび設定時間T1などの情報を記憶する。
【0033】
図2は、サブピクセルを模式的に示す図である。ピクセル9は、表示画面を構成する画素であり、1つのピクセル9は、たとえば、赤色を表示する赤色基本画素である赤サブピクセル8r、緑色を表示する緑色基本画素である緑サブピクセル8gおよび青色を表示する青色基本画素である青サブピクセル8bの3つの基本画素であるサブピクセルによって構成される。黒サブピクセルは、残像防止のために表示する色を黒色としたサブピクセルであり、たとえばそのサブピクセルの駆動を停止して非表示状態とすることによって、黒色とすることができる。
【0034】
モードMは、黒サブピクセルを表示するか否かを示す情報であり、Mが「0」であると、黒サブピクセルを表示しないことを示し、Mが「1」であると、黒サブピクセルを表示することを示す。
【0035】
図3は、モードMが「1」のときの表示画面30の一部を模式的に示す図である。黒サブピクセルkを含むピクセルは、1つのピクセル9に含まれる3つのサブピクセルのうち、赤色を表示するサブピクセル8rを黒色とする赤ピクセル9r、緑色を表示するサブピクセル8gを黒色とする緑ピクセル9g、および青色を表示するサブピクセル8bを黒色とする青ピクセル9bの3種類がある。
【0036】
赤ピクセル9r、緑ピクセル9gおよび青ピクセル9bは、単位領域Tに1つずつ含まれる。単位領域Tは、横4個および縦6個の24個のピクセルからなる領域である。表示画面全体は、この単位領域Tを複数合わせて構成される。単位領域を用いて黒サブピクセルを配置することによって、表示画面全体に均等に分散した位置に黒サブピクセルkを配置することができる。予め定める割合である画面全体のピクセルに対する黒サブピクセルを含むピクセルの割合は、単位領域Tの大きさによって決まる割合である。
【0037】
このように、単位領域Tの大きさによって決まる割合のピクセルは、均等に分散する位置にあるので、画面全体の表示内容の判断を妨げること防止することができる。
【0038】
図3に示した例では、赤ピクセル9rは、単位領域Tの最も左上の位置に配置され、緑ピクセル9gは、単位領域Tの3段目の左端の位置に配置され、青ピクセル9bは、単位領域Tの5段目の左端の位置に配置されている。
【0039】
輝度設定Bは、黒サブピクセルkを表示するとき、輝度を上げるか否かを示す情報であり、Bが「0」であると、輝度を上げないことを示し、Bが「1」であると、輝度を上げることを示す。たとえば、輝度を0〜29の30段階で表し、数字が高いほど輝度が高いとすると、黒サブピクセルを表示しない場合は、段階20の輝度で表示し、黒サブピクセルを表示する場合は、段階25の輝度で表示する。
【0040】
図4は、単位領域T内の表示位置を示す図である。表示位置は、最も左上の位置が番号「0」であり、それに隣接する位置が左から順に番号「1」〜「3」であり、2段目は右から順に番号「4」〜「7」であり、3段目は左から順に番号「8」〜「11」であり、4段目は右から順に番号「12」〜「15」であり、5段目は左から順に番号「16」〜「19」であり、6段目は右から順に「20」〜「23」である。
【0041】
表示位置Posは、単位領域Tの中で黒サブピクセルを表示する基準の位置を示す。単位領域Tで赤ピクセル9r、緑ピクセル9gおよび青ピクセル9bを表示する位置は、赤ピクセル9rについては、表示位置Posが示す位置であり、緑ピクセル9gについては、表示位置Posの値に「8」を加算した値を「24」で除算した余りの値のPosの位置であり、青ピクセル9bについては、表示位置Posの値に「16」を加算した値を「24」で除算した余りの値のPosの位置である。たとえば表示位置Posの値が「0」のとき、赤ピクセル9rは、表示位置の番号が「0」の位置であり、緑ピクセル9gは、表示位置の番号が「8」の位置であり、青ピクセル9bは、表示位置の番号が「16」の位置である。
【0042】
図5は、設定時間T1ごとに単位領域T内を移動する黒サブピクセルの一例を示す図である。予め定める時間である設定時間T1は、黒サブピクセルを移動してから次の位置に移動するまでの時間であり、たとえば「60」分に設定される。
【0043】
最初の状態J1では、図3に示した例と同様に、赤ピクセル9rは、単位領域Tの最も左上の位置、つまり表示位置の番号が「0」の位置に配置され、緑ピクセル9gは、単位領域Tの3段目の左端の位置、つまり表示位置の番号が「8」の位置に配置され、青ピクセル9bは、単位領域Tの5段目の左端の位置、つまり表示位置の番号が「16」の位置に配置されている。
【0044】
黒サブピクセルの表示を開始してからの経過時間が設定時間T1の値に等しくなると、つまり60分経過すると、赤ピクセル9r、緑ピクセル9gおよび青ピクセル9bは、それぞれ1ピクセル分右隣に移動し、状態J2に移る。以後、赤ピクセル9r、緑ピクセル9gおよび青ピクセル9bが移動してからの経過時間T2が設定時間T1の値に等しくなる度に、つまり60分経過する度に、赤ピクセル9r、緑ピクセル9gおよび青ピクセル9bは、1ピクセル分右隣に移動する。
【0045】
赤ピクセル9r、緑ピクセル9gおよび青ピクセル9bが右端の表示位置に到達した場合は、いずれも、次に1ピクセル分下側に移動する。緑ピクセル9gまたは青ピクセル9bが最も左下の位置つまり表示位置の番号が「23」の位置に到達した場合は、次に最も左上の位置つまり表示位置の番号が「0」の位置に移動する。
【0046】
赤ピクセル9r、緑ピクセル9gおよび青ピクセル9bは、赤ピクセル9rが状態J24の最終位置つまり表示位置の番号が「23」の位置にくるまで、60分ごとに移動する。赤ピクセル9rが状態J24の位置まできて60分経過すると、最初の状態J1の位置に戻る。したがって、24時間ですべてのサブピクセルが1時間ずつ黒表示となる。
【0047】
すなわち、黒サブピクセルを含むピクセルは、図に示した矢印の方向に1ピクセルずつ隣接するピクセルの位置に順次移動し、最終位置つまり最も左下の位置までくると最初の位置つまり最も左上の位置に戻る。この順序が、予め定める順序である。このように、1ピクセル分ずつ移動するので、変化量を少なくすることができる。
【0048】
このように、前記予め定める順序は、単位領域Tの大きさによって決まる割合のピクセルの位置を順次隣接するピクセルの位置に移動し、全ピクセルの位置を移動する順序であるので、変化量を少なくすることができ、ユーザに違和感を抱かせることなく画像を表示することができる。
【0049】
図6は、残像防止設定画面31の一例を示す図である。残像防止設定画面31は、表示用デバイス21に表示され、図示しないリモコンによって操作することができる。残像防止設定画面31には、「残像防止設定」というタイトルおよび3つの設定項目が表示され、さらに各設定項目に対応する入力欄が設けられる。
【0050】
設定項目は、モード、輝度設定および設定時間がある。図6に示した各入力欄には、モードMが「1」、輝度設定Bが「0」、および設定時間T1が「1」時間と入力されている。情報の入力は、ポインタ311を上下に移動して設定項目を選択し、選択した設定項目の入力欄に入力する。
【0051】
外部記憶部17は、たとえばハードディスク装置などの不揮発性記憶装置によって構成され、中央演算部18によってアクセスさる。外部記憶部17は、プログラム保存部とデータ保存部とに分かれており、プログラム保存部は、書き換え可能であってもよいし、書き換え不可能であってもよく、中央演算部18によって実行される制御プログラムを記憶する。データ保存部は、内部記憶部16に記憶される情報と同じ情報、たとえばモードM、輝度設定B、表示位置Posおよび設定時間T1などの情報も記憶する。
【0052】
選択手段、置換手段および生成手段である中央演算部18は、たとえばマイクロプロセッサ、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはその他の演算機能を有する回路によって構成され、外部記憶部17のプログラム保存部に記憶される制御プログラムを実行することによって、リモコン操作処理部13、シリアル通信処理部15、表示処理部20、輝度制御部22、カウンタa23およびカウンタb24を制御する。
【0053】
表示用および表示処理用一時記憶部19は、映像入力端子11から受け取る画像情報、ならびに中央演算部18が処理する表示処理および残像防止処理を行うための情報を記憶する。表示処理は、画像を表示用デバイス21に表示するための処理であり、残像防止処理は、表示画像の一部のサブピクセルを黒サブピクセルに置換する処理である。
【0054】
表示処理部20は、中央演算部18から指示される画像情報を、表示用および表示処理用一時記憶部19から読み出し、読み出した画像情報を表示用デバイス21が表示可能な形式に変換し、変換した画像情報を表示用デバイス21に送る。
【0055】
液晶表示パネルである表示用デバイス21は、たとえば単純マトリクス型の液晶表示パネルでもよく、アクティブマトリクス型の液晶表示パネルであってもよく、表示処理部20から受け取る画像情報を表示画面に表示する。入力信号の型式は、LVDS(Low
Voltage Differential Signaling)あるいはTTL(Transistor-Transistor Logic)などであり、その形式は問わない。
【0056】
輝度制御部22は、中央演算部18からの指示に従って、表示用デバイス21の輝度を明るくしたり、暗くしたり制御する。中央演算部18、表示処理部20および表示用デバイス21は、表示制御手段である。
【0057】
カウンタa23は、経過時間T2をカウントつまり計時するタイマである。経過時間T2は、黒サブピクセルが移動してから経過した時間であり、カウンタa23は、黒サブピクセルが移動したときに「0」にリセットされ、リセットされた後カウントアップされる。カウンタb23は、経過時間T3をカウントするタイマである。経過時間T3は、リモコンが操作されてから経過した時間であり、カウンタb23は、リモコンが操作されたときに「0」にリセットされ、リセットされた後カウントアップされる。
【0058】
図7は、黒サブピクセルの置換を説明するための図である。リモコン操作処理部13は、リモコン受光部12がリモコンから受信した操作情報をリモコン受光部12から受け取ると、リモコン受信41があったことを中央演算部18に知らせる。
【0059】
中央演算部18は、中断制御42を行い、タイマ43をリセットし、タイマ43による経過時間T3の測定を開始する。中断制御42は、それまで行なっていた残像防止処理を中断する制御であり、黒サブピクセルを含むピクセルを表示していたピクセルを本来の表示画像に置換して表示する。タイマ43は、カウンタa23およびカウンタb24である。
【0060】
中央演算部18は、タイマ43によって測定した経過時間T3が一定時間たとえば15秒に達すると、カウンタ44をカウントアップした後、タイマ43をリセットし、タイマ43による経過時間T2の測定を開始する。中央演算部18は、タイマ43によって測定した経過時間T2が設定時間T1に達すると、カウンタ44をカウントアップする。以後、タイマ43による経過時間T2の測定を繰り返し、経過時間T2が設定時間T1に達する度に、カウンタ44をカウントアップする。
【0061】
黒表示するサブピクセルの位置情報45は、表示位置Posであり、カウンタ24の値を「24」で除算した余りの値である。中央演算部18は、サブピクセルの黒表示処理47で、黒表示するサブピクセルの位置情報45に基づいて、画像情報46が示す画像のピクセルのうち、赤ピクセル9r、緑ピクセル9gおよび緑ピクセル9gに置換するピクセルの位置を計算する。
【0062】
そして、中央演算部18は、画像情報46が示す画像のピクセルのうち、計算された赤ピクセル9rの位置のピクセルの赤サブピクセル8rを黒サブピクセルkに置換し、計算された緑ピクセル9gの位置のピクセルの緑サブピクセル8gを黒サブピクセルkに置換し、計算された緑ピクセル9gの位置のピクセルの青サブピクセル8bを黒サブピクセルkに置換し、黒サブピクセルkに置換した画像を液晶表示48で表示用デバイス21に表示する。
【0063】
黒サブピクセルへの置換は、オンスクリーンディスプレイ(On-Screen Display;以下「OSD」という)機能を用いて行う。具体的には、中央演算部18は、計算した位置の赤ピクセル9r、緑ピクセル9gおよび緑ピクセル9gに含まれる黒サブピクセルの位置のサブピクセルのみを黒色とした画像、たとえば図3に示すパターン(以下「OSDパターン」という)の画像を生成する。そして、画像情報46が示す画像に、生成したOSDパターンの画像を合成することによって、計算した位置のサブピクセルを黒サブピクセルに置換する。
【0064】
図8は、黒サブピクセルに置換された画像の一例を示す図である。図8(a)は、中央演算部18が、内部記憶部16に記憶される表示位置Posが「0」のときに、表示位置Posに基づいて、赤ピクセル9r、緑ピクセル9gおよび青ピクセル9bを配置する位置を算出し、算出した位置に赤ピクセル9r、緑ピクセル9gおよび青ピクセル9bを配置した画像50である。
【0065】
図8(b)は、表示すべき元の表示画像51である。図8(c)は、図8(b)に示した元の表示画像51のピクセルのうち、図8(a)に示した画像50の赤ピクセル9rの位置にある赤サブピクセル8r、緑ピクセル9gの位置にある緑サブピクセル8g、および青ピクセル9bの位置にある青サブピクセル8bを黒サブピクセルkに置換した画像52である。
【0066】
このように、中央演算部18によって、画像の一部が他の画像に置換され、中央演算部18によって、中央演算部18によって選択されたピクセルを構成するサブピクセルの1つを黒色とした画像が生成され、中央演算部18、表示処理部20および表示用デバイス21は、中央演算部18によって、表示すべき画像の一部が中央演算部18によって生成された画像に置換させ、中央演算部18によって一部が置換された画像が表示画面に表示させるので、オンスクリーンディスプレイ機能を有する表示装置に容易に適用することができる。
【0067】
図9は、中央演算部18によって実行される残像防止処理の処理手順を示すフローチャートである。表示装置1の電源が投入され、動作可能状態になると、ステップA1に移る。
【0068】
ステップA1では、各変数を初期化する。具体的には、表示位置Pos、経過時間T2を計時するカウンタa23、および経過時間T3を計時するカウンタb24に「0」を代入する。ステップA2では、黒サブピクセルを表示するか否かを判定する。モードMが「0」でないと、黒サブピクセルを表示すると判定し、ステップA4に進み、モードMが「0」であると、黒サブピクセルを表示しないと判定し、ステップA3に進む。
【0069】
ステップA3では、通常の表示を行い、すなわち残像を防止するための処理を行わずに表示して、ステップA2に戻る。ステップA4では、モード1処理を呼び出して実行する。ステップA5では、モード1処理で生成された画像を、表示処理部20によって表示用デバイス21に表示させ、ステップA2に戻る。
【0070】
図10は、中央演算部18によって実行されるモード1処理の処理手順を示すフローチャートである。モード1処理では、黒サブピクセルに置換した画像を生成し、リモコン操作があった場合は、一時的に黒サブピクセルの置換を中断する。図9に示したフローチャートのステップA4で呼び出されると、ステップB1に移る。
【0071】
ステップB1では、最終リモコン操作後、一定時間、たとえば15秒経過したか否かを判定する。最終リモコン操作後、一定時間経過したときは、ステップB4に進み、最終リモコン操作後、一定時間経過していないときは、ステップB2に進む。ステップB2では、設定変更があるか否かを判定する。残像防止設定画面31で設定変更が行なわれると、設定変更があると判定し、ステップB5に進み、残像防止設定画面31で設定変更が行なわれないと、設定変更がないと判定し、ステップB3に進む。
【0072】
ステップB3では、リモコン操作があるか否かを判定する。リモコン操作処理部13から、リモコンからの操作情報を受け取ると、リモコン操作があったと判定し、ステップB7に進み、リモコン操作処理部13から、リモコンからの操作情報を受け取らないと、リモコン操作がないと判定し、モード1処理を終了する。
【0073】
ステップB4では、関数A処理を呼び出して実行した後、ステップB2に進む。ステップB4で呼び出す関数A処理は、リモコン操作が最後に行われてから一定時間が経過したとき、黒サブピクセル表示を再開するために行う処理で、黒サブピクセル表示を中断したときの黒サブピクセルを表示した位置から再開する。したがって、黒サブピクセル表示の中断があっても、どのサブピクセルに対しても均一に黒表示を行い、残像防止効果が偏らないようにすることができる。
【0074】
ステップB5では、表示位置および経過時間を初期化する。具体的には、表示位置Posおよび経過時間T2を計時するカウンタa23に「0」を代入する。設定変更があった場合は、黒サブピクセルの表示を初期状態から再開するために、表示位置Posおよび経過時間T2を計時するカウンタa23を初期化する。ステップB6では、関数A処理を呼び出して実行した後、ステップB3に進む。
【0075】
ステップB7では、黒サブピクセル表示を中断する。具体的には、表示画像に対する黒サブピクセルの置換を行わずに表示する。したがって、リモコン操作を行なうことによって、黒サブピクセル表示を中断することができる。ステップB8では、輝度を上げているか否かを判定する。内部記憶部16に記憶される輝度設定Bが「1」であると、輝度を上げていると判定し、ステップB9に進み、内部記憶部16に記憶される輝度設定Bが「0」であると、輝度を上げていないと判定し、ステップB10に進む。
【0076】
ステップB9では、輝度を元に戻す。ステップB10では、リモコンからの操作情報が示す指示内容を実行する。たとえば、残像防止設定のモードM、輝度設定Bおよび設定時間T1を指示内容に設定しなおす処理を実行する。ステップB11では、経過時間をクリアして、モード1処理を終了する。具体的には、経過時間T3を計時するカウンタb24に「0」を代入して、モード1処理を終了する。
【0077】
図11は、中央演算部18によって実行される関数A処理の処理手順を示すフローチャートである。関数A処理は、予め定める時間つまり設定時間T1が経過する度に、黒サブピクセルの表示位置を移動し、輝度を制御する処理である。図10に示したフローチャートのステップB4またはステップB6で呼び出されると、ステップC1に移る。
【0078】
ステップC1では、設定時間と同じ時間が経過したか否かを判定する。カウンタa23によって計時される経過時間T2が設定時間T1を超えると、設定時間と同じ時間が経過したと判定し、ステップC4に進み、カウンタa23によって計時される経過時間T2が設定時間T1以下であると、設定時間と同じ時間が経過していないと判定し、ステップC2に進む。ステップC2では、輝度設定チェックを行なう。すなわち、内部記憶部16に記憶される輝度設定Bが「0」であるか否かを判定する。輝度設定Bが「0」でないと、ステップC8に進み、輝度設定Bが「0」であると、ステップC3に進む。ステップC3では、サブピクセルの黒塗処理を呼び出して実行した後、関数A処理を終了する。
【0079】
ステップC4では、表示チェックを行う。すなわち、内部記憶部16に記憶される表示位置Posの値が「23」未満であるか否かを判定する。表示位置Posの値が「23」未満であると、ステップC7に進み、表示位置Posの値が「23」未満でないと、ステップC5に進む。ステップC5では、表示位置を初期化する。具体的には、表示位置Posに「0」を代入する。
【0080】
ステップC6では、経過時間T2をクリアし、ステップC2に進む。具体的には、経過時間T2を計時するカウンタa23に「0」を代入し、ステップC2に進む。リモコン操作で黒サブピクセルの表示を中断したとき、その中断時間が設定時間T1よりも短い場合は、経過時間T2をクリアせずに継続してもよい。
【0081】
ステップC7では、表示位置を「1」増やし、ステップC6に進む。具体的には、表示位置Posに「1」を加算し、ステップC6に進む。ステップC8では、輝度を上げて、ステップC3に進む。ステップC1、ステップC4〜ステップC7は、選択ステップである。図9に示したフローチャートのステップA5、およびステップC3は、表示制御ステップである。
【0082】
図12は、中央演算部18によって実行されるサブピクセルの黒塗処理の処理手順を示すフローチャートである。サブピクセルの黒塗処理は、表示画像のピクセルのうち、表示位置Posに基づいて算出される位置にあるピクセルを、赤ピクセル9r、緑ピクセル9gまたは青ピクセル9bとする。図11に示したフローチャートのステップC3で呼び出されると、ステップD1に移る。
【0083】
ステップD1では、変数を初期化する。具体的には、画面の最も左上の位置を原点とするXY座標における水平方向の位置を示す変数X、および垂直方向の位置を示す変数Yに「0」を代入する。ステップD2では、変数Yがパネルつまり表示用デバイス21の垂直方向の解像度未満であるか否かを判定する。変数Yが表示用デバイス21の垂直方向の解像度未満であると、ステップD3に進み、変数Yが表示用デバイス21の垂直方向の解像度未満でないと、黒塗処理を終了する。
【0084】
ステップD3では、変数Xに「0」を代入する。ステップD4では、変数Xがパネルつまり表示用デバイス21の水平方向の解像度未満であるか否かを判定する。変数Xがパネルつまり表示用デバイス21の水平方向の解像度未満であると、ステップD5に進み、変数Xがパネルつまり表示用デバイス21の水平方向の解像度未満でないと、ステップD7に進む。ステップD5では、座標(X,Y)のピクセルNo.を取得する。具体的には、座標(X,Y)の位置が単位領域T内のどの表示位置に対応するかを算出する。
【0085】
ステップD6では、座標(X,Y)が赤ピクセルの位置であるか否かを判定する。座標(X,Y)に対応する表示位置が、内部記憶部16に記憶される表示位置Posから求められる赤ピクセル9rを表示する位置であると、座標(X,Y)が赤ピクセルの位置であると判定し、ステップD11に進み、座標(X,Y)に対応する表示位置が、内部記憶部16に記憶される表示位置Posから求められる赤ピクセル9rを表示する位置でないと、座標(X,Y)が赤ピクセルの位置でないと判定し、ステップD7に進む。
【0086】
ステップD7では、座標(X,Y)が緑ピクセルの位置であるか否かを判定する。座標(X,Y)に対応する表示位置が、内部記憶部16に記憶される表示位置Posから求められる緑ピクセル9gを表示する位置であると、座標(X,Y)が緑ピクセルの位置であると判定し、ステップD12に進み、座標(X,Y)に対応する表示位置が、内部記憶部16に記憶される表示位置Posから求められる緑ピクセル9gを表示する位置でないと、座標(X,Y)が緑ピクセルの位置でないと判定し、ステップD8に進む。
【0087】
ステップD8では、座標(X,Y)が青ピクセルの位置であるか否かを判定する。座標(X,Y)に対応する表示位置が、内部記憶部16に記憶される表示位置Posから求められる青ピクセル9bを表示する位置であると、座標(X,Y)が青ピクセルの位置であると判定し、ステップD13に進み、座標(X,Y)に対応する表示位置が、内部記憶部16に記憶される表示位置Posから求められる青ピクセル9bを表示する位置でないと、座標(X,Y)が青ピクセルの位置でないと判定し、ステップD9に進む。
【0088】
ステップD9では、変数Xに「1」を加算して、ステップD4に戻る。ステップD10では、変数Yに「1」を加算して、ステップD2に戻る。ステップD11では、座標(X, Y)の赤色を表示するサブピクセルを黒表示して、すなわち、座標(X,Y)に対応する表示位置にあるピクセルの赤サブピクセル8rを黒サブピクセルに置換して、ステップD9に進む。
【0089】
ステップD12では、座標(X, Y)の緑色を表示するサブピクセルを黒表示して、すなわち、座標(X,Y)に対応する表示位置にあるピクセルの緑サブピクセル8gを黒サブピクセルに置換して、ステップD9に進む。ステップD13では、座標(X, Y)の青色を表示するサブピクセルを黒表示して、すなわち、座標(X,Y)に対応する表示位置にあるピクセルの青サブピクセル8bを黒サブピクセルに置換して、ステップD9に進む。
【0090】
図13は、黒サブピクセル8kと黒ピクセル9kとを示す図である。図13(a)は、グレーのピクセル9hを表示する表示画像に、黒サブピクセル8kを含むピクセルを合成した画像53である。図13(b)は、図13(a)に示した領域53aにあるピクセルを拡大した画像である。
【0091】
図13に示したグレーのピクセル9hは、ピクセルを構成する3つのサブピクセル、つまり赤サブピクセル8r、緑サブピクセル8gおよび青サブピクセル8bの明度を、整数「0」〜「255」の256段階で表すと、(128,128,128)である。第1番目の数字は、赤サブピクセル8rの明度であり、第2番目の数字は、緑サブピクセル8gの明度であり、第3番目の数字は、青サブピクセル8bの明度である。明度「0」が最も暗く、明度「255」が最も明るい。
【0092】
図13(a)に示した黒サブピクセルkを含むピクセルには、シアンのピクセル9c、マゼンタのピクセル9m、およびイエローのピクセル9yがある。シアンのピクセル9cの明度は(0,128,128)であり、マゼンタのピクセル9mの明度は(128,0,128)であり、イエローのピクセル9yの明度は(128,128,0)である。
【0093】
黒サブピクセルkを含むピクセルが配置される位置は、図3に示した単位領域Tと同じ位置に配置されている。シアンのピクセル9cは、図3に示した赤ピクセル9rの位置であり、マゼンタのピクセル9mは、図3に示した緑ピクセル9gの位置であり、イエローのピクセル9yは、図3に示した青ピクセル9bの位置である。
【0094】
図13(c)は、グレーのピクセル9hを表示する表示画像に、ピクセル単位で黒表示を行った黒ピクセル9kを合成した画像54である。図13(d)は、図13(c)に示した領域54aにあるピクセルを拡大した画像である。
【0095】
すべてのサブピクセルまたはピクセルを、24時間のうちに1時間黒表示し、図13(c)に示した画像54の単位領域Tの大きさを図3に示した単位領域Tと同じであるとすると、単位領域T内の黒ピクセルの数は、1個であり、単位領域T内の黒サブピクセルを含むピクセルの数3個の1/3になるが、黒サブピクセルを用いて表示したほうが、黒表示が目立ちにくくなる。
【0096】
このように、中央演算部18によって、表示用デバイス21の表示画面を構成する、複数のサブピクセルから構成される複数のピクセルのうち単位領域Tの大きさによって決まる割合のピクセルが、設定時間T1が経過するごとに、選択するピクセルの位置を、1ピクセルずつ隣接するピクセルの位置に順次移動し、最終位置までくると最初の位置に戻る順序で変化させて選択され、中央演算部18、表示処理部20および表示用デバイス21によって、中央演算部18によって選択された各ピクセルを構成するサブピクセルのうちの1つのサブピクセルを非表示にして、画像が表示画面に表示される。
【0097】
したがって、表示用デバイス21の表示画面を構成する画素つまりピクセルのうち予め定める割合のピクセルを構成するサブピクセルのみ黒表示にして順次移動するので、画面全体の表示内容を常時判断することができる状態で残像現象を防止することができる。
【0098】
さらに、ピクセルは、赤色を表示するための赤サブピクセル8r、緑色を表示するための緑サブピクセル8g、および青色を表示するための青サブピクセル8bから成り、
中央演算部18、表示処理部20および表示用デバイス21によって、中央演算部18によって選択される複数のピクセルのうちの1/3の数の赤ピクセル9rに含まれる赤サブピクセル8rが非表示にされ、中央演算部18によって選択される複数のピクセルのうちの1/3の数であり、かつ赤ピクセル9rと異なる緑ピクセル9gに含まれる緑サブピクセル8gが非表示にされ、中央演算部18によって選択される複数のピクセルのうちの1/3の数であり、かつ赤ピクセル9rおよび緑ピクセル9gと異なる青ピクセル9bに含まれる青サブピクセル8bが非表示にされて、画像が表示画面に表示されるので、赤、緑および青の3原色を用いて表示する表示装置で、画面全体の表示内容を常時判断することができる状態で残像現象を防止することができる。
【0099】
さらに、図11に示したフローチャートのステップC1、ステップC4〜ステップC7では、表示用デバイス21の表示画面を構成する、複数のサブピクセルから構成される複数のピクセルのうち、単位領域Tの大きさによって決まる割合のピクセルを、設定時間T1が経過するごとに、選択するピクセルの位置を、1ピクセルずつ隣接するピクセルの位置に順次移動し、最終位置までくると最初の位置に戻る順序で変化させて選択する。そして、図9に示したフローチャートのステップA5、および図11に示したフローチャートのステップC3では、図11に示したフローチャートのステップC1、ステップC4〜ステップC7で選択された各ピクセルを構成するサブピクセルのうちの1つのサブピクセルを非表示にして、画像を表示画面に表示する。
【0100】
したがって、本発明に係る表示方法を適用すれば、表示用デバイス21の表示画面を構成する画素つまりピクセルのうち予め定める割合のピクセルを構成するサブピクセルのみを黒表示にして順次移動するので、画面全体の表示内容を常時判断することができる状態で残像現象を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の実施の一形態である表示装置1の構成を示すブロック図である。
【図2】サブピクセルを模式的に示す図である。
【図3】モードMが「1」のときの表示画面30の一部を模式的に示す図である。
【図4】単位領域T内の表示位置を示す図である。
【図5】設定時間T1ごとに単位領域T内を移動する黒サブピクセルの一例を示す図である。
【図6】残像防止設定画面31の一例を示す図である。
【図7】黒サブピクセルの置換を説明するための図である。
【図8】黒サブピクセルに置換された画像の一例を示す図である。
【図9】中央演算部18によって実行される残像防止処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】中央演算部18によって実行されるモード1処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】中央演算部18によって実行される関数A処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】中央演算部18によって実行されるサブピクセルの黒塗処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】黒サブピクセル8kと黒ピクセル9kとを示す図である。
【図14A】焼き付きなどの問題を防止する従来の技術の例を示す図である。
【図14B】焼き付きなどの問題を防止する従来の技術の例を示す図である。
【符号の説明】
【0102】
1 表示装置
8 サブピクセル
9 ピクセル
11 映像入力端子
12 リモコン受光部
13 リモコン操作処理部
14 シリアルI/F部
15 シリアル通信処理部
16 内部記憶部
17 外部記憶部
18 中央演算部
19 表示用および表示処理用一時記憶部
20 表示処理部
21 表示用デバイス
22 輝度制御部
23,24 カウンタ
30 表示画面
31 残像防止設定画面
51 表示画像
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示中に発生する残像現象を防止することができる液晶表示装置および表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイなどの表示装置は、静止画像を長時間連続して表示すると、焼き付け、残像現象、輝度むらあるいはちらつきなどの問題が生じることがある。たとえば、液晶ディスプレイで発生する残像現象は、電荷の偏りが固定化することによって発生する。これらの問題を防止することができる従来の技術として以下のものがある。
【0003】
特許文献1に記載される強誘電性液晶表示装置は、液晶分子の配向状態が変化するような正負一対の交流化された電圧パルスを所定の回数だけ印加して、表示データを消去し、全画面を白または黒の状態とすることによって、表示終了時の表示データが液晶パネルに書き込まれたまま保存されることによる特性劣化を回避し、焼き付け現象の発生を防止する。前記電圧パルスの印加は、表示開始前、表示終了時、割り込み発生時、所定の時間間隔で、あるいは表示データが所定時間変化しないときに行なわれる。
【0004】
特許文献2に記載される液晶表示装置は、キーボードなどが操作されず操作者からの信号が一定時間印加されない場合、あるいは焼き付け防止スイッチが操作された場合、全面白表示と全面黒表示とを交互に表示画面に表示することによって、表示画面の焼き付きを防止する。全面白表示と全面黒表示とを交互に表示画面に表示する代わりに、任意の画像とその反転表示とを切り換えることも可能である。
【0005】
特許文献3に記載される液晶モニタの焼き付き防止方法は、所定時間画像に変化がない場合、たとえば所定時間コンピュータの操作がされない場合に、表示していた画像を階調反転した階調反転画像、全面白色画像、または全面黒色画像を表示することによって、長時間同じ画像を表示した後、液晶内のイオン性不純物が片寄ることで発生する液晶モニタの焼き付きを防止する。
【0006】
特許文献4に記載されるプラズマディスプレイ装置は、人検知器によって人が検知されていない場合には、残像発生防止のための画像を表示することによって、残像現象および輝度むらの発生を低減させる。残像発生防止のための画像は、通常の表示画像の反転画像、全体が白100%の静止画像、あるいは、一部が白100%の画像で他が黒100%の画像でありかつ白画像部分が移動する動画像である。
【0007】
特許文献5に記載される表示装置の焼付防止方法は、一定時間ごとに、見た感じで気にならない程度ドット数単位で、たとえば5ドット以下で静止画像の座標を変換して表示する。
【0008】
特許文献6に記載される表示装置の焼付防止装置は、一定時間毎に画像をサブピクセル単位で移動させることによって、表示している内容が移動していることを気づかせず、焼付き防止を実現する。サブピクセル単位とは、実在する表示画素の最小単位である1 ピクセルよりも小さい仮想の画素の単位をいい、サブピクセル単位で移動させたときに、実在する表示画素に表示すべき画像は、仮想位置に移動したピクセル値から補間して求める。サブピクセル単位での移動は、平行移動、あるいは拡大と縮小との繰り返しによる移動がある。
【0009】
特許文献7に記載される画像表示器の画面焼けを防ぐための方法は、一定時間の後に画像をたとえば斜め方向に移動し、画面焼けを防止する。移動範囲は、画像全体がオリジナル位置から最大5ピクセル離れた位置の範囲である。
【0010】
特許文献8に記載される液晶表示装置は、水平方向の所定の本数の黒線を1フレーム期間で垂直方向に移動させることによって、残像およびチラツキを防止する。
【0011】
【特許文献1】特開平4−250417号公報
【特許文献2】特開平9−251153号公報
【特許文献3】特開2004−325853号公報
【特許文献4】特開2003−216097号公報
【特許文献5】特開2000−227775号公報
【特許文献6】特開2005−107132号公報
【特許文献7】特開2006−189881号公報
【特許文献8】特開2006−208797号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
図14Aおよび図14Bは、焼き付きなどの問題を防止する従来の技術の例を示す図である。図14A(a)は、画面に表示される画像61を一時的に全画面黒い画像61aに切り換える例である。特許文献1〜4に記載される装置あるいは方法は、この例と同様に、一時的に全画面を白、黒、または白と黒との混在とするものであるが、もともと表示されていた画面の表示内容が分らなくなるという問題がある。特許文献2および3に記載される装置あるいは方法は、一時的に全画面を反転表示することも可能であるが、表示内容が確認しづらくなるという問題がある。
【0013】
図14A(b)は、画像61全体を右方向、下方向、左方向、および上方向に、この順序で少しずつずらして表示する例である。画像61全体を右方向にずらした画像61b、画像61全体をさらに下方向にずらした画像61c、および画像61全体をさらに左方向にずらした画像61dは、いずれも黒い画像62が表示されるが、黒い画像62が表示された部分の表示内容が分らなくなり、さらに、画面からはみ出して表示されない部分63が生じるという問題がある。特許文献5〜7に記載される装置あるいは方法は、この例と同様に、画像全体を少しずらして表示する例であるが、移動前後で色および輝度に変化がない部分に対しては、目的とする効果を期待することができないという問題がある。
【0014】
図14B(c)は、画像61に対して横方向の黒い画像64を画面下側から上方向に広げていく例であるが、黒い画像64が表示された部分の表示内容が分らなくなるという問題がある。図14B(d)は、画像61の中に縦方向の黒い帯状の画像65を画面の左端から右端に移動する例である。特許文献8に記載される装置は、水平方向の所定の本数の黒線を垂直方向に移動させるもので、この例と方向は異なるものの、いずれも黒い画像部分の動きが目立つために、その動きがユーザに気になるという問題がある。
【0015】
図14B(e)は、画像61を圧縮し、圧縮画像61eがない部分に黒い画像66を表示するものであるが、画像が変形して歪になるので、表示内容を確認しづらくなるという問題がある。
【0016】
本発明の目的は、画面全体の表示内容を常時判断することができる状態で残像現象を防止することができる液晶表示装置および表示方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、液晶表示パネルと、
前記液晶表示パネルの表示画面を構成する、複数の基本画素から構成される複数の画素のうち予め定める割合の画素を、予め定める時間が経過するごとに、選択する画素の位置を予め定める順序で変化させて選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択された各画素を構成する基本画素のうちの1つの基本画素を非表示にして、画像を表示画面に表示する表示制御手段とを含むことを特徴とする液晶表示装置である。
【0018】
また本発明は、前記画素は、赤色を表示するための赤色基本画素、緑色を表示するための緑色基本画素、および青色を表示するための青色基本画素から成り、
前記表示制御手段は、選択手段によって選択される複数の画素のうちの1/3の数の第1の画素に含まれる赤色基本画素を非表示にし、選択手段によって選択される複数の画素のうちの1/3の数であり、かつ第1の画素と異なる第2の画素に含まれる緑色基本画素を非表示にし、選択手段によって選択される複数の画素のうちの1/3の数であり、かつ第1の画素および第2の画素とは異なる第3の画素に含まれる青色基本画素を非表示にして、画像を表示画面に表示することを特徴とする。
【0019】
また本発明は、画像の一部を他の画像に置換する置換手段と、
前記選択手段によって選択された画素を構成する基本画素の1つを黒色とした画像を生成する生成手段とをさらに含み、
前記表示制御手段は、
前記置換手段によって、表示すべき画像の一部を前記生成手段によって生成された画像に置換させ、
前記置換手段によって一部が置換された画像を表示画面に表示することを特徴とする。
【0020】
また本発明は、前記予め定める順序は、予め定める割合の画素の位置を順次隣接する画素の位置に移動し、全画素の位置を移動する順序であることを特徴とする。
【0021】
また本発明は、前記予め定める割合の画素は、均等に分散する位置にあることを特徴とする。
【0022】
また本発明は、液晶表示パネルの表示画面を構成する、複数の基本画素から構成される複数の画素のうち、予め定める割合の画素を、予め定める時間が経過するごとに、選択する画素の位置を予め定める順序で変化させて選択する選択ステップと、
前記選択ステップで選択された各画素を構成する基本画素のうちの1つの基本画素を非表示にして、画像を表示画面に表示する表示制御ステップとを含むことを特徴とする表示方法である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、選択手段によって、液晶表示パネルの表示画面を構成する、複数の基本画素から構成される複数の画素のうち予め定める割合の画素が、予め定める時間が経過するごとに、選択する画素の位置を予め定める順序で変化させて選択され、表示制御手段によって、前記選択手段によって選択された各画素を構成する基本画素のうちの1つの基本画素を非表示にして、画像が表示画面に表示される。
【0024】
したがって、液晶表示パネルの表示画面を構成する画素のうち予め定める割合の画素を構成する基本画素のみを黒表示にして順次移動するので、画面全体の表示内容を常時判断することができる状態で残像現象を防止することができる。
【0025】
また本発明によれば、選択ステップでは、液晶表示パネルの表示画面を構成する、複数の基本画素から構成される複数の画素のうち、予め定める割合の画素を、予め定める時間が経過するごとに、選択する画素の位置を予め定める順序で変化させて選択する。そして、表示制御ステップでは、前記選択ステップで選択された各画素を構成する基本画素のうちの1つの基本画素を非表示にして、画像を表示画面に表示する。
【0026】
したがって、本発明に係る表示方法を適用すれば、液晶表示パネルの表示画面を構成する画素のうち予め定める割合の画素を構成する基本画素のみを黒表示にして順次移動するので、画面全体の表示内容を常時判断することができる状態で残像現象を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1は、本発明の実施の一形態である表示装置1の構成を示すブロック図である。本発明に係る表示方法は、表示装置1で処理される。
【0028】
表示装置1は、映像入力端子11、リモートコントロール(以下「リモコン」という)受光部12、リモコン操作処理部13、シリアルインタフェース(以下「シリアルI/F」という)部14、シリアル通信処理部15、内部記憶部16、外部記憶部17、中央演算部18、表示用および表示処理用一時記憶部19、表示処理部20、表示用デバイス21、輝度制御部22、カウンタa23、カウンタb24、ならびに図示しないリモコンを含んで構成される。
【0029】
映像入力端子11は、映像信号を入力する端子であり、入力された映像信号を画像情報として、表示用および表示処理用一時記憶部19に送る。図1には、N個の映像入力端子1〜Nを示しているが、映像入力端子11の数は1つでもよいし、複数でもよい。
【0030】
リモコン受光部12は、図示しないリモコンによって操作された操作情報を表す光信号を受光し、受光した光信号を電気信号に変換し、変換した電気信号が示す操作情報をリモコン操作処理部13に送る。リモコン操作処理部13は、リモコン受光部12から操作情報を受け取ると、受け取った操作情報に対して必要な処理を行い、処理した操作情報を中央演算部18に送る。
【0031】
シリアルI/F部14は、シリアルインタフェースに接続され、シリアルインタフェースに接続される他の装置と、情報を送受信し、受信した情報をシリアル通信処理部15に送る。シリアル通信処理部15は、シリアルI/F部14から受け取った情報、たとえばコマンドを処理し、処理した情報を中央演算部18に送る。
【0032】
内部記憶部16は、たとえばRAM(Random Access Memory)などの半導体メモリによって構成され、中央演算部18によってアクセスされる。内部記憶部16は、一時的にデータを記憶するワークメモリであり、たとえばモードM、輝度設定B、表示位置Posおよび設定時間T1などの情報を記憶する。
【0033】
図2は、サブピクセルを模式的に示す図である。ピクセル9は、表示画面を構成する画素であり、1つのピクセル9は、たとえば、赤色を表示する赤色基本画素である赤サブピクセル8r、緑色を表示する緑色基本画素である緑サブピクセル8gおよび青色を表示する青色基本画素である青サブピクセル8bの3つの基本画素であるサブピクセルによって構成される。黒サブピクセルは、残像防止のために表示する色を黒色としたサブピクセルであり、たとえばそのサブピクセルの駆動を停止して非表示状態とすることによって、黒色とすることができる。
【0034】
モードMは、黒サブピクセルを表示するか否かを示す情報であり、Mが「0」であると、黒サブピクセルを表示しないことを示し、Mが「1」であると、黒サブピクセルを表示することを示す。
【0035】
図3は、モードMが「1」のときの表示画面30の一部を模式的に示す図である。黒サブピクセルkを含むピクセルは、1つのピクセル9に含まれる3つのサブピクセルのうち、赤色を表示するサブピクセル8rを黒色とする赤ピクセル9r、緑色を表示するサブピクセル8gを黒色とする緑ピクセル9g、および青色を表示するサブピクセル8bを黒色とする青ピクセル9bの3種類がある。
【0036】
赤ピクセル9r、緑ピクセル9gおよび青ピクセル9bは、単位領域Tに1つずつ含まれる。単位領域Tは、横4個および縦6個の24個のピクセルからなる領域である。表示画面全体は、この単位領域Tを複数合わせて構成される。単位領域を用いて黒サブピクセルを配置することによって、表示画面全体に均等に分散した位置に黒サブピクセルkを配置することができる。予め定める割合である画面全体のピクセルに対する黒サブピクセルを含むピクセルの割合は、単位領域Tの大きさによって決まる割合である。
【0037】
このように、単位領域Tの大きさによって決まる割合のピクセルは、均等に分散する位置にあるので、画面全体の表示内容の判断を妨げること防止することができる。
【0038】
図3に示した例では、赤ピクセル9rは、単位領域Tの最も左上の位置に配置され、緑ピクセル9gは、単位領域Tの3段目の左端の位置に配置され、青ピクセル9bは、単位領域Tの5段目の左端の位置に配置されている。
【0039】
輝度設定Bは、黒サブピクセルkを表示するとき、輝度を上げるか否かを示す情報であり、Bが「0」であると、輝度を上げないことを示し、Bが「1」であると、輝度を上げることを示す。たとえば、輝度を0〜29の30段階で表し、数字が高いほど輝度が高いとすると、黒サブピクセルを表示しない場合は、段階20の輝度で表示し、黒サブピクセルを表示する場合は、段階25の輝度で表示する。
【0040】
図4は、単位領域T内の表示位置を示す図である。表示位置は、最も左上の位置が番号「0」であり、それに隣接する位置が左から順に番号「1」〜「3」であり、2段目は右から順に番号「4」〜「7」であり、3段目は左から順に番号「8」〜「11」であり、4段目は右から順に番号「12」〜「15」であり、5段目は左から順に番号「16」〜「19」であり、6段目は右から順に「20」〜「23」である。
【0041】
表示位置Posは、単位領域Tの中で黒サブピクセルを表示する基準の位置を示す。単位領域Tで赤ピクセル9r、緑ピクセル9gおよび青ピクセル9bを表示する位置は、赤ピクセル9rについては、表示位置Posが示す位置であり、緑ピクセル9gについては、表示位置Posの値に「8」を加算した値を「24」で除算した余りの値のPosの位置であり、青ピクセル9bについては、表示位置Posの値に「16」を加算した値を「24」で除算した余りの値のPosの位置である。たとえば表示位置Posの値が「0」のとき、赤ピクセル9rは、表示位置の番号が「0」の位置であり、緑ピクセル9gは、表示位置の番号が「8」の位置であり、青ピクセル9bは、表示位置の番号が「16」の位置である。
【0042】
図5は、設定時間T1ごとに単位領域T内を移動する黒サブピクセルの一例を示す図である。予め定める時間である設定時間T1は、黒サブピクセルを移動してから次の位置に移動するまでの時間であり、たとえば「60」分に設定される。
【0043】
最初の状態J1では、図3に示した例と同様に、赤ピクセル9rは、単位領域Tの最も左上の位置、つまり表示位置の番号が「0」の位置に配置され、緑ピクセル9gは、単位領域Tの3段目の左端の位置、つまり表示位置の番号が「8」の位置に配置され、青ピクセル9bは、単位領域Tの5段目の左端の位置、つまり表示位置の番号が「16」の位置に配置されている。
【0044】
黒サブピクセルの表示を開始してからの経過時間が設定時間T1の値に等しくなると、つまり60分経過すると、赤ピクセル9r、緑ピクセル9gおよび青ピクセル9bは、それぞれ1ピクセル分右隣に移動し、状態J2に移る。以後、赤ピクセル9r、緑ピクセル9gおよび青ピクセル9bが移動してからの経過時間T2が設定時間T1の値に等しくなる度に、つまり60分経過する度に、赤ピクセル9r、緑ピクセル9gおよび青ピクセル9bは、1ピクセル分右隣に移動する。
【0045】
赤ピクセル9r、緑ピクセル9gおよび青ピクセル9bが右端の表示位置に到達した場合は、いずれも、次に1ピクセル分下側に移動する。緑ピクセル9gまたは青ピクセル9bが最も左下の位置つまり表示位置の番号が「23」の位置に到達した場合は、次に最も左上の位置つまり表示位置の番号が「0」の位置に移動する。
【0046】
赤ピクセル9r、緑ピクセル9gおよび青ピクセル9bは、赤ピクセル9rが状態J24の最終位置つまり表示位置の番号が「23」の位置にくるまで、60分ごとに移動する。赤ピクセル9rが状態J24の位置まできて60分経過すると、最初の状態J1の位置に戻る。したがって、24時間ですべてのサブピクセルが1時間ずつ黒表示となる。
【0047】
すなわち、黒サブピクセルを含むピクセルは、図に示した矢印の方向に1ピクセルずつ隣接するピクセルの位置に順次移動し、最終位置つまり最も左下の位置までくると最初の位置つまり最も左上の位置に戻る。この順序が、予め定める順序である。このように、1ピクセル分ずつ移動するので、変化量を少なくすることができる。
【0048】
このように、前記予め定める順序は、単位領域Tの大きさによって決まる割合のピクセルの位置を順次隣接するピクセルの位置に移動し、全ピクセルの位置を移動する順序であるので、変化量を少なくすることができ、ユーザに違和感を抱かせることなく画像を表示することができる。
【0049】
図6は、残像防止設定画面31の一例を示す図である。残像防止設定画面31は、表示用デバイス21に表示され、図示しないリモコンによって操作することができる。残像防止設定画面31には、「残像防止設定」というタイトルおよび3つの設定項目が表示され、さらに各設定項目に対応する入力欄が設けられる。
【0050】
設定項目は、モード、輝度設定および設定時間がある。図6に示した各入力欄には、モードMが「1」、輝度設定Bが「0」、および設定時間T1が「1」時間と入力されている。情報の入力は、ポインタ311を上下に移動して設定項目を選択し、選択した設定項目の入力欄に入力する。
【0051】
外部記憶部17は、たとえばハードディスク装置などの不揮発性記憶装置によって構成され、中央演算部18によってアクセスさる。外部記憶部17は、プログラム保存部とデータ保存部とに分かれており、プログラム保存部は、書き換え可能であってもよいし、書き換え不可能であってもよく、中央演算部18によって実行される制御プログラムを記憶する。データ保存部は、内部記憶部16に記憶される情報と同じ情報、たとえばモードM、輝度設定B、表示位置Posおよび設定時間T1などの情報も記憶する。
【0052】
選択手段、置換手段および生成手段である中央演算部18は、たとえばマイクロプロセッサ、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはその他の演算機能を有する回路によって構成され、外部記憶部17のプログラム保存部に記憶される制御プログラムを実行することによって、リモコン操作処理部13、シリアル通信処理部15、表示処理部20、輝度制御部22、カウンタa23およびカウンタb24を制御する。
【0053】
表示用および表示処理用一時記憶部19は、映像入力端子11から受け取る画像情報、ならびに中央演算部18が処理する表示処理および残像防止処理を行うための情報を記憶する。表示処理は、画像を表示用デバイス21に表示するための処理であり、残像防止処理は、表示画像の一部のサブピクセルを黒サブピクセルに置換する処理である。
【0054】
表示処理部20は、中央演算部18から指示される画像情報を、表示用および表示処理用一時記憶部19から読み出し、読み出した画像情報を表示用デバイス21が表示可能な形式に変換し、変換した画像情報を表示用デバイス21に送る。
【0055】
液晶表示パネルである表示用デバイス21は、たとえば単純マトリクス型の液晶表示パネルでもよく、アクティブマトリクス型の液晶表示パネルであってもよく、表示処理部20から受け取る画像情報を表示画面に表示する。入力信号の型式は、LVDS(Low
Voltage Differential Signaling)あるいはTTL(Transistor-Transistor Logic)などであり、その形式は問わない。
【0056】
輝度制御部22は、中央演算部18からの指示に従って、表示用デバイス21の輝度を明るくしたり、暗くしたり制御する。中央演算部18、表示処理部20および表示用デバイス21は、表示制御手段である。
【0057】
カウンタa23は、経過時間T2をカウントつまり計時するタイマである。経過時間T2は、黒サブピクセルが移動してから経過した時間であり、カウンタa23は、黒サブピクセルが移動したときに「0」にリセットされ、リセットされた後カウントアップされる。カウンタb23は、経過時間T3をカウントするタイマである。経過時間T3は、リモコンが操作されてから経過した時間であり、カウンタb23は、リモコンが操作されたときに「0」にリセットされ、リセットされた後カウントアップされる。
【0058】
図7は、黒サブピクセルの置換を説明するための図である。リモコン操作処理部13は、リモコン受光部12がリモコンから受信した操作情報をリモコン受光部12から受け取ると、リモコン受信41があったことを中央演算部18に知らせる。
【0059】
中央演算部18は、中断制御42を行い、タイマ43をリセットし、タイマ43による経過時間T3の測定を開始する。中断制御42は、それまで行なっていた残像防止処理を中断する制御であり、黒サブピクセルを含むピクセルを表示していたピクセルを本来の表示画像に置換して表示する。タイマ43は、カウンタa23およびカウンタb24である。
【0060】
中央演算部18は、タイマ43によって測定した経過時間T3が一定時間たとえば15秒に達すると、カウンタ44をカウントアップした後、タイマ43をリセットし、タイマ43による経過時間T2の測定を開始する。中央演算部18は、タイマ43によって測定した経過時間T2が設定時間T1に達すると、カウンタ44をカウントアップする。以後、タイマ43による経過時間T2の測定を繰り返し、経過時間T2が設定時間T1に達する度に、カウンタ44をカウントアップする。
【0061】
黒表示するサブピクセルの位置情報45は、表示位置Posであり、カウンタ24の値を「24」で除算した余りの値である。中央演算部18は、サブピクセルの黒表示処理47で、黒表示するサブピクセルの位置情報45に基づいて、画像情報46が示す画像のピクセルのうち、赤ピクセル9r、緑ピクセル9gおよび緑ピクセル9gに置換するピクセルの位置を計算する。
【0062】
そして、中央演算部18は、画像情報46が示す画像のピクセルのうち、計算された赤ピクセル9rの位置のピクセルの赤サブピクセル8rを黒サブピクセルkに置換し、計算された緑ピクセル9gの位置のピクセルの緑サブピクセル8gを黒サブピクセルkに置換し、計算された緑ピクセル9gの位置のピクセルの青サブピクセル8bを黒サブピクセルkに置換し、黒サブピクセルkに置換した画像を液晶表示48で表示用デバイス21に表示する。
【0063】
黒サブピクセルへの置換は、オンスクリーンディスプレイ(On-Screen Display;以下「OSD」という)機能を用いて行う。具体的には、中央演算部18は、計算した位置の赤ピクセル9r、緑ピクセル9gおよび緑ピクセル9gに含まれる黒サブピクセルの位置のサブピクセルのみを黒色とした画像、たとえば図3に示すパターン(以下「OSDパターン」という)の画像を生成する。そして、画像情報46が示す画像に、生成したOSDパターンの画像を合成することによって、計算した位置のサブピクセルを黒サブピクセルに置換する。
【0064】
図8は、黒サブピクセルに置換された画像の一例を示す図である。図8(a)は、中央演算部18が、内部記憶部16に記憶される表示位置Posが「0」のときに、表示位置Posに基づいて、赤ピクセル9r、緑ピクセル9gおよび青ピクセル9bを配置する位置を算出し、算出した位置に赤ピクセル9r、緑ピクセル9gおよび青ピクセル9bを配置した画像50である。
【0065】
図8(b)は、表示すべき元の表示画像51である。図8(c)は、図8(b)に示した元の表示画像51のピクセルのうち、図8(a)に示した画像50の赤ピクセル9rの位置にある赤サブピクセル8r、緑ピクセル9gの位置にある緑サブピクセル8g、および青ピクセル9bの位置にある青サブピクセル8bを黒サブピクセルkに置換した画像52である。
【0066】
このように、中央演算部18によって、画像の一部が他の画像に置換され、中央演算部18によって、中央演算部18によって選択されたピクセルを構成するサブピクセルの1つを黒色とした画像が生成され、中央演算部18、表示処理部20および表示用デバイス21は、中央演算部18によって、表示すべき画像の一部が中央演算部18によって生成された画像に置換させ、中央演算部18によって一部が置換された画像が表示画面に表示させるので、オンスクリーンディスプレイ機能を有する表示装置に容易に適用することができる。
【0067】
図9は、中央演算部18によって実行される残像防止処理の処理手順を示すフローチャートである。表示装置1の電源が投入され、動作可能状態になると、ステップA1に移る。
【0068】
ステップA1では、各変数を初期化する。具体的には、表示位置Pos、経過時間T2を計時するカウンタa23、および経過時間T3を計時するカウンタb24に「0」を代入する。ステップA2では、黒サブピクセルを表示するか否かを判定する。モードMが「0」でないと、黒サブピクセルを表示すると判定し、ステップA4に進み、モードMが「0」であると、黒サブピクセルを表示しないと判定し、ステップA3に進む。
【0069】
ステップA3では、通常の表示を行い、すなわち残像を防止するための処理を行わずに表示して、ステップA2に戻る。ステップA4では、モード1処理を呼び出して実行する。ステップA5では、モード1処理で生成された画像を、表示処理部20によって表示用デバイス21に表示させ、ステップA2に戻る。
【0070】
図10は、中央演算部18によって実行されるモード1処理の処理手順を示すフローチャートである。モード1処理では、黒サブピクセルに置換した画像を生成し、リモコン操作があった場合は、一時的に黒サブピクセルの置換を中断する。図9に示したフローチャートのステップA4で呼び出されると、ステップB1に移る。
【0071】
ステップB1では、最終リモコン操作後、一定時間、たとえば15秒経過したか否かを判定する。最終リモコン操作後、一定時間経過したときは、ステップB4に進み、最終リモコン操作後、一定時間経過していないときは、ステップB2に進む。ステップB2では、設定変更があるか否かを判定する。残像防止設定画面31で設定変更が行なわれると、設定変更があると判定し、ステップB5に進み、残像防止設定画面31で設定変更が行なわれないと、設定変更がないと判定し、ステップB3に進む。
【0072】
ステップB3では、リモコン操作があるか否かを判定する。リモコン操作処理部13から、リモコンからの操作情報を受け取ると、リモコン操作があったと判定し、ステップB7に進み、リモコン操作処理部13から、リモコンからの操作情報を受け取らないと、リモコン操作がないと判定し、モード1処理を終了する。
【0073】
ステップB4では、関数A処理を呼び出して実行した後、ステップB2に進む。ステップB4で呼び出す関数A処理は、リモコン操作が最後に行われてから一定時間が経過したとき、黒サブピクセル表示を再開するために行う処理で、黒サブピクセル表示を中断したときの黒サブピクセルを表示した位置から再開する。したがって、黒サブピクセル表示の中断があっても、どのサブピクセルに対しても均一に黒表示を行い、残像防止効果が偏らないようにすることができる。
【0074】
ステップB5では、表示位置および経過時間を初期化する。具体的には、表示位置Posおよび経過時間T2を計時するカウンタa23に「0」を代入する。設定変更があった場合は、黒サブピクセルの表示を初期状態から再開するために、表示位置Posおよび経過時間T2を計時するカウンタa23を初期化する。ステップB6では、関数A処理を呼び出して実行した後、ステップB3に進む。
【0075】
ステップB7では、黒サブピクセル表示を中断する。具体的には、表示画像に対する黒サブピクセルの置換を行わずに表示する。したがって、リモコン操作を行なうことによって、黒サブピクセル表示を中断することができる。ステップB8では、輝度を上げているか否かを判定する。内部記憶部16に記憶される輝度設定Bが「1」であると、輝度を上げていると判定し、ステップB9に進み、内部記憶部16に記憶される輝度設定Bが「0」であると、輝度を上げていないと判定し、ステップB10に進む。
【0076】
ステップB9では、輝度を元に戻す。ステップB10では、リモコンからの操作情報が示す指示内容を実行する。たとえば、残像防止設定のモードM、輝度設定Bおよび設定時間T1を指示内容に設定しなおす処理を実行する。ステップB11では、経過時間をクリアして、モード1処理を終了する。具体的には、経過時間T3を計時するカウンタb24に「0」を代入して、モード1処理を終了する。
【0077】
図11は、中央演算部18によって実行される関数A処理の処理手順を示すフローチャートである。関数A処理は、予め定める時間つまり設定時間T1が経過する度に、黒サブピクセルの表示位置を移動し、輝度を制御する処理である。図10に示したフローチャートのステップB4またはステップB6で呼び出されると、ステップC1に移る。
【0078】
ステップC1では、設定時間と同じ時間が経過したか否かを判定する。カウンタa23によって計時される経過時間T2が設定時間T1を超えると、設定時間と同じ時間が経過したと判定し、ステップC4に進み、カウンタa23によって計時される経過時間T2が設定時間T1以下であると、設定時間と同じ時間が経過していないと判定し、ステップC2に進む。ステップC2では、輝度設定チェックを行なう。すなわち、内部記憶部16に記憶される輝度設定Bが「0」であるか否かを判定する。輝度設定Bが「0」でないと、ステップC8に進み、輝度設定Bが「0」であると、ステップC3に進む。ステップC3では、サブピクセルの黒塗処理を呼び出して実行した後、関数A処理を終了する。
【0079】
ステップC4では、表示チェックを行う。すなわち、内部記憶部16に記憶される表示位置Posの値が「23」未満であるか否かを判定する。表示位置Posの値が「23」未満であると、ステップC7に進み、表示位置Posの値が「23」未満でないと、ステップC5に進む。ステップC5では、表示位置を初期化する。具体的には、表示位置Posに「0」を代入する。
【0080】
ステップC6では、経過時間T2をクリアし、ステップC2に進む。具体的には、経過時間T2を計時するカウンタa23に「0」を代入し、ステップC2に進む。リモコン操作で黒サブピクセルの表示を中断したとき、その中断時間が設定時間T1よりも短い場合は、経過時間T2をクリアせずに継続してもよい。
【0081】
ステップC7では、表示位置を「1」増やし、ステップC6に進む。具体的には、表示位置Posに「1」を加算し、ステップC6に進む。ステップC8では、輝度を上げて、ステップC3に進む。ステップC1、ステップC4〜ステップC7は、選択ステップである。図9に示したフローチャートのステップA5、およびステップC3は、表示制御ステップである。
【0082】
図12は、中央演算部18によって実行されるサブピクセルの黒塗処理の処理手順を示すフローチャートである。サブピクセルの黒塗処理は、表示画像のピクセルのうち、表示位置Posに基づいて算出される位置にあるピクセルを、赤ピクセル9r、緑ピクセル9gまたは青ピクセル9bとする。図11に示したフローチャートのステップC3で呼び出されると、ステップD1に移る。
【0083】
ステップD1では、変数を初期化する。具体的には、画面の最も左上の位置を原点とするXY座標における水平方向の位置を示す変数X、および垂直方向の位置を示す変数Yに「0」を代入する。ステップD2では、変数Yがパネルつまり表示用デバイス21の垂直方向の解像度未満であるか否かを判定する。変数Yが表示用デバイス21の垂直方向の解像度未満であると、ステップD3に進み、変数Yが表示用デバイス21の垂直方向の解像度未満でないと、黒塗処理を終了する。
【0084】
ステップD3では、変数Xに「0」を代入する。ステップD4では、変数Xがパネルつまり表示用デバイス21の水平方向の解像度未満であるか否かを判定する。変数Xがパネルつまり表示用デバイス21の水平方向の解像度未満であると、ステップD5に進み、変数Xがパネルつまり表示用デバイス21の水平方向の解像度未満でないと、ステップD7に進む。ステップD5では、座標(X,Y)のピクセルNo.を取得する。具体的には、座標(X,Y)の位置が単位領域T内のどの表示位置に対応するかを算出する。
【0085】
ステップD6では、座標(X,Y)が赤ピクセルの位置であるか否かを判定する。座標(X,Y)に対応する表示位置が、内部記憶部16に記憶される表示位置Posから求められる赤ピクセル9rを表示する位置であると、座標(X,Y)が赤ピクセルの位置であると判定し、ステップD11に進み、座標(X,Y)に対応する表示位置が、内部記憶部16に記憶される表示位置Posから求められる赤ピクセル9rを表示する位置でないと、座標(X,Y)が赤ピクセルの位置でないと判定し、ステップD7に進む。
【0086】
ステップD7では、座標(X,Y)が緑ピクセルの位置であるか否かを判定する。座標(X,Y)に対応する表示位置が、内部記憶部16に記憶される表示位置Posから求められる緑ピクセル9gを表示する位置であると、座標(X,Y)が緑ピクセルの位置であると判定し、ステップD12に進み、座標(X,Y)に対応する表示位置が、内部記憶部16に記憶される表示位置Posから求められる緑ピクセル9gを表示する位置でないと、座標(X,Y)が緑ピクセルの位置でないと判定し、ステップD8に進む。
【0087】
ステップD8では、座標(X,Y)が青ピクセルの位置であるか否かを判定する。座標(X,Y)に対応する表示位置が、内部記憶部16に記憶される表示位置Posから求められる青ピクセル9bを表示する位置であると、座標(X,Y)が青ピクセルの位置であると判定し、ステップD13に進み、座標(X,Y)に対応する表示位置が、内部記憶部16に記憶される表示位置Posから求められる青ピクセル9bを表示する位置でないと、座標(X,Y)が青ピクセルの位置でないと判定し、ステップD9に進む。
【0088】
ステップD9では、変数Xに「1」を加算して、ステップD4に戻る。ステップD10では、変数Yに「1」を加算して、ステップD2に戻る。ステップD11では、座標(X, Y)の赤色を表示するサブピクセルを黒表示して、すなわち、座標(X,Y)に対応する表示位置にあるピクセルの赤サブピクセル8rを黒サブピクセルに置換して、ステップD9に進む。
【0089】
ステップD12では、座標(X, Y)の緑色を表示するサブピクセルを黒表示して、すなわち、座標(X,Y)に対応する表示位置にあるピクセルの緑サブピクセル8gを黒サブピクセルに置換して、ステップD9に進む。ステップD13では、座標(X, Y)の青色を表示するサブピクセルを黒表示して、すなわち、座標(X,Y)に対応する表示位置にあるピクセルの青サブピクセル8bを黒サブピクセルに置換して、ステップD9に進む。
【0090】
図13は、黒サブピクセル8kと黒ピクセル9kとを示す図である。図13(a)は、グレーのピクセル9hを表示する表示画像に、黒サブピクセル8kを含むピクセルを合成した画像53である。図13(b)は、図13(a)に示した領域53aにあるピクセルを拡大した画像である。
【0091】
図13に示したグレーのピクセル9hは、ピクセルを構成する3つのサブピクセル、つまり赤サブピクセル8r、緑サブピクセル8gおよび青サブピクセル8bの明度を、整数「0」〜「255」の256段階で表すと、(128,128,128)である。第1番目の数字は、赤サブピクセル8rの明度であり、第2番目の数字は、緑サブピクセル8gの明度であり、第3番目の数字は、青サブピクセル8bの明度である。明度「0」が最も暗く、明度「255」が最も明るい。
【0092】
図13(a)に示した黒サブピクセルkを含むピクセルには、シアンのピクセル9c、マゼンタのピクセル9m、およびイエローのピクセル9yがある。シアンのピクセル9cの明度は(0,128,128)であり、マゼンタのピクセル9mの明度は(128,0,128)であり、イエローのピクセル9yの明度は(128,128,0)である。
【0093】
黒サブピクセルkを含むピクセルが配置される位置は、図3に示した単位領域Tと同じ位置に配置されている。シアンのピクセル9cは、図3に示した赤ピクセル9rの位置であり、マゼンタのピクセル9mは、図3に示した緑ピクセル9gの位置であり、イエローのピクセル9yは、図3に示した青ピクセル9bの位置である。
【0094】
図13(c)は、グレーのピクセル9hを表示する表示画像に、ピクセル単位で黒表示を行った黒ピクセル9kを合成した画像54である。図13(d)は、図13(c)に示した領域54aにあるピクセルを拡大した画像である。
【0095】
すべてのサブピクセルまたはピクセルを、24時間のうちに1時間黒表示し、図13(c)に示した画像54の単位領域Tの大きさを図3に示した単位領域Tと同じであるとすると、単位領域T内の黒ピクセルの数は、1個であり、単位領域T内の黒サブピクセルを含むピクセルの数3個の1/3になるが、黒サブピクセルを用いて表示したほうが、黒表示が目立ちにくくなる。
【0096】
このように、中央演算部18によって、表示用デバイス21の表示画面を構成する、複数のサブピクセルから構成される複数のピクセルのうち単位領域Tの大きさによって決まる割合のピクセルが、設定時間T1が経過するごとに、選択するピクセルの位置を、1ピクセルずつ隣接するピクセルの位置に順次移動し、最終位置までくると最初の位置に戻る順序で変化させて選択され、中央演算部18、表示処理部20および表示用デバイス21によって、中央演算部18によって選択された各ピクセルを構成するサブピクセルのうちの1つのサブピクセルを非表示にして、画像が表示画面に表示される。
【0097】
したがって、表示用デバイス21の表示画面を構成する画素つまりピクセルのうち予め定める割合のピクセルを構成するサブピクセルのみ黒表示にして順次移動するので、画面全体の表示内容を常時判断することができる状態で残像現象を防止することができる。
【0098】
さらに、ピクセルは、赤色を表示するための赤サブピクセル8r、緑色を表示するための緑サブピクセル8g、および青色を表示するための青サブピクセル8bから成り、
中央演算部18、表示処理部20および表示用デバイス21によって、中央演算部18によって選択される複数のピクセルのうちの1/3の数の赤ピクセル9rに含まれる赤サブピクセル8rが非表示にされ、中央演算部18によって選択される複数のピクセルのうちの1/3の数であり、かつ赤ピクセル9rと異なる緑ピクセル9gに含まれる緑サブピクセル8gが非表示にされ、中央演算部18によって選択される複数のピクセルのうちの1/3の数であり、かつ赤ピクセル9rおよび緑ピクセル9gと異なる青ピクセル9bに含まれる青サブピクセル8bが非表示にされて、画像が表示画面に表示されるので、赤、緑および青の3原色を用いて表示する表示装置で、画面全体の表示内容を常時判断することができる状態で残像現象を防止することができる。
【0099】
さらに、図11に示したフローチャートのステップC1、ステップC4〜ステップC7では、表示用デバイス21の表示画面を構成する、複数のサブピクセルから構成される複数のピクセルのうち、単位領域Tの大きさによって決まる割合のピクセルを、設定時間T1が経過するごとに、選択するピクセルの位置を、1ピクセルずつ隣接するピクセルの位置に順次移動し、最終位置までくると最初の位置に戻る順序で変化させて選択する。そして、図9に示したフローチャートのステップA5、および図11に示したフローチャートのステップC3では、図11に示したフローチャートのステップC1、ステップC4〜ステップC7で選択された各ピクセルを構成するサブピクセルのうちの1つのサブピクセルを非表示にして、画像を表示画面に表示する。
【0100】
したがって、本発明に係る表示方法を適用すれば、表示用デバイス21の表示画面を構成する画素つまりピクセルのうち予め定める割合のピクセルを構成するサブピクセルのみを黒表示にして順次移動するので、画面全体の表示内容を常時判断することができる状態で残像現象を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の実施の一形態である表示装置1の構成を示すブロック図である。
【図2】サブピクセルを模式的に示す図である。
【図3】モードMが「1」のときの表示画面30の一部を模式的に示す図である。
【図4】単位領域T内の表示位置を示す図である。
【図5】設定時間T1ごとに単位領域T内を移動する黒サブピクセルの一例を示す図である。
【図6】残像防止設定画面31の一例を示す図である。
【図7】黒サブピクセルの置換を説明するための図である。
【図8】黒サブピクセルに置換された画像の一例を示す図である。
【図9】中央演算部18によって実行される残像防止処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図10】中央演算部18によって実行されるモード1処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】中央演算部18によって実行される関数A処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】中央演算部18によって実行されるサブピクセルの黒塗処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】黒サブピクセル8kと黒ピクセル9kとを示す図である。
【図14A】焼き付きなどの問題を防止する従来の技術の例を示す図である。
【図14B】焼き付きなどの問題を防止する従来の技術の例を示す図である。
【符号の説明】
【0102】
1 表示装置
8 サブピクセル
9 ピクセル
11 映像入力端子
12 リモコン受光部
13 リモコン操作処理部
14 シリアルI/F部
15 シリアル通信処理部
16 内部記憶部
17 外部記憶部
18 中央演算部
19 表示用および表示処理用一時記憶部
20 表示処理部
21 表示用デバイス
22 輝度制御部
23,24 カウンタ
30 表示画面
31 残像防止設定画面
51 表示画像
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示パネルと、
前記液晶表示パネルの表示画面を構成する、複数の基本画素から構成される複数の画素のうち予め定める割合の画素を、予め定める時間が経過するごとに、選択する画素の位置を予め定める順序で変化させて選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択された各画素を構成する基本画素のうちの1つの基本画素を非表示にして、画像を表示画面に表示する表示制御手段とを含むことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記画素は、赤色を表示するための赤色基本画素、緑色を表示するための緑色基本画素、および青色を表示するための青色基本画素から成り、
前記表示制御手段は、選択手段によって選択される複数の画素のうちの1/3の数の第1の画素に含まれる赤色基本画素を非表示にし、選択手段によって選択される複数の画素のうちの1/3の数であり、かつ第1の画素と異なる第2の画素に含まれる緑色基本画素を非表示にし、選択手段によって選択される複数の画素のうちの1/3の数であり、かつ第1の画素および第2の画素とは異なる第3の画素に含まれる青色基本画素を非表示にして、画像を表示画面に表示することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
画像の一部を他の画像に置換する置換手段と、
前記選択手段によって選択された画素を構成する基本画素の1つを黒色とした画像を生成する生成手段とをさらに含み、
前記表示制御手段は、
前記置換手段によって、表示すべき画像の一部を前記生成手段によって生成された画像に置換させ、
前記置換手段によって一部が置換された画像を表示画面に表示することを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記予め定める順序は、予め定める割合の画素の位置を順次隣接する画素の位置に移動し、全画素の位置を移動する順序であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記予め定める割合の画素は、均等に分散する位置にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
【請求項6】
液晶表示パネルの表示画面を構成する、複数の基本画素から構成される複数の画素のうち、予め定める割合の画素を、予め定める時間が経過するごとに、選択する画素の位置を予め定める順序で変化させて選択する選択ステップと、
前記選択ステップで選択された各画素を構成する基本画素のうちの1つの基本画素を非表示にして、画像を表示画面に表示する表示制御ステップとを含むことを特徴とする表示方法。
【請求項1】
液晶表示パネルと、
前記液晶表示パネルの表示画面を構成する、複数の基本画素から構成される複数の画素のうち予め定める割合の画素を、予め定める時間が経過するごとに、選択する画素の位置を予め定める順序で変化させて選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択された各画素を構成する基本画素のうちの1つの基本画素を非表示にして、画像を表示画面に表示する表示制御手段とを含むことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記画素は、赤色を表示するための赤色基本画素、緑色を表示するための緑色基本画素、および青色を表示するための青色基本画素から成り、
前記表示制御手段は、選択手段によって選択される複数の画素のうちの1/3の数の第1の画素に含まれる赤色基本画素を非表示にし、選択手段によって選択される複数の画素のうちの1/3の数であり、かつ第1の画素と異なる第2の画素に含まれる緑色基本画素を非表示にし、選択手段によって選択される複数の画素のうちの1/3の数であり、かつ第1の画素および第2の画素とは異なる第3の画素に含まれる青色基本画素を非表示にして、画像を表示画面に表示することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
画像の一部を他の画像に置換する置換手段と、
前記選択手段によって選択された画素を構成する基本画素の1つを黒色とした画像を生成する生成手段とをさらに含み、
前記表示制御手段は、
前記置換手段によって、表示すべき画像の一部を前記生成手段によって生成された画像に置換させ、
前記置換手段によって一部が置換された画像を表示画面に表示することを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記予め定める順序は、予め定める割合の画素の位置を順次隣接する画素の位置に移動し、全画素の位置を移動する順序であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記予め定める割合の画素は、均等に分散する位置にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の液晶表示装置。
【請求項6】
液晶表示パネルの表示画面を構成する、複数の基本画素から構成される複数の画素のうち、予め定める割合の画素を、予め定める時間が経過するごとに、選択する画素の位置を予め定める順序で変化させて選択する選択ステップと、
前記選択ステップで選択された各画素を構成する基本画素のうちの1つの基本画素を非表示にして、画像を表示画面に表示する表示制御ステップとを含むことを特徴とする表示方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【公開番号】特開2009−198832(P2009−198832A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−40678(P2008−40678)
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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