説明

液晶表示装置

【課題】黒の表示において特定の色を目立たなくできる液晶表示装置を提供する
【解決手段】液晶表示装置は、赤のカラーフィルタ172Rを含んで構成される画素に配置されたスペーサ118と、緑のカラーフィルタ172Gを含んで構成される画素に配置されたスペーサ118と、青のカラーフィルタ172Bを含んで構成される画素に配置されたスペーサ118とを備えることで、色が相殺され、よって、黒の表示において特定の色を目立たなくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタを有する液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置では、液晶層内にその厚さを維持すべくスペーサが配置される。スペーサは、その周辺の液晶分子を目的方向とは異なる方向に向かせてしまう。そうすると、例えば、黒を表示する際、光を遮断すべき液晶層を光が通過してしまうことがある。これを光漏れという。光漏れは、例えば黒の表示の際における色ムラとして視認される。また、光漏れは、コントラスト比を低下させ、見栄えを悪くする。
【0003】
正の誘電率異方性を有する液晶を使用する場合において、液晶分子をTN(Twisted Nematic)配向やホモジニアス配向すべく、配向膜を布などでラビングする際、スペーサ周辺のラビングが不十分となりやすい。そのため、スペーサ周辺では特に光漏れが発生しやすい。
【0004】
色ムラの程度は、漏れた光の量に応じたものとなる。逆に、漏れる光の量を低減すれば色ムラを低減できる。よって、スペーサを、光の透過率が高い緑のカラーフィルタの領域内に配置するのでなく、光の透過率が低い青や赤のカラーフィルタの領域内に配置することで、光漏れと色ムラと見栄えの悪さを低減できる。
【0005】
こうした上で、負の誘電率異方性を有する液晶を使用する場合にあっては、スペーサは例えば遮光性を有する電極の領域内に配置される。電極がスペーサ周辺の光を遮断し、光漏れと色ムラと見栄えの悪さを低減できるのである。
【0006】
図8に示すように、仮にスペーサ118の位置ずれにより、その一部が電極151の領域外に出てしまうと、垂直になるべき液晶分子1041がスペーサ118の周辺では傾斜し、周辺では光漏れが生じてしまう。しかし、予めスペーサ118を青や赤のカラーフィルタ172の領域内に配置することで、光漏れと色ムラと見栄えの悪さを低減できる。
【0007】
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
【特許文献1】特開2006−18238号公報
【特許文献2】特開2007−3779号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、スペーサを青や赤のカラーフィルタの領域内に配置した液晶表示装置にあっては、例えばスペーサの位置ずれより、黒を表示する際に青や赤が目立ってしまうという問題が生じる。
【0009】
仮にスペーサを緑のカラーフィルタの領域内に配置した場合、スペーサの位置ずれより漏れる光の量が多いので、黒を表示する際に、コントラスト比が低下し、見栄えが悪くなってしまうという問題が生じる。
【0010】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、黒の表示において特定の色を目立たなくできる液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、第1の本発明に係る液晶表示装置は、互いに対向するアレイ基板および対向基板と、アレイ基板と対向基板に挟持される液晶層と、アレイ基板または対向基板に配置される赤、緑および青のカラーフィルタと、赤のカラーフィルタを含んで構成される画素に配置されたスペーサと、緑のカラーフィルタを含んで構成される画素に配置されたスペーサと、青のカラーフィルタを含んで構成される画素に配置されたスペーサとを備え、前記緑のカラーフィルタおよび前記スペーサを有する画素数が、前記赤のカラーフィルタおよび前記スペーサを有する画素数以下であり、前記緑のカラーフィルタおよび前記スペーサを有する画素数が、前記青のカラーフィルタおよび前記スペーサを有する画素数以下であることを特徴とする。
【0012】
第1の本発明に係る液晶表示装置によれば、赤のカラーフィルタを含んで構成される画素に配置されたスペーサと、緑のカラーフィルタを含んで構成される画素に配置されたスペーサと、青のカラーフィルタを含んで構成される画素に配置されたスペーサとを備え、緑のカラーフィルタおよびスペーサを有する画素数が、赤のカラーフィルタおよびスペーサを有する画素数以下であり、緑のカラーフィルタおよびスペーサを有する画素数が、青のカラーフィルタおよびスペーサを有する画素数以下であることで、緑のカラーフィルタを通過して漏れる光の量が比較的に少なくなり、よって、色の相殺がなされ、さらにコントラスト比を比較的高くして見栄えを比較的良くすることができる。
【0013】
第2の本発明に係る液晶表示装置は、前記赤のカラーフィルタおよび前記スペーサを有する画素数と、前記緑のカラーフィルタおよび前記スペーサを有する画素数と、前記青のカラーフィルタおよび前記スペーサを有する画素数とが、略同数であることを特徴とする。
【0014】
第2の本発明に係る液晶表示装置によれば、赤のカラーフィルタおよびスペーサを有する画素数と、緑のカラーフィルタおよびスペーサを有する画素数と、青のカラーフィルタおよびスペーサを有する画素数とが、略同数であることで、色が相殺されて殆ど無くなり、よって、黒の表示において特定の色を殆ど目立たなくできる。
【0015】
第3の本発明に係る液晶表示装置は、前記スペーサを有する画素数に対する前記赤のカラーフィルタおよびスペーサを有する画素数の割合は、20%以上であり、前記スペーサを有する画素数に対する前記緑のカラーフィルタおよびスペーサを有する画素数の割合は、20%以上であり、前記スペーサを有する画素数に対する前記青のカラーフィルタおよびスペーサを有する画素数の割合は、20%以上であることを特徴とする。
【0016】
第3の本発明に係る液晶表示装置によれば、スペーサを有する画素数に対する赤のカラーフィルタおよびスペーサを有する画素数の割合は、20%以上であり、スペーサを有する画素数に対する青のカラーフィルタおよびスペーサを有する画素数の割合は、20%以上であることで、スペーサを有する画素数に対する緑のカラーフィルタおよびスペーサを有する画素数の割合が60%を超えて、緑のカラーフィルタを通過して漏れる光の量が大きくなりすぎることがなく、よって、特定の色が目立たないにも拘わらず、コントラスト比が低すぎて見栄えが悪くなりすぎるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、赤のカラーフィルタを含んで構成される画素に配置されたスペーサと、緑のカラーフィルタを含んで構成される画素に配置されたスペーサと、青のカラーフィルタを含んで構成される画素に配置されたスペーサとを備えることで、色の相殺がなされ、よって、黒の表示において特定の色を目立たなくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明に係る液晶表示装置の一実施の形態について図を参照して説明する。
【0019】
図1は、本実施の形態に係る液晶表示装置の斜視図である。液晶表示装置1は、アレイ基板101と、このアレイ基板101に対向配置されて外縁シール部材103で貼り合わせられた対向基板102と、これらの基板間に形成された液晶層104を有する液晶表示パネル100を備える。液晶層104に用いる液晶分子は、例えば、負の誘電率異方性液晶分子からなるものであるが、これとは異なる特性を有する液晶分子を用いてもよい。液晶表示パネル100において、画像を表示する表示領域110は、外縁シール部材103によって囲まれた領域内に形成され、その外周に沿って周辺領域120が形成される。
【0020】
図2は、図1で示す液晶表示装置1の回路図である。複数の信号線X1〜Xnと複数の走査線Y1〜Ymが交差するように形成され、図1で示す周辺領域120において、アレイ基板101は、走査線Y1〜Ymを駆動する走査線駆動回路121と、信号線X1〜Xnを駆動する信号線駆動回路122を備える。表示領域110において、アレイ基板101は、マトリクス状に配置されたm×n個の画素電極131を備える。一方、対向基板102は、液晶層104を挟んで全ての画素電極131に対向する対向電極173を備える。
【0021】
アレイ基板101は、これら画素電極131の行方向に沿って形成され、走査線駆動回路121によって駆動されるm本の走査線Y1〜Ym、これら画素電極131の列方向に沿って形成され、信号線駆動回路122によって駆動されるn本の信号線X1〜Xnを備える。また、アレイ基板101は、m×n個の画素電極131に対応して走査線Y1〜Ymおよび信号線X1〜Xnの交差箇所近傍に、スイッチング素子として配置されたm×n個の薄膜トランジスタすなわち画素TFT140を備える。また、アレイ基板101は、各画素電極131の箇所に、それと同電位となるように補助容量電極151を備える。
【0022】
アレイ基板101は、各補助容量電極151に接続された補助容量線152と、各補助容量線152および対向電極173に接続された対向電極駆動回路123を備える。対向電極駆動回路123は、各補助容量線152および対向電極173を所定の電位に制御するものである。補助容量は、各補助容量電極151とそれに接続された補助容量線152で構成される。
【0023】
図3は、図2に示す走査線Yと信号線Xの交差箇所近傍における断面図である。
【0024】
アレイ基板101は、ガラス基板などの透明な絶縁性基板111を有し、その背面には、位相差板と偏光板とを重ねた偏光素子PL1が設けられる。表示領域110においては、絶縁性基板111上に、アンダーコート層112が形成される。このアンダーコート層112上には、画素TFT140が形成される。この画素TFT140は、アンダーコート層112上に半導体層141がポリシリコン膜によって形成され、半導体層141は、チャネル領域141Cならびに、その両側にそれぞれ不純物をドープすることによって形成されたドレイン領域141D及びソース領域141Sから構成される。また、アンダーコート層112上には、不純物ドープされたポリシリコン膜によって補助容量電極151が形成される。
【0025】
アンダーコート層112、半導体層141および補助容量電極151の上には、ゲート絶縁膜142が形成される。このゲート絶縁膜142上には、ゲート電極143と、それと一体の走査線Yと、補助容量線152が形成される。補助容量線152の一部は補助容量電極151に対向している。補助容量線152は、走査線Yと同一の材料によって形成され、走査線Yに対して略平行に形成される。
【0026】
ゲート絶縁膜142、ゲート電極143、走査線Yおよび補助容量線152の上には、層間絶縁膜113が形成される。この層間絶縁膜113上には、ドレイン電極144と、それと一体に信号線Xと、ソース電極145と、コンタクト電極153が形成される。信号線Xは、走査線Yおよび補助容量線152に対して略直交するように形成される。信号線X、走査線Y、及び補助容量線152は、遮光性を有する低抵抗材料によって形成される。例えば、走査線Y及び補助容量線152は、モリブデン−タングステンによって形成され、信号線Xは、多くの場合、アルミニウムによって形成される。
【0027】
ドレイン電極144およびソース電極145は、ゲート絶縁膜142及び層間絶縁膜113を貫通するコンタクトホール114Aおよび114Bをそれぞれ介して、ドレイン領域141Dおよびソース領域141Sにそれぞれ接続される。また、コンタクト電極153は、ゲート絶縁膜142及び層間絶縁膜113を貫通するコンタクトホール154を介して、補助容量電極151に接続される。コンタクト電極153は、信号線Xと同一材料によって形成され、信号線Xに接続されているので、ソース電極145、画素電極131および補助容量電極151は同電位となる。
【0028】
表示領域110には、透明樹脂層115が形成され、周辺領域120には、遮光層(図示せず)が形成される。表示領域110において、実際には、層間絶縁膜113、ドレイン電極144、ソース電極145、走査線Y、信号線Xおよびコンタクト電極153の上に、透明樹脂層115が形成される。この透明樹脂層115上に、ITO(Indium Tin Oxide)等の光透過性導電部材によって画素電極131が形成される。
【0029】
画素電極131は、透明樹脂層115を貫通するスルーホール117を介して、画素TFT140のソース電極145に接続される。また、透明樹脂層115上には、例えば、高さ3.0μmの柱状のスペーサ118が形成される。
【0030】
透明樹脂層115、画素電極131の上に、スペーサ118までも覆うように、配向膜119が形成される。配向膜119は、液晶層104に含まれる液晶分子をアレイ基板101に対して略垂直な方向に配向するものである。アレイ基板101に外縁シール部材103(図1を参照)で貼り合わせられた対向基板102は、ガラス基板などの透明な絶縁性基板171を有し、その前面には、位相差板と偏光板とを重ねた偏光素子PL2が設けられる。
【0031】
表示領域110では、絶縁性基板171上に、赤、青または緑のカラーフィルタ172が形成され、その上には、全ての画素電極131に対向するように対向電極173が形成される。対向電極173は、ITO等の光透過性導電部材によって形成される。対向電極173上には、液晶層104の液晶分子を対向基板102に対して略垂直な方向に配向する配向膜174が形成される。
【0032】
なお、ここでは、画素電極131および反射電極上には配向膜119を、対向電極173上には配向膜174を、それぞれ直接形成している。この絶縁膜は、例えば、SiO2、SiNx、Al2O3などの無機系薄膜、ポリイミド、フォトレジスト樹脂、高分子液晶など有機系薄膜などである。その他、液晶分子を配向させる手段として、樹脂で形成される絶縁膜による突起等を形成してもよい。
【0033】
絶縁膜が無機系薄膜の場合には、蒸着法、スパッタ法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法、あるいは溶液塗布法などによって形成すればよい。また、絶縁膜が有機系薄膜の場合には、有機物質の溶液またはその前駆体溶液を用いて、スピンナー塗布法、スクリーン印刷塗布法、ロール塗布法などで塗布し、所定の硬化条件(加熱、光照射など)で硬化させ形成する方法、あるいは蒸着法、スパッタ法、CVD法、LB(Langumuir-Blodgett)法などで形成すればよい。
【0034】
図4は、スペーサ118と補助容量電極151とカラーフィルタ172の相対的な位置を示す平面図である。補助容量電極151の上側に3つのスペーサ118が配置され、各スペーサ118の上側に赤のカラーフィルタ(カラーフィルタ172R)、緑のカラーフィルタ(カラーフィルタ172G)および青のカラーフィルタ(カラーフィルタ172B)がそれぞれ配置される。
【0035】
本実施の形態では、各カラーフィルタの領域に構成されたもので画素が構成される。例えば、赤の1画素は、赤のカラーフィルタ172Rと、その領域に配置された画素電極131や画素TFT140などで構成される。
【0036】
[実施例]
次に、液晶表示装置1についての3つの実施例と1つの比較例を説明する。比較例は、本実施の形態に係る液晶表示装置と同様な液晶表示装置であるが、青のカラーフィルタを有する画素にのみスペーサが配置されていることが異なっている。
【0037】
[共通構成]
各実施例と比較例に共通な構成を説明する。
【0038】
アレイ基板101および対向基板102の配向膜119、174の厚さは100nmである。画素のピッチは、50μmである。液晶層104は、負の誘電率異方性をもつ液晶分子からなるものである。配向膜119、174の厚さは100nmである。
【0039】
スペーサ118は、透明のネガレジストで形成したものである。スペーサ118の高さは略3μmであり、スペーサ118の底面は直径略12μmの円である。スペーサの底面の合計面積は、表示領域110の面積の1%である。
【0040】
図5に示すように、スペーサ118をその一部が補助容量電極151の領域外に出るように5μmずらしており、これにより、光漏れが発生している。スペーサの位置ずれは、顕微鏡で確認した。
【0041】
図6は、各実施例などにおける特徴的な構成および得られた特性値を示す図である。特性値の1つである黒色度をグラフで示した図である。
【0042】
[実施例1]
実施例1では、スペーサを有する画素数に対する赤のカラーフィルタおよびスペーサを有する画素数の割合Rrは、1/3であり、約33%である。
【0043】
また、スペーサを有する画素数に対する緑のカラーフィルタおよびスペーサを有する画素数の割合Rgは、1/3であり、約33%である。
【0044】
また、スペーサを有する画素数に対する青のカラーフィルタおよびスペーサを有する画素数の割合Rbは、1/3であり、約33%である。
【0045】
実施例1では、黒色度(x,y)=(0.362,0.294)であり、コントラスト比は、500:1であった。特定の色が目立つことはなく、コントラスト比の高さにより見栄えの良さも実感できた。
【0046】
実施例1では、各色ごとでは色が目立ってしまうところを実際には色の相殺がなされ、結果的に特定の色が目立たなくなったと考えられる。
【0047】
また、実施例1では、画素数の割合により、色が相殺されて殆ど無くなり、黒の表示において特定の色が殆ど目立たなくなったと考えられる。
【0048】
[実施例2]
実施例2では、スペーサを有する画素数に対する赤のカラーフィルタおよびスペーサを有する画素数の割合Rrは、40%である。
【0049】
また、スペーサを有する画素数に対する緑のカラーフィルタおよびスペーサを有する画素数の割合Rgは、20%である。
【0050】
また、スペーサを有する画素数に対する青のカラーフィルタおよびスペーサを有する画素数の割合Rbは、40%である。
【0051】
実施例2では、黒色度(x,y)=(0.295,0.282)であり、コントラスト比は、550:1であった。特定の色が目立つことはなく、コントラスト比の高さにより見栄えの良さも実感できた。
【0052】
実施例2では、色の相殺により、結果的に特定の色が目立たなくなったと考えられる。
【0053】
また、実施例2では、緑のカラーフィルタおよびスペーサを有する画素数を少なくしたことで、緑のカラーフィルタを通過して漏れる光の量が比較的に少なくなり、さらにコントラスト比が比較的高くなり見栄えが比較的良くなったと考えられる。
【0054】
[実施例3]
実施例3では、スペーサを有する画素数に対する赤のカラーフィルタおよびスペーサを有する画素数の割合Rrは、20%である。
【0055】
また、スペーサを有する画素数に対する緑のカラーフィルタおよびスペーサを有する画素数の割合Rgは、60%である。
【0056】
また、スペーサを有する画素数に対する青のカラーフィルタおよびスペーサを有する画素数の割合Rbは、20%である。
【0057】
実施例3では、黒色度(x,y)=(0.305,0.312)であり、コントラスト比は、400:1であった。また、特定の色が目立つことはなかった。コントラスト比の低さにより見栄えの悪さが若干実感されが、その程度は小さかった。
【0058】
実施例3では、色の相殺により、結果的に特定の色が目立たなくなったと考えられる。
【0059】
また、実施例3では、青のカラーフィルタおよびスペーサを有する画素数の割合、赤のカラーフィルタおよびスペーサを有する画素数の割合を共に少なくしすぎなかったことで、緑のカラーフィルタを通過して漏れる光の量が大きくなりすぎることがなかったと考えられる。よって、コントラスト比が低くすぎることがなく、見栄えも悪くなりすぎることがなかったと考えられる。
【0060】
[比較例]
比較例では、スペーサを有する画素数に対する赤のカラーフィルタおよびスペーサを有する画素数の割合Rrは、0%であり、つまり、後者の画素数は0である。
【0061】
スペーサを有する画素数に対する緑のカラーフィルタおよびスペーサを有する画素数の割合Rgは、0%であり、つまり、後者の画素数は0である。
【0062】
スペーサを有する画素数に対する青のカラーフィルタおよびスペーサを有する画素数の割合Rbは、100%である。
【0063】
つまり、比較例では、上記のように青のカラーフィルタを有する画素にのみスペーサが配置されている。
【0064】
比較例では、黒色度(x,y)=(0.261,0.251)であり、コントラスト比は、570:1であった。コントラスト比の高さは実感できたが、青が目立ってしまった。
【0065】
比較例では、色の相殺がなされず、結果的に特定の青が目立ってしまったと考えられる。
【0066】
したがって、本実施の形態に係る液晶表示装置によれば、互いに対向するアレイ基板および対向基板と、アレイ基板と対向基板に挟持される液晶層と、アレイ基板または対向基板に配置される赤、緑および青のカラーフィルタと、赤のカラーフィルタを含んで構成される画素に配置されたスペーサと、緑のカラーフィルタを含んで構成される画素に配置されたスペーサと、青のカラーフィルタを含んで構成される画素に配置されたスペーサとを備えることで、色が相殺され、よって、黒の表示において特定の色を目立たなくすることができる。
【0067】
また、実施例1のように、赤のカラーフィルタおよびスペーサを有する画素数と、緑のカラーフィルタおよびスペーサを有する画素数と、青のカラーフィルタおよびスペーサを有する画素数とが、略同数であることで、色が相殺されて殆ど無くなり、よって、黒の表示において特定の色を殆ど目立たなくすることができる。
【0068】
また、実施例2のように、緑のカラーフィルタおよびスペーサを有する画素数が、赤のカラーフィルタおよびスペーサを有する画素数以下であり、緑のカラーフィルタおよびスペーサを有する画素数が、青のカラーフィルタおよびスペーサを有する画素数以下であることで、緑のカラーフィルタを通過して漏れる光の量が比較的に少なくなり、よって、さらにコントラスト比を比較的高くし見栄えを比較的良くすることができる。
【0069】
また、実施例3のように、スペーサを有する画素数に対する赤のカラーフィルタおよびスペーサを有する画素数の割合は、20%以上であり、スペーサを有する画素数に対する青のカラーフィルタおよびスペーサを有する画素数の割合は、20%以上であることで、スペーサを有する画素数に対する緑のカラーフィルタおよびスペーサを有する画素数の割合が60%を超えて、緑のカラーフィルタを通過して漏れる光の量が大きくなりすぎることがなく、よって、特定の色が目立たないにも拘わらず、コントラスト比が低すぎて見栄えが悪くなりすぎるのを防止することができる。
【0070】
なお、本実施の形態では、カラーフィルタを対向基板102に設けたが、カラーフィルタをアレイ基板101に設けてもよい。また、本実施の形態では、負の誘電率異方性液晶分子からなる液晶層104を用いたが、これとは異なる特性を有する液晶分子からなる液晶層を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本実施の形態に係る液晶表示装置の斜視図である。
【図2】図1に示す液晶表示装置の回路図である。
【図3】図1に示す液晶表示装置の液晶表示パネルの部分的な断面図である。
【図4】図1に示す液晶表示装置におけるスペーサと補助容量電極とカラーフィルタの相対的な位置を示す平面図である。
【図5】各実施例におけるスペーサと補助容量電極とカラーフィルタの相対的な位置を示す平面図である。
【図6】各実施例などにおける特徴的な構成および得られた特性値を表で示す図である。
【図7】各実施例などにおける黒色度をグラフで示した図である。
【図8】従来の液晶表示装置の液晶表示パネルの部分的な断面図である。
【符号の説明】
【0072】
1…液晶表示装置
100…液晶表示パネル
101…アレイ基板
102…対向基板
104…液晶層
110…表示領域
118…スペーサ
172…カラーフィルタ
172B…青のカラーフィルタ
172G…緑のカラーフィルタ
172R…赤のカラーフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向するアレイ基板および対向基板と、
前記アレイ基板と前記対向基板に挟持される液晶層と、
前記アレイ基板または前記対向基板に配置される赤、緑および青のカラーフィルタと、
前記赤のカラーフィルタを含んで構成される画素に配置されたスペーサと、
前記緑のカラーフィルタを含んで構成される画素に配置されたスペーサと、
前記青のカラーフィルタを含んで構成される画素に配置されたスペーサと
を備え、
前記緑のカラーフィルタおよび前記スペーサを有する画素数が、前記赤のカラーフィルタおよび前記スペーサを有する画素数以下であり、
前記緑のカラーフィルタおよび前記スペーサを有する画素数が、前記青のカラーフィルタおよび前記スペーサを有する画素数以下である
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記赤のカラーフィルタおよび前記スペーサを有する画素数と、前記緑のカラーフィルタおよび前記スペーサを有する画素数と、前記青のカラーフィルタおよび前記スペーサを有する画素数とが、略同数である
ことを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記スペーサを有する画素数に対する前記赤のカラーフィルタおよびスペーサを有する画素数の割合は、20%以上であり、
前記スペーサを有する画素数に対する前記緑のカラーフィルタおよびスペーサを有する画素数の割合は、20%以上であり、
前記スペーサを有する画素数に対する前記青のカラーフィルタおよびスペーサを有する画素数の割合は、20%以上である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−180915(P2009−180915A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−19539(P2008−19539)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(302020207)東芝モバイルディスプレイ株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】