説明

液滴吐出ヘッドの駆動回路及び液滴吐出装置

【課題】 液滴吐出ヘッドの液滴の吐出特性を低下させることなく、圧電素子の静電容量を精度よく検出する。
【解決手段】 圧電素子42と抵抗Rdとが直列接続された第1の配線150、及び予め定められた静電容量の基準容量コンデンサ119と抵抗Rdに等価な抵抗値とされた抵抗Rddとが直列接続された第2の配線152、が並列接続され、第1の配線150における圧電素子42と抵抗Rdの第1の接続線、及び第2の配線152における基準容量コンデンサ119と抵抗Rddの第2の接続線、の間の電位差を示す電圧を出力電圧とするブリッジ回路を備えており、CPU40は、ブリッジ回路からの出力電圧により示される前記第1の接続線と前記第2の接続線の間の電位差に基づき、基準容量コンデンサ119と圧電素子42の静電容量の差を求め、当該差に基づく値を基準容量コンデンサ119の予め定められた静電容量に加算することにより圧電素子42の静電容量を算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録する画像を示す画像データに基づいて圧電素子に所定電圧を印加し、当該圧電素子を振動させることにより圧力室内に振動波を発生させて前記圧力室に充填された液体をノズルから吐出させる液滴吐出ヘッドの駆動回路及び当該液滴吐出ヘッドの駆動回路を備えた液滴吐出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、記録ヘッドのノズルからインクを吐出する、インクジェット記録装置(所謂インクジェットプリンタ)は、小型で、安価である等の特徴から、多くの画像形成処理のエンジンとして用いられている。これらインクジェット記録装置の中でも、記録ヘッドのノズル毎に圧電素子を設け、各圧電素子の変形を利用して各ノズルからインクを吐出させるピエゾインクジェット方式等が高解像度、高速印字性などの観点から多く利用されている。
【0003】
ピエゾ素子等の圧電素子の振動エネルギーを利用するインクジェット記録装置は、インク流路に設けられた圧電素子に画像データに応じて電圧を印加して振動させ、この圧電素子の歪みによってインク滴を形成する。
【0004】
ところで、圧電素子は、電圧の印加により蓄えられた電荷量に応じて変形しており、印加した電圧と蓄積される電荷量から静電容量を求めることができる。しかし、記録ヘッドの製造工程において圧電素子の静電容量にばらつきが生じるため、同じ電圧を印加しても蓄えられる電荷量に差を生じて変形度合いに差が生じ、記録ヘッドの各インク吐出から吐出されるインク量にばらつきが生じてしまい、形成(印字)される画像の画質が低下する場合がある。
【0005】
そこで、特許文献1には、圧電素子を駆動させる駆動回路に静電容量を測定する回路を設け、得られた静電容量に応じて印加電圧を変化させる技術が開示されている。特許文献1の技術によれば、圧電素子への給電線に直列に抵抗を挿入し、テスト信号を駆動回路に印加し、挿入した抵抗の両端の電位差を測定して流れる電流を求め、圧電素子の静電容量を測定している。
【特許文献1】特開平9−207325号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の技術では、抵抗値の大きな抵抗を挿入しない限り、圧電素子の静電容量を低いSN比でしか測定できず、圧電素子の静電容量を精度よく検出することはできず、また、抵抗値の大きな抵抗を挿入すると精度よく圧電素子の静電容量を検出できるが、電圧を印加した際に挿入した抵抗による電圧降下が大きくなり、結果として圧電素子への印加電圧が小さくなり、圧電素子を十分に変形させることができないため、インクの吐出特性が低下する、という問題点があった。
【0007】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、液滴吐出ヘッドの液滴の吐出特性を低下させることなく、圧電素子の静電容量を精度よく検出することができる液滴吐出ヘッドの駆動回路及び当該液滴吐出ヘッドの駆動回路を備えた液滴吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、記録する画像を示す画像データに基づいて圧電素子に所定電圧を印加し、当該圧電素子を振動させることにより圧力室内に振動波を発生させて前記圧力室に充填された液体をノズルから吐出させる液滴吐出ヘッドの駆動回路であって、前記圧電素子と第1の抵抗とが直列接続された第1の配線、及び予め定められた静電容量のコンデンサと前記第1の抵抗に等価な抵抗値とされた第2の抵抗とが直列接続された第2の配線、が並列接続され、前記第1の配線における前記圧電素子と前記第1の抵抗の第1の接続線、及び前記第2の配線における前記コンデンサと前記第2の抵抗の第2の接続線、の間の電位差を示す電圧を出力電圧とするブリッジ回路と、前記ブリッジ回路からの出力電圧により示される前記第1の接続線と前記第2の接続線の間の電位差に基づき、前記コンデンサと前記圧電素子の静電容量の差を求め、当該差に基づく値を前記コンデンサの予め定められた静電容量に加算することにより前記圧電素子の静電容量を算出する算出手段と、を備えている。
【0009】
請求項1記載の発明は、圧電素子と第1の抵抗とが直列接続された第1の配線、及び予め定められた静電容量のコンデンサと前記第1の抵抗に等価な抵抗値とされた第2の抵抗とが直列接続された第2の配線、が並列接続され、第1の配線における圧電素子と第1の抵抗の第1の接続線、及び第2の配線におけるコンデンサと第2の抵抗の第2の接続線、の間の電位差を示す電圧を出力電圧とするブリッジ回路を備えており、算出手段により、ブリッジ回路からの出力電圧により示される第1の接続線と第2の接続線の間の電位差に基づき、コンデンサと圧電素子の静電容量の差を求め、当該差に基づく値をコンデンサの予め定められた静電容量に加算することにより圧電素子の静電容量が算出される。
【0010】
このように請求項1記載の発明によれば、圧電素子と第1の抵抗とが直列接続された第1の配線、及び予め定められた静電容量のコンデンサと前記第1の抵抗に等価な抵抗値とされた第2の抵抗とが直列接続された第2の配線、が並列接続され、第1の配線における圧電素子と第1の抵抗の第1の接続線、及び第2の配線におけるコンデンサと第2の抵抗の第2の接続線、の間の電位差を示す電圧を出力電圧とするブリッジ回路を備えており、出力電圧により示される第1の接続線と第2の接続線の間の電位差に基づき、コンデンサと圧電素子の静電容量の差を求め、当該差に基づく値をコンデンサの予め定められた静電容量に加算して圧電素子の静電容量を算出しているので、液滴吐出ヘッドの液滴の吐出特性を低下させることなく、圧電素子の静電容量を精度よく検出することができる。
【0011】
なお、請求項1記載の発明は、請求項2記載の発明のように、前記画像データに基づいて前記圧電素子に前記所定電圧を印加するタイミングを示す駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、何れかのパルス変調がなされて各々互いに異なる変調状態とされた複数のパルス信号を出力するパルス信号出力手段と、前記圧電素子の静電容量に応じて前記複数のパルス信号から適用するパルス信号を定めた適用情報を予め記憶する記憶手段と、前記算出手段により算出された前記圧電素子の静電容量に基づいて前記記憶手段に記憶された前記適用情報から適用するパルス信号を特定する特定手段と、前記パルス信号出力手段より出力される前記複数のパスル信号から前記特定手段により特定されたパルス信号を選択的に出力する選択手段と、前記選択手段により選択的に出力されたパルス信号と前記駆動信号生成手段により生成された前記駆動信号との論理積をとり、前記所定電圧を印加するタイミングを示す信号として出力するアンド回路と、さらに備えたものとしてもよい。
【0012】
また、請求項2記載の発明は、請求項3記載の発明のように、パルス信号出力手段を、デューティ比が異なる複数のパルス幅変調信号を出力するものとするものとすることが好ましい。なお、このパルス信号出力手段は、パルス振幅変調(PAM)、デルタ変調、シグマ デルタ変調等のいずれかのパルス変調されたパルス信号を出力するものであってもよい。
【0013】
また、本発明は、請求項4記載の発明のように、前記第1の抵抗及び前記第2の抵抗の少なくとも一方を、前記圧電素子に対して前記所定電圧の印加・非印加を切替えるスイッチのオン抵抗とすることが好ましい。
【0014】
一方、上記目的を達成するため、請求項5記載の液滴吐出装置は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の液滴吐出ヘッドを備えている。
【0015】
よって、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の発明と同様に作用するので、液滴吐出ヘッドの液滴の吐出特性を低下させることなく、圧電素子の静電容量を精度よく検出することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明によれば、圧電素子と第1の抵抗とが直列接続された第1の配線、及び予め定められた静電容量のコンデンサと前記第1の抵抗に等価な抵抗値とされた第2の抵抗とが直列接続された第2の配線、が並列接続され、第1の配線における圧電素子と第1の抵抗の第1の接続線、及び第2の配線におけるコンデンサと第2の抵抗の第2の接続線、の間の電位差を示す電圧を出力電圧とするブリッジ回路を備えており、出力電圧により示される第1の接続線と第2の接続線の間の電位差に基づき、コンデンサと圧電素子の静電容量の差を求め、当該差に基づく値をコンデンサの予め定められた静電容量に加算して圧電素子の静電容量を算出しているので、液滴吐出ヘッドの液滴の吐出特性を低下させることなく、圧電素子の静電容量を精度よく検出することができる、という優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1には、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10の概略構成が示されている。
【0018】
なお、本実施の形態においては、記録媒体としての記録紙Pの搬送方向を副走査方向(図1の矢印S参照)、当該副走査方向と直交する方向を主走査方向(図1の矢印M参照)とする。
【0019】
インクジェット記録装置10は、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各インクジェット記録ユニット12を搭載するキャリッジ14を備えている。
【0020】
このキャリッジ14の記録紙Pの搬送方向上流側には、一対のブラケット16が突設されており、このブラケット16には円形状の開口部16Aが穿設されている。この開口部16Aには、主走査方向に架設されたシャフト18(図1参照)が挿通されている。
【0021】
図1に示されるように、主走査方向の両端部には、主走査機構20を構成する駆動プーリー22と従動プーリー24とがそれぞれ配設されている。この駆動プーリー22と従動プーリー24には、タイミングベルト26が巻回されており、タイミングベルト26の一部に前記キャリッジ14が固定されている。これにより、キャリッジ14は主走査方向に往復移動可能となる。
【0022】
インクジェット記録装置10には、搬送ローラ28及び排出ローラ30からなる副走査機構32が設けられている。この副走査機構32は、画像印刷(印字)前の記録紙Pを束にして収容する給紙トレイ34から1枚ずつ給紙された記録紙Pを所定のピッチ或いは連続的に定速度で副走査方向へ搬送する。
【0023】
また、シャフト18の一端部には、キャリッジ14の下面が対向するように、クリーニング装置33が配設されており、このクリーング装置の直上にキャリッジ14が位置決めされた場合に、インクジェット記録ユニット12に対してキャッピングや吸引等のメンテナンスが行われるようになっている。例えば、図3に示すノズル40からインクを吸引することが可能である。
【0024】
図2に示されるように、各色のインクジェット記録ユニット12は、記録ヘッド36と、この記録ヘッド36へインクを供給するインクカートリッジ38とが一体に構成されたものであり、記録ヘッド36の下面に形成された複数のノズル40(図3参照)が、記録紙Pと対峙するようにキャリッジ14上に搭載されている。
【0025】
従って、記録ヘッド36が主走査機構20(図1参照)によって主走査方向に移動しながら、記録紙Pに対して、画像データに基づいて、ノズル40から選択的にインク滴を吐出することにより、所定のバンド領域BEに対して画像が形成(印字)される。
【0026】
主走査方向の1回の移動が終了すると、記録紙Pは、副走査機構32(図1参照)によって副走査方向へ所定ピッチ搬送され、再度インクジェット記録ユニット12が主走査方向に移動しながら、次のバンド領域に対して画像を形成(印字)する。これを繰り返すことで、記録紙Pには画像データに基づく全体画像が形成されることになる。
【0027】
図3に示されるように、記録ヘッド36は、インクタンク41、供給路44、圧力室46、ノズル40、及び圧電素子42を有している。
【0028】
インクタンク41には、前述のインクカートリッジ38(図2参照)からのインクが蓄えられ、インクタンク41は、供給路44を介して圧力室46と連通し、さらに圧力室46はノズル40を介して外部と連通している。
【0029】
圧力室の46の一部の壁面(図3の下面)は振動板46Aからなり、該振動板46Aに圧電素子42が取り付けられており、圧電素子42によって振動板46Aを振動させることで、圧力室46内のインクに圧力波が発生する。すなわち、圧電素子42の振動によって発生する圧力波によって、インクタンク41に蓄えられたインクが供給路44、圧力室46を介してノズル40から吐出されるようになっている。
【0030】
図4には、本実施の形態に係るインクジェット記録装置10の電気系の概略構成が示されている。
【0031】
インクジェット記録装置10は、全体の動作を司るCPU(中央処理装置)50と、装置全体を制御する制御プログラムや後述する印加パルス電圧設定処理プログラムを含む各種プログラムや各種パラメータ、各種テーブル等が予め記憶されたROM52と、図示しないネットワーク等の通信媒体を介して受信した画像データ等や各種データ等を一時的に記憶するRAM54と、上述した駆動プーリー22を回転させる図示しないモータの駆動を制御することによってキャリッジ14の主走査方向への移動を制御すると共に、搬送ローラ28及び排出ローラ30の回転させる図示しない他のモータの駆動を制御することによって記録紙Pの副走査方向への搬送を制御する搬送制御部56と、各ノズル40に対応する圧電素子42に対して使用するパルス幅変調信号(以下、PWM信号という。)(詳細後述)を示す情報が記憶された使用信号記憶テーブル70(図5参照)を記憶する不揮発性メモリ58、搬送制御部56の制御によるキャリッジ14の移動に同期してRAM54に記憶された画像データを読み込み、記録ヘッド36の各圧電素子42を各々振動させて各ノズル40からインクを吐出させるヘッド駆動回路100と、を備えている。
【0032】
なお、ヘッド駆動回路100は、静電容量検出回路101(詳細後述)を備えており、各ノズル40に対応する各圧電素子42の静電容量Cdを検出可能となっている。
【0033】
また、ROM52には、圧電素子42の静電容量Cdに応じて適用するPWM信号を定めた適用パルス信号設定テーブル80(図6参照)が記憶されている。
【0034】
図6に示すように、これらCPU50、ROM52、RAM54、搬送制御部56、
不揮発性メモリ58、及びヘッド駆動回路100は、システムバスBUSを介して相互に接続されている。従って、CPU50は、ROM52、RAM54、不揮発性メモリ58へのアクセスと、搬送制御部56を制御しての記録紙Pの搬送及びキャリッジ14の主走査方向への移動の制御と、ヘッド駆動回路100を制御しての記録紙Pへの印刷処理の制御及び後述するパルス電圧選択信号、検出ノズル選択信号等の各種信号を出力して各圧電素子42の静電容量Cdの検出処理の制御と、を各々行うことができる。
【0035】
本実施の形態に係るインクジェット記録装置10では、後述する印加パルス電圧設定処理により、各ノズル40に取り付けられた各圧電素子42の静電容量Cdを検出し、適用パルス信号設定テーブル80(図6参照)に基づき、各圧電素子42の静電容量Cdの応じたPWM信号を特定し、特定したPWM信号を示す情報を、不揮発性メモリ58に記憶されたノズル使用信号記憶テーブル70(図5参照)の当該圧電素子42が取り付けられたノズル40の番号に記憶させている。
【0036】
図7には、本実施の形態に係るヘッド駆動回路100の詳細な構成が示されている。
【0037】
このヘッド駆動回路100には、記録ヘッド36の各圧電素子42を選択的に駆動させるという本来の機能に加え、上述したように各圧電素子42の静電容量Cdを測定する静電容量検出回路101が組み込まれている。
【0038】
このヘッド駆動回路100には、各圧電素子42に対して1:1で電圧増幅回路102が設けられている。
【0039】
一方、電圧増幅回路102の一方の入力端には、それぞれ専用のセレクタ104が接続されている。各セレクタ104には、各々デューティ比の異なるパルス幅変調(PWM)信号を出力するm個のPWM(1)106〜PWM(m)106が接続されている。セレクタ104のセレクト端子は、CPU50よりパルス電圧選択信号を受信するようになっており、この電圧選択信号によって電圧増幅回路102へ出力するPWM信号を選択するものとなっている。
【0040】
また、電圧増幅回路102の他方の入力端には、駆動信号生成部105が接続されている。駆動信号生成部105は、画像データに基づき、各圧電素子42を駆動させる駆動信号を出力する。
【0041】
さらに、電圧増幅回路102は、図示しない駆動電源に接続された電力線と接続されており、駆動電源より電力が供給されている。
【0042】
図8には、電圧増幅回路102の詳細な構成が示されている。
【0043】
電圧増幅回路102には、アンド回路130が設けられている。アンド回路130の一方の入力端には、セレクタ104から出力されたPWM信号が入力し、アンド回路130の他方の入力端には、駆動信号生成部105から出力された駆動信号が入力する。アンド回路130は、入力したPWM信号と駆動信号とが共にオンのタイミングで圧電素子42を駆動させるタイミング信号を出力する。
【0044】
アンド回路130の出力端はNチャンネルMOSFET(電界効果トランジスタ)132のゲートに接続されている。このMOSFET132のドレインは、図示しない駆動電源と接続され、MOSFET132のソースは、抵抗Rdを介して圧電素子42に接続されている。なお、本実施の形態では、この抵抗Rdは、電圧増幅回路102自体の内部抵抗(オン抵抗)となっており、実際の回路に抵抗Rdに対応する抵抗器を備えているものではない。圧電素子42には、図9に示されるように、駆動信号及びPWM信号が共にオン場合に圧電素子42に駆動電源から電圧が印加される。
【0045】
この圧電素子42に対して印加される駆動電圧は、パルス信号に同期してオン、オフが繰り返されているが、圧電素子42が静電容量Cdを有しているので、当該圧電素子42と抵抗Rdとにより低域通過フィルタが構成されて電圧の波形が平滑化されるため、PWM信号のデューティ比に応じて圧電素子42に印加される電圧値が変化する。すなわち、図9に示されるように、PWM信号のデューティ比が高い場合は、平滑化された結果の電圧値が高く、デューティ比が低い場合は平滑化された結果の電圧値が低くなる。
【0046】
ここで、記録ヘッド36は、製造工程において圧電素子42の静電容量Cdに設計値と、例えば、±10%程度のばらつきが生じる場合がある。このため、ヘッド駆動回路100のPWM(1)106〜PWM(m)は、設計値どおりの静電容量Cdの圧電素子42において適した電圧となるデューティ比を基準とした所定範囲内で各々が僅かに異なるデューティ比のPWM信号を出力するものとなっている。そこで、本実施の形態に係るヘッド駆動回路100では、セレクタ104によってPWM(1)106〜PWM(m)から電圧増幅回路102へ出力するPWA信号を選択させることにより圧電素子42に対して印加される電圧の電圧値を制御している。
【0047】
一方、前記駆動信号生成部105とアンド回路130との間には、PチャンネルMOSFET134のゲートがインバータ136を介して接続されている。このMOSFET134のドレインは、MOSFET132のソースと抵抗Rdとの間に接続され、MOSFET134のソースは、アースされている。MOSFET134には、インバータ136によりオン・オフが反転された信号が入力され、駆動信号がオフのタイミングでMOSFET134をオンなり、圧電素子42に蓄積された電荷を開放している。
【0048】
図7に示すように、前記抵抗Rdと圧電素子42との間には、それぞれスイッチ112の一端が接続されている。このスイッチ112の他端は、出力信号線114によって短絡され、この出力信号線114は、抵抗116を介して差動増幅器118のマイナス側入力端118Aに接続されている。
【0049】
一方、電圧増幅回路102の1つ(図7に配列された電圧増幅回路102の最下段)には、駆動信号生成部105からセレクタ104を介さないで直接、駆動信号が入力されている。この電圧増幅回路102では、静電容量検出用の抵抗Rdd及び基準容量コンデンサ119を通電するためのものである。なお、この電圧増幅回路102は、PWM信号が入力しないため、図8に示す、アンド回路130が設けられておらず、駆動信号が直接MOSFET132に入力する構成となっている。
【0050】
この抵抗Rddと基準容量コンデンサ119の間に一端が接続された出力信号線122は、その他端が抵抗124を介して差動増幅器118のプラス側入力端118Bに接続されている。
【0051】
抵抗Rddは、前記スイッチング素子108の抵抗Rdとほぼ同じ等価な抵抗値である。なお、抵抗Rdと抵抗値がほぼ同じであれば、スイッチング素子108の内部抵抗(オン抵抗)を用いてもよい。また、基準容量コンデンサ119の静電容量Coは、圧電素子42の設計値の静電容量であり、この基準容量コンデンサ119の静電容量Coを基準として圧電素子42の静電容量Cdが検出される。
【0052】
上記構成により、通常の印字の際には、各セレクタ104は、パルス電圧選択信号に基づき、出力するPWM信号を選択し、検出ノズル選択信号によってスイッチ112は全てオフとされ、画像データに基づいて、駆動信号生成部105により駆動信号の出力を制御することによって、印字が実行される。
【0053】
上記がヘッド駆動回路100の本来の機能を示す基本回路系であり、本実施の形態では、この基本回路系に対して、以下のような静電容量検出回路101が組み込まれている。
【0054】
すなわち、静電容量検出時には、検出対象の圧電素子42に接続されたセレクタ104では、パルス電圧選択信号に基づき、所定のPWM信号を選択すると共に、駆動信号生成部105から静電容量テスト用の駆動信号が出力される。これにより、電圧増幅回路102は、PWM信号と静電容量テスト用の駆動信号とが共にオンのタイミングで圧電素子42に駆動電圧が印加され、またに、基準容量コンデンサ119にも静電容量テスト用の駆動信号がオンのタイミングで駆動電圧が印加される。
【0055】
また、静電容量検出時には、検出ノズル選択信号によって検出対象とする圧電素子42と接続されたスイッチ112のみがオンとされる。
【0056】
これにより、差動増幅器118では、検出対象とする圧電素子42の電圧と基準容量コンデンサ119の電圧との電位差を示す電圧が出力される。
【0057】
この検出対象とする圧電素子42に印加された電圧と基準容量コンデンサ119に各々印加された電圧との電位差は、基準容量コンデンサ119と検出対象の圧電素子42と静電容量の差に相当している。
【0058】
なお、出力信号線114、122とアースとの間には、それぞれ分圧して差動増幅器118に入力する電圧を調整するための抵抗126、128が介在されている。
【0059】
差動増幅器118の出力端は、ローパスフィルタ120を介して同期整流部122と接続されている。差動増幅器118から出力される電圧には、ノイズの原因となりやすい高周波成分が含まれている場合があるため、ローパスフィルタ120によって電圧変動の高周波成分を遮断して低周波成分のみを同期整流部122へ出力している。
【0060】
一方、同期整流部122は、駆動信号生成部105と電圧増幅回路102の間から分岐した配線とも接続されており、ローパスフィルタ120から出力された電圧に対して駆動信号がオンのときはそのまま出力し、オフのときは電圧値を反転させる整流を行ってAD変換部124へ出力する。AD変換部124では、入力した電圧に対してデジタル変換を行い、デジタルの電圧信号をCPU50へ出力する。
【0061】
CPU50は、電圧信号に基づき、圧電素子42の静電容量Cdを算出し、ROM52に記憶された適用パルス信号設定テーブル80(図6参照)に基づいて圧電素子42の静電容量Cdに応じて適用するPWM信号を特定し、特定したPWM信号を示す情報をノズル使用信号記憶テーブル70(図5参照)に圧電素子42に対応するノズル番号に記憶させている。
【0062】
次に、図10を参照しつつ、ノズル40毎の圧電素子42の静電容量Cdを測定する際のインクジェット記録装置10の作用を説明する。なお、図10は、この際にCPU50によって実行される印加パルス電圧設定処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムは、ROM52の所定の領域に予め記憶されている。
【0063】
同図のステップ200では、記録ヘッド36に設けられた複数のノズル40の各圧電素子42のうちの何れか1つを検出対象の圧電素子42とし、検出対象の圧電素子42に接続されたスイッチ112のみオン、その他のスイッチ112をオフとするように、ヘッド駆動回路100の各スイッチ112に対して検出ノズル選択信号を出力する。
【0064】
これにより、図11に示すように、検出対象の圧電素子42とスイッチング素子108(図4参照)の抵抗Rdとを直列に接続した第1の配線150と、基準容量コンデンサ119と前記抵抗Rdと同等の抵抗値を持つ抵抗Rddとを直列に接続した第2の配線152と、によってブリッジ回路が構成されている。なお、圧電素子42及び基準容量コンデンサ119の他端は共にアースされているため、図11では、圧電素子42及び基準容量コンデンサ119の他端を短絡してアースしたものとしている。
【0065】
次のステップ202では、処理対象の圧電素子42に接続されたセレクタ104に対してパルス電圧選択信号を出力して所定のPWM信号を電圧増幅回路102へ出力させる。なお、本実施の形態では、セレクタ104でPWM信号(1)106を選択するものとする。
【0066】
次のステップ204では、駆動信号生成部105を制御して検出対象の圧電素子42と接続された電圧増幅回路102に対してテスト用の矩形波の駆動信号を出力させる。
【0067】
これにより、圧電素子42には、PWM信号と駆動信号とが共にオンのタイミングで駆動電圧が印加される。なお、上述したように、圧電素子42と抵抗Rdとにより低域通過フィルタが構成されて平滑化されるため、圧電素子42には、PWM信号のデューティ比に応じた電圧値の電圧が印加される。また、基準容量コンデンサ119には、駆動信号がオンのタイミングで駆動電圧が印加される。
【0068】
これにより、差動増幅器118では、検出対象とする圧電素子42の電圧と基準容量コンデンサ119の電圧との電位差を示す電圧が出力される。
【0069】
図12(A)及び図13(A)には、差動増幅器118の出力端における電圧が示されている。この電圧の波形の振幅は、検出対象の圧電素子42に静電容量Cdと基準容量コンデンサ119の静電容量Coとが近いほど小さくなり、また、Cd>Coの場合(図12(A)参照)は電圧が正の値となり、Cd<Coの場合(図13(A)参照)は電圧が負の値となる。なお、図12、図13では、Cd=575[pF]として、Coが変化した場合の電圧の波形が示されている。
【0070】
差動増幅器118から出力された電圧は、ローパスフィルタ120により高周波成分が遮断され、同期整流部122により駆動信号のオン・オフに応じて整流が行われ、AD変換部124によりデジタル変換された電圧信号がCPU50へ出力される。
【0071】
図12(B)には、図12(A)に示される電圧の波形が同期整流部122により整流され結果が示されており、図13(B)には、図13(A)に示される電圧の波形が同期整流部122により整流された結果が示されている。
【0072】
同期整流部122では、入力した電圧に対して駆動信号がオンの期間はそのまま出力し、オフの期間はプラスとマイナスを反転させるため、図12(B)では波形がプラス側となり、図13(B)では、波形がマイナス側となっている。
【0073】
次のステップ206では、CPU50では、電圧信号として示される差動増幅器118のマイナス側入力端118Aとプラス側入力端118Bとの電位差の波形を所定期間検出し、波形がプラス側である場合はプラス側のピーク(最大値)の電位差V0を測定し、波形がマイナス側である場合はマイナス側のピーク(最小値)の電位差V0を測定する。
【0074】
次のステップ208では、測定した電位差V0に基づき、検出対象の圧電素子42の静電容量Cdを算出する。
【0075】
すなわち、図11に示すような回路構成において、抵抗Rd間の電位を差動増幅器118のマイナス側入力端118Aに入力し(入力電圧V1)、抵抗Rdd間の電位を差動増幅器118のプラス側入力端118Bに入力(入力電圧V2)するように配線すると、差動増幅器118から出力される電位差V0は、V1−V2と表すことができる。この電位差V0は、以下の(1)式に示すように検出対象の圧電素子42の静電容量Cdから基準容量コンデンサ119の静電容量Coをマイナスした値に比例することとなる。
【0076】
V0 = V1−V2 ∝ Cd−Co ・・・(1)
このV0とCd−Coとの比例定数Kは、ヘッド駆動回路100の回路構成に応じて予め定めることができるため、検出対象の圧電素子42の静電容量Cdを以下の(2)式から求めることができる。
【0077】
Cd=Co+V0/K ・・・(2)
次のステップ210では、ROM52に記憶された適用パルス信号設定テーブル80(図6参照)に基づき、算出した検出対象の圧電素子42の静電容量Cdに応じたPWM信号を特定する。
【0078】
次のステップ212では、不揮発性メモリ58に記憶されたノズル使用信号記憶テーブル70(図5参照)の検出対象の圧電素子42に対応するノズル番号に、ステップ210において特定したPWM信号を示す情報を記憶させる。
【0079】
次のステップ214では、全ての圧電素子42を処理対象として設定処理が完了したか否かを判定し、肯定判定である場合は処理終了となり、否定判定である場合は、処理対象となっていない圧電素子42を検出対象の圧電素子42として再度ステップ200へ移行する。
【0080】
このように、印加パルス電圧設定処理によれば、各ノズル40の圧電素子42毎に静電容量Cdに応じて使用するPWM信号を示す情報が使用信号記憶テーブル70(図5参照)に記憶される。
【0081】
本実施の形態に係るインクジェット記録装置10では、記録紙Pに印字を行う際に、各ノズル40に取り付けられた圧電素子42と接続されたセレクタ104に対し、使用信号記憶テーブル70のノズル番号毎に記憶された情報に基づいてパルス電圧選択信号を出力し、セレクタ104でPWM信号を選択させる。これにより、各圧電素子42と接続された電圧増幅回路102に各圧電素子42の静電容量に応じたPWM信号が入力し、駆動信号とPWM信号とが共にオン場合に各圧電素子42に駆動電源からの電圧が印加される。
【0082】
すなわち、圧電素子42の静電容量に応じてPWM信号をデューティ比を変えることにより、圧電素子42に対して印加する電圧の電圧値を制御している。これにより、各圧電素子42の静電容量にばらつきがあっても、蓄えられる電荷量を略同一にすることができる。これにより、各圧電素子42の変形度合いがほぼ一致するため、記録ヘッド36の各ノズル40から吐出されるインク量にばらつきが小さくなり、記録紙Pに形成(印字)される画像の画質の低下を抑えることができる。
【0083】
本実施の形態では、上述したように、差動増幅器118の出力電圧V0を用いることで、SN比の高い信号を得ることができる。すなわち、図10に示されるように、記録ヘッド36の機械系のアドミッタンスを高いSN比で検出することができる。従って、図10に示す正常吐出時の周波数と不吐出時の周波数の変動から不吐出ノズルを検出することが可能となる。
【0084】
以上説明したように本実施の形態によれば、圧電素子と第1の抵抗(ここでは、抵抗Rd)とが直列接続された第1の配線、及び予め定められた静電容量のコンデンサ(ここでは、基準容量コンデンサ119)と前記第1の抵抗に等価な抵抗値とされた第2の抵抗(ここでは、抵抗Rdd)とが直列接続された第2の配線、が並列接続され、前記第1の配線における前記圧電素子と前記第1の抵抗の第1の接続線、及び前記第2の配線における前記コンデンサと前記第2の抵抗の第2の接続線、の間の電位差を示す電圧を出力電圧とするブリッジ回路を備えており、算出手段(ここでは、CPU40)は、前記ブリッジ回路からの出力電圧により示される前記第1の接続線と前記第2の接続線の間の電位差に基づき、前記コンデンサと前記圧電素子の静電容量の差を求め、当該差に基づく値を前記コンデンサの予め定められた静電容量に加算することにより前記圧電素子の静電容量を算出しているので、液滴吐出ヘッドの液滴の吐出特性を低下させることなく、圧電素子の静電容量を精度よく検出することができる。
【0085】
また、画像データに基づいて前記圧電素子に前記所定電圧を印加するタイミングを示す駆動信号を生成する駆動信号生成手段(ここでは、駆動信号生成部105)と、何れかのパルス変調がなされて各々互いに異なる変調状態とされた複数のパルス信号を出力するパルス信号出力手段(ここでは、PWM(1)106〜PWM(m)106)と、前記圧電素子の静電容量に応じて前記複数のパルス信号から適用するパルス信号を定めた適用情報(ここでは、適用パルス信号設定テーブル80)を予め記憶する記憶手段と、を備え、特定手段(ここでは、CPU40)は、算出手段により算出された前記圧電素子の静電容量に基づいて前記記憶手段に記憶された前記適用情報から適用するパルス信号を特定し、選択手段(ここでは、セレクタ104)は、前記パルス信号出力手段より出力される前記複数のパスル信号から前記特定手段により特定されたパルス信号を選択的に出力し、アンド回路は、前記選択手段により選択的に出力されたパルス信号と前記駆動信号生成手段により生成された前記駆動信号との論理積をとり、前記所定電圧を印加するタイミングを示す信号として出力しているので、液滴吐出ヘッドの各ノズルから吐出される液滴量にばらつきを小さくし、形成される画像の画質の低下を抑制することができる。
【0086】
また、前記パルス信号出力手段を、デューティ比が異なる複数のパルス幅変調信号を出力するものとしているので、圧電素子に印加する電圧値をパルス信号のデューティ比を変えることで容易に調整することができる。
【0087】
さらに、前記第1の抵抗及び前記第2の抵抗の少なくとも一方を、前記圧電素子に対して前記所定電圧の印加・非印加を切替えるスイッチ(ここでは、電圧増幅回路102)のオン抵抗としているので、圧電素子と接続された配線に上に抵抗器を追加する必要がないため、液滴吐出ヘッドの液滴の吐出特性を低下しない。
【0088】
なお、本実施の形態では、ノズル使用信号記憶テーブル70(図5参照)にノズル40毎に使用するPWM信号を示す情報を記憶させる場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ノズル使用信号記憶テーブル70にノズル番号に対応する圧電素子42の静電容量を記憶させ、画像を形成する際に、ノズル使用信号記憶テーブル70に記憶したノズル毎の静電容量に応じて適用パルス信号設定テーブル80から適用するPWM信号を特定する構成としてもよい。この場合も、本実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0089】
また、本実施の形態では、記録ヘッド36(図1参照)を主走査機構20によって主走査方向に往復移動させながら、記録紙Pに対して、画像を形成するインクジェット記録装置10の場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、記録ヘッドを記録紙Pの幅より幅広とした長尺ヘッドとして、多数のノズルが記録用紙Pの幅方向に沿って配置されたものと、記録紙Pを、副走査方向へ相対的に移動させなが、当該記録ヘッドの各ノズルからインクを吐出することにより記録紙Pの全幅を一括で記録するインクジェット記録装置10に本発明を適用してもよい。この場合も、本実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0090】
その他、本実施の形態で説明したインクジェット記録装置10の構成(図1〜図4、
図7、図8参照。)、及び印加パルス電圧設定処理(図10参照)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0091】
また、ノズル使用信号記憶テーブル(図5)及び適用パルス信号設定テーブル(図6)のデータ構造も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0092】
さらに、本実施形態で説明したインクジェット記録装置10は、記録媒体上へ画像(文字を含む)を形成するものであったが、本発明のインクジェット記録装置10は、これに限定されるものではない。すなわち、記録媒体は記録用紙に限定されるものでなく、また、吐出する液体もインクに限定されるものではない。例えば半導体や液晶表示器等のパターン形成のためにシート状の基板に液滴を吐出するパターン形成装置等の他の液滴吐出記録装置にも適用することができる
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本実施の形態に係るインクジェット記録装置の外観を示す斜視図である。
【図2】本実施の形態に係るインクジェット記録装置に設けられたキャリッジの斜視図である。
【図3】本実施の形態に係る記録ヘッドの内部構造を示す断面図である。
【図4】実施の形態に係るインクジェット記録装置の電気系の構成を示すブロック図である。
【図5】不揮発性メモリに記憶されたノズル使用信号記憶テーブルのデータ構造の一例を示す模式図である。
【図6】ROMに記憶された適用パルス信号設定テーブルのデータ構造の一例を示す模式図である。
【図7】本実施の形態に係るヘッド駆動回路の詳細な構成を示す回路図である。
【図8】本実施の形態に係る電圧増幅回路の詳細な構成が示す回路図である。
【図9】本実施の形態に係る各種信号の波形を示す波形図である。
【図10】本実施の形態に係る印加パルス電圧設定処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】本実施の形態に係る検出対象の圧電素子の静電容量を検出するときの等価回路図である。
【図12】本実施の形態に係るCd>Coの場合の差動増幅器の出力端における電圧の波形を示す波形図である。
【図13】本実施の形態に係るCd<Coの場合の差動増幅器の出力端におけるで電圧の波形を示す波形図である。
【符号の説明】
【0094】
10 インクジェット記録装置
40 CPU
52 ROM
80 適用パルス信号設定テーブル
100 ヘッド駆動回路
102 電圧増幅回路
104 セレクタ
105 駆動信号生成部
106 PWM(1)〜PWM(m)
130 アンド回路
150 第1の配線
152 第2の配線
Rd 抵抗
Rdd 抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録する画像を示す画像データに基づいて圧電素子に所定電圧を印加し、当該圧電素子を振動させることにより圧力室内に振動波を発生させて前記圧力室に充填された液体をノズルから吐出させる液滴吐出ヘッドの駆動回路であって、
前記圧電素子と第1の抵抗とが直列接続された第1の配線、及び予め定められた静電容量のコンデンサと前記第1の抵抗に等価な抵抗値とされた第2の抵抗とが直列接続された第2の配線、が並列接続され、前記第1の配線における前記圧電素子と前記第1の抵抗の第1の接続線、及び前記第2の配線における前記コンデンサと前記第2の抵抗の第2の接続線、の間の電位差を示す電圧を出力電圧とするブリッジ回路と、
前記ブリッジ回路からの出力電圧により示される前記第1の接続線と前記第2の接続線の間の電位差に基づき、前記コンデンサと前記圧電素子の静電容量の差を求め、当該差に基づく値を前記コンデンサの予め定められた静電容量に加算することにより前記圧電素子の静電容量を算出する算出手段と、
を備えた液滴吐出ヘッドの駆動回路。
【請求項2】
前記画像データに基づいて前記圧電素子に前記所定電圧を印加するタイミングを示す駆動信号を生成する駆動信号生成手段と、
何れかのパルス変調がなされて各々互いに異なる変調状態とされた複数のパルス信号を出力するパルス信号出力手段と、
前記圧電素子の静電容量に応じて前記複数のパルス信号から適用するパルス信号を定めた適用情報を予め記憶する記憶手段と、
前記算出手段により算出された前記圧電素子の静電容量に基づいて前記記憶手段に記憶された前記適用情報から適用するパルス信号を特定する特定手段と、
前記パルス信号出力手段より出力される前記複数のパスル信号から前記特定手段により特定されたパルス信号を選択的に出力する選択手段と、
前記選択手段により選択的に出力されたパルス信号と前記駆動信号生成手段により生成された前記駆動信号との論理積をとり、前記所定電圧を印加するタイミングを示す信号として出力するアンド回路と、
さらに備えた請求項1記載の液滴吐出ヘッドの駆動回路。
【請求項3】
前記パルス信号出力手段を、デューティ比が異なる複数のパルス幅変調信号を出力するものとする
請求項2記載の液滴吐出ヘッドの駆動回路。
【請求項4】
前記第1の抵抗及び前記第2の抵抗の少なくとも一方を、前記圧電素子に対して前記所定電圧の印加・非印加を切替えるスイッチのオン抵抗とする
請求項1乃至請求項3の何れか1項記載の液滴吐出ヘッドの駆動回路。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の液滴吐出ヘッドの駆動回路
を備えた液滴吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−341391(P2006−341391A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−166826(P2005−166826)
【出願日】平成17年6月7日(2005.6.7)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】