説明

液晶表示装置の製造システム

【課題】スペース効率に優れた液晶表示装置の製造システムを提供する。
【解決手段】本発明に係る製造システムは、液晶パネル1に偏光フィルムを貼合する液晶表示装置の製造システムであり、液晶パネル1を搬送する搬送ローラ10と、液晶パネル1の搬送方向へ偏光フィルムを巻き出す巻出部とを含む貼合機構110・120が離間した状態で備えており、上記巻出部は偏光フィルムの巻き芯の軸方向に沿って、貼合機構110・120の間に移動可能であり、貼合機構110・120の間隔が、偏光フィルムの巻き芯の軸方向に沿った巻出部の長さの1倍以上、2倍未満となるように貼合機構110・120が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置の製造システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種の電子機器に使用される液晶表示装置(LCD:liquid crystal display)は、近年、その需要が益々高まっている。液晶表示装置の製造工程では、光の透過または遮断を制御するために、液晶パネルの両面に偏光フィルムが貼合されるが、2枚の偏光フィルムはその吸収軸が直交するように貼合される。
【0003】
液晶パネルに偏光フィルムを貼合する方法としては、偏光フィルムを液晶パネルに応じたサイズにカットした後に貼合する所謂 chip to panel 方式が挙げられる。しかしながら、この方式では、液晶パネルに対して、一枚ずつ偏光フィルムを貼合するため、生産効率が低いという欠点がある。一方、他の方式として、偏光フィルムをガイドローラに供給し、連続的に液晶パネルに貼合する所謂 roll to panel 方式がある。当該方法によれば、高い生産効率にて貼合が可能となる。
【0004】
roll to panel 方式の例として、特許文献1に光学表示装置の製造システムが開示されている。上記製造システムは、液晶パネルの上面に光学フィルム(偏光フィルム)を貼合した後に、液晶パネルを旋回させ、液晶パネルの下面から光学フィルムを貼合するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4307510号明細書(平成21年5月15日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の光学表示装置の製造システムには、スペース効率が低いという問題ある。
【0007】
すなわち、上記光学表示装置の製造システムにおいて、(1)偏光フィルムの原反ロールが設置され、(2)偏光フィルムをガイドローラが設置されたラインに巻き出す巻出部は、従来、ターレット式である。ターレット式の巻出部では、通常、巻取部が2つ備えられており、一方の巻取部に設置された原反ロールの残量が少量になると、ターレットを回転させて、両巻取部の位置を入れ替える。他方の巻出部には予め原反ロールが設置されており、新たな原反ロールから偏光フィルムが供給される。
【0008】
ターレットが回転すると、巻出部は回転途中で上方に移動するため、偏光フィルムの巻出位置よりも高くなり、巻出部が通過するスペースを確保する必要がある。このため、上記光学表示装置は、高さ方向に広いスペースを有する必要があり、その結果、製造システムのサイズは大きなものとなっている。
【0009】
しかしながら、液晶表示装置(光学表示装置)は、埃などの異物の混入を避けるため、クリーンルームで製造されることが通常であり、クリーンルームの建設コストが高いため、導入される装置にはスペース効率が要求される。このため、スペース効率の良い液晶表示装置の製造システムが求められている。
【0010】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、スペース効率に優れた液晶表示装置の製造システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の液晶表示装置の製造システムは、上記課題を解決するために、液晶パネルに偏光フィルムを貼合する液晶表示装置の製造システムにおいて、
液晶パネルを搬送する液晶パネル搬送部と、液晶パネルの搬送方向へ偏光フィルムを巻き出す巻出部とを含む2つの貼合機構が離間した状態で備えており、
上記巻出部は偏光フィルムの巻き芯の軸方向に沿って、上記2つの貼合機構の間に移動可能であり、
2つの貼合機構の間隔が、偏光フィルムの巻き芯の軸方向に沿った巻出部の長さの1倍以上、2倍未満となるように上記2つの貼合機構が配置されていることを特徴としている。
【0012】
上記の発明によれば、上記巻出部が2つの貼合機構の間に移動可能であり、上記間隔が偏光フィルムの巻き芯の軸方向に沿った巻出部の長さの1倍以上、2倍未満となっている。このため、2つの貼合機構の間隔は小さく、本発明に係る液晶表示装置の製造システムは、スペース効率に優れる。
【0013】
また、本発明の液晶表示装置の製造システムでは、偏光フィルムが設置された交換用巻出部を上記2つの貼合機構の間に備えることが好ましい。
【0014】
これにより、巻出部に設置された偏光フィルムを交換する代わりに、交換用巻出部を貼合機構に移動させ、新たな偏光フィルムを設置できる。交換用巻出部の移動は、偏光フィルムの交換よりも速やかに行えるため、交換用巻出部を使用しない場合に比較して、偏光フィルムを交換する時間を短縮できる。
【0015】
また、本発明の液晶表示装置の製造システムでは、液晶パネルの搬送方向へ偏光フィルムを巻き出す補助巻出部を上記巻出部に併設した状態で備えることが好ましい。
【0016】
これにより、一方の巻出部に設置された偏光フィルムの残量が少量になった際、一方の巻出部に設置された偏光フィルムを切断し、ラインに残っている積層フィルムと、他方の巻出部に設置された偏光フィルムとを連結できる。すなわち、新たな偏光フィルムの供給を速やかに行うことができ、液晶表示装置のタクトタイムを短縮できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の液晶表示装置の製造システムは、以上のように、 液晶パネルを搬送する液晶パネル搬送部と、液晶パネルの搬送方向へ偏光フィルムを巻き出す巻出部とを含む2つの貼合機構が離間した状態で備えており、
上記巻出部は偏光フィルムの巻き芯の軸方向に沿って、上記2つの貼合機構の間に移動可能であり、
2つの貼合機構の間隔が、偏光フィルムの巻き芯の軸方向に沿った巻出部の長さの1倍以上、2倍未満となるように上記2つの貼合機構が配置されているものである。
【0018】
それゆえ、2つの貼合機構間の間隔は小さく、本発明に係る液晶表示装置の製造システムは、スペース効率に優れるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施の形態に係る製造システムを示す平面図である。
【図2】本実施の形態に係る製造システムを示す側面図である。
【図3】(a)および(b)は、本実施の形態に係る巻出部を示す斜視図である。
【図4】(a)〜(c)は本実施の形態に係る各巻出部の位置を示す平面図である。
【図5】(a)〜(d)は本実施の形態に係る製造システムの変形例を示す平面図である。
【図6】(a)〜(d)は本実施の形態に係る製造システムの変形例を示す平面図である。
【図7】比較用の製造システムを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施形態について図1〜図7に基づいて説明すれば、以下の通りである。図1は、本実施の形態に係る製造システム(液晶表示装置の製造システム)100を示す平面図である。製造システム100は、液晶パネル1に偏光フィルム2aを貼合するものである。同図に示すように、製造システム100は、貼合機構110・120を離間した状態で備えている(「貼合機構110・120」は、「貼合機構110および貼合機構120」を示す。以下、他の部材を示す場合も同様である)。
【0021】
また、図1における搬送方向D1・D2は、貼合機構110・120における液晶パネル1の搬送方向を示しており、搬送方向D1・D2は水平であり、液晶パネル1が並走可能な方向となっている。なお、搬送方向D1・D3のように、液晶パネル1は互いに逆方向に搬送されるように貼合機構110・120が構成されていてもよい。間隔L1は、貼合機構110と貼合機構120との間隔を示している。
【0022】
次に、図1における貼合機構110の構造を示す。図2は、貼合機構110を示す側面図である。貼合機構110は、巻出部3、ガイドローラ4、ハーフカッター5、支持台6、ナイフエッジ7、ニップローラ8a・8bおよび巻取部9を有している。さらに、搬送ローラ(液晶パネル搬送部)10および反転部11を備えており、巻出部13、ガイドローラ14、ハーフカッター15、支持台16、ナイフエッジ17、ニップローラ18a・18bおよび巻取部19を有している。以下、各部材について説明する。
【0023】
巻出部3は、液晶パネルの搬送方向へ偏光フィルムを巻き出すものであり、図1では、保護フィルム2bが偏光フィルム2aに積層された積層フィルム2を巻き出すものとなっている。巻出部3としては公知の巻出部を用いることができる。上記積層フィルム2は、ガイドローラ4を介して送り出される。本実施の形態において、積層フィルム2を巻き出す速度、張力等は適宜調整すればよい。巻出部3のサイズは、使用する積層フィルム2のサイズによって適宜変更すればよく、特に限定されるものではない。例えば、フィルム幅が300mm以上、1200mm以下の積層フィルム2を使用することができる。
【0024】
積層フィルム2は3層構造になっており、公知の構造を採用できる。積層フィルム2は、偏光フィルム2a、図示しない粘着層および保護フィルム2bから構成されている。
【0025】
具体的な偏光フィルム2aの構成の一例として、以下の構成が挙げられる。すなわち、偏光子フィルムの両面に保護フィルムとしてTAC(トリアセチルセルロース)フィルム等が貼合されており、一方または両方のTACフィルムに粘着層が塗布(積層)されており、粘着層に保護フィルム2bが積層された構成が挙げられる。
【0026】
上記偏光子フィルムとしては、ポリビニルアルコールフィルムがヨウ素等によって染色されており、1軸方向に延伸されたフィルムを用いることができる。また、上記フィルムに代えて、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム、セルロース系フィルム等の親水性高分子フィルム等、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン配向フィルム等を使用することもできる。
【0027】
偏光フィルム2aおよび保護フィルム2bの総厚さは、特に限定されないが、一例として、100μm以上、500μm以下とすることができる。なお、偏光フィルム2aのうち偏光子フィルムの厚さは、概して10μm以上、50μm以下である。さらに、積層フィルム2の実用上、問題ない範囲にて上記3層以外にさらに他の層を含んでいてもよい。
【0028】
粘着層は、保護フィルム2bが除去された後に、偏光フィルム2aと液晶パネル1とを貼合するために用いられる。粘着層に用いられる粘着剤としては、特に限定されるものではなく、アクリル系、エポキシ系、ポリウレタン系などの粘着剤を用いることができるが、保護フィルム2bから剥離し易い必要がある。このため、保護フィルム2bに応じて粘着剤の種類が選択される。なお、粘着剤層の厚さは適宜変更すればよく、例えば、0.5μm以上、75μm以下とすることができる。
【0029】
保護フィルム2bとしては公知の保護フィルムを用いればよい。具体的には、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタラートフィルムなどを用いることができる。上記剥離フィルムの厚さとしては、特に限定されないが、5μm以上、100μm以下の剥離フィルムを好ましく用いることができる。なお、保護フィルム2bは、一般的に剥離フィルム、セパレータなどと称されることもある。
【0030】
積層フィルム2は各ガイドローラ4を介して搬送されるが、液晶パネル1は枚葉状であるため、貼合前に長尺の偏光フィルム2aおよび粘着層を切断する必要がある。すなわち、積層フィルム2をハーフカットする必要がある。ハーフカットを行うための部材が、ハーフカッター5および支持台6である。支持台6は、保護フィルム2bに接触する位置に配置されており、積層フィルム2にぶれを生じ難するために設置されている。保護フィルム2b側が支持された状態にて、偏光フィルム2aおよび接着層はハーフカッター5によって切断される。このとき保護フィルム2bは切断されない。すなわち、積層フィルム2がハーフカットされる。
【0031】
ナイフエッジ7は、積層フィルム2から保護フィルム2bを除去するための部材である。ナイフエッジ7はその側面の形状として、角が丸い略三角形形状を有しており、ナイフエッジ7の底面(斜面)は保護フィルム2b側に沿って配置されている。粘着層および保護フィルム2b間の剥離力は小さく設計されている。一方、ナイフエッジ7は、保護フィルム2bと摩擦力を生じ難い材料で構成されている。このため、保護フィルム2bは、ナイフエッジ7に沿って移動することとなる。ナイフエッジ7を構成する材料としては、金属材料、樹脂材料等が適用可能であり、特に制限されないが、ステンレス、アルミニウム、樹脂材料などが耐蝕性の点から推奨される。
【0032】
次に、製造システム100の上部に備えられた搬送ローラ10について説明する。液晶パネル1は偏光フィルム2aとの貼合のためにニップローラ8a・8b間へと搬送される。
【0033】
液晶パネル1としては、公知の液晶パネルを用いることができ、例えば、ガラス基板などの基板と液晶層との間に配向膜が配置された液晶パネルを使用可能である。
【0034】
搬送ローラ10は、液晶パネル1を搬送する部材である。搬送ローラ10は、これらのパネルを搬送することができればよく、搬送ローラ10に代えてロボットアームなどの他の構成を用いてもよい。
【0035】
ニップローラ8a・8bは、偏光フィルム2aおよび液晶パネル1を貼合する部材である。ニップローラ8a・8bのうち、下方のニップローラ8bは、搬送ローラ10と同じ高さに配置されている。一方、ニップローラ8aは、ニップローラ8bの上方に配置されており、ニップローラ8a・8bにて偏光フィルム2aが図示しない粘着層を介して液晶パネル1の下面に貼合される。
【0036】
ニップローラ8a・8bは互いの間の距離を変更可能であり、偏光フィルム2aの粘着層面および液晶パネル1を圧着することによって貼合を行う。貼合時におけるニップローラ8a・8bの圧力および温度(ニップロール内のヒーター温度)は、粘着剤の種類、偏光フィルム2aの厚さなどに応じて適宜調整すればよい。
【0037】
下面に偏光フィルム2aが貼合された液晶パネル1は、反転部11によって表裏が変更されると共に、搬送方向に沿った短辺が長辺となるように反転される。反転部11としてはロボットアームを採用しているが、液晶パネル1の表裏および搬送方向に沿った辺を変更できるものであれば特に限定されない。この反転部11により液晶パネル1の反転は、偏光フィルム2aが未貼合の液晶パネル1の面に、偏光フィルム12aの吸収軸が偏光フィルム2aの吸収軸と直交するように偏光フィルム12aを貼合するためになされる。
【0038】
反転され、搬送方向D1に長辺が沿う状態となった液晶パネル1は、搬送方向D1にさらに搬送され、ニップローラ18a・18bへ到達する。ニップロール18bの下方では、巻出部3と同様に、巻出部3から積層フィルム2が巻き出され、この積層フィルム2のうち偏光フィルム12aおよび粘着層がハーフカッター15によってハーフカットされる。その後、ナイフエッジ17によって積層フィルム12から保護フィルム12bが剥離され、偏光フィルム12aが粘着層を介して液晶パネル1の下面に貼合される。両面に偏光フィルムが貼合された液晶パネル1は液晶表示装置に該当し、製造システム100によって液晶表示装置が製造されることとなる。
【0039】
本実施の形態に係る巻出部3が貼合機構110と貼合機構120との間へ移動する動作について図3を用いて説明する。なお、巻出部13の動作についても同様である。図3(a)・(b)は巻出部3を示す斜視図である。図3(a)に示す巻出部3に設置された原反ロールは、相当量の積層フィルム2を巻き出した後の状態であり、原反ロールの交換が必要であり、積層フィルム2が幅方向に切断されている。図3(a)における右側の巻出部3は、貼合機構110が備えるものであり、図3(a)における左側の巻出部3は、貼合機構120が備えるものである。
【0040】
巻出部3は、積層フィルム2の巻き芯の軸方向D4(偏光フィルムの巻き芯の軸方向)に沿って原反ロール(偏光フィルム)を交換するため、貼合機構110と貼合機構120との間へ移動可能となっている。具体的には、図3(a)に示すように、貼合機構110側にある状態から、巻き芯の軸方向D4へと移動する。巻出部3の移動は、巻出部の下部に設置されたスライド機構によってなされる。
【0041】
移動後の巻出部3の状態を図3(b)に示す。貼合機構110と貼合機構120との間に移動した巻出部3から、オペレーターによって積層フィルム2の原反ロールが取り外され、新たな原反ロールに交換される。
【0042】
図3(a)・(b)における間隔L1は、巻き芯の軸方向D4に沿った巻出部3巻出部の長さの1倍となっている。これにより、貼合機構110・120の間隔が小さいため、製造システム100をスペース効率に優れたものとすることができる。上記間隔L1は、巻き芯の軸方向D4に沿った巻出部3の長さの1倍以上、2倍未満であればスペース効率に優れるものとなる。また、さらに好ましくは、巻き芯の軸方向D4に沿った巻出部3の長さの1倍以上以上、1.5倍未満である。
【0043】
間隔L1を上記範囲とした理由は、未公開である特願2010−172047号明細書(本出願と出願人が同一)に記載の発明を考慮したからである。すなわち、特願2010−172047号明細書には積層フィルムの巻き芯の軸方向に沿って移動する巻出部が開示されているものの、巻出部が移動するスペースについて考慮されていない。このため、製造システムのスペース効率を高めることが考慮されていない。したがって、特願2010−172047号明細書では、巻出部3が移動するスペースは少なくとも巻出部の長さの2倍以上である。よって、本発明において間隔L1が巻き芯の軸方向D4に沿った巻出部3の長さの1倍以上、2倍未満であることにより、特願2010−172047に係る発明よりもスペース効率に優れた製造システムを提供できる。
【0044】
次に、本実施の形態における各巻出部の移動について説明する。図4(a)〜(c)は、製造システム100における各巻出部を示す平面図である。図4(a)は、巻出部3・3・13・13から積層フィルムが巻き出され、液晶表示装置の製造がなされている状態である。この状態が継続すると、巻出部3・3・13・13に設置された積層フィルムの原反ロールの残量が少なくなり、交換が必要な状態になる。この状態では、各巻出部は貼合機構110と貼合機構120との間に移動していない。
【0045】
次の動作として、原反ロールを交換するため、図4(b)のように、貼合機構110の巻出部3・貼合機構120の巻出部13を貼合機構110と貼合機構120との間に移動させる。その後、原反ロールの交換を行う。新たな原反ロールが設置された巻出部3・13は元の位置に戻される。交換された原反ロールの積層フィルムは、貼合機構のラインに残っている積層フィルムと連結される。
【0046】
同様に、図4(c)のように、貼合機構110の巻出部13・貼合機構120の巻出部3を貼合機構110と貼合機構120との間に移動させ、原反ロールの交換を行う。このような手順で全ての巻出部について原反ロールの交換が完了する。交換された原反ロールの積層フィルムは、貼合機構のラインに残っている積層フィルムと連結され、液晶表示装置の製造が再開される。
【0047】
図4の製造システム100では、各巻出部が一旦、貼合機構110と貼合機構120との間に移動した後に、原反ロールの交換が行われ、各巻出部が元の位置に戻される。この製造システム100の変形例について、図5を用いて説明する。図5は、製造システム100aを示す平面図である。製造システム100aは、貼合機構110・120が離間された状態で備えている点は製造システム100と同様であるが、さらに交換用巻出部23・23aを備えている。
【0048】
交換用巻出部23は貼合機構110と貼合機構120との間に配置されており、かつ、巻出部3・3間でない位置に配置されている。換言すると、交換用巻出部23は貼合機構110と貼合機構120との間に配置されており、かつ、巻出部3・3に対向しないように配置されている。交換用巻出部23には、予め積層フィルム2の原反ロールが設置されている。なお、交換用巻出部23aについても交換用巻出部23と同様である。
【0049】
製造システム100aの動作について説明する。図5(a)〜(d)は、製造システム100aを示す平面図である。図5(a)は、巻出部3・13から積層フィルムが巻き出され、液晶表示装置の製造がなされている状態を示している。この状態が継続すると、巻出部3・13に設置された積層フィルムの原反ロールの残量が少なくなり、交換が必要な状態になる。この状態では、各巻出部は貼合機構110と貼合機構120との間に移動していない。
【0050】
次の動作として、原反ロールを交換するため、図5(b)のように、貼合機構110の巻出部3・貼合機構120の巻出部13を貼合機構110と貼合機構120との間に移動させる。ここで、巻出部3・13の原反ロールを交換しない。その後、図5(c)のように、貼合機構110と貼合機構120との間において、巻出部3を交換用巻出部23と反対方向に移動させる。交換用巻出部23も同じ方向に移動させる。この巻き芯の軸方向D4に垂直な方向に沿った各巻出部の移動は、各巻出部の巻出部の下部に設置されたスライド機構によってなされる。なお、図5(b)での巻出部3の位置に速やかに移動できるように、図5(b)における交換用巻出部23は巻出部3と並列するように予め配置されている(図5(a))。なお、交換用巻出部23aについても同様である。
【0051】
最後の動作として、交換用巻出部23が貼合機構110に、交換用巻出部23aが貼合機構120に収容される。交換された原反ロールの積層フィルムは、貼合機構のラインに残っている積層フィルムと連結される。その後、図示しないが、貼合機構120の巻出部3および貼合機構110の巻出部13が、貼合機構110と貼合機構120との間に移動し、原反ロールが交換される。巻出部13は貼合機構110に、巻出部3は貼合機構120に戻され、交換された原反ロールの積層フィルムは、貼合機構のラインに残っている積層フィルムと連結される。
【0052】
上述のように、製造システム100aは、積層フィルムの原反ロール(偏光フィルム)が設置された交換用巻出部23・23aを貼合機構110と貼合機構120との間に備える。このため、巻出部の原反ロールを交換する代わりに、交換用巻出部23・23aを貼合機構に移動させ、新たな原反ロールを設置できる。交換用巻出部23・23aの移動は、原反ロールの交換よりも速やかに行えるため、交換用巻出部23・23aを使用しない場合に比較して、原反ロールを交換する時間を短縮できる。
【0053】
図5(a)では、交換用巻出部23・23aは、製造システム100aの外側に設置されており、その後、内側に移動するように説明したが、交換用巻出部23・23aは両方が内側に設置され、その後、外側に移動してもよい。よって、一方が外側、他方が内側に設置され、その後、それぞれが逆方向に移動する構成とすることもできる。
【0054】
図4の製造システム100は、液晶パネル1の一方の面に偏光フィルムを貼合するために1つの巻出部を備える構造である。この製造システム100の変形例として、製造システムは、補助巻出部を上記巻出部に併設した状態で備えることが好ましい。これによって、巻出部に設置された積層フィルムの原反ロールの残量が少量になった際、積層フィルムを切断し、ラインに残っている積層フィルムと、補助巻出部に設置された原反ロールの積層フィルムとを連結できる。すなわち、原反ロールの供給を速やかに行うことができ、タクトタイムを短縮できる。その後、残量が少量となった原反ロールは、巻出部を移動させることによって、貼合機構同士の間において新しい原反ロールと交換される。
【0055】
上記の補助巻出部が巻出部に併設された製造システムの動作について説明する。図6(a)〜(d)は、製造システム200を示す平面図である。図6(a)は、貼合機構210の巻出部3・3・巻出部13・13から積層フィルムが巻き出され、液晶表示装置の製造がなされている状態を示している。貼合機構220についても同様である。この状態が継続すると、巻出部3・3・13・13に設置された積層フィルムの原反ロールの残量が少なくなり、交換が必要な状態になる。この状態から補助巻出部3a・3a・13a・13aの原反ロールに切り替えを行うことにより、ラインに残っている積層フィルムと、補助巻出部に設置された原反ロールの積層フィルムとを連結できる。この状態では、各巻出部・補助巻出部は貼合機構210と貼合機構220との間に移動していない。
【0056】
次の動作として原反ロールを交換するため、図6(b)のように、貼合機構210の補助巻出部3a・貼合機構220の巻出部13を貼合機構210と貼合機構220との間に移動させる。その後、原反ロールの交換を行う。新たな原反ロールが設置された補助巻出部3a・13は元の位置に戻される。交換された原反ロールの積層フィルムは、貼合機構のラインに残っている積層フィルムと連結される。
【0057】
同様に、図6(c)のように、貼合機構210の巻出部13a・貼合機構220の巻出部3を貼合機構210と貼合機構220との間に移動させ、原反ロールの交換を行う。原反の交換がなされた巻出部は元の位置に戻され、交換された原反ロールの積層フィルムは、貼合機構のラインに残っている積層フィルムと連結される。図6(d)のように、原反ロールが未交換の巻出部・補助巻出部についても貼合機構210と貼合機構220との間に移動を行い、原反ロールを交換する。その後、巻出部を元の位置に戻し、交換された原反ロールの積層フィルムは、貼合機構のラインに残っている積層フィルムと連結される。このような手順で全ての巻出部について原反ロールの交換が完了する。なお、製造システム200では、巻出部・補助巻出部が併設されているため、併設された一方に原反ロールが交換され、ラインの積層フィルムとの連結が完了した段階(図6(c))で液晶表示装置の製造を再開することができる。
【0058】
本実施の形態に係る製造システムと比較するための製造システム300を図7に示す。図7は、製造システム300を示す平面図である。製造システム200と同様に、製造システム300は、貼合機構310・320を備え、各貼合機構には、巻出部33・補助巻出部33a・巻出部43・補助巻出部43aを備えている。製造システム300では、併設された貼合機構310・320の間隔L2は巻出部33の長さの2.5倍となっている。このため、貼合機構310の各巻出部は、対向する貼合機構320の各巻出部と接触しないものの、本実施の形態に係る製造システムと比較して、スペース効率に劣っていることが分かる。
【0059】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明に係る液晶表示装置の製造システムは液晶表示装置を製造することができ、液晶表示装置を使用する分野にて利用可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 液晶パネル
2・12 積層フィルム
2a・12a 偏光フィルム
2b・12b 保護フィルム
3・13 巻出部
4・14 ガイドローラ
5・15 ハーフカッター
6・16 支持台
7・17 ナイフエッジ
8a・8b ニップローラ
9・19 巻取部
10 搬送ローラ(液晶パネル搬送部)
11 反転部
23・23a 交換用巻出部
100・100a・200 製造システム(液晶表示装置の製造システム)
110・120・110a・120a・210・220 貼合機構
D1・D2・D3 搬送方向
D4 巻き芯の軸方向
L1・L2 間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルに偏光フィルムを貼合する液晶表示装置の製造システムにおいて、
液晶パネルを搬送する液晶パネル搬送部と、液晶パネルの搬送方向へ偏光フィルムを巻き出す巻出部とを含む2つの貼合機構を離間した状態で備えており、
上記巻出部は偏光フィルムの巻き芯の軸方向に沿って、上記2つの貼合機構の間に移動可能であり、
2つの貼合機構の間隔が、偏光フィルムの巻き芯の軸方向に沿った巻出部の長さの1倍以上、2倍未満となるように上記2つの貼合機構が配置されていることを特徴とする液晶表示装置の製造システム。
【請求項2】
偏光フィルムが設置された交換用巻出部を上記2つの貼合機構の間に備えることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置の製造システム。
【請求項3】
液晶パネルの搬送方向へ偏光フィルムを巻き出す補助巻出部を上記巻出部に併設した状態で備えることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置の製造システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−198476(P2012−198476A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64130(P2011−64130)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】