説明

液晶表示装置

【課題】擬似インパルス駆動を行う液晶表示装置において、画像のフレームレートが低くても、フリッカが発生しにくいようにする。
【解決手段】液晶表示装置の倍速変換部は、フレームレートが50ヘルツの第1画像データをフレームレートが120ヘルツの第2画像データとして出力し、明暗切替による擬似インパルス駆動を行う。倍速変換部は、第1画像データの1フレームに対しフレームレートが120ヘルツの2つの明画像及び暗画像のフレームを生成し第2画像データに含め、さらに、第1画像データの連続する5フレーム毎に、当該5フレームから選択した2フレームにそれぞれ対応するように2つの挿入フレームを第2画像データに含める。第1画像データの5フレーム毎に、第2画像データが明暗画像の10フレームと2つの挿入フレームからなる12フレームを含むので、フリッカが発生しにくい120ヘルツで擬似インパルス駆動を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、擬似インパルス駆動により液晶パネルに画像を表示させてホールド効果を低減させる機能を有する液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置においては、CRTのようなインパルス表示と異なり、所定時間(例えばフレームレートが60ヘルツの場合60分の1秒間)だけ同一フレームの画像がホールド表示される。このため、画像が次のフレームの画像に切り替わっても、ユーザの視覚において、網膜残像効果により前フレームが残像として残り、動画像表示時に、その動画像がぼやけて見えるホールド効果が発生する。従来より、ホールド効果を低減させて画質を向上させるため、液晶パネルの駆動方法として、液晶パネルに表示させる元の画像の1フレーム分に対して2フレームの画像を表示させるような、いわゆる擬似インパルス駆動方法が提案されている。擬似インパルス駆動方法としては、元の画像のフレームの表示時間を少なくしてその画像と次フレームの画像との間に黒画面やグレー画面の挿入を行う方法(いわゆる黒挿入やグレー挿入)や、例えば特許文献1に開示されているような、元の画像に基づき生成した輝度の高い明画像と輝度が低い暗画像とを高速で交互に表示させる(以下、明暗切り替えと称する)方法が知られている。このような駆動方法においては、例えば、元の画像のフレームレートの2倍のフレームレートで明画像と暗画像と又は元の画像と黒画像とを切り替えて液晶パネルに表示させるため、同一の画像を表示する時間を短くしてホールド効果を低減させることができ、例えば場面の切り替わりが速い動画をより鮮明に視聴可能にすることができる。
【0003】
ところで、上記のような擬似インパルス駆動時においては、液晶パネルに輝度の異なる画像を切り替えて表示させるため、ユーザにはフリッカ(ちらつき)が生じて画質が低下しているように感じられることがある。擬似インパルス駆動時のフリッカの発生は、特に元の画像のフレームレートが低い場合に顕著である。例えば、一般に、NTSC方式のテレビジョン放送等の60ヘルツの画像を表示させる場合、擬似インパルス駆動時には120ヘルツで液晶パネルに輝度の異なる画像が切り替え表示されるが、この場合、フリッカの発生はあまり問題にならない。しかしながら、PAL方式のテレビジョン放送等の50ヘルツの画像を100ヘルツで擬似インパルス駆動により切り替え表示させた場合、特許文献1に記載されているように、120ヘルツの場合とは異なり、ユーザの視覚の特性上、フリッカの発生が問題となる。なお、特許文献1には、明フィールドと暗フィールドの階調補正を行うことによりフリッカを低減することが開示されているが、このような解決策ではホールド効果を低減させる効果が小さくなる可能性があるという問題がある。
【0004】
なお、特許文献2には、フレームレートを150ヘルツ以上に変更して外光の影響によるフリッカを防止する液晶表示装置が開示されている。また、特許文献3及び特許文献4には、液晶表示装置において、駆動周波数が外部の光の周波数の整数倍になるようにしてフリッカを低減することが開示されている。しかしながら、液晶パネルでは駆動電圧に対する追従性が問題となり、例えばPAL方式の50ヘルツを3倍のフレームレートの150ヘルツにまでした場合、適切に画像を表示可能な高価な液晶パネルを用いる必要があるため、液晶表示装置の製造コストが高くなるという問題が生じる。また、特許文献2乃至特許文献4には、上記のような擬似インパルス駆動時にフリッカが発生するという問題に対する解決策は何ら開示されていない。
【特許文献1】特開2006−343706号公報
【特許文献2】特許3967183号公報
【特許文献3】特開平11−194749号公報
【特許文献4】特開2002−202772号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、表示させる画像のフレームレートが低くても、フリッカが発生しにくいように擬似インパルス駆動を行って画質を向上させることができる液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、複数の画素により画像を表示するように構成された液晶パネルと、前記液晶パネルに表示させるための画像データを所定の第1フレームレートで出力する制御部と、前記制御部から入力された第1画像データに基づき、当該第1画像データの1フレームに対応するように、少なくとも当該第1画像データに基づく画像のフレーム及び当該画像より暗い暗画像のフレームの2フレームを含み、前記第1フレームレートより高い第2フレームレートで第2画像データを出力する擬似インパルス駆動機能を有する倍速変換部と、前記倍速変換部から出力された第2画像データに基づいて前記液晶パネルの各画素を駆動する駆動部とを備えた液晶表示装置において、前記倍速変換部は、前記第1画像データの連続するm(mは2以上の整数)フレーム毎に、当該mフレームから選択されたn(nは1以上m未満の整数)個のフレームにそれぞれ対応する、前記第1画像データに基づく画像のフレーム及び前記暗画像のフレームとは別のn個の挿入フレームをさらに含む第2画像データを出力するように構成されており、それにより第2フレームレートを第1フレームレートに対して任意の倍率にすることができフリッカの発生を防止することができるように構成されているものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記挿入フレームは、そのフレームが対応する前記第1画像データのフレームの画像と略同一輝度の画像を示すように構成されているものである。
【0008】
請求項3の発明は、前記第1画像データの第1フレームレートが50ヘルツであり、前記倍速変換部は、前記第1画像データの連続する5フレーム毎に、当該5フレームから選択された2個のフレームにそれぞれ対応する挿入フレームをさらに含み、第2フレームレートが120ヘルツである第2画像データを出力するように構成されているものである。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記倍速変換部は、前記挿入フレームが対応する第1画像データのフレームが第1画像データ中で連続しないように、当該挿入フレームを第2画像データに含めるように構成されているものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、第2画像データは、連続するmフレーム毎に選択されたフレームにさらに挿入フレームが加えられるので、擬似インパルス駆動に用いられる第2画像データの第2フレームレートを、例えば、第1フレームレートの2倍よりもさらに少し高く、且つ、第1フレームレートの3倍よりも少し低い値にする等、第1フレームレートに対して任意の倍率にすることができる。従って、表示させる画像の第1フレームレートが低くても、第2フレームレートを第1フレームの整数倍より少し高くしてフリッカが発生しにくいように擬似インパルス駆動を行い、画質を向上させることができる。
【0011】
請求項2の発明によれば、第2画像データにさらに含められる挿入フレームの画像の輝度がそのフレームが対応する第1フレームの画像の輝度と略同一であるので、挿入フレームが含められることによるユーザの視覚における輝度の変化を無くすことができ、フレームレートを高くした擬似インパルス駆動をユーザに違和感を生じさせることなく行うことができる。
【0012】
請求項3の発明によれば、第1画像データの第1フレームレートが例えばPAL方式のように50ヘルツであっても、第2フレームレートを第1フレームの2.4倍の120ヘルツとして、フリッカが発生しないようにして擬似インパルス駆動を行うことができ、画質を向上させることができる。
【0013】
請求項4の発明によれば、第2画像データ中の挿入フレームの位置が分散するので、ユーザに違和感を与えることなく第2フレームレートを高くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る液晶表示装置の一例を示す。液晶表示装置1は、例えばテレビジョン放送受像機である。液晶表示装置1は、液晶パネル2と、外部のアンテナ(図示せず)等から入力された信号を選局するチューナ3と、液晶表示装置1の各部を制御する制御部4と、制御部4に制御されてチューナ3を制御し、チューナ3に受信する信号を選局させる選局部3aと、チューナ3から制御部4を経由して入力された画像データである第1画像データのフレームレートを変換する機能及びいわゆる擬似インパルス駆動機能を有する倍速変換部5と、倍速変換部5から出力された第2画像データに基づき液晶パネル2を駆動する駆動部6と、制御部4により用いられる種々の設定情報等が記憶される記憶部7と、例えば外部のパーソナルコンピュータ等や光ディスクレコーダ等から画像データを入力可能な外部入力部10等で構成されている。制御部4は、例えばチューナ3により受信された信号に基づく画像データを倍速変換部5に出力するか、外部入力部10から入力された画像データを倍速変換部5に出力するかを切替制御可能に構成されており、液晶表示装置1は、多種の画像ソースによる画像を視聴可能に構成されている。
【0015】
液晶パネル2は、バックライト(図示せず)と、その前面に縦方向及び横方向に行列をなすように配列された複数の画素(図示せず)を有している。液晶パネル2の各画素は、駆動部6からの駆動電圧が印加されることによりその駆動電圧に応じてバックライトからの光の透過率を変更する液晶素子である。すなわち、液晶パネル2は、駆動部6により各画素が制御部4から倍速変換部5を経由し出力された第2画像データに対応する階調で駆動されて、その各画素の階調の濃淡により、チューナ3により選局された入力信号に対応する画像を表示する。駆動部6は、第2画像データの出力レベルに応じた駆動電圧で各画素を駆動する。本実施形態において、液晶パネル2は、例えば、RGB各色それぞれ256階調で各画素を駆動可能に構成されており、いわゆるカラー画像を表示可能に構成されている。
【0016】
制御部4は、例えばマイコン等により構成されている。制御部4は、チューナ3から入力された入力信号を処理して画像データを生成する信号処理部4aを有している。信号処理部4aは、液晶パネル2に表示する画像のブライトネスやコントラスト等の調整処理や入力信号に対するガンマ補正処理等を行い、例えばPAL方式等に基づく50ヘルツの第1フレームレートの液晶パネル2に表示させる画像の画像データを生成する。生成された画像データは、制御部4から出力され、倍速変換部5に入力される。
【0017】
倍速変換部5は、フレームメモリ5aを有している。フレームメモリ5aは、例えば少なくとも1フレーム分の画像データを記憶可能なものである。倍速変換部5は、第1画像データの1フレーム毎に、当該フレームの画像の輝度を明暗それぞれ変換した画像を示す2フレームを含む第2画像データを出力する機能を有している。本実施形態において、倍速変換部5は、例えば50ヘルツの第1フレームレートの第1画像データに対し、例えばその2.4倍となる120ヘルツの第2フレームレートの第2画像データを出力することにより、いわゆる明暗切り替えによる擬似インパルス駆動機能を実行するように構成されている。
【0018】
倍速変換部5は、先ず、制御部4から画像データが第1画像データとして入力されると、その画像データのフレームレートを、50ヘルツより高い第2フレームレートに変更する。このとき、倍速変換部5は、例えば第1フレームレートに対し2.4倍となる120ヘルツの第2フレームレートの第2画像データを生成するために、第1画像データ1フレームを、そのフレームに対し表示時間が1/2.4倍となる2フレームの画像データに変換(フレームレート変換)する。そして、それと同時に、倍速変換部5は、例えばフレームレート変換後の1フレームの画像データを、フレームメモリ5aに一時的に記憶させる。
【0019】
次に、倍速変換部5は、フレームレートを変換した画像データについて、予め倍速変換部5に設定されている2つのガンマ変換テーブルに基づいて輝度レベル変換(ガンマ変換)を行う。図2はガンマ変換テーブルの一例をグラフ状に示す。倍速変換部5には、第1ガンマ変換テーブルTaと第2ガンマ変換テーブルTbが設定されている。各ガンマ変換テーブルTa,Tbは、倍速変換部5に入力された第1画像データの輝度レベル(入力レベル)と倍速変換部5から出力される第2画像データの輝度レベル(出力レベル)との対応関係がルックアップテーブルとして予め設定されたものである。本実施形態において、第1ガンマ変換テーブルTaでは、入力レベル(例えば、図においてI≒On)に対応する出力レベル(図においてOa)が大きく、ガンマ変換を経ると画像が明るくなるように設定されており、第2ガンマ変換テーブルTbでは、入力レベル(図においてI≒On)に対応する出力レベル(図においてOb)が大きく、ガンマ変換を経ると画像が暗くなるように設定されている。また、同一入力レベル(例えば、図においてI)の画像データについて、第1ガンマ変換テーブルにおける出力レベル(図においてOa)と第2ガンマ変換テーブルにおける出力レベル(図においてOb)とは、液晶パネル2の特性を鑑み、例えば両出力レベルの平均(図においてOn)が略入力レベルに等しくなるように設定されている。これにより、ガンマ変換を経た画像を用いて後述の擬似インパルス駆動を行ったとき、ユーザの視覚において画像の輝度が第1画像データの画像の輝度と略同一となるように構成されている。倍速変換部5は、第1画像データのフレームレートを変換し、第1画像データの1フレームについて2フレームの画像データを生成すると、その一方のフレームについてガンマ変換を第1ガンマ変換テーブルに基づいて行い、他方のフレームについてガンマ変換を第2ガンマ変換テーブルに基づいて行う。これにより、第1画像データの1フレームについて、その第1画像データの画像より輝度が高い明画像と第1画像データの画像より輝度が低く暗い暗画像との2つのフレームが生成される。
【0020】
ここで、倍速変換部5は、上記フレームレート変換及びガンマ変換を行って生成されたフレームに、所定の挿入フレームをさらに加えて、第2画像データとして出力するように構成されている。図3は、第1画像データと第2画像データの一例を示す。挿入フレームは、上述のガンマ変換により生成された明画像と暗画像の2種類のフレームに加えてさらに第2画像データ中に含められたフレームである。本実施形態において、例えば、フレームメモリ5aに記憶されたフレームがそのまま挿入フレームとして用いられる。従って、挿入フレームは、その画像の輝度が第1画像データのフレームの画像と略同一であって、1フレーム当たりの表示時間が明画像や暗画像のフレームと等しいものである。挿入フレームは、第1画像データの連続する5フレームを1セットとし、その1セット毎に、当該5フレームから選択された2個のフレームにそれぞれ対応するように、第2画像データ中に含められる。第1フレームレートが50ヘルツの第1画像データの連続する5フレームについて第2フレームレートが120ヘルツの10フレームに単純に変換した場合、その10フレームの表示時間(1/12秒)が第1画像データの5フレームの表示時間(1/10秒)より短くなるが、1セットの第1画像データのフレームに対応する第2画像データ中に挿入フレームを2フレーム加えることにより、第2フレームレートでの12フレームの表示時間(1/10秒)を第1フレームレートでの5フレームの表示時間と等しくすることができる。これにより、第1フレームレートに対し2.4倍の第2フレームレートに変更した第2画像データを、第1画像データに対応する適正時間で画像を表示可能に出力することができる。
【0021】
図3及び図4を参照しつつ、倍速変換部5が出力する第2画像データについて説明する。図4は、第2画像データに含まれる各フレームの出力レベルを図2と同様のグラフ上にプロットしてなる図である。各図において、第1画像データの各フレームについて付した符号のうち小括弧内の数字は、そのフレームが、連続する5フレームのうち何番目のフレームに対応するものであるかを示している。第2画像データの各フレームについて付した符号のうち小括弧内の数字は、その第2画像データのフレームが、第1画像データの連続する5フレームのうち何番目のフレームに対応するものであるかを示している。また、その小括弧に続いて記されている数字は、第2画像データのフレームが、小括弧内の数字が示す第1画像データのフレームに対応する第2画像データのフレームのうち何番目のフレームに対応するものであるかを示している。
【0022】
図3に示すように、本実施形態において、第1画像データの各フレームについて、第2画像データのフレームは、明画像のフレーム(図に「明」と示す)、暗画像のフレーム(図に「暗」と示す)の順に2フレームが並べられ、そしてその第1画像データのフレームについて挿入フレームが含められる場合には、暗画像のフレームの次に、3番目のフレームとして挿入フレーム(図に「挿入」と示す)が配置される。挿入フレームは、第1画像データの連続する5フレームから選択された、その5フレーム中の2番目のフレーム(2)と5番目のフレーム(5)にそれぞれ対応するように、第2画像データ中に含められる。具体的には、第1画像データのフレーム(1)に対応するように、第2画像データを構成する明画像のフレーム(1)−1と暗画像のフレーム(1)−2が含められ、その次の第1画像データのフレーム(2)に対応するように、明画像のフレーム(2)−1と暗画像のフレーム(2)−2が順に配された後に輝度が第1画像データのフレーム(2)の画像と略等しい挿入フレーム(2)−3が含められる。以後、第2画像データにおいて、この規則と同様に、各フレームが明画像(3)−1、暗画像(3)−2、明画像(4)−1、暗画像(4)−2、明画像(5)−1、暗画像(5)−2と並び、最後に、第1画像データのフレーム(5)に対応するように挿入フレーム(5)−3が含められる。
【0023】
なお、図3において、第1画像データのフレームと第2画像データのフレームとの対応関係を明確に示すために、便宜上、第1画像データと第2画像データの各フレームが互いに対応するものに揃うように図示しているが、実際には、第2画像データにおいて第1画像データの現フレーム(例えば、フレーム(1))に対応するフレーム(フレーム(1)−2)を出力したのち、第1画像データの当該フレーム(フレーム(1))の表示時間が終了する前に、第1画像データの次フレーム(フレーム(2))に対応する明画像のフレーム(フレーム(2)−1)を出力するので、倍速変換部は、第1画像データが入力されてから、若干遅れたタイミングでその第1画像データに対応する第2画像データを出力する。
【0024】
倍速変換部5は、入力された第1画像データの連続する5フレームを1セットとして、フレームレート変換及びガンマ変換を行って2つの挿入フレームを含む計12フレームからなる第2画像データを生成することを繰り返して行い、連続して第2画像データを出力する。倍速変換部5から第2画像データが出力されると、その第2画像データに基づき駆動部6により液晶パネル2が駆動される。第2画像データは、図3に示すように、一部に含められた挿入フレームを除いて明画像のフレームと暗画像のフレームとを交互に含んでおり、液晶パネル2において擬似インパルス駆動により画像が表示されるので、画質を向上させることができる。
【0025】
このように、本実施形態においては、倍速変換部5は、液晶パネル2に表示させる画像の第1フレームレートが例えば50ヘルツという低いものであっても、第2フレームレートが第1フレームレートの2倍よりも少し高くフリッカが発生しにくい120ヘルツである第2画像データを出力することができ、フリッカが発生しにくいように擬似インパルス駆動を行って、画質を向上させることができる。また、第2画像データにさらに含められる挿入フレームの画像の輝度がそのフレームが対応する第1フレームの画像の輝度と略同一であるので、挿入フレームが含められることによるユーザの視覚における輝度の変化を無くすことができ、フレームレートを高くした擬似インパルス駆動をユーザに違和感を与えることなく行うことができる。
【0026】
また、本実施形態において、挿入フレームは第1画像データの1セットのフレームのうち2番目のフレーム(2)と5番目のフレーム(5)に対応するように第2画像データに含められることは上述の通りである。ここで、挿入フレームを第2画像データに含める際、挿入フレームをどの第1画像データのフレームに対応させるかについての選択にあたっては、挿入フレームに対応する第1画像データのフレームが第1画像データ中で連続しないように考慮されている。すなわち、第1画像データにおいて、挿入フレームが対応させて含められるフレーム(2)とフレーム(5)との間には2つのフレーム(3),(4)があり、フレーム(5)とその次のフレーム(2)との間には1つのフレーム(1)があり、フレーム(2),(5)は第1画像データ中で連続していない。このように挿入フレームが対応する第1画像データのフレームを連続しないように選択することにより、第2画像データ中で挿入フレームの位置が分散し、擬似インパルス駆動により表示される第1画像データの連続する2フレーム分の画像の両方共に挿入フレームが含まれないので、ユーザに挿入フレームを第2画像データに含めていることによる違和感をほとんど与えずに、フレームレートを高めた擬似インパルス駆動を実行させることができる。なお、このように第1画像データの1セットのフレームに対応し2つの挿入フレームを第2画像データに含める場合、例えば、挿入フレームが対応する第1画像データのフレームの組み合わせとして、上述のフレーム(2),(5)の組み合わせの他、フレーム(1),(3)、フレーム(1),(4)、フレーム(2),(4)、フレーム(3),(5)の各組み合わせを選択してもよく、いずれの場合にも上記と同様の効果を得ることができる。
【0027】
なお、本実施形態において、第2画像データ中の明画像のフレームと暗画像のフレームの並び順は、上記とは逆であってもよい。図5は、このように並び順が上記とは逆となるように構成されている場合の第1画像データと第2画像データとを示す。図に示すように、第2フレームにおいて、同一の第1画像データのフレームにそれぞれ対応する2つ又は3つの第2画像のフレームは、暗画像のフレーム、明画像のフレーム、そして挿入フレームが含まれる場合には挿入フレーム、の順番で並べられている。このような場合であっても、暗画像と明画像が交互に切り替わる擬似インパルス駆動により、ホールド効果を低減し画質を向上させることができ、かつ、第2フレームレートを高めてフリッカが発生しないようにすることができる。
【0028】
図6は、本発明の第2実施形態に係る液晶表示装置の倍速変換部に入力される第1画像データ及び倍速変換部から出力される第2画像データを示す。第2実施形態において、倍速変換部の構成のみが第1実施形態と異なり、他の部位の構成は第1実施形態と同様であるため、第2実施形態については、倍速変換部の構成についてのみ説明し、また、倍速変換部の図示も省略する。第2実施形態において、倍速変換部はいわゆる黒挿入方式により擬似インパルス駆動機能を行うことができるように構成されている点で第1実施形態と異なる。すなわち、倍速変換部は、入力された第1画像データについて第1フレームレート(例えば50ヘルツ)を変換し、第1画像データの1フレームについて一組の第2フレームレート(例えば120ヘルツ)の2フレームに変換したのち、各一組の2フレームのうち一方のフレームを、その画像の輝度を所定の輝度調整ルックアップテーブルに基づいて高くした第1画像データに基づく明画像のフレームとし、他方のフレームを当該明画像より暗い黒画像のフレーム(図6において「黒」と示す)に置き換える。そして、倍速変換部は、上述と同様に、第1画像データの連続する5フレームを1セットとして、1セット毎に対応する第2画像データとして、上記第2フレームレートの黒画像及び明画像の一組のフレームを第1画像データの5フレーム分すなわち計10フレームと、第1フレームの対応するフレームと輝度が同一である第1実施形態と同様の挿入フレームを2フレームとの12フレームを含める。このとき、図に示すように、2つの挿入フレームは、それぞれ、第1実施形態と同様に、例えば第1画像データのフレーム(2),(5)に対応するようにして、第2画像データ中に含められる。このように挿入フレームを第2画像データに含めることにより、第1フレームレートに対し2.4倍の第2フレームレートに変更した第2画像データを、第1画像データに対応する適正時間で画像を表示可能に出力することができる。
【0029】
第2画像データは、図に示すように、一部に含められた挿入フレームを除いて黒画像のフレームと高輝度画像のフレームとを交互に含んでいる。従って、第2実施形態においては、液晶パネル2において第2フレームレート(例えば120ヘルツ)で挿入フレームの画像が一部表示される他は黒画像と高輝度画像が交互に切り替わる擬似インパルス駆動により画像が表示されるので、液晶パネル2を介して視聴される画像の輝度をあまり低下させずに、ホールド効果を低減させて高画質な画像を視聴可能にすることができる。第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、液晶パネル2に表示させる画像の第1フレームレートが例えば50ヘルツという低いものであっても、第2フレームレートが第1フレームレートの2倍よりも少し高い2.4倍の120ヘルツである第2画像データを出力することができ、フリッカが発生しにくいように擬似インパルス駆動を行って、画質を向上させることができる。なお、黒画像のフレームの代わりに、明画像より暗いグレー画像のフレームを第2画像データに含めたグレー挿入方式による擬似インパルス駆動を行うように構成されていてもよい。
【0030】
なお、本発明は上記第1実施形態及び第2実施形態の構成に限定されるものではなく、発明の趣旨を変更しない範囲で適宜に種々の変形が可能である。例えば、倍速変換部は、50ヘルツに限らない種々の第1フレームレートの第1画像データが入力されると、その第1フレームレートに対して2.4倍に限らない任意の倍率の第2フレームレートで第2画像データを出力するように構成することができる。すなわち、倍速変換部は、第1画像データの連続するm(mは2以上の整数)フレーム毎に、当該mフレームから選択されたn(nは1以上m未満の整数)個のフレームにそれぞれ対応する、第1画像データに基づく明暗画像や黒画像のフレームとは別のn個の挿入フレームをさらに含む第2画像データを出力するように構成することにより、第2フレームレートを第1フレームに対して任意の倍率にして第2画像データを出力可能することができる。また、挿入フレームとしては、上述したような、その挿入フレームが対応する第1画像データのフレームの画像と略同一輝度のものに限られず、例えば明暗画像いずれかを挿入フレームとして繰り返し用いたり、その他の画像を用いたりしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置の一例を示すブロック図。
【図2】上記液晶表示装置の倍速変換部のガンマ変換テーブルの特性を示すグラフ。
【図3】上記倍速変換部に入力される第1画像データと同第1画像データに応じて同倍速変換部から出力される第2画像データとの関係を示すタイムチャート。
【図4】上記倍速変換部のガンマ変換テーブルと第1画像データ及び第2画像データの各フレームとの関係を示すグラフ。
【図5】第1実施形態の一変形例に係る第1画像データと第2画像データの関係を示すタイムチャート。
【図6】本発明の第2実施形態に係る液晶表示装置の倍速変換部に入力される第1画像データと同第1画像データに応じて同倍速変換部から出力される第2画像データとの関係を示すタイムチャート。
【符号の説明】
【0032】
1 液晶表示装置
2 液晶パネル
4 制御部
5 倍速変換部
6 駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素により画像を表示するように構成された液晶パネルと、
前記液晶パネルに表示させるための画像データを所定の第1フレームレートで出力する制御部と、
前記制御部から入力された第1画像データに基づき、当該第1画像データの1フレームに対応するように、少なくとも当該第1画像データに基づく画像のフレーム及び当該画像より暗い暗画像のフレームの2フレームを含み、前記第1フレームレートより高い第2フレームレートで第2画像データを出力する擬似インパルス駆動機能を有する倍速変換部と、
前記倍速変換部から出力された第2画像データに基づいて前記液晶パネルの各画素を駆動する駆動部とを備えた液晶表示装置において、
前記倍速変換部は、前記第1画像データの連続するm(mは2以上の整数)フレーム毎に、当該mフレームから選択されたn(nは1以上m未満の整数)個のフレームにそれぞれ対応する、前記第1画像データに基づく画像のフレーム及び前記暗画像のフレームとは別のn個の挿入フレームをさらに含む第2画像データを出力するように構成されており、それにより第2フレームレートを第1フレームレートに対して任意の倍率にすることができフリッカの発生を防止することができるように構成されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記挿入フレームは、その挿入フレームが対応する前記第1画像データのフレームの画像と略同一輝度の画像を示すように構成されていることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記第1画像データの第1フレームレートが50ヘルツであり、
前記倍速変換部は、前記第1画像データの連続する5フレーム毎に、当該5フレームから選択された2個のフレームにそれぞれ対応する挿入フレームをさらに含み、第2フレームレートが120ヘルツである第2画像データを出力するように構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記倍速変換部は、前記挿入フレームが対応する第1画像データのフレームが第1画像データ中で連続しないように、当該挿入フレームを第2画像データに含めるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−162943(P2009−162943A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−341203(P2007−341203)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【出願人】(503193351)株式会社イクス (28)
【Fターム(参考)】