説明

液晶表示装置及びその製造方法

【課題】高い透過率を有する液晶表示装置を提供する。
【解決手段】第一の基板と、第二の基板と、前記第一の基板と前記第二の基板との間に封入された液晶層と、を有し、一方が画素電極である第一の電極及び第二の電極を有する画素が複数設けられた液晶表示装置であって、前記一対の電極が前記第一の基板及び前記第二の基板のうち一方に設けられ、隣接する前記画素電極の間に高分子構造物が形成されていることを特徴とする液晶表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、一対の基板の間に液晶層を設けた液晶表示パネルを有する表示装置であり、例えば、液晶テレビ、パーソナルコンピュータ向けの液晶ディスプレイ、携帯電話端末の液晶ディスプレイ等として広く用いられている。
【0003】
この種の液晶表示装置は、液晶表示パネルの表示領域が複数の画素の集合でなり、当該複数の画素(ドット)により文字、数字、図、絵等の画像や映像を表示する表示装置である。このような表示方法は、一般に、ドットマトリクス方式と呼ばれている。
【0004】
ドットマトリクス方式は、画素の駆動方式により、単純マトリクス型(パッシブマトリクス型と呼ぶこともある)と、アクティブマトリクス型と、に分類される。単純マトリクス型は、各基板に形成した画素形成用の電極に選択的に電圧を印加して所定の画素を駆動する型式である。一方、アクティブマトリクス型は、一方の基板に画素選択用のアクティブ素子(スイッチング素子と呼ぶこともある)を形成し、このアクティブ素子のオン/オフにより所定の画素を駆動する型式である。特に、後者のアクティブマトリクス型は、コントラスト性能や高速表示性能等の優れた性能を備えることから、液晶表示装置における画素の駆動方式の主流になっている。
【0005】
また、この種の液晶表示装置における液晶層の動作モードとしては、例えば、TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モード、VA(Vertical Alignment)モード、OCB(Optically Compensated Birefringence)モード、IPS(In−Plane Switching)モード、およびFFS(Fringe Field Switching)モード等がある。
【0006】
特に、液晶テレビ等の大型の液晶表示装置では、高コントラスト、高視野角性が求められており、これに向けて、IPSモード及びFFSモード等が開発されてきている。これらのニーズは携帯電話等の小型の液晶表示装置でも要求されており、IPSモード及びFFSモードの製品展開が加速されている。
【0007】
また、近年の携帯電話端末やカーナビゲーションシステムには、例えば、テレビ放送の視聴や動画を再生する機能が搭載されたものも多く、これらの携帯型電子機器に用いられる小型の液晶表示装置でも、長時間使用のために省電力化が新たなニーズとして求められている。
【0008】
なお、特許文献1には、複数の画素スイッチング素子及び複数の画素電極を備える第一の基板と、対向電極が形成された第二の基板と、を有し、当該第一の基板と当該第二の基板との間には、隣接し合う画素の境界部分にポリマーネットワークが形成されている液晶装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−209026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、IPSモード及びFFSモードの液晶表示装置において省電力化を達成するためには画素の透過率向上が必要となる。画素の透過率向上のためには、例えば、画素電極それ自身のサイズを大きくすることが効果的である。しかしながら、画素電極のサイズを大きくすると、隣接する画素のうち一方の画素の液晶の配向が他方の画素の液晶の配向にも影響を及ぼすため、当該画素電極のサイズを大きくするには限界があった。
【0011】
また、画素の透過率向上のためのもう一つの方法として、ディスクリネーション抑制がある。しかしながら、ディスクリネーションを十分に回避する方法はないのが実情であった。
【0012】
本発明の目的は、高い透過率を有する液晶表示装置及びその製造方法を提供することにある。本発明の新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面によって明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概略を説明すれば、次の通りである。
【0014】
第一の基板と、第二の基板と、前記第一の基板と前記第二の基板との間に封入された液晶層と、を有し、一方が画素電極である第一の電極及び第二の電極を有する画素が複数設けられた液晶表示装置であって、前記第一の電極及び第二の電極が前記第一の基板及び前記第二の基板のうち一方に設けられ、隣接する前記画素電極の間に高分子構造物が形成されていることを特徴とする液晶表示装置。
【0015】
第一の基板と第二の基板との間に封入された液晶層を有し、一方が画素電極である第一の電極及び第二の電極を有する画素が複数設けられた液晶表示装置の製造方法であって、前記第一の基板と前記第二の基板との間に前記液晶層を封入する工程を含み、前記工程において、前記液晶層に用いる母体液晶及び重合性モノマーを含有する液晶組成物を前記第一の基板と前記第二の基板との間に封入するとともに、隣接する前記画素電極の間に重合開始剤を局在させ、次いで、前記重合性モノマーを重合させて、隣接する前記画素電極の間に高分子構造物を形成することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、高い透過率を有する液晶表示装置及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る液晶表示パネルの平面視における主な構成の一例を示す説明図である。
【図2】図1のII−II線の位置における液晶表示パネルの断面の一例を示す説明である。
【図3】本発明に係るTFT基板の平面視における主な構成の一例について、その配置を模式的に示す説明図である。
【図4】本発明に係るカラーフィルター基板の平面視における主な構成の一例について、その配置を模式的に示す説明図である。
【図5A】図3及び図4のV−V線の位置における液晶表示パネルの断面と高分子構造物の配置の一例を示す説明図である。
【図5B】図3及び図4のV−V線の位置における液晶表示パネルの断面と高分子構造物の配置の他の例を示す説明図である。
【図6A】カラーフィルター基板に形成された高分子構造物の配置の一例を平面視にて示す説明図である。
【図6B】カラーフィルター基板に形成された高分子構造物の配置の他の例を平面視にて示す説明図である。
【図6C】カラーフィルター基板に形成された高分子構造物の配置のさらに他の例を平面視にて示す説明図である。
【図6D】カラーフィルター基板に形成された高分子構造物の配置のさらに他の例を平面視にて示す説明図である。
【図7】図3及び図4のV−V線の位置における液晶表示パネルの断面と高分子構造物の配置のさらに他の例を示す説明図である。
【図8】図3及び図4のV−V線の位置における液晶表示パネルの断面と高分子構造物の配置のさらに他の例を示す説明図である。
【図9】図3及び図4のV−V線の位置における液晶表示パネルの断面と高分子構造物の配置のさらに他の例を示す説明図である。
【図10】図3及び図4のV−V線の位置における液晶表示パネルの断面と高分子構造物の配置のさらに他の例を示す説明図である。
【図11A】図3の破線で囲まれた画素電極の端部領域における高分子構造物の配置の一例を拡大して示す説明図である。
【図11B】図11Aに示す画素電極の端部領域で切断した液晶表示パネルの断面と高分子構造物の配置の一例を示す説明図である。
【図12】本発明に係るTFT基板の平面視における主な構成の配置及び画素電極の端部領域の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明について、図面を参照しながら実施の形態とともに詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための全ての図面において、同一機能を有するものは、同一符号を付して、その繰り返しの説明は省略する。
【0019】
図1から図12は、本発明に係る液晶表示装置の主要部の概略構成を説明するための模式図である。
【0020】
図1は、本発明に係る液晶表示パネルの平面構成の一例を示す模式平面図である。図2は、図1のII−II線の位置における断面構成の一例を示す模式断面図である。図3は、TFT基板の平面構成の一例を示す模式平面図である。図4は、カラーフィルター基板の平面構成の一例を示す模式平面図である。図5から図10は、図3のV−V線及び図4のV−V線の位置における断面構成と高分子構造物の配置方法の一例を示す断面図又は平面図である。図11A及び図11Bは、電極端部における高分子構造物の配置方法の一例を示す平面図及び断面図である。図12は、電極端部における高分子構造物の配置方法の一例を示す平面図である。
【0021】
本明細書では、本発明に係る液晶表示装置の一例として、携帯電話端末等に用いられる小型の液晶表示装置を挙げる。また、本発明は、液晶表示装置のうち、特に、液晶表示パネルの構成に関わるものである。そのため、本明細書では、本発明に係る液晶表示装置のうち、液晶表示パネルの構成及びその製造方法を説明する。
【0022】
なお、本発明に係る液晶表示パネルの基本的な構成は、従来のものと同様でよい。そのため、本明細書では、本発明に係る液晶表示パネルの特徴部分の構成及びその製造方法を中心に説明し、従来のものと同様の構成及び製造方法でよい点に関する具体的な説明は省略する。また、液晶表示パネルは、アクティブマトリクス型であるとする。
【0023】
本発明に係る液晶表示パネルは、例えば、図1及び図2に示すように、TFT基板1(第一の基板)、カラーフィルター基板2(第二の基板)、液晶層3、シール材4a,4b、第一の偏光板5、第二の偏光板6及び高分子構造物7を有する。また、この液晶表示パネルには、一方が画素電極である第一の電極及び第二の電極を有する画素が複数設けられている。すなわち、複数の画素の各々は、液晶層3に電界を印加するための第一の電極及び第二の電極を有し、当該第一の電極及び第二の電極のうち、一方は画素電極である。
【0024】
TFT基板1は、第一の絶縁基板101、第一の薄膜積層体102及び第一の配向膜103を有する。第一の絶縁基板101は、例えば、ガラス基板等の透明な絶縁基板である。第一の薄膜積層体102は、例えば、走査信号線、映像信号線、TFT素子、画素電極及び複数の絶縁層を含む。第一の配向膜103は、例えば、その表面(液晶層3との界面)にラビング処理等の配向処理が施されたポリイミド膜からなる。なお、第一の配向膜103は、光配向処理が施されたものとすることもできる。
【0025】
カラーフィルター基板2は、第二の絶縁基板201、第二の薄膜積層体202及び第二の配向膜203を有する。第二の絶縁基板201は、例えば、ガラス基板などの透明な絶縁基板である。第二の薄膜積層体202は、例えば、ブラックマトリクス、カラーフィルター及び平坦化層を含む。第二の配向膜203は、例えば、その表面(液晶層3との界面)にラビング処理等の配向処理が施されたポリイミド膜からなる。なお、第二の配向膜203は、光配向処理が施されたものとすることもできる。
【0026】
液晶表示パネルにおいては、図1及び図2に示すように、TFT基板1とカラーフィルター基板2との間に液晶層3が設けられている。TFT基板1とカラーフィルター基板2とは、表示領域DAを囲む環状のシール材4aで貼り合わされている。シール材4aは、液晶層3として用いる液晶組成物を注入する注入口を有し、当該注入口はシール材4bで封止されている。すなわち、液晶層3は、シール材4a,4bにより、TFT基板1とカラーフィルター基板2との間に封入されている。また、図示は省略するが、TFT基板1とカラーフィルター基板2との間には、例えば、各画素における液晶層3の厚さを均一化するためのスペーサが設けられている。
【0027】
また、本発明に係る液晶表示パネルでは、TFT基板1とカラーフィルター基板2との間に、液晶層3やスペーサの他に、高分子構造物7が設けられている。この高分子構造物7は、隣接する画素間での配向の影響を防ぐためのものである。すなわち、高分子構造物7は、隣接する画素のうち一方の画素の液晶の配向による、他方の画素の液晶の配向への影響を低減し又は回避するために設けられている。
【0028】
そして、この高分子構造物7は、隣接する画素電極8の間に形成されている。図2に示す例において、高分子構造物7は、カラーフィルター基板2のブラックマトリクス13に対応する領域(ブラックマトリクス13の下方の領域)に設けられている。すなわち、高分子構造物7は、ブラックマトリクスと重なる領域に形成されている。高分子構造物7は、例えば、表示領域DAに含まれる全ての画素境界部に設けられる。なお、図2における寸法Pxは、1つの画素のx軸方向の寸法を示す。
【0029】
以下、各画素の構造や高分子構造物7の形状及び大きさについて、図5から図12を参照しながら、具体的に説明する。
【0030】
本発明に係る液晶表示パネルにおける画素の構成の一例として、IPSモードの一つであるFFSモードの場合の画素の構成を挙げる。FFSモードの液晶表示パネルは、IPSモードと同様に、第一の電極及び第二の電極が第一の基板及び第二の基板のうち一方に設けられている。すなわち、図1及び図2に示す例では、画素電極8及び共通電極9が共にTFT基板1(より具体的には、第一の薄膜積層体102)に設けられている。
【0031】
なお、図3に示すように、液晶表示パネルは、走査信号線10と、映像信号線11と、を有している。隣接する2本の映像信号線11の距離Pxは、1つの画素のx軸方向の寸法である。隣接する2本の走査信号線10の距離Pyは、1つの画素のy軸方向の寸法である。なお、図3は、1つの画素PC及びその近傍の平面視における構成を模式的に示しており、x軸方向の寸法とy軸方向の寸法との関係は、実際の液晶表示装置における関係と必ずしも一致しない。
【0032】
また、液晶表示パネルにおける各画素は、例えば、1本の走査信号線10と接続しているゲート電極、1本の映像信号線11と接続している第一のソース・ドレイン電極、及び画素電極8と接続している第二のソース・ドレイン電極を含むTFT(薄膜トランジスタ)素子12を有する。
【0033】
図3に示されるように、各画素において、液晶が駆動する領域は画素電極8及び共通電極9の大きさに依存する。したがって、液晶表示装置における透過率を向上させるためには、これら電極群のサイズを大きくすることが効果的であることが理解される。ただし、すでに述べたように、隣接する画素の一方の液晶の配向が他方の液晶の配向に与える影響を抑制する工夫が必要である。
【0034】
図3に示す例において、画素電極は、複数の櫛歯部8aを有する櫛歯形状に形成されている。具体的に、画素電極8の複数の櫛歯部8aは、図3に示すように、映像信号線11の延びるy軸方向を長手方向とする帯状であり、且つ、これらの櫛歯部8aが走査信号線10の延びるx軸方向に並んでいる。
【0035】
この場合、画素電極8と共通電極9との間に電位差を与えることにより液晶層3に印加される電界の方向17aは、主として、図11Aに示すように、x軸方向になる。そのため、このような画素を有する液晶表示パネルでは、たとえば、電界無印加時の液晶層3の配向方向18が、電界方向(x軸方向)から角度θだけ傾いた方向になるようにする。なお、この電界無印加時の液晶層3の配向方向18と電界方向17aとのなす角θは、例えば、70度から85度程度である。
【0036】
しかしながら、図11Aに示すように、画素電極8の端部を含む領域(端部領域)16では、電界方向17bがy軸方向になる。したがって、この画素電極8の端部領域16では、いわゆるディスクリネーションが発生し、これが透過率を下げる要因ともなっている。
【0037】
そこで、本発明に係る液晶表示装置においては、高分子構造物7は、さらに、この画素電極8の端部領域16に形成することとしてもよい。すなわち、図11Aに示す例では、画素電極8の複数の櫛歯部8aの先端部分に跨る領域に高分子構造物7を形成する。
【0038】
図11Bは、図11Aに示す端部領域16の断面図である。図11A及び図11Bに示すように、高分子構造物7は、端部領域16において、画素電極8の複数の櫛歯部8aの先端部分に跨るように形成されている。
【0039】
なお、図4には、図3に示すTFT基板1に対向するカラーフィルター基板2の主な構成を平面視で示す。図4に示すように、カラーフィルター基板2においては、図3に示す走査信号線10及び映像信号線11に対応する位置にブラックマトリクス13が形成される。すなわち、中央の画素PCの着色層14と、他の隣接画素PL、PR、PU、PDの着色層14L、14R、14U、14Dと、は格子状のブラックマトリクス13により仕切られている。
【0040】
図5から図10は、図3のV−V線の位置における断面図である。これら図5から図10は、図4のV−V線の位置における断面図でもある。
【0041】
図5A及び図5Bに示す例においては、ブラックマトリクス13の高さ(厚さ)が着色層14のそれより大きくなっている。この場合、配向膜203の塗布後でも、ブラックマトリクス13は、カラーフィルター基板2の中で最も高くなる。すなわち、配向膜203の表面のうち、ブラックマトリクス13を覆う部分は、液晶層3中に突出する。
【0042】
そして、図5A及び図5Bに示す例では、このブラックマトリクス13が凸状に形成された位置に高分子構造物7が設けられている。すなわち、高分子構造物7は、ブラックマトリクス13と重なる領域に形成されている。
【0043】
図5Aでは、高分子構造物7の断面形状が長方形になっているが、当該断面形状は、図5Bのように台形状であってもよい。また、高分子構造物7の先端部分は、丸みを帯びていてもよい。また、高分子構造物7の密度は不均一でもよい。すなわち、例えば、高分子構造物7の先端部分の高分子密度は、その根元部分の高分子密度に比べて小さいこととしてもよい。
【0044】
また、図5A及び図5Bに示されているように、一方の基板(カラーフィルター基板2)に形成された高分子構造物7の高さは、対向する他方の基板(TFT基板1)にまで達していなくてもよい。すなわち、この場合、高分子構造物7の高さは、液晶層3の厚さより小さい。また、高分子構造物7は、一方の基板(カラーフィルター基板2)から他方の基板(TFT基板1)に向けて、液晶層3の中途部分まで延びているともいえる。
【0045】
高分子構造物7の位置は、隣接する画素電極8の間であれば特に限られない。高分子構造物7の幅は、隣接する画素電極8の間に収まる範囲であれば特に限られない。したがって、図6Aに示すように、高分子構造物7の幅は、縦のブラックマトリクス13より小さくなっていてもよい。また、図6Cに示すように、高分子構造物7の幅は、縦のブラックマトリクス13より大きくなっていてもよい。また、図6Dに示すように、高分子構造物7は、縦のブラックマトリクス13とずれて重なる位置に形成されてもよい。
【0046】
また、図6Bに示したように、高分子構造物7は、縦のブラックマトリクス及び横のブラックマトリクス13に沿って形成されてもよい。この場合、高分子構造物7は、画素を囲う形状に形成される。すなわち、高分子構造物7は、隣接する画素の画素電極間において、互いに平行に複数形成することができる。
【0047】
具体的に、図6A,図6C及び図6Dには、中央の画素PCの画素電極と一方側(左側)の隣接画素PLの画素電極との間、及び当該中央の画素PCの画素電極と他方側(右側)の隣接画素PRの画素電極との間にそれぞれ形成された、互いに平行な2本の直線状の高分子構造物7が示されている。
【0048】
この場合、例えば、中央の画素PCの色と左側の画素PLの色とは互いに異なり、当該中央の画素PCの色と右側の画素PRの色とは互いに異なることとしてもよい。すなわち、高分子構造物7は、色の異なる隣接する画素の画素電極間に形成される。
【0049】
具体的に、例えば、図5A及び図5Bにおいて、高分子構造物7は、所定の色の着色層14が形成された画素(図6A〜Dに示す中央の画素PC)の画素電極8と、当該所定の色と異なる色の着色層14Lが形成された隣接画素(図6A〜Dに示す左側の画素PL)及び当該所定の色と異なる色の着色層14Rが形成された隣接画素(図6A〜Dに示す右側の画素PR)の画素電極(不図示)と、の間にそれぞれ形成されている。
【0050】
また、高分子構造物7は、隣接する全ての画素電極間に形成することもできる。具体的に、図6Bに示す高分子構造物7は、中央の画素PCの画素電極8と、当該中央の画素PCを囲む全ての隣接画素(左側の画素PL、右側の画素PR、上側の画素PU及び下側の画素PD)の画素電極と、の間に格子状に形成されている。
【0051】
すなわち、この場合、高分子構造物7は、図3を参照すれば、中央の画素PCの画素電極8と左右の隣接画素PL、PRの画素電極との間のみならず、上下の隣接画素PU、PDの画素電極8U、8Dとの間にも形成される。なお、この場合、液晶表示パネルの全体に、格子状の高分子構造物7を1つ形成することもできる。
【0052】
図5A及び図5Bに示す例において、高分子構造物7は、カラーフィルター基板2側に形成されている。すなわち、高分子構造物7は、カラーフィルター基板2から液晶層3中に延び出している。
【0053】
これに対し、図7に示す例においては、高分子構造物7は、カラーフィルター基板2側でなく、TFT基板1側に形成されている。すなわち、高分子構造物7は、TFT基板1から液晶層3中に延び出している。
【0054】
このように、高分子構造物7は、TFT基板1及びカラーフィルター基板2のうち一方の基板側にのみ形成されている。
【0055】
また、図7に示す例では、映像信号線11上に絶縁層が設けられているため、配向膜103の塗布後でも、当該映像信号線11上はTFT基板1の中で最も高くなる。そして、この映像信号線11上に形成された凸部上に、当該凸部と同一の幅を有する高分子構造物7が設けられている。
【0056】
この場合も、TFT基板1の高分子構造物7は、カラーフィルター基板2に達していなくてよい。また、高分子構造物7の位置は、隣接する画素電極8の間であれば特に限られない。高分子構造物7の幅は、隣接する画素電極8の間に収まる範囲であれば特に限定されない。
【0057】
図8に示す例においては、高分子構造物7は、カラーフィルター基板2の凸部でなく平坦部に設けてもよい。この例では、ブラックマトリクス13の高さが着色層14のそれと同等又はより小さく、且つ当該着色層14がブラックマトリクス13上に積層されていない。この場合、配向膜203の塗布後に平坦なカラーフィルター基板2が得られる。そして、ブラックマトリクス13と重複する位置に高分子構造物7が設けられている。
【0058】
この場合も、カラーフィルター基板2の高分子構造物7は、TFT基板1に達していなくてよい。また、高分子構造物7の位置は、隣接する画素電極8の間であれば特に限られない。高分子構造物7の幅は、隣接する画素電極8の間に収まる範囲であれば特に限定されない。
【0059】
上述の例では、高分子構造物7は、基板(TFT基板1又はカラーフィルター基板2)の配向膜(第一の配向膜103又は第二の配向膜203)上に形成されていた。これに対し、図9に示す例においては、高分子構造物7は、カラーフィルター基板2の配向膜203上でなく、ブラックマトリクス13上に形成されている。
【0060】
この例では、カラーフィルター基板2において、ブラックマトリクス13の高さが着色層14と同等又はより小さく、且つ当該着色層14がブラックマトリクス13上に積層されておらず、また、配向膜203も当該ブラックマトリクス13上に積層されていない(すなわち、配向膜203は当該着色層14のみに塗布されている)。そして、ブラックマトリクス13上に直接、当該ブラックマトリクス13の幅以下の高分子構造物7が設けられている。
【0061】
ただし、高分子構造物7の位置は、ブラックマトリクス13の近傍にあれば、これに限られない。また、高分子構造物7の幅は、ブラックマトリクス13の幅以下に限られず、当該ブラックマトリクス13の幅より多くすることもできる。
【0062】
図10に示す例においては、カラーフィルター基板2は、ブラックマトリクス13を有していない。高分子構造物7は、このようにブラックマトリクス13を有しないカラーフィルター基板2を用いた液晶表示装置に設けてもよい。
【0063】
この例では、TFT基板1の凸部である位置に高分子構造物7が設けられている。すなわち、TFT基板1においては、第一の配向膜103のうち、映像信号線11に積層された部分は、液晶層3中に突出して凸部を形成しており、高分子構造物7は、当該凸部に沿って形成されている。このように、高分子構造物7は、ブラックマトリクス13の有無にかかわらず、走査信号線10及び映像信号線11の一方又は両方と重なる領域に形成することができる。
【0064】
この場合も、TFT基板1の高分子構造物7は、カラーフィルター基板2に達していなくてよい。また、高分子構造物7の位置は、隣接する画素電極8の間であれば特に限られない。高分子構造物7の幅は、隣接する画素電極8の間に収まる範囲であれば特に限定されない。また、これとは別に、カラーフィルター基板2の着色層がTFT基板1に設けられた場合も、図10に示されているような高分子構造物7の配置が好ましい。
【0065】
なお、この例において、高分子構造物7は、TFT基板1上に形成されているが、これに限られず、カラーフィルター基板2上に形成してもよい。この場合も、カラーフィルター基板2の高分子構造物7は、TFT基板1に達していなくてよい。高分子構造物7の大きさは、当該高分子構造物7が画素電極8の端部領域16を含む範囲であれば、特に制限されない。
【0066】
図12は、櫛歯状に形成された画素電極8の複数の櫛歯部8aが、走査信号線10に平行な場合の液晶表示装置における高分子構造物7の形成位置を示している。図12に示す例においても、高分子構造物7は、画素電極8の複数の櫛歯部8aの先端部分に跨る端部領域16に形成することができる。画素内の高分子構造物7の形成位置は、画素電極8の端部領域16を含んでいれば、特に制限されるものではない。
【0067】
また、液晶層3は、いわゆる高分子安定化の目的で高分子を含有することもできる。すなわち、この場合、液晶層3は、高分子構造物7以外に高分子を含み、当該高分子構造物7の密度は、当該液晶層3に含まれる当該高分子の密度より大きいこととなる。液晶層3中には、高分子安定化のための比較的密度の小さい高分子ネットワークが形成されるとともに、一方の基板の特定領域において、上述したような画素間の配向の影響を防止する比較的密度の大きな高分子構造物7が形成されることとなる。
【0068】
本発明において高分子構造物7を形成する方法として、液晶組成物に含有する重合性モノマーを重合させて高分子構造物7を形成する方法が好ましく用いられる。すなわち、この場合、本発明に係る液晶表示装置の製造方法は、第一の基板(TFT基板1)と第二の基板(カラーフィルター基板2)との間に液晶層3を封入する工程を含み、当該工程において、当該液晶層3に用いる母体液晶に重合性モノマーを含有させてなる液晶組成物を当該第一の基板と第二の基板との間に封入するとともに、隣接する画素電極8の間に重合開始剤を局在させ、次いで、当該重合性モノマーを重合させて、隣接する当該画素電極8の間に高分子構造物7を形成する。
【0069】
液晶層3は、液晶材料と数種類の添加物からなる液晶組成物である。この液晶組成物において、高分子構造物7の形成に用いる重合性モノマーの含有量(液晶層3を構成する液晶組成物の総重量に占める重合性モノマーの割合)は、例えば、2.0重量%以下とすることができ、好ましくは1.5重量%以下とすることができる。
【0070】
またこのとき、重合性モノマーの含有量は、より好ましくは1.0重量%以下とすることができる。ただし、本発明の効果を得るには0.5重量%以上必要である。そして、液晶表示装置において最終的に形成される高分子構造物7の液晶層3における含有量も同様に、0.5重量%から2.0重量%の範囲となる。
【0071】
この場合、液晶層3における液晶材料の含有量(液晶層3を構成する液晶組成物の総重量に占める液晶材料の割合)は、例えば、98.0〜99.0重量%とすることができる。なお、液晶組成物に含有される液晶材料としては、ネマチック液晶材料を好ましく用いることができる。
【0072】
液晶層3に含有する重合性モノマーを重合させて高分子構造物7を形成する場合は、当該重合性モノマーを含有する液晶組成物をTFT基板1とカラーフィルター基板2との間に封入し、次いで、当該封入された液晶組成物中で当該重合性モノマーを重合することにより、当該高分子構造物7を形成する。
【0073】
ここで、重合性モノマーとしては、例えば、光を照射することで重合する光重合性モノマーを好ましく用いることができる。すなわち、例えば、二つ以上の官能基を有する光重合性モノマーを好ましく用いることができる。具体的には、芳香環を含む主骨格構造の両末端に官能基としてアクリル基又はメタクリル基の一方又は両方を有する誘導体を好ましく用いることができる。
【0074】
また、高分子構造物7の形成には、例えば、液晶性の重合性モノマーを用いることもできる。この場合、液晶材料は、母体液晶と、液晶性の重合性モノマーと、を含むこととなる。液晶性を示す重合性モノマーを用いることにより、液晶材料を高分子構造物7により安定化する効果を高めることができる。重合性モノマーとしては、これらのうち1種を単独で用いることができ、また、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0075】
光重合性モノマーを用いる場合、高分子構造物7は、TFT基板1とカラーフィルター基板2との間に封入された液晶組成物に、所定の条件を満たす光を照射し、当該液晶組成物に含有する光重合性モノマーを重合させることにより形成される。
【0076】
すなわち、まず、TFT基板1およびカラーフィルター基板2と、液晶材料及び光重合性モノマーを含有する液晶組成物とを準備する。次いで、TFT基板1とカラーフィルター基板2とを貼り合わせるとともに、当該TFT基板1とカラーフィルター基板2との間に液晶組成物を封入する。
【0077】
また、光重合性モノマーを重合させる場合は、光重合開始剤を用いることが好ましい。この光重合開始剤としては、液晶組成物に対する光照射に伴って光重合性モノマーの重合を効果的に進行させるものであれば特に限られず、任意の種類のものを適宜選択して用いることができる。すなわち、例えば、紫外線の照射によってフリーラジカルを発生させて、光重合性モノマーのラジカル重合を効果的に促進する光重合開始剤を好ましく用いることができる。
【0078】
光重合開始剤としては、例えば、9−フルオレノン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、ジベンゾスベロン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、ベンゾイン、2−ベンゾイル安息香酸、4−ベンゾイル安息香酸、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アセトフェノン、2,2−ジエトキシフェニル−アセトフェノン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインメチルエーテル、カンファーキノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−クロロベンゾフェノン、2−エチルアントラキノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾフェノン、メチル−2−ベンゾイル安息香酸エステル、p−アニシルを用いることができる。
【0079】
本発明では、熱重合開始剤も好ましく用いることができる。熱重合開始剤としては2,2−アゾビスイソブチロニトリルなどがある(AIBN)。また、AIBNの高分子量体も製品化されているので、これらを使用することができる。
【0080】
また、後述するように重合開始剤の配向膜への吸着を利用して当該重合開始剤を当該配向膜の特定領域に局在させる場合には、当該配向膜の特定領域に対する吸着性の大きい重合開始剤が好ましい。すなわち、例えば、液晶表示装置が極性の大きな配向膜を有する場合には、極性の大きい重合開始剤を用いることが好ましい。また、重合開始剤は低分子でも高分子でも構わない。
【0081】
また、液晶組成物に含有する重合性モノマーを重合させて高分子構造物7を形成する場合、第一の配向膜103及び第二の配向膜203は、液晶層3に含有される液晶材料を効果的に配向させることのできるものであれば特に限られず、例えば、ポリイミドから構成され、適切な配向処理が施された配向膜を好ましく用いることができる。具体的には、例えば、1,3−ジメチル−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとから形成されたポリイミドからなる配向膜を用いることができる。
【0082】
貼り合わされた一対の基板1,2間の特定領域に高分子構造物7を形成するには、紫外線露光装置を用いてマスク露光するのが一般的であるが、紫外線露光装置と液晶パネルとの位置合わせが難しく、生産性の低下が生じる。ただし、TFT基板1又はカラーフィルター基板2といった単一基板(他の基板と貼り合わされていない基板)に対してマスク露光することは、上述の貼り合わされた一対の基板を有する液晶パネルへの露光と比較して、プロセス上、且つ、コスト上でも有利である。
【0083】
本発明では、紫外線露光装置により、マスク露光(一部露光)ではなく、全面露光することを前提に、TFT基板1とカラーフィルター基板2との間の特定領域に高分子構造物7を形成する方法を使用する。すなわち、隣接する画素電極8の間の特定領域に重合開始剤を局在させることにより、全面露光によって、当該特定領域に高分子構造物7を選択的に形成する。
【0084】
第一の方法として、第一の基板(TFT基板1)及び第二の基板(カラーフィルター基板2)のうち、一方の基板の隣接する画素電極8の間に対応する特定領域に重合開始剤を予め塗布しておくことにより、当該重合開始剤を、隣接する当該画素電極8の間に局在させる。
【0085】
そして、予め特定領域に選択的に重合開始剤が塗布されたTFT基板1又はカラーフィルター基板2に対する全面露光により、当該特定領域に高分子構造物7を選択的に形成する。
【0086】
例えば、インクジェット印刷を用いれば、カラーフィルター基板の任意の位置に重合開始剤を塗布できるので、図5から図8に示した形状の高分子構造物7を形成することができる。また、例えば、反転印刷を利用すれば、TFT基板1又はカラーフィルター基板2の凸部に重合開始剤を予め塗布することができるので、図5又は図6に示した形状の高分子構造物7を形成することができる。なお、この方法により、重合開始剤を、さらに画素電極8の端部領域16に局在させることもできる。
【0087】
紫外線露光装置により全面露光することを前提とした第二の方法として、第一の基板(TFT基板1)及び第二の基板(カラーフィルター基板2)のうち、一方の基板の隣接する画素電極8の間に対応する特定領域の表面エネルギーを、当該特定領域以外の領域の表面エネルギーと異ならせておくことにより、重合開始剤を、隣接する当該画素電極8の間に局在させる。
【0088】
すなわち、例えば、TFT基板1又はカラーフィルター基板2の特定領域に重合開始剤が吸着しやすいように予め表面処理を施しておく。表面処理としては、例えば、マスク露光によって、配向膜の特定領域(例えば、配向膜の表面のうち、ブラックマトリクス13に対応する領域、走査信号線10及び/又は映像信号線11に対応する領域等の画素電極8の境界部分に対応する領域や、画素電極8の端部領域16)に紫外線を照射することにより、当該特定領域の表面エネルギーを、当該特定領域以外の部分の表面エネルギーよりも大きくする処理が考えられる。
【0089】
こうすれば、TFT基板1とカラーフィルター基板2との間に封入された液晶組成物に含有される重合開始剤を特定領域及びその近傍に局在させることができる。すなわち、液晶組成物がTFT基板1とカラーフィルター基板2との間に封入された後、当該液晶組成物に含有される重合開始剤は、他の領域より表面エネルギーの大きな特定領域及びその近傍に局在することとなる。
【0090】
そして、重合開始剤が特定領域に局在した状態で、TFT基板1又はカラーフィルター基板2に対して全面露光を行うことにより、当該特定領域に図5から図8に示した形状の高分子構造物7を選択的に形成することができる。なお、この方法により、重合開始剤を、さらに画素電極8の端部領域16に局在させることもできる。
【0091】
紫外線露光装置により全面露光することを前提とした第三の方法として、TFT基板1又はカラーフィルター基板2の遮光部分を利用する方法がある。すなわち、例えば、カラーフィルター基板2のブラックマトリクス13を遮光部分として利用する。
【0092】
具体的に、例えば、まず、カラーフィルター基板2の配向膜203の表面の全体に光重合開始剤を塗布し、次いで、当該カラーフィルター基板2の絶縁基板201側から、ブラックマトリクス13を介して、当該配向膜203の表面に紫外線を照射する。
【0093】
この結果、配向膜203の塗布された光重合開始剤のうち、ブラックマトリクス13上の光重合開始剤だけが失活せずに残留することになる。すなわち、ブラックマトリクス13に対応する特定領域に光重合開始剤を局在させることができる。
【0094】
もちろん、配向膜203の表面の全体に光重合開始剤を塗布しておき、次いで、当該配向膜203の当該表面側からマスク露光することにより、当該表面のうち特定領域以外の部分に塗布された光重合開始剤を失活させてもよい。なお、この方法により、重合開始剤を、さらに画素電極8の端部領域16に局在させることもできる。
【0095】
また、上述の例では、紫外線露光装置により全面露光することを前提としたが、熱重合開始剤を使用した場合は、この限りでない。すなわち、熱重合開始剤を使用する場合、例えば、液晶表示装置の全体を加熱することにより、当該液晶表示装置の画素電極間及び画素電極の端部領域といった特定領域に高分子構造物7を選択的に形成することができる。
【0096】
このように、本発明に係る液晶表示装置の製造方法においては、TFT基板1又はカラーフィルター基板2のうち一方の基板の特定領域に重合開始剤を局在させ、当該一方の基板の当該特定領域から重合性モノマーの重合を優先的に進行させて高分子構造物7を形成する。したがって、本発明によれば、高い透過率を有し、かつ、生産性効率の高い液晶表示装置及びその製造方法を提供することもできる。
【0097】
また、液晶組成物には、高分子構造物7の形成に加えて、いわゆる高分子安定化の目的で重合性モノマーを添加することもできる。この場合、液晶層3は、高分子構造物7以外に高分子を含み、当該高分子構造物7の密度は、当該液晶層3に含まれる当該高分子の密度より大きいこととなる。
【0098】
すなわち、液晶層3中には、高分子安定化のための比較的密度の小さい高分子ネットワークが形成されるとともに、一方の基板の特定領域には、上述したような高分子構造物7が形成されることとなる。
【0099】
次に、本発明に係る液晶表示パネルの具体的な実施例について説明する。
【実施例1】
【0100】
実施例1では、IPSモードの一つであるFFSモードの液晶表示パネルに高分子構造物7を設けるときの具体的な形成方法及び作用効果について説明する。
【0101】
なお、実施例1では、平面寸法が100mm(長片側)×100mm(短片側)で、対角寸法が約6インチの液晶表示パネルを作製した。この液晶表示パネルの厚みは1.1mmであった。また、1つ画素の大きさ(Py×Px)は600μm×200μmとした。この液晶表示パネルにおける第一の絶縁基板101および第二の絶縁基板201には、それぞれ、表面が研磨された透明なガラス基板を用いた。
【0102】
そして、一方のガラス基板である第一の絶縁基板101上には、図5に示したような走査信号線、映像信号線、TFT素子、画素電極、共通電極及び絶縁層を有する第一の薄膜積層体102と、第一の配向膜103と、を形成し、TFT基板1とした。共通電極の短辺の幅を160μm、画素電極の数を4本、そのラインとスペースを20μmとし、画素電極全体の幅は140μmとした。
【0103】
他方のガラス基板である第二の絶縁基板201上には、ブラックマトリクス、着色層及び平坦化層を有する第二の薄膜積層体202と、第二の配向膜203とを形成し、カラーフィルター基板2とした。ブラックマトリクスの幅を40μmとした。
【0104】
このとき、第一の配向膜103及び第二の配向膜203を構成する材料としては、ポリイミドを採用した。すなわち、まず、ポリイミド樹脂前駆体を印刷機で塗布して焼成し、膜厚が0.07〜0.1μmのポリイミド膜を形成した。
【0105】
その後、当該ポリイミド膜の表面に、液晶層3に含まれる液晶材料を配向させるための配向処理を施して、第一の配向膜103及び第二の配向膜203を形成した。配向処理は、ラビングロールとしてレーヨン製バフ布を備えたラビング機を用いて行なった。ラビング角度は、画素電極の櫛歯方向に対して15度とし、一対の基板1,2の間で平行になるようにした。
【0106】
次に、図5に記載されているように、ポリイミド膜を形成されたカラーフィルター基板2の映像信号線11上のブラックマトリクス13上の配向膜の凸部に重合開始剤として液晶に溶解しにくい2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン(ダロキュア1173、長瀬産業株式会社)の溶解した1wt%エタノール溶液をインクジェット方式により塗布した。そのあと、エタノールを風乾し、カラーフィルター基板2とした。
【0107】
TFT基板1とカラーフィルター基板2との接着は、図1に示した環状のシール材4aを介して行った。すなわち、エポキシ樹脂からなるシール剤の中にポリマビーズを適量混入して複合シール剤を調製し、シールマスクを用いて当該複合シール剤を一方の基板上に印刷することによりシール材4aを形成した。その後、シール材4aを構成する複合シール剤の仮硬化を行い、TFT基板1とカラーフィルター基板2とを組み合わせた。そして、プレスを用いて当該一対の基板を加圧しつつ、シール材4aを完全硬化させた。
【0108】
このとき、TFT基板1、カラーフィルター基板2、及びシール材4aで囲まれた空間(パネル部)には、球形のポリマビーズを狭持し、液晶組成物を封入した状態でのギャップ(厚さd)が4.5μmとなるように調整した。また、このとき、パネル部に液晶組成物を注入するためにシール材4aに設けた液晶注入口の幅は、10mmとした。
【0109】
一方、液晶層3および高分子構造物7の形成に用いる液晶組成物として、重合性モノマー、重合開始剤、及び液晶材料から構成される液晶組成物Aを調製した。重合性モノマーとしては、2官能性アクリルモノマーを用いた。重合開始剤としては、液晶に溶解する2,2−ジエトキシフェニル-アセトフェノン(イルガキュア651、長瀬産業株式会社)を使用した。液晶材料としては、フッ素系ネマチック液晶組成物を使用した。なお、この液晶組成物Aにおける重合性モノマー、重合開始剤、及び液晶材料の重量比率は、それぞれ、1.2重量%、0.1重量%、及び98.7重量%であった。
【0110】
次に、TFT基板1、カラーフィルター基板2、及びシール材4aで囲まれた空間に液晶組成物Aを注入した。すなわち、図示しない密閉可能な容器の中に液晶表示パネルを、その液晶注入口を下方に向けて配置した。また、容器の外部に設けられた上下駆動装置に接続されている液晶皿に液晶組成物Aを入れた。なお、液晶組成物Aは液晶皿中で若干盛り上がった状態で保持された。
【0111】
容器の外部には真空ポンプとピラニ真空計に接続され配管とが設けられた。そして、真空ポンプを作動させ、調整バルブでピラニ真空計をモニタしながら排気量を調整し、真空度が120分で5Paになるまで排気して容器内を減圧した。
【0112】
次いで、上下駆動装置を作動させて液晶注入口を液晶組成物Aに浸漬した。その後、調整バルブを閉じ、リーク配管の調整バルブを開けて、容器内に窒素又は空気を導入して、TFT基板1、カラーフィルター基板2、及びシール材4aで囲まれた空間に液晶組成物Aを注入した。注入が終了した後、液晶注入口を紫外線硬化剤(アクリル性樹脂)でなるシール材4bで封止した。
【0113】
その後、TFT基板1側から紫外線を照射することにより、液晶組成物中において重合性モノマーを重合させる高分子安定化工程を実施した。こうして、液晶組成物Aを用いて形成された液晶層3と高分子構造物7を有する液晶表示パネルを製造した。
【0114】
なお、比較パネルを三つ準備した。比較パネルAにおいては、電極構成のみ変更し、その他の構成は変えなかった。この比較パネルAの電極構成は次のようにした。すなわち、共通電極の短辺の幅を120μm、画素電極の数を3本、そのラインとスペースを20μmとし、画素電極全体の幅は100μmとした。
【0115】
比較パネルBについては、紫外線照射条件とラビング角度のみ変更し、その他の構成は変えなかった。比較パネルBでは、紫外線を照射せず、またラビング角度は画素電極の櫛歯方向に対して60度とし、一対の基板1,2の間で平行になるようにした。
【0116】
比較パネルCについては、紫外線照射条件のみ変更し、その他の構成は変えなかった。比較パネルCでは、紫外線を照射する工程を実施しなかった。
【0117】
そして、このようにして製造された液晶表示パネル及び比較パネルにおける透過率を評価した。透過率は、入射光と出射光との比率により評価した。本実施例では、比較パネルBにおいて最大の透過率を与える液晶配向が実現されていたため、当該比較パネルBを100%として、本実施例の液晶表示パネル及び比較パネルの透過率を算出した。
【0118】
その結果、液晶表示パネルの透過率は65%、比較パネルBの透過率は50%であった。したがって、本実施例の液晶表示パネルの透過率は比較パネルよりも15%向上した。また、本実施例においては、液晶表示パネルの青色画素のみ駆動させたが、赤色や緑色の画素の色漏れはなく、隣接する画素間での液晶配向の影響は見られなかった。これに対し、比較パネルCにおいても青色画素のみ駆動したところ、赤色や緑色の画素の色漏れが観察された。したがって、比較パネルCでは隣接する画素間で液晶配向の影響が生じていることが確認された。
【0119】
次に、液晶表示パネルを分解した後、当該液晶表示パネル中の液晶組成物Aをベンゼンで洗い流した。その後、液晶表示パネル中にベンゼンを入れた状態で0℃に冷却してフリーズドライ法によりベンゼンを除去した。そして、このベンゼンを除去した後の液晶表示パネルの断面を電子顕微鏡で観測した。
【0120】
その結果、図5に示したように、カラーフィルター基板2の映像信号線11上であって、ブラックマトリクス13の下において、当該ブラックマトリクス13と重なる位置に高分子構造物7が観察された。したがって、この高分子構造物7の存在により、液晶表示パネルの駆動時における、隣接する画素間の液晶配向の影響が消失したと考えられた。本実施例では、重合開始剤の濃度が映像信号線11上のブラックマトリクス13上で最も大きくなるため、高分子構造物7が映像信号線11上のブラックマトリクス13上に選択的に形成されたと考えられた。
【0121】
なお、本実施例では、光重合開始剤を使用したが、熱重合開始剤を予め、ブラックマトリクス13上に塗布しておいても同様な効果が得られることは明らかである。また、光重合開始剤でなく、重合開始剤が吸着しやすい高分子材料等を予め特定領域に塗布しておくことにより同様の効果が得られることも明らかである。
【0122】
本実施例では、図5のようにカラーフィルター基板2のブラックマトリクス13上の凸部に高分子構造物7が形成されていたが、図7のようにTFT基板1の映像信号線11上の凸部に高分子構造物7を形成しても、同様な効果が得られる。また、重合開始剤をインクジェット方式により塗布したが、反転印刷で塗布してもかまわない。
【実施例2】
【0123】
実施例2では、実施例1と同様にカラーフィルター基板2のブラックマトリクス13上に重合開始剤を塗布した。この際に、重合開始剤として液晶に溶解しにくい2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン(ダロキュア1173、長瀬産業株式会社)の溶解した1wt%エタノール溶液をインクジェット方式によりカラーフィルター基板2全体に塗布した。その後、絶縁基板201側から紫外線照射し、ブラックマトリクス13上に塗布された重合開始剤以外の重合開始剤を失活させた。本実施例2では、これらの基板処理以外は、実施例1と同様の方法を用いたため、液晶表示パネルの製造手順に関する説明を省略する。
【0124】
このようにして製造された液晶表示パネル及び比較パネルにおける透過率を評価した。その結果、液晶表示パネルの透過率は、比較パネルよりも15%以上向上した。また、液晶表示パネルの青色画素のみ駆動したが、赤色や緑色の画素の色漏れもなく、隣接する間の液晶配向の影響は見られなかった。
【0125】
次に、液晶表示パネルを分解した後、当該液晶表示パネル中の液晶組成物Aをベンゼンで洗い流した。その後、液晶表示パネル中にベンゼンを入れた状態で0℃に冷却してフリーズドライ法によりベンゼンを除去した。そして、このベンゼンを除去した後の液晶表示パネルの断面を電子顕微鏡で観測した。
【0126】
その結果、図8に示したように、カラーフィルター基板2の映像信号線11上のブラックマトリクス13下に、当該ブラックマトリクス13の幅とほぼ同じ幅を有する高分子構造物7が観察された。したがって、この高分子構造物7の存在により、液晶表示パネルの駆動時における、隣接する画素間の液晶配向の影響が消失したと考えられた。本実施例では、重合開始剤の濃度が映像信号線11上のブラックマトリクス13上で最も大きくなるため、高分子構造物7が映像信号線11上のブラックマトリクス13上に選択的に形成されたと考えられた。
【実施例3】
【0127】
実施例3では、実施例1及び実施例2のように、予めTFT基板1やカラーフィルター基板2上に重合開始剤の塗布処理は実施しなかった。ただし、図9に示すように、ブラックマトリクス13上に着色層14や配向膜が塗布されていないカラーフィルター基板2を使用した。本実施例3では、これらの基板処理以外は、実施例1と同様の方法を使用したため、液晶表示パネルの製造手順に関する説明を省略する。
【0128】
このようにして製造された液晶表示パネル及び比較パネルにおける透過率を評価した。その結果、液晶表示パネルの透過率は、比較パネルよりも15%以上向上した。また、液晶表示パネルの青色画素のみ駆動したが、赤色や緑色の画素の色漏れもなく、隣接する間の液晶配向の影響は見られなかった。
【0129】
次に、液晶表示パネルを分解した後、当該液晶表示パネル中の液晶組成物Aをベンゼンで洗い流した。その後、液晶表示パネル中にベンゼンを入れた状態で0℃に冷却してフリーズドライ法によりベンゼンを除去した。そして、このベンゼンを除去した後の液晶表示パネルの断面を電子顕微鏡で観測した。
【0130】
その結果、図9に示したように、カラーフィルター基板2のブラックマトリクス13下に、当該ブラックマトリクス13の幅とほぼ同じ幅を有する高分子構造物7が観察された。したがって、本実施例では重合開始剤がブラックマトリクス13上に選択的に吸着されたため、高分子構造物7がブラックマトリクス13に重なるように形成されたと考えられた。その結果、この高分子構造物7の存在により、液晶表示パネルの駆動時における、隣接する画素間の液晶配向の影響が消失したと考えられた。
【実施例4】
【0131】
実施例4においても、実施例1及び実施例2のように、予めTFT基板1やカラーフィルター基板2上に重合開始剤の塗布処理は実施しなかった。ただし、図10に示すように、TFT基板1の配向膜103の表面のうち、映像信号線11に対応する特定領域に紫外線を選択的に照射することにより、当該特定領域の極性が、当該配向膜103の他の領域より高くなっているTFT基板1を作製した。本実施例4では、これらの基板処理以外は、実施例1と同様の方法を使用したため、液晶表示パネルの製造手順に関する説明を省略する。
【0132】
このようにして製造された液晶表示パネル及び比較パネルにおける透過率を評価した。その結果、液晶表示パネルの透過率は、比較パネルよりも15%以上向上した。また、液晶表示パネルの青色画素のみ駆動したが、赤色や緑色の画素の色漏れもなく、隣接する間の液晶配向の影響は見られなかった。
【0133】
次に、液晶表示パネルを分解した後、当該液晶表示パネル中の液晶組成物Aをベンゼンで洗い流した。その後、液晶表示パネル中にベンゼンを入れた状態で0℃に冷却してフリーズドライ法によりベンゼンを除去した。そして、このベンゼンを除去した後の液晶表示パネルの断面を電子顕微鏡で観測した。
【0134】
その結果、図10に示したように、TFT基板1の特定領域上に、当該特定領域の幅と同じ幅を有する高分子構造物7が観察された。したがって、この高分子構造物7の存在により、液晶表示パネルの駆動時における、隣接する画素間の液晶配向の影響が消失したと考えられた。本実施例では、重合開始剤が特定領域上に選択的に吸着された結果、当該特定領域上に高分子構造物7が選択的に形成されたと考えられた。
【0135】
本実施例では、配向膜103のうち特定領域上の部分に紫外線を照射ししたが、当該特定領域上の部分に、当該配向膜103の他の部分より極性の高い配向膜を塗布しても同様な効果が得られることは明らかである。
【実施例5】
【0136】
実施例5においては、図11Aに示すようにカラーフィルター基板2上の配向膜203のうち、画素電極8の端部領域16に紫外線を照射し、当該端部領域16の極性が他の領域より高くなっているカラーフィルター基板2を作製した。本実施例5では、これらの基板処理以外は、実施例1と同様の方法を使用したため、液晶表示パネルの製造手順に関する説明を省略する。
【0137】
このようにして製造された液晶表示パネル及び比較パネルにおける透過率を評価した。その結果、液晶表示パネルの透過率は比較パネル同程度であったが、当該液晶表示パネルの駆動時に、画素電極8の端部領域16の液晶は電界応答せず、ディスクリネーションの発生は見られなかった。
【0138】
次に、液晶表示パネルを分解した後、当該液晶表示パネル中の液晶組成物Aをベンゼンで洗い流した。その後、液晶表示パネル中にベンゼンを入れた状態で0℃に冷却してフリーズドライ法によりベンゼンを除去した。そして、このベンゼンを除去した後の液晶表示パネルの断面を電子顕微鏡で観測した。
【0139】
その結果、図11Bに示したように、カラーフィルター基板2の配向膜203のうち、画素電極8の端部領域16に高分子構造物7が観察された。したがって、この高分子構造物7の存在により、液晶表示パネルの駆動時に端部領域16の液晶は電界応答せず、ディスクリネーションが発生しなかったと考えられた。本実施例では、配向膜のうち、予め紫外線照射された部分に重合開始剤が選択的に吸着された結果、当該当該部分に高分子構造物7が選択的に形成されたと考えられた。
【0140】
以上、本発明を、上述の実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、上述の実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々変更可能であることはもちろんである。
【0141】
また、真空封入ではなく、ODF(滴下封入)によって液晶組成物を封入することにより液晶層3を形成した場合であっても、同様に、透過率に優れ、かつ、信頼性にも優れた液晶表示パネル(液晶表示装置)を提供することができる。
【符号の説明】
【0142】
1 TFT基板、101 第一の絶縁基板、102 第一の薄膜積層体、103 第一の配向膜、2 カラーフィルター基板、201 第二の絶縁基板、202 第二の薄膜積層体、203 第二の配向膜、3 液晶層、4a,4b シール材、5 第一の偏光板、6 第二の偏光板、7 高分子構造物、8,8U,8D 画素電極、8a 櫛歯部、9 共通電極、10 走査信号線、11 映像信号線、12 TFT素子、13 ブラックマトリクス、14,14L,14R,14U,14D 着色層、16 端部領域、17a,17b 電界方向、18 プレチルト方向、PC,PL,PR,PU,PD 画素。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の基板と、第二の基板と、前記第一の基板と前記第二の基板との間に封入された液晶層と、を有し、一方が画素電極である第一の電極及び第二の電極を有する画素が複数設けられた液晶表示装置であって、
前記第一の電極及び第二の電極が前記第一の基板及び前記第二の基板のうち一方に設けられ、
隣接する前記画素電極の間に高分子構造物が形成されている
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記高分子構造物は、色の異なる隣接する前記画素の前記画素電極の間に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記第一の基板及び第二の基板のうち、一方の基板にカラーフィルターが形成されており、前記高分子構造物は、前記カラーフィルターが形成されている前記一方の基板側に形成されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記高分子構造物は、ブラックマトリクスと重なる領域に形成されている
ことを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記高分子構造物は、前記一対の電極が形成されている前記一方の基板側に形成されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記高分子構造物は、走査信号線及び映像信号線の一方又は両方と重なる領域に形成されている
ことを特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記高分子構造物は、さらに前記画素電極の端部を含む領域に形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記液晶層は、前記高分子構造物以外に高分子を含み、
前記高分子構造物の密度は、前記液晶層に含まれる前記高分子の密度より大きい
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記高分子構造物は、前記液晶層において重合性モノマーを重合して形成された
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記高分子構造物は、前記液晶層において光重合開始剤の存在下で高分子前駆体を重合して形成された
ことを特徴とする請求項9に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記高分子構造物は、前記液晶層において熱重合開始剤の存在下で高分子前駆体を重合して形成された
ことを特徴とする請求項9に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
第一の基板と第二の基板との間に封入された液晶層を有し、一方が画素電極である第一の電極及び第二の電極を有する画素が複数設けられた液晶表示装置の製造方法であって、
前記第一の基板と前記第二の基板との間に前記液晶層を封入する工程を含み、
前記工程において、前記液晶層に用いる母体液晶及び重合性モノマーを含有する液晶組成物を前記第一の基板と前記第二の基板との間に封入するとともに、隣接する前記画素電極の間に重合開始剤を局在させ、次いで、前記重合性モノマーを重合させて、隣接する前記画素電極の間に高分子構造物を形成する
ことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記液晶組成物は、前記重合開始剤を含む
ことを特徴とする請求項12に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項14】
前記重合開始剤は、光重合開始剤である
ことを特徴とする請求項13に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項15】
前記重合開始剤は、熱重合開始剤である
ことを特徴とする請求項13に記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項16】
前記第一の基板及び前記第二の基板のうち、一方の基板の隣接する前記画素電極の間に対応する特定領域に前記重合開始剤を予め塗布することにより、前記重合開始剤を、隣接する前記画素電極の間に局在させる
ことを特徴とする請求項12乃至15のいずれかに記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項17】
前記第一の基板及び前記第二の基板のうち、一方の基板の隣接する前記画素電極の間に対応する特定領域の表面エネルギーを、前記特定領域以外の領域の表面エネルギーと異ならせておくことにより、前記重合開始剤を、隣接する前記画素電極の間に局在させる
ことを特徴とする請求項12乃至15のいずれかに記載の液晶表示装置の製造方法。
【請求項18】
前記重合開始剤を、さらに前記画素電極の端部に対応する領域に局在させる
ことを特徴とする請求項12乃至17のいずれかに記載の液晶表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−186410(P2011−186410A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−54688(P2010−54688)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【出願人】(506087819)パナソニック液晶ディスプレイ株式会社 (443)
【Fターム(参考)】