説明

液晶表示装置

【課題】 消費電力の少ない液晶表示装置を得る。
【解決手段】 光源31(第1の光源)と、光源32(第2の光源)と、光源31から出射された光を、運転席方向を中心として所定角度範囲内に所定強度以上の光が局在する第1の配光分布を持つ光に変換するとともに、光源32から出射された光を、助手席方向を中心として所定角度範囲内に所定強度以上の光が局在する第2の配光分布を持つ光に変換し、第1の配光分布を持つ光および第2の配光分布を持つ光の少なくとも一方の光を、液晶表示パネル10の方向に出射する光学部材40とを有するバックライト50と、運転席および助手席の各々に人物が存在しているか否かを判定する人物判定手段21と、第1の配光分布を持つ光の強度と、第2の配光分布を持つ光の強度とを、人物判定手段21の判定結果に基づいてそれぞれ増減するように光源31および光源32を制御する光源制御手段22とを備えるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車のカーナビゲーションシステムに用いられる液晶表示装置として、液晶表示パネルの背面に、両側端面に光源が設けられた導光板を持つバックライトを配置するとともに、上記液晶表示パネルの前面に、出射する光を二方向に分散する調光フィルムを配置したものがある。このような構成によれば、液晶画面を対向する斜め二方向の何れからも明瞭に視認することができる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−294539号公報(第1頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような従来の液晶表示装置は、動作中は常に運転席方向および助手席方向の両方向に高い輝度の光を出射するようにしている。ところが、カーナビゲーションシステムが運転席には乗員がいるが助手席には乗員がいない状況で使用される場合、従来の液晶表示装置では、乗員がいない助手席方向にも高い輝度の光が出射されるため、消費電力の低減の点で問題があった。
【0005】
この発明は上述のような問題を解決するためになされたもので、消費電力の少ない液晶表示装置を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の液晶表示装置は、液晶表示パネルと、第1の光源と、第2の光源と、第1の光源から出射された光を、第1の座席方向を中心として所定角度範囲内に所定強度以上の光が局在する第1の配光分布を持つ光に変換するとともに、第2の光源から出射された光を、第2の座席方向を中心として所定角度範囲内に所定強度以上の光が局在する第2の配光分布を持つ光に変換し、第1の配光分布を持つ光および第2の配光分布を持つ光の少なくとも一方の光を、液晶表示パネルの方向に出射する光学部材とを有するバックライトと、第1の座席および第2の座席の各々に人物が存在しているか否かを判定する人物判定手段と、第1の配光分布を持つ光の強度と、第2の配光分布を持つ光の強度とを、人物判定手段の判定結果に基づいてそれぞれ増減するように第1の光源および第2の光源を制御する光源制御手段とを備えるものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、第1の座席および第2の座席の各々に人物が存在するか否かを判定し、その判定結果に基づいて、第1の座席方向に出射される第1の配光分布を持つ光の強度と、第2の座席方向に出射される第2の配光分布を持つ光の強度とをそれぞれ増減するようにしているので、人物が存在する席の方向に出射される光は所定の強度を維持したままで、人物が存在しない席の方向に出射される光の強度を低下させて消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の形態1の液晶表示装置の構成を示す斜視図である。
【図2】実施の形態1の液晶表示装置の構成を示す断面図である。
【図3】実施の形態1の液晶表示装置の導光板に形成された反射ドットを示す図である。
【図4】実施の形態1の液晶表示装置の制御部の構成を示す図である。
【図5】実施の形態1の液晶表示装置のバックライトから出射される光の左右方向の配光分布を示す図である。
【図6】実施の形態1の液晶表示装置の動作を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図7】実施の形態1の液晶表示装置の変形例に係る第1の光源および第2の光源に供給される電力の時間変化を示す図である。
【図8】実施の形態1の液晶表示装置の導光版に形成された反射ドットの変形例を拡大して示す断面図である。
【図9】実施の形態2の液晶表示装置の人物判定部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1ないし図6は、実施の形態1に係る液晶表示装置を示すものであって、図1は構成を示す斜視図、図2は構成を示す断面図、図3(a)は導光板に形成された反射ドットを示す図、図3(b)は図3(a)の一部を拡大して示す断面図、図4は制御部の構成を示す図、図5はバックライトから出射される光の配光特性を示す図、図6は動作を説明するためのフローチャートを示す図である。
【0010】
図1および図2において、液晶表示装置100は自動車のセンターコンソールに設置されるカーナビゲーションシステムに用いられるものである。液晶表示装置100は、液晶表示パネル10と、液晶表示パネル10の背面10bに向けて光を出射するバックライト50と、バックライト50を制御する制御部20とを備えている。また、液晶表示装置100は、運転席(第1の座席)への着座の有無を検出する着座センサ61aと、助手席(第2の座席)への着座の有無を検出する着座センサ61bとを備えている。
【0011】
液晶表示パネル10は、バックライト50から出射された光が入射する背面10bと、この背面10bの反対側の表示面10aとを有する透過型の液晶パネルであり、バックライト50から出射された光を透過して表示面10aから画像光を出射する。
【0012】
バックライト50は、光源31(第1の光源)と、光源32(第2の光源)と、光源31から出射された光を、運転席方向(第1の座席方向)を中心として所定角度範囲内に所定強度以上の光が局在する第1の配光分布を持つ光に変換するとともに、光源32から出射された光を、助手席方向(第2の座席方向)を中心として所定角度範囲内に所定強度以上の光が局在する第2の配光分布を持つ光に変換し、第1および第2の配光分布を持つ光を液晶表示パネル10の方向に出射する光学部材40とを備えている。ここで、運転席方向とは液晶表示装置100から運転席へ向かう方向を示し、助手席方向とは液晶表示装置100から助手席へ向かう方向を示す。
【0013】
光源31、32は、点光源であるLEDを例えば3〜10個並べて配置したものである。光源31、32の供給電力は制御部20によってそれぞれ独立に制御される。
【0014】
光学部材40は、導光板4と、導光板4の裏面4d側に配置された反射シート6と、導光板4の出光面4c側に配置された光学シート71と備えている。
【0015】
導光板4は、光源31から出射された光が入射する一方の端面4aと、光源32から出射された光が入射する他方の端面4bと、端面4a、4bに略直行する出光面4cとを有する。また、出光面4cに対向する面が裏面4dである。
【0016】
導光板4の裏面4dには、図3(a)に示すように、導光板4の出光面4cから光学シート71の方向に光を取り出すための反射ドット41が形成されている。この反射ドット41は、半球面状の凹凸構造を有する。凹凸面の傾斜角度θは、図3(b)に示すように、導光板4の裏面4dに対して40度以内になるように浅く形成されている。
【0017】
反射シート6は、導光板4から出射された光を鏡面反射する鏡面反射シートである。この反射シート6は、導光板4から出射された光を鏡面反射して導光板4を透過し光学シート71の方向に光を戻す役割を有する。
【0018】
光学シート71としては、輝度上昇フィルムであるBEF(登録商標、3M社製)を用いる。BEFは透明性に優れたポリエステルフィルムの表面にアクリル樹脂の頂角90度前後のプリズム列を均一に成形した光学シートである。実施の形態1では、プリズム列の稜線が導光版4の端面4aから端面4bへの向きと平行になるようにBEFを配置している。光学シート71としてBEFを用いることにより、導光板4から出射された光が上下方向に集光されると同時に、左右方向にも運転席方向および助手席方向を中心として集光され、上述した第1の配光分布および第2の配光分布を得ることができる。
【0019】
着座センサ61a、61bは圧力を感知する圧力感知センサであり、着座センサ61aは運転席の座面に、着座センサ61bは助手席の座面にそれぞれ埋め込まれている。運転席および助手席へ人物が着座することにより所定の閾値以上の圧力が加わると、着座センサ61a、61bは“1”の信号を出力し、圧力が閾値未満であれば“0”の信号を出力する。なお、着座センサ61a、61bとしては、ばね式の接点開閉によるセンサなども用いることができる。
【0020】
制御部20は、着座センサ61a、61bからの出力を受けて、光源31、32の供給電力をそれぞれ独立に制御し、上述の第1の配光分布を持つ光の強度と、第2の配光分布を持つ光の強度とをそれぞれ独立に増減する。
【0021】
次に、図4を用いて制御部20の構成を説明する。
【0022】
図4において、制御部20は、人物判定部21と、光源制御部22とを有する。
【0023】
人物判定部21は、着座センサ61a、61bとそれぞれ結線されており、着座センサ61a、61bの出力に応じて運転席および助手席の各々に人物が存在するか否かを判定する。たとえば、着座センサ61aから“1”の信号が入力され、着座センサ61bから“0”の信号が入力されたとすると、運転席には人物が存在し、助手席には人物が存在しないと判定する。そして、人物判定部21は、判定結果を光源制御部22に出力する。
【0024】
光源制御部22は、人物判定部21の判定結果に基づいて、光源31、32の供給電力をそれぞれ独立に増減するように制御する。たとえば、運転席には人物が存在するが、助手席には人物が存在しない場合、光源32の供給電力を小さくすることで、第2の配光分布を持つ光の強度を減少させる。
【0025】
次に、図1および図2を用いて、光源31、32から出射された光の軌跡を説明する。
【0026】
図1および図2において、導光板4の端面4a側に配置された光源31から出射された光31aは、端面4aから導光板4の内部に入射し、導光板4の出光面4cおよび裏面4dで全反射を繰り返しながら端面4bの方向へ伝播してゆく。なお、図1および図2では作図の都合上、出光面4cおよび裏面4dで繰り返される全反射を省略した単純な光の軌跡を示している。
【0027】
伝播してゆく途中で裏面4dに形成された反射ドット41に当たった光は、端面4b側に向かう斜め方向で導光板4から外部へ取り出される。このとき、反射ドット41に反射されて導光板4の外部へ取り出されない光もあるが、その一部は再び導光板4の内部を端面4bの方向へ伝播していく。また、一部は臨界角より大きな傾きを持ち導光板4の出光面4cから導光板4の外部へ取り出される。ここで、反射ドット41の凹凸面の傾斜角度θは最大でも40度以内としているので、反射ドット41に反射され取り出された光は、端面4bの方向へ進む。
【0028】
導光板4から外部に取り出された光は、反射シート6で鏡面反射され、端面4b側に向かう斜め方向で裏面4dから導光板4の内部に再入射する。そして、導光板4の内部に再入射した光は、出光面4cから導光板4の外部に取り出され、光学シート71を透過する。このとき、光学シート71として頂角90度のプリズム列の稜線が端面4aから端面4bへの向きと平行になるように配置したBEFを用いているので、出光面4cから大きな出射角度、すなわち導光板4の出光面4cに平行に近い角度で取り出された光は、光学シート71のプリズム列により反射され、導光板4の内部に再入射する。よって、光学シート71から出射される光のうち、大きな出射角度を持つ光の輝度は小さくなる。その結果、光学シート71から出射される光の輝度は、出射角度が0°から約40°までは次第に大きくなるが、出射角度が約40°よりも大きいと次第に小さくなる。なお、ここでは光学シート71として頂角90度のプリズム列の稜線が端面4aから端面4bへの向きと平行になるように配置したBEFを用いているので、光学シート71により反射される光は端面4bの方向へ向かう。さらに、導光板4を透過し反射シート6に到達した光は、反射シート6で鏡面反射され、端面4b側に向かう斜め方向で裏面4dから導光板4の内部に再入射する。
【0029】
以上により、光源31から出射された光31aは、運転席方向を中心として所定角度範囲内に所定強度以上の光が局在する第1の配光分布を持つ光に変換される。
【0030】
そして、第1の配光分布を持つ光は、背面10bから液晶表示パネル10に入射し、画像光に変換されて表示面10aから運転席方向に出射される。
【0031】
一方、導光板4の端面4b側に配置された光源32から出射された光32aは、その向きが反対であること以外は光源31から出射された光31aと同様の軌跡をたどり、助手席方向を中心として所定角度範囲内に所定強度以上の光が局在する第2の配光分布を持つ光に変換される。
【0032】
上述のようにして得られた第1および第2の配光分布を、図5を用いて説明する。図5は、バックライト50の中央から出射された光の左右方向の配光分布である。図5において、横軸はバックライト50からの正面方向を0度とした左右方向の出射角度を、縦軸は相対輝度を示している。そして、図中の黒丸は光源31のみを点灯した場合の配光分布を、破線は光源32のみを点灯した場合の配光分布を、図中の白丸は光源31および光源32の両方を点灯した場合の配光分布を示している。
【0033】
図5において、光源31のみを点灯した場合、バックライト50から出射される光は、運転席方向である40°を中心として所定角度範囲内に所定強度以上の光が局在する第1の配光分布を持つ光に変換されていることがわかる。一方、光源32のみを点灯した場合、バックライト50から出射される光は、助手席方向である−40°を中心として所定角度範囲内に所定強度以上の光が局在する第2の配光分布を持つ光に変換されていることがわかる。また、光源31および光源32の両方を点灯した場合、バックライト50から出射される光は、第1の配光分布と、第2の配光分布とが重ね合わされた配光分布(以下、重ね合わせの配光分布と称す)を持つ光に変換されていることがわかる。
【0034】
次に、図6に示すフローチャートを用いて、液晶表示装置100の動作を説明する。
【0035】
まず、着座センサ61a、61bからそれぞれ出力される“1”または“0”の信号を受けた人物判定部21が、運転席および助手席の少なくとも一方に人物が存在するか否かを判定する(S11)。着座センサ61a、61bの出力がともに“0”、つまり運転席と助手席の両方に人物が存在しない場合(S11:NO)、光源制御部22が、光源31および光源32の両方を点灯させずに処理を終了する(S12)。
【0036】
一方、着座センサ61a、61bの少なくとも一方が“1”、つまり運転席と助手席の少なくとも一方に人物が存在する場合(S11:YES)、人物判定部21は、着座センサ61a、61bがともに“1”、つまり運転席と助手席の両方に人物が存在するか否かを判定する(S13)。運転席と助手席の両方に人物が存在する場合(S13:YES)、光源制御部22は、光源31および光源32の両方を点灯させて処理を終了する(S14)。
【0037】
したがって、運転席および助手席の両方に人物が存在する場合は、重ね合わせの配光分布を持つ光がバックライト50から出射されるため、液晶表示パネル10は、従来の液晶表示装置と同様に、運転席方向と助手席方向の両方向に高い輝度の光を出射する。
【0038】
運転席と助手席の両方に人物が存在しない場合(S13:NO)、人物判定部21は、着座センサ61aからの出力が“1”、つまり運転席に人物が存在するか否かを判定する(S15)。運転席に人物が存在する場合(S15:YES)、光源制御部22は、光源31を点灯させて処理を終了させる(S17)。
【0039】
したがって、運転席のみに人物が存在する場合は、第1の配光分布を持つ光がバックライト50から出射されるため、運転席方向に出射される光の輝度は高く、助手席方向に出射される光の輝度は低い。すなわち、人物の存在しない助手席方向に出射される光を低減することができる。
【0040】
一方、運転席に人物が存在しない場合(S15:NO)、光源制御部22は、光源32を点灯させて処理を終了させる(S16)。
【0041】
したがって、助手席のみに人物が存在する場合、第2の配光分布を持つ光がバックライト50から出射されるため、助手席方向に出射される光の輝度は高く、運転席方向に出射される光の輝度は低い。すなわち、人物の存在しない運転席方向に出射される光を抑えることができる。
【0042】
実施の形態1の液晶表示装置100によれば、運転席および助手席の各々に人物が存在するか否かを判定し、その判定結果に基づいて、運転席方向に出射される第1の配光分布を持つ光の強度と、助手席方向に出射される第2の配光分布を持つ光の強度とをそれぞれ独立に増減するようにしているので、人物が存在する席の方向に出射される光は所定の強度を維持したままで、人物が存在しない席の方向に出射される光の強度を低下させて消費電力を低減することができる。
【0043】
また、着座センサ61a、61bを用いて運転席および助手席への着座の有無を検出しているので、簡易な構成で精度よく人物が存在するか否かを判定することができる。
【0044】
なお、図5において、重ね合わせの配光分布を持つ光を出射している状態から第2の配光分布を持つ光の強度を減少する場合、つまり、光源31、32の両方を点灯している状態から光源32のみを消灯する場合、第1の配光分布を持つ光に対応する方向である運転席方向に出射される光の輝度は、光源31、32の両方を点灯させた場合の輝度と比較して85%に低下してしまう。このような輝度の低下を防止するために、光源制御部22が光源31の出力を15%増加させるように制御するようにしてもよい。このようにすることで、助手席に人物が存在するか否かにかかわらず運転席方向へ出射される光の輝度を一定にすることができる。
【0045】
しかし、図5に示す第1の配光分布と重ね合わせの配光分布とを完全に一致させることはできないため、上記のように運転席方向へ出射される光の輝度を一定にしようとしても、出射角度によっては輝度の変化が生じてしまう。このため、光源31、32の出力の増減を行うと、輝度の変化により運転席の人物は瞬間的にではあるが見づらさを感じてしまう。このような見づらさにより人物が感じる違和感を軽減するために、光源制御部22が、所定の時間をかけて光源31、32に供給する電力の出力を制御するようにしてもよい。
【0046】
図7は、実施の形態1の液晶表示装置の変形例に係る第1の光源および第2の光源に供給される電力の時間変化を示す図である。図7において、横軸は光源31、32の電力を増減させる動作の開始を0としたときの時間を示し、縦軸は電力を増減させる前に光源31、32に供給されていた電力を1としたときの相対電力を示す。また、図中の白丸は光源31に供給される電力を示し、図中の黒丸は光源32に供給される電力を示している。この変形例においては、光源制御部22が、光源31、32の両方が点灯している状態から光源32を消灯するとともに光源31の供給電力を増加させる制御を10秒間かけて行っている。
【0047】
人間の目は0.016秒から0.5秒程度の周期の輝度変化に対しては感度が高いが、ゆっくりした輝度変化に対しては瞳と網膜の感度で調整をするために輝度変化を感じにくい。したがって、運転席の人物は、運転席方向に出射される光の輝度が変化したとしても、その変化にかかる時間が1秒程度以上であれば、その変化は気にならない。また、変化にかける時間が長いほど、さらに、変化の始まりが穏やかであるほど違和感を感じにくい。ただし、変化の時間を長くかけ過ぎると光源32に無駄な電力を供給することになるため5分以内が適切である。実効的には5秒から30秒程度が最も適している。
【0048】
このように、光源制御部22は、第1の配光分布を持つ光の強度と、第2の配光分布を持つ光の強度とを、数秒程度の時間をかけて増減するように光源31、32を制御するようにしているので、輝度の変化に伴って人物が感じる違和感を軽減することができる。
【0049】
なお、上記の変形例においては、光源32の供給電力を減少させる際に、光源31供給電力を増加させる制御を所定の時間をかけて行うものを示したが、光源32の供給電力を減少させる際に、光源31の供給電力を変化させない場合においても、光源32の供給電力を数秒程度の時間をかけて変化させるようにすることで、人物が感じる違和感を軽減することができる。
【0050】
また、実施の形態1では、導光板4に形成する反射ドット41の形状として、図3に示す半球面状の凹凸構造を示したが、反射ドット41の形状はこれに限られない。図8は実施の形態1の液晶表示装置の導光板に形成された反射ドットの変形例を拡大して示す断面図であって、図8(a)は凹凸構造を有する梨地面の反射ドット、図8(b)は三角プリズム構造の反射ドットを示している。反射ドット41は、これらの形状を用いるようにしても良いが、凹凸構造や三角プリズム構造の傾斜角度θは、40度以内となるように形成する。
【0051】
また、実施の形態1では、光学シート71としてBEFを用いたが、これに限るものではなく、頂角が70度から120度のプリズム列の長手方向が導光板4の端面4aから端面4bへ向かう向きと平行になるように配置したプリズムシートや、凸レンズの長手方向が導光板4の端面4aから端面4bへ向かう向きと平行になるように配置したレンチキュラーレンズシートなども適用可能である。さらに、一部の偏光成分を透過し一部を鏡面反射する偏光反射フィルムであるDBEF(登録商標、3M社製)も適用可能である。
【0052】
なお、光学シート71は必須ではない。光学シート71を設けない場合には、導光板4の出光面4cに頂角80から120度のプリズム列を長手方向が導光板4の端面4aから端面4bへ向かう向きと平行になるように形成することが望ましい。これにより、光源31から出射された光31aは上下方向に集光され、高い輝度を実現できる。
【0053】
実施の形態2.
実施の形態1の人物判定部21は、着座センサ61a、61bの検出結果に基づいて、運転席および助手席に人物が存在するか否かを判定するものを示したが、着座センサ61a、61bに代えて運転席および助手席を前方から撮像するカメラなどの撮像手段を設置し、人物判定部21が撮像手段により撮像された画像に基づいて、運転席および助手席の各々に人物が存在するか否かを判定するようにしてもよい。
【0054】
図9は、実施の形態2の液晶表示装置の人物判定部を示す図である。実施の形態2における人物判定部21は、図9に示すように、撮像手段が撮像した画像データから顔画像を抽出する顔画像抽出部23と、顔画像データライブラリ24とを備えている。
【0055】
顔画像抽出部23は、画像データから顔画像データライブラリ24内に予め記録されている顔画像パターンと一致または類似する顔画像を抽出する。次に、抽出した顔画像に基づいて、運転席および助手席の各々に人物が存在するか否かを判定する。なお、その他の構成は実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0056】
また、実施の形態2の液晶表示装置の動作は、図6に示すS11、S13およびS15において、着座センサ61a、61bの信号に基づく判定を、画像データから抽出された顔画像に基づく判定とすること以外は実施の形態1と同様であるので説明を省略する。
【0057】
上記のように、着座センサ61a、61bに代えて撮像手段を設置し、撮像した画像に基づいて運転席および助手席の各々に人物が存在しているか否かを判定するようにしても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0058】
なお、顔画像抽出部23は、顔画像を抽出する際に液晶表示パネル10の方向を向いている顔のみを抽出することが望ましい。特に、運転手は、運転中はほとんど液晶表示パネル10を見ることがないので、人物の顔の向きが液晶表示パネル10の方向を向いていない場合に、当該人物の方向に出射される光の強度を低下させることで、さらに消費電力を低減することができる。
【0059】
また、人物判定部21の人物の判定方法としては、撮像された画像と、予め撮像しておいた、運転席および助手席の両方に人物が存在しない場合の画像との差分を求め、その差分が所定の閾値よりも大きいか否かで人物が存在するか否かを判定するようにしても良い。このようにすることで、上述した顔画像データライブラリ24の構成を簡略化することができ、人物が存在するか否かを簡易に判定することができる。
【0060】
なお、上記各実施の形態では、液晶表示装置100をセンターコンソールに設置されるカーナビゲーションシステムに適用したものを示したが、センターコンソールに設置されるもの以外にも適用可能である。たとえば、後部座席の天井に吊り下げるようにして設置したモニターにも適用できる。この場合、右側後部座席および左側後部座席の各々に人物が存在するか否かを判定し、人物が存在しない座席方向に出射される光の強度を低下させることで、消費電力を低減させることができる。
【0061】
また、上記各実施の形態では、運転席および助手席の各々に人物が存在するか否かを判定するものを示したが、カーナビゲーションシステムは、運転席には人物がいるが、助手席には人物がいない状況で使用される場合が多いため、運転席に人物が存在するか否かを判定する構成を省略し、助手席に人物が存在するか否かのみを判定するようにしても良い。そして、助手席に人物が存在しない場合、助手席方向に出射される光の輝度を低下させることで、消費電力を低下させることができる。
【0062】
また、上記各実施の形態では、液晶表示装置100をカーナビゲーションシステムに適用したものを示したが、これに限るものではなく、観察者が液晶表示装置の左右2方向に存在するものであればその他の表示システムとしても適用できる。例えば、監視用モニターは、左右2方向のほぼ固定された座席に存在する人物が、中央に配置されたモニターを観察するようにして使用されるが、このような場合においても本発明の液晶表示装置100を適用することで、人物が存在しない方向に出射される光の強度を低下させて消費電力を低減することができる。また、対戦型テレビゲームとして、左右2方向のほぼ固定された座席に存在する人物が、中央に配置された画面をみてゲームをするものがあるが、このような場合においても本発明の液晶表示装置100を適用することで、同様の効果を得ることができる。
【0063】
以上、実施の形態1および2について説明した。なお、各実施の形態およびその変形例は互いに組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0064】
10 液晶表示パネル
31 光源(第1の光源)
32 光源(第2の光源)
21 人物判定部
22 光源制御部
40 光学部材
50 バックライト
61a、61b 着座センサ
100 液晶表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示パネルと、
第1の光源と、第2の光源と、前記第1の光源から出射された光を、第1の座席方向を中心として所定角度範囲内に所定強度以上の光が局在する第1の配光分布を持つ光に変換するとともに、前記第2の光源から出射された光を、第2の座席方向を中心として所定角度範囲内に所定強度以上の光が局在する第2の配光分布を持つ光に変換し、前記第1の配光分布を持つ光および前記第2の配光分布を持つ光の少なくとも一方の光を、前記液晶表示パネルの方向に出射する光学部材とを有するバックライトと、
第1の座席および第2の座席の各々に人物が存在しているか否かを判定する人物判定手段と、
前記第1の配光分布を持つ光の強度と、前記第2の配光分布を持つ光の強度とを、前記人物判定手段の判定結果に基づいてそれぞれ増減するように前記第1の光源および前記第2の光源を制御する光源制御手段とを備えた液晶表示装置。
【請求項2】
前記光源制御手段は、前記第1の配光分布を持つ光の強度と、前記第2の配光分布を持つ光の強度とを、所定の時間をかけて増減するように前記第1の光源および前記第2の光源を制御することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記光源制御手段は、前記第1の配光分布を持つ光および前記第2の配光分布を持つ光の両方を出射している状態からいずれか一方の光の強度を減少させる場合、他方の光に対応する方向に出射される光の強度が変化しないように前記第1の光源および前記第2の光源を制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記第1の座席および前記第2の座席への着座の有無を検出する着座センサを備え、
前記人物判定手段は、前記着座センサの検出結果に基づいて前記第1の座席および前記第2の座席の各々に人物が存在しているか否かを判定することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記第1の座席および前記第2の座席を撮影する撮影手段を備え、
前記人物判定手段は、前記撮影手段により撮影された画像に基づいて前記第1の座席および前記第2の座席の各々に人物が存在しているか否かを判定することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記人物判定手段は、前記撮像手段により撮像された画像内の顔画像に基づいて前記第1の座席および前記第2の座席の各々に人物が存在しているか否かを判定することを特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記人物判定手段は、前記顔画像の顔の向きに基づいて前記第1の座席および前記第2の座席の各々に人物が存在しているか否かを判定することを特徴とする請求項6に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
液晶表示パネルと、
第1の光源と、第2の光源と、前記第1の光源から出射された光を、運転席方向を中心として所定角度範囲内に所定強度以上の光が局在する第1の配光分布を持つ光に変換するとともに、前記第2の光源から出射された光を、助手席方向を中心として所定角度範囲内に所定強度以上の光が局在する第2の配光分布を持つ光に変換し、前記第1の配光分布を持つ光および前記第2の配光分布を持つ光の少なくとも一方の光を、前記液晶表示パネルの方向に出射する光学部材とを有するバックライトと、
助手席に人物が存在しているか否かを判定する人物判定手段と、
前記第2の配光分布を持つ光の強度を、前記人物判定手段の判定結果に基づいて増減するように前記第2の光源を制御する光源制御手段とを備えた液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−25036(P2013−25036A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159133(P2011−159133)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】