説明

液晶表示装置および電子機器

【課題】透過率が低下するのを抑制することが可能な液晶表示装置を提供する。
【解決手段】この液晶表示装置100は、透過領域11aおよび反射領域11bを有する画素11が設けられるとともに、液晶50を挟むように配置された基板20および基板40と、基板20の透過領域11aに設けられ、液晶50に映像信号を印加するための透過表示用画素電極14aおよび液晶50に透過表示用共通電位信号を印加するための透過表示用共通電極15aと、基板20の反射領域11bに設けられ、透過表示用共通電極15aに電気的に接続されるとともに、透過表示用共通電極15aに透過表示用共通電位信号を供給するための共通電位配線26とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置および電子機器に関し、特に、透過領域および反射領域を有する画素を備えた液晶表示装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、透過領域および反射領域を有する画素を備えた液晶表示装置が開示されている(たとえば、特許文献1)。
【0003】
上記特許文献1には、液晶を挟むように配置された一対の基板と、基板上に配置されるとともに透過領域および反射領域を有する半透過型の画素とを備えた液晶表示装置が開示されている。上記特許文献1に開示された液晶表示装置における各画素の透過領域は、一対の基板のうち一方の基板側に画素電極および共通電極が絶縁膜を介して対向するように配置された横電界型の表示モードにより構成されている。そして、画素電極は、TFT(画素トランジスタ)を介してドレイン配線(信号線)と電気的に接続されているとともに、共通電極は、透過領域内に設けられた共通電位配線と電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−292610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示された液晶表示装置では、透過領域内に共通電位配線が配置されているため、共通電位配線によりバックライトから照射された光が遮光されるという不都合がある。このため、共通電位配線により光が遮光された分、透過領域における透過率が低下するという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、透過率が低下するのを抑制することが可能な液晶表示装置および電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
この発明の第1の局面による液晶表示装置は、透過領域および反射領域を有する画素が設けられるとともに、液晶を挟むように配置された一方基板および他方基板と、一方基板の透過領域に設けられ、液晶に映像信号を印加するための透過表示用画素電極および液晶に透過表示用共通電位信号を印加するための透過表示用共通電極と、一方基板の反射領域に設けられ、透過表示用共通電極に電気的に接続されるとともに、透過表示用共通電極に透過表示用共通電位信号を供給するための共通電位配線とを備える。
【0008】
上記第1の局面による液晶表示装置では、上記のように、共通電位配線を反射領域に配置することによって、透過領域に共通電位配線が配置される場合と異なり、共通電位配線によってバックライトからの光が遮光されるのを抑制することができる。これにより、透過領域における透過率が低下するのを抑制することができる。
【0009】
上記第1の局面による液晶表示装置において、好ましくは、画素の透過領域および反射領域にそれぞれ設けられた透過表示用画素トランジスタおよび反射表示用画素トランジスタと、透過表示用画素トランジスタおよび反射表示用画素トランジスタのゲートに接続されるゲート線とをさらに備え、複数の画素の透過領域および反射領域は、それぞれ、ゲート線の延びる方向に沿って隣接するように配置され、共通電位配線は、ゲート線に沿って延びるように形成されている。このように構成すれば、各々の画素において共通電位配線が反射領域内に配置されるので、全ての画素において透過率が低下するのを抑制することができる。
【0010】
上記第1の局面による液晶表示装置において、好ましくは、反射領域から透過領域にわたって形成され、透過表示用共通電極と共通電位配線とを電気的に接続するように配置された中継配線をさらに備える。このように構成すれば、中継配線により、透過領域に設けられた透過表示用共通電極と反射領域に設けられた共通電位配線とを容易に電気的に接続することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、透過表示用画素電極および反射表示用画素電極に映像信号を供給するための信号線を備え、中継配線と信号線とは、同一層からなる。このように構成すれば、中継配線と信号線とを同一工程により形成することができるので、信号線および中継配線をそれぞれ異なる工程により形成する場合に比べて、工程数が増加するのを抑制することができる。
【0012】
上記第1の局面による液晶表示装置において、好ましくは、共通電位配線は、共通電位配線が接続される透過表示用共通電極と同一の画素の反射領域に形成されている。このように構成すれば、各々の画素内において、透過領域の透過表示用共通電極と反射領域の共通電位配線とを容易に接続させることができる。
【0013】
この場合、好ましくは、ゲート線は、画素における透過領域および反射領域の境界に沿って延びるように配置され、中継配線は、ゲート線を跨ぐように配置されている。このように構成すれば、中継配線とゲート線とを互いに接触させることなく中継配線により透過表示用共通電極と共通電位配線とを容易に接続させることができる。
【0014】
上記中継配線がゲート線を跨ぐように配置される構成において、好ましくは、ゲート線に沿って延びるとともに、反射表示用画素電極の電位を保持するための保持容量配線をさらに備え、中継配線は、ゲート線とともに保持容量配線を跨ぐように配置されている。このように構成すれば、中継配線をゲート線および保持容量配線に接触させることなく透過表示用共通電極と共通電位配線とを容易に接続させることができる。
【0015】
上記第1の局面による液晶表示装置において、好ましくは、ゲート線は、画素における透過領域および反射領域の境界に沿って延びるように配置され、共通電位配線は、共通電位配線が接続される透過表示用共通電極とは別の画素であって、ゲート線と交差する方向に隣接する画素の反射領域に配置されている。このように構成すれば、各々の画素の透過表示用共通電極と、隣接する画素に設けられた共通電位配線とを電気的に接続させる中継配線をゲート線を跨ぐように形成することなく容易に配置することができる。
【0016】
上記第1の局面による液晶表示装置において、好ましくは、一方基板の反射領域に設けられ、液晶に映像信号を印加するための反射表示用画素電極と、他方基板の反射領域に設けられ、液晶に反射表示用共通電位信号を印加するための反射表示用共通電極とを備え、反射表示用共通電位信号と透過表示用共通電位信号とは異なる信号である。このように構成すれば、たとえば、透過表示用共通電位信号と反射表示用共通電位信号とを互いに逆相の信号にしてそれぞれ供給した場合には、透過領域を横電界型の駆動方式にするとともに反射領域を縦電界型の駆動方式にした際に、透過領域と反射領域とにおいて異なる方向にラビング処理を行う工程、または、透過領域と反射領域とにおいて異なる位相差になるように構成させることなく、容易に透過領域および反射領域において同一の黒表示および白表示を行うことができる。
【0017】
この発明の第2の局面による電子機器は、上記した構成を有する液晶表示装置を備える。このように構成すれば、透過率が低下するのを抑制することが可能な液晶表示装置を含む電子機器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態による液晶表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態による液晶表示装置の画素の構成について説明するための等価回路図である。
【図3】本発明の第1実施形態による液晶表示装置の画素の構成について説明するための平面図である。
【図4】本発明の第1実施形態による液晶表示装置の画素の構成について説明するための拡大平面図である。
【図5】図4の110−110線に沿った断面図である。
【図6】図4の120−120線に沿った断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態による液晶表示装置の画素の構成について説明するための拡大平面図である。
【図8】図7の210ー210線に沿った断面図である。
【図9】本発明の第3実施形態による液晶表示装置の画素の構成について説明するための断面図である。
【図10】本発明の第4実施形態による液晶表示装置の画素の構成について説明するための断面図である。
【図11】本発明の第1〜第4実施形態による液晶表示装置を備えた電子機器について説明するための斜視図である。
【図12】本発明の第1〜第4実施形態による液晶表示装置を備えた電子機器について説明するための斜視図である。
【図13】本発明の第1〜第4実施形態による液晶表示装置を備えた電子機器について説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
(第1実施形態)
図1〜図6を参照して、本発明の第1実施形態による液晶表示装置100の構成について説明する。
【0021】
本発明の第1実施形態による液晶表示装置100は、図1に示すように、表示部1と、駆動IC2と、Vドライバ3と、Hドライバ4と、バックライト5と、透過COM6と、反射COM7とを備えている。
【0022】
液晶表示装置100は半透過型の液晶表示装置として構成されており、図1および図2に示すように、表示部1には、透過領域11aおよび反射領域11bを含む複数の画素11がマトリクス状に配置されている。駆動IC2は、液晶表示装置100全体を駆動するための機能を有するとともに、後述する液晶50に印加される電位差を制御する機能を有する。Vドライバ3およびHドライバ4には、それぞれ、互いに直交するように配置された複数のゲート線3aおよび信号線4aが接続されている。Vドライバ3は、ゲート線3aの駆動回路としての機能を有する。また、Hドライバ4は、駆動IC2から供給される信号(映像信号)を時分割するとともに、分割された信号を複数の信号線4aのうちから対応する信号線4aにそれぞれ出力する機能を有する。
【0023】
また、バックライト5は、画素11の透過領域11aの光源として構成されている。透過COM6は、画素11の透過領域11aに配置された後述する透過表示用共通電極15aの電位を制御するための機能を有する。反射COM7は、画素11の反射領域11bに配置された後述する反射表示用共通電極15bの電位を制御する機能を有する。
【0024】
各々の画素11における透過領域11aは、バックライト5からの光を透過させるとともにその透過光により画像を表示させるように構成されている。また、反射領域11bは、外部から入射した光を反射させるとともにその反射光により画像を表示させるように構成されている。
【0025】
透過領域11aは、図2に示すように、n型からなる2つの画素トランジスタ(TFT)12aおよび13aと、透過表示用画素電極14aと、透過表示用共通電極15aとを備えている。画素トランジスタ12aのドレイン領域(ソース)Dは信号線4aに接続されているとともに、ソース領域(ドレイン)Sは隣接する画素トランジスタ13aのドレイン領域(ソース)Dに接続されている。画素トランジスタ13aのソース領域Sは、ソース電極28aを介して透過表示用画素電極14aに接続されている。画素トランジスタ12aおよび13aのそれぞれのゲートGは、ゲート線3aに接続されているとともに、透過表示用共通電極15aは、透過COM6に接続されている。なお、保持容量16aは、透過表示用画素電極14aおよび透過表示用共通電極15aを絶縁膜32を介して積層することによって形成される。また、画素トランジスタ12aおよび13aは、それぞれ、本発明の「透過表示用画素トランジスタ」の一例である。
【0026】
反射領域11bにおいても、透過領域11aと同様に、n型からなる2つの画素トランジスタ(TFT)12bおよび13bと、反射表示用画素電極14bと、反射表示用共通電極15bと、保持容量16bとにより構成されている。画素トランジスタ12bのドレイン領域Dは、信号線4aに接続されているとともに、ソース領域Sは、画素トランジスタ13bのドレイン領域Dに接続されている。画素トランジスタ13bのソース領域Sは、ソース電極28bを介して反射表示用画素電極14bに接続されている。また、画素トランジスタ12bおよび13bのそれぞれのゲートGはゲート線3aに接続されているとともに、反射表示用共通電極15bと保持容量16bの他方の電極とは反射COM7(図1参照)に接続されている。なお、図2は、図面の簡素化のために1画素分の画素11を図示している。また、画素トランジスタ12bおよび13bは、それぞれ、本発明の「反射表示用画素トランジスタ」の一例である。
【0027】
次に、画素11の詳細な構造について説明する。図3、図4および図5(図4の110−110線に沿った断面図)に示すように、各々の画素11は、透過領域11aと反射領域11bとにより構成されている。図5に示すように、画素11は、互いに対向するように配置された一対の基板20および40を備えているとともに、基板20と基板40との間に液晶50が封入されている。なお、基板20および40は、それぞれ、本発明における「一方基板」および「他方基板」の一例である。基板20および基板40は、たとえば、ガラス基板などにより形成されている。また、基板20と基板40との間には、スペーサ60が設けられているとともに、このスペーサ60により、セルギャップが調整される。なお、第1実施形態では、後述のトップコート層44により、反射領域11bにおける液晶50の厚み(セルギャップ)t2は、透過領域11aにおける液晶50の厚み(セルギャップ)t1の約1/2倍になるように構成され、反射領域11bと透過領域11aとにおいて液晶50を通過する光の光路長が略同一となるようにしている。
【0028】
基板20の表面上には、SiO膜、SiN膜などからなるバッファ層21が形成されている。バッファ層21の表面上には、低温ポリシリコンからなる半導体層22aおよび22bが形成されている。半導体層22aおよび22bは、それぞれ、薄膜トランジスタ(TFT)からなる画素トランジスタ12aおよび13aと、画素トランジスタ12bおよび13bとの能動層としての機能を有する。また、半導体層22aおよび22b上には、絶縁膜23が形成されている。絶縁膜23は、画素トランジスタ12aおよび13aと、画素トランジスタ12bおよび13bとのゲート絶縁膜としての機能を有する。また、半導体層22aおよび22b上には、それぞれ、絶縁膜23を介して、ゲート電極24a、24b、24cおよび24dが形成されている。また、図4に示すように、ゲート電極24a〜24dは、平面的に見て、ゲート線3aから突出するように設けられている。なお、ゲート電極24a、24b、24c、24dおよびゲート線3aは、たとえば、アルミニウム、モリブデンまたはチタンなどの金属で構成されている。
【0029】
また、透過領域11aにおいて、半導体層22a、絶縁膜23およびゲート電極24bにより、薄膜トランジスタ(TFT)からなる画素トランジスタ12aが構成されているとともに、半導体層22a、絶縁膜23およびゲート電極24aにより、薄膜トランジスタ(TFT)からなる画素トランジスタ13aが構成されている。また、反射領域11bにおいて、半導体層22b、絶縁膜23およびゲート電極24cにより、薄膜トランジスタ(TFT)からなる画素トランジスタ12bが構成されているとともに、半導体層22b、絶縁膜23およびゲート電極24dにより、薄膜トランジスタ(TFT)からなる画素トランジスタ13bが構成されている。
【0030】
また、絶縁膜23上には、金属製の保持容量配線25が形成されているとともに、保持容量配線25は、絶縁膜23を介して、半導体層22bの一部に対向して配置されている。これにより、半導体層22bおよび保持容量配線25により保持容量16bが構成されている。
【0031】
ここで、第1実施形態では、反射領域11b内における絶縁膜23上に、透過表示用共通電極15a(図3参照)に透過COM6から出力される共通電位信号を供給するための共通電位配線26が形成されている。共通電位配線26は、各々の画素11の反射領域11bに跨って、ゲート線3aが延びる方向に沿って延びるように形成されている。また、共通電位配線26は、ゲート電極24a〜24d、ゲート線3aおよび保持容量配線25と、同一の導電膜をパターニングすることにより形成されている。
【0032】
図5に示すように、絶縁膜23、ゲート電極24a〜24d、ゲート線3a、保持容量配線25および共通電位配線26を覆うように、層間絶縁膜27が形成されている。層間絶縁膜27には、それぞれ、コンタクトホール27a、27b、27cおよび27dが形成されている。層間絶縁膜27の表面上には、接続部としてのコンタクトホール27aを介して半導体層22a(画素トランジスタ13aのソース領域)に電気的に接続されるソース電極28aと、コンタクトホール27bを介して半導体層22b(画素トランジスタ13bのソース領域)に電気的に接続されるソース電極28bと、コンタクトホール27cおよび27dを介して半導体層22b(画素トランジスタ12aおよび12bのドレイン領域)に電気的に接続される信号線4aとが形成されている。ソース電極28a〜28bは、信号線4と、同一の導電膜をパターニングすることにより形成されている。
【0033】
また、第1実施形態では、図4および図6(図4の120−120線に沿った断面図)に示すように、層間絶縁膜27には、反射領域11bに設けられた共通電位配線26にまで達するコンタクトホール27eが形成されているとともに、コンタクトホール27eを介して共通電位配線26と電気的に接続される中継配線29が形成されている。中継配線29は、反射領域11bから透過領域11aにわたってゲート線3aおよび保持容量配線25を跨ぐようにして信号線4aに沿って延びるように形成されており、透過領域11aに形成された透過表示用共通電極15aと電気的に接続されている。なお、中継配線29は、信号線4a、ソース電極28aおよび28b(図5参照)と、同一の導電膜をパターニングすることにより形成されている。
【0034】
また、図5に示すように、ソース電極28aおよび28bと中継電極29との表面上には、SiN膜などからなるパッシベーション層30が形成されている。また、パッシベーション層30上には、絶縁層31が形成されている。透過領域11aにおいて、パッシベーション層30および絶縁層31にはコンタクトホール30aおよび31aと、コンタクトホール30bおよび31bとが形成されている。そして、絶縁層31の表面上にはコンタクトホール30aおよび31aを介して中継配線29に電気的に接続されるように透過表示用共通電極15aが形成されている。また、パッシベーション層30、絶縁層31および透過表示用共通電極15aの表面と、コンタクトホール31bの内側面とを覆うように絶縁層32が形成されている。絶縁層32の表面上には、透過領域11aの透過表示用共通電極15aに対向するように透過表示用画素電極14aが形成されている。この透過表示用画素電極14aは、コンタクトホール30bおよび31bを介してソース電極28aに電気的に接続されている。また、透過表示用画素電極14aには、スリット14cが設けられている。なお、透過表示用画素電極14aおよび透過表示用共通電極15aは、たとえば、ITOなどの透明導電材料により形成されている。そして、絶縁層32および透過表示用画素電極14aを覆うように配向膜(図示せず)が形成されている。
【0035】
また、反射領域11bにおいては、パッシベーション層30および絶縁層31上にコンタクトホール30cおよび31cが形成されているとともに、コンタクトホール30cおよび31cの内表面を覆うように絶縁層32が形成されている。絶縁層32の表面には反射層33が形成されているとともに、反射層33を覆うように、反射表示用画素電極14bが形成されている。また、反射表示用画素電極14bは、コンタクトホール30cおよび31cを介して、ソース電極28bに電気的に接続されている。また、反射表示用画素電極14bは、たとえば、ITOなどの透明導電材料から形成されている。そして、絶縁層32、反射層33および反射表示用画素電極14bを覆うように配向膜(図示せず)が形成されている。
【0036】
また、基板40側には、遮光膜41(ブラックマトリクス)が形成されているとともに、遮光膜41を挟むように、透過領域11aおよび反射領域11bのそれぞれに、透過表示用カラーフィルタ42aおよび反射表示用カラーフィルタ42bが形成されている。また、遮光膜41、透過表示用カラーフィルタ42aおよび反射表示用カラーフィルタ42bを覆うように、オーバーコート層43が形成されている。また、反射領域11bにおいて、オーバーコート層43を覆うようにトップコート層44が形成されているとともに、トップコート層44の表面上には反射表示用共通電極15bが形成されている。そして、オーバーコート層43、トップコート層44および反射表示用共通電極15bを覆うように配向膜(図示せず)形成されている。トップコート層44の端部の光漏れの抑制と、後述の透過表示用共通電極15aおよび反射表示用共通電極15bに異なる電位が供給されるため、透過表示用画素電極14aと反射表示用共通電極15bとの電界に起因する光漏れを抑制するため、遮光膜41は、トップコート層44の端部および透過表示用画素電極14aの端部近傍に配置される。
【0037】
ここで、透過領域11aの画素11は、FFS(Fringe−Field−Switching)方式による横電界型の駆動方式により構成されているとともに、反射領域11bの画素11は、ECB(Electrically−Controlled−Birefringence)方式による縦電界型の駆動方式により構成されている。なお、FFS方式とは、一方の基板(基板20)に透過表示用画素電極14aおよび透過表示用共通電極15aが絶縁膜32を介して互いに対向するように配置されるとともに、画素電極および共通電極間に発生する横方向(基板に略平行な方向)の電界により液晶50を駆動する構成である。また、ECB方式とは、互いに対向する基板20および40に、それぞれ、反射表示用画素電極14bおよび反射表示用共通電極15bが配置されるとともに、反射表示用画素電極14bおよび反射表示用共通電極15b間に発生する縦方向(基板に直交する方向)の電界により液晶50を駆動する構成である。透過表示用画素電極14aおよび反射表示用画素電極14bには、同じ映像信号が供給されるが、透過表示用共通電極15aおよび反射表示用共通電極15bは、それぞれ、異なる透過表示用共通電位信号および反射表示用共通電位信号が供給される。たとえば、透過表示用共通電極15aには、反射表示用共通電極15bと逆相の信号が供給される。これにより、透過領域11aがFFS方式と反射領域11bがECBの駆動方式において、異なる方向のラビング処理あるいは位相差を異なるようにする処理を行わなくても、容易に透過領域11aおよび反射領域11bで同一の黒表示および白表示を行うことが可能である。
【0038】
第1実施形態では、上記のように、共通電位配線26を反射領域11bに配置することによって、透過領域11aに共通電位配線26が配置される場合と異なり、共通電位配線26によってバックライト5からの光が遮光されるのを抑制することができる。これにより、透過領域11aにおける透過率が低下するのを抑制することができる。
【0039】
また、上記第1実施形態では、複数の画素11を、それぞれ、ゲート線3aの延びる方向に沿って透過領域11a同士および反射領域11b同士が隣接するように配置するとともに、共通電位配線26を、複数の画素11における各々の反射領域11bが配置された領域に、ゲート線3aに沿って延びるように形成することによって、各々の画素11において共通電位配線26が反射領域11b内に配置されるので、全ての画素11において透過率が低下するのを抑制することができる。
【0040】
また、上記第1実施形態では、反射領域11bから透過領域11aにわたって形成するとともに、透過領域11aに設けられた透過表示用共通電極15aと反射領域11bに設けられた共通電位配線26とを電気的に接続するように配置された中継配線29をさらに備えることによって、中継配線29により、透過領域11aに設けられた透過表示用共通電極15aと反射領域11bに設けられた共通電位配線26とを容易に電気的に接続することができる。
【0041】
また、上記第1実施形態では、透過表示用画素電極14aに映像信号を供給するための信号線4aと中継配線29とを同一層からなるように構成することによって、中継配線29と信号線4aとを同一工程により形成することができるので、信号線4aおよび中継配線29をそれぞれ異なる工程により形成する場合に比べて、工程数が増加するのを抑制することができる。
【0042】
また、上記第1実施形態では、画素11の透過領域11aの透過表示用共通電極15aに接続される共通電位配線26を、同一の画素11の反射領域11b内に形成することによって、各々の画素11において、透過領域11aの透過表示用共通電極15aと反射領域11bの共通電位配線26とを容易に接続させることができる。
【0043】
また、上記第1実施形態では、中継配線29を、ゲート線3aを跨ぐように配置することにより透過表示用共通電極15aと共通電位配線26とを電気的に接続するように構成することによって、各々の画素11の透過領域11aと反射領域11bとの境界にゲート線3aが配置される場合においても、中継配線29とゲート線3aとを互いに接触させることなく中継配線29により透過表示用共通電極15aと共通電位配線26とを容易に接続させることができる。
【0044】
また、上記第1実施形態では、中継配線29を、ゲート線3aとともに保持容量配線25を跨ぐように配置することによって、中継配線29がゲート線3aに加えて保持容量配線25に対しても交差するように配置される場合においても、中継配線29をゲート線3aおよび保持容量配線25に接触させることなく透過表示用共通電極15aと共通電位配線26とを容易に接続させることができる。
【0045】
(第2実施形態)
次に、図7および図8を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、画素11の透過領域11aに形成された透過表示用共通電極15aに接続される共通電位配線26を、同一の画素11内の反射領域11bに形成した第1実施形態とは異なり、画素11の透過表示用共通電極15aに接続される共通電位配線226を、隣接する画素11の反射領域11bに形成する例について説明する。
【0046】
第2実施形態における液晶表示装置200では、図7および図8(図7の210−210線に沿った断面図)に示すように、画素11の透過領域11aに形成された透過表示用共通電極215aに接続される共通電位配線226は、隣接する画素11の反射領域11bに形成されている。共通電位配線226の表面上には層間絶縁膜27が形成されているとともに、層間絶縁膜27にはコンタクトホール227eが形成されている。そして、層間絶縁膜27の表面上には中継配線229が形成されているとともに、中継配線229は、コンタクトホール227eを介して共通電位配線226と電気的に接続されている。また、中継配線229は透過表示用共通電極215aとコンタクトホール30aおよび31aを介して電気的に接続されており、これにより、中継配線229を介して、透過表示用共通電極215aと、隣接する画素11の反射領域11bに形成された共通電位配線226とが電気的に接続される。また、共通電位配線226は、電気的に接続されている透過表示用共通電極215aが含まれる画素11に隣接する画素11の反射領域11b内のうち、中央よりも、電気的に接続された透過表示用共通電極215aが含まれる画素11との境界に近い側の端部近傍に形成されている。
【0047】
なお、第2実施形態のその他の構成は第1実施形態と同様である。
【0048】
第2実施形態では、上記のように、画素11の透過領域11aに設けられた透過表示用共通電極215aに接続される共通電位配線226を、画素11のゲート線3aと交差する方向に隣接する画素11の反射領域11bに配置することによって、各々の画素11の透過表示用共通電極215aと、隣接する画素11に設けられた共通電位配線226とを電気的に接続させる中継配線229を、ゲート線3aおよび保持容量配線25を跨ぐように形成することなく容易に配置することができる。
【0049】
また、上記第2実施形態では、反射領域11bに設けられた共通電位配線226を、平面的に見て、隣接する画素11間の境界近傍に配置することによって、共通電位配線226を画素11間の境界のより近傍に配置する分、透過表示用共通電極215aと共通電位配線226との距離を小さくすることができるので、その分、中継配線229を短くすることができる。これにより、中継配線229の配線抵抗を小さくすることができる。
【0050】
なお、第2実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0051】
(第3実施形態)
次に、図9を参照して、第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、透過表示用共通電極15a上に絶縁層32を介して透過表示用画素電極14aを形成した第1実施形態とは異なり、透過表示用画素電極314a上に絶縁層332を介して透過表示用共通電極315aを形成する例について説明する。
【0052】
第3実施形態における液晶表示装置300は、図9に示すように、層間絶縁膜27上に、中継配線29、パッシベーション層30および絶縁層31が、この順に積層されているとともに、絶縁層31の表面上には透過表示用画素電極314aが形成されている。透過表示用画素電極314aの表面上には、透過表示用画素電極314aを覆うように絶縁層332が形成されている。そして、パッシベーション層30、絶縁層31および絶縁層332には、中継配線29に達するようなコンタクトホール301a、311aおよび332aが形成されているとともに、絶縁層332の表面上には、コンタクトホール301a、311aおよび332aを介して中継配線29に電気的に接続するように透過表示用共通電極315aが形成されている。透過表示用共通電極315aは、スリット315cを有する。また、透過表示用画素電極314aには、透過表示用共通電極315aと接触するのを抑制するための孔部314cが、コンタクトホール332aを囲むように形成されている。
【0053】
なお、第3実施形態のその他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0054】
第3実施形態では、上記のように、透過表示用画素電極314a上に絶縁層332を介して透過表示用共通電極315aが形成された構成に本発明を適用した場合においても、透過領域11aに共通電位配線26が配置される場合と異なり、バックライト5からの光が遮光されるのを抑制することができる。したがって、透過領域11aにおける透過率が低下するのを抑制することができる。
【0055】
なお、第3実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0056】
(第4実施形態)
次に、図10を参照して、第4実施形態について説明する。この第4実施形態では、透過表示用共通電極215a上に絶縁層32を介して透過表示用画素電極14aを形成した第2実施形態とは異なり、透過表示用画素電極414a上に絶縁層432を介して透過表示用共通電極415aを形成する例について説明する。
【0057】
第4実施形態における液晶表示装置400は、図10に示すように、層間絶縁膜27上に、中継配線229、パッシベーション層30および絶縁層31が、この順に積層されているとともに、絶縁層31の表面上には透過表示用画素電極414aが形成されている。透過表示用画素電極414aの表面上には、透過表示用画素電極414aを覆うように絶縁層432が形成されている。そして、パッシベーション層30、絶縁層31および絶縁層432には、中継配線229に達するようなコンタクトホール301a、311aおよび432aが形成されているとともに、絶縁層432の表面上に、コンタクトホール301a、311aおよび432aを介して中継配線229に電気的に接続するように透過表示用共通電極415aが形成されている。透過表示用共通電極415aは、スリット415cを有する。また、透過表示用画素電極414aには、透過表示用共通電極415aと接触するのを抑制するための孔部414cが、コンタクトホール432aを囲むように形成されている。
【0058】
なお、第4実施形態のその他の構成は第2実施形態と同様である。
【0059】
第4実施形態では、上記のように、透過表示用画素電極414a上に絶縁層432を介して透過表示用共通電極415aが形成された構成に本発明を適用した場合においても、透過領域11aに共通電位配線226が配置される場合と異なり、バックライト5からの光が遮光されるのを抑制することができる。したがって、透過領域11aにおける透過率が低下するのを抑制することができる。
【0060】
なお、第4実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0061】
図11〜図13を参照して、本発明の第1〜第4実施形態による液晶表示装置100、200、300および400を用いた電子機器について説明する。
【0062】
本発明の第1〜第4実施形態による液晶表示装置100、200、300および400は、図11〜図13に示すように、PC(Personal Computer)500、携帯電話510および情報携帯端末520(PDA:Personal Digital Assistants)などに用いることが可能である。図11のPC500においては、キーボードなどの入力部500aおよび表示画面500bなどに本発明の第1〜第4実施形態による液晶表示装置100、200、300および400を用いることが可能である。図12の携帯電話510においては、表示画面510aに本発明の第1〜第4実施形態による液晶表示装置100、200、300および400が用いられる。図13の情報携帯端末520においては、表示画面520aに本発明の第1〜第4実施形態による液晶表示装置100、200、300および400が用いられる。
【0063】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0064】
たとえば、上記第1〜第4実施形態では、透過領域の駆動方式を、横電界型による駆動方式の一例であるFFSモードにより構成する例を示したが、本発明はこれに限らず、透過領域を、たとえば、IPS(In−Plane−Switching)モードなど、FFSモード以外の横電界型の駆動方式により構成してもよい。
【0065】
また、上記第1〜第4実施形態では、反射領域の駆動方式を、縦電界モードによる駆動方式の一例であるECBモードにより構成する例を示したが、本発明はこれに限らず、反射領域を、たとえば、TNモードおよびVAモードなど、ECBモード以外の縦電界型の駆動方式により構成してもよい。
【0066】
また、第2および第4実施形態では、所定の画素11の透過表示用共通電極215a(415a)に接続される共通電位配線226を、隣接する画素11の反射領域11bの端部近傍に形成する例を示したが、本発明はこれに限らず、隣接する画素11の反射領域11b内であれば、たとえば、中央部分など端部近傍以外に形成してもよい。
【符号の説明】
【0067】
3a ゲート線
4a 信号線
11 画素
11a 透過領域
11b 反射領域
12a、13a 画素トランジスタ(透過表示用画素トランジスタ)
12b、13b 画素トランジスタ(反射表示用画素トランジスタ)
25 保持容量配線
26、226 共通電位配線
29、229 中継配線
14a、314a、414a 透過表示用画素電極
14b 反射表示用画素電極
15a、215a、315a、415a 透過表示用共通電極
15b 反射表示用共通電極
20 基板(一方基板)
40 基板(他方基板)
50 液晶
100、200、300、400 液晶表示装置
500、510、520 電子機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透過領域および反射領域を有する画素が設けられるとともに、液晶を挟むように配置された一方基板および他方基板と、
前記一方基板の透過領域に設けられ、前記液晶に映像信号を印加するための透過表示用画素電極および前記液晶に透過表示用共通電位信号を印加するための透過表示用共通電極と、
前記一方基板の反射領域に設けられ、前記透過表示用共通電極に電気的に接続されるとともに、前記透過表示用共通電極に前記透過表示用共通電位信号を供給するための共通電位配線とを備えた、液晶表示装置。
【請求項2】
前記画素の透過領域および反射領域にそれぞれ設けられた透過表示用画素トランジスタおよび反射表示用画素トランジスタと、
前記透過表示用画素トランジスタおよび前記反射表示用画素トランジスタのゲートに接続されるゲート線とをさらに備え、
複数の前記画素の透過領域および反射領域は、それぞれ、ゲート線の延びる方向に沿って隣接するように配置され、
前記共通電位配線は、前記ゲート線に沿って延びるように形成されている、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記反射領域から前記透過領域にわたって形成され、前記透過表示用共通電極と前記共通電位配線とを電気的に接続するように配置された中継配線をさらに備える、請求項1または2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記透過表示用画素電極および前記反射表示用画素電極に映像信号を供給するための信号線を備え、
前記中継配線と前記信号線とは、同一層からなる、請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記共通電位配線は、前記共通電位配線が接続される前記透過表示用共通電極と同一の画素の前記反射領域に形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記ゲート線は、前記画素における透過領域および反射領域の境界に沿って延びるように配置され、
前記中継配線は、前記ゲート線を跨ぐように配置されている、請求項5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記ゲート線に沿って延びるとともに、前記反射表示用画素電極の電位を保持するための保持容量配線をさらに備え、
前記中継配線は、前記ゲート線とともに前記保持容量配線を跨ぐように配置されている、請求項6に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記ゲート線は、前記画素における透過領域および反射領域の境界に沿って延びるように配置され、
前記共通電位配線は、前記共通電位配線が接続される前記透過表示用共通電極とは別の画素であって、前記ゲート線と交差する方向に隣接する画素の反射領域に配置されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記一方基板の反射領域に設けられ、前記液晶に前記映像信号を印加するための反射表示用画素電極と、
前記他方基板の反射領域に設けられ、前記液晶に反射表示用共通電位信号を印加するための反射表示用共通電極とを備え、
前記反射表示用共通電位信号と前記透過表示用共通電位信号とは異なる信号である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の液晶表示装置を備えた、電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−204238(P2010−204238A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−47655(P2009−47655)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】