説明

液晶装置及び電子機器

【課題】アレイ基板上に受光素子を形成しつつも、開口率の低下を抑制することのできる
液晶装置を提供する。
【解決手段】アレイ基板14とカラーフィルタ基板15との間隙に注入されたネマティッ
ク液晶17と、アレイ基板14上に形成されたTFT50及びPINダイオード45とを
備えた。PINダイオード45に入射される外光L3の入射経路上であってアレイ基板1
4上に、且つPINダイオード45よりもカラーフィルタ基板15側に、コレステリック
液晶層57を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネルやペン入力等の入力機能を備えた液晶表示装置が広く利用されてい
る。このような入力機能を備えた液晶表示装置におけるタッチ位置の検出方式としては、
抵抗膜方式、超音波方式、静電容量方式、電磁誘導方式、光方式等が知られている。いず
れの検出方式においても、表示装置に種々の部品等を追加する必要があり、装置の大型化
やコストの増大を招くという問題がある。
【0003】
そこで、データ線、走査線やスイッチング素子としての薄膜トランジスタ(TFT)等
が形成されるアレイ基板上に、タッチ位置を検出するための受光素子を形成した液晶表示
装置が開発されている(例えば、特許文献1参照)。この種の液晶表示装置では、データ
線、表示線及びTFTからなる表示部により、各画素毎に液晶の配向状態が表示データに
基づいて制御され、その液晶の配向状態に基づいて該液晶に入射される光が変調されるこ
とによって表示面に所望の画像が表示される。また、例えば指や入力ペン等によって受光
素子への外光の入射を遮ると、該受光素子によりそのタッチ位置を検出することができる
。このような液晶表示装置では、同一基板上に、スイッチング素子と受光素子とが形成さ
れるため、装置全体の薄型化及びコストの低減を図ることができる。
【特許文献1】特開2005−43672号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の液晶表示装置では、上記受光素子が形成される領域
によって、各画素内の表示部として機能する領域が縮小される。これにより、各画素の開
口率が低下するため、表示品質が低下するという問題がある。
【0005】
本発明は、前述した上記問題点を解消するためになされたものであって、その目的は、
アレイ基板上に受光素子を形成しつつも、開口率の低下を抑制することのできる液晶装置
及び電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液晶装置は、アレイ基板と対向基板との間隙に注入された液晶と、前記アレイ
基板に形成されて前記液晶の配向状態を制御する表示部と、前記アレイ基板に形成された
受光素子とを備え、前記対向基板側から表示光が出射される液晶装置において、前記受光
素子に対する入射光の入射経路上であって前記アレイ基板上に、且つ前記受光素子よりも
対向基板側に、前記入射光のうち特定の波長の光のみを選択的に反射する波長選択反射層
が形成される。
【0007】
本発明の液晶装置によれば、対向基板側から入射される入射光のうち特定の波長以外の
波長の光が波長選択反射層を透過する。この波長選択反射層を透過した光は、該波長選択
反射層の下方に設けられた受光素子により受光される。一方、上記入射光のうち特定の波
長の光は、波長選択反射層により反射される。そして、この反射された光は、表示部によ
り配向状態が制御された液晶を通じて対向基板側に出射される。このように、受光素子の
形成された領域からも液晶の配向状態に応じた光を表示光として出射させることができる
。すなわち、受光素子の形成された領域を表示部として機能させることができる。従って
、各画素の開口率の低下を好適に抑制することができ、表示品質の低下も抑制することが
できる。
【0008】
この液晶装置において、前記波長選択反射層は、コレステリック液晶からなるようにし
てもよい。
この液晶装置におけるコレステリック液晶は、電圧を印加していない状態であってもプ
レーナ状態、すなわち波長選択反射状態が維持される。また、コレステリック液晶は、螺
旋構造の液晶分子のピッチを調整することによって、特定の波長の光のみを反射させるこ
とができる。
【0009】
この液晶装置において、前記波長選択反射層は、表面が平坦化された有機平坦化膜の表
面に形成されるようにしてもよい。
この液晶装置によれば、平坦化された表面上に波長選択反射層を形成することができる
。とくに、コレステリック液晶からなる波長選択反射層の場合には、螺旋構造の液晶分子
のピッチを調整しやすくなるため、より確実に所望の波長の光のみを反射させることがで
きるようになる。
【0010】
この液晶装置において、前記アレイ基板上にマトリクス状に形成された各画素は、前記
表示部と、前記受光素子を含む受光部とを含んで構成され、前記対向基板は、カラーフィ
ルタが前記表示部に対向するように形成されるとともに、前記波長選択反射層により反射
された光を透過させる透過領域が前記受光部に対向するように形成され、前記波長選択反
射層が反射する特定の波長は、該波長選択反射層と同一画素の前記表示部に対向して設け
られる前記カラーフィルタを透過する光の波長と同一であってもよい。
【0011】
この液晶装置において、カラー画像を表示する場合についても、受光素子の形成された
領域を表示部として機能させることができる。
この液晶装置において、前記アレイ基板の下部にバックライトを設けるようにしてもよ
い。
【0012】
この液晶装置によれば、透過型の液晶装置についても、各画素の開口率の低下を好適に
抑制することができ、表示品質の低下も抑制することができる。
本発明の電子機器は、上記液晶装置を用いた。
【0013】
本発明の電子機器によれば、表示品質の低下を抑制することのできる電子機器を提供す
ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図3に従って説明する。
図1は入力機能を備えた液晶表示装置の斜視図、図2は入力機能を備えた液晶表示装置
に設けられたカラーフィルタ基板の斜視図、図3は、画素における表示部と受光部の要部
断面図である。
【0015】
図1に示すように、液晶装置としての入力機能を備えた液晶表示装置10の下側には、
LED等の光源11を有して四角板状に形成されたバックライト12が備えられている。
バックライト12の上方には、該バックライト12と略同じサイズに形成された四角板状
の液晶パネル13が備えられている。そして、光源11から出射される光L1(図3参照
)が、液晶パネル13に向かって照射される。
【0016】
液晶パネル13には、相対向するアレイ基板14とカラーフィルタ基板15が備えられ
ている。これらアレイ基板14とカラーフィルタ基板15は、光硬化性樹脂からなる四角
枠状のシール材16によって貼り合わされている。そして、これらアレイ基板14とカラ
ーフィルタ基板15との間の間隙にネマティック液晶(液晶)17が封入されている。
【0017】
アレイ基板14の下面(バックライト12側の側面)には、下側偏光板18が貼り合わ
せられている。下側偏光板18は、バックライト12からの光を直接偏光にして液晶17
に出射するようになっている。アレイ基板14の上面(カラーフィルタ基板15側の側面
:素子形成面14a)には、X矢印方向の略全幅にわたって延設される複数の走査線Lx
が配列形成されている。各走査線Lxは、それぞれアレイ基板14の一側に配設される走
査線駆動回路19に電気的に接続されるとともに、走査線駆動回路19からの走査信号が
所定のタイミングで入力されるようになっている。また、素子形成面14aには、Y矢印
方向の略全幅にわたって延設される複数のデータ線Lyが配列形成されている。各データ
線Lyは、それぞれアレイ基板14の一側に配設されるデータ線駆動回路21に電気的に
接続されるとともに、データ線駆動回路21からの表示データに基づくデータ信号が所定
のタイミングで入力されるようになっている。素子形成面14aであって、走査線Lxと
データ線Lyの交差する位置には、対応する走査線Lx及びデータ線Lyに接続されてマ
トリクス状に配列される複数の画素22が形成されている。各画素22は、薄膜トランジ
スタ(TFT)等のスイッチング素子を含む表示部23と、PINダイオード等の受光素
子を含む表示機能を備えた受光部24と、ITO(Indium-Tin-Oxide)等の透明電極膜か
らなる画素電極59(図3参照)が形成されている。
【0018】
各画素22の上側全体には、ラビング処理等による配向処理が施され、上記画素電極5
9近傍の液晶分子の配向を設定可能にする下側配向膜(図示略)が形成されている。
また、上記カラーフィルタ基板15の下面全体には、ラビング処理等による配向処理が
施され、上記下側配向膜と併せて液晶分子の配向を設定する上側配向膜(図示略)が形成
されている。カラーフィルタ基板15の上面には、下側偏光板18からの光と直交する直
接偏光の光を表示光L2(図3参照)として観測側(外方:図1におけるZ矢印方向)に
出射する上側偏光板25が配設されている。カラーフィルタ基板15の下面(アレイ基板
14側の側面:フィルタ形成面15a)には、図2に示すように、隔壁31が形成されて
いる。隔壁31は、クロムやカーボンブラック等の遮光性材料等によって形成され、上記
走査線Lx及びデータ線Lyと相対するように、フィルタ形成面15aの略全面に格子状
に形成されている。そして、この隔壁31が形成されることによって、フィルタ形成面1
5aには、隔壁31により囲まれる画素対向領域32が、上記画素22とそれぞれ対向す
るようにマトリクス状に配列される。画素対向領域32は、上記表示部23と対向するフ
ィルタ層領域33と、上記受光部24と対向する透過領域34とから構成されている。フ
ィルタ層領域33は、バックライト12からの光L1(図3参照)を、赤色の光に変換し
て出射する赤色フィルタ層33R、緑色の光に変換して出射する緑色フィルタ層33G及
び青色の光に変換して出射する青色フィルタ層33Bを有する。
【0019】
次に、上記各画素22の構造について図3に従って説明する。図3は、赤色の光Lrを
表示光L2として出射する画素22の要部断面図である。なお、緑色の光Lg及び青色の
光Lbを表示光L2として出射する画素22も図3と同様の構造を有しているため、ここ
では説明を省略する。
【0020】
図3に示すように、アレイ基板14の素子形成面14aには、バックライト12からス
イッチング素子への光L1の入射を遮断するための遮光膜41と、バックライト12から
受光素子への光L1の入射を遮断するための遮光膜42が形成されている。両遮光膜41
,42の上側には、素子形成面14a略全面を覆うように堆積されたシリコン酸化膜等か
らなる絶縁膜43が形成されている。
【0021】
絶縁膜43の上面であって、上記遮光膜41の上方にはスイッチング素子を構成する半
導体層44が形成されている。半導体層44は、その中央位置に形成されたP型のチャネ
ル領域44cを備え、そのチャネル領域44cの両側にN型のソース領域44s及びドレ
イン領域44dを有している。
【0022】
また、絶縁膜43の上面であって、上記遮光膜42の上方には受光素子としてのPIN
ダイオード45が形成されている。PINダイオード45は、その中央位置に形成された
I型のポリシリコンからなるI型領域45iを備え、そのI型領域45iの両側に多結晶
半導体であるN型領域45n及びP型領域45pを有している。
【0023】
半導体層44及びPINダイオード45の上側には、素子形成面14a略全面を覆うよ
うに堆積されたシリコン酸化膜等からなるゲート絶縁膜46が形成されている。このゲー
ト絶縁膜46の上面であって、半導体層44のチャネル領域44cの上方には、上記走査
線Lxから延出されたゲート電極47が形成されている。なお、ソース領域44s及びド
レイン領域44dは、このゲート電極47をマスクにしたリンイオンのイオン注入により
自己整合的に形成されている。これらゲート電極47、ソース領域44s及びドレイン領
域44dによりスイッチング素子としてのTFT50が構成されている。
【0024】
このゲート電極47上には、各ゲート電極47間を電気的に絶縁するシリコン酸化膜等
からなる第1層間絶縁膜51が形成されている。
半導体層44のソース領域44s上には、ゲート絶縁膜46及び第1層間絶縁膜51を
貫通するコンタクトホールH1が形成されている。このコンタクトホールH1内には、ア
ルミニウム等からなる導電膜によってソース領域44sに電気的に接続された上記データ
線Lyが形成されている。一方、半導体層44のドレイン領域44d上には、ゲート絶縁
膜46及び第1層間絶縁膜51を貫通するコンタクトホールH2が形成されている。この
コンタクトホールH2内には、アルミニウム等からなる導電膜によってドレイン領域44
dに電気的に接続されたドレイン電極52が形成されている。
【0025】
PINダイオード45のN型領域45n上には、ゲート絶縁膜46及び第1層間絶縁膜
51を貫通するコンタクトホールH3が形成されている。このコンタクトホールH3内に
は、アルミニウム等からなる導電膜によってN型領域45nに電気的に接続された第1電
極53が形成されている。一方、PINダイオード45のP型領域45p上には、ゲート
絶縁膜46及び第1層間絶縁膜51を貫通するコンタクトホールH4が形成されている。
このコンタクトホールH4内には、アルミニウム等からなる導電膜によってP型領域45
pに電気的に接続された第2電極54が形成されている。そして、PINダイオード45
は、これら第1電極53及び第2電極54を介してタッチ位置検出回路(図示略)に接続
されている。
【0026】
これらデータ線Ly、ドレイン電極52、第1及び第2電極53,54上には、第1層
間絶縁膜51を覆うようにシリコン酸化膜等からなる第2層間絶縁膜55が形成されてい
る。第2層間絶縁膜55上には、アクリル樹脂等からなる有機平坦化膜56が形成されて
いる。なお、この有機平坦化膜56は、成膜後に、その上面がCMP法(Chemical Mecha
nical Polishing)等により平坦化されている。
【0027】
有機平坦化膜56の上面であって、PINダイオード45の上方には、波長選択反射層
としてのコレステリック液晶層57が形成されている。このコレステリック液晶層57の
コレステリック液晶は、常時、プレーナ状態、すなわち波長選択反射状態に設定されてい
る。また、コレステリック液晶層57は、外光L3が入射したときに、赤色の光Lrのみ
を反射し、緑色の光Lg及び青色の光Lbを透過させるように螺旋構造の液晶分子のピッ
チが設定されている。そして、このコレステリック液晶層57により反射された赤色の光
Lrが上記液晶17を通じてカラーフィルタ基板15側に出射されるとともに、コレステ
リック液晶層57を透過した緑色の光Lg及び青色の光LbがPINダイオード45にて
受光される。そして、PINダイオード45は、受光した外光に基づいて光電変換を行っ
て、その光電変換に基づく光電流信号を上記タッチ位置検出回路に出力する。なお、緑色
の光Lgを表示光L2として出射する画素22では、コレステリック液晶層57は、外光
L3が入射したときに、緑色の光Lgのみを反射し、赤色の光Lr及び青色の光Lbを透
過させるように液晶分子のピッチが設定されている。また、青色の光Lbを出射する画素
22では、コレステリック液晶層57は、外光が入射したときに、青色の光Lbのみを反
射し、赤色の光Lr及び緑色の光Lgを透過させるように液晶分子のピッチが設定されて
いる。
【0028】
上記ドレイン電極52の上側には、第2層間絶縁膜55及び有機平坦化膜56を貫通す
るビアホール58が形成されている。このビアホール58内及びコレステリック液晶層5
7上には、ITO等の光透過性の導電材料からなる画素電極59が画素22毎に形成され
ている。この画素電極59は、ビアホール58を介してドレイン電極52に接続されてい
る。
【0029】
アレイ基板14に対向するカラーフィルタ基板15のフィルタ形成面15a(図3にお
ける下面)であって、アレイ基板14の上記表示部23の対向する位置には、カラーフィ
ルタとしてのフィルタ層領域33、詳しくは赤色フィルタ層33Rが形成されている。こ
の赤色フィルタ層33Rにより、バックライトの光L1のうちの赤色の光Lrのみが表示
光L2として出射されるようになっている。なお、緑色の光Lgを表示光L2として出射
する画素22は、赤色フィルタ層33Rの代わりに緑色フィルタ層33Gが形成されてい
る。また、青色の光Lbを表示光L2として出射する画素22は、赤色フィルタ層33R
の代わりに青色フィルタ層33Bが形成されている。すなわち、同一画素22内では、フ
ィルタ層領域33から出射される光と、コレステリック液晶層57により反射される光と
は、同一波長の光になるように設定されている。
【0030】
赤色フィルタ層33Rの下側には、フィルタ形成面15a略全面を覆うようにアクリル
樹脂等からなる有機平坦化膜60が形成されている。有機平坦化膜60の下面には、IT
O等の光透過性の導電材料からなる対向電極61が、画素電極59に対する共通電極とし
て画素22毎に区画されずにフィルタ形成面15a全面にわたって形成されている。この
対向電極61は、図示しない電源回路に電気的に接続され、その電源回路から所定の電圧
が供給されるようになっている。
【0031】
そして、アレイ基板14とカラーフィルタ基板15とは、画素電極59と対向電極61
とが互いに向かい合うように配置されて、その画素電極59と対向電極61との間には、
上記ネマティック液晶17が封入されている。なお、有機平坦化膜60のうち、フィルタ
層領域33が形成されていない領域、すなわちアレイ基板14に形成された受光部24に
対向する位置の領域が上記透過領域34となる。すなわち、上記コレステリック液晶層5
7により反射された光は、その上方のネマティック液晶17を通じて透過領域34あるい
はフィルタ層領域33を透過して表示光L2として出射される。
【0032】
次に、このように構成された液晶表示装置10の作用について説明する。
まず、所定の表示データを液晶パネル13に表示する動作について説明する。
今、走査線駆動回路19が、走査線Lxを線順次走査に基づき1本ずつ順次選択すると
、対応する画素22のTFT50が選択期間中だけオン状態になる。TFT50がオン状
態となると、データ線駆動回路21から供給されたデータ信号が、データ線Ly及び半導
体層44を介して画素電極59に出力される。すると、各画素電極59と対向電極61と
の間の電位差に基づいて、対応する画素22のネマティック液晶17の配向状態を制御す
ることができ、バックライト12からの光L1を変調するように維持することができる。
このとき、同一画素22内のコレステリック液晶層57の上方のネマティック液晶17の
配向状態も同様に制御される。そして、変調された光がフィルタ層領域33を通じて上側
偏光板25を透過するか否かによって、液晶パネル13の観測側に所望の表示光L2が出
射される。
【0033】
さらに、各画素22の受光部24に入射される外光L3は、対応するネマティック液晶
17を通じてコレステリック液晶層57に入射される。この入射された外光L3は、コレ
ステリック液晶層57において、所定の波長の光(例えば、赤色の光Lr)のみが反射さ
れ、それ以外の波長の光(例えば、緑色の光Lg及び青色の光Lb)がコレステリック液
晶層57を透過する。そして、コレステリック液晶層57により反射された光は、該コレ
ステリック液晶層57の上方のネマティック液晶17の配向状態に基づいて変調される。
そして、変調された光がカラーフィルタ基板15に形成されたフィルタ層領域33あるい
は透過領域34を通じて上側偏光板25を透過するか否かによって、液晶パネル13の観
測側に所望の表示光L2が出射される。この表示光L2と上記バックライト12からの光
L1による表示光L2(表示部23からの表示光L2)とにより、液晶パネル13の観測
側に所望するカラー画像が表示されることになる。一方、外光L3のうちコレステリック
液晶層57を透過した光は、PINダイオード45により受光される。PINダイオード
45は、受光した光に基づいて光電変換を行って、その光電変換に基づく光電流信号をタ
ッチ位置検出部に出力する。そして、タッチ位置検出部は、このPINダイオード45か
らの光電流信号に基づいてタッチ位置を検出する。
【0034】
次に、表示データが表示されている液晶パネル13の所定の位置を指あるいは入力ペン
等でタッチすると、この指あるいは入力ペンによって外光L3が遮断される。すると、こ
のタッチされた位置(タッチ位置)に対応する画素22の受光部24には、外光L3が入
射されなくなる。これにより、PINダイオード45は、外光L3の入射が遮断されたこ
とを示す光電流信号をタッチ位置検出部に出力する。そして、タッチ位置検出部は、この
外光L3の入射が遮断されたことを示す光電流信号を出力したPINダイオード45の位
置をタッチ位置として検出する。
【0035】
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本実施形態によれば、受光素子であるPINダイオード45の上方、詳しくは入
射光としての外光L3の入射経路上であってアレイ基板14上に、且つPINダイオード
45よりもカラーフィルタ基板15側に、波長選択反射層としてのコレステリック液晶層
57を設けた。さらにそのコレステリック液晶層57よりもカラーフィルタ基板15側に
、表示データに基づいて配向状態が制御されるネマティック液晶17を設けた。そして、
コレステリック液晶層57を、外光L3のうち特定の波長の光、すなわち同一画素22内
のフィルタ層領域33から出射される光と同一の波長の光のみを反射するように設定した
。これにより、このコレステリック液晶層57により反射された光が、ネマティック液晶
17の配向状態に基づいて変調され、その変調された光が表示光L2として液晶パネル1
3の観測側に出射される。このようにPINダイオード45の形成された受光部24が表
示部としても機能する。従って、各画素22内で表示部として機能する領域が従来の液晶
表示装置に比べて大幅に拡大されるため、アレイ基板14上に受光素子としてのPINダ
イオード45を形成したとしても、各画素22における開口率を広く確保することができ
る。その結果、表示品質の低下を好適に抑制でき、高い表示品質を維持することができる

【0036】
また、本実施形態のネマティック液晶17の代わりに全面にコレステリック液晶を形成
して、そのコレステリック液晶の下部に受光素子を設ける構成も考えられる。しかし、こ
の構成では、表示データに応じてコレステリック液晶による波長選択範囲が変動するため
、受光素子が受光可能な外光の受光量が変動してしまう。とくに、白色や黒色の画像を表
示している画素内の受光素子については、外光を受光することができない場合がある。す
なわち、上記構成では、受光素子により受光可能な波長範囲が表示データによって制限さ
れてしまう。
【0037】
これに対して、本実施形態の液晶表示装置10では、外光L3が、ネマティック液晶1
7の配向状態に関わらずコレステリック液晶層57に入射されるとともに、各画素22の
コレステリック液晶層57により反射される光の波長が固定である。そのため、表示デー
タに依存されずに、PINダイオード45により外光L3を受光することができる。すな
わち、外光L3の明るさが同一であれば、表示データが異なる場合にも、略同一の光量の
光がPINダイオード45により受光される。従って、本実施形態の液晶表示装置10で
は、表示データに影響されないセンシングが可能となり、タッチ位置検出の感度を向上さ
せることができる。
【0038】
(2)本実施形態によれば、表示部23における表示光L2を、バックライト12から
の光L1に基づいて生成した。これにより、本実施形態の液晶表示装置10を、暗所にお
いて使用したとしても、所望の表示データを液晶パネル13に表示させることができる。
【0039】
(3)本実施形態によれば、コレステリック液晶層57を、表面が平坦化された有機平
坦化膜56の表面に形成した。これにより、コレステリック液晶層57のコレステリック
液晶の螺旋構造の液晶分子のピッチを調整しやすくなるため、所望の波長の光のみをより
確実に反射させることができるようになる。
【0040】
(第2実施形態)
次に、第1実施形態で説明した入力機能を備えた液晶表示装置10の電子機器への適用
について図4に従って説明する。入力機能を備えた液晶表示装置10は、携帯電話、モバ
イル型のパーソナルコンピュータ、デジタルカメラ等種々の電子機器に適用できる。
【0041】
図4は、携帯電話の構成を示す斜視図である。携帯電話70は、複数の操作ボタン71
と、受話口72と、送話口73と、上記入力機能を備えた液晶表示装置10を用いた表示
ユニット74とを備えている。なお、上記操作ボタン71の代わりに、表示ユニット74
に番号ボタン等を表示させて、例えば指でその番号ボタンをタッチすることにより操作す
るようにしてもよい。これによれば、番号ボタン等の表示サイズを自由に変更することが
可能となる。
【0042】
なお、上記各実施形態は、以下の態様に変更してもよい。
・上記実施形態では、コレステリック液晶層57を、表面が平坦化された有機平坦化膜
の表面に形成するようにしたが、これに限らず、例えば第2層間絶縁膜55の上面にコレ
ステリック液晶層57を形成するようにしてもよい。
【0043】
・上記実施形態では、スイッチング素子としてTFT50に具体化したが、これに限ら
ず、例えばMIM(Metal Insulator Metal)素子などの薄膜ダイオード素子(TFD素
子:Thin Film Diode素子)を用いたアクティブマトリクス型の液晶表示装置に適用して
もよい。
【0044】
・上記実施形態では、スイッチング素子であるTFT50を備えた、いわゆるアクティ
ブマトリクス方式の液晶表示装置に具体化したが、パッシブマトリクス方式の液晶表示装
置に適用してもよい。
【0045】
・上記実施形態では、表示部23においてはバックライト12からの光L1に基づいて
表示光L2を出射する、いわゆる透過型の液晶表示装置に具体化したが、反射型の液晶表
示装置に適用してもよい。この場合、バックライト12の代わりに反射板を設けて、遮光
膜41,42を削除する必要がある。また、TFT50の上方に、該TFT50への外光
L3の入射を遮断するための遮光膜を設けることが好ましい。あるいは、半透過型の液晶
表示装置に適用してもよい。
【0046】
・上記実施形態では、液晶装置として入力機能を備えた液晶表示装置に具体化したが、
これに限らず、例えばスキャナに適用してもよい。この場合、各PINダイオード45に
入力される光が実際の画像の色と補色関係になるものの、RGB3色分の光を得ることが
できるため、カラー画像を読み取ることができる。なお、この場合の光源は、バックライ
トであることが好ましい。
【0047】
あるいは、各PINダイオード45を、外光検知センサとして利用してもよい。すなわ
ち、各PINダイオード45により得られる光電流信号に基づいて、液晶表示装置10の
置かれる環境の明るさを判断するようにしてもよい。これによれば、例えば液晶表示装置
10の置かれる環境が明るい場合、すなわちPINダイオード45により得られる光電流
信号が大きくなる場合であって、且つ反射領域の表示機能が十分に機能する時、バックラ
イト12からの光L1を暗く調整して、消費電力を低減することも可能になる。逆に、透
過領域の表示機能が支配的なときは、バックライト12からの光L1を明るく調整して表
示を認識しやすくすることが可能になる。さらに、専用の外光センサを設ける場合に比べ
て、小型化及び低コスト化を実現することができる。
【0048】
・上記実施形態における各画素対向領域32の平面形状に特に制限はない。例えば、図
5に示すように各フィルタ層領域33と各透過領域34とをX矢印方向に並設するように
してもよい。なお、この場合にも、フィルタ層領域33及び透過領域34にそれぞれ対向
するように表示部23及び受光部24を形成する必要がある。
【0049】
・上記実施形態における画像表示に関するネマティック液晶17の配向モードは特に制
限されない。例えば、TNモード、VANモードやSTNモードといった種々の配向モー
ドに設定可能である。いずれの配向モードにおいても、上記実施形態と同様の効果を得る
ことができる。このようにネマティック液晶17の配向モードの選択自由度が高いため、
動画対応性能や視覚特性等の用途に合わせることが可能である。
【0050】
・上記実施形態では、アレイ基板14と対向基板としてのカラーフィルタ基板15との
間隙に注入される液晶をネマティック液晶17に具体化したが、スメクティック液晶に変
更してもよい。
【0051】
・上記実施形態におけるTFT50の構造は、LDD構造であってもよいし、GOLD
構造であってもよい。
・上記実施形態では、受光素子としてPINダイオードに具体化したが、例えばCCD
、CMOS、PNダイオード、フォトトランジスタ等を受光素子としてもよい。
【0052】
・上記実施形態では、波長選択反射層としてコレステリック液晶層57に具体化したが
、特定の波長の光のみを選択的に反射することのできる構成であればその構成は特に制限
されない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】第1実施形態における入力機能を備えた液晶表示装置を示す概略斜視図。
【図2】同じく、カラーフィルタ基板を示す概略斜視図。
【図3】同じく、画素における表示部と受光部の要部断面図。
【図4】第2実施形態の携帯電話を示す斜視図。
【図5】変形例のカラーフィルタ基板を示す平面図。
【符号の説明】
【0054】
L2…表示光、L3…入射光としての外光、10…液晶装置としての液晶表示装置、1
2…バックライト、14…アレイ基板、15…対向基板としてのカラーフィルタ基板、1
7…ネマティック液晶、22…画素、23…表示部、24…受光部、33…カラーフィル
タとしてのフィルタ層領域、34…透過領域、45…受光素子としてのPINダイオード
、50…スイッチング素子としてのTFT、56…有機平坦化膜、57…波長選択反射層
としてのコレステリック液晶層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレイ基板と対向基板との間隙に注入された液晶と、前記アレイ基板に形成されて前記
液晶の配向状態を制御する表示部と、前記アレイ基板に形成された受光素子とを備え、前
記対向基板側から表示光が出射される液晶装置において、
前記受光素子に対する入射光の入射経路上であって前記アレイ基板上に、且つ前記受光
素子よりも対向基板側に、前記入射光のうち特定の波長の光のみを選択的に反射する波長
選択反射層が形成されることを特徴とする液晶装置。
【請求項2】
前記波長選択反射層は、コレステリック液晶からなることを特徴とする請求項1に記載
の液晶装置。
【請求項3】
前記波長選択反射層は、表面が平坦化された有機平坦化膜の表面に形成されたことを特
徴とする請求項1又は2に記載の液晶装置。
【請求項4】
前記アレイ基板上にマトリクス状に形成された各画素は、前記表示部と、前記受光素子
を含む受光部とを含んで構成され、
前記対向基板には、カラーフィルタが前記表示部に対向するように形成されるとともに
、前記波長選択反射層により反射された光を透過させる透過領域が前記受光部に対向する
ように形成され、
前記波長選択反射層が反射する特定の波長は、該波長選択反射層と同一画素の前記表示
部に対向して設けられる前記カラーフィルタを透過する光の波長と同一であることを特徴
とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の液晶装置。
【請求項5】
前記アレイ基板の下部にバックライトを設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれ
か1つに記載の液晶装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の液晶装置を用いたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−158272(P2008−158272A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−347217(P2006−347217)
【出願日】平成18年12月25日(2006.12.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】