説明

液晶表示装置

【課題】中小型のTFT液晶表示パネルに対して適用可能な黒挿入駆動方法を実現し、動画を表示する際の残像感を低減し、消費電力を低減する液晶表示装置を提供する。
【解決手段】液晶表示装置1では、保持容量駆動部500が2種類の第1及び第2の保持容量駆動電圧V1,V2を利用して画素に画像信号が供給されてから次の画像信号が供給されるまでの期間内の20%以上80%以内に保持容量に印加する電圧レベルをシフトさせて、画素電圧Pixelの電位を黒方向の電位にシフトさせるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、黒挿入駆動方法を用いる液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アクティブマトリクス型液晶ディスプレイは、液晶の応答速度が遅く、また、ホールド駆動型であるため、動画表示において残像感や動画ボケを感じる場合がある。この動画表示における残像感や動画ボケを改善するため、様々な試みがなされている。
【0003】
液晶の応答速度を改善する試みとしては、例えば、前画像フレームと現画像フレームとの画像信号を比較し、その比較結果に応じたオーバードライブ電圧を画像信号に重畳させて、液晶の応答時間を1フレーム期間以内(例えば、16.6ms)にする駆動方法が考案されている。この駆動方法は、すでに液晶テレビ等で用いられている。
【0004】
液晶のホールド型駆動を改善する試みとしては、例えば、ホールド型駆動からインパルス型駆動に変更する試みがなされている。インパルス型駆動にする方法としては、一度正規の画像信号で1画面分の表示を行った後、黒の画像信号で1画面分の表示を行い、1画面表示と黒表示を交互に繰り返すといった黒挿入駆動方法が考案されている。また、他のインパルス型駆動にする方法としては、1フレーム期間の約40%期間はバックライトを消灯させる駆動方法が考案されている。全画面のバックライトを消灯させると、画面の上方と下方で動画ボケの改善効果に差がでてしまうため、バックライトを上から下に向かって消灯させるようにスキャンする方法も考案されている。
【0005】
以上のように、液晶の応答速度及びホールド型駆動を改善する様々な方法が考案されているが、これらの技術は特に回路規模が小さく低消費電力が要求される中小型の液晶ディスプレイに適用することは困難である。例えば、大型の液晶テレビではバックライトとしてCCFL(Cold Cathode Fluorescent Lamp:冷陰極管)やLED(Light Emitting Diode)を多数用いるため、上記のようにバックライトスキャン技術を適用することが可能であるが、中小型の液晶ディスプレイでは、CCFLが1灯か2灯、LEDは1灯から3灯程度であり、バックライトスキャン技術を適用することができない。
【0006】
また、黒挿入技術では1フレーム期間以内に2回画像信号を書き込まなければならず、駆動周波数が高くなり消費電力が増加するため、回路規模が小さく低消費電力が要求される中小型の液晶ディスプレイに適用することは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−280600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の一実施形態によれば、中小型の液晶ディスプレイに対して適用可能な黒挿入駆動方法を実現し、中小型の液晶ディスプレイの動画表示における残像感や動画ボケを改善する液晶表示装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態に係る液晶表示装置によれば、所定方向に配列されて、各々が薄膜トランジスタと保持容量を有する複数の画素と、前記複数の画素の各薄膜トランジスタのゲートに接続される複数のゲートラインと、前記複数の画素の各保持容量の一端に接続される複数の保持容量ラインと、1フレーム期間内に前記複数のゲートラインを駆動するゲート駆動部と、前記1フレーム期間内に前記複数の保持容量ラインに供給する電圧を変化させて、前記複数の画素に供給する画素電圧を黒表示電位にシフトさせる保持容量駆動部と、を具備したことを特徴とする。
【0010】
また、前記保持容量駆動部は、前記複数の画素に画像信号が供給されてから次の画像信号が供給されるまでの期間内に前記複数の保持容量ラインに供給する電圧を第1のレベルから第2のレベルに変化させて、前記複数の画素に供給する画素電圧を黒表示電位にシフトさせてもよい。
【0011】
また、前記保持容量駆動部は、前記複数の画素に画像信号が供給されてから次の画像信号が供給されるまでの期間内の20%以上から80%以内の期間に前記複数の保持容量ラインに供給する電圧を前記第1のレベルから前記第2のレベルに変化させて、前記複数の画素に供給する画素電圧を黒表示電位にシフトさせてもよい。
【0012】
また、前記保持容量駆動部は、前記複数の画素に画像信号が供給されてから前記保持容量ラインに供給する電圧を前記第1のレベルから前記第2のレベルに変化させるまでを画像表示期間とし、前記保持容量ラインに供給する電圧を前記第2のレベルに変化させてから前記次の画像信号が前記複数の画素に供給されるまでを黒表示期間としてもよい。
【0013】
また、前記保持容量駆動部は、前記複数の画素に画像信号が供給されてから前記保持容量ラインに供給する電圧を前記第1のレベルから前記第2のレベルに変化させるまでを黒表示期間とし、前記保持容量ラインに供給する電圧を前記第2のレベルに変化させてから前記次の画像信号が前記複数の画素に供給されるまでを画像表示期間としてもよい。
【0014】
また、前記保持容量駆動部は、前記ゲート駆動部が前記複数のゲートラインを駆動する方向と同一の方向で前記複数の保持容量ラインを駆動してもよい。
【0015】
また、前記保持容量駆動部は、制御信号、第1及び第2のクロックが入力され、前記第1及び第2のクロックに基いて前記制御信号をラッチして第1の出力信号を出力し、前記第1及び第2のクロックに基づいて前記第1の出力信号をラッチして第2の出力信号を出力するシフトレジスタと、前記第1の出力信号が入力されて前記第1の出力信号をn番反転させて、前記第2の出力信号が入力されて前記第2の出力信号をn+1番反転させるバッファと、前記n番反転された前記第1の出力信号に応答して互いに異なる電圧レベルを有する第1及び第2の保持容量駆動電圧のうちのいずれか1つを選択して出力し、前記n+1番反転された前記第2出力信号に応答して前記第1及び第2の保持容量駆動電圧のうちのいずれか1つを選択して出力する電圧レベル選択部と、を含むようにしてもよい。
【0016】
また、前記複数の画素に対向して配置される共通電極と、前記1フレーム期間内に前記共通電極に直流電圧を供給する共通電極電圧発生部と、をさらに具備してもよい。
【0017】
また、前記複数の保持容量ラインに供給する電圧を変化させる複数種類の電圧を前記保持容量駆動部に供給する電圧発生部をさらに具備してもよい。
【0018】
また、本発明の一実施形態に係る液晶表示装置によれば、所定方向に配列されて、各々が薄膜トランジスタと保持容量を有する複数の画素と、前記複数の画素の各薄膜トランジスタのゲートに接続される複数のゲートラインと、前記複数の画素の各保持容量の一端に接続される複数の保持容量ラインと、1フレーム期間内に前記複数のゲートラインを駆動するゲート駆動部と、前記1フレーム期間内に前記複数の保持容量ラインに供給する電圧を第1のレベルに変化させて、前記複数の画素に供給する画素電圧とは異なる画像表示電位にシフトさせた後、前記複数の保持容量ラインに供給する電圧を第2のレベル又は第3のレベルに変化させて、前記複数の画素に供給する画素電圧を黒表示電位にシフトさせる保持容量駆動部と、を具備することを特徴とする。
【0019】
また、前記保持容量駆動部は、前記複数の画素に画像信号が供給されてから次の画像信号が供給されるまでの期間内に前記複数の保持容量ラインに供給する電圧を前記第1のレベルから前記第2のレベル又は前記第3のレベルに変化させてもよい。
【0020】
また、前記保持容量駆動部は、前記複数の画素に画像信号が供給されてから次の画像信号が供給されるまでの期間内の20%以上から80%以内の期間に前記複数の保持容量ラインに供給する電圧を前記第1のレベルから前記第2のレベル又は前記第3のレベルに変化させてもよい。
【0021】
また、前記複数の画素に画像信号が供給されてから前記保持容量ラインに供給する電圧を前記第1のレベルから前記第2のレベル又は前記第3のレベルに変化させるまでを画像表示期間とし、前記保持容量ラインに供給する電圧を前記第2のレベル又は前記第3のレベルに変化させてから前記次の画像信号が前記複数の画素に供給されるまでを黒表示期間としてもよい。
【0022】
また、前記複数の画素に画像信号が供給されてから前記保持容量ラインに供給する電圧を前記第2のレベル又は前記第3のレベルに変化させるまでを黒表示期間とし、前記保持容量ラインに供給する電圧を前記第2のレベル又は前記第3のレベルに変化させてから前記次の画像信号が前記複数の画素に供給されるまでを画像表示期間としてもよい。
【0023】
また、前記保持容量駆動部は、前記ゲート駆動部が前記複数のゲートラインを駆動する方向と同一の方向で前記複数の保持容量ラインを駆動してもよい。
【0024】
また、前記保持容量駆動部は、第1の制御信号、第1及び第2のクロックが入力され、前記第1及び第2のクロックに基づいて前記第1の制御信号をラッチして第1の出力信号を出力し、前記第1及び第2のクロックに基いて前記第1の出力信号をラッチして第2の出力信号を出力し、第2の制御信号、第1及び第2のクロックが入力され、前記第1及び第2のクロックに基づいて前記第2の制御信号をラッチして第3の出力信号を出力し、前記第1及び第2のクロックに基づいて前記第3の出力信号をラッチして第4の出力信号を出力するシフトレジスタと、前記第1及び第3の出力信号に基づいて第1乃至第3の選択信号を出力する第1の選択制御回路及び前記第2及び第4の出力信号に基づいて第4乃至第6の選択信号を出力する第2の選択制御回路を含むバッファと、前記第1乃至第3の選択信号に応答して互いに異なる電圧レベルを有する第1乃至第3の保持容量駆動電圧のうちのいずれか1つを選択して出力する第1スイッチング群及び前記第4乃至第6の選択信号に応答して前記第1乃至第3の保持容量駆動電圧のうちのいずれか1つを選択して出力する第2のスイッチング群を含む電圧レベル選択部と、を含むようにしてもよい。
【0025】
前記複数の画素に対向して配置される共通電極と、前記1フレーム期間内に前記共通電極に直流電圧を供給する共通電極電圧発生部と、をさらに具備してもよい。
【0026】
また、前記複数の保持容量ラインに供給する電圧を変化させる複数種類の電圧を前記保持容量駆動部に供給する電圧発生部をさらに具備してもよい。
【0027】
また、本発明の一実施形態に係る液晶表示装置によれば、所定方向に配列されて、各々が薄膜トランジスタと保持容量を具備する複数の画素と、前記複数の画素の各薄膜トランジスタのゲートに接続される複数のゲートラインと、前記複数の画素の各保持容量の一端に接続される複数の保持容量ラインと、クロック信号、画像信号及び制御信号を出力するタイミング制御部と、外部から電源電圧が入力され、前記タイミング制御部からの制御信号に応答してゲート電圧信号、共通電圧信号及び複数の保持容量電圧信号を出力する電圧発生部と、前記タイミング制御部からのクロック信号及び前記電圧発生部からのゲート電圧信号に応答して1フレーム期間内に前記複数のゲートラインを駆動するゲート駆動部と、前記複数の保持容量電圧信号が入力され、前記タイミング制御部からのクロック信号及び制御信号に応答して前記1フレーム期間内に前記複数の保持容量ラインに供給される電圧を変化させて前記複数の画素に供給される画素電圧を黒表示電位にシフトさせる維持容量駆動部と、前記複数の画素に対向して配置される共通電極と、前記1フレーム期間内に前記共通電極に直流電圧を供給する共通電極電圧発生部と、を具備することを特徴とする。
【0028】
また、前記保持容量駆動部は、前記複数の画素に画像信号が供給されてから、次の画像信号が供給されるまでの期間が20%以上から80%以内の期間に前記複数の保持容量ラインに供給される電圧を第1のレベルから第2のレベルに変化させて、前記複数の画素に供給される画素電圧を前記黒表示電位にシフトさせてもよい。
【0029】
また、前記複数の画素に画像信号が供給されてから前記保持容量ラインに供給される電圧を前記第1のレベルから前記第2のレベルに変化させるまでの期間は画像表示期間であり、前記保持容量ラインに供給される電圧が前記第2のレベルに変化されてから前記次の画像信号が前記複数の画像に供給されるまでの期間は黒表示期間であってもよい。
【0030】
また、前記保持容量駆動部は、前記複数の画素に画像信号が供給されてから前記保持容量ラインに供給される電圧が前記第1のレベルから第2のレベルに変化されるまでの期間は黒表示期間であり、前記保持容量ラインに供給する電圧を前記第2のレベルに変化させてから前記次の画像信号が前記複数の画素に供給されるまでの期間は画像表示期間であってもよい。
【発明の効果】
【0031】
本発明の一実施形態に係る液晶表示装置によれば、大型の液晶表装置に適用していた黒挿入駆動方法を中小型のTFT液晶表示パネルに対しても適用可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施形態1に係る液晶表示装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る保持容量駆動部の構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態1に係る液晶表示装置の(a)はゲートドライバに入力されるゲートスタート信号STV、(b)はゲートドライバ及び保持容量駆動部に入力されるクロック信号CKV、(c)はゲートドライバ及び保持容量駆動部に入力される反転クロック信号CKVB、(d)は保持容量駆動部に入力されるSTA信号、(e)はゲートドライバから第1のゲートラインに出力される走査信号Gate1、(f)は保持容量駆動部において生成されるSRA1信号、(g)は保持容量駆動部により第1の保持容量ラインに印加される電圧、(h)はLCDパネル内の画素に印加される画素電圧Pixel1、(i)はゲートドライバから第2のゲートラインに出力される走査信号Gate2、(j)は保持容量駆動部において生成されるSRA2信号、(k)は保持容量駆動部により第2の保持容量ラインSCに印加される電圧、(l)はLCDパネル内の画素に印加される画素電圧Pixel2、をそれぞれ示すタイミングチャートである。
【図4】本発明の実施形態1に係る画像表示期間の画素電圧レベルと黒表示期間の画素電圧レベルの関係を示す図である。
【図5】本発明の実施形態1に係る残像感と黒挿入期間の割合(%)の関係を示す図である。
【図6】本発明の実施形態2に係る液晶表示装置の構成を示す図である。
【図7】本発明の実施形態2に係る保持容量駆動部の構成を示す図である。
【図8】本発明の実施形態2に係る液晶表示装置の(a)はゲートドライバに入力されるゲートスタート信号STV、(b)はゲートドライバ及び保持容量駆動部に入力されるクロック信号CKV、(c)はゲートドライバ及び保持容量駆動部に入力される反転クロック信号CKVB、(d)は保持容量駆動部に入力されるSTA信号、(e)は保持容量駆動部に入力されるSTB信号、(f)はゲートドライバから第1のゲートラインに出力される走査信号Gate1、(g)は保持容量駆動部において生成されるSRA1信号、(h)保持容量駆動部において生成されるSRB1信号、(i)は保持容量駆動部内のスイッチ761の動作、(j)は保持容量駆動部内のスイッチ762の動作、(k)は保持容量駆動部内のスイッチ763の動作、(l)は保持容量駆動部により第1の保持容量ラインSCに印加される電圧、(m)はLCDパネル内の画素に印加される画素電圧Pixel1、(n)はゲートドライバから第2のゲートラインに出力される走査信号Gate2、(o)は保持容量駆動部において生成されるSRA2信号、(p)は保持容量駆動部において生成されるSRB2信号、(q)は保持容量駆動部内のスイッチ764の動作、(r)は保持容量駆動部内のスイッチ765の動作、(s)は保持容量駆動部内のスイッチ766の動作、(t)は保持容量駆動部により第2の保持容量ラインSCに印加される電圧、(u)はLCDパネル内の画素に印加される画素電圧Pixel2、をそれぞれ示すタイミングチャートである。
【図9】本発明の実施形態3に係る液晶表示装置の(a)は保持容量ラインに印加される電圧、(b)はゲートドライバに入力されるゲートスタート信号STV、(c)はLCDパネル内の画素に印加される画素電圧Pixel、をそれぞれ示すタイミングチャートである。
【図10】本発明の実施形態4に係る液晶表示装置の(a)は保持容量ラインに印加される電圧、(b)はゲートドライバに入力されるゲートスタート信号STV、(c)はLCDパネル内の画素に印加される画素電圧Pixel、をそれぞれ示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の実施の形態について、以下、図面を参照して説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0034】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態1に係る液晶表示装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0035】
図1は、本発明の実施形態1における液晶表示装置の構成を示すブロック図である。図示のとおり、この液晶表示装置1は、タイミング制御部100、ソースドライバ200、電圧発生部300、ゲートドライバ400、保持容量駆動部500及びLCDパネル600を有する。なお、本実施形態1の液晶表示装置1は、携帯電話端末やパーソナルコンピュータ等の電子機器に中小型のLCDモジュールとして利用されるものとする。
【0036】
タイミング制御部100は、液晶表示装置1内のソースドライバ200、電圧発生部300、ゲートドライバ400及び保持容量駆動部500の各動作を制御する。
【0037】
ソースドライバ200は、タイミング制御部100から入力される画像信号によりLCDパネル600内の液晶キャパシタClcに印加する画像電圧をLCDパネル600内の各ソースラインに出力する。
【0038】
電圧発生部300は、外部から入力される電源電圧によりゲート駆動電圧を生成してゲートドライバ400に出力し、共通電極電圧VCOMを生成してLCDパネル600に出力し、2種類の第1及び第2の保持容量駆動電圧V1,V2を生成して保持容量駆動部500に出力する。なお、第1及び第2の保持容量駆動電圧V1とV2の関係は、V1<V2である。
【0039】
ゲートドライバ400は、タイミング制御部100から入力されるクロック信号CKV及びゲートスタート信号STVと、電圧発生部300から入力されるゲート駆動電圧に基づいて、ゲート駆動電圧を生成してLCDパネル600のゲートラインに各々出力する。
【0040】
保持容量駆動部500は、タイミング制御部100から入力されるクロック信号CKV及び制御信号(以下、STA信号)に基づいて、電圧発生部300から入力される2種類の第1及び第2の保持容量駆動電圧V1,V2を択一的に選択して保持容量駆動信号を生成してLCDパネル600の保持容量ラインに各々出力する。
【0041】
LCDパネル600は、水平方向に形成されて垂直方向に配列された複数のゲートラインと、ゲートラインと交差する垂直方向に形成されて水平方向に配列された複数のソースラインと、複数の共通電極ラインと、各々のゲートライン及びソースラインに接続されたスイッチング素子(TFT(Thin Film Transistor,薄膜トランジスタ)という)と、液晶キャパシタClcと、他端が保持容量ラインに接続された保持容量Cscと、を備える。なお、図1では、1つの画素に対応するスイッチング素子と、液晶キャパシタClcと、保持容量Cscのみを示しており、同様の構成を有する他の画素の図示は、省略している。LCDパネル600は、ゲートドライバ400から入力されるゲート駆動電圧(又は走査信号)と、駆動電圧発生部300から入力される共通電極電圧VCOMと、保持容量駆動部500から入力される保持容量駆動信号と、に応答して、ソースドライバ200から入力される画像電圧を表示する。
【0042】
ゲートラインとソースラインにより囲まれた領域に配置したTFTの各ゲート端子はゲートラインに接続され、そのソース端子はソースラインに接続され、そのドレイン端子は液晶キャパシタClcと保持容量Cscに接続されて、ゲートラインから入力される走査信号に応じてオン/オフ動作を行う。
【0043】
液晶キャパシタClcは、TFTのターンオン動作によってソースドライバ200から入力される画像電圧と、保持容量駆動部500から保持容量ラインに入力される保持容量駆動電圧とに比例してバックライト(図示せず)から提供される光の透過率を制御する。保持容量Cscは、TFTのターンオン時にソースドライバ200から入力される画像電圧と、保持容量駆動部500から保持容量ラインに入力される保持容量駆動電圧との電圧差に応じた画素表示電圧を蓄積して液晶キャパシタClcに印加する。
【0044】
次に、保持容量駆動部500の回路構成を図2に示して説明する。図2において、保持容量駆動部500は、シフトレジスタ510、バッファ520及び電圧レベル選択部530を有する。なお、図2は、LCDパネル600の第1の保持容量ラインSC1及び第2の保持容量ラインSC2に対応する回路構成のみを示しており、他の保持容量ラインSC3,・・・,SCnに対しても同様の回路構成を適用するが、その図示は省略する。
【0045】
シフトレジスタ510は、タイミング制御部100から入力されるクロック信号CKV及びSTA信号に基づいて動作する。シフトレジスタ510は、クロックドインバータ511,514及びインバータ513から構成されるフリップフロップ517と、クロックドインバータ512,516及びインバータ515から構成されるフリップフロップ518を有する。フリップフロップ517は、LCDパネル600の第1の保持容量ラインSC1に対応し、フリップフロップ518は、LCDパネル600の第2の保持容量ラインSC2に対応する。
【0046】
フリップフロップ517は、クロック信号CKV及びこれを反転した反転クロック信号CKVBに基づいて、タイミング制御部100から入力されるSTA信号を所定期間ラッチした後、第1の出力信号(以下、SRA1信号)をフリップフロップ518及びバッファ520に出力する。
【0047】
フリップフロップ518は、クロック信号CKV及び反転クロック信号CKVBに基づいて、フリップフロップ517から入力されるSRA1信号を所定期間ラッチした後、SRA2信号を後段の図示しないフリップフロップ及びSC駆動部520に出力する。
【0048】
シフトレジスタ510は、上記フリップフロップ517,518の各動作により、タイミング制御部100から入力されるSTA信号からSRA1信号及びSRA2信号を生成してバッファ520に対して順次出力する。
【0049】
バッファ520は、フリップフロップ517の出力段に接続されて、上記第1の保持容量ラインSC1に対応するインバータ521,522からなる第1のバッファ523と、フリップフロップ518の出力段に接続されて、上記第2の保持容量ラインSC2に対応するインバータ524〜526からなる第2のバッファ527と、から構成される。
【0050】
第1のバッファ523は、フリップフロップ517から入力されるSRA1信号に応じて電圧レベル選択部530内の第1及び第2の保持容量駆動電圧V1,V2を選択するタイミングを制御する。第2のバッファ527は、フリップフロップ518から入力されるSRA2信号に応じて電圧レベル選択部530内の第1及び第2の保持容量駆動電圧V1,V2を選択するタイミングを制御する。
【0051】
電圧レベル選択部530は、第1のバッファ523の出力段に接続されて、上記第1の保持容量ラインSC1に対応するインバータ531と、第2のバッファ527の出力段に接続されて、上記第2の保持容量ラインSC2に対応するインバータ532と、から構成される。
【0052】
インバータ531は、第1のバッファ523により制御される第1及び第2の保持容量駆動電圧V1,V2の選択タイミングに応じて、電圧発生部300から入力される第1及び第2の保持容量駆動電圧V1又はV2を選択して第1の保持容量ラインSC1に印加する。
【0053】
インバータ532は、第2のバッファ527により制御される第1及び第2の保持容量駆動電圧V1,V2の選択タイミングに応じて、電圧発生部300から入力される第1及び第2の保持容量駆動電圧V1又はV2を選択して第2の保持容量ラインSC2に印加する。
【0054】
次に、本実施形態1の液晶表示装置1の動作について、図3のタイミングチャートを参照して説明する。
【0055】
図3において、(a)はゲートドライバ400に入力されるゲートスタート信号STV、(b)はゲートドライバ400及び保持容量駆動部500に入力されるクロック信号CKV、(c)はゲートドライバ400及び保持容量駆動部500に入力される反転クロック信号CKVB、(d)は保持容量駆動部500に入力されるSTA信号、(e)はゲートドライバ400から第1のゲートラインに出力される走査信号Gate1、(f)は保持容量駆動部500において生成されるSRA1信号、(g)は保持容量駆動部500により第1の保持容量ラインSC1に印加される電圧、(h)はLCDパネル600内の画素1に印加される画素電圧Pixel1、(i)はゲートドライバ400から第2のゲートラインに出力される走査信号Gate2、(j)は保持容量駆動部500において生成されるSRA2信号、(k)は保持容量駆動部500により第2の保持容量ラインSC2に印加される電圧、(l)はLCDパネル600内の画素2に印加される画素電圧Pixel2、をそれぞれ示す。
【0056】
図3(a)において、ゲートスタート信号STVは、タイミング制御部100から16.6msの間隔で出力される。すなわち、図中において、最初のゲートスタート信号STVのパルスの立ち上がりタイミング(図中のt=0)から16.6ms経過後に2回目のパルスが立ち上がる。
【0057】
図3(b)において、クロック信号CKVは、図中に示すように1つのパルス幅が1水平走査期間(1H)=50μsである。図3(d)において、STA信号は、保持容量駆動部500の動作を制御するための信号である。
【0058】
図3(e)において、走査信号Gate1は、ゲートスタート信号STVに応じてゲートドライバ400から第1のゲートラインに出力される信号である。図3(f)において、SRA1信号は、STA信号に応じて第1の保持容量ラインSC1に印加する第1及び第2の保持容量駆動電圧V1,V2を選択するタイミングを設定するための信号である。図3(g)は、SRA1信号により設定されるタイミングで第1の保持容量ラインSC1に印加される第1及び第2の保持容量駆動電圧V1,V2の変化を示す。図3(h)は、LCDパネル600内の画素1に印加される画素電圧Pixel1の変化を示す。
【0059】
図3(i)において、走査信号Gate2は、ゲートスタート信号STVに応じてゲートドライバ400から第2のゲートラインに出力される信号である。図3(j)において、SRA2信号は、STA信号に応じて第2の保持容量ラインSC2に印加する第1及び第2の保持容量駆動電圧V1,V2を選択するタイミングを設定するための信号である。図3(k)は、SRA2信号により設定されるタイミングで第2の保持容量ラインSC2に印加される第1及び第2の保持容量駆動電圧V1,V2の変化を示す。図3(l)は、LCDパネル600内の画素2に印加される画素電圧Pixel2の変化を示す。
【0060】
SRA1信号及びSRA2信号は、画素1,2に画像信号が供給されてから次の画像信号が供給されるまでの期間内の20%以上80以内の期間に保持容量ラインに印加する電圧をV1又はV2に変化させ、画素の電位を黒表示電位にシフトさせる信号である。
【0061】
図3(h)、(l)において、画素電圧Pixel1,Pixel2は、LCDパネル600内の画素1,2に印加される画像電圧を示したものである。また、図3(h)、(l)では、共通電極電圧VCOMを示しているが、その電圧レベルは一定である。
【0062】
次に、保持容量ラインに印加する電圧の変化に伴って設定される画像表示期間の画素電圧レベルと黒表示期間の画素電圧レベルの関係を図4に示す。図4に示す黒挿入期間の電圧レベルと画像表示期間の電圧レベルの変更は、保持容量ラインに印加する電圧をシフトさせることで行う。なお、本実施形態1は、ノーマリーブラックのLCDパネル600に対して記述したものである。また、本実施形態1をノーマリーホワイトのLCDパネルに対して適用する場合は、画像電圧の極性を逆に印加すれば良い。
【0063】
この場合、保持容量Cscの容量結合を利用して画素電圧Pixelをシフトさせるため、従来のオーバードライブやインパルス型駆動に比べて電力消費を低減できる。また、容量が大きいソースラインへの黒画像信号の書き込みが必要なくなるため、ソースドライバにおける消費電力の低減が可能になる。また、黒画像信号により黒表示を行う場合は、1フレーム期間以内にゲートドライバを2回走査させるため、ソースドライバやゲートドライバの駆動周波数が高くなるが、本実施形態1の駆動方法では、保持容量Cscの容量結合を利用して電圧をシフトさせるだけであるため、ソースドライバやゲートドライバの駆動周波数を高くする必要がない。このことは、フレームメモリを削減することになり、液晶表示装置のコストを低減できる。
【0064】
次に、本実施形態1における黒挿入期間の割合について、図5を参照して説明する。図5は、残像感と黒挿入期間の割合(%)の関係を示した図である。この図から明らかなように、黒挿入期間の割合を多くするに従って残像感は低減する。図中の波線は、本実施形態1において1フレーム期間内の20%以上80以内に黒表示期間を設定することを示している。
【0065】
本実施形態1では、1フレーム期間内の20%以上80以内に黒表示期間を設定することにしたが、その根拠について図5を参照して説明する。図5において、縦軸は残像感、横軸は1フレーム期間内における黒挿入期間の割合(%)を設定する。現在開発されている高速応答に対応する液晶の応答時間は約4msであり、この4msは1フレーム期間である16.6msの約24%に相当する。図5において、黒挿入期間を80%とした場合の消費電力は、黒挿入をしない場合と比較して約5倍になる。したがって、黒挿入期間の割合は、80%を最大値とすることが妥当である。また、残像感が低減したと認識できる黒挿入期間の割合は、約20%以上とした場合であり、20%を最低値とすることが望ましい。
【0066】
次に、本実施形態1の液晶表示装置1の具体的な動作について、図3のタイミングチャートを参照して説明する。
【0067】
液晶表示装置1の電源がONされると、タイミング制御部100からゲートドライバ400に対して図3(a)及び(b)に示すクロック信号CKV及びゲートスタート信号STVが入力される。また、タイミング制御部100から保持容量駆動部500に対して図3(a)及び(d)に示すクロック信号CKV及びSTA信号が入力される。
【0068】
ゲートドライバ400では、クロック信号CKV及びゲートスタート信号STVが入力されると、図3(e)及び(i)に示すように、ゲートスタート信号STVに応じて第1のゲートライン及び第2のゲートラインに対して走査信号Gate1、Gate2が順次出力される。また、ソースドライバ200では、タイミング制御部100から入力される画像信号に応じた画像電圧がLCDパネル600内の各ソースラインに順次出力される。以上のゲートドライバ400及びソースドライバ200の動作により、図3(h)、(l)に示す画像表示期間T1において画像信号に応じた画素電圧Pixel1,Pixel2が画素1,2に印加される。
【0069】
次いで、保持容量駆動部500では、クロック信号CKV及びSTA信号が入力されると、図3(f)及び(j)に示すように、STA信号が“Low”の期間では、SRA1信号により第1の電圧保持容量駆動電圧V1が選択されて保持容量ラインSC1に印加され、SRA2信号により第2の電圧保持容量駆動電圧V2が選択されて保持容量ラインSC2に印加される。
【0070】
次いで、STA信号が“Hi”の期間に保持容量駆動部500では、SRA1信号により第2の保持容量駆動電圧V2が選択されて保持容量ラインSC1に印加され、SRA2信号により第1の保持容量駆動電圧V1が選択されて保持容量ラインSC2に印加される。したがって、図3(h)、(l)の黒表示期間T2では、画素電圧Pixel1,Pixel2の各電位が黒方向(VCOM方向)の電位にシフトされる。
【0071】
その後、図3(d)において、STA信号は、2回目のゲートスタート信号STVの立ち上がり後も“Hi”レベルを維持し、この“Hi”期間に2回目の画像表示期間T3の画像表示が開始される。LCDパネル600は、1フレーム毎に画像信号の極性を反転する交流駆動を行っているため、2回目の画像表示期間T3では、上記画像表示期間T1の画像信号とは極性を反転した画像信号がソースドライバ200から出力される。
【0072】
この画像表示期間T3では、引き続いてSRA1信号により第2の保持容量駆動電圧V2が選択されて保持容量ラインSC1に印加され、SRA2信号により第1の保持容量駆動電圧V1が選択されて保持容量ラインSC2に印加される。このため、画像表示期間T3では、画像信号に応じた画素電圧Pixel1,Pixel2が画素1,2に印加される。
【0073】
そして、図3(d)において、STA信号が再び“Low”レベルの期間になると、SRA1信号により第1保持容量駆動電圧V1が選択されて保持容量ラインSC1に印加され、SRA2信号により第2保持容量駆動電圧V2が選択されて保持容量ラインSC2に印加される。したがって、図3(h)、(l)の黒表示期間T4では、画素電圧Pixel1,Pixel2の各電位が黒方向(VCOM方向)の電位にシフトされる。
【0074】
以後、以上のような動作が順次繰り返される。なお、図3では、2ライン分のゲートライン及び保持容量ラインの動作を示したが、図示しない他のゲートライン及び他の保持容量ラインも同様に駆動される。なお、図3(h)、(l)では、画素1,2に画像信号が供給されてから次の画像信号が供給されるまでの期間内の約40%を黒表示期間とした場合を示した。
【0075】
以上のように、本実施形態1の液晶表示装置1では、保持容量駆動部500が2種類の第1及び第2の保持容量駆動電圧V1,V2を利用して、画素1,2に画像信号が供給されてから次の画像信号が供給されるまでの期間内の20%以上80%以内に保持容量に印加する電圧レベルをシフトさせて、画素電圧Pixel1,Pixel2の各電位が黒方向の電位にシフトさせるようにした。
【0076】
したがって、従来は大型のTFT液晶表示パネルに適用していた黒挿入技術を、中小型のTFT液晶表示パネルのコストを上げることなく、黒挿入技術が利用可能となり、動画表示の際の残像感を低減でき、液晶表示装置のコストを低減することが可能になる。また、本実施形態1の液晶表示装置1では、画像表示期間では画像信号に応じた画像電圧を画素に印加し、黒表示期間では保持容量ラインに印加する電圧により画像電圧の電位を黒方向の電位にシフトさせる駆動方法としたため、ガンマ特性の設定が容易になる。
【0077】
なお、上記実施形態1では、画素1,2に画像信号が供給されてから次の画像信号が供給されるまでの期間内の約40%を黒表示期間とした場合を示したが、画素1,2に画像信号が供給されてから次の画像信号が供給されるまでの期間内の20%以上80%以内であれば、黒表示期間の割合を変更するようにしてもよい。
【0078】
(実施形態2)
上記実施形態1では、2種類の第1及び第2の保持容量駆動電圧V1,V2を利用して黒挿入駆動を実行する場合を示した。本実施形態2では、3種類の第1、第2及び第3の保持容量駆動電圧V1,V2,V3を利用して黒挿入駆動を実行することに特徴がある。
【0079】
図6は、本発明の実施形態2における液晶表示装置の構成を示すブロック図である。なお、図6において、上記図1に示した液晶表示装置1と同一の構成部分には同一符号を付しており、その構成説明は省略する。図示のとおり、この液晶表示装置20は、タイミング制御部110、ソースドライバ200、電圧発生部300、ゲートドライバ400、保持容量駆動部700及びLCDパネル600を有する。なお、本実施形態2の液晶表示装置20は、携帯電話端末やパーソナルコンピュータ等の電子機器に中小型のLCDモジュールとして利用されるものとする。
【0080】
タイミング制御部110は、液晶表示装置1内のソースドライバ200、電圧発生部300、ゲートドライバ400及び保持容量駆動部700の各動作を制御する。
【0081】
保持容量駆動部700は、タイミング制御部110から入力されるクロック信号CKV、第1の制御信号(以下、STA信号)及び第2の制御信号(以下、STB信号)に基づいて、電圧発生部300から入力される3種類の第1、第2及び第3の保持容量駆動電圧V1,V2,V3を択一的に選択してLCDパネル600内の保持容量ラインに各々印加する。なお、第1、第2及び第3の保持容量駆動電圧V1,V2,V3の関係は、V1>V2>V3である。
【0082】
次に、保持容量駆動部700の回路構成を図7に示して説明する。図7において、保持容量駆動部700は、シフトレジスタ710、バッファ730及び電圧レベル選択部760を有する。なお、図7は、LCDパネル600の第1の保持容量ラインSC1及び第2の保持容量ラインSC2に対応する回路構成のみを示しており、他の保持容量ラインSC3,・・・,SCnに対しても同様の回路構成を適用するが、その図示は省略する。
【0083】
シフトレジスタ710は、タイミング制御部110から入力されるクロック信号CKV、STA信号及びSTB信号に基づいて動作する。シフトレジスタ710は、クロックドインバータ711,716及びインバータ715から構成されるフリップフロップ724と、クロックドインバータ712,719及びクロックドインバータ718から構成されるフリップフロップ725と、クロックドインバータ713,721及びインバータ720から構成されるフリップフロップと、クロックドインバータ714,723及びインバータ722から構成されるフリップフロップ727と、を有する。フリップフロップ724,726は、LCDパネル600の第1の保持容量ラインSC1に対応し、フリップフロップ725,727は、LCDパネル600の第2の保持容量ラインSC2に対応する。
【0084】
フリップフロップ724は、クロック信号CKV及びこれを反転した反転クロック信号CKVBに基づいて動作して、タイミング制御部110から入力されるSTA信号を所定期間ラッチした後、第1の出力信号(以下、SRA1信号)をフリップフロップ725及びバッファ730に出力し、SRA1信号を反転した第1の反転出力信号(以下、反転SRA1信号)をバッファ730に出力する。
【0085】
フリップフロップ725は、クロック信号CKV及び反転クロック信号CKVBに基づいて動作して、フリップフロップ724から入力されるSRA1信号を所定期間ラッチした後、第2の出力信号(以下、SRA2信号)を後段の図示しないフリップフロップ及びバッファ730に出力し、SRA2信号を反転した第2の反転出力信号(以下、反転SRA2信号)をバッファ730に出力する。
【0086】
フリップフロップ726は、クロック信号CKV及び反転クロック信号CKVBに基づいて動作して、STB信号を所定期間ラッチした後、第3の出力信号(以下、SRB1信号)をフリップフロップ727及びバッファ730に出力し、SRB1信号を反転した第3の反転出力信号(以下、反転SRB1信号)をバッファ730に出力する。
【0087】
フリップフロップ727は、クロック信号CKV及び反転クロック信号CKVBに基づいて動作して、フリップフロップ726から入力されるSRB1信号を所定期間ラッチした後、第4の出力信号(以下、SRB2信号)を後段の図示しないフリップフロップ及びバッファ730に出力し、SRB2信号を反転した第4の反転出力信号(以下、反転SRB2信号)をバッファ730に出力する。
【0088】
シフトレジスタ710は、上記フリップフロップ724〜727の各動作により、タイミング制御部110から入力されるSTA信号及びSTB信号に応じたSRA1信号、反転SRA1信号、SRA2信号、反転SRA2信号、SRB1信号、反転SRB1信号、SRB2信号及び反転SRB2信号を生成してバッファ730に対して順次出力する。
【0089】
バッファ730は、フリップフロップ724,726の出力段に接続されて、上記第1の保持容量ラインSC1に対応する第1のバッファ749と、フリップフロップ725,727の出力段に接続されて、上記第2の保持容量ラインSC2に対応する第2のバッファ750と、を有する。
【0090】
第1のバッファ749は、V1選択制御回路749a、V2選択制御回路749b、及びV3選択制御回路749cを有する。
【0091】
V1選択制御回路749aは、NANDゲート731及びインバータ732,733から構成され、フリップフロップ724,726から入力されるSRA1信号及びSRB1信号に応じて電圧レベル選択部760内の第1保持容量駆動電圧V1を選択するタイミングを制御する。
【0092】
V2選択制御回路749bは、インバータ734〜736からなり、フリップフロップ724から入力される反転SRA1信号に応じて電圧レベル選択部760内の第2の保持容量駆動電圧V2を選択するタイミングを制御する。
【0093】
V3選択制御回路749cは、NANDゲート737及びインバータ738,739からなり、フリップフロップ724,726から入力されるSRA1信号及び反転SRB1信号に応じて電圧レベル選択部760内の第3の保持容量駆動電圧V3を選択するタイミングを制御する。
【0094】
第2のバッファ750は、V1選択制御回路750a、V2選択制御回路750b、及びV3選択制御回路750cを有する。
【0095】
V1選択制御回路750aは、NANDゲート740及びインバータ741,742からなり、フリップフロップ725,727から入力されるSRA2信号及び反転SRB2信号に応じて電圧レベル選択部760内の第1の保持容量駆動電圧V1を選択するタイミングを制御する。
【0096】
V2選択制御回路750bは、インバータ743〜745からなり、フリップフロップ725から入力される反転SRA2信号に応じて電圧レベル選択部760内の第2の保持容量駆動電圧V2を選択するタイミングを制御する。
【0097】
V3選択制御回路750cは、NANDゲート746及びインバータ747,748からなり、フリップフロップ725,727から入力されるSRA2信号及びSRB2信号に応じて電圧レベル選択部760内の第3の保持容量駆動電圧V3を選択するタイミングを制御する。
【0098】
電圧レベル選択部760は、第1のバッファ749の出力段に接続されて、上記第1の保持容量ラインSC1に対応する第1のスイッチ群767と、第2のバッファ750の出力段に接続されて、上記第2の保持容量ラインSC2に対応する第2のスイッチ群768を有する。
【0099】
第1のスイッチ群767は、スイッチ761〜763からなる。スイッチ761は、V1選択制御回路749aにより制御される第1の保持容量駆動電圧V1の選択タイミングに応じて、電圧発生部300から入力される第1の保持容量駆動電圧V1を選択して第1の保持容量ラインSC1に印加する。スイッチ762は、V2選択制御回路749bにより制御される第2の保持容量駆動電圧V2の選択タイミングに応じて、電圧発生部300から入力される第2の保持容量駆動電圧V2を選択して第1の保持容量ラインSC1に印加する。スイッチ763は、V3選択制御回路749cにより制御される第3の保持容量駆動電圧V3の選択タイミングに応じて、電圧発生部300から入力される第3の保持容量駆動電圧V3を選択して第1の保持容量ラインSC1に印加する。
【0100】
第2のスイッチ群768は、スイッチ764〜766からなる。スイッチ766は、V1選択制御回路750aにより制御される第1の保持容量駆動電圧V1の選択タイミングに応じて、電圧発生部300から入力される第1の保持容量駆動電圧V1を選択して第1の保持容量ラインSC1に印加する。スイッチ765は、V2選択制御回路750bにより制御される第2の保持容量駆動電圧V2の選択タイミングに応じて、電圧発生部300から入力される第2の保持容量駆動電圧V2を選択して第1の保持容量ラインSC1に印加する。スイッチ764は、V3選択制御回路750cにより制御される第3の保持容量駆動電圧V3の選択タイミングに応じて、電圧発生部300から入力される第3の保持容量駆動電圧V3を選択して第1の保持容量ラインSC1に印加する。
【0101】
次に、本実施形態2の液晶表示装置の動作について、図8に示すタイミングチャートを参照して説明する。
【0102】
図8において、(a)はゲートドライバ400に入力されるゲートスタート信号STV、(b)はゲートドライバ400及び保持容量駆動部700に入力されるクロック信号CKV、(c)はゲートドライバ400及び保持容量駆動部700に入力される反転クロック信号CKVB、(d)は保持容量駆動部700に入力されるSTA信号、(e)は保持容量駆動部700に入力されるSTB信号、(f)はゲートドライバ400から第1のゲートラインに出力される走査信号Gate1、(g)は保持容量駆動部700において生成されるSRA1信号、(h)保持容量駆動部700において生成されるSRB1信号、(i)は保持容量駆動部700内のスイッチ761の動作、(j)は保持容量駆動部700内のスイッチ762の動作、(k)は保持容量駆動部700内のスイッチ763の動作、(l)は保持容量駆動部700により第1の保持容量ラインSC1に印加される電圧、(m)はLCDパネル600内の画素1に印加される画素電圧Pixel1、(n)はゲートドライバ400から第2のゲートラインに出力される走査信号Gate2、(o)は保持容量駆動部700において生成されるSRA2信号、(p)は保持容量駆動部700において生成されるSRB2信号、(q)は保持容量駆動部700内のスイッチ764の動作、(r)は保持容量駆動部700内のスイッチ765の動作、(s)は保持容量駆動部700内のスイッチ766の動作、(t)は保持容量駆動部700により第2の保持容量ラインSC2に印加される電圧、(u)はLCDパネル600内の画素2に印加される画素電圧Pixel2、をそれぞれ示す。
【0103】
図8(a)において、ゲートスタート信号STVは、タイミング制御部110から16.6msの間隔で出力される。すなわち、図中において、最初のゲートスタート信号STVのパルスの立ち上がりタイミング(図中のt=0)から16.6ms経過後に2回目のパルスが立ち上がる。
【0104】
図8(b)において、クロック信号CKVは、図中に示すように1つのパルス幅が1水平走査期間(1H)=50μsである。図8(d)、(e)において、STA信号及びSTB信号は、保持容量駆動部700の動作を制御するための信号である。
【0105】
図8(f)において、走査信号Gate1は、ゲートスタート信号STVに応じてゲートドライバ400から第1のゲートラインに出力される信号である。図8(g)、(h)において、SRA1信号及びSRB1信号は、STA信号及びSTB信号に応じて第1の保持容量ラインSC1に印加する第1、第2及び第3の保持容量駆動電圧V1,V2,V3を選択するタイミングを設定するための信号である。図8(l)は、SRA1信号及びSRB1信号により設定されるタイミングで第1の保持容量ラインSC1に印加される第1、第2及び第3の保持容量駆動電圧V1,V2,V3の変化を示す。図3(m)は、LCDパネル600内の画素1に印加される画素電圧Pixel1の変化を示す。
【0106】
図8(n)において、走査信号Gate2は、ゲートスタート信号STVに応じてゲートドライバ400から第2のゲートラインに出力される信号である。図8(o)、(p)において、SRA2信号及びSRB2信号は、STA信号及びSTB信号に応じて第2の保持容量ラインSC2に印加する第1、第2及び第3の保持容量駆動電圧V1,V2,V3を選択するタイミングを設定するための信号である。
【0107】
図8(t)は、SRA2信号及びSRB2信号により設定されるタイミングで第2の保持容量ラインSC2に印加される第1、第2及び第3の保持容量駆動電圧V1,V2,V3の変化を示す。図8(u)は、LCDパネル600内の画素2に印加される画素電圧Pixel2の変化を示す。また、図8(m)、(u)では、共通電極電圧VCOMを示しているが、その電圧レベルは一定である。
【0108】
次に、本実施形態2の液晶表示装置20の具体的な動作について、図8のタイミングチャートを参照して説明する。
【0109】
液晶表示装置20の電源がONされると、タイミング制御部110からゲートドライバ400に対して図8(a)及び(b)に示すクロック信号CKV及びゲートスタート信号STVが入力される。また、タイミング制御部110から保持容量駆動部700に対して図8(a)、(d)及び(e)に示すクロック信号CKV、STA信号及びSTB信号が入力される。
【0110】
ゲートドライバ400では、クロック信号CKV及びゲートスタート信号STVが入力されると、図3(f)及び(n)に示すように、ゲートスタート信号STVに応じて第1のゲートライン及び第2のゲートラインに対して走査信号Gate1、Gate2が順次出力される。また、ソースドライバ200では、タイミング制御部100から入力される画像信号に応じた画像電圧がLCDパネル600内の各ソースラインに順次出力される。以上のゲートドライバ400及びソースドライバ200の動作により、図8(m)、(u)に示す画像表示期間T1において画像信号に応じた画素電圧Pixel1,Pixel2が画素1,2に印加される。
【0111】
次いで、保持容量駆動部700では、クロック信号CKV、STA信号及びSTB信号が入力されると、図8(d)、(e)、(g)、(h)、(o)及び(p)に示すように、STA信号及びSTB信号が“Hi”の期間では、SRA1信号及びSRB1信号により第1の保持容量駆動電圧V1が選択されて保持容量ラインSC1に印加され、SRA2信号及びSRB2信号により第3の保持容量駆動電圧V3が選択されて保持容量ラインSC2に印加される。したがって、図8(m)、(u)の画像表示期間T1では、画像信号に応じた画素電圧Pixel1,Pixel2が画素1,2に印加される。
【0112】
次いで、STA信号が“Low”、STB信号が“Hi”の期間では、反転SRA1信号により第2の保持容量駆動電圧V2が選択されて保持容量ラインSC1に印加され、反転SRA2信号により第2の保持容量駆動電圧V2が選択されて保持容量ラインSC2に印加される。したがって、図8(m)、(u)の黒表示期間T2では、画素電圧Pixel1,Pixel2の各電位が黒方向(VCOM方向)の電位にシフトされる。
【0113】
その後、図8(a)において、2回目のゲートスタート信号STVが立ち上がった後、2回目の画像表示期間T3の画像表示が開始される。LCDパネル600は、1フレーム毎に画像信号の極性を反転する交流駆動を行っているため、2回目の画像表示期間T3では、上記画像表示期間T1の画像信号とは極性を反転した画像信号がソースドライバ200から出力される。
【0114】
この画像表示期間T3に、図8(d)、(e)において、STA信号が“Hi”、STB信号が“Low”になると、保持容量駆動部700では、SRA1信号及び反転SRB1信号により第3の保持容量駆動電圧V3が選択されて保持容量ラインSC1に印加され、SRA2信号及び反転SRB2信号により第1の保持容量駆動電圧V1が選択されて保持容量ラインSC2に印加される。したがって、図8(m)、(u)の画像表示期間T3では、画像信号に応じた画素電圧Pixel1,Pixel2が画素1,2に印加される。
【0115】
次いで、図8(d)、(e)において、STA信号が“Low”、STB信号が“Low”を継続すると、保持容量駆動部700では、反転SRA1信号により第2の保持容量駆動電圧V2が選択されて保持容量ラインSC1に印加され、反転SRA2信号により第2の保持容量駆動電圧V2が選択されて保持容量ラインSC2に印加される。したがって、図8(m)、(u)の黒表示期間T4では、画素電圧Pixel1,Pixel2の各電位が黒方向(VCOM方向)の電位にシフトされる。
【0116】
以後、以上のような動作が順次繰り返される。なお、図8では、2ライン分のゲートライン及び保持容量ラインの動作を示したが、図示しない他のゲートライン及び他の保持容量ラインも同様に駆動される。なお、図8(m)、(u)では、画素1,2に画像信号が供給されてから次の画像信号が供給されるまでの期間内の約40%を黒表示期間とした場合を示した。
【0117】
以上のように、本実施形態2の液晶表示装置20では、保持容量駆動部700が3種類の第1、第2及び第3の保持容量駆動電圧V1,V2,V3を利用して、画素1,2に画像信号が供給されてから次の画像信号が供給されるまでの期間内の20%以上80%以内に保持容量に印加する電圧レベルをシフトさせて、画素電圧Pixel1,Pixel2の各電位を黒方向の電位にシフトさせるようにした。
【0118】
したがって、従来は大型のTFT液晶表示パネルに適用していた黒挿入技術を、中小型のTFT液晶表示パネルのコストを上げることなく、黒挿入技術が利用可能となり、動画表示の際の残像感を低減でき、液晶表示装置のコストを低減することが可能になる。また、本実施形態2の液晶表示装置20では、保持容量ラインにより高い第3の保持容量駆動電圧V3を印加するようにしたため、画像信号のダイナミックレンジを小さくでき、液晶表示装置の消費電力を低減できる。
【0119】
なお、上記実施形態2では、画素1,2に画像信号が供給されてから次の画像信号が供給されるまでの期間内の約40%を黒表示期間とした場合を示したが、画素1,2に画像信号が供給されてから次の画像信号が供給されるまでの期間内の20%以上80%以内であれば、黒表示期間の割合を変更するようにしてもよい。
【0120】
(実施形態3)
上記実施形態1では、画素1,2に画像信号が供給されてから次の画像信号が供給されるまでの期間内の後半の期間に黒挿入駆動を行う場合を示したが、本実施形態3では、画素1,2に画像信号が供給されてから次の画像信号が供給されるまでの期間内の前半の期間に黒挿入駆動を行う場合を示す。
【0121】
本実施形態3の液晶表示装置及び保持容量駆動部の各構成は、上記実施形態1の図1及び図2に示したものと同一であるため、その図示及び構成説明は省略する。
【0122】
次に、本実施形態3の液晶表示装置1の動作について、図9に示すタイミングチャートを参照して説明する。
【0123】
図9において、(a)は保持容量ラインに印加される電圧、(b)はゲートドライバ400に入力されるゲートスタート信号STV、(c)はLCDパネル600内の画素に印加される画素電圧Pixel、をそれぞれ示す。なお、図9において、クロック信号CKV、STA信号、SRA1信号及びSRA2信号の図示は省略する。
【0124】
図9(a)において、保持容量ラインに印加される電圧は、上記保持容量駆動部500内において、上記STA信号から生成された上記SRA1信号及びSRA2信号により2種類の第1及び第2の保持容量駆動電圧V1,V2を選択することにより印加される電圧である。
【0125】
図9(b)において、ゲートスタート信号STVは、上記実施形態1と同様の信号である。図9(c)は、LCDパネル600内の画素に印加される画素電圧Pixelである。また、図9(c)では、共通電極電圧VCOMを示しているが、その電圧レベルは一定である。
【0126】
まず、図9(a)において、保持容量駆動部500では、クロック信号CKV及びSTA信号が入力されると、第1の保持容量駆動電圧V1が選択されて保持容量ラインSCに印加される。したがって、図9(c)の黒表示期間T1では、画素電圧Pixelの電位が黒方向(VCOM方向)の電位にシフトされる。
【0127】
次いで、図9(a)において、保持容量駆動部500では、第1の保持容量駆動電圧V1が選択されて保持容量ラインSCに印加される。したがって、図9(c)の画像表示期間T2では、画像信号に応じた画素電圧Pixelが画素に印加される。
【0128】
その後、図9(a)において、保持容量駆動部500では、保持容量ラインSCに印加する電圧はV2に維持される。この時、LCDパネル600は、1フレーム毎に画像信号の極性を反転する交流駆動を行っているため、2回目の黒表示期間T3では、極性を反転した画像信号が入力される。このため、2回目の黒表示期間T3では、画素電圧Pixelの電位が黒方向(VCOM方向)の電位にシフトされる。
【0129】
そして、図9(a)において、保持容量駆動部500では、第1の保持容量駆動電圧V1が選択されて保持容量ラインSCに印加される。したがって、図9(c)の画像表示期間T4では、画像信号に応じた画素電圧Pixelが画素に印加される。
【0130】
以後、以上のような動作が順次繰り返される。なお、図9(c)では、画素に画像信号が供給されてから次の画像信号が供給されるまでの期間内の約50%を黒表示期間とした場合を示した。
【0131】
以上のように、本実施形態3の液晶表示装置1では、保持容量駆動部500が2種類の第1及び第2の保持容量駆動電圧V1,V2を利用して画素に画像信号が供給されてから次の画像信号が供給されるまでの期間内の20%以上80%以内に保持容量に印加する電圧レベルをシフトさせて、画素電圧Pixelの電位を黒方向の電位にシフトさせるようにした。
【0132】
したがって、従来は大型のTFT液晶表示パネルに適用していた黒挿入技術を、中小型のTFT液晶表示パネルのコストを上げることなく、黒挿入技術が利用可能となり、動画表示の際の残像感を低減でき、液晶表示装置のコストを低減することが可能になる。また、本実施形態3の液晶表示装置1では、画像表示期間では画像信号に応じた画像電圧を画素に印加し、黒表示期間では保持容量ラインに印加する電圧により画像電圧の電位を黒方向の電位にシフトさせる駆動方法としたため、ガンマ特性の設定が容易になる。
【0133】
なお、上記実施形態3では、画素に画像信号が供給されてから次の画像信号が供給されるまでの期間内の約50%を黒表示期間とした場合を示したが、画素に画像信号が供給されてから次の画像信号が供給されるまでの期間内の20%以上80%以内であれば、黒表示期間の割合を変更するようにしてもよい。
【0134】
(実施形態4)
上記実施形態2では、画素に画像信号が供給されてから次の画像信号が供給されるまでの期間内の後半の期間に黒挿入駆動を行う場合を示したが、本実施形態4では、画素に画像信号が供給されてから次の画像信号が供給されるまでの期間内の前半の期間に黒挿入駆動を行う場合を示す。
【0135】
本実施形態4の液晶表示装置及び保持容量駆動部の各構成は、上記実施形態3の図6及び図7に示したものと同一であるため、その図示及び構成説明は省略する。
【0136】
次に、本実施形態4の液晶表示装置1の動作について、図10に示すタイミングチャートを参照して説明する。
【0137】
図10において、(a)は保持容量ラインに印加される電圧、(b)はゲートドライバ400に入力されるゲートスタート信号STV、(c)はLCDパネル600内の画素に印加される画素電圧Pixel、をそれぞれ示す。なお、図9において、クロック信号CKV、STA信号、STB信号、SRA1信号、SRB1信号、SRA2信号及びSRB2信号の図示は省略する。
【0138】
図10(a)において、保持容量ラインに印加される電圧は、上記保持容量駆動部700内において、上記STA信号及びSTB信号から生成された上記SRA1信号、SRB1信号、SRA2信号及びSRB2信号により3種類の第1、第2及び第3の保持容量駆動電圧V1,V2,V3を選択することにより印加される電圧である。
【0139】
図10(b)において、ゲートスタート信号STVは、上記実施形態2と同様の信号である。図10(c)は、LCDパネル600内の画素に印加される画素電圧Pixelである。また、図10(c)では、共通電極電圧VCOMを示しているが、その電圧レベルは一定である。
【0140】
まず、図10(a)において、保持容量駆動部700では、クロック信号CKV、STA信号及びSTB信号が入力されると、第1の保持容量駆動電圧V1が選択されて保持容量ラインSCに印加される。したがって、図10(c)の黒表示期間T1では、画素電圧Pixelの電位が黒方向(VCOM方向)の電位にシフトされる。
【0141】
次いで、図10(a)において、保持容量駆動部700では、第2の保持容量駆動電圧V2が選択されて保持容量ラインSCに印加される。したがって、図10(c)の画像表示期間T2では、画像信号に応じた画素電圧Pixelが画素に印加される。
【0142】
その後、図10(a)において、保持容量駆動部500では、第3の保持容量駆動電圧V3が選択されて保持容量ラインSCに印加される。この時、LCDパネル600は、1フレーム毎に画像信号の極性を反転する交流駆動を行っているため、2回目の黒表示期間T3では、極性を反転した画像信号が入力される。このため、2回目の黒表示期間T3では、画素電圧Pixelの電位が黒方向(VCOM方向)の電位にシフトされる。
【0143】
そして、図10(a)において、保持容量駆動部500では、第1の保持容量駆動電圧V1が選択されて保持容量ラインSCに印加される。したがって、図10(c)の画像表示期間T4では、画像信号に応じた画素電圧Pixelが印加される。
【0144】
以後、以上のような動作が順次繰り返される。なお、図10(c)では、画素に画像信号が供給されてから次の画像信号が供給されるまでの期間内の約50%を黒表示期間とした場合を示した。
【0145】
以上のように、本実施形態4の液晶表示装置20では、保持容量駆動部700が3種類の第1、第2及び第3の保持容量駆動電圧V1,V2,V3を利用して画素に画像信号が供給されてから次の画像信号が供給されるまでの期間内の20%以上80%以内に保持容量に印加する電圧レベルをシフトさせて、画素電圧Pixelの電位を黒方向の電位にシフトさせるようにした。
【0146】
したがって、従来は大型のTFT液晶表示パネルに適用していた黒挿入技術を、中小型のTFT液晶表示パネルのコストを上げることなく、黒挿入技術が利用可能となり、動画表示の際の残像感を低減でき、液晶表示装置のコストを低減することが可能になる。また、本実施形態4の液晶表示装置20では、保持容量ラインにより高い第3の保持容量駆動電圧V3を印加するようにしたため、画像信号のダイナミックレンジを小さくでき、液晶表示装置の消費電力を低減できる。
【0147】
なお、上記実施形態4では、画素に画像信号が供給されてから次の画像信号が供給されるまでの期間内の約50%を黒表示期間とした場合を示したが、画素に画像信号が供給されてから次の画像信号が供給されるまでの期間内の20%以上80%以内であれば、黒表示期間の割合を変更するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0148】
1、20 液晶表示装置
100、110 タイミング制御部
200 ソースドライバ
300 駆動電圧発生部
400 ゲートドライバ
500、700 保持容量駆動部
510、710 シフトレジスタ
520、730 バッファ
530、760 電圧レベル選択部
600 LCDパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に配列されて、各々が薄膜トランジスタと保持容量を有する複数の画素と、
前記複数の画素の各薄膜トランジスタのゲートに接続される複数のゲートラインと、
前記複数の画素の各保持容量の一端に接続される複数の保持容量ラインと、
1フレーム期間内に前記複数のゲートラインを駆動するゲート駆動部と、
前記1フレーム期間内に前記複数の保持容量ラインに供給する電圧を第1のレベルに変
化させて、前記複数の画素に供給する画素電圧とは異なる画像表示電位にシフトさせた後
、前記複数の保持容量ラインに供給する電圧を第2のレベル又は第3のレベルに変化させ
て、前記複数の画素に供給する画素電圧を黒表示電位にシフトさせる保持容量駆動部と、を具備するし、
前記保持容量駆動部は、
第1の制御信号、第1及び第2のクロックが入力され、前記第1及び第2のクロックに基づいて前記第1の制御信号をラッチして第1の出力信号を出力し、前記第1及び第2のクロックに基づいて前記第1の出力信号をラッチして第2の出力信号を出力し、第2の制御信号、第1及び第2のクロックが入力され、前記第1及び第2のクロックに基づいて前記第2の制御信号をラッチして第3の出力信号を出力し、前記第1及び第2のクロックに基づいて前記第3の出力信号をラッチして第4の出力信号を出力するシフトレジスタと、
前記第1及び第3の出力信号に基づいて第1乃至第3の選択信号を出力する第1の選択制御回路及び前記第2及び第4の出力信号に基づいて第4乃至第6の選択信号を出力する第2の選択制御回路を含むバッファと、
前記第1乃至第3の選択信号に応答して互いに異なる電圧レベルを有する第1乃至第3の保持容量駆動電圧のうちのいずれか1つを選択して出力する第1スイッチング群及び前記第4乃至第6の選択信号に応答して前記第1乃至第3の保持容量駆動電圧のうちのいずれか1つを選択して出力する第2のスイッチング群を含む電圧レベル選択部と、を含むことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記保持容量駆動部は、前記複数の画素に画像信号が供給されてから次の画像信号が供
給されるまでの期間内に前記複数の保持容量ラインに供給する電圧を前記第1のレベルか
ら前記第2のレベル又は前記第3のレベルに変化させること、
を特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記保持容量駆動部は、前記複数の画素に画像信号が供給されてから次の画像信号が供
給されるまでの期間内の20%以上から80%以内の期間に前記複数の保持容量ラインに
供給する電圧を前記第1のレベルから前記第2のレベル又は前記第3のレベルに変化させ
ること、
を特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記複数の画素に画像信号が供給されてから前記保持容量ラインに供給する電圧を前記
第1のレベルから前記第2のレベル又は前記第3のレベルに変化させるまでを画像表示期
間とし、前記保持容量ラインに供給する電圧を前記第2のレベル又は前記第3のレベルに
変化させてから前記次の画像信号が前記複数の画素に供給されるまでを黒表示期間とした
こと、
を特徴とする請求項3記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記複数の画素に画像信号が供給されてから前記保持容量ラインに供給する電圧を前記
第2のレベル又は前記第3のレベルに変化させるまでを黒表示期間とし、前記保持容量ラ
インに供給する電圧を前記第2のレベル又は前記第3のレベルに変化させてから前記次の
画像信号が前記複数の画素に供給されるまでを画像表示期間としたこと、
を特徴とする請求項3記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記保持容量駆動部は、前記ゲート駆動部が前記複数のゲートラインを駆動する方向と
同一の方向で前記複数の保持容量ラインを駆動すること、
を特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−159858(P2012−159858A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−111480(P2012−111480)
【出願日】平成24年5月15日(2012.5.15)
【分割の表示】特願2007−55742(P2007−55742)の分割
【原出願日】平成19年3月6日(2007.3.6)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung−ro,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do,Republic of Korea
【Fターム(参考)】