説明

液晶配向剤、液晶表示素子およびその製造方法

【課題】垂直配向性および長期安定性に優れ且つ熱および光に長時間さらされた場合の電圧保持率の低下が少なく、残像特性に優れる液晶配向膜を形成することができる液晶配向剤を提供すること。
【解決手段】上記液晶配向剤は、(A)下記式(1)
Si(ORII (1)
(式(1)中、Rは(メタ)アクリロイル基を有する1価の有機基であり、RIIは1価の有機基である。)
で表される化合物を含むシラン化合物を加水分解し縮合して得られるポリオルガノシロキサン、ならびに(B)ポリアミック酸およびポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種の重合体を含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶配向剤、液晶表示素子およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、液晶表示素子としては、透明導電膜が設けられている基板表面に液晶配向膜を形成して液晶表示素子用基板とし、その2枚を対向配置してその間隙に正の誘電率異方性を有するネマチック型液晶の層を形成してサンドイッチ構造のセルとし、液晶分子の長軸が一方の基板から他方の基板に向って連続的に90°捩れるようにした、いわゆるTN型(Twisted Nematic)液晶セルを有するTN型液晶表示素子が知られている。また、TN型液晶表示素子に比して高いコントラスト比を実現できるSTN(Super Twisted Nematic)型液晶表示素子や視野角依存性の少ないIPS(In−Plane Switching)型液晶表示素子、負の誘電率異方性を有するネマチック型液晶を用いたVA(Vertical Alignment)型液晶表示素子等が開発されている。
こうした各種液晶表示素子の動作原理は、透過型と反射型とに大別される。透過型液晶表示素子は、素子駆動時における素子背面からのバックライト用光源の透過光の強度変化を利用して表示を行なうものである。一方、反射型液晶表示素子は、バックライト用光源は使用せず、素子駆動時において太陽光等外部からの光の反射光の強度変化を利用して表示を行なうものであり、透過型に比べ消費電力が少ないため屋外での使用には特に有利と考えられている。
透過型液晶表示素子では、これに備えられた液晶配向膜は、バックライト光源からの光に長時間さらされることになる。特にビジネス用途に加えて近年ホームシアターとしての需要が高まっている液晶プロジェクター用途においては、メタルハライドランプ等の非常に照射強度の高い光源を用いている。また、強度の強い光照射に伴い、駆動時には液晶表示素子自体の温度が上昇することが考えられる。反射型液晶表示素子の場合には、屋外で使用される可能性が大きく、この場合には強い紫外光を含む太陽光が光源となる。また反射型ではその原理上、素子内を光が通過する距離が透過型に比べて長いこととなる。さらに、透過型液晶表示素子、反射型液晶表示素子とも、例えば自家用自動車内への設置等が普及する傾向にあり、液晶表示素子の使用態様として従来考えられていた態様に比べ、高い温度下における使用および設置環境が現実化してきた。
【0003】
ところで、液晶表示素子の製造工程において、プロセス短縮および歩留まり向上の観点から用いられ始めているのが液晶滴下方式、すなわちODF(One Drop Fill)方式である。ODF方式は、予め熱硬化性のシール剤を用いて組み立てられた空の液晶セルに液晶を注入していく従来法と異なり、液晶配向膜を塗布した片側基板の必要箇所に紫外光硬化性のシール剤を塗布した後、液晶を必要箇所に滴下し、他方の基板を貼り合わせた後に、全面に紫外光を照射してシール剤を硬化させて液晶セルを製造するものである。この際照射される紫外光は通常1平方センチメートルあたり数ジュール以上と強いものである。すなわち液晶表示素子製造工程において、液晶配向膜は液晶とともにこの強い紫外光にさられることになる。
このように液晶表示素子においては、その高機能化、多用途化、製造工程の改良等に伴って、高強度の光照射、高温環境、長時間駆動等、従来では考えられなかったほどの苛酷な環境にさらされることとなり、且つかかる環境下においても液晶配向性、電圧保持率等の電気特性、あるいは表示特性が従来より一層優れたものが求められることになり、さらに液晶表示素子にはさらなる長寿命が求められてきている。
【0004】
液晶表示素子を構成する液晶配向膜の材料としては、従来よりポリイミド、ポリアミック酸、ポリアミドおよびポリエステル等の有機樹脂が知られている。特にポリイミドは有機樹脂の中では耐熱性、液晶との親和性、機械強度等に優れた物性を示すため、多くの液晶表示素子に使用されてきた(特許文献1〜3)。しかしながら近年の液晶表示素子においては、上述したような製造環境、使用環境の過酷化に伴う新たな要求が強くなり、従来は許容されていた有機樹脂が達成できる程度の耐熱性、耐光性では未だ不十分であることとなった。
そこで、耐熱性、耐光性に優れる液晶配向膜の検討が行なわれている。例えば特許文献4には4個のアルコキシル基を有する珪素化合物と3個のアルコキシル基を有する珪素化合物とから得られたポリシロキサン溶液から形成された垂直配向型の液晶配向膜が開示されており、垂直配向性、耐熱性および均一性に優れ、さらに塗布液としての安定性も優れていると説明されている。しかし、特許文献4の技術による液晶配向膜は、現在の製造環境、使用環境の過酷化に伴う要求性能は満足しておらず、また塗布液の保存安定性が不足しているため、工業的に使用するうえでの利便性に問題がある。
極めて過酷な現在の製造環境、使用環境において十分な耐熱性、耐光性を有する液晶配向膜を与えることができ、しかも保存安定性に優れる液晶配向剤は未だ知られていない。
【0005】
ところで、VA型の液晶パネルにおいて視野角の拡大を図るべく、液晶パネル中に突起物を形成し、これにより液晶分子の倒れ込み方向を規制するMVA(Multi−Domain Vertical Alignment)型パネルが知られている。しかし、この方式によると、突起物に由来する透過率およびコントラストの不足が不可避であり、さらに液晶分子の応答速度が遅いという問題がある。
このようなMVA型パネルの問題点を解決すべく、近年、PSA(Polymer Sustained Alignment)モードが提案された。PSAモードは、パターン状導電膜付き基板およびパターンを有さない導電膜付き基板からなる一対の基板の間隙、あるいは2枚のパターン状導電膜付き基板からなる一対の基板の間隙に重合性の化合物を含有する液晶組成物を狭持し、導電膜間に電圧を印加した状態で紫外線を照射して重合性化合物を重合し、これによりプレチルト角特性を発現して液晶の配向方向を制御しようとする技術である。この技術によると、導電膜を特定の構成とすることにより視野角の拡大および液晶分子応答の高速化を図ることができ、MVA型パネルにおいて不可避であった透過率およびコントラストの不足の問題も解消される。しかしながら、前記重合性化合物の重合のために、例えば100,000J/mといった多量の紫外線の照射が必要であり、そのため液晶分子が分解する不具合が生ずるほか、紫外線照射によっても重合しなかった未反応化合物が液晶層中に残存することとなり、これらが相俟って表示ムラが発生し、電圧保持特性に悪影響を及ぼし、あるいはパネルの長期信頼性に問題が生じることが明らかとなり、未だ実用には至っていない。
これらに対し非特許文献1は、反応性メソゲンを含有するポリイミド系液晶配向剤から形成された液晶配向膜を用いる方法を提案している。非特許文献1によると、かかる方法により形成された液晶配向膜を具備する液晶表示素子は、液晶分子の応答が高速であるという。しかしながら非特許文献1には、いかなる反応性メソゲンをいかなる量で使用すべきかについての指針は全く記載されておらず、また必要な紫外線照射量も依然として多く、表示特性、特に電圧保持特性に関する懸念は払拭されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−197411号公報
【特許文献2】特開2003−149648号公報
【特許文献3】特開2003−107486号公報
【特許文献4】特開平9−281502号公報
【特許文献5】特開平6−222366号公報
【特許文献6】特開平6−281937号公報
【特許文献7】特開平5−107544号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Y.−J. Lee et. al., SID 09 DIGEST, p666(2009)
【非特許文献2】T. J. Scheffer et. al. J. Appl. Phys. vol. 19, p2013(1980)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、垂直配向性および長期安定性に優れ且つ熱および光に長時間さらされた場合の電圧保持率の低下が少なく、残像特性に優れる液晶配向膜を形成することができる液晶配向剤を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、熱および光に長時間さらされた場合であっても表示品位が劣化することのない液晶表示素子およびその製造方法を提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第一に、
(A)下記式(1)
Si(ORII (1)
(式(1)中、Rは(メタ)アクリロイル基を有する1価の有機基であり、RIIは1価の有機基である。)
で表される化合物を含むシラン化合物を加水分解し縮合して得られるポリオルガノシロキサン、ならびに
(B)ポリアミック酸およびポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種の重合体
を含有する液晶配向剤によって達成される。
上記の液晶配向剤は、TN型、STN型、IPS型、VA型等の公知の構造の液晶表示素子に好適に使用することができるほか、MVAパネルの問題点が解消された新規な液晶表示素子を製造するために用いることができる。
従って本発明の上記目的および利点は、第二に、
上記液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備する液晶表示素子によって達成され、第三に、
導電膜を有する一対の基板の該導電膜上に、それぞれ、上記の液晶配向剤を塗布して塗膜を形成し、
前記塗膜を形成した一対の基板の前記塗膜が、液晶分子の層を介して相対して対向配置した構成の液晶セルを形成し、
前記一対の基板の有する導電膜間に電圧を印加した状態で前記液晶セルに光照射する工程を経る、液晶表示素子の製造方法によって達成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の液晶配向剤は、垂直配向性および長期安定性に優れ且つ熱および光に長時間さらされた場合の電圧保持率の低下が少なく、残像特性に優れる液晶配向膜を形成することができるから、本発明の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備する液晶表示素子は、種々の装置に有効に適用することができる。
また、上記の本発明の液晶表示素子の製造方法によって製造された新規な液晶表示素子は、視野角が広く、液晶分子の応答速度が速く、良好な電気特性ならびに十分な透過率およびコントラストを示し、表示特定に優れ、長時間連続駆動しても表示特性が損なわれることがないうえ、液晶表示素子の照射に必要な光の量が少なくてすむため、製造コストの削減に資する。
上記液晶表示素子は、それぞれ例えば卓上計算機、腕時計、置時計、計数表示板、ワードプロセッサ、パーソナルコンピューター、液晶テレビ等の各種装置に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施例12〜14において製造した、パターニングされた透明導電膜を有する液晶セルにおける透明導電膜のパターンを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の液晶配向剤は、少なくとも
(A)上記式(1)で表される化合物を含むシラン化合物を加水分解し縮合して得られるポリオルガノシロキサン(以下、「ポリオルガノシロキサン(A)」という。)、ならびに
(B)ポリアミック酸およびポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種の重合体(以下、「重合体(B)」という。)
を含有する。
<ポリオルガノシロキサン(A)>
本発明におけるポリオルガノシロキサン(A)は、上記式(1)で表される化合物(以下、「シラン化合物(1)」という。)を含むシラン化合物を加水分解し縮合して得られるポリオルガノシロキサンである。
上記式(1)におけるRとしては、例えば下記式(R−1)
【0013】
【化1】

【0014】
(式(R−1)中、Rは水素原子またはメチル基であり、aは1〜10の整数であり、bは0または1であり、cは0〜2の整数であり、dは0または1であり、eは0〜3の整数であり、ただし、c、dおよびeが同時に0であることはなく、bおよびdがともに0であってcが0でないときにはeは0である。)
で表される基等を挙げることができる。
かかるRの具体例としては、例えば(メタ)アクリロキシメチル基、2−((メタ)アクリロキシ)エチル基、3−((メタ)アクリロキシ)プロピル基、4−((メタ)アクリロキシ)ブチル基、5−((メタ)アクリロキシ)ペンチル基、6−((メタ)アクリロキシ)ヘキシル基、7−((メタ)アクリロキシ)ヘプチル基、8−((メタ)アクリロキシ)オクチル基、9−((メタ)アクリロキシ)ノニル基、10−((メタ)アクリロキシ)デシル基、4−(2−((メタ)アクリロキシ)エチル)フェニル基、2−((4−(メタ)アクリロキシ)フェニル)エチル基、4−((メタ)アクリロキシメチル)フェニル基、4−(メタ)アクリロキシフェニルメチル基、4−(3−((メタ)アクリロキシ)プロピル)フェニル基、3−(4−(メタ)アクリロキシフェニル)プロピル基、4−((メタ)アクリロキシメトキシ)フェニル基、4−(2−((メタ)アクリロキシ)エトキシ)フェニル基、4−(3−((メタ)アクリロキシ)プロポキシ)フェニル基、(メタ)アクリロキシメトキシメチル基、2−((メタ)アクリロキシメトキシ)エチル基、2−(2−((メタ)アクリロキシ)エトキシ)エチル基、2−(2−(2−((メタ)アクリロキシ)エトキシ)エトキシ)エチル基、3−(3−((メタ)アクリロキシ)プロポキシ)プロピル基等を挙げることができる。
上記式(1)におけるRとしては、上記式(R−1)において、Rが水素原子またはメチル基であり、aが1〜10の整数であり、cが1であり、b、dおよびeがそれぞれ0である基が好ましく、より好ましくは(メタ)アクリロキシメチル基、2−((メタ)アクリロキシ)エチル基、3−((メタ)アクリロキシ)プロピル基、4−((メタ)アクリロキシ)ブチル基、5−((メタ)アクリロキシ)ペンチル基または6−((メタ)アクリロキシ)ヘキシル基であり、特に好ましくは3−((メタ)アクリロキシ)プロピル基である。
【0015】
上記式(1)におけるRIIとしては、例えば炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数6〜12のアリール基を有するアリールスルホニル基、炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルスルホニル基等を挙げることができ、
これらの具体例としては、炭素数1〜12のアルキル基として、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等を;
炭素数6〜12のアリール基として、例えばフェニル基、4−メチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、2,4,6−トリメトキシフェニル基等を;
炭素数6〜12のアリール基を有するアリールスルホニル基として、例えばp−トルエンスルホニル基等を;
炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルスルホニル基として、例えばメチルスルホニル基等を、それぞれ挙げることができる。
上記式(1)におけるRIIとしては、炭素数1〜12のアルキル基であることが好ましく、より好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基またはt−ブチル基であり、さらに好ましくはメチル基、エチル基またはt−ブチル基であり、特に好ましくはメチル基である。
かかるシラン化合物(1)の具体例としては、例えば(メタ)アクリロキシメチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリ−n−プロポキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリ−i−プロポキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルトリ−n−ブトキシシラン、(メタ)アクリロキシメチルプロピルトリ−sec−ブトキシシラン、
2−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリ−n−プロポキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリ−i−プロポキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリ−n−ブトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルプロピルトリ−sec−ブトキシシラン、
3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリ−n−プロポキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリ−i−プロポキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリ−n−ブトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリ−sec−ブトキシシラン、
4−(メタ)アクリロキシブチルトリメトキシシラン、4−(メタ)アクリロキシブチルトリエトキシシラン、4−(メタ)アクリロキシブチルトリ−n−プロポキシシラン、4−(メタ)アクリロキシブチルトリ−i−プロポキシシラン、4−(メタ)アクリロキシブチルトリ−n−ブトキシシラン、4−(メタ)アクリロキシブチルプロピルトリ−sec−ブトキシシラン、
5−(メタ)アクリロキシペンチルトリメトキシシラン、5−(メタ)アクリロキシペンチルトリエトキシシラン、5−(メタ)アクリロキシペンチルトリ−n−プロポキシシラン、5−(メタ)アクリロキシペンチルトリ−i−プロポキシシラン、5−(メタ)アクリロキシペンチルトリ−n−ブトキシシラン、5−(メタ)アクリロキシペンチルプロピルトリ−sec−ブトキシシラン、
6−(メタ)アクリロキシヘキシルトリメトキシシラン、6−(メタ)アクリロキシヘキシルトリエトキシシラン、6−(メタ)アクリロキシヘキシルトリ−n−プロポキシシラン、6−(メタ)アクリロキシヘキシルトリ−i−プロポキシシラン、6−(メタ)アクリロキシヘキシルトリ−n−ブトキシシラン、6−(メタ)アクリロキシヘキシルプロピルトリ−sec−ブトキシシラン等を挙げることができる。
【0016】
本発明におけるポリオルガノシロキサン(A)を合成するに際しては、シラン化合物(1)のみを加水分解し縮合してもよく、あるいはシラン化合物(1)とシラン化合物(1)以外のシラン化合物との混合物を加水分解し縮合してもよい。
ここで使用することのできるシラン化合物(1)以外のシラン化合物としては、例えば下記式(2)
IIISi(ORIV (2)
(式(1)中、RIIIは炭素数1〜18の直鎖のアルキル基、炭素数1〜18の直鎖のフルオロアルキル基または炭素数6〜24のアリール基であり、RIVは1価の有機基である。)
で表される化合物(以下、「シラン化合物(2)」という。)およびその他のシラン化合物(以下、「シラン化合物(3)」という。)を挙げることができる。
上記式(2)におけるRIIIの炭素数1〜18の直鎖のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル、n−オクタデシル基等を挙げることができる。RIIIの炭素数1〜18の直鎖のアルキル基としては、炭素数1〜6の直鎖のアルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましく、特に好ましくはメチル基である。
IIIの炭素数1〜18の直鎖のフルオロアルキル基としては、例えばトリフルオロメチル基、2−(トリフルオロメチル)エチル基、3−(トリフルオロメチル)プロピル基、パーフルオロ−n−ヘキシル基、パーフルオロ−n−オクチル基、2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチル基、パーフルオロ−n−ドデシル基、パーフルオロ−n−オクタデシル基等を挙げることができる。RIIIの炭素数1〜18の直鎖のフルオロアルキル基としては、炭素数1〜6の直鎖のフルオロアルキル基が好ましく、トリフルオロメチル基、2−(トリフルオロメチル)エチル基、3−(トリフルオロメチル)プロピル基またはパーフルオロ−n−ヘキシル基がより好ましく、特に好ましくはトリフルオロメチル基である。
IIIの炭素数6〜24のアリール基としては、例えばフェニル基、4−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−n−プロピルフェニル基、4−n−ヘキシルフェニル基、4−n−オクチルフェニル基、4−n−ドデシルフェニル基、4−n−オクタデシルフェニル基等を挙げることができ、これらのうち、フェニル基、4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基または2−メチルフェニル基が好ましく、特に好ましくはフェニル基である。
【0017】
IVの1価の有機基としては、例えば炭素数1〜12のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基であるか、あるいは炭素数1〜6のアルキル基を有するアルキルスルホニル基、炭素数6〜8のアリール基を有するアリールスルホニル基等であることができる。
上記RIVの炭素数1〜12のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等を;
炭素数6〜12のアリール基としては、例えばフェニル基、メチルフェニル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、メトキシフェニル基、ジメトキシフェニル基、トリメトキシフェニル基等を;
炭素数1〜6のアルキル基を有するアルキルスルホニル基としては、例えばメチルスルホニル基、エチルスルホニル基、n−ヘキシルスルホニル基等を;
炭素数6〜8のアリール基を有するアリールスルホニル基としては、例えばp−トルエンスルホニル基、3,5−ジメチルフェニルスルホニル基等を、それぞれ挙げることができる。これらのうち、上記式(2)におけるRIVとしては、炭素数1〜6のアルキル基であることが好ましい。
【0018】
かかるシラン化合物(2)の具体例としては、例えばメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−i−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシシラン、メチルトリ−n−ペンタキシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシシラン、メチルトリフェノキシシラン、メチルトリ−p−メチルフェノキシシラン、
エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリ−i−プロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシシラン、エチルトリ−sec−ブトキシシシラン、エチルトリ−n−ペンタキシシラン、エチルトリ−sec−ブトキシシシラン、エチルトリフェノキシシラン、エチルトリ−p−メチルフェノキシシラン、
n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリ−n−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−i−プロポキシシラン、n−プロピルトリ−n−ブトキシシシラン、n−プロピルトリ−sec−ブトキシシシラン、n−プロピルトリ−n−ペンタキシシラン、n−プロピルトリ−sec−ブトキシシシラン、n−プロピルトリフェノキシシラン、n−プロピルトリ−p−メチルフェノキシシラン、
n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ブチルトリ−n−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−i−プロポキシシラン、n−ブチルトリ−n−ブトキシシシラン、n−ブチルトリ−sec−ブトキシシシラン、n−ブチルトリ−n−ペンタキシシラン、n−ブチルトリ−sec−ブトキシシシラン、n−ブチルトリフェノキシシラン、n−ブチルトリ−p−メチルフェノキシシラン、
n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ペンチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリ−n−プロポキシシラン、n−ペンチルトリ−i−プロポキシシラン、n−ペンチルトリ−n−ブトキシシシラン、n−ペンチルトリ−sec−ブトキシシシラン、n−ペンチルトリ−n−ペンタキシシラン、n−ペンチルトリ−sec−ブトキシシシラン、n−ペンチルトリフェノキシシラン、n−ペンチルトリ−p−メチルフェノキシシラン、
2−(トリフルオロメチル)エチルトリメトキシシラン、2−(トリフルオロメチル)エチルトリエトキシシラン、2−(トリフルオロメチル)エチルトリ−n−プロポキシシラン、2−(トリフルオロメチル)エチルトリ−i−プロポキシシラン、2−(トリフルオロメチル)エチルトリ−n−ブトキシシラン、2−(トリフルオロメチル)エチルトリ−sec−ブトキシシラン、2−(パーフルオロ−n−ヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(パーフルオロ−n−ヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(パーフルオロ−n−ヘキシル)エチルトリ−n−プロポキシシラン、2−(パーフルオロ−n−ヘキシル)エチルトリ−i−プロポキシシラン、2−(パーフルオロ−n−ヘキシル)エチルトリ−n−ブトキシシラン、2−(パーフルオロ−n−ヘキシル)エチルトリ−sec−ブトキシシラン、2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチルトリメトキシシラン、2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチルトリエトキシシラン、2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチルトリ−n−プロポキシシラン、2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチルトリ−i−プロポキシシラン、2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチルトリ−n−ブトキシシラン、2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチルトリ−sec−ブトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリ−n−プロポキシシラン、フェニルトリ−i−プロポキシシラン、フェニルトリ−n−ブトキシシラン、フェニルトリ−sec−ブトキシシラン等を挙げることができる。
【0019】
上記シラン化合物(3)は、シラン化合物(1)およびシラン化合物(2)以外のシラン化合物であり、その具体例として例えばトリクロロシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリ−n−プロポキシシラン、トリ−i−プロポキシシラン、トリ−n−ブトキシシラン、トリ−sec−ブトキシシラン、フルオロトリクロロシラン、フルオロトリメトキシシラン、フルオロトリエトキシシラン、フルオロトリ−n−プロポキシシラン、フルオロトリ−i−プロポキシシラン、フルオロトリ−n−ブトキシシラン、フルオロトリ−sec−ブトキシシラン、メチルトリクロロシラン、2−(トリフルオロメチル)エチルトリクロロシシラン、2−(パーフルオロ−n−ヘキシル)エチルトリクロロシラン、2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチルトリクロロシラン、ヒドロキシメチルトリクロロシラン、ヒドロキシメチルトリメトキシシラン、ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、ヒドロキシメチルトリ−n−プロポキシシラン、ヒドロキシメチルトリ−i−プロポキシシラン、ヒドロキシメチルトリ−n−ブトキシシラン、ヒドロキシメチルトリ−sec−ブトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリクロロシラン、3−メルカプトプロピルトリクロロシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリ−n−プロポキシシラン、3−メルカプトプロピルトリ−i−プロポキシシラン、3−メルカプトプロピルトリ−n−ブトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリ−sec−ブトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ−n−プロポキシシラン、ビニルトリ−i−プロポキシシラン、ビニルトリ−n−ブトキシシラン、ビニルトリ−sec−ブトキシシラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリ−n−プロポキシシラン、アリルトリ−i−プロポキシシラン、アリルトリ−n−ブトキシシラン、アリルトリ−sec−ブトキシシラン、フェニルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、メチルジ−n−プロポキシシラン、メチルジ−i−プロポキシシラン、メチルジ−n−ブトキシシラン、メチルジ−sec−ブトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジ−n−プロポキシシラン、ジメチルジ−i−プロポキシシラン、ジメチルジ−n−ブトキシシラン、ジメチルジ−sec−ブトキシシラン、
【0020】
(メチル)〔2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチル〕ジクロロシラン、(メチル)〔2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチル〕ジメトキシシラン、(メチル)〔2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチル〕ジエメトキシシラン、(メチル)〔2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチル〕ジ−n−プロポキシシラン、(メチル)〔2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチル〕ジ−i−プロポキシシラン、(メチル)〔2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチル〕ジ−n−ブトキシシラン、(メチル)〔2−(パーフルオロ−n−オクチル)エチル〕ジ−sec−ブトキシシラン、(メチル)(3−メルカプトプロピル)ジクロロシラン、(メチル)(3−メルカプトプロピル)ジメトキシシラン、(メチル)(3−メルカプトプロピル)ジエトキシシラン、(メチル)(3−メルカプトプロピル)ジ−n−プロポキシシラン、(メチル)(3−メルカプトプロピル)ジ−i−プロポキシシラン、(メチル)(3−メルカプトプロピル)ジ−n−ブトキシシラン、(メチル)(3−メルカプトプロピル)ジ−sec−ブトキシシラン、(メチル)(ビニル)ジクロロシラン、(メチル)(ビニル)ジメトキシシラン、(メチル)(ビニル)ジエトキシシラン、(メチル)(ビニル)ジ−n−プロポキシシラン、(メチル)(ビニル)ジ−i−プロポキシシラン、(メチル)(ビニル)ジ−n−ブトキシシラン、(メチル)(ビニル)ジ−sec−ブトキシシラン、ジビニルジクロロシラン、ジビニルジメトキシシラン、ジビニルジエトキシシラン、ジビニルジ−n−プロポキシシラン、ジビニルジ−i−プロポキシシラン、ジビニルジ−n−ブトキシシラン、ジビニルジ−sec−ブトキシシラン、ジフェニルジクロロシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジフェニルジ−n−プロポキシシラン、ジフェニルジ−i−プロポキシシラン、ジフェニルジ−n−ブトキシシラン、ジフェニルジ−sec−ブトキシシラン、クロロジメチルシラン、メトキシジメチルシラン、エトキシジメチルシラン、クロロトリメチルシラン、ブロモトリメチルシラン、ヨードトリメチルシラン、メトキシトリメチルシラン、エトキシトリメチルシラン、n−プロポキシトリメチルシラン、i−プロポキシトリメチルシラン、n−ブトキシトリメチルシラン、sec−ブトキシトリメチルシラン、t−ブトキシトリメチルシラン、(クロロ)(ビニル)ジメチルシラン、(メトキシ)(ビニル)ジメチルシラン、(エトキシ)(ビニル)ジメチルシラン、(クロロ)(メチル)ジフェニルシラン、(メトキシ)(メチル)ジフェニルシラン、(エトキシ)(メチル)ジフェニルシラン、ビス(3−(メタ)アクリロキシプロピル)ジメトキシシラン、ビス(3−(メタ)アクリロキシプロピル)ジエトキシラン、ビス(3−(メタ)アクリロキシプロピル)ジ−i−プロポキシシラン、ビス(3−(メタ)アクリロキシプロピル)ジ−n−ブトキシシラン、ビス(3−(メタ)アクリロキシプロピル)ジ−sec−ブトキシシラン、ビス(3−(メタ)アクリロキシプロピル)ジフェノキシシラン、トリス(3−(メタ)アクリロキシプロピル)メトキシシラン、トリス(3−(メタ)アクリロキシプロピル)エトキシシラン、トリス(3−(メタ)アクリロキシプロピル)−n−プロポキシシラン、トリス(3−(メタ)アクリロキシプロピル)−i−プロポキシシラン、トリス(3−(メタ)アクリロキシプロピル)−n−ブトキシシラン、トリス(3−(メタ)アクリロキシプロピル)−i−ブトキシシラン、トリス(3−(メタ)アクリロキシプロピル)フェノキシシラン、
【0021】
ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−sec−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−ヘキシルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−sec−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ペンチルジエトキシシラン、ジ−ヘキシルジエトキシシラン、ジメチル−ジ−i−プロポキシシラン、ジエチル−ジ−i−プロポキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−i−プロポキシシラン、ジ−i−プロピル−ジ−i−プロポキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−i−プロポキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−i−プロポキシシラン、ジ−n−ペンチル−ジ−i−プロポキシシラン、ジ−ヘキシル−ジ−i−プロポキシシラン、ジメチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジエチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−プロピル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−i−プロピル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−ブチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−sec−ブチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−n−ペンチル−ジ−sec−ブトキシシラン、ジ−ヘキシル−ジ−sec−ブトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリ−n−プロピルメトキシシラン、トリ−i−プロピルメトキシシラン、トリ−n−ブチルメトキシシラン、トリ−sec−ブチルメトキシシラン、トリ−n−ヘキシルメトキシシラン、トリ−n−ドデシルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリ−n−プロピルエトキシシラン、トリ−i−プロピルエトキシシラン、トリ−n−ブチルエトキシシラン、トリ−sec−ブチルエトキシシラン、トリ−n−ヘキシルエトキシシラン、トリ−n−ドデシルエトキシシラン、トリメチル−n−プロポキシシラン、トリエチル−n−プロポキシシラン、トリ−n−プロピル−n−プロポキシシラン、トリ−i−プロピル−n−プロポキシシラン、トリ−n−ブチル−n−プロポキシシラン、トリ−sec−ブチル−n−プロポキシシラン、トリ−n−ヘキシル−n−プロポキシシラン、トリ−n−ドデシル−n−プロポキシシラン、トリメチル−i−プロポキシシラン、トリエチル−i−プロポキシシラン、トリ−n−プロピル−i−プロポキシシラン、トリ−i−プロピル−i−プロポキシシラン、トリ−n−ブチル−i−プロポキシシラン、トリ−sec−ブチル−i−プロポキシシラン、トリ−n−ヘキシル−i−プロポキシシラン、トリ−n−ドデシル−i−プロポキシシラン、トリメチル−sec−ブトキシシシラン、トリエチル−sec−ブトキシシシラン、トリ−n−プロピル−sec−ブトキシシシラン、トリ−i−プロピル−sec−ブトキシシシラン、トリ−n−ブチル−sec−ブトキシシラン、トリ−sec−ブチル−sec−ブトキシシラン、トリ−n−ヘキシル−sec−ブトキシシラン、トリ−n−ドデシル−sec−ブトキシシラン等を挙げることができる。
これらのシラン化合物(3)のうち、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトメチルトリメトキシシラン、メルカプトメチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシランまたはジメチルジエトキシシランが好ましい。
【0022】
本発明におけるポリオルガノシロキサン(A)を合成するにあたって使用されるシラン化合物は、形成される液晶配向膜の電気特性をより向上するとの観点から、シラン化合物(1)を、全シラン化合物に対して、20〜80重量%含むものであることが好ましく、30〜70重量%含むものであることがより好ましく、特に40〜60重量%含むものであることが好ましい。
本発明におけるポリオルガノシロキサン(A)を合成するにあたって使用されるシラン化合物は、適度な架橋度による信頼性向上の観点から、シラン化合物(2)を、全シラン化合物に対して、20〜80重量%含むものであることが好ましく、30〜70重量%含むものであることがより好ましく、特に40〜60重量%含むものであることが好ましい。
本発明におけるポリオルガノシロキサン(A)を合成するにあたって使用されるシラン化合物におけるシラン化合物(3)の割合としては、全シラン化合物に対して、30重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましい。本発明におけるポリオルガノシロキサン(A)を合成するにあたって使用されるシラン化合物は、シラン化合物(3)を含有しないことが最も好ましい。
本発明におけるポリオルガノシロキサン(A)は、上記の如きシラン化合物を原料として用い、これを、好ましくは適当な有機溶媒中で、水および触媒の存在下において加水分解し縮合することにより合成することができる。
ポリオルガノシロキサン(A)を合成する際に、任意的に使用することのできる有機溶媒としては、例えばアルコール化合物、ケトン化合物、アミド化合物もしくはエステル化合物またはその他の非プロトン性化合物を挙げることができる。これらは単独でまたは二種以上組合せて使用できる。
【0023】
上記アルコール化合物としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、ヘプタノール−3、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチルヘプタノール−4、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール等のモノアルコール化合物;
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ペンタンジオール−2,4、2−メチルペンタンジオール−2,4、ヘキサンジオール−2,5、ヘプタンジオール−2,4、2−エチルヘキサンジオール−1,3、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等の多価アルコール化合物;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール化合物の部分エーテル等を、それぞれ挙げることができる。これらのアルコール化合物は、一種であるいは二種以上を組合せて使用してもよい。
【0024】
上記ケトン化合物としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン、フェンチョン等のモノケトン化合物;
アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオン、3,5−ヘプタンジオン、2,4−オクタンジオン、3,5−オクタンジオン、2,4−ノナンジオン、3,5−ノナンジオン、5−メチル−2,4−ヘキサンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ヘプタンジオン等のβ−ジケトン化合物等を、それぞれ挙げることができる。これらのケトン化合物は、一種であるいは二種以上を組合せて使用してもよい。
上記アミド化合物としては、例えばホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン、N−ホルミルモルホリン、N−ホルミルピペリジン、N−ホルミルピロリジン、N−アセチルモルホリン、N−アセチルピペリジン、N−アセチルピロリジン等を挙げることができる。これらアミド化合物は、一種であるいは二種以上を組合せて使用してもよい。
【0025】
上記エステル化合物としては、例えばジエチルカーボネート、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジエチル、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等を挙げることができる。これらエステル化合物は、一種であるいは二種以上を組合せて使用してもよい。
上記その他の非プロトン性化合物としては、例えばアセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N,N’,N’−テトラエチルスルファミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N−メチルモルホロン、N−メチルピロール、N−エチルピロール、N−メチル−Δ3−ピロリン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、N,N−ジメチルピペラジン、N−メチルイミダゾール、N−メチル−4−ピペリドン、N−メチル−2−ピペリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチルテトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン等を挙げることができる。
これら溶媒のうち、多価アルコール化合物、多価アルコール化合物の部分エーテルまたはエステル化合物が特に好ましい。
【0026】
ポリオルガノシロキサン(A)の合成に際して使用する水の割合としては、原料であるシラン化合物の有するアルコキシル基およびハロゲン原子の総量の1モルに対して、好ましくは0.5〜100モルであり、より好ましくは1〜30モルであり、さらに1〜1.5モルとなる割合であることが好ましい。
ポリオルガノシロキサン(A)の合成に際して使用できる触媒としては、例えば金属キレート化合物、有機酸、無機酸、有機塩基、アンモニア、アルカリ金属化合物等を挙げることができる。
上記金属キレート化合物としては、例えばトリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−i−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−t−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−t−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−n−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−i−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−n−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−sec−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−t−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、テトラキス(アセチルアセトナート)チタン、トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−i−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−t−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−sec−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−t−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−n−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−i−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−sec−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−t−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、テトラキス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)チタン、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)チタン、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)チタン等のチタンキレート化合物;
【0027】
トリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−i−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−t−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−t−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−n−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−i−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−n−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−sec−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−t−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−i−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−t−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−sec−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−t−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−n−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−i−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−sec−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−t−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム等のジルコニウムキレート化合物;
トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム等のアルミニウムキレート化合物等を挙げることができる。
【0028】
上記有機酸としては、例えば酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、セバシン酸、没食子酸、酪酸、メリット酸、アラキドン酸、ミキミ酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸等を挙げることができる。
上記無機酸としては、例えば塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸等を挙げることができる。
上記有機塩基としては、例えばピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロオクラン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等を挙げることができる。
上記アルカリ金属化合物としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等を挙げることができる。
これら触媒は、一種をあるいは二種以上を一緒に使用してもよい。
これら触媒のうち、金属キレート化合物、有機酸または無機酸が好ましく、より好ましくはチタンキレート化合物または有機酸である。
触媒の使用量は、原料であるシラン化合物の合計100重量部に対して好ましくは0.001〜10重量部であり、より好ましくは0.001〜1重量である。
【0029】
ポリオルガノシロキサン(A)の合成に際して添加される水は、原料であるシラン化合物中またはシラン化合物を有機溶媒に溶解した溶液中に、断続的または連続的に添加することができる。
触媒は、原料であるシラン化合物中またはシラン化合物を有機溶媒に溶解した溶液中に予め添加しておいてもよく、あるいは添加される水中に溶解または分散させておいてもよい。
ポリオルガノシロキサン(A)の合成の際の反応温度としては、好ましくは0〜100℃であり、より好ましくは15〜80℃である。反応時間は好ましくは0.5〜24時間であり、より好ましくは1〜8時間である。
ポリオルガノシロキサン(A)につき、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は、500〜1,000,000であることが好ましく、1,000〜100,000であることがより好ましく、さらに1,000〜50,000であることが好ましい。
【0030】
<重合体(B)>
本発明の液晶配向剤における重合体(B)は、ポリアミック酸およびポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種の重合体である。
上記ポリアミック酸はテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させることにより得ることができ、このポリアミック酸を脱水閉環することにより上記ポリイミドを得ることができる。
[テトラカルボン酸二無水物]
重合体(B)の合成に供することのできるテトラカルボン酸二無水物としては、例えばブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジクロロ−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−7−エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−エチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、ビシクロ[2.2.2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシメチルノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオン、下記式(T−I)および(T−II)
【0031】
【化2】

【0032】
(式(T−I)および(T−II)中、RおよびRは、それぞれ、芳香環を有する2価の有機基であり、RおよびRは、それぞれ、水素原子またはアルキル基であり、複数存在するRおよびRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
のそれぞれで表される化合物等の脂肪族テトラカルボン酸二無水物および脂環式テトラカルボン酸二無水物;
ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、エチレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、プロピレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,4−ブタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,6−ヘキサンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,8−オクタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−ビス(アンヒドロトリメリテート)、下記式(T−1)〜(T−4)
【0033】
【化3】

【0034】
のそれぞれで表される化合物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物を挙げることができる。上記芳香族テトラカルボン酸二無水物のベンゼン環は、一つまたは二つ以上の炭素数1〜4のアルキル基(好ましくはメチル基)で置換されていてもよい。
これらのテトラカルボン酸二無水物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明における重合体(B)を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、上記のうち、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシメチルノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、ビシクロ[2.2.2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシメチルノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオン、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、上記式(T−I)で表される化合物のうちの下記式(T−5)〜(T−7)
【0035】
【化4】

【0036】
のそれぞれで表される化合物および上記式(T−II)で表される化合物のうちの下記式(T−8)
【0037】
【化5】

【0038】
で表される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種(以下、「特定テトラカルボン酸二無水物」という。)を含むものであることが、良好な液晶配向性を発現させることができる観点から好ましい。
特定テトラカルボン酸二無水物としては、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシメチルノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオン、ピロメリット酸二無水物および上記式(T−1)で表される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
本発明で用いられる重合体(B)を合成するために使用されるテトラカルボン酸二無水物は、上記の如き特定テトラカルボン酸二無水物を、全テトラカルボン酸二無水物に対して、30モル%以上含むものであることが好ましく、40モル%以上含むものであることがより好ましく、特に45モル%以上含むものであることが好ましい。
【0039】
[ジアミン]
重合体(B)の合成に供することのできるジアミンとしては、例えばp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−10−ヒドロアントラセン、2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ジメチル-2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)メタン、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ビス[(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル、下記式(D−1)〜(D−5)
【0040】
【化6】

【0041】
【化7】

【0042】
(式(D−4)中のyは2〜12の整数であり、式(D−5)中のzは1〜5の整数である。)
のそれぞれで表される化合物等の芳香族ジアミン;
1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6.2.1.02,7]−ウンデシレンジメチレンジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等の脂肪族ジアミンおよび脂環式ジアミン;
2,3−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、5,6−ジアミノ−2,3−ジシアノピラジン、5,6−ジアミノ−2,4−ジヒドロキシピリミジン、2,4−ジアミノ−6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、2,4−ジアミノ−6−イソプロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、4,6−ジアミノ−2−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−5−フェニルチアゾール、2,6−ジアミノプリン、5,6−ジアミノ−1,3−ジメチルウラシル、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、3,8−ジアミノ−6−フェニルフェナントリジン、1,4−ジアミノピペラジン、3,6−ジアミノアクリジン、N,N’ −ビス(4−アミノフェニル)フェニルアミン、3,6−ジアミノカルバゾール、N−メチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−エチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−フェニル−3,6−ジアミノカルバゾール、N,N‘−ビス(4−アミノフェニル)−ベンジジン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−N,N‘−ジメチル−ベンジジン、下記式(D−I)
【0043】
【化8】

【0044】
(式(D−I)中、Rはピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピペリジンおよびピペラジンから選ばれる窒素原子を含む環構造を有する1価の有機基であり、Xは2価の有機基であり、Rは炭素数1〜4のアルキル基であり、a1は0〜3の整数である。)
で表される化合物、下記式(D−II)
【0045】
【化9】

【0046】
(式(D−II)中、Rはピリジン、ピリミジン、トリアジン、ピペリジンおよびピペラジンから選ばれる窒素原子を含む環構造を有する2価の有機基であり、Xは、それぞれ、2価の有機基であり、複数存在するXはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、Rは、それぞれ、炭素数1〜4のアルキル基であり、a2は、それぞれ、0〜4の整数である。)
で表される化合物等の分子内に2つの1級アミノ基および該1級アミノ基以外の窒素原子を有するジアミン;
下記式(D−III)
【0047】
【化10】

【0048】
(式(D−III)中、Rは−O−、−COO−、−OCO−、−NHCO−、−CONH−(ただし、以上において、「*」を付した結合手がR10と結合する。)または−CO−であり、R10はステロイド骨格、トリフルオロメチルフェニル基、トリフルオロメトキシフェニル基およびフルオロフェニル基から選ばれる骨格もしくは基を有する1価の有機基または炭素数6〜30のアルキル基であり、R11は炭素数1〜4のアルキル基であり、a3は0〜3の整数である。)
で表される化合物等のモノ置換フェニレンジアミン;
下記式(D−IV)
【0049】
【化11】

【0050】
(式(D−IV)中、R12は、それぞれ、炭素数1〜12の炭化水素基であり、複数存在するR12はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、pは、それぞれ、1〜3の整数であり、qは1〜20の整数である。)
で表される化合物等のジアミノオルガノシロキサン等を挙げることができる。上記芳香族ジアミンのベンゼン環は、一つまたは二つ以上の炭素数1〜4のアルキル基(好ましくはメチル基)で置換されていてもよい。
これらのジアミンは、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明における重合体(B)を合成するために用いられるジアミンとしては、上記のうち、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,5−ジアミノナフタレン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,7−ジアミノフルオレン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、上記式(D−1)〜(D−5)のそれぞれで表される化合物、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、3,6−ジアミノアクリジン、3,6-ジアミノカルバゾール、N−メチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−エチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−フェニル−3,6−ジアミノカルバゾール、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−ベンジジン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−N,N’−ジメチルベンジジン、上記式(D−I)で表される化合物のうちの下記式(D−6)
【0051】
【化12】

【0052】
で表される化合物、上記式(D−II)で表される化合物のうちの下記式(D−7)
【0053】
【化13】

【0054】
で表される化合物、上記式(D−III)で表される化合物のうちのドデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ペンタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ドデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、ペンタデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、下記式(D−8)〜(D−15)
【0055】
【化14】

【0056】
【化15】

【0057】
【化16】

【0058】
のそれぞれで表される化合物および上記式(D−IV)で表される化合物のうちの1,3−ビス(3−アミノプロピル)−テトラメチルジシロキサンよりなる群から選択される少なくとも1種(以下、「特定ジアミン」という。)を含むものであることが、電気特性の観点から好ましい。
本発明で用いられる重合体(B)を合成するために使用されるジアミンは、上記の如き特定ジアミンを、全ジアミンに対して、30モル%以上含むものであることが好ましく、40モル%以上含むものであることがより好ましく、特に45モル%以上含むものであることが好ましい。
【0059】
[ポリアミック酸の合成]
ポリアミック酸の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの使用割合は、ジアミンの有するアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましく、さらに好ましくは0.3〜1.2当量となる割合である。
ポリアミック酸の合成反応は、好ましくは有機溶媒中において、好ましくは−20℃〜150℃、より好ましくは0〜100℃の温度条件下において、好ましくは0.1〜24時間、より好ましくは0.5〜12時間行われる。
ポリアミック酸の合成に際して使用することのできる有機溶媒としては、例えば非プロトン性極性溶媒、フェノールおよびその誘導体、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素、炭化水素等を挙げることができる。上記非プロトン性極性溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミド等を;
上記フェノール誘導体としては、例えばm−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール等を挙げることができる。上記アルコールとしては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル等を;
上記ケトンとしては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等を;
【0060】
上記エステルとしては、例えば乳酸エチル、乳酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチルを挙げることができる。上記エーテルとしてはジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラヒドロフラン等を;
上記ハロゲン化炭化水素としては、例えばジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼン等を;
上記炭化水素としては、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、ジイソペンチルエーテル等を、それぞれ挙げることができる。
これらの有機溶媒のうち、非プロトン性極性溶媒ならびにフェノールおよびその誘導体よりなる群(第一群の有機溶媒)から選択される1種以上、または前記第一群の有機溶媒から選択される1種以上とアルコール、ケトン、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素および炭化水素よりなる群(第二群の有機溶媒)から選択される1種以上との混合物を使用することが好ましい。後者の場合、第二群の有機溶媒の使用割合は、第一群の有機溶媒および第二群の有機溶媒の合計に対して、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは40重量%以下であり、さらに30重量%以下であることが好ましい。
【0061】
以上のようにして、ポリアミック酸を溶解してなる反応溶液が得られる。この反応溶液はそのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリアミック酸を単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、または単離したポリアミック酸を精製したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。ポリアミック酸を脱水閉環してポリイミドとする場合には、上記反応溶液はそのまま脱水閉環反応に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリアミック酸を単離したうえで脱水閉環反応に供してもよく、または単離したポリアミック酸を精製したうえで脱水閉環反応に供してもよい。
ポリアミック酸の単離は、上記反応溶液を大量の貧溶媒中に注いで析出物を得、この析出物を減圧下乾燥する方法、あるいは、反応溶液中の有機溶媒をエバポレーターで減圧留去する方法により行うことができる。また、このポリアミック酸を再び有機溶媒に溶解し、次いで貧溶媒で析出させる方法、あるいは、ポリアミック酸を再び有機溶媒に溶解した溶液とし、該溶液を洗浄した後にエバポレーターで減圧留去する工程を1回または数回行う方法により、ポリアミック酸を精製することができる。
【0062】
[ポリイミドの合成]
上記ポリイミドは、上記の如くして得られたポリアミック酸を脱水閉環してイミド化することにより得ることができる。
本発明におけるポリイミドは、前駆体であるポリアミック酸が有していたアミック酸構造のすべてを脱水閉環した完全イミド化物であってもよく、アミック酸構造の一部のみを脱水閉環し、アミック酸構造とイミド環構造とが併存する部分イミド化物であってもよい。
ポリイミドのイミド化率は、好ましくは30%以上であり、より好ましくは40〜90%である。このイミド化率は、上記ポリイミドのアミック酸構造の数とイミド環構造の数との合計に対するイミド環構造の数の占める割合を百分率で表した数値である。このとき、イミド環の一部がイソイミド環であってもよい。
ポリアミック酸の脱水閉環は、好ましくは(i)ポリアミック酸を加熱する方法により、または(ii)ポリアミック酸を有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加し必要に応じて加熱する方法により行われる。
上記(i)のポリアミック酸を加熱する方法における反応温度は好ましくは50〜200℃であり、より好ましくは60〜170℃である。反応温度が50℃未満では脱水閉環反応が十分に進行せず、反応温度が200℃を超えると得られるポリイミドの分子量が低下することがある。反応時間は好ましくは1.0〜24時間であり、より好ましくは1.0〜12時間である。
一方、上記(ii)のポリアミック酸の溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加する方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸等の酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、所望するイミド化率によるが、ポリアミック酸のアミック酸構造の1モルに対して0.01〜20モルとするのが好ましい。また、脱水閉環触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミン等の3級アミンを用いることができる。しかし、これらに限定されるものではない。脱水閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.01〜10モルとするのが好ましい。イミド化率は上記の脱水剤、脱水閉環剤の使用量が多いほど高くすることができる。脱水閉環反応に用いられる有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。脱水閉環反応の反応温度は好ましくは0〜180℃であり、より好ましくは10〜150℃である。反応時間は好ましくは1.0〜120時間であり、より好ましくは2.0〜30時間である。
【0063】
上記方法(i)において得られるポリイミドは、これをそのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、あるいは得られるポリイミドを精製したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。一方、上記方法(ii)においてはポリイミドを含有する反応溶液が得られる。この反応溶液は、これをそのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液から脱水剤及び脱水閉環触媒を除いたうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、ポリイミドを単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、または単離したポリイミドを精製したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。反応溶液から脱水剤及び脱水閉環触媒を除くには、例えば溶媒置換等の方法を適用することができる。ポリイミドの単離、精製は、ポリアミック酸の単離、精製方法として上記したのと同様の操作を行うことにより行うことができる。
【0064】
[末端修飾型の重合体]
本発明の液晶配向剤に含有される重合体(B)は、分子量が調節された末端修飾型のものであってもよい。末端修飾型の重合体を用いることにより、本発明の効果が損なわれることなく液晶配向剤の塗布特性等をさらに改善することができる。このような末端修飾型の重合体は、ポリアミック酸を合成する際に、分子量調節剤を重合反応系に添加することにより行うことができる。分子量調節剤としては、例えば酸一無水物、モノアミン化合物、モノイソシアネート化合物等を挙げることができる。
上記酸一無水物としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸、n−デシルサクシニック酸無水物、n−ドデシルサクシニック酸無水物、n−テトラデシルサクシニック酸無水物、n−ヘキサデシルサクシニック酸無水物等;
上記モノアミン化合物としては、例えばアニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、n−エイコシルアミン等を;
上記モノイソシアネート化合物としては、例えばフェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等を、それぞれ挙げることができる。
分子量調節剤の使用割合は、ポリアミック酸を合成する際に使用するテトラカルボン酸二無水物およびジアミンの合計100重量部に対して好ましくは20重量以下であり、より好ましくは10重量部以下である。
[溶液粘度]
以上のようにして得られる重合体(B)は、濃度10重量%の溶液としたときに、20〜800mPa・sの溶液粘度を持つものであることが好ましく、30〜500mPa・sの溶液粘度を持つものであることがより好ましい。
上記重合体の溶液粘度(mPa・s)は、当該重合体の良溶媒(例えばγ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン等)を用いて調製した濃度10重量%の重合体溶液につき、E型回転粘度計を用いて25℃において測定した値である。
<ポリオルガノシロキサン(A)と重合体(B)との使用割合>
本発明の液晶配向剤におけるポリオルガノシロキサン(A)と重合体(B)との使用割合としては、重合体の合計(ポリオルガノシロキサン(A)および重合体(B)の合計をいう。以下同じ。)に対する(A)ポリオルガノシロキサンの割合として、0.01〜30重量%であることが好ましく、0.1〜15重量%であることがより好ましい。
【0065】
<その他の添加剤>
本発明の液晶配向膜は、上記の如きポリオルガノシロキサン(A)および重合体(B)を必須成分として含有するが、本発明の効果を減殺しない限り、必要に応じてその他の成分を含有していてもよい。かかるその他の成分としては、例えば(C)分子内に少なくとも一つのエポキシ基を有する化合物(以下、「エポキシ化合物(C)」という。)、(D)官能性シラン化合物等を挙げることができる。
上記エポキシ化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル等を挙げることができるほか、下記式(3)
【0066】
【化17】

【0067】
で表される基を有する化合物を挙げることができる。
本発明におけるエポキシ化合物(C)としては、上記式(3)で表される基を有する化合物が好ましく、その具体例として、例えばN,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N−ジグリシジル−ベンジルアミン、N,N−ジグリシジル−アミノメチルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−シクロヘキシルアミン等を挙げることができる。
これらエポキシ化合物(C)の配合割合は、重合体の合計100重量部に対して、好ましくは40重量部以下であり、より好ましくは0.1〜30重量部である。
【0068】
上記(D)官能性シラン化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノナン酸メチル、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノナン酸メチル、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、2―グリシドキシエチルトリメトキシシラン、2―グリシドキシエチルトリエトキシシラン、3―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3―グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、等を挙げることができる。
これら(D)官能性シラン含有化合物の配合割合は、重合体の合計100重量部に対して、好ましくは2重量部以下であり、より好ましくは0.02〜0.2重量部である。
【0069】
<液晶配向剤>
本発明の液晶配向剤は、ポリオルガノシロキサン(A)および重合体(B)ならびに必要に応じて任意的に配合されるその他の添加剤が、好ましくは有機溶媒中に溶解含有されてなる液状の組成物として構成される。
本発明の液晶配向剤に使用できる有機溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、ジイソペンチルエーテル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等を挙げることができる。これらは単独で使用することができ、または2種以上を混合して使用することができる。
【0070】
本発明の液晶配向剤における固形分濃度(液晶配向剤の溶媒以外の成分の合計重量が液晶配向剤の全重量に占める割合)は、粘性、揮発性等を考慮して適宜に選択されるが、好ましくは1〜10重量%の範囲である。すなわち、本発明の液晶配向剤は、後述するように基板表面に塗布され、好ましくは加熱されることにより液晶配向膜となる塗膜が形成されるが、固形分濃度が1重量%未満である場合には、この塗膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜を得ることができず、一方固形分濃度が10重量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜を得ることができず、また、液晶配向剤の粘性が増大して塗布特性が劣るものとなる。
特に好ましい固形分濃度の範囲は、基板に液晶配向剤を塗布する際に用いる方法によって異なる。例えばスピンナー法による場合には固形分濃度1.5〜4.5重量%の範囲が特に好ましい。印刷法による場合には、固形分濃度を3〜9重量%の範囲とし、それにより溶液粘度を12〜50mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。インクジェット法による場合には、固形分濃度を1〜5重量%の範囲とし、それにより、溶液粘度を3〜15mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。
本発明の液晶配向剤を調製する際の温度は、好ましくは10℃〜50℃であり、より好ましくは20℃〜30℃である。
【0071】
上記の如くして得られる本発明の液晶配向剤は、TN型、STN型、IPS型、VA型等の公知の構造の液晶表示素子の液晶配向膜を形成するために好適に使用することができるほか、MVAパネルの問題点が解消された新規な液晶表示素子を製造するために用いることができる。
以下、本発明の液晶配向剤を用いて行う液晶配向膜の形成方法および該液晶配向膜を具備する液晶表示素子の製造方法、ならびに本発明の液晶配向剤を用いて行う新規な液晶表示素子の製造方法について、順に説明する。
<液晶配向膜の形成方法>
液晶配向膜を形成するには、例えば以下(1)および(2)の工程によることができる。
(1)先ず基板上に本発明の液晶配向剤を塗布し、次いで塗布面を加熱することにより基板上に塗膜を形成する。ここで、本発明の液晶表示素子をTN型、STN型またはVA型液晶表示素子に適用する場合と、IPS型の液晶表示素子に適用する場合とで、使用する基板が異なる。
【0072】
(1−1)TN型、STN型またはVA型液晶表示素子を製造する場合、パターニングされた透明導電膜が設けられている基板二枚を一対として、その各透明性導電膜形成面上に、本発明の液晶配向剤を、好ましくはオフセット印刷法、スピンコート法またはインクジェット印刷法によりそれぞれ塗布し、次いで、各塗布面を加熱することにより塗膜を形成する。ここに、基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラス等のガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリ(脂環式オレフィン)等のプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板の一面に設けられる透明導電膜としては、酸化スズ(SnO )からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In−SnO)からなるITO膜等を用いることができ、パターニングされた透明導電膜を得るには、例えばパターンなし透明導電膜を形成した後フォト・エッチングによりパターンを形成する方法、透明導電膜を形成する際に所望のパターンを有するマスクを用いる方法等によることができる。液晶配向剤の塗布に際しては、基板表面および透明導電膜と塗膜との接着性をさらに良好にするために、基板表面のうち塗膜を形成するべき面に、官能性シラン化合物、官能性チタン化合物等を予め塗布する前処理を施しておいてもよい。
液晶配向剤塗布後、塗布した配向剤の液垂れ防止等の目的で、好ましくは予備加熱(プレベーク)が実施される。プレベーク温度は、好ましくは30〜200℃であり、より好ましくは40〜150℃であり、特に好ましくは40〜100℃である。プレベーク時間は好ましくは0.25〜10分であり、より好ましくは0.5〜5分である。その後、溶剤を完全に除去し、必要に応じて重合体(B)の有するアミック酸単位を熱イミド化することを目的として、焼成(ポストベーク)工程が実施される。この焼成(ポストベーク)温度は、好ましくは80〜300℃であり、より好ましくは120〜250℃であるポストベーク時間は好ましくは5〜200分であり、より好ましくは10〜100分である。このようにして、形成される膜の膜厚は、好ましくは0.001〜1μmであり、より好ましくは0.005〜0.5μmである。
【0073】
(1−2)一方、IPS型液晶表示素子を製造する場合、櫛歯型にパターニングされた透明導電膜が設けられている基板の導電膜形成面と、導電膜が設けられていない対向基板の一面とに、本発明の液晶配向剤を好ましくはオフセット印刷法、スピンナー法またはインクジェット印刷法によってそれぞれ塗布し、次いで各塗布面を加熱することにより塗膜を形成する。
このとき使用される基板および透明導電膜の材質、透明導電膜のパターニング方法、基板の前処理ならびに液晶配向剤を塗布した後の加熱方法については上記(1−1)と同様である。
形成される塗膜の好ましい膜厚は、上記(1−1)と同様である。
【0074】
(2)本発明の方法により製造される液晶表示素子がVA型の液晶表示素子である場合には、上記のようにして形成された塗膜をそのまま液晶配向膜として使用することができるが、所望に応じて次に述べるラビング処理を行った後に使用に供してもよい。
一方、VA型以外の液晶表示素子を製造する場合には、上記のようにして形成された塗膜にラビング処理を施すことにより液晶配向膜とする。
ラビング処理は、上記のようにして形成された塗膜面に対し、例えばナイロン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻き付けたロールで一定方向に擦ることにより行うことができる。これにより、液晶分子の配向能が塗膜に付与されて液晶配向膜となる。
さらに、上記のようにして形成された液晶配向膜に対し、例えば特許文献5(特開平6−222366号公報)や特許文献6(特開平6−281937号公報)に示されているような液晶配向膜の一部に紫外線を照射することによって液晶配向膜の一部の領域のプレチルト角を変化させる処理や、特許文献7(特開平5−107544号公報)に示されているような液晶配向膜表面の一部にレジスト膜を形成したうえで先のラビング処理と異なる方向にラビング処理を行った後にレジスト膜を除去する処理を行い、液晶配向膜が領域ごとに異なる液晶配向能を持つようにすることによって得られる液晶表示素子の視界特性を改善することが可能である。
【0075】
<上記液晶配向膜を具備する液晶表示素子の製造方法>
上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を2枚準備し、対向配置した2枚の基板間に液晶を配置することにより、液晶セルを製造する。ここで、塗膜に対してラビング処理を行った場合には、2枚の基板は、各塗膜におけるラビング方向が互いに所定の角度、例えば直交または逆平行となるように対向配置される。
液晶セルを製造するには、例えば以下の2つの方法が挙げられる。
第一の方法は、従来から知られている方法である。先ず、それぞれの液晶配向膜が対向するように間隙(セルギャップ)を介して2枚の基板を対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面およびシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填した後、注入孔を封止することにより、液晶セルを製造することができる。
第二の方法は、ODF(One Drop Fill)方式と呼ばれる手法である。液晶配向膜を形成した2枚の基板のうちの一方の基板上の所定の場所に例えば紫外光硬化性のシール材を塗布し、さらに液晶配向膜面上に液晶を滴下した後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせ、次いで基板の全面に紫外光を照射してシール剤を硬化することにより、液晶セルを製造することができる。
いずれの方法による場合でも、上記のようにして製造した液晶セルにつき、さらに、用いた液晶が等方相をとる温度まで加熱した後、室温まで徐冷することにより、液晶注入時の流動配向を除去することが望ましい。
そして、液晶セルの外側表面に偏光板を貼り合わせることにより、本発明の液晶表示素子を得ることができる。
【0076】
ここに、シール剤としては、例えば硬化剤およびスペーサーとしての酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂などを用いることができる。
前記液晶としては、例えばネマティック型液晶、スメクティック型液晶などを用いることができ、これらのうちネマティック型液晶が好ましい。VA型液晶セルの場合、負の誘電異方性を有するネマティック型液晶が好ましく、例えばジシアノベンゼン系液晶、ピリダジン系液晶、シッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶などが用いられる。TN型液晶セルまたはSTN型液晶セルの場合には、正の誘電異方性を有するネマティック型液晶が好ましく、例えばビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などが用いられる。これらの液晶に、例えばコレスチルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステリック液晶;商品名C−15、CB−15(メルク社製)として販売されているようなカイラル剤;p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメートなどの強誘電性液晶などを、さらに添加して使用してもよい。
液晶セルの外表面に貼り合わされる偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながら、ヨウ素を吸収させた「H膜」と称される偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板またはH膜そのものからなる偏光板を挙げることができる。
【0077】
<新規な液晶表示素子の製造方法>
本発明の液晶配向剤を用いて行う新規な液晶表示素子の製造方法は、
導電膜を有する一対の基板の該導電膜上に、それぞれ、上記の如き本発明の液晶配向剤を塗布して塗膜を形成し、
前記塗膜を形成した一対の基板の前記塗膜が、液晶分子の層を介して相対して対向配置した構成の液晶セルを形成し、
前記一対の基板の有する導電膜間に電圧を印加した状態で前記液晶セルに光照射する工程を経ることを特徴とする。
ここで、用いられる基板としては、上記の如き本発明の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備する液晶表示素子の場合と同様である。
上記導電膜としては、透明導電膜を用いることが好ましく、例えばSnOからなるNESA膜、In−SnOからなるITO膜等を用いることができる。この導電膜は、それぞれ、複数の領域に区画されたパターン状導電膜であることが好ましい。このような導電膜構成とすれば、導電膜間に電圧を印加する際(後述)にこの各領域ごとに異なる電圧を印加することによって各領域ごとに液晶分子のプレチルト角の方向を変えることができ、これにより視野角特性をより広くすることが可能となる。
かかる基板の該導電膜上に液晶配向剤を塗布する方法、塗布後のプレベークおよびポストベークならびにポストベーク後の塗膜の膜厚については、上記本発明の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備する液晶表示素子の場合と同様である。
このようにして形成された塗膜はこれをそのまま次工程の液晶セルの製造に供してもよく、あるいは液晶セルの製造に先んじて必要に応じて塗膜面に対するラビング処理を行ってもよい。このラビング処理は、上記本発明の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備する液晶表示素子の場合と同様にして行うことができる。
【0078】
次いで、前記塗膜を形成した一対の基板の前記塗膜が、液晶分子の層を介して相対して対向配置した構成の液晶セルを形成する。
ここで使用される液晶分子としては、負の誘電異方性を有するネマティック型液晶が好ましく、例えばジシアノベンゼン系液晶、ピリダジン系液晶、シッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶等を用いることができる。液晶分子の層の厚さは、1〜5μmとすることが好ましい。
かかる液晶を用いて液晶セルを形成する方法は、上記本発明の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備する液晶表示素子の場合と同様である。
その後、前記一対の基板の有する導電膜間に電圧を印加した状態で前記液晶セルに光照射する。
ここで印加する電圧は、例えば5〜50Vの直流または交流とすることができる。
照射する光としては、例えば150〜800nmの波長の光を含む紫外線および可視光線を用いることができるが、300〜400nmの波長の光を含む紫外線が好ましい。照射光の光源としては、例えば低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、重水素ランプ、メタルハライドランプ、アルゴン共鳴ランプ、キセノンランプ、エキシマーレーザー等を使用することができる。前記の好ましい波長領域の紫外線は、前記光源を、例えばフィルター、回折格子等と併用する手段等により得ることができる。
光の照射量としては、好ましくは1,000J/m以上100,000J/m未満であり、より好ましくは1,000〜50,000J/mである。従来知られているPSAモードの液晶表示素子の製造においては、100,000J/m程度の光を照射することが必要であったが、本発明の方法においては、光照射量を50,000J/m以下、さらに10,000J/m以下とした場合であっても所望の液晶表示素子を得ることができ、液晶表示素子の製造コストの削減に資するほか、強い光の照射に起因する電気特性の低下、長期信頼性の低下を回避することができる。
そして、上記のような処理を施した後の液晶セルの外側表面に偏光板を貼り合わせることにより、液晶表示素子を得ることができる。ここで使用される偏光板としては、H膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板、またはH膜そのものからなる偏光板等を挙げることができる。
上記の如くして製造される液晶表示素子は、視野角が広く、液晶分子の応答速度が極めて速く、表示特性および長期信頼性の双方に優れるものであり、しかも製造コストが削減された安価なものであるため、種々の用途に好適に適用することができる。
【実施例】
【0079】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。以下において、ポリオルガノシロキサンの重量平均分子量、ポリイミドのイミド化率および重合体の溶液粘度は、それぞれ以下の方法により評価した。
[重量平均分子量]
ポリオルガノシロキサンの重量平均分子量は、以下の装置を用い、以下の条件におけるゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した結果から、標準物質として単分散ポリスチレンを用いてポリスチレン換算値として求めた。
測定装置:東ソー(株)製、型式「8120−GPC」
カラム:東ソー(株)製、「TSKgelGRCXLII」
溶媒:テトラヒドロフラン
試料濃度:5重量%
試料注入量:100μL
カラム温度:40℃
カラム圧力:68kgf/cm
[ポリイミドのイミド化率]
ポリイミドを室温で十分に減圧乾燥した後、重水素化ジメチルスルホキシドに溶解し、テトラメチルシランを基準物質として室温で測定したH−NMRから、下記数式(1)により求めた。
イミド化率(%)=(1−A/A×α)×100 (1)
(数式(1)中、Aは化学シフト10ppm付近に現れるNH基のプロトン由来のピーク面積であり、Aはその他のプロトン由来のピーク面積であり、αはポリイミドの前駆体(ポリアミック酸)におけるNH基のプロトン1個に対するその他のプロトンの個数割合である。)
[溶液粘度]
重合体の溶液粘度(mPa・s)は、各合成例で指摘した溶媒を用い、重合体濃度10重量%の溶液について、E型回転粘度計を用いて25℃で測定した。
【0080】
<ポリオルガノシロキサン(A)の合成>
合成例A−1
撹拌機、温度計、滴下漏斗および還流冷却管を備えた反応容器に、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン50.0g、メチルトリメトキシシラン45.0g、フェニルトリメトキシシラン5.0g、メチルイソブチルケトン500gおよびトリエチルアミン10.0gを仕込み、室温で混合した。次いで、脱イオン水100gを滴下漏斗より30分かけて滴下したのち、80℃において還流下で混合しつつ6時間反応を行った。反応終了後、有機層を取り出し、0.2重量%硝酸アンモニウム水溶液を用いて洗浄後の水層が中性になるまで洗浄した後、減圧下で溶媒および水を留去することにより、ポリオルガノシロキサン(A−1)71.0gを粘調な透明液体として得た。このポリオルガノシロキサン(A−1)の重量平均分子量は2,500であった。
合成例A−2〜A−7
上記合成例A−1において、原料として使用したシラン化合物の種類および量をそれぞれ表1に記載の通りとしたほかは上記合成例A−1と同様にして、ポリオルガノシロキサン(A−2)〜(A−7)をそれぞれ合成した。
これらポリオルガノシロキサン(A−2)〜(A−7)の収量、重量平均分子量を、それぞれ表1に示した。
<ポリオルガノシロキサンの比較合成例>
比較合成例a−1およびa−2
上記合成例A−1において、原料として使用したシラン化合物の種類および量をそれぞれ表1に記載の通りとしたほかは上記合成例A−1と同様にして、ポリオルガノシロキサン(a−1)および(a−2)をそれぞれ合成した。
これらポリオルガノシロキサン(a−1)および(a−2)の収量、重量平均分子量を、それぞれ表1に示した。
【0081】
【表1】

【0082】
表1におけるシラン化合物の略称は、それぞれ以下の意味である。
MPTMS:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
APTMS:3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン
MTMS:メチルトリメトキシシラン
PTMS:フェニルトリメトキシシラン
MTES:メチルトリエトキシシラン
ETMS:エチルトリメトキシシラン
TMS:テトラメトキシシラン
DMPDMS:ビス(3−メタクリロキシプロピル)ジメトキシシラン
【0083】
<重合体(B)の合成例>
[ポリイミドの合成]
合成例B−1
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物110g(0.50モル)ならびにジアミンとしてp−フェニレンジアミン43g(0.40モル)および3(3,5−ジアミノベンゾイルオキシ)コレスタン52g(0.10モル)をN−メチル−2−ピロリドン(NMP)830gに溶解し、60℃で6時間反応を行い、ポリアミック酸を含有する溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、NMPを加えてポリアミック酸濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は60mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にNMP1,900gを追加し、ピリジン40gおよび無水酢酸51gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行った。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなNMPで溶媒置換(本操作にて脱水閉環反応に使用したピリジンおよび無水酢酸を系外に除去した。)することにより、イミド化率約50%のポリイミド(B−1)を15重量%含有する溶液約1,200gを得た。
このポリイミド溶液を少量分取し、NMPを加えてポリイミド濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は47mPa・sであった。
[ポリアミック酸の合成]
合成例B−2
テトラカルボン酸二無水物として1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物98g(0.50モル)およびピロメリット酸二無水物110g(0.50モル)ならびにジアミンとして4,4’−ジアミノジフェニルメタン200g(1.0モル)をN−メチル−2−ピロリドン2,330gに溶解し、40℃で3時間反応を行った後、N−メチル−2−ピロリドン1,350gを追加することにより、ポリアミック酸(B−2)を10重量%含有する溶液約3,800gを得た。
このポリアミック酸溶液の溶液粘度は135mPa・sであった。
【0084】
実施例1
<液晶配向剤の調製>
重合体(B)として上記合成例B−1で得たポリイミド(B−1)を含有する溶液をポリイミド(B−1)に換算して70重量部に相当する量をとり、これにポリオルガノシロキサン(A)として上記合成例A−1で得たポリオルガノシロキサン(A−1)30重量部および(C)エポキシ化合物としてN,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン10重量部を加え、さらにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)およびブチルセロソルブ(BC)を加えて、溶媒組成がNMP:BC=55:45(重量比)、固形分濃度4重量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターを用いて濾過することにより、液晶配向剤を調製した。
この液晶配向剤を用いて以下のように各種の評価を行った。評価結果は表1に示した。
<液晶配向剤の評価>
[保存安定性の評価]
ガラス基板上に、スピンコート法により回転数を変量として上記液晶配向剤を塗布し、80℃で5分間プレベークした後、200℃で60分間ポストベークすることによって塗膜を形成し、溶媒除去後の塗膜の膜厚が1,000Åとなる回転数を調べた。
次いで、上記液晶配向剤の一部をとり、これを−15℃にて5週間保存した。保存後の液晶配向剤を目視で観察し、不溶物の析出が観察された場合には保存安定性「極不良」と判定した。
5週間保存後に不溶物が観察されなかった場合には、保存後の液晶配向剤を保存前に膜厚が1,000Åとなった回転数のスピンコート法によってガラス基板上に塗布し、上記と同様の条件でプレベークおよびポストベークを行って塗膜を形成し、その膜厚を測定した。この膜厚が、1,000Åから10%以上ずれていた場合には保存安定性「不良」と判定し、膜厚のずれが10%未満であった場合を保存安定性「良」と判定した。
なお、上記塗膜の膜厚の測定は、KLA−Tencor社製の触針式段差膜厚計を用いて行なった。
【0085】
<垂直配向型液晶表示素子の製造および評価>
[垂直配向型液晶表示素子の製造]
上記で調製した液晶配向剤を、ITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面上にスピンナーを用いて塗布し、80℃にて5分間プレベークした後、窒素に置換したオーブン中で200℃で1時間ポストベークすることにより、膜厚0.1μmの塗膜(液晶配向膜)を形成した。この操作を繰り返し、液晶配向膜を有する基板を一対(2枚)作成した。
上記基板のうちの1枚の液晶配向膜を有する面の外周に直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤をスクリーン印刷により塗布した後、一対の基板の液晶配向膜面を、そのラビング方向が逆平行となるように対向させて重ね合わせて圧着し、150℃で1時間加熱して接着剤を熱硬化した。次いで、液晶注入口より基板の間隙に、ネガ型液晶(メルク社製、MLC−6608)を充填した後、エポキシ系接着剤で液晶注入口を封止し、さらに液晶注入時の流動配向を除くために、これを150℃で10分間加熱した後に室温まで徐冷した。
さらに基板の外側両面に、偏光板を、その偏光方向が液晶配向膜のラビング方向と45°の角度をなし且つ2枚の偏光板の偏光方向が互いに直交するように貼り合わせることにより、垂直配向型液晶表示素子を製造した。
【0086】
[垂直配向型液晶表示素子の評価]
(1)液晶配向性の評価
上記で製造した液晶表示素子に5Vの電圧をON・OFF(印加・解除)したときの明暗の変化における異常ドメインの有無を観察した。垂直配向型液晶表示素子の場合、電圧OFF時に光漏れが観察されず、且つ電圧印加時に駆動領域が白表示、それ以外の領域から光漏れがなかった場合を液晶配向性「良」とし、光漏れが観察された場合を液晶配向性「不良」とした。
(2)電圧保持率の評価
上記で製造した液晶表示素子に、5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率を測定した。測定装置は(株)東陽テクニカ製、「VHR−1」を使用した。
(3)耐熱性の評価
上記と同様にして製造した液晶表示素子に、80℃オーブン中で10時間静置した後、室温中に静置して室温まで自然冷却した。次いでこの液晶表示素子に5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率を測定した。測定装置は(株)東陽テクニカ製、「VHR−1」を使用した。
(4)耐紫外線性の評価
上記と同様にして製造した液晶表示素子に、80mW/cmの照度のメタルハライドランプにより、10J/cmの紫外光を照射した後、室温に静置して室温まで自然冷却した。次いで、5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率を測定した。測定装置は(株)東陽テクニカ製、「VHR−1」を使用した。
(5)耐焼付き性の評価
上記と同様にして製造した液晶表示素子に、直流17Vの電圧を100℃の環境温度で20時間印加し、直流電圧を切った直後の液晶セル内に残留した電圧(残留DC電圧)をフリッカ−消去法により求めた。この残留DC電圧の値が1,000mV以下であった場合を耐焼付き性「良」、それ以外の場合を耐焼付き性「不良」とした。
【0087】
実施例2〜11および比較例1〜4
上記実施例1において、ポリオルガノシロキサン、重合体(B)および(C)エポキシ化合物の種類および使用量を、それぞれ表2に記載の通りとしたほかは実施例1と同様にして液晶配向剤を調製し、各種の評価を行った。評価結果は表2に示した。
なお、これらの実施例および比較例において、重合体(B)はいずれも上記合成例で得た重合体溶液として液晶配向剤の調製に供した。表2における重合体(B)の量は、使用した重合体溶液に含有される重合体の量に換算した値である。また、実施例10においては、溶媒組成がNMP:BC:γ―ブチロラクトン=50:40:10(重量比)となるように、溶媒を加えた。
【0088】
【表2】

【0089】
表2におけるエポキシ化合物(C)の略称は、それぞれ以下の意味である。
C−1:N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン
C−2:N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン
C−3:ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、商品名「エピコート157S65」)
表2の成分欄における「−」は、当該欄に相当する成分を使用しなかったこを示す。
【0090】
上記の実施例から明らかなように、ポリオルガノポリシロキサン(A)および重合体(B)を含有する本発明の液晶配向剤は、保存安定性に優れることともに、これから形成された液晶配向膜を具備する本発明の液晶表示素子は、優れた液晶配向性および電圧保持率を示すとともに、耐熱性、耐紫外線性および耐焼付き性にも優れるものである。
本発明の液晶表示素子は、従来から知られているポリシロキサンを主成分とする液晶配向剤に比べて、特に耐焼付き特性が格段に優れた液晶表示素子を与える。
【0091】
<液晶セルの製造>
実施例12
上記実施例1で調製した液晶配向剤を用いて、下記のように透明電極のパターン(2種類)および紫外線照射量(3水準)を変更して、計6個の液晶表示素子を製造し、評価した。
[パターンなし透明電極を有する液晶セルの製造]
上記実施例1で調製した液晶配向剤を、液晶配向膜印刷機(日本写真印刷(株)製)を用いてITO膜からなる透明電極を有するガラス基板の透明電極面上に塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱(プレベーク)して溶媒を除去した後、150℃のホットプレート上で10分間加熱(ポストベーク)して、平均膜厚600Åの塗膜を形成した。
この塗膜に対し、レーヨン布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンにより、ロール回転数400rpm、ステージ移動速度3cm/秒、毛足押しこみ長さ0.1mmでラビング処理を行った。その後、超純水中で1分間超音波洗浄を行ない、次いで100℃クリーンオーブン中で10分間乾燥することにより、ラビング処理された塗膜を有する基板を得た。この操作を繰り返し、ラビング処理された塗膜を有する基板を一対(2枚)得た。
次に、上記一対の基板のラビング処理された塗膜を有するそれぞれの外縁に、直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、塗膜面が相対するように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化した。次いで、液晶注入口より一対の基板間に、ネマチック型液晶(メルク社製、MLC−6608)を充填した後、アクリル系光硬化接着剤で液晶注入口を封止することにより、液晶セルを製造した。
【0092】
上記の操作を繰り返し行い、パターンなし透明電極を有する液晶セルを3個製造した。そのうちの1個はそのまま後述のプレチルト角の評価に供した。残りの2個の液晶セルについては、それぞれ下記の方法により導電膜間に電圧を印加した状態で光照射した後にプレチルト角および電圧保持率の評価に供した。
上記で得た液晶セルのうちの2個について、それぞれ電極間に周波数60Hzの交流10Vを印加し、液晶が駆動している状態で、光源にメタルハライドランプを使用した紫外腺照射装置を用いて、紫外線を10,000J/mまたは100,000J/mの照射量にて照射した。なおこの照射量は、波長365nm基準で計測される光量計を用いて計測した値である。
【0093】
[プレチルト角の評価]
上記で製造した各液晶セルについて、それぞれ非特許文献2(T. J. Scheffer et. al. J. Appl. Phys. vol. 19, p2013(1980))に記載の方法に準拠して、He−Neレーザー光を用いる結晶回転法によりプレチルト角を測定した結果、光未照射の液晶セルのプレチルト角は89°であり、照射量10,000J/mの液晶セルのプレチルト角は88°であり、そして照射量100,000J/mの液晶セルのプレチルト角は84°であった。
【0094】
[パターニングされた透明電極を有する液晶セルの製造]
上記実施例1で調製した液晶配向剤を、図1に示したようなスリット状にパターニングされ、複数の領域に区画されたITO電極をそれぞれ有するガラス基板AおよびBの各電極面上に液晶配向膜印刷機(日本写真印刷(株)製)を用いて塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱(プレベーク)して溶媒を除去した後、150℃のホットプレート上で10分間加熱(ポストベーク)して、平均膜厚600Åの塗膜を形成した。この塗膜につき、超純水中で1分間超音波洗浄を行なった後、100℃クリーンオーブン中で10分間乾燥することにより、塗膜を有する基板を得た。この操作を繰り返し、塗膜を有する基板を一対(2枚)得た。
次いで、上記一対の基板の塗膜を有するそれぞれの外縁に、直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、塗膜面が相対するように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化した。次いで、液晶注入口より一対の基板間に、ネマチック型液晶(メルク社製、MLC−6608)を充填した後、アクリル系光硬化接着剤で液晶注入口を封止することにより、液晶セルを製造した。
上記の操作を繰り返し行い、パターニングされた透明電極を有する液晶セルを3個製造した。そのうちの1個はそのまま後述の応答速度の評価に供した。残りの2個の液晶セルについては、上記パターンなし透明電極を有する液晶セルの製造におけるのと同様の方法により、導電膜間に電圧を印加した状態で10,000J/mまたは100,000J/mの照射量にて光照射した後に応答速度の評価に供した。
なお、ここで用いた電極のパターンは、PSAモードにおける電極パターンと同種のパターンである。
【0095】
[応答速度の評価]
上記で製造した各液晶セルにつき、先ず電圧を印加せずに可視光ランプを照射して液晶セルを透過した光の輝度をフォトマルチメーターにて測定し、この値を相対透過率0%とした。次に液晶セルの電極間に交流60Vを5秒間印加したときの透過率を上記と同様にして測定し、この値を相対透過率100%とした。
このとき各液晶セルに対して交流60Vを印加したときに、相対透過率が10%から90%に移行するまでの時間を測定し、この時間を応答速度と定義して評価した。
その結果、光未照射の液晶セルの応答速度は52msecであり、照射量10,000J/mの液晶セルの応答速度は48msecであり、そして照射量100,000J/mの液晶セルの応答速度は27msecであった。
【0096】
実施例13および14
液晶配向剤として、実施例13においては上記実施例2で調製した液晶配向剤を、実施例14においては上記実施例3で調製した液晶配向剤を、それぞれ使用したほかは上記実施例12と同様に各種液晶セルを製造して評価した。
評価結果は表3に示した。
【0097】
【表3】

【0098】
表3の結果から、本発明における新規な液晶表示素子の製造方法においては、紫外線照射量を100,000J/m(PSAモードにおいて従来採用されてきた値である。)とすると得られるプレチルト角の程度が過剰となり、10,000J/mまたはそれ以下の照射量において適正なプレチルト角となることが分かる。また、照射量が少ない場合であっても十分に速い応答速度が得られている。また、表2の結果から、本発明の液晶配向剤は極めて優れる耐紫外線性を持つことが理解される。
従って、本発明の液晶表示素子の製造方法によれば、PSAモードのメリットを少ない光照射量で実現することができるから、高い光照射量に起因する表示ムラの発生、電圧保持特性の低下および長期信頼性の不足の懸念なしに、視野角が広く、液晶分子の応答速度が速く、透過率が高く、そしてコントラストが高い液晶表示素子を製造することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記式(1)
Si(ORII (1)
(式(1)中、Rは(メタ)アクリロイル基を有する1価の有機基であり、RIIは1価の有機基である。)
で表される化合物を含むシラン化合物を加水分解し縮合して得られるポリオルガノシロキサン、ならびに
(B)ポリアミック酸およびポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種の重合体
を含有することを特徴とする、液晶配向剤。
【請求項2】
上記(A)ポリオルガノシロキサンと(B)重合体との合計に対する(A)ポリオルガノシロキサンの割合が、0.01〜30重量%である、請求項1に記載の液晶配向剤。
【請求項3】
上記シラン化合物が、上記式(1)で表される化合物のほかにさらに下記式(2)
IIISi(ORIV (2)
(式(1)中、RIIIは炭素数1〜18の直鎖のアルキル基、炭素数1〜18の直鎖のフルオロアルキル基または炭素数6〜24のアリール基であり、RIVは1価の有機基である。)
で表される化合物を含むものである、請求項1または2に記載の液晶配向剤。
【請求項4】
上記(A)ポリオルガノシロキサンが、上記式(1)で表される化合物を20〜80重量%含むシラン化合物を加水分解し縮合して得られるポリオルガノシロキサンである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
【請求項5】
さらに、(C)分子内に少なくとも一つのエポキシ基を有する化合物をさらに含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
【請求項6】
上記(C)化合物が、下記式(3)
【化1】

で表される基を有する化合物である、請求項5に記載の液晶配向剤。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の液晶配向剤から形成されたことを特徴とする、液晶配向膜。
【請求項8】
請求項7に記載の液晶配向膜を具備することを特徴とする、液晶表示素子。
【請求項9】
導電膜を有する一対の基板の該導電膜上に、それぞれ、請求項1〜6のいずれか一項に記載の液晶配向剤を塗布して塗膜を形成し、
前記塗膜を形成した一対の基板の前記塗膜が、液晶分子の層を介して相対して対向配置した構成の液晶セルを形成し、
前記一対の基板の有する導電膜間に電圧を印加した状態で前記液晶セルに光照射する工程を経ることを特徴とする、液晶表示素子の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−217866(P2010−217866A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277360(P2009−277360)
【出願日】平成21年12月7日(2009.12.7)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】