説明

液滴処置システム

本発明は、液滴マイクロアクチュエータにおける液滴の移動を制御するためのシステムおよび方法、ならびに試料を処理及び/又は分析するための液滴マイクロアクチュエータデバイス、システムおよび方法に関する。一態様によれば、(a)コントローラ、(b)コントローラと電子的に連結される液滴マイクロアクチュエータおよび(c)コントローラと電子的に連結されるユーザインターフェイスを表示するディスプレイデバイスを備え、ユーザが、ユーザインターフェイスと相互作用することによって液滴操作を行うことを可能にするようにプログラム化され、構成されたシステムが提供される。別の態様によれば、(a)電子的または光学的受信手段を備える分析器ユニット、(b)自己充足式液滴処理機能を備えるカートリッジ、および(c)カートリッジからの電子出力および/または光出力を分析ユニットにおける電子的受信手段または光学的受信手段と整列させて、カートリッジを分析器ユニットに連結するための手段を備える試料分析器が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1 付与情報
本発明を導く研究は、少なくとも部分的にNIH付与番号1 R44 DK066956−01、1 R43 GM072155−01、1 R21 HG003706−01、NNJ06JD53Cおよび5UOl AI066590−02によって支援された。米連邦は、本明細書に記載される本発明において一定の権利を有しうる。
【0002】
2 関連出願
本出願は、2006年5月9日出願の「Portable Analyzer Using Droplet−Based Microfluidics」というタイトルの関連する米国特許仮出願第60/746,797号および2006年6月30日出願の「Systems and Methods for Droplet Microactuator Operations」というタイトルの関連する米国特許仮出願第60/806,412号に関連し、参照によって組み込まれる。
【0003】
3 発明の分野
本発明の一態様は、液滴マイクロアクチュエータにおける液滴の移動を制御するためのシステムおよび方法に関する。本態様はまた、液滴マイクロアクチュエータにおける液滴の移動を制御するためのコードを作成するためのソフトウェアおよびシステムにも関する。
【0004】
本発明の別の態様は、試料の処理および/または分析のための液滴マイクロアクチュエータデバイス、システムおよび方法に関する。デバイスおよびシステムは、携帯可能なデバイスまたはハンドへルド式デバイスとして提供されてよく、試料収集点における分析を行うために好都合に用いられてもよい。本発明は、たとえば、医療、環境(たとえば、生物攻撃および/または化学攻撃)、農業設定および工業設定における監視、検査および/または分析に有用である。
【背景技術】
【0005】
4 発明の背景
4.1 マイクロ流体システム
過去数年にわたって、研究者は、直接的電気制御による個別の液滴の操作に基づいてマイクロ流体工学を進歩させてきた。そのようなシステムの例は、いずれもPamulaらに付与された米国特許第6,911,132号および米国特許出願第2004/0058450号に見ることができる。これらの特許文書は、液滴を電気的に操作するための装置について記載している。Advalytix AG(Munich)に譲渡されたWixforthの米国特許第6,777,245号は、チップに無線周波数の電気パルスを印加することによって生成される表面音響波を用いてバイオチップの表面における化学反応を電子的に制御する機能を有することが報告されている技術について記載している。Gascoyneらは、米国特許出願第2005/0072677号、米国特許出願第2004/0178068号、米国特許出願第2004/0011651号、米国特許出願第2003/0173223号、米国特許出願第2003/0171325号、米国特許出願第2003/0102854号および米国特許出願第2002/0036139号において、流体を通過する材料または物体の移動を管理するために、誘導泳動の使用について報告している。Fluidigmに譲渡された特許および特許公報は、個別の経路および中間スイッチのネットワークを形成する流体制御弁および相互接続チャネルに基づく技術について記載している。Labcyte Inc.の米国特許第6,416,164号および他の特許は、集束音響エネルギー(超音波)を用いてマイクロリットル以下の輸送容量を目標とするその生成物のために開放ウェルから液体の小液滴を取り出すことについて記載している。HandyLabは、複数の個別のプラグが互いに独立して機能するマイクロチャネルネットワークによってナノリットルサイズの液体プラグを作成して推進する内部に生成される圧力に左右されるマイクロ流体システム、すなわち熱空気ポンプの開発について報告している。当該分野では、これらの液滴マイクロアクチュエータを直接制御するために用いられうるシステム、液滴マイクロアクチュエータを制御するためのソフトウェアを開発してトラブルの解決に用いられうるシステム、液滴マイクロアクチュエータおよび液滴マイクロアクチュエータシステムの構成要素を制御するためのソフトウェア言語が依然として必要とされている。
【0006】
マイクロ流体システムは、連続フローおよび離散フローに基づくアーキテクチャに大まかに分類されうる。連続フローシステムは、システム(パイプ、ポンプおよび弁を想定する)内に連続的に供給される液体に左右されるのに対して、離散フローシステムは、流体の液滴を利用する。
【0007】
連続フローシステムは、液体輸送が永久にエッチングされたチャネルに物理的に閉じ込められるという事実によって制限される。用いられる輸送機構は通常、外部ポンプによって圧力駆動されるか、または高電圧によって動電学的に駆動される。これらの手法は、複雑なチャネリングを伴い、外部ポンプ、弁または電源の形態で大型支持システムを必要とする。これらの制約は、高度の機能の統合化を達成し、常套の連続フローシステム、特に試料点収集においてハンドへルド式デバイスを実現する際に制御することを困難にする。さらに、流体フローは単向性であり、したがって、容易には再構成またはプログラムすることができない。
【0008】
さらに、連続フローチャネルシステムの技術的な制限は、1つのチップ上でのPCR、免疫検定、化学および細胞処理などの分析の複数の形式の統合を可能にしない。これらの技術がラボ・オン・ア・チップでの検定を小型化する場合であっても、チップ上でのさらに制限された操作を管理するために大型の機器を必要とする。したがって、POSC用途で要求される多機能性および可搬性の要求を満たすことができるマイクロ流体ラボ・オン・ア・チップに対する要求が存在する。
【0009】
4.2 携帯可能な分析器の背景
試料収集検査点は、医学的監視および診断から環境検査に及ぶ種々の状況において有用である。医学的監視または放流河川の環境的監視のような状況において、試料検査点は、試料収集から施される作用までの時間を最小限に抑えることができる。さらに、多くの場合には、中央ラボへの輸送のために試料を保存することが事実上不可能である可能性がある。そのような保存が可能である場合であっても、必要とされる高価な手順は、保存および中央ラボへの輸送を経済的に実行不可能にする可能性がある。あるいは、研究者は、理想に満たない状態下で、輸送によって生じるある程度の分析精度の低下を許容するように強いられる可能性がある。
【0010】
複数のグループが、試料収集点検査を可能にするシステムを構成し、または構成しようと試みてきた。たとえば、Lauksの米国特許第5,096,669号は、実時間流体分析のための検知デバイスについて記載している。Zelinの米国特許第5,821,399号は、使い捨て可能な流体分析検知デバイスにおける自動的な流体フロー補償のための方法について記載している。米国特許第5,124,661号において、Zelinらは、携帯可能な血液分析器の機能性を検査するための再利用可能な検査ユニットについて記載している。Enzerらの米国特許第4,436,610号は、血液の水素イオン活性値またはpH値を測定するための装置について記載している。Chengらの米国特許第6,071,394号、米国特許第6,403,367号および米国特許第6,280,590号およびSheldonらの米国特許第6,129,828号は、すべて、Nanogen Inc.(San Diego,CA)に譲渡されており、誘導泳動により、微細加工された電子チップにおいてヒト末梢血から細菌細胞および癌細胞の分離を行うためのデバイスについて記載している。Milesらの米国特許第6,576,459は、免疫検定およびPCR検定の両方をコンパクトなマイクロチップに組み込む試料調製および分析デバイスについて記載している。Biosite Inc.(San Diego,CA)は、心臓発作に関連する高い心臓マーカー(ミオグロビン、CK−MBおよびトロポニンI)の検出のために、一連の3つの免疫検定のためのポイント・オブ・ケア検査製品を販売している(http://www.biosite.com/products/cardio.aspx)。Buechlerらの米国特許第6,074,616号は、光学構成要素に対して試料を位置決めするための駆動電子機器を有する蛍光光度計について記載している。Brennenらの米国特許第6,632,400号は、マイクロ流体チャネル、区画およびフロー制御要素からなるマイクロ流体デバイスについて記載している。Boeckerらの米国特許第6,966,880号は、一体になった試料抽出デバイスを有するサンプリングモジュール、体液を収容する試料ポート、体液の分析のための検定センサモジュール、検定からの情報の検出を伴う分析的検出器モジュールおよび有線ネットワークまたはワイヤレスネットワークを介して情報を遠隔位置に伝送するための通信モジュールを備えた携帯可能な医療分析器について記載している。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
5 発明の簡単な説明
本発明の一態様は、液滴マイクロアクチュエータ操作のためのシステムおよび方法に関する。この態様の一実施形態によれば、システムが提供され、該システムは、(a)コントローラ、(b)コントローラに電子的に連結される液滴マイクロアクチュエータおよび(c)コントローラに電子的に連結されるユーザインターフェイスを表示するディスプレイデバイスを備え、ユーザがユーザインターフェイスと相互作用することによって液滴操作を行うことを可能にするようにプログラムおよび構成される。この態様の別の実施形態によれば、別のシステムが提供され、該システムは、(a)プロセッサ、(b)プロセッサに電子的に連結されるディスプレイデバイスおよび(c)コントローラに電子的に連結される記憶デバイス、コントローラに電子的に連結されるメモリデバイス、および/またはコントローラに読み込まれ、および/または格納され、液滴マイクロアクチュエータの相互作用マップを表示するようにプログラムされるソフトウェアを備える。この態様のさらに別の実施形態によれば、さらなるシステムが提供され、該システムは、(a)コントローラ、(b)コントローラに電子的に連結される液滴マイクロアクチュエータ、(c)コントローラに電子的に連結されるユーザインターフェイスを表示するディスプレイデバイスおよび(d)コントローラに電子的に連結される記憶デバイス、コントローラに電子的に連結されるメモリデバイス、および/またはコントローラに読み込まれおよび/または格納されるプロトコルを実行するためのソフトウェアを備える。
【0012】
本発明の別の態様は、液滴に基づくマイクロ流体を用いた携帯可能な分析器に関する。この態様の一実施形態によれば、試料分析器が提供され、該試料分析器は、(a)電子的受信手段または光学的受信手段を備える分析器ユニット、(b)自己充足式液滴処理機能を備えるカートリッジ、および(c)カートリッジからの電子出力および/または光出力を分析ユニットにおける電子的受信手段または光学的受信手段と整列させて、カートリッジを分析器ユニットに連結するための手段を備える。この態様の別の実施形態によれば、試料分析器が提供され、該試料分析器は、試料分析器に連結される試料分析器カートリッジと、カートリッジと分析器との間の電子インターフェイスおよび/または光学インターフェイスの手段とを備え、それにより、電気信号および/または光信号が、カートリッジから分析器に伝送されてよい。
【0013】
6 定義
本明細書で用いられるとき、以下の用語は、示された意味を有する。
【0014】
1つまたは複数の電極に関して「活性化する」とは、液滴操作を結果として生じる1つまたは複数の電極の電気状態に変化をもたらすことを意味する。たとえば、電極は、直流電位を印加することによって;交流電位を印加することによって活性化され得、その結果、活性化された電極は、交流電位を有し、非活性電極は、接地電位または他の参照電位を有するようにするか、および/または電位を電極に対して印加し、次いで反転することを繰り返すことによって、活性化されうる。出力の極性の間で迅速に切り換えるために、ソフトウェアを用いることによって、交流モードを実現することができることを留意すべきである。
【0015】
「検体」は、試料に存在しうる検出のための標的物質を意味する。具体的な例としては、抗原物質、ハプテン、抗体、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、ヌクレオチド、核酸、薬物、イオン、塩、小分子、細胞などが挙げられる。
【0016】
液滴マイクロアクチュエータにおけるビーズに関する「ビーズ」は、液滴マイクロアクチュエータ上にあるまたは液滴マイクロアクチュエータに近接する液滴と相互作用することが可能な任意のビーズまたは粒子を意味する。ビーズは、たとえば、液滴マイクロアクチュエータ上で液滴に輸送されてよく、液滴マイクロアクチュエータ上の液滴を液滴マイクロアクチュエータ上の液滴および/または液滴マイクロアクチュエータ以外の液滴と接触させることが可能な様式で、液滴マイクロアクチュエータに対して構成されることができてよい。ビーズは、種々の形状、たとえば、球、略球、卵形、円盤形、立方体および他の3次元形状などのいずれであってもよい。ビーズは、たとえば、樹脂およびポリマーをはじめとする種々の材料を用いて製造されてもよい。ビーズは、たとえば、マイクロビーズ、マイクロ粒子、ナノビーズおよびナノ粒子をはじめとする任意の適切なサイズであってよい。Bio−Rad LaboratoriesのBioPlex 2200ビーズなどのBioPlexビーズは、具体的な実施形態である。一部の場合には、ビーズは、磁気応答性である。他の場合には、ビーズは、あまり磁気応答性ではない。磁気応答性ビーズの場合には、磁気応答性材料が、ビーズの実質的にすべてまたはビーズの唯一の構成要素を構成してもよい。ビーズの残りは、中でもポリマー材料、コーティングおよび検定試薬の付着を可能にする部分を含んでもよい。適切な磁気応答性ビーズの例としては、2005年11月24日公開の「Multiplex flow assays prefereably with magnetic particles as solid phase」というタイトルの米国特許公開第2005−0260686号に記載され、その開示内容全体が、磁気反応性材料およびビーズに関する教示のために、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0017】
「連通する」(たとえば、第1の構成要素が第2の構成要素と「連通する」または「連通状態にある」)は、2つ以上の構成要素または要素間の構造的関係、機能的関係、機械的関係、光学的関係、電気的関係または流体的関係またはそれらの任意の組み合わせを表すために本明細書では用いられる。したがって、1つの構成要素が第2の構成要素と連通していると書かれている事実は、さらなる構成要素が、第1の構成要素と第2の構成要素との間に存在してもよく、第1の構成要素および第2の構成要素と動作可能に関連付けられてもよく、または、第1の構成要素および第2の構成要素と係合してよいという可能性を排除することを意図していない。
【0018】
「チップ」は、シリコンまたは半導体のみならず、ガラス、プリント回路基板、プラスチック、または液滴が操作される任意の他の基材も含めた任意の基材を指す。
【0019】
「液滴」は、充填剤流体によって少なくとも部分的に制限される、液滴マイクロアクチュエータ上の一定容量の液体を表す。たとえば、液滴は、充填剤流体によって完全に包囲されてもよく、または充填剤流体、および液滴マイクロアクチュエータの1つまたは複数の表面によって制限されてもよい。液滴は、種々の形状をとってもよく、非限定的な例としては、略円盤形、弾丸形、切頭球、楕円形、球、部分的に圧縮した球、半球、卵形、円筒形および融合または分割などの液滴操作中に形成される種々の形状、または液滴マイクロアクチュエータの1つまたは複数の表面とのそのような形状の接触の結果として形成される種々の形状が挙げられる。
【0020】
「液滴操作」は、液滴マイクロアクチュエータにおける液滴の任意の操作を意味する。液滴操作としては、たとえば、液滴マイクロアクチュエータ内への液滴の投入、供給源の液滴からの1つまたは複数の液滴の分配、液滴の2つ以上の液滴への分割、分離または分裂、任意の方向におけるある位置から別の位置への液滴の輸送、2つ以上の液滴の1つの液滴への融合または結合、液滴の希釈、液滴の混合、液滴の攪拌、液滴の変形、液滴の所定の位置での保持、液滴の培養、液滴の加熱、液滴の気化、液滴の冷却、液滴の配置、液滴マイクロアクチュエータからの液滴の輸送、本明細書に記載される他の液滴操作および/または上記の操作の任意の組み合わせが挙げられる。「融合する」「融合」「結合する」「結合」などの用語は、2つ以上の液滴から1つの液滴を作成することを記述するために用いられる。そのような用語は、2つ以上の液滴に関して用いられる場合には、2つ以上の液滴を組み合わせて結果として1つの液滴にするのに十分な液滴操作の任意の組み合わせを用いてもよいことを理解すべきである。たとえば、「液滴Bと液滴Aとの融合」は、静止している液滴Bと接触させるように液滴Aを輸送すること、静止している液滴Aと接触させるように液滴Bを輸送すること、または液滴Aおよび液滴Bを互いに接触するように輸送することによって達成されうる。「分割」「分離」および「分裂」は、結果として生じる液滴のサイズに対して任意の具体的な成果(すなわち、結果として生じる液滴のサイズは、同一であっても異なっていてもよい)または結果として生じる液滴の数(結果として生じる液滴の数は2、3、4、5またはそれより多くてもよい)を暗示することを意図していない。「混合」なる用語は、液滴内の1つまたは複数の構成要素のより均質な分配を結果として生じる液滴を意味する。「投入」液滴操作の例としては、マイクロ透析投入、圧力補助投入、ロボット投入、受動的投入およびピペット投入が挙げられる。
【0021】
電気構成要素に関して「電子的結合」または「結合」は、2つ以上の構成要素または要素の間の電気的関係またはデータ関係を表すために本明細書において用いられる。したがって、第1の構成要素が、第2の構成要素に電子的に連結されることになっているという事実は、さらなる構成要素が、第1の構成要素と第2の構成要素との間に存在してもよく、第1の構成要素および第2の構成要素と動作可能に関連付けられてもよく、または第1の構成要素および第2の構成要素と連動してもよいという可能性を排除することを意図していない。さらに、電気的に連結される構成要素は、一部の実施形態において、構成要素を介在する無線電信を含んでもよい。
【0022】
液滴マイクロアクチュエータマップなどのユーザインターフェイスなどに関連して用いられる「強調」は、本明細書において述べるとき、たとえば、色、明るさ、陰影、形状における変化によって、またはシンボル、アイコンまたは他の可視識別子の出現/消失によって、ユーザインターフェイスまたはマップの構成要素が視覚的に区別されうることを意味する。たとえば、ユーザインターフェイスにおける電極の表示にマウスポインタを重ねること、またはユーザインターフェイスにおける電極の表示を選択することにより、電極表示の色を変化させてもよい。音もまた、システムとユーザとの相互作用をさらに容易にするために、強調された項目に付随して生じてもよい。
【0023】
「入力デバイス」は、情報をコンピュータシステム内またはネットワーク上に入力するためのデバイスおよび方法のすべての可能なタイプを示すために広く用いられる。例としては、スタイラスに基づくデバイス、ペンに基づくデバース、キーボードデバイス、キーパッドデバイス、タッチパッドデバイス、タッチスクリーンデバイス、ジョイスティックデバイス、トラックボールデバイス、マウスデバイス、バーコードリーダデバイス、磁気ストリップリーダデバイス、赤外線デバイス、音声認識技術が挙げられる。
【0024】
「マウスポインタを上に重ねる」は、ユーザインターフェイス上の物体によってカーソルまたは他の選択デバイスを関連付けることを意味する。マウスポインタを上に重ねることは、マウス、キーボードまたはジョイスティックまたはそのようなデバイスの組み合わせなどの種々の入力デバイスを用いて達成されてもよい。
【0025】
「出力デバイス」は、コンピュータシステムからユーザまたは別のシステムに情報またはデータを出力するためのデバイスおよび方法のすべての可能なタイプを示すために広く用いられる。例としては、視覚的表示、LED、プリンタ、スピーカ、モデムおよび無線トランシーバが挙げられる。
【0026】
「プロトコル」は、非限定的に、1つまたは複数の液滴マイクロアクチュエータにおける液滴操作を含む一連の工程を意味する。
【0027】
ユーザインターフェイス上に表示されたアイコン、フィールドまたは仮想ボタンなどのユーザ相互作用性要素に関して「選択」は、対象物に関連する命令の実行を結果として生じる入力を提供することを意味する。したがって、たとえば、電極表示を指してクリックすることによる液滴マイクロアクチュエータマップ上に表示された電極の表示の選択は、実際の電極を作動するために必要な命令および/または実際の電極の作動を命令する一連の命令にコードの行を追加するために必要な命令の実行を結果として生じてもよい。選択は、マウス、ジョイスティックおよび/またはキーボードなどの種々の入力デバイスのいずれかまたは入力デバイスの組み合わせを用いて達成されてもよい。
【0028】
抗体または検体中、表面上などの分子の固定化に関する「表面」は、液滴マイクロアクチュエータ上の液滴と相互作用するための機能を保持しながら分子を固定化することができる任意の表面を意味する。たとえば、表面は、液滴マイクロアクチュエータの上部プレートまたは下部プレートにおける表面などの液滴マイクロアクチュエータにおける表面、液滴マイクロアクチュエータの上部プレートまたは下部プレートから延在する表面、液滴マイクロアクチュエータ上の液滴相互作用することを可能にする様式で、液滴マイクロアクチュエータ上に位置決めされる物理的な対象物における表面、および/または液滴マイクロアクチュエータ(たとえば液滴内および/または液滴の外側であるが液滴マイクロアクチュエータ内)に位置決めされるビーズであってもよい。
【0029】
液滴マイクロアクチュエータは空間におけるその位置に関係なく機能的であるため、「上部」および「下部」なる用語は、説明全体を通じて、便宜上としてのみ液滴マイクロアクチュエータの上部基材および下部基材に関して用いられる。
【0030】
層、領域または基材などの所与の構成要素が、本明細書において、別の構成要素の「上に」配置または形成されると言及されている場合には、その所与の構成要素が、他の構成要素の上に直接的にあってもよく、またはあるいは介在する構成要素(たとえば、1つまたは複数のコーティング、層、中間層、電極または接点)もまた存在してもよい。「上に配置される」および「上に形成される」なる用語は、所与の構成要素が別の構成要素に関してどのように位置決めまたは位置付けられるかを記述するために同義で用いられることをさらに理解されよう。したがって、「上に配置される」および「上に形成される」なる用語は、材料の輸送、堆積または作製の具体的な方法に関連する任意の制限を導入することを意図していない。
【0031】
任意の形態(たとえば、液滴または連続体、移動または静止している)における液体は、電極、アレイ、マトリックスまたは表面「の上に」「で」または「の上方に」あるものとして記載されている場合には、そのような液体は、電極/アレイ/マトリックス/表面と直接接触状態にあってもよく、または液体と電極/アレイ/マトリックス/表面との間に介在される1つまたは複数の層または膜と接触状態にあってもよい。
【0032】
液滴が、液滴マイクロアクチュエータの「上」または「上に投入される」と記載される場合には、液滴は、液滴マイクロアクチュエータを用いて液滴における1つまたは複数の液滴操作を行うことを容易にする様式で液滴マイクロアクチュエータ上に配置されるか、液滴の特性または液滴からの信号の検知を容易にする様式で液滴マイクロアクチュエータ上に配置されるか、および/または液滴が液滴マイクロアクチュエータにて液滴操作に付されていることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
7 図面の簡単な説明
【図1】本発明の実施形態による液滴マイクロアクチュエータシステムの図である。
【図2】本発明の実施形態によるコントローラ基板の図である。
【図3】本発明の実施形態による液滴マイクロアクチュエータコントローラ基板の図である。
【図4】本発明の実施形態によるマイクロアクチュエータコントローラのブロック図である。
【図5A】本発明の実施形態による携帯可能なハンドへルド式分析器の図である。
【図5B】本発明の実施形態による携帯可能なハンドへルド式分析器の図である。
【図6】本発明の実施形態による液滴マイクロアクチュエータおよびカートリッジの図である。
【図7】本発明の実施形態による検出器コントローラ基板の図である。
【図8】本発明の実施形態による検出器コントローラ基板のブロック図である。
【図9】本発明の実施形態による人間‐機械インターフェイス(HMI)コントローラ基板の図である。
【図10】本発明の実施形態による液滴制御システムのユーザインターフェイスの図である。
【図11】本発明の実施形態による携帯可能なハンドへルド式分析器の図である。
【図12】本発明の実施形態による生体液分析器の斜視図である。
【図13】図13A〜図13Dは、本発明の種々の実施形態による液滴マイクロアクチュエータセンサ要素構成を示す側部輪郭図である。
【図14】本発明の実施形態による携帯可能なシステムを用いた機能工程を示すブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
8 発明の詳細な説明
本発明は、液滴の移動を制御するためのコードを作成するためのソフトウェアおよびシステムを含む、液滴マイクロアクチュエータにおける液滴の移動を制御するためのシステムおよび方法に関する。本発明はまた、携帯可能なデバイスまたはハンドへルド式デバイスの提供をはじめとする試料の処理および/または分析を行うための液滴マイクロアクチュエータデバイス、システムおよび方法に関する。
【0035】
8.1 液滴マイクロアクチュエータ操作のためのシステムおよび方法
本発明の一態様は、液滴制御システム、プログラミングシステム、プロトコル実行システム、ならびに、液滴制御システム、プログラミングシステムおよび/またはプロトコル実行システムを含む統合システムを提供する。これらのシステムを制御するための方法またはコンピュータが使用可能な命令も提供される。液滴制御システムは、ユーザが、液滴操作および検出器操作などの液滴マイクロアクチュエータシステム機能を制御することを可能にする。プログラミングシステムは、ユーザが液滴操作および検出器操作などの液滴マイクロアクチュエータシステム機能を制御するためのソフトウェアルーチンまたはコンピュータが使用可能な命令を開発することを可能にする。プロトコル実行システムは、ユーザが液滴操作および検出器操作などの液滴マイクロアクチュエータシステム機能を制御するソフトウェアルーチンを実行することを可能にする。
【0036】
高レベルで、本発明のシステムのそれぞれは、典型的には、プロセッサまたはコントローラ、液滴マイクロアクチュエータ、検出器(任意)、入力デバイスおよび出力デバイスならびにソフトウェアを含む。液滴制御システムは、液滴マイクロアクチュエータシステム機能を制御するための液滴制御インターフェイスを表示するようにプログラムされる液滴制御ソフトウェアを含む。プログラミングシステムは、液滴マイクロアクチュエータシステム機能を制御するための一連のコンピュータが実行可能な命令またはコンピュータが使用可能な命令の作成を容易にするようにプログラムされるプログラミングソフトウェアを含む。プロトコル実行システムは、液滴マイクロアクチュエータシステム機能を制御するための一連のコンピュータが実行可能な命令またはコンピュータが使用可能な命令の実行を容易にするようにプログラムされるプロトコル実行ソフトウェアを含む。
【0037】
システムは、個別の独立したシステムとして提供されてもよい。システムのうち、2つ以上のシステムが1つのシステムとして統合されてもよい。たとえば、液滴制御システムおよびプログラミングシステムは、液滴マイクロアクチュエータシステム機能の制御および液滴マイクロアクチュエータシステム機能の制御のためのソフトウェアまたはコードの作成のために、1つのシステムに好都合に組み合わせられうる。
【0038】
次の節は、本発明の種々の態様を説明しており、8.1.1節では、コントローラ、液滴マイクロアクチュエータ、検出器、入力デバイスおよび出力デバイスならびにソフトウェアを含むシステムの一定の構成要素の概要から始める。次に、8.1.2節では、液滴制御システム、プログラミングシステムおよびプロトコル実行システムをはじめとする3つのシステムのそれぞれについてさらに詳細に説明する。8.1.3節は、システムの検出器構成要素についてさらに詳細に説明する。8.1.4節は、本発明のシステムに関連する他の方法について説明する。最後に、8.3節は、液滴マイクロアクチュエータの種々の態様および本発明のシステムの構成要素としてのその操作について説明する。
【0039】
8.1.1 システム構成要素
操作プロトコルの液滴操作、検出、流体投入および他の工程は、図1に示されるような液滴マイクロアクチュエータシステムを用いて達成されうる。種々の液滴操作プロトコルの工程は、液滴制御システムおよび/またはプログラミングシステム110を用いて行われうる。操作プロトコルの実行のためにコントローラに読み込まれうる、一連のコンピュータが実行可能な命令が書かれていてよい。液滴制御システムおよび/またはプログラミングシステム110ならびにプロトコル実行システム112を含む統合システムを用いてもよい。液滴制御システムおよび/またはプログラミングシステム110は、ユーザが、液滴操作および流体投入プロトコル用センサ操作などの液滴マイクロアクチュエータシステム機能を制御することを可能にする。プロトコル実行システム112は、ユーザが液滴操作および流体投入操作などの液滴マイクロアクチュエータシステム機能を制御するソフトウェアルーチンを実行することを可能にする。本発明はまた、これらの種々の処理またはプロトコルを行うための方法またはコンピュータが使用可能な命令を提供する。プラットフォームのプログラム可能な柔軟性は、検定の迅速な最適化を可能にし、状態実行工程を実装することを可能にする。たとえば、特定の検査結果によって誘発される場合には、較正、確認検査またはさらなる制御を実行することができる。一部の実施形態において、システムは、試料調製工程を統合することができる。システムの自動化および/または液滴マイクロアクチュエータ上の操作は、可搬性を強化し、検定をさらに迅速かつわずかな訓練を受けただけの人員によって行うことができ、それにより、人的エラーを削減することを可能にする。
【0040】
図1をさらに参照すると、高レベルで、本発明のシステムのそれぞれは、典型的には、プロセッサまたはコントローラ114、液滴マイクロアクチュエータ116、センサまたは検出器118、入力デバイス120、出力デバイス122およびソフトウェアを含む。入力デバイス120および出力デバイス122は、人間‐機械インターフェイス(HMI)コントローラ124によって接続されうる。液滴制御システムは、典型的には、コンピュータまたはプロセッサ126にて実行し、液滴マイクロアクチュエータシステム機能を制御するための液滴制御インターフェイスを表示するようにプログラムされる液滴制御ソフトウェアを含む。プロトコル実行システム112は、液滴マイクロアクチュエータシステム機能を制御するために一連のコンピュータが実行可能な命令またはコンピュータが使用可能な命令の実行を容易にするようにプログラムされ、液滴操作、検出、流体投入および他のプロトコルを行うプロトコル実行ソフトウェアを含む。この態様の種々の構成要素は、次の節で説明される。
【0041】
8.1.1.1 コントローラ
本発明のシステムは、コントローラ114を含んでもよい。コントローラは、ソフトウェア命令の格納、解釈およびまたは実行などの処理機能を提供するように機能する。コントローラは、たとえば、メモリを備えたデジタル信号プロセッサ(DSP)、マイクロコントローラまたは特定用途向け集積回路(ASIC)から構成されてもよい。適切なDSPプロセッサの例は、Analog Devices Blackfin DSPプロセッサである。
【0042】
コントローラは、液滴マイクロアクチュエータ、任意の検出器ならびに任意の入力デバイスおよび/または出力デバイスなどの本発明の種々のハードウェア構成要素に電子的に連結される。コントローラは、これらのデバイスのデータおよび/または電源の態様を制御するように構成されかつプログラムされてもよい。たとえば、液滴マイクロアクチュエータに対して、コントローラは、電極を活性化/非活性化することによって液滴操作を制御する。本発明のこの態様については、8.3節でさらに説明される。
【0043】
図1に示されているように、コントローラ114は、さらに、プロセッサ、入力デバイスおよび出力デバイス、データ格納媒体ならびに他の構成要素を含む個別のコンピュータシステムに電子的に連結されていてよい。この配置は、液滴制御システムおよび/またはプログラミングシステム110において特に有用であり、コンピュータシステムは、液滴制御ユーザインターフェイスおよび/またはプログラミングユーザインターフェイスを操作するようにプログラムされる。この配置において、コンピュータシステムのプロセッサ126は、一実施形態において、ユーザインターフェイスを介して入力を受け入れて、命令をコントローラに伝送し、たとえば、電極の活性化/非活性化、電極、メモリおよび/または検出器の読み出しなどを行ってもよい。
【0044】
プロトコル実行システム112において、システムを制御するためのソフトウェアは、コントローラに液滴マイクロアクチュエータシステム機能を制御させるために、コントローラに直接読み込まれ、コントローラによって実行されてもよい。この実施形態において、システムは、携帯可能なシステムまたはハンドへルド式システムとして自立的に実行することができる。携帯可能なシステムまたはハンドへルド式システムは、さらに以下でさらに詳細に説明される。
【0045】
図2に示されているように、コントローラプロセッサ202は、コントローラ基板204の構成要素として提供されてもよい。コントローラ基板204のコントローラプロセッサ202は、液滴マイクロアクチュエータシステムの他のすべての基板を監視して制御するために利用される。コントローラ基板204は、外部バスポート206、内部バスポート208およびUSB通信ポート212などのプロセッサに電子的に連結される種々の外部および内部で利用可能な通信ポートを含んでもよい。外部ポートは、人間‐機械インターフェイス(HMI)コントローラ基板214などの種々の入力デバイスおよび出力デバイスにシステムを接続してもよい。外部ポートは、液滴マイクロアクチュエータからの出力を制御および受信するために、コントローラ基板を液滴マイクロアクチュエータコントローラ基板216に連結するために設けられてもよい。コントローラ基板204はまた、メインプロセッサに電子的に連結される1つまたは複数の検査アクセスポートおよび/またはプログラミングポート217(たとえば、JTAGポート)を含んでもよい。
【0046】
コントローラ基板204はまた、電源スイッチ218、電源ジャック222および電源224に結合されてもよい。電力変換226機能性が含まれてもよい。制御基板は、バッテリによって電力供給されてもよく、および/または外部電源に連結されてもよい。
【0047】
8.1.1.2 液滴マイクロアクチュエータ
システムは、典型的には、8.3節にさらに記載したように、液滴マイクロアクチュエータを含む。液滴マイクロアクチュエータは、プロセッサに電子的に連結され、プロセッサは、液滴操作などの液滴マイクロアクチュエータの種々の操作を制御することができる。
【0048】
図3は、液滴マイクロアクチュエータが液滴マイクロアクチュエータコントローラ基板310に設けられる本発明の実施形態を示している。液滴マイクロアクチュエータコントローラ基板310は一般に、外部チップキャリア基板に装着される液滴マイクロアクチュエータを液滴マイクロアクチュエータコントローラ基板310に電子的に連結するためのチップソケット312またはコネクタ機構を含む。チップ拡張装置314が設けられてもよい。液滴マイクロアクチュエータコントローラ基板310はまた、プロセッサへの液滴マイクロアクチュエータの電子的連結を容易にするための通信構成要素316を含んでもよく、またはプロセッサから届く制御信号の調整または増幅のための回路を収容してもよい。液滴マイクロアクチュエータコントローラ基板310は、基板構成要素に電力を供給するための電力構成要素318を含んでもよい。電力構成要素は、たとえば、高電圧電源と、液滴マイクロアクチュエータ上の電極に電力を供給するための切り替え構成要素とを含んでもよい。高電圧電源の態様は、1つまたは複数のモードで操作する能力を含んでもよい。たとえば、高電圧電源は、たとえば、交流モード1(シングルエンド)および交流モード2(デュアルエンド、2相または真の交流)を含む交流モードで動作してもよい。さらに、高電圧電源からたとえば、コントローラ基板204のコントローラプロセッサ202にフィードバックを行い、たとえば、故障検出(たとえば、チップ上の電源短絡)に関して監視することができる。
【0049】
液滴マイクロアクチュエータコントローラ基板400の別の実施形態が図4に示されている。図4は、たとえば、マイクロコントローラ410が内部バスポート412を介してコントローラ基板204のコントローラプロセッサ202と連通することができるマイクロアクチュエータコントローラ基板400の機能ブロック図を示している。マイクロコントローラ410は、電極をアサートするため、および電圧を一定のレベルに設定するために、プログラム命令を実行することができる任意のプロセッサまたはコントローラであってもよい。マイクロコントローラ410は、たとえば、メモリを備えたDSP、マイクロコントローラまたはASICから構成されてもよい。適切なDSPプロセッサの例は、Analog Devices Blackfin DSPプロセッサである。
【0050】
マイクロコントローラ410は、1つまたは複数のシフトレジスタ414に電子的に連結される。一例において、マイクロコントローラ410は、図4に示されているように、直列接続であるシフトレジスタ414‐1、414‐2〜414‐nに電子的に連結される。シフトレジスタ414‐nなどの最後のシフトレジスタ414の出力は、マイクロコントローラ410にフィードバックされてもよい。各シフトレジスタ414の1つまたは複数の出力は、1つまたは複数の高電圧(HV)スイッチ416を活性化/非活性化するために用いられてもよく、その出力は、たとえば、外部チップキャリア基板への接続のためのコネクタ417に電子的に連結される。各HVスイッチ416は、1つまたは複数の電極を活性化/非活性化するために用いられうる。
【0051】
さらに、マイクロコントローラ410は、少なくとも1つのデジタル/アナログ変換器(DAC)418に電子的に連結される。DAC418は、標準的なデジタル/アナログ変換操作を行う。一例において、DAC418は、xビットのDACである。マイクロコントローラ410は、デジタル電圧値の形でDAC418にSPIメッセージを送信することによって、エレクトロウェッティング電圧を設定する。DAC418のアナログ出力は、DAC418から受信されたアナログ電圧の標準的な電圧増幅操作を行う増幅器420のアナログ入力に供給する。増幅器420のアナログ出力は、DC−DC変換器422の入力に供給する。DC−DC変換器422は、調整可能な電源デバイスであり、約0ボルト〜約300ボルトで調整可能なPico Electronics,Inc(Pelham,NY)製のSMVl2 300Vデバイスなどが挙げられるがこれに限定されない。
【0052】
DC−DC変換器422のアナログ出力は、1つまたは複数のスイッチサブシステム424の入力に供給する。一例において、DC−DC変換器422は、スイッチサブシステム424−1、424−2〜424−nに供給し、その出力はそれぞれの電極を駆動するために、液滴マイクロアクチュエータコントローラ基板400から出る。各スイッチサブシステム424は、交流モードに切り換えられてもよく、交流生成器は、たとえば、約100メガヘルツ(MHz)の方形波信号を生成する。
【0053】
さらに、各スイッチサブシステム424は、マイクロコントローラ410へのフィードバック線を有してもよい。マイクロコントローラ410へのフィードバックは、以下の理由のいずれかのために電源/切り換え列における任意の段階に配置されうるが、これに限定されない。第1の理由は、供給電圧を監視するためである。これは、サブシステム424の切り換え前または切り換え後、またはユーザがスイッチに生じた損失を監視したいかどうかに応じて行われうる。第2の理由は、スイッチ機能を監視するためである。スイッチの出力における電圧フィードバックは、切り換え作用が実際に生じているかどうかを表すことができ、診断/故障検出/経路再指定の目的に有用である。第3の理由は、センサとして機能するためである。静電容量検出の電流による具体化は、典型的には、液滴によって連結される容量結合エネルギー用のセンサとして液滴マイクロアクチュエータ上部プレートを制御する電極で、そのようなフィードバックに左右される。
【0054】
さらに、DC−DC変換器422は、電流制限を有してもよい。一例において、DC−DC変換器422は、約4ミリアンペア(ma)の最大電流ラッティングを有する。DC−DC変換器422からの電圧フィードバック線は、電圧分配器回路426およびアナログ/デジタル変換器(ADC)428を介してマイクロコントローラ410に提供される。電流が4maを超えるほど上昇している可能性がある故障状態の事象では、マイクロコントローラ410は、DC−DC変換器422出力電圧を制限または完全に停止し、液滴マイクロアクチュエータコントローラ基板400の電極に損傷を与える場合がある過電流状態を防止してもよい。さらに、故障状態に応じて、マイクロコントローラ410は、高インピーダンス状態にスイッチサブシステム424を設定し、HVスイッチ416を切り、コントローラ基板204のコントローラプロセッサ202にFLAG信号を設定してもよい。故障状態が解消されるまで、さらなる操作は一時停止されてもよい。
【0055】
図5Aおよび図5Bを参照すると、一部の実施形態において、分析器が、ハンドへルド式デバイス500などの携帯可能なデバイスとして提供されうる。図5Aは、ハンドへルド式デバイス500の外部を示し、図5Bは、液滴マイクロアクチュエータ(図示せず)の挿入用のチップキャリアまたはスロット502、液滴マイクロアクチュエータからの光信号を検出するための光電子増倍管などの光センサ504および蓋ラッチ506を示している。蓋ラッチ506は、蓋が開いているかまたは閉じているかを示すためにシステムに連結されてもよい。携帯可能な分析器はまた、卓上デバイスであってもよいことを想定している。本発明の液滴マイクロアクチュエータシステムの可搬性は、迅速な診断のために、診療所、手術室、救急処置室、小さな研究室および現場(緊急応答チーム、事故、災害、戦場、生物テロ現場など)における種々の設定において用いられる治療箇所または試料収集点を容易にし、危機的な状況において、迅速なターンアラウンド時間をもたらすことができる。本明細書において検討される携帯可能なシステムの詳細な態様は、8.2節などを参照して、以下で説明される。
【0056】
さらに、図6に示されているように、液滴マイクロアクチュエータは、カートリッジ610の構成要素として設けられてもよい。カートリッジ610は、検出器への信号の出力のための検出スポット614;試薬、磁気ビーズ、洗浄流体および/または対照などの検定入力用の貯槽616;充填剤流体用の貯槽;流体入力およびろ過構成要素618;などの構成要素に加えて、液滴マイクロアクチュエータ612を含んでもよい。一例において、ろ過構成要素は、貯槽と組み合わせたろ紙であってもよい。使用時には、たとえば、血液などの液体は、ろ紙に吸い取られてよく、次に、貯槽に滴下され、続いて、エレクトロウェッティングによってマイクロアクチュエータに引き込まれる。カートリッジ610は、液滴マイクロアクチュエータキャリア基板622と連通していてもよい。液滴マイクロアクチュエータは、カートリッジに直接的に取り付けられてよく、または任意選択的に、チップキャリアまでケーブルを引くことができる。本明細書において想定されるカートリッジは、8.3.3節を参照して以下でさらに説明される。
【0057】
8.1.1.3 検出器
本発明の種々の実施形態は、8.1.3節においてさらに記載するように、検出器を利用する。検出器は、反応生成物が位置しうるチップ上の位置における蛍光強度または発光強度などの液滴マイクロアクチュエータにおける目的の変数を測定するために、液滴マイクロアクチュエータに連結されるセンサまたは液滴マイクロアクチュエータに近接して位置決めされるセンサを含んでもよい。検出器はまた、チップ挿入センサ、蓋ラッチセンサ、周辺温度センサなどのシステムの状態を監視するセンサを含んでもよい。理想的には、各検出器からの出力は、特定のメモリ位置にマッピングされ、プロセッサは、センサからの読み出しを得るために、マッピングされた位置を照会するだけでよい。検出器は、8.1.3節「検出器」にさらに記載される図7に示されているように、検出器コントローラ基板710の構成要素として設けられてもよい。一般に、検出器コントローラ基板710は、主コントローラ基板と連通するための通信ポート712を含むことができる。検出回路714が含まれていてよく、たとえば、電圧、周波数、計数またはパルス持続時間などの結果を戻す任意の光センサであってもよい。検出器コントローラ基板710のマイクロコントローラは、結果を有し、この結果は次に、たとえば、コントローラ基板204のコントローラプロセッサ202に送信される。検出器は、液滴マイクロアクチュエータに対して取り付けられてよく、および/または液滴マイクロアクチュエータに電子的に連結されてもよく、その結果、検出器は、液滴マイクロアクチュエータから電気信号または光信号などの信号を検出することができる。磁石制御716は、より低い電力での作動のために任意選択的に含まれうる。検出器コントローラ基板710はまた、電源要素718を含んでもよい。
【0058】
図8は、たとえば、内部バスポート812を介してコントローラ基板204のコントローラプロセッサ202と連通することができる、たとえば、マイクロコントローラ810を含む検出器コントローラ基板800の機能ブロック図を示している。マイクロコントローラ810は、センサデータを処理するためのプログラム命令などのプログラム命令を実行することができる任意のプロセッサまたはコントローラであってもよい。マイクロコントローラ810は、たとえば、メモリを備えたDSP、マイクロコントローラまたはASICから構成されてもよい。適切なDSPプロセッサの例は、Analog Devices Blackfin DSPプロセッサである。
【0059】
マイクロコントローラ810は、電力調整デバイス814およびサンプリング回路816に電子的に連結されうる。典型的には、サンプリング回路816の出力は、センサ820に電気的に接続される信号調整デバイス818に電気的に接続される。さらに、マイクロコントローラ810は、典型的には、アクチュエータ824に電気的に接続されるアクチュエータドライバ822に電子的に連結される。
【0060】
電力調整デバイス814の出力は、アクチュエータドライバ822に電気的に接続されうる。あるいは、アクチュエータドライバ822は存在せず、電力調整デバイス814は、アクチュエータ824に直接的に接続されることができる。電力調整デバイス814の別の出力は、典型的には、サンプリング回路816に電気的に接続される。電力調整デバイス814の別の出力は、典型的には、信号調整デバイス818に電気的に接続され、電力調整デバイス814の別の出力は、センサ820に電気的に接続される。電力調整デバイス814は、サンプリング回路816、信号調整デバイス818、センサ820およびアクチュエータドライバ822に電力を供給するのに適切な方法で、バス電力を処理するために利用される。
【0061】
サンプリング回路816は、たとえば、アナログ/デジタル変換器および/またはタイマー/カウンタであってもよいが、これらに限定されない。信号調整デバイス818は、たとえば、PMT(たとえば、トランスインピーダンス増幅器)、APD(たとえば、バイアス増幅器)、シリコンフォトダイオード(たとえば、計装用増幅器)およびその任意の組み合わせと共に用いるための信号調整デバイスであってもよい。センサ820は、APD、ピンダイオード、シリコンフォトダイオード、PMT、電気化学セルおよび任意の組み合わせであってもよい。一例において、アクチュエータドライバ822およびアクチュエータ824の組み合わせは、サーボ、ソレノイド、ポンプ、蛍光用LEDおよびそれらの任意の組み合わせを表してもよいが、これらに限定されない。
【0062】
マイクロコントローラ810は、検出器コントローラ基板800の全体的な制御を行う。たとえば、マイクロコントローラ810は、制御基板204のコントローラプロセッサ202のコマンドを受信して処理し、検出器コントローラ基板800の構成要素にデータを戻し、制御信号を提供する。マイクロコントローラ810は、任意のセンサに関連するように任意のアクチュエータを管理するための知能を有し、任意のセンサから戻されたデータを処理する。
【0063】
8.1.1.4 入力デバイスおよび出力デバイス
本発明のシステムはまた、種々の入力デバイスおよび出力デバイスを含むことができる。プロトコル実行システムなどのある実施形態において、ある入力デバイスおよび出力デバイスは、人間‐機械インターフェイス(HMI)コントローラ基板を用いて制御されてもよい。たとえば、図9に示されているように、HMIコントローラ基板910は、ボタン、スイッチ、キーパッド、LEDインジケータ、タッチスクリーンまたはLCDディスプレイなどの入力デバイス914および/または出力デバイス916に電子的に連結されるMCUコントローラ912を含んでもよい。HMIコントローラ基板は、制御基板204のコントローラプロセッサ202などのメインプロセッサに通信ポート918を介して電子的に連結されうる。
【0064】
8.1.1.5 ソフトウェア
本発明のシステムのそれぞれは、ソフトウェアを含むことができ、これについては、8.1.2節でさらに説明される。格納媒体に提供されるソフトウェアは、本発明の一態様である。適切な格納媒体の例としては、磁気格納装置、光学格納装置、相変化メモリ、ホログラフィック格納装置、分子メモリ格納装置、バッテリまたはコンデンサに支援されたSRAMおよびフラッシュメモリ格納装置が挙げられる。ソフトウェアは、メモリおよび/またはプロセッサに読み込まれてもよい。本発明のソフトウェアが、メモリおよび/またはプロセッサおよび/または格納媒体に存在するシステムもまた、本発明の態様である。
【0065】
本発明のソフトウェアは、Visual C、Javaおよび/またはPythonなどの種々のプログラミング言語のいずれで書かれてもよい。システムは、プロセッサによる実行のために高級言語から中間言語に液滴処置および他の命令を翻訳するためのインタプリタを含んでもよい。あるいは、本発明によって書かれたソフトウェアは、コンパイラを用いて機械言語にコンパイルされてもよい。本発明の言語用のソフトウェアインタプリタおよびコンパイラ自体は、本発明の新規な態様である。したがって、インタプリタおよび/またはコンパイラを含むデータ格納装置、メモリおよびプロセッサのすべての形態が、本発明の態様である。
【0066】
システムは、任意の数の液滴処置を伴う種々のプロトコルを実行するようにプログラムされうる。複数の液滴は、1つの液滴マイクロアクチュエータにおいて独立かつ同時に処置されうる。複数の液滴を並列に独立して処置する機能は、一連の基本的なマイクロ流体の命令として複合プロトコルの実行を可能にする。システムは、拡張可能であり、液滴マイクロアクチュエータ当たり、数十、数百、数千またはそれ以上の並列な液滴処置を制御してもよい。たとえば、いずれの瞬間においても、液滴マイクロアクチュエータにおける最大数までのあらゆる制御電極が、液滴操作において連動されてもよい。
【0067】
システムは、ユーザがプロトコルの実行に関する命令を入力することを可能にするようにプログラムされうる。既存のプロトコルは、ユーザの要件に基づいて監視かつ調整されてもよい。1つまたは複数の工程の結果が1つまたは複数の次の工程の選択を決定する複合プロトコルを実装することができる。たとえば、ある測定された結果が陽性である液滴は、さらなる処理のために輸送されてもよく、結果が陰性である液滴は、廃棄されてもよい。またはその逆であってもよい。
【0068】
8.1.2 システム
液滴制御システムは、液滴マイクロアクチュエータにおける液滴操作の制御、存在する場合には検出器の制御および液滴制御システムに関連付けられる他のハードウェアの制御を行うために、液滴制御インターフェイスを表示するようにプログラムされる液滴制御ソフトウェアを含む。プログラミングシステムは、液滴操作および/または検出器操作などの液滴マイクロアクチュエータシステム機能を制御するための一連のソフトウェアまたはコンピュータが使用可能な命令の作成を容易にするソフトウェアを含む。
【0069】
プログラミングシステムは、液滴制御システムと統合されてもよく、液滴制御システムから分離されてもよい。統合型システムにおいて、液滴制御機能およびプログラミング機能は、図10に示されているように、共通のユーザインターフェイス1000によって容易にされてもよい。
【0070】
液滴制御システムおよびプログラミングシステムの両方が、ユーザインターフェイス1000を含む。両方のシステムにおいて、ユーザインターフェイスは、液滴マイクロアクチュエータのマップ1001、好ましくは相互作用マップを表示してもよい。マップは、液滴マイクロアクチュエータにおける液滴に処置を施すために、液滴マイクロアクチュエータと直接相互作用するように用いられてもよい。マップは、液滴マイクロアクチュエータ機能および関連ハードウェアを制御するためのサブルーチンを開発して記録するために、プログラミングモードにおいて仮想液滴に処置を施すための仮想モードにおいて用いられてもよい。これらおよび他の態様は、次の節でさらに説明する。
【0071】
8.1.2.1 液滴制御システムおよびユーザインターフェイス
液滴制御システムは、液滴制御ソフトウェアを含む。液滴制御ソフトウェアは、液滴マイクロアクチュエータにおける液滴操作の制御、存在する場合には検出器の制御、および液滴制御システムに関連付けられる他のハードウェアの制御を行うために、液滴制御インターフェイスを表示するようにプログラムされる。液滴制御ソフトウェアは、ユーザがソフトウェアによって駆動されたユーザインターフェイスを介して、液滴マイクロアクチュエータにおいて液滴に処置を施すことを可能にする。そのようなインターフェイスの例は、図10に示されている。中でも、ユーザインターフェイスは、ユーザが液滴マイクロアクチュエータに関する情報を見ることを可能にしてもよい。ユーザインターフェイスはまた、ユーザによる入力を容易にして、液滴マイクロアクチュエータおよび関連付けられた検出器などの関連付けられたデバイスの機能を制御してもよい。
【0072】
液滴マイクロアクチュエータにおける液滴操作の制御に対して、ソフトウェアは、プログラムされ、システムは、中でも液滴マイクロアクチュエータにおける制御電極および参照電極を駆動して、液滴操作を行うように構成される。液滴操作は、以下の8.3.8節でさらに説明され、電圧、好ましくは高電圧を選択した電極に印加することによって行われる。ソフトウェアおよびシステムは、電極に関連付けられる継電器の操作を制御することによって、選択した電極の作動を制御するようにプロセッサにソフトウェアを読み込むことを可能にするように構成されてもよい。
【0073】
図10に示されているように、ユーザインターフェイス1000は、出力デバイスに表示されてよく、液滴マイクロアクチュエータ設計のグラフィカル表示またはマップ1001を表示するようにプログラムされてもよい。マップ1001は、制御電極および/または貯槽のそれぞれの位置を画定するマトリックスまたは他の構造に基づいてもよい。マップの構成要素は、外観、たとえば、形状、色、明るさ、シンボル、アイコンなどによって区別されてもよい。たとえば、図10に表示されるマップにおいて、非活性化された液滴処置電極1002は、第1の色(灰色など)で示され、活性化された液滴処置電極および貯槽1003は、第2の色(赤色など)で示され、非活性化された貯槽1004は、第3の色(青色など)で示される。
【0074】
一実施形態において、マトリックスは、各電極および/または貯槽に関して列および行を特定する制御ファイルにおいて定義される。制御ファイルが読み込まれると、システムは、マトリックス定義において読み出し、ユーザインターフェイスにおけるマトリックスの対応するマップを表示する。
【0075】
インターフェイスは、マップの構成要素に関する情報を表示してもよく、マップはまた、制御ファイルに格納されてもよい。一実施形態において、ユーザがマウスポインタを重ねるか、選択するかまたは他の電子的な特定を行うと、システムは、構成要素に関する情報を表示する。表示される情報としては、たとえば、以下の情報の一部またはすべてを含みうる:
・たとえば、液滴処置電極、試薬貯槽、試料貯槽などの構成要素タイプ;
・たとえば、電極の列挙、接地、ピン配列数などの電気接続性情報;
・たとえば、多角形の電極配置における隣接関係;
・ユーザインターフェイスにおいてマップをレンダリングするための代表的な幾何学的形状;
・設計の注記および/または他の注釈;
・部品番号;
・列および/または行の位置。
【0076】
システムはまた、各電極の活性化の履歴を記録してもよく、その結果、ユーザは、電極が活性化された回数を追跡してもよい。履歴情報は、たとえば、電極の上にマウスポインタを重ねるか、または電極を選択することによって表示されてもよい。システムは、すべての電極に関して同時に表示されうるユーザ命令履歴情報から入力を受け入れるようにプログラムされてもよい。
【0077】
ユーザとの相互作用を容易にするために、マウスポインタを重ねた電極または選択された電極1002または他の構成要素もまた、液滴マイクロアクチュエータマップ上で電極または他の構成要素を強調させてもよい。この機能は、液滴マイクロアクチュエータ構成要素を実際に選択して活性化する前に、液滴マイクロアクチュエータ操作を直接的に制御しているユーザが、液滴マイクロアクチュエータ構成要素上にマウスポインタを重ねることによって各電位工程に関する情報を検索することを可能にする。システムはまた、ユーザが2つの間を区別することができるように、マウスポインタを重ねた電極および選択された電極を異なる方法で強調するようにプログラムされてもよい。
【0078】
プログラミングシステムは、ユーザが表示のために液滴マイクロアクチュエータ設計またはマップを選択することを可能にする選択手段1012を含んでもよい。あるいは、液滴マイクロアクチュエータ設計またはマップを特定するデータは、システムに液滴マイクロアクチュエータアセンブリまたはカートリッジを連結する際に、システムによってアクセス可能な液滴マイクロアクチュエータアセンブリまたはカートリッジの構成要素として含まれてもよい。
【0079】
一部の設計において、2つ以上の電極が、同一の電気出力に連結されてもよいことを留意すべきである。そのような設計を用いて、液滴マイクロアクチュエータの操作のために必要な電気接続を簡略化することができる。そのような設計において、共通セットから1つの電極を選択するか、または1つの電極の上にマウスポインタを重ねることによって、セットにおけるすべての電極の選択、強調および活性化という結果を生じてもよい。
【0080】
したがって、一実施形態において、システムは、ユーザがマイクロアクチュエータマップ1001において非活性化された電極1002を選択する場合に、システムが、電極を活性化するようにプログラムされる。たとえば、システムは、マップにおける電極の表示をクリックすることによって、液滴マイクロアクチュエータにおける対応する実際の電極に電圧を印加させ、それにより、選択された電極を活性化するようにプログラムされて構成されてもよい。このように、ユーザは、インターフェイスを用いて、液滴マイクロアクチュエータにおいて液滴に直接処置を施すことができる。
【0081】
液滴制御システムは、ユーザが、一連の隣接する電極を順次クリックすることによって、液滴を輸送することを可能にしてもよい。同様に、システムは、液滴マイクロアクチュエータマップにおいて、仮想オンスクリーン液滴を選択して、所望の位置の仮想電極に液滴をドラッグすることによって、ユーザが液滴を輸送することを可能にしてもよい。さらに、システムは、液滴マイクロアクチュエータマップにおいて、仮想オンスクリーン液滴を選択して、次に所望の位置の仮想電極をクリックすることによって、ユーザが液滴を輸送することを可能にしてもよい。仮想オンスクリーン液滴を伴う両方の例において、システムは、開始位置から目標位置まで液滴を輸送するための経路および一連の液滴操作を選択するようにプログラムされてもよい。たとえば、一部の実施形態において、選択された経路は、最短の可能な経路であってもよい。他の液滴マイクロアクチュエータ構成要素も同様に、ユーザインターフェイスによって制御されてもよいことは理解されよう。
【0082】
システムは、液滴マイクロアクチュエータ構成要素に電子的に連結される電気制御線1005の表示を表示するようにプログラムされてもよく、その結果、ユーザが、構成要素の上にマウスポインタを重ねるか、および/または構成要素を選択すると、システムは、当該構成要素および/または同一の制御線によって供給される他の構成要素を供給している電気制御線を強調する。
【0083】
液滴マイクロアクチュエータは、たとえば、顕微鏡および映像捕捉デバイスを用いて、視覚的に監視されてもよい。ユーザインターフェイスは、映像捕捉デバイスから液滴マイクロアクチュエータの実時間画像を表示するようにプログラムされてもよい。さらに、液滴マイクロアクチュエータマップは、実時間液滴マイクロアクチュエータ画像上に重ねられてもよく、その結果、ユーザがユーザインターフェイスを介して液滴マイクロアクチュエータと相互作用するときに、液滴マイクロアクチュエータにおける液滴操作を可視化することができる。
【0084】
同様に、システムは、システムによって制御されている液滴マイクロアクチュエータにおける液滴の実際の挙動を表示する液滴マイクロアクチュエータマップにおいて仮想の液滴を表示するようにプログラムされてもよく、および/またはシステムは、液滴マイクロアクチュエータがシステムによって直接制御されないとしても、液滴マイクロアクチュエータにおける予測された挙動を表示する液滴マイクロアクチュエータマップにおいて仮想の液滴を表示するようにプログラムされてもよい。
【0085】
システムはまた、「反転出力」1006操作を行うようにプログラムされてもよい。典型的な操作において、液滴は接地電圧/接地線に常に接続される。「反転出力」操作において、液滴が高電圧にあり、電極が接地電位に設定することによって活性化されるように信号が反転される。言い換えれば、「反転出力」操作は、信号の極性を切り替える。
【0086】
8.1.2.2 プログラミングシステムおよびユーザインターフェイス
プログラミングシステムは、液滴マイクロアクチュエータにおける液滴操作の制御および液滴マイクロアクチュエータおよび関連ハードウェアの他の機能の制御のための一連のソフトウェアまたはコンピュータが使用可能な命令の作成を容易にするようにプログラムされるプログラミングソフトウェアを含んでもよい。ソフトウェア命令は、たとえば、試料の処理および分析および分析の結果の出力を行うプロトコルを実行するための命令を含んでもよい。
【0087】
プログラミングシステムは、液滴制御システムと統合されてもよく、液滴制御システムから分離されてもよい。図10は、液滴制御機能およびプログラミング機能が共通のユーザインターフェイスによって容易にされる統合型システムを示す。
【0088】
プログラミングシステムは、実際の液滴マイクロアクチュエータチップと相互作用することなく、検出器構成要素などの液滴マイクロアクチュエータ機能および関連構成要素を制御するためのプログラムを書くことを容易にするために、プログラミングモードを提供してもよい。図10において具体化されたユーザインターフェイスにおいて、プログラミングモードは、プルダウンメニュー1007によって選択可能である。
【0089】
プログラミングシステムは、たとえば、ユーザが液滴マイクロアクチュエータによる実行のための一連の命令に関してプログラムの作成を可能にするための手段を含んでもよい。適切な命令の例としては、以下のものが挙げられる:
・活性化される電極を特定するための「オン」;
・工程が実行される速度、たとえば、電極の活性化/非活性化のタイミングを設定するための「頻度」;
・所定の期間、命令を中止することを可能にするための「待機」;
・プログラムにおいて工程をループするための「ループ」;
・出力に印加される電圧を設定するための「電圧」。
【0090】
命令は、液滴処置を施し、システムの他の態様を制御するために必要な命令を含むバイトコード言語として提供されうる。システムによって準備された命令は、アセンブリ言語に記録され、バイトコードに組み込まれうる。バイトコードは、本発明のシステム、たとえば、実行用のプロトコル実行システムに読み込まれうる。システムは、たとえば、プログラム実行システムにおいて、実行のためのプログラミング言語を解釈するためのソフトウェアインタプリタを含んでもよい。
【0091】
好ましい実施形態において、システムは、サブルーチンから命令を追加、挿入、更新、改変または消去することができる一連のボタンまたはアイコン1008を表示する。ボタンまたはアイコンは、適切であれば、命令に関連付けられるパラメータのエントリのためのフィールド1009が付随してもよい。たとえば、「追加」ボタンをクリックすることによって、サブルーチンの終わりにコマンドを追加することができる。「挿入」ボタンをクリックすることによって、サブルーチン内にコマンドを挿入することができる。「改変」ボタンをクリックすることによって、サブルーチンに存在するコマンドを修正することができる。「消去」ボタンをクリックすることによって、コマンドを消去することができる。さらに、ディスプレイフィールド1010は、編集可能であってもよく、表示コード用、入力コード用および/または編集コード用に含まれてもよい。
【0092】
プログラミングシステムはまた、本明細書に記載される態様の1つまたは複数を有する液滴マイクロアクチュエータマップを含んでもよい(たとえば、8.1.2.1節「液滴制御システムおよびユーザインターフェイス」の説明を参照のこと)。
【0093】
プログラミングシステムは、液滴マイクロアクチュエータマップにおけるサブルーチンのシミュレートされた実行を表示してもよく、選択されたコマンドシリーズの効果の視覚表示をユーザに出力する。言い換えれば、シミュレートされた実行モードにおいて、ソフトウェアは、サブルーチンの工程を実行するが、電気信号を液滴マイクロアクチュエータに送信しない。好ましいシミュレーションモードにおいて、シミュレートされた液滴1011がスクリーン上に表示され、プログラムの実際の効果をユーザに示す。このように、ユーザは、液滴マイクロアクチュエータとの相互作用を必要とすることなく、サブルーチンのトラブルを容易に解決することができる。
【0094】
システムは、ユーザによって停止されるまでサブルーチンを連続的に反復する「反復」モードを含んでもよい。さらに、システムは、ユーザがサブルーチンの実行の終了/開始を可能にする「一時休止」コマンドを含んでもよい。
【0095】
一実施形態において、液滴制御機能およびプログラミング機能は、1つまたは複数のユーザインターフェイスの共通のセットによって結合されて制御される。この実施形態は、ユーザ液滴マイクロアクチュエータにおける工程を手動で制御し、実行された工程が、液滴マイクロアクチュエータにおける同一の工程を実行するサブルーチンに変換されるように構成されてもよい。言い換えれば、システムは、サブルーチンとして手動液滴処置を記録してもよい。サブルーチンは後で、たとえば、プロトコル実行システムにアップロードされて実行されてもよい。たとえば、サブルーチンは、携帯可能なプロトコル実行システムまたはハンドへルド式プロトコル実行システムに読み込まれてもよく、その結果、ハンドへルド式システムは、一例の所定の工程、たとえば、試料の処理および分析を必要とする工程を実行することができる。
【0096】
一実施形態において、本発明は、クリックおよびドラッグの液滴処置機能を有する統合ツールと、格納および実行されうるサブルーチンの生成のためのアセンブラとを提供する。
【0097】
8.1.2.3 プロトコル実行システムおよびユーザインターフェイス
本発明はまた、プロトコル実行システムを提供することができる。プロトコル実行システムは、液滴マイクロアクチュエータにおける液滴操作ならびに/または液滴マイクロアクチュエータおよび関連ハードウェアの他の機能の制御のための一連のソフトウェア命令の実行を容易にするようにプログラムされるプロトコル実行システムを含む。プロトコル実行システムは、たとえば、上記で説明したような図5Aおよび図5Bに示されているように、自立システム、典型的には、携帯可能なシステムまたはハンドへルド式システムでプロトコルを実行するための能力を提供する。図11は、液滴マイクロアクチュエータカートリッジ1112が分析のためにスロット1114に挿入されうるさらに概念的なハンドへルド式システム1110を示している。プロトコル実行システムにおける実行のためのプロトコルを定義するサブルーチンは、プログラミングシステムの使用に関係なく、上述したプログラミング言語を用いて準備されてもよい。
【0098】
プロトコル実行システムは、液滴マイクロアクチュエータを制御するように構成され、検出器、加熱器、蓋スイッチなどの関連付けられた構成要素を制御してもよい。予めプログラムされた命令は、システムを制御し、関連付けられた構成要素も制御しうるコントローラに読み込まれてもよい。
【0099】
プロトコル実行システムは、ユーザがプロセッサに入力を提供し、プロセッサから出力を得ることを可能にするための種々の構成要素を含んでもよい。人間‐機械インターフェイスは、図9に示されているように、HMI基板を用いて容易にされてもよい。HMI基板は、典型的には、コントローラモジュールと、プロセッサと入力デバイスおよび出力デバイスとを電子的に連結するためのバスおよびポートなどの種々の電子構成要素とを含む。
【0100】
8.1.3 検出器
システムは、液滴または液滴特性を分析するために、1つまたは複数のオンチップ検出器および/またはオフチップ検出器もしくは機構を含んでもよい。たとえば、液滴マイクロアクチュエータは、電流測定法、電位差測定法、導電率測定、吸光度、化学発光、蛍光および/または温度などの1つまたは複数の検出方法を含んでもよい。
【0101】
液滴処置モジュールおよび検出モジュールは、一部の実施形態において、個別の基材に構築することによって分断されてもよい。あるいは、液滴マイクロアクチュエータは、検出構成要素を組み込んでもよい。図12は、液滴マイクロアクチュエータと統合される検出構成要素、生体液分析器1200を示す実施形態を示す。この実施形態において、種々の構成要素またはモジュールは、たとえば、代謝産物(たとえば、グルコース、乳酸塩、血中窒素およびクレアチニン)、電解質(たとえば、K、Cl、Na)、タンパク質および酵素の検出などの生体液分析を行うために提供されてもよい。これらの種々のモジュールは、電流測定モジュール1202、電位差測定モジュール1204、光モジュール1206および導電性測定モジュール1208を含んでもよい。いずれの場合も(個別の基材または統合型)、液滴検出デバイスは好ましくは、少なくとも部分的にコントローラに電子的に連結されてコントローラによって制御される。
【0102】
したがって、検出機能は、上記で説明した図7および図8に示されているように、検出器コントローラ基板の構成要素として設けられてもよい。検出器コントローラ基板は、1つまたは複数の検出器を含むことができる。基板は、液滴から受信される信号を増幅するために、光電子増倍管などの種々の信号増幅器を含んでもよい。検出器コントローラ基板は、システムの構成要素を移動するためのモータの制御などの検出プロトコルの他のオフチップ構成要素のためのコントローラを含んでもよい。たとえば、一実施形態において、検出器コントローラ基板は、液滴マイクロアクチュエータに近接する位置の内外に磁界源を移動し、それにより、液滴マイクロアクチュエータに磁界を印加したり液滴マイクロアクチュエータから磁界を除去したりするサーボモータを制御するためのサーボモータコントローラを含む。検出器コントローラ基板はまた、無制限に、プロセッサに基板の検出器構成要素または制御構成要素を電子的に連結するために必要な要素をはじめとする電源要素および通信要素も含んでもよい。
【0103】
したがって、たとえば、本発明のシステムは、以下のもの、すなわち、オンチップまたはオフチップ:液滴を流れる電流を測定するように配置される電流測定モジュール;液滴の平衡電極電位を測定するように配置された測定電極および参照電極を含む電位差測定モジュール;液滴の導電率を測定するように配置された導電率測定モジュール;液滴のエネルギーまたは吸光を測定するように配置される吸光モジュール;蛍光などの液滴における化学種によって発光を測定するように設計された化学発光モジュール;の1つまたは複数を含んでもよい。オフチップ検出モジュールは、たとえば、チップを含むカートリッジまたはカートリッジまたはチップが連結されうる分析器に設けられてもよい。
【0104】
好ましい検出方法は、吸光、電気化学、蛍光および化学発光による。一実施形態において、これらの方法のうちの2つ以上の方法は、1つのシステムによって達成される。他の実施形態において、システムは、1つの検出モジュールを含むが、システムは、モジュールを用いた2つ以上の検査を行うようにプログラムされる。この実施形態において、検査を必要とする処理済の試料液滴は、検査用の位置に順次移動される。したがって、複数の試料が、1つの検出器が用いられる場合、複数の試料が検出スポットにおいて多重化される。あるいは、システムは、それぞれが液滴を検出モジュールの1つの位置に順次移動することを可能にする複数の異なる検出モジュールを含んでもよい。
【0105】
センサ構造の具体例は、図13A〜図13Dに提供され、センサが、下部プレート1302、上部プレート1304および電極1306に関連付けて提供されてもよい。図13Aは、吸光度を監視するために、LED1308およびフォトダイオード1310を含む構成の使用を含んでもよい光センサを示す。図13Bは、光電子増倍管(PMT)1312の使用を含んでもよい発光センサを示す。図13Cは、電流が流れていない状態で電位の測定に基づいて通常機能する電位差測定センサ1314を示す。図13Dは、電位が2つの電極の間に印加される場合に、電流の生成によって通常機能する電位差測定センサ1316を示す。
【0106】
他の適切な検出器およびセンサ構造は、2006年12月11日出願の「Droplet−Based Biochemistry」というタイトルの国際特許出願第PCT/US06/47486号に記載され、その開示内容全体は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0107】
8.1.4 他の方法
本発明のこの態様はまた、検討事項の代わりに、卓上システムの構成要素が顧客に提案または提供される方法を含む。一実施形態において、顧客に提案または提供される構成要素は、PCを含まない。本発明のソフトウェアは、ユーザに格納媒体で提供されてもよく、またはインターネットなどのネットワークを介したダウンロードで利用可能であってもよい。ユーザは、システムの他の構成要素を得、その構成要素をPCに連結させ、PC上にソフトウェアを読み込み、それによって本発明のシステムを組み立ててもよい。システムはまた、システム上にダウンロードされて実行されうるプロトコルのオンラインソースへのアクセスを備えてもよい。利用可能なプロトコルの本体は、定期的に更新または補足されてもよい。広告は、オンラインプロトコルに関連付けられてもよい。オンラインプロトコルは、スコアリングシステムに関連付けられてもよく、ユーザが種々のプロトコルおよび/またはポストユーザのコメントの有効性をスコアにすることを可能にし、その結果、他のユーザは、適切なプロトコルの選択を支援するために、スコアおよび/またはコメントを用いてもよい。
【0108】
本発明は、卓上システムが、プロトコルを実行するためのコードを生成するように用いられる方法を含む。コードは、検討事項の代わりに顧客に提案または提供される携帯可能なシステムまたはハンドへルド式システムなどの個別のシステムにアップロードされうる。ユーザは、プロトコルを実行するためのシステムを用いてもよい。
【0109】
本発明はまた、プログラミングおよび/またはシステム制御が、電話システムまたはインターネットなどのネットワークを介して遠隔的に達成される方法を含む。したがって、たとえば、システムは、ユーザに販売されてもよく、プログラマは、インターネットを介して表示されるユーザインターフェイスを介してシステムに接続して、システムを制御し、システムを用いてプログラムを作成し、システムにプログラムを読み込み、および/またはシステムでプログラムを修正してもよい。別の例として、本発明は、リモートユーザがネットワークを介して液滴マイクロアクチュエータにアクセスし、システムにおいて1つまたは複数の液滴処置を行う処理を含む。
【0110】
8.1.5 システム概要
当業者には明白であるように、本発明は、方法、システムまたはコンピュータプログラム製品として具体化されてもよい。したがって、本発明の種々の態様は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)または本明細書ではすべて「回路」「モジュール」または「システム」と呼ばれうるソフトウェアの態様およびハードウェアの態様を組み合わせている実施形態の形をとってもよい。さらに、本発明は、媒体において具体化されたコンピュータによって使用可能なプログラムコードを有するコンピュータによって使用可能な格納媒体上のコンピュータプログラム製品の形態をとってもよい。
【0111】
本発明のソフトウェア態様のために、任意の適切なコンピュータが使用可能な媒体を利用してもよい。コンピュータが使用可能な媒体またはコンピュータ可読媒体としては、電気、磁気、光、電磁気、赤外線または半導体システム、装置、デバイスまたは伝搬媒体が挙げられうるが、これらに限定されない。コンピュータ可読媒体のさらに特定の例(非包括的なリスト)としては、以下、すなわち、1つまたは複数のワイヤを有する電気接続、携帯可能なコンピュータディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能プログラム可能な読出し専用メモリ(EPROMまたはフラッシュメモリ)、光ファイバ、携帯可能なコンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD−ROM)、光格納デバイス、インターネットまたはイントラネットなどを支援する媒体などの伝送媒体、または磁気格納デバイスの一部またはすべてが挙げられる。プログラムは、たとえば、紙または他の媒体の光学走査を介して電子的に捕捉されてよく、次に、コンパイル、解釈または必要であれば、適切な態様で他の方法で処理され、続いてコンピュータメモリに格納されうるため、コンピュータが使用可能な媒体またはコンピュータ可読媒体は、プログラムが印刷される紙または別の適切な媒体であってもよいことを留意されたい。本文書に照らして、コンピュータが使用可能な媒体またはコンピュータ可読媒体は、命令実行システム、装置またはデバイスによって、または命令実行システム、装置またはデバイスと接続して用いるためのプログラムを収容、格納、通信、伝搬または輸送することができる任意の媒体であってもよい。
【0112】
本発明の操作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、Java、Smalltalk、C++などのオブジェクト指向プログラミング言語で書かれてもよい。しかし、本発明の操作を実行するためのコンピュータプログラムコードはまた、「C」プログラミング言語または類似のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語で書かれてもよい。プログラムコードは、ユーザのコンピュータ上で完全に実行されてもよく、ユーザのコンピュータ上で部分的に実行されてもよく、自立型ソフトウェアパッケージとして、部分的にユーザのコンピュータ上で、部分的にリモートコンピュータ上で実行されてもよく、またはリモートコンピュータまたはサーバ上で完全に実行されてもよい。最後のシナリオにおいて、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)またはワイドエリアネットワーク(WAN)を通じてユーザのコンピュータに接続されてもよく、または接続は、外部コンピュータ(たとえば、インターネットサービスプロバイダを用いてインターネットを通じて)で行われてもよい。
【0113】
本発明は、本発明の実施形態による方法、装置(システム)およびコンピュータプログラム製品のフローチャート図および/またはブロック図を参照して記載される。フローチャート図および/またはブロック図の各ブロック、ならびにフローチャート図および/またはブロック図におけるブロックの組み合わせは、コンピュータプログラム命令によって実装されうることが理解されよう。これらのコンピュータプログラム命令は、機械を製作するために、汎用コンピュータ、専用のコンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに提供されてもよく、その結果、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサを介して実行する命令は、フローチャートおよび/またはブロック図の1つまたは複数のブロックに指定された機能/作用を実装するための手段を作成する。
【0114】
これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置を指向して、特定の態様で機能するようにすることができるコンピュータ可読メモリに格納されてもよく、その結果、コンピュータ可読メモリに格納された命令は、フローチャートおよび/またはブロック図の1つまたは複数のブロックに指定された機能/作用を実装するための命令手段を含む製作物品を製作する。
【0115】
コンピュータプログラム命令はまた、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置に読み込まれて、コンピュータに実装される処理を行うために、コンピュータまたは他のプログラム可能な装置で一連の操作工程を行わせてもよく、その結果、コンピュータまたは他のプログラム可能な装置で実行する命令は、フローチャートおよび/またはブロック図の1つまたは複数のブロックに指定された機能/作用を実装するための工程を提供する。
【0116】
8.2 携帯可能な分析器
本発明はまた、携帯可能な試料分析器システムおよび関連デバイスおよび方法を提供する。上記に記載したように、図5A、図5Bおよび図11は、本発明のこの態様の2つの実施形態を示している。一般に、携帯可能なシステムは、分析器構成要素と、分析器構成要素に電子的に連結され、典型的には物理的にも連結されるように構成されるカートリッジ構成要素とを含む。図11において、概略図は、分析器への挿入がカートリッジに分析器を物理的かつ電子的に連結するように構成される分析器およびカートリッジを表現している。典型的な実施形態において、分析器構成要素は、システムの種々の構成要素の操作を指向するためのコントローラまたはプロセッサ、分析器をカートリッジに連結するための手段および種々の入力構成要素または出力構成要素のいずれかを含む。カートリッジは一般に、液滴マイクロアクチュエータと、液滴マイクロアクチュエータを分析器に連結するための手段とを含む。カートリッジの液滴マイクロアクチュエータ構成要素は一般に、液滴輸送経路またはネットワーク、試薬および/または試料投入手段、試薬および/または試料格納貯槽および他の液滴処理構成要素、たとえば分配構成要素、液滴加熱/冷却構成要素および/または液滴を磁界に曝すための構成要素を含む。分析器および/またはカートリッジはまた、液滴マイクロアクチュエータにおける出力または液滴マイクロアクチュエータからの出力を検出するための種々の検出器サブシステムを含んでもよい。試料調製構成要素および試料投入構成要素はまた、分析器および/またはカートリッジの態様として含まれてもよい。中でも、システムは、システムの構成要素を制御して、種々の検定を行い、その結果を測定し、関連情報を通信するようにプログラムされる。
【0117】
上記で説明したように、携帯可能な分析器システムは、典型的には、分析器構成要素と、分析器構成要素に電子的に連結され、典型的には物理的にも連結されるように構成されるカートリッジ構成要素とを含む。分析器構成要素は、典型的には、システムの種々の態様を制御するようにプログラムされうるコントローラを含む(それを通じて、一部の実施形態において、システムを制御するプロセッサは、システムに電子的に連結されるコンピュータ上などの他の場所に位置決めされうる)。カートリッジは、カートリッジの種々の態様をコントローラと電子的に連結するための手段を含む。特に、カートリッジが分析器に連結される場合には、カートリッジの液滴マイクロアクチュエータ構成要素が、コントローラに連結され、コントローラによって制御されうる。
【0118】
キーボード、スイッチおよびタッチスクリーンなどの種々の入力手段およびディスプレイスクリーン、出力ポートおよびワイヤレス伝送デバイスなどの種々の出力手段もまた、コントローラと電子的連通状態に含まれてもよい。8.1.1.5節を参照して上述したように、システムは、任意の数の液滴処置を伴う種々のプロトコルを実行するようにプログラムされうる。
【0119】
コントローラは一般に、マイクロコントローラ、種々の他の電子構成要素および関連ソフトウェアを含む。コントローラは、入力デバイスからの命令の受信またはそれ自体の検査プロトコルおよび他のプログラムの格納を行うように設定されてもよい。コントローラは、カートリッジからプログラムまたは実時間フィードバックを受信するように設定され、検査プロトコルの一部として、液滴の分配または輸送などカートリッジにおける操作を制御してもよい。コントローラはまた、検出器の活性化または非活性化などの分析器の他の要素に命令を提供してもよい。
【0120】
コントローラは通常、検査からの結果の導出および解釈に関連する計算を行うためのマイクロプロセッサを含む。そのような計算は、格納された数学的関係または数値定数を伴ってもよく、ユーザインターフェイスからの入力を含んでもよい。液滴は、コントローラによって制御される電極の活性化によって所定の場所に保持されるか、または移動される。関連実施形態において、コントローラは、電子的に連結され、分析器の種々の要素を制御する個別のコンピュータ命令から受信する。
【0121】
システムは、ユーザがプロトコルの実行に関する命令を入力することを可能にするようにプログラムされうる。既存のプロトコルは、ユーザの要件に基づいて監視かつ調整されてもよい。1つまたは複数の工程の結果が、1つまたは複数の次の工程の選択を決定する複合プロトコルを実装することができる。たとえば、ある測定された結果が陽性である液滴は、さらなる処理のために輸送されてもよく、結果が陰性である液滴は、廃棄されてもよい。またはその逆であってもよい。
【0122】
本発明のシステムにおける操作の柔軟性は、たとえば、ロボットの大規模な組み立て、巨大私設、および液滴マイクロアクチュエータによって可能になる大規模な並列操作のいずれかを達成するための試薬の量の数千倍を必要とするロボットシステムの柔軟性よりはるかに大きい。にもかかわらず、一部の実施形態において、ロボットが液滴マイクロアクチュエータまたはカートリッジの配置、試薬の投入、オンチップ現象の外部測定のための検出器の配置などには有用である場合がある。
【0123】
一実施形態において、携帯可能なシステムは一般に、分析器構成要素およびカートリッジ構成要素を含む。一般に、試料、たとえば、液体試料は、試料抽出または収集の間または後の調製を受けてもよい。この試料は次に、試料インターフェイスでカートリッジ上の試料投入サブシステムに投入される。システムは、たとえば、複数の検査の調製および実行のために、複数の試料液滴に試料を再分割してもよい。各試料液滴はさらに、再分割されてもよく、および/またはカートリッジ上で種々のタイプの試料調製を受けてもよい。
【0124】
一般に、各副試料液滴は、検査プロトコルによれば、種々の処理工程に付されてもよく、および/または1つまたは複数の試薬と合わされてもよい。検査プロトコルは、中間結果が利用可能となるように、検査中に改変されてもよい。
【0125】
各副試料の検査の出力は、光信号または電気信号である。この信号は、電子インターフェイスまたは光学インターフェイスにわたって、分析器における電子検出器および/または光検出器に伝送される。試料投入、試薬分配、試料調製および検査実行は、電子インターフェイスにわたって分析器におけるコントローラによって能動的に制御される。カートリッジの状態またはカートリッジで生じる一部のタスクの状態に関して、カートリッジからコントローラにフィードバックされてもよい。
【0126】
本発明の携帯可能なシステムの一実施形態の工程ごとの機能が、図14に示されている。工程は示された順序で行われる必要がないことは十分に認識されよう。工程1410および工程1412において、試料は、被験者から抽出され、試料が収集される。工程1414において、システムは、液滴操作を用いて特定の検査プロトコルを行うように、ユーザによって命令される。たとえば、ユーザは、分析器の検査メニューから行われるように検査を選択してもよく、またはカートリッジがある予備投入プロトコルを実行するように、分析器に信号を送る分析器への入力を提供してもよい。試料は、工程1416において、カートリッジに投入される。カートリッジは、処理のために、液滴マイクロアクチュエータの表面の上に流体をさらに投入するための手段を提供する。大量の流体が、オンチップで個別の液滴に変換され、工程1418および工程1420において液滴操作を用いて試料調製に輸送される。試料調製は、工程1422において行われ、液滴は、工程1424において輸送される。格納された試薬は、大量の流体が個別の液滴に変換されるのと同一の様式で検査に分配され、次に、適切な量の液滴が液滴操作を用いて検査に輸送される。試薬格納、液滴への変換および輸送は、工程1426、工程1428および工程1430において行われる。工程1424および工程1430において液滴操作を用いて輸送される試料液滴および試薬液滴は、工程1432において混合される。液滴操作は、工程ごとに、分析器でコントローラによって管理される。工程1434において、結合された試料および試薬は、混合されるか、またはその一部は次に、電気化学検出器などの電子センサと接触するように輸送されるか、または光信号を観察することができるように、カートリッジにおける「窓」を通じてカートリッジに統合されるか、または分析器に位置している光検出器に提示される。
【0127】
好ましい実施形態において、試料および試薬がカートリッジに閉じ込められるため、分析器は、「乾燥した」ままである。別の実施形態において、システムは、複数のカートリッジを用いて検査を行ってもよい。たとえば、多くの検査を行うのに十分な試薬を収容する試薬カートリッジは、分析器内の使い捨ての検査カートリッジと連通してもよい。この場合には、分析器は、複数のカートリッジの配管を容易にするために「濡れて」いる必要がある可能性がある。検出工程1436の終了時に、液滴は、廃棄物貯槽に輸送されることができ、検出結果は、工程1438において分析されうる。検出器とコントローラとの間にいくつかのフィードバックがあってもよく、その結果、一旦、適切な結果が捕捉されると、検査を終了することができる。工程1440において、ユーザは、ディスプレイ上でまたは何か別の通信手段を通じて検査の結果を通知され、被験者に知らされる。
【0128】
8.2.1 分析器
上記で説明したように、分析器は一般に、1)ユーザインターフェイスにおけるユーザ入力のための手段、2)液滴の電気的マイクロ作動、ならびに、試料の投入、試料の調製、試薬の分配および検査の実行を必要とする他の作用のためのハードウェアコントローラおよびソフトウェアコントローラ、3)結果の検出のための1つまたは複数の手段、4)任意の必要な計算を行う手段、ならびに、5)ユーザインターフェイスを通じて結果の通知および表示を行うための手段を含む。
【0129】
ユーザ入力手段は、たとえば、ボタン、ディスプレイスクリーンタッチスクリーンおよび分析器をコンピュータ制御に連結するポートを含んでもよい。本発明の1つのカートリッジは、多くのお子なる検査を行うように設計またはプログラムされる機能を有する。既存のシステムとは異なり、本発明の好ましい実施形態において、検査プロトコルは、ユーザによって特定の検査を選択するように改変されてもよい。ユーザはまた、特定の較正または他の分析的情報に入り、たとえば、試料投入、試料調製、液滴制御、データの検出または分析を支援してもよい。たとえば、ユーザは、必要な信頼度を入力し、システムは、信頼度が達成されるまで検査を反復するようにプログラムされうる。ユーザ入力は、たとえば、ボタンを押すことによって、ソフトウェア駆動式タッチスクリーン上に利用可能な可変入力をアドレス指定することによって、またはコンピュータ上のソフトウェアプロラムを有するインターフェイス、メモリカードまたは他の入力を介して達成されてもよい。ユーザ入力は、カートリッジから電子インターフェイスまたは光学インターフェイスを通じて分配されてもよい。カートリッジは、メモリ液滴マイクロアクチュエータまたは他の手段において符号化される情報を収容し、構成データ、カートリッジ識別、製品ロット番号、有効期限または他の情報を提供してもよい。
【0130】
システムはまた、検査結果を記録するための出力手段を含むこともできる。たとえば、結果は、視覚表示で報告されてもよく、プリンタに送信されてもよく、または表示、伝送またはさらなる分析用にコンピュータに出力されてもよい。本発明は、データのワイヤレス伝送のための手段を含んでもよい。ユーザ入力のために用いられる同一のデバイスが、結果通知のために用いられてよい。
【0131】
8.2.2 カートリッジおよび液滴マイクロアクチュエータ
電子インターフェイス、光学インターフェイスまたはその両方を介して分析器とインターフェイスをとるカートリッジが提供されてよく、一般に、以下、すなわち、1)カートリッジ上に試薬および/または試料を投入するための手段、2)試薬材料および/または試料材料を投入および/または格納するための手段、3)試料を調製するための手段、ならびに4)試料、副試料および試薬などの輸送およびカートリッジ内の検査の実施、および/または希釈、混合、加熱および培養などの種々の処理工程の実施の一部またはすべてを含む。理想的には、カートリッジは、関連電子インターフェイスおよび/または光インターフェイスを整列するように設計された様式で、分析器に物理的に取り付けられる。カートリッジは、検査タイプ、検査プロトコル工程および較正データに関する情報および/または命令などの情報または命令を格納するためのメモリデバイスを含んでもよい。カートリッジは、8.3.3節を参照して以下でさらに詳細に説明される。
【0132】
8.2.3 検出器サブシステム
本発明の分析器および/またはカートリッジは、種々の検出器サブシステムを含んでもよい。検出器サブシステムは、1つまたは複数の検出器ならびに関連電子機器および機械要素を含んでもよい。試料の計画的な調製および/または計画的なプロトコルにおける1つまたは複数の試薬との混合の結果である液滴は、検出可能な特性を有する。液滴は次に、検出器の検知領域内または検出器と接触する位置に輸送されうる。液滴に基づく技術は、正確で測定可能な既知の容量を提供するため、検出器出力を用いて、標的検体の存在または状態の定量測定を提供することができる。しかし、測定されることになっている液滴は、かなり小さく、好ましくは約1fL〜約1mLであり、さらに好ましくは約0.1nL〜約10μLであり、さらに一層好ましくは約1nL〜約1000nLであり、したがって、検出手段は、少ない容量のために信号における自然減少にも関わらす所望の特性を適切に検出するように適合される必要がある。
【0133】
検出の複数の方法は、分析器またはカートリッジに組み込まれうる。一実施形態において、試料または試料調製工程もしくは検定工程の結果は、電気化学検出器と接触するように提供されうる。カートリッジは、個別のセンサと別個の液滴とを接触させる。本発明の液滴に基づくマイクロ流体は、この電気化学分析に関する一定の別個の容量を提供し、かなり正確な検査結果を可能にする。他の技術は、検出器のアレイに試料および試薬の「プール」を提供し、各センサ作業を必要とする化学反応が互いと干渉することができる。対象の発明において、各電気化学反応は典型的には、それ自体のマイクロ環境で行われる。
【0134】
本発明の検出サブシステムの別の実施形態において、化学検定は、蛍光信号を生成するように設計される。反応が、光学窓および/または生成物の存在で起こるか、または反応生成物のいくつかの部分が光学窓に輸送される。蛍光検出に対する本発明の利点は、液滴に基づくシステムの個別の性質に関し、非常に正確な容量の試料および試薬を混合することができ、蛍光出力のレベルがかなり注意深く制御される。
【0135】
さらに、液滴が時間の関数として蛍光出力を測定するように設計されたスケジュールで検出器に関して循環されうるため、多くの試料が、1つの検出器に提供されうる。したがって、1つの検出器を用いて、経時的に複数の反応を同時に追跡することができる。あまり複雑でない液体処理システムを有する他のシステムにおいて、同時の結果が必要とされる場合には、別々の検出器を用いる必要がある。図5Bに示される一実施形態において、本発明は、液滴マイクロアクチュエータから発生される弱い光信号の検出および測定のために、システムの分析器部分に取り付けられる光電子増倍管を利用する。
【0136】
同様に、別の実施形態において、化学検定は、発光出力を生成するように設計される。発光検出器は、同一の光学窓または別の光学窓に対向して配置される。反応は、光学窓および/または生成物に対向して起こるか、または反応生成物のいくつかの部分が光学窓に輸送される。発光検出手法は、典型的には、より感度の高い検出技術である。それ以外の点では、この技術は、蛍光検出に関して上述したものと類似の利点から利益を得る。
【0137】
別の実施形態において、標的検体の濃度は、濃度の関数として特定の波長の光を吸収することが周知である。液滴は、一旦分析のために調製されると、光路に配置され、光検出器が、光出力における変化を測定するために用いられる。
【0138】
これらの検出方法は、同一の検出器または異なる検出器を用いて同時に複数の検定を行うために組み合わせて用いられうる。1つの検定はまた、出力における信頼を強化するために、複数の検出技術を用いて測定されうる。
【0139】
8.2.4 検定
本発明のシステムは、種々の検定プロトコルを実行するようにプログラムされてもよい。多工程酵素検定は、たとえば、試料への材料の順次追加を伴う。最終結果は、典型的には、色の変化、発光または出力であり、たとえば、光学手段によって検出されうる。
【0140】
本発明のシステムは、免疫検定を実行するようにプログラムされてもよい。適切な免疫検定手法は、2006年12月11日出願の「Droplet−Based Biochemistry」というタイトルの国際特許出願第PCT/US06/47486号に記載され、その開示内容全体は、参照によって本明細書に組み込まれる。抗体は、カートリッジ上に試薬として格納され、試料材料と接触される。抗体は、試料からの目的の検体または生体材料に結合する。抗体は、典型的には、化学手段または磁気手段によって、たとえば、永久にもしくは磁界の活性化または提供によって輸送手段の表面に固着されるのに対して、残る試料材料が除去される。さらなる試薬は次に、抗体によって捕捉される検体または生体材料の量に比例して発光、蛍光または他の方法で検出可能な出力を生成または付着するように導入されてもよい。複数の抗体を用いてもよく、検定のために競合するフォマートが実装されてもよく、蛍光マーカーまたは発光マーカーによってタグ付けられる検体の特定の量が試薬として提示され、試料における検体は抗体付着部位と競合する必要がある。この場合には、検出信号がより大きくなればなるほど、検出される検体の量は少なくなる。
【0141】
別の実施形態において、試料に存在するDNAを増幅するために、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、カートリッジに実装される。適切なPCR手法は、2006年12月11日出願の「Droplet−Based Biochemistry」というタイトルの国際特許出願第PCT/US06/47486号に記載され、その開示内容全体は、参照によって本明細書に組み込まれる。一般に、適切な試薬が追加され、試料/試薬混合物が、DNAを増幅するために厳密に制御された温度で熱サイクリングされる。熱サイクリングは、加熱器の温度を変化させることによって、またはさらに好ましい実施形態においては、液滴操作を用いて、1つの加熱器に接近させたり遠ざけたりするように液滴を輸送させることによって、または異なる温度に設定された複数の加熱器に接近させたり遠ざけたりするように液滴を輸送させることによって、1つまたは複数の加熱器を用いて達成されてもよい。各サイクル間または数サイクルごとに、増幅を検出することができ、経過を測定する。一旦、十分な経過が得られると、増幅を停止することができる。一部の実施形態において、熱サイクリングは、加熱器の熱サイクリングがない場合に実現される。
【0142】
別の実施形態において、DNA配列は、ビーズまたはチップの表面などの表面における遺伝子材料の捕捉によって、カートリッジ上に行われる。適切な試薬の追加後に、塩基の順次追加が行われる。対応する塩基が組み込まれると、蛍光出力または発光出力を検出してもよい。
【0143】
一般に、生化学過程からの信号出力の最大化は、特定の検体の検出のために検定の最適なタイプの選択、その検定タイプの容量当たりに基づく使用可能な信号の最大化、合致する結果が関連濃度範囲において得ることができることの確認、および適切な試料調製工程またはさらなる検定工程を通じた信号減衰または信号との他の干渉の最小化を伴う。
【0144】
8.3 液滴マイクロアクチュエータのアーキテクチャおよび操作
上記で説明した本発明の種々の態様は一般に、プロセッサによって制御される液滴マイクロアクチュエータを含む。たとえば、プロセッサは、中でも、液滴マイクロアクチュエータにおける液滴処置を制御するようにプログラムされてもよい。種々の液滴マイクロアクチュエータ構造が可能である。本発明の液滴マイクロアクチュエータの中に構成されうる構成要素の例としては、液滴マイクロアクチュエータに投入されうる種々の充填剤流体、充填剤流体、試料および/または試薬を液滴マイクロアクチュエータ上に導入するための流体投入機構、投入貯槽および/または処理貯槽などの種々の貯槽、液滴分配機構、液滴マイクロアクチュエータ、液滴マイクロアクチュエータにおける充填剤流体および/または液滴の温度を制御するための手段、液滴マイクロアクチュエータにおいて磁気応答性ビーズを処置するための磁界生成構成要素が挙げられる。この節は、液滴マイクロアクチュエータのこれらおよび他の態様ならびに本発明におけるそれらの使用について記載する。
【0145】
8.3.1 液滴マイクロアクチュエータ
上記で説明した種々の態様は、液滴マイクロアクチュエータを利用することができ、本明細書では「チップ」と称する場合がある。液滴マイクロアクチュエータは、1つまたは複数の液滴操作を行うように配置された1つまたは複数の電極を有する基材を含む。一部の実施形態において、液滴マイクロアクチュエータは、そのような電極の1つまたは複数のアレイ、経路またはネットワークを含む。種々の電気特性が、液滴操作を実行するために採用されてもよい。例としては、エレクトロウェッティングおよび電気泳動が挙げられる。
【0146】
一実施形態において、液滴マイクロアクチュエータは、基材に関連付けられる2つ以上の電極を含み、電極の活性化/非活性化を可能にするための手段を含む。たとえば、電極は、一連の手動スイッチおよび/またはコントローラに電子的に連結されて制御されてもよい。したがって、液滴マイクロアクチュエータは、分配、分割、輸送、融合、混合、攪拌などの液滴操作を行うことができる。液滴操作は、一実施形態において、電界を介した作動を用いて達成される。電極は、液滴マイクロアクチュエータへの電気接続を制御するための手段に電子的に連結される。
【0147】
基本的な液滴マイクロアクチュエータは、電極の経路またはアレイを含む基材を含む。一部の実施形態において、液滴マイクロアクチュエータは、間隙によって離隔される2つの平行な基材と、一方または両方の基材における電極アレイとを含む。基材の一方または両方はプレートであってもよい。一方または両方の基材は、PCB、ガラスおよびまたは半導体材料を基材として用いて作製されてもよい。基材がPCBである場合には、以下の材料、すなわち、Mitsui BN−300、Arlon 11N、Nelco N4000−6およびN5000−30/32、Isola FR406、特にIS620、フッ化ポリマー系(背景蛍光が低いため、蛍光検出に適している)、ポリイミド系が、適切な材料の例である。種々の材料はまた、基材の誘電構成要素として用いるのにも適している。例としては、パリレンC(特にガラス上)およびパリレンNなどの蒸着誘電体;Teflon AF;Cytop;ならびに、Taiyo PSR4000シリーズ、Taiyo PSR AUSシリーズ(温度制御を伴う用途の場合には良好な温度特性)、およびProbimer 8165(温度制御を伴う用途の場合には良好な温度特性)などの液体の光画像形成可能なハンダマスク(たとえば、PCB上)などのハンダマスク;Dupont Vacrel系などのドライフィルムのハンダマスク;ポリイミドフィルム(Kapton)、ポリエチレン、FEP、PTFEなどのフッ化ポリマーなどのフィルム誘電体;が挙げられる。基材の一部またはすべてはまた、疎水性コーティングを含む。適切な例としては、Teflon AF;Cytop;Fluoropel系のコーティング;シランコーティング;フルオロシランコーティング;および3M Novec電子コーティング;が挙げられる。
【0148】
液滴マイクロアクチュエータが、2つのプレートを含む場合には、液滴は、プレート間の空間に置かれてもよい。液滴の周囲の空間は通常、充填剤流体を含む。液滴マイクロアクチュエータは、種々の流体液滴を用いて液滴操作を行うことができるが、導電性流体を用いることが好ましい。充填剤流体は、8.3.4節を参照して以下にさらに詳細に説明される。
【0149】
液滴マイクロアクチュエータの表面は、典型的には、疎水性コーティングによってコーティングされている。熱サイクリングを伴う用途の場合には、長い熱サイクリング操作中、熱応力に耐える疎水性コーティングを選択する必要がある。適切な耐熱性材料の例としては、自動車業界において用いるために開発され、優れた熱衝撃耐性を有するProbimer(登録商標)8165などのハンダマスク、高温および反りに耐性を示すMitsui BN−300などのPCB基板が挙げられる。
【0150】
液滴輸送は、制御電極の経路またはネットワークに沿って生じる。アレイまたは経路は、外部回路に電極を電気的に連結するための電気接続を含む。アレイまたは経路はまた、一定の電極を共に電気的に連結するための電気接続を含んでもよい。電極は、プロセッサによって外部回路を介して制御される。液滴操作は、電圧を電極に供給することによって行われてもよい。好ましい電圧は、誘電体の厚さに応じて可変であるが、誘電率が2〜100の範囲であり、厚さが1nm〜10mmの範囲である場合には、単位面積当たりの好ましいエネルギーの制限は、約300マイクロモジュール/平方メートル〜約300000マイクロモジュール/平方メートルの範囲である。好ましい作動電圧は、約1mV〜約50kVまたは約1V〜約10kVまたは約5V〜約1000Vまたは約10V〜約300Vの範囲にある。
【0151】
典型的には、電極は、電圧継電器を介して始動される。液滴マイクロアクチュエータは、たとえば、電界を用いて、離散的な液滴の直接操作によって操作する。たとえば、接地した周囲の電極によって電圧が印加される電極に隣接する液滴は、それ自体を電圧が印加される電極と整列するように輸送する。すなわち、液滴が、その電極の位置に輸送される。一連の連続的な移送は、制御電極の経路またはネットワークに沿って液滴を輸送する。輸送に加えて、液滴の融合、分割、混合および分配をはじめとする他の操作は、電圧作動のパターンを変化させることによって同一の様式で達成されうる。
【0152】
電極が種々の方式で活性化されることができることを留意すべきである。たとえば、電極は、直流電位を印加することによって活性化されうる。同様に、電極は、交流電位を印加することによって活性化されてよく、活性化される電極が交流電位を有し、非活性の電極が接地電位または他の参照電位を有するようになっている。別の態様において、電位は、電極を繰返し活性化して、次にそれを反転することによって印加されてもよい。交流モードは、出力の極性の間で迅速に切り替えるためにソフトウェアを用いることによって実現されうる。
【0153】
一部の実施形態において、本発明は、2005年6月28日公表のPamulaらによる「Apparatus for Manipulating Droplets by Electrowetting−Based Techniques」というタイトルの米国特許第6,911,132号、2006年1月30日出願の「Apparatuses and Methods for Manipulating Droplets on a Printed Circuit Board」というタイトルの米国特許出願第11/343,284号、いずれもShenderovらによる2004年8月10日公表の「Electrostatic Actuators for Microfluidics and Methods for Using Same」というタイトルの米国特許第6,773,566号、2000年1月24日公表の「Actuators for Microfluidics Without Moving Parts」というタイトルの米国特許第6,565,727号、2006年11月11日公開のAdachiらによる「Device for transporting liquid and system for analyzing」というタイトルの米国特許公開第20060254933号および2006年12月11日出願の「Droplet−Based Biochemistry」というタイトルの国際特許出願第PCT/US06/47486号において、記載された液滴操作構造および技術を採用する。いずれの開示も、液滴操作を行うための構造および技術に関する教示のために、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0154】
液滴操作は迅速であってもよく、典型的には、約0.01cm/s〜約100cm/sまたは約0.1cm/s〜約10cm/sの範囲の平均直線速度を伴い、さらに好ましくは、約0.5cm/s〜約1.5cm/sの範囲の平均直線速度を伴う。さらに、液滴は典型的には、約1Hz〜約100KHz、好ましくは、約10Hz〜約10KHz、より好ましくは、約25Hz〜約100Hzの範囲の処置周波数で処置されうる。迅速であることに加えて、液滴マイクロアクチュエータを用いた液滴処置はまた高精度であり、1つの液滴マイクロアクチュエータにおいて複数の液滴を独立かつ同時に処置することができる。
【0155】
離散的な液滴操作は、連続フローアーキテクチャに関する必要性およびそのようなアーキテクチャに付随するすべての種々の欠点を排除する。たとえば、流体がプライミングチャネルまたは充填貯槽で消耗されないため、試料および試薬のおよそ100%の利用が可能である。さらに、上述したように、液滴の移動は、きわめて迅速であってよい。液滴マイクロアクチュエータは、一部の場合において、連続フロー構成要素によって補充されてもよく、離散的な液滴操作および連続フロー要素を伴うそのような組み合わせの手法は、本発明の範囲内にある。連続フロー構成要素は、コントローラによって制御されてもよい。にもかかわらず、ある他の実施形態において、種々の連続フロー要素は、本発明の液滴マイクロアクチュエータおよび/または本発明の方法において特に回避される。たとえば、ある実施形態において、以下の構成要素、すなわち、マイクロチャネル、固定マイクロチャネル、マイクロチャネルのネットワーク、ポンプ、外部ポンプ、弁、高電圧供給装置、遠心分離力要素、可動部分のうちの1つまたは複数は、本発明の液滴マイクロアクチュエータおよび/または方法から排除される。
【0156】
電界媒介作動もまた、他の液滴操作に関する必要性およびそのような技術に付随するすべての種々の欠点を排除する。にもかかわらず、液滴マイクロアクチュエータは、電気(たとえば、静電作動、誘導泳動)、磁気、熱(熱マランゴニ効果、熱毛管)、機械(たとえば、弾性表面波、マイクロポンピング、蠕動運動)、光(たとえば、光学エレクトロウェッティング、光学ピンセット)、化学手段(たとえば、化学勾配)などの他の液滴処置技術によって補完または補足されうることは十分に認識されよう。これらの技術が採用される場合には、関連ハードウェアもまた、コントローラに電気的に連結されて制御されてもよい。しかし、他の実施形態において、これらの液滴操作技術のうちの1つまたは複数は、本発明の液滴から特に排除される。
【0157】
液滴マイクロアクチュエータは、かなりコンパクトな形に製作されてよく、非常に小さな装置を用いて駆動されうる。たとえば、液滴マイクロアクチュエータおよび装置は共に、サイズにおいて数立方インチ程度に小さくてもよい。液滴マイクロアクチュエータは、少量の電力を必要とし、たとえば、バッテリを用いて容易に操作されうる。液滴マイクロアクチュエータは、極めて小さな液滴を用いて液滴操作を行うことができる。液滴は、典型的には、約1fL〜約1mLの範囲にあり、より好ましくは約100pL〜約1μL、さらに一層好ましくは約10nL〜約1μLの範囲である。
【0158】
連続フローではなく、オンチップ処理用の離散的な液滴の使用は、複数の重要な利点を提供する。試料流体は、チャネルのプライミングまたはポンプに費やす必要がないため、試料流体の本質的にすべてを分析のために用いることができ、非常に少ない容量の試料(たとえば、約100μL未満、または約50μL未満または約25μL未満)を分析することができる。同様の利点が試薬の使用にも当てはまり、消費される試薬の容量の削減は、分析コストの削減という利点を有する。離散的な少量の液滴の使用はまた、多数の反応を小さな設置面積(たとえば、平方センチメートル当たり10個を超える、または平方センチメートル当たり100個を超える、または平方センチメートル当たり1,000個を超える、または平方センチメートル当たり10,000個を超える)で行うことも可能にする。
【0159】
本発明の種々の構成要素は、液滴マイクロアクチュエータの構成要素として含まれてもよい。実際には、本発明の全体的なシステムは、統合液滴マイクロアクチュエータとして提供されてもよい。一部の実施形態において、液滴マイクロアクチュエータは、種々のセンサと、センサを外部回路に電子的に連結するための手段とを含む。他の実施形態において、液滴マイクロアクチュエータは、加熱器および/または磁界生成要素と、そのような要素を外部回路に連結するための手段とを含む。さらに、貯槽または液滴の形態において本明細書に記載される試薬のうちの任意の1つまたは複数を含む液滴マイクロアクチュエータもまた、本発明の態様である。
【0160】
チップ上で光検出を行う機能を強化するために、電極に光学窓をパターン形成することができる。電極が透明基材における不透明な材料に形成される場合には、光が基材を通過可能にするように電極における窓を形成することができる。あるいは、電極材料が透明である場合には、迷光を削減するようにマスクを作製することができる。さらに、開口部は、回折格子としてパターン形成されうる。適応光学窓もまた、第2のエレクトロウェッティング層を用いて作製されうる。たとえば、透明な液滴と共に、不透明な油(たとえば、黒く染色された油)を用いて、一時的な可動光学窓を作製することができる。
【0161】
8.3.2 液滴マイクロアクチュエータの作製
液滴マイクロアクチュエータは、マイクロ液滴マイクロアクチュエータで導電相互接続構造を形成するために一般に用いられる標準的なマイクロ作製技術を用いて、および/またはプリント回路基板(PCB)作製技術を用いて構成されうる。適切なPCB技術としては、2006年1月30日出願の「Apparatuses and Methods for Manipulating Droplets on a Printed Circuit Board」というタイトルの米国特許出願第11/343,284号に記載された技術が挙げられ、その開示内容全体は、参照によって本明細書に組み込まれる。これらの技術は、液滴マイクロアクチュエータを非常に低いコストで大量に製作することを可能にする。低コストの製作は、1回限りの使い捨てとして用いる場合であっても、液滴マイクロアクチュエータの経済的な製造を可能にする。したがって、本発明は、液滴マイクロアクチュエータが本発明のシステムにおいて用いるための使い捨てのカートリッジの構成要素としてユーザに供給される方法を提供する。
【0162】
設計はまた、PCB処理において典型的であるよりはるかに小さな特徴部を製作する機能に関して、従来のマイクロリソグラフィ技術を用いて、ガラスまたはシリコン上に実装されうる。たとえば、70μmの貯槽間隔および3fLの貯槽容量を有する1,572,864個の貯槽液滴マイクロアクチュエータの場合であっても、最小の必要なリソグラフィック特徴部のサイズは、約0.5μmであり、十分に、半導体業界において現在用いられている常套のマイクロリソグラフィ技術の性能の範囲内である。
【0163】
チップは、手動ピペット分配器またはロボットピペット分配器を用いて直接投入されてよく、標準的なプレート読み出し機器を用いて分析されうるため、既存の研究室作業の流れに容易に組み込む。これは、連続フロー形式への検定の適合または試料処理および読み出しのための専用の機器を必要とする可能性がある他のマイクロ流体手法に比べて、大きな利点である。
【0164】
8.3.3 カートリッジ
上記で説明されたように、一部の実施形態において、本発明は、液滴マイクロアクチュエータに連結するためのカートリッジを含む。カートリッジは、本発明の操作には必要ではないが、一部の状況において好都合である場合があることは十分に認識されよう。存在する場合には、カートリッジは、液滴マイクロアクチュエータの経路またはネットワークをプロセッサ、たとえば、本発明の液滴マイクロアクチュエータシステムのプロセッサに電気的に連結するための手段を含んでもよい。この実施形態において、電気接続は、電極‐カートリッジ‐プロセッサであり、3つの間にさらなる要素があってもよい。別の実施形態において、カートリッジは、液滴マイクロアクチュエータに物理的に連結するための手段を含んでもよい。この実施形態において、電気接続は、電極‐プロセッサ‐カートリッジである。あるいは、カートリッジは、電気構成要素を全く欠いていてもよい。
【0165】
存在する場合には、カートリッジは、1つまたは複数の試薬、たとえば、予め入れられた試薬用の貯槽を含んでもよい。液滴マイクロアクチュエータは、試薬、試料および/または充填剤流体をカートリッジから液滴マイクロアクチュエータ上に流すために、カートリッジ貯槽と液滴マイクロアクチュエータの内部との間に流体経路が確立されるように構成されてもよい。たとえば、予め入れられたカートリッジ貯槽は、カートリッジの分析機器への連結前、連結中または連結後に、液滴マイクロアクチュエータに分配されてもよい。カートリッジは、密封型、自己充足型および/または使い捨て型のいずれであってもよい。カートリッジは、液滴マイクロアクチュエータを供給してもよく、供給しなくてもよい。そのようなカートリッジは、繰返し可能な検定状態を確保し、感染性材料または危険な材料の安全な取り扱いおよび処分を可能にし、および/または作業間の二次汚染を低減するために用いられうる。カートリッジは、たとえば、機械加工されたプラスチック部品を含んでもよい。この部品は、液滴マイクロアクチュエータと組み合わせて固着されて提供されてもよい。
【0166】
カートリッジ材料は、試薬の分解または汚染を生じることなく、試薬の格納を提供するように選択されてもよい。さらに、高温で確実な操作を提供し、実時間の化学反応に対する適合性を確保するように選択される必要がある。カートリッジ材料は、たとえば、成形プラスチック構成要素を含んでもよい。一部の実施形態において、密封型の使い捨て可能な検査カートリッジは、作業者の安全性を強化し、安全な処分を容易にする。
【0167】
液滴マイクロアクチュエータシステムの種々の構成要素は、カートリッジ上に含まれてもよい。たとえば、液滴マイクロアクチュエータの内部空間を包囲する上部プレートが、カートリッジの構成要素として提供されてもよい。種々のセンサもまた、カートリッジの構成要素として含まれてもよい。
【0168】
8.3.4 充填剤流体
本発明の液滴マイクロアクチュエータは、1つまたは複数の自由界面(すなわち、流体‐流体)を含む。例としては、流体‐流体または流体‐気体の界面が挙げられる。典型的には、化学反応は、一次(液滴)相において行われ、二次相は、互いから液滴を分離する充填剤流体として機能する。二次相は、たとえば、液体、ゲルおよび/またはガスなどであってもよい。二次相が液体を含む場合には、液体は、液滴マイクロアクチュエータが複数の液滴操作のうちの1つを行うことを可能にするために、一次液相と十分に混和しない。
【0169】
システムは、液滴マイクロアクチュエータ内への1つまたは複数の充填剤流体の複数の導入または再循環のために提供するようにプログラムされてもよい。二次流体処理システムが、液滴マイクロアクチュエータ内への流体の注入および液滴マイクロアクチュエータ内からの流体の除去のために設けられうる。圧力、重力または熱勾配の使用などの他の手段を用いて、充填剤流体を液滴マイクロアクチュエータ内外に輸送することができる。そのようなシステムは、以下の目的のために用いられうる。
(1)時間の経過による蒸発または漏れによって失われる充填剤流体を補充するため。充填剤流体容量の損失を補うために、充填剤流体のゆっくりかつ安定したフローまたは定期的な注入を採用することができる。
(2)液滴間の汚染を低減するために、継続的にまたは定期的に、「清浄な」充填剤流体を提供するため。充填剤流体は、完全に交換することによって、または汚染物質を除去するように選択されたフィルタまたは吸着材料の床を通して循環することによって、清浄化することができる。
(3)消耗される液滴を輸送するための手段を提供するため。たとえば、検定の最後で、液滴を放出して、充填剤流体と共に外部に流すことを可能にして、液滴マイクロアクチュエータを「フラッシングする」ための手段を提供する。液滴マイクロアクチュエータをフラッシングことにより、さらなる検定を行うための調製において液滴マイクロアクチュエータの状態をリセットすることができる。
(4)異なる流体がある工程に関して所望である場合には、充填剤流体を交換するため、たとえば、空気と油とを交換して、液滴の乾燥を可能にするため、またはある油を異なる油に交換するため。
(5)液滴マイクロアクチュエータを通じて循環するために、流体を加熱または冷却することによって、液滴の温度を制御する手段を提供するため。液滴マイクロアクチュエータの内側に最適な温度制御を提供するために、液滴マイクロアクチュエータに出入りする充填剤流体の温度を直接測定することができ、充填剤流体の温度および流速を調整することができる。
【0170】
適切な充填剤流体および同充填剤流体を伴う操作は、2006年12月11日出願の「Droplet−Based Biochemistry」というタイトルの国際特許出願第PCT/US06/47486号に記載され、その開示内容全体は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0171】
8.3.5 液滴マイクロアクチュエータの投入
本明細書において検討される液滴マイクロアクチュエータは一般に、1つまたは複数の充填剤流体、試薬および/または試料(たとえば、本明細書の他の箇所に記載したようにプロトコルおよび/または検定を行うための試薬および/または試料)を液滴マイクロアクチュエータに導入するための1つまたは複数の投入ポートを含む。一部の実施形態において、試料または試薬が、常套のロボットを用いて投入ポートを介して投入される。1つの別の実施形態において、試料および試薬の液滴は、液滴マイクロアクチュエータに接続されるときに、毛細管から投入ポートにポンプによって送り込まれるため、試料または試薬の液滴を液滴マイクロアクチュエータに捕捉して経路指定することを可能にする長い予め入れられた毛細管(たとえば、ガラスの毛細管)における油の栓によって分離される。別の投入技術は、液滴マイクロアクチュエータの中に試薬を予めスタンピングすることと、たとえば、高速試薬スタンピングまたは印刷処理を用いて、それらの試薬の乾燥を可能にすることとを伴う。さらに別の手法は、直接的なプレート対液滴マイクロアクチュエータ界面の使用を伴い、プレートの内容物、たとえば、たとえば、1536個または384個または96個のウェルプレートが、ウェルに整列された投入ポートによってその内容物を押す圧力を用いることによって、液滴マイクロアクチュエータに並列に輸送される。投入ハードウェアは、一部の実施形態において、コントローラに電子的に連結されて制御されてもよい。
【0172】
液滴マイクロアクチュエータは、試料および/または試薬の投入および格納のための流体投入モジュールに関連付けられ、または連結されうる。たとえば、基本的な投入モジュールは、ピペットまたは他のデバイスを用いて試料を投入することを可能にする。システムは、制御電極ネットワークまたは経路で輸送されうる離散的な液滴として、投入流体を再分割して分配するようにプログラムされてもよい。
【0173】
本発明の液滴に基づくマイクロ流体システムは、非常に少ない量を用いて正確に操作することができるため、システムは、この少量の液滴処理性能をはるかに少量の試料を受け入れるような能力に変換する独特の試料投入手段を組み込むことができ、投入試料容量は通常、約1nL〜約100mLまたは約100nL〜約1mLまたは1μL〜約10μLである。この性能は、ごく少量の試料容量が利用可能である(たとえば、早産児または小動物)場合およびより少量の試料の取得の方が苦しみが少ない場合、侵襲性が小さい場合または医学的に望ましい場合に、特に重要である。
【0174】
本発明の試料投入手段は、カートリッジにおける投入ポートから液滴マイクロアクチュエータに試料を輸送し、その結果、液滴操作をコントローラによって管理することができるようになっている。好ましくは、この工程は、試料を著しく損失することなく達成される。カートリッジが充填剤流体を収容するため、試料投入もまた、充填剤流体の抵抗を克服するための力、すなわち、充填剤流体を押し出すための力を含む。一旦、試料が投入ポートに投入されると、投入ポートは蓋を被せられ、次に、圧力、真空または他の力が充填剤流体の抵抗を克服するように導入されてもよい。一実施形態において、カートリッジを分析器に挿入する作用により、小さなゴム隔壁を圧迫して、正圧を生じる。別の実施形態において、試料投入は、投入ポートと、液滴マイクロアクチュエータの内部との間にフィルタを導入することによって試料調製と合わされ、その結果、たとえば、血液細胞を全血から除去することができ、血奬または血清のみが液滴マイクロアクチュエータに導入される。別の実施形態において、複数の個別の試料が1つのカートリッジに投入され、個別に分析され、その結果、1つのカートリッジが、複数の検査を行うことができるだけでなく、複数の試料におけるこれらの検査を行うこともできる。
【0175】
8.3.6 貯槽
本明細書において検討される液滴マイクロアクチュエータは、投入貯槽および/または処理貯槽などの種々の貯槽(本明細書では「ウェル」と称することもある)を含んでもよい。
【0176】
8.3.6.1 投入貯槽
本発明はまた、試料材料および/または試薬材料を格納するための手段も含むことができる。好ましくは、試薬は、検査の前にカートリッジに投入され、格納される必要がある。試薬は、互いから物理的に分離されてもよく、機械的障壁によって充填剤流体から物理的に分離されてもよい。各試薬用の貯槽は、典型的には、カートリッジに固着される。カートリッジ貯槽は、カートリッジ上にセットする前に個別に投入されうるホイルまたはプラスチック袋に含まれてもよい。長時間、試薬の格納には、制御された環境にカートリッジを維持することを必要とする可能性がある。別の実施形態において、試薬は、カートリッジ外、たとえば、格納容器で格納され、液滴に分配するためのチップに導入されてもよい。
【0177】
既存の試薬格納デバイスにおいて、一旦、機械的障壁が除去される(ホイル袋に穴が開けられることが多い)と、試薬は、検査を行うために、試料またはキャリア流体と共に貯蔵される。本発明において、一旦、機械的障壁が除去されるか、または袋に穴が開けられると、試薬は、オンチップ貯槽に流れ込むように構成され、液滴マイクロアクチュエータの特徴がこの目的で設計されている。このオンチップ貯槽は、使用を必要とされる時間まで、試薬を保持する。次に、適切な量の試薬が、貯槽から分配される。検査のために必要とされる正確な量の試薬が、プログラム可能な電子制御を用いて分配されうる。したがって、試薬の1つの貯槽を用いて、異なる量および異なる時間での複数の検査のために試薬を供給することができる。さらに、試薬はオンチップ貯槽の分配デバイスによって反応中に測定されうるため、貯槽に投入される試薬の量はあまり重要ではない。この手法は、正確なホイル袋またはカートリッジ貯槽投入の必要性を排除し、したがって、デバイスのコストを削減する。
【0178】
一部の実施形態において、液滴マイクロアクチュエータは、1つまたは複数の投入ポートと流体連通する1つまたは複数の投入貯槽を含み、典型的には、投入ポートと直接的に流体連通している。投入貯槽は、分配液滴(たとえば、試薬液滴または試料液滴)用の大量の原材料(たとえば、試薬または試料)の格納のための貯槽として機能する。したがって、投入貯槽は、たとえば、試料ウェルまたは試薬ウェルと機能してもよい。
【0179】
投入貯槽は一般に、内部空間および開口部を画定する1つまたは複数のウェル壁を含む。ウェル壁によって画定される内部空間は、液滴マイクロアクチュエータの内部の残りからウェル壁によって少なくとも部分的に隔離される。貯槽は、液滴マイクロアクチュエータの外部から投入貯槽内への流体の導入に適したポートに(任意の方向において、たとえば、垂直または横に)隣接していてもよい。貯槽壁における1つまたは複数の開口部は、この内部容積に液滴を分配するために、液滴マイクロアクチュエータの内部容積と流体連通を可能にするように提供されてもよい。開口部は、電極の経路またはネットワークへの液滴マイクロアクチュエータの内部容積に流体が流れ込むか、輸送することが可能にする場合もある。投入貯槽はまた、流体がポートまたは開口部を介してウェルに導入されるか、またはウェルから除去されるときに、投入貯槽から充填剤流体の変位を可能にするための1つまたは複数の排出口を含んでもよい。
【0180】
投入貯槽はさらに、ウェル壁によって画定される空間に隣接するまたはこの空間内の上部プレートまたは下部プレートにおいて、1つまたは複数の平面制御電極を含んでもよい。平面電極は、コントローラに電子的に連結されて制御されうる。好ましい実施形態において、平面電極は、2つ以上の分岐または光線を有し、流体の存在下で液滴分配中に、制御電極の作動により、液滴分配方向に対して略対向する方向に、流体の「引き寄せ」を作用させるようになっている。一部の場合において、電極の形状は、液滴分配の方向に対して略対向する方向を有する平均ベクトルを有する多次元ベクトルの引き寄せを結果として生じる。
【0181】
ウェル壁は、たとえば、上部プレートまたは下部プレートからの突出部によって形成されてもよく、および/または上部プレートまたは下部プレートの表面に壁形成材料の堆積によって形成されてもよい。たとえば、ウェル壁は、表面上に堆積され、パターン形成されるハンダマスク材料またはポリマーガスケット材料から形成されてもよい。一部の実施形態において、連続的または半連続的な試料および試薬のフローの供給源は、投入ポートのうちの1つまたは複数と流体連通するように連結される。
【0182】
液滴分配は、画定された貯槽から行われてもよいが、一実施形態において、液滴分配は、物理的に画定された貯槽を用いることなく行われてもよいことを留意すべきである。分配は、たとえば、エレクトロウェッティング力または親水性の表面によって、液滴分配中に閉じ込められる供給源の液滴から進められてもよい。
【0183】
8.3.6.2 処理貯槽
液滴マイクロアクチュエータはまた、1つまたは複数の処理ウェル、領域または貯槽を含んでもよい。これらの貯槽は、混合、加熱、培養、冷却、希釈、滴定などの種々の液滴処理工程を実行するための位置として機能する。液滴マイクロアクチュエータは、1つまたは複数の投入ポートから1つまたは複数の処理貯槽に液滴を輸送するのに十分な制御電極の1つまたは複数の経路またはネットワークを含む。一部の場合において、処理貯槽は、これらの経路またはネットワークの構成要素または部分に過ぎない。他の実施形態において、処理貯槽は、画定された処理貯槽である。そのような貯槽は、たとえば、上述した投入貯槽と略同様の様式で構造形成されてもよい。しかし、処理貯槽は、典型的には、投入ポートと直接流体連通状態ではない。すなわち、制御電極の1つまたは複数の経路またはネットワークに沿った液滴輸送は、処理貯槽に試薬または試料を加えることが必要である。一部の場合において、処理貯槽は、その中に貯槽の経路またはネットワークを含み、処理貯槽内の液滴操作を行うことを可能にする。液滴マイクロアクチュエータの外部との直接的なインターフェイスが典型的に欠如していることに加えて、処理貯槽は、典型的には、投入貯槽より小さい。尚、一部の実施形態において、投入貯槽は、より小さい場合があるが、液滴マイクロアクチュエータの内部とチップ外部との間の相互接続として機能する。通例、投入ポートの目標とする性能は、液体が完全に投入される場合には、貯槽の数に単位容積を乗じたものであってもよい。
【0184】
一実施形態において、液滴マイクロアクチュエータは、処理貯槽の規則的なアレイを含む。一実施形態において、処理貯槽アレイの寸法は、Society for Biomolecular Screeningマイクロプレート(マルチウェルプレート)の寸法標準、たとえば、2004年1月9日に更新された「ANSI/SBS 1−2004:Microplates−Footprint Dimensions」、2004年1月9日に更新された「ANSI/SBS 2−2004:Microplates−Height Dimensions」,2004年1月9日に更新された「ANSI/SBS 3−2004:Microplates−Bottom Outside Flange Dimensions」および2004年1月9日に更新された「ANSI/SBS 4−2004:Microplates − Well Positions」などに準拠する。これらの文書のそれぞれの開示内容全体は、マイクロプレート標準に関する教示のために、参照によって本明細書に組み込まれる。ある設計は、1つのデバイス上でマイクロプレート標準を混合してもよい。たとえば、液滴マイクロアクチュエータチップの1つの部分は、試料の投入のための96個のウェル形式に準拠してよく、別の部分は、反応の配列のために、384個または1536個の形式に準拠する。他の設計は、いくつかのモジュールが試薬の投入、格納または検出または反応のためのマルチウェルプレートの間隔に準拠し、他のモジュールが特定の操作または手順を行うように設計された構造を有してもよい場合には、異なる機能を実行するように設計されたモジュールに液滴マイクロアクチュエータチップを再分割してもよい。
【0185】
極めて高いレベルのスループットおよびコスト節約を有するより大きいチップは、薬物発見用途などの種々の設定において有用である。一実施形態において、本発明は、高いスループットの生物学的検定のために有用である。たとえば、チップは、オンチップ希釈プロトコルおよび細胞処理プロトコルを実行するようにプログラムされうる。異なるウェルピッチにおける128mm×86mmのフル実装プレート(チップ)サイズにおける液滴容量のスケーリングは、表1においてみることができる。
【0186】
【表1】

【0187】
さらに、液滴マイクロアクチュエータにおける貯槽の数は、既存のマイクロプレート仕様の場合に提供されるよりはるかに大きくてもよい。たとえば、液滴マイクロアクチュエータは、1つのプレートに1,000、5,000、10,000、15,000、20,000、25,000、30,000、35,000、40,000、45,000、50,000、55,000、60,000、65,000、70,000、75,000、80,000、85,000、90,000、95,000、100,000、200,000、300,000、400,000、500,000、600,000、700,000、800,000、900,000または1,000,000を超えるウェルを組み込むことができる。
【0188】
混合または希釈比は、各貯槽に供給される構成液滴の数および分配を制御することによってプログラム可能に確立されうる。さらに、貯槽内で混合されることになっている液体は、たとえば、直列希釈検定を行うために、別の貯槽への輸送のために単位サイズの液滴の形態のその貯槽から続いて分配されてもよい。
【0189】
8.3.7 熱制御
本発明の液滴マイクロアクチュエータは、液滴マイクロアクチュエータまたは液滴マイクロアクチュエータの領域の温度を制御するための手段を含んでもよい。中でも、熱制御は、加熱工程または冷却工程を必要とする種々のプロトコルの場合に有用である。例としては、熱サイクリングを必要とする増幅プロトコルおよび培養工程を必要とする種々の検定が挙げられる。
【0190】
熱制御は、システムによって制御されてもよい。ユーザインターフェイスは、ダイアルまたは仮想ダイアルなどの1つまたは複数の加熱器の温度を制御するための入力手段を備えてもよい。ユーザインターフェイスは、加熱器の周囲の温度勾配を示してもよく、その結果、液体輸送を用いた適切な熱サイクリングプロトコルがユーザによって開発されてもよい。
【0191】
8.3.7.1 熱制御設計
一般に、熱制御は、3つの方式で提供されてよい:(1)液滴マイクロアクチュエータ全体の熱制御;(2)制御された領域と接触状態にあるか、または制御された領域に近接している加熱器を用いた液滴マイクロアクチュエータの領域の熱制御;ならびに(3)(たとえば、存在する場合には、電極の経路またはアレイを含む基材、および/または液滴マイクロアクチュエータの上部プレートにある基材に)液滴マイクロアクチュエータに統合される加熱器を用いた液滴マイクロアクチュエータの領域の熱制御。上述の手法の組み合わせも可能である。
【0192】
統合型加熱器手法において、温度ゾーンが形成され、液滴マイクロアクチュエータ内に直接的に統合された熱制御システムを用いて制御されうる。ゾーン内部および周囲の温度は、ユーザインターフェイスで示されうる。液滴マイクロアクチュエータに直接的に作製される薄膜加熱要素を通じた熱制御の統合もまた、液滴マイクロアクチュエータにおける増幅反応の速度、スループットおよび品質を最大にするために有用である。液滴は、その小さな熱質量のために、きわめて迅速に熱循環されうる。熱制御は、液滴に近接して加熱要素を位置付けて、加熱器と液滴との間の寄生熱損失を低減することによって強化される。加熱要素は、液滴マイクロアクチュエータの上部プレートおよび/または下部プレートに統合されうる。
【0193】
液滴マイクロアクチュエータへの加熱要素の統合はまた、液滴マイクロアクチュエータ内の複数の個別の熱ゾーンの使用を可能にする。これは、試料調製および熱サイクリングなどの分析における複数の工程を可能にし、液滴マイクロアクチュエータの異なる部分で同時に行われることになっている異なる温度を必要とする。液滴は、増幅反応の熱サイクリング態様を実行するために、異なる固定温度のゾーンの間で、物理的に輸送されうるか、または「往復」されうる。この手法は、熱ゾーン全体の加熱および冷却がもはや速度制限されないため、さらに高速の反応を生じることができる。代わりに、加熱および冷却の速度は、ゾーン間で液滴を輸送するために必要な時間、および、液滴がゾーン内に達したらゾーンの温度に対して平衡を保つために液滴温度に必要な時間によって決定される。いずれも非常に高速であると予想される。さらなる利点は、反応工程が、より大きな操作柔軟性を可能にする「一括処理」ではなく「待ち行列処理」で行われうることである。たとえば、離散的な試料は、1つの時点で供給されるのではなく、液滴マイクロアクチュエータに連続的に供給されうる。
【0194】
液滴は、1つの加熱器を用いて一括モードで熱循環されてもよく、または加熱要素によって形成される別個の温度ゾーンを通って液滴を循環させることによって貫流モードで熱循環されてもよい。一括モードと貫流モードとの間の本質的な違いは、一括モードでは、熱制御が加熱器の温度を変化させることによって行われるのに対し、貫流モードでは、熱サイクリングは、別個の一定の温度ゾーン間で液滴を輸送することによって行われることである。「一括」方法において、液滴マイクロアクチュエータにおける1つの統合型薄膜加熱器が用いられ、加熱器ゾーン内に位置する静的な液滴を熱サイクリングさせることができる。「貫流」方法において、2つの別個の固定温度ゾーンが液滴マイクロアクチュエータに形成され、熱サイクリングが、2つのゾーンの間での液滴の往復によって行われる。
【0195】
「一括」の場合には、加熱器自体の熱質量ならびに熱損失を、液滴に直接的に隣接して配置される薄膜加熱器を用いて最小限に抑えてもよい。液滴自体を含む熱質量はとても小さいため、迅速な温度変化に影響を及ぼしうる。システムへの総エネルギー投入が総熱質量に比べて極めて小さいことから、受動冷却(充填剤流体における)もまた迅速である。
【0196】
「貫流」加熱の場合には、温度を安定化させるために役立つことから、より大きな熱質量が望ましいことがあり、その設定点に達すると、加熱器の温度は変化しないため、より緩やかな勾配速度が許容可能である。貫流システムは、たとえば、薄膜加熱器より正確かつ簡単に制御される液滴マイクロアクチュエータに対して外部にある蓄熱加熱器を用いて実装されうるが、原則的には、いずれのタイプの加熱器もいずれの方法を実装するために用いることが可能である。
【0197】
別の実施形態において、温度は、チップを通って液滴の周囲に加熱された充填剤流体を流すか、または再循環することによって制御される。
【0198】
液滴マイクロアクチュエータの配置は拡張可能であり、その結果、液滴マイクロアクチュエータは、1〜10程度の少数の加熱ゾーン、数百以上の加熱ゾーンを含みうる。
【0199】
8.3.7.2 加熱器タイプ
加熱器は、導電薄膜を用いて形成されてもよい。適切な薄膜の例としては、Pt加熱器ワイヤおよび透明なインジウムスズ酸化物(ITO)が挙げられる。ITOは、実時間の観察に関して液滴の良好な可視化を提供する。温度調整のために遠隔配置された従来の熱電対(TC)を用いることもできる。一実施形態において、PCB基材における微小な金属(たとえば、銅)バイアスが、液体と遠隔TCとの間の密着熱接合を形成するために用いられる。さらに、試料温度は、表面実装サーミスタまたは赤外線センサを用いて銅バイアスを監視することによって決定されうる。サーミスタを用いる1つの利点は、液滴マイクロアクチュエータに直接的にハンダ付けすることができるほど十分に小さいことであり(2×2mm)、IRを用いる利点は、結び付けを簡単にする非接触方法であることである。銅の熱伝導率は、FR−4基材より少なくとも700倍大きい(350〜390W/m・K対0.3〜0.5W/m・K)ため、銅バイアスの温度は、液体内の温度を正確に表す。加熱器は、液滴マイクロアクチュエータの下部プレートおよび/または上部プレート(存在する場合には)またはいずれかのプレートの下部表面および/または上部表面に統合されてもよく、いずれかのプレートの構造内に統合されてもよい。
【0200】
1つの貫流の実施形態において、低減した熱勾配が、加熱器を用いることによって提供されてよく、液滴マイクロアクチュエータにわたって連続的な温度勾配(たとえば、100〜50℃)を形成する。連続的な勾配の使用は、加熱器ブロックの縁に沿って見られる急激な温度勾配を克服するための必要性を削減する。制御された温度勾配はまた、任意の数の温度点に関するプロトコルを実装可能にすることによって、デバイスの機能性を著しく強化する。さらに、各反応は、カスタム温度プロトコルによって行われてよく、2つ以上のブロックの温度のみが熱調整される必要がある。液滴は、加熱器の間の適切な位置に輸送され、その位置で目標温度を達成するのに役立つ。液滴が検出スポットにわたって輸送されるときに、液滴の蛍光は、蛍光センサを用いて画像形成されうる。上部目標温度および下部目標温度は、液滴の位置を変化させることによって変更されうる。にもかかわらず、本発明者らは、驚くべきことに、たとえば、PCRのための熱サイクリングは、加熱器に近づけたり加熱器から遠ざけたりするように液滴を輸送することによって、1つの加熱器を用いて容易に達成されうることを発見した。
【0201】
一部の実施形態において、液滴上に位置している加熱器は、液滴を覆い隠す可能性があり、したがって、実時間光学測定を妨害する可能性がある。そのような場合には、液滴は、加熱器の直下から光検出に好ましい位置(すなわち、検出スポット)まで輸送されることができる。液滴は、たとえば、蛍光定量化による検出などの液滴マイクロアクチュエータの検出目的のために、加熱器の直下から検出スポットに定期的に輸送されてもよい。液滴は、ある温度ゾーンから別の温度ゾーンに循環している間に、センサに近接するように経路指定されてもよい。
【0202】
8.3.8 液滴操作
液滴マイクロアクチュエータは、液滴に対して種々の液滴操作を行ってもよい。例としては、液滴マイクロアクチュエータ内への液滴の投入、供給源の液滴からの1つまたは複数の液滴の分配、液滴の2つ以上の液滴への分割、分離または分裂、任意の方向におけるある位置から別の位置への液滴の輸送、2つ以上の液滴の1つの液滴への融合または結合、液滴の希釈、液滴の混合、液滴の攪拌、液滴の変形、液滴の所定の位置での保持、液滴の培養、液滴の加熱、液滴の気化、液滴の冷却、液滴の配置、液滴マイクロアクチュエータからの液滴の輸送、本明細書に記載される他の液滴操作および/または上記の操作の任意の組み合わせが挙げられる。
【0203】
液滴分配は、より大量の流体をより小さい液滴に等分する処理を指す。分配は、流体界面、投入貯槽および処理貯槽で有用に採用される。液滴は、貯槽から流体の「フィンガ」を延在させる流体貯槽に隣接する電極に電圧を印加することによって形成されてもよい。流体前面が末端電極に達すると、中間電極は、動力源を絶ち、流体を貯槽に戻させると同時に、末端電極に新たに形成された液滴を残す。既に述べたように、大量の流体から分配される液滴の分離を支援するために、貯槽における1つまたは複数の電極に電圧が印加されてもよい。液滴は、固定されている電極の形状に適合するため、優れた精度および正確さが得られる。液滴分配は、コントローラによって制御される。一部の実施形態において、本発明は、2005年6月28日公表のPamulaらによる「Apparatus for Manipulating Droplets by Electrowetting−Based Techniques」というタイトルの米国特許第6,911,132号、2006年1月30日出願の「Apparatuses and Methods for Manipulating Droplets on a Printed Circuit Board」というタイトルの米国特許出願第11/343,284号、いずれもShenderovらによる2004年8月10日公表の「Electrostatic Actuators for Microfluidics and Methods for Using Same」というタイトルの米国特許第6,773,566号および2000年1月24日公表の「Actuators for Microfluidics Without Moving Parts」というタイトルの米国特許第6,565,727号において、記載された液滴分配構造および/または技術を採用する。いずれの開示も、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0204】
一部の実施形態において、液滴操作は、エレクトロウェッティング技術によって媒介される。他の実施形態において、液滴操作は、電気泳動技術によって媒介される。さらに他の実施形態において、液滴操作は、エレクトロウェッティング技術および電気泳動技術によって媒介される。
【0205】
一実施形態において、分離は、エレクトロウェッティングおよび電気泳動の組み合わせを用いて行われてもよい。エレクトロウェッティングマイクロ作動を用いて、電気泳動を行うチャネルを形成し、試料をチャネルに供給するか、または電気泳動分離後にチャネルから試料の部分を捕捉することができる。たとえば、チャネルの形成に関して、エレクトロウェッティングを用いて、後に続く長い薄い形状に分離媒体の液滴を変形(伸ばす)ことができる。一部の場合において、チャネルは、たとえば、UV重合を用いて重合化されてもよい。他の場合において、液滴操作を用いることによって、液滴を物理的に閉じ込められたマイクロチャネルに加えるために、チャネルを形成してもよい。関連実施形態において、出口で液滴の目的とする部分を捕捉し、次に、循環方式で、それを入口に戻すことによって、電気泳動チャネルの有効長を増大することができる。同一の原理を用いて、一連の段階的により細かい分離を行うことができる。分離はまた、同時に複数の異なる分離媒体を用いて達成されてもよい。
【0206】
液滴分割または液滴の分裂は一般に、液滴を2つ以上の小液滴に分離することを伴う。一部の場合において、結果として生じる液滴は、サイズにおいて相対的に等しい。
【0207】
輸送は、任意の方向におけるある位置から別の位置に液滴を移動することを伴う。液滴は、平面または3次元において輸送されてもよい。分配および/または分割などの種々の液滴操作は、別の液滴から液滴に輸送される輸送要素を含んでもよいことは十分に認識されよう。
【0208】
融合は、2つ以上の液滴を1つの液滴に合わせることを伴う。一部の場合において、相対的に等しいサイズの液滴が互いの中に融合される。他の場合において、液滴は、より大きな液滴に融合されてもよく、たとえば、貯槽に存在するより大きな容積で液滴を合わせる。
【0209】
液滴の混合は、輸送または攪拌などの種々の液滴処置を伴い、液滴内により多くの同種の構成要素の分散を結果として生じる。1つの混合の実施形態において、エレクトロウェッティング電極上に位置決めされた液滴は、電極の活性化および非活性化を行うことによって、迅速かつ循環的に適所に変形され、混合を容易にする液滴内に流体の流れを誘発する。機械的共鳴などの周波数依存性効果が、混合の品質および速度を合わせるために用いられてよい。混合のために表面における液滴の輸送を必要とする技術に比べて、この手法は、混合のために必要な領域を最小限に抑える。この混合スキームは、上部プレートが存在しない場合にも採用することができる。空間節約という利点のために、このスキームは、必要とされる電極は唯一であるため、反応ウェルにおいて簡素化された混合を提供することが可能である。
【0210】
貯槽から試薬または試料は、液滴マイクロアクチュエータにおける他の位置に輸送するための離散的な液滴として分配されてもよい。
【0211】
本発明は、ビーズを含む液滴を用いた液滴操作を含むことができる。種々のそのような操作は、本明細書の他の箇所に記載されている。一実施形態において、ビーズは、液滴操作と干渉する傾向がある試薬で液滴操作を行うために用いられる。たとえば、あるタンパク質は、液滴マイクロアクチュエータの表面と結合する傾向があり、および/または充填剤流体内に区分される傾向がある場合がある。親水性のビーズにおけるそのような化合物の固定化を用いて、化合物を用いる液滴操作を容易にすることができる。化合物は、ビーズに結合されてよく、ビーズは、液滴操作に付される液滴と共に含めることができる。
【0212】
1つの特定の分配操作において、凝固が、全血から血清を分離するために用いられる。全血は、チップ上に投入されて、凝固剤を含む液滴と合わされる。凝固後、液滴は、試料から分配される。細胞および血小板が適所に捕獲されるため、試料から分配された液体は、血清のみを含む。
【0213】
8.4 キット
本発明のさらなる態様は、本発明の方法を行うための試薬、試料収集デバイスおよび/または液滴マイクロアクチュエータまたはカートリッジを含むキットである。
【0214】
9 見解の結論
実施形態の上述の詳細な説明は、本発明の特定の実施形態を示す添付図面について言及する。異なる構造および操作を有する他の実施形態は、本発明の範囲を逸脱しない。
【0215】
本明細書は、読者の便宜のために、節に分割している。見出しは、本発明の範囲を限定すると考えるべきではない。
【0216】
本発明の種々の詳細は、本発明の範囲を逸脱することなく変更してもよいことは理解されよう。さらに、本発明は、以下に記載される請求項によって定義されるため、上述の説明は、例示に過ぎず、限定するためではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)コントローラと、
(b)コントローラと電子的に連結され、電極介在の液滴動作を行うように構成された電極を備えたマイクロアクチュエータと、
(c)コントローラと電子的に連結されるユーザインターフェイスを表示するディスプレイデバイスとを備え、
該システムは、ユーザインターフェイスと相互作用することによって、ユーザが液滴操作を行うことを可能にするようにプログラム化され、構成されているシステム。
【請求項2】
ディスプレイデバイスは、ディスプレイデバイスを制御し、液滴操作を制御するための命令をコントローラへ送るようにプログラム化されたプロセッサを経由して、コントローラと電子的に連結される請求項1記載のシステム。
【請求項3】
ユーザインターフェイスは、液滴マイクロアクチュエータの構成要素を表す仮想構成要素を備えた、液滴マイクロアクチュエータのマップを表示するようにした請求項1記載のシステム。
【請求項4】
仮想構成要素は、仮想電極を備え、
該システムは、仮想電極と相互作用することによって、ユーザが液滴操作を行うことを可能にするようにプログラム化され、構成されている請求項3記載のシステム。
【請求項5】
該システムは、仮想電極をマウス操作及び/又は選択することによって、ユーザが液滴操作を行うことを可能にするようにプログラム化され、構成されている請求項4記載のシステム。
【請求項6】
該システムは、ユーザインターフェイスを介したマップ構成要素との相互作用の結果として、マップに関する情報を表示するようにプログラム化されている請求項3記載のシステム。
【請求項7】
液滴マイクロアクチュエータマップにおいて一連の仮想電極を順次選択すること、
仮想オンスクリーン液滴を選択して、液滴マイクロアクチュエータマップにおいて所望の位置にある仮想電極に液滴をドラッグすること、及び/又は
仮想オンスクリーン液滴を選択し、そして液滴マイクロアクチュエータマップにおいて所望の位置にある仮想電極をクリックすることによって、
ユーザが液滴を輸送できるようにプログラム化され、構成されている請求項3記載のシステム。
【請求項8】
マップは、仮想液滴を備え、液滴マイクロアクチュエータ機能を制御するためのサブルーチンを開発し記録するプログラミングモードで使用可能である請求項3記載のシステム。
【請求項9】
液滴マイクロアクチュエータの設計またはマップを特定するデータが、システムに液滴マイクロアクチュエータアセンブリまたはカートリッジを連結する際に、システムによってアクセス可能な液滴マイクロアクチュエータアセンブリまたはカートリッジの構成要素として含まれている請求項3記載のシステム。
【請求項10】
該システムは、液滴マイクロアクチュエータマップにおけるサブルーチンのシミュレートされた実行を表示し、コマンドシリーズの効果を表示するようにした請求項3記載のシステム。
【請求項11】
コントローラは、液滴マイクロアクチュエータにおける制御電極および参照電極を駆動することによって、液滴操作を行うように構成される請求項1記載のシステム。
【請求項12】
(a)2つ以上の電極のセットが、同一の電気出力に連結され、
(b)該セットから1つの仮想電極を選択することは、該セット中のすべての電極の選択、強調および活性化という結果を生じさせるようにした請求項4記載のシステム。
【請求項13】
該システムは、ユーザが、インターフェイスを用いて液滴マイクロアクチュエータにおける液滴を直接操作することを可能にした請求項1記載のシステム。
【請求項14】
ユーザが、液滴マイクロアクチュエータマップにおいて非活性化された仮想電極を選択することによって、電極を活性化することを可能にした請求項4記載のシステム。
【請求項15】
液滴マイクロアクチュエータにおける液滴操作を制御するためのソフトウェアまたはコンピュータで使用可能な命令セットの作成を容易にするようにプログラム化されたプログラミングソフトウェアを備える請求項1記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2010−503516(P2010−503516A)
【公表日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−509854(P2009−509854)
【出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【国際出願番号】PCT/US2007/011298
【国際公開番号】WO2008/051310
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.TEFLON
【出願人】(508313149)アドバンスド・リキッド・ロジック・インコーポレイテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】ADVANCED LIQUID LOGIC, INC.
【出願人】(502347087)デューク・ユニバーシティ (19)
【氏名又は名称原語表記】DUKE UNIVERSITY
【Fターム(参考)】